説明

送風式薬剤放散装置

【課題】複数の目的に使用できると共に、コンパクトにして持ち運び、保管でき、しかも全体処理による使用と局所処理による使用に適している送風式薬剤放散装置とする。
【解決手段】吸込口11と吐出口12を有した装置本体1に放出体2をヒンジ3で収納姿勢と張り出し姿勢とに亘って回動自在に取付け、その放出体2を張り出し姿勢としてファン13を駆動することで吐出口12から放出体2内に空気が流れて第2の薬剤24を大気に放散し、前記放出体2を収納姿勢とすることで放出体2内には空気が流通せずに装置本体1に取付けた第1の薬剤15を大気に放散できるようにした送風式薬剤放散装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、快適な居住空間を得るために、害虫の防除、悪臭の消臭、芳香消臭、芳香、又は防菌や防黴、などの目的に供する揮散性の薬剤を大気に放散する送風式薬剤放散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から快適な生活空間を得るために、芳香剤、消臭剤、除菌剤、殺虫剤、害虫忌避剤等の揮散性薬剤を気中に放散させ、香りを楽しんだりニオイを消したり、あるいは害虫を防除する等している。
これら揮散性薬剤を気中に放散させるものとしては、昨今、ファンを用いた送風式薬剤放散装置が芳香剤等の揮散性薬剤を短時間で拡散できる利便性から多くの提案がされている。
この送風式薬剤放散装置は、装置内に形成した吸込口と吐出口との気流通路にファンを具備したものであって、その吸込口、または吐出口に薬剤取付部を設け、その薬剤取付部に揮散性薬剤を保持した薬剤保持体を配設し、ファンの回転により発生する気流に揮散性薬剤を乗せ、吐き出し口から気中に放散するものである。
【0003】
前述の送風式薬剤放散装置は、個々の目的に応じた単一薬剤を利用したものであり、例えば芳香用、消臭用、または飛翔害虫用、匍匐害虫用等とそれぞれ専用の送風式薬剤放散装置である。
このために、それぞれの目的に応じた送風式薬剤放散装置を準備する必要がある。もし1台の送風式薬剤放散装置で、複数の目的に使用することができれば便利である。
【0004】
また、送風式薬剤放散装置が各々の目的に専用的に使用される場合、その使用する時期として、芳香消臭はトイレなどで臭い消しを兼ねた芳香消臭剤が年間を通して使用されるが、その他の目的については、例えば害虫防除は、蚊などの吸血飛翔害虫を防除する害虫防除器の使用期間は、通常夏場時期の約3ヶ月、長くて春終わりから秋中ごろまでの6ヶ月前後であり、また消臭や防菌防黴は、その被害を感じた時や生じた時に使用する、芳香剤はその雰囲気をかもし出す時に使用する、などと使用しない時期が長いものも多い。その間その保管場所を忘れたり、紛失することが多い。1台の送風式薬剤放散装置でこれら各目的が達成できるものがあれば、年間を通して使えるので経済効果が高い。
【0005】
また、1台の送風式薬剤放散装置で異なる種類の薬剤を装着して使用する場合、通常、薬剤を装着する薬剤取付部、また薬剤成分を含有する空気が流通する装置内の空気通過路には、僅かであるが薬剤が付着、さらに使用を継続することで付着物が蓄積する。
このことから同一の薬剤を使用する場合は問題ないが、同じ薬剤取付部に異なる薬剤を使用する場合、使用した別の薬剤の付着物が混在する懸念がある。
特に、害虫を対象とする害虫防除剤と人間を対象とする芳香剤を兼用する場合、すなわち有毒イメージの害虫防除剤と無毒イメージの芳香剤とでは、安全イメージが全く違うことことから芳香剤使用時に害虫防除剤が混在する不安がある。
【0006】
前述のことを解消して複数の目的に使用することができる送風式薬剤放散装置が特許文献1に開示されている。
この送風式薬剤放散装置は、送風機を備えた装置本体の吸込口と吐出口とに薬剤保持体をそれぞれ設け、送風機を駆動することで各々の薬剤保持体の揮散性の薬剤を大気に放散するようにしてある。
【0007】
【特許文献1】特開2003−304791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の従来の送風式薬剤放散装置は、装置本体に2つの薬剤取付部を有しているから、装置本体が大型化し、持ち運びが困難であり、いろいろな場所で複数の目的に使用するために持ち運びすることが多いので、大変不便である。
