説明

農園芸用ハウスの採光材及び農園芸用ハウス

【課題】激しい日照下でもハウス内温度が異常に高くなるのを防止し、ハウスの内部温度が外気温の変化に影響を受けるのを極力抑制できるようにする。
【解決手段】ハウス1のルーフ部3bには、透明パネル20が設けられており、この透明パネル20の内面には遮熱層21が形成され、外面には親水性層22が形成されており、遮熱層21はルーフ部3bからハウス1内に太陽光線に含まれる赤外光を反射させ、可視光及び紫外光は透過させるためのものであり、Ta2O5(酸化タンタル)薄膜とSiO2(二酸化珪素)薄膜の交互層からなる誘電体多層膜で構成され、親水性層22は透明パネル20の表面に親水性を付与するものであり、TiO2を主成分とするコーティング材を透明パネル20の表面に直接塗布することにより形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用,園芸用等として用いられるハウスに装着される採光材及び採光材を用いた農園芸用ハウスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
農産物の育成のため、また花木,観葉植物等のガーデニング用として用いられる温室なり、植物栽培室なりは、アルミニウムパイプや鉄骨,木材等から骨組み構造を有し、この骨組み構造の周囲及びルーフが設けられ、また適宜の部位に開閉扉や開閉式の窓が設けられる。ここで、植物の生育を促進するためには、温度及び湿度と共に日照を必要とするため、骨組み構造を覆う外壁及びルーフは、そのほぼ全体に採光材を設ける構成としている。この採光材としては、塩化ビニルやポリオレフィン等からなる透明シート状資材や、ポリカーボネート等の透明樹脂からなるパネル材や、ガラス板からなる透明板体が一般的に用いられる。
【0003】
ところで、夏季における晴天時のように、強い日照により温室の内部温度が極めて高くなることがあり、かえって植物の生育を阻害し、甚だしい場合には枯れさせてしまうこともある。温室に開閉可能な窓を設けて、この窓を開くことによって内部の熱を放出することができるが、窓を開放しただけでは、温室内の温度は外気温以下にはならない。このために、温室内に空調施設を設置したものも実用化されており、温室内の温度が極端に上昇したときに、内部を冷房することによって温室内の温度を低下させることができるようになる。しかしながら、温室に空調施設を付設すると、温室施設の製造コストが高く、かつ大型化し、ランニングコストも高くなる等といった問題点がある。
【0004】
以上のことから、構成を簡素化し、省エネルギ的運転を可能にした植物栽培室が、特許文献1に開示されている。この公知の植物栽培室は、建屋における天窓を、熱線吸収液を封入した透明二重層として構成し、かつその外面に流水の供給を行うようにしている。そして、熱線吸収液により吸収した熱を流水の蒸発潜熱と共に外部に放出するようにしている。
【特許文献1】特開昭58−107122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述したように、太陽光から照射される熱線を熱線吸収液に吸収させると、この熱線吸収液が加熱されることになり、天窓が蓄熱されることになる。この影響で植物栽培室内の温度が上昇することになり、例えば夏季の炎天下においては、気化熱だけでは十分な温度制御ができない場合がある。また、熱線吸収液で吸収した熱を蒸発潜熱として外部に放出するには、天窓全体に水が十分広がり、しかも流下速度を遅くする必要があるが、単に傾斜した天窓を設けただけでは、供給した水は天窓の表面上に留まらずに傾斜に沿って速やかに流下することになり、天窓の表面上では殆ど蒸発せず、十分な放熱効果が得られないことがある。さらに、太陽光の照射エネルギが極めて小さく、植物栽培室内が所望とする温度にまで上昇しない冬季でも同じく熱線の吸収が行われ、特定の植物を生育するために必要な程度まで室内温度を上昇できない場合もある。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、激しい日照下でもハウス内温度が異常に高くなるのを防止し、ハウスの内部温度が外気温の変化に影響を受けるのを極力抑制できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明は、内部の温度管理が行われる農園芸用ハウスに用いられる採光材であって、透明シートまたは透明板体からなる採光材本体の一側面に、赤外光を反射させ、可視光及び紫外光を透過させる遮熱層を形成する構成としたことをその特徴とするものである。
