説明

軸支持構造

【課題】金型成形品である2つの部材に関し、一方の回動軸を他方の軸受開口部に支持させるための軸支持構造において、回動動作の精度を良好に確保することができ、しかも2つの部材を同じ金型内で同時に成形することを可能とする。
【解決手段】右回動軸25は、右軸受開口部36内に保持される被保持部37の断面が、その回動中心Cからの距離が最大となり且つ互いに周方向に離間して配置された最大外周縁部51,52を有し、右軸受開口部36は、回動中心からの距離が最小となり且つ最大外周縁部に対応して配置された最小内周縁部53,54を有し、右回動軸が右軸受開口部に保持された状態において、回動中心から最大外周縁部までの距離と、回動中心から最小内周縁部までの距離とが同一となり、右回動軸が所定の回動範囲内にある場合にのみ、最大外周縁部と最小内周縁部との少なくとも一部が互いに摺接する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂等からなる金型成形品である2つの部材において、一方の部材に設けられた回動軸の両側を他方の部材に設けられた一対の軸受開口部に支持させるための軸支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の軸支持構造としては、例えば、軸受部を有する連結板と、回動軸を有するラックとを備えた光学機器において、少なくとも一方が切欠き孔として構成された2つの軸受開口部を軸受部に設けると共に、当該切欠き孔に挿入されるDカット部を回動軸の外周面に形成することにより、スラスト方向及びラジアル方向におけるガタの解消を図るようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、例えば、合成樹脂製のなす環における軸支持構造に関し、なす環本体に設けられた回動軸をベルト取着体に設けられた軸受開口部に遊嵌した状態で、なす環本体とベルト取着体とを1回の工程で同時に一体成形するものが知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−187431号公報
【特許文献2】特公平6−74802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来技術では、回動軸の外形寸法は軸受開口部の内径寸法と略等しく設定されており、2つの部材(ラックおよび連結板)を組み付けた状態(すなわち、回動軸を軸受開口部に挿入した状態)では成形時の金型のスペースが確保できないため、2つの部材を個別に成形しなければならないという問題があった。
【0006】
また、上記特許文献2に記載された従来技術は、回動軸が軸受開口部に遊嵌される軸支持構造であるため、金型のスペースは確保できるものの、精度の良い回動動作は期待できず、用途が限定されてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、成形品からなる2つの部材の一方に設けられた回動軸を他方に設けられた一対の軸受開口部に支持させる場合に、回動動作の精度を良好に確保することができ、しかも2つの部材を同じ金型内で同時に成形することを可能とする軸支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明の第1の側面によれば、金型成形品である回動部材(11)および軸受部材(12,13)に関し、当該回動部材に設けられた回動軸(24,25)を当該軸受部材に設けられた一対の軸受開口部(32,36)に支持させるための軸支持構造であって、前記回動軸は、少なくとも一方の前記軸受開口部(36)内に保持される被保持部(37)の断面が、非円形状をなすと共に、その回動中心(C)からの距離が最大となり且つ互いに周方向に離間して配置された複数の最大外周縁部(51,52)を有し、前記少なくとも一方の軸受開口部は、非円形状をなすと共に、前記最大外周縁部の位置に対応して配置された複数の対応内周縁部(53,54)を有し、前記回動軸が前記少なくとも一方の軸受開口部内に保持された状態において、前記回動中心から前記最大外周縁部までの距離と、前記回動中心から前記対応内周縁部までの距離とが同一となり、前記回動軸が所定の回動範囲内にある場合にのみ、前記最大外周縁部と前記対応内周縁部との少なくとも一部が互いに摺接することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2の側面によれば、前記最大外周縁部と前記対応内周縁部とは、互いに同一の曲率を有する円弧状を呈することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第3の側面によれば、前記最大外周縁部の各々は、互いに周方向に離間された状態で前記回動中心を基準とした対称位置に配置され、前記対応内周縁部は、前記各最大外周縁部の位置に対応して複数配置されたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第4の側面によれば、前記回動軸は、その軸方向において前記被保持部に隣接し且つ当該被保持部よりも他端側の位置に形成された拡径部(29)を有し、当該拡径部は、径方向において前記被保持部の前記最大外周縁部よりも外側に突出していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第5の側面によれば、前記回動部材は、前記軸受部材と係合可能な係合部(26)を有し、前記軸受部材は、前記係合部との係合により当該回動部材の回動動作を前記所定の回動範囲内に規制する対応係合部(38)を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第6の側面によれば、前記回動部材と前記軸受部材とは、前記回動軸が前記少なくとも一方の軸受開口部内に保持された状態で仮組可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明の第1の側面によれば、成形品からなる2つの部材(回動部材および軸受部材)に関し、一方(回動部材)に設けられた回動軸の両側を他方(軸受部材)に設けられた一対の軸受開口部に支持させる構成において、回動軸が所定の回動範囲内にある場合には、最大外周縁部と対応内周縁部との少なくとも一部が互いに摺接する一方、回動軸が所定の回動範囲外にある場合には、回動軸の外周縁と軸受開口部の内周縁との間に間隙が生じる。したがって、回動軸を所定の回動範囲内で回動させることにより、回動部材の回動動作の精度を良好に確保することができる一方、回動軸が所定の回動範囲外にある状態で成形を行うことにより、2つの部材を同じ金型内で同時に成形することが可能となるという優れた効果を奏する。
また、上記本発明の第2の側面によれば、回動軸および軸受開口部の構造が簡易となると共に、回動軸を所定の回動範囲内でより高精度に回動させることが可能となる。
また、上記本発明の第3の側面によれば、回動軸および軸受開口部の構造が簡易となると共に、回動軸の回動動作の精度を良好に確保することができる回動範囲をより広く確保することが可能となる。
また、上記本発明の第4の側面によれば、軸受開口部の端面に拡径部を当接させることにより、回動軸の軸方向への移動(ガタツキ)を規制することが可能となる。
また、上記本発明の第5の側面によれば、回動軸の回動動作が所定の回動範囲内に確実に制限され、その回動動作の精度を良好に確保することができる。
また、上記本発明の第6の側面によれば、回動軸が所定の回動範囲外にある状態において成形を行うことが容易となり、また、成形後の組み立て作業も簡易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係る軸支持構造を備えたカップホルダの一部分解斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るカップホルダの容器保持機構周辺を示す図である。
【図3】第1実施形態に係るフラップ部材の斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る軸受部材を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態に係るフラップ部材の動作説明図である。
【図6】第1実施形態に係るカップホルダにおける回動時(飲料容器収容時)のフラップの回動状態を示す斜視図である。
【図7】第1実施形態に係るカップホルダの成形時における要部の状態を示す側面図である。
【図8】第1実施形態に係るカップホルダの成形時における要部の状態を示す斜視図である。
【図9】第2実施形態に係るカップホルダの要部の斜視図である。
【図10】第2実施形態に係るカップホルダの要部の正面図である。
【図11】第2実施形態に係るフラップ部材の容器保持機構周辺を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る軸支持構造をカップホルダに適用した例について説明する。このカップホルダは、例えば、乗用車の運転席と前部客席との間に設けられたセンタコンソールボックスに設置することができる。
【0017】
<第1実施形態>
図1及び図2に示すように、第1実施形態に係るカップホルダ1は、2つの容器収容部2が並設された合成樹脂製のホルダ本体3と、各容器収容部2に対応して設けられた2対(4つ)の容器保持機構4とを主として備える 容器収容部2は、有底円筒状をなし、上部開口から挿入された飲料缶やペットボトル等の容器を収容可能である。ここで、容器保持機構4の各々は、互いに配置が異なることを除けばそれそれ同一または左右対称の構造を有しており、以下では、それらを区別することなく詳細を説明する。
【0018】
容器保持機構4は、容器収容部2の外側(他方の容器収容部2から離間した側)の周壁に配置されている。容器保持機構4は、容器収容部2の開口5から内側に向けて出没自在に設けられると共に、飲料缶等(図示せず)を容器収容部2の内側の周壁に向けて押圧する合成樹脂製のフラップ11と、ホルダ本体3から互いに対峙するように側方に突設され、フラップ11を回動自在に支持する左右一対の軸受部材12,13と、フラップ11を容器収容部2の内側に向けて付勢する金属製の捩りコイルばね14とを備える。
