説明

追尾レーダ装置

【課題】初探知目標の数が増大しても、捜索性能の劣化を防止でき、また、追尾移行時間が長くなることを防止できる追尾レーダ装置を提供する。
【解決手段】指定方向の空間に送信された送信波の反射波を受信する受信機4と、受信機からの受信信号に基づき目標を検出する目標検出部5と、目標検出部で検出された目標を表す目標検出情報に基づいて、目標を追尾するための追尾情報および初めて検出された目標である初探知目標を表す初探知情報を生成して出力する追尾制御部6と、追尾制御部から出力される追尾情報および初探知情報に基づいてビーム制御を行うレーダ制御部7とを備え、レーダ制御部は、追尾制御部から出力される初探知情報によって表される初探知目標が真目標であるかどうかを確認する検定処理として、検定専用の検定ビームによる検定処理または検定と捜索とが兼用される捜索ビームによる検定処理の何れかを選択する検定方式選択器12を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標を追尾する追尾レーダ装置に関し、特に捜索によって初めて探知された目標である初探知目標に対する検定処理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の追尾レーダ装置では、まず、捜索ビームを用いて目標の検出が行われる。次いで、検出された目標と追尾中の目標(以下、「既追尾目標」という)との間の相関の有無が調べられ、相関が無い場合に、検出された目標が初探知目標と判断される。そして、その初探知目標が真目標であるか否かを検定ビームを用いて確認する検定が行われる。そして、この検定において真目標と確認された場合に、追尾ビームを用いた追尾に移行する。
【0003】
図8は、上述した機能を有する従来の追尾レーダ装置の構成を示すブロック図である。この追尾レーダ装置は、送信機1、走査制御部2、アンテナ3、受信機4、目標検出部5、追尾制御部6およびレーダ制御部7から構成されている。レーダ制御部7は、さらに追尾ビーム制御器8、検定ビーム制御器9、捜索ビーム制御器10およびリソース制御器11から構成されている。
【0004】
送信機1は、レーダ制御部7から送られてくる制御信号に応答して送信信号を生成する。この送信機1で生成された送信信号はアンテナ3に送られる。走査制御部2は、レーダ制御部7から送られてくる制御信号に基づき、アンテナ3のビーム指向方向を指示するアンテナ制御信号を生成する。この走査制御部2で生成されたアンテナ制御信号はアンテナ3に送られる。
【0005】
アンテナ3は、送信機1から送られてくる送信信号を電波に変換して送信波を生成し、走査制御部2から送られてくるアンテナ制御信号によって指示される方向の空間に向けて送信する。
【0006】
また、アンテナ3は、送信波の反射波を受信し、電気信号に変換して受信機4に送る。受信機4は、アンテナ3から送られてくる電気信号の周波数変換を行う。この受信機4で周波数変換することにより得られた受信信号は、目標検出部5に送られる。目標検出部5は、受信機4から送られてくる受信信号に基づき目標を検出する。この目標検出部5における検出結果は、目標検出情報として追尾制御部6に送られる。
【0007】
追尾制御部6は、目標検出部5から送られてくる目標検出情報によって示される目標が真目標であるか否かを調べる。そして、真目標であることを確認した場合に、その旨を表す追尾情報を追尾ビーム制御器8に送る。また、追尾制御部6は、目標検出部5から送られてくる目標検出情報によって示される目標と、既追尾目標および検定中の目標との間の相関の有無を調べる。そして、相関が無い場合に、その目標を初めて探知した目標である初探知目標と認識し、初探知目標を表す初探知情報を生成して検定ビーム制御器9に送る。
【0008】
追尾ビーム制御器8は、追尾制御部6から送られてくる追尾情報に基づいて追尾用の制御信号を生成し、リソース制御器11に送る。検定ビーム制御器9は、追尾制御部6から送られてくる初探知情報に基づいて検定用の制御信号を生成し、リソース制御器11に送る。捜索ビーム制御器10は、捜索用の制御信号を生成し、リソース制御器11に送る。
【0009】
リソース制御器11は、追尾ビーム制御器8から送られてくる追尾用の制御信号、検定ビーム制御器9から送られてくる検定用の制御信号および捜索ビーム制御器10から送られてくる捜索用の制御信号に対してリソースを割り当てる。
【0010】
ここで、リソースは、単位時間内で実行しなければならない処理と考えることができる。リソースは、追尾処理を行うための追尾リソース、検定処理を行うための検定リソースおよび捜索処理を行うための捜索リソースから構成されている。
【0011】
なお、検定処理または追尾処理に専ら使用されるリソース(検定用の処理時間または追尾用の処理時間が確保されるリソース)を専用リソースという。このリソース制御器11によってリソースが割り当てられることにより出力される追尾用、検定用または捜索用の制御信号は、送信機1および走査制御部2に送られる。
【0012】
次に、上記のように構成される従来の追尾レーダ装置の動作を、捜索時、検定時および追尾時の動作に分けて説明する。
【0013】
まず、捜索時の動作を説明する。送信機1は、捜索ビーム制御器10からリソース制御器11を経由して送られてくる捜索用の制御信号に応答して送信信号を生成し、アンテナ3に送る。また、走査制御部2は、捜索ビーム制御器10からリソース制御器11を経由して送られてくる制御信号に基づいてアンテナ制御信号を生成し、アンテナ3に送る。
【0014】
