説明

込栓装着パネルおよびパネルの連結方法

【課題】込栓装着パネルおよびパネルの連結方法を提供すること。
【解決手段】板長手方向に間隔をおいて複数の板幅方向に貫通する込栓用貫通横孔3が設けられ、その込栓用貫通横孔3に込栓4が突出可能に装着配置されていることを特徴とするパネル。込栓用貫通横孔3が板厚方向に間隔をおいて平行に2列設けられているパネル。前記のパネルを幅方向に並べて配置し、一方のパネルに装着された込栓4の一部を他方のパネルにおける込栓用貫通横孔3に押し込むようにずらしてパネル相互を連結するパネルの連結方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣り合うパネル相互または版体相互を確実に連結して面剛性を高めた込栓装着パネルおよびパネルの連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パネル特に木製パネルおよびそのパネル相互を連結構造として、パネル幅方向の一端側にパネル長手方向に連続した雄実を設けると共に他端側にパネル長手方向に連続した雌実を設けて、一方のパネルの雄実と他方のパネルの雌実とを嵌合して、パネル相互を連結する構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−40039
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の場合は、パネル幅方向の端部に幅方向の突出量の少ない雄実と雌実との係合であるので、パネル幅方向の拘束が弱くパネル相互が幅方向にずれ移動しやすく、幅方向にずれたり、あるいは外れた場合には、再度係合した状態に直して、釘などの固定手段により土台あるいは大引などに固定するという煩雑な作業になるという問題がある。
また、板厚中央部の中立軸近傍に雄実を設ける共に雌実を設ける形態であるので、係合部の曲げ剛性は、雄実と雌実の係合に依存することになり曲げ剛性を高めることが難しいという問題がある。
本発明は前記の課題を解消した込栓装着パネルおよびパネルの連結方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明のパネルにおいては、板長手方向に間隔をおいて複数の板幅方向に貫通する込栓用貫通横孔が設けられ、その込栓用貫通横孔に込栓が突出可能に装着配置されていることを特徴とする。
第2発明では、第1発明のパネルにおいて、込栓用貫通横孔が板厚方向に間隔をおいて平行に2列設けられていることを特徴とする。
第3発明のパネルでは、板長手方向に間隔をおいて複数の板幅方向に貫通する込栓用貫通横孔が設けられ、複数平行に並べられた隣り合うパネルの込栓用貫通横孔に渡って装着配置された長尺込栓により連結されていることを特徴とする。
第4発明では、第1〜第3発明いずれかのパネルにおいて、パネルの幅方向一端側および他端側に、幅方向の中心縦軸線に対して点対称にしゃくり面を有する係合部を備えていることを特徴とする。
第5発明では、第1発明〜第4発明のいずれかのパネルにおいて、パネルの幅方向一端側および他端側に、幅方向の中心縦軸線に対して点対称に、板幅方向のずれを拘束する傾斜したしゃくり面を有する係合部を備えていることを特徴とする。
第6発明のパネルの連結方法では、第1発明〜第5発明のいずれかのパネルを幅方向に並べて配置し、一方のパネルに装着された込栓の一部を他方のパネルにおける込栓用貫通横孔に押し込むようにずらしてパネル相互を連結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
第1発明によると、板長手方向に間隔をおいて複数の板幅方向に貫通する込栓用貫通横孔が設けられ、その込栓用貫通横孔に込栓が突出可能に装着配置されているパネルであるので、隣り合うパネルを込栓により連結することができる簡単な構造のパネルとすることができる。
また、込栓はパネルに収納配置されているので、パネルの搬送時において込栓が損傷する恐れを排除することができる。
また、第2発明のように、込栓用貫通横孔が板厚方向に間隔をおいて平行に2列設けられているパネルとすると、2列の込栓により隣り合うパネル相互を連結して剛性の高いパネルとすることができる。
