説明

逆分散位相差フィルム及びそれを用いた液晶表示装置

【課題】高い透明性と優れた波長分散特性を有し、密着性が非常に高く、しかも複屈折の波長分散特性を逆分散とすることも可能な位相差フィルムを提供する。
【解決手段】下記一般式(1):


[式(1)中、nは、0又は1の整数を示し、Xは、式:−CH=CH−で表される基、又は、式:−CHCH−で表される基を示し、波線a、b、cは、endo又はexoの立体配置を示す。]で表される構造単位を含有し且つ前記波線cがexoの立体配置を示す構造単位の比率が20モル%以上65モル%以下にあるノルボルネン系開環重合体からなるフィルムを延伸。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆分散位相差フィルム並びにそれを用いた液晶表示装置に関し、より詳しくは、1/2λ板、1/4λ板、保護フィルム、反射防止フィルム等に好適に利用することが可能な逆分散位相差フィルム並びにそれを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)等の液晶表示装置には光学補償を目的として光学異方性が制御された位相差フィルムが利用されており、従来は主にポリカーボネートや環状ポリオレフィンといった正(ポジティブ)の複屈折性を有する材料が用いられてきた。
【0003】
このような状況の下、環状ポリオレフィンの中でも特に反応性の高いノルボルネン誘導体を前駆体とするノルボルネン系開環重合体が開発されており、例えば、特開2003−255102号公報(特許文献1)、特開2004−176051号公報(特許文献2)、特開2004−323489号公報(特許文献3)には特定のノルボルネン系開環重合体からなる光学用フィルムが開示されている。しかしながら、特許文献1〜3に記載されているような従来のノルボルネン系開環重合体は、他の材料との密着性が十分には高くなく、また、逆波長分散フィルム等への利用が期待される負(ネガティブ)の複屈折性を十分に達成できるものではなかった。
【0004】
一方、米国特許第5612801号公報(特許文献4)には、負の複屈折性の中でも特異的な光学特性を示すいわゆるネガティブA位相差フィルムが開示されている。しかしながら、このような従来のポリスチレンやポリメチルメタクリレートといった負の複屈折性を有する材料は、耐熱性が十分には高くなく、また、このような材料でネガティブA位相差フィルムを得ることは困難であった。
【0005】
また、LCDや光ディスク用ピックアップ等の用途において必要とされている可視光領域全域(400〜800nm)の広範な波長領域において1/4波長の位相差を与える位相差フィルム(広帯域位相差板:逆波長分散性フィルム)も種々研究されてきた。例えば、特開平10−68816号公報(特許文献5)においては、2枚の位相差フィルムをほぼ直交方向に貼り合わせて積層した位相差フィルムが開示されている。また、特開2002−48919号公報(特許文献6)においては、正または負の固有の複屈折を示す2種類のモノマーを重縮合して得られる位相差フィルムが開示されている。更に、特開2001−194527号公報(特許文献7)においては、正と負の固有の複屈折を示すポリマー同士をアロイ化して得られる位相差フィルムが開示され、特開2005−36201号公報(特許文献8)においては、重合後に正または負の固有の複屈折を示す2種類のノルボルネン系モノマーを開環(共)重合して得られる位相差フィルムが開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献5に記載されているような位相差フィルムにおいては、製造の際に接着剤を用いて2枚のフィルムを貼合する必要があり、製造工程が煩雑で歩留まりが低下したり、コストが高くなったりと生産性の点で問題があった。また、特許文献6〜8に記載のような従来の位相差フィルムにおいては、製造の際にブレンドした場合にポリマー同士が混ざり難くいため相分離して白濁することが多く、得られた位相差フィルムを光学用途に使用することが困難であった。更に、これらの位相差フィルムを製造するために用いられる負の複屈折を示すモノマーが特殊な構造をしているため、その製造が困難で高価であるという問題もあった。
【特許文献1】特開2003−255102号公報
【特許文献2】特開2004−176051号公報
【特許文献3】特開2004−323489号公報
【特許文献4】米国特許第5612801号公報
【特許文献5】特開平10−68816号公報
【特許文献6】特開2002−48919号公報
【特許文献7】特開2001−194527号公報
【特許文献8】特開2005−36201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、単層で高い透明性と優れた波長分散特性を有し、広帯域の光に対して特定の位相差を与えることができ、他の材料との密着性が非常に高く、しかも複屈折の波長分散特性を逆分散とすることも可能な逆分散位相差フィルム、並びに、それを用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造式で表される構造単位を含有するノルボルネン系開環重合体を用い、その重合体中に含有される前記構造単位のexo異性体の比率を特定の範囲とすることにより、単層で高い透明性と優れた波長分散特性を有し、広帯域の光に対して特定の位相差を与えることができ、他の材料との密着性が非常に高く、しかも複屈折の波長分散特性を逆分散とすることが可能な逆分散位相差フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の逆分散位相差フィルムは、下記一般式(1):
【0010】
【化1】

【0011】
[式(1)中、nは、0又は1の整数を示し、
Xは、式:−CH=CH−で表される基、又は、式:−CHCH−で表される基を示し、
、R、R、Rは、同一でも又は異なっていてもよく、それぞれ、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子及びケイ素原子からなる群から選択される少なくとも1種の連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;及び極性基からなる群から選択される原子若しくは基を示し、
波線a、bは、endo又はexoの立体配置を示し、
波線cは、endo又はexoの立体配置を示す。]
で表される構造単位を含有し且つ前記構造単位のうちの前記波線cがexoの立体配置を示す構造単位の比率が20モル%以上65モル%以下の範囲にあるノルボルネン系開環重合体からなるフィルムを延伸してなることを特徴とするものである。
【0012】
このような本発明の逆分散位相差フィルムは、複屈折の波長分散特性を逆分散とすることが可能である。そして、このような逆分散性をより発揮させるという観点からは、上記本発明の逆分散位相差フィルムとしては、前記構造単位のうちの前記波線cがexoの立体配置を示す構造単位の比率が35モル%以上65モル%以下の範囲にあることが好ましい。
【0013】
また、上記本発明の逆分散位相差フィルムにおいては、前記Xが式:−CHCH−で表される基である前記構造単位の比率が、前記ノルボルネン系開環重合体中の全構造単位に対して90モル%以上であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の液晶表示装置は、上記本発明の位相差フィルムを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、単層で高い透明性と優れた波長分散特性を有し、広帯域の光に対して特定の位相差を与えることができ、他の材料との密着性が非常に高く、しかも複屈折の波長分散特性を逆分散とすることが可能な逆分散位相差フィルム、並びに、それを用いた液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0016】
また、このような本発明の位相差フィルムは、薄膜化が可能である。更に、本発明の位相差フィルムは、その製造工程も簡略化されており、歩留りよく低コストで製造することが可能なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0018】
先ず、本発明の逆分散位相差フィルムについて説明する。すなわち、本発明の逆分散位相差フィルムは、下記一般式(1):
【0019】
【化2】

【0020】
[式(1)中、nは、0又は1の整数を示し、
Xは、式:−CH=CH−で表される基、又は、式:−CHCH−で表される基を示し、
、R、R、Rは、同一でも又は異なっていてもよく、それぞれ、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子及びケイ素原子からなる群から選択される少なくとも1種の連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;及び極性基からなる群から選択される原子若しくは基を示し、
波線a、bは、endo又はexoの立体配置を示し、
波線cは、endo又はexoの立体配置を示す。]
で表される構造単位を含有し且つ前記構造単位のうちの前記波線cがexoの立体配置を示す構造単位の比率が20モル%以上65モル%以下の範囲にあるノルボルネン系開環重合体からなるフィルムを延伸してなることを特徴とするものである。
