説明

迅速離脱塞栓コイル

【課題】生体内留置部材の離脱性を改善した医療用ワイヤを提供する。
【解決手段】導電性ワイヤ1bと、熱可溶性であって、この導電性ワイヤの先端部に接続され当該導電性ワイヤ長手方向を柱軸方向とする柱形状の接続部材1cと、この接続部材を介して前記導電ワイヤに接続された生体内留置部材1aとからなり、前記接続部材が加熱されることで前記生体内留置部材を離脱させる医療用ワイヤにおいて、さらに、前記接続部材に並行し、かつ、端部が前記導電性ワイヤの先端部付近または前記生体内留置部材の基端部付近に当接可能である実質的に剛体のプラグ1dを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内留置部材を生体内の所定の場所に留置するための医療用ワイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、動脈瘤などに対する侵襲性の少ない治療法として、生体内留置部材を動脈瘤内に留置する血管塞栓術が知られている。この方法では、先端部に接続部材を介して生体内留置部材が接続されたデリバリー用のワイヤを、生体に配置されたカテーテルに通し、X線造影装置による透視下でワイヤを操作することにより生体内留置部材を当該生体内の所望の位置に誘導して生体内留置部材を目的の個所に到達させ、その状態で生体内留置部材を離脱させることが行われる。
【0003】
生体内留置部材を離脱する方法としては機械式の手段および電気式の手段が知られている。例えば特許文献1に開示される電気式の手段は、導電性ワイヤと生体に接続する対極との間に外部から電力を供給し、生体内留置部材とデリバリー用ワイヤの間にある接続部材を分解・溶断する。また、特許文献2には、ポリビニールアルコールの成形体からなる水膨潤性の熱溶解可能な接続部材を、導電性ワイヤと生体内留置部材との接続部材として用いた血管閉塞用デバイスが示されている。この医療用デバイスによれば、導電性ワイヤと対極との間に高周波電流が供給されることにより、導電性ワイヤ先端部が加熱用電極とし機能して接続部材が瞬時に熱溶解し、生体内留置部材が導電性ワイヤから分離されるため、手術の所要時間が短くて患者や医師に対する負担が少ない利点が得られる、とされている。
【特許文献1】特表平8−501015号公報
【特許文献2】特開平7−265431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記した従来の構成によると、ポリビニールアルコールからなる熱可溶性部材は予め水等により膨潤させて使用されるが、一般的にポリビニールアルコールなどの高分子ゲルからロッド状の接続部材を作製するには、当該材料の溶液を凝固用液体中に押出して凝固させながら紡糸した後、延伸処理により所望の形状に成型するため、膨潤の過程において、接続部材内に水分子が吸収されると作製時に蓄積された内部応力の緩和が生じ、径方向に拡大すると共に軸方向(長さ方向)に収縮するよう形状が変化する。そして、加熱溶解時には温度上昇に伴って水分子の運動エネルギーが上昇し、接続部材内部への吸収速度が増加するため、さらに軸方向に急激に収縮する。そして、この加熱溶解時の急激な収縮が起こると、熱可溶性部材が軸方向に収縮する作用に伴って、熱可溶性部材が電極部に付着することがある。電極部に溶解した前記熱可溶性接続部材が付着すると、電極と対極との間のインピーダンスが上昇し、以降の電流が阻害されるため電極部の温度が低下する。ゆえに前記熱可溶性接続部材の溶断不良が起こり、複数回電流を供給しなければならず、結局手術に時間を要するといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑みて、本発明の一つの特徴は、
(1)導電性ワイヤと、熱可溶性であって、この導電性ワイヤの先端部に接続され当該導電性ワイヤ長手方向を柱軸方向とする柱形状の接続部材と、この接続部材を介して前記導電ワイヤに接続された生体内留置部材とからなり、前記接続部材が加熱されることで前記生体内留置部材を離脱させる医療用ワイヤにおいて、さらに、前記接続部材に並行し、かつ、端部が前記導電性ワイヤの先端部付近または前記生体内留置部材の基端部付近に当接可能である実質的に剛体のプラグを備えること、を特徴とする。この特徴により、離脱性を改善した医療用ワイヤが提供される。
