説明

近接検出装置および近接検出方法

【課題】 人の指などの物体の接近及び位置を電極の静電容量により検出する近接検出装置において、物体の接近していない時の検出電極の静電容量が大きく、接近による変化の比率が小さい場合でも、高速で高精度の安定した検出を行うことの出来る近接検出装置を提供する。
【解決手段】 検出電極の静電容量により発振周波数を変化させる発振手段からの発信信号の3から50サイクル程度の時間を、時間デジタル変換を用いて高分解能で検出して、その検出値を用いて接近や位置を近接演算で検出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出電極の静電容量あるいはその変化により人の指などの物体の接近や位置を検出する近接検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人など静電容量を持つ物体が電極に接近すると、電極の見かけの静電容量が増加することが知られている。この原理を応用して、静電タッチセンサなどの近接検出装置が実用化されている。
【0003】
このような近接検出装置では、電極への充放電の特性から電極の見かけの静電容量を求めている。しかし、人などの接近による電極の静電容量の増加は1pF程度の微小な値のために、電極への1回の充放電で正確な静電容量を求めることは困難である。このため、複数サイクルの充放電の特性から静電容量を求めるのが一般的である(例えば特許文献1及び2参照)。
【0004】
従来の近接検出装置の一例について、図2を基に説明する。
【0005】
図2において、検出電極1は物体の接近を検出する面積を持つ導電体であり、それ自体が静電容量を持っている。この検出電極に、例えば静電容量を持つ人の指などが接近すると、電極自体の見かけの静電容量が増加する。発振手段2は、例えばRC発振回路などにより検出電極の静電容量の変化により発振周波数を変化させる発振回路である。
【0006】
計数手段53は、発振手段2からのクロックを一定時間カウントして発振周波数を得る。制御手段55には計時手段56が接続されており、計数手段のカウントのための一定時間は、制御手段により管理される。近接演算手段54では、計数手段56での一定時間のカウント値の推移をフィルタリングや閾値との比較などを行うことにより、検出電極に検出物体が接近したことを検出する。
【特許文献1】特許3428319号
【特許文献2】特開平5−196668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、昨今の近接検出装置では、ディスプレイ装置上に透明な検出電極を配置することが多く、検出画面の大型化や薄型化により物体が接近していない場合の静電容量が大きくなる傾向があるために、接近時の静電容量の変化が相対的に小さくなってしまう。このため、例えば検出電極の静電容量の1%の変化を検出するためには、少なくとも計数手段でのカウント値が100サイクル以上必要となるため、変換に時間がかかるという課題があった。ところが、検出対象の指が素早く動く近年のアプリケーションでは、複数の電極全体の静電容量の検出を15ms程度で行う必要があるが、検出速度の高速化と精度の向上の両立が困難であった。
【0008】
また、逆に周波数を求めるために発振手段での一定サイクルの時間を別のクロックで計時することも考えられるが、計時のためには高い周波数のクロックが必要で消費電力が大きくなったり、ICで実現する場合にはプロセス上の制約が出てきたりという課題があった。
【0009】
このように、従来の近接検出装置やその方法には、検出が遅かったり、高速のクロック信号が必要になったりするという課題があった。
【0010】
そこで本発明では、これらの課題を解決して、高速のクロック信号を必要とせずに、検出速度の速い近接検出装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による近接検出装置は、物体の接近を静電容量の変化として検出する検出電極と、前記検出電極の静電容量により発振周波数を変化させる発振手段と、時間デジタル変換を用いて前記発振手段で発振するクロックの周期を測定する計測手段と、前記計測手段で計測した周期から検出電極への物体の接近を検出する近接演算手段と全体のステータスおよびシーケンスを管理する制御手段とにより構成した。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高速のクロックを必要とせずに、検出速度の速い近接検出装置を実現することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
