説明

農作業機のリモコンシステム

【課題】トラクタに装着して農作業を行う作業機のためのリモコンの操作ボックスを部品の交換なしに異なる作業機に対応できる農作業機のリモコンシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】トラクタに装着して農作業を行う作業機と、タッチスクリーンであるタッチパネル部41に表示された操作表示画面上の操作スイッチ表示に触れて操作する操作ボックス10とを備え、作業機は、当該作業機に設けられた出力機器30と、操作スイッチ表示の操作による操作信号を受信しこれに基づき出力機器30を制御する制御部21とを有し、操作表示画面は、作業機の機種毎に変更して、異なる作業機の操作を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機のリモコンシステムに関し、特に、トラクタに装着して農作業を行う作業機のためのリモコンの操作ボックスを部品の交換なしに異なる作業機に対応できる農作業機のリモコンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタに装着して農作業を行う作業機は、作業機ごとに農作業に合わせて様々な機能が付加されており、この機能のための出力機器が備えられている。そして、その出力機器は、作業者が操作し易いようにリモコンにより操作可能となっている場合が多い。一方、作業機に備えられた出力機器は、主として、作業機の機種毎に異なっており、リモコンによる操作ボックスは、出力機器の違い(特に作業機の機種の違い)により変更する必要があった。
【0003】
特許文献1には、農作業機の機種ごとに、コントローラの操作説明パネルを交換してコントローラの変更を行う農作業機の電動遠隔操作制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−151920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業機の機種の違いによりリモコンによる操作ボックスを変更すると、トラクタに装着する作業機を交換するたびに新たな操作ボックスとしなければならず手間がかかる。さらに、操作ボックスを機種毎に複数保有していると、操作ボックスを間違えて取り付けしてしまうことや紛失することがあった。また、特許文献1に記載の農作業機の電動遠隔操作制御装置は、機種毎にコントローラ(操作ボックス)の操作説明パネルを交換する必要がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに装着して農作業を行う作業機のためのリモコンの操作ボックスを部品の交換なしに異なる作業機に対応できる農作業機のリモコンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の農作業機のリモコンシステムは、トラクタに装着して農作業を行う作業機と、タッチスクリーンであるタッチパネル部に表示された操作表示画面上の操作スイッチ表示に触れて操作する操作ボックスとを備え、前記作業機は、当該作業機に設けられた出力機器と、前記操作スイッチ表示の操作による操作信号を受信しこれに基づき前記出力機器を制御する制御部とを有し、前記操作表示画面は、前記作業機の機種毎に変更して、異なる作業機の操作が可能であることを特徴とする。
【0008】
さらに本発明の農作業機のリモコンシステムは、前記操作ボックスは、前記タッチパネル部に切替スイッチ表示を表示させ、前記切替スイッチ表示に触れると、他の作業機の操作表示画面に切り替わることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機のリモコンシステムは、前記操作ボックスは、前記タッチパネル部とは別に当該操作ボックスの電源スイッチを有することを特徴とする。
さらに本発明の農作業機のリモコンシステムは、前記電源スイッチは、前記操作ボックスの側面に設けられ、前記タッチパネル部は、前記操作ボックスの表面全体に設けたことを特徴とする。
さらに本発明の農作業機のリモコンシステムは、前記操作ボックスは、前記タッチパネル部とは別に切替スイッチを有し、前記切替スイッチを押すと、他の作業機の操作表示画面に切り替わることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機のリモコンシステムは、前記切替スイッチは、前記操作ボックスの側面に設け、前記タッチパネル部は、前記操作ボックスの表面全体に設けたことを特徴とする。
【0009】
さらに本発明の農作業機のリモコンシステムは、前記操作ボックスは、前記作業機の制御部との通信が可能になると、前記制御部からの情報を受信し、受信した情報により作業機の機種を判別し、判別した機種に対応する一つの操作表示画面を表示して操作可能とすることを特徴とする