(2)一つの実施形態では、前記プラグが、前記加熱によって前記接続部材が柱軸方向に収縮した際に当該プラグの両端部が前記導電性ワイヤの先端部付近および前記生体内留置部材の基端部付近の両方に接触することにより、前記加熱中の前記導電性ワイヤ先端部と前記生体内留置部材の基端部との間の距離を拘束する。
(3)一つの実施形態では、前記プラグが、当該プラグの一端が前記生体内留置部材の基端部に固着され、かつ、前記加熱によって前記接続部材が柱軸方向に収縮する際に当該プラグの他端が前記導電性ワイヤの先端部付近に当接する長さを有する。
(4)一つの実施形態では、前記プラグが、当該プラグの一端が前記導電性ワイヤの先端部に固着され、かつ、前記加熱によって前記接続部材が柱軸方向に収縮する際に当該プラグの他端が前記生体内留置部材の基端部付近に当接する長さを有する。
(5)一つの実施形態では、前記プラグは、内孔部を含む中空構造を有し、その内孔部に前記接続部材を挿入できる構造である。
(6)一つの実施形態では、前記プラグは、前記内孔部に挿入した接続部材の表面の一部が露出する開口部を備える構造である。
(7)一つの実施形態では、前記接続部材が、柱軸方向に内孔部を備えており、前記プラグが前記内孔部に挿入されている。
(8)一つの実施形態では、前記プラグの長手方向長さが、前記接続部材における前記導電性ワイヤの先端部から前記生体内留置部材の基端部までの長さの30%以上200%以下である。
(9)一つの実施形態では、前記接続部材が水膨潤性材料からなる。
(10)一つの実施形態では、前記接続部材がポリビニルアルコール系樹脂からなる。
(11)一つの実施形態では、前記プラグは、接着剤を硬化させたものからなる。
(12)一つの実施形態では、前記プラグは、熱可塑性または熱硬化性樹脂からなる。
【0006】
本発明のその他の目的および特徴は、以下の実施形態の記載及び図面によって明らかにされる。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、導電性ワイヤと、この導電性ワイヤの先端部に熱可溶性の接続部材を介して接続された生体内留置部材からなり、前記接続部材が加熱されることで前記生体内留置部材を離脱させる医療用ワイヤにおいて、実質的に剛体のプラグを前記生体内留置部材基端部に有し、前記加熱の間、前記導電性ワイヤ先端部との距離を拘束することで確実に離脱が行えることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態として説明する医療用デバイスの各部材の形状、材料、大きさ、長さ等は例示として説明するものであって、適宜変更可能である。
【0009】
1.医療用ワイヤの一例
本発明に係わる医療用ワイヤは、図1に示すように、生体に悪影響を与えない金属からなる生体内留置部材1aと、該生体内留置部材を目的の部位にまで送達させることができる導電性ワイヤ1bと、該生体内留置部材と該導電性ワイヤを接続する熱可溶性接続部材1cおよび実質的に剛体のプラグ1dより構成される。
【0010】
1−1.生体内留置部材
生体内留置部材1aの形状としては、螺旋状、S字状、半径が変化する螺旋状、さらに一次形状と二次形状が付与された形状等各種形状が可能であるが、特に一次形状が円形の螺旋状で、更に円形の二次螺旋形状が付与された二次コイル形状が好ましい。
【0011】
コイルを形成する線材の材質としては、プラチナ(白金)、タングステン、金、タンタル、イリジウムおよびそれらから任意に選択された合金を用いることが可能であるが、特に、白金合金、さらには、プラチナとタングステンからなる合金が好ましい。また線材の断面形状は、円形に限定されるものではなく、楕円形や四角形、三角形などの様々な形状も適用できる。また、一次コイルはさらに二次コイル形状や三次元的な形状を持ち、先端側は、生体を傷つけないように丸く加工してあることが好適である。
【0012】
1−2.ワイヤ
導電性ワイヤ1bの形状としては、テーパー状のステンレス合金製ワイヤの先端部にステンレスおよび白金合金コイルを被せて固定した構造であり、先端部はコイル形状による内孔を有する。先端部と基端部以外はフッ素樹脂1eにより電気的に絶縁されており、絶縁されていない導電性ワイヤの基端部1fは高周波電源装置と接続される。一方、導電性ワイヤの先端電極部1gは対極との間に流れる電流により発熱し、接続部材を熱溶解する構造となっている。先端部の外径は0.23mm以上で内径は0.10mm以上が好適である。