【実施例1】
【0014】
本発明の好適な実施例を、図1を基に説明する。
【0015】
本発明による近接検出装置は、物体の接近を静電容量の変化として検出する検出電極1と、前記検出電極の静電容量により発振周波数を変化させる発振手段2と、時間デジタル変換を用いて前記発振手段で発振するクロックの周期を測定する計測手段3と、前記計測手段で計測した周期から検出電極への物体の接近を検出する近接演算手段4と全体のステータスおよびシーケンスを管理する制御手段5とにより構成した。
【0016】
これより、本発明による近接検出装置における各構成手段について詳細に説明する。
【0017】
検出電極1は、物体の接近を検出する面積を持つ導電体であり、それ自体が静電容量を持っている。この検出電極に、例えば静電容量を持つ人の指などが接近すると、検出電極自体の見かけの静電容量が増加する。
【0018】
発振手段2は、検出電極の静電容量により発振信号の周波数を変化させる。つまり、検出電極に人の指などが接近すると、発振信号の周波数が低くなる。このため、発振手段は、例えば図4に示すように比較手段6のマイナス入力に検出電極と帰還抵抗7を接続して発振させるようにしたものである。また、比較手段の正論理の出力電圧と負論理の出力電圧の中間電圧と比較手段の出力電圧を抵抗分圧したものを比較手段のプラス入力に接続してヒステリシス特性を持たせるようにした。従って、発振信号の振幅は、このヒステリシス特性によって定まり、発振周波数は検出電極の静電容量と帰還抵抗の値に依存して変化する。
【0019】
計測手段3は、発振手段2で発振させた発振信号の周期を計測する。ただし、近接検出においては、通常指などの検出物体の接近を検出電極1の静電容量の変化により検出するため、発振信号の周期は絶対値である必要はなく、周期の変化に応じて変化する値が得られれば良い。このため、計測手段は、例えば図5に示すように、第一の計数手段8と第一の時間デジタル変換手段9とにより構成した。
【0020】
第一の計数手段8は、制御手段5から計測の指示を受けて、発振信号をカウントし、予め設定されているカウント設定値分の周期に対応する測定期間を第一の時間デジタル変換手段9に出力する。このため、第一の計数手段8は、例えば発振信号の立ち上がりに同期して動作するようにして、制御手段5から計測の指示後の発振信号の立ち上がりによりカウントを開始して時間デジタル変換手段9への測定期間を示す信号を真にして、カウント設定値分カウントした時点で時間デジタル変換手段9への測定期間を示す信号を偽にするようにした。発振信号の立ち下りに同期して動作させても良いことは言うまでもない。
【0021】
第一の時間デジタル変換手段9では、図6に示すように、検出電極の静電容量によって変化する第一の計数手段8からの測定期間の時間をデジタル値に変換して、近接演算手段に出力する。
【0022】
このため、第一の時間デジタル変換手段9は、例えば図7に示す例のように、測定期間を示す信号が真になることにより動作を開始するリング状の遅延回路11と、開始以前にリセットされていて開始後の遅延サイクル数をカウントして上位時間を出力するリングカウンタ12と、測定期間を示す信号が偽になった時点の遅延回路の状態を取得するラッチ13と、ラッチの状態の変化点を検出する変化点検出手段14と、変化点を2進数に変換して下位時間を出力するエンコーダー15とにより構成した。ここで、例えばリング遅延回路の遅延素子数を32とすると、リング状の遅延回路の状態数は立ち上がり位置分と立ち下がり位置分とを合わせて64状態になるため下位時間は6ビットである。なお、変化点検出手段14とエンコーダー15は2進数に変換するためのもので、必要に応じて同様のものを用いれば良い。また、リングカウンタ12の出力にもラッチを設けて、時間デジタル変換の動作中でも前回の測定値を読めるようにしても良いことは言うまでもない。以上に第一の時間デジタル変換手段9の一例を示したが、第一の時間デジタル変換手段はこの限りでなく、遅延時間を持つ素子を直列に接続して、測定期間に進んだ素子数から測定期間をデジタル値に変換できるものであれば、どのような構成を用いても良い。
