説明

軽量棚板及びこの棚板に用いられる木質芯材

【課題】十分な強度を確保しつつ、軽量であり、しかも製造コストや加工の容易性、材料効率の面で優れた軽量棚板及び該軽量棚板に用いられる芯材を提供する。
【解決手段】芯材20は1枚の木質平板を木質平板とそれぞれ同じ厚さを有する第1材22と第2材24に分割切断してなり、第1材22と第2材24は、第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面がそれぞれ櫛歯状にかつ互いに噛合するように切断され、積層状態で芯材20は、第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面を互いに離間させかつ分離しないように引き離すことによりそれぞれの櫛歯先端23a、26aとそれぞれの櫛歯基端23b、26bとの間に空隙27が形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質の板材に関し、更に詳しくは商品展示用又はテーブル用の棚板、パーテーション、ドア、家具或いは机の天板等の棚板としての用途に好適な木質の軽量棚板及び該棚板に用いられる木質芯材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品展示用又はテーブル用の棚板、パーテーション、ドア、家具或いは机の天板等に用いられる棚板の構成は、芯材の表面材と裏面材に合板や中密度繊維板(以下、MDFという。)が積層接着され、表面側の合板やMDFの表面又は表面と裏面に更に化粧紙やメラミン板、実木単板を貼り合わせた構造をとるのが一般的であった。このような棚板に用いられる芯材には、比重が0.35程度と比較的軽量な桐等の無垢材を接着剤等で継ぎ合わせ、1枚の板に仕上げた集成材等が用いられている。しかし、最近では資源不足等の問題から、中国やインドネシア等、主な輸入国からの天然木の価格が高騰し、芯材として利用できる品質及び価格に見合うものを手に入れるのが困難になりつつある。
【0003】
上記集成材以外では、木片を細かく砕いて接着剤を噴霧した後、押し固めることにより形成されたパーティクルボード等も芯材として使用されている。パーティクルボードは、天然木に比べ反りが少なく、また、加工のしやすさやコストの面で優れる反面、桐等の集成材等に比べて比重が0.75程度と大きいという欠点である。木片の代わりにコーリャン等のリグノセルロース茎を利用すれば、比重を0.5程度までには抑えることができるものの、この場合でも桐等には及ばず、また、木片を使用したパーティクルボードに比べて製造コストも割高となってしまう。
【0004】
一方、棚板の軽量化の試みとして、天然木やMDF、パーティクルボードを用いて枠状に形成した框を芯材とし、この芯材の表面と裏面に合板やMDF等の板を貼り合わせた中空のボード、いわゆるフラッシュ構造の複合板が広く流通している。しかし、フラッシュ構造は中空部を有する構造であるため、上から掛かる重みに対する強度が低いという問題がある。
【0005】
このようなフラッシュ構造における強度を補う目的で、中空部にハニカム状に形成されたコアを設ける手法や、縦桟材および横桟材を組んだ面格子からなるフラッシュ加工芯材(例えば、特許文献1参照。)等が提案されている。また、縦枠および横枠からなる枠組みの内側に、比重が0.3〜0.5の範囲内にある軽量パーティクルボードを芯材として嵌入せしめ、これら枠組みと芯材からなる表裏両平面に表面板を固着した軽量パーティクルボードを用いたドアが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−221129号公報(請求項1、段落[0009])
【特許文献2】特開2001−234669号公報(請求項1、段落[0005])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の面格子からなるフラッシュ加工芯材の場合、寸法精度の調整や組み立ての手間といった加工労力が必要であり、僅かな寸法のズレ等から棚板の厚さや長さにムラが生じ、反りや曲がり、ねじれ等の不具合が生じやすい。また、輸送や移動時の応力に耐え得る強度を維持するために、枠材を比較的太くする必要があるため、却って重量が大きくなってしまい、軽量化はさほど期待できない。また、折り畳みができないため輸送・保管時の収納効率が悪い。上記特許文献2の発明では、比重が0.3〜0.5程度の軽量パーティクルボードを芯材としているため、芯材としての強度に問題があり、また、縦枠および横枠からなる枠組の材質と、芯材となる軽量パーティクルボードでは材質が異なるため、湿気等による膨張率の違い等、性質上の違いから、パーティクルボードの厚さや長さにムラが生じ、上記特許文献1の発明と同様、反りや曲がり、ねじれ等の不具合が生じやすい。更に、上記特許文献1,2の発明では、枠組みの際に、タッカー等の金属を用いて固定する必要があるため、製品内部に金属が残る。