さらに本発明の農作業機のリモコンシステムは、前記操作スイッチ表示は、どの機種の操作表示画面であっても、前記タッチパネル部の一定の位置に表示させることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機のリモコンシステムは、前記操作スイッチ表示には、文字と絵の少なくとも一つにより操作の説明が表示されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、農作業機のリモコンシステムにおいて、トラクタに装着して農作業を行う作業機のためのリモコンの操作ボックスを部品の交換なしに異なる作業機に対応できる農作業機のリモコンシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の農作業機のリモコンシステムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】実施例1における操作ボックスの正面図である。
【図3】本発明の農作業機のリモコンシステムが適用される代掻き機の正面図を示す。
【図4】本発明の農作業機のリモコンシステムが適用される代掻き機の平面図を示す。
【図5】本発明の農作業機のリモコンシステムが適用される畦塗り機の第1の状態を示す平面図である。
【図6】本発明の農作業機のリモコンシステムが適用される畦塗り機の第2の状態を示す平面図である。
【図7】本発明の農作業機のリモコンシステムが適用される畦塗り機の第3の状態を示す平面図である。
【図8】実施例2における操作ボックスの正面図である。
【図9】実施例3における操作ボックスの正面図である。
【図10】実施例4における接続時の操作ボックスの表示例である。
【図11】実施例5における接続時の操作ボックスの表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の農作業機のリモコンシステムの一実施形態を示すブロック図である。操作ボックス10には、制御部(操作系)11と、入力部(操作側)12と、表示部(操作側)13と、インターフェース(操作側)14とを有している。一方、トラクタに装着して農作業する作業機には、制御ボックス20が設置され、制御ボックス20は、制御部21と、出力部22と、入力部23と、インターフェース24を有しており、モータ31やソレノイド32等の出力機器30と接続されている。
【0014】
操作ボックス10は、トラクタの運転席近傍等作業者が操作しやすい場所に配置される。入力部(操作側)12は、後述する操作ボックス上のスイッチやタッチパネル等である。表示部(操作側)13は、液晶、液晶付きタッチパネル、7セグ、LED等が適用でき、本発明では、液晶付きタッチパネル等のタッチスクリーンによる表示部が主である。制御部(操作系)11は、表示部(操作側)13の制御や、入力部(操作側)12からの操作信号の入力、操作信号の制御部21への出力などを行い、そのために必要な電子デバイスなどで構成される。その具体的な制御内容は後述する。
【0015】
インターフェース(操作側)14と、インターフェース24の間の情報のやりとりは、有線又は無線で行う。有線の場合は、パラレル転送でも可能であるが、例えば、車載のデータ転送に適したネットワークであるCAN(Controller Area Network)やFlex Rayによるシリアル転送のシステムを利用してもよい。無線通信の場合は、インターフェース間で送受信可能としてシリアル転送を利用でき、これらの間のハーネスは不要となる。
【0016】
制御ボックス20は、作業機の適した場所に設置される。入力部23は、センサやリミットスイッチ等である。これらは、必要に応じ制御ボックス20外にも設置される。制御部21では、必要な電子デバイスなどで構成され、操作ボックス10(制御部(操作系)11)から、インターフェース14、24を介して送られてきた操作信号に基づき、センサ等の入力部23からの情報を加味して、出力機器30を制御する。出力機器30は、モータ31やソレノイド32等の作業機に設置される必要な出力機器である。具体例は後述する。
【0017】
実施例1〜実施例3に、操作ボックス10(10a〜10e)や作業機の具体例について説明する。
【実施例1】
【0018】
図2は、実施例1における操作ボックス10aの正面図である。実施例1の操作ボックス10aは、一面に電源スイッチ46と、タッチパネル部41を有している。電源スイッチ46は、タッチパネル部41とは、別に設けられたスイッチである。また、タッチパネル部41は、液晶等の表示部の上にタッチパネルを配したものであり、あらかじめプログラミングしておくことによりタッチパネル上の一定の領域を指やペンで触れると、その情報が制御部(操作系)11に送られる。タッチパネルの方式としては、抵抗膜方式、静電容量方式等の各種の方式が適用される。
【0019】
