説明

近接センサ

【課題】発振振幅の変動が大きい場合であっても、被検出物Wの安定検出状態を検知することが可能な近接センサ1を提供する。
【解決手段】被検出物Wに対する距離に応じて発振回路10における発振振幅が変化し、この発振振幅を所定の検出用閾値Dthと比較することにより、被検出物Wの有無を検出する。また、発振回路10における所定の発振振幅を維持するための帰還電流を供給する帰還回路が備えられており、帰還回路から供給される帰還電流の大きさに基づいて被検出物Wの安定検出状態を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、近接センサとしては、コイルを含んで構成される発振回路の発振振幅の変化に基づいて、被検出物を検出するものが知られている。
この種のものは、例えば、近接センサを被検出物に近づけるにしたがって、発振振幅が減少するようになっており、発振振幅が予め設定されている検出用閾値以下となった場合に、被検出物の検出を判断するようになっている。
【特許文献1】特公平5−48646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ユーザによって、被検出物の有無の検出だけでなく、被検出物の検出が安定した精度で行われているかの安定検知を行いたい場合がある。
かかる安定検知としては、例えば、図7(a)に示すように、検出用閾値よりもやや小さい値を安定検出用閾値とし、発振振幅が安定検出用閾値以下になった場合に、被検出物の検出が安定した精度で行われていることを判断する方法が考えられる。
【0004】
しかしながら、かかる方法により安定検知を行う場合、発振振幅の変化が緩やかである場合(いわゆる軟発振方式)には安定検知が可能であるが、図7(b)に示すように、検出用閾値の近くで発振振幅の変動が大きい場合(いわゆる硬発振方式)には、発振振幅が検出用閾値以下となってからすぐに安定検出用閾値以下となってしまうため、精度の高い安定検知を行うことが困難である。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、発振振幅の変動が大きい場合であっても、被検出物の安定検出状態を検知することが可能な近接センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明の近接センサは、被検出物に対する距離に応じて発振振幅が硬発振方式で変化する発振回路と、
前記発振回路の発振振幅に基づいて前記被検出物を検出する検出手段と、
前記発振回路における所定の発振振幅を維持するための帰還電流を供給する帰還回路と、
前記帰還電流の電流量が基準レベル以上のときに前記検出手段による前記被検出物の安定検出状態を検知する安定検知手段と、
前記安定検知手段により前記安定検出状態が検知されたことを報知する報知手段と、を備える構成としたところに特徴を有する。
なお、硬発振方式とは、発振振幅の変動が軟発振方式よりも大きい方式であり、一般に、検出手段により被検出物の検出が行われる距離の近傍で発振振幅が大きく変化する方式である。軟発振方式とは、発振振幅が硬発振方式と比較して緩やかに変化する方式である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記検出手段は、所定の検出用閾値と前記発振振幅との比較結果に基づき被検出物の検出を行うものであり、
前記帰還回路は、
前記検出用閾値よりも低い持続用閾値と前記発振振幅との比較結果に基づくパルス信号を出力する比較回路と、
前記比較回路から出力されるパルス信号に応じて前記帰還電流の供給が行われる帰還電流供給回路と、を備え、
前記安定検知手段は、前記比較回路から出力されるパルス信号のデューティが所定値以上のときに前記帰還電流の電流量が基準レベル以上であるとして前記被検出物の安定検出状態を検知するところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、視認可能な表示手段を備え、
前記報知手段は、前記表示手段により前記安定検出状態が検知されたことを報知するところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記安定検知手段による安定検出状態の検知を行うための前記基準レベルを設定変更可能な設定手段を備えるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
<請求項1の発明>
硬発振方式が用いられた発振回路を用いる構成としたことにより、被検出物に対する発振振幅の変化が比較的緩やかな軟発振方式が用いられた発振回路を用いる構成と比較して、検出手段による検出の際のノイズの影響を低減させることができる。
しかし、このような構成(硬発振方式)とした場合には、検出手段により被検出物の検出が行われる位置よりも被検出物側の位置の発振振幅に基づいて被検出物の安定検出状態を検知することは、発振振幅の変化が大きいため困難である。
一方、本構成によれば、所定の発振振幅を維持するための帰還電流の電流量が基準レベル以上のときに安定検知手段により安定検出状態が検知される。
したがって、安定検出状態についても検出手段による検出と同様に発振振幅に基づいて検知する構成と異なり、硬発振方式が用いられた発振回路のように発振振幅の変動が大きいために、発振振幅に基づいて安定検知を行うことが困難な場合であっても、被検出物の安定検出状態を検知することが可能になる。
【0010】
<請求項2の発明>
被検出物に対する距離に応じて発振状態が停止する構成とすると、発振時の立ち上がりの遅延時間が生じるおそれがあり望ましくない。一方、本構成によれば、発振状態が停止する距離にあるときでも、帰還電流の供給により発振状態を持続すれば、発振時の立ち上がりの遅延時間を低減させることが可能になる。
また、安定検知手段は、比較回路から出力されるパルス信号のデューティが所定値以上のときに前記帰還電流の電流量が基準レベル以上であるとして被検出物の安定検出状態を検知する。したがって、発振状態の持続のために用いられる帰還回路の構成を安定検出状態の検知に利用することができ、簡易な構成で安定検出状態の検知を行うことが可能になる。
【0011】
<請求項3の発明>
本構成によれば、被検出物が安定して検出されているかどうかをユーザが視認することが可能になる。
【0012】
<請求項4の発明>
本構成によれば、検出環境等に応じて、安定検知手段による検知を行うための適切な基準レベルに設定変更することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る近接センサの一実施形態を図1ないし図6を参照して説明する。本実施形態の近接センサは、発振回路10の発振振幅を、所定の大きさで維持できるように帰還電流が供給されるように構成されているものである。
1.近接センサの電気的構成
本実施形態の近接センサ1は、図1に示すように、被検出物Wの有無を検出するための構成として、硬発振方式(図3参照)が用いられている発振回路10と、発振回路10の発振振幅を積分する積分回路20と、積分回路20にて積分された積分信号のレベルを所定の検出用閾値Dthと比較し、当該比較結果を出力する検出用比較回路30(本発明の「検出手段」に相当)と、を備える。また、発振回路10に発振振幅を維持するための帰還電流を供給するための構成として、積分回路20にて積分された信号レベルを所定の持続用閾値Cthと比較する持続用比較回路40(本発明の「比較回路」に相当)と、持続用比較回路40からの比較結果に基づき発振振幅を維持する(持続させる)ための持続用帰還電流Ic(本発明の「帰還電流」に相当)を制御する帰還制御回路60と、を備える。さらに、持続用比較回路40からの比較結果の信号が入力され、被検出物Wの検出が安定して行われているかを検知するCPU50(本発明の「安定検知手段」に相当)と、検出結果が視認可能に表示される表示部70(本発明の「表示手段,報知手段」に相当)と、検出結果を外部機器(図示しない)に出力する出力回路80と、CPU50による安定検出状態の検知を行うための基準レベルをユーザが設定変更可能な操作部51(本発明の「設定手段」に相当)と、を備えて構成されている。
【0014】
発振回路10は、図2に示すように、検出コイルLと、当該 検出コイルLと並列に接続されたコンデンサCとからなるLC共振回路11を有する。このLC共振回路11に、定電流源2より電源3を介して電流が供給されるとともに、電源3がNPN型トランジスタ4のベースに接続されることにより、NPN型トランジスタ4にて電流増幅される。
【0015】
NPN型トランジスタ4のエミッタは、コレクタ電流を定める可変抵抗5を介して接地され、NPN型トランジスタ4のコレクタは、電流ミラー回路CM1に接続されている。
【0016】
この電流ミラー回路CM1は、PNP型トランジスタ21,22,23によって形成されており、NPN型トランジスタ4のコレクタが、PNP型トランジスタ21のベース・コレクタ共通接続端に接続されている。
【0017】
そして、LC共振回路11より得られる電流値がNPN型トランジスタ4にて電流増幅され、電流ミラー回路CM1によってそのコレクタ電流と同一の電流値がトランジスタ22を通してLC共振回路11に電流帰還される。このようにして電流正帰還がかけられるため、LC共振回路11の共振周波数によって発振が行われる。
【0018】
また、本実施形態では、近接センサに対する被検出物Wの距離が近づいた場合(発振振幅が急激に低下した場合)であっても所定の範囲(振幅持続範囲)内にあるときには、所定の大きさ(持続用閾値Cth)の発振振幅が維持されるように、帰還電流(持続用帰還電流Ic)を供給する帰還電流供給回路25(図2の二点鎖線の部分)が備えられている。
【0019】
帰還電流供給回路25は、トランジスタ13〜15,23を含んで構成されている。
具体的には、PNP型トランジスタ23のコレクタは、NPN型トランジスタ13のコレクタ・ベース共通接続端に接続されている。NPN型トランジスタ13は、NPN型トランジスタ14と共に、電流ミラー回路CM2を構成しており、他方のNPN型トランジスタ14のコレクタは、マルチコレクタトランジスタ15のベース・コレクタ共通接続端に接続されている。マルチコレクタトランジスタ15の他のコレクタ端子はLC共振回路11に直列接続されている。NPN型トランジスタ13のベース及びコレクタは、スイッチング用トランジスタ16のコレクタ端子に接続される。スイッチング用トランジスタ16は、帰還制御回路60からのパルス信号により、オンオフが切り替えられるものであって、この切り替えによりカレントミラー回路CM2の動作が制御され、LC共振回路11に供給される持続用帰還電流Icが制御されるようになっている。
【0020】
積分回路20は、発振振幅の信号を積分することにより、図3に示すように、被検出物Wまでの距離に応じたレベルの積分信号を出力する。
検出用比較回路30は、積分回路20から出力される積分信号のレベルを予め設定されている所定の検出用閾値Dthと比較し、積分信号のレベルが検出用閾値Dth以下であれば、被検出物Wが検出されたことを示すハイレベル、積分信号のレベルが検出用閾値Dthよりも大きければ、被検出物Wが検出されなかったことを示すローレベルとなるパルス信号(デジタル信号)を表示部70及び出力回路80に出力する。
【0021】
持続用比較回路40は、図5に示すように、積分回路20から出力される積分信号のレベルを予め設定されている所定の持続用閾値Cthと比較し、積分信号のレベルが持続用閾値Cth以下であれば、持続用帰還電流Icを増加させるためのハイレベル、積分信号のレベルが検出用閾値Dthよりも大きければ、持続用帰還電流Icの増加を一時的に停止させるためのローレベルのパルス信号(デジタル信号)をCPU50及び帰還制御回路60に出力する。これにより、検出位置Xよりも被検出物W側における所定範囲(振幅持続範囲)内では、発振振幅が0にならず、所定の発振振幅が持続されるようになっている。
【0022】
ここで、LC共振回路11における発振振幅は、被検出物Wに生じるうず電流に基づく損失によって減少するものであるため、一定の発振振幅を維持するためには、被検出物への距離が近くなるほど、発振振幅が減少するため、持続用比較回路40から出力されるパルス信号がハイレベルとなる時間が長くなる。
したがって、LC共振回路11に供給される持続用帰還電流Icは、図3に示すように、振幅持続範囲(X−C間)において被検出物への距離が近くなるほど増加するようになっている。
【0023】
CPU50は、持続用比較回路40から出力されるパルス信号のデューティ(ハイレベル時間とローレベル時間との比)が所定値以上であるかにより、被検出物Wの検出が安定した状態で行われているかどうかを検知するようになっている。これにより、持続用帰還電流Icの電流量が基準レベル以上のときに安定検出状態が検知されるようになっている。なお、ここでいう「持続用帰還電流Icの電流量」とは、パルス信号のハイレベルのときの瞬間的な電流量ではなく、パルス信号のハイレベル及びローレベルの繰り返しによって定められる単位時間(所定時間)当たりの電流量(電流量の平均値)のことである。
【0024】
具体的には、持続用比較回路40から出力されるパルス信号から、デューティ(ハイレベル時間とローレベル時間の比)を求め、このデューティが予め設定されている所定値M(例えば図4のように安定検出位置Yが定められている場合には、かかる位置における20%のデューティが所定値M)以上になったときに続用帰還電流Icの電流量が基準レベル以上であるとして被検出物Wの検出が安定した状態で行われている(安定検知状態にある)と判断し、かかる情報を表示部70及び出力回路80に出力する。なお、所定値Mは、操作部(図示しない)にて所望のデューティ(0〜100%)を指定することにより設定変更可能に構成されており、これにより、図4の振幅持続範囲内であれば、所望の位置を安定検出位置とすることができる。
【0025】
表示部70は、検出用比較回路30及びCPU50(安定検知手段)からの出力を受け、かかる検出(安定検知)結果の情報をユーザが認識できるように表示する。
【0026】
出力回路80は、検出用比較回路30及びCPU50(安定検知手段)における検出結果をPC等の外部機器に出力する。
【0027】