アンテナ3は、送信機1から送られてくる送信信号を電波に変換して送信波を生成し、走査制御部2から送られてくるアンテナ制御信号によって指示される方向の空間に向けて、捜索ビームとして送信するとともに、この送信波の反射波を受信し、電気信号に変換して受信機4に送る。受信機4は、アンテナ3から送られてくる信号を周波数変換し、受信信号として目標検出部5に送る。目標検出部5は、受信機4から送られてくる受信信号に基づき目標を検出し、その検出した目標を示す目標検出情報を、追尾制御部6に送る。
【0015】
追尾制御部6は、目標検出部5から送られてくる目標検出情報によって示される目標と、既追尾目標および検定中の目標との相関の有無を調べる。そして、相関が無い場合に、その目標を初探知目標と認識し、初めて探知した目標である旨を表す初探知情報を生成して検定ビーム制御器9に送る。検定ビーム制御器9は、追尾制御部6から送られてくる初探知情報に基づいて、検定用の制御信号を生成し、リソース制御器11に送る。
【0016】
次に、検定時の動作を説明する。送信機1は、検定ビーム制御器9からリソース制御器11を経由して送られてくる検定用の制御信号に応答して送信信号を生成し、アンテナ3に送る。また、走査制御部2は、検定ビーム制御器9からリソース制御器11を経由して送られてくる制御信号に基づいてアンテナ制御信号を生成し、アンテナ3に送る。
【0017】
アンテナ3は、送信機1から送られてくる送信信号を電波に変換して送信波を生成し、走査制御部2から送られてくるアンテナ制御信号によって指示される方向の空間に向けて、検定ビームとして送信するとともに、この送信波の反射波を受信し、電気信号に変換して受信機4に送る。受信機4は、アンテナ3から送られてくる信号を周波数変換し、受信信号として目標検出部5に送る。目標検出部5は、受信機4から送られてくる受信信号に基づき目標を検出し、その検出した目標を示す目標検出情報を、追尾制御部6に送る。
【0018】
追尾制御部6は、目標検出部5から送られてくる目標検出情報によって示される目標が真目標であるか否かを調べる。そして、真目標であることを確認した場合に、その旨を表す追尾情報を生成して追尾ビーム制御器8に送る。追尾ビーム制御器8は、追尾制御部6から送られてくる追尾情報に基づいて、追尾用の制御信号を生成し、リソース制御器11に送る。
【0019】
次に、追尾時の動作を説明する。送信機1は、追尾ビーム制御器8からリソース制御器11を経由して送られてくる追尾用の制御信号に応答して送信信号を生成し、アンテナ3に送る。また、走査制御部2は、追尾ビーム制御器8からリソース制御器11を経由して送られてくる制御信号に基づいてアンテナ制御信号を生成し、アンテナ3に送る。
【0020】
アンテナ3は、送信機1から送られてくる送信信号を電波に変換して送信波を生成し、走査制御部2から送られてくるアンテナ制御信号によって指示される方向の空間に向けて、追尾ビームとして送信するとともに、この送信波の反射波を受信し、電気信号に変換して受信機4に送る。受信機4は、アンテナ3から送られてくる信号を周波数変換し、受信信号として目標検出部5に送る。目標検出部5は、受信機4から送られてくる受信信号に基づき目標を検出し、その検出した目標を示す目標検出情報を、追尾制御部6に送る。
【0021】
追尾制御部6は、目標検出部5から送られてくる目標検出情報によって示される目標が真目標か否かを調べる。そして、真目標であることを確認した場合に、前回の追尾情報を更新した追尾情報を生成して追尾ビーム制御器8に送る。追尾ビーム制御器8は、追尾制御部6から送られてくる更新された追尾情報に基づいて、次回の追尾用の制御信号を生成し、リソース制御器11に送る。
【0022】
リソース制御器11は、上述した捜索時の動作によって捜索ビーム制御器10から制御信号が送られてきた場合、検定時の動作によって検定ビーム制御器9から制御信号が送られてきた場合、および追尾時の動作によって追尾ビーム制御器8から制御信号が送られてきた場合は、リソースの割り当てを実行するが、初探知目標の数が多くなると、捜索リソースを減らして捜索時間を短縮する処理や、検定リソースに上限を設けて検定ビームを制限する処理等が行われる。
【0023】
なお、関連する技術として、特許文献1は、検定ビームを照射する検出目標候補までの距離や2次レーダのエコー有無等の状態、所要のエリア内における目標検出の優先度やクラッタ等の状況によりスレッショルドレベルと検定ビームの適用を制御することで、トータルのビーム走査時間を短縮し、装置規模を削減できるレーダ装置を開示している。このレーダ装置は、捜索ビームのスレッショルド検出において、受信信号レベルと距離の関係に着目して近距離では徐々に高くなるように距離毎に階段状に異なるスレッショルド値をスレッショルド制御器に記憶しておき、このスレッショルド値を用いて目標検出を行い、検定ビームを照射するように制御するスケジューリング制御器で捜索ビームと検定ビームの送受信を制御するように構成されている。
【0024】
また、特許文献2は、地上に設置あるいは車両や艦船に搭載し、捜索・検定を行った後に追尾へ移行する、多目標追尾が可能なレーダ装置を開示している。このレーダ装置は、追尾目標のドップラ情報から、追尾目標毎に距離誤差ゲート幅を計算する追尾距離誤差ゲート計算装置と追尾目標の速度範囲に対応した、複数種類のパルス圧縮フィルタを備えている。この構成により、既追尾目標に対する再検定や重複追尾によるレーダリソースの消耗および捜索性能の劣化を抑えることができるとともに、複数目標分離性能を向上させることができる。
【0025】