【0023】
また、図7に示すように、遅延素子の遅延時間を分解能信号の電圧により変えられるようにして、第一の時間デジタル変換手段での測定時間の分解能を変えられるようにしても良い。
【0024】
以上に計測手段を、第一の計数手段と第一の時間デジタル変換手段とにより構成した場合の例を示したが、この方法では、測定期間中、時間デジタル変換手段のリング状の遅延回路が動作しているために、消費電力が比較的大きい。
【0025】
この課題を解決するための計測手段の例を、図8及び図9を基に説明する。
【0026】
図8に示す計測手段は、第二,第三の2つの計数手段(16および17)と第二,第三の2つの時間デジタル変換手段(18および19)と時間演算手段20とにより構成した。
【0027】
ここで、第二,第三の計測手段内部の構成及び動作は、第一の計測手段とほぼ同様である。但し、第二の計数手段16は、制御手段から計測の指示を受けて、検出電極の静電容量とは無関係で安定した周期のクロック信号を予め設定されているカウント設定値Cc分カウントし、クロック信号に同期した計数期間を示す信号を第三の計数手段17及び第二,第三の時間デジタル変換手段(18および19)に出力する。また、第三の計測手段17は、第二の計数手段16の計数期間が開始した後に発振手段からの発振信号を予め設定されているカウント設定値Co分カウントし、発振信号に同期した計数期間を示す信号を第二,第三の時間デジタル変換手段(18および19)に出力する。
【0028】
但し、第二,第三の時間デジタル変換手段(18および19)の内部の構成及び動作は、第一の時間デジタル変換手段とほぼ同様である。但し、第二の時間デジタル変換手段18は、図9に示すように、第二の計数手段のクロック信号に同期した計数の開始から第三の計数手段の発振信号に同期した計数の開始までの時間T2をデジタル値に変換する。この時間T2は、クロックと発振信号の周波数や位相が異なることにより生じる第二,三の計数手段の計数開始の時間差である。また、第三の時間デジタル変換手段は、第二の計数手段のクロック信号に同期した計数期間の終了から第三の計数手段の発振信号に同期した計数期間の終了までの時間T3をデジタル値に変換する。
【0029】
時間演算手段20は、発振信号の周期を演算により求めて、近接演算手段4に出力する。
【0030】
図9に示す時間関係の場合には、第三の計数手段での発振信号の計数期間Toは、数1に示すように、第二の計数でのクロック信号の計数期間Tcに第三の時間デジタル変換手段で測定した時間T3を加えて、第二の時間デジタル変換手段で測定した時間T2を差し引いたものである。但し、時間T2,3は単位が遅延素子の遅れ時間Tuになっているために、Tuが掛けられている。なお、このTuは、クロック信号1サイクルに対する第三の時間デジタル変換の測定値が必要から容易に求められる。これを得るには、予めクロック信号のカウント設定値Ccを1ずらして第三の時間デジタル変換の測定値の変化を測定しておけば良い。
(数1)To=Tc+(T3−T2)×Tu
例えば、クロック信号が1MHz,第二の計数手段へのカウント設定値が7,第三の計数手段へのカウント設定値が10,遅延素子の遅れ時間が10n秒,第二の時間デジタル変換手段の計測時間が70,第三の時間デジタル変換手段の計測時間が210の場合には、第二の計数手段の計測期間は7μ秒,第二の時間デジタル変換手段の計測時間が0.7マイクロ秒,第三の時間デジタル変換手段の計測時間が2.1μ秒で、発振信号10サイクルの時間は8.4μ秒であり、周波数は119KHzである。
【0031】
但し、検出電極の静電容量の変化から近接検出を行う場合には、第二の計数手段の計数期間は検出電極の静電容量とは無関係な一定の値のため、時間演算手段は、第三の時間デジタル変換手段で測定した時間T3から第二の時間デジタル変換手段で測定した時間T2を差し引く演算をするのみでも良い。
【0032】
また、説明の便宜上、図8では第二,三の2つの時間デジタル変換手段を用いる場合の例を説明したが、これら2つの時間デジタル変換手段は同時に動作することがないため、兼用することが出来る。
