説明

迅速並行核酸分析

本発明は、大量の核酸を並行して分析する方法を提供する。ポリメラーゼ反応では、二価の金属イオンが不在の場合には、核酸鋳型、ヌクレオチド、ポリメラーゼの閉鎖複合体を形成することができる。この閉鎖複合体を用いて、閉鎖複合体中に、鋳型の次のヌクレオチドと相補的なヌクレオチドを捕捉する。捕捉したヌクレオチドを検出すると、この次の正しいヌクレオチドの配列を決定することができる。このようにして、核酸鋳型のヌクレオチドを順次識別して、配列を効率的に決定することができる。この方法は、特に、鋳型を固相支持体に固定化した場合には、多数の鋳型の配列を並行して決定する際に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、ポリヌクレオチドの高速並行配列決定を行う方法に関する。より詳細には、本発明は、ポリヌクレオチド鋳型の各塩基の検出を可能とした優れたパイロシークエンシングを使用した配列決定に関する。
【背景技術】
【0002】
DNAポリメラーゼは、多くの組み替えDNA技術、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)による核酸増幅、自己持続配列複製法(self−sustained sequence replication、「3SR法」)、DNA配列決定法で有用な酵素である。熱に対して安定なDNAポリメラーゼは、特に有用である。熱によってポリメラーゼ活性が損なわれることがないので、変性工程を行うたびに追加のポリメラーゼを加える必要がないためである。
【0003】
この触媒サイクルでは、「正しい」dNTP又はddNTPが活性部位に結合すると、生成したDNAポリメラーゼ/DNA複合体の高次構造が「開放」状態から「閉鎖」状態へと変化し、この変化が律速段階となっていることが知られている。この「閉鎖」状態では、Mg2+(又は他の金属イオン)が、プライマーの3’末端のヒドロキシルによるピロリン酸塩の求核性置換を含む迅速な化学工程を媒介している。ピロリン酸塩(PPi)が放出されると酵素は「開放」状態に戻り、転位によって、次のラウンドの反応が開始する。三元複合体(酵素/DNA/dNTP(又はddNTP)は、Mg2+(又は他の金属イオン)の不在下でも生成するが、ヌクレオチドの化学的付加は、Mg2+(又は他の金属イオン)の存在下でのみうまくいく。Mg2+(又は他の金属イオン)が欠乏している状態では、緊密な三元複合体中で最初の「正しい」dNTPが非共有的(物理的)に隔離される傾向がある(Doublie et al. (15 February 1999) Structure Fold. Des., 7(2):R31-5)。
【0004】
ピロリン酸塩を利用した核酸の配列決定法(以下では、パイロシークエンシングと称する)は、最初、Hyman(米国特許第4971903号)によって記載された。この方法は、ピロリン酸塩(PPi)が各種の検定法で検出可能だという観察に基づいている。ポリメラーゼ反応では、配列決定用プライマーを鋳型にアニーリングする。ヌクレオチドが、鋳型の次の塩基(すなわち、プライマー配列の3’側の次の正しい塩基)と相補的であれば、ヌクレオチドは成長中のプライマー鎖に組み込まれ、PPiが放出される。1度に4種のヌクレオチドのうち1種のみが反応に導入されれば、PPiは、正しいヌクレオチドが導入されたときに生成する。したがって、PPi の生成によって、次の正しい塩基の種類がわかる。このようにして、鋳型の配列が得られるか、確認される。配列の追加のヌクレオチドは、1度のヌクレオチド1つの存在下でポリメラーゼ反応を繰り返すことによって得られる。
【0005】
パイロシークエンシングは、電気泳動などのような方法による反応生成物の分離又はサイズ別分離を必要とせず、大規模に並行して実施することができる。パイロシークエンシングは、臨床微生物学をはじめとする数多くの用途で成功裡に使用されてきており、96ウェルプレートのフォーマットが、最も広く使用されているフォーマットである(Biotage社のウェブサイト参照)。最近では、パイロシークエンシングは、マイクロ形成したピコリットルサイズの反応ウェルに載置した鋳型担持マイクロビーズを使用した超高速の配列決定にも使用されている(Margulies et al., Nature advance online publication; published online 31 July 2005, doi: 10.1038/nature03959)。
【0006】
PPiの検出には、いくつかの方法を用いることができる。そうした検出法の1種では、2種の酵素、すなわちATP−スルフリラーゼ及びルシフェラーゼを使用して、発光を生じさせている。ATP−スルフリラーゼは、PPiとアデノシン−5’−ホスホ硫酸の存在下でATPを生じる。ルシフェラーゼは、ATPを使用して、ルシフェリンをオキシルシフェリンに転化し、光子を放出する(Nyren et al., 151 Analytical Biochemistry 504 (1985))。この反応の一つの問題点は、ルシフェラーゼがATPに対して絶対的に特異的というわけではなくdATPとも反応し、程度は少ないものの、ヌクレオシド三燐酸との反応も触媒するという点である。したがって、バックグラウンドのレベルが高い場合があり、特にdATPを使用した場合には、非特異的反応が生じることがある。パイロシークエンシングの別の問題点は、同じ塩基のヌクレオチドがいくつか続くと、配列決定が困難になる点である。配列中に同じ塩基からなる部分が存在すると、ポリメラーゼは、その部分の終わりまで到達して、その次のヌクレオチドが異なる塩基を要求するまで相補的なヌクレオチドを付加しつづける。その結果、PPiの分子が生成されつづけ、同一塩基部分のヌクレオチドの数に比例して、発光量が増大する。同一塩基部分が短い分には、発光量が増大しても、長さを識別するのに十分な感度が保たれるが、同一塩基部分が長くなると、推測値の精度が低くなる。
【0007】
最近の成功にもかかわらず、パイロシークエンシングの制約は、依然として存在している。本発明は、こうした制約を克服することによってパイロシークエンシング技術を改善しようとするものである。
【特許文献1】米国特許第4971903号明細書
【非特許文献1】傾向がある(Doublie et al. (15 February 1999) Structure Fold. Des., 7(2):R31-5
【非特許文献2】Margulies et al., Nature advance online publication; published online 31 July 2005, doi: 10.1038/nature03959)
【非特許文献3】Nyren et al., 151 Analytical Biochemistry 504 (1985)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上述の観察結果を利用し、すなわち、閉鎖複合体を利用してDNA合成中にポリメラーゼを凍結し、次の鋳型ヌクレオチドと相補的なヌクレオチドを捕捉して、次の正しいヌクレオチドの種類が何なのかを決定する。このようにすると、DNA又はRNA分子の配列を、1度にヌクレオチド1個ずつ決定していくことができる。配列は、複合体の一部としてその場で識別することも、二価の金属イオンの付加によって反応サイクルを完了させた時点で複合体からピロリン酸塩又は色素/標識ポリリン酸塩が放出される時点で識別することもできる。このようにすると、DNA中で連続しているヌクレオチドを次々と識別することができ、DNAの配列を有効に決定することができる。感度が十分に高い検出方法と組み合わせることによって、この方法は、鋳型核酸の単一の分子に適用することも、同一(又はほぼ同一)な配列の集まり、例えばPCR生成物又はクローンに適用することもできる。必要に応じて、複数の鋳型の配列を並行して決定することも、具体的には、固相支持体、例えばプレートまたまビーズに鋳型を有効なかたちで固定するなどした場合には可能である。
【0009】
本発明は、パイロシークエンシングを閉鎖複合体の形成と組み合わせて、核酸鋳型の配列を並行して正確に決定することを可能としたものである。本発明は、パイロシークエンシング反応の非特異性を排除し、ポリヌクレオチド配列の各塩基の正確な配列を得ることができ、ヌクレオチドを標識する必要がない。マイクロビーズ及びピコリットルサイズのウェル技術と組み合わせると、この方法は、短時間で明確な核酸配列を得ることができ、スループットが極度に高い。
【0010】
定義
「ヌクレオシド」という用語は、本発明では、プリン、デアザプリン、ピリミジン、又は修飾塩基が、糖又は糖代替物、例えば炭素環式又は非環式部分に、1’位又は同等の位置で結合したものを含む化合物のことを意味するものであり、2’−デオキシ及び2’−ヒドロキシル、及び2’,3’−ジデオキシ体、ならびに他の置換体も含む。
【0011】
「ヌクレオチド」という用語は、本発明で使用する場合には、ヌクレオシドのリン酸エステルのことを称し、エステル化部位は、通常、ペントース糖のC−5位に結合したヒドロキシル基に対応している。ポリメラーゼ、鋳型、及びプライマーとともに閉鎖複合体を形成する可能性のあるヌクレオチドについて言及する場合には、この用語は、具体的には、三燐酸エステル、四燐酸エステル、又はさらに長いポリリン酸エステルに言及するものであり、このリン酸エステルは、必要に応じて、着色、蛍光、化学発光、又は他の検出可能な部分によって、末端リン酸が標識されていてもよい.
「オリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチド又はその誘導体の線状オリゴマー、例えばデオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシドなどを包含する。本明細書では、特記しない限り、オリゴヌクレオチドをアルファベットの配列で表す場合には、ヌクレオチドは、左から右に5’→3’の順序で表示し、Aは、デオキシアデノシンを、Cはデオキシシチジンを、Gはデオキシグアノシンを、そしてTはチミジンを示す。
【0012】
「プライマー」という用語は、特異的なかたちで特定の核酸配列とアニーリングして、その特定の配列の増幅を可能とするような線状オリゴヌクレオチドのことを称する。
【0013】
「標的核酸配列」などの語句は、本発明の1以上の方法によって、配列の種類、又はヌクレオシドの順序又は位置が決定される核酸のことを称する。
【0014】
「ポリメラーゼコロニー技術」又は「ポロニー」という用語は、同じ単位複製配列同士の空間的集合状態を維持しつつ、多重増幅を実施するする技術のことをいう(Harvard Molecular Technology Group and Lipper Center for Computational Geneticsのウェブサイトを参照)。こうした技術としては、インサイチュでのポロニー(Mitra and Church, Nucleic Acid Research 27, e34, Dec 15, 1999)、インサイチュでのローリングサークル増幅(RCA)(Lizardi et al., Nature Genetics 19, 225, July 1998)、ブリッジPCR(米国特許第5641658号)、ピコタイターPCR(Leamon et al., Electrophoresis 24, 3769, Nov 2003)、及び乳化PCR(Dressman et al., PNAS 100, 8817, July 22, 2003)を挙げることができる。
【0015】
「乳化PCR」という用語は、「ePCR」とも称される。乳化PCRでは、油中水乳濁液によって、ミリリットルのレベルの容積中で、何百万もの非相互作用的増幅が可能となる(Tawfik and Griffiths, Nature Biotechnology 16, 652, July 1998; Ghadessy et al., PNAS 98, 4552, April 10, 2001; Nakano et al., Journal of Biotechnology 102, 117, April 24, 2003)。個々の区画の増幅産物は、PCRプライマー1種を担持させたビーズを加えておくことによって補足する(Dressman et al., PNAS 100, 8817, July 22, 2003;Margulies et al., Nature advance online publication; published online 31 July 2005, doi: 10.1038/nature03959)。個々のビーズは、いずれも、何千もの同じPCR生成物の一本鎖のコピーを担持しており、別のビーズは、別のコンパート化したPCR反応の産物を担持している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、サンプル中のポリヌクレオチドを調べる方法に関するものであり、この方法では、RNA又はDNAの合成を核酸ポリメラーゼの活性を利用して監視する簡便な方法を利用する。核酸重合酵素は、ヌクレオシドモノリン酸エステルを、ヌクレオシド三燐酸(NTP)又はデオキシヌクレオシド三燐酸(dNTP)から、成長中のオリゴヌクレオチド鎖の3’末端のヒドロキシルに移動させることによって核酸分子を合成する。この反応では、また、無機ピロリン酸塩が放出される。ポリメラーゼ反応の触媒サイクルでは、「正しい」dNTP又はddNTPが活性部位に結合した後に、生成したDNAポリメラーゼ/DNA複合体の高次構造が「開放」状態から「閉鎖」状態へと変化し、この変化が律速段階となっていることが知られている。Mg2+(又は他の二価の陽イオン)が不在の場合には、三元複合体(酵素/DNA/dNTP(又はddNTP)が形成されるが、dNTP又はddNTPは、成長中の核酸分子には付加されない。そのため、三元複合体中で、次の「正しい」ヌクレオチドが非共有的(物理的)に隔離された状態となる。本発明では、この観察結果を利用して、すなわち、この閉鎖複合体を利用して、核酸合成中にポリメラーゼを凍結し、次の鋳型ヌクレオチドと相補的なヌクレオチドを捕捉して、この次の正しいヌクレオチドの種類が何なのかを決定する。このようにすると、DNA又はRNA分子の配列を、1度にヌクレオチド1個ずつ決定していくことができる。
【0017】
特定の形態では、ポリメラーゼは、DNAポリメラーゼ、例えばDNAポリメラーゼI、II、又はIII、あるいはDNAポリメラーゼα、β、γ、あるいは末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ又はテロメラーゼである。他の形態では、適当なポリメラーゼとして、DNA依存性RNAポリメラーゼ、プライマーゼ、又はRNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)を挙げることができるが、ポリメラーゼはこれらに限定されるものではない。RNAポリメラーゼを使用する場合には、RNAポリメラーゼによって認識可能なプロモーター配列が、核酸鋳型又はプライマー配列に含まれるようにする。
【0018】
本発明の方法で使用する配列決定対象核酸鋳型としては、RNA又はDNA鋳型を挙げることができる。RNAを鋳型として使用する場合には、核酸重合酵素は、逆転写酵素又はRNAポリメラーゼとすることができる。
【0019】
本発明で提供する方法では、ヌクレオシドポリリン酸、例えば、デオキシヌクレオシドポリリン酸、ジデオキシヌクレオシドポリリン酸、炭素環式ヌクレオシドポリリン酸、又は非環式ヌクレオシドポリリン酸同族体を、比色用色素又は蛍光標識とともに使用する。これらのヌクレオシドポリリン酸の塩基は、ウラシル、チミン、シトシン、5−メチルシトシン、グアニン、7−デアザグアニン、ヒポキサンチン、7−デアザヒポキサチン、アデニン、7−デアザアデニン、2,6−ジアミノプリン、及びそれらの同族体からなる群から選択される。結合したヌクレオチドを識別するために、ヌクレオチドを蛍光色素又は着色色素又は他の検出可能なタグで標識する。適当な蛍光色素は、キサンテン色素、シアニン色素、メロシアニン色素、アゾ色素、ポルフィリン色素、クマリン色素、Bodipy色素、及びそれらの誘導体からなる群から選択することができ、適当な着色色素は、アゾ色素、メロシアニン、シアニン色素、キサンテン色素、ポルフィリン色素、クマリン色素、Bodipy色素、及びそれらの誘導体からなる群から選択することができる。これらの色素は周知であり、何種類も市販されている。
【0020】
後述するように、本発明の方法は、単一の分子であるような配列、あるいは分子の均一な集まりを検出する際に用いることができる。本発明の方法は、未知の鋳型の配列を決定するために使用することができる一方、例えば、既知の配列を確認したり、一塩基多型を識別したり、一塩基伸長反応を実施したりする際に使用することもできる。本発明の方法の各種の工程を何サイクルか反復することによって、1サイクルごとに、同じ分子のさらなる配列を検出することもできる。単一の分子又は分子の均一な集まりについて配列を決定することが目的である場合には、各工程を、フロースルーシステム又はストップフローシステム流れにのって通過したり停止したりするシステムで逐次実施することができる。こうしたフロースルーシステム又はストップフローシステムでは、ポリメラーゼ/鋳型/ヌクレオチドの三元複合体は、ビーズに固定化することができ、このビーズは、マイクロチャネルの一部に局在させることができる。
【0021】
また、後述するように、本発明の方法は、大規模に並行反応を実施することによって、多数の鋳型の配列を同時に決定することもできる。多重検出を行う場合には、ポリメラーゼ/鋳型/ヌクレオチドの三元複合体を、担持システム(例えば毛管)に封入したビーズ上に固定したり、マイクロチャネルの内面に固定したり、顕微鏡のスライドなどの表面に固定したりすることができる。顕微鏡用スライドの表面は、平坦面とすることも、コーティング面とすることもできる。また、表面に複数のマイクロ形状物を互いに間隔をおいて配置して、表面にテクスチャーを付与し、テクスチャーを付与していない表面と比較して表面積を増大させておくこともできる。
【0022】
本発明の方法では、鋳型/ポリメラーゼ/ヌクレオチド複合体が、支持体表面に固定されていることが必要である。鋳型/ポリメラーゼ/ヌクレオチド複合体の固定化は、三元複合体形成の前であっても、後であってもよいと理解されたい。固定化が、三元複合体の前に生じる場合、数個の成分の1つ、例えば、プライマー、核酸鋳型、核酸重合酵素、又はプライマー/鋳型複合体を固定化しておくことができる。固定化が、三元複合体の後に生じる場合は、複合体自体を固定する。多数のサンプル鋳型の多重解析を行うためには、固定する種(プライマー、核酸鋳型、核酸重合酵素、又はプライマー/鋳型複合体、あるいは三元複合体)を、支持体表面上で、規則的なパターンで固定することも、また、ランダムに固定することも可能である。しかし、これらの各種は、各々、互いに間隔を置いて位置させ、各複合体(又は複合体の均質な集まり)に結合した色素からの信号が、支持体上で隣接して位置する複合体からの信号と容易に区別がつくようにしておく必要がある。
【0023】
三元複合体の安定性は、まちまちである。後述するように、FY7 DNAポリメラーゼ(米国特許第6479267号)は、鋳型及び色素標識ヌクレオチドとともに極めて安定な複合体を形成する。この場合、標識dNTPを使用した核酸の単一の分子の逐次のな配列決定が可能である。この方法は、多重フォーマットで使用すると、極めて短時間に何万もの鋳型の配列を同時に決定したり、DNAの長い領域の配列を決定したりすることができる。以下では、そうした方法について記載する。
【0024】
核酸鋳型の標的領域を調べる方法の1形態は、下記の工程、a)〜d)を含む。すなわち、工程a)では、支持体上で、反応混合物を形成することによって核酸重合反応を開始する。ここで、反応混合物は、核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、各々判別可能な標識を付した4種の末端リン酸標識ヌクレオチドとを含んでおり、反応混合物のうちの1成分、又は2以上の成分からなる第一の複合体が支持体に固定されており、この1種以上の成分は、核酸鋳型、プライマー、核酸重合酵素からなる群から選択され、4種の末端リン酸標識ヌクレオチドは、各々、4種の天然塩基の各々と相補的な塩基を含んでいる。工程b)では、反応混合物を恒温培養することによって、核酸重合反応を進行させて、核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、末端リン酸標識ヌクレオチドを含む第二の複合体とを形成する。ここで、末端リン酸標識ヌクレオチドは、重合部位における鋳型と相補的な塩基を含んでいる。工程c)では、反応混合物中の非結合末端リン酸標識ヌクレオチド及び他の成分を除去し、工程d)では、第二の複合体から、末端リン酸標識ヌクレオチドの標識を検出することによって、ヌクレオチドを識別する。
【0025】
この形態では、核酸ポリメラーゼ反応に使用する鋳型は、単一の分子又は分子の均一な集まりである。最初の塩基の配列決定を行った後に、さらに別の塩基の配列決定を行う場合は、上記の工程(a)〜(d)に加えて、以下の工程、すなわち、e)二価の陽イオンを加えて重合反応を完了させ(この段階で遊離ヌクレオチドは不在となる)、f)二価の陽イオン及び他の最終生成物を重合反応から除去し、g)(a)〜(f)の工程を繰り返して、配列中のさらなるヌクレオチドを決定する工程を実施する。
【0026】
必要に応じて、過剰量のキレート剤(例えばEDTA)を、工程(a)〜(d)のうちの任意の工程又はすべての工程、及び特に工程(f)で加えて、反応混合物中に存在する可能性のある残存二価陽イオンを隔離することができる。キレート剤は、本発明で開示する各方法で、必要に応じて同じ目的で加えることができるものと理解されたい。キレート剤の添加によって、鋳型/ポリメラーゼ/dNTP(又はddNTP)の三元複合体の形成が阻害されることはない。この点は、後述の実験によって示されている。これらのキレート剤は、二価の陽イオン(例えばマンガン又はマグネシウム)を加えることによって除去し、この二価の陽イオンの添加によって、ポリメラーゼ反応サイクルを終了させることができる。
【0027】
上記形態のスキームを、核酸鋳型の核酸配列を調べるために使用する場合には、4種すべての末端リン酸標識ヌクレオチドを使用しなくてもよい。例えば、サンプル鋳型の二対立遺伝子SNPを調べる場合であれば、末端リン酸標識ヌクレオチド2種のみが必要である。サンプル鋳型に特定の核酸配列が存在するかどうかを調べる場合であれば、末端リン酸標識ヌクレオチド1種のみが必要である。
【0028】
これらの形態を、多重フォーマットで使用すれば、極めて短時間に何万もの鋳型の配列を同時に決定したり、DNAの長い領域の配列を決定したりすることができる。したがって、本発明で提供する複数の核酸鋳型の標的領域を並行して調べる方法の一形態は、以下のa)〜e)の工程を含む。すなわち、工程a)では、複数のプライマー又は複数の核酸鋳型を支持構造体に固定化する。ここで、各プライマー又は鋳型は、独特の配列を含んでおり、各プライマー(又は同じプライマーの複数のコピー)又は鋳型は、支持構造体の識別可能な離散した位置に局在化させる。工程b)では、支持構造体上で、反応混合物を形成することによって、複数の核酸重合反応を開始する。ここで、反応混合物は、複数のプライマーと、複数の核酸鋳型と、核酸重合酵素と、1種以上の各々判別可能な標識を付した末端リン酸標識ヌクレオチドとを含んでおり、末端リン酸標識ヌクレオチドの各々は、4種の天然塩基の各々と相補的な塩基を含んでいる。工程c)では、反応混合物を恒温培養することによって、核酸重合反応を進行させて、複数の複合体を形成する。ここで、各複合体は、複数のプライマーの1種と、複数の核酸鋳型の1種と、核酸重合酵素と、末端リン酸標識ヌクレオチドとを含んでおり、末端リン酸標識ヌクレオチドは、重合部位における鋳型と相補的な塩基を含んでいる。工程d)では、反応混合物中の非結合末端リン酸標識ヌクレオチド及び他の成分を除去し、工程e)では、各々の識別可能な分離した位置で、複合体から、末端リン酸標識ヌクレオチドの識別可能な標識を検出する。また、検出結果は、必要に応じてデータ記憶媒体に記録し、結果を、4種のヌクレオチド配列の1種に変換する。
【0029】
この方法では、核酸ポリメラーゼ反応に使用する各鋳型(又はプライマー)は、単一の分子又は分子の均一な集まりである。最初の塩基の配列決定を行った後に、さらに別の塩基の配列決定を行う場合は、上記の工程(a)〜(e)に加えて、以下の工程、すなわち、f)二価の陽イオンを加えて重合反応を完了させ、g)二価の陽イオン及び他の最終生成物を重合反応から除去し、h)(a)〜(g)の工程を繰り返して、複数の核酸鋳型中のさらなる各ヌクレオチドを調べる工程を実施する。図1は、本発明を多重形態で実施する場合について図示したものである。
【0030】
本発明で提供する核酸鋳型の標的領域の配列決定法の別の形態は、以下の(a)〜(h)の工程を含む。すなわち、工程a)では、支持体上で、反応混合物を形成することによって核酸重合反応を開始する。ここで反応混合物は、核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、各々判別可能な標識を付した1種以上の末端リン酸標識ヌクレオチドとを含んでおり、反応混合物のうちの1成分、又は2以上の成分からなる第一の複合体が支持体に固定されており、この1種以上の成分は、核酸鋳型、プライマー、核酸重合酵素からなる群から選択され、1種以上の末端リン酸標識ヌクレオチドは、各々、4種の天然塩基の各々と相補的な塩基を含んでいる。工程(b)では、反応混合物を恒温培養することによって、核酸重合反応を進行させて、核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、末端リン酸標識ヌクレオチドを含む第二の複合体とを形成する。ここで、末端リン酸標識ヌクレオチドは、重合部位における鋳型と相補的な塩基を含んでいる。工程(c)では、反応混合物中の非結合末端リン酸標識ヌクレオチド及び他の成分を除去し、工程(d)では、二価の陽イオンを加えて重合反応を完了させ、工程(e)では、第二の複合体から、末端リン酸標識ヌクレオチドの標識を検出し、工程(f)では、結合したヌクレオチドを識別し、工程(g)では、二価の陽イオン及び他の最終生成物を重合反応から除去し、そして工程(h)では、工程a)〜g)を繰り返して、配列中のさらなる各ヌクレオチドを決定する。この形態では、核酸ポリメラーゼ反応に使用する鋳型は、単一の分子又は均一な分子の集まりである。
【0031】
本発明はさらに、固定化された物質が当業界で公知の任意の手段によって所定の位置に保持されている連続流システムまたストップフローシステム中で、上述の工程を用いて標的配列の配列決定を行う方法を提供する。このシステムでは、各種の反応物質及び緩衝液がシステムの一端にポンプで供給され、システムの他端から流出する。反応物質及び緩衝液は、連続的に流れてもよいし、重合反応が進行できるように特定の時間にわたって所定の位置に保持されてもよい。図2にこのプロセスを図示してある。図2に示すように、マイクロチャネルに封入されたビーズが、反応複合体を固定化する際の支持表面を提供する。緩衝液と反応物質がシステム内を移動するにしたがって、ポリメラーゼ反応で放出された色素はマイクロチャネルの出口方向に向かって移動する。ポリメラーゼによって捕捉された色素標識dNTP(又はddNTP)の検出は、ヌクレオチド二価の陽イオンを加えることによって色素が放出された後であってもシステム内のいくつかの位置で実施することができる。これらの位置としては、例えば、ビーズが保持されている位置(二価の陽イオンを加える前又は後)、又はビーズが保持されている位置の下流でシステムから流出する前であるような位置を挙げることができる。また、色素含有溶液を溶液がシステムから流出する時点でまず回収し、その後検出を行うこともできる。
【0032】
閉鎖複合体の安定性(反応条件、例えばpH又は温度に左右される可能性がある)が、分単位でなく秒単位のものに過ぎなかったとしても、この方法は、単一の分子について配列を決定する場合であれば十分利用できる。この場合に用いる検出技術では、蛍光の微視的な「閃光」を複合体の位置で観測することになり、この「閃光」からは、次の正しい(標識)ヌクレオチドが一時的に(秒単位の時間)結合し、(その結果、DNA/DNAポリメラーゼ複合体の色のついた「輝き」が生じ) たことが示唆される。次のヌクレオチドが正しい場合にのみ形成される「閉鎖複合体」は、次のヌクレオチドが正しくない場合に形成される開放複合体より少なくとも10倍は寿命が長いので、複合体の部位では、「閉鎖複合体」からの蛍光が信号として主に観察されることになる。この蛍光は、複合体の部位に(特に、低濃度の場合には)ごく短時間しか留まらない遊離ヌクレオチドからの蛍光とは、容易に区別できるはずである。末端リン酸標識dNTP又はddNTPが利用できるのは上述したとおりであるが、塩基標識ddNTPも利用できる。以上の結果、プライマーの3’末端に位置する「次の」ヌクレオチド1個を識別することができる。この情報単独でも、プライマーが、SNPなど興味深い遺伝子座に隣接するよう選択されている場合には有用な可能性がある。
【0033】
以下では、これらの方法について、さらに詳しく説明する。本発明で提供する核酸鋳型の標的領域を解析する方法の一形態は、a)〜d)の工程を含む。すなわち、工程a)では、支持体上で、反応混合物を形成することによって核酸重合反応を開始する。ここで反応混合物は、核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、各々判別可能な標識を付した1種以上のヌクレオチドとを含んでおり、反応混合物のうちの1成分又は、2以上の成分からなる第一の複合体が支持体に固定されており、この1種以上の成分は、核酸鋳型、プライマー、核酸重合酵素からなる群から選択され、1種以上の末端リン酸標識ヌクレオチドの1種は、鋳型の重合部位の塩基と相補的な塩基を含んでいる。工程b)では、反応混合物を恒温培養することによって、核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、1種以上の標識ヌクレオチドの1種とを含む第二の複合体を形成し、ここで、標識ヌクレオチドは、重合部位における鋳型と相補的な塩基を含んでおり、標識ヌクレオチドは、第二の複合体と動的平衡状態にある。工程c)では、反応混合物中の非結合末端リン酸標識ヌクレオチド及び他の成分を除去し、工程d)では、検出された区別可能な標識にもとづいてヌクレオチドを識別する。
【0034】
この方法では、核酸ポリメラーゼ反応に使用する鋳型は、単一の分子又は均一な分子の集まりである。最初の塩基を決定した後、さらに塩基を調べる場合には、上記の工程(a)〜(d)に加えて、以下のe)〜h)の工程を実施する。工程e)では、1種以上の標識ヌクレオチド及び他の成分を反応混合物から除去し、工程f)では、反応混合物に、核酸重合酵素、二価の陽イオン、及び重合部位における鋳型と相補的な塩基を含むヌクレオチドを加え、工程g)では、反応混合物をある期間にわたって恒温培養して重合反応を完了させ、工程h)では、二価の陽イオン、ヌクレオチド、及び他の最終生成物を重合反応から除去し、そして工程i)では、工程(a)〜(h)を繰り返して、各ヌクレオチドをさらに決定する。
【0035】
この方法の欠点は、同じ塩基が連続する場合に十分な配列決定が行えないことだろう。つまり、例えば、GGGTTTCCTCTCという配列(配列番号:1)が、GTCTCTC(配列番号:2)と読み取られてしまう場合があるということである。しかし、こうした情報も、具体的には既知の配列を確認する場合など数多くの状況で有用である。
【0036】
これらの方法は、多重フォーマットで使用すれば、極めて短時間に何万もの鋳型の配列を同時に決定したり、DNAの長い領域の配列を決定したりすることができる。したがって、本発明で提供する複数の核酸鋳型の標的領域を並行して調べる方法のもう一つの形態は、以下のa)〜f)の工程を含む。すなわち、工程a)では、複数のプライマーを支持構造体に固定化する。ここで、各プライマーは、独特の配列を含んでおり、各プライマー(又は各プライマーの複数のコピー)は、支持構造体の識別可能な離散した位置に局在化させる。工程b)では、支持構造体上で、反応混合物を形成することによって、複数の核酸重合反応を開始する。ここで、反応混合物は、複数の固定化されたプライマーと、複数の核酸鋳型と、核酸重合酵素と、4種の各々判別可能な標識を付したヌクレオチドとを含んでおり、4種のヌクレオチドは、各々、4種の天然塩基の各々と相補的な塩基を含んでいる。工程c)では、反応混合物を恒温培養して、複数の第二複合体を形成する。ここで、各複第二合体は、複数の固定化したプライマーの1種と、複数の核酸鋳型の1種と、核酸重合酵素と、標識ヌクレオチドとを含んでおり、この標識ヌクレオチドは、重合部位における鋳型と相補的な塩基を含んでおり、また、標識ヌクレオチドは、第二複合体と動的平衡状態にある。工程d)では、各々の識別可能な分離した位置で、標識ヌクレオチドの標識を検出し、工程e)では、工程d)で得られたデータを、データ記憶媒体に記録し、工程f)では、記録したデータを4種のヌクレオチドの1種に変換することによって、複数の核酸鋳型の各々の標的配列を決定する。
【0037】
この方法では、核酸ポリメラーゼ反応に使用する各鋳型(又はプライマー)は、単一の分子又は分子の均一な集まりである。この方法の欠点は、同じ塩基が連続する場合に十分な配列決定が行えないことだろう。上述したように、例えば、GGGTTTCCTCTCという配列(配列番号:1)が、GTCTCTC(配列番号:2)と読み取られてしまう場合があるということである。しかし、こうした情報も、多くの状況で有用である。この方法では、最初の塩基についての配列情報しか得られないが、同様の方法を繰り返すことによって、各鋳型の複数の塩基についての配列情報を得ることができる。
【0038】
多重フォーマットでの使用が可能なもう一つの方法でも、極めて短時間に何万もの鋳型の配列を同時に決定したり、DNAの長い領域の配列を決定したりすることができる。この方法は、同じ鋳型について複数の塩基を含む配列を得るために使用することができるが、同様の制約があり、同じ塩基が連続する場合には、十分な検出が行えない(例えば、GGGTTTCCTCTCという配列(配列番号:1)が、GTCTCTC(配列番号:2)と読み取られてしまう場合がある)。したがって、本発明で提供する複数の核酸鋳型の標的領域を並行して調べる方法のもう一つの形態は、以下のa)〜f)の工程を含む。すなわち、工程a)では、複数のプライマーを支持構造体に固定化する。ここで、各プライマーは、独特の配列を含んでおり、各プライマーは、支持構造体の識別可能な離散した位置に局在化させる。工程b)では、支持構造体上で、反応混合物を形成することによって、複数の核酸重合反応を開始する。ここで、反応混合物は、複数の固定化されたプライマーと、複数の核酸鋳型と、核酸重合酵素と、1種の標識ヌクレオチドとを含んでいる。工程c)では、反応混合物を恒温培養して、複数の第二複合体を形成する。ここで、各複第二合体は、複数の固定化したプライマーの1種と、複数の核酸鋳型の1種と、核酸重合酵素と、標識ヌクレオチドとを含んでおり、この標識ヌクレオチドは、重合部位における鋳型と相補的な塩基を含んでおり、また、標識ヌクレオチドは、第二複合体と動的平衡状態にある。工程d)では、識別可能な分離した位置で、標識ヌクレオチドの標識を検出し、工程e)では、検出工程で得られたデータを、データ記憶媒体に記録し、工程f)では、標識ヌクレオチド及び他の成分を反応混合物から除去し、工程g)では、核酸重合酵素、二価の陽イオン、及び標識ヌクレオチドと同等の非標識物を、反応混合物に加え、工程h)では、反応混合物をある期間にわたって恒温培養して重合反応を完了させ、工程i)では、二価の陽イオン及び他の最終生成物を重合反応から除去し、工程j)では、工程a)〜i)を、他の3種のヌクレオチドのうちの1種とともに全4種のヌクレオチドについて調べるまで繰り返し、工程k)工程a)〜j)を繰り返して、さらなるヌクレオチド配列を決定する。
【0039】
この方法で得られたデータ(色素標識情報)を、適切なアルゴリズムを備えたコンピュータシステムで処理する。データは、データ生成と同時又は実験反応の終了時点で、4種の各ヌクレオチドからなる配列情報に変換する。次に、複数の核酸鋳型の各々について、配列を集める。標識ヌクレオチドを加える順序は、所定のサイクルで行うことができるが、この点は必須ではない。
【0040】
以下の例は、上述の方法を用いて、2つの鋳型の核酸分子の配列を決定する方法を例示する。解析対象配列が、(a)GGGTTTCCTCTC(配列番号:1)及び(b)CTCTCCTTTTGGG(配列番号:3)であり、G、C、A、Tと相補的なヌクレオチドをこの順序で加えると仮定する。上述の工程(j)のサイクルの最初では、Gに対して相補的なヌクレオチドを加える。鋳型上の次のヌクレオチドの塩基がGである位置からは(このケースでは配列番号:1の場合)、信号が検出され、鋳型上の次のヌクレオチドの塩基がGでない位置からは(このケースでは、次がCである配列番号:3の場合)、信号は検出されない。情報を、データ記憶媒体に記録する。この2サイクルめでは、Cに対して相補的なヌクレオチドを加える。今度は、配列番号:3の鋳型(次がC)を含む位置から信号が検出され、配列番号:1(次がT)の鋳型を含む位置からは信号が検出されない。この情報についても、データ記憶媒体に記録する。サイクルが進むにつれて、これら2種の鋳型に関するデータが、蓄積される。4種のヌクレオチドの各々を用いた反応をすべて繰り返しても検出可能なデータが得られない場合には、鋳型配列の配列決定が完了したことが示唆される。配列番号:1の鋳型について実施した反応の最終読み取り結果は、GTCTCTC(配列番号:2)となり、配列番号:3の鋳型について実施した反応の最終読み取り結果は、CTCTCTG(配列番号:4)となる。
【0041】
閉鎖複合体の安定性が、秒単位〜分単位で測定可能な程度に過ぎなかったとしても、この方法は、単一の分子の配列を決定する場合であれば十分利用可能である。この場合に用いる検出技術では、蛍光の微視的「閃光」を複合体の位置で観測することになり、この「閃光」からは、次の正しい(標識)ヌクレオチドが一時的に(秒〜分単位の時間)結合したことが示唆される。末端リン酸標識dNTP又はddNTPが利用できるのは上述したとおりであるが、塩基標識ddNTPも利用できる。この技術の唯一の欠点は、同じ塩基が連続する場合に十分な配列決定が行えないことかもしれない。つまり、例えば、GGGTTTCCTCTCという配列(配列番号:1)が、GTCTCTC(配列番号:2)と読み取られてしまう場合があるということである。しかし、こうした情報も有用である。
