説明

農作業機

【課題】遠隔操作手段の操作部の数を増やしても接続ケーブルの電線本数を増やす必要がない農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、制御手段5と、この制御手段5に接続ケーブル7を介して接続した遠隔操作手段6とを備える。接続ケーブル7は、4本の電線、すなわち電源線16、接地線17、第1シリアル信号線18および第2シリアル信号線19からなる。第1シリアル信号線18は、遠隔操作手段6から制御手段5にシリアル信号を送るための信号線である。第2シリアル信号線19は、制御手段5から遠隔操作手段6にシリアル信号を送るための信号線である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作手段の操作部の数を増やしても、接続ケーブルの電線本数を増やす必要がない農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば左右の延長作業部を回動させる油圧シリンダ等の駆動手段を制御する制御手段(制御ボックス等)と、この制御手段に接続ケーブルを介して接続され複数の操作部であるスイッチを有する遠隔操作手段(操作ボックス等)とを備えた代掻き機等の農作業機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−337102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の農作業機では、例えば遠隔操作手段のスイッチが10個ある場合、接続ケーブルの電線本数は、スイッチ数の「10」と1本の共通線の「1」との合計11本であり、遠隔操作手段のスイッチの数が増えれば、その増えた分だけ接続ケーブルの電線本数を増やさなければならない。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、遠隔操作手段の操作部の数を増やしても、接続ケーブルの電線本数を増やす必要がない農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の農作業機は、制御手段と、この制御手段に接続ケーブルを介して接続され、複数の操作部を有する遠隔操作手段とを備え、前記接続ケーブルは、前記遠隔操作手段から前記制御手段にシリアル信号を送るための第1シリアル信号線と、前記制御手段から前記遠隔操作手段にシリアル信号を送るための第2シリアル信号線とを有するものである。
【0006】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、接続ケーブルは、シリアル信号を送ることを知らせる制御信号を送るための第1制御信号線と、シリアル信号を受け取ったことを知らせる制御信号を送るための第2制御信号線とを有するものである。
【0007】
請求項3記載の農作業機は、請求項1または2記載の農作業機において、接続ケーブルは、電源線および接地線を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接続ケーブルが、遠隔操作手段から制御手段にシリアル信号を送るための第1シリアル信号線と、制御手段から遠隔操作手段にシリアル信号を送るための第2シリアル信号線とを有する構成であるから、遠隔操作手段の操作部の数の増減に拘わらず接続ケーブルの電線本数を一定にでき、よって、遠隔操作手段の操作部の数を増やしても、接続ケーブルの電線本数を増やす必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の農作業機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】
図1において、1は農作業機で、この農作業機1は、例えば走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結して使用する牽引式の代掻き機である。農作業機1は、トラクタの後部に連結された状態で、トラクタの走行により圃場上を移動しながら代掻作業および土引作業を選択的に行うものである。
【0011】
農作業機1は、トラクタの後部の3点リンク部に連結される左右方向長手状の中央作業部と、中央作業部の左右方向両端部に略前後方向の支軸(回動中心軸線)を中心として上下方向に回動可能に設けられその支軸を中心とする回動により折畳状態および展開状態に切り換えられる左右一対の作動手段3を構成する延長作業部と、駆動力を出力して延長作業部を支軸を中心として回動させる駆動手段4を構成する油圧シリンダとを備えている。
【0012】
中央作業部は、左右方向長手状の機枠、機枠に回転可能に設けられ耕耘作業をするロータリ式の耕耘体、機枠に上下回動可能に設けられ耕耘体の後方で整地作業をする均平板およびレーキ等からなる整地体等を有している。延長作業部は、左右方向に長手状の延長機枠、延長機枠に回転可能に設けられ耕耘作業をするロータリ式の耕耘体、延長機枠に上下回動可能に設けられ耕耘体の後方で整地作業をする均平板およびレーキ等からなる整地体等を有している。
【0013】
また、農作業機1は、作動手段3として、前記延長作業部以外に、中央作業部の整地体を機枠に対して固定して土引ロック状態にするセンタ土引ロック手段、延長作業部の整地体を延長機枠に対して固定して土引ロック状態にするサイド土引ロック手段、延長作業部の整地体のレーキ外端に上下回動可能に設けられた延長レーキ等を備えている。
【0014】
さらに、農作業機1は、駆動手段4として、前記油圧シリンダ以外に、センタ土引ロック手段を作動させるセンタ土引ロック用モータ、サイド土引ロック手段を作動させるサイド土引ロック用モータ、延長レーキを回動させる延長レーキ用モータ等を備えている。
【0015】
