説明

送電制御装置、送電装置、電子機器、及び送電制御方法

【課題】適正な無接点電力伝送を実行できる送電制御装置、送電装置、及び電子機器を提供する。
【解決手段】1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて送電装置10から受電装置40に対して電力を伝送し、受電装置40の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの送電装置10に設けられる送電制御装置20であって、送電装置10を制御する制御部22を含み、制御部22は、送電装置10の送電シーケンスを制御する送電制御部31と、受電装置40に伝送する電力の大きさを可変に制御する電力制御部32と、を含み、送電制御部31は、送電装置10から受電装置40への通常送電の開始前に、送電装置10と受電装置40との間の情報通信のための仮送電を開始し、電力制御部32は、通常送電時の送電電力の大きさが仮送電時の送電電力の大きさに対して同一又は異なるように、通常送電時の送電電力を可変に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電制御装置、送電装置、電子機器、及び送電制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁誘導を利用し、金属部分の接点がなくても電力伝送を可能にする無接点電力伝送(非接触電力伝送)が脚光を浴びている、この無接点電力伝送の適用例として、携帯電話機や家庭用機器(例えば電話機の子機)の充電などが提案されている。
【0003】
このような無接点電力伝送の従来技術として特許文献1がある。この特許文献1では、受電装置(2次側)と送電装置(1次側)との間で認証コードを送受信することでID認証を実現し、異物等の挿入を検出している。また、特許文献2には、電気機器を家庭で同時に使用した場合にブレーカが落ちてしまう事態を防止するために、電気機器の使用電力情報を収集し、許容電力量の範囲内で電力を供給できるか否かを判断し、電力供給が可能と判断された電気機器の電力消費を許可する電力供給制御システムが開示されている。
【特許文献1】特開2006−60909号公報
【特許文献2】特開平10−94199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の従来技術では、送電装置と受電装置とが1対1で対応している場合しか想定していなかった。即ち、送電装置は、受電装置から受信した装置IDが適正なIDであるか否かしか判断しておらず、複数種類の受電装置が混在する場合には、適正な無接点電力伝送を実現できないという課題があった。特に、大きな電力量を要する受電装置と、送電装置との間で無接点電力伝送を行った場合に、通常送電開始前の送電装置と受電装置との間の情報通信の際に、高電力での送電によって、EMIノイズ等の発生を誘発する問題が発生した。
【0005】
本発明の幾つかの態様によれば、適正な無接点電力伝送を実行できる送電制御装置、送電装置、電子機器、及び送電制御方法を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記送電装置を制御する送電制御装置であって、前記送電制御装置を制御する制御部を含み、前記制御部は、前記送電装置の送電シーケンスを制御する送電制御部と、前記受電装置に伝送する電力の大きさを可変に制御する電力制御部と、を含み、前記送電制御部は、前記送電装置から前記受電装置への通常送電の開始前に、前記送電装置と前記受電装置との間の情報通信のための仮送電を開始し、前記電力制御部は、前記通常送電時の送電電力の大きさが前記仮送電時の送電電力の大きさに対して同一又は異なるように、前記通常送電時の送電電力を可変に制御する送電制御装置に関係する。
【0007】
本発明によれば、電力制御部によって、送電装置から受電装置に通常送電する際の送電電力が、仮送電する際の送電電力に対して、可変になるように制御されるので、通常送電開始前の仮送電における情報通信の際に、EMIノイズ等が発生するのを抑制することができる。
【0008】
また本発明では、前記電力制御部は、前記通常送電時の送電電力の大きさが前記仮送電時の送電電力以上の大きさとなるように、前記通常送電時の送電電力を可変に制御することとしてもよい。
【0009】
このようにすれば、電力制御部によって、送電装置から受電装置に通常送電時の送電電力を仮送電時の送電電力以上の大きさとなるように、送電電力が可変に制御されるので、通常送電開始前の仮送電における情報通信の際に、EMIノイズ等が発生するのを抑制することができる。
【0010】
また本発明では、前記送電装置は、前記1次コイルを駆動する送電ドライバを有する送電部と、前記送電部に駆動電圧を供給する電源回路を含み、前記電力制御部は、前記通常送電の開始前では、前記電源回路が初期駆動電圧となる第1の駆動電圧を前記送電部に供給し、前記通常送電の開始後では、前記電源回路が前記第1の駆動電圧以上の大きさの第2の駆動電圧を前記送電部に供給するように制御することとしてもよい。
【0011】
このようにすれば、電力制御部によって、送電装置から受電装置に通常送電する際の送電ドライバの駆動電圧を仮送電する際の当該駆動電圧よりも大きくなるように可変に制御することによって、通常送電時の送電電力を仮送電時よりも大きくなるように可変に制御される。このため、様々なタイプの受電装置への送電電力を1つの送電装置によって可変に制御することができる。
【0012】
また本発明では、前記制御部は、前記通常送電の開始前に、前記受電装置から前記通常送電の伝送条件情報として、前記第2の駆動電圧の情報を受信することとしてもよい。
【0013】
このようにすれば、送電装置から受電装置に電力供給する際に、当該受電装置に好適な大きさの電力を供給することができる。
【0014】
また本発明では、前記制御部は、前記通常送電の開始前に前記受電装置から前記通常送電の伝送条件情報を受信し、前記電力制御部は、前記伝送条件情報に基づいて、前記通常送電における送電電力を可変に制御することとしてもよい。
【0015】
このようにすれば、送電装置から受電装置に電力供給する際に、当該受電装置の伝送条件に対応する好適な大きさの電力を送電装置から供給することができる。
【0016】
また本発明では、前記制御部は、無接点電力伝送のネゴシエーション処理を行うネゴシエーション処理部と、前記ネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送のセットアップ処理を行うセットアップ処理部と、をさらに含み、前記セットアップ処理の際に、前記セットアップ処理部が前記受電装置から前記伝送条件情報を受信することとしてもよい。
【0017】
このようにすれば、セットアップ処理の際に制御部のセットアップ処理部が受電装置から受信した伝送条件情報に基づいて、当該受電装置の伝送条件に対応する好適な大きさの電力を送電装置から供給することができる。
【0018】
また本発明では、前記セットアップ処理部は、前記ネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送の伝送条件を設定してもよい。
【0019】
このようにすれば、機器毎等に異なる伝送条件をセットアップ処理で設定して、無接点電力伝送を行うことが可能になる。
【0020】
また本発明では、前記セットアップ処理部は、前記受電装置が無接点電力伝送の伝送条件情報を送信した場合に、前記伝送条件情報を受信して、無接点電力伝送の伝送条件を設定してもよい。
【0021】
このようにすれば、受電側からの伝送条件情報に基づいて無接点電力伝送の伝送条件を設定できるため、例えば1次側と2次側の様々な組み合わせにおいても、適正な伝送条件を設定できる。
【0022】
また本発明では、前記電力制御部は、前記送電装置から前記受電装置への通常送電を開始した後、前記受電装置の前記負荷が有するバッテリの満充電が検出された場合に、通常送電を停止してもよい。
【0023】
このようにすれば、満充電検出後に受電側への通常送電が停止するため、満充電検出後に無駄な電力が消費されてしまう事態を防止できる。
【0024】
また本発明は、上記のいずれかに記載の送電制御装置と、交流電圧を生成して前記1次コイルに供給する送電部と、前記送電部に駆動電圧を供給する電源回路と、を含む送電装置に関係する。