【0008】
太陽光線には、可視光,紫外光及び赤外光が含まれており、蜂、蝶等といった昆虫による受粉活動のために可視光、特に緑及び青の波長領域から紫外光の波長領域を必要とし、また植物の光合成の点からは400〜700nmの波長光を必要とする。従って、これらの波長領域の光は採光材を透過させる。一方、赤外光はハウスの内部を加熱することになるので、採光材を透過させないようにする。しかも、採光材自体が蓄熱するのを防止するために、赤外光を吸収するのではなく、反射させる。つまり、採光材には、紫外光から可視光を透過させ、赤外光を反射させる特性を持たせる。この特性を発揮させるために、塩化ビニルやポリオレフィン等の透明樹脂シートまたはポリカーボネート等の透明樹脂板またはガラス板等からなる透明板体からなる採光材本体の表面に遮熱層を積層するように形成する。この遮熱層はフィルム状として採光材に貼り付けるようにすることもでき、また真空蒸着等による成膜手段により形成することもできる。
【0009】
遮熱層として、所望の波長領域の光を透過させ、それ以外の波長光を反射させる機能を持たせるために、誘電体多層膜で構成することができる。遮熱層は、具体的には、Ta2O5薄膜とSiO2薄膜とを交互に形成した誘電体多層膜からなり、太陽光線における赤外光を反射させ、可視光及び紫外光を透過させる波長選択性を有する薄膜であり、即ち赤外光を反射させるIRカットミラー膜を構成するものである。この遮熱層は採光材本体の一側表面に積層させる。
【0010】
誘電体多層膜は光の入射角に応じて透過特性が変化するのが一般的である。採光材として構成する場合において、遮熱層として、角度依存性のある誘電体多層膜を使用することは、かえって有利なものとなる。即ち、夏季の日差しは垂直乃至それに近い方向であり、冬季には太陽光線はより水平に近い角度から照射されるので、誘電体多層膜の特性と、農園芸用ハウスとして組み立てたときのルーフの角度とから、高温になる夏季における太陽光線の入射角では、赤外光をほぼ100%というように最大限反射させるが、ハウス内の温度があまり上昇しない冬季は積極的に赤外光を取り込むために、冬季の太陽光線の入射方向に対しては、むしろ赤外光を積極的に透過させる特性を持っている方が望ましい。
【0011】
採光材は農園芸用ハウスにおいて、少なくともそのルーフ材として用いられる。この採光材における遮熱層は、採光材本体のいずれの側面に設けても良いが、それが劣化乃至損傷しないように保護するために、環境条件の良好なハウスの内部側に向けるようにして装着するのが望ましい。そして、この採光材本体の他側、つまりハウスの外面には、親水性層を形成する構成とすることができる。この親水性層はTiO2または親水性シリコーンを主成分とするものを用いることができ、採光材本体外面に、成膜を含むコーティングまたはフィルムの貼り付け等の手段で形成することができる。なお、親水性層は遮熱層と同じ面に積層状態にして設けても、光学的には格別の支障を来たさない。
【0012】
以上の構成を有する採光材は、少なくとも農園芸用ハウスを構成するルーフとして構成される。一方、側面部や窓及び開閉扉も透明な採光材で構成されるが、これらについてはルーフにおけるような特性は必ずしも必要ではない。ただし、これら側面部や窓、扉にも赤外光を含む太陽光線が照射されることから、これらの採光材にも少なくとも赤外光を反射させる遮熱層を積層させるのが望ましい。
【0013】
ルーフは平面状態として配置することもできるが、所定角度傾斜させるように装着するのが望ましい。特に、採光材の表側の面に親水性層を形成し、この採光材をルーフとして用いる場合、ハウスにはこの傾斜に沿って水を流すようになし、この流水を気化させるようになし、もって遮熱層による赤外光の反射によるカットに加えて、気化熱による冷却効果を発揮する。なお、側面における周壁部では流水したときの保水性が十分でなく、気化熱の作用を大きくは期待できないので、採光材本体に親水性層を形成することは必ずしも必要ではない。ただし、この側面にも水滴を付着させることができるので、多少は気化熱(蒸発潜熱)の作用を発揮することになり、また表面の汚損防止という観点も考慮して、側面部に親水性層を形成こともできる。
【発明の効果】
【0014】
