軸流ファン
【課題】従来の軸流ファンにおいては、羽根の圧力面側において外周縁部方向に流れる気流の一部がリブを乗り越えて負圧面側へ向かうため、発生した翼端渦と負圧面側を流れる気流との干渉を原因とする騒音を十分に小さくできないという課題があった。
【解決手段】羽根3の圧力面3d側において、ボス2側から羽根3の外周縁部3cに向かって階段状に高くなる段差部4が、羽根3の前縁部3aから後縁部3bにわたって、かつ外周縁部3cに沿うように一体に形成されているので、段差部4を乗り越えて外周縁部方向に流れる気流を減少させる。その結果、圧力面3dから負圧面3eへ流れる気流を減らして負圧面側を流れる気流との干渉をなくし、騒音を小さくすることができる。
【解決手段】羽根3の圧力面3d側において、ボス2側から羽根3の外周縁部3cに向かって階段状に高くなる段差部4が、羽根3の前縁部3aから後縁部3bにわたって、かつ外周縁部3cに沿うように一体に形成されているので、段差部4を乗り越えて外周縁部方向に流れる気流を減少させる。その結果、圧力面3dから負圧面3eへ流れる気流を減らして負圧面側を流れる気流との干渉をなくし、騒音を小さくすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機、換気扇等に用いられる軸流ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に空気調和機、換気扇等に用いられる軸流ファンは、モータに連結されるボスと、このボスの外周に放射状に設けられた複数の羽根とからなる羽根車と、この羽根車の外周に配設されたベルマウスとを備える構成となっている。
【0003】
上記構成の軸流ファンにおいて、モータの駆動により羽根車が回転すると、羽根30の表面上にその前縁部30aから後縁部30bに向かって流れる気流が生じる。この気流の一部は、図12に示すように、羽根車の回転による遠心力を受けて、羽根30の外周縁部30cの方向へと流れを変え、その結果、羽根30の圧力面30d側に生じる気流はその外周縁部30cを越えて羽根30の負圧面30e側へと流れて翼端渦を生じさせる。図13、図14に示すように、この翼端渦は負圧面30e側の気流と干渉し、羽根30の後縁部30bに向かうにつれて除々に成長増大する。そして、やがては羽根30の外周に配置されたベルマウス50と衝突し、騒音を発生させていた。
【0004】
そこで、その騒音を発生させる要因である翼端渦の発生を抑制するため、羽根の圧力面の後縁部近傍において圧力面から負圧面への気流の流れを抑制するためのリブを形成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−19576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の軸流ファンにおいては、羽根の圧力面にて外周縁部の方向に流れる気流の一部は形成されたリブを乗り越えて負圧面側へ向かうため、負圧面側へ流れ込む気流を減らせず、翼端渦の成長増大を十分に抑制できないという課題があった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、翼端渦の成長増大を抑制し騒音を低減する軸流ファンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の軸流ファンは、ボスの外周に複数の羽根を設けた羽根車と、この羽根車の外周に配設されたベルマウスとを備えた軸流ファンであって、前記各羽根の面の外周縁部近傍に前記ボス側から前記外周縁部に向かって階段状に高くなる段差部を一体に設け、この段差部の各段差壁面を前記羽根の外周縁部と並行になるよう配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成された軸流ファンは、羽根の外周縁部に向かう気流を減らし、翼端渦の成長増大を抑制して騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る軸流ファンの正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】実施の形態1に係る軸流ファンの羽根の圧力面の気流の流れを示す図である。
【図5】実施の形態1に係る軸流ファンの変形例の断面図である。
【図6】実施の形態1に係る軸流ファンの変形例の断面図である。
【図7】実施の形態1に係る軸流ファンの変形例の正面図である。
【図8】実施の形態2に係る軸流ファンの背面図である。
【図9】図8のG−G断面図である。
【図10】実施の形態2に係る軸流ファンの変形例の断面図である。
【図11】実施の形態3に係る軸流ファンの断面図である。
【図12】従来の軸流ファンにおける羽根の外周方向へ流れる気流を表した図である。
【図13】従来の軸流ファンの断面図である。
【図14】従来の軸流ファンにおける翼端渦の状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下図面を用いて本発明の実施の形態1を説明する。図1は実施の形態1に係る軸流ファンの正面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図で、図4は実施の形態1に係る軸流ファンの羽根の圧力面の気流の流れを示す図、図5は実施の形態1に係る軸流ファンの変形例の正面図、図6は実施の形態1に係る軸流ファンの変形例の断面図、図7は実施の形態1に係る軸流ファンの変形例の断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る軸流ファンは、羽根車1と、この羽根車1の外周側に所定幅の隙間を置いて配設されたベルマウス5とを備えている。羽根車1は、合成樹脂製のボス2と、このボス2の外周に放射状に一体に形成されるとともに、回転方向に沿って曲面状に形成された薄板状の3枚の羽根3とを有し、ボス2は図示しないモータの回転軸に連結される。なお、本実施の形態では羽根3が3枚の例を示しているが、羽根はこの枚数に限定されるものではなく、また、ボスとは必ずしも一体に形成されていなくてもよい。以下の実施の形態についても同様である。
