説明

送信端末、並びに通信システム

【課題】受信側の端末に専用の装置を設けることなく、送信証明(送信行為を行なった事実を証明するためもの)を発行可能な送信端末を提供することを目的とする。
【解決手段】通信システムSはサーバ装置20、コントローラ30、カードリーダ40、Fax装置50を備える。Fax装置50は、通信処理が開始されると、各ステータスをコントローラに通知するように構成される。そして、コントローラでは、原稿の読取完了し、かつネゴシエーションが完了したことを条件に、送信確定したと判定し、Fax装置に送信証明の発行を指示する。このように、送信先のFax装置60が画像データを受信完了する前段階であっても、所定の条件させ満たせば、送信側で送信証明を発行するようにした。このような構成であれば、受信側にそれ専用の装置を設ける必要がなく、送信先のFax装置60として汎用のものを利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信端末、並びにそれを使用した通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より送信端末から送信された画像データを受信端末で受信する場合に、受信側から送信側に画像データの受領報告を行なうようにしたものが提案されている(特許文献1、特許文献2)。このように、受信側から受領報告を行なうことで、送信者は画像データが無事に送信されたことを確認することが出来る。
特許文献1であれば、送信側、受信側の双方にそれぞれ受取人指定情報送信手段、受領完了応答受信手段を設け、画像データの受取りが完了すると、受信側から送信側に応答が行なわれて送信者に対してその旨を通知するようにしていた。また、特許文献2においては、原稿受取人が受信側のファクシミリを遠隔操作して、受信証明を送信側に返送するものが開示されている。
【特許文献1】特開平6−284232号公報
【特許文献2】特開平6−30235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の構成では、送信側のみならず受信側にも専用の装置を設けるなど、受信側の協力が必要不可欠であり、受信側がそれに対応していないと、システムとして成り立たないという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、受信側の端末に専用の装置を設けることなく、送信証明(送信行為を行なった事実を証明するためのもの)を発行可能な送信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、受信端末に対して通信回線を通じて画像データを送信する送信端末であって、送信が指示され、かつ送信する画像データが特定されることを条件に、送信証明を発行する証明発行手段を備えるところに特徴を有する。
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項2の発明は、受信端末に対して通信回線を通じて画像データを送信する送信端末であって、送信する画像データが特定され、かつ送信先となる受信端末との通信が確立したことを条件に、送信証明を発行する証明発行手段を備えるところに特徴を有する。
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項3の発明は、受信端末に対して通信回線を通じて画像データを送信する送信端末であって、少なくとも一部の画像データの送信が完了したことを条件に、送信証明を発行する証明発行手段を備えるところに特徴を有する。
【0007】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記送信証明には、送信対象の画像データの少なくとも一部と、送信証明であることを示す情報と、が含まれているところに特徴を有する。
【0008】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記証明発行手段は、前記送信証明の発行を被記録媒体への印字により行なうところに特徴を有する。
【0009】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のものにおいて、送信される画像データが送信証明の発行対象であることを送信先となる前記受信端末に通知する送信証明通知手段を備えるところに特徴を有する。
【0010】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のものにおいて、前記証明発行手段は、前記送信証明に固有の識別番号を付与するところに特徴を有する。