【0009】
また、前述した送風式薬剤放散装置を居住空間で使用する場面として、台所、居間、寝室など居室空間の全体処理による使用と、限られた部分の局所処理による使用に大別される。
前記局所処理場面として、害虫防除について、害虫が生息している場所、害虫による被害場所、例えばゴキブリ、アリなどの匍匐害虫の好む住処である暗くて湿気の多い場所(流しの排水溝など)、暗くて狭い場所(冷蔵庫、食器棚、レンジなどと床面との空間、壁面との空間、侵入口である穴など)などが挙げられる。
また、害虫個体や害虫集団、例えば蚊、ハエなどの飛翔害虫やゴキブリ、アリなどの匍匐害虫に向かって直接処理する、なども挙げられる。
【0010】
前述した特許文献1に開示された送風式薬剤放散装置は、全体処理による使用に適するが、局所処理による使用には適さない。特に、狭い空間の処理による使用には適さない。
すなわち、特許文献1に開示した送風式薬剤放散装置のチャンバは幅広く、高い大きさであるから、狭い空間に挿入することができないので、狭い空間に薬剤を効率良く放散することができない。
【0011】
本発明の目的は、複数の目的に使用できること、コンパクトにて持ち運び、保管できること、全体処理による使用と局所処理による使用の両方に適していること、を満足した送風式薬剤放散装置とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、吸込口11と吐出口12と吸込口11側の薬剤取付部14を有すると共に、ファン13を備え、このファン13を駆動することで前記吸込口11から空気を吸い込んで吐出口12から放出する装置本体1と、
流入口20と流出口21が流路22で連通され、その流路22に第2の薬剤24が設けてあり、前記装置本体1に収納姿勢と張り出し姿勢に回動自在にヒンジ3で取付けた放出体2と、
前記装置本体1の薬剤取付部14に着脱自在に取付け可能な第1の薬剤15を備え、
前記放出体2が収納姿勢の時には、その放出体2は装置本体1に重なり合うと共に、前記装置本体1の吐出口12が直接外部に開口し、
前記放出体2が張り出し姿勢の時には、前記装置本体1の吐出口12と放出体2の流入口20が連通し、その放出体2の流出口21が装置本体1から離隔した位置となるようにしたことを特徴とする送風式薬剤放散装置である。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、装置本体1に放出体2をヒンジ3で、収納姿勢と張り出し姿勢とに亘って上下回動自在に取付け、
前記放出体2が張り出し姿勢の時に、前記装置本体1の吐出口12の開口端面12aと放出体2の流入口20の開口端面20aが接して吐出口12と流入口20が連通するようにした送風式薬剤放散装置である。
【0014】
第3の発明は、第1の発明において、装置本体1に放出体2をヒンジ3で、収納姿勢と張り出し姿勢とに亘って水平方向に回動自在に取付け、
前記ヒンジ3は、放出体2が収納姿勢の時には吐出口12を直接外部に開口し、前記放出体2が張り出し姿勢の時には吐出口12と流入口20を連通する形状である送風式薬剤放散装置である。
【0015】
第4の発明は、第1の発明において、装置本体1に放出体2をヒンジ3で、収納姿勢と張り出し姿勢とに亘って上下回動自在に取付け、
前記ヒンジ3は、放出体2が収納姿勢の時には吐出口12を直接外部に開口し、前記放出体2が張り出し姿勢の時には吐出口12と流入口20を連通する形状である送風式薬剤放散装置。
【0016】
第5の発明は、第1〜第4いずれか1つの発明において、放出体2の流路22に、第2の薬剤を、その第2の薬剤の表面に沿って空気が流通するように取付けした送風式薬剤放散装置。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、放出体2を収納姿勢として装置本体1の薬剤取付部14に第1の薬剤15を取付けてファン13を駆動することで、第1の薬剤15を大気に放散できるし、前記放出体2を張り出し姿勢として第1の薬剤15を取り外した状態でファン13を駆動することで第2の薬剤24を大気に放散できる。
したがって、第1の薬剤15、第2の薬剤24のいずれかを選択して大気に放散できるから、複数の目的に使用できる。
【0018】
また、第1の薬剤15を大気に放散する時に、その第1の薬剤15を含有した空気は放出体2の流路22を流通しないので、第2の薬剤24が混合することなく、第1の薬剤15のみを大気に放散できる。