【0013】
各羽根3の圧力面3dの外周縁部30c近傍には、図2に示すように、ボス2側から羽根3の外周縁部3cに向かって段階的に高くなるような階段状の段差部4が、羽根3の前縁部3aから後縁部3bにわたって、外周縁部3cに沿うように一体に形成されている。段差部4は、各羽根3の圧力面30dから垂直方向で、且つ羽根3の外周縁部30cに対し並行に延在する複数の段差壁面4aと、これら各段差壁面4aをつなぐ段差平面4bとから構成される。段差部4は、羽根3の圧力面3dから負圧面3eへ流れる気流を抑制するために所定の高さに形成され、その段数、すなわち各段差壁面4aの高さは任意に決めればよい。さらに、段差部4は、図3に示すように、羽根3の圧力面3dの曲面に沿って凹状に湾曲しており、羽根3の後縁部3b付近を圧力面側方向に曲げた構成となっている。
【0014】
図1〜図4を用いて実施の形態1に係る軸流ファンの動作について説明する。図示しないモータが駆動して羽根車1がC方向に回転すると、羽根3の圧力面3dに沿って流れる気流Fの一部は遠心力で羽根3の外周縁部3cの方向に流れる。この気流Fの一部は、まず圧力面3dに最も近い位置にある第1の段差壁面4aに当たり、この段差壁面4aと圧力面3dに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れる。そして、この第1の段差壁面4aを乗り越えてさらに外周縁部4cの方向へと流れる気流Fは、第1の段差壁面4aの上部に位置する第2の段差部4の段差壁面4aに当たり、その段差壁面4aと第1の段差部4の段差平面4bに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。各段差壁面4aを乗り越えた気流Fは、以下同様に上部に位置する段差部4の段差壁面4aと段差平面4bに案内されて、羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。その結果、気流Fの大部分は羽根3の後縁部3bの方向に流れ、羽根3の外周縁部3cを越えて負圧面3eへ流れる気流Fは少なくなるので、翼端渦の発生を抑制することができる。
【0015】
特に、段差部4はボス2側から羽根3の外周縁部3cに向かい段階的に高くなるように形成された階段状、すなわち複数段となっているので、羽根3の外周縁部3c方向へ気流Fが勢いよく流れても、その勢いは段差部4によって除々に弱められ、気流Fは段差部4を乗り越えにくくなる。
【0016】
以上のように、本実施の形態に係る軸流ファンによれば、羽根3の圧力面3d側において、ボス2側から羽根3の外周縁部3cの方向へ段階的に高くなるような階段状の段差部4が、羽根3の前縁部3aから後縁部3bにわたって、外周縁部3cに沿うように一体に形成されているので、外周縁部3cから負圧面3e側に流れる気流Fを著しく減少させることができる。そのため、負圧面3e側を流れる気流との干渉が小さくなるので、負圧面3eにおける翼端渦の成長増大が抑えられ、騒音を低減することができる。
【0017】
また、段差部4は、羽根3の曲面に沿って凹状に湾曲しており、羽根3の後縁部3b付近は圧力面側方向に曲げられた構成である場合は、段差部4の段差壁面4aに沿って前縁部3aから後縁部3bに向かって流れる気流Fを下流側方向に流出させやすくなるので、軸流ファンとしての送風性能を向上させることが可能となる。
【0018】
なお、図5に示すように、段差部4は、段差部4の段差壁面4aと圧力面3d、または段差壁面4aと段差平面4bとのなす角が鋭角になるように、段差壁面4aをボス2に向けて傾斜させて形成してもよい。そうすることにより、気流Fは上述した構成よりも一層段差部4を乗り越えにくくなるので、外周縁部3cから負圧面3eへ流れ込む気流をさらに減少させて翼端渦の発達を抑え、騒音を低減することができる。
【0019】
また、図6に示すように、段差部4は、段差平面4bに前記羽根3の外周縁部3cに沿うよう前縁部3aから後縁部3bにわたって凹部4cを形成するとともに、この凹部4cの一つの壁面が前記段差壁面4aと面一になるよう形成されていてもよい。図6では、第1の段差部4の段差平面4bと第2の段差部4の段差平面4bとに凹部4cが設けられている。そうすることにより、第1の段差壁面4aを乗り越えた気流Fは、段差平面4bに設けられた凹部4cにより羽根3の後縁部3bの方向へと流されやすくなる。第2の段差壁面4a以降も同様である。そのため、外周縁部3c方向への気流Fの流れがより一層抑制されるので、翼端渦の成長増大が抑えられ、騒音をより低減することができる。
【0020】
また、図7に示すように、段差部4は、羽根3の外周縁部3cであって、前縁部3a近傍にのみ設けられていてもよい。前縁部3a近傍にのみ設けることにより前縁部3a近傍で圧力面3dから負圧面3eへの気流Fの流れ込みを抑制し、負圧面3eの前縁部3a付近で発生する翼端渦を渦の発生初期の段階で抑制できる。そのため、翼端渦の成長増大を効果的に妨げることができ、騒音の低減が可能となる。
【0021】
実施の形態2.