炎天下において照射される太陽光線から熱線である赤外光は、少なくともルーフに設けた遮熱層で反射させ、可視光及び紫外光を透過させることにより、ハウス内温度が異常に高くならないように保持できて、植物の生育に最適な環境を作り出すことができ、特に暑熱を好まない季節野菜等の栽培や、恒温性が望まれる蘭等の植物の育成のための温室として好適に用いることができる。そして、遮熱層を誘電体多層膜で形成することにより、所望の透過・反射特性を持たせることができ、もって外気温の変化に対するハウスの内部温度の変動幅を小さくすることができ、栽培する植物の生育により良好な環境を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1に農園芸用ハウス1の外観を示す。図中において、ハウス1は、基礎2に建物構造部3を設置したものからなり、建物構造部3は周壁部3aとルーフ部3bとを有するものであり、鉄骨やアルミニウムパイプ等で形成した柱や梁、さらには窓や扉が装着される枠体等からなる骨組み構造を有するものである。この骨組み構造には透明板体(または透明シート)からなる側面板が装着されており、適宜の箇所に開閉窓4及び開閉ドア5が設けられている。また、ルーフ部3bには、やはり透明板体(または透明シート)からなるルーフ板(またはシート)が装着されている。さらに、周壁部3aの開閉窓4及び開閉ドア5には、共に透明部材からなる窓板及びドア板が装着され、これによって内部は閉鎖可能な構造となっている。ハウス1の内部は作物を栽培するための圃場としている。なお、花木や観葉植物を育成するための温室として構成する場合には、植木鉢等が載置される栽培棚が設けられる。
【0016】
ハウス1の内部には、図2に示したように、潅水施設が設けられている。この潅水施設は、地下に設けた貯水タンク(図示せず)と、この貯水タンクに接続した汲み上げポンプユニット10と、この汲み上げポンプユニット10に接続され、畝11に沿って延在させた散水チューブ12とから構成される。また、汲み上げポンプユニット10には供給配管13が接続されており、この供給配管13は、ルーフ部3bにおける頂部の上部位置に、この頂部の延在方向に配設した給水パイプ14に接続して設けられている。この給水パイプ14は、図3からも明らかなように、長手方向に複数の流出用小孔14aが形成されており、この流出用小孔14aからルーフ部3bの全体にわたって水を流下できるようにしている。
【0017】
本実施の形態においては、周壁部3aやルーフ部3bの採光材としては、透明板体で構成しており、また窓板,ドア板も光を通す採光材である。ルーフ部3bには、図3に示したように、採光材本体として、透明ガラスまたはポリカーボネート等の透明な合成樹脂板等から構成される透明パネル20を有し、この透明パネル20の一側面には遮熱層21が形成されており、また他側面には親水性層22が形成されている。そして、透明パネル20は親水性層22を外面側に向け、遮熱層21を内側に向けるようにしてルーフ部3bに装着されている。
【0018】
遮熱層21は、図3において、ルーフ部3bからハウス1内に太陽光線SLに含まれる赤外光IR(実線で示している)を反射させ、一点鎖線で示した可視光VL及び紫外光UVは透過させるためのものであり、Ta2O5(酸化タンタル)薄膜とSiO2(二酸化珪素)薄膜の交互層、つまり誘電体多層膜で構成され、真空蒸着等の成膜手段で形成される。この遮熱層21による透過波長特性としては、図4に示したものとする。同図において、実線で示したのは透過光、反射光は点線で示されている。従って、遮熱層21は可視光及び紫外光、即ち350〜700nmの波長光は透過率が90%以上であり、点線750nmの波長を超える波長光は大半が反射することになり、特に波長850nmではほぼ100%反射させる特性を発揮する。これによって、植物の受粉及び光合成に必要な波長光については十分な透過率が得られ、熱線である赤外光、特に850nm以上の波長光は反射して、ハウス1内に取り込まないようになる。
【0019】