【0025】
さらに本発明は、上記に記載の送電装置を含むことを特徴とする電子機器に関係する。
【0026】
また本発明は、1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムにおける送電制御方法であって、前記送電装置から前記受電装置への通常送電の開始前に、前記送電装置と前記受電装置との間の情報通信のための仮送電を開始し、前記通常送電時の送電電力の大きさが前記仮送電時の送電電力の大きさに対して同一又は異なるように、前記通常送電時の送電電力を可変に制御する送電制御方法に関係する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0028】
1.電子機器
図1(A)に本実施形態の無接点電力伝送手法が適用される電子機器の例を示す。電子機器の1つである充電器500(クレードル)は、送電装置10を有する。また、電子機器の1つである携帯電話機510は、受電装置40を有する。また、携帯電話機510は、LCDなどの表示部512、ボタン等で構成される操作部514、マイク516(音入力部)、スピーカ518(音出力部)、アンテナ520を有する。
【0029】
充電器500には、ACアダプタ502を介して電力が供給され、この電力が無接点電力伝送により送電装置10から受電装置40に送電される。これにより、携帯電話機510のバッテリを充電したり、携帯電話機510内のデバイスを動作させることができる。
【0030】
なお、本実施形態が適用される電子機器は、携帯電話機510に限定されない。例えば、腕時計、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピュータ、ハンディターミナル、携帯情報端末、電動自転車、或いはICカードなどの種々の電子機器に適用できる。
【0031】
図1(B)に模式的に示すように、送電装置10から受電装置40への電力伝送は、送電装置10側に設けられた1次コイルL1(送電コイル)と、受電装置40側に設けられた2次コイルL2(受電コイル)を電磁的に結合させて電力伝送トランスを形成することで実現される。これにより非接触での電力伝送が可能になる。
【0032】
なお、図1(B)では、1次コイルL1、2次コイルL2は、平面上でスパイラル状にコイル線を巻くことで形成された例えば空芯の平面コイルになっている。しかしながら、本実施形態のコイルは、これに限定されず、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて電力を伝送できるものであれば、その形状・構造等は問わない。
【0033】
例えば、図1(C)では、磁性体コアに対してX軸回りでコイル線をスパイラル状に巻くことで1次コイルL1が形成されている。携帯電話機510に設けられた2次コイルL2も同様である。本実施形態では、図1(C)のようなコイルにも適用可能である。なお、図1(C)の場合に、1次コイルL1や2次コイルL2として、X軸回りにコイル線を巻いたコイルに加えて、Y軸周りにコイル線を巻いたコイルを組み合わせてもよい。
【0034】
2.送電装置、受電装置
図2に本実施形態の送電装置10、送電制御装置20、受電装置40、受電制御装置50の構成例を示す。図1(A)の充電器500などの送電側の電子機器は、図2の送電装置10を含む。また、携帯電話機510などの受電側の電子機器は、受電装置40と負荷90(本負荷)を含むことができる。そして、図2の構成により、例えば1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて、送電装置10から受電装置40に対して電力を伝送し、負荷90に対して電力を供給する無接点電力伝送(非接触電力伝送)システムが実現される。
【0035】
送電装置10(送電モジュール、1次モジュール)は、1次コイルL1、送電部12、電源回路18、及び送電制御装置20を含むことができる。なお、送電装置10や送電制御装置20は、図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば1次コイル)を省略したり、他の構成要素(例えば波形モニタ回路)を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
【0036】
送電部12は、電源回路18から供給される駆動電圧VFから交流電圧を生成して1次コイルL1に供給する。具体的には、電力伝送時には、所定周波数の交流電圧を生成し、データ転送時には、データに応じて周波数が異なる交流電圧を生成して、1次コイルL1に供給する。この送電部12は、例えば、1次コイルL1の一端を駆動する第1の送電ドライバと、1次コイルL1の他端を駆動する第2の送電ドライバと、1次コイルL1と共に共振回路を構成する少なくとも1つのコンデンサを含むことができる。そして、送電部12が含む第1、第2の送電ドライバの各々は、例えば、パワーMOSトランジスタにより構成されるインバータ回路(バッファ回路)であり、送電制御装置20により制御される。
【0037】
1次コイルL1(送電側コイル)は、2次コイルL2(受電側コイル)と電磁結合して電力伝送用トランスを形成する。例えば、電力伝送が必要なときには、図1(A)、図1(B)に示すように、充電器500の上に携帯電話機510を置き、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通るような状態にする。一方、電力伝送が不要なときには、充電器500と携帯電話機510を物理的に離して、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通らないような状態にする。
【0038】
電源回路18は、例えば、外部の商用AC電源等の電源から得た交流電圧を所定の大きさの直流電圧に変換し、当該電源からの供給電圧に基づいて送電部12に駆動電圧VFを供給する。
【0039】
送電制御装置20は、送電装置10の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この送電制御装置20は、制御部22、記憶部23、負荷状態検出回路30を含むことができる。なお、これらの構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの変形実施も可能である。
【0040】
制御部22(送電側)は、送電装置10や送電制御装置20の制御を行うものである。この制御部22は、例えばゲートアレイなどのASIC回路により実現したり、マイクロコンピュータ及びマイクロコンピュータ上で動作するプログラムなどにより実現できる。この制御部22は、送電部12を用いた送電の制御を行ったり、記憶部23の記憶制御を行ったり、負荷状態検出回路30の制御を行ったりする送電制御装置20を制御する。具体的には、送電制御装置20を制御することによって、電力伝送、負荷状態検出(データ検出、異物検出、取り去り検出等)、周波数変調などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
【0041】
記憶部23(レジスタ部)は、各種の情報を記憶するものであり、例えば、RAMやDフリップフロップ、或いはフラッシュメモリやマスクROMなどの不揮発性メモリにより実現できる。
【0042】
負荷状態検出回路30(波形検出回路)は、受電側(受電装置又は異物)の負荷状態を検出する。この負荷状態の検出は、1次コイルL1の誘起電圧信号(コイル端信号)の波形変化を検出することで実現できる。例えば、受電側(2次側)の負荷状態(負荷電流)が変化すると、誘起電圧信号の波形が変化する。負荷状態検出回路30は、このような波形の変化を検出して、検出結果(検出結果情報)を制御部22に出力する。そして、制御部22は、負荷状態検出回路30での負荷状態の検出情報に基づいて、受電側(2次側)の負荷状態(負荷変動、負荷の高低)を判定する。
【0043】
受電装置40(受電モジュール、2次モジュール)は、2次コイルL2、受電部42、給電制御部48、受電制御装置50を含むことができる。なお、受電装置40や受電制御装置50は、図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば2次コイル)を省略したり、他の構成要素(例えば負荷変調部)を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
【0044】
受電部42は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この変換は、受電部42が有する整流回路などにより実現できる。
【0045】
給電制御部48は、負荷90への電力の給電を制御する。即ち、負荷90への電力の給電をオンにしたり、オフにする制御を行う。具体的には、受電部42(整流回路)からの直流電圧のレベルを調整して、電源電圧を生成して、負荷90に供給し、負荷90のバッテリ94を充電する。なお、負荷90はバッテリ94を含まないものであってもよい。
【0046】
受電制御装置50は、受電装置40の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この受電制御装置50は、2次コイルL2の誘起電圧から生成される電源電圧により動作することができる。また受電制御装置50は、制御部52、記憶部53を含むことができる。
【0047】
制御部52(受電側)は、受電装置40や受電制御装置50の制御を行うものである。この制御部52は、例えばゲートアレイなどのASIC回路により実現したり、マイクロコンピュータ及びマイクロコンピュータ上で動作するプログラムなどにより実現できる。この制御部52は、給電制御部48の制御を行ったり、記憶部53の記憶制御を行う受電制御装置50を制御する。具体的には、受電制御装置50を制御することによって、位置検出、周波数検出、負荷変調、或いは満充電検出などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
【0048】
記憶部53(レジスタ部)は、各種の情報を記憶するものであり、例えばRAMやDフリップフロップ或いはフラッシュメモリやマスクROMなどの不揮発性メモリにより実現できる。
【0049】
そして、本実施形態では、送電側の制御部22は、送電装置の送電シーケンスを制御する送電制御部31と、受電装置40に伝送する電力の大きさを可変に制御する電力制御部32と、を含むことを特徴とする。送電制御部31は、送電装置10から受電装置40への通常送電の開始前に、送電装置10と受電装置40との間の情報通信のための仮送電を開始し、電力制御部32は、仮送電での送電電力以上の大きさとなるように、通常送電での送電電力を可変に制御する。すなわち、制御部22の送電制御部31及び電力制御部32によって、送電装置10から受電装置40に通常送電する際の送電電力を仮送電する際の送電電力に対して、可変するように制御される。
【0050】
具体的には、制御部22では、送電制御部31が送電装置10から受電装置40への送電実行の決定と言った送電シーケンスの制御を行い、送電制御部31で送電を開始したら、電力制御部32で受電装置40に伝送する電力の大きさを可変に制御する。その際に、電力制御部32は、通常送電の開始前では、電源回路18が初期駆動電圧となる第1の駆動電圧VF1(例えば5V)を送電部12に供給し、通常送電の開始後では、電源回路18が第1の駆動電圧VF1よりも大きい第2の駆動電圧VF2(例えば30V)を送電部12に供給するように制御する。
【0051】
このようにして、通常送電開始前には、仮送電として情報交換に必要な低ワットの電力を受電装置40に供給し、通常送電を開始してからは、受電装置40に最適な大きさの電力に増大する。この通常送電開始前の仮送電は、送電側と受電側との間の伝送条件情報等の情報通信の他に、送電側と受電側の間で、無接点電力伝送の基本的な設定(規格、コイル、システム、安全機能等)についての情報交換や、受電側の位置検出等の使用目的で行われる。なお、本実施形態では、第1の駆動電圧VF1よりも第2の駆動電圧VF2が大きくなるように制御されているが、第1の駆動電圧VF1よりも第2の駆動電圧VF2が小さくなるように制御したり、第1の駆動電圧VF1と第2の駆動電圧VF2が同一となるように制御してもよい。
【0052】
さて、無接点電力伝送が普及すると、受電側の2次コイルとして様々なタイプのものが市場に出回ることが予想される。即ち、各電子機器が必要とする無接点電力伝送の電力量(ワット数)や出力電圧も様々であるため、これに応じて2次コイルのインダクタンス等も様々なものになる。
【0053】
このため、1つの送電装置10で0.5Wや、2.5W、15W等の異なる電力量を要する受電装置40の通常送電を行うマルチ充電を実現するためには、第1の駆動電圧VF1は、少なくとも送電装置10が受電装置40との間の情報通信をするのに、必要最小限の大きさの駆動電圧であることが好ましい。なぜならば、送電側では、送電前において、受電側の伝送条件を知る前の最初の段階では、通常送電において、受電側から要求される供給電力がわからない状態である。仮に、受電側が0.5W等の低電力用の受電装置の場合では、情報通信等のインターフェース部には、0.5W等の低電力用の耐圧性のみを具備する部品を使用しており、この場合に、例えば、送電側から受電側に15Wの電力を供給すると、受電側の当該インターフェース部等の部品が破損等してしまい、不具合が生じるおそれがある。
【0054】
また、本実施形態では、受電側から送電側に上記伝送条件情報等の各種情報を送信するに際して、送信データに応じて受電側からの負荷を可変に変化させる負荷変調方式によって、当該情報の送信を行っている。このため、例えば15Wの電力量の受電装置40から15Wの高電力で負荷変調による信号の送受信を実行すると、EMIノイズが発生してしまうおそれがある。
【0055】
このため、1つの送電装置で各電力対応の受電装置に通常送電を行うマルチ充電を実現するには、仮送電時に送電部12に供給される第1の駆動電圧VF1が送電側と受電側との間の情報通信に必要最小限の大きさの駆動電圧であることが望まれる。すなわち、本実施形態では、送電制御装置20の制御部22は、伝送条件情報の情報交換等の情報通信時には、当該情報通信に必要最小限の電力を供給する仮送電を行い、通常送電時には、各受電装置40の電力に対応する駆動電圧VFを送電部12に供給するように、電源回路18を制御する。
【0056】
また、送電装置10から受電装置40に電力供給する際に、当該受電装置40の通常送電に必要な伝送条件に対応する好適な大きさの電力を供給するために、送電装置10から受電装置40に電力供給する際に、当該伝送条件に対応する好適な大きさの電力を送電装置10から供給する。具体的には、制御部22は、通常送電の開始前に、受電装置40からの通常送電の伝送条件情報として、受電装置40に通常送電する際に必要とされる1次コイルL1の駆動電圧である第2の駆動電圧VF2の情報を受信する。そして、当該第2の駆動電圧VF2の情報に基づいて、制御部22は、電源回路18から送電部12へ供給する駆動電圧を調整することによって、送電電力を可変に制御する。このとき、受電装置40から受信した伝送条件情報の内容は、負荷状態検出回路30の検出結果に基づいて判断される。なお、上記の伝送条件情報として、受電装置40に通常送電する際の1次コイルL1の駆動電圧の他に、駆動周波数等の通常送電に必要な伝送条件情報を受信してもよい。
【0057】
このように、本実施形態では、制御部22が送電装置10から受電装置40に仮送電する際の送電電力を送電側と受電側との間の情報通信に必要最小限の大きさとし、通常送電を開始したら、当該送電電力が増大するように、送電電力を可変に制御する。このため、通常送電開始前の仮送電における情報通信の際に、受電装置40からEMIノイズが発生するのを抑制することができる。また、制御部22が送電装置10から受電装置40に通常送電する際の送電ドライバの駆動電圧を仮送電する際の当該駆動電圧よりも大きくなるように調整することによって、通常送電時の送電電力を仮送電時よりも大きくなるように可変に制御される。このため、駆動電圧が異なる受電装置40への送電電力を1つの送電装置10によって可変に制御することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、送電装置10は、受電側から伝送条件情報を受信する際に、送電側に設けられる負荷状態検出回路30に依存する負荷変調方式によって実行されるが、当該伝送条件情報の受信方法は、非接触方式で情報の送受信を実行する方式であれば、負荷変調方式に限定されない。例えば、図3に示すように、受電側及び送電側にそれぞれRF−IDタグ41、11を設けて、これらのRF−IDタグ41、11を介して、伝送条件情報を送電側が受電側から受信するようにしてもよい。
