説明

輻射線硬化性接着剤

本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂に関し、この樹脂は、第一のステップにおいて、少なくとも1種のポリイソシアネート(I)と、イソシアネート基と反応できる少なくとも2個の反応基を含有する少なくとも1種の化合物(II)及びイソシアネート基と反応できる本質的に1個の反応基を含有する少なくとも1種の(メタ)アクリレート(III)との反応、並びに、次のステップにおいて、第一のステップで得られた生成物を、第一のステップで使用されるポリイソシアネート(I)とは異なる少なくとも1種のポリイソシアネート(IV)と反応させること、から得られるものであり、並びに輻射線硬化感圧接着剤を製造するためのこの樹脂の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻射線硬化性ウレタン樹脂、及び接着剤特に感圧接着剤の製造のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
輻射線硬化性接着剤は、従来の溶媒系、水系及び/又はホットメルト型接着剤を超える幾つかの利点を有する。この輻射線硬化性接着剤は速硬性であり、その結果として高作業量、工程の省力化、省エネルギー消費、省床面積、及び揮発性有機化合物(VOC)などの望ましくない成分を低減若しくは放出しない。輻射線硬化性ポリウレタンは、輻射線硬化性接着性共重合体の成分として有用な特性を発揮することで知られている。多くの輻射線硬化性ポリウレタン組成物及びそれらの感圧接着剤(PSA)としての用途がこれまでに提案されている。
【0003】
日本公開特許公報2002−309185号は、ポリウレタンに基づいた輻射線硬化性PSAを開示しており、このポリウレタンは、先ず水素化ポリブタジエンポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させ、次に、直前のステップで得た末端イソシアネート基含有化合物とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとを反応させることにより合成される。この骨格の長さは短く、かつウレタン結合の繰り返し数は2〜5に限定される。
【0004】
日本公開特許公報2002−322454号は、輻射線硬化性脱着可能感圧接着剤を開示しており、この感圧接着剤は、シリコーンポリオール、1,4−ポリブタジエンジオール、水素化1,4−ポリブタジエンジオール、メチレングリコール及び/又はフルオロ/パーフルオロアリレンポリオールなどのポリオールに基づいた特殊なウレタン(メタ)アクリレートを含有している。
【0005】
米国特許5,747,551号及び5,883,148号は、(a)光開始剤、(b)ペンダントアクリレートを有するポリウレタン、(c)アクリレートモノマー、(d)Mnが4,000〜6,000のアクリレート化ポリブタジエン、及び(e)粘着付与剤を含むUV硬化性PSAを開示している。
【0006】
WO05−068529号は、ジイソシアネート、アクリレートから誘導されたポリオール及びゴムポリマーから誘導されたポリオールの混合物とを反応させて形成されたウレタン延長型骨格をもつウレタン(メタ)アクリレートポリマーを含むUV硬化性PSAを開示している。
【0007】
WO06−117156号は、ジイソシアネートと、ゴムポリマーから誘導されたポリオールとを反応させて形成されたウレタン(メタ)アクリレートポリマーを含むUV硬化性PSAを開示している。
【0008】
WO07−025577号は、10〜80重量%の、1,000ダルトン以上の分子量を有する、少なくとも1種のポリオールと、0.5〜20重量%の少なくとも1種のポリイソシアネートと、0.1〜10重量%の少なくとも1種のヒドロキシ(メタ)アクリレートと、10〜80重量%の1種以上の粘着付与樹脂との無溶媒一段階重合で作られたUV硬化性PSAを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】日本公開特許公報2002−309185号
【特許文献2】日本公開特許公報2002−322454号
【特許文献3】米国特許5,747,551号
【特許文献4】米国特許5,883,148号
【特許文献5】WO05/068529号
【特許文献6】WO06/117156号
【特許文献7】WO07/025577号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】感圧接着テープ協議会、グレンビューIII、2001年8月、13版、感圧接着テープの試験法
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、このような技術的進歩にも拘わらず、輻射線硬化性接着剤は、広範な商業的成功を収めるに至っていない。良好な接着性能に必要な(凝集力、粘着力などの)その他の特性の要求されるバランスを維持しながら、輻射線硬化可能な官能基を含有する接着剤の提供が難しいことが判った。その上、輻射線硬化性接着剤が、末端ユーザーを配慮しない法外な高い値段でないことが望まれている。
【0012】
本発明は、先行技術の接着剤に関する前述の問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
それ故、本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂であって、第一のステップにおいて、少なくとも1種のポリイソシアネート(I)と、イソシアネート基と反応できる少なくとも2個の反応基を含有する少なくとも1種の化合物(II)及びイソシアネート基と反応できる本質的に1個の反応基を含有する少なくとも1種の(メタ)アクリレート(III)との反応、並びに、次のステップにおいて、第一のステップで得られる生成物を、第一のステップで使用されるポリイソシアネート(I)とは異なる少なくとも1種のポリイソシアネート(IV)と反応させること、から得られるウレタン(メタ)アクリレート樹脂に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、用語「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリル化合物の両者又は誘導体、並びにそれらの混合物を包含するものと理解されるべきである。
【0015】
ポリイソシアネート(I)及び(IV)は、少なくとも2個のイソシアネート基を含む有機化合物を示している。このイソシアネート化合物は、3個以下のイソシアネート基を含むことが好ましく、最も好ましくは、ジイソシアネートである。
【0016】
通常、ポリイソシアネート化合物は、脂肪族、脂環式、芳香族及び/又は複素環式ポリイソシアネート又はそれらの組み合わせから選ばれる。
【0017】
脂肪族及び脂環式ポリイソシアネートの例は、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,1’−メチレンビス[4−イソシアナトシクロヘキサン](H12MDI)、5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)及び水素化テトラメチルキシリレンジイソシアネートである。2個以上のイソシアネート基を含有する脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、1,6−ジイソシアナトヘキサンビュレット(HDI−ビュレット)及びトリマーのような前記のジイソシアネートの誘導体である。
【0018】
芳香族ポリイソシアネートの例は、1,4−ジイソシアナトベンゼン(BDI)、2,4−ジイソシアナトトルエン(TDI)、1,1’−メチレンビス[4−イソシアナトベンゼン](4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)及び4−ブロモ−メタフェニレンジイソシアネートである。
【0019】
ポリイソシアネート(I)は、好ましくは、HDI、H12MDI、HDI−ビューレット及びIPDIなどの脂肪族及び脂環式ポリイソシアネート、並びに、TMXDIなどのベンジル系ジイソシアネート、から選ばれる。ポリイソシアネート(I)は、より好ましくは、IPDI及びTMXDIから選ばれる。
【0020】
ポリイソシアネート(IV)は、好ましくは、芳香族ポリイソシアネートから選ばれ、より好ましくは、MDI、PPDI及びTDIなどの、イソシアネート基が芳香環に直接に結合しているものから選ばれる。MDI又はBayer社からMondure(登録商標)MLとして商業化されているポリイソシアネートなどの、このような化合物を大量に含むポリイソシアネートが特に好ましい。
【0021】
ウレタン樹脂の合成に使用されるポリイソシアネート(I)の量は、一般的に、化合物(I)、(II)、(III)及び(IV)の総量の、0.05〜10重量%の範囲、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは1.5〜5重量%の範囲である。
【0022】
ウレタン樹脂の合成に使用されるポリイソシアネート(IV)の量は、一般的に、化合物(I)、(II)、(III)及び(IV)の総量の、0.5〜10重量%の範囲であり、好ましくは、2〜8重量%、そして、より好ましくは3〜6.5重量%の範囲である。
【0023】
イソシアネート基と反応できる少なくとも2個の反応基を含有する化合物(II)は、好ましくはポリオールである。ウレタン樹脂の製造に使用されるポリオールは、少なくとも400の数平均分子量を有する高分子量ポリオール、又は400未満の分子量を有する低分子量ポリオール、又はそれらの任意の組み合わせ、若しくは混合物であってもよい。高分子量ポリオールが好ましく、特に、少なくとも1,000の、かつ30,000以下の数平均分子量を有する高分子量ポリオールが好ましく、15,000以下の数平均分子量のものがより好ましい。
【0024】
低分子量ポリオールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール及びジ−ペンタエリスリトールである。
【0025】
高分子量ポリオールの例は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリジエンポリオール及び水素化ポリジエンポリオール、並びにそれらの組み合わせである。
【0026】
特に好ましいのは、ポリエステルポリオール、ポリジエンポリオール及び水素化ポリジエンポリオール、並びにそれらの組み合わせである。
【0027】
ポリオールは、好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリブタジエン誘導ポリオール、水素化ポリブタジエン誘導ポリオール、ポリ(エチレン/ブチレン)誘導ポリオール及びポリエーテルグリコールから選ばれる。
【0028】
好ましいポリエステルポリオールは、室温で液体のものである。二量化脂肪酸から誘導されるポリエステルポリオールは、特に好ましい。分子量が500〜20,000のものが好ましく、1,000〜4,000のものがより好ましく、かつヒドロキシル価5〜160のものが好ましく、30〜65のものがより好ましい。
【0029】
好ましいポリブタジエン誘導ポリオールは、アニオン重合で製造された直鎖ホモポリマーを含む。このようなポリオールの例は、下記構造をもつ液体ジオールであり、Polybd(登録商標)R−45HTLOでSartomer社から商用されている。
【0030】
【化1】