以下図面を用いて実施の形態2について説明する。図8は実施の形態2に係る軸流ファンの背面図、図9は図8のG−G断面図、図10は実施の形態2に係る軸流ファンの変形例の断面図である。実施の形態1と同一の構成については図1、2と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0022】
図8、9に示すように、本実施の形態においては、羽根3の負圧面3eに、ボス2側から羽根3の外周縁部3cの方向へ段階的に高くなるような階段状の段差部6が、羽根3の前縁部3aから後縁部3bのわたって、外周縁部3cに沿うように一体に形成されている。また段差部6は、羽根3の負圧面3eの曲面に沿って凸状に湾曲しており、羽根3の後縁部3b付近を圧力面側方向に曲げた構成となっている。
【0023】
図8、9を用いて実施の形態2に係る軸流ファンの動作について説明する。図示しないモータが駆動して羽根車1がC’方向に回転すると、羽根3の圧力面3d側を流れる気流Iの一部と、羽根3の負圧面3e側を流れる気流Jの一部はそれぞれ、羽根車1の回転による遠心力によって、羽根3の外周縁部3cの方向へ流れる。
【0024】
まず圧力面3d側における気流Iの流れについて説明する。圧力面3d側においては、段差部は設けられておらず、気流Iの一部は段差部に妨げられることなく外周縁部3c方向へ流され、圧力面3dから負圧面3eへ流れ込み翼端渦を発生させる。
【0025】
次に負圧面3e側における気流Jの流れについて説明する。この気流Jの一部は、まず負圧面3eから最も近い位置にある第1の段差壁面6aに当たり、この段差壁面6aと負圧面3eに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れる。そして、この第1の段差壁面6aを乗り越えてさらに外周縁部3cの方向へと流れる気流Fは、第1の段差壁面6aの上部に位置する第2の段差部6の段差壁面6aに当たり、その段差壁面6aと第1の段差部6の段差平面6bに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。各段差壁面6aを乗り越えた気流Jは、以下同様に上部に位置する段差部6の段差壁面6aと段差平面6bに案内されて、羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。結果として、気流Jの大部分は羽根3の後縁部3bの方向に流れるので、羽根3の外周縁部3cを越えて圧力面3dからの気流を要因とする翼端渦と干渉する気流Jが少なくなり、翼端渦の成長増大を抑制することができる。
【0026】
特に、段差部6はボス2側から羽根3の外周縁部3cに向かい段階的に高くなるように形成された階段状、すなわち複数段となっているので、羽根3の外周縁部3c方向へ気流Jが勢いよく流れても、その勢いは段差部6によって除々に弱められ、結果として、気流Jは段差部6を乗り越えにくくなる。
【0027】
本実施の形態においては、羽根3の圧力面3dから負圧面3eへ流れ込む気流Iは減少しない。したがって、負圧面3eで発生する翼端渦は小さくならない。しかしながら、負圧面3eには段差部6が設けられているため、羽根3の負圧面3eにおける羽根3の外周縁部3c方向への流れを妨げ、気流Iを原因とする翼端渦と、気流Jとの干渉を小さくし、結果として翼端渦の成長増大を抑制し騒音の低減が可能となる。特に翼端渦の成長増大は、圧力面3dから負圧面3eへ流れ込む気流Iの影響もさることながら、負圧面3eにおける羽根3の外周方向へ流れる気流Jとの干渉も大きな要因であるため、本実施の形態のように負圧面3eにおける羽根3の外周方向へ流れる気流Jを減少させるのは翼端渦の成長増大防止という観点から有効である。
【0028】
以上のように、本実施の形態に係る軸流ファンによれば、羽根3の負圧面3eに、ボス2側から羽根3の外周縁部3cの方向へ段階的に高くなるような階段状の段差部6が、羽根3の前縁部3aから後縁部3bにわたって、外周縁部3cに沿うように一体に形成されているので、段差部6を乗り越えて外周方向に流れる気流Jを減らし、気流Iによる翼端渦との干渉を小さくする。その結果、翼端渦の成長増大が抑制されるので、騒音を低減することができる。
【0029】
なお、図10に示すように、羽根3の外周縁部3cの形状を、負圧面3eの向きに屈曲させて形成してもよい。そうすることにより、羽根3とベルマウス5との隙間が大きくなるので、圧力変動が小さくなり、騒音を減少させることが可能となる。
【0030】
なお、実施の形態1で説明した図5〜7で示す段差部4の構成については、本実施の形態の段差部6にも適用可能であり、上述した同様の効果を奏する。
【0031】
実施の形態3.
以下図面を用いて実施の形態3について説明する。図11は実施の形態3に係る軸流ファンの断面図である。実施の形態1、2と同一の構成については図1、2、8、9と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
図11に示すように、本実施の形態においては、羽根3の圧力面3dと負圧面3eの両方に、ボス2側から羽根3の外周縁部3cの方向へ段階的に高くなるような階段状の段差部4、6が、羽根3の前縁部3aから後縁部3bにわたって、外周縁部3cに沿うように一体に形成されている。段差部4、6の構成はそれぞれ実施の形態1、実施の形態2で説明した構成と同様であるのでその説明を省略する。なお、圧力面3dの段差部4と、負圧面3eの段差部6とは、羽根3に対し対称な形状になるよう形成することが好ましい。
【0033】
図11を用いて実施の形態3に係る軸流ファンの動作について説明する。羽根車1が回転すると、羽根3の圧力面3d側を流れる気流Kと、羽根3の負圧面3e側を流れる気流Lとはそれぞれ、羽根車1の回転による遠心力によって、羽根3の外周縁部3cの方向へ流れようとする。
【0034】
まず圧力面3d側における気流Kの流れについて説明する。この気流Kの一部は、まず圧力面3dから最も近い位置にある第1の段差壁面4aに当たり、この段差壁面4aと圧力面3dに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れる。そして、この第1の段差壁面4aを乗り越えてさらに外周縁部4cの方向へと流れる気流Kは、第1の段差壁面4aの上部に位置する第2の段差部4の段差壁面4aに当たり、その段差壁面4aと第1の段差部4の段差平面4bに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。各段差壁面4aを乗り越えた気流Kは、以下同様に上部に位置する段差部4の段差壁面4aと段差平面4bに案内されて、羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。結果として、気流Kの大部分は羽根3の後縁部3bの方向に流れるので、羽根3の外周縁部3cを越えて負圧面3eへ流れる気流Kは少なくなり、翼端渦の発生を抑制することができる。
【0035】
次に負圧面3e側における気流Lの流れについて説明する。この気流Lの一部は、まず負圧面3eから最も近い位置にある第1の段差壁面6aに当たり、この段差壁面6aと負圧面3eに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れる。そして、この第1の段差壁面6aを乗り越えてさらに外周縁部3cの方向へと流れる気流Lは、第1の段差壁面6aの上部に位置する第2の段差部6の段差壁面6aに当たり、その段差壁面6aと第1の段差部6の段差平面6bに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。各段差壁面6aを乗り越えた気流Lは、以下同様に上部に位置する段差部6の段差壁面6aと段差平面6bに案内されて、羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。結果として、気流Lの大部分は羽根3の後縁部3bの方向に流れるので、羽根3の外周縁部3cを越えて圧力面3dからの気流を要因とする翼端渦と干渉する気流Lは少なくなり、翼端渦の成長増大を抑制することができる。
【0036】
以上のように、本実施の形態に係る軸流ファンによれば、羽根3の圧力面3dと負圧面3eの両方に段差部4、6がそれぞれ設けられているので、圧力面3dから負圧面3eへの気流Kの減少により負圧面3eで発生する翼端渦を小さくするとともに、負圧面3eでの外周縁部3c方向への気流Lを減らし、負圧面3eにおける翼端渦と気流Lとの干渉を小さくして翼端渦の成長増大を妨げ、騒音を低減することができる。
【0037】
なお、実施の形態1で説明した図5〜7で示す段差部4の構成は、本実施の形態の段差部4、段差部6にも適用可能であり、上述した同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0038】
1 羽根車
2 ボス
3 羽根
3a 前縁部
3b 後縁部
3c 外周縁部
3d 圧力面
3e 負圧面
4、6 段差部
4a、6a 段差壁面
4b、6b 段差平面
4c 凸部
5 ベルマウス
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機、換気扇等に用いられる軸流ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に空気調和機、換気扇等に用いられる軸流ファンは、モータに連結されるボスと、このボスの外周に放射状に設けられた複数の羽根とからなる羽根車と、この羽根車の外周に配設されたベルマウスとを備える構成となっている。
【0003】
上記構成の軸流ファンにおいて、モータの駆動により羽根車が回転すると、羽根30の表面上にその前縁部30aから後縁部30bに向かって流れる気流が生じる。この気流の一部は、図12に示すように、羽根車の回転による遠心力を受けて、羽根30の外周縁部30cの方向へと流れを変え、その結果、羽根30の圧力面30d側に生じる気流はその外周縁部30cを越えて羽根30の負圧面30e側へと流れて翼端渦を生じさせる。図13、図14に示すように、この翼端渦は負圧面30e側の気流と干渉し、羽根30の後縁部30bに向かうにつれて除々に成長増大する。そして、やがては羽根30の外周に配置されたベルマウス50と衝突し、騒音を発生させていた。
【0004】
そこで、その騒音を発生させる要因である翼端渦の発生を抑制するため、羽根の圧力面の後縁部近傍において圧力面から負圧面への気流の流れを抑制するためのリブを形成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−19576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の軸流ファンにおいては、羽根の圧力面にて外周縁部の方向に流れる気流の一部は形成されたリブを乗り越えて負圧面側へ向かうため、負圧面側へ流れ込む気流を減らせず、翼端渦の成長増大を十分に抑制できないという課題があった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、翼端渦の成長増大を抑制し騒音を低減する軸流ファンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の軸流ファンは、ボスの外周に複数の羽根を設けた羽根車と、この羽根車の外周に配設されたベルマウスとを備えた軸流ファンであって、前記各羽根の面の外周縁部近傍に前記ボス側から前記外周縁部に向かって階段状に高くなる段差部を一体に設け、この段差部の各段差壁面を前記羽根の外周縁部と並行になるよう配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成された軸流ファンは、羽根の外周縁部に向かう気流を減らし、翼端渦の成長増大を抑制して騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る軸流ファンの正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】実施の形態1に係る軸流ファンの羽根の圧力面の気流の流れを示す図である。
【図5】実施の形態1に係る軸流ファンの変形例の断面図である。
【図6】実施の形態1に係る軸流ファンの変形例の断面図である。
【図7】実施の形態1に係る軸流ファンの変形例の正面図である。
【図8】実施の形態2に係る軸流ファンの背面図である。
【図9】図8のG−G断面図である。
【図10】実施の形態2に係る軸流ファンの変形例の断面図である。
【図11】実施の形態3に係る軸流ファンの断面図である。
【図12】従来の軸流ファンにおける羽根の外周方向へ流れる気流を表した図である。
【図13】従来の軸流ファンの断面図である。
【図14】従来の軸流ファンにおける翼端渦の状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下図面を用いて本発明の実施の形態1を説明する。図1は実施の形態1に係る軸流ファンの正面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図で、図4は実施の形態1に係る軸流ファンの羽根の圧力面の気流の流れを示す図、図5は実施の形態1に係る軸流ファンの変形例の正面図、図6は実施の形態1に係る軸流ファンの変形例の断面図、図7は実施の形態1に係る軸流ファンの変形例の断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る軸流ファンは、羽根車1と、この羽根車1の外周側に所定幅の隙間を置いて配設されたベルマウス5とを備えている。羽根車1は、合成樹脂製のボス2と、このボス2の外周に放射状に一体に形成されるとともに、回転方向に沿って曲面状に形成された薄板状の3枚の羽根3とを有し、ボス2は図示しないモータの回転軸に連結される。なお、本実施の形態では羽根3が3枚の例を示しているが、羽根はこの枚数に限定されるものではなく、また、ボスとは必ずしも一体に形成されていなくてもよい。以下の実施の形態についても同様である。
【0013】