さらに、特許文献3は、強クラッタ環境においても、実目標に対して検定ビームを送受信するための時間が確保され、目標の追随移行の遅れが生じない追尾レーダを開示している。この追尾レーダは、外部からの検定禁止マップ作成指示をもとに、検定禁止エリアを検定禁止マップ情報回路に記録し、この検定禁止エリアと捜索時の検出とを比較照合して検定ビームのマネージメントを行う。
【特許文献1】特開2001−208841号公報
【特許文献2】特開2002−156449号公報
【特許文献3】特開2004−132803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
上記のように構成される従来の追尾レーダ装置においては、図9(a)に示すように、使用可能なリソース(時間)は一定であり、追尾リソースは他に優先して確保されている場合を考えると、例えばクラッタ等に起因する誤警報によって初探知目標の数が多くなって必要なリソースが増大した場合に、検定リソースによる検定ビームを増やすと、使用できる捜索リソースが減少するので単位時間内で捜索に使用できる時間が短くなる。その結果、捜索範囲の狭小化や探知距離の短縮化といった捜索性能の低下が起こるという問題がある。
【0027】
また、図9(b)に示すように、検定リソースによる検定ビームが所定数以上に増えないように制限して捜索リソースによる捜索ビームを確保しようとすると、検定できる初探知目標の数が制限される。その結果、その後の単位時間の処理でも初探知目標の検定が必要になり、追尾へ移行する時間(以下、「追尾移行時間」という)が長くなるという問題がある。
【0028】
本発明は、初探知目標の数が増大しても、捜索性能の劣化を防止でき、また、追尾移行時間が長くなることを防止できる追尾レーダ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明に係る追尾レーダ装置は、指定方向の空間に送信された送信波の反射波を受信する受信機と、受信機からの受信信号に基づき目標を検出する目標検出部と、目標検出部で検出された目標を表す目標検出情報に基づいて、目標を追尾するための追尾情報および初めて検出された目標である初探知目標を表す初探知情報を生成して出力する追尾制御部と、追尾制御部から出力される追尾情報および初探知情報に基づいてビーム制御を行うレーダ制御部とを備え、レーダ制御部は、追尾制御部から出力される初探知情報によって表される初探知目標が真目標であるかどうかを確認する検定処理として、検定専用の検定ビームによる検定処理または検定と捜索とが兼用される捜索ビームによる検定処理の何れかを選択する検定方式選択器を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る追尾レーダ装置によれば、初探知情報によって表される初探知目標が真目標であるかどうかを確認する検定処理として、検定専用の検定ビームによる検定処理または検定と捜索とが兼用される捜索ビームによる検定処理の何れかを選択できるように構成したので、捜索性能が劣化せず、追尾移行時間が長くならない追尾レーダ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態に係る追尾レーダ装置を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下においては、背景技術の欄で説明した従来の追尾レーダ装置の構成部分に相当する部分には、背景技術の欄で使用した符号と同じ符号を用いて説明する。
【実施例1】
【0032】
図1は、本発明の実施例1に係る追尾レーダ装置の構成を示すブロック図である。この追尾レーダ装置は、送信機1、走査制御部2、アンテナ3、受信機4、目標検出部5、追尾制御部6およびレーダ制御部7から構成されている。レーダ制御部7は、さらに追尾ビーム制御器8、検定ビーム制御器9、捜索ビーム制御器10、リソース制御器11および検定方式選択器12から構成されている。
【0033】
送信機1は、レーダ制御部7から送られてくる制御信号に応答して送信信号を生成する。この送信機1で生成された送信信号はアンテナ3に送られる。走査制御部2は、レーダ制御部7から送られてくる制御信号に基づき、アンテナ3のビーム指向方向を指示するアンテナ制御信号を生成する。この走査制御部2で生成されたアンテナ制御信号はアンテナ3に送られる。
【0034】
アンテナ3は、送信機1から送られてくる送信信号を電波に変換して送信波を生成し、走査制御部2から送られてくるアンテナ制御信号によって指示される方向の空間に向けて送信する。
【0035】
また、アンテナ3は、送信波の反射波を受信し、電気信号に変換して受信機4に送る。受信機4は、アンテナ3から送られてくる電気信号の周波数変換を行う。この受信機4で周波数変換することにより得られた受信信号は、目標検出部5に送られる。目標検出部5は、受信機4から送られてくる受信信号に基づき目標を検出する。この目標検出部5における検出結果は、目標検出情報として追尾制御部6に送られる。
【0036】
追尾制御部6は、目標検出部5から送られてくる目標検出情報によって示される目標が真目標であるか否かを調べる。そして、真目標であることを確認した場合に、その旨を表す追尾情報を追尾ビーム制御器8に送る。また、追尾制御部6は、目標検出部5から送られてくる目標検出情報によって示される目標と、既追尾目標および検定中の目標との間の相関の有無を調べる。そして、相関が無い場合に、その目標を、初めて探知した目標である初探知目標と認識し、初探知目標を表す初探知情報を生成して検定方式選択器12に送る。