【0031】
好ましい水素化ポリブタジエン誘導ポリオール及び/又はポリ(エチレン/ブチレン)誘導ポリオールは、両端に末端脂肪族第一級ヒドロキシル基を含有する直鎖、飽和及びホモ−テレキリックポリマーを含む。このようなポリオールの例は、下記構造の液体であり、Kraton Liquid L−2203(商標)でKratonPolymer社から商用されている。式(II)で表される水素化ポリブタジエン誘導ポリオールが、特に好ましい。
【0032】
【化2】

【0033】
(式中、x及びyは、合計して約25〜60である。)
【0034】
ウレタン樹脂の合成に使用される化合物(II)の総量は、通常、ウレタン樹脂中の化合物(I)、(II)、(III)及び(IV)の総量の60〜99重量%であり、好ましくは、80〜95重量%である。
【0035】
本発明の好ましい実施形態によれば、この明細書で前記したような水素化ポリブタジエンポリオール及びポリエステルポリオールの混合物が使用される。ウレタン樹脂中に使用されるポリエステルポリオールの量は、通常、ウレタン樹脂の25〜97重量%であり、好ましくは40〜90重量%である。
【0036】
ウレタン樹脂中の水素化ポリブタジエンポリオールの量は、通常、ウレタン樹脂の2〜50重量%であり、好ましくは9〜35重量%である。
【0037】
イソシアネート基と反応できる1個の反応基を本質的に含有する(メタ)アクリレート(III)は、本発明では、少なくとも1個の(メタ)アクリル基、及びイソシアネート基と反応できる1個の求核官能基、好ましくはヒドロキシル基を含む化合物を示すことを意味する。(メタ)アクリロイルモノ−ヒドロキシ化合物が好ましい。アクリレートが特に好ましい。
【0038】
有用な(メタ)アクリレート(III)は、脂肪族及び芳香族ポリオールと、約1の残留の平均ヒドロキシル官能価を有する(メタ)アクリル酸とのエステル化生成物を含む。(メタ)アクリル酸と、3価−、4価−、5価−又は6価ポリオール又はそれらの混合物との部分エステル化生成物を使用することができる。この明細書では、このようなポリオールと、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド、若しくはそれらの混合物との反応生成物、又はこのようなポリオールとラクトンとの反応生成物(開環反応でラクトンがこれらのポリオールに付加する)を用いることができる。適切なラクトンの例は、γ−ブチロラクトン、並びに特にδ−バレロラクトン及びε−カプロラクトンである。これらの変性又は非変性ポリオールは、所望の残留ヒドロキシ官能価が得られるまで、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物で部分エステル化される。別法として、これらの生成物を、ポリオールと(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換により得ることもできる。
【0039】
好ましい(メタ)アクリレート(III)は、アルキル基中に1〜20個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのような、少なくとも1個のヒドロキシ官能基が遊離して残る、直鎖又は分枝ポリオールをもつ(メタ)アクリル酸エステルである。このカテゴリーの好ましい分子は、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレートである。
【0040】
一般的に使用される(メタ)アクリレート(III)の量は、化合物(I)、(II)、(III)及び(IV)の総量の、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%である。
【0041】
本発明のポリマーは、ペンダントアクリレート基を実質的にもたないこと、即ち、大部分の(メタ)アクリレート基がポリマー主鎖の骨格に組み込まれていることが、好ましい。
【0042】
本発明に係るウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、第一のステップにおいて、少なくとも1種のポリイソシアネート(I)と、イソシアネート基と反応できる少なくとも2個の反応基を含有する少なくとも1種の化合物(II)及びイソシアネート基と反応できる本質的に1個の反応基を含有する少なくとも1種の(メタ)アクリレート(III)との反応、並びに、次のステップにおいて、第一のステップで得た生成物を、第一のステップで使用されるポリイソシアネート(I)とは異なる少なくとも1種のポリイソシアネート(IV)と反応させること、から得られる。
【0043】
本発明の別の観点では、第一のステップにおいて、少なくとも1種のポリイソシアネート(I)と、イソシアネート基と反応できる少なくとも2個の反応基を含有する少なくとも1種の化合物(II)及びイソシアネート基と反応できる本質的に1個の反応基を含有する少なくとも1種の(メタ)アクリレート(III)との反応、並びに、次のステップにおいて、第一のステップで得られた生成物を、第一のステップで使用されるポリイソシアネート(I)とは異なる少なくとも1種のポリイソシアネート(IV)と反応させること、を含む本発明に係るウレタン(メタ)アクリレート樹脂の製造方法を提供する。
【0044】
この方法は、好ましくは実質的に無水条件下で、イソシアネート基とイソシアネート反応性基の間の反応が実質的に完了するまで、かつ、30℃〜150℃の温度で、より好ましくは50℃〜130℃の温度で、行われる。イソシアネート含有量は、アミン滴定により測定され得る。
【0045】
通常は、これらの反応体は、[化合物(I)で与えられるイソシアネート基]:[化合物(II)及び(III)で与えられるイソシアネート反応性基]の当量比が、約0.1:1から約2:1、好ましくは約0.5:1から約1.5:1に相当する比率で使用される。
【0046】
ポリマー樹脂の粘度を下げるために、この反応が5〜80重量%の溶媒の添加により促進されてもよい。
【0047】
本発明に係る製造方法の好ましい実施形態によれば、この反応は、少なくとも1種の粘着付与剤及び/又は少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマーの存在下で行われる。
【0048】
粘着付与樹脂は、ロジン酸、重合ロジン酸、ロジンエステル及びそれらの混合物などのロジン粘着付与剤並びに好ましくは水素化ロジン樹脂;脂肪族及び/又は脂環式炭化水素粘着付与剤樹脂などの炭化水素樹脂並びに好ましくは水素化炭化水素樹脂;芳香族/脂肪族粘着付与剤樹脂並びに好ましくは水素化芳香族/脂肪族粘着付与剤樹脂;ポリテルペン及びテルペンフェノール樹脂;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びそれらの混合物を重合した芳香族樹脂;フェノール変性芳香族樹脂、ベンゾエート樹脂、クマロン−インデン;低分子量ポリアクリレートからなる群から選ばれてもよい。