したがって、第1の薬剤15を人間を対象とする芳香剤とし、第2の薬剤24を害虫を対象とする害虫防除剤とすることで、芳香剤を害虫防除剤が混在することなく放散でき、安全であるし、害虫防除剤を放出体2から狭い空間に効率良く放散できる。
【0019】
また、放出体2を収納姿勢とすればコンパクトにできるから、コンパクトにして持ち運び、保管できる。
【0020】
また、放出体2を収納姿勢とすれば全体処理による使用に適し、放出体2を張り出し姿勢とすれば局所処理による使用に適する。
【0021】
第2の発明によれば、放出体2を張り出し姿勢とした時に吐出口20の開口部の全てと流入口20の開口部の全てが連通するので、ファン13の駆動による空気がスムーズに放出体2の流路22に流れ、その空気を有効利用して第2の薬剤24を効率良く、多量に放散することが可能である。
【0022】
第3の発明によれば、放出体2が水平方向に回動するので、上下寸法の小さな狭い空間内で放出体2を張り出し姿勢とすることができる。
【0023】
第4の発明によれば、放出体2が上下方向に回動するから、左右寸法の小さな狭い空間内で放出体2を張り出し姿勢とすることができる。
【0024】
第5の発明によれば、第2の薬剤24の表面に沿って空気が流れ、第2の薬剤24が空気の流れ抵抗となることが少なく、ファン13による空気流れを有効利用して薬剤を大気に効率良く放散できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の第1の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。
装置本体1と放出体2をヒンジ3で図1、図2に示す張り出し姿勢と図3に示す収納姿勢とに亘って回動自在に連結してある。
前記装置本体1は空気流通路10を有し、その空気流通路10は吸込口11と吐出口12で外部に開口し、ファン13を駆動することで吸込口11から空気を吸い込み、吐出口12から吐出する。
前記装置本体1には薬剤取付部14が設けてある。例えば、吸込口11の開口縁に沿って複数の突起14aが設けてある。
図3に示すように、薬剤取付部14に第1の薬剤15が着脱自在で、第1の薬剤15を取付けた状態で、前述のファン13を駆動することで空気流通路10を流通する空気が薬剤15に触れて薬剤(有効成分)を含有した空気として吐出口12から吐出する。
【0026】
前記放出体2は長尺で扁平な筒形状で、流入口20、流出口21、その流入口20と流出口21を連通する流路22を有している。
この放出体2には薬剤取付部23が設けてある。例えば、前記流路22の流入口20側部分を薬剤取付部23としてある。
この薬剤取付部23には第2の薬剤24が取付けてある。例えば筒形状の薬剤保持体に薬剤(薬効成分)を含浸させた第2の薬剤24が流入口20から流路22内に嵌合して取付けてある。
この第2の薬剤24は取付け、取り外し自在で、薬剤24を交換できるようにしてある。
【0027】
この放出体2が図3に示す収納姿勢であると、装置本体1と放出体2は重なり合い、その放出体2の流入口20は装置本体1の吐出口12と離れ、その吐出口12は外部に開口する。
前記放出体2が図1、図2に示すように張り出し姿勢であると、放出体2の流入口20と装置本体1の吐出口12が連通し、流出口21が装置本体1から離隔した位置となる。
【0028】
このようであるから、装置本体1に対して放出体2を図3に示す収納姿勢とすると共に、第1の薬剤15を取付けた状態としてファン13を駆動することで、第1の薬剤15に触れて薬剤を含有した空気は装置本体1の吐出口12から外部に直接放散され、その第1の薬剤15に触れて薬剤を含有した空気が流通する経路が短く、その空気に含有した薬剤が経路に付着することがなく、外部に放散する薬剤の量が少なくなることがなく、ほぼ全量の薬剤を外部に放散することが可能である。
しかも、装置本体1と放出体2が重なり合い、全長が短く、設置スペースを小さくできる。
これらが相俟って、全体処理による使用に適する送風式薬剤放散装置である。
例えば、居室空間のテーブル等の上に置いて居室空間全体に薬剤を放散して居室空間の全体処理に使用する際に、その薬剤を居室空間の全体に効率良く放散することができる。
【0029】