【0037】
検定方式選択器12は、追尾制御部6から送られてくる初探知情報で示される初探知目標の数や位置に基づいて、検定ビームによる検定処理を行うか、捜索ビームによる検定処理を行うか、または、検定ビームおよび捜索ビームによる検定処理を行うかといった検定方式を選択する。そして、選択された検定方式に従って、追尾制御部6から送られてくる初探知情報によって示される初探知目標を検定ビーム制御器9または捜索ビーム制御器10の何れか、又は、両方に振り分ける。
【0038】
追尾ビーム制御器8は、追尾制御部6から送られてくる追尾情報に基づいて、追尾する目標に向ける追尾ビームを発生するための追尾用の制御信号を生成し、リソース制御器11に送る。今、図2(a)に示すように、追尾情報によって、操作員により設定された覆域中の図示する方位方向位置(仰角方向位置は示されていない)に追尾目標T2が存在することが示されていれば、追尾ビームとしてビーム#3を発生するための制御信号が生成される。この追尾ビームは、後述する捜索ビームと異なり、任意の方位および仰角方向に向けて発生することができる。
【0039】
検定ビーム制御器9は、検定方式選択器12から送られてきた初探知情報によって示される初探知目標に向ける検定ビームを発生するための検定用の制御信号を生成し、リソース制御器11に送る。今、図2(a)に示すように、初探知情報によって、操作員により設定された覆域中の図示する方位方向位置(仰角方向位置は示されていない)に初探知目標T1が存在することが示されていれば、検定ビームとしてビーム#4を発生するための制御信号が生成される。この検定ビームは、後述する捜索ビームと異なり、任意の方位および仰角方向に向けて発生することができる。
【0040】
捜索ビーム制御器10は、検定方式選択器12から初探知情報が送られて来ない場合は、操作員により設定された、図2(b)に示すような覆域を、例えば、ビームポジション#11→#12→・・・→#1n→#21→・・・の順番で順次に走査する捜索ビームを発生させるための捜索用の制御信号を生成してリソース制御器11に送る。この捜索ビームのビームポジションはあらかじめ定められており、変更することはできない。従って、上述した追尾ビームや検定ビームとは異なり、例えば図2(b)に示すビームポジション#22と#23との間の位置Pに捜索ビームを向けることはできない。
【0041】
一方、検定方式選択器12から初探知情報が送られてきた場合は、仮に初探知目標の増大によりリソースが不足することになっても、その初探知情報によって示される初探知目標の方向に対する捜索ビームを優先的に残すように、リソース制御器11に指示する。優先的に残された捜索ビームは、検定ビームによる検定処理と同等の検定処理をデータ処理によって行うために使用される。
【0042】
リソース制御器11は、追尾ビーム制御器8から送られてくる追尾用の制御信号、検定ビーム制御器9から送られてくる検定用の制御信号および捜索ビーム制御器10から送られてくる捜索用の制御信号に対してリソースを割り当てる。
【0043】
リソースは、背景技術の欄で説明したように、追尾リソース、検定リソースおよび捜索リソースから構成されているが、図3に示すように、捜索リソースは、捜索用と検定用とで兼用される。すなわち、初探知目標が増大することにより、検定リソースが不足する場合は、捜索リソースの一部が検定用として使用される。このリソース制御器11によってリソースが割り当てられた追尾用、検定用または捜索用の制御信号は、送信機1および走査制御部2に送られる。
【0044】
次に、上記のように構成される本発明の実施例1に係る追尾レーダ装置の動作を、捜索時、検定時および追尾時の動作に分けて説明する。
【0045】
まず、捜索時の動作を説明する。送信機1は、捜索ビーム制御器10からリソース制御器11を経由して送られてくる捜索用の制御信号に応答して送信信号を生成し、アンテナ3に送る。また、走査制御部2は、捜索ビーム制御器10からリソース制御器11を経由して送られてくる制御信号に基づいてアンテナ制御信号を生成し、アンテナ3に送る。
【0046】
アンテナ3は、送信機1から送られてくる送信信号を電波に変換して送信波を生成し、走査制御部2から送られてくるアンテナ制御信号によって指示される方向の空間に向けて、捜索ビームとして送信するとともに、この送信波の反射波を受信し、電気信号に変換して受信機4に送る。受信機4は、アンテナ3から送られてくる信号を周波数変換し、受信信号として目標検出部5に送る。目標検出部5は、受信機4から送られてくる受信信号に基づき目標を検出し、その検出した目標を示す目標検出情報を、追尾制御部6に送る。
【0047】
追尾制御部6は、目標検出部5から送られてくる目標検出情報が捜索用の捜索ビームまたは検定用の捜索ビーム(詳細は後述する)の何れによって得られたものであるかを判定する。そして、追尾制御部6は、目標検出部5から送られてくる目標検出情報が捜索用の捜索ビームによって得られたものであることを判定すると、その目標検出情報によって示される目標と、既追尾目標および検定中の目標との相関の有無を調べる。そして、相関が無い場合に、その目標を初探知目標と認識し、初めて探知した目標である旨を表す初探知情報を生成し、検定方式選択器12に送る。
【0048】
一方、追尾制御部6は、目標検出部5から送られてくる目標検出情報が検定用の捜索ビームによって得られたものであることを判定すると、目標検出部5から送られてくる目標検出情報によって示される目標が真目標であるか否かを調べる処理、つまり捜索ビームによる検定処理を行う。そして、真目標であることを確認した場合に、その旨を表す追尾情報を生成して追尾ビーム制御器8に送る。
【0049】
検定方式選択器12は、追尾制御部6から送られてくる初探知情報に基づいて検定方式を選択し、この選択結果に従って、初探知情報を検定ビーム制御器9または捜索ビーム制御器10に送る。検定ビーム制御器9は、検定方式選択器12から初探知情報が送られてきた場合に、その初探知情報に基づいて検定用の制御信号を生成し、リソース制御器11に送る。
【0050】
一方、捜索ビーム制御器10は、検定方式選択器12から初探知情報が送られてきた場合は、その初探知情報に基づいて、検定処理に使用される捜索用のビーム制御信号を生成し、リソース制御器11に送る。この際、捜索ビーム制御器10は、検定方式選択器12から送られてくる初探知情報によって示される初探知目標に対して捜索ビームによる検定処理を行うべき旨を認識し、その捜索用の制御信号に対するリソース割り当て時の優先度が、他の捜索用のビーム制御信号(本来の捜索に用いられるビーム制御信号)に対するリソース割り当て時の優先度より高くなるように設定する。
【0051】
次に、検定時の動作を説明する。送信機1は、検定ビーム制御器9からリソース制御器11を経由して送られてくる検定用の制御信号に応答して送信信号を生成し、アンテナ3に送る。また、走査制御部2は、検定ビーム制御器9からリソース制御器11を経由して送られてくる制御信号に基づいてアンテナ制御信号を生成し、アンテナ3に送る。
【0052】
アンテナ3は、送信機1から送られてくる送信信号を電波に変換して送信波を生成し、走査制御部2から送られてくるアンテナ制御信号によって指示される方向の空間に向けて、検定ビームとして送信するとともに、この送信波の反射波を受信し、電気信号に変換して受信機4に送る。受信機4は、アンテナ3から送られてくる信号を周波数変換し、受信信号として目標検出部5に送る。目標検出部5は、受信機4から送られてくる受信信号に基づき目標を検出し、その検出した目標を示す目標検出情報を、追尾制御部6に送る。
【0053】
追尾制御部6は、目標検出部5から送られてくる目標検出情報によって示される目標が真目標であるか否かを調べる。そして、真目標であることを確認した場合に、その旨を表す追尾情報を生成して追尾ビーム制御器8に送る。追尾ビーム制御器8は、追尾制御部6から送られてくる追尾情報に基づいて、追尾用の制御信号を生成し、リソース制御器11に送る。
【0054】
なお、一般に、検定ビームは捜索ビームよりSN比を高くできるので、検定ビームによる検定処理の方が、捜索ビームによる検定処理より、探知確率や測角精度に優れている。また、捜索ビームによる検定処理は、ビームポジションが初探知目標の方向に向けられるまで待たなければならないのに対し、検定ビームによる検定処理は、初探知目標が検出された後に直ちに実行できるので、追尾移行時間を短くできる。
【0055】
次に、追尾時の動作を説明する。送信機1は、追尾ビーム制御器8からリソース制御器11を経由して送られてくる追尾用の制御信号に応答して送信信号を生成し、アンテナ3に送る。また、走査制御部2は、追尾ビーム制御器8からリソース制御器11を経由して送られてくる制御信号に基づいてアンテナ制御信号を生成し、アンテナ3に送る。
【0056】
アンテナ3は、送信機1から送られてくる送信信号を電波に変換して送信波を生成し、走査制御部2から送られてくるアンテナ制御信号によって指示される方向の空間に向けて、追尾ビームとして送信するとともに、この送信波の反射波を受信し、電気信号に変換して受信機4に送る。受信機4は、アンテナ3から送られてくる信号を周波数変換し、受信信号として目標検出部5に送る。目標検出部5は、受信機4から送られてくる受信信号に基づき目標を検出し、その検出した目標を示す目標検出情報を、追尾制御部6に送る。
【0057】
追尾制御部6は、目標検出部5から送られてくる目標検出情報によって示される目標が真目標か否かを調べる。そして、真目標であることを確認した場合に、前回の追尾情報を更新した追尾情報を生成して追尾ビーム制御器8に送る。追尾ビーム制御器8は、追尾制御部6から送られてくる更新された追尾情報に基づいて、次回の追尾用の制御信号を生成し、リソース制御器11に送る。
【0058】
リソース制御器11においては、追尾ビーム制御器8からの制御信号、検定ビーム制御器9からの制御信号および捜索ビーム制御器10からの制御信号に基づいて、リソースを割り当てる制御が行われる。この際、リソース制御器11は、捜索ビーム制御器10からの制御信号にリソースを割り当てる場合は、検定用として優先度が高く設定された捜索ビームに対するリソースを、検定に用いられない他の捜索ビームよりも優先して割り当てる。
【0059】
そして、優先してリソースが割り当てられた捜索ビームによる検知処理が行われる。この場合、捜索リソースの減少によって、初探知目標に指向するビームポジション以外のビームポジションに対する捜索処理が行われない(または、次の単位時間の処理に回される)というケースが発生するが、当該ビームポジションは、元々、初探知目標が検出されなかった方向であるので、探知性能への影響は少ない。
【0060】
以上説明したように、本発明の実施例1に係る追尾レーダ装置によれば、初探知目標が増大することによって検定リソースが不足した場合は、捜索ビームによる検知処理が行われるので、初探知目標の検定処理が後回しにされることによって追尾移行時間が長くなることを防止できる。
【0061】