【0019】
フラップ11は、図3に示すように、飲料缶等の周面に当接可能な凸曲面状をなす底壁21と、この底壁21の両側縁にそれぞれ連なると共に、互いに平行に配置された左右の側壁22,23とを有するバケット様の形状を呈している。左側壁22および右側壁23の上部からは、互いに同軸上に配置された左右一対の回動軸24,25がそれぞれ左右方向に突設されている。また、右側壁23の上下方向の中間部には、右回動軸25と平行に回動規制ピン26が突設されている。
【0020】
左回動軸24は、円柱状をなし、その周囲には、左軸受部材12(第1支持壁31)に当接してフラップ11のガタツキを防止する環状凸部27が形成されている。また、右回動軸25は、上下方向に延びる縦長の非円形状の断面を有し、その先端から基端側に向けて右回動軸25を上下に分離するように切り込まれたスリット28が形成されている。また、右回動軸25の基端側には、その径方向(上下方向)に拡径された拡径部29が形成されている。右回動軸25は、拡径部29を除いて、詳細を後述する被保持部位37よりも先端側においては、被保持部位37と同一またはより小さい外形(先細り状の外形)を有している。
【0021】
左軸受部材12は、下面が開放された略直方体状を呈しており、図4に示すように、その内側(右軸受部材13側)において上下方向に延在する縦壁である第1支持壁31を有している。この第1支持壁31には、フラップ11の左回動軸24(図3参照)が挿入される左軸受開口部32が形成されている。左軸受開口部32は、左回動軸24の外径と略同一の内径を有している。また、第1支持壁31は、左軸受開口部32の中心より下側が突き出た段差31aを有しており、これにより、左回動軸24の左軸受開口部32への挿入が容易となっている。
【0022】
また、右軸受部材13は、右面が開放された略直方体状を呈しており、左軸受部材12の第1支持壁31に対向する第2支持壁35を有している。この第2支持壁35には、フラップ11の右回動軸25が挿入される右軸受開口部36が形成されている。右軸受開口部36は、前後方向に延在する非円形状の長孔であり、後述するように、フラップ11(右回動軸25)の回動位置に応じて、右回動軸25の保持状態が変化する。右軸受開口部36は、第2支持壁35において厚肉化された部位に形成されており、右回動軸25においてスリット28の先端と拡径部29との間に位置する被保持部位37(図3参照)を保持する。また、第2支持壁35における右軸受開口部36の下方には、下向きに凸の円弧状をなす回動規制孔38が形成されている。この回動規制孔38にはフラップ11の回動規制ピン26(図3参照)が挿入される。
【0023】
捩りコイルばね14は、図2に示したように、コイル部40の一側のアーム41がその中心を横切るように折り曲げられていると共に、コイル部40の他側から直線状のアーム42が延設されている。捩りコイルばね14は、そのコイル部40に右回動軸25が挿入され、アーム41がスリット28に挟持される。また、折り曲げられたアーム42の先端部42aは、右軸受部材13の底壁43に形成されたL字状のスリット44に挿入された状態で係止される。
【0024】
この捩りコイルばね14により、フラップ11は、容器収容部2の内側に向けて付勢され、図5(A)に示す初期状態に保持される。このとき、フラップ11の回動規制ピン26が、回動規制孔38の前端に当接することにより、フラップ11の進出側への回動限界(最大進出位置)が規定される。
【0025】
一方、容器収容部2に飲料缶等が挿入されると、フラップ11は、図5(B)および図6に示すように、捩りコイルばね14の付勢力に抗して容器収容部2の外側に向けて押圧されて後退する。このとき、フラップ11の回動規制ピン26が、回動規制孔38の後端に当接することにより、フラップ11の後退側への回動限界(最大後退位置)が規定される。
【0026】
図5に示すように、右回動軸25は、縦長の断面を有する被保持部位37の長手方向の両端縁に円弧部が設けられている。より詳細には、右回動軸25は、少なくとも右軸受開口部36内に保持される被保持部位37の断面が、その回動中心Cからの距離が最大となり且つ互いに周方向に離間して配置された外周縁部である2つの円弧状の最大外周縁部51,52を有する。また、長孔状の右軸受開口部36は、その短手方向の両端縁に円弧部が設けられている。より詳細には、右軸受開口部36は、右回動軸25を保持した状態におけるその回動中心Cからの距離が最小となり且つ最大外周縁部51,52の位置に対応してそれぞれ配置された内周縁部である2つの円弧状の最小内周縁部53,54を有する。
【0027】
このような軸支持構造により、右回動軸25が右軸受開口部36内に保持された状態では、回動中心Cから最大外周縁部51,52までの距離と、回動中心Cから最小内周縁部53,54までの距離とが実質的に同一となる。つまり、右回動軸25が所定の回動範囲内にある場合には、右回動軸25(フラップ11)の径方向のガタツキが防止され、その回動動作の精度を良好に確保することができる。ここで、所定の回動範囲とは、本実施形態では、図5(A)に示す回動位置と図5(B)に示す回動位置との間の範囲となるが、より厳密には、最大外周縁部51と最小内周縁部53との少なくとも一部が摺接し、且つ最大外周縁部52と最小内周縁部54との少なくとも一部が摺接する右回動軸25の回動位置の範囲である。なお、本実施形態では、左回動軸24は、左軸受開口部32にガタなく嵌入されているため、右回動軸25が回動範囲に拘わらず、フラップ11の回動動作の精度に悪影響を与えることはない。