【0033】
なお、クロック信号のカウント設定値Ccは、検出電極の静電容量の想定される変化があっても第三の時間デジタル変換の測定時間がマイナスにならない範囲で最も短くなるように設定することにより、精度の高い計測を低消費電力で実現することが出来る。このため、前回の第二の時間デジタル変換の計測結果T2と第三の時間デジタル変換の計測結果T3から、カウント設定値Ccを調整するようにしても良い。或いは、計測に先立って、予め発振信号をカウント設定値Coで計数し、その計数期間のクロックのクロック数からクロック信号のカウント設定値Ccの最適な値を求めるようにしても良い。
【0034】
以上に示した例は、図8に示す構成を用いて、図10aに示すように、第二の計数手段でクロック信号の計数を行い、第三の計数手段で発振信号の計数を行い、第二の時間デジタル変換手段で第二の計数手段の計数期間の開始から第三の計数手段の計数期間の開始までの時間を測定し、第三の時間デジタル変換手段で第二の計数手段の計数期間の終了から第三の計数手段の計数期間の終了までの時間を測定するようにした場合の例であるが、図8に示す構成は同様に図10b〜dに示すような用い方も可能である。
【0035】
図10bに示す例では、第二の計数手段で発振信号の計数を行い、第三の計数手段でクロック信号の計数を行い、第二の時間デジタル変換手段で第二の計数手段の計数期間の開始から第三の計数手段の計数期間の開始までの時間を測定し、第三の時間デジタル変換手段で第三の計数手段の計数期間の終了から第二の計数手段の計数期間の終了までの時間を測定するようにした場合の例で、第二の計数手段での発振信号の計数期間Toは、数2の関係式を満たす。
(数2)To=Tc+(T3+T2)×Tu
図10cに示す例では、第二の計数手段で発振信号の計数を行い、第三の計数手段でクロック信号の計数を行い、第二の時間デジタル変換手段で第二の計数手段の計数期間の開始から第三の計数手段の計数期間の開始までの時間を測定し、第三の時間デジタル変換手段で第二の計数手段の計数期間の終了から第三の計数手段の計数期間の終了までの時間を測定するようにした場合の例で、第二の計数手段での発振信号の計数期間Toは、数3の関係式を満たす。
(数3)To=Tc+(T2−T3)×Tu
図10dに示す例では、第二の計数手段でクロック信号の計数を行い、第三の計数手段で発振信号の計数を行い、第二の時間デジタル変換手段で第二の計数手段の計数期間の開始から第三の計数手段の計数期間の開始までの時間を測定し、第三の時間デジタル変換手段で第三の計数手段の計数期間の終了から第二の計数手段の計数期間の終了までの時間を測定するようにした場合の例で、第三の計数手段での発振信号の計数期間Toは、数4の関係式を満たす。
(数4)To=Tc−(T2+T3)×Tu
このように図10に示すタイミングで、時間デジタル変換手段を動作させるようにすれば、クロック信号を計数している期間では時間デジタル変換手段のリング状の遅延回路は動作していないため、少ない消費電力で高い時間分解能の周期を計測することが出来る。
【0036】
近接演算手段4では、静電容量検出手段で求めた高分解能の静電容量の値が予め設定した値より大きくなった場合には、予め想定した物体の接近として検出するようにした。
【0037】
制御手段5は、全体のステータス及びシーケンスを管理する。
【0038】
以上に示したように本発明による近接検出装置では、発振信号の周期を時間デジタル変換の分解能で測定することができるため、少ない発振信号サイクルでも高い検出精度を出すことができる。例えば、0.1%の検出精度が必要な場合には、時間デジタル変換を用いないでカウンタで周波数をカウントする場合には、発振信号の1,000サイクル以上の発振が必要であった。時間デジタル変換を用いることにより、遅延素子の遅延時間が10n秒の場合には、10μ秒間の計測時間になる。発振信号が1MHzの場合には、10サイクルの平均周期を計測すればよい。
【0039】
通常、発振信号の1サイクルの周期の測定ではノイズ等の影響で精度の高い検出は困難であり、発振信号のサイクル数をカウントする方法では精度を出すためには相当のサイクル数が必要で検出が遅くなってしまう。本発明では、時間デジタル変換を用いて3回から50回程度の発振信号のサイクルを高精度に計測することにより、ノイズの影響が平均化により大幅に軽減されることが出来る。このように、高速で安定した分解能の高い周期を計測するため、耐ノイズ安定性と検出速度を両立させることができ、高速で安定した精度の高い接近や位置の検出を可能にする。
