説明

輝度可変装置

【課題】透光体の押下解除後の発光輝度を押下態様に応じて可変制御可能にして、有用性を向上させ、遊技装置や楽器等、各種装置の用途を拡大させる。
【解決手段】可動体39は、光を透過可能で且つ弾性を有し、スカート部44が弾性変形して上下方向に移動可能になっている。頭部42が押下されてスイッチSW1、2がオンされると発光体46が発光し、胴部44及び頭部42を透過して視認される。設定された残光制御の態様(モード)に応じて残光制御がなされる。例えば、キーオンタイムIT等に応じて、スイッチSWのオフ後の輝度レベルLが制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光体を有し、その輝度を変化させ得る輝度可変装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押下や打撃を受けて発光するものとして、例えば発光式押しボタンスイッチや発光体を備えた玩具等が知られている。
【0003】
上記従来の発光式押しボタンスイッチは、例えば透明な操作部と、その下方に設けたスイッチ部及びLED等の発光体で構成され、押下によってスイッチ部がオンして発光体が発光し、上記透明な操作部を通して光を視認することができるようになっている。また、上記従来の発光体を備えた玩具では、例えば半透明の材料で形成されたキャラクタの内部に、振動等を感知して発光する発光体を設け、該キャラクタを軽くたたくと発光体が発光し、外部からそれを視認することができるようになっている。
【0004】
一方、押下や打撃を加えることによって楽しむゲーム機や楽器等の装置がある。例えば、もぐらたたきゲーム機等には、単にもぐらをたたくことにより得点を競うだけでなく、たたいた際にもぐらが何らかのパフォーマンスをしてより面白みを増したものも考えられる。また、電子ドラム等には、パッドをたたく位置やたたき具合によって音色を微妙に変化させ得るように構成されたものもある。
【特許文献1】特開平07−222859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の発光式押しボタンスイッチや発光体を備えた玩具では、発光の態様は単なる一定の発光や点滅等のみであるのが通常である。また、上記従来のもぐらたたきゲーム機や電子ドラム等でも、打撃等の動作に対応して発光し、しかもその発光状態がきめ細やかに変化するようなものは一般に知られていない。
【0006】
従って、例えばもぐらたたきゲーム機で、たたき方によって種々の発光態様が実現できれば、もぐらのパフォーマンスの幅が広がり面白みも増す。また、電子ドラム等では、例えばパッド面の打撃位置を発光により確認できるようにすれば、練習に役立つ。
【0007】
このように、打撃等の動作に対応して発光体を発光させ、しかもその発光状態を変化させ得るような装置が存在すれば、各種分野の装置で応用することができ、有用である。
【0008】
本発明は上記観点からなされたものであり、その目的は、透光体の押下解除後の発光輝度を押下態様に応じて可変制御可能にして、有用性を向上させ、遊技装置や楽器等、各種装置の用途を拡大することができる輝度可変装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の請求項1の輝度可変装置は、光を透過可能で且つ押下されて移動する透光体と、該透光体の押下によりオンされるスイッチ部と、前記透光体が押下方向に移動するほど該透光体に近づくような位置に配設された発光手段と、前記スイッチ部がオンされたときに前記発光手段の発光を開始させると共に前記スイッチ部がオフされたときに前記発光手段の消光を開始させ、且つ、前記発光手段の消光開始後の発光輝度を前記スイッチ部のオンオフの態様に応じて可変制御する制御手段とを備え、前記発光手段の光が、前記透光体を透過して視認されるように構成されたことを特徴とする。
【0010】
なお、この場合、透光体を複数設けると共に、これらに対応する共通のスイッチ部を設けるようにしてもよい。例えば光ファイバ等を用いて1つのスイッチ部のオンにより光が分岐して各透光体に供給されるように構成すれば、複数の透光体を通じて発光が同時に視認される(第3の実施の形態)。これにより、音の感動を光でも伝えることができ、耳の不自由な人にライブ演奏のすばらしさを体感させるための補助となりうる。
【0011】
また、好ましくは、前記スイッチ部のオンオフの態様は、該スイッチ部のオンベロシティ、ゲートタイム、オフベロシティの少なくとも1つである(請求項2、3)。
【0012】
この構成により、例えば押下の解除後の残光の輝度を、スイッチ部のオンベロシティ、ゲートタイム、またはオフベロシティに応じて制御した場合はそれぞれ、強くたたくほど残光時間が長く、押下している時間が長いほど残光時間が長く、または離間動作が俊敏であるほど残光時間が長く、というように制御することができる。従って、押下動作の態様によって発光状態を変化させることができる。
【0013】
なお、残光のほか、最高輝度を変化させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、透光体の押下解除後の発光輝度を押下態様に応じて可変制御可能にして、有用性を向上させ、遊技装置や楽器等、各種装置の用途を拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る輝度可変装置を備えたゲーム機本体の構成を示す外観斜視図である。
【0017】
本ゲーム機本体1はいわゆるもぐらたたきゲーム機であり、上面板2に複数設けられた穴部3から時折姿を現すもぐら4をハンマ5でたたいて楽しむものである。パネル部6は、得点を表示する得点表示部6a及び各種情報の表示や装飾のためのイルミネーションパネル6bからなる。もぐら4の頭部4aには複数の発光部7が設けられている。複数の発光部7はいずれも同様に構成される。
【0018】
図2は、図1のII−II線に沿う発光部7の断面図である。
【0019】
もぐら4の頭部4aは、頑丈な材料でなる外装部10により覆われている。外装部10には貫通穴10aが穿設されている。シート部11はビニル等の可撓性の透明材料でなり、外装部10の外側を覆っている。
【0020】