【0049】
本発明に適した市販の粘着付与剤の幾つかの例は、軟化点が70〜150℃であるEscorez5300シリーズ(商標)としてExxon Mobil社から商用されている脂肪族及び/又は脂環式炭化水素粘着付与剤樹脂;軟化点が10〜100℃であるEscorez2000シリーズ(商標)としてExxon Mobil社から商用されている芳香族変性脂肪族粘着付与剤樹脂;Regalrez(登録商標)1018,1085,1094,3102,1126及び/又はPMR1100としてEastman Chemicals社から出ている水素化及び/又は部分水素化芳香族樹脂;Kristalex(登録商標)3070、3085及び/又はPM−3370としてEastman Chemicals社から商用されている重合芳香族樹脂;Sylvalite(登録商標)RE80HP(ロジンエステル)としてArizona Chemicals社から商用されているロジンエステル;並びにSylvares(登録商標)TP7042(高軟化点(145〜151℃)熱的に安定なポリテルペンフェノール樹脂)、TR7115;TP2040(熱可塑性テルペンフェノール樹脂)及び/又はTR−1085(ポリテルペン樹脂);ジシクロヘキシルフタレート可塑剤並びにUniplex(登録商標)280としてUnitex Chemicals社から商用されている粘着付与剤を含むが、これらに限定しない。
【0050】
この明細書で用いる時、(メタ)アクリレート化モノマーは、モノ及びポリ官能性(メタ)アクリレート、並びにそれらの混合物を包含している。(メタ)アクリレート化モノマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸で全てエステル化された脂肪族及び芳香族アルコールから選ばれ、かつ分子中に残留ヒドロキシル官能価を実質的に含有しない。この明細書では、このようなアルコールとエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド、若しくはそれらの混合物との反応生成物、又はこのようなポリオールとラクトンとの反応生成物(開環反応でラクトンがこれらのポリオールに付加する)を用いることもできる。適したラクトンの例は、γ−ブチロラクトン、並びに、特にδ−バレロラクトン及びε−カプロラクトンである。これらの変性又は非変性アルコールは、好ましくは、残留ヒドキシル官能価が実質的に無くなるまで、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物で全てエステル化される。このカテゴリーのポリ−不飽和化合物の例は、トリメチロールプロパントリ−アクリレート、グリセロールトリ−アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラ−アクリレート、ジ−ペンタエリスリトールヘキサ−アクリレート及びそれらの(ポリ)エトキシル化及び/又は(ポリ)プロポキシル化均等物、並びにそれらの混合物である。
【0051】
好ましい(メタ)アクリレート化モノマーは、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクチルアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのモノ−、ジ−及びトリ−官能性(メタ)アクリレートであり、特にEBECRYL(登録商標)11として商業化されているポリエチレングリコールジアクリレート、エトキシル化及びプロポキシル化グリセロールトリ(メタ)アクリレート、特にEBECRYL(登録商標)12及びEBECRYL(登録商標)53として商業化されているものがある。
【0052】
この製造方法で、イソシアネートとヒドロキシルとの反応を促進するために触媒を使用すること、及び反応性不飽和部位のラジカル反応を防止するために禁止剤を使用することが、普通に行われる。この発明の枠内で、化合物(I)及び/又は化合物(II)及び(III)を2又はいくつかの部にして段階的に、あるいは連続的な供給で添加される、逐次処理法を使用することができる。
【0053】
化合物(II)及び(III)は、好ましくは、(II):(III)のモル比を0.25:1から200:1で、より好ましくは3:1から50:1で、使用される。
【0054】
第一のステップの反応は、好ましくは、ポリイソシアネート(I)の少なくとも80%が、好ましくは少なくとも90%が反応するまで、行われる。第一のステップ後に得られる反応生成物は、更にイソシアネート化合物(IV)と、好ましくは、全残留イソシアネート含量が0.5重量%未満好ましくは0.2重量%未満になるまで、反応する。
【0055】
本発明に係るウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、一般的に、少なくともウレタン(メタ)アクリレート樹脂の9×10−4meq/gの量の(メタ)アクリレート基を有する。この(メタ)アクリレート基の量は、滴定法で測定することができ、この場合、試料の酸性化溶液への過剰の臭素酸塩−臭化物溶液の添加により不飽和生成物が臭素と反応する。適切な反応時間の後に、ヨウ化カリウムが臭素と反応してヨウ素を生成する。次に、ヨウ素をチオ硫酸ナトリウムで滴定して、不飽和基の量を計算する。
【0056】
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の(メタ)アクリレート基の量は、0.5meq/gを超えないことが、好ましくは0.1meq/gを超えないことが好ましい。
【0057】
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、好ましくは少なくとも670ダルトン、より好ましくは少なくとも10,000ダルトンの数平均分子量を有する。一般的に、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、200,000ダルトン以下、特に100,000以下の数平均分子量を有する。
【0058】
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、ASTM D3418による示差走査熱分析で20℃/分の加熱勾配で測定した時、−60〜+100℃のガラス転移温度Tgを有することが好ましい。
【0059】
本発明に係るウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、一般的に、第一ポリイソシアネート(I)と化合物(II)との反応で与えられるウレタンのブロック及び第二ポリイソシアネート(IV)と化合物(II)との反応で与えられるウレタンのブロックを含むブロックコポリマーを含んでいる。
【0060】
それ故、本発明に従って概すると、式(I)のポリマーを含むウレタン(メタ)アクリレート樹脂が与えられる:
【0061】
【化3】