また、第3発明のように、板長手方向に間隔をおいて複数の板幅方向に貫通する込栓用貫通横孔が設けられ、複数平行に並べられた隣り合うパネルの込栓用貫通横孔に渡って装着配置された長尺込栓により連結されているパネルとすると、長尺の込栓を利用し少ない本数の込栓によりパネルを連結一体化することができる。
また、第4発明のように、パネルの幅方向一端側および他端側に、幅方向の中心縦軸線に対して点対称にしゃくり面を有する係合部を備えているパネルであると、パネルを簡単な形状にして、隣合うパネルを並列して並べた場合にしゃくり面相互を係合可能な簡単な構造のパネルとすることができる。
また、第5発明のように、パネルの幅方向一端側および他端側に、幅方向の中心縦軸線に対して点対称に、板幅方向のずれを拘束する傾斜したしゃくり面を有する係合部を備えているパネルとすると、傾斜したしゃくり面を設けるだけで、隣り合うパネルの板幅方向のずれを防止することができる。
また、第6発明のように、前記のようなパネルをその幅方向に並べて配置し、一方のパネルに装着された込栓の一部を他方のパネルにおける込栓用貫通横孔に押し込むようにずらしてパネル相互を連結すると、予め込栓はパネル内に装着されているので、これを単に押し出すようにずらすだけの簡単な方法で、容易にパネル相互を確実に連結することができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0007】
図1(A)および図3(A)には、本発明の第1実施形態のパネル1が示されている。正面方向の断面が矩形断面の木製パネル本体2における板厚方向の中間部であって上面よりに、板長手方向に間隔Lをおいて複数の板幅方向に貫通する込栓用貫通横孔3が設けられ、その込栓用貫通横孔3に、込栓用貫通横孔3の長さと同じ長さの堅木からなる込栓4が収納されるように配置されている。
前記の間隔Lとしては、例えば、10cm〜30cm程度の間隔で設けるようにすればよい。
前記の込栓用貫通横孔3の直径よりも込栓4の直径は僅かに大きくされ、前記込栓4は、込栓用貫通横孔3の直径よりも僅かに小さい丸鋼棒等の押し込み金具を当接して、その押し込み金具を木製あるいは金属製ハンマーにより殴打することにより、込栓4を押し込み、パネル1の幅方向の外側に突出可能に装着配置されている。
したがって、隣接するパネルがある場合には、前記の各込栓4を、鋼棒等の押し込み金具を介在させて殴打することにより、パネル幅方向にずらして、隣接するパネル1の込栓用貫通横孔3に圧入するように移動させて、パネル1相互の連結を図ることができるようにされている。
第1実施形態の複数のパネル1を幅方向に並べて連結する形態が図4(A)および図5(A)に示されている。図4(A)には、パネル1が幅方向に並べられた状態が示されており、この状態では、パネル1長手方向のすべての込栓用貫通横孔3は、同レベルでパネル1長手方向に同じ位置に配置されている。
【0008】
図5(A)には、図4に示す状態から、右端に位置する各込栓4を押し込み用鋼棒(図示を省略した)を介して金槌などにより殴打して各込栓4の先端部を隣接するパネル側にずらして全てのパネル1相互を連結した状態が示されている。
【0009】
図1(B)〜図1(E)および図3(A)並びに図4(B)〜図4(E)には、第1実施形態と同様な要素を備えた第2〜第5実施形態のパネル1が示されている。前記第2〜第5実施形態では、主に前記実施形態と相違する点を説明し、同様な部分には、同様な符号を付して説明を簡単にする。
【0010】
図1(B)および図3(A)並びに図4(B)では、パネル本体2の幅方向一方の一側部にしゃくり下面5およびこれに接続する垂直面6を有する切り欠き部7が設けられ、幅方向の他側部には、しゃくり上面8およびこれに接続する垂直面6を有する切り欠き部7が設けられている。上位に位置する一方の切り欠き部7の垂直面6における上下方向の中間部に開口するように込栓用貫通横孔3が設けられ、込栓4が挿入配置されている。
このような形態では、図4(B)に示すように、隣り合う一方のパネル1におけるしゃくり上面8に、隣り合う他方のパネル1におけるしゃくり下面5を載置するように、パネル1を幅方向に並べて配置することができる。パネル1の上下方向の移動を前記しゃくり面(上面または下面)により拘束することができる。