【0059】
また本実施形態では、送電側の制御部22は、ネゴシエーション処理部37、セットアップ処理部38、コマンド処理部39を含む。また受電側の制御部52も、ネゴシエーション処理部67、セットアップ処理部68、コマンド処理部69を含む。なお、コマンド処理部39、69を設けない構成としてもよい。
【0060】
ネゴシエーション処理部37、67は、無接点電力伝送のネゴシエーション処理を行う。即ち、送電側と受電側の間で、無接点電力伝送の基本的な設定(規格、コイル、システム、安全機能等)についての情報交換を行う。そして、セットアップ処理部38、68は、ネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送のセットアップ処理を行う。即ち、ネゴシエーション処理により無接点電力伝送の基本的な設定が行われた後、送電側と受電側との間で、機器やアプリケーション毎に異なるセットアップ情報の情報交換を行う。そして、コマンド処理部39、69は、セットアップ処理の後に、無接点電力伝送のコマンド処理を行う。即ち、基本的なコマンドやセットアップ処理で対応可能になったコマンドの発行や実行などを行う。なお、セットアップ処理後に、コマンド処理を経ることなく、通常送電を開始してもよい。例えば、明示的なコマンドの発行がなくても、セットアップ処理の後に通常送電を開始してもよい。
【0061】
具体的には、送電側のネゴシエーション処理部37は、受電装置40との間で情報の通信が可能か否かの確認処理や、通信した情報が妥当か否かの確認処理や、受電側の負荷状態が適正か否かの確認処理を行う。即ち、受電側から適正に情報を受信できたか否かや、受電側から受信した情報が想定される適正な情報であるか否かや、受電側は異物ではなく適正な受電装置(負荷)であるか否かを、このネゴシエーション処理において確認する。なお、受電側の負荷状態が適正か否かの確認処理をネゴシエーション処理において行わないようにしてもよい。
【0062】
更に具体的には、ネゴシエーション処理部37は、受電装置40との間で、規格情報やコイル情報や負荷状態検出方式を示すシステム情報の照合処理を行う。即ち受電側から受信した規格/コイル/システム情報を、送電側の規格/コイル/システム情報と照合し、規格/コイル/システムが適合(一致)しているか否かを確認する。
【0063】
セットアップ処理部38は、ネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送の伝送条件を設定する。具体的には、受電装置40が無接点電力伝送の伝送条件情報を送信した場合に、その伝送条件情報を受信して、無接点電力伝送の伝送条件を設定する。即ち、受電装置40が、コイルの駆動電圧や駆動周波数等の通常送電に必要な伝送条件情報を送信すると、その伝送条件情報に基づいて、駆動電圧や駆動周波数等の伝送条件を設定する。また、受電装置40との間で、機器やアプリケーション毎に異なるセットアップ情報の情報交換を行う。
【0064】
コマンド処理部39は、セットアップ処理の後に、例えば、通常送電開始コマンドや、バッテリ94の満充電検出コマンド(満充電通知コマンド)や、バッテリ94の再充電確認コマンドなどの各種コマンドの処理を行う。即ち、これらのコマンドの発行や実行を行う。なお、コマンドとしては、少なくとも通常送電開始コマンドが用意されていればよく、その他のコマンドは、オプションのコマンドとして扱うことができる。
【0065】
制御部22は、送電装置10から受電装置40への通常送電を開始した後に、受電装置40から送電停止要求があった場合に、通常送電を開始する。例えば、通常送電開始後に、バッテリ94の満充電が検出された場合に、通常送電を停止する。具体的には、受電側がバッテリ94の満充電を検出して満充電検出コマンドを送信し、その満充電検出コマンドを受信すると、通常送電開始コマンドで開始した通常送電を停止する。
【0066】
そして、制御部22は、満充電検出により通常送電を停止した場合には、満充電検出後の待機フェーズに移行する。即ち、バッテリ94の満充電が検出された後、バッテリ94の再充電が必要になるまで待機する。この時、受電装置40は、送電側からの通常送電が停止したことで、電源電圧が供給されなくなり、リセット状態になる。
【0067】
そして、制御部22は、満充電検出後の待機フェーズにおいて、バッテリの再充電確認を行う。即ち、例えば所定期間毎に仮送電を行って受電装置40のリセット状態を解除し、再充電確認コマンドを発行して、バッテリ94の再充電が必要か否かを確認する。この時、満充電検出後の待機フェーズでは、再充電確認フラグをクリアせずにセット状態に維持する。即ち、再充電確認フラグをセット状態にすることで、ネゴシエーションフェーズ、セットアップフェーズの後のコマンド分岐において、再充電確認コマンドを実行できるようになる。
【0068】
一方、制御部22は、満充電検出後の待機フェーズにおいて、受電側電子機器の取り去りが検出されると、取り去り検出後の待機フェーズに移行し、この場合には、再充電確認フラグをクリアする。そして、取り去り検出後の待機フェーズにおいて、受電側の電子機器の着地(充電器への電子機器の設置)が検出されると、ネゴシエーション処理のフェーズに移行する。そして、例えばセットアップ処理等のフェーズを経て、通常送電が開始される。
【0069】
受電側のネゴシエーション処理部67は、送電装置10との間で情報の通信が可能か否かの確認処理や、通信した情報が妥当か否かの確認処理を行う。具体的には、規格情報、コイル情報、負荷状態検出方式を示すシステム情報の照合処理を行う。即ち、規格/コイル/システム情報を送電側に送信し、送電側から規格/コイル/システム情報を受信すると、送電側の規格/コイル/システム情報と受電側の規格/コイル/システムとが適合(一致)しているか否かを確認する。
【0070】
セットアップ処理部68は、ネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送の伝送条件情報を送電装置10に送信する。即ち、コイルの駆動電圧や駆動周波数等の通常送電に必要な伝送条件情報を送信する。また、送電装置10との間で、機器やアプリケーション毎に異なるセットアップ情報の情報交換を行う。
【0071】
コマンド処理部69は、セットアップ処理の後に、通常送電開始コマンドや、バッテリ94の満充電検出コマンドや、バッテリ94の再充電確認コマンドなどの各種コマンドの処理を行う。即ち、これらのコマンドの発行や実行を行う。なお制御部52は、セットアップ処理の後に、送電装置10から受電装置40への通常送電が開始した場合に、コマンド処理を経ることなく、負荷90に対する電力供給を開始してもよい。例えば明示的なコマンドの発行がなくても、セットアップ処理の後に負荷90への電力供給を開始してもよい。
【0072】
3.無接点電力伝送の動作
さて、無接点電力伝送が普及すると、受電側の2次コイルとして様々なタイプのものが市場に出回ることが予想される。即ち、受電側である携帯電話機等の電気機器の外形・サイズは様々であるため、これに応じて、電子機器の受電装置に内蔵される2次コイルの外形・サイズも様々なものになる。また各電子機器が必要とする無接点電力伝送の電力量(ワット数)や出力電圧も様々であるため、これに応じて2次コイルのインダクタンス等も様々なものになる。
【0073】
このため、図4(A)に示すように、1つの送電装置10で0.5Wや、2.5W、15W等の異なる電力量を要する受電装置40(40A、40B、40C)の通常送電を行うマルチ充電を実現するに際しては、送電装置10は、受電側から当該受電装置40への通常送電の際に1次コイルL1の駆動電圧VF等と言った通常送電の際に必要な伝送条件情報を受信する。そして、受信した当該伝送条件情報に基づいて、受電側がどの電力量の受電装置40A、40B、40Cであるかを判定した後に、各受電装置40A、40B、40Cに対応する電力量を受電側に通常送電する。