各羽根3の圧力面3dの外周縁部30c近傍には、図2に示すように、ボス2側から羽根3の外周縁部3cに向かって段階的に高くなるような階段状の段差部4が、羽根3の前縁部3aから後縁部3bにわたって、外周縁部3cに沿うように一体に形成されている。段差部4は、各羽根3の圧力面30dから垂直方向で、且つ羽根3の外周縁部30cに対し並行に延在する複数の段差壁面4aと、これら各段差壁面4aをつなぐ段差平面4bとから構成される。段差部4は、羽根3の圧力面3dから負圧面3eへ流れる気流を抑制するために所定の高さに形成され、その段数、すなわち各段差壁面4aの高さは任意に決めればよい。さらに、段差部4は、図3に示すように、羽根3の圧力面3dの曲面に沿って凹状に湾曲しており、羽根3の後縁部3b付近を圧力面側方向に曲げた構成となっている。
【0014】
図1〜図4を用いて実施の形態1に係る軸流ファンの動作について説明する。図示しないモータが駆動して羽根車1がC方向に回転すると、羽根3の圧力面3dに沿って流れる気流Fの一部は遠心力で羽根3の外周縁部3cの方向に流れる。この気流Fの一部は、まず圧力面3dに最も近い位置にある第1の段差壁面4aに当たり、この段差壁面4aと圧力面3dに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れる。そして、この第1の段差壁面4aを乗り越えてさらに外周縁部4cの方向へと流れる気流Fは、第1の段差壁面4aの上部に位置する第2の段差部4の段差壁面4aに当たり、その段差壁面4aと第1の段差部4の段差平面4bに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。各段差壁面4aを乗り越えた気流Fは、以下同様に上部に位置する段差部4の段差壁面4aと段差平面4bに案内されて、羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。その結果、気流Fの大部分は羽根3の後縁部3bの方向に流れ、羽根3の外周縁部3cを越えて負圧面3eへ流れる気流Fは少なくなるので、翼端渦の発生を抑制することができる。
【0015】
特に、段差部4はボス2側から羽根3の外周縁部3cに向かい段階的に高くなるように形成された階段状、すなわち複数段となっているので、羽根3の外周縁部3c方向へ気流Fが勢いよく流れても、その勢いは段差部4によって除々に弱められ、気流Fは段差部4を乗り越えにくくなる。
【0016】
以上のように、本実施の形態に係る軸流ファンによれば、羽根3の圧力面3d側において、ボス2側から羽根3の外周縁部3cの方向へ段階的に高くなるような階段状の段差部4が、羽根3の前縁部3aから後縁部3bにわたって、外周縁部3cに沿うように一体に形成されているので、外周縁部3cから負圧面3e側に流れる気流Fを著しく減少させることができる。そのため、負圧面3e側を流れる気流との干渉が小さくなるので、負圧面3eにおける翼端渦の成長増大が抑えられ、騒音を低減することができる。
【0017】
また、段差部4は、羽根3の曲面に沿って凹状に湾曲しており、羽根3の後縁部3b付近は圧力面側方向に曲げられた構成である場合は、段差部4の段差壁面4aに沿って前縁部3aから後縁部3bに向かって流れる気流Fを下流側方向に流出させやすくなるので、軸流ファンとしての送風性能を向上させることが可能となる。
【0018】
なお、図5に示すように、段差部4は、段差部4の段差壁面4aと圧力面3d、または段差壁面4aと段差平面4bとのなす角が鋭角になるように、段差壁面4aをボス2に向けて傾斜させて形成してもよい。そうすることにより、気流Fは上述した構成よりも一層段差部4を乗り越えにくくなるので、外周縁部3cから負圧面3eへ流れ込む気流をさらに減少させて翼端渦の発達を抑え、騒音を低減することができる。
【0019】
また、図6に示すように、段差部4は、段差平面4bに前記羽根3の外周縁部3cに沿うよう前縁部3aから後縁部3bにわたって凹部4cを形成するとともに、この凹部4cの一つの壁面が前記段差壁面4aと面一になるよう形成されていてもよい。図6では、第1の段差部4の段差平面4bと第2の段差部4の段差平面4bとに凹部4cが設けられている。そうすることにより、第1の段差壁面4aを乗り越えた気流Fは、段差平面4bに設けられた凹部4cにより羽根3の後縁部3bの方向へと流されやすくなる。第2の段差壁面4a以降も同様である。そのため、外周縁部3c方向への気流Fの流れがより一層抑制されるので、翼端渦の成長増大が抑えられ、騒音をより低減することができる。
【0020】
また、図7に示すように、段差部4は、羽根3の外周縁部3cであって、前縁部3a近傍にのみ設けられていてもよい。前縁部3a近傍にのみ設けることにより前縁部3a近傍で圧力面3dから負圧面3eへの気流Fの流れ込みを抑制し、負圧面3eの前縁部3a付近で発生する翼端渦を渦の発生初期の段階で抑制できる。そのため、翼端渦の成長増大を効果的に妨げることができ、騒音の低減が可能となる。
【0021】
実施の形態2.