スイッチ基板8(固定部)の上面には固定接点17及びLEDで構成され一定の輝度で発光する発光体16(発光手段)が設けられている。発光体16には、不図示の抵抗が直列に接続されており、発光体16及び該抵抗で電圧制御型素子として扱うことができる。すなわちLEDの特性から、発光体16は、抵抗との組み合わせで成る直列回路素子に所定電圧値(例えば2ボルト)以上の電圧が印加されると発光し、それ以下では発光しない。
【0021】
スイッチ基板8上にはさらに、可動体9が設けられている。可動体9は、発光体16の発した光を透過可能な程度に透明で且つ弾性を有するゴム等の材料でなり、頭部12(透光体の一部)、胴部13(透光体の一部)、脚部14(弾性支持部)及び固定端部15が一体に形成されてなる。なお、脚部14は透明でなくてもよく、また、脚部14を別体として固定端部15及び胴部13に連設してもよい。可動体9は、固定端部15がスイッチ基板8の上面に固着されると共に、頭部12が外装部10の貫通穴10aを貫通してその頂部が外装部10から露出し、シート部11に当接している。可動体9の頭部12の外装部10からの突出量は適当に設定され、外装部10は、ハンマ5による押下、打撃時にハンマ5に当接して可動体9の下限位置を規制するストッパとして機能する。
【0022】
可動体9の脚部14は、第1のスカート部14a及び第2のスカート部14bからなる。可動体9は、これらスカート部14a、14bが弾性変形することにより、頭部12及び胴部13が押下、打撃方向(上下方向)に移動可能になっている。これにより、可動体9の頭部12と発光体16との距離が変化し得る。また、可動体9の頭部12、胴部13及び脚部14は上方からみて円筒状に形成されている。胴部13には、下方に垂下する円環状の突部9bが胴部13と一体に形成されている。
【0023】
可動体9の下面9aは凹状に形成され、下面9aと発光体16との間に中空部18が形成される。下面9aの下部(突部9bの先端部近傍)には白色塗料19が塗布されている。可動体9の押下、打撃時には、発光体16が中空部18にほぼすっぽり囲まれ、上記白色塗料19の反射効果と相まって、発光体16の発した光が四方へ逃げず、集光効率が高められる。これは、光源である発光体16から一定半径を有する球面上の単位面積あたりの光束が押下により増加するからである。これにより見かけ上の輝度の差を押下時と非押下時とでより大きくすることができる。
【0024】
可動体9の脚部14の、第1のスカート部14a及び第2のスカート部14b間には、可動接点9cが固定接点17に対向して設けられている。可動接点9c及び固定接点17でスイッチSWが構成される。可動接点9cは、可動体9の押下、打撃時に第2のスカート部14bが弾性変形することにより固定接点17に当接してスイッチSWがオン(メイク)され、これにより発光体16が発光する。
【0025】
ハンマ5は透明な材料で構成され、これにより発光部7の発光の視認効果が増大されているが、ハンマ5を不透明な材料で構成してもよい。
【0026】
かかる構成において、遊技者がもぐら4をハンマ5でたたくと、シート部11を介して可動体9が押下され、発光体16が発光して頭部12及びシート部11を通してその発光が視認される。なお、発光する発光部7は1つではなく、ハンマ5が命中した幾つかの発光部7が発光する。
【0027】
図3は、発光部7の発光状態及び見かけ上の輝度の変化を表すタイムチャートを示す図である。同図(a)は発光体16の発光状態、すなわち発光体16の実際の発光輝度を表し、同図(b)は可動体9の頭部12を通して遊技者に視認される輝度、すなわち見かけ上の輝度を表す。
【0028】
同図において、時点ta1は、ハンマ5による打撃により可動体9が沈み込み、スイッチSWがオンされた時点を示し、時点ta2は、可動体9の下限位置到達時点を示す。また、時点ta3は、ハンマ5が上方に離間後、可動体9が下限位置から上方に移動を開始した時点を示し、時点ta4は、可動接点9cと固定接点17とが離間しスイッチSWがオフされた時点を示す。
【0029】
同図(a)に示すように、スイッチSWのゲートタイム、すなわち時点ta1〜時点ta4に亘って発光体16は一定の輝度で発光する。ところが、ハンマ5による打撃の往行程では、時点ta1〜時点ta2に亘って可動体9が発光体16に漸次接近する結果、同図(b)に示すように、頭部12を通じて視認される見かけ上の輝度は徐々に高くなる。そして時点ta2〜時点ta3間では可動体9の移動がないため見かけ上の輝度は略一定を保ち、ハンマ5による打撃の復行程では、ハンマ5の離間後、時点ta3〜時点ta4に亘って可動体9が発光体16から漸次遠ざかる結果、見かけ上の輝度は徐々に低くなる。
【0030】
なお、ハンマ5による打撃力が弱く、スイッチSWはオンされたが可動体9が下限位置に到達しない場合は、スイッチSWのゲートタイム(時点ta2〜時点ta3)における見かけ上の輝度は同図(b)に示すものよりも当然に小さくなる。従って、打撃強さによって見かけ上の最大輝度も変化し得る。
【0031】
本第1の実施の形態によれば、ハンマ5でもぐら4をたたくとハンマ5が命中した発光部7が発光して可動体9の頭部12を通して発光が視認されるので、もぐら4のパフォーマンスの幅が広がり、ゲームの面白みを増すことができる。しかもその際、可動体9と発光体16との距離が打撃動作により変化するので、見かけ上の輝度が変化し、遊技者にとってはもぐら4のたたき具合によって輝度の変化の態様を種々楽しむことができ、面白みを一層増すことができる。また、発光部7を複数設けたので、たたいた位置を容易に認識することができ、ゲームの上達も早くなる。
【0032】
なお、本実施の形態では、発光体16を、スイッチSWのオンにより発光するものとして構成したが、発光体16を、打撃動作に依存せずに発光するもの、あるいは常時発光するものとして構成してもよい。これらの構成でも、可動体9の押下方向の移動によって見かけ上の輝度は変化する。
【0033】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る輝度可変装置を備えた電子ドラム装置の構成を示す外観斜視図である。
【0034】
本電子ドラム装置(ドラム装置20)は、パッドオン時の振動を電気信号に変換して電子音源によりドラム音を発音するタイプの装置であり、打奏される電子ドラム部21やパネルスイッチ22を有する。第1の実施の形態の発光部7に相当する発光部37は、電子ドラム部21のパッド21aのパッド面21bに複数設けられる。