図2(a)は、電源がオフの状態であり、タッチパネル部41には、何も表示されていない。電源スイッチ46を押すと図2(b)や図2(c)の作業機の操作表示画面が表示される。このとき、電源スイッチ46を押して最初に表示される画面は、前回、電源スイッチ46を押して電源オフにした時に表示されていた作業機の表示画面としてもよい。
【0020】
図2(b)は、折り畳み機能がある代掻き機(ウイングハロー)に対する操作表示画面100を表示させた操作ボックス10aの正面図である。タッチパネル部41には、100a〜100jの操作スイッチ表示が表示され、この部分のタッチパネルに触れるとスイッチ操作として認識されるように制御される。そして、操作スイッチ表示100a〜100jとその近傍には、この操作スイッチ表示による操作の説明が表示されている。さらに、タッチパネル部41には、上部に切替スイッチ表示100kが表示され、この部分に触ると他の作業機の表示に切り替わるように制御されている。また、タッチパネル部41には、その作業機の機種が分かるように機種表示100mが表示されている。
【0021】
図2(c)は、オフセット及びリターン機構を備えた畦塗り機に対する操作表示画面101を表示させた操作ボックス10aの正面図である。タッチパネル部41には、101a〜101eの操作スイッチ表示が表示され、この部分は、この部分のタッチパネルに触れると畦塗り機のスイッチ操作として認識されるように制御される。そして、操作スイッチ表示101a〜101eとその近傍には、この操作スイッチ表示による操作の説明が表示されている。さらに、タッチパネル部41には、上部に切替スイッチ表示101kが表示され、この部分に触ると他の作業機の操作表示画面に切り替わるように制御されている。また、タッチパネル部41には、その作業機の機種が分かるように機種表示101mがされている。
【0022】
図2(b)と図2(c)の操作スイッチ表示100a〜100j、101a〜101eは、あらかじめ定めた一定の位置(図2では一定の大きさの円による複数の領域)に表示させている。例えば、図2では、操作スイッチ表示100dは101aと、100fは101bと、100hは101cと、100iは101dと、100jは101eと同じ位置(領域)である。このようにすることで、タッチパネル部41の反応位置を限定できるので、各種の作業機に対する操作のプログラムの変更箇所を少なくでき開発コストを抑えることができる。
【0023】
図3は、本発明の農作業機のリモコンシステムが適用される代掻き機の正面図を示す。図4は、本発明の農作業機のリモコンシステムが適用される代掻き機の平面図を示す。ここで、図2(b)の操作表示画面100による操作の具体例を説明する。この表示画面100により出力機器(電動油圧シリンダ56、56’、延長レーキ開閉装置60、60’、土引きユニット66)を操作する。
【0024】
折りたたみ機構を備えた代掻き機50(ウイングハロー)は、入力軸51側をトラクタに装着し、カバー52や均平板53の内側で代掻き爪が回転することにより代掻き作業を行う。操作スイッチ表示100i、100jに触れると、電動油圧シリンダ56、56’は伸び、回動機構57、57’を作用させサイド作業部55、55’をそれぞれ(図3の左側のように)上側に折りたたみ、代掻き機50の全幅を短くすることができる。逆に操作スイッチ表示100g、100hに触れると、電動油圧シリンダ56、56’は縮みサイド作業部55、55’は下がり延長される。操作スイッチ表示100a〜100dに触れることにより、延長レーキ開閉装置60、60’の内部のモータを回転させ、制御バー62、62’やワイヤ63、63’を介して延長レーキ61、61’を回動軸61a、61a’を中心に左右に回動させ、延長レーキ61、61’を使用するか否かを選択することができる。操作スイッチ表示100e、100fに触れることにより、土引きユニット66の内部のモータを回転させ、土引き部67等を介してレーキ65の上下動を制御し、土引きするか否かを選択することができる。
【0025】
図5〜図7は、本発明の農作業機のリモコンシステムが適用される畦塗り機の第1〜第3の状態を示す平面図である。ここで、図2(c)の操作表示画面101による操作の具体例を説明する。この操作表示画面101により出力機器(第1電動油圧シリンダ71、第2電動油圧シリンダ72、散水装置ポンプ77)を操作する。
【0026】
オフセット及びリターン機構を備えた畦塗り機80は、装着部81がトラクタ(図5〜7の上側に位置)の後部に装着される。装着部81と中間フレーム82は、水平方向に回動可能な支点82aより連結され、中間フレーム82と作業部88は、リンク機構83を介して接続されている。装着部81の支点71bと中間フレーム82の支点71c間には、第1電動油圧シリンダ71が接続されている。リンク機構83の支点72bと作業部88の支点72cの間には、第2電動油圧シリンダ72が接続されている。また、作業部88は、耕耘部86と、ディスク部87を有し、トラクタから伝達された動力により前方の耕耘部86で掻き出した旧畦の土を、ディスク部87の回転により畦形状に形成する。