【0028】
最大外周縁部51,52と最小内周縁部53,54とは、少なくとも回動中心Cからの距離が同一である限りにおいて、種々の形状をとることが可能である。本実施形態では、最大外周縁部51,52と最小内周縁部53,54とは、互いに同一の曲率を有する円弧状の形状を有することにより、右回動軸25および右軸受開口部36の構造が簡易となると共に、右回動軸25を所定の回動範囲内でより高精度に回動させることが可能となっている。
【0029】
また、最大外周縁部51,52(最小内周縁部53,54についても同様)の各々は、互いに周方向に離間された状態で回動中心Cを基準とした対称位置に配置されている。これにより、右回動軸25の回動動作の精度を良好に確保することができる回動範囲をより広く確保することが可能となる。なお、本実施形態では、2つの最大外周縁部51,52を設けた例を示したが、これに限らず、最大外周縁部51,52の数は適宜変更することができる(最小内周縁部53,54についても同様)。例えば、最大外周縁部51,52は、より円弧の短い複数の外周縁部でそれぞれ構成されていてもよい。
【0030】
また、左回動軸24の周囲には、左軸受開口部32よりも大きな径を有する環状凸部27が形成される一方、右回動軸25は、径方向において被保持部位37の最大外周縁部51,52よりも外側に突出している拡径部29を有する。これにより、環状凸部27および拡径部29が、左軸受開口部32の端面(第1支持壁31の表面)および右軸受開口部36の端面(第2支持壁35の表面)それぞれ当接することにより、フラップ11の軸方向への移動が規制されている(すなわち、第1支持壁31および第2支持壁35の間における軸方向のガタツキが防止される)。
【0031】
また、回動規制ピン26と回動規制孔38との係合により、右回動軸25の回動動作が所定の回動範囲内に確実に制限され、その回動動作の精度を良好に確保することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、フラップ11の回動軸を2本の回動軸(左回動軸24、右回動軸25)で構成したが、これらが1本の回動軸として一体に構成することも可能である。また、左回動軸24および左軸受開口部32を、右回動軸25および右軸受開口部36とそれぞれ同様の構造としてもよい。さらに、右軸受開口部36は、少なくとも上述のような最小内周縁部53,54を有する限りにおいて、必ずしも閉じた開口でなくてもよく、例えば、図7に2点鎖線で示すように、少なくとも一部が開放されたスリット状等でもよい。
【0033】
上記構成のカップホルダ1において、左右の軸受部材12,13(ここでは、ホルダ本体3と一体をなす)およびフラップ11は、図7および図8に示すように、右回動軸25が右軸受開口部36に遊嵌された仮組状態で合成樹脂の射出成形によって製作される。このとき、左回動軸24および回動規制ピン26は、それぞれ左軸受開口部32および回動規制孔38から外れた状態にある。また、フラップ11(右回動軸25)の回動位置は、上述の所定の回動範囲外にあり、図7に示す側面視において、右回動軸25の周囲(少なくとも被保持部位37の外周縁(ここでは、拡径部29の外周縁も含む)と右軸受開口部36の内周縁との間)には間隙Gが生じている。
【0034】
これにより、射出成形に用いる金型に関し、例えば、軸受部材12,13の下側に固定型を配置する一方、軸の上側に可動型を配置し、更に、右軸受部材13の右方から右回動軸25に平行に移動可能なスライダを配置することにより、ホルダ本体3およびフラップ11を同じ金型内で同時に射出成形することが可能である。この場合、スライダを間隙G(本実施形態では、右回動軸25の周囲に一定の大きさで形成される隙間)に挿入することにより、右軸受開口部36と離間させた状態で右回動軸25を成形することが可能となる。また、成形後の軸受部材12,13とフラップ11とは仮組状態にあるため、作業者は、容器保持機構4の組み立てが容易である。
【0035】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るカップホルダについて、図9〜図11を参照して説明する。図9〜図11では、第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号が付されている。また、第2実施形態では、第1の実施形態と同様の事項については、以下で特に言及する事項を除いて詳細な説明を省略する。
【0036】