また、前述のように装置本体1に対して放出体2を収納姿勢とすることで、装置全体がコンパクトになり、持ち運びや保管を容易にできる。
【0030】
前記装置本体1に対して放出体2を図1、図2に示す張り出し姿勢とすると共に、第1の薬剤15を取り外した状態としてファン13を駆動することで、空気は装置本体1の吐出口12から放出体2の流入口20に流入し、第2の薬剤24に触れながら流れるので、第2の薬剤24の薬剤を含有した空気となり、その空気が放出体2の流出口21から外部に放散されるから、装置本体1から遠く離れた位置(流出口21)から第2の薬剤24の薬剤を外部に放散することができ、局所処理による使用に適する送風式薬剤放散装置である。
例えば、冷蔵庫、食器棚、レンジなどの物と床面との間の上下寸法の小さな狭い空間、前記物と壁面との間の左右寸法の小さな狭い空間に、放出体2を挿入して、その狭い空間の奥に向けて薬剤を含有した空気を放出することで、その狭い空間に薬剤を効率良く放散することができる。
【0031】
また、第2の薬剤24は筒形状で、その表面に沿って空気が流れ、流通抵抗が大きくならないので、ファン13による空気流れを有効利用して効率良く薬剤を放散できる。
【0032】
また、第1の薬剤15を放散する時には第2の薬剤24は放散されることがなく、第2の薬剤24を放散する時には第1の薬剤15を取り外して第2の薬剤24のみを放散することができる。
したがって、第1の薬剤15と第2の薬剤24のいずれか一方を選択して放散できるから、複数の目的に使用することができる。
例えば、第1の薬剤15を人間を対象とする芳香剤とし、第2の薬剤24を害虫を対象とする害虫防除剤とすれば、芳香剤を使用して放散する時には害虫防除剤が混在することがなく、安全であるし、害虫防除剤を使用して放散する時には狭い空間に効率よく放散できる。
その他、第1の薬剤15の薬剤が第2の薬剤24の薬剤に比べ毒性が低い薬剤、又は第1の薬剤15の薬剤が第2の薬剤24の薬剤に比べ臭いや香りが弱い薬剤、又は揮散性の違いによって選択して使用することもできる。
【0033】
次に、各部の具体形状を説明する。
前記装置本体1は、上面板16(上面1a)と下面板17(下面1b)と一対の側面板18と端面板19で他端が開口した扁平な矩形箱形状で、その他端の開口が吐出口12で、上面板16に吸込口11が形成してある。
前記装置本体1内は仕切壁1cでファン収容室1dと電池収容室1eに区画され、そのファン収容室1dにファン13と、そのファン13を駆動するモータ13aが設けてある。
前記電池収容室1eには電池1fが設けられ、この電池1fによってモータ13aが駆動される。
前記ファン収容室1dが吸込口11と吐出口12に開口連通して前述の空気流通路10を形成している。
【0034】
前記第1の薬剤15は図4に示すように、プレート状の薬剤保持体15aに薬剤を含浸し、その薬剤保持体15aをハウジング15bに設けてある。
このハウジング15bには孔15cが形成され、この孔15cを前記突起14aに嵌合して図3に示すように着脱自在に取付けられる。
なお、ハウジング15bに凸部(突起)を設け、上面板16(上面1a)に凹部(孔)を設けても良い。
【0035】
前記放出体2の上面2aと装置本体1の上面1a(上面板16)とに亘ってヒンジ3が取付けてあり、放出体2を張り出し姿勢とした時に装置本体1の吐出口12の開口端面12aと放出体2の流入口20の開口端面20aが接する。
前記放出体2の上面2aは、図3に示すように収納姿勢とした時に第1の薬剤15(ハウジング15b)に接するので、その部分に凹溝25を形成し、この凹溝25に沿って第1の薬剤15に空気が流れるようにしてある。
【0036】
前述の実施の形態では、放出体2を180度回動自在として張り出し姿勢の時の放出体2が真横に向かうようにしたが、これに限ることはない。
例えば、放出体2をほぼ90度回動自在として張り出し姿勢の時に放出体2が真上に向かうようにしても良い。
具体的には、図5、図6に示すように装置本体1の吐出口12の開口端面12aを上向きとし、放出体2の流入口20の開口端面20aが接することで放出体2が真上に向かうようにする。
この実施の形態には、放出体2が張り出し姿勢の時に保持する保持手段が設けてある。例えば、吐出口12の開口端面12aに係合凹部12bを形成し、流入口20の開口端面20aに係合突部20bを設け、この係合突部20bを係合凹部12bに係合することで放出板2を張り出し姿勢で保持する。
