説明

輝度測定装置における補正係数算出方法および輝度測定装置

【課題】輝度測定装置において、高価な面光源を用いることなく高精度の補正データを作成する。
【解決手段】複数の画素を備えた撮像素子を有する輝度測定装置における補正係数算出方法であって、基準位置で対象物を撮像するステップと、基準位置に対して少なくとも1画素分ずらして対象物を撮像するステップと、撮像結果に基づいて、所定の基準画素に対する画素毎の感度比率を算出する感度比率算出ステップと、感度比率に基づいて画素毎の感度補正係数を算出する感度補正係数算出ステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輝度測定装置に係り、特に、輝度測定装置に備えられた撮像素子の感度特性補正技術に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象物の輝度を測定する輝度測定装置が知られている。図7は、従来の輝度測定装置の構成例を示すブロック図である。本図に示すように検査対象物700の輝度および輝度分布を測定する輝度測定装置600は、撮像装置610と制御装置620とを備えて構成される。なお、検査対象物700は、例えば、フラットパネルディスプレイ装置、平面光源等とすることができる。
【0003】
撮像装置610は、レンズ、絞り機構等を備えた光学系611と、CCD、CMOS等の撮像素子612と、露出、撮像タイミング等の撮像装置610における撮像処理を制御し、撮像した画像データを出力する撮像制御部613とを備えている。
【0004】
制御装置620は、画像データを入力する画像入力部621と、画像補正部622と、画像処理部623と、結果表示部624と、補正データ作成部625とを備えている。画像処理部623は、画像データに対して強調処理、2値化処理、特徴量計算処理や識別処理等の判定処理等を行ない、検査対象物の表示素子ごとの輝度および輝度分布を評価する。結果表示部624は、評価結果等を画像表示したり、ファイル出力したりする。
【0005】
一般に、撮像装置610が出力する画像データは、光学系611の特性である周辺減光や、撮像素子612毎の感度特性のバラツキ等によって、検査対象物の真の輝度分布ではなく、輝度ムラを含んでいる。画像補正部622は、この輝度ムラを補正して検査対象物の真の輝度分布を示す画像にする補正を行なう。この補正は、補正データ作成部625が作成する補正データを用いて行なう。
【0006】
補正データの作成は、以下のように行なうことができる。すなわち、一様な輝度分布を持つ基準面光源を用意し、撮像装置610で基準面光源を撮像する。この画像データの輝度分布は、撮像装置610の特性に基づくため、撮像素子612の各画素の輝度値の逆数を算出して、補正データとする。この際に、Median処理、平滑化処理等を行なうようにしてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−76203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一様な輝度分布を持つ基準面光源は、積分球等が用いられるが、補正データによる補正精度は、基準面光源の面内輝度分布の精度に依存することになる。したがって、補正データによる補正精度を高めるためには、面内輝度分布が均一な高精度の基準面光源を用意しなければならない。しかしながら、大型で高精度の基準面光源は、一般に高価である。
【0009】
そこで、本発明は、輝度測定装置において、高価な面光源を用いることなく高精度の補正データを作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である補正係数算出方法は、複数の画素を備えた撮像素子を有する輝度測定装置における補正係数算出方法であって、基準位置で対象物を撮像するステップと、前記基準位置に対して少なくとも1画素分ずらして前記対象物を撮像するステップと、前記撮像結果に基づいて、所定の基準画素に対する画素毎の感度比率を算出する感度比率算出ステップと、前記感度比率に基づいて画素毎の感度補正係数を算出する感度補正係数算出ステップとを有する。
【0011】
本発明では、対象物の同一の領域を異なる画素で撮像することにより、画素毎の感度比率を算出するため、面内輝度分布が均一な高精度の基準面光源を用いることなく高精度の補正データを作成することができるようになる。
【0012】
より具体的には、前記感度比率算出ステップは、前記基準画素のずらし方向側の画素を順次注目画素として、前記基準位置で撮像した場合に注目画素で取得された輝度値と、少なくとも1画素分ずらして撮像した場合に前記注目画素の基準画素側の画素(「第1比較画素」と称する)で取得された輝度値との比と、前記第1比較画素の感度比率との積を前記注目画素の感度比率とすることができる。
【0013】
また、前記感度比率算出ステップは、前記基準画素のずらし方向と反対側の画素を順次注目画素として、少なくとも1画素分ずらして撮像した場合に注目画素で取得された輝度値と、前記基準位置で撮像した場合に前記注目画素の基準画素側の画素(「第2比較画素」と称する)で取得された輝度値との比と、前記第2比較画素の感度比率との積を前記注目画素の感度比率とすることができる。
【0014】
さらに、前記感度補正係数算出ステップは、前記感度比率の逆数を算出して感度補正係数とすることができる。
【0015】
また、前記対象物を撮像するステップは、水平方向に少なくとも1画素分ずらして撮像する処理と、鉛直方向に少なくとも1画素分ずらして撮像する処理とを含み、前記感度比率算出ステップは、水平方向および鉛直方向について画素毎の感度比率を算出するようにしてもよい。
【0016】
あるいは、前記対象物を撮像するステップは、対象物の輝度を異ならせて撮像する処理を含み、前記感度比率算出ステップは、輝度変化に対応した補正係数を備えるために、対象物の輝度ごとに前記感度比率を算出するようにしてもよい。
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である輝度測定装置は、複数の画素を備えた撮像素子を有する輝度測定装置であって、基準位置に対して少なくとも1画素分ずらして前記撮像素子を移動させる微動機構と、基準位置で対象物を撮像し、前記基準位置に対して少なくとも1画素分ずらして前記対象物を撮像し、前記撮像結果に基づいて、所定の基準画素に対する画素毎の感度比率を算出し、前記感度比率に基づいて画素毎の感度補正係数を算出する補正データ作成部と、前記感度補正係数を用いて前記撮像素子が撮像した画像データを補正する画像補正部と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、輝度測定装置において、高価な面光源を用いることなく高精度の補正データを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る輝度測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】補正データ作成手順を示すフローチャートである。
【図3】画素ずらしの位置を説明する図である。
【図4】画素をずらした3箇所での撮像結果を示す図である。
【図5】感度比率の算出領域と算出結果とを示す図である。
【図6】補正データである輝度補正係数の算出結果を示す図である。
【図7】従来の輝度測定装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る輝度測定装置の構成を示すブロック図である。本図に示すように検査対象物200の表示素子ごとの輝度および輝度分布を測定する輝度測定装置100は、撮像装置110と、制御装置120と、微動機構130とを備えて構成される。なお、検査対象物200は、例えば、フラットパネルディスプレイ装置、面光源等とすることができる。
【0021】
撮像装置110は、レンズ、絞り等を備えた光学系111と、CCD、CMOS等の撮像素子112と、露出、撮像タイミング等の撮像装置110における撮像処理を制御し、撮像した画像データを出力する撮像制御部113とを備えている。ただし、撮像処理の制御は制御装置120側で行なうようにしてもよい。
【0022】
制御装置120は、画像データを入力する画像入力部121と、画像補正部122と、画像処理部123と、結果表示部124と、補正データ作成部125とを備えている。制御装置120は、PC等の情報処理装置を用いることができる。
【0023】
画像補正部122は、補正データ作成部125が作成した補正データを用いて撮像装置110が撮像した画像データの輝度ムラを補正する。ここで、補正データは、撮像素子112の画素毎に輝度補正係数が定められたデータであり、画像補正部122は、画像データの各画素の輝度値に対して、対応する輝度補正係数を乗じることにより輝度ムラの補正を行なう。