また、捜索リソースが検定処理に使用されることにより、捜索ビームによる捜索処理が行われない方向も発生するが、その方向には、元々初探知目標が検出されていないので捜索ビームによって初探知目標が検出される可能性は小さいので、捜索性能への影響は少ない。
【0062】
なお、追尾レーダ装置の検定方式としては、後述する実施例2〜実施例4に係る追尾レーダ装置で使用される検定方式(検定ビームによる検定処理と捜索ビームによる検定処理)の他に、検定ビームと捜索ビームの両方の目標検出情報を用いて検定処理を行うように構成することもできる。
【実施例2】
【0063】
本発明の実施例2に係る追尾レーダ装置は、実施例1に係る追尾レーダ装置において、初探知目標の数に応じて、検定ビームによる検定処理を行うか捜索ビームによる検定処理を行うかを判断するようにしたものである。
【0064】
この実施例2に係る追尾レーダ装置の構成は、実施例1に係る追尾レーダ装置の構成と同じである。
【0065】
次に、この実施例2に係る追尾レーダ装置の動作を、レーダ制御部7の検定方式選択器12における動作を中心に、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0066】
この追尾レーダ装置では、まず、初探知情報によって示される初探知目標の数がカウントされ、その結果が初探知数とされる(ステップS11)。次いで、ステップS11で得られた初探知数が、検定リソースより大きいかどうかが調べられる(ステップS12)。このステップS12において、初探知数が検定リソースより大きくない、つまり初探知数が検定リソースの範囲内であると判断されると、検定ビームによる検定処理が行われる(ステップS13)。
【0067】
一方、上記ステップS12において、初探知数が検定リソースより大きい、つまり初探知数が検定リソースを上回ることが判断されると、個々の初探知情報の状況によらず、全ての初探知目標に対して捜索ビームによる検定処理が行われる(ステップS14)。
【0068】
以上説明したように、本発明の実施例2に係る追尾レーダ装置によれば、後述する実施例3および実施例4に係る追尾レーダ装置のように、初探知情報によって示される初探知目標毎の処理は行われないので、処理が単純であり、追尾レーダ装置の処理負荷を軽減できる。
【0069】
なお、上述した検定ビームによる検定処理(ステップS13)および捜索ビームによる検定処理(ステップS14)においては、目標が真目標であるかどうかの判断方法として、M回の観測によって目標がN回以上観測された場合に真目標と判断する“N of M”を採用することができる。この場合、NおよびMは、N≦Mの条件の下で、自由に選択できる。
【実施例3】
【0070】
本発明の実施例3に係る追尾レーダ装置は、実施例1に係る追尾レーダ装置において、初探知目標の数が検定リソースより大きい場合に、設定された範囲内の初探知目標であるかどうかに応じて、検定ビームによる検定処理を行うか捜索ビームによる検定処理を行うかを判断するようにしたものである。
【0071】
この実施例3に係る追尾レーダ装置の構成は、実施例1に係る追尾レーダ装置の構成と同じである。
【0072】
次に、この実施例3に係る追尾レーダ装置の動作を、レーダ制御部7の検定方式選択器12における動作を中心に、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0073】
この追尾レーダ装置では、まず、初探知情報によって示される初探知目標の数がカウントされ、その結果が初探知数とされる(ステップS21)。次いで、ステップS21で得られた初探知数が、検定リソースより大きいかどうかが調べられる(ステップS22)。このステップS22において、初探知数が検定リソースより大きくない、つまり初探知数が検定リソースの範囲内であると判断されると、検定ビームによる検定処理が行われる(ステップS23)。
【0074】
一方、上記ステップS22において、初探知数が検定リソースより大きい、つまり初探知数が検定リソースを上回ることが判断されると、初探知情報によって示される初探知目標に初探知目標番号Kが付与される(ステップS24)。次いで、当該初探知目標番号Kが付与された初探知目標が、設定された範囲からの初探知情報によるものであるかどうかが調べられる(ステップS25)。
【0075】
このステップS25において、設定された範囲からの初探知情報によるものであることが判断されると、その初探知情報によって示される初探知目標に対して、検定ビームによる検定処理が行われる(ステップS26)。
【0076】
一方、ステップS25において、設定された範囲外からの初探知情報によるものであることが判断されると、その初探知情報によって示される初探知目標に対して、捜索ビームによる検定処理が行われる(ステップS27)。次いで、初探知目標番号Kがインクリメントされ(ステップS28)、上述した処理が、初探知情報によって示される初探知目標が無くなるまで繰り返される。
【0077】
以上説明したように、本発明の実施例3に係る追尾レーダ装置によれば、遮蔽物等により見通しの得られない方向に対して、遮蔽物の手前側の範囲を、例えば検定優先範囲として設定しておくことにより、迅速な検定処理を行うことができる。
【0078】
なお、上述した実施例3に係る追尾レーダ装置では、検定優先範囲を設定するように構成したが、検定優先範囲のみならず、設定する範囲毎に、検定方式や検定パラメータ(“N of M”におけるNおよびMや検定ビームの時間間隔)を設定できるように構成することもできる。
【実施例4】
【0079】