【0037】
前記装置本体1の薬剤取付部14は、上面1aの吸込口11の周縁に沿ってリング状の突片14bを設けて凹陥形状としてある。
前記第1の薬剤15は空気が流通する薬剤容器15d内に粒状の薬剤保持体15eを多数充填したものとしてある。
そして、第1の薬剤15を図6に示すように凹陥形状の薬剤取付部14に嵌め込むようにして取付ける。
【0038】
前記装置本体1の上面1aに放出体支持部1gを形成し、放出体2が収納姿勢の時には放出体2の当接部2bが放出体支持部1gに当接して第1の薬剤15の上面と放出体2との間に隙間が形成されるようにしてある。
【0039】
前記放出体2の薬剤取付部23は流路22の流出口21寄り部分としてある。
前述第2の薬剤24は、フランジ付きの筒状体24a内に薬剤を含浸した薬剤保持体24bを充填したもので、その筒状体24aのフランジが放出体2の流出口21の開口端面21aに接するようにして取付けてある。
このようにすることで、放出体2が張り出し姿勢の時に第2の薬剤24を取り出し、取付けできるから、交換可能である。
【0040】
前記第2の薬剤24について詳細に説明する。
前記薬剤保持体の形状としては、筒形状、棒形状、平板形状、ジャバラ形状、円弧形状、網形状、格子形状、スノコ形状、ハニカム形状、その他、袋や容器に収納した収納具形状、などが挙げられる。また、この素材としては、紙、不織布、織編物、合成樹脂、多孔物質、木材、金属、その他、乾燥及び/又は薬剤処理により加工された植物体、などが挙げられる。また、薬剤の保持処理方法としては、含浸、塗布、混合加工成型、印刷、積層、付着、その他、ハーブなどの薬効素材自体、などが挙げられる。
【0041】
そして、第2の薬剤24(薬剤保持体)の大きさ、形状、放出体2への取付け方、取付ける数は限定されるものではなく、薬剤の種類、薬量、保持体の材質、又は使用する目的などによって決めることができる。
【0042】
前記第2の薬剤24は、放出体2の流路22内に、その薬剤保持体の外面と流路22の内面との間に空気が流通するように設けることができる。この薬剤保持体は1つに限ることはなく、複数としても良い。その場合には複数の薬剤を幅方向に設けたり、長手方向に直列に設けることができる。
【0043】
前記第2の薬剤24は、その薬剤保持体がプレート形状の時には、図7(a)に示すように放出体2の対向した内面2bに溝25を形成して薬剤取付部23とし、その溝25間に長手方向から嵌合して取付けできる。
また、図7(b)に示すように放出体2の対向した内面2bに突条26を形成し、対向した他の内面2cと突条26との間に上下の薬剤取付部23とし、その各薬剤取付部23に長手方向から挿入して取付けできる。
また、図7(c)に示すように、放出体2の隅角部2dを薬剤取付部23とし、斜めに取付けできる。
また、図7(d)に示すように、放出体2の対向した他の内面2cに複数の溝27を相対向して形成し、複数の薬剤取付部23とし、いずれか1つ又は複数の溝27間に長手方向から挿入して取付けできる。
また、図示は省略するが放出体2の流入口20の開口端面20a又は流出口21の開口端面21aに開口したスリットを長手方向に形成し、第2の薬剤24をスリットに挿入して取付けることもできる。
【0044】
また、第2の薬剤24は放出体2の長手方向と直角方向から挿入して取付けるようにしても良い。
例えば、図8(a)に示すように放出体2を対向した左右の縦板30と上横板31と下横板32で矩形断面の筒形状とし、その左右の縦板30に薬剤挿通用の孔33を相対向して形成する。
第2の薬剤24(薬剤保持体)を一方の孔33から挿通し、他方の孔33から突出して左右の縦板30に跨って支持して取付ける。
【0045】
前述のようにして取付ける場合に、第2の薬剤24は上板31、下板32と平行で、上板31の内面31a、下板32の内面32aとの間に隙間があり、その隙間を通って空気が流通する。
【0046】
なお、図示は省略するが前述の薬剤挿通用の孔33を上板31と下板32に連続する斜めの形状とし、第2の薬剤24が斜めとなって上下板31,32の内面31a,32aに接するようにしたり、前記薬剤挿通用の孔33を上板31の内面31a、下板32の内面32aまで連続すると共に、その上下板31,32の内面31a,32aに孔33と連続した溝を形成し、第2の薬剤24をその溝に嵌まり込むようにして取付けても良い。