【0042】
以下では、これらの方法について、さらに詳しく説明する。本発明で提供する核酸鋳型の標的領域を解析する方法の一形態は、(a)〜(d)の工程を含む。すなわち、工程(a)では、支持体上で、反応混合物を形成することによって核酸重合反応を開始する。ここで反応混合物は、核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、各々判別可能な標識を付した1種以上のヌクレオチドとを含んでおり、反応混合物のうちの1成分又は、2以上の成分からなる第一の複合体が支持体に固定されており、この1種以上の成分は、核酸鋳型、プライマー、核酸重合酵素からなる群から選択され、1種以上の末端リン酸標識ヌクレオチドの1種は、鋳型の重合部位の塩基と相補的な塩基を含んでいる。工程(b)では、反応混合物を恒温培養することによって、核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、1種以上の標識ヌクレオチドの1種とを含む第二の複合体を形成し、ここで、標識ヌクレオチドは、重合部位における鋳型と相補的な塩基を含んでおり、標識ヌクレオチドは、第二の複合体と動的平衡状態にある。工程(c)では、反応混合物から、反応混合物中に存在する非結合の1種以上の標識ヌクレオチドの一部及び他の成分を除去し、工程(d)では、反応混合物中の非結合の末端リン酸標識ヌクレオチド及び他の成分を除去し、工程(e)では、検出された区別可能な標識にもとづいてヌクレオチド配列を識別する。
【0043】
この方法では、核酸ポリメラーゼ反応に使用する鋳型は、単一の分子又は均一な分子の集まりである。最初の塩基を決定した後、さらに塩基を調べる場合には、上記の工程(a)〜(e)に加えて、以下の(f)〜(i)の工程を実施する。工程(f)では、反応混合物に、核酸重合酵素、二価の陽イオン、及び識別済みの塩基配列を含む非標識ヌクレオチドを加え、工程(g)では、反応混合物をある期間にわたって恒温培養して重合反応を完了させ、工程(h)では、二価の陽イオン、ヌクレオチド、及び他の最終生成物を重合反応から除去し、そして工程(i)では、工程(a)〜(h)を繰り返して、各ヌクレオチドをさらに決定する。標識ヌクレオチドが塩基で標識されている場合には、工程(f)の前に、さらに洗浄の工程を行って、鋳型/プライマー/ポリメラーゼ複合体によって補足された標識ヌクレオチドを除去しておくことが好ましい。
【0044】
図3は、上述した閉鎖複合体段階で休止しているリン酸標識ヌクレオチドを利用した配列決定の反応及び検出スキームを示す図である。この方法の唯一の欠点は、同じ塩基が連続する場合に十分な配列決定が行えないことである。例えば、上述したように、GGGTTTCCTCTCという配列(配列番号:1)が、GTCTCTC(配列番号:2)と読み取られてしまう可能性が高い。しかし、こうした情報も多くの状況で有用である。
【0045】
これらの方法は、多重フォーマットで使用すれば、極めて短時間に何万もの鋳型の配列を同時に決定したり、DNAの長い領域の配列を決定したりすることができる。したがって、本発明で提供する複数の核酸鋳型の標的領域を並行して調べる方法のもう一つの形態は、以下の(a)〜(f)の工程を含む。すなわち、工程(a)では、複数のプライマーを支持構造体に固定化する。ここで、各プライマーは、独特の配列を含んでおり、各プライマー(又は各プライマーの複数のコピー)は、支持構造体の識別可能な離散した位置に局在化させる。工程(b)では、支持構造体上で、反応混合物を形成することによって、複数の核酸重合反応を開始する。ここで、反応混合物は、複数の固定化されたプライマーと、複数の核酸鋳型と、核酸重合酵素と、4種の各々判別可能な標識を付したヌクレオチドとを含んでおり、4種のヌクレオチドは、各々、4種の天然塩基の各々と相補的な塩基を含んでいる。工程(c)では、反応混合物を恒温培養して、複数の第二複合体を形成し、ここで、各第二複合体は、複数の固定化したプライマーの1種と、複数の核酸鋳型の1種と、核酸重合酵素と、標識ヌクレオチドとを含んでおり、この標識ヌクレオチドは、重合部位における鋳型と相補的な塩基を含んでおり、また、標識ヌクレオチドは、第二複合体と動的平衡状態にある。工程(d)では、反応混合物から、反応混合物中の非結合標識ヌクレオチド及び他の成分を除去し、工程(e)では、各々の識別可能な分離した位置で、標識ヌクレオチドの標識を検出し、工程(f)では、得られた標識についての情報を、データ記憶媒体に記録し、工程(g)では、記録したデータを4種のヌクレオチドの1種に変換することによって、複数の核酸鋳型の各々の標的ヌクレオチド配列を決定する。
【0046】
この方法では、核酸ポリメラーゼ反応に使用する各鋳型(又はプライマー)は、単一の分子又は分子の均一な集まりである。図4は、上述した並行配列決定の反応スキームを示す図である。この方法の欠点は、同じ塩基が連続する場合に十分な配列決定が行えないことかもしれない。上述したように、例えば、GGGTTTCCTCTCという配列(配列番号:1)が、GTCTCTC(配列番号:2)と読み取られてしまう場合があるということである。しかし、こうした情報も、多くの状況で有用である。この方法では、最初の塩基についての配列情報しか得られないが、同様の方法を繰り返すことによって、各鋳型の複数の塩基についての配列情報を得ることができる。
【0047】
多重フォーマットでの使用が可能なもう一つの方法でも、極めて短時間に何万もの鋳型の配列を同時に決定したり、DNAの長い領域の配列を決定したりすることができる。この方法は、同じ鋳型について複数の塩基を含む配列を得るために使用することができる。したがって、本発明で提供する複数の核酸鋳型の標的領域を並行して調べる方法のもう一つの形態は、以下の(a)〜(g)の工程を含む。すなわち、工程(a)では、複数のプライマーを支持構造体に固定化する。ここで、各プライマーは、独特の配列を含んでおり、各プライマーは、支持構造体の識別可能な離散した位置に局在化させる。工程(b)では、支持構造体上で、反応混合物を形成することによって、複数の核酸重合反応を開始する。ここで、反応混合物は、複数の固定化されたプライマーと、複数の核酸鋳型と、核酸重合酵素と、1種以上の標識ヌクレオチドとを含んでいる。工程(c)では、反応混合物を恒温培養して、複数の第二複合体を形成する。ここで、各複第二合体は、複数の固定化したプライマーの1種と、複数の核酸鋳型の1種と、核酸重合酵素と、1種以上の標識ヌクレオチドの1種とを含んでおり、各標識ヌクレオチドは、重合部位における鋳型と相補的な塩基を含んでおり、また、標識ヌクレオチドは、第二複合体と動的平衡状態にある。工程(d)では、標識ヌクレオチド及び他の成分を反応混合物から除去し、工程(e)では、識別可能な分離した位置で、標識ヌクレオチドの標識を検出し、工程(f)では、検出工程で得られたデータを、データ記憶媒体に記録し、工程(g)では、核酸重合酵素、二価の陽イオン、及び標識ヌクレオチドと同等の非標識物を、反応混合物に加え、工程(h)では、反応混合物をある期間にわたって恒温培養して重合反応を完了させ、工程(i)では、二価の陽イオン及び他の最終生成物を重合反応から除去し、工程(j)では、工程(a)〜(i)を、他の3種のヌクレオチドの1種とともに全4種のヌクレオチドを試験するまで繰り返し、工程k)工程(a)〜(j)を繰り返して、さらなるヌクレオチド配列を決定する。標識ヌクレオチドが塩基で標識されている場合には、工程(g)の前に、さらに洗浄の工程を行って、鋳型/プライマー/ポリメラーゼ複合体によって補足された標識ヌクレオチドを除去しておくことが好ましい。
【0048】
この方法で得られたデータ(色素標識情報)を、適切なアルゴリズムを備えたコンピュータシステムで処理する。データは、データ生成と同時又は実験反応の終了時点で、4種の各ヌクレオチドからなる配列に変換する。次に、複数の核酸鋳型の各々について、配列を集める。標識ヌクレオチドを加える順序は、所定のサイクルで行うことができるが、この点は必須ではない。
【0049】
次に、二価の金属イオンの不在下での閉鎖複合体の形成の工程を、パイロシークエンシングの技術に加えた形態について説明する。この新規な組合せを用いると、核酸鋳型の配列を並行して正確に決定することが可能となり、パイロシークエンシング反応の非特異性が排除され、ポリヌクレオチド配列の各塩基についての正確な配列が得られ、ヌクレオチドの標識が不要となる。マイクロビーズ及びピコリットルサイズのウェル技術と組み合わせると、明確な核酸配列を得ることができ、スループットが極度に高い。
【0050】
本発明の一形態として、複数の核酸鋳型の配列を並行して決定する方法を提供する。この方法は、以下の工程を含む。すなわち、まず、複数のプライマー結合核酸鋳型を支持構造体に固定化する。ここで、個々のプライマー結合鋳型は、鋳型とプライマーとを含み、支持構造体の識別可能な離散した位置に局在化させる。次に、複数の閉鎖複合体形成反応を、複数のプライマー結合核酸鋳型、核酸重合酵素、1種以上のヌクレオチドを含む反応混合物を形成して、複数の閉鎖複合体を形成することによって、支持構造体上で開始する。ここで、各閉鎖複合体は、複数のプライマー結合鋳型の1種と、核酸重合酵素と、重合部位における鋳型と相補的な塩基を含むヌクレオチドとを含む。閉鎖複合体の形成後、反応混合物から、非結合のヌクレオチド及び他の非結合成分を除去する。使用する検出方法に応じて、各核酸鋳型について組み込まれたヌクレオチドの検出を行う前又は後に、二価の陽イオンを加えて反応を完了させる。組み込まれたヌクレオチドを、直接、又は重合反応副生物の検出を通じて、識別可能な分離した位置の各々で検出する。検出後、二価の陽イオン及び他の最終生成物を支持構造体周辺から除去し、以上のプロトコールを繰り返して、次の回の複合体形成及び重合反応を開始して、鋳型の次の各ヌクレオチドの配列を決定する。