【0035】
図5は、ドラム装置20の全体構成を示すブロック図である。
【0036】
ドラム装置20は、打奏検出回路23、スイッチ検出回路24、ROM26、RAM27、タイマ28、MIDIインターフェイス(MIDII/F)29及び音源回路30が、バス33を介してCPU25(制御手段)にそれぞれ接続されて構成される。さらに、打奏検出回路23には電子ドラム部21が接続され、スイッチ検出回路24にはパネルスイッチ22が接続されている。タイマ28はCPU25にも接続されている。音源回路30には効果回路31及びスピーカ等のサウンドシステム32が直列に接続されている。
【0037】
電子ドラム部21は例えばシンバル、スネアドラム等の各種打奏音を再現するためのパッド21aを複数備えている。各パッド21aの下面にはピエゾ素子等の歪センサが複数貼り付けられている(図示せず)。打奏検出回路23は、パッドオン時のパッド21aの歪量を電気信号に変換して音源回路30に送出する。パネルスイッチ22は、後述する発光部37の残光制御のモードを設定するためのモードスイッチ22aを備えるほか(図4)、各種情報を入力するための複数のスイッチを備える。モードスイッチ22aは、スイッチSWm1、SWm2及びSWm3(いずれも図示せず)からなる。スイッチ検出回路24は、パネルスイッチ22の各スイッチの押下状態を検出する。
【0038】
CPU25は、本装置全体の制御を司る。ROM26は、CPU25が実行する制御プログラムやテーブルデータ等を記憶する。RAM27は、自動演奏データ等の各種入力情報及び演算結果等を一時的に記憶する。タイマ28は不図示のレジスタを有し、タイマ割り込み処理における割り込み時間や各種時間を計時して該レジスタにカウンタ値を記憶する。MIDII/F29は、他のMIDI機器等の外部装置からのMIDI信号を入力したり、MIDI信号を外部装置に出力したりする。
【0039】
音源回路30は、打奏検出回路23から入力された打奏検出信号をトリガ信号として用い、打奏音の楽音信号を生成するほか、MIDII/F29等から入力された自動演奏データ等を楽音信号に変換する。効果回路31は、音源回路30から入力される楽音信号に各種効果を付与し、サウンドシステム32は、効果回路31から入力される楽音信号等を音響に変換する。
【0040】
図6は、図4のVI−VI線に沿う発光部37の断面図である。
【0041】
発光部37は、第1の実施の形態における発光部7と構成が基本的に同様である。電子ドラム部21のパッド21aのパッド面21bは、ラバー製等の外装部40により覆われ、外装部40には貫通穴40aが穿設されている。シート部41はビニル等の可撓性の透明材料でなり、外装部40の表面を覆っている。
【0042】
スイッチ基板38の上面には第1、第2の固定接点49、47及び発光体46が設けられている。発光体46は、CPU25によりその発光輝度が制御され、後述する輝度レベルLで発光する。
【0043】
スイッチ基板38上にはさらに、可動体39が設けられている。可動体39は、頭部42、胴部43及び固定端部45が、第1の実施の形態における可動体9の頭部12、胴部13及び固定端部15とそれぞれ同様に構成される。
【0044】
可動体39の脚部44は、第1、第2,第3のスカート部44a、44b、44cからなる。可動体39は、これらスカート部44a、44b、44cが弾性変形することにより、頭部42及び胴部43が押下、打撃方向(上下方向)に移動可能になっている。これにより、可動体39の頭部42と発光体46との距離が変化し得る。可動体39の下面39a、突部39b、及び中空部48は、第1の実施の形態における可動体9の下面9a、突部9b、及び中空部18と同様に構成される。
【0045】
可動体39の脚部44の、第2、第3のスカート部44b、44c間には第1の可動接点39dが第1の固定接点49に対向して設けられ、脚部44の第1、第2のスカート部44a、44b間には第2の可動接点39cが第2の固定接点47に対向して設けられている。第1の可動接点39d及び第1の固定接点49でスイッチSW1(スイッチ部)が構成され、第2の可動接点39c及び第2の固定接点47でスイッチSW2(スイッチ部)が構成される。
【0046】
第1の可動接点39dは、可動体39の押下、打撃時に第3のスカート部44cが弾性変形することにより第1の固定接点49に当接してスイッチSW1がオン(メイク)され、これにより発光体46が発光する。第2の可動接点39cは、可動体39の押下時に第2のスカート部44bが弾性変形することにより第2の固定接点47に当接してスイッチSW2がオン(メイク)され、これとスイッチSW1とのオンオフの時間差によってオンベロシティ、及びオフベロシティが計測される。
【0047】
なお、スティック35は、打奏に適したものであれば透明な材料で構成するのが望ましいが、不透明な材料で構成してもよい。
【0048】
かかる構成において、奏者がパッド21aをスティック35でたたくと、楽音が発生すると共に、第1の実施の形態と同様にスティック35が命中した幾つかの発光部37が発光する。
【0049】
図7は、ドラム装置20を打奏した場合のタイムチャートの一例を示す図である。
【0050】
同図(a)、(b)はそれぞれスイッチSW1、SW2のオンオフ状態を表し、同図(c)〜(f)は上述したタイマ28やRAM27内の各レジスタ(図示せず)に記憶される各種値を表す。また、同図(g)は発光体46の実際の発光輝度を表し、同図(h)は可動体39の頭部42を通して奏者に視認される見かけ上の輝度を表す。
【0051】
同図中、時点tb1はスティック35による打撃により可動体39が沈み込み、スイッチSW1がオンされた時点を示し、時点tb2はスイッチSW2がオンされた時点を示し、時点tb3は可動体39の下限位置到達時点を示す。また、時点tb4は、スティック35が上方に離間後、可動体39が下限位置から上方に移動を開始した時点を示し、時点tb5は、スイッチSW2がオフされた時点を示し、時点tb6はスイッチSW1がオフされた時点を示す。時点tb7は発光体46の残光制御が終了した時点を示す。
【0052】
同図(c)に示す第1のカウンタ値T、第2のカウンタ値tは、共にタイマ28によるカウンタ値であり、それぞれ時点tb1からの経過時間、時点tb6からの経過時間を表す。なお、第1のカウンタ値Tは第2のカウンタ値tよりも細かいタイミングでカウントされる(図10、図11)。
【0053】
同図(d)に示すキーオンタイムITは時点tb1〜時点tb2に亘る時間を表し、オンベロシティ(イニシャルタッチ強度データ)の逆数である。減算値FT1は時点tb1〜時点tb5に亘る時間を表す。キーオフタイムFTは時点tb5〜時点tb6に亘る時間を表し、オフベロシティの逆数である。
【0054】
同図(e)に示すステイタスSは発光部37の状態を表し、0〜3のいずれかの値をとる。
【0055】
同図(f)に示す輝度レベルLは、発光体46の実際の発光輝度を決定する値であり、後述するように、所定値V1または図11の残光制御処理で算出された値に設定される。
【0056】
図8は、メイン処理のフローチャートを示す図である。本処理は不図示のスタートスイッチ(例えば電源投入スイッチ)のオン時に実行される。
【0057】
まず、初期設定の実行、すなわち各種レジスタ値T、t、IT、FT1、FT、S、GT、mを0にリセットする(ステップS801)。ここに、GTはスイッチSW1がオンされている時間(ゲートタイムGT)を表す。mは、発光体46の残光の態様を表すモード値であり、パネルスイッチ22の入力に基づき後述する図9のモード設定処理により1〜3のいずれかの値に設定される。
【0058】
次いで、モード設定処理を後述する図9の処理により実行して(ステップS802)、スイッチSW1のオンイベントがあったか否かを判別する(ステップS803)。その判別の結果、スイッチSW1のオンイベントがあった場合は、ステイタスSを「1」に、第1のカウンタ値Tを「0」に、輝度レベルLを所定値V1(例えば5ボルトの電圧に対応する値)にそれぞれ設定し(ステップS304)、発光体46に発光指示を与えて(ステップS805)、前記ステップS802に戻る。すなわちスイッチSW1のオン時に発光体46の発光が開始される(図7の時点tb1)。
【0059】
一方、前記ステップS803の判別の結果、スイッチSW1のオンイベントがない場合は、スイッチSW2のオンイベントがあったか否かを判別する(ステップS806)。その判別の結果、スイッチSW2のオンイベントがあった場合(図7の時点tb2)はステイタスSを「2」に設定すると共に、キーオンタイムITを現在の第1のカウンタ値Tに設定し(ステップS807)、音源回路30に対してキーオンタイムITに応じた発音指示を行い(ステップS808)、前記ステップS802に戻る。この発音指示では、例えばキーオンタイムITが小さいほど大きい音を発生するようにする。
【0060】
一方、前記ステップS806の判別の結果、スイッチSW2のオンイベントがない場合は、スイッチSW2のオフイベントがあったか否かを判別する(ステップS809)。その判別の結果、スイッチSW2のオフイベントがあった場合(図7の時点tb5)は、減算値FT1を現在の第1のカウンタ値Tに設定し(ステップS810)、音源回路30に対して消音指示を行って(ステップS811)、前記ステップS802に戻る。従って、スイッチSW2がオンされている間(時点tb2〜時点tb5)、パッド21aに対応する音色の打奏音が発音される。
【0061】
一方、前記ステップS809の判別の結果、スイッチSW2のオフイベントがない場合は、ステイタスSが「2」に設定されているか否かを判別し(ステップS812)、その判別の結果、ステイタスSが「2」に設定されている場合、すなわちスイッチSW1、SW2が共にオンされた後であってスイッチSW2が未だオフされていない状態である場合は、スイッチSW1のオフイベントがあったか否かを判別する(ステップS813)。
【0062】
その判別の結果、スイッチSW1のオフイベントがない場合(図7の時点tb2〜時点tb6)は前記ステップS802に戻る一方、スイッチSW1のオフイベントがあった場合(図7の時点tb6)は、ステップS814に進み、ステイタスSを「3」に設定すると共に、キーオフタイムFTを、現在の第1のカウンタ値Tから減算値FT1を減算した値に設定し、さらにゲートタイムGTを現在の第1のカウンタ値Tに設定する。この状態では、後述する図11の残光制御処理により輝度レベルLの変化に伴い発光体46の輝度が変化し得る。次いで、前記ステップS802に戻る。
【0063】
一方、前記ステップS812の判別の結果、ステイタスSが「2」に設定されていない場合は、スイッチSW1のオフイベントがあったか否かを判別する(ステップS815)。その判別の結果、スイッチSW1のオフイベントがあった場合は、スイッチSW1のみがオンされスイッチSW2がオンされない状態(すなわちパッド21aを軽くたたいた状態)でスイッチSW1がオフされた場合であるから、輝度レベルLを「0」に設定して(ステップS816)、前記ステップS802に戻る。すなわちこの場合は、図7に示す例とは異なり、スイッチSW1のゲートタイムGT間に亘って所定値V1に対応する輝度レベルLで発光体46が発光するのみであり、スイッチSW1のオフ後の残光制御は行われない。なお、このような状況は、パッド21aを強くたたいた場合であっても、スティック35が芯に命中した発光部37の近傍に存在する発光部37においても生じる。
【0064】
この場合の発光態様を詳述すると、打撃を芯で受けた発光部37ではスイッチSW1、SW2が共にオンされるほどに可動体39が押下されるので、発光体46からの距離が小さくなり光束の増加によって最も明るく視認される一方、その発光部37から離れた位置にある発光部37ほど可動体39の発光体46からの距離が大きくなるため、光束増加量が減少し、視認される輝度が小さくなってぼやっと光ることになる。前記ステップS803、S804、S805、S802、S803、S806、S809、S812、S815、S816というルートをたどる発光部37群は、打撃直後の一瞬のみ発光する。この場合、スティック35のパッド21aへの当たり方によって各発光部37群の発光パターンが微妙に異なる。
【0065】
一方、前記ステップS815の判別の結果、スイッチSW1のオフイベントがない場合は、直ちに前記ステップS802に戻る。
【0066】
本処理により、可動体39の押下状態に応じてステイタスSが設定され、発光体46の発光処理及び音源回路30等による発音処理がなされる。
【0067】
図9は、図8のステップS802で実行されるモード設定処理のフローチャートを示す図である。
【0068】
まず、パネルスイッチ22のモードスイッチ22aの入力を取り込み(ステップS901)、モードスイッチ22aのオンイベントがあったか否かを判別する(ステップS902)。その判別の結果、モードスイッチ22aのオンイベントがない場合は直ちに本処理を終了する一方、モードスイッチ22aのオンイベントがあった場合は、そのオンイベントがスイッチSWm1のオンであるか否かを判別する(ステップS903)。
【0069】
その判別の結果、オンイベントがスイッチSWm1のオンである場合は、モード値mを、スイッチSW1のオフ後の輝度レベルLをキーオンタイムITに応じて変化させるモードであることを示す値「1」に設定して(ステップS904)、ステップS905に進む一方、オンイベントがスイッチSWm1のオンでない場合は直ちにステップS905に進む。
【0070】
ステップS905では、オンイベントがスイッチSWm2のオンであるか否かを判別する。その判別の結果、オンイベントがスイッチSWm2のオンである場合は、モード値mを、スイッチSW1のオフ後の輝度レベルLをゲートタイムGTに応じて変化させるモードであることを示す値「2」に設定して(ステップS906)、ステップS907に進む一方、オンイベントがスイッチSWm2のオンでない場合は直ちにステップS907に進む。
【0071】
ステップS907では、オンイベントがスイッチSWm3のオンであるか否かを判別する。その判別の結果、オンイベントがスイッチSWm3のオンである場合は、モード値mを、スイッチSW1のオフ後の輝度レベルLをキーオフタイムFTに応じて変化させるモードであることを示す値「3」に設定して(ステップS908)、本処理を終了する一方、オンイベントがスイッチSWm3のオンでない場合は直ちに本処理を終了する。
【0072】
本処理により、モードスイッチ22aの入力に基づき発光体46の残光制御の態様(モード)が決定される。
【0073】
図10は、タイマカウント処理のフローチャートを示す図である。本処理は例えば0.1〜1ms毎にタイマ割り込みにより実行される。
【0074】
まず、スイッチSW1がオン中であるか否かを判別し(ステップS1001)、その判別の結果、スイッチSW1がオン中である場合は第1のカウンタ値Tを「1」だけインクリメントして(ステップS1002)、本処理を終了する一方、スイッチSW1がオン中でない場合は第1のカウンタ値Tを「0」にリセットして(ステップS1003)、本処理を終了する。
【0075】
本処理により、スイッチSW1のオン中において第1のカウンタ値Tがカウントアップされる。本処理でカウントアップされたカウンタ値Tが、前述した図8のステップS807、S810、S814等でその時点におけるT値として利用される。
【0076】
図11は、残光制御処理のフローチャートを示す図である。本処理は例えば2〜10ms毎にタイマ割り込みにより実行される。
【0077】
まず、ステイタスSが「3」に設定されているか否かを判別し(ステップS1101)、その判別の結果、ステイタスSが「3」に設定されている場合は、L≧V2が成立するか否かを判別する(ステップS1102)。ここに、V2は、第1の実施の形態で説明したのと同様に、発光体46及びそれに直列に接続された抵抗から成る電圧制御型とみなせる素子に印加された場合に発光体46が発光可能な最低限の電圧値(例えば2ボルト)に対応する所定値であり、所定値V1より小さく0に近い値である。
【0078】
前記ステップS1102の判別の結果、L≧V2が成立する場合は、モード値mが「1」に設定されているか否かを判別し(ステップS1103)、その判別の結果、モード値mが「1」に設定されていない場合は、モード値mが「2」に設定されているか否かを判別する(ステップS1104)。その結果、モード値mが「1」に設定されている場合はステップS1105に、モード値mが「2」に設定されている場合はステップS1106に、モード値mが「2」に設定されていない場合はモード値mが「3」に設定されているものとしてステップS1107にそれぞれ進む。ステップS1105、S1106、S1107の処理後はいずれも、第2のカウンタ値tを「1」だけインクリメントし(ステップS1108)、本処理を終了する。
【0079】
まず前記ステップS1105では、下記数式1により算出した輝度レベルLを新たな輝度レベルLとする。
【0080】
[数1]
L=L×e−t/TBL(IT)
ここに、eは自然対数の底である。また、TBL(IT)はキーオンタイムITに応じて設定されるテーブル値である。これにより、第2のカウンタ値tのカウントアップに伴い、輝度レベルLが漸次減少する。テーブル値TBL(IT)は時定数に相当するから、該テーブル値TBL(IT)が小さいほど輝度レベルLの減衰は早いということになる。
【0081】
図12は、テーブル値TBL(IT)を設定するためのテーブルTB1を示す図である。同図に示すように、キーオンタイムITの比較値IT1、IT2…ITn(IT1<IT2<ITn)に対応して、テーブル値TBL(IT)としてTBLIT1、TBLIT2…TBLITn(TBLIT1>TBLIT2>TBLITn)が設定されている。キーオンタイムITが大きい(弱タッチである)ほどテーブル値TBL(IT)がより小さい値に設定される。
【0082】
図11の前記ステップS1105及びステップS1108の処理が繰り返されると、輝度レベルLは徐々に減衰していく。その際、キーオンタイムITはオンベロシティの逆数であり、キーオンタイムITが大きい(打撃速度が低い)ほど輝度レベルLの減衰は早くなり、発光体46の残光時間(図7の時点tb6〜時点tb7)が短い。逆にキーオンタイムITが小さい(打撃速度が高い)ほど輝度レベルLの減衰は遅くなり、発光体46は長時間残光を保つ。
【0083】
前記ステップS1106では、下記数式2により算出した輝度レベルLを新たな輝度レベルLとする。
【0084】
[数2]
L=L×e−t/TBL(GT)
ここに、TBL(GT)はゲートタイムGTに応じて設定されるテーブル値である。これにより、第2のカウンタ値tのカウントアップに伴い、輝度レベルLが漸次減少する。テーブル値TBL(GT)は時定数に相当するから、該テーブル値TBL(GT)が小さいほど輝度レベルLの減衰は早いということになる。
【0085】
図13は、テーブル値TBL(GT)を設定するためのテーブルTB2を示す図である。同図に示すように、ゲートタイムGTの比較値GT1、GT2…GTn(GT1<GT2<GTn)に対応して、テーブル値TBL(GT)としてTBLGT1、TBLGT2…TBLGTn(TBLGT1<TBLGT2<TBLGTn)が設定されている。ゲートタイムGTが大きいほどテーブル値TBL(GT)がより大きい値に設定される。
【0086】
図11の前記ステップS1106及びステップS1108の処理が繰り返されると、輝度レベルLは徐々に減衰していく。その際、ゲートタイムGTが小さい(スイッチSW1のオン状態が短い)ほど輝度レベルLの減衰は速くなり、発光体46の残光時間は短い。逆に、ゲートタイムGTが大きいほど輝度レベルLの減衰は遅くなり、発光体46は長時間残光を保つ。
【0087】
前記ステップS1107では、下記数式3により算出した輝度レベルLを新たな輝度レベルLとする。
【0088】
[数3]
L=L×e−t/TBL(FT)
ここに、TBL(FT)はキーオフタイムFTに応じて設定されるテーブル値である。これにより、第2のカウンタ値tのカウントアップに伴い、輝度レベルLが漸次減少する。テーブル値TBL(FT)は時定数に相当するから、該テーブル値TBL(FT)が小さいほど輝度レベルLの減衰は早いということになる。
【0089】
図14は、テーブル値TBL(FT)を設定するためのテーブルTB3を示す図である。同図に示すように、キーオフタイムFTの比較値FT1、FT2…FTn(FT1<FT2<FTn)に対応して、テーブル値TBL(FT)としてTBLFT1、TBLFT2…TBLFTn(TBLFT1>TBLFT2>TBLFTn)が設定されている。キーオフタイムFTが大きいほどテーブル値TBL(FT)がより小さい値に設定される。
【0090】
図11の前記ステップS1107及びステップS1108の処理が繰り返されると、輝度レベルLは徐々に減衰していく。その際、キーオフタイムFTはオフベロシティの逆数であり、キーオフタイムFTが大きい(スティック35の離間動作が緩慢である)ほど輝度レベルLの減衰は速くなり、発光体46の残光時間が短い。逆にキーオフタイムFTが小さい(スティック35の離間動作が俊敏である)ほど輝度レベルLの減衰は遅くなり、発光体46の残光時間が長い。
【0091】
一方、前記ステップS1101の判別の結果、ステイタスSが「3」に設定されていない場合は、第2のカウンタ値tを「0」にリセットして(ステップS1109)、本処理を終了する。この場合、残光制御は行われない。すなわち、ステイタスSが「1」または「2」であれば輝度レベルLが所定値V1に設定されたまま発光体46が発光を継続し、ステイタスSが「0」であれば発光体46は発光しない。
【0092】
前記ステップS1102の判別の結果、L<V2が成立する場合は、ゲートタイムGT、ステイタスS、キーオンタイムIT、減算値FT1、キーオフタイムFT及び輝度レベルLを「0」にリセットし(ステップS1110)、本処理を終了する。この場合は、輝度レベルLが所定値V2まで減衰しており、発光体46が発光不能な状態に近いため、強制的に消光させるようにしたものである。
【0093】
本処理によれば、スイッチSW1のオフ後の輝度レベルLのリリースカーブをキーオンタイムIT、ゲートタイムGTまたはキーオフタイムFTに応じて設定することができる。すなわち、パッド21aをスティック35でたたく際、速くたたく、長く当接させる、あるいは速く離間させることにより、それらの逆の場合よりも発光体46の残光時間を長くすることができる。
【0094】
図7に戻り、図8〜図11の処理による発光体46の実際の発光輝度は、図7(g)に示される。時点tb1〜時点tb6に亘って発光体46は輝度レベルL(所定値V1)に対応する一定の輝度で発光する。そして、時点tb6〜時点tb7に亘って図11の残光制御処理により漸次その輝度が小さくなり、時点tb7以降は発光体46が消光する。これはいわば電気的な制御の作用による。
【0095】
この発光体46の実際の発光輝度と可動体39の上下移動によって、可動体39の頭部42を通して視認される見かけ上の輝度は図7(h)に示される。時点tb1〜時点tb3では、第1の実施の形態の場合と同様に、可動体39が発光体46に漸次接近していく結果、可動体39の頭部42を通して視認される見かけ上の輝度は同図(h)に示すように徐々に大きくなる。これはメカ的な作用による。
【0096】
次いで、時点tb3〜時点tb4に亘って、可動体39の移動がないため見かけ上の輝度は変わらない。時点tb4〜時点tb6では、第1の実施の形態の場合と同様に可動体39が発光体46から漸次遠ざかる結果、見かけ上の輝度も徐々に小さくなる。これもメカ的な作用による。
【0097】
次いで、時点tb6〜時点tb7に亘って、可動体39の発光体46からの漸次離間(メカ的作用)と輝度レベルLの減衰による発光体46の実際の輝度の漸次低下(電気的作用)の双方によって、見かけ上の輝度が徐々に小さくなる。
【0098】
本第2の実施の形態によれば、スティック35でパッド21aをたたくと命中した発光部37が発光して可動体39の頭部42を通して発光が視認される。その際、スイッチSW1、SW2のオンオフの態様によって、可動体39の頭部42を通して視認されるみかけ上の輝度を変化させることができ、しかも発光部37を複数設けたので、スティック35でパッド21aをたたく態様によって、楽音を楽しむだけでなく打撃位置や打撃強さ等を視覚にて容易に認識することができる。従って、ドラム演奏の楽しさが増すだけでなく、例えば演奏の先生と自分との打奏の微妙な差異を容易に把握することができ、練習に役立ち速やかな上達が期待できる。
【0099】
しかも、モードを任意に選択することができるようにしたので、打奏の面白さがより増すだけでなく、打奏の要素をよりきめ細やかに分析することができ、速やかな上達に一層寄与することができる。
【0100】
また、キーオフタイムFTに応じて残光制御するモードでは、スティック35の引き際を先生にあわせて練習すれば、はずむ音(スティック35が押し返されるような奏法による音)の発生や、切れのある打奏を短時間で修得することができる。
【0101】
なお、残光制御のパラメータは、上述したキーオンタイムIT、ゲートタイムGT、キーオフタイムFTに限らず、他のパラメータでもよい。また、各パラメータに応じた発光制御の態様も例示したものに限られず、発光態様を変化させるものであればよい。例えば、キーオンタイムITが小さいほど所定値V1を大きい値に設定するようにしてもよい。その場合は時点tb2までは所定値V1を固定値とし、時点tb2からはキーオンタイムITに応じて所定値V1を設定してもよい。あるいは、LEDの色を変化させるようにしてもよい。