【0011】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のものにおいて、原稿を読み取って送信対象の画像データを生成する読取手段を備えるところに特徴を有する。
【0012】
請求項9の発明は、請求項8に記載のものにおいて、複数枚の原稿を送信する場合に、前記送信証明には、送信の対象となる各原稿について少なくとも一部の画像データが含まれているところに特徴を有する。
【0013】
請求項10の発明は、サーバ装置と、請求項1から請求項9のいずれかに記載の送信端末とが通信可能に接続された通信システムであって、前記送信端末から前記サーバ装置に、前記送信証明の発行通知、並びに送信処理の完了通知がされるように構成され、前記サーバ装置は、前記送信証明の発行通知を受け取った後に、所定時間を経過しても送信処理の完了通知が送信されてこない場合に、送信エラーを出力する出力手段を備えるところに特徴を有する。
【0014】
請求項11の発明は、サーバ装置と、請求項1から請求項9のいずれかに記載の送信端末とが通信可能に接続された通信システムであって、前記送信端末の証明発行手段は前記サーバ装置に送信証明を転送し、前記サーバ装置は、転送された送信証明を保管する保管手段を備えるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0015】
<請求項1〜請求項3の発明>
本発明によれば、受信端末が画像データを受信完了する前段階であっても、所定の条件させ満たせば、送信側で送信証明を発行するようにした。このような構成であれば、受信側にそれ専用の装置を設ける必要がないので、受信端末に汎用のものを使用できる。
また、請求項1の発明では所定の条件を、送信が指示され、かつ送信する画像データが特定されることとした。このような条件の基に送信証明を発行すれば、送信の指示後、早い段階で、送信証明の発行が可能となる。
また、請求項2の発明では所定の条件を、送信する画像データが特定され、かつ送信先となる受信端末との通信が確立したこととした。このような条件の基に送信証明を発行すれば、送信証明を発行した後に、送信が不調に終わる可能性が低い。
また、請求項3の発明では所定の条件を、少なくとも一部の画像データの送信が完了したこととした。このような条件の基に送信証明を発行すれば、送信証明を発行した後に、送信が不調に終わる可能性がより一層低くなる。
【0016】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、送信証明に次のものを含ませることとした。
(i)画像データの一部
(ii)送信証明であることを示す情報
このような構成であれば、画像データを参照することで送信証明の対象となる原稿を容易に把握出来るので、送信証明として、好適である。
【0017】
<請求項5の発明>
請求項5の発明によれば、送信証明の発行を被記録媒体に対する印字により行なうこととした。このような構成であれば、画像データを送信したクライアントが送信証明をその場で受け取ることができる。
【0018】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、受信端末を利用するユーザに対して、送信された原稿が送信証明の対象となっている重要なものであることを認識させることが可能となる。
【0019】
<請求項7の発明>
請求項7の発明によれば、送信証明に固有の識別番号を付すようにした。このような構成であれば、偽造防止に有効である。すなわち、識別番号を照合することで、送信証明が正規のものであるか、否かを簡単に判別できる。
【0020】
<請求項8の発明>
請求項8の発明によれば、送信端末に原稿を読み取るための読取手段を設けた。このような構成であれば、本発明を複合機によるファクシミリ通信に適用できる。
【0021】
<請求項9の発明>
請求項9の発明によれば、送信証明に、送信の対象となる各原稿について少なくとも一部の画像データを含ませることとした。このような構成であれば、送信証明を参照することで、すべての原稿が送信されたか、否かを把握出来る。例えば、重送などが発生していた場合には、重なった原稿については、送信証明に画像データが含まれない。従って、送信証明に画像データが含まれていなかった原稿については、送信されていないと分かる。
【0022】
<請求項10の発明>
請求項10の発明によれば、送信証明の発行通知を受け取った後に、所定時間を経過しても送信処理の完了報告が通知されない場合に、送信エラーを出力することとした。このような構成であれば、最終的に送信が不調に終わった場合であっても、それを、知らせることが可能となるので、システムとしての信頼性が高まる。
【0023】
<請求項11の発明>
請求項11の発明によれば、送信証明をサーバ装置に転送して一括管理するようにした。このような構成であれば、送信証明について管理工数の削減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。
本発明は、ファクシミリ通信を行なう際に、送信行為を行なった事実を証明する送信証明を送信側が単独で発行するようにしたものである。そして、本実施形態では、ファクシミリ通信の一形態として、ビジネス用のコンビニエンスストア等の店舗が、店舗内に設置されたファクシミリ装置(以下、Fax装置50とする)を利用して公衆にファクシミリ通信サービスを提供するものを例に挙げている。
【0025】
図1は、店舗内において構築された通信システムSの構成を示すブロック図であり、同図に示す符号は20はサーバ装置である。サーバ装置20にはLAN(ローカルエリアネットワーク)によってコントローラ30が通信可能に接続されている。コントローラ30にはFax装置50並びに、カードリーダ40がUSB等の信号線を介してそれぞれ接続されている。また、符号60は送信先のFax装置である。尚、Fax装置50並びにコントローラ30が本発明の送信端末の一例に相当し、Fax装置60が本発明の受信端末の一例に相当する。
【0026】
Fax装置50はファクシミリ機能に加え、スキャナ機能、プリンタ機能を有する複合機であって、ファクシミリ機能を担う通信部55、スキャナ機能を担う読取部(本発明の読取手段に相当)53、プリンタ機能を担う印刷部(本発明の証明発行手段の一例)51、モード切替部57、メモリ59などから構成される。モード切替部57はファクシミリ通信を実行する際に通常モードと送信証明発行モードのいずれかを選択するものである。
【0027】
尚、通常モードは送信証明が発行されないモードであり、同モードが選択された場合には、通常のファクシミリ通信が行なわれるので、以降、通常モードの説明を割愛するものとする。
【0028】
サーバ装置20には、各種のソフトウエアが保存管理されており、コントローラ30にソフトウエアを供給するように構成されている。
【0029】
コントローラ30は本発明の証明発行手段としての機能の少なくとも一部を担うものであって、Fax装置50の動作許可、動作禁止などを制御するとともに、通信処理が開始されると、Fax装置50から通知されるステータス(処理状態)に基づいて、送信処理が確定したか、否かの判定を行う。そして、送信処理が確定すると、Fax装置50に対して送信証明の発行を指示するものである(図2参照)。
【0030】
図3は、通信システムSの通信処理を示すシーケンス図である。
本通信システムSは、クレジット決済を採用しており、サービスを利用するクライアントは、まず、店舗において、決済のための手続きを行なう必要がある。すなわち、クレジットカードがカードリーダ40にスロットインされると、カードのICチップに書き込まれた情報(カード番号など)が読み取られてコントローラ30に送られる。すると、コントローラ30は送られて来た情報を、サーバ装置20に転送する処理を行なう。サーバ装置20では、送信されてきたカード番号などの情報をカード会社などに転送して照会する処理が行なわれる。
【0031】
コントローラ30は、サーバ装置20によるクレジットカードの照会が完了すると、Fax装置50に対して動作許可を与える(図2中のステップ10)。これにより始めて、Fax装置50が使用可能な状態となる。尚、コントローラ30は、Fax装置50に対して動作許可を与えた後、Fax装置50からステータスが通知されるのを待つ待機状態(図2中のステップ20)になる。
【0032】
Fax装置50が使用可能な状態になると、クライアントによりモードの選択(ここでは、送信証明発行モードが選択されたものとする)が行なわれ、その後、原稿を送信するための一連の入力操作がクライアントにより行なわれる。すなわち、Fax装置50に対して原稿(ここでは、全3頁)がセットされるとともに、送信先のダイヤル番号がキー入力され、その後、スタートキー(図示せず)に対する操作により送信指示が行なわれる。
【0033】
これにより、選択されたモード、ダイヤル情報などがFax装置50に受け付けられ、その後、原稿を読み取る処理がFax装置50により実行される。本実施形態では、いわゆるメモリ送信を利用して原稿を送信するものを例示しており、全頁の原稿が一旦、Fax装置50内のメモリ59に記憶される。
