説明

迅速な微生物学的分析用に試薬を噴霧する装置

【課題】本発明は、分析する支持体の汚染のリスクの観点から信頼性を維持したまま、より優れた性能を有しより実用的である同様のタイプの装置の実現に関する。
【解決手段】噴霧ベル3、ならびに該ベル3で構成される噴霧チャンバ34内に試薬の液滴のジェットを放出するためのノズル71を備え、所定の表面82上に微生物を保持するようになされた支持体81に該試薬を噴霧する装置であって、該装置はまた、該ジェットに対して横向きに該ベル3に装着され、パッド5内に形成される円形中央開口51を除いて該ノズル71と反対側から該チャンバ34を閉鎖する該吸収パッド5を備え、該装置が該支持体81に面しそこから所定の距離にあるとき、該中央開口51の直径が、該ジェットの一部がその全領域にわたって該中央開口51を通って進み、該支持体81の該所定の面82上全体に付着することができるようになされている、該装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、迅速な微生物学的分析用の噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、産業および医療活動の場面において、液体、ガスまたは表面の微生物学的特性検査は厳密な基準に直面している。
【0003】
このために産業に従事する者および健康専門家等は、彼らの自由裁量でできるだけ迅速に微生物汚染を検出し、適切な時に安い費用でこれらを取り除くことができる器具を有する必要がある。
【0004】
実際に微生物学的な監視は、微生物が微孔性膜上に収集された後、裸眼でも視認できるまで培養されるゲル成長培地上で行われる。
【0005】
培養期間は微生物により異なるが、一般には少なくとも24時間であり、成長の遅い微生物(マイコバクテリアなど)の場合、または環境条件によって微生物がストレスを受けている場合には、より遅いこともある。
【0006】
より迅速に検出するために、別の手法は、微生物の代謝活動による微生物検出を基にすることによって、短縮された最小限の培養期間(または、さらにいくつかの微生物の場合、培養期間を完全になくすこと)で構成される。
【0007】
一般的な代謝マーカー、生きている微生物に含まれる最も一般的なアデノシン三リン酸(ATP)は、発光によって(「生体発光試薬」と呼ばれる)ATPの存在を暴露する試薬にそれを接触させることによって測定され、これによりゲル成長培地上にコロニーが形成され裸眼で視認できるようになるまで待つ必要なしに、微生物の存在に気づくことができる。
【0008】
放出される光の量は、ATPの質量の関数、つまり微生物の数である。
【0009】
Milliflex Rapid(登録商標)の名前で出願人により製品化されている迅速な微生物学による検出装置は既に知られており、これは膜上の液体中に包含されることのある微生物を捕捉するために、膜上に大量の液体をろ過するステーションと、
フィルタステップの後、および微生物のATPが接触可能にされた後(例えば、微生物の溶解ステップによって)、試薬を付着させるために、操作者がこれに面して膜を配置する発光によってATPの存在を暴露する試薬を噴霧するステーションと、
噴霧ステップの後、操作者がこれに面して膜を配置する発光によってATPの存在を暴露する試薬の付着に応答して、放出される光の量を測定するステーションとを備え、膜によって放出される光がCCDカメラによって収集され処理され、その膜上の微生物の存在を検出するために分析される。
【0010】
噴霧ステーションは、膜の上に位置する周辺空気中に膜に対してジェットの形態で放出される液滴を噴霧する噴霧器を備える噴霧装置を備える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、分析する支持体の汚染のリスクの観点から信頼性を維持したまま、より優れた性能を有しより実用的である同様のタイプの装置の実現に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明は、所定の表面に微生物を保持するようになされた支持体の迅速な微生物学的分析のために、該支持体上に試薬を噴霧する装置を提供し、該装置は、噴霧ベル、ならびに該ベルで構成される噴霧チャンバ内に該試薬の液滴のジェットを放出するためのノズルを備え、該装置はさらに、該ジェットに対して横向きに該ベルに装着され、吸収パッド内に形成される円形中央開口を除いて該ノズルの反対側から該チャンバを閉鎖する該パッドを備え、該装置が該支持体に面しそこから所定の距離にあるとき、該中央開口の直径は、該ジェットの一部が、その全領域にわたって該中央開口内を通って進み、該支持体の該所定表面全体に付着することができるようになされている。
【0013】
ベル、および組み合わせて使用される吸収パッドを備える本発明による噴霧装置によれば、噴霧されるジェットの(比較的揮発性の)液滴を閉じ込めたままにすることができ、その結果、これにより測定ステーションおよび噴霧ステーションを共に同一の分析チャンバ内にまとめることができる。
【0014】
より詳細には液滴のジェットの効果的な閉じ込めがない場合、そのような(比較的揮発性の)液滴は測定ステーションを含む分析チャンバの全面に付着するリスクとなることから、このように一緒にまとめることは不可能になるであろう。このチャンバは、外在ATP(表面上に自然に存在しているATP)によって汚染されている可能性があるので、試薬をこの外在ATPに接触させると光を生成し、支持体によって放出される光の分析を混乱させるリスクとなるであろう。
【0015】
さらに、ジェットの周辺に位置しベルに進入して接触しやすい液滴を収集するために、この装置のパッドは成形される。これは、それらの液滴の経路がその支持体上でその進行を止める場合、それらの液滴がベル(やはり、外在ATPによって汚染されている恐れのある)に進入して接触する際外在ATPによる支持体の汚染の潜在的原因となるため、それらの液滴を捕らえることは特に重要であるためである。
【0016】
したがってパッドにより、それを汚染するリスクなしで、分析する支持体の全表面を一様に覆うようになされた液滴のジェットの一部のみを選択することが可能になる。
【0017】
さらにパッドの開口の直径は、パッドから支持体までの距離の関数であり、その開口の全領域にわたってパッドの開口から出る噴霧液滴のビームが、支持体およびその表面のみを処理するために一様に覆い、これにより支持体に近接する環境に液滴が接触することによるいかなる汚染リスクも回避することを示す。
【0018】
簡素で簡便な使用の理由に関して好ましい特徴によれば、該噴霧チャンバは、該ジェットに対してほぼ横向きであり、該パッドに面しその中央に該ノズルが配置される壁によって、該ほぼ横向きの壁の周辺に1つの縁部が接合する側壁によって、ならびに該側壁に対して配置される該パッドによって画定される。
【0019】
上記と同様の理由に関して好ましいさらに他の特徴によれば、該側壁は、該パッドがそれに対して配置される少なくとも1つの半円錐形部分を有し、テーパは、該パッドに向かう該ジェットの周辺の液滴の向きを変えるようになされている。
【0020】
この半円錐形部分により、跳ね返るのに十分なエネルギーを有さない液滴がこの部分に沿って流れパッドに吸収されることが可能になり、跳ね返るのに十分な速さを有する液滴については、中央開口の方向ではなく、パッド自体に向かって跳ね返るように向きを変えられ、その結果それらの液滴もパッドによって捕らえられる。
【0021】
さらに他の好ましい特徴によれば、該側壁は、横向きの壁と、該パッドがこれに対して配置される該半円錐形部分との間に中間部を備え、この中間部はまた、該パッドに向かう該ジェットの周辺の液滴の向きを変え、そのテーパが、該パッドがこれに対して配置される該半円錐形部のものより小さくなるようになされ、
該横向きの壁は、テーパが、該中間部のものと、該パッドがこれに対して配置される該半円錐形部のものとの間である半円錐形部を備え、および/または
該装置はまた、該ベルに対して該パッドを保持するためのリングを備える。
【0022】
さらに他の好ましい特徴によれば、該リングの中央には、該パッド内に形成される開口の直径より直径が大きい円形開口が形成される。
【0023】
直径の差異は、パッドの一部を支持体から見ることができ、その結果液滴が着地する支持体の上で激しく跳ね返る場合、リング上ではなく、パッド上で捕らえられる(その場合、外在ATPを担持して支持体の上に落ちて戻るリスクを冒すため)ことを意味する。
【0024】
さらに他の好ましい特徴によれば、該リングは、該ベルによって構成される補足的スナップ嵌め手段と協働するようになされたスナップ嵌め手段を有し、
該装置はまた、タンクと、および該ノズルと該タンクの間に配置されるポンプとを備え、
該タンクは該ベルに対して摺動可能に装着され、該ポンプは、該ベルの方向の該タンクの摺動により該液滴のジェットを該ノズルから外に出すようになされ、
該タンクは、環状担持つばを備える本体を備え、および/または
該タンクは、該ベルによって構成される補足的スナップ嵌め手段と協働するようになされたスナップ嵌め手段を有する。
【0025】
本発明の特徴および利点は、添付の図面を参照して提供される好ましいが非限定的な実施例によって、以下の記載から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1および2に示す噴霧装置1は、タンク2と、閉じ込めベル3と、噴霧ユニット4と、多孔質パッド5と、固定リング6(図2)とを備える。
【0027】
タンク2は、ベル3に対して摺動可能に装着され、プラスチック物質の本体10ならびにカバー11を備える。
【0028】
本体10は、第1円筒形部12と、第2円筒形部13と、環状つば14と、2つの脚部15とを有する。
【0029】
円筒形部12は、カバー11によって密閉される試薬を収容する筐体17を画定する。
【0030】
円筒形部13は、カバー11と反対側で部分12と直結して配置され、部分12の外径より小さい外径を有する。
【0031】
部分12に接続される部分13の反対側の端部の近傍にねじ山16が形成される。
【0032】
つば14は、部分12および13の接合部で本体の受け台に横向きに装着される。
【0033】
2つの脚部15は、直径方向に互いに対向し、つばの対向する側部からカバー11に向かって突出する。各脚部は、対向する側部から他の脚部15に突出する歯18を有する。
【0034】
カバー11は、2つのダクト20および21を有する。
【0035】
フィルタユニット22は(および23はそれぞれ)、ダクト20に(およびダクト21にそれぞれ)ねじ込まれる。
【0036】
フィルタユニット22は空気フィルタであり、ユニット23は液体フィルタである。
【0037】
タンクの周囲に試薬および/または装置を識別する手段24を貼り付けるまたは彫ることができる。
【0038】
閉じ込めベル3は、単一の部品として形成されるプラスチック物質である。
【0039】
ベルは、噴霧ユニット4を収容するために筐体32を画定する第1部分31(図3)と、パッド5と一緒に噴霧および閉じ込めチャンバ34を画定する第2部分33とを備える。
【0040】
ベルの部分31は、第1円筒形部35と、第2円筒形部36と、環状つば37とから形成される。
【0041】
部分35は部分36のものより直径が大きく、一端がその部分(互いに直結する部分35および36)に接合され、他端がつば37に接合され、後者は部分35に横向きに接続される。
【0042】
つば37は、直径方向に対向する2つの長円の開口38(図1)を有し、その中にタンクの脚部15がスナップ嵌めされる。
【0043】
ベル内のタンクのスナップ嵌め状態において、つば14および37は互いに向き合い、スナップ嵌め脚部15の歯18は、つば37のつば14に対する反対側に位置する。
【0044】
ベルの部分33は、著しく広がる第1半円錐部40と、第2の極めてわずかに広がる部分41(ここではこの部分は実際に円筒形であり、そのテーパは実際には皆無である)と、パッド5がこれに対して配置されるやはり半円錐形で適度に広がる第3部分42を有する。
【0045】
部分40のテーパの度合いはしたがって、部分41のものより大きく、部分42のものより小さい。
【0046】
円筒形部35は、部分36を介して部分40に接合される。
【0047】
部分40は、試薬の噴霧の方向に対してほぼ横向きの壁を形成し、パッド5に面し、部分41および42は、部分40の周辺からパッド5まで延在する側壁を形成する。
【0048】
この部分も、部分41に横向きに接続される環状つば43、ならびに部分41に接合するのと反対側の部分42の末端に接続される環状リップ44を備える。
【0049】
ベルはまた、部分36に補強フィン45、および部分42に補強フィン46を備え、これらはつば43に装着される(図1)。
【0050】
図2で見ることができる吸収パッド5は紙綿体であり、中に円形中央開口51が形成されるディスク50の形態をとる。パッドは部分42のリップ44に対して配置され、チャンバが装置の外部と連通することを可能にする中央開口51を除いて、噴霧チャンバ34を閉鎖する。
【0051】
リング6はプラスチック物質であり中央に中央開口61が形成されるディスク60の形態をとり、その周囲にスナップ嵌めつば62を備える。
【0052】
リングはまた、その周囲に一連の切抜き63を有する。
【0053】
パッド5はリップ44とリング6の間に配置され、リングはリップにスナップ嵌めされる。
【0054】
パッドが部分60、およびベルの内側に突出しリング6の部分60に覆われない部分53によって隠れる部分52(図2)を有するように、ここでの開口51の直径は40mmであり開口61の直径は65mmである。
【0055】
噴霧ユニット4は、図2に示すポンプ70と噴霧ノズル71、ならびにねじ込み継ぎ手プラグ72を備える。
【0056】
ダクト73を介して、ポンプはタンクの筐体17と片側で連通し、別の側でノズル71と連通し、ダクト73は、ベルの筐体34内に放出するために、ノズルによって継続する(図2)。
【0057】
プラグ72ならびにポンプ70は、部分35内の筐体32内に配置され(図3)、プラグ72は、円筒形部13のねじ込み継ぎ手16にねじ込まれる。
【0058】
ノズル71は、部分36内に収容されその一端が閉じ込め筐体34内に放出する半円錐形部77、ならびに筐体34内に現れる半円錐形部の反対の端部に横向きに接続され、部分36に当接する環状つば74(図3)を有する。
【0059】
つば14を押しながら(例えば、ロボットアームの補助によって)ベル3に向かうタンク2の摺動移動によって係合するポンプ70の機械作用によって、微生物液滴のジェットを放出するようにノズル71が設置される。
【0060】
装置1は図6に示すパッケージ内で運ばれ、カバー(図示せず)、およびベルの周辺に係合する円筒形プラグ76を備える剛性トレイ75の形態をとり、閉じ込めチャンバを保護するためにプラグがつば43に当接する。
【0061】
次に図3から5の助けを借りて、装置のタンク内に包含される試薬が、支持体上に微生物液滴の形態でどのように付着するのかを記載する。
【0062】
本明細書に示す支持体は、49mmに等しい直径に対応する実用面82を有するフィルタ膜81と、膜81を囲む本体83とを備えるカセット80である。
【0063】
微生物のろ過が膜81上で行われ、表面82上に保持される微生物のATPが接触可能にされた後(例えば、微生物の溶解のステップによって)、ロボットアーム85(図3)の補助により噴霧装置1の下の吸収パッド5から所定の距離(ここでは19mm)にカセット80が配置される。この装置からはプラグ76が事前に外されており、分析装置のフレーム(図示せず)に固定式に保持される。
【0064】
次いで、タンク2がベル3に向かって摺動するようにタンクのつば14を押すように電動ユニット(図示せず)が作動され、ベル3は静止したままであり(図4)、これにより、ノズル71を通ってチャンバ34内に微生物液滴のジェットを放出するようにポンプ70を作動させる。
【0065】
次いで、電動ユニットを作動させてつば14に加わる圧力を解放し、これにより、新規の噴霧作動を行う準備をするためにタンク2がベル3に対するその初期位置へ戻ることができる(図3)。
【0066】
微小液滴の大半は、ベルまたは吸収パッドのいずれにも接触せずに、開口51および61を通ってベルを横断し、これらの液滴は支持体上に均一に、および分析される実用面82全体にわたって均質的に付着する。
【0067】
したがって、これら高比率の液滴(およそ90%)が、表面82全体に付着する前に、その開口の全領域にわたってパッド5の開口51を通って進むように、開口51の直径、および表面82に対するパッド5からの距離は、液滴のジェットの空間寸法を基に決定される。
【0068】
ジェットの周辺に位置する低比率の微小液滴(10%を維持する)は、直接パッド5に進入して接触することにより、またはそれ以外、ベルの部分40から42の内面にぶつかった後、およびそれらに沿ってパッド5に向かって流れた後、またはその表面上で跳ね上がり、その結果パッド5の上に着地した後、吸収パッド5によって阻止される。
【0069】
より詳細に図5に示すように、液滴のとり得る種々の経路が矢印AからHで示され、どの場所で液滴が跳ね返ろうと、跳ね返った後、液滴が吸収パッド5の部分52および53に向けて誘導され中央開口51の方向へは向かわないように、部分40から42のテーパが選択される。
【0070】
これは、液滴がベルと接触することは、ベル上に存在する恐れのある外在ATPによる潜在的汚染のリスクにつながるためであり、その結果ベル上で捕捉され得る液滴が、外在ATPを担持して膜81上に戻って落ちるのを回避するために、吸収パッド5内でこれらすべての液滴(経路AからC)を捕らえるように努める。
【0071】
液滴に接触するリスクを最小限にしようと試みるために、半円錐部40はできるだけ広げられることに留意されたい。
【0072】
さらに部分41は、ベルの寸法を減少させるために実際には円筒形である。
【0073】
部分42および部分41のテーパの程度は、ベルが大きすぎる寸法を呈せずに、所望通り液滴の跳ね返りの向きを変えるように選択される。
【0074】
開口51を通って進む液滴の大半は、支持体によって直接吸収される(経路DおよびE)または戻って装置に接触せずに、わずかに跳ね返る(経路F)。
【0075】