【0008】
また、軽量化については、図8に示すように、芯材20として用いる安価なパーティクルボードに、一定サイズの穿孔41を設ける方法も考えられるが、実際には、軽量化は十分でなく、しかも穿孔加工により廃材が多量に発生するため、材料効率及び環境面で好ましくない。
【0009】
本発明の目的は、十分な強度を確保しつつ、軽量であり、しかも製造コストや加工の容易性、材料効率の面で優れた軽量棚板を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、軽量棚板に用いる芯材であって、十分な強度を与え、かつ軽量化に貢献しつつ、しかも製造コストや加工の容易性、材料効率の面で優れた芯材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点は、図1に示すように、平板状の木質芯材20と芯材20の表面に積層接着された表面側木質板31とを備えた軽量棚板10において、芯材20は1枚の木質平板を木質平板とそれぞれ同じ厚さを有する第1材22と第2材24に分割切断してなり、第1材22と第2材24は、第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面がそれぞれ櫛歯状にかつ互いに噛合するように切断され、積層状態で芯材20は、第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面を互いに離間させかつ分離しないように引き離すことによりそれぞれの櫛歯先端23a、26aとそれぞれの櫛歯基端23b、26bとの間に空隙27が形成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面のそれぞれの両側部に櫛歯先端と櫛歯基端との間に形成された空隙容積を固定する木質平板と同じ厚さを有する付属部材28が嵌着されたことを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に櫛歯先端23a、26aと櫛歯基端23b、26bとの間に形成された空隙27の合計容積が芯材20全体の体積の25〜52%である軽量棚板である。
【0014】
本発明の第4の観点は、第1ないし第3の観点に基づく発明であって、更に木質芯材20の厚さが5〜50mmである軽量棚板である。
【0015】
本発明の第5の観点は、第1ないし第4の観点に基づく発明であって、更に木質芯材20の裏面に積層接着された裏面側木質板32を更に備えた軽量棚板である。
【0016】
本発明の第6の観点は、第1ないし第5の観点に基づく発明であって、更に表面側木質板31の表面又は表面側木質板31の表面と裏面側木質板32の裏面に化粧紙又は化粧シートが更に積層接着された軽量棚板である。
【0017】
本発明の第7の観点は、少なくとも表面に表面側木質板31が積層接着され、軽量棚板10に用いられる平板状の木質芯材20において、芯材20は1枚の木質平板を木質平板とそれぞれ同じ厚さを有する第1材22と第2材24に分割切断してなり、第1材22と第2材24は、第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面がそれぞれ櫛歯状にかつ互いに噛合するように切断され、積層状態で芯材20は、第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面を互いに離間させかつ分離しないように引き離すことによりそれぞれの櫛歯先端23a、26aとそれぞれの櫛歯基端23b、26bとの間に空隙27が形成され、第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面のそれぞれの両側部に櫛歯先端と櫛歯基端との間に形成された空隙容積を固定する木質平板と同じ厚さを有する付属部材が嵌着されたことを特徴とする軽量棚板10に用いられる木質芯材である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の観点の軽量棚板では、芯材が1枚の木質平板を木質平板とそれぞれ同じ厚さを有する第1材と第2材に分割切断してなり、第1材と第2材は、第1材の分割切断面及び第2材の分割切断面がそれぞれ櫛歯状にかつ互いに噛合するように切断され、積層状態で芯材は、第1材の分割切断面及び第2材の分割切断面を互いに離間させかつ分離しないように引き離すことによりそれぞれの櫛歯先端とそれぞれの櫛歯基端との間に空隙が形成されるため、棚板として必要とされる強度を損なうことなく、従来から使用されているあらゆる芯材を用いた棚板と比較した場合、同材料芯材比重比で25%〜52%の軽量化を実現できる。また、加工が容易であり、加工の際の廃材の発生も少なく、製造コストや材料効率の面においても優れる。