【0027】
図5は前進させて畦塗り作業する状態であり、この状態から、操作スイッチ表示101bに触れると、第1電動油圧シリンダ71が縮み、作業部88は、内側へオフセット移動して格納の状態となる(図6)。図6の状態から、操作スイッチ表示101cに触れると、第2電動油圧シリンダ72が伸び、リンク機構83の作用もあり、作業部88が効率よく回転し、耕耘部86とディスク部87が逆の向きになる(図7)。この状態で、トラクタを後進させてリターン作業が可能となり、圃場の隅を塗ることができる。このように、第1電動油圧シリンダ71と第2電動油圧シリンダ72を制御して、操作スイッチ表示101aに触れると図5の前進作業の状態に、操作スイッチ表示101bに触れると図6の格納の状態に、操作スイッチ表示101cに触れると図7の後進作業の状態になるように操作できる。また、必要に応じ、散水装置タンク91の水を、ホース92を介してノズル93からディスク部87近傍に排出し、乾いた圃場でも畦を形成することを可能とする。散水装置タンク91の下には、散水装置ポンプ77が設置される。操作スイッチ表示101dに触れると散水装置ポンプ77のスイッチが入り、操作スイッチ表示101eに触れると散水装置ポンプ77のスイッチが切れて水を排出するか否かを選択できる。
【0028】
このように、1つの操作ボックス10aで、タッチパネル部41の表示を切り替えることにより、異なる作業機の操作が可能となる。作業者は、トラクタに装着する作業機の機種を入れ替えた場合、同じ操作ボックス10aで、切替スイッチ表示100kや101kに触れれば、他の作業機の作業を行うことができる。また、機種表示100m、101mにより、どの機種の操作が可能であるかが分かる。
【実施例2】
【0029】
図8は、実施例2における操作ボックスの正面図である。図8(a)は、電源がオフの状態であり、図8(b)は、折り畳み機能がある代掻き機(ウイングハロー)に対する操作表示画面102を表示させた操作ボックス10bの正面図である。図8(c)は、オフセット及びリターン機構を備えた畦塗り機に対する操作表示画面103を表示させた操作ボックス10bの正面図である。実施例2では、実施例1と異なる部分について説明し、同一の箇所は同一の符号を付してある。
【0030】
操作ボックス10bは、電源スイッチ46と、切替スイッチ47と、機種表示部45と、タッチパネル部42とを有している。電源スイッチ46は、実施例1と同様である。切替スイッチ47は、タッチパネル部42とは別に設けられているスイッチであり、このスイッチを押すと他の作業機の表示に切り替えるように制御される。
【0031】
機種表示部45は、タッチパネル部42にどの作業機の操作表示画面であるかを示す表示をする。例えば、図8では、LEDによるハロー側表示部45aと畦塗り機側表示部45bをそれぞれ設け、その近傍には、作業機の機種が記載されている。そのため、点灯するLEDの場所によりどの作業機の機種の操作表示画面であるかが分かる。なお、機種表示は、タッチパネル部42に表示することも可能である。
【0032】
タッチパネル部42は、切替スイッチ表示がないこと以外は、実施例1と同様であり、図8(b)の操作スイッチ表示102a〜102jは、図2(b)の100a〜100jの操作スイッチ表示と同様であり、図8(c)の操作スイッチ表示103a〜103eは、図2(c)の101a〜101eの操作スイッチ表示と同様である。
【0033】
このように切替スイッチ47を別スイッチとすることで、タッチパネル部42の表示に関わらず確実な機種の切替を可能とする。さらに、タッチパネルとは別の押しボタンとすれば、誤操作を防止することもできる。なお、切替スイッチ47は長押しによる反応として誤操作をより防止することも可能である。
【実施例3】
【0034】
図9は、実施例3における操作ボックスの正面図である。実施例3では、操作ボックス10cの表面全体はタッチパネル部43として、側面に電源スイッチ48や、切替スイッチ49を設けた構成である。
【0035】
電源スイッチ48を押すと操作ボックス10cの電源が入り、切替スイッチ49を押すと他の作業機の操作表示画面に切り替えるように制御される。これらの機能は、実施例2の電源スイッチ46や切替スイッチ47と同様である。なお、タッチパネル部43を長押しすることにより(何秒間か触れることにより)電源が入り、タッチパネル部43が表示される構成としてもよい。
【0036】
図9(a)は、折り畳み機能がある代掻き機(ウイングハロー)に対する操作表示画面104を表示させた操作ボックス10cの正面図である。タッチパネル部43に表示された操作表示画面104は、上部に機種表示104mが表示され、その下には、操作スイッチ表示104a〜104jが表示される。操作スイッチ表示104a〜104jは、横×縦が2×5の隣り合う大きなマス目で区切られることにより構成される。そして、それぞれの操作スイッチ表示104a〜104jには、そのスイッチにより作動する作業機の動きを絵により示されている。なお、操作スイッチ表示104a〜104jのスイッチに触れることによる出力機器の作用は、実施例1の操作スイッチ表示100a〜100jと同様である。