【0024】
画像処理部123は、画像データに対して強調処理、2値化処理、特徴量計算処理や識別処理等の判定処理等を行ない、検査対象物の表示素子ごとの輝度および輝度分布を評価する。結果表示部124は、評価結果等を画像表示したり、ファイル出力したりする。
【0025】
補正データ作成部125は、基準面光源を基準位置および基準位置に対して少なくとも1画素分ずらした位置で撮像された撮像結果に基づいて、所定の基準画素に対する画素毎の感度比率を算出し、感度比率に基づいて画素毎の感度補正係数を算出することにより補正データを作成する。
【0026】
より具体的に説明すると、感度比率の算出に際しては、基準画素のずらし方向側の画素を順次注目画素として、基準位置で撮像した場合に注目画素で取得された輝度値と、少なくとも1画素分ずらして撮像した場合に注目画素の基準画素側の画素(「第1比較画素」と称する)で取得された輝度値との比と、第1比較画素の感度比率との積を注目画素の感度比率とする。
【0027】
また、基準画素のずらし方向と反対側の画素を順次注目画素として、少なくとも1画素分ずらして撮像した場合に注目画素で取得された輝度値と、基準位置で撮像した場合に注目画素の基準画素側の画素(「第2比較画素」と称する)で取得された輝度値との比と、第2比較画素の感度比率との積を注目画素の感度比率とする。
【0028】
微動機構130は、補正データ作成部125の制御にしたがって撮像装置110の撮像位置を水平方向および鉛直方向に画素単位で移動させる。いわゆる画素ずらし画像を撮像する場合は、撮像素子の1/2、1/3、1/4といった1画素に満たない移動量で微動させて撮像素子の不感帯を補うものであるが、本発明の微動機構130は、撮像装置110の撮像位置を画素単位で移動させるものであり、少なくとも1画素以上の移動を行なう。微動機構130は、例えば、特開2008−98968号公報に記載されている微動ステージにおけるアクチュエータを用いて構成することができる。
【0029】
上記の構成において、補正データ作成部125が補正データを作成する際には、検査対象物200に代えて、図示しない基準面光源を撮像する。本実施形態では、基準面光源の輝度分布は、従来の構成で要求されるほど一様でなくてもよく、概ね均一な輝度分布を持つ面光源、スクリーン、白基準板等とすることができる。このため、高価な基準面光源を用いずに補正データを作成することができる。
【0030】
本実施形態における補正データ作成手順について図2のフローチャートを参照して説明する。まず、撮像装置110により、基準面光源を基準位置Aで撮像する(S101)。ここで、基準位置Aは、撮像素子112の各画素が基準面光源を撮影できるような任意の位置とすることができる。
【0031】
次に、微動機構130を動作させ、撮像装置110を水平方向に1画素分移動させた位置Bに移動させる(S102)。ここでは、図3に示すように、撮像装置110を1画素分右側に移動させた位置を位置Bとする。そして、基準面光源を位置Bで撮像する(S103)。
【0032】
位置Bで基準面光源を撮像すると、微動機構130を動作させ、撮像装置110を基準位置Aに対して鉛直方向に1画素分移動させた位置Cに移動させる(S105)。ここでは、図3に示すように、撮像装置110を基準位置Aに対して1画素分上側に移動させた位置を位置Cとする。そして、基準面光源を位置Cで撮像する(S105)。
【0033】
なお、水平方向、鉛直方向とも1画素分ずらして撮像する理由は、基準面光源上の同一の領域を異なる画素で撮像することになり、画素毎の感度比率を算出できるようになることと、1画素程度分の移動では、基準面光源の均一性が保たれ、感度比率の算出において周辺減光等の影響を少なくすることができるからである。ただし、ずらし量は1画素に限られず、2以上の数画素分であってもよい。この場合、後述する感度比率の算出において、比較対象となる画素の位置をずらし量に対応させて調整するようにする。
【0034】
画素をずらした3箇所での撮像を終えると、水平方向感度比率を算出し(S106)、さらに、鉛直方向感度比率を算出する(S107)。
【0035】
ここで、水平方向感度比率および鉛直方向感度比率は、撮像素子612を構成する画素の中から基準画素を定め、他のそれぞれの画素が、基準面光源の撮像結果において、基準画素と比較してどの程度の感度特性を有しているかを示す値である。