【0074】
本実施形態では、受電側から送電側に上記伝送条件情報等の各種情報を送信するに際して、図4(B)に示すように、送信データに応じて受電側からの負荷を可変に変化させる負荷変調方式によって所定周波数の搬送波が伝送される。すなわち、受電側からの伝送条件情報等の各種情報が含まれる送信信号に相当する成分が搬送波に重畳され、当該送信信号が送電側に送信される。
【0075】
このように、受電側から送電側に負荷変調方式で各種情報通信をする際に、15Wの電力量の受電装置40Cから15Wの高電力で負荷変調による信号の送受信を実行すると、EMIノイズが発生してしまい、受電装置40Cの誤作動等の不具合を誘発することが懸念される。
【0076】
このため、本実施形態では、送電側から受電側への通常送電を開始前の段階では、図5(A)に示すように、受電側の電力量の大きさに関係なく、まず電源回路18が初期駆動電圧となる第1の駆動電圧VF1を送電部12に供給するように、送電制御装置20の制御部22(電力制御部32)を制御して仮送電が行われる。このとき、当該第1の駆動電圧VF1によって、1次側コイルL1を駆動する際に供給される電力量は、各種情報通信に必要最小限の電力量が受電側に供給される。
【0077】
仮送電が開始されると、図5(B)に示すように、通常送電を要求する受電側から受電装置40に通常送電をする際に必要とされる1次コイルの駆動電圧となる第2の駆動電圧VF2等の伝送条件情報を始めとする各種情報が送信される。すると、送電側は、当該伝送条件情報等を受信すると、当該受信した旨の情報を当該伝送条件情報の送信元となる受電装置40に送信する。
【0078】
その後、送信元となる受電側が送電側から送信された情報を許諾すると、図6(A)に示すように、当該受電装置40から送電装置10にスタートフレームを送信する。すると、制御部22の電力制御部32は、図6(B)に示すように、伝送条件情報に対応する駆動電圧であり、仮送電時における第1の駆動電圧VF1より大きい駆動電圧である第2の駆動電圧VF2を電源回路18から送電部12に供給するように制御する。そして、送電制御装置20は、電源回路18から送電部12に第2の駆動電圧VF2を供給するように制御することによって、当該第2の駆動電圧VF2で第1のコイルL1を駆動して、送電装置10から受電装置40に通常送電が開始される。なお、本実施形態の送電装置10による仮送電、及び通常送電の動作の詳細については後述する。
【0079】
このように、本実施形態では、EMIを抑制するために、送電装置10から受電装置40に通常送電する際の送電電力を仮送電する際の送電電力よりも大きくなるように、制御部22が送電電力を可変に制御する。そして、送電装置10から受電装置40に電力供給する際に、当該受電装置40の駆動電圧VFに対応する好適な大きさの電力を供給することができる。
【0080】
4.無接点電力伝送の処理シーケンス
図7に、本実施形態により実現される無接点電力伝送の処理シーケンスの概略を模式的に示す。
【0081】
この処理シーケンスでは、リセット状態の後に、待機フェーズに移行する。ここで、リセット状態では、送電側(1次)や受電側(2次)が保持していた各種フラグはクリアされる。ここでフラグは、送電装置や受電装置の状態(送電状態、満充電状態、再充電確認状態等)を表すものであり、これらの装置の記憶部(レジスタ)に保持される。
【0082】
待機フェーズでは、送電側(1次)は、受電側(2次)の停止時(送電停止時)の最終状態を保持する。例えばバッテリの満充電が検出されると、送電側及び受電側は満充電検出後の待機フェーズに移行する。この場合、バッテリ電圧の低下を検出して、再充電を行う必要があるため、送電側は、送電停止の要因が満充電検出であることを記憶する。具体的には、再充電確認フラグをクリアせずにセット状態に維持し、再充電が必要か否かを定期的に確認する。
【0083】
なお、待機フェーズでは、送電側から受電側への送電が停止するため、受電側は、電源電圧が供給されずに停止状態になるが、送電側は、電源電圧が供給されて動作状態になっている。このように、待機フェーズで受電側が動作を停止することで低消費電力化が図れ、この時に送電側が各種状態のフラグをクリアせずに保持することで、送電側は、待機フェーズの後、そのフラグを利用して各種処理を実行できる。
【0084】
送電側や受電側は、待機フェーズの後にネゴシエーションフェーズに移行する。このネゴシエーションフェーズでは、規格/コイル/システムの一致確認や、安全上の情報交換などが行われるネゴシエーション処理が実行される。具体的には、送電側と受電側は、規格/コイル/システム情報の情報交換を行い、規格/コイル/システムがお互いに適合するか否かを確認する。また、例えば受電側が送電側に、異物検出等のための安全しきい値情報を送信し、安全上の情報交換を行う。このネゴシエーション処理では、送電側と受電側の間で情報の通信が可能か否かの確認や、通信した情報が妥当か否かの確認や、受電側の負荷状態の適否(異物の非検出)の確認等が行われることになる。
【0085】
ネゴシエーション処理において、規格/コイル/システムが不一致であると判定されたり、異物が検出されたり、機器の取り去りが検出されたり、タイムアウトエラーになると、リセット状態に移行し、各種フラグがクリアされる。一方、通信エラー等の場合には例えば待機フェーズに移行し、フラグのクリアは行われない。
【0086】
送電側や受電側は、ネゴシエーションフェーズの後、セットアップフェーズに移行する。このセットアップフェーズでは、対応機能の情報やアプリケーション別の設定情報などのセットアップ情報が転送されるセットアップ処理が実行される。例えば、ネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送の伝送条件の設定が行われる。具体的には、受電側がコイルの駆動電圧や駆動周波数等の伝送条件情報を送電側に送信すると、送電側は、受信した伝送条件情報に基づいてコイルの駆動電圧や駆動周波数等の通常送電のための伝送条件を設定する。また、対応機能についての情報交換や、上位のアプリケーション毎に異なる設定情報の交換も、このセットアップ処理で行われる。具体的には、コマンドフェーズにおいて送電側、受電側が発行・実行可能なコマンドの種類や、定期認証機能等の付加的な対応機能についての情報交換は、このセットアップ処理において実行される。これにより、電子機器の種類(携帯電話機、オーディオ機器等)や機種などのアプリケーションに応じて異なる設定情報の交換が可能になる。
【0087】
セットアップ処理において、機器の取り去りが検出されたり、タイムアウトエラーになると、リセット状態に移行する。一方、通信エラー等の場合には、待機フェーズに移行する。
【0088】
送電側や受電側は、セットアップフェーズの後、コマンドフェーズに移行する。このコマンドフェーズでは、セットアップ処理で得た情報に基づいてコマンド処理が行われる。即ち、対応コマンド(対応可能であることがセットアップ処理で確認されたコマンド)の発行又は実行が行われる。コマンド処理で実行されるコマンドとしては、例えば、通常送電(充電)開始コマンド、満充電検出(通知)コマンド、再充電確認コマンド、受電側割り込みコマンド、送電停止要求コマンドなどが考えられる。
【0089】
例えば、ネゴシエーション処理、セットアップ処理により通常送電の準備が整い、送電側が通常送電(充電)開始コマンドを受電側に送信(発行)し、それを受信した受電側が応答コマンドを送電側に送信すると、通常送電が開始する。そして、通常送電の開始後、受電側において満充電が検出されると、受電側は、満充電検出コマンドを送電側に送信する。
【0090】
この満充電検出のように伝送継続が必要ない場合には、満充電検出後の待機フェーズに移行する。そして、再度、ネゴシエーション処理、セットアップ処理を経て、送電側は、再充電確認コマンドを受電側に送信する。これにより受電側は、バッテリ電圧をチェックして、再充電が必要か否かを判定する。そして、再充電が必要な場合には、再充電確認フラグがリセットされ、送電側が通常送電開始コマンドを発行することで、通常送電が再開される。一方、再充電が必要ではない場合には、再充電確認フラグがセット状態に維持されて、満充電検出後の待機フェーズに戻る。
【0091】