【0013】
1−3.接続部材
また、前記接続部材1cの基端側は前記導電性ワイヤ先端部の内孔に挿入され接着固定される。接続部材1cは、導電性ワイヤ長手方向を柱軸方向とする柱形状を有する。接続部材の柱状形状は、丸、多角形等の形状を含む。そして、前記接続部材1cの先端側は前記実質的に剛体のプラグ1dを通して前記生体内留置部材の内孔部に挿入され接着固定される。この接続部材1cの外径は0.09mm以上、全長は1mm以上であり、前記導電性ワイヤ先端部の内孔および前記生体内留置部材の内孔に挿入され得る。さらに前記接続部材1cは熱可溶性のポリビニールアルコール成形体からなり電流による加熱により熱溶解するものが好ましい。
【0014】
1−4.プラグ
一方、前記実質的に剛体のプラグ1dは、全長に渡って内孔を有する中空構造であり、外径は0.23m以上、内径は0.11m以上、全長は0.1mm以上であり、内部に前記接続部材1cを挿通できる構造である。実施形態では、全長にわたって内孔を有する形状を例示したが、これに限られず接続部材に隣接する側のみに内孔を有する形状であってもよい。
【0015】
「実質的に剛体」とは、外力、内力及び/または熱によってほとんど変形しない性質をいい、そのような性質を備える部材として、例えば、金属材料、プラスチック等の非金属材料、FRP等の複合材料が含まれる。
【0016】
プラグの材質は、それ自体が容易に変形しないものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、シアノアクリレート、エポキシ、ウレタンなどの接着剤を硬化させたものを挙げることができる。さらに、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの熱可塑性樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、シリコーンなどの熱硬化樹脂を成形することにより得られるものを用いることもできる。それらの材質を主成分としてその他の材料を含むもの、またはそれらの材質の組合わせを採用してもよい。前記プラグの形状としては図2に示すようなテーパー形状、突型形状、ドーム形状等様々な形状が採用できる。
【0017】
図2−(a1)はテーパー形状の例を示したプラグ付近の正面図である。プラグは、プラグの先端部(図中左側)に20〜60°の角度Aを設けたものであり、その平面図は図2−a2)に示されるように露出長Daを有していることが好ましい。露出長Daの存在により、後述する接続部材の膨潤を短時間で進行させることができる。角度は、図2−(a1)の最先端部t1を含む角度である。さらに最先端部t1は血管へのダメージを軽減するために面取りされていることが好ましい。
【0018】
図2−b1)は突型形状の例を示したプラグ付近の正面図である。プラグの先端部は0.20〜0.25mmの長さl(エル)、0.05〜0.08mmの高さhの突部分を少なくとも2つ以上設けたものが好ましく、そしてその平面図は図2−b2)に示されるように露出長Dbを有していることが好ましい。さらに先端部t2は血管へのダメージを軽減するために面取りされていることが好ましい。
【0019】
図2−c1)はドーム形状の例を示した正面図である。プラグの先端部t3はR0.12mm以上の半円形状であり、そしてその平面図は図2−c2)に示されるように露出長Dcを有していることが好ましい。
【0020】
各形状における露出長は、接続部材の膨潤が行える長さが必要であり、好ましくは0.1mm以上である。
【0021】
本発明の実施形態では図3−aに示すように実質的に剛体のプラグ1dを生体内留置部材1aの基端部に有し、電流による加熱の間、導電性ワイヤ先端部との距離を拘束することで先端電極部1gに付着すること防止し、確実に離脱が行える。
【0022】
より具体的には、加熱によって接続部材1cが柱軸方向に収縮し始めた際に、プラグ1dが先端電極部1g(「導電性ワイヤの先端部付近」に対応)に当接し(または接触、または突き当たり)、導電性ワイヤ先端部と生体内留置部材1aの基端部との間の距離が拘束される。言い換えると、その当接時以降は、導電性ワイヤ先端部と生体内留置部材1aの基端部との間の距離が小さくならない。すなわち、プラグは、接続部材の軸方向収縮を抑制するいわゆる突っ張り部材(またはつっかえ部材、またはブッリジ部材)として機能する。その結果、溶解した接続部材1cが電極部1gに付着することが大幅に抑制される。