以下図面を用いて実施の形態2について説明する。図8は実施の形態2に係る軸流ファンの背面図、図9は図8のG−G断面図、図10は実施の形態2に係る軸流ファンの変形例の断面図である。実施の形態1と同一の構成については図1、2と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0022】
図8、9に示すように、本実施の形態においては、羽根3の負圧面3eに、ボス2側から羽根3の外周縁部3cの方向へ段階的に高くなるような階段状の段差部6が、羽根3の前縁部3aから後縁部3bのわたって、外周縁部3cに沿うように一体に形成されている。また段差部6は、羽根3の負圧面3eの曲面に沿って凸状に湾曲しており、羽根3の後縁部3b付近を圧力面側方向に曲げた構成となっている。
【0023】
図8、9を用いて実施の形態2に係る軸流ファンの動作について説明する。図示しないモータが駆動して羽根車1がC’方向に回転すると、羽根3の圧力面3d側を流れる気流Iの一部と、羽根3の負圧面3e側を流れる気流Jの一部はそれぞれ、羽根車1の回転による遠心力によって、羽根3の外周縁部3cの方向へ流れる。
【0024】
まず圧力面3d側における気流Iの流れについて説明する。圧力面3d側においては、段差部は設けられておらず、気流Iの一部は段差部に妨げられることなく外周縁部3c方向へ流され、圧力面3dから負圧面3eへ流れ込み翼端渦を発生させる。
【0025】
次に負圧面3e側における気流Jの流れについて説明する。この気流Jの一部は、まず負圧面3eから最も近い位置にある第1の段差壁面6aに当たり、この段差壁面6aと負圧面3eに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れる。そして、この第1の段差壁面6aを乗り越えてさらに外周縁部3cの方向へと流れる気流Fは、第1の段差壁面6aの上部に位置する第2の段差部6の段差壁面6aに当たり、その段差壁面6aと第1の段差部6の段差平面6bに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。各段差壁面6aを乗り越えた気流Jは、以下同様に上部に位置する段差部6の段差壁面6aと段差平面6bに案内されて、羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。結果として、気流Jの大部分は羽根3の後縁部3bの方向に流れるので、羽根3の外周縁部3cを越えて圧力面3dからの気流を要因とする翼端渦と干渉する気流Jが少なくなり、翼端渦の成長増大を抑制することができる。
【0026】
特に、段差部6はボス2側から羽根3の外周縁部3cに向かい段階的に高くなるように形成された階段状、すなわち複数段となっているので、羽根3の外周縁部3c方向へ気流Jが勢いよく流れても、その勢いは段差部6によって除々に弱められ、結果として、気流Jは段差部6を乗り越えにくくなる。
【0027】
本実施の形態においては、羽根3の圧力面3dから負圧面3eへ流れ込む気流Iは減少しない。したがって、負圧面3eで発生する翼端渦は小さくならない。しかしながら、負圧面3eには段差部6が設けられているため、羽根3の負圧面3eにおける羽根3の外周縁部3c方向への流れを妨げ、気流Iを原因とする翼端渦と、気流Jとの干渉を小さくし、結果として翼端渦の成長増大を抑制し騒音の低減が可能となる。特に翼端渦の成長増大は、圧力面3dから負圧面3eへ流れ込む気流Iの影響もさることながら、負圧面3eにおける羽根3の外周方向へ流れる気流Jとの干渉も大きな要因であるため、本実施の形態のように負圧面3eにおける羽根3の外周方向へ流れる気流Jを減少させるのは翼端渦の成長増大防止という観点から有効である。
【0028】
以上のように、本実施の形態に係る軸流ファンによれば、羽根3の負圧面3eに、ボス2側から羽根3の外周縁部3cの方向へ段階的に高くなるような階段状の段差部6が、羽根3の前縁部3aから後縁部3bにわたって、外周縁部3cに沿うように一体に形成されているので、段差部6を乗り越えて外周方向に流れる気流Jを減らし、気流Iによる翼端渦との干渉を小さくする。その結果、翼端渦の成長増大が抑制されるので、騒音を低減することができる。
【0029】
なお、図10に示すように、羽根3の外周縁部3cの形状を、負圧面3eの向きに屈曲させて形成してもよい。そうすることにより、羽根3とベルマウス5との隙間が大きくなるので、圧力変動が小さくなり、騒音を減少させることが可能となる。
【0030】
なお、実施の形態1で説明した図5〜7で示す段差部4の構成については、本実施の形態の段差部6にも適用可能であり、上述した同様の効果を奏する。
【0031】
実施の形態3.