この場合には、放出体2の流路22が第2の薬剤24で閉塞され、空気は第2の薬剤24を通過して流通する。
【0047】
また、図8(b)に示すように、放出体31に薬剤挿通用の孔34を形成し、第2の薬剤24を矢印で示すように孔34から挿入して下板32の内面32aに接するようにして取付けても良い。
この場合には、左右の縦板30の内面30aと第2の薬剤24との間に隙間があり、その隙間を通って空気が流通する。
【0048】
また、図示は省略するが、前述の孔34を上板31と左右の縦板30とに連続して長手方向と直角方向に形成し、第2の薬剤24を上から孔34に挿入して取付けるようにしても良い。
この場合には、放出体2の流路22が第2の薬剤24で閉塞され、空気は第2の薬剤24を通過して流通する。
【0049】
前記第2の薬剤24は、図9、図10に示すように放出体2に取付けても良い。
前記放出体2の上板31に開口部35を形成すると共に、下板32の内面32aに凹部36を形成し、第2の薬剤24を開口部35から挿入して凹部36に嵌合して取付け、前記開口部35を蓋37で閉塞する。
また、図示は省略するが左右一方の縦板30に開口部を形成し、左右他方の縦板30の内面に凹部を形成し、第2の薬剤24を開口部から挿入して凹部に嵌合することで取付けるようにしても良い。
【0050】
このようにすれば、開口部35が蓋37で閉塞され、第2の薬剤24が開口部35から外気に触れることがないので、無駄な薬剤の放散が低減する。
【0051】
また、図示は省略するが、放出体2の流路22内に、複数の第2の薬剤24を長手方向に並設して取付けても良い。
【0052】
前記第1の薬剤15は、図5に示す凹陥形状の薬剤取付部14に合致した形状に成形した薬剤保持体のみとし、その薬剤保持体を薬剤取付部14に嵌合して取付けるようにしても良い。
また、第1の薬剤15はファン13に取付けしても良い。この場合には装置本体1からファン13を取り出し可能としたり、第1の薬剤15をファン13まで挿入したり、取り出したりできるようにする。
【0053】
前記装置本体1、放出体2の高さ、幅は任意なものとすることができる。
例えば、装置本体1の高さよりも放出体2の高さが小さくしても良い。
このようにすれば、より狭い隙間に放出体2を挿入できる。
この場合には、装置本体1の上面板16における吐出口12寄りを斜めとして吐出口12と流入口20の高さ寸法を同一とする。
【0054】
また、放出体2の流入口20側部分の高さを装置本体1の高さと同一とし、その放出体2の他の部分の高さを装置本体1の高さよりも小さくしても良い。
また、放出体2の流入口20側部分の高さを装置本体1の高さと同一とし、流出口21側部分に向けて順次高さが小さくなった高さ方向に先細り形状としても良い。
また、放出体2の流入口20側部分の幅を大きく、流出口21側部分に向けて順次幅が小さくなった幅方向に先細り形状としても良い。
また、装置本体1の幅よりも放出体2の幅を小さくしても良い。この場合には吐出口12の開口幅を小さくして放出体2の流入口20の開口幅と同一とする。
前述のようにすることで、放出体2の流出口21の開口面積を流入口20の開口面積よりも小さくすれば、第2の薬剤24を含有した空気を1ヶ所に向けて集中的に放出することができる。
これによって、放出体2の流出口21から害虫個体などの標的に向けて薬剤を確率良く放散できる。
【0055】
前述の実施の形態では、放出体2の収納姿勢を、装置本体1の上面1aに重なり合うようにしたが、放出体2を装置本体1の下面1bに重なり合うようにしても良い。
【0056】
前述の実施の形態では、放出体2を張り出し姿勢とした時に、吐出口12の開口端面12aと流入口20の開口端面20aを接して放出体2の流路22に空気を流通するようにしたが、これに限ることはなく、放出体2を装置本体1に回動自在に連結するヒンジ3を通して放出体2の流路22に空気が流通するようにしても良い。
【0057】
例えば、図11〜図14に示すように、放出体2の流入口20側に端面板38を形成し、この端面板38を左右の縦板30と連続した半円形状とすると共に、補助流出口38aを形成し、上板31と下板32には孔39をそれぞれ形成する。