【0051】
上述したように、ポリメラーゼ反応の触媒サイクルでは、「正しい」dNTP又はddNTPが活性部位に結合すると、生成したDNAポリメラーゼ/DNA複合体の高次構造が「開放」状態から「閉鎖」状態へと変化することが知られている(この変化は、律速段階でもある)。Mg2+(又は他の二価の陽イオン)が不在の場合には、三元複合体(酵素/DNA/dNTP(又はddNTP)が形成されるが、dNTP又はddNTPは、成長中の核酸分子には付加されない。そのため、三元複合体中で、次の「正しい」ヌクレオチドが非共有的(物理的)に隔離される。本発明では、この観察結果を利用して、すなわち、核酸合成中に、次の鋳型ヌクレオチドと相補的なヌクレオチドが閉鎖複合体によって捕集されることによってポリメラーゼがフリーズされる過程を利用することによって、次の正しいヌクレオチドの種類を決定する。このようにして、DNA又はRNA分子の配列を、1度にヌクレオチド1個ずつ決定していくことができる。
【0052】
実施例のセクションで閉鎖複合体形成用に使用されている酵素の一つは、はFY7 DNAポリメラーゼ(米国特許第6479267号)であるが、他にも多くのポリメラーゼを使用することができる。FY7DNAポリメラーゼは、プライマー結合鋳型及びヌクレオチドとともに、極めて安定な複合体を形成することができる。この場合、核酸鋳型の逐次配列決定が可能となる。さらなる酵素の例については、本明細書で先に説明したとおりである。本発明の方法で使用する配列決定用核酸鋳型としては、RNA又はDNAの鋳型を挙げることができる。鋳型がRNAである場合は、核酸重合酵素は、逆転写酵素又はRNAポリメラーゼとすることができる。重合反応を進めるために一般に使用される二価の陽イオンは、マグネシウムのイオン(Mg2+)であるが、他の二価の陽イオン、例えばMn2+も使用が可能である。閉鎖複合体形成の間に二価の陽イオンが確実に不在となるように、二価の陽イオンが不在の反応混合物に、EDTA又は他のキレート剤を加えることができる。
【0053】
本発明によって提供される方法では、ヌクレオシドポリリン酸又はその同族体を使用する。これらのヌクレオシドポリリン酸は、非標識であっても、末端リン酸が、ヌクレオチドのリン酸部分から放出されると物理化学的特性が変化するような化学発光原子団、比色分析用色素、又は蛍光標識によって標識されていてもよい。結合したヌクレオチドを識別する際に使用する戦略は、標識の有無や用いた標識の性質に応じて異なったものとすることができる。
【0054】
ヌクレオシドポリリン酸(ヌクレオチド)には、末端リン酸標識を付すことができること、また、こうした標識ヌクレオチドを用い、核酸ポリメラーゼを用いた触媒反応によって、ポリヌクレオチドを生成できることが知られている。閉鎖複合体状態でポリメラーゼによって保持されている間にヌクレオチドを検出することが望ましい場合には、蛍光標識又は比色分析用標識を選択する。個々のヌクレオチドを異なる色素で標識することができるので、単一のヌクレオチドを選択して検出及び識別を行うプロセスに、4種すべてのヌクレオチドを用いることができる。あるいは、各ヌクレオチドに同じ色素標識を付すこともできる。しかし、この場合には、1度に1つのヌクレオチドのみを導入して、必要に応じて、標識信号が特定の塩基に正しく配分されるようにする。特定の塩基の種類を決定するには、4種すべてのヌクレオチドで順番に試していくことが必要になる。なお、統計的には、各ヌクレオチドの導入時には、1/4のみの核酸分子がマッチして進行し、残りは、適合するヌクレオチドが付加されるまで不活性のままである。したがって、4種のヌクレオチドに対して4種の別々の標識を使用するプロセスの方が効率が高い。
【0055】
閉鎖複合体状態でポリメラーゼによって保持されている間にヌクレオチド配列を検出する場合には、二価の陽イオンを加える前に検出工程を実施する。なお、多くの場合、配列を決定する核酸分子は、特定の離散した位置に濃縮されているので、隔離された標識ヌクレオチドの濃度は、浮遊している遊離ヌクレオチドより高い。検出システムが部位特異的で十分感度が高ければ、浮遊中の遊離標識ヌクレオチドの濃度は十分低いので、非結合ヌクレオチドを除去しなくても、閉鎖複合体中のヌクレオチドを検出することができる
ヌクレオチドの取り込みというイベントを検出するもう一つの方法は、ヌクレオチドが成長中の鎖に取り込まれた後に、反応副生物を検出する方法である。ヌクレオチドは、末端の燐酸上に、酵素で活性化が可能な標識を含むことができる。重合後、この酵素で活性化が可能な標識酵素は、無機ポリリン酸副生物上に位置することになる。ホスファターゼによってポリリン酸副生物を開裂させると、検出可能な標識を生成することができる。各ヌクレオチドごとに別々の標識を用いる場合には、4種すべてのヌクレオチドを、同じ反応で区別することができる。別々の標識を使用しない場合には、各ヌクレオチドを別々に導入して、異なるヌクレオチドを識別する。あるいは、重合反応の間に非標識ヌクレオチドから放出されるPPiを、各種の検定法で検出することもできるが、この場合、各塩基を区別するために、この工程を繰り返すことが必要になる。こうした検定法の1種は、一連の反応カスケードを通じて光子の放出を検出することによって実施される。この方法では、まず、ATPスルフリラーゼを使用してPPiとアデノシン−5’−ホスホ硫酸からATPを生成し、次に、ルシフェラーゼによってATPとルシフェリンをオキシルシフェリンに変換して、光子を発生させる(Nyren et al., 151 Analytical Biochemistry 504 (1985))。
【0056】
並行配列決定に際して、ポリメラーゼ/鋳型/ヌクレオチドの三元複合体は、支持体(例えばウェル)の所定領域内に配置されたビーズ又は他のデバイス上に固定化したり、顕微鏡スライドの表面などに直接固定化したりすることができる。顕微鏡用スライドの表面は、平坦な表面であっても、コーティングした表面であってもよい。コーティングした表面の一例は、Shendure他の報文に記載されている(Science, published online August 4, 2005, 10.1126/science.1117389)。ここで、Shendureらは、ポリアクリルアミドゲルを改良して、ビーズが、ゲル表面の単一の焦点面内に確実に収まるようにした。
【0057】
支持体表面を、ビーズの形状とした場合も、さまざまな形態が可能である。PCRで増幅したビオチン標識一本鎖DNAの固定には、ストレプトアビジンをコーティングしたセファロースビーズが使用されてきた。この技術にもとづいて、96ウェルプレートを利用したパイロシークエンシングのプラットホームが開発され、製品化されており(Biotage AB)、この製品では、96ウェルプレートの各ウェルに、一本鎖鋳型DNA1種を担持したビーズが入っている。このプラットホームを用いると、96通りの反応を同時に実施できる。この96ウェルのフォーマットを閉鎖複合体の形成と組み合わせると、従来のパイロシークエンシング技術では実現できなかった改善された正確な配列決定の結果を得ることができる。
【0058】
最近、これとは別のビーズを利用したパイロシークエンシングのプラットホームが、454ライフサイエンス社によって開発された(Margulies et al., Nature advance online publication; published online 31 July 2005, doi: 10.1038/nature03959、この文献は、ここに言及することをもって、その全文を本明細書に組み込む)。こうしたマイクロビーズは、光ファイバースライドの小型のピコリットルサイズのウェルに配置され、各ウェルにはビーズ1個のみが収容可能である。各ビーズには、乳化PCRによって増幅された同一種の核酸鋳型複数(すなわち、同じ配列)が担持されている。このシステムでは、各ビーズの周囲に、ピロリン酸塩の検出に必要な酵素を担持したさらに小径のビーズが配置されている。反応物質を効率的に流動させることが可能で、各鋳型担持ビーズ上で同時に伸長反応が進行可能なフロースルーシステムも開発されている。ルシフェラーゼによる反応で発せられた光を、ウェルの位置とともに検出し、それらを相関させることによって、ウェル中の固定位置に配置されたビーズ上の特定のDNAについての配列読み取り結果が得られ、このプラットホームでは処理量の高い並行配列決定が可能になるものの、この方法には、パイロシークエンシングという方法論ゆえの諸特性による制約がある。具体的には、dNTP、特にdATPがルシフェラーゼと直接反応する場合に干渉の問題があり、また、同一のヌクレオチド塩基が2つ以上続く配列は、発光強度の定量的測定のみによって推定されている。
【0059】
閉鎖複合体の形成を、454ライフサイエンス社のマイクロビーズ技術に組み込むことには、いくつかの利点がある。まず、非結合ヌクレオチドが、検出の前に除去されるので、ルシフェラーゼを用いた系に見られる非特異的な反応という問題がなくなる。ルシフェラーゼは、ポリメラーゼ同様、二価の陽イオンの不在下では、触媒活性を示さない。閉鎖複合体システムを用いると、鋳型に2個以上の同じヌクレオチド塩基が連続して並んでいても、1度に塩基1個ずつ配列決定を行うことができる。したがって、同じ塩基が何個も連続している配列を検出する場合でも、信号発生強度について解釈する必要がなくなる。同じ理由で、この新規な方法では、シンクロニズムの喪失という問題も軽減される(Ronaghi, Genome Research, 11, 3-11, 2001参照)。また、同じ理由で、パイロシークエンシングを閉鎖複合体の形成と組み合わせたこの新規な方法では、いわゆる「ブルーミング(焦点ぼけ)効果」(同じ塩基が連続している場合に検出される発光が増大し、隣接したウェルにも発光の影響が及んで、偽陽性の読み取り結果を生じる現象)の問題が解決される。
【0060】
図8は、プライマー結合鋳型を個々のビーズに結合させたビーズのアレイを用いて配列決定を行う一般的な反応及び検出スキームを示す。図9は、パイロシークエンシング法による配列決定の反応及び検出スキームを詳細に示す。図には、2つの別々のビーズを示してある。一方は、プライミング部位に7つの「T」ヌクレオチドが連続しており(部分配列は5’−GCTTTTTTT−3’(配列番号:5)。図では3’から5’方向に示す)、他方は、「T」1個の後に各種のヌクレオチドが続いている(5’−GCTTTTTCT−3’(配列番号:6))。二価の陽イオン及び1種類のヌクレオチド(例えばdATP)の存在下では、ポリメラーゼは、次の鋳型ヌクレオチド(例えばT)に対して相補的なヌクレオチド(例えばA)を、次の鋳型ヌクレオチド塩基が、存在するヌクレオチドに対して相補的でなくなるまで付加する(最初のケースである5’−AAAAAAA−3’(配列番号:7)では、7個の「A」が付加される。ヌクレオチドの取り込みは、例えば、一連の酵素反応過程を経るピロリン酸塩生成物の転化にひきつづいて起こるルシフェラーゼ反応で生じる光子を検出することによって検出される(Hymanの米国特許第4971903号)。なお、複数のヌクレオチドの付加を検出する際の精度は、光を測定する装置の効率及び精度ならびにピロリン酸塩を検出対象である光の出力へと変換する一連の酵素反応によって限定される。
【0061】
図10は、ピロリン酸塩の検出を利用した新規な逐次の検出法による配列決定の反応及び検出スキームを示す。図10Aは、4種のヌクレオチドの1種を反応系に加えた場合の個々のビーズの反応を示す。二価の陽イオンの不在下では、ポリメラーゼは、次の鋳型ヌクレオチド(例えば、図示の部分鋳型配列:5’−GCTTTTTCT−3’(配列番号:6)のT)に対して相補的なヌクレオチド(例えばdATP)とともに、安定した閉鎖複合体を形成する。過剰なヌクレオチドを洗浄して除去する。次に、二価の陽イオンを検出用の他の物質とともに導入し、例えば、一連の酵素反応過程を含むルシフェラーゼ反応で生じる光子を検出することによって検出を実施する。なお、閉鎖複合体は相補的なヌクレオチドの場合にのみ形成されるので、各サイクルで、成長中の鎖に付加されるのは、最大でもヌクレオチド1個である。図10Bは、図10Aの別法である。この方法では、末端リン酸標識ヌクレオチドには、各々、別の標識が付されている。こうすると、4種すべてのヌクレオチド塩基を、同じ反応混合物に加えて、1ラウンドのポリメラーゼ反応で全ての鋳型の次の塩基を識別することができる。
【0062】
この方法は、未知の鋳型の配列を調べる際に使用できるが、既知の配列を確認したり、一塩基多型を識別したり、一塩基伸長反応を実施したりする際に使用することもできる。両端配列決定を使用して、単一のウェル/ビーズ/位置で鋳型の両端の配列を調べることもできる。この両端配列決定の説明については、Margulies et al., Nature advance online publication; published online 31 July 2005, doi: 10.1038/nature03959の補足情報を参照されたい。
【0063】
ルシフェラーゼによって生成された光子は、各種の検出装置によって検出することができ、そうした検出装置の例としては、例えば、光電子増倍管、アバランシェフォトダイオード、電荷結合素子(CCD)、ルミノメーターを挙げることができる。閉鎖複合体の色素標識は、走査顕微鏡、蛍光スキャナー、又は蛍光顕微鏡によっても検出できる。
【0064】
これらの方法で得られたデータは、適切なアルゴリズムを備えたコンピュータシステムで処理する。データは、データ生成と同時又は実験プロセスの終了時点で、4種の各ヌクレオチドからなる配列情報に変換する。配列は、複数の核酸鋳型の各々について集めることができる。標識ヌクレオチドを加える順序は、所定のサイクルで行うことができるが、この点は必須ではない。
【実施例】
【0065】
以下の実施例は、本発明の特定の好適な形態を示すものであって、すべての形態を例示するわけではない。請求の範囲及び/又は本発明の範囲は、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0066】
実施例1:「閉鎖複合体」の形成の例証
図5は、蛍光標識ヌクレオチドを使用することによって、この種の安定した閉鎖複合体が実際に形成されていることを示す。この図には、本発明に記載した方法によって、複合体を検出できることが明瞭に示されている。ポリメラーゼ反応(20ul)を、50pmoleの図中に示すプライマー結合鋳型、±20pmoleの正荷電標識ddGTP及び/又はddATP、±3pmoleのFY7DNAポリメラーゼを含む(25mMのTris:Borate、pH=7.5、0.1mM EDTA、10%グリセロール)中で実施した。反応生成物を、50mMのTris:Borate(pH=7.5)へのPAGEの7%溶液中で分離した。複合体の形成は、ポリメラーゼ、プライマー鋳型、正しいヌクレオチドが存在する場合のみ観察された。
【0067】
図6は、50mM以下のEDTA中で「閉鎖複合体」が形成されうること、SDSで分解可能であること、「コールド」 競合物質と競合することを示す。反応(20ul)を、図中に示す50pmoleのプライマー結合鋳型(次の鋳型ヌクレオチドはT)、20pmoleの正荷電標識ddATP(次の正しいヌクレオチド)、±3pmoleのFY7DNAポリメラーゼを含む(25mMのTris:Borate、pH=7.5、図中に示す50又は0.1mMのEDTA、及び10%グリセロール)中で実施した。複合体の形成後、[4mMのddATP]fを図に示すようにして加え、サンプルを95°で30秒間加熱し、冷却してから、図に示すように分離を行った。すなわち、反応生成物を、50mMのTris:Borate(pH=7.5)へのPAGEの7%溶液中で分離した。ddATP/鋳型/FY7DNAポリメラーゼの閉鎖複合体は、50mMのEDTA及び0.1mMのEDTAの存在下で形成可能である。しかし、この閉鎖複合体は、0.1%のSDSの存在下で分解され、非標識の「コールド」ddATPと競合する。
【0068】
図7は、閉鎖複合体のポリメラーゼによる滴定を示す。反応(20ul)を、図中に示す20pmoleのプライマー結合鋳型(次の鋳型ヌクレオチドはT)、10pmoleの正荷電標識ddATP(次の正しいヌクレオチド)、FY7DNAポリメラーゼを含む(25 mMのTris:Borate、pH=7.5、5mMのEDTA、10%グリセロール)で実施した。反応生成物を、50mMのTris:Borate(pH=7.5)へのPAGEの7%溶液中で分離した。FY7DNAポリメラーゼによって次の正しいヌクレオチドが結合すると、安定した「閉鎖複合体」が形成され、この「閉鎖複合体」は、非変性PAGEによって単離できる。FY7DNAポリメラーゼの量が増えるのとほぼ線形に、閉鎖複合体の形成が増大していることが観察された。
【0069】
以上で説明してきた本発明に、発明の精神や範囲から逸脱することなく数多くの変更や改良を加えることができることは明らかだろう。本明細書に記載した具体的な形態は、あくまでも例として挙げたものであり、本発明は、請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、標的アレイの閉鎖複合体段階で休止しているリン酸標識ヌクレオチドを利用した並行配列決定の反応スキームを示す図である。複合体は、洗浄及び走査の全期間を通じて安定である。
【図2】図2は、閉鎖複合体段階で休止しているリン酸標識ヌクレオチドを利用した配列決定の反応及び検出スキームを示す図である。複合体は、洗浄及び走査の全期間を通じて安定である。
【図3】図3は、閉鎖複合体段階で休止しているリン酸標識ヌクレオチドを利用した配列決定の反応及び検出スキームを示す図である。複合体は、洗浄及び走査の全期間を通じて部分的にのみ安定である。得られた配列では、配列中に同じ塩基が複数続いていても(A、AA、AAAなど)区別されない。
【図4】図4は、標的アレイの閉鎖複合体段階で休止しているリン酸標識ヌクレオチドを利用した並行配列決定の反応スキームを示す図である。複合体は、洗浄及び走査の全期間を通じて部分的にのみ安定である。得られた配列では、配列中に同じ塩基が複数続いていても(A、AA、AAAなど)区別されない。
【図5】図5は、蛍光標識ヌクレオチドを使用することによって、安定した閉鎖複合体が形成されていることの証拠を示す。この図には、本発明に記載した方法で、複合体を検出できることが明瞭に示されている。
【図6】図6は、閉鎖複合体が、SDSによってどのように分解されるかを示す。
【図7】図7は、閉鎖複合体のポリメラーゼによる滴定を示す。
【図8】図8は、プライマー結合鋳型を個々のビーズに結合させたものを用いた配列決定の反応及び検出スキームを示す図である。
【図9】図9は、パイロシークエンシング法による配列決定の反応及び検出スキームを示す図である。
【図10A】図10A及び10Bは、ピロリン酸塩の検出を利用した新規な逐次検出法による配列決定の反応及び検出スキームを示す図である。
【図10B】図10A及び10Bは、ピロリン酸塩の検出を利用した新規な逐次検出法による配列決定の反応及び検出スキームを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の核酸鋳型の配列を並行して決定する方法であって、
a)複数のプライマー結合核酸鋳型を支持構造体に固定化する工程であって、各プライマー結合鋳型が鋳型とプライマーとを含んでいて、上記支持構造体の識別可能な離散した位置に局在化している工程、