【0019】
本発明の第7の観点の木質芯材では、1枚の木質平板を木質平板とそれぞれ同じ厚さを有する第1材と第2材に分割切断してなり、第1材と第2材は、第1材の分割切断面及び第2材の分割切断面がそれぞれ櫛歯状にかつ互いに噛合するように切断され、積層状態で芯材は、第1材の分割切断面及び第2材の分割切断面を互いに離間させかつ分離しないように引き離すことによりそれぞれの櫛歯先端とそれぞれの櫛歯基端との間に空隙が形成され、第1材の分割切断面及び第2材の分割切断面のそれぞれの両側部に櫛歯先端と櫛歯基端との間に形成された空隙容積を固定する木質平板と同じ厚さを有する付属部材が嵌着される。これにより、この芯材を用いて形成される棚板に対し十分な強度を与え、かつ従来から使用されているあらゆる芯材を用いた棚板と比較した場合、同材料の芯材比重比で25%〜52%の軽量化が図れる。また、加工が容易であり、加工の際の廃材の発生も少ないため、製造コストや材料効率の面及び環境負荷の軽減化の面において優れる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の軽量棚板の一例を表した斜視図である。
【図2】木質芯材の加工に用いられる木質平板である。
【図3】本発明の木質芯材の一形態を表した上面図である。
【図4】図3に示す木質芯材の積層状態における形態を表した上面図である。
【図5】本発明の木質芯材の別の例の積層状態における形態を表した上面図である。
【図6】本発明の木質芯材の更に別の例の一形態を表した上面図である。
【図7】図6に示す木質芯材の積層状態における形態を表した上面図である。
【図8】従来の木質芯材の一例を表した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の軽量棚板10の一例を示す斜視図であり、平板状の木質芯材20と芯材20の表面に積層接着された表面側木質板31とを備える。
【0022】
本発明の軽量棚板10を構成する木質芯材20は、図2に示すような1枚の木質平板21を、図3に示すように、第1材22と第2材24に分割切断することにより形成される。この第1材22と第2材24は、一定の厚さを有する木質平板21をその表面から2つに分割切断することにより得られるため、それぞれ別々に厚さ調整を行わなくても、木質平板21と同じ均一な厚さにすることができる。切断方法については、所望の形状に切断できれば特に限定されないが、一般的な木工用のNC(Numerical Control)ルータ、糸鋸等による方法又は打ち抜き加工等により行うことができる。
【0023】
第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面は、図3に示すように、それぞれ櫛歯状にかつ互いに噛合するように切断される。これにより、第1材22と第2材24には、櫛歯23,26が形成されるが、第1材22、第2材24における複数本の櫛歯23,26は、それぞれ平行に延伸するように形成される。第1材22と第2材24の2つに分割切断された芯材20は、第1材22と第2材24の櫛歯23,26同士の噛合により、櫛歯23,26の延伸方向と水平な方向に、厚さを一定に保持した状態で伸縮させることが可能になる。
【0024】
図4は、棚板を形成する際の芯材20の形態、即ち積層状態における芯材20の形態の一例を表した上面図である。この図4に示す形態は、上記櫛歯23,26同士の噛合による伸縮機構により、図3の状態から矢印の方向、即ち櫛歯23,26の延伸方向と水平な方向に、第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面を互いに離間させかつ分離しないように引き離した状態のものである。図4において、櫛歯23,26の延伸方向と水平な方向の一辺を横の長さsとし、櫛歯23,26の延伸方向と直行する一辺を縦の長さtとすると、縦の長さtを一定に保持した状態で、横の長さsは、第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面を離間させた距離の分だけ長くなっている。そして、第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面を互いに離間させることにより、それぞれの櫛歯先端23a、26aとそれぞれ対応する櫛歯基端23b、26bとの間には空隙27が形成される。この空隙27により、作製される棚板又は芯材20自体の大幅な軽量化を図ることができる。しかも、この空隙27は、横の長さSを任意の値に設定することによって連続的に変えることができる。従って、目標とする芯材の比重を容易かつ任意に変えることができる。
【0025】