装置本体1の吐出口12に有底の筒体40を取付け、この筒体40の外周面に前記孔39と端面板38を回転自在に接し、放出体2を水平方向に回動自在とするヒンジ3とする。
この筒体40には補助流入口41を形成する。
【0058】
そして、放出体2が図11に示すように張り出し姿勢の時には、図11、図13に示すように、補助流入口41が放出体2の流入口20と連通すると共に、筒体40の内部は補助流出口38aと遮断される。
これによって、ファン13による空気は吐出口12、筒体40の内部、補助流入口41を経て放出体2の流入口20に流通する。
【0059】
前記放出体2を図12に示すように収納姿勢に回動すると、図12と図14に示すように、補助流入口41が補助流出口38aに連通すると共に、筒体40の内部は放出体2の流入口20と遮断される。
これによって、ファン13による空気は吐出口12、筒体40の内部、補助流入口41、補助流出口38aを経て大気に流出する。
【0060】
また、放出体2は水平方向に回動するから、前述した上下寸法の小さな狭い空間内で張り出し姿勢とすることができる。
【0061】
この実施の形態の場合でも、第1の薬剤15、第2の薬剤24は前述の第1の実施の形態と同様に種々のものを用いることができる。
【0062】
また、前述の実施の形態では放出体2を水平方向に回動自在とするヒンジ2を通して空気を流通するようにしたが、放出体2を上下方向に回動自在とするヒンジ3を通して放出体2に空気を流通するようにしても良い。
例えば、図15〜図18に示すように、ヒンジ3を突起部50と一対の突片51と軸52を備えたものとする。
前記突起部50は装置本体1に設けられ、この突起部50は円弧状の外周面50aを有し、その外周面50aに吐出口12が開口している。
前記一対の突片51は、前記放出体2の流入口20側において前記突起部50の長手方向両端面50bと対向してあり、この一対の突片51間に突起部50が回転可能に入り込み、突片51と突起部50が軸52で上下回転自在に連結される。
前記放出体2の流入口20の上下開口縁には、前記突起部50の外周面50aに接する円弧状の上下一方の一側壁53と直線状の上下他方の他側壁54が設けてある。
前記放出体2の流入口20の左右開口縁には前記一対の突片51が設けられ、この一対の突片51は前記一側壁53、他側壁54よりも突出している。
【0063】
前記放出体2が図17、図18で示す収納姿勢の時には、放出体2は突起部50における吐出口12の開口部12b側(図18で左側)と反対側(図18で右側)に位置し、その一側壁53、他側壁54は吐出口12の開口部12bと離れて吐出口12は外部に直接開口する。
【0064】
前記放出体2が図15、図16で示す張り出し姿勢の時には、放出体2は突起部50における吐出口12の開口部12b側(図16で左側)に位置し、その一側壁53と他側壁54が突起部50の外周面50aにおける吐出口12の開口部12bの上下にそれぞれ接し、吐出口12と流入口20が連通する。
【0065】
この実施の形態においても第1・第2の薬剤15,24は前述の第1の実施の形態と同様に種々のものを用いることができる。
【0066】
また、放出体2が上下方向に回動するから、前述の左右寸法の小さな狭い空間で放出体2を張り出し姿勢に回動できる。
【0067】
前述の説明では放出体2が張り出し姿勢の時に、装置本体1に対して収納姿勢からほぼ180度回動したが、ほぼ90度回動して張り出し姿勢としても良いし、ほぼ90度〜180度の範囲で回動して張り出し姿勢としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す放出体が張り出し姿勢の時の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す放出体が張り出し姿勢の時の平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す放出体が収納姿勢の時の断面図である。
【図4】第1の薬剤の平面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す放出体が張り出し姿勢の時の断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す放出体が収納姿勢の時の断面図である。
【図7】第2の薬剤を放出体に長手方向から挿入して取付ける実施の形態である。