本発明の実施例4に係る追尾レーダ装置は、実施例1に係る追尾レーダ装置において、初探知目標の数が検定リソースより大きい場合に、初探知目標に優先度を付し、この優先度に従って、検定ビームによる検定処理を行うか捜索ビームによる検定処理を行うかを判断するようにしたものである。
【0080】
この実施例4に係る追尾レーダ装置の構成は、実施例1に係る追尾レーダ装置の構成と同じである。
【0081】
次に、この実施例4に係る追尾レーダ装置の動作を、レーダ制御部7の検定方式選択器12における動作を中心に、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0082】
この追尾レーダ装置では、まず、初探知情報によって示される初探知目標の数がカウントされ、その結果が初探知数とされる(ステップS31)。次いで、ステップS31で得られた初探知数が、検定リソースより大きいかどうかが調べられる(ステップS32)。このステップS32において、初探知数が検定リソースより大きくない、つまり初探知数が検定リソースの範囲内であると判断されると、検定ビームによる検定処理が行われる(ステップS33)。
【0083】
一方、上記ステップS32において、初探知数が検定リソースより大きい、つまり初探知数が検定リソースを上回ることが判断されると、初探知情報によって示される初探知目標に付与する優先度(小さいほうが優先順位が高い)が算出される(ステップS34)。優先度の算出には、初探知情報によって示される初探知目標の位置、目標振幅、ドップラ周波数等のパラメータを用いることができ、それぞれパラメータに対する優先度を決定する関数は、自由に決めることができる。
【0084】
次いで、初探知情報によって示される初探知目標に初探知目標番号Kが付与される(ステップS35)。次いで、当該初探知目標番号Kが付与された初探知目標の優先度が検定リソースより大きいかどうかが調べられる(ステップS36)。このステップS36において、初探知目標の優先度が検定リソース以下であることが判断されると、その初探知情報によって示される初探知目標に対して、検定ビームによる検定処理が行われる(ステップS37)。
【0085】
一方、ステップS36において、初探知目標の優先度が検定リソースより大きいことが判断されると、その初探知情報によって示される初探知目標に対して、捜索ビームによる検定処理が行われる(ステップS38)。次いで、初探知目標番号Kがインクリメントされ(ステップS39)、上述した処理が、初探知情報によって示される初探知目標が無くなるまで繰り返される。
【0086】
以上説明したように、本発明の実施例4に係る追尾レーダ装置によれば、初探知目標の位置以外の情報も用いて優先度を算出し、算出された優先度に従って検定処理に使用するビームを決定するため、より効率的な検定処理が行われる。
【実施例5】
【0087】
本発明の実施例5に係る追尾レーダ装置は、実施例1に係る追尾レーダ装置において、検定ビームによる検定処理と捜索ビームによる検定処理の入れ替えを可能にしたものである。
【0088】
この実施例5に係る追尾レーダ装置の構成は、実施例1に係る追尾レーダ装置の構成と同じである。
【0089】
次に、この実施例5に係る追尾レーダ装置の動作を、図7に示す状態遷移図を参照しながら説明する。この追尾レーダ装置では、検定ビームによる検定処理と捜索ビームによる検定処理に用いる観測回数が等しく、この観測回数を「3」とする。また、3回の観測のうち2回の検定で目標を確認できた場合に真目標と判断するものとする。
【0090】
図7において、状態「0」で初探知目標が確認される(「PD」で示す)と状態「1」に遷移する。状態「1」において、目標が確認されると状態「3」に遷移し、目標が確認されない(「QD」で示す)と状態「2」に遷移する。状態「2」において、目標が確認されると状態「3」に遷移し、真目標であることを判定する。一方、状態「2」において、目標が確認されないと状態「0」に遷移し新たな初探知目標としての確認が待たれる。そして、上記遷移は、捜索ビームと検定ビームに対して同様に行われる。
【0091】
このように、捜索ビームを用いた検定処理と検定ビームを用いた検定処理は、同じ状態遷移により実現されているので、例えば、状態「2」において、検索ビームを用いて目標の確認を行う検定処理は、状態「2」において、検定ビームを用いて目標の確認を行う検定処理に移行できる。
【0092】
以上説明したように、本発明の実施例5に係る追尾レーダ装置によれば、検定処理に用いる観測回数が同一であることにより、途中で検定リソースに余裕ができた場合、捜索ビームによる検定処理を実施していた目標に対して、検定ビームによる検定処理に切り替えることや、逆に優先度の高い初探知目標が現れた場合、優先度の低い検定処理中の目標を捜索ビームによる検定処理に切り替えることが容易になる。
【実施例6】
【0093】
本発明の実施例6に係る追尾レーダ装置は、実施例1に係る追尾レーダ装置において、検定ビームによる検定処理と捜索ビームによる検定処理に用いる観測回数を、共に1回だけにしたものである。
【0094】
この実施例6に係る追尾レーダ装置の構成は、実施例1に係る追尾レーダ装置の構成と同じである。
【0095】
この実施例6の追尾レーダ装置では、検定ビームによる検定処理と捜索ビームによる検定処理が、1回の観測によって行われる。従って、この実施例6に係る追尾レーダ装置では、検定処理のための追尾レーダ装置の処理負荷が著しく軽減される。
【0096】