【0037】
図9(b)は、耕深調節機構及びリターン機構を備えた畦塗り機に対する操作表示画面105を表示させた操作ボックス10cの正面図である。タッチパネル部43に表示された操作表示画面105は、上部に機種表示105mが表示され、その下には、注意事項105nが表示され、さらにその下に、操作スイッチ表示105a〜105fが表示される。操作スイッチ表示105a〜105fは、隣り合う大きなマス目で区切られることにより構成される。そして、それぞれの操作スイッチ表示105a〜105fには、そのスイッチによる作業機の動きを絵と文字により示されている。操作スイッチ表示105a、105bに触れると、耕耘部の耕深量を変更し、操作スイッチ表示105c、105dに触れると、前進作業が後進作業かを選択し、操作スイッチ表示105e、105fに触れると、散水の入り切りを選択する。
【0038】
図9(c)は、肥料散布機(ライムソワ)に対する操作表示画面106を表示させた操作ボックス10cの正面図である。タッチパネル部43に表示された操作表示画面105は、上部に機種表示106mが表示され、その下には、操作スイッチ表示106a〜106fが表示される。操作スイッチ表示106a〜106fは、隣り合う大きなマス目で区切られることにより構成される。そして、それぞれの操作スイッチ表示106a〜106fには、そのスイッチによる作業機の動きを文字により示されている。操作スイッチ表示106a〜106fに触れると、フラップの開け閉めを行える。
【0039】
このように、操作ボックス10cの表面全体をタッチパネル部43とすることで、タッチパネルの表示領域を広く使用でき見やすいものとなる。さらに、作業機ごとに、操作スイッチ表示の配置を異ならせて、その作業機の操作にふさわしい構成とすることができる。また、操作スイッチ表示を絵により説明すれば直感的に分かりやすいものとなる。また、文字による表示はシンプルな表示にできる。さらに、絵と文字による表示は、操作ボタンによる作業機の動作を作業者に確実に伝えることができる。
【実施例4】
【0040】
図10は、実施例4における接続時の操作ボックスの表示例である。実施例4では、実施例3の切替スイッチ49を有さない代わりに、自動認識で作業機を判別するシステムを有するものである。実施例4では、インターフェース14、24間は、有線による接続を前提として、これらの間は、ハーネス120が接続される。
【0041】
操作ボックス10dの電源スイッチ48を押して、電源が入ったときに、インターフェース14、24間にハーネス120が接続されず操作ボックス10dと制御ボックス20間との通信ができない場合は、表示画面107に状態表示107p(「作業機に接続されていません」)と指示表示107q(「ハーネスを接続してください」)が表示される(図10(a))。
【0042】
そして、インターフェース14、24間にハーネス120が接続され、操作ボックス10dと制御ボックス20間との通信が可能となると、表示画面108に状態表示108p(「作業機に接続されました」)と動作表示108q(「操作メニューを表示します」)が表示される(図10(b))。このとき、制御ボックス20(制御部21)側からの情報を受信し、操作ボックス10d(制御部(操作系)11)では、受信した情報を基に制御ボックス20を有する作業機の機種を判別し、その作業機の操作画面をタッチパネル部43に表示させる。表示される内容は、実施例3で示した操作表示画面104〜106等である。
【0043】
操作ボックス10dの電源スイッチ48を押して、電源が入ったときに、インターフェース14、24間にハーネス120が接続されており、操作ボックス10dと制御ボックス20間との通信が可能な場合は、図10(c)と同様の画面表示となり、図10(b)で説明した制御を行う。
【実施例5】
【0044】
図11は、実施例5における接続時の操作ボックスの表示例である。実施例5では、実施例3の切替スイッチ49を有さない代わりに、自動認識で作業機を判別するシステムを有するものである。実施例5では、インターフェース14、24間は、無線による情報の送受信を前提としている。
【0045】
操作ボックス10eの電源スイッチ48を押して、電源が入るとタッチパネル部43に説明表示109p(「作業機に接続します 接続ボタンを押してください」)が表示され、その下に接続スイッチ表示109aが表示される(図11(a))。接続スイッチ表示109aに触れると、操作ボックス10e(制御部(操作系)11)は近傍の制御ボックス20と受信を行い、送受信ができた場合は、制御ボックス20(制御部21)側からの情報を受信し、制御ボックス20を有する作業機の機種を判別し、状態表示110p(「現在あぜ塗り機が装着されています」)と動作表示110q(「操作メニューを表示します」)を表示する(図11(b))。その後、その作業機の操作画面をタッチパネル部43に表示させる(図11(c))。図11では、操作表示画面107を例示している。
【0046】
このように実施例4と実施例5では、自動認識により、操作表示画面が選択されるので、作業者は、トラクタに装着する作業機を取り替えた場合、操作パネルの切り替え操作をする必要がなくなる。さらに、間違った操作表示画面の選択を防止できる。なお、自動認識システムの不具合等に備えて、実施例1〜3のような切替スイッチ(切替スイッチ表示)を設ける構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0047】
10、10a〜10e 操作ボックス
11 制御部(操作系)
12 入力部(操作側)
13 表示部(操作側)
14 インターフェース(操作側)
20 制御ボックス
21 制御部
22 出力部
23 入力部
24 インターフェース
30 出力機器
41、42、43 タッチパネル部
45 機種表示部
46、48 電源スイッチ
47、49 切替スイッチ
100〜106 操作表示画面
50 代掻き機
56、56’ 電動油圧シリンダ
60、60’ レーキ開閉装置
66 土引きユニット
71 第1電動油圧シリンダ
72 第2電動油圧シリンダ
77 散水装置ポンプ
80 畦塗り機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着して農作業を行う作業機と、タッチスクリーンであるタッチパネル部に表示された操作表示画面上の操作スイッチ表示に触れて操作する操作ボックスとを備え、
前記作業機は、当該作業機に設けられた出力機器と、前記操作スイッチ表示の操作による操作信号を受信しこれに基づき前記出力機器を制御する制御部とを有し、
前記操作表示画面は、前記作業機の機種毎に変更して、異なる作業機の操作が可能であることを特徴とする農作業機のリモコンシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の農作業機のリモコンシステムにおいて、
前記操作ボックスは、前記タッチパネル部に切替スイッチ表示を表示させ、前記切替スイッチ表示に触れると、他の作業機の操作表示画面に切り替わることを特徴とする農作業機のリモコンシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の農作業機のリモコンシステムにおいて、
前記操作ボックスは、前記タッチパネル部とは別に当該操作ボックスの電源スイッチを有することを特徴とする農作業機のリモコンシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の農作業機のリモコンシステムにおいて、
前記電源スイッチは、前記操作ボックスの側面に設けられ、前記タッチパネル部は、前記操作ボックスの表面全体に設けたことを特徴とする農作業機のリモコンシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の農作業機のリモコンシステムにおいて、
前記操作ボックスは、前記タッチパネル部とは別に切替スイッチを有し、前記切替スイッチを押すと、他の作業機の操作表示画面に切り替わることを特徴とする農作業機のリモコンシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の農作業機のリモコンシステムにおいて、
前記切替スイッチは、前記操作ボックスの側面に設けられ、前記タッチパネル部は、前記操作ボックスの表面全体に設けたことを特徴とする農作業機のリモコンシステム。
【請求項7】
請求項1に記載の農作業機のリモコンシステムにおいて、
前記操作ボックスは、前記作業機の制御部との通信が可能になると、前記制御部からの情報を受信し、受信した情報により作業機の機種を判別し、判別した機種に対応する一つの操作表示画面を表示して操作可能とすることを特徴とする農作業機のリモコンシステム。
【請求項8】
請求項1に記載の農作業機のリモコンシステムにおいて、
前記操作スイッチ表示は、どの機種の操作表示画面であっても、前記タッチパネル部の一定の位置に表示させることを特徴とする農作業機のリモコンシステム。
【請求項9】
請求項1に記載の農作業機のリモコンシステムにおいて、
前記操作スイッチ表示には、文字と絵の少なくとも一つにより操作の説明が表示されていることを特徴とする農作業機のリモコンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−142884(P2011−142884A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7681(P2010−7681)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】