【図8】第2の薬剤を放出体に長手方向と直角方向から挿入して取付ける実施の形態である。
【図9】第2の薬剤を放出体に上から挿入して取付ける実施の形態の取り出し状態の斜視図である。
【図10】取付けた状態の断面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態を示す放出体が張り出し姿勢の時の断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態を示す放出体が収納姿勢の時の断面図である。
【図13】図11のA−A断面図である。
【図14】図12のB−B断面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態を示す放出体が張り出し姿勢の時の平面図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態を示す放出体が張り出し姿勢の時の断面図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態を示す放出体が収納姿勢の時の平面図である。
【図18】本発明の第4の実施の形態を示す放出体が収納姿勢の時の断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1…装置本体、2…放出体、3…ヒンジ、11…吸込口、12…吐出口、13…ファン、14…薬剤取付部、15…第1の薬剤、20…流入口、21…流出口、22…流路、23…薬剤取付部、24…第2の薬剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口11と、吐出口12と、吸込口11側の薬剤取付部14を有すると共に、ファン13を備え、このファン13を駆動することで前記吸込口11から空気を吸い込んで吐出口12から放出する装置本体1と、
流入口20と流出口21が流路22で連通され、その流路22に第2の薬剤24が設けてあり、前記装置本体1に収納姿勢と張り出し姿勢に回動自在にヒンジ3で取付けた放出体2と、
前記装置本体1の薬剤取付部14に着脱自在に取付け可能な第1の薬剤15を備え、
前記放出体2が収納姿勢の時には、その放出体2は装置本体1に重なり合うと共に、前記装置本体1の吐出口12が直接外部に開口し、
前記放出体2が張り出し姿勢の時には、前記装置本体1の吐出口12と放出体2の流入口20が連通し、その放出体2の流出口21が装置本体1から離隔した位置となるようにしたことを特徴とする送風式薬剤放散装置。
【請求項2】
装置本体1に放出体2をヒンジ3で、収納姿勢と張り出し姿勢とに亘って上下回動自在に取付け、
前記放出体2が張り出し姿勢の時に、前記装置本体1の吐出口12の開口端面12aと放出体2の流入口20の開口端面20aが接して吐出口12と流入口20が連通するようにした請求項1記載の送風式薬剤放散装置。
【請求項3】
装置本体1に放出体2をヒンジ3で、収納姿勢と張り出し姿勢とに亘って水平方向に回動自在に取付け、
前記ヒンジ3は、放出体2が収納姿勢の時には吐出口12を直接外部に開口し、前記放出体2が張り出し姿勢の時には吐出口12と流入口20を連通する形状である請求項1記載の送風式薬剤放散装置。
【請求項4】
装置本体1に放出体2をヒンジ3で、収納姿勢と張り出し姿勢とに亘って上下回動自在に取付け、
前記ヒンジ3は、放出体2が収納姿勢の時には吐出口12を直接外部に開口し、前記放出体2が張り出し姿勢の時には吐出口12と流入口20を連通する形状である請求項1記載の送風式薬剤放散装置。
【請求項5】
放出体2の流路22に、第2の薬剤を、その第2の薬剤の表面に沿って空気が流通するように取付けした請求項1〜4いずれか1項に記載の送風式薬剤放散装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−263813(P2008−263813A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109185(P2007−109185)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000112853)フマキラー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】