以上説明したように、本発明の実施例6に係る追尾レーダ装置によれば、検定処理に用いる観測回数が複数の場合と比較して、1回の検定処理で追尾に移行できる確率は低下するが、複数回の検定処理を行うことにより、追尾に移行できる確率を累積した確率を、観測回数が複数の場合と同等にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、種々のレーダ装置やソナー装置などに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施例1に係る追尾レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1に係る追尾レーダ装置で使用されるビームを説明するための図である
【図3】本発明の実施例1に係る追尾レーダ装置で使用されるリソースを説明するための図である
【図4】本発明の実施例2に係る追尾レーダ装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例3に係る追尾レーダ装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例4に係る追尾レーダ装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例5に係る追尾レーダ装置の動作を説明するための図である。
【図8】従来の追尾レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図9】従来の追尾レーダ装置で使用されるリソースを説明するための図である
【符号の説明】
【0099】
1 送信機
2 走査制御部
3 アンテナ
4 受信機
5 目標検出部
6 追尾制御部
7 レーダ制御部
8 追尾ビーム制御器
9 検定ビーム制御器
10 捜索ビーム制御器
11 リソース制御器
12 検定方式選択器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定方向の空間に送信された送信波の反射波を受信する受信機と、
前記受信機からの受信信号に基づき目標を検出する目標検出部と、
前記目標検出部で検出された目標を表す目標検出情報に基づいて、目標を追尾するための追尾情報および初めて検出された目標である初探知目標を表す初探知情報を生成して出力する追尾制御部と、
前記追尾制御部から出力される追尾情報および初探知情報に基づいてビーム制御を行うレーダ制御部とを備えた追尾レーダ装置において、
前記レーダ制御部は、前記追尾制御部から出力される初探知情報によって表される初探知目標が真目標であるかどうかを確認する検定処理として、検定専用の検定ビームによる検定処理または検定と捜索とが兼用される捜索ビームによる検定処理の何れかを選択する検定方式選択器を備えたことを特徴とする追尾レーダ装置。
【請求項2】
前記レーダ制御部は、追尾処理を行うための追尾リソース、検定処理を行うための検定リソースおよび捜索処理を行うための捜索リソースを有し、
前記追尾制御部から出力される初探知情報によって示される初探知目標の数が前記検定リソースよりも多い場合に、前記検定方式選択器は、前記捜索リソースを用いた捜索ビームによる検定処理を選択することを特徴とする請求項1記載の追尾レーダ装置。
【請求項3】
前記レーダ制御部は、追尾処理を行うための追尾リソース、検定処理を行うための検定リソースおよび捜索処理を行うための捜索リソースを有し、
前記追尾制御部から出力される初探知情報によって示される初探知目標の数が前記検定リソースよりも多い場合に、前記検定方式選択器は、所定の捜索範囲から検出された初探知目標に対しては前記検定リソースを用いた検定ビームによる検定処理を選択し、所定の捜索範囲以外から検出された初探知目標に対しては前記捜索リソースを用いた捜索ビームによる検定処理を選択することを特徴とする請求項1記載の追尾レーダ装置。
【請求項4】
前記レーダ制御部は、追尾処理を行うための追尾リソース、検定処理を行うための検定リソースおよび捜索処理を行うための捜索リソースを有し、
前記追尾制御部から出力される初探知情報によって示される初探知目標の数が前記検定リソースよりも多い場合に初探知目標に対して優先度を付与し、前記検定方式選択器は、優先度の高い初探知目標に対しては前記検定リソースを用いた検定ビームによる検定処理を選択し、優先度の低い初探知目標に対しては前記捜索リソースを用いた捜索ビームによる検定処理を選択することを特徴とする請求項1記載の追尾レーダ装置。
【請求項5】
前記レーダ制御部は、検定ビームによる検定処理で行われる観測回数と捜索ビームによる検定処理で行われる観測回数とが等しくなるように制御し、前記検定リソースまたは捜索リソースが変化した場合に、検定ビームによる検定処理から捜索ビームによる検定処理に、または捜索ビームによる検定処理から検定ビームによる検定処理に移行させることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の追尾レーダ装置。
【請求項6】
前記レーダ制御部は、検定ビームによる検定処理および捜索ビームによる検定処理を共に1回の観測で行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の追尾レーダ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−329698(P2006−329698A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−150773(P2005−150773)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】