第1材22及び第2材24における櫛歯23,26の間隔、櫛歯基端23b,26bから櫛歯先端23a,26aまでの長さp及び幅qは、必ずしも図4に示すよう一定の間隔、長さ及び幅に設定する必要はなく、第1材22及び第2材24の質量の差を小さくし、かつ芯材20における重心バランスを保つために、適宜調整が可能である。また、櫛歯23,26の数は、作製される棚板一枚あたり1〜7本/枚であることが好ましい。棚板一枚あたりの櫛歯の数が下限値未満では、積層状態における本発明の芯材20の形態を取り得ず、上限値を超えると加工時間が掛かるため生産性が低下する。
【0026】
また、本発明の軽量棚板10は、図1に示すような表面が長方形であるものに限定されないが、この場合、図4に示す芯材20において、櫛歯23,26の長さpは、櫛歯の延伸方向に水平な一辺、即ち横の長さsの24.9〜49.8%の長さであることが好ましく、櫛歯の幅qは、櫛歯の延伸方向と直交する一辺、即ち縦の長さtの1/9〜1/3の長さであることが好ましい。一方、図5に示すように、表面が円形や楕円形、或いは不定形の形状の場合には、櫛歯23,26の長さpは、櫛歯23,26の延伸方向と平行な最大径R1又は最大長さの20.0〜45.0%の長さであることが好ましく、櫛歯の幅qは、櫛歯の延伸方向と直交する最大径R2又は最大長さの1/9〜1/3の長さであることが好ましい。
【0027】
また、第1材22と第2材24の櫛歯23,26同士が重なり合う部分の長さuは、芯材20としての強度を確保するために、長さpの0.5〜49.8%の長さであることが好ましい。
【0028】
積層状態における芯材20は、図4,5に示すように、第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面のそれぞれの両側部に櫛歯先端26aと櫛歯基端23bとの間に形成された空隙容積を固定する付属部材28が嵌着される。この付属部材28は、木質平板19、即ち第1材22及び第2材24と同じ厚さを有する。積層状態における芯材20の両側部は、第1材22と第2材24とを引き離すことにより、側壁の一部が欠落した状態になる。そのため、これを補うために付属部材28を嵌着させ、積層状態における芯材20の強度を更に安定させることができる。付属部材28の長さは、第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面を離間させた距離に等しい。付属部材28には、付属部材28を芯材20の一部として嵌着させるための突起28aが形成され、一方、第1材22及び第2材24には、付属部材28の突起28aに対応する凹み22a,24aが形成される。付属部材28の材質は、第1材22、第2材24と同じ材質のものであることが好ましい。
【0029】
また、木質平板21の分割切断を、糸鋸等のように、刃の厚みが小さいもので行う場合には特に問題ないが、NCルータのような刃の厚みが数ミリ〜数センチあるもので行う場合には、図6に示すように、その分だけ削り代yが生じる。このため、分割切断した第1材22と第2材24を引き離して、積層状態の形態を形成しようとしても、櫛歯23,26の間には削り代yの分だけ隙間が生じ、第1材22と第2材24の櫛歯23,26同士が接することなく噛合ができない場合がある。そのため、図6,図7に示す例では、櫛歯23,26の先端23a,26aから長さuの分だけ櫛歯23,26同士が接するように、櫛歯23,26の側面にテーパを設けている。このテーパの角度αは、予め設定するuの長さ及びNCルータの刃の厚み、即ち削り代yの幅に応じて適宜設定することが可能である。
【0030】
芯材20の積層状態の形態における空隙容積率(空隙27の全容積/空隙27の全容積を含む芯材20全体の容積)は、空隙27を含む芯材20全体の体積の24.9〜52.0%であることが好ましい。24.9%未満では、軽量化が不十分であり、また、コストダウン効果が少ない。一方、52.0%を超えると、芯材としての十分な強度が得られ難く、また、ねじれや反りが生じやすくなる。
【0031】
木質芯材20として用いるのに好適な木材には、木片を用いたパーティクルボードやMDFの他に、高りゃんやとうもろこし等のリグノセルロース茎を用いて作られた積層板、或いは桐等を使用した集成材等も好適に用いることができる。また、本発明における木質芯材20は、厚さが5〜50mmであることが好ましい。芯材20の厚さが5mm未満では、上記櫛歯状の構造に形成しても、隣接する第1材22と第2材24の櫛歯23,26同士の接触面積が小さくなるため、芯材20としての十分な強度が得られ難く、また、軽量化やコストダウン効果も低下する。一方、50mmを超えると、加工速度の低下、即ち生産性が悪くなるため好ましくない。
【0032】
このように、本発明の軽量棚板10を構成する木質芯材20は、上記構成により、この芯材20を用いて形成される棚板に対して十分な強度を与え、かつ芯材20の用途としては最重量材であるパーティクルボードやMDFを用いた場合でさえも、本発明の形態をとることによって、従来から使用されている桐を使用した集成材と同程度の軽量化が図れる。また、上述のように、一枚の木質平板と、2本の付属部材以外の材料は必要とせず、廃材もほぼ発生しないため、材料効率の面において優れる。更に、従来の芯材のように、複雑な加工を施す必要がないため製造コストの面でも優れる。また、本発明の木質芯材20は、図3に示すように、積層状態以外では、収縮させた形態をとり得るため、輸送・保管時の収納効率が良い。
【0033】
本発明の軽量棚板10は、木質芯材20と芯材20の表面に積層接着された表面側木質板31と、木質芯材20の裏面に積層接着された裏面側木質板32を更に備える。また、表面側木質板31の表面又は表面側木質板31の表面と裏面側木質板32の裏面に化粧紙又は化粧シート等が更に積層接着される。表面側木質板31及び裏面側木質板32には、従来通り、MDF、パーティクルボード又は表面板等が好適に用いられる。化粧紙又は化粧シートは、従来から、印刷紙、塩化ビニルシート、合成紙又はメラミン化粧板等が好適に用いられており、本発明の軽量棚板にもこれらを使用することができる。
【0034】
本発明の軽量棚板10では、上記本発明の木質芯材20を用いるため、棚板として必要とされる強度を損なうことなく、従来の集成材を芯材に用いた棚板と同等の軽量化を実現できる。また、上述のように、芯材20を作製する際、一枚の木質平板と、2本の付属部材以外の材料は必要とせず、廃材もほぼ発生しないため、材料効率の面において優れる。更に、芯材20の加工が容易であり、従来の芯材のように、複雑な加工を施す必要がないため製造コストの面でも優れる。また、現場での寸法合わせのために芯材20の一部を切断加工することもあるが、従来のフラッシュ加工芯材の場合には端部切断面を固定することができないため補強ができず、強度面で問題が残るのに対して、本発明の芯材20を用いる場合には、端部の固定にビス打ちが可能であり、容易に補強効果を付加できる点でも優れた特長を有する。
【実施例】
【0035】
次に本発明の実施例を比較例とともに説明する。
<実施例1>
厚さ2.5mmのパーティクルボードからなる表面側木質板31、厚さ2.5mmのパーティクルボードからなる裏面側木質板32及び厚さ12mmの木質芯材20から構成される、縦の長さが450mm、横の長さが650mm、厚さが17mmの軽量棚板10を作製した。
【0036】
具体的には、先ず、木質芯材20用の木質平板として、縦の長さが450mm、横の長さ365mm、厚さ12mmのパーティクルボードを用意した。このパーティクルボードをNCルータを用いて、図6に示すように、第1材22と第2材24に分割切断した。この分割切断では、NCルータの刃の厚さ、即ち削り代の幅yを10mmとして、第1材22、第2材24ともに、櫛歯の長さpは310mm、幅は44〜65mmとし、第1材22における櫛歯の数は2本、第2材24における櫛歯の数は1本とした。また、櫛歯23,26同士の重なり合う部分の長さuが16mmとなるように、櫛歯23,26の側面にテーパを設けた。そして、第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面を互いに離間させかつ分離しないように引き離し、第1材22の分割切断面及び第2材24の分割切断面のそれぞれの両側部に、同じ厚さのパーティクルボードから予め作製しておいた付属部材28を嵌着させた。これにより、図7に示す、縦の長さtが450mm、横の長さsが650mm、厚さが17mmの積層状態の木質芯材20を形成した。
【0037】
続いて、上記木質芯材20の表面及び裏面に、パーティクルボードからなる表面側木質板31及び裏面側木質板32を積層接着させて軽量棚板10を得た。なお、この実施例では、化粧紙又は化粧シートについては省略する。
【0038】
<実施例2>
木質芯材20用の木質平板として、桐を使用した集成材を用いた以外は、実施例1と同様に、軽量棚板10を作製した。
【0039】
<比較例1>
木質芯材20として、分離切断加工を行っていない縦の長さが450mm、横の長さが650mm、厚さが12mmのパーティクルボードを用いた以外は、実施例1と同様に、棚板を作製した。
【0040】
<比較例2>
木質芯材20として、分離切断加工を行っていない縦の長さが450mm、横の長さが650mm、厚さが12mmの桐を使用した集成材を用いた以外は、実施例1と同様に、棚板を作製した。
【0041】
<比較例3>
木質芯材20として、パーティクルボードから得られた部材で枠組みをして形成した、中空部を有する縦の長さが450mm、横の長さが650mm、厚さが12mmのフラッシュ加工芯材を用いた以外は、実施例1と同様に、棚板を作製した。
【0042】
<比較試験及び評価1>
実施例1,2及び比較例1〜3で得られた棚板、また、これらの棚板に用いた表面側木質板、裏面側木質板及び木質芯材の比重をそれぞれ測定した。これらの結果を以下の表1に示す。
【0043】
【表1】

表1から明らかなように、実施例1,2と比較例1〜3を比較すると、実施例1と比較例1、実施例2と比較例2では、それぞれ同じ材質のものを木質芯材として使用したにも拘わらず、実施例1,2では、比較例1,2に比べ、木質芯材の比重が大幅に減少していることが判る。また、作製された棚板の比重も大幅に減少し、フラッシュ構造芯材を用いた比較例3に迫る比重が得られることが確認された。
【0044】
<比較試験及び評価2>
実施例1,2及び比較例1〜3で得られた棚板について、中央部耐荷重テストを行った。具体的には、什器メーカーA社による合格基準にのっとって、これらの棚板表面の中央部に300mm×300mmのあて板を置き、200kgで24時間連続的に荷重を加えた。そして、24時間経過後の荷重除去直後の撓み量を測定した。また、目視による形状異常の有無について評価した。この結果を以下の表2に示す。なお、撓み量の合格基準値は、荷重除去後で2.37mm以下である。
【0045】
【表2】

表2から明らかなように、実施例1,2及び比較例1〜3を比較すると、実施例1,2では、24時間経過後の荷重除去直後の撓み量が合格基準値以内となっており、棚板として必要とされる強度が十分得られることが確認された。また、実施例1,2及び比較例1〜3を比較すると、実施例1,2ではいずれも目視による形状異常は見られなかったものの、比較例3では大きな撓みが目視でも確認された。
【産業上の利用可能性】
【0046】
商品展示用又はテーブル用の棚板、或いはパーテーション、ドア、家具又は机の天板等の棚板としての用途に利用できる。
【符号の説明】
【0047】
10 軽量棚板
20 木質芯材
22 第1材
23 櫛歯
23a 櫛歯先端
23b 櫛歯基端
24 第2材
26 櫛歯
26a 櫛歯先端
26b 櫛歯基端
27 空隙
28 付属部材
31 表面側木質板
32 裏面側木質板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の木質芯材と前記芯材の表面に積層接着された表面側木質板とを備えた軽量棚板において、
前記芯材は1枚の木質平板を前記木質平板とそれぞれ同じ厚さを有する第1材と第2材に分割切断してなり、
前記第1材と前記第2材は、前記第1材の分割切断面及び前記第2材の分割切断面がそれぞれ櫛歯状にかつ互いに噛合するように切断され、
積層状態で前記芯材は、前記第1材の分割切断面及び前記第2材の分割切断面を互いに離間させかつ分離しないように引き離すことによりそれぞれの櫛歯先端とそれぞれの櫛歯基端との間に空隙が形成された
ことを特徴とする軽量棚板。
【請求項2】
第1材の分割切断面及び第2材の分割切断面のそれぞれの両側部に櫛歯先端と櫛歯基端との間に形成された空隙容積を固定する木質平板と同じ厚さを有する付属部材が嵌着された請求項1記載の軽量棚板。
【請求項3】
櫛歯先端と櫛歯基端との間に形成された空隙の合計容積が芯材全体の体積の24.9〜52.0%である請求項1又は2記載の軽量棚板。
【請求項4】
木質芯材の厚さが5〜50mmである請求項1ないし3いずれか1項に記載の軽量棚板。
【請求項5】
木質芯材の裏面に積層接着された裏面側木質板を更に備えた請求項1ないし4いずれか1項に記載の軽量棚板。
【請求項6】
表面側木質板の表面又は表面側木質板の表面と裏面側木質板の裏面に化粧紙又は化粧シートが更に積層接着された請求項1ないし5いずれか1項に記載の軽量棚板。
【請求項7】
少なくとも表面に表面側木質板が積層接着され、軽量棚板に用いられる平板状の木質芯材において、
前記芯材は1枚の木質平板をその中央部で第1材と第2材に分割切断してなり、
前記第1材と前記第2材は、前記第1材の分割切断面及び前記第2材の分割切断面がそれぞれ櫛歯状にかつ互いに噛合するように切断され、
積層状態で前記芯材は、前記第1材の分割切断面及び前記第2材の分割切断面を互いに離間させかつ分離しないように引き離すことによりそれぞれの櫛歯先端とそれぞれの櫛歯基端との間に空隙が形成され、
第1材の分割切断面及び前記第2材の分割切断面のそれぞれの両側部に櫛歯先端と櫛歯基端との間に形成された空隙容積を固定する前記木質平板と同じ厚さを有する付属部材が嵌着されたことを特徴とする軽量棚板に用いられる木質芯材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−5086(P2011−5086A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153107(P2009−153107)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(390001339)光洋産業株式会社 (46)
【Fターム(参考)】