また、このような形態のパネル1における込栓4を隣接するパネル1の込栓用貫通横孔3側に押し出すように位置をずらして、図5(B)に示すように、パネル1相互を連結してもよい。このような形態では、しゃくり上面8としゃくり下面5が係合する形態であるので、パネル1相互にパネル1に直角な荷重が作用するような形態では、しゃくり上面8を介して、隣接するパネル1に荷重を伝達することができる。
なお、パネル1から突出した込栓4の部分は、必要に応じ、適宜切断除去することができる。
また、込栓4による連結と前記のしゃくり面相互による係合とが共同して、曲げ力に抵抗することができるため、パネルの曲げ剛性を高めることができる。
【0011】
図示の形態では、パネル1の幅方向一端側および他端側に、幅方向の中心縦軸線に対して点対称にしゃくり面を有する切り欠き部7からなる係合部9を備えているパネルとされている。
【0012】
図1(C)および図3(A)並びに図4(C)では、パネル本体2の幅方向一方の一側部に、幅方向の端面に接続すると共にしゃくり面の下位レベルとされている傾斜したしゃくり下面5およびこれに接続する垂直面6を有する切り欠き部7が設けられ、幅方向の他側部には、幅方向の端面に接続すると共にしゃくり面の上位レベルとされているしゃくり上面8およびこれに接続する垂直面6を有する切り欠き部7が設けられている。上位に位置する一方の垂直面6における上下方向の中間部に開口するように込栓用貫通横孔3が設けられ、込栓4が挿入配置され、傾斜したしゃくり上面8あるいはしゃくり下面5と、込栓用貫通横孔3あるいは込栓4とが干渉しないように配置されている。
このような形態では、図4(C)に示すように、隣り合う一方のパネル1におけるしゃくり上面8に、隣り合う他方のパネル1におけるしゃくり下面5を載置するように、パネル1を幅方向に並べて配置した場合、傾斜したしゃくり面相互が係合するようになるため、隣り合うパネル1相互が幅方向に離反するのを防止することができる。
このようにパネル幅方向に仮止めした状態で、込栓4をずらして、図5(C)に示すようにパネル1相互の連結を図ることができる。
【0013】
図1(D)および図3(A)並びに図4(D)では、パネル1における傾斜したしゃくり上面8と垂直面6との接続部を断面円弧状として、しゃくり上面8あるいはしゃくり下面5の係合部の剛性を高めるようにした形態である。しゃくり上面8またはしゃくり下面5奥部の溝および先端部の角部を形成しているしゃくり面を含む2面の傾斜角度は45度前後の角度とされている。
そして、前記の図1(C)の形態と同様に、パネル幅方向に仮止めした状態で、込栓4をずらして、図5(C)に示すようにパネル1相互の連結を図ることができる。
【0014】
図1(E)および図3(A)並びに図4(E)では、パネル1における傾斜したしゃくり上面8に接続する垂直面6に接続するように、幅方向外側に向かって幅が広くなるように、傾斜下面10を有する上部係合部9を設け、また、傾斜したしゃくり下面5に接続する垂直面6に接続するように、幅方向外側に向かって幅が広くなるように、傾斜上面11を有する下部係合部9を設けた形態である。そしてこの形態では、前記のように構成することにより、幅方向端部において、板厚方向の一方に雄実12を他方に雌実13を形成するような形態である。
前記の雌実13の溝と雄実12の凸部はほぼ同形状で、雌実13のしゃくり上面8またはしゃくり下面5奥部の溝を形成しているしゃくり面を含む2面の傾斜角度は45度前後の角度とされ、雄実12の先端部の角度が僅かに小さくされて、隣り合う一方のパネル1における幅方向一端部の雄実12および雌実13と、他方のパネル1における幅方向他端部の雄実12および雌実13とがガイドされながら係合して、パネル厚さ方向(上下方向)およびパネル幅方向(横方向)の両方向の移動を拘束するようにした形態である。
この形態でも、前記実施形態と同様に、パネル幅方向に仮止めした状態で、込栓4をずらして、図5(E)に示すようにパネル1相互の連結を図ることができる。
【0015】