このように、遮熱層21を設けることによって、ハウス1のルーフ部3bでは、図3に矢印SL方向から太陽光線が入射されると、可視光VL及び紫外光UVは透過するが、赤外光IRは反射することになる。ここで、ハウス1の内部温度としては、強い日照が照射される夏季において、異常高温とならないように赤外光IRを反射させる。一方、冬季の夜間等において、ハウス1の内部温度を外気温より高く保つために、図3に点線で示したように、遮熱層21の作用で地熱THを反射させてハウス1の内部に封じ込め、熱が大気に放出されないようにする。換言すると、ハウス1の内部を大気と熱的にできるだけ遮断して、ハウス1の外部温度の変化の影響を小さくして、ハウス1の内部温度の変動を抑制して可及的に恒温化する。なお、この遮熱層21としては、透過・反射率が90度から±30度程度の範囲ではほぼ同じ特性を有するものであり、それより小さい角度、つまり冬季における太陽光線の入射方向(図3に仮想線矢印で示した方向)は、赤外光をある程度透過する特性を持つもの、つまり透過と反射との比率が転換する波長を短波長側にシフトする特性となったものを用いることができる。
【0020】
また、透明パネル20に設けられる親水性層22は、この透明パネル20の表面に親水性を付与するものであり、水を付着させたときに、水膜状となって広く拡散するように、つまり接触角を低下させる機能を発揮する層である。具体的には、TiO2を主成分とするコーティング材を透明パネル20の表面に直接塗布することにより形成できる。そして、ルーフ部3bの頂部に設置した給水パイプ14の流出用小孔14aから水を流出させると、ルーフ部3bを流下する間に、ほぼ全面に及ぶ水膜が形成される。このように、供給した水がルーフ部3bに沿って拡散することによって、水の保持能力が高くなり、ルーフ部3bのほぼ全面が水で濡れた状態に保持される。従って、周囲の湿度条件に応じて水蒸気が発生し、空気を加湿することになり、この空気を飽和状態まで加湿するのに要した潜熱の作用によりルーフ部3bが冷却される。そして、外気が高湿度条件下であっても、1〜2度程度の温度低下が得られ、また低湿度状態であればさらに冷却効果が高くなる。
【0021】
以上のように構成することによって、夏季における強い日照下におけるハウス1の内部温度が異常に上昇するのを抑制することができる。即ち、ルーフの部分の一部を塩化ビニルのシートで形成したものと、他の一部は塩化ビニルシートに図4の特性を発揮する誘電体多層膜を形成したものとの1日における温度変化の一例を図5に示す。同図において、細線で示した曲線pは塩化ビニルシートであって遮熱層が形成されていないものの温度変化、太線で示した曲線qは遮熱層付き塩化ビニルシートの温度変化である。また、図6には曲線pと曲線qとの温度差を示す。
【0022】
これらの図から明らかなように、赤外光IRを含む太陽光線が照射される日照時間(6:00〜19:00)においては、赤外光IRを反射させる処理をしたシートの温度変化曲線qは、赤外光IRの反射処理を行っていないシートの温度変化曲線pより低い温度状態に保持される。特に、日照が最も強く、ハウス内温度が最も高温となる時間帯、即ち9:00〜16:00においては温度差が3〜4度ともなる。
【0023】
従って、ハウス1のように、ルーフ部3bの全体を構成する透明パネル20に誘電体多層膜からなる遮熱層21を形成することによって、また側面部を構成する透明パネルにも同様の処理を施すことによって、遮熱層としての機能を有しない透明部材でハウスを形成した場合より、ハウス内の最高温度を著しく低下させることができる。特に、赤外光IRを多量に含む太陽光線が照射される夏季の昼間において温度低減効果が発揮して、異常高温となることはない。さらに、ルーフ部3bには親水性膜22が形成されており、この親水性膜22上に給水パイプ14から水が供給されて、ほぼ全面に及ぶように水膜が形成される。従って、この水の気化熱の作用により、さらに温度低下が達成される。しかも、給水パイプ14からの水の供給についてON,OFF制御を行うことによって、ハウス1の内部温度を調整することができる。
【0024】
その結果、空調施設等を設けることなく、ハウス1の内部温度の管理を正確に行うことができる。特に、夏場におけるハウス1内の最高温度を低下させ、もって夏場等は栽培できない、若しくは栽培するのに不適切な作物、例えば苺,トマト等や、適正な栽培温度管理を必要とする作物、例えばメロン等を生育することができる。また、可視光及び紫外光を透過させるので、作物の生育、即ち光合成及び受粉については何等の支障を来たすことはない。
【0025】
ここで、透明パネル20に積層される遮熱層21はハウス1の内側に向けられており、従って風雨に曝されず、また飛来物等による損傷を受けることがなく、長期間にわたって安定した機能を発揮するように保護されている。一方、親水性膜22はハウス1の外面に形成されているので、損傷や劣化等が生じる可能性があり、長い期間においては親水性機能が低下する可能性がある。このような場合には、親水性薬液を噴霧する等によって親水性を再付与することができる。
【0026】
ハウス1におけるルーフ部3bの内面及び周壁部3aを構成する透明パネルの内面に遮熱層21を形成しておくことによって、寒冷時の夜間等におけるハウス1内の保温機能を発揮させることができる。即ち、図3に示したように、ハウス1の内部における地面からは地熱THが放射されるが、この地熱THは熱線からなり、遮熱層21はこの熱線を反射させる機能を有するものである。従って、地熱THがこの遮熱層21の作用で放射されるのを防止でき、この熱をハウス1の内部に封じ込めることができる。その結果、遮熱層21がハウス1内における保温機能を発揮することになる。また、ルーフ部3bにおける透明パネル20の遮熱層21を誘電体多層膜で形成することにより、太陽光線のルーフ部3bへの入射角度に応じて赤外光IRの透過・反射特性を変化させることができる。夏場はルーフ部3bに対してはほぼ真上から太陽光線が照射されることになり、冬場では太陽光線はルーフ部3bに対して斜め方向から入射される。そこで、遮熱層21は、夏季における太陽光線の方向に対しては、図4に示した透過・反射特性を持たせ、図3に仮想線の矢印示した冬季の太陽光線の方向に対しては、積極的に赤外光を透過させるようにすることもできる。これによって、季節に拘らず、ハウス1の内部をある程度までは恒温状態に保持される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の一形態を示す農園芸用ハウスの外観図である。
【図2】図1の農園芸用ハウスの断面図である。
【図3】図2のルーフ部を拡大図であり、かつ光の透過・反射特性を示す説明図である。
【図4】遮熱層による光の透過・反射特性を示す線図である。
【図5】ルーフの部分の一部を塩化ビニルのシートで形成したものと、塩化ビニルシートに誘電体多層膜を形成したものとの温度変化を示す線図である。
【図6】塩化ビニルシートと、誘電体多層膜を形成した塩化ビニルシートとの温度差を示す線図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ハウス
3 建物構造物
3a 周壁部
3b ルーフ部
14 給水パイプ
20 透明板
21 遮熱層
22 親水性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の温度管理が行われる農園芸用ハウスに用いられる採光材であって、
透明シートまたは透明板体からなる採光材本体の一側面に、赤外光を反射させ、可視光及び紫外光を透過させる遮熱層を形成する構成としたことを特徴とする農園芸用ハウスの採光材。
【請求項2】
前記遮熱層はTa2O5薄膜とSiO2薄膜との交互層からなる誘電体多層膜で構成したことを特徴とする請求項1記載の農園芸用ハウスの採光材。
【請求項3】
前記採光材本体の他側面に親水性層を形成する構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の農園芸用ハウスの採光材。
【請求項4】
前記親水性層はTiO2または親水性シリコーンを主成分とするものであって、前記採光材本体の外面にコーティングまたは貼り付けのいずれかの手段で形成する構成としたことを特徴とする請求項3記載の農園芸用ハウスの採光材。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の採光材を少なくともルーフとして用い、この採光材の前記遮熱層を内部側に向けて装着した農園芸用ハウス。
【請求項6】
前記ルーフには、散水手段を装着する構成としたことを特徴とする請求項5記載の農園芸用ハウス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−86284(P2008−86284A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273054(P2006−273054)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(591240353)フジノン佐野株式会社 (52)
【出願人】(506335455)
【Fターム(参考)】