【0062】
(式中、それぞれのA及びそれぞれのAは、独立してO、NH又はSを表し、好ましくはOを表し、
それぞれのRは、独立してH又は1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、好ましくはHを表し、
それぞれのRは、独立して1〜18個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、Bは:
【0063】
【化4】

【0064】
(式中、Yはポリイソシアネート(I)の残基を表し、
はポリイソシアネート(IV)の残基を表し、
Xは化合物(II)の残基を表す)を表し、
n及びmは、それぞれ独立して1〜100の整数であり、
pは0〜100の整数である)。
【0065】
本発明に係るウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、特に、接着剤とりわけ感圧接着剤を製造するのに、適している。
【0066】
本発明に係るウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、輻射線硬化性である。この明細書で使用する場合、「輻射線硬化性」は、例えば、紫外線(UV)及び可視光線(場合により光開始剤などの他の成分の存在下で)などの化学線の、及び/又は電離線(電子ビームなど)の、照射を受けた時に重合する材料を意味する。化学線は、光化学作用を生みだすことができる電磁線であるが、普通の材料媒体中でイオンを生成するためには十分なエネルギーのない電磁線であり、かつ通常は、185nm超の波長を持っている。UV光線は、180〜400nmの波長をもつ輻射エネルギーである。可視光線は、400〜800nmの波長をもつ輻射エネルギーである。電離線は、普通の材料中でイオンを生成できる微粒子又は電磁エネルギー;通常は、約10エレクトロンボルト超又は16×10−19ジュールのエネルギーである。電子ビームは、通常は、加速高電圧源により金属フィラメントから放たれた電子のビームである。輻射線重合を達成するための好ましい方法は、UV光及び/又はe−ビームであり、より好ましくはUV光である。重合機構は、輻射線で誘導可能な任意の適切な方法であり得る(例えば、フリーラジカル、カチオン重合など)。
【0067】
本発明の別の観点は、輻射線硬化性接着剤を提供するものであり、該接着剤は、本発明に係る1種以上のウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含み、場合により光開始剤も併せて含む。
【0068】
本発明のさらなる観点は輻射線硬化性接着剤組成物を提供することであり、該組成物は、5〜95重量%、通常は10〜90重量%、好ましくは30〜約80重量%の1種以上の粘着付与樹脂と併せて、5〜95重量%、通常は10〜90重量%、好ましくは20〜70重量%の、1種以上の本発明のウレタン(メタ)アクリレートを含み、かつ場合により1〜80重量%、好ましくは1〜50重量%の1種以上のモノマー、好ましくは(メタ)アクリレート化モノマーを含む。
【0069】
この上で既に述べたような粘着付与剤を使用してもよい。粘着付与剤は、可能な任意の手段に従って、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂に添加してもよい。
【0070】
本発明の好ましい実施形態に従えば、粘着付与剤は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂に、その樹脂の合成中に添加される。
【0071】
適切なモノマーは、この上で既に述べたような(メタ)アクリレート化モノマー、及び(メタ)アクリレート化アルキルフォスフェートエステル、特に式(I)に従うモノマー:
【0072】
【化5】

【0073】
(式中、それぞれのRは、独立して水素又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、より好ましくは水素又はメチルであり;それぞれのRは、独立して、水素、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、及び1〜8個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基からなる群から選ばれ、より好ましくは水素であり;それぞれのAは、独立して、1〜9個の炭素原子を含有するアルキレン基であり、場合により1〜3個のエーテル及び/又は−OC(O)−結合を含有するアルキレン基であり、より好ましくは2〜6個の炭素原子を含むアルキレン基であり、最も好ましくはエチレンであり;かつmは1〜3である)。
【0074】
とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応生成物が、特に好ましい。EBECRYL(登録商標)168、EBECRYL(登録商標)170及びEBECRYL(登録商標)171として出ている(メタ)アクリレートが好ましい。その他の適切なモノマーは、ジ−オクチルマレエート及びジ−イソトリデシルマレエートなどのマレエートエステルを含む。
【0075】
本発明の好ましい実施形態によれば、モノマーの一部をウレタン(メタ)アクリレート樹脂の合成中に添加し、かつモノマーの一部を該(メタ)アクリレート樹脂の合成のすぐ後に添加することである。輻射線硬化性接着剤組成物は、更に、安定剤、ラジカル抑制剤、ラジカル捕捉剤及び酸化防止剤などの有用な添加剤を含むことができる。
【0076】
輻射線硬化性接着剤は、1種以上の光開始剤の添加を必須条件とすることなく電子ビームで硬化され得る。輻射線硬化性接着剤組成物は、好ましくは、約0.01〜7重量%、より好ましくは5重量%までの1種以上の光開始剤を含む。
【0077】
本発明の接着剤成分は、混合され、接着剤コーテイングが製造され、かつ当業者に周知の手段などの任意の適切な手段で適切な基体に塗布されてもよい。
【0078】
本発明に係るウレタン(メタ)アクリレート樹脂及びそれを含有する組成物は、柔軟性、弾性、良好な湿潤性及び流動性、特別な接着力を生み出す水素結合、良好な耐熱性、優れた耐候性、及び丈夫さを含む幾つかの利点を提供する。この異なる軟質/硬質セグメントのウレタン設計は、異なる相構造を形成することができ、フィルムが基体に塗布された場合に、高温及び低温の両方で良好な接着性及び凝集性能、低表面エネルギー基体及び高表面エネルギー基体の両方に対する優れた接着力、並びに接着性と凝集強さの間の優れたバランス、を含む接着性能特性を支配しかつ変更できる。本発明の樹脂を厚いフィルムにすることもでき、かつ、本発明の樹脂は、厚いフィルム及び広い硬化ウインドウをもつ全厚硬化(through cure)を含む優れたフィルム特性をさらに示し得る。
【0079】
本発明に関するウレタン(メタ)アクリレート樹脂及びそれを含有する組成物は、一般的に、化学線及び/又は紫外(UV)線(場合により光開始剤などのその他の成分の存在下で)及び/又は(電子ビームなどの)電離線などの輻射エネルギー源に曝露した時に、感圧接着剤特性を取得する。本発明は、それ故更に、(a)本発明に関するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含む輻射線硬化性組成物を提供するステップ、(b)この組成物を基体に塗布するステップ、及び(c)この組成物を輻射エネルギー源に曝露してこの組成物を硬化して感圧接着剤を得るステップ、を含む輻射線硬化接着剤組成物を製造する方法に関する。本発明は、更に、本発明に係るウレタン(メタ)アクリレート樹脂から得られる感圧接着剤に関する。基体は、紙、フィルム又は箔などの任意の基体であることができる。
【実施例】
【0080】
本発明を、以下の例を参照して詳細に説明する。以下の例は非限定的なものであり説明の手段にすぎない。特に断りがない限り、例で用いる部は重量部である。
【0081】
BTHは、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールで、ラジカル捕捉剤であり;β−CEAは、β−カルボキシエチルアクリレートであり;DBTDLは、ジブチル−スズ−ジラウレートであり;EHAは、2−エチルヘキシルアクリレートであり;ESCOREZ(登録商標)2520及び5380は、この商品名でExxon Mobil社から商用されている石油系炭化水素樹脂粘着付与剤であり;HDODAは、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートであり;HEAは、2−ヒドロキシルエチルアクリレートであり;IPDIは、イソホロンジイソシアネートであり;IRUGACURE(登録商標)184は、ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトンで、この商品名でCiba社から商用されている光開始剤であり;IRGANOX(登録商標)1010は、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−(tert)ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタンで、この商品名でCiba社から商用されている酸化防止剤であり;KRASOL(登録商標)HLBH P3000は、この商品名でSartomer社から商用されている水素化ヒドロキシル末端の直鎖ポリ(ブタジエン)であり;MEHQは、4−メトキシフェノール、ラジカル抑制剤であり;並びにPRIPLAST(登録商標)3196は、分子量3,000及びヒドロキシル価34〜40のポリエステルポリオール液体であり、この商品名でCroda社から商用されている。
【0082】
(例1)
ミキサー及び遅延システムを備えた反応がまで、9.63gの粘着付与剤ESCOREZ(登録商標)2520を、60℃で加熱した後、共に60℃で予熱した11.6gのヒドロキシル末端の水素化ポリブタジエンKRASOL(登録商標)HLBH P3000及び19.2gのポリエステルポリオールPRILAST(登録商標)3196を添加し、反応器を90℃に加熱した。40.2gの粘着付与剤ESCOREZ(登録商標)5380を反応器に添加したが、この間にも反応混合物がミキサーに付着を起こさない速度で内容物を混合した。次に、反応器を110℃に加熱した後、0.05gのBTH、0.02gのMEHQ、0.09gのHEA、及び0.14gのDBTBLを反応器に添加した。反応器に乾燥空気を加え、温度を105℃に冷却し、この間にも内容物を15〜30分間混合した。
【0083】
1.13gのIPDI及び0.19gのHDODAの混合物を、110℃で30分間にわたり徐々に反応器に入れた。反応器を冷却して過熱を防ぎ、反応温度が120℃を超えないようにした。
【0084】
IPDI混合物の添加の完了後、溶液中の残留IPDIを滴定法で測定して、少なくとも90%のIPDIが反応するまで、反応器の内容物を110℃にさらに2時間30分保持した。
【0085】
次に、1.27gのMDIを0.19gのHDODAと共に添加した。反応を更に2時間続け、次に、6.93gのEHAを添加してポリマーの粘度を下げた。ポリマーを同じ温度で保持して、イソシアネート含有量が0.2%未満になるまで攪拌した。
【0086】
2gのIRUGACURE(登録商標)184、0.3gのIRGANOX(登録商標)1010、0.02gのMEHQ、0.02gのBHT、及び2gのIBOAを添加して、更にポリマーを作成した。僅かに減圧した条件下で、1gのβ−CEAを反応器に添加した。反応混合物を更に30〜45分間混合した。最終生成物は、完全に作成されたUV硬化性、ウォームメルト系の、90℃で125〜200mPa.sの粘度をもつ、PSAであった。
【0087】
(比較例1R)
第一のステップで2.3gのIPDIを使用したこと、及びMDIの添加を含む第二のステップを省略したこと以外は、例1を繰り返した。反応は、残留イソシアネート含有量が0.2重量%未満になるまで実施された。
【0088】
(比較例2R)
反応の第一ステップでIPDIの代わりに、2.6gのMDIを使用したこと、及び第二のステップを省略したこと以外は、例1を繰り返した。反応は、残留イソシアネート含有量が0.2重量%未満になるまで実施された。
【0089】
(比較例3R)
反応の第一のステップで、1.13gのIPDI及び1.27gのMDIの混合物を使用したこと、及び第二のステップを省略したこと以外は、例1を繰り返した。ウレタン反応は、残留イソシアネート基が0.2重量%未満になるまで4時間行われた。
【0090】
(例2)
IPDIの反応後に、EHA、β−CEA、IBOA及びHDODAを含むモノマーを先ず添加して反応混合物を希釈した後,MDIを添加した以外には、例1を繰り返した。反応は、残留イソシアネート含有量が0.2重量%未満になるまで実施された。
【0091】
(例3)
ミキサー及び遅延システムを備えた反応がまで、49.83gのトルエンを60℃で加熱した後に、共に60℃で予熱した15gのヒドロキシル末端の水素化ポリブタジエンKRASOL(登録商標)HLBH P3000及び15gのポリエステルポリオールPRILAST(登録商標)3196を添加し、反応器を90℃に加熱した。次に、反応器を110℃に加熱した後、0.02gのBHT、0.02gのMEHQ、0.11gのHEA、及び0.10gのDBTBLを反応器に添加した。反応器に乾燥空気を加え、温度を105℃に冷却し、この間にも15〜30分間内容物を混合した。
【0092】
反応温度を115℃以下に維持するために冷却を続けながら、1.23gのIPDI及び0.19gのHDODAを110℃で30分間にわたり徐々に反応器に入れた。
【0093】
IPDI混合物の添加の完了後、反応器の内容物を110℃に更に3時間保持した;次に、1.36gのMDIを加え、反応を更に2時間続けた。次に、6.93gのEHA及び7gのHDODAを添加してポリマーの粘度を下げた。ポリマーを同じ温度で保持し、イソシアネート含有量が0.2%未満になるまで攪拌した。
【0094】
9.63gの粘着付与剤(ESCOREZ(登録商標)2520)、40.2gの粘着付与剤(ESCOREZ(登録商標)5380)、2gのIRUGACURE(登録商標)184、0.3gのIRUGANOX(登録商標)1010、0.02gのMEHQ、0.02gのBHT、及び1gのβ−CEAを僅かに減圧した条件下で反応器に加えることにより、更にポリマーを作成した。反応混合物を更に30〜45分間混合した。最終生成物は、完全に作成されたUV硬化性の、全固形分が約66.8%の溶媒含有UV−PSAである。
【0095】
(例4)
ミキサー及び遅延システムを備えた反応がまで、10.1gの粘着付与剤(ESCOREZ(登録商標)2520)を60℃で加熱した後に、共に60℃で予熱した12.2gのヒドロキシル末端の水素化ポリブタジエンKRASOL(登録商標)HLBH P3000及び20.2gのポリエステルポリオールPRILAST(登録商標)3196を添加し、反応器を90℃に加熱した。42.2gの粘着付与剤(ESCOREZ(登録商標)5380)を反応器に添加し、この間にも反応混合物がミキサーに付着を起こさない速度で内容物を混合した。次に、反応器を110℃に加熱した後、0.05gのBTH、0.02gのMEHQ、0.09gのHEA、及び0.13gのDBTBLを反応器に添加した。反応器に乾燥空気を加え、温度を105℃に冷却し、この間にも内容物を15〜30分間混合した。
【0096】
0.605gのIPDI及び0.19gのHDODAの混合物を、110℃で30分間にわたり徐々に反応器に入れた。IPDI混合物の添加が完了した後、反応器の内容物をさらに2時間30分、110℃に保持した。次に、2.04gのMDIを0.19gのHDODAと共に添加した。更に2時間反応を行い、次に6.93gのEHAを添加してポリマーの粘度を下げた。ポリマーを同じ温度で保持し、イソシアネート含有量が0.2%未満になるまで攪拌した。
【0097】
1gのIRUGACURE(登録商標)184、0.3gのIRUGANOX(登録商標)1010、0.02gのMEHQ、0.02gのBHT、及び1gのβ−CEAを僅かに減圧した条件下で反応器に加えることにより、更にポリマーを作成した。反応混合物を更に30〜45分間混合した。
【0098】
(例5)
ミキサー及び遅延システムを備えた反応がまで、15.1gの粘着付与剤(ESCOREZ(登録商標)2520)を60℃で加熱した後に、共に60℃で予熱した12.2gのヒドロキシル末端の水素化ポリブタジエンKRASOL(登録商標)HLBH P3000及び20.2gのポリエステルポリオールPRILAST(登録商標)3196を添加し、反応器を90℃に加熱した。37.2gの粘着付与剤(ESCOREZ(登録商標)5380)を反応器に加え、この間にも反応混合物がミキサーに付着を起こさない速度で内容物を混合した。次に、反応器を110℃に加熱した後、0.05gのBTH、0.02gのMEHQ、0.09gのHEA、及び0.13gのDBTBLを反応器に添加した(この順序で)。反応器に乾燥空気を加え、温度を105℃に冷却し、この間にも内容物を15〜30分間混合した。
【0099】
1.21gのIPDI及び0.19gのHDODAの混合物を、110℃で30分間にわたり徐々に反応器に入れた。IPDI混合物の添加が完了した後、反応器の内容物をさらに2時間30分、110℃に保持した。次に、2.04gのMDIを0.19gのHDODAと共に添加した。更に2時間反応を行い、次に6.93gのEHAを添加してポリマーの粘度を下げた。ポリマーを同じ温度で保持し、イソシアネート含有量が0.2%未満になるまで攪拌した。
【0100】
1gのIRUGACURE(登録商標)184、0.3gのIRUGANOX(登録商標)1010、0.02gのMEHQ(第2の量)、0.02gのBHT(第2の量)、及び1gのβ−CEAを僅かに減圧した条件下で反応器に加えることにより、更にポリマーを作成した。反応混合物を更に30〜45分間混合した。
【0101】
(例6)
ミキサー及び遅延システムを備えた反応がまで、10.1gの粘着付与剤(ESCOREZ(登録商標)2520)を60℃で加熱した後に、共に60℃で予熱した16.9gのヒドロキシル末端の水素化ポリブタジエンKRASOL(登録商標)HLBH P3000及び10.3gのポリエステルポリオールPRILAST(登録商標)3196を添加し、反応器を90℃に加熱した。46.2gの粘着付与剤(ESCOREZ(登録商標)5380)を反応器に加え、この間にも反応混合物がミキサーに付着を起こさない速度で内容物を混合した。次に、反応器を110℃に加熱した後、0.05gのBTH、0.02gのMEHQ、0.09gのHEA、及び0.13gのDBTBLを反応器に添加した(この順序で)。反応器に乾燥空気を加え、温度を105℃に冷却し、この間にも内容物を15〜30分間混合した。