しかしながら、跳ね返りによって装置に接触する場合(経路GおよびH)、ベルの内側に突出する吸収パッドの環状部53により、この場合リング6には接触せず、吸収パッドに戻って接触するこれらの液滴を捕らえることが可能になり、そのような理由から、リング6の開口61は開口51の直径よりも大きい(その場合、外在ATPを担持して、支持体上に戻って落ちるリスクを冒すため)ことに留意されたい。
【0076】
表面82およびその表面のみがジェットの液滴を受け、経路Dは、可能な最も極限の経路であること留意されたい。その他に、液滴がカセット80の本体83に接触するリスクを冒し、外在ATPによって膜が汚染されるリスクを冒して膜81の上に戻って落ちないように、液滴はパッドによって捕捉される。
【0077】
したがって処理される支持体は次いで、例えば、光電子増倍管を使用して、膜上に存在し得る微生物のATPと試薬との接触に応答して放出される光の量を測定する目的で、例えば同一のチャンバ内で測定ステーション(図示せず)に対してカセット80を移動することによって、微生物学的分析に利用することができる。
【0078】
本発明による装置は、複数の膜を処理するのに使用することができ、各噴霧動作で噴霧された液体全量はポンプ70を通ってその筐体に進入する空気によって、筐体17内で入れ替わる。
【0079】
またシリンジを使用して、フィルタユニット23を介して大量の試薬を射出することによってその筐体を一様に満たすことができ、その場合、ユニット22はベンツを形成する。
【0080】
フィルタカセットが種々の直径の膜、したがって異なる実用面を備える場合、液滴のジェットがその膜の表面全体、およびその表面のみを覆うように、装置1を垂直に移動させることによって、その膜がパッド5から離れる距離を調整することができる。
【0081】
装置は単一使用装置であり得るが、パッドが液体で飽和しない限り、必要な回数使用することもできる。
【0082】
変形体として、外在ATPに反応し外在ATPのみを除去するために、微生物のATPを接触可能にさせる前に(例えば溶解)、膜上にその試薬を噴霧することによって、膜が包含する外在ATPを除去することを目的とする前処理ステップを必要とする任意の微生物学的分析方法で噴霧装置を使用することもでき、外在ATPを除去するために、噴霧された試薬を中和した後、溶解ステップを実行することが可能である。
【0083】
さらに別の変形体において、噴霧装置は、表面全体に一様に付着し、噴霧される試薬が確実に十分に限定されるように努める微生物学的分析を目的とする任意の他のタイプの試薬に使用することができる。
【0084】
本発明は記載され示される実施形態に限定されるものではなく、そのいかなる変形体も包含する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明による噴霧装置の斜視図である。
【図2】図1と同様であるが、装置の一部の切欠図である。
【図3】装置、および分析するためにロボットアームを使用して装置の下に配置される微孔性膜を備えるフィルタカセットの対称の正中面に沿って切断された立面図である。
【図4】図3と同様であるが、液滴のジェットの放出を開始するために装置の噴霧ベルに向かって摺動した後、それが占める位置で示される装置の液体タンクの図である。
【図5】矢印が噴霧される試薬の液滴の種々の可能な経路を示す、フィルタカセット、およびカセットに面する噴霧装置の端部の拡大図である。
【図6】保護プラグが嵌合され、この組立体がパッケージトレイ内に配置されている装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0086】
1 噴霧装置
2 タンク
3 閉じ込めベル
4 噴霧ユニット
5 多孔質パッド
6 固定リング
10、83 本体
11 カバー
12、35 第1円筒形部
13、36 第2円筒形部
14、37、74 環状つば
15 脚部
16 ねじ山
17、32 筐体
18 歯
20、21、73 ダクト
22 空気フィルタ
23 液体フィルタ
24 識別手段
31 第1部分
33 第2部分
34 閉じ込めチャンバ
38、51、61 開口
40、41、42、52、53 部分
44 リップ
45 噴霧チャンバ
60 ディスク
62 スナップ嵌め手段
70 ポンプ
71 ノズル
72、76 プラグ
75 トレイ
77 半円錐形部
80 カセット
81 フィルタ膜
82 実用面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の表面(82)上に微生物を保持するようになされた支持体(81)の迅速な微生物学的分析のために前記支持体(81)上に試薬を噴霧する装置であって、噴霧ベル(3)、ならびに前記ベル(3)で構成される噴霧チャンバ(34)内に前記試薬の液滴のジェットを放出するためのノズル(71)を備え、さらに前記ジェットに対して横向きに前記ベル(3)に対して装着され、吸収パッド(5)内に形成される円形中央開口(51)を除いて前記ノズル(71)と反対側から前記チャンバ(34)を閉鎖する前記パッド(5)を備え、前記装置が前記支持体(81)に面しそこから所定の距離にあるとき、前記中央開口(51)の直径が、前記ジェットの一部がその全領域にわたって前記中央開口(51)を通って進み、前記支持体(81)の前記所定の面(82)上全体に付着することができるようになされていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記噴霧チャンバ(34)が、前記ジェットに対してほぼ横向きで前記パッド(5)に面しその中央に前記ノズル(71)が配置される壁(40)によって、前記ほぼ横向きの壁(40)の周辺に縁部が接合する側壁(41、42)によって、ならびに前記側壁(41、42)に対して配置される前記パッド(5)によって画定されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記側壁(41、42)が、前記パッド(5)がそれに対して配置される少なくとも1つの半円錐形部(42)を有し、そのテーパが前記パッド(5)に向かう前記ジェットの周辺の液滴の向きを変えるようになされていることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記側壁(41、42)が、前記横向きの壁(40)と前記パッド(5)がそれに対して配置される前記半円錐形部(42)の間に、やはり前記パッド(5)に向かう前記ジェットの周辺の液滴の向きを変えるようになされ、前記パッド(5)がそれに対して配置される前記半円錐形部(42)のものよりテーパが小さい中間部(41)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記横向きの壁が、テーパが前記中間部(41)のものと前記パッド(5)がそれに対して配置される前記半円錐形部(42)のものとの間である半円錐形部(40)を備えることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ベル(3)に対して前記パッド(5)を保持するためのリング(6)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記リング(6)の中央に、前記パッド(5)内に形成される開口(51)の直径より直径が大きい円形開口(61)が形成されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記リング(6)が、前記ベル(3)で構成される補足的スナップ嵌め手段(44)と協働するようになされたスナップ嵌め手段(62)を有することを特徴とする、請求項6または7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
タンク(2)と、前記ノズル(71)と前記タンク(2)の間に配置されるポンプ(70)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記タンク(2)が、前記ベル(3)に対して摺動可能に装着され、前記ポンプ(70)により、前記ベル(3)の方向の前記タンク(2)の摺動によって前記液滴のジェットが前記ノズル(70)から外へ出るようになされていることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記タンク(2)が、環状担持つば(14)を備える本体(10)を備えることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記タンク(2)が、前記ベル(3)で構成される補足的スナップ嵌め手段(37、38)と協働するようになされたスナップ嵌め手段(15、18)を有することを特徴とする、請求項9から11のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−183009(P2008−183009A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−6478(P2008−6478)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】