なお、コマンド処理において、何らかの異常が検出されたり、異物が検出されたり、取り去りが検出されるとリセット状態に移行する。
【0092】
また、ネゴシエーションフェーズにおいて、送電側と受電側で情報交換されて適合性が判断されるシステム情報は、送電側や受電側での負荷状態の検出方式を示す情報である。ここで負荷状態の検出方式としては、パルス幅検出方式(位相検出方式)、電流検出方式、ピーク電圧検出方式、或いはこれらの方式を組み合わせた方式などがある。システム情報は、送電側や受電側が、これらの方式のいずれを採用しているのかを示す情報になる。
【0093】
さらに、ネゴシエーションフェーズにおいて受電側が送電側に送信する異物しきい値は、安全上のしきい値情報である。この異物しきい値は、例えば受電側が記憶しており、通常送電開始前に受電側から送電側に送信される。そして、送電側は、この異物しきい値に基づいて、通常送電開始前の異物検出である1次異物検出を行う。例えば、受電側の負荷状態をパルス幅検出方式で検出する場合には、異物しきい値として、パルス幅のカウント値のしきい値が受電側から送電側に送信され、送電側は、このカウント値のしきい値に基づいて、パルス幅検出方式による1次異物検出を行う。
【0094】
以上の本実施形態の処理シーケンスによれば、例えば規格/コイル/システムの適合性の判断や、安全上の最低限の情報交換は、ネゴシエーション処理において行われる。そして、このネゴシエーション処理において、通信が可能な事や通信情報の妥当性が判断されると共に、受電側の負荷状態の適否が判断される。
【0095】
そして、セットアップ処理においては、通常送電のために必要な伝送条件の設定等が実行される。例えばコイルの駆動電圧や駆動周波数が設定される。また、より上位のアプリケーション毎に必要な設定情報の交換が、セットアップ処理において実行される。
【0096】
そして、このようなセットアップ処理、ネゴシエーション処理を経た後に、コマンドフェーズに移行して、コマンド処理が行われる。即ちネゴシエーション処理において対応可能になったことが確認されたコマンドの発行や実行がコマンド処理において行われる。
【0097】
このようにすれば、システムの適合性や安全性の確保に必要な最低限の情報交換はネゴシエーション処理において実行されると共に、アプリケーション毎に異なるセットアップ情報の交換はセットアップ処理において実行される。
【0098】
従って、送電側と受電側が適合しない場合には、ネゴシエーション処理において除外されるため、情報量が多いセットアップ情報については、転送しなくても済むようになる。これにより、ネゴシエーション処理では、最小限の情報だけを転送すれば済み、転送情報量を少なくできるため、短期間でネゴシエーションフェーズを終了でき、処理を効率化できる。
【0099】
また、送電側及び受電側の各機器は、ネゴシエーション処理により、最低限の無接点電力伝送が可能になり、機器毎の機能拡張は、セットアップ情報の交換で実現できる。従って、各機器は、ネゴシエーション処理で無接点電力伝送のシステムに必要な最小限の設定を行い、セットアップ処理でシステムの最適化が可能になるため、柔軟なシステム構築を実現できる。
【0100】
また、送電側は、受電側からしきい値情報やシステム情報を受信し、受信したしきい値情報やシステム情報を設定するだけで、無接点電力伝送や異物検出を実現できるため、送電側の処理を簡素化できる。この場合に、受電側が、適正な組み合わせのコイル情報としきい値情報を送電側に送信することで、適正且つ安全な無接点電力伝送を実現できる。
【0101】
5.詳細な構成例
図8に本実施形態の詳細な構成例を示す。なお以下では図2で説明した構成要素については同符号を付し、適宜、その説明については省略する。
【0102】
波形モニタ回路14(整流回路)は、1次コイルL1のコイル端信号CSGに基づいて、波形モニタ用の誘起電圧信号PHINを生成する。例えば1次コイルL1の誘起電圧信号であるコイル端信号CSGは、送電制御装置20のICの最大定格電圧を超えてしまったり、負の電圧になったりする。波形モニタ回路14は、このようなコイル端信号CSGを受け、送電制御装置20の負荷状態検出回路30により波形検出が可能な信号である波形モニタ用の誘起電圧信号PHINを生成して、送電制御装置20の例えば波形モニタ用端子に出力する。表示部16は、無接点電力伝送システムの各種状態(電力伝送中、ID認証等)を、色や画像などを用いて表示する。
【0103】
発振回路24は1次側のクロックを生成する。駆動クロック生成回路25は、駆動周波数を規定する駆動クロックを生成する。ドライバ制御回路26は、駆動クロック生成回路25からの駆動クロックや制御部22からの周波数設定信号などに基づいて、所望の周波数の制御信号を生成し、送電部12の第1、第2の送電ドライバに出力して、第1、第2の送電ドライバを制御する。
【0104】
負荷状態検出回路30は、誘起電圧信号PHINを波形整形し、波形整形信号を生成する。例えば信号PHINが所与のしきい値電圧を超えた場合にアクティブ(例えばHレベル)になる方形波(矩形波)の波形整形信号(パルス信号)を生成する。そして負荷状態検出回路30は、波形整形信号と駆動クロックに基づいて、波形整形信号のパルス幅情報(パルス幅期間)を検出する。具体的には、波形整形信号と、駆動クロック生成回路25からの駆動クロックを受け、波形整形信号のパルス幅情報を検出することで、誘起電圧信号PHINのパルス幅情報を検出する。
【0105】
なお、負荷状態検出回路30としては、パルス幅検出手法(位相検出手法)には限定されず、電流検出手法やピーク電圧検出手法などの種々の手法を採用できる。
【0106】
制御部22(送電制御装置)は、負荷状態検出回路30での検出結果に基づいて、受電側(2次側)の負荷状態(負荷変動、負荷の高低)を判断する。例えば、制御部22は、負荷状態検出回路30(パルス幅検出回路)で検出されたパルス幅情報に基づいて、受電側の負荷状態を判断し、例えば、データ(負荷)検出、異物(金属)検出、取り去り(着脱)検出などを行う。即ち、誘起電圧信号のパルス幅情報であるパルス幅期間は、受電側の負荷状態の変化に応じて変化する。制御部22は、このパルス幅期間(パルス幅期間の計測により得られたカウント値)に基づいて受電側の負荷変動を検知できる。
【0107】
受電部42は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この変換は、受電部42が有する整流回路43により行われる。
【0108】
負荷変調部46は、負荷変調処理を行う。具体的には、受電装置40から送電装置10に所望のデータを送信する場合に、送信データに応じて負荷変調部46(2次側)での負荷を可変に変化させて、1次コイルL1の誘起電圧の信号波形を変化させる。このために、負荷変調部46は、ノードNB3、NB4の間に直列に設けられた抵抗RB3、トランジスタTB3(N型のCMOSトランジスタ)を含む。このトランジスタTB3は、受電制御装置50の制御部52からの信号P3Qによりオン・オフ制御される。そして、トランジスタTB3をオン・オフ制御して負荷変調を行う際には、給電制御部48のトランジスタTB2はオフにされ、負荷90が受電装置40に電気的に接続されない状態になる。
【0109】
給電制御部48は負荷90への電力の給電を制御する。レギュレータ49は、整流回路43での変換で得られた直流電圧VDCの電圧レベルを調整して、電源電圧VD5(例えば5V)を生成する。受電制御装置50は、例えばこの電源電圧VD5が供給されて動作する。
【0110】
トランジスタTB2(P型のCMOSトランジスタ、給電トランジスタ)は、受電制御装置50の制御部52からの信号P1Qにより制御される。具体的には、トランジスタTB2は、ネゴシエーション処理やセットアップ処理の間はオフになり、通常送電開始後はオンになる。
【0111】
位置検出回路56は、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が適正であるかを判断する。発振回路58は、2次側のクロックを生成する。周波数検出回路60は、信号CCMPIの周波数(f1、f2)を検出する。満充電検出回路62は、負荷90のバッテリ94(2次電池)が、満充電状態(充電状態)になったか否かを検出する。
【0112】