そして、これら駆動手段4には、CPU、入力ポート、出力ポート等にて構成され各駆動手段4を制御する制御手段(制御ボックス等)5が電気的に接続されている。制御手段5は、中央作業部の機枠に取り付けられている。制御手段5には、制御手段5の制御に基づいて作動手段3を遠隔操作するための遠隔操作手段(操作ボックス等)6が接続ケーブル7を介して電気的に接続されており、制御手段と遠隔操作手段との間ではシリアル通信によりデータのやりとりが行われるようになっている。なお、遠隔操作手段は、トラクタ側の位置、例えばトラクタに乗った運転者が操作可能な位置に配設される。
【0016】
遠隔操作手段6は、図1および図2に示すように、複数の操作部11と、発光ダイオード(LED)或いは液晶表示器(LCD)等からなる表示部12とを有している。複数の操作部11は、延長作業部を展開状態にする際に操作する開スイッチ、延長作業部を折畳状態にする際に操作する閉スイッチ、延長作業部を選択する際に操作する選択スイッチ、整地体を土引ロック状態にする際に操作する土引作業スイッチ、整地体の土引ロック状態を解除して代掻フリー状態にする際に操作する代掻作業スイッチ、延長レーキを回動させる際に操作するレーキ用スイッチ等である。また、遠隔操作手段6は、パラレル・シリアル変換IC14およびレベル変換IC15等を有している。レベル変換IC15は、-10V〜+10Vのシリアル信号を+5Vに変換するものである。
【0017】
接続ケーブル7は、図1および図2に示すように、例えば4本の電線、すなわち電源線(電源+)16、接地線(電源−)17、第1シリアル信号線18および第2シリアル信号線19にて構成されている。電源線16および接地線17は、制御手段5側から遠隔操作手段6に電力を供給するためのものである。第1シリアル信号線18は、遠隔操作手段6から制御手段5にシリアル信号(シリアルデータ)を送るための信号線である。第2シリアル信号線19は、制御手段5から遠隔操作手段6にシリアル信号(シリアルデータ)を送るための信号線である。
【0018】
そして、上記農作業機1によれば、遠隔操作手段6と制御手段5とを接続する接続ケーブル7が、電源線16、接地線17、第1シリアル信号線18および第2シリアル信号線19にて構成されているため、遠隔操作手段6の操作部11および表示部12の数、つまり入出力機器の数の増減に拘わらず、接続ケーブル7の電線本数を例えば4本に固定でき、よって、例えば遠隔操作手段6の操作部11の数を増やしても、接続ケーブル7の電線本数を増やす必要がなく、遠隔操作手段6の操作部11の数の増大に容易かつ適切に対応できる。
【0019】
また、接続ケーブル7の電線本数が4本と少ないので、各電線を太くして断線しにくいようにでき、また予備線の付加によりシリアル信号線を2本づつにすることで、故障しづらい設計にできる。
【0020】
なお、上記実施の形態では、遠隔操作手段6がレベル変換IC15を有する構成について説明したが、例えば図3に示すように、レベル変換IC15を制御手段5側に設けて、制御手段5がレベル変換IC15を有する構成としてもよい。この図3に示す構成では、遠隔操作手段6と制御手段5とを接続する接続ケーブル7は、6本の電線、すなわち電源線(電源+)16、接地線(電源−)17、第1シリアル信号線18、第2シリアル信号線19、第1制御信号線21および第2制御信号線22にて構成されている。
【0021】
第1制御信号線21は、シリアル信号を送ることを制御手段5に知らせる制御信号を遠隔操作手段6から制御手段5に送るための信号線である。第2制御信号線22は、シリアル信号を受け取ったことを遠隔操作手段6に知らせる制御信号を制御手段5から遠隔操作手段6に送るための信号線である。
【0022】
なお、農作業機1は、代掻き機には限定されず、畦塗り機、施肥播種機等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機の構成図である。
【図2】同上農作業機の要部説明図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る農作業機の要部説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 農作業機
5 制御手段
6 遠隔操作手段
7 接続ケーブル
11 操作部
16 電源線
17 接地線
18 第1シリアル信号線
19 第2シリアル信号線
21 第1制御信号線
22 第2制御信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御手段と、
この制御手段に接続ケーブルを介して接続され、複数の操作部を有する遠隔操作手段とを備え、
前記接続ケーブルは、
前記遠隔操作手段から前記制御手段にシリアル信号を送るための第1シリアル信号線と、
前記制御手段から前記遠隔操作手段にシリアル信号を送るための第2シリアル信号線とを有する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
接続ケーブルは、
シリアル信号を送ることを知らせる制御信号を送るための第1制御信号線と、
シリアル信号を受け取ったことを知らせる制御信号を送るための第2制御信号線とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
接続ケーブルは、電源線および接地線を有する
ことを特徴とする請求項1または2記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−141963(P2008−141963A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329302(P2006−329302)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】