【0036】
水平方向感度比率と鉛直方向感度比率の算出方法について図4および図5を参照して説明する。ここでは説明を簡単にするため、撮像素子612は、水平方向について1〜9の9個の画素、鉛直方向について1〜9の9個の画素で、合計81個の画素から構成されているものとする。また、基準画素は、中心の(5,5)の画素とする。
【0037】
図4は、基準位置Aでの撮像結果、位置Bでの撮像結果、位置Cでの撮像結果を示しており、それぞれ各画素の輝度値を示している。まず、基準位置Aでの撮像結果と位置Bでの撮像結果とを用いて、水平方向感度比率を算出する。水平方向感度比率の算出は、基準画素を含む水平方向の各画素(1,5)〜(9,5)について感度比率を算出する。なお、感度比率は、基準画素(5,5)に対する比率とするため、基準画素(5,5)の比率は1.0とする。
【0038】
水平方向感度比率では、図5の領域2が示す基準画素から左側の画素(4,5)〜(1,5)と、領域1が示す基準画素から右側の画素(6,5)〜(9,5)とで、算出方法が異なる。
【0039】
まず、図5の領域1が示す基準画素から右側の画素(6,5)〜(9,5)の水平方向感度比率の算出方法について説明する。これらの画素は、基準画素のずらし方向側の画素である。まず、画素(6,5)を注目画素とする。この場合、画素(5,5)が第1比較画素となる。
【0040】
図4が示す基準位置Aでの撮像結果および位置Bでの撮像結果から分かるように、基準位置Aで画素(6,5)が撮像した基準面光源の領域は、位置Bでは、基準画素(5,5)が撮像していることになる。同一の領域を撮像したのにもかかわらず、画素(6,5)の輝度値は64であり、基準画素(5,5)の輝度値は48となっている。すなわち、画素(6,5)の感度は、基準画素(5,5)に対して、64/48=1.33となる。
【0041】
次に、画素(7,5)を注目画素とする。この場合、画素(6,5)が第1比較画素となる。画素(6,5)を注目画素とした場合と同様に、基準位置Aで画素(7,5)が撮像した基準面光源の領域は、位置Bでは、画素(6,5)が撮像していることになる。同一の領域を撮像したのにもかかわらず、画素(7,5)の輝度値は49であり、画素(6,5)の輝度値は56となっている。すなわち、画素(7,5)の感度は、画素(6,5)に対して、49/56=0.88となる。ここで、画素(6,5)の感度は基準画素(5,5)に対して1.33であるから、画素(7,5)の基準画素(5,5)に対する感度は、0.88×1.33=1.17となる。
【0042】
以上から、領域1が示す基準画素から右側の画素(6,5)〜(9,5)における水平方向感度比率は、
感度比率(x,5)=位置A(x,5)/位置B(x−1,5)×感度比率(x−1,5)
で求めることができる。
【0043】
次に、図5の領域2が示す基準画素から左側の画素(4,5)〜(1,5)の水平方向感度比率の算出方法について説明する。これらの画素は、基準画素のずらし方向と反対側の画素である。まず、画素(4,5)を注目画素とする。この場合、画素(5,5)が第2比較画素となる。
【0044】
図4が示す基準位置Aでの撮像結果および位置Bでの撮像結果から分かるように、基準位置Aで基準画素(5,5)が撮像した基準面光源の領域は、位置Bでは、画素(4,5)が撮像していることになる。同一の領域を撮像したのにもかかわらず、基準画素(5,5)の輝度値は60であり、画素(4,5)の輝度値は80となっている。すなわち、画素(4,5)の感度は、基準画素(5,5)に対して、80/60=1.33となる。
【0045】
次に、画素(3,5)を注目画素とする。この場合、画素(4,5)が第2比較画素となる。画素(4,5)を注目画素とした場合と同様に、基準位置Aで画素(4,5)が撮像した基準面光源の領域は、位置Bでは、画素(3,5)が撮像していることになる。同一の領域を撮像したのにもかかわらず、画素(4,5)の輝度値は64であり、画素(3,5)の輝度値は56となっている。すなわち、画素(3,5)の感度は、画素(4,5)に対して、56/64=0.88となる。ここで、画素(4,5)の感度は基準画素(5,5)に対して1.33であるから、画素(3,5)の基準画素(5,5)に対する感度は、0.88×1.33=1.17となる。
【0046】
以上から、図5の領域2が示す基準画素から左側の画素(4,5)〜(1,5)における水平方向感度比率は、
感度比率(x,5)=位置B(x,5)/位置A(x+1,5)×感度比率(x+1,5)
で求めることができる。
【0047】
鉛直方向感度比率は、水平方向感度比率が算出された列(以下「基準列」と称する)を基準にして、基準位置Aでの撮像結果と、位置Cでの撮像結果とを用いて水平方向感度比率の算出と同様に算出することができる。
【0048】
すなわち、ずらし方向側である図5の領域3が示す基準列から上側の画素(x,4)〜(x,1)と、ずらし方向と反対側である領域4が示す基準列から下側の画素(x,6)〜(x,9)とで、算出方法が異なる。なお、xは、1〜9それぞれについて基準列を基準にして鉛直方向感度比率を求めるようにする。
【0049】
図5の領域3が示す基準列から上側の画素(x,4)〜(x,1)における鉛直方向感度比率は、
感度比率(x,y)=位置A(x,y)/位置C(x,y+1)×感度比率(x,y+1)
で求めることができる。
【0050】
一方、図5の領域4が示す基準列から下側の画素(x,6)〜(x,9)における鉛直方向感度比率は、
感度比率(x,y)=位置C(x,y)/位置A(x,y−1)×感度比率(x,y−1)
で求めることができる。以上の結果、各画素の感度比率は、図5に示すような値となる。
【0051】
以上の手順により、各画素について基準画素に対する感度比率を算出すると、補正データ作成部125は、補正データを生成する(S108)。ここで、補正データは、画素毎の輝度補正係数であり、感度比率の逆数で求めることができる。図6は、算出された輝度補正係数を示す図である。
【0052】
画像補正部122は、補正データ作成部125が作成した補正データにしたがって、撮像装置110が撮像した検査対象物200の画像データの各輝度値を補正することで、輝度ムラのない画像データを得ることができる。
【0053】
なお、上述の例では、2次元の撮像素子を例に説明したが、本発明は、1次元のライン型の撮像素子を用いた場合にも適用することができる。ライン型の撮像素子を用いた場合は、水平方向あるいは鉛直方向のいずれか一方に対する感度比率算出処理および輝度補正係数算出処理を行なえばよい。
【0054】
また、基準画素(5,5)の感度比率を1.0としたが、他の撮像装置との特性差を考慮して定めるようにしてもよい。例えば、撮像装置Aが撮像装置Bと比較して、2倍の感度を有していれば、撮像装置Aにおける基準画素(5,5)の感度比率を1.0とし、撮像装置Bにおける基準画素(5,5)の感度比率を0.5と設定するようにしてもよい。撮像装置毎の感度差は同一対象物に対する基準画素の輝度を比較したり、所定領域の画素における平均輝度値を算出すること等で取得することができる。
【0055】
また、撮像位置は1画素分ずらした3箇所としたが、縦横方向に撮像素子全面分移動し、それぞれの位置で撮像することで、撮像素子全面を補正するようにしてもよい。また、画像補正部122をハードウェアで構成するとともに撮像装置110側に設けて、リアルタイムで高速に補正処理を行なうようにしてもよい。
【0056】
また、補正データ作成部125による補正データの作成は、輝度測定装置の出荷前のみならず、出荷後においてユーザが適宜行なったり、サービスマンがメンテナンス時に行なうことができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、画素をずらして撮像し、画素毎の感度比率を算出することで補正データを作成しているため、高価な面光源を用いることなく高精度の補正データを作成することができるようになる。
【0058】
また、補正データの作成を2以上の異なる輝度で実施し、輝度分布の補正データのみならず、撮像素子ひとつひとつの感度の「傾き」と「切片」とを算出してもよい。すなわち、2つ以上の異なる輝度の基準面光源を用いて、輝度ごとに補正データを作成し、輝度による補正データに差異が生じる場合には、撮像素子の感度補正を行なう、もしくは、輝度に応じた補正係数項を備えることで、輝度変化に対しても補正が可能となる。また、撮像素子ごとの「傾き」、「切片」は別の手法で求め、本発明の輝度分布の補正を加えることで、さらに高精度の補正を行なうことができる。
【符号の説明】
【0059】
100…輝度測定装置
110…撮像装置