図2(A)〜図2(E)は、前記の図1(A)〜図1(E)に示す第1〜第5実施形態に対応して、木製パネル本体における板厚方向の中間部において、中立軸から偏心した位置において、込栓用貫通横孔3をパネル1の板厚方向に間隔をおいて平行に2列設けた第6〜第10実施形態を示すものであり、いずれも垂直面6に開口するように込栓用貫通横孔3が設けられ、その込栓用貫通横孔3に込栓4がそれぞれ収納配置されている。
このような形態では、図3(B)(C)に示すように、パネル長手方向側面において、込栓用貫通横孔3の配置形態としては、図3(B)に示すように千鳥状配置としてもよく、図3(C)に示すように整列配置としてもよい。
図3(C)のように、板厚方向に間隔をおいて同レベルに平行に整列配置される上下方向の込栓用貫通横孔3中心間の間隔b(図3C参照)と、千鳥状に配置される込栓用貫通横孔3の上下方向の間隔b(図3B参照)は同じとした場合、千鳥状に配置される隣り合う個々の込栓用貫通横孔3の中心間間隔のほうが、ずらされている分、込栓用貫通横孔3の中心間間隔が長くなり、かつ、パネル長手方向に直角な上下方向での断面欠損が一つの込栓用貫通横孔3のみとなり(整列配置の場合には断面欠損が2つになる)、パネル1の強度あるいは耐久性の上では有利である。
また、上下の込栓用貫通横孔3を図3(C)のように、整列配置している形態では、上下方向の込栓用貫通横孔3中心間の間隔bが接近した極小に配置している場合には、上下の込栓用貫通孔3が重なるようになる(バティングするようになる)が、前記のように上下の込栓用貫通横孔3を千鳥状に配置すると、上下の込栓用貫通横孔3列の中心線間の間隔bが上下方向に接近した状態で配置することも可能になるばかりでなく、パネル1の強度あるいは耐久性の上で有利である。
前記込栓用貫通横孔3を板厚方向に整列または千鳥状に配置する場合の板厚方向の間隔bとしては、例えば、込栓用貫通横孔3の中心間隔で、例えば、40mm〜45mm程度でよい。
前記各実施形態における込栓用貫通横孔3の直径寸法としては、例えば、12mm〜15mm程度の貫通孔でよく、込栓4の直径寸法は、前記込栓用貫通横孔3よりも僅かに大きい外径寸法とすればよい。
図3(D)は、図3(C)を代表にして、直列に配置されるパネル1とこれらに幅方向に隣り合うパネル1相互を接合する場合の説明図であり、各パネル1における端部の込栓用貫通横孔3を、パネル端部から込栓用貫通横孔3間のピッチLの半ピッチ(L/2)ずらした位置に設けることにより、直列に配置される各パネル1を、点線で示すパネル幅方向に隣り合うパネル1の込栓用貫通横孔3と合致させて込栓4を押し込むことで接合可能になる。図示の形態では、点線で示すパネル幅方向に隣り合うパネル1は2ピッチ(2L)分、パネル長手方向に左側にずらすことにより、左側では4本の込栓4により、右側では6本の込栓4により結合している。
なお、点線で示すパネル幅方向に隣り合うパネル1は1ピッチ(L)分、あるいは3ピッチ(L)分、ずらすようにしてもよい。
なお、パネル1の長さは3のピッチLの5場合の長さ(5L)としているが、6倍あるいは7倍等の整数倍の長さでもよい。
前記のように端部の込栓用貫通横孔3を半ピッチ(L/2)ずらして設ける場合には、図3(A)および図3(B)に示す形態でも同様である。
【0016】
図6(A)〜図(E)は、前記の第1〜第5実施形態に対応して、木製パネル本体における板厚方向の中間部において、中立軸から偏心した位置において、込栓用貫通横孔3をパネル1の板厚方向に間隔をおいて2列設けた形態であり、押し棒により込栓4を押し出すことにより、各込栓用貫通横孔3内に配置されている込栓4が突出可能に装着配置されている。図7には、図6(D)の斜視図が示されている。
図6(A)〜図(E)の各図の矢印で示す方向に込栓4を押圧移動させることにより、隣接するパネル1の込栓用貫通横孔3に圧入することで、隣り合うパネル1相互を連結することができ、また、込栓4がパネル1に2列配置されているので、連結されたパネル1相互の曲げ剛性を高めることができる。
【0017】
また、図6(E)左の2枚のパネル1では、隣り合う複数(図示の場合は2つ)のパネル1が予め長尺の込栓4により平面的に複合一体化されたパネル1とされている。すなわち、複数平行に並べられた隣り合うパネルの込栓用貫通横孔3に渡って装着配置された長尺な込栓4により連結されている平面的に複合されたパネル1を利用した形態であり、そのように平面的に複合されたパネル1が左右に並べられて、矢印で示すように一方の複合されたパネル1における長尺込栓4が他方の込栓用貫通横孔3に圧入されることにより、より広く平面的に複合化されたパネル1とすることができる。