【0023】
一方、従来形態では図3−bに示すように溶解した前記熱可溶性接続部材が先端電極部1gを覆うことで電流が阻害され、結果電極部の温度が低下する。ゆえに前記熱可溶性接続部材1cの溶断不良が起こりやすい。
【0024】
1−5.プラグのバリエーション
図6は接続部材中に配置したプラグの形状を示したものである。図に示すように接続部材6aは柱軸方向に内孔部6bを備えており、生体内留置部材1aの基端部側にプラグ6cが接着固定されている。そして対向する導電性ワイヤ1bの先端部側にプラグ6dが接着固定されており、加熱時に接続部材の軸方向収縮を抑制する。距離6eは加熱時にプラグが互いに接触し得る必要があるが、好適には0〜0.2mmである。
【0025】
プラグの長さは、図2に示す形状の場合、プラグの剛性により血管へ損傷を与えない長さであれば良く、好適には導電性ワイヤ先端部から生体内留置部材基端部までの長さの30〜100%である。図6に示す形状の場合には導電性ワイヤや生体内留置部材の柔軟性を損なうことのない長さであれば良く、好適には導電性ワイヤ先端部から生体内留置部材基端部までの長さの50〜200%である。
【0026】
2.使用方法
動脈瘤治療を例に上記医療用ワイヤの使用方法について説明する。図4において、導電性ワイヤ1bの基端部1fに接続された高周波電源4aからの電流は導電性ワイヤの先端電極部1gから生体に接続された対極4bとの間に流れ、先端電極部が加熱される。さらに先端電極部には熱可溶性のポリビニールアルコールからなる接続部材1cを介してコイル状の生体内留置部材1aが接続されている。導電性ワイヤ1bは、カテーテル4c内に挿通された状態で生体内の所定部位から血管内に導入され、X線透視状態で視認しながら生体内留置部材を動脈瘤に導くようになっており、このとき、フッ素樹脂により電気的に絶縁された把持部4dを握って操作するようになっている。
【0027】
そして、動脈瘤内の適切な位置に生体内留置部材が挿入されたことを確認後、高周波電源より高周波電流を供給し、生体内留置部材を導電性ワイヤより切り離す。
【実施例】
【0028】
図2に示される形態の導電性ワイヤおよびカテーテルからなる医療用デバイスを用い、図4に示される構成の高周波電源装置を用いて、生体における電解質(人体における血液)と同一の導電率およびタンパク質成分を有する水溶液中において、高周波電源装置より高周波電流を供給し、接続部材の溶解を行った。
【0029】
(実験方法)
具体的には、水槽中に前記水溶液を満たし、35±2℃に温度調節した後、図2に示される医療用デバイスを配置し接続部材1cの溶解試験を行った。外径0.25mm×内径0.12mmの先端部を有する導電性ワイヤに外径0.11mm、長さ3mmのポリビニールアルコールからなる接続部材を介してプラチナ合金からなる外径0.25mmで長さ10mmの生体内留置部材を接続したサンプルを使用した。接続部材の露出長、すなわち周囲の水溶液と接触する部分の長さは、図2に示した実施形態の総露出長、すなわちDa(またはDb、Dc)と、導電性ワイヤ1bおよび前記プラグ1dによって覆われていない長さPの和に対応する。その長さは0.3mmとした。この接続部材の露出長は、後述の溶解試験による比較のために、図5に示す後述の従来形態(比較例)の医療用ワイヤにおける接続部材の露出長5aと等しくした(D+P=5a)。
【0030】
実施形態の形状はテーパー形状では、先端部角度Aは30度とし露出長Daを0.2mmとした。突型形状では突部の長さl(エル)を0.2mm、高さtを0.05mmとし露出長Dbを0.2mmとした。ドーム形状では先端部をR0.125mmとし露出長Dcを0.2mmとした。
【0031】
接続部材が水溶液に接触してから1分後、すなわち膨潤時間1分にて実施形態の高周波電源装置より高周波電流を供給し、5秒間の出力において接続部材が溶解し、生体内留置部材の離脱が行えるかを、従来の構造と比較実験を行った。
【0032】
(溶解試験)
これらを用いて上記溶解試験を行った結果を表1に示す。
表1:溶解試験結果
【0033】
【表1】