111…光学系
112…撮像素子
113…撮像制御部
120…制御装置
121…画像入力部
122…画像補正部
123…画像処理部
124…結果表示部
125…補正データ作成部
130…微動機構
200…検査対象物
600…輝度測定装置
610…撮像装置
611…光学系
612…撮像素子
613…撮像制御部
620…制御装置
621…画像入力部
622…画像補正部
623…画像処理部
624…結果表示部
625…補正データ作成部
700…検査対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を備えた撮像素子を有する輝度測定装置における補正係数算出方法であって、
基準位置で対象物を撮像するステップと、
前記基準位置に対して少なくとも1画素分ずらして前記対象物を撮像するステップと、
前記撮像結果に基づいて、所定の基準画素に対する画素毎の感度比率を算出する感度比率算出ステップと、
前記感度比率に基づいて画素毎の感度補正係数を算出する感度補正係数算出ステップとを有することを特徴とする補正係数算出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の補正係数算出方法であって、
前記感度比率算出ステップは、
前記基準画素のずらし方向側の画素を順次注目画素として、前記基準位置で撮像した場合に注目画素で取得された輝度値と、少なくとも1画素分ずらして撮像した場合に前記注目画素の基準画素側の画素(「第1比較画素」と称する)で取得された輝度値との比と、前記第1比較画素の感度比率との積を前記注目画素の感度比率とすることを特徴とする補正係数算出方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の補正係数算出方法であって、
前記感度比率算出ステップは、
前記基準画素のずらし方向と反対側の画素を順次注目画素として、少なくとも1画素分ずらして撮像した場合に注目画素で取得された輝度値と、前記基準位置で撮像した場合に前記注目画素の基準画素側の画素(「第2比較画素」と称する)で取得された輝度値との比と、前記第2比較画素の感度比率との積を前記注目画素の感度比率とすることを特徴とする補正係数算出方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の補正係数算出方法であって、
前記感度補正係数算出ステップは、
前記感度比率の逆数を算出して感度補正係数とすることを特徴とする補正係数算出方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の補正係数算出方法であって、
前記対象物を撮像するステップは、水平方向に少なくとも1画素分ずらして撮像する処理と、鉛直方向に少なくとも1画素分ずらして撮像する処理とを含み、
前記感度比率算出ステップは、水平方向および鉛直方向について画素毎の感度比率を算出することを特徴とする補正係数算出方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の補正係数算出方法であって、
前記対象物を撮像するステップは、対象物の輝度を異ならせて撮像する処理を含み、
前記感度比率算出ステップは、輝度変化に対応した補正係数を備えるために、対象物の輝度ごとに前記感度比率を算出することを特徴とする補正係数算出手段。
【請求項7】
複数の画素を備えた撮像素子を有する輝度測定装置であって、
基準位置に対して少なくとも1画素分ずらして前記撮像素子を移動させる微動機構と、
基準位置で対象物を撮像し、前記基準位置に対して少なくとも1画素分ずらして前記対象物を撮像し、前記撮像結果に基づいて、所定の基準画素に対する画素毎の感度比率を算出し、前記感度比率に基づいて画素毎の感度補正係数を算出する補正データ作成部と、
前記感度補正係数を用いて前記撮像素子が撮像した画像データを補正する画像補正部と、
を備えたことを特徴とする輝度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−2401(P2011−2401A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147231(P2009−147231)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】