第2実施形態に係るカップホルダ1は、フラップ11を付勢する捩りコイルばね14の構成と、右回動軸25の構成とが第1実施形態の場合とは異なる。捩りコイルばね14は、図9および図10に示すように、2つのコイル部40,40が直列に接続されたダブルトーション形を有している。捩りコイルばね14は、2つのコイル部40,40がフラップ11における左右の側壁22,23の間に保持されると共に、両コイル部40,40間を連結する連結部61が、フラップ11の底壁21の内面に設けられた係止片62に係止されている。また、捩りコイルばね14の両アーム41,42は、コイル部40の軸方向と平行に延設され、折り曲げられたそれらの先端部が、左右の軸受部材12,13に形成された固定部63,64に取り付けられている。
【0037】
また、図11に示すように、右回動軸25は、第1実施形態の場合と同様の被保持部位37を有するが、捩りコイルばね14を固定するためのスリット28(図3参照)が省略され、より短い形状を有している。
【0038】
本発明を特定の実施形態に基づいて詳細に説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。本発明に係る軸支持構造は、上述のカップホルダのみならず、少なくとも回動軸を支持するための軸支持構造を有し、成形品からなる2つの部材を有する限りにおいて、種々の用途(例えば、パイプクランプ、小物入れの蓋部、グローブボックスのヒンジ部等)に利用可能である。また、部材の材質は、樹脂に限らず金属等でもよく、成型方法についても射出成形に限らずダイカスト等を適用することも可能である。また、上記実施形態に示した本発明に係る軸支持構造の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて選択的に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 カップホルダ
2 容器収容部
3 ホルダ本体
4 容器保持機構
11 フラップ(回動部材)
12 左軸受部材
13 右軸受部材
14 捩りコイルばね
24 右回動軸
25 左回動軸
26 回動規制ピン(係合部)
32 左軸受開口部
36 右軸受開口部
37 被保持部位
38 回動規制孔(対応係合部)
51,52 最大外周縁部
53,54 最小内周縁部(対応内周縁部)
C 回動中心
G 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型成形品である回動部材および軸受部材に関し、当該回動部材に設けられた回動軸を当該軸受部材に設けられた一対の軸受開口部に支持させるための軸支持構造であって、
前記回動軸は、少なくとも一方の前記軸受開口部内に保持される被保持部の断面が、非円形状をなすと共に、その回動中心からの距離が最大となり且つ互いに周方向に離間して配置された複数の最大外周縁部を有し、
前記少なくとも一方の軸受開口部は、非円形状をなすと共に、前記最大外周縁部の位置に対応して配置された複数の対応内周縁部を有し、
前記回動軸が前記少なくとも一方の軸受開口部内に保持された状態において、前記回動中心から前記最大外周縁部までの距離と、前記回動中心から前記対応内周縁部までの距離とが同一となり、前記回動軸が所定の回動範囲内にある場合にのみ、前記最大外周縁部と前記対応内周縁部との少なくとも一部が互いに摺接することを特徴とする軸支持構造。
【請求項2】
前記最大外周縁部と前記対応内周縁部とは、互いに同一の曲率を有する円弧状を呈することを特徴とする請求項1に記載の軸支持構造。
【請求項3】
前記最大外周縁部の各々は、互いに周方向に離間された状態で前記回動中心を基準とした対称位置に配置され、
前記対応内周縁部は、前記各最大外周縁部の位置に対応して複数配置されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の軸支持構造。
【請求項4】
前記回動軸は、その軸方向において前記被保持部に隣接し且つ当該被保持部よりも他端側の位置に形成された拡径部を有し、当該拡径部は、径方向において前記被保持部の前記最大外周縁部よりも外側に突出していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の軸支持構造。
【請求項5】
前記回動部材は、前記軸受部材と係合可能な係合部を有し、
前記軸受部材は、前記係合部との係合により当該回動部材の回動動作を前記所定の回動範囲内に規制する対応係合部を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の軸支持構造。
【請求項6】
前記回動部材と前記軸受部材とは、前記回動軸が前記少なくとも一方の軸受開口部内に保持された状態で仮組可能であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の軸支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−185301(P2011−185301A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48265(P2010−48265)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】