【0034】
全頁の原稿について画像データの読み取りが完了すると、送信先との電話回線が閉結され、続いて、送信先のFax装置60との間でネゴシエーション(2台の機器が通信を確立する際に、通信速度などの情報を相互に交換しながら通信設定を決定すること)が行なわれる。
【0035】
そして、送信元のFax装置50は上述した処理が実行される過程で、コントローラ30にステータスを通知する。すなわち、図3に示すように、送信先のダイヤル番号が入力されるとダイヤル情報が通知され、原稿の読取が開始されると、その旨が通知され、その後、原稿の読み取りが完了したときには、その旨が通知される。また、回線の閉結、ネゴシエーションの開始、ネゴシエーションの完了についても、その都度、Fax装置50からコントローラ30に通知されるようになっている。
【0036】
そして、コントローラ30は、ステータスの通知がある都度、送信処理が確定したか、否かを判定する処理を行なう(図2中のステップ30)。より具体的に説明すると、コントローラ30はFax装置50から以下の2つのステータスが共に通知がされると、送信処理が確定したと判定する。
a.原稿の読取完了
b.ネゴシエーションの完了
【0037】
これにより、図3中の(3)のタイミングで送信処理が確定したとコントローラ30により判定される。送信処理が確定すると、コントローラ30は店舗番号、サービスを行なった日付け等に基づいてID番号(本発明の固有の識別番号の一例)を生成する処理を行なう(図2中のステップ40)。そして、ID番号の生成が完了すると、コントローラ30はFax装置50に対して送信証明の発行を指示する通知を行なう(図2中のステップ50)。
【0038】
尚、上記したコントローラ30によるステップ30、ステップ50の処理により本発明の「送信する画像データが特定(原稿の読取完了)され、かつ送信先となる受信端末(Fax装置60)との通信が確立(ネゴシエーションの完了)したことを条件に送信証明を発行する」が実現されている。
【0039】
一方、コントローラ30から送信証明の指示を受けたFax装置50では、送信証明を発行する処理が行なわれる。具体的には、メモリ59から原稿の画像データの少なくとも一部の読み出しを行い、その後、同データに対して例えば、証明刻印などの特定の画像データを合成し、これを印刷部51によって用紙に印字する。尚、証明刻印などの特定の画像データが本発明の送信証明であることを示す情報の一例である。
【0040】
本実施形態では、図4に示すように、各頁についてそれぞれ個別に送信証明が発行されるようになっている。また、同図における証明刻印の右上部に示される××××なる文字列はコントローラ30によって生成されたID番号である。また、本実施形態のものは、各頁の送信証明とともに、送信内容(発信時刻、発信元、発信先を箇条書きにした送信レポートが併せてプリントアウトされるように構成されている。
【0041】
このように、送信処理が確定したことを条件に、送信レポート並びに送信証明を発行することにしたので、送信先のFax装置60に対する送信処理が全て完了することを待つことなく、クライアントは送信レポート或いは送信証明を受け取ることができ、このタイミングで、店舗を出ることも可能となる。
【0042】
そして、上述した送信証明を発行する処理に続いて、送信元となるFax装置50から送信先となるFax装置60に対して原稿を送信する処理が行なわれる。すなわち、まず、1ページ目の原稿について、メモリ59から画像データの読み出しが行なわれ、これが電話回線を通じて送信先となるFax装置60に送信される。そして、1ページ目の原稿の送信が完了すると、今度は、メモリ59から2ページ目の原稿について画像データの読み出しが行なわれ、これが電話回線を通じて送信先となるFax装置60に送信される。そして、同じ要領で、3ページ目の原稿について画像データが送信され、全画像データが送信完了すると回線が開放される。
【0043】
そして、上記した送信処理中においても、Fax装置50からコントローラ30に各ステータスが通知されるようになっている。すなわち、各頁について画像データが送信されるたびに、その旨の通知がコントローラ30に送信され、回線が開放されたときには、その旨の通知がコントローラ30に送信される。
【0044】
一方、コントローラ30では、ステップ50で送信証明の印刷を指示する処理を行なうと、その後は、再び、ステータスの通知を待つ待機状態となり(ステップ60)、ステータスの通知があると、回線が開放されたか否かを判定する処理を行う(ステップ70)。
尚、コントローラ30がステップ50でFax装置50に印刷指示を行なう処理により、本発明の「前記証明発行手段は、前記送信証明の発行を被記録媒体への印字により行なう」が実現されている。
【0045】
そして、回線開放完了を示す通知を受けると、ステップ70でYes判定されて、ステップ80に移行する。ステップ80ではFax装置50に対して動作禁止指令を通知する処理がコントローラ30により行なわれる。これにより、Fax装置50は元の使用禁止状態になる。
【0046】
以上述べたように、ファクシミリ通信サービスの提供に際して送信証明を発行するようにしたので、事後において、送信行為を行なった事実を簡単に証明することが可能となり、通信システムSの付加価値が高まる。加えて、所定条件させ満たせば、画像データが送信先のFax装置60によって受信される前段階であっても、送信証明を発行するようにした。このような構成であれば、従来のように受信端末からの受信完了に関する連絡を待つことがないので、早期に送信証明の発行が可能となり、利便性が高まる。
【0047】
また、送信する画像データの読み込みが完了し、かつ送信先とのネゴシエーションが完了することを条件に、送信証明を発行することとした。このような条件が成立した後であれば、ファクシミリ送信が不調に終わる可能性が低く、送信証明の発行を指示するタイミングとして好適である。すなわち、ネゴシエーションが完了した後であれば、ネゴシエーションの不調による送信エラーが起こることがない。また、送信する画像データの読み込みが完了した後であれば、送信中に何らかの理由によりエラーが発生したとしても、送信する画像データがすでに読み込まれた状態にあるので、再度、送信処理を行なうことが可能である。
【0048】
加えて、本実施形態では、ネゴシエーションを完了させる必要があるものの、送信元のFax装置50が送信先のFax装置60の受信状況に拘わらず、送信証明を発行することとしているので、送信先のFax装置60に対して何ら専用の装置を設ける必要がなく、送信先のFax装置60として汎用のものを利用できる。
【0049】
加えて、本実施形態のものは、送信証明に、送信の対象となる各原稿について少なくとも一部の画像データを含ませることとした。このような構成であれば、送信証明を参照することで、すべての原稿が送信されたか、否かを把握出来る。例えば、重送などが発生していた場合には、重なった原稿については、送信証明に画像データが含まれない。従って、送信証明に画像データが含まれていなかった原稿については、送信されていないと分かる。
【0050】
<実施形態2>
実施形態1では、送信処理が確定したか否かを以下の2つの条件に基づいて判定した。
a.原稿の読取完了
b.ネゴシエーションの完了
【0051】
これに対して、実施形態2では、判定に2つの条件を課す点は共通しているが、条件の内容を実施形態1とは異ならせ次のように設定している。
a.スタートキーの受付(本発明の送信が指示されに相当)
b.原稿の読取完了(本発明の画像データが特定されに相当)
【0052】
これにより、図3中の(1)のタイミングで送信処理が確定したと判定される。従って、実施形態1の場合より早期に、送信証明の発行を行なうことが可能となる。他の構成については、実施形態1と同じである。
【0053】
<実施形態3>
実施形態1では、送信処理が確定したか、否かを以下の2つの条件に基づいて判定した。
a.原稿の読取完了
b.ネゴシエーションの完了
【0054】
これに対して、実施形態3では、判定条件の内容を実施形態1とは異ならせ次のように設定している。
a.少なくとも一部の画像データの送信完了
【0055】
これにより、図3中の(4)のタイミングで送信処理が確定したと判定される。従って、実施形態1の場合に比べて、送信証明の発行タイミングが遅れてしまうが、送信証明の発行時には、すでに、一部の画像データについては送信が完了した状態にあるので、送信が不調に終わる可能性が極めて低く、送信証明について信頼性が高まる。
【0056】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図5ないし図6によって説明する。
実施形態4のものは、送信処理が確定して送信証明の発行を指示した段階並びに送信処理が完了した段階で、それぞれ、コントローラ30からサーバ装置20にステータスを通知することとした(図5参照)。そして、これら両通知の基づいて、サーバ装置20により送信状況に応じた出力を行うこととした。
尚、送信証明の発行を指示した段階として、図5では実施形態1のもの(タイミング)を適用しているが、この段階としては、実施形態2または実施形態3のもの(タイミング)を適用してもよい。
【0057】
図6に示すフローチャートを参照して具体的に説明すると、まず、ファクシミリ通信処理が開始されると、サーバ装置20は、ステータスの通知を待つ待機状態となる(ステップ100)。そして、コントローラ30からステータスの通知があると、ステップ110に移行して、通知されたステータスについて判定する処理を行なう。
【0058】
コントローラ30から通知されたステータスが、送信証明の発行を示すものである場合には、ステップ110でYes判定されて、ステップ120に移行する。ステップ120では、ステータスを受諾する処理が行なわれる。具体的には、ID番号とともに、送信証明の発行履歴がサーバ装置20により保管される。
【0059】
ステップ120の処理が完了すると、今度は、ステップ130に移行して、ステータスの通知を待つ待機状態となる。そして、コントローラ30からステータスの通知があると、ステップ140に移行して、通知されたステータスについて判定する処理を行なう。このステップ140では、通知されたステータスが送信処理の完了を示すものである場合に、Yes判定され、通知されたステータスが、送信処理の完了を示すもの以外の場合には、No判定される。
【0060】
No判定された場合の処理について先に説明すると、その後、処理はステップ150に移行して、一定時間Toが経過したか否かについて、判定が行なわれる。そして、一定時間Toが経過していなければ、ステップ150でNo判定され、処理は、再び、ステップ130に移行する。
【0061】
これにより、サーバ装置20では、一定時間Toが経過してステップ150でYes判定されるか、或いは送信処理の完了を示す通知がされてステップ140でYes判定されるまで、ステップ130、ステップ140(判定No)、ステップ150(判定No)の処理が繰り返し行なわれることとなる。尚、一定時間Toは、図5に示すように、送信証明の発行について通知があってから、相手側のFax装置60に原稿の送信を完了させるのに必要な時間より十分長い時間に設定されている。
【0062】
以上のことから、通常であれば、一定時間Toがタイムアップする前に、コントローラ30からサーバ装置20に対して、送信処理の完了を示す通知され、ステップ140でYes判定される。そして、ステップ140でYes判定されると、ステップ170に移行して、ステータスを受諾する処理が行なわれる。具体的には、ID番号とともに、送信処理の完了履歴がサーバ装置20により保管される。そして、ステップ170の処理が完了すると、ステップ180に移行して、受諾処理に応じた出力が行なわれる。具体的には、サーバ装置20により、予め登録されたクライアントの連絡先(例えば、予め登録されたクライアントのメール送信先(メールアドレス))に、送信完了した旨の通知が行なわれる。
【0063】
一方、何らかの理由で送信エラーが発生した場合には、コントローラ30からサーバ装置20に送信処理の完了した旨の通知がされることなく、一定時間Toが経過してタイムアップする。これにより、ステップ150でYes判定され、その後、ステップ160に移行する。ステップ160では、送信エラーの出力が行なわれる。すなわち、サーバ装置20によって、予め登録されたクライアントの連絡先((例えば、予め登録されたクライアントのメール送信先(メールアドレス))に、送信エラーが生じた旨の通知が行なわれる。
尚、サーバ装置により実行されるステップ140〜160の処理により、本発明の「前記送信証明の発行通知を受け取った後に、所定時間を経過しても送信処理の完了通知が送信されてこない場合に、送信エラーを出力する出力手段」の果たす機能が実現されている。
【0064】
このように、実施形態4では、送信証明が発行された後に、一定時間Toを経過しても、送信完了の通知を受け取れなかった場合には、送信エラーが生じた旨の通知を行なうこととした。このような構成であれば、最終的に送信が不調に終わった場合であっても、それを、クライアントに知らせることが可能となるので、システムとしての信頼性が高まる。
【0065】
<実施形態5(請求項6に対応)>
次に、本発明の実施形態5を図7によって説明する。
実施形態5のものは、実施形態1のものに対して送信される画像データが送信証明の発行対象であることを送信先に通知する機能を付加したものである。
【0066】