帰還制御回路60は、持続用比較回路40からのパルス信号に基づき、所定のレベル(持続用閾値Cth)で発振振幅を維持できるパルス幅に変換して出力する。そして、かかる帰還制御回路60から出力されるパルス信号は、図2に示すスイッチング用トランジスタ16のベースに与えられる。これにより、近接センサ1が所定距離以上被検出物Wに近づいた場合であっても、発振振幅が0になることはなく、所定レベルの大きさの発振振幅が保たれる。
【0028】
2.近接センサによる検出時の動作について説明する。
発振回路10において発振が持続されているとき、検出コイルLに金属製の被検出物Wが接近すると、そのコンダクタンスが変化するために発振振幅 が小さくなる。そして、検出位置Xの近傍まで近づくと、硬発振方式を用いる発振回路10の特性により発振振幅が急激に低下することで積分回路20の積分信号レベルも急激に低下する。
【0029】
このとき、その積分信号レベルが検出用比較回路30にて検出用閾値Dthと比較され、検出位置Xにて積分信号レベルが検出用閾値Dthを下回るとハイレベル信号が出力される。
【0030】
次に、急激に低下する発振振幅を、所定の持続用閾値Cthの大きさで持続させるために、帰還回路(持続用比較回路40、帰還制御回路60、トランジスタ16、帰還電流供給回路25)により発振回路10に持続用帰還電流Icの供給が行われることにより、被検出物Wが接近しても、所定の距離までは、所定の発振振幅が維持されるようになっている。これにより、被検出物Wが再び検出位置よりも離れた場合の発振振幅の立ち上がり時の遅延時間が低減されるようになっている。
【0031】
ここで、持続用帰還電流Icは、図3に示すように、被検出物Wに近づくにしたがって所定の割合で増加するようになっている。そして、この持続用帰還電流Icは、持続用比較回路40のから出力されるパルス信号のデューティに応じて変化するものである。
【0032】
したがって、被検出物Wが更に近づき、安定検出位置Yに達すると、そのときの持続用比較回路40から出力されるパルス信号のデューティ(図4参照)により、CPU50は、安定検出位置Yに達したことを検知し、安定検出状態の検知を行うとともに、表示部70及び出力回路80にかかる検出結果の情報を出力する。これにより、表示部70に安定検出の情報が表示され、ユーザに安定検出が行われていることが報知されるようになっている。
【0033】
3.CPUの処理
次に、CPUの処理について説明する。被検出物の検出が安定して行われているかの安定検出処理を繰り返し行っている。
【0034】
<安定検出処理>
CPU50は、図6に示すように、持続用比較回路40からのパルス信号のハイレベルの時間及びローレベル時間を求め、かかるハイレベルの時間に対するローレベル時間の比(割合)であるデューティを算出する(S11)。
【0035】
次に、CPU50は、算出したデューティが予めメモリ(図示しない)に記憶されているM以上であるかどうかを判断する(S12)。
デューティがMより小さいと判断した場合には(S12で「N」)、安定検出処理が終了する。
【0036】
一方、デューティがM以上であると判断した場合には(S12で「Y」)、検出状態が安定であるという情報を、表示部70及び出力回路80に出力する(S13)。
【0037】
これにより、被検出物Wの検出状態が安定している(安定検出状態にある)という情報が表示部70に表示され、ユーザは、かかる情報を認識することができる。
【0038】
4.本実施形態の効果
(1)本実施形態によれば、硬発振方式が用いられた発振回路10を用いる構成としたことにより、被検出物Wに対する発振振幅の変化が比較的緩やかな軟発振方式が用いられた発振回路10を用いる構成と比較して、検出用比較回路30(検出手段)による検出の際のノイズの影響を低減させることができる。
しかし、このような構成とした場合には、検出用比較回路30により被検出物Wの検出が行われる距離の近傍の位置における発振振幅に基づいて被検出物Wの安定検出状態を検知することは、発振振幅の変化が大きいため困難である。
一方、本実施形態によれば、所定の発振振幅を維持するための帰還電流の大きさに基づいて安定検知手段により安定検出状態が検知され、表示部70(報知手段)によりCPU50(安定検知手段)による検知に応じた報知が行われる。
したがって、安定検出状態についても検出用比較回路30による検出と同様に発振振幅に基づいて検知する構成と異なり、硬発振方式が用いられた発振回路10のように発振振幅の変動が大きいために、発振振幅に基づいて安定検知を行うことが困難な場合であっても、被検出物Wの安定検出状態を検知することが可能になる。
【0039】
(2)被検出物Wに対する距離に応じて発振状態が停止する構成とすると、発振時の立ち上がりの遅延時間が生じるおそれがあり望ましくない。一方、本構成によれば、発振状態が停止する距離にあるときでも、帰還電流の供給により発振状態を持続すれば、発振時の立ち上がりの遅延時間を低減させることが可能になる。