負荷90は、バッテリ94の充電制御等を行う充電制御装置92を含むことができる。この充電制御装置92(充電制御IC)は、集積回路装置などにより実現できる。なお、スマートバッテリのように、バッテリ94自体に充電制御装置92の機能を持たせてもよい。
【0113】
図8では、送電側から受電側へのデータ通信は周波数変調により実現し、受電側から送電側へのデータ通信は、負荷変調により実現している。
【0114】
具体的には、図9(A)に示すように、送電部12は、例えばデータ「1」を受電側に対して送信する場合には、周波数f1の交流電圧を生成し、データ「0」を送信する場合には、周波数f2の交流電圧を生成する。そして、受電側の周波数検出回路60が、この周波数の変化を検出することで、データ「1」、「0」を判別する。これにより、送電側から受電側への周波数変調によるデータ通信が実現される。
【0115】
一方、受電側の負荷変調部46は、送信するデータに応じて受電側の負荷を可変に変化させて、図9(B)に示すように、1次コイルL1の誘起電圧の信号波形を変化させる。例えばデータ「1」を送電側に対して送信する場合には、受電側を高負荷状態にし、データ「0」を送信する場合には、受電側を低負荷状態にする。そして、送電側の負荷状態検出回路30が、この受電側の負荷状態の変化を検出することで、データ「1」、「0」を判別する。これにより、受電側から送電側への負荷変調によるデータ通信が実現される。
【0116】
なお図9(A)、図9(B)では、送電側から受電側へのデータ通信を周波数変調により実現し、受電側から送電側へのデータ通信を負荷変調により実現しているが、これ以外の変調方式や他の方式を採用してもよい。
【0117】
6.送電側及び受電側の動作の詳細
次に、送電側と受電側の動作の詳細について図10、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0118】
送電側は、電源投入されてパワーオンすると、例えばk1秒のウェイト後に(ステップS1)、通常送電開始前の仮送電を行う(ステップS2)。この仮送電は、着地検出、位置検出等のための一時的な電力伝送である。即ち、電子機器が充電器に対して置かれたか否か、置かれた場合には、適正な位置に置かれたか否かを検出するための電力伝送を行う。この仮送電における駆動周波数(駆動クロック生成回路からの駆動クロックの周波数)は、例えばf1に設定される。
【0119】
送電側からの仮送電により、受電側がパワーオンして(ステップS22)、受電制御装置50のリセットが解除される。すると、受電制御装置50は、図8の信号P1QをHレベルに設定し、これにより給電制御部48のトランジスタTB2がオフになり(ステップS23)、負荷90との間の電気的な接続が遮断される。
【0120】
次に受電側は、位置検出回路56を用いて、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係(位置レベル)が適正か否かを判断する(ステップS24)。そして、位置関係が適正ではない場合には、例えばk2秒の期間の間、ウェイトする(ステップS21)。
【0121】
一方、位置関係が適正である場合には、受電側は、ネゴシエーションフレームを生成して送電側に送信する(ステップS25)。具体的には図9(B)で説明した負荷変調によりネゴシエーションフレームを送信する。このネゴシエーションフレームは、例えば受電側の記憶部53に記憶された規格情報、コイル情報などの一致コードやシステム情報(負荷状態検出方式)、しきい値情報(負荷状態検出用のしきい値)などのハード情報を含む。
【0122】
送電側は、ネゴシエーションフレームを受信すると(ステップS4)、ネゴシエーションフレームの検証を行う(ステップS5)。具体的には、送電側の記憶部23に記憶された規格/コイル/システム情報と、受電側から受信した規格/コイル/システム情報とが一致するか否かを判断する。そして、適正なネゴシエーションフレームであると判定されると、異物検出を行う(ステップS6)。
【0123】
具体的には、送電側は、駆動周波数を異物検出用周波数f3に設定する。そして受電側から受信したしきい値情報(安全しきい値情報)に基づいて、通常送電開始前の1次異物検出を行い、受電側の負荷状態が適正か否かを判断する。例えば、異物検出イネーブル信号をアクティブにして、負荷状態検出回路30に対して異物検出の開始を指示する。この異物検出は、例えば負荷状態検出回路30からの負荷状態検出情報(パルス幅情報)と、受電側から受信した負荷状態検出用のしきい値(META)とを比較することで実現される。そして送電側は、異物検出期間が終了すると、駆動周波数を通常送電用周波数f1に戻す。
【0124】
なお、送電側は、ステップS5でネゴシエーションフレームが適正ではないと判断されたり、ステップS6で異物が検出されたと判断されると、送電を停止して、ステップS1に戻る。
【0125】
次に、送電側は、ネゴシエーションフレームを作成して受電側に送信する(ステップS7)。このネゴシエーションフレームは、例えば送電側の記憶部23に記憶された規格情報、コイル情報、システム情報を含む。
【0126】
受電側は、ネゴシエーションフレームを受信すると(ステップS26)、ネゴシエーションフレームの検証を行う(ステップS27)。具体的には、受電側の記憶部53に記憶された規格/コイル/システム情報と、送電側から受信した規格/コイル/システム情報とが一致するか否かを判断する。そして、適正なネゴシエーションフレームであると判定されると、セットアップフレームを生成して、送電側に送信する(ステップS28)。このセットアップフレームは、伝送条件情報や対応機能情報などのパラメータデータを含む。ここで伝送条件情報は、1次コイルの駆動電圧や駆動周波数などである。また、対応機能情報は、アプリケーション毎に付加された機能を表す情報などである。なお、セットアップフレームが適正でない場合には、ステップS21に戻る。
【0127】
送電側は、セットアップフレームを受信すると(ステップS8)、セットアップフレームの検証を行う(ステップS9)。そして、受電側からのセットアップフレームが適正である場合には、送電側のセットアップフレームを作成して、受電側に送信する(ステップS10)。一方、セットアップフレームが適正ではない場合には、送電を停止してステップS1に戻る。
【0128】
受電側は、セットアップフレームを受信すると(ステップS29)、セットアップフレームの検証を行う(ステップS30)。そしてセットアップフレームが適正である場合には、スタートフレームを作成して、送電側に送信する(ステップS31)。一方、セットアップフレームが適正ではない場合にはステップS21に戻る。
【0129】
スタートフレームが送信されると、送電側及び受電側はコマンド分岐に移行する(ステップS41、S61)。即ち、コマンド判定が行われて、各種フラグに応じたコマンドの処理に分岐する。
【0130】
具体的には、優先的な処理が必要なコマンド(例えば割り込みコマンド等)が存在しない場合には、送電側は、通常送電(充電)の開始コマンドを受電側に送信する(ステップS42)。受電側は、通常送電開始コマンドを受信すると(ステップS62)、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が適正か否かを判断し(ステップS63)、適正である場合には応答コマンドを送電側に送信する(ステップS64)。
【0131】
送電側は、応答コマンドを受信すると(ステップS43)、各種パラメータを通常送電用パラメータに切り替える(ステップS44)。具体的には、伝送条件や負荷状態検出用のパラメータを、セットアップ処理で設定されたパラメータに切り替える。そして、定期認証をオンにして(ステップS45)、通常送電を開始する(ステップS46)。
【0132】
受電側は、応答コマンドを送信すると(ステップS64)、給電制御部48のトランジスタTB2をオンにして(ステップS65)、負荷90への電力供給を開始する。また定期認証をオンにして、定期的な負荷変調を行う(ステップS66)。具体的には、負荷変調部46のトランジスタTB3を、定期認証期間において所定のパターンでオン・オフする。
【0133】