b)上記支持構造体上で、反応混合物を形成することによって、複数の複合体形成反応を開始する工程であって、上記反応混合物が、上記複数のプライマー結合鋳型と、核酸重合酵素と、複数の閉鎖複合体を形成する1種以上のヌクレオチドとを含んでおり、各複合体が、上記複数のプライマー結合鋳型のいずれかと、上記核酸重合酵素と、重合部位における鋳型と相補的な塩基を含む1種以上のヌクレオチドとを含んでいる、工程、
c)上記反応混合物中の非結合ヌクレオチド及び他の非結合成分を除去する工程、
d)二価陽イオンを加えて重合工程を完了させる工程、
e)識別可能な離散した位置の各々において各閉鎖複合体について、導入核酸その他の反応生成物を検出する工程、
f)二価陽イオンその他の最終生成物を除去する工程、及び
g)工程b)〜f)を繰り返して、複数のプライマー結合鋳型の各追加ヌクレオチドの配列を決定する工程
を含んでなる方法。
【請求項2】
上記支持構造体がビーズを含んでおり、該ビーズが単一のプライマーと鋳型の組合せを担持しており、別のプライマーと鋳型の組合せを担持するビーズとは識別可能に分離されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記鋳型がポリメラーゼコロニー法で上記ビーズに固定化される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
上記ビーズがマルチウェルプレートの個々のウェルに支持され、ビーズが個々のウェルに分離されている、請求項2記載の方法。
【請求項5】
識別可能な離散した位置が96ウェルプレートの個々のウェルであり、96以下の配列決定反応が同時に並行して実施される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
識別可能な離散した位置が384ウェルプレートの個々のウェルであり、384以下の配列決定反応が同時に並行して実施される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
識別可能な離散した位置が1536ウェルプレートの個々のウェルであり、1536以下の配列決定反応が同時に並行して実施される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
各ビーズが、光ファイバースライドのウェル内に導入することによって分離される、請求項2記載の方法。
【請求項9】
前記光ファイバースライドの各ウェルが1個のビーズを保持する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記支持構造体がスライドガラスの第一表面である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記工程(b)の反応混合物がさらにEDTA又は他のキレート剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記核酸重合酵素がDNAポリメラーゼ又は逆転写酵素である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記核酸重合酵素がDNAポリメラーゼI、T4DNAポリメラーゼ、Amplitaq FS、T7DNAポリメラーゼ、Phi29DNAポリメラーゼ、クレノーエキソ、シークエナーゼ、TaqDNAポリメラーゼ、サーモシークエナーゼI、サーモシークエナーゼII、FY7 DNAポリメラーゼ、サーモシークエナーゼE681M、T.hypogea(Thy B)DNAポリメラーゼ、T.neapolitana(Tne)DNAポリメラーゼ、T.subterranea(Tsu)DNAポリメラーゼ、T.barossii(Tba)DNAポリメラーゼ、T.litoralis(Vent)DNAポリメラーゼ、T.kodakaraensis DNAポリメラーゼ、P.furiosisDNAポリメラーゼ、P.GB−D(Deep Vent)DNAポリメラーゼ、ヒトPol beta、Tsp JS1 DNAポリメラーゼ、AMV逆転写酵素、MMLV逆転写酵素、HIV逆転写酵素、これらのポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ欠乏性変異体から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記1種以上のヌクレオチドの末端リン酸が標識されている、請求項1記載の方法。
【請求項15】
検出工程(e)が前記添加工程(d)の前に実施され、各々の異なるヌクレオチドが別々の標識を担持していて、該検出工程が、上記末端リン酸標識ヌクレオチドの別々の標識を各位置で検出することによって実施される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
1種以上のヌクレオチドの各々が4種類のヌクレオチドであり、各々別々の標識を担持していて、4種類の天然塩基のいずれかと相補的である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記末端リン酸標識ヌクレオチドの標識が、蛍光色素、着色色素、又は化学発光原子団である、請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記蛍光色素が、キサンテン色素、シアニン色素、メロシアニン色素、アゾ色素、ポルフィリン色素、クマリン色素、Bodipy色素及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記着色色素が、アゾ色素、メロシアニン、シアニン色素、キサンテン色素、ポルフィリン色素、クマリン色素、Bodipy色素及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記標識が、重合反応の無機ポリリン酸塩副生物上に存在する、酵素活性化可能な標識であり、上記検出工程が、ポリリン酸塩副生物をホスファターゼで開裂して検出可能な標識を生成する工程をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項21】
前記検出工程(e)が、上記ヌクレオチドから放出された無機ポリリン酸塩を測定して、ヌクレオチドの塩基の種類を推定することによって実施される、請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記検出工程が、光子の測定によって実施され、ここで、上記ポリリン酸塩がまずATPスルフリラーゼによってATPに転化され、その後、ルシフェラーゼ反応によって光子が生成される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記二価陽イオンがマグネシウム(Mg2+)である、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記二価陽イオンがマンガン(Mn2+)である、請求項1記載の方法。
【請求項25】
工程(a)において、プライマー結合核酸鋳型を形成してから支持構造体に固定化する、請求項1記載の方法。
【請求項26】
工程(a)において、まず核酸鋳型を支持構造体に固定化してから、上記プライマーとプライマー結合核酸鋳型を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項27】
工程(a)において、まずプライマーを支持構造体に固定化してから、上記核酸鋳型とプライマー結合核酸鋳型を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項28】
複数の核酸鋳型の配列を並行して決定する方法であって、
a)複数のプライマー結合核酸鋳型分子の各々を支持構造体に固定化する工程であって、各プライマー結合分子鋳型が鋳型とプライマーとを含んでいて、上記支持構造体の識別可能な離散した位置に局在化している工程、
b)上記支持構造体上で、反応混合物を形成することによって、複数の複合体形成反応を開始する工程であって、上記反応混合物が、上記複数のプライマー結合鋳型と、核酸重合酵素と、複数の閉鎖複合体を形成する1種以上のヌクレオチドとを含んでおり、各複合体が、上記複数のプライマー結合鋳型のいずれかと、上記核酸重合酵素と、重合部位における鋳型と相補的な塩基を含む1種以上のヌクレオチドとを含んでいる、工程、
c)上記反応混合物中の非結合ヌクレオチド及び他の非結合成分を除去する工程、
d)二価陽イオンを加えて重合工程を完了させる工程、
e)識別可能な離散した位置の各々において各閉鎖複合体について、導入核酸その他の反応生成物を検出する工程、
f)二価陽イオンその他の最終生成物を除去する工程、及び
g)工程b)〜f)を繰り返して、複数のプライマー結合鋳型の各追加ヌクレオチドの配列を決定する工程
を含んでなる方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2009−512452(P2009−512452A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536859(P2008−536859)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/041232
【国際公開番号】WO2007/048033
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(598041463)ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・コーポレイション (43)
【住所又は居所原語表記】800 Centennial Avenue, P.O.Box 1327,Piscataway,New Jersey 08855−1327,United States of America
【Fターム(参考)】