【0102】
1.21gのIPDI及び0.19gのHDODAの混合物を、110℃で30分間にわたり徐々に反応器に入れた。IPDI混合物の添加が完了した後、反応器の内容物をさらに2時間30分、110℃に保持した。次に、1.36gのMDIを0.19gのHDODAと共に添加した。更に2時間反応を行い、次に6.93gのEHAを添加してポリマーの粘度を下げた。ポリマーを同じ温度で保持し、イソシアネート含有量が0.2%未満になるまで攪拌した。
【0103】
2gのIRUGACURE(登録商標)184、0.3gのIRUGANOX(登録商標)1010、0.02gのMEHQ、0.02gのBHT、及び2gのIBOA、及び1gのβ−CEAを僅かに減圧した条件下で反応器に加えることにより、更にポリマーを作成した。反応混合物を更に30〜45分間混合した。
【0104】
(例7〜14)
以下の変更を行ったこと以外は、例1を再現した:
【0105】
例7において、1.13gのIPDIの代わりに、第一のステップで、1.81gのTMXDIを使用した。反応は、残留イソシアネート含有量が0.2重量%未満になるまで実施された。
【0106】
例8において、24.27gの粘着付与剤ESCOREZ(登録商標)2520及び24.27gの粘着付与剤ESCOREZ(登録商標)5380の混合物を使用した。
【0107】
例9において、IRUGACURE(登録商標)184の代わりに、IRUGACURE(登録商標)651及びIRUGACURE(登録商標)500の混合物を使用した。
【0108】
例10において、EHAの代わりに、オクチル−及びデシルアクリレート混合物を使用した。
【0109】
例11〜13において、β−CEAを、それぞれホスフェートエステルEBECRYL(登録商標)170、EBECRYL(登録商標)168、及びPAM−300で置き換えた。
【0110】
例14において、混合物に、商用されている界面活性剤ジ−オクチルマレエートEROSOL(登録商標)OT−35を加えた。
【0111】
例1及び3〜6、並びに比較例1R〜3Rで得られた生成物を以下のように評価した:
【0112】
生成物をホットメルトコーターの貯留槽中で110℃まで予熱し、基体を定常状態で引き出すことにより、接着剤のフィルムを剥離ライナー(LAROPEX RP12)に直接塗布した。2本の塗布バー間の間隔を調節することによりフィルムの厚みを制御した。2ミル及び5ミルのフィルムを作成した。次に、塗布した接着剤フィルムを、UV硬化システム(H−バルブを備えたフュージョンDRS120NQ)を使用して20〜250mJ/cmのUVCのUV照射線量でUV照射に曝することにより硬化させた。次に、硬化フィルムを、さらなる試験の要求事項に従って、他の剥離ライナーのいずれか、LAROPEX RP12又はMylarフィルム(PET)又はアルミニウムフィルム(Al)と積層させた。
【0113】
例3から得られた生成物からフィルムを作成する前に、そこに含有された溶媒を先ず蒸留により除去した。
【0114】
次に、硬化したフィルムは、以下にリストアップした試験に供された。この試験は、感圧接着テープ協議会、グレンビューIII、2001年8月、13版、感圧接着テープの試験法にさらに記載されている。ここでの参照によりこの開示を援用する。
【0115】
引きはがし粘着力:引きはがし粘着力は、塗布した軟質シート材料を試験パネルから剥離するために必要な、特別な剥離角度及び剥離速度で測定した力である。以下の表において、この力は、塗布シートの幅インチ当たりのポンド(lb/in)で表してある。上で作成したような、MYLARと積層した硬化した2ミル厚のフィルムをシリコーン剥離紙に当てた。この塗布Mylarフィルムから1インチ×8インチの試料を切り出した。この試料を、74°F及び50%相対湿度で24時間コンディショニングの後に、剥離紙を取り除き、清浄な基体(以下の表で特定するようなステンレス鋼試験板、ポリプロピレン、HDPE、ABS又はアルミニウムのいずれか)の水平表面に接合した。次に、この接合物をオートローラーでならした。接合物を特定の滞留時間でコンディショニングした後、引きはがし試験器で180°又は90°の角度、12インチ/分の一定の引きはがし速度で接合物を引きはがした。その結果を、平均荷重としてlb/inで、表1〜5に報告する。
【0116】
ずり抵抗(PSTC−107):ずり抵抗は、接着剤の凝集力又は内部強度の測定である。接着剤片を標準平面から、接着剤片が一定の圧力で貼付された表面に平行な方向に引っ張るために必要な力の量に基づいている。一定の荷重のもとで、標準面積の接着剤塗布シート材料をステンレス鋼試験板から引き離すために必要な時間に換算し測定される。この試験は、一定サイズでステンレス鋼に貼付した硬化フィルム片について実施された。各片の1インチ×1インチの部分が、鋼板としっかり接触し、テープの一端部が自由になっている。塗布片を取り付けた鋼板は、鋼板が178°の角度を形成するように、ラックに保持された。一定の室温(22.0±1°)及び湿度(50%±5%)で24時間、接合物をコンディショニングした後、2kgなどのある一定の重量を伸びたテープの自由端に吊り下げた。表1から3及び5に(室温ずり、RTずりとして)示したように、試料片がステンレス鋼板から落下する時間を、吊り下げ時間(時間で)として記録する。ある場合には、試料片が落下する前に試験を中止したが、この場合試験を中止した時間を、>数値として、表中に示す。
【0117】
93Cずり試験:93Cずり抵抗試験は、温基体に対する温接着剤の接着力及び温接着剤の凝集力の測定である。接着剤フィルムが、1インチ×1インチの面積でステンレス鋼基体にしっかり接触し、かつ自由端に一定の塗布重量を吊り下げることができるように、接着剤フィルムを作成した。この試験は、24時間の室温コンディショニングとそれに続く1時間の93℃のコンディショニングを含み、その後1Kgの重量を伸びたテープの自由端に吊り下げた。塗布片を取り付けた鋼板は、鋼板が178°の角度を形成するようにラックに保持された。
【0118】
表1及び3に(93Cずりとして)示したように、試料片がステンレス鋼板から落下する時間を、吊り下げ時間(分で)として記録する。
【0119】
スルーキュアー:ベアーの法則により、UV硬化性PSAフィルムにとってスルーキュアーの問題を引き起こすかもしれないフィルム厚さが増加すると、それに比例して光透過性が低下する。フィルム厚さが増加すると、基体に近いフィルムの底部にはフィルムを架橋するためのUVエネルギーの到達量が少なく、上部と底部の間にフィルムの性能差を発生させるであろう。UVPSAのスルーキュアー性能の頑強性は、上記と同じ試験方法で、一方向で硬化したフィルムの両面を試験して評価された。この試験のために、先ず、硬化したフィルムを第二の剥離ライナー(LAROPEX PR12)と積層させた。その後、第一の剥離ライナーを取り除き、基体と置き換えた。結果を表4に示す。
【0120】
【表1】

【0121】
表1に示した結果は、とても似たウレタンアクリレート以上に、本発明に係るウレタンアクリレート樹脂の予想外に良好な性能を示している。
【0122】
【表2】

【0123】
表2は、例1に似た種々の組成物で製造されたポリマーが、感圧接着剤として接着力及び凝集力に優れたバランスを提供することを示している。
【0124】
表3は、異なる基体上の、例1の生成物から得られた、2及び5ミルの硬化フィルムの接着特性を示している。
【0125】
【表3】

【0126】
表4は、異なる基体上の、例1の生成物から得られた、2及び5ミルの硬化フィルムのスルーキュアー性能を示している
【0127】
【表4】

【0128】
表5は、例1から得られた生成物の性能に及ぼすUV曝露の影響を示している。
【0129】
【表5】

【0130】
表6は、例8及び10から製造された感圧接着剤の性能を示している。
【0131】
【表6】

【0132】
残る例で得られた感圧接着剤の特性は、例1の生成物で得られた感圧接着剤の特性に似ている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂であって、
第一のステップにおいて、少なくとも1種のポリイソシアネート(I)と、イソシアネート基と反応できる少なくとも2個の反応基を含有する少なくとも1種の化合物(II)及びイソシアネート基と反応できる本質的に1個の反応基を含有する少なくとも1種の(メタ)アクリレート(III)との反応、並びに、
次のステップにおいて、第一のステップで得られる生成物を、第一のステップで使用されるポリイソシアネート(I)とは異なる少なくとも1種のポリイソシアネート(IV)と反応させること、
から得られる、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項2】
ポリイソシアネート(I)が、脂肪族、脂環式及びベンジル型ポリイソシアネートから選ばれ、かつポリイソシアネート(IV)が芳香族ポリイソシアネートから選ばれる、請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項3】
ポリイソシアネート(I)が5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン及び/又はテトラメチルキシリレンジイソシアネートを含み、かつポリイソシアネート(IV)が1,1’−メチレンビス[4−イソシアナトベンゼン]を含む、請求項2に記載のウレタン(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項4】
少なくとも1種の化合物(II)が、ポリエステルポリオール、ポリブタジエン誘導ポリオール、水素化ポリブタジエン誘導ポリオール、ポリ(エチレン/ブチレン)誘導ポリオール及びポリエーテルグリコールから選ばれる、請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項5】
化合物(II)が1種以上のポリエステルポリオール及び1種以上の水素化ポリブタジエン誘導ポリオールの混合物を含む、請求項4に記載のウレタン(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項6】
ポリエステルポリオールが500〜20,000の分子量及び30〜65のヒドロキシル価を有するポリエステルポリオールから選ばれる、請求項4又は5に記載のウレタン(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項7】
水素化ポリブタジエン誘導ポリオールが、式(II):
【化1】


(式中、xとyは、合計して約25〜約60になる。)
で表されるポリオールから選ばれる、請求項4又は5に記載のウレタン(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項8】
少なくとも1種の(メタ)アクリレート(III)がアルキル基中に1〜20個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる、請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項9】
式(I):
【化2】


(式中、それぞれのA及びそれぞれのAは、独立してO、NH又はSを表し、
それぞれのRは独立してH又は1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、
それぞれのRは独立して1〜18個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、
Bは:
【化3】


(式中、Yはポリイソシアネート(I)の残基を表し、
はポリイソシアネート(IV)の残基を表し、
Xは化合物(II)の残基を表す。)を表し、
n及びmは、それぞれ独立して1〜100の整数であり、
pは0〜100の整数である。)
のポリマーを含む、請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項10】
第一のステップにおいて、0.05〜10重量%の少なくとも1種のポリイソシアネート(I)と、イソシアネート基と反応できる少なくとも2個の反応基を含有する60〜99重量%の少なくとも1種の化合物(II)及びイソシアネート基と反応できる本質的に1個の反応基を含有する0.01〜20重量%の少なくとも1種の(メタ)アクリレート(III)との反応、並びに、
次のステップにおいて、第一のステップで得られる生成物を、第一のステップで使用するポリイソシアネート(I)とは異なる0.5〜10重量%の少なくとも1種のポリイソシアネート(IV)と反応させること、
から得られる、請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項11】
第一のステップにおいて、少なくとも1種のポリイソシアネート(I)と、イソシアネート基と反応できる少なくとも2個の反応基を含有する少なくとも1種の化合物(II)及びイソシアネート基と反応できる本質的に1個の反応基を含有する少なくとも1種の(メタ)アクリレート(III)との反応、並びに、
次のステップにおいて、第一のステップで得られる生成物を、第一のステップで使用するポリイソシアネート(I)とは異なる少なくとも1種のポリイソシアネート(IV)と反応させること、
を含む、請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレート樹脂を製造する方法。
【請求項12】
反応が、少なくとも1種の粘着付与樹脂及び/又は少なくとも1種の(メタ)アクリレート化モノマーの存在下で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
5〜95重量%の請求項1に記載の1種以上のウレタン(メタ)アクリレート、5〜95重量%の1種以上の粘着付与剤、及び場合により1〜80重量%の1種以上のモノマーを含む、輻射線硬化性接着組成物。
【請求項14】
(a)請求項13に記載のウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含む輻射線硬化性組成物を提供するステップ、
(b)前記組成物を基体に塗布するステップ、及び、
(c)前記組成物を輻射エネルギー源に曝露して前記組成物を硬化するステップ、
を含む、輻射線硬化接着剤を製造する方法。
【請求項15】
請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレート樹脂を硬化して得られる、感圧接着剤。

【公表番号】特表2012−503057(P2012−503057A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527351(P2011−527351)
【出願日】平成21年9月22日(2009.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062235
【国際公開番号】WO2010/034699
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(505365965)サイテック サーフェース スペシャリティーズ、エス.エイ. (38)
【Fターム(参考)】