図6(E)左に示す2枚のパネル1のように、パネル1または連結されたパネルの長尺な込栓4を予め移動させておいて、隣接するパネル1における込栓4を空間部とされている込栓用貫通横孔3に圧入するようにすると、込栓4を押し出す場合の抵抗が少なく、スムースに連結することができる。
図6(E)の左に示す形態では、2枚の狭幅のパネル1が長尺の込栓4により連結一体化されている形態であるが、3枚あるいは4枚のパネル1を予め一体化し、このようなパネルを左右に並べて込栓4を他方のパネルの込栓用貫通横孔3に圧入すると、6枚あるいは8枚に複合一体化された広幅のパネルとすることができる。もちろん、一方のパネルが1枚で、他方のパネルが予め込栓により一体化された整数枚のパネルのとの結合のように、異なる枚数の整数枚のパネル相互の連結も可能である。このような場合に、込栓はほぼパネルの幅の整数倍の長さになり、複数枚のパネルを連結して長くなるほど、摩擦により押し込み抵抗が大きくなるので、パネル相互の接続部に渡る部分を除く部分について、僅かに小径にした小径軸部と大径軸部とを交互に設けた込栓とすることにより押し込み抵抗を小さくすることができ、連結するパネル枚数を多くすることができる。
【0018】
図6(C)(D)(E)に示す図示の形態では、パネル1の幅方向一端側および他端側に、幅方向の中心縦軸線に対して点対称に、板幅方向のずれを拘束する凹部およびこれに接続する凸部からなる係合部9を備えているパネルとされている。
【0019】
前記のように、本発明のパネル1においては、パネル1を幅方向に並べて配置し、一方のパネル1に装着された込栓4の一部を、他方のパネル1における込栓用貫通横孔3に押し込むようにずらしてパネル相互を連結することができる。
【0020】
前記のような本発明のパネル1は、例えば、図3(C)に類似する形態を代表形態として図8を参照して説明すると、パネル1の長手方向の両端部に切り欠き段部15が設けられ、土台または大引16の切り欠き段部17におけるしゃくり面または大引のしゃくり面に、パネル1の端部の切り欠き段部15における段部下面が載置されて架設され、必要に応じ、パネル1の上面またはしゃくり上面から土台または大引16に打ち込まれる釘(図示を省略)等により固定されて床18が構築される。
なお、図8に示すパネル1の側面形態では、上下2列の込栓用貫通横孔3が、パネル板厚方向の上部側に変位するように設けられているが、その他の点は、図3(C)に示す形態と同様である。
【0021】
なお、前記の図8において、パネル1が並べて土台または大引に並べて配置される場合には、既設側のパネル1は、土台または大引に釘等により、しゃくり上面側から釘の頭部が露出しない程度に打ち込まれて固定される。
【0022】
なお、図9に示すように、本発明のパネル1を1本の間伐材等の小径木19から切り出す場合に、年輪の中心から僅かに変位した位置から、対称にパネル1を切り出すようにすると、歩留まりがよく品質のよいパネル1を切り出すことができる。
図9に実線または2点鎖線で示すように、パネル1の側部は傾斜した側面とた断面ほぼ台形形状としてもよい。
【0023】
また、前記のようなパネル1を、図10に示すように、交互に上下反転して配置し、しゃくり面を係合するように配置すると、パネルの乾燥歪みが、上下交互に分散配置されるようになるため、歪みを均等に分散した精度の高い幅の広いパネル20とすることができる。
【0024】
本発明を実施する場合、パネルとしては集成材によるパネルあるいは合板パネルであってもよい。
【0025】
前記実施形態の場合には、床材に適用した形態を示したが、本発明のパネルを天井材あるいは壁材あるいは野地板あるいは化粧板等の各種部材に適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(A)〜(E)は、上部に一列の込栓用貫通横孔および込栓を備えた込栓装着パネルの各種形態を示す縦断正面図である。
【図2】(A)〜(E)は、平行に2列の込栓用貫通横孔および込栓を備えた込栓装着パネルの各種形態を示す縦断正面図である。
【図3】(A)は図1(A)〜(E)に示すパネルの込栓用貫通孔および込栓の配置パターンを示す側面図、(B)は図2(A)〜(E)に示すパネルの込栓用貫通孔および込栓を千鳥状に配置した配置パターンを示す側面図、(C)は図2(A)〜(E)に示すパネルの込栓用貫通孔および込栓を整列して配置した配置パターンを示す側面図である。(D)はパネルにおける端部の込栓用貫通横孔をパネル端部から半ピッチずらした位置に設けることにより、直列に配置される各パネルを、パネル幅方向に隣り合うパネルの込栓用貫通横孔と合致させて接合可能になることを説明するための代表形態を示す側面図である。
【図4】(A)〜(E)は、それぞれ図1(A)〜(E)に示すパネルを並べて結合する場合の説明図である。
【図5】(A)〜(E)は、それぞれ図4(A)〜(E)に示す状態から込栓を片側にずらしてパネル相互を連結した状態を示す正面図である。
【図6】(A)〜(E)は、それぞれ図2(A)〜(E)に示すパネルを並べた状態から込栓を片側にずらしてパネル相互を連結した状態を示す正面図である。
【図7】図6(D)に示す状態の斜視図である。
【図8】図3(C)に示す形態の部材の使用形態を示すものであって、土台と大引間または隣り合う大引間に設置している状態を示す一部である。
【図9】本発明のパネルの切り出し形態の配置例を示す説明図である。
【図10】本発明のパネルを使用して広幅のパネルを構成する場合の説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 パネル
2 木製パネル本体
3 込栓用貫通横孔
4 込栓
5 しゃくり下面
6 垂直面
7 切り欠き
8 しゃくり上面
9 係合部
10 傾斜下面
11 傾斜上面
12 雄実
13 雌実
15 切り欠き段部(パネル側)
16 土台または大引
17 切り欠き段部(土台または大引側)
18 床
19 小径木
20 幅の広いパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板長手方向に間隔をおいて複数の板幅方向に貫通する込栓用貫通横孔が設けられ、その込栓用貫通横孔に込栓が突出可能に装着配置されていることを特徴とするパネル。
【請求項2】
込栓用貫通横孔が板厚方向に間隔をおいて平行に2列設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパネル。
【請求項3】
板長手方向に間隔をおいて複数の板幅方向に貫通する込栓用貫通横孔が設けられ、複数平行に並べられた隣り合うパネルの込栓用貫通横孔に渡って装着配置された長尺込栓により連結されていることを特徴とするパネル。
【請求項4】
パネルの幅方向一端側および他端側に、幅方向の中心縦軸線に対して点対称にしゃくり面を有する係合部を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパネル。
【請求項5】
パネルの幅方向一端側および他端側に、幅方向の中心縦軸線に対して点対称に、板幅方向のずれを拘束する傾斜したしゃくり面を有する係合部を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパネル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のパネルを幅方向に並べて配置し、一方のパネルに装着された込栓の一部を他方のパネルにおける込栓用貫通横孔に押し込むようにずらしてパネル相互を連結することを特徴とするパネルの連結方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−102936(P2009−102936A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277488(P2007−277488)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(390013192)株式会社高橋信吉建築研究所 (7)
【Fターム(参考)】