【実施例2】
【0040】
実施例1では、一つの検出電極により物体の接近を検出する近接検出装置について説明した。本実施例2では、複数の検出電極を用いることにより、物体の接近ばかりでなくその位置まで検出することの出来る近接検出装置について説明する。
【0041】
このため、実施例2では、図3に示すように、支持手段30によって支持された複数の検出電極と、前記複数の検出電極のそれぞれの静電容量に対応して発振周波数を変化させる発振手段と、時間デジタル変換を用いて前記発振手段からの前記複数の検出電極に対応した発振信号の周期を計測する計測手段と、前記計測手段で求めた前記複数の検出電極の位置とそれぞれに対応する発振信号の周期とから物体の接近及び位置を演算する近接演算手段とにより構成した。
【0042】
これより、各構成手段について、詳細に説明する。
【0043】
図3において、支持手段上30に、複数の検出電極31が配置されている。ここで、説明の便宜上、検出電極は一軸の検出方向(図中上下方向)に等間隔にすべて同一形状かつ同一特性のものが配置されているものとする。
【0044】
発振手段2及び計測手段3は、これらの検出電極のそれぞれについて、実施例1で説明したものと同じものを用いて、それぞれの検出電極の静電容量に対応した発振信号の周期を検出するようにした。ここで、回路規模を小さくするために、発振手段や計測手段は、同一のものを時分割して共用できる部分については、共用してもよいことは言うまでもない。
【0045】
近接演算手段34では、計測手段3からのそれぞれの検出電極の静電容量に対応した発振信号の周期から、物体の接近及び位置を検出する。このため、近接演算手段では、それぞれの検出電極に対応した発振信号の周期の内のいずれかが予め定められた閾値を超えた場合に物体の接近を検出するようにした。ただし、接近の検出は、閾値自体を非接近時のゆるやかな周期の変動に追従して変化させるなど、この限りではない。
【0046】
また、物体の接近を検出した場合には、位置を求める。位置の求め方は、発振信号の周期の変化の大きさで位置の加重平均を計算したり、さらに隣接する検出電極の発振信号の周期の変化との比からテーブル等を用いて補正したりすることで検出位置精度を上げることも出来る。このように、近接演算手段は、この例以外にも、複数の検出電極の位置と検出電極に対応した発振信号の周期から物体の接近及び位置を求めることの出来る手段であれば、どのような手段を用いても良い。
【0047】
以上に示したように、本発明による近接検出装置では、発振信号の少ないサイクルでも高精度に周期を計測することができるため、物体の接近及び位置を高速かつ高精度に検出することができる。
【0048】
なお、以上に1軸の検出方向に検出電極を並べて、物体の接近と検出方向の高精度な正確な位置を検出することの出来る近接検出装置について説明したが、2軸あるいは多軸の検出方向を持つ近接検出装置についても、検出軸ごとに同様の方法で検出を行えば良い。また、多軸の場合に、軸間の検出電極の交点の静電容量を求める場合にも、同様の方法で検出を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る近接検出装置の第1の実施例を示すブロック図
【図2】従来の近接検出装置のブロック図
【図3】本発明に係る近接検出装置の第2の実施例を示すブロック図
【図4】本発明に係る発振手段の実施例を示す回路図
【図5】本発明に係る計測手段を示す構成図
【図6】本発明に係る計測手段のタイミング図
【図7】本発明に係る時間デジタル変換手段のブロック図
【図8】本発明に係る計測手段を示す構成図
【図9】本発明に係る計測手段のタイミング図
【図10】本発明に係る計測手段のタイミング図
【符号の説明】
【0050】
1、31 検出電極
2 発振手段
3 計測手段
4、34 近接演算手段
5 制御手段
6 比較手段
7 帰還抵抗
8、16、17 計数手段
9、18,19 時間デジタル変換手段
11 遅延回路
12 リングカウンタ
13 ラッチ
14 変化点検出手段
15 エンコーダー