送電側は、通常送電が開始した後、定期的な負荷変調による定期認証期間において、大面積の金属異物等による乗っ取り状態の検出を行う(ステップS47)。また、取り去り検出、異物検出を行う(ステップS48、S49)。定期認証において乗っ取りが検出されたり、取り去りや異物が検出されると、送電を停止してステップS1に戻る。
【0134】
受電側は、通常送電が開始した後、バッテリ94が満充電になったか否かを検出する(ステップS67)。そして、満充電が検出されると、トランジスタTB2をオフにして(ステップS68)、負荷90への電力供給を停止する。また、定期認証をオフにする(ステップS69)。そして、満充電の検出を通知する満充電検出コマンド(セーブフレーム)を送電側に送信し(ステップS70)、k3秒のウェイト期間の後(ステップS71)、ステップS70の処理を繰り返す。
【0135】
送電側は、満充電検出コマンド(セーブフレーム)を受信すると、定期認証をオフにして、送電を停止する(ステップS51、S52)。
【0136】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また送電制御装置、送電装置、受電制御装置、受電装置の構成・動作や、しきい値情報を用いた負荷状態の判定手法、システム情報の照合手法、ネゴシーエーション・セットアップ・コマンド処理の手法、負荷状態の検出手法等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】図1(A)、図1(B)、図1(C)は無接点電力伝送の説明図。
【図2】本実施形態の送電装置、送電制御装置、受電装置、受電制御装置の構成例。
【図3】他の実施形態の送電装置、送電制御装置、受電装置、受電制御装置の構成例。
【図4】図4(A)は1つの送電装置による複数の受電装置への通常送電の動作説明図、図4(B)は本実施形態の負荷変調によるデータ転送の説明図。
【図5】図5(A)、図5(B)は本実施形態の動作の説明図。
【図6】図6(A)、図6(B)は本実施形態の動作の説明図。
【図7】本実施形態の無接点電力伝送の処理シーケンスの説明図。
【図8】本実施形態の送電装置、送電制御装置、受電装置、受電制御装置の詳細な構成例。
【図9】図9(A)、図9(B)は周波数変調、負荷変調によるデータ転送の説明図。
【図10】本実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図11】本実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0138】
L1 1次コイル、L2 2次コイル、
VF 駆動電圧、VF1 第1の駆動電圧、VF2 第2の駆動電圧
10 送電装置、12 送電部、14 波形モニタ回路、18 電源回路、
20 送電制御装置、22 制御部(送電側)、23 記憶部、24 発振回路、
25 駆動クロック生成回路、26 ドライバ制御回路、30 負荷状態検出回路、
31 送電制御部、32 電力制御部、
37 ネゴシエーション処理部、38 セットアップ処理部、39 コマンド処理部、
40 受電装置、42 受電部、43 整流回路、46 負荷変調部、
48 給電制御部、50 受電制御装置、52 制御部(受電側)、53 記憶部、
56 位置検出回路、58 発振回路、60 周波数検出回路、62 満充電検出回路、
67 ネゴシエーション処理部、68 セットアップ処理部、69 コマンド処理部、
90 負荷、92 充電制御装置、94 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記送電装置を制御する送電制御装置であって、
前記送電制御装置を制御する制御部を含み、
前記制御部は、
前記送電装置の送電シーケンスを制御する送電制御部と、
前記受電装置に伝送する電力の大きさを可変に制御する電力制御部と、を含み、
前記送電制御部は、
前記送電装置から前記受電装置への通常送電の開始前に、前記送電装置と前記受電装置との間の情報通信のための仮送電を開始し、
前記電力制御部は、
前記通常送電時の送電電力の大きさが前記仮送電時の送電電力の大きさに対して同一又は異なるように、前記通常送電時の送電電力を可変に制御することを特徴とする送電制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記電力制御部は、
前記通常送電時の送電電力の大きさが前記仮送電時の送電電力以上の大きさとなるように、前記通常送電時の送電電力を可変に制御することを特徴とする送電制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記送電装置は、
前記1次コイルを駆動する送電ドライバを有する送電部と、
前記送電部に駆動電圧を供給する電源回路を含み、
前記電力制御部は、
前記通常送電の開始前では、前記電源回路が初期駆動電圧となる第1の駆動電圧を前記送電部に供給し、
前記通常送電の開始後では、前記電源回路が前記第1の駆動電圧以上の大きさの第2の駆動電圧を前記送電部に供給するように制御することを特徴とする送電制御装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記制御部は、
前記通常送電の開始前に、前記受電装置から前記通常送電の伝送条件情報として、前記第2の駆動電圧の情報を受信することを特徴とする送電制御装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記制御部は、
前記通常送電の開始前に前記受電装置から前記通常送電の伝送条件情報を受信し、
前記電力制御部は、
前記伝送条件情報に基づいて、前記通常送電における送電電力を可変に制御することを特徴とする送電制御装置。
【請求項6】
請求項4又は5において、
前記制御部は、
無接点電力伝送のネゴシエーション処理を行うネゴシエーション処理部と、
前記ネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送のセットアップ処理を行うセットアップ処理部と、をさらに含み、
前記セットアップ処理の際に、前記セットアップ処理部が前記受電装置から前記伝送条件情報を受信することを特徴とする送電制御装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記セットアップ処理部は、
前記ネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送の伝送条件を設定することを特徴とする送電制御装置。
【請求項8】
請求項6又は7において、
前記セットアップ処理部は、
前記受電装置が無接点電力伝送の前記伝送条件情報を送信した場合に、前記伝送条件情報を受信して、無接点電力伝送の伝送条件を設定することを特徴とする送電制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
前記電力制御部は、
前記送電装置から前記受電装置への通常送電を開始した後、前記受電装置の前記負荷が有するバッテリの満充電が検出された場合に、通常送電を停止することを特徴とする送電制御装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の送電制御装置と、
交流電圧を生成して前記1次コイルに供給する送電部と、
前記送電部に駆動電圧を供給する電源回路と、を含むことを特徴とする送電装置。
【請求項11】
請求項10に記載の送電装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムにおける送電制御方法であって、
前記送電装置から前記受電装置への通常送電の開始前に、前記送電装置と前記受電装置との間の情報通信のための仮送電を開始し、
前記通常送電時の送電電力の大きさが前記仮送電時の送電電力の大きさに対して同一又は異なるように、前記通常送電時の送電電力を可変に制御することを特徴とする送電制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−11650(P2010−11650A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168622(P2008−168622)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】