具体的に説明すると、図7に示すように、Fax装置50には、内容証明通知部(本発明の送信証明通知手段に相当)81が設けられている。内容証明通知部81は、相手側のFax装置60に送信される画像データに特定の画像データ(図7の例では、内容証明Faxなる文字列)を重畳させる処理を行なう。そして、重量後の画像データが通信部55を通じて送信される結果、送信先のFax装置60では、内容証明Faxなる文字列が埋め込まれた画像データが受信されることとなる。
【0067】
このような構成であれば、原稿を受け取るユーザに対して、送信されてきた原稿が送信証明の対象となっている重要なものであることを認識させることが可能となる。
【0068】
また、図7に示すように、内容証明Faxなる文字列の右斜め上部には、××××なる文字列が表記されているが、これは、送信証明の発行時にコントローラ30によって生成されるID番号である。
【0069】
このように、送信される原稿に内容証明を示す表示に加えて、ID番号を併記させるようにすることで、内容証明について、信頼性を高めることが可能となる。例えば、送信された原稿にID番号がなかったり、或いはあったとしてもそれが異なる番号である場合には、原稿が偽造されていると判別できる。
【0070】
<実施形態6(請求項11に対応)>
実施形態1では、送信証明を記録媒体に印字してプリントアウトする構成をとったが、実施形態6のものは、送信証明を電子データとして保管するものである。図8に示すように、送信証明の電子データを一括して保管しておくために、サーバ装置20に専用のデータ保管部(本発明の保管手段に相当)21を設けている。
【0071】
具体的な処理について簡単に説明すると、図9に示すように、コントローラ30は、送信処理が確定(実施形態1〜実施形態3では、送信処理の確定タイミングとしてそれぞれ異なる例を示したが、いずれのタイミングを適用してもよい)した後に、ID番号を生成する。その後、Fax装置50に対して送信証明を転送するように指示する。すると、転送指示を受けたFax装置50は、送信証明の画像データを生成し、コントローラ30はこれをサーバ装置20に転送する。
【0072】
そして、転送された送信証明の画像データは、サーバ装置20のデータ保管部21に保管されることとなる。一方、Fax装置50は送信証明の発行に代えて、送信レポートのみを発行する。このような構成とすれば、クライアントは通信サービスを利用した時点では、送信レポートのみを受け取り、事後的に、サーバ装置20に照会することで、送信証明を参照することが出来る。このように、送信証明を電子データとして保管しておく構成とすれば、ペーパーレス化に寄与するし、送信証明を一括管理することで、管理工数の削減が可能となる。
【0073】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0074】
(1)実施形態1ないし実施形態6では、送信元のFax装置50とは別にコントローラ30を設けたが、送信確定を判定し、それに基づいて送信証明を発行する機能を設けていればよく、送信元のFax装置50にコントローラ30の機能を内蔵させてもよい。
【0075】
(2)実施形態1ないし実施形態6では、いずれも、読み取った原稿を一旦、メモリに記憶させ、これを順次読み出して相手側に送信するメモリ送信を例示したが、送信方法はこれに限定されるものではなく、原稿を読み取る都度、相手側に原稿の画像データを送信するものに対しても、適用可能である。
【0076】
(3)実施形態1ないし実施形態5では、送信処理が確定した後に、送信証明を記録媒体に印字してプリントアウトすることとしたが、これに加えて、送信処理が完了した後に、送信完了証明を発行するようにしてもよい(図10参照)。
【0077】
(4)実施形態1ないし実施形態5では、送信証明を各頁ごとにそれぞれ発行することとした。具体的には、原稿が全3頁である場合には、3枚の送信証明を発行することとした(図4参照)。送信証明は、少なくとも各原稿の画像データの一部が少なくとも含まれていればよく、例えば、図11に示すように、一枚の用紙に、まとめた形態としてもよい。
【0078】
(5)実施形態1では、送信処理が確定の条件の一つにネゴシエーションの完了を挙げたが、ネゴシエーションの開始直後を条件としてもよい。というのも、ネゴシエーションが開始された後、通信を行なうのに重要な項目について交渉が完了すれば、ネゴシエーションが完了していなくても送信を行なえる可能性が高く、係る構成とすることで、例えば、図3中の(2)のタイミングで、送信処理を確定させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施形態1に係る通信システムの電気的構成を示すブロック図