20 時間演算手段
30 支持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量により物体の接近を検出する近接検出装置において、
前記物体の接近により見かけの静電容量を変化させる単数または複数の検出電極と、
前記検出電極の静電容量により発振周波数を変化させる発振手段と、
時間デジタル変換方式を用いて前記発振手段からの発振波形の周期もしくは周波数を測定する計測手段と、
前記計測手段で測定した周期もしくは周波数あるいはその変化から前記物体の接近あるいは位置を検出する近接演算手段と、
を有することを特徴とする近接検出装置。
【請求項2】
前記計測手段は、前記発振手段からの発振波形をカウントする第一の計数手段と、前記計数手段での計数期間を測定する時間デジタル変換手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の近接検出装置。
【請求項3】
前記計測手段は、第二,第三の計数手段と、前記第二,第三の計数手段の計数期間の開始と終了の差の時間を計測する時間デジタル変換手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の近接検出装置。
【請求項4】
前記時間デジタル変換手段は、リング状の遅延手段と、前記遅延手段の遅延サクイル数をカウントする第二の計数手段と、前記遅延手段の遅延の位相を捉えるラッチ手段とを有することを特徴とする請求項2または3に記載の近接検出装置。
【請求項5】
前記発振手段は、電圧比較手段を有し、前記電圧比較手段の出力と定電圧源との抵抗による分圧が前記電圧比較手段のリファレンス入力に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の近接検出装置。
【請求項6】
前記計測手段で周期を計測する期間は、前記発振手段からの発振信号の3サイクル以上50サイクル以下であることを特徴とする請求項1に記載の近接検出装置。
【請求項7】
前記第二の計数手段または前記第三の計数手段の計数値を、直前の計測における時間デジタル変換手段の変換値から求めることを特徴とする請求項3に記載の近接検出装置。
【請求項8】
静電容量により物体の接近を検出する近接検出方法であって、
前記物体の接近により見かけの静電容量を変化させる単数または複数の検出電極の静電容量により発振周波数を変化させる発振工程と、
前記発振工程からの発振波形の周期もしくは周波数を時間デジタル変換方式を用いて測定する計測工程と、
前記計測工程で測定した周期もしくは周波数あるいはその変化から前記物体の接近あるいは位置を検出する近接演算工程と、
を有することを特徴とする近接検出方法。
【請求項9】
前記計測工程は、前記発振工程からの発振波形をカウントする第一の計数工程と、前記計数工程での計数期間を測定する時間デジタル変換工程とを有することを特徴とする請求項8に記載の近接検出方法。
【請求項10】
前記計測工程は、第二,第三の計数工程と、前記第二,第三の計数工程の計数期間の開始と終了の差の時間を計測する時間デジタル変換工程とを有することを特徴とする請求項8に記載の近接検出方法。
【請求項11】
前記時間デジタル変換工程は、リング状の遅延回路を用いた遅延工程と、前記遅延工程における遅延サクイル数をカウントする第二の計数工程と、前記遅延工程の遅延の位相をラッチで捉える工程とを有することを特徴とする請求項9または10に記載の近接検出方法。
【請求項12】
前記計測工程で周期を計測する期間は、前記発振工程からの発振信号の3サイクル以上50サイクル以下であることを特徴とする請求項8に記載の近接検出方法。
【請求項13】
前記第二の計数工程または前記第三の計数工程の計数値を、直前の計測における時間デジタル変換工程の変換値から求めることを特徴とする請求項10に記載の近接検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−200681(P2009−200681A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38449(P2008−38449)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】