【0102】
なお、第2の実施の形態では、見かけの輝度をメカ的作用及び電気的作用の双方で変化させるようにしたが、電気的作用を主体としてこれを変化させるようにしてもよい。その場合は、可動体39の上下方向の移動量を少なくする、あるいは0にすればよい。
【0103】
(第3の実施の形態)
図15は、図4のVI−VI線に沿う本実施の形態の発光部57の断面図である。本実施の形態に係る発光部57は、第2の実施の形態に係る発光部37とは発光手段の構成が異なり、その他の構成は同一である。
【0104】
すなわち、本実施の形態では、発光体46はスイッチ基板38上でなく、可動体39から離れたところ、例えばパッド21aを支持する支持部近傍に設けられる。そして、発光体46に近接して光ファイバ50が設けられる。光ファイバ50は複数の光ファイバの束であり、例えば同図に示すように、光ファイバ50a、b、cに分岐している。光ファイバ50aはスイッチ基板38を貫通し、これと同様に光ファイバ50b、cは他の発光部57のスイッチ基板38に供給されている。これにより1つの発光体46が発した光が複数の発光部57に分配される。
【0105】
光ファイバ50aは、光の屈折率が当該光ファイバ50aのそれと略等しい接着剤51により、スイッチ基板38に固定されている。接着剤51は、光ファイバ50aの先端部上方から1滴たらされることで、それ自信の表面張力によって凸レンズ状に形成される。これにより、光ファイバ50aから発した光の拡散を抑制し、可動体39の頭部42に効率良く光を透過させることができる。光ファイバ50b、50cも光ファイバ50aと同様に構成される。
【0106】
なお、本実施の形態では、光ファイバ50の分岐数を増やせば発光体46の数は第2の実施の形態の場合ほど多くする必要はない。
【0107】
例えば、1つのパッド21aにつき発光体46を1つに設定し、発光部57は複数(例えば数百)に設定する。この場合、スイッチSW1、SW2を複数設け、いずれの発光部57が打撃されても発光体46は発光するように構成する。このようにすれば、1回の打撃でパッド21a全体が光る。その際、打撃を芯で受けた発光部57は第2の実施の形態と同様の発光態様を示すが、芯から離れた他の発光部57では、可動体39の上下移動がない、あるいは少ないため、主として電気的作用による変化のみが視認される。これにより、スティック35にかくれて見にくかった部分でも輝度の変化が楽しめ、面白いだけでなく、教習効果も増大する。
【0108】
本実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の効果を奏するだけでなく、より有用性を向上させることができる。
【0109】
なお、本実施の形態でも、キーオンタイムITが小さいほど所定値V1を大きい値に設定するようにしてもよい。
【0110】
図16は、ドラム装置20を打奏した場合のタイムチャートの一例を示す図である。同図(a)、(b)、(c)、(d)は図7のものと同様である。同図(i)、(k)は発光体46の実際の発光輝度を表し、同図(j)、(l)は、発光体46の実際の発光輝度が同図(i)、(k)である場合における可動体39の頭部42を通して奏者に視認される見かけ上の輝度をそれぞれ表す。
【0111】
同図(i)に示すように、発光体46をスイッチSW2のオンにより最大輝度LL1で発光させ、スイッチSW2のオフで消光するようにした場合は、同図(j)に示す態様で視認される。一方、同図(k)に示すように、発光体46をスイッチSW2のオンにより最大輝度LL1で発光させ、消光制御は第2の実施の形態と同様に行った場合は、同図(l)に示す態様で視認される。最大輝度LL1は、キーオンタイムITが小さいほど大きい値になるように設定すればよい。
【0112】
このようにすれば、パッド21aを強くたたけばパッド21a全体がパッと明るく光り、打撃強さと輝度とが略比例し、打奏感覚により適合したものとなるので、教習効果が向上する。
【0113】
なお、本第3の実施の形態と第1の実施の形態とを組み合わせることも可能である。すなわち発光部57は第1の実施の形態と同様にメカ的にのみ輝度が変化すると共に、第3の実施の形態と同様に単一の発光体46で複数の発光部57が発光するように構成する。
【0114】
この場合は、電源投入時から発光体46を発光させて、光を常時、各発光部57に供給しておく。このようにすれば、通常の非操作状態ではパッド21a全体が鈍く発光しているように視認される。そして、打撃を受けるとパッド21aの打撃を受けた部分が最も明るく視認され、その周囲は打撃位置から遠ざかるほど暗く視認される。打撃に影響を受けないところは鈍く光ったままである。また、打撃が強いほど明るく視認される面積が大きくなる。よって、いろいろな発光態様が得られ、有用性が向上する。
【0115】
なお、本発明は、ゲーム機本体1のような遊技装置やドラム装置20のような楽器に限らず、各種分野の装置に応用可能である。例えば、舞台装置の床面に発光部7や発光部37や発光部57を複数設け、アクターの足で踏まれたときこれらが発光するようにすれば、アクター自身の「のり」で輝度の変更制御が可能となり、舞台効果を向上させることができる。また、アクターのステップの位置が視認しやすいので、ダンスの練習にも有用である。特に、第3の実施の形態の発光部57を舞台装置に応用すると、舞台効果は大きい。例えば、舞台の30cm四方毎に複数の発光部57とこれらに光を供給する単一の発光体46を設ける。このようにすれば、アクターの足が位置する30cm四方全体が発光するので、足もとが照らされ、しかもその照らされる態様も刻々と変化する。また、強く踏めば明るく光り、弱く踏めば暗く光るので、見ていて楽しい。このように、有用性が向上し、各種装置の用途を拡大することができる。
【0116】
なお、第1、第2、第3の実施の形態において、可動体9、39を上方からみて円筒状に形成したが、これに限るものではない。例えば、断面が図2の可動体9のような形状をした長尺部材を押し出し成形等により得て、これをいわゆる金太郎飴状に適当なサイズに分断して可動体9等を形成してもよい。これにより、可動体9等が均一となり、精度が向上する。