また、CPU50(安定検知手段)は、持続用比較回路40から出力されるパルス信号のデューティに応じて被検出物Wの安定検出状態を検知する。したがって、発振状態の持続のために用いられる帰還回路の構成を安定検出状態の検知に利用することができ、簡易な構成で安定検出状態の検知を行うことが可能になる。
【0040】
(3)視認可能な表示部70(表示手段)を備え、表示部70(報知手段)は、表示部70(表示手段)によりCPU50(安定検知手段)による検知に応じた報知を行うから、被検出物Wが安定して検出されているかどうかをユーザが視認することが可能になる。
【0041】
(4)本実施形態によれば、検出環境等に応じて、ユーザが操作部51を操作することにより、安定検出状態の検知を行うための最適な基準レベルに設定変更することが可能になる。
【0042】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0043】
(1)上記実施形態では、CPU50は、持続用比較回路40から出力されるパルス信号のデューティに基づいて安定検知を行う構成としたが、帰還電流に基づき安定検知を行うものであれば、これに限られない。例えば、LC共振回路11に供給される帰還電流量を直接検出し、かかる帰還電流量に基づき安定検知を行う構成としてもよい。
【0044】
(2)CPU50による安定状態にあるかの検知結果は、表示部70に表示されることとしたが、出力回路80を介して接続されるPC等の外部機器のディスプレイに検知結果を表示するようにしてもよい。かかる場合には、出力回路80が本発明の「報知手段」に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】近接センサの電気的構成を示すブロック図
【図2】発振回路の回路図
【図3】近接センサの被検出物に対する距離と発振振幅との関係を示す図
【図4】近接センサの被検出物に対する距離とデューティとの関係を示す図
【図5】図3のB点における積分信号のレベルと持続用比較回路から出力されるパルス信号の関係を示す図
【図6】安定検出の際の処理のフローチャート
【図7】従来の安定検出を説明する図
【符号の説明】
【0046】
10…発振回路
20…積分回路
25…帰還電流供給回路
30…検出用比較回路(検出手段)
40…持続用比較回路
50…CPU(安定検知手段)
60…帰還制御回路
70…表示部(表示手段,報知手段)
80…出力回路(報知手段)
W…被検出物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物に対する距離に応じて発振振幅が硬発振方式で変化する発振回路と、
前記発振回路の発振振幅に基づいて前記被検出物を検出する検出手段と、
前記発振回路における所定の発振振幅を維持するための帰還電流を供給する帰還回路と、
前記帰還電流の電流量が基準レベル以上のときに前記検出手段による前記被検出物の安定検出状態を検知する安定検知手段と、
前記安定検知手段により前記安定検出状態が検知されたことを報知する報知手段と、を備える近接センサ。
【請求項2】
前記検出手段は、所定の検出用閾値と前記発振振幅との比較結果に基づき被検出物の検出を行うものであり、
前記帰還回路は、
前記検出用閾値よりも低い持続用閾値と前記発振振幅との比較結果に基づくパルス信号を出力する比較回路と、
前記比較回路から出力されるパルス信号に応じて前記帰還電流の供給が行われる帰還電流供給回路と、を備え、
前記安定検知手段は、前記比較回路から出力されるパルス信号のデューティが所定値以上のときに前記帰還電流の電流量が基準レベル以上であるとして前記被検出物の安定検出状態を検知することを特徴とする請求項1記載の近接センサ。
【請求項3】
視認可能な表示手段を備え、
前記報知手段は、前記表示手段により前記安定検出状態が検知されたことを報知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の近接センサ。
【請求項4】
前記安定検知手段による安定検出状態の検知を行うための前記基準レベルを設定変更可能な設定手段を備える請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の近接センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−235468(P2007−235468A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54040(P2006−54040)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】