以下図面を用いて実施の形態3について説明する。図11は実施の形態3に係る軸流ファンの断面図である。実施の形態1、2と同一の構成については図1、2、8、9と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
図11に示すように、本実施の形態においては、羽根3の圧力面3dと負圧面3eの両方に、ボス2側から羽根3の外周縁部3cの方向へ段階的に高くなるような階段状の段差部4、6が、羽根3の前縁部3aから後縁部3bにわたって、外周縁部3cに沿うように一体に形成されている。段差部4、6の構成はそれぞれ実施の形態1、実施の形態2で説明した構成と同様であるのでその説明を省略する。なお、圧力面3dの段差部4と、負圧面3eの段差部6とは、羽根3に対し対称な形状になるよう形成することが好ましい。
【0033】
図11を用いて実施の形態3に係る軸流ファンの動作について説明する。羽根車1が回転すると、羽根3の圧力面3d側を流れる気流Kと、羽根3の負圧面3e側を流れる気流Lとはそれぞれ、羽根車1の回転による遠心力によって、羽根3の外周縁部3cの方向へ流れようとする。
【0034】
まず圧力面3d側における気流Kの流れについて説明する。この気流Kの一部は、まず圧力面3dから最も近い位置にある第1の段差壁面4aに当たり、この段差壁面4aと圧力面3dに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れる。そして、この第1の段差壁面4aを乗り越えてさらに外周縁部4cの方向へと流れる気流Kは、第1の段差壁面4aの上部に位置する第2の段差部4の段差壁面4aに当たり、その段差壁面4aと第1の段差部4の段差平面4bに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。各段差壁面4aを乗り越えた気流Kは、以下同様に上部に位置する段差部4の段差壁面4aと段差平面4bに案内されて、羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。結果として、気流Kの大部分は羽根3の後縁部3bの方向に流れるので、羽根3の外周縁部3cを越えて負圧面3eへ流れる気流Kは少なくなり、翼端渦の発生を抑制することができる。
【0035】
次に負圧面3e側における気流Lの流れについて説明する。この気流Lの一部は、まず負圧面3eから最も近い位置にある第1の段差壁面6aに当たり、この段差壁面6aと負圧面3eに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れる。そして、この第1の段差壁面6aを乗り越えてさらに外周縁部3cの方向へと流れる気流Lは、第1の段差壁面6aの上部に位置する第2の段差部6の段差壁面6aに当たり、その段差壁面6aと第1の段差部6の段差平面6bに沿って羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。各段差壁面6aを乗り越えた気流Lは、以下同様に上部に位置する段差部6の段差壁面6aと段差平面6bに案内されて、羽根3の後縁部3bの方向へと流れてゆく。結果として、気流Lの大部分は羽根3の後縁部3bの方向に流れるので、羽根3の外周縁部3cを越えて圧力面3dからの気流を要因とする翼端渦と干渉する気流Lは少なくなり、翼端渦の成長増大を抑制することができる。
【0036】
以上のように、本実施の形態に係る軸流ファンによれば、羽根3の圧力面3dと負圧面3eの両方に段差部4、6がそれぞれ設けられているので、圧力面3dから負圧面3eへの気流Kの減少により負圧面3eで発生する翼端渦を小さくするとともに、負圧面3eでの外周縁部3c方向への気流Lを減らし、負圧面3eにおける翼端渦と気流Lとの干渉を小さくして翼端渦の成長増大を妨げ、騒音を低減することができる。
【0037】
なお、実施の形態1で説明した図5〜7で示す段差部4の構成は、本実施の形態の段差部4、段差部6にも適用可能であり、上述した同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0038】
1 羽根車
2 ボス
3 羽根
3a 前縁部
3b 後縁部
3c 外周縁部
3d 圧力面
3e 負圧面
4、6 段差部
4a、6a 段差壁面
4b、6b 段差平面
4c 凸部
5 ベルマウス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボスの外周に複数の羽根を取り付けた羽根車と、
この羽根車の外周に配設されたベルマウスとを備えた軸流ファンであって、
前記各羽根の面の外周縁部近傍に前記ボス側から前記外周縁部に向かって階段状に高くなる段差部を一体に設け、この段差部の各段差壁面を前記羽根の外周縁部と並行になるよう配設したことを特徴とする軸流ファン。
【請求項2】
前記段差部は前記羽根の圧力面に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の軸流ファン。
【請求項3】
前記段差部は前記羽根の負圧面に形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の軸流ファン。
【請求項4】
前記段差部は、複数の段差を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項5】
前記段差部は、前記羽根の前縁部近傍に設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項6】
前記段差部は、前記羽根の前縁部から後縁部にわたって外周縁部に沿うように設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項7】
前記段差部は、段差壁面と段差平面のなす角が鋭角であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項8】
前記段差部は、段差平面に前記羽根の外周縁部に沿うよう前縁部から後縁部にわたって凹部を形成するとともに、この凹部の一つの壁面が前記段差壁面と面一になるよう形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項1】
ボスの外周に複数の羽根を取り付けた羽根車と、
この羽根車の外周に配設されたベルマウスとを備えた軸流ファンであって、
前記各羽根の面の外周縁部近傍に前記ボス側から前記外周縁部に向かって階段状に高くなる段差部を一体に設け、この段差部の各段差壁面を前記羽根の外周縁部と並行になるよう配設したことを特徴とする軸流ファン。
【請求項2】
前記段差部は前記羽根の圧力面に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の軸流ファン。
【請求項3】
前記段差部は前記羽根の負圧面に形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の軸流ファン。
【請求項4】
前記段差部は、複数の段差を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項5】
前記段差部は、前記羽根の前縁部近傍に設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項6】
前記段差部は、前記羽根の前縁部から後縁部にわたって外周縁部に沿うように設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項7】
前記段差部は、段差壁面と段差平面のなす角が鋭角であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項8】
前記段差部は、段差平面に前記羽根の外周縁部に沿うよう前縁部から後縁部にわたって凹部を形成するとともに、この凹部の一つの壁面が前記段差壁面と面一になるよう形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の軸流ファン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−241684(P2012−241684A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115553(P2011−115553)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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