【図2】コントローラによって実行される処理の流れを示すフローチャート図
【図3】通信システムの処理の流れを示すシーケンス図
【図4】送信証明が記録媒体に印字されたことを示す図
【図5】実施形態4に係る通信システムの処理の流れを示すシーケンス図
【図6】サーバ装置によって、実行される処理の流れを示すフローチャート図
【図7】実施形態5において、送信された原稿に送信証明の対象となる文字列が付記されたことを示す図
【図8】実施形態6に係る通信システムの電気的構成を示すブロック図
【図9】通信システムの処理の流れを示すシーケンス図
【図10】他の実施形態を示す図
【図11】他の実施形態を示す図
【符号の説明】
【0080】
20…サーバ装置
30…コントローラ(送信端末)
40…カードリーダ
50…送信元のFax装置(送信端末)
60…送信先のFax装置(受信端末)
S…通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信端末に対して通信回線を通じて画像データを送信する送信端末であって、
送信が指示され、かつ送信する画像データが特定されることを条件に、送信証明を発行する証明発行手段を備える送信端末。
【請求項2】
受信端末に対して通信回線を通じて画像データを送信する送信端末であって、
送信する画像データが特定され、かつ送信先となる受信端末との通信が確立したことを条件に、送信証明を発行する証明発行手段を備える送信端末。
【請求項3】
受信端末に対して通信回線を通じて画像データを送信する送信端末であって、
少なくとも一部の画像データの送信が完了したことを条件に、送信証明を発行する証明発行手段を備える送信端末。
【請求項4】
前記送信証明には、送信対象の画像データの少なくとも一部と、送信証明であることを示す情報と、が含まれていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の送信端末。
【請求項5】
前記証明発行手段は、前記送信証明の発行を被記録媒体への印字により行なうことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の送信端末。
【請求項6】
送信される画像データが送信証明の発行対象であることを送信先となる前記受信端末に通知する送信証明通知手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の送信端末。
【請求項7】
前記証明発行手段は、前記送信証明に固有の識別番号を付与することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の送信端末。
【請求項8】
原稿を読み取って送信対象の画像データを生成する読取手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の送信端末。
【請求項9】
複数枚の原稿を送信する場合に、前記送信証明には、送信の対象となる各原稿について少なくとも一部の画像データが含まれていることを特徴とする請求項8に記載の送信端末。
【請求項10】
サーバ装置と、請求項1から請求項9のいずれかに記載の送信端末とが通信可能に接続された通信システムであって、
前記送信端末から前記サーバ装置に、前記送信証明の発行通知、並びに送信処理の完了通知がされるように構成され、
前記サーバ装置は、前記送信証明の発行通知を受け取った後に、所定時間を経過しても送信処理の完了通知が送信されてこない場合に、送信エラーを出力する出力手段を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項11】
サーバ装置と、請求項1から請求項9のいずれかに記載の送信端末とが通信可能に接続された通信システムであって、
前記送信端末の証明発行手段は前記サーバ装置に送信証明を転送し、
前記サーバ装置は、転送された送信証明を保管する保管手段を備えることを特徴とする通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−228409(P2007−228409A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48896(P2006−48896)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】