従来形態および実施形態で各5サンプルずつ溶解試験を行ったが、従来形態場合、膨潤時間1分という条件下において平均離脱時間は12.1秒であった。一方、実施形態ではテーパー形状、突型形状、ドーム形状の平均離脱時間はそれぞれ、3.2秒、0.4秒、1.1秒であり有意な差が確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の実施形態としての医療用ワイヤの全体図である。
【図2】図2は、実施形態の医療用ワイヤの詳細図である。
【図3】図3は、加熱時の接続部材の状態を示す概略図である。
【図4】図4は、医療用ワイヤの使用方法を示す概略図である。
【図5】図5は、従来形態の医療用ワイヤの接続部材付近の詳細図である。
【図6】図6は、接続部材中に配置したプラグ形状の詳細図である。
【符号の説明】
【0035】
1a 生体内留置部材
1b 導電性ワイヤ
1c 熱可溶性接続部材
1d 実質的に剛体のプラグ
1e フッ素樹脂コーティング
1f 導電性ワイヤ基端部
1g 先端電極部
4a 高周波電源装置
4b 対極
4c カテーテル
4d 把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ワイヤと、熱可溶性であって、この導電性ワイヤの先端部に接続され当該導電性ワイヤ長手方向を柱軸方向とする柱形状の接続部材と、この接続部材を介して前記導電ワイヤに接続された生体内留置部材とからなり、前記接続部材が加熱されることで前記生体内留置部材を離脱させる医療用ワイヤにおいて、さらに、
前記接続部材に並行し、かつ、端部が前記導電性ワイヤの先端部付近または前記生体内留置部材の基端部付近に当接可能である実質的に剛体のプラグを備えること、を特徴とする医療用ワイヤ。
【請求項2】
前記プラグが、前記加熱によって前記接続部材が柱軸方向に収縮した際に当該プラグの両端部が前記導電性ワイヤの先端部付近および前記生体内留置部材の基端部付近の両方に接触することにより、前記加熱中の前記導電性ワイヤ先端部と前記生体内留置部材の基端部との間の距離を拘束すること、
を特徴とする請求項1の医療用ワイヤ。
【請求項3】
前記プラグが、当該プラグの一端が前記生体内留置部材の基端部に固着され、かつ、前記加熱によって前記接続部材が柱軸方向に収縮する際に当該プラグの他端が前記導電性ワイヤの先端部付近に当接する長さを有すること、
を特徴とする請求項1または2の医療用ワイヤ。
【請求項4】
前記プラグが、当該プラグの一端が前記導電性ワイヤの先端部に固着され、かつ、前記加熱によって前記接続部材が柱軸方向に収縮する際に当該プラグの他端が前記生体内留置部材の基端部付近に当接する長さを有すること、
を特徴とする請求項1または2の医療用ワイヤ。
【請求項5】
前記プラグは、内孔部を含む中空構造を有し、その内孔部に前記接続部材を挿入できる構造である請求項1〜4のいずれかに記載の医療用ワイヤ。
【請求項6】
前記プラグは、前記内孔部に挿入した接続部材の表面の一部が露出する開口部を備える構造である請求項5記載の医療用ワイヤ。
【請求項7】
前記接続部材が柱軸方向に内孔部を備えており、前記プラグが前記内孔部に挿入されている請求項1〜4のいずれかの医療用ワイヤ。
【請求項8】
前記プラグの長手方向長さが、前記接続部材における前記導電性ワイヤの先端部から前記生体内留置部材の基端部までの長さの30%以上200%以下であること、を特徴とする請求項1〜7のいずれか医療用ワイヤ。
【請求項9】
前記接続部材が水膨潤性材料からなる、請求項1〜8のいずれかに記載の医療用ワイヤ。
【請求項10】
前記接続部材がポリビニルアルコール系樹脂からなる、請求項1〜9のいずれかに記載の医療用ワイヤ。
【請求項11】
前記プラグは、接着剤を硬化させたものからなる請求項1〜10のいずれかに記載の医療用ワイヤ。
【請求項12】
前記プラグは、熱可塑性または熱硬化性樹脂からなる請求項1〜10のいずれかに記載の医療用ワイヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−212273(P2008−212273A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51292(P2007−51292)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】