【0117】
また、押し出し成形で得た上記長尺部材をそのままもぐら4やパッド21a等に取り付けてもよい。この場合は、上記長尺部材に固定接点17等を等間隔に複数設けると共に、これに対応する可動接点9c等及び発光体16等をスイッチ基板8等に設ければよい。これにより、可動体9等が連続するので、発光体16等の発光が隣接する可動体9等でも弱いながら視認されるので、打撃中心では強く光り、近傍では弱く光る等、打撃態様をより詳細に認識することができる。なお、長尺部材をパッド21aに取り付ける態様として、放射状に配置する等が考えられる。
【0118】
また、上記長尺部材を第3の実施の形態に適用する場合、1つの長尺部材に対応して、1つの発光体46を設けると共に光ファイバ50a及び接着剤51を複数設けてもよい。この場合、スイッチSW1、SW2の数は種々の設定が可能である。このようにすれば、長尺部材のいずれかの部分を打撃すると、当該長尺部材全体が発光してみえる。しかも打撃中心は特に明るく発光してみえる。
【0119】
なお、第1、第2の実施の形態において、可動体9等のストッパ機能を外装部10、40に持たせるようにしたが、突部9b等が可動体9等の押下時にスイッチ基板8等に当接して可動体9等の下限位置を規制するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る輝度可変装置を備えたゲーム機本体の構成を示す外観斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う発光部の断面図である。
【図3】発光部の発光状態及び見かけ上の輝度の変化を表すタイムチャートを示すである。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る輝度可変装置を備えた電子ドラム装置の構成を示す外観斜視図である。
【図5】電子ドラム装置の全体構成を示すブロック図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿う発光部の断面図である。
【図7】電子ドラム装置を打奏した場合のタイムチャートの一例を示す図である。
【図8】メイン処理のフローチャートを示す図である。
【図9】図8のステップS802で実行されるモード設定処理のフローチャートを示す図である。
【図10】タイマカウント処理のフローチャートを示す図である。
【図11】残光制御処理のフローチャートを示す図である。
【図12】テーブル値TBL(IT)を設定するためのテーブルTB1を示す図である。
【図13】テーブル値TBL(GT)を設定するためのテーブルTB2を示す図である。
【図14】テーブル値TBL(FT)を設定するためのテーブルTB3を示す図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係る輝度可変装置の発光部の図4のVI−VI線に沿う断面図である。
【図16】ドラム装置を打奏した場合のタイムチャートの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0121】
20 ドラム装置、 21 ドラム部、 21a パッド、 21b パッド面、 23 打奏検出回路、 25 CPU(制御手段)、 37 発光部、 35 スティック、 38 スイッチ基板(固定部)、 39 可動体、 39c 第2の可動接点(スイッチ部)、 39d 第1の可動接点(スイッチ部)、 41 シート部、 42 頭部(透光体の一部)、 43 胴部(透光体の一部)、 44 脚部(弾性支持部)、 45 固定端部、 46 発光体(発光手段またはその一部)、 47 第2の固定接点(スイッチ部)、 49 第1の固定接点(スイッチ部)、 50 光ファイバ(発光手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過可能で且つ押下されて移動する透光体と、
該透光体の押下によりオンされるスイッチ部と、
前記透光体が押下方向に移動するほど該透光体に近づくような位置に配設された発光手段と、
前記スイッチ部がオンされたときに前記発光手段の発光を開始させると共に前記スイッチ部がオフされたときに前記発光手段の消光を開始させ、且つ、前記発光手段の消光開始後の発光輝度を前記スイッチ部のオンオフの態様に応じて可変制御する制御手段とを備え、
前記発光手段の光が、前記透光体を透過して視認されるように構成されたことを特徴とする輝度可変装置。
【請求項2】
前記スイッチ部は、2メイク式に構成されており、前記スイッチ部のメイク時間差に基づき該スイッチ部のオンベロシティ及びオフベロシティを検出するベロシティ検出手段を備え、前記制御手段は、前記ベロシティ検出手段により検出されたオンベロシティ及びオフベロシティのいずれか一方に基づいて、前記発光手段の消光開始後の発光輝度を可変制御することを特徴とする請求項1記載の輝度可変装置。
【請求項3】
前記スイッチ部のオンオフのゲートタイムを検出するゲートタイム検出手段を備え、前記制御手段は、前記ゲートタイム検出手段により検出されたゲートタイムに基づいて、前記発光手段の消光開始後の発光輝度を可変制御することを特徴とする請求項1記載の輝度可変装置。
【請求項4】
前記透光体の前記発光手段に対向する側に形成された凹状面を有し、前記透光体が前記発光手段に対して遠ざかるほど、前記発光手段から前記凹状面に入射する光が減少することで、前記発光手段の光による前記透光体のみかけ上の発光輝度が、前記透光体と前記発光手段との距離が遠いほど低くなるようにする輝度可変手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の輝度可変装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−52420(P2007−52420A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217249(P2006−217249)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【分割の表示】特願平10−66099の分割
【原出願日】平成10年3月3日(1998.3.3)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】