【0021】
本発明にかかるノルボルネン系開環重合体は、前記一般式(1)で表される構造単位を含有しており、その置換基に芳香環を有しており、更にノルボルネン単量体の開環重合によって得られたシクロペンタン環と芳香環が直接もしくはビシクロ環を介して結合しているものである。また、このような構造単位としては、前記式(1)中のnが0又は1の整数を示す。そして、ノルボルネン系開環重合体においては、nが0又は1の単一重合体でもよく、nが0と1の共重合体でもよい。このようなnの値は、光学特性や諸物性をバランスよくコントロールするために、目的とする設計に応じて適宜調整することができる。
【0022】
また、前記式(1)中の波線a、bは、endo又はexoの立体配置を示す。本発明においては、前記ノルボルネン系開環重合体中の全構造単位のうち、前記波線a、bの示す立体配置がexoである構造単位の比率が、35〜100モル%であることが好ましく、65〜100モル%であることがより好ましい。このような波線a、bの示す立体配置がexoである構造単位の含有比率が35%未満では、逆分散特性を示さない傾向にある。
【0023】
さらに、前記式(1)中の波線cも、endo又はexoの立体配置を示す。本発明においては、前記ノルボルネン系開環重合体中の全構造単位のうち、前記波線cがexoの立体配置を示す構造単位の比率が20モル%以上65モル%以下である。また、このような波線cがexoの立体配置を示す構造単位の比率が20モル%未満では、波長分散値が逆分散となる特異な光学特性を示すフィルムが得られない。
【0024】
また、このような本発明の逆分散位相差フィルムにおいては、逆波長分散性を達成するという観点からは、前記構造単位のうちの前記波線cがexoの立体配置を示す構造単位の比率が20モル%以上65モル%以下の範囲(好ましくは35モル%以上65モル%以下の範囲、より好ましくは40〜60の範囲)にある。すなわち、本発明の逆分散位相差フィルムとしては、前記波線cがexoの立体配置を示す構造単位の比率を20モル%(より好ましくは35モル%)以上65モル%以下の範囲とすることで、位相差フィルムを逆分散位相差フィルムとすることができる。このような波線cがexoの立体配置を示す構造単位の比率が前記65モル%を超えると、逆波長分散性を達成することが困難となる。
【0025】
なお、このような波線a、b、cで表される立体配置は、単量体製造時の反応条件、及び製造後の反応処理等によって適宜調整することができる。例えば、波線a、bの立体配置は製造後の異性化処理によって容易に制御することが可能であり、波線cの立体配置は単量体の製造時の反応条件や製造後の熱処理によって制御することが可能である。
【0026】
また、前記式(1)中のR、R、R、Rで表される置換基は、同一でも又は異なっていてもよく、それぞれ、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子及びケイ素原子からなる群から選択される少なくとも1種の連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30(より好ましくは1〜10)の炭化水素基;及び極性基からなる群から選択される原子若しくは基である。なお、このような極性基としては、例えば、水酸基、メルカプト基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。更に、このような式(1)中のR、R、R、Rで表される置換基としては、得られる位相差フィルムにより高度な耐熱性を付与することができるという観点から、前述の置換基の中でも、シアノ基等が好ましい。
【0027】
また、前記式(1)中のXは、式:−CH=CH−で表される基、又は、式:−CHCH−で表される基である。本発明にかかるノルボルネン系開環重合体においては、含有される全ての構造単位中のXが前述の一方の基のみからなるものであってもよく、前述の基をそれぞれ備える構造単位が混合されてなるものであってもよい。なお、本発明にかかるノルボルネン系開環重合体は、水素添加割合が高いほど、すなわち主鎖中の二重結合が少ないほど、より安定な重合体となる。そのため、本発明にかかるノルボルネン系開環重合体としては、充分に水素が添加され、主鎖中の二重結合が少ない重合体が好ましい。このような観点から、前記式(1)中のXが式:−CHCH−で表される基である前記構造単位の比率が、前記ノルボルネン系開環重合体の全構造単位中に、90モル%(より好ましくは95モル%、特に好ましくは98モル%)以上となることが好ましい。このような比率が90モル%未満では、重合体の安定性が低下し、熱による着色や劣化を抑制することが困難となる傾向にある。
【0028】
また、前記一般式(1)で表されるノルボルネン系開環重合体の重量平均分子量は、1000〜10000000であることが好ましく、10000〜1000000であることがより好ましい。前記一般式(1)で表されるノルボルネン系開環重合体の重量平均分子量が前記下限未満では、得られる芳香族型ノルボルネン系開環重合体の強度が低くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られるノルボルネン系開環重合体の溶融粘度が高くなり過ぎる傾向にある。
【0029】
このような本発明にかかるノルボルネン系開環重合体を製造する方法は特に制限されないが、例えば、下記反応式(I):
【0030】
【化3】

【0031】
[上記反応式(I)中、R、R、R、R、a、b、c、nは、それぞれ前記一般式(1)中のR、R、R、R、a、b、c、nと同義である。]
に従って、前記式(3)で表される芳香族型ノルボルネン単量体を開環重合せしめて前記式(4)で表されるノルボルネン系開環重合体を得た後、得られた開環重合体に対して水素添加して前記式(4’)で表されるノルボルネン系開環重合体を得る方法を好適に採用することができる。
【0032】
このような式(3)で表される芳香族型ノルボルネン単量体としては、以下のようなものを挙げることができる。
【0033】
5−フェニルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、8-フェニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-tBuフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-アミノフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-アミノフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(o-アセトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(o-アセトキシフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-アセトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-アセトキシフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、6-ブロモ-5-フェニル-ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-フェニル-9-ブロモテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-イソプロピルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-イソプロピルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(m-ブロモフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(m-ブロモフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-ブロモフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-ブロモフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(o-ブロモフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(o-ブロモフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、6,6-ジフルオロ-5-(p-ブロモフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-ブロモフェニル)-9,9-ジフルオロテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-クロロフェニル)-5-メチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-クロロフェニル)-9-メチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(o-クロロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(o-クロロフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(m-クロロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(m-クロロフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-クロロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-クロロフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(m-クロロメチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(m-クロロメチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-クロロメチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-クロロメチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-シアノメチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-シアノメチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(o-クロロメチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(o-クロロメチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(2,6-ジクロロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(2,6-ジクロロフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-フルオロフェニル)-5-メチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-フルオロフェニル)-9-メチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(o-フルオロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(o-フルオロフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(m-フルオロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(m-フルオロフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-フルオロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-フルオロフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(ペンタフルオロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(ペンタフルオロフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(o-メトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(o-メトキシフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-エトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-エトキシフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-フェノキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-フェノキシフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-ヒドロキシメチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-ヒドロキシメチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-メトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-メトキシフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(o-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(o-メチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(m-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(m-メチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-メチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-メチル-5-フェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-メチル-8-フェニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、6-メチル-5-フェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、9-メチル-8-フェニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(m-ニトロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(m-ニトロフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-ニトロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-ニトロフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-シアノフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-シアノフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-n-オクチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-n-オクチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-トリメチルシロキシ-5-フェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(トリメチルシロキシ)-8-フェニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(2,4,6-トリメチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(2,4,6-トリメチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(o-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(o-メチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(m-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(m-メチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-メチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(2,4-ジメチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(2,4-ジメチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(2,5-ジメチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(2,5-ジメチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(2,5-ジクロロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(2,5-ジクロロフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(2,6-ジクロロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(2,6-ジクロロフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(3,4-ジクロロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(3,4-ジクロロフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(o-ヨードフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(o-ヨードフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(ビフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(ビフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-スルホン酸フェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-スルホン酸フェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-スルホン酸クロライドフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-スルホン酸クロライドフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-カルボキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-カルボキシフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5,6-ジフェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8,9-ジフェニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5,5-ジフェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8,8-ジフェニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(1-ナフチル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(1-ナフチル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(2-ナフチル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(2-ナフチル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(9-アントラセニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(9-アントラセニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(m-イソプロペニルフェニル)-5-メチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(m-イソプロペニルフェニル)-8-メチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-イソプロペニルフェニル)-5-メチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-イソプロペニルフェニル)-8-メチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-クロロフェニル)-5-メチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-クロロフェニル)-8-メチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-シアノ-5-(p-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-シアノ-8-(p-メチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、6-メチル-5-フェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、9-メチル-8-フェニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-メトキシフェニル)-6-メチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-メトキシフェニル)-9-メチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(p-ヒドロキシ-o-メトキシフェニル)-6-メチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(p-ヒドロキシ-o-メトキシフェニル)-9-メチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-6-メチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-9-メチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、6-ブロモ-5-フェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-フェニル-9-ブロモテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、6-ホルミル-5-フェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、9-ホルミル-8-フェニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、6-アセチル-5-フェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、9-アセチル-8-フェニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、6-ベンゾイル-5-フェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-フェニル-9-ベンゾイルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、6-シアノ-5-フェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、9-シアノ-8-フェニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、6-ニトロ-5-フェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、9-ニトロ-8-フェニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、テトラシクロ[8.4.111,14.0
1,10.04,9]ペンタデカ-4,6,8,12−テトラエン、ペンタシクロ[7.6.111,14.11,9.010,15.05,17]ヘプタデカ-1,3,5,6,8,12−ヘキサエン、ペンタシクロ[10.6.114,17.013,18.01,6.07,12]ノナデカ-1,3,5,7,9,11,15-ヘプタエン、テトラシクロ[7.4.110,13.01,9.02,7]テトラデカ-2,4,6,11-テトラエン、2-オキソテトラシクロ[7.4.110,13.01,9.03,8]テトラデカ-3,5,7,11-テトラエン、3-オキソテトラシクロ[8.4.111,14.01,10.04,9]ペンタデカ-4,6,8,12-テトラエン-2-オン、5-フェニル-6-カルボキシ(p-メトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシ(m-メトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシ(o-メトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシ(p-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシ(m-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシ(o-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシ(p-クロロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシ(m-クロロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシ(o-クロロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシ(p-ニトロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシ(m-ニトロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシ(o-ニトロフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシ(p-ブロモフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシ(m-ブロモフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシ(o-ブロモフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(p-アミノフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(p-アミノフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(p-ブロモフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(p-ブロモフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(p-ブロモフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(o-ブロモフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(o-ブロモフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(o-ブロモフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(m-ブロモフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン5-(m-ブロモフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(m-ブロモフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(p-クロロフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(p-クロロフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(p-クロロフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(m-クロロフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(m-クロロフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(m-クロロフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(o-クロロフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(o-クロロフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(o-クロロフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン5-フェニル-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシベンジルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシフェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(p-ヒドロキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(p-ヒドロキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(p-ヒドロキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(o-ヒドロキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(o-ヒドロキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(o-ヒドロキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-シアノ-5-フェニル-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-シアノ-5-フェニル-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-シアノ-5-フェニル-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-シアノ-5-フェニル-6-カルボキシコレステリルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(m-ヒドロキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(m-ヒドロキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(m-ヒドロキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシアリルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシビニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシシンナミルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(p-クロロ-m-ニトロフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(p-クロロ-m-ニトロフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(p-クロロ-m-ニトロフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2-クロロ-5-ニトロフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2-クロロ-5-ニトロフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-2-クロロ-5-ニトロフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-シアノ-5-(p-ハイドロキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-シアノ-5-(p-ハイドロキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-シアノ-5-(p-ハイドロキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-フェニル-6-カルボキシイソプロピルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5,6-ジブロモ-5-フェニル-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5,6-ジブロモ-5-フェニル-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5,6-ジブロモ-5-フェニル-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3,4-ジメトキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3,4-ジメトキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3,4-ジメトキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3,5-ジメトキシ-4-ハイドロキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3,5-ジメトキシ-4-ハイドロキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3,5-ジメトキシ-4-ハイドロキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,5-ジメトキシフェニル)-6-カルボン酸メチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,5-ジメトキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,5-ジメトキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,3-ジメトキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,3-ジメトキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,3-ジメトキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,4-ジフルオロフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,4-ジフルオロフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,4-ジフルオロフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,4-ジメトキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,4-ジメトキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,4-ジメトキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,4-ジクロロフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,4-ジクロロフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,4-ジクロロフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-フルオロフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-フルオロフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-フルオロフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2-フルオロフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2-フルオロフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2-フルオロフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-フルオロフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-フルオロフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-フルオロフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-ハイドロキシ-3-メトキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-ハイドロキシ-3-メトキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-ハイドロキシ-3-メトキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-ハイドロキシ-4-メトキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-ハイドロキシ-4-メトキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-ハイドロキシ-4-メトキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-メトキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-メトキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-メトキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2-メトキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2-メトキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2-メトキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-メトキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-メトキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-メトキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-メチルフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-メチルフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-メチルフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-メルカプトフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-メルカプトフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-メルカプトフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2-メチルフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2-メチルフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2-メチルフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-メチルフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-メチルフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-メチルフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-メチル-5-フェニル-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-メチル-5-フェニル-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-メチル-5-フェニル-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-ニトロフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-ニトロフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-ニトロフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-ニトロフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-ニトロフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-ニトロフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2-ニトロフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2-ニトロフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2-ニトロフ
ェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-n-オクタデシロキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-n-オクタデシロキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-n-オクタデシロキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-ステアリロキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-ステアリロキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-ステアリロキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5,5-ジフェニル-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5,5-ジフェニル-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5,5-ジフェニル-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,4,5-トリメトキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,4,5-トリメトキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,4,5-トリメトキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-トリフルオロメチルフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-トリフルオロメチルフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-トリフルオロメチルフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-トリフルオロメトキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-トリフルオロメトキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(3-トリフルオロメトキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,3,4-トリメトキシフェニル)-6-カルボン酸ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,3,4-トリメトキシフェニル)-6-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(2,3,4-トリメトキシフェニル)-6-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、5-(4-シアノメチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8-(4-シアノメチルフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5,5,6,6-テトラフェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8,8,9,9-テトラフェニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、6-ブロモ-5,5,6-トリフェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、9-ブロモ-8,8,9-トリフェニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン、5,5,6-トリフェニルビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、8,8,9-トリフェニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]-3-ドデセン等。
【0034】
また、このような芳香族型ノルボルネン単量体を製造する方法は特に制限されず、例えば、下記反応式(II):
【0035】
【化4】

【0036】
[上記反応式(II)中、R、R、R、Rは、それぞれ前記一般式(1)中のR、R、R、Rと同義である。]
に従って、前記式(5)で表されるシクロペンタジエンと前記式(6)で表されるスチレン誘導体とをDiels−Alder反応させる方法を好適に採用することができ、これによって前記式(7)及び(7’)で表される芳香族型ノルボルネン単量体を得ることができる。
【0037】
上記反応式(II)中において式(6)で表されるスチレン誘導体の例としては、スチレンや桂皮酸等を挙げることができる。このようなスチレン誘導体は、Diels−Alder反応において優れたジエノフィルとして作用するものであり、工業生産に望ましい反応速度を得ることが可能なものである。すなわち、シクロペンタジエンの前駆体(ジシクロペンタジエン)からシクロペンタジエンが発生する温度(160〜200℃)条件下において、前記スチレン誘導体とシクロペンタジエンとを反応させることにより、目的とする芳香族型ノルボルネン単量体を収率良く得ることができる。このようなスチレン誘導体を得る方法も特に制限されないが、工業的に生産されているものもあるので入手は容易であり、工業的に市販されていない化合物についても成書(高分子データハンドブック基礎編、高分子学会編、1986、培風館等)に記載されている方法で合成することができる。
【0038】
また、このようなスチレン誘導体としては以下のようなものが挙げられる。
【0039】
4−アミノスチレン、2−アセトキシスチレン、4−アセトキシスチレン、βブロモスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4-イソプロピルスチレン、3-ブロモスチレン、4-ブロモスチレン、2-ブロモスチレン、4-ブロモ-β,β-ジフルオロスチレン、4-クロロ-α-メチルスチレン、2-クロロスチレン、3-クロロスチレン、4-クロロスチレン、m-クロロメチルスチレン、p-クロロメチルスチレン、シアノメチルスチレン、o-クロロメチルスチレン、2,6-ジクロロスチレン、4-フルオロ-α-メチルスチレン、2-フルオロスチレン、3-フルオロスチレン、4-フルオロスチレン、ペンタフルオロスチレン、2-メトキシスチレン、4-エトキシスチレン、p-フェノキシスチレン、p-ビニルベンジルアルコール、4-メトキシスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、α-メチルスチレン、cis-β-メチルスチレン、3-ニトロスチレン、4-ニトロスチレン、4-シアノスチレン、4-n-オクチルスチレン、β-メチルスチレン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロスチレン、α-(トリメチルシロキシ)スチレン、スチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,5-ジメチルスチレン、2,4,6,-トリメチルスチレン、2,5-ジクロロスチレン、2,6-ジクロロスチレン、3,4-ジクロロスチレン、o-ヨードスチレン、p-フェニルスチレン、p-スチレンスルホン酸、p-スチレンスルホニルクロライド、4-カルボキシスチレン、cis-スチルベン、trans-スチルベン、1,1-ジフェニルエチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、9-ビニルアントラセン、m-ジイソプロペニルベンゼン、p-ジイソプロペニルベンゼン、p-クロロ-α-メチルスチレン、α-シアノ-p-メチルスチレン、プロペニルベンゼン、アネトール、イソオイゲノール、イソサフロール、β-ブロモスチレン、シンナムアルデヒド、ベンザルアセトン、ベンザルアセトフェノン、β-シアノスチレン、β-ニトロスチレン、1,2-ジヒドロナフタレン、アセナフチレン、フェナントレン、インデン、メチレンベンゾインデン、クマロン、4-アミノ桂皮酸、4-ブロモ桂皮酸、2-ブロモ桂皮酸、trans-3-ブロモ桂皮酸、3,4-ジハイドロキシ桂皮酸、4-クロロ桂皮酸、trans-桂皮酸、桂皮酸ベンジルエステル、桂皮酸エチルエステル、桂皮酸フェニルエステル、桂皮酸メチルエステル、trans-4-ハイドロキシ桂皮酸、trans-2-ハイドロキシ桂皮酸、α-シアノ桂皮酸、α-シアノ桂皮酸エチルエステル、trans-桂皮酸コレステロールエステル、trans-3-ハイドロキシ桂皮酸、桂皮酸アリルエステル、桂皮酸ビニルエステル、桂皮酸シンナミルエステル、2-クロロ桂皮酸、3-クロロ桂皮酸、4-クロロ-3-ニトロ桂皮酸、2-クロロ-5-ニトロ桂皮酸、4-クロロ桂皮酸メチルエステル、α-シアノ-4-ハイドロキシ桂皮酸、桂皮酸イソプロピルエステル、α,β-ジブロモ桂皮酸エチルエステル、3,4-ジメトキシ桂皮酸、3,5-ジメトキシ-4-ハイドロキシ桂皮酸、3,4-ジメトキシ桂皮酸、2,5-ジメトキシ桂皮酸、trans-2,3-ジメトキシ桂皮酸、2,4-ジフルオロ桂皮酸、2,4-ジメトキシ桂皮酸、trans-2,4-ジクロロ桂皮酸、α,β-ジブロモ桂皮酸、3,5-ジメトキシ-4-ハイドロキシ桂皮酸、4-フルオロ桂皮酸、2-フルオロ桂皮酸、3-フルオロ桂皮酸、桂皮酸、trans-4-ハイドロキシ-3-メトキシ桂皮酸、3-ハイドロキシ-4-メトキシ桂皮酸、4-ハイドロキシ桂皮酸、3-メトキシ桂皮酸、trans-2-メトキシ桂皮酸、4-メトキシ桂皮酸、3,4-メチレンジオキシ桂皮酸、4-メチル桂皮酸、cis-2-メトキシ桂皮酸、4-メルカプト桂皮酸、4-メトキシ桂皮酸-2-エチルヘキシルエステル、4-メトキシ桂皮酸オクチルエステル、4-メトキシ桂皮酸エチルエステル、2-メチル桂皮酸、3-メチル桂皮酸、α-メチル桂皮酸、3-ニトロ桂皮酸、4-ニトロ桂皮酸、2-ニトロ桂皮酸、4-ニトロ桂皮酸エチルエステル、4-n-オクタデシロキシ桂皮酸、4-ステアリロキシ桂皮酸、α-フェニル桂皮酸、3,4,5-トリメトキシ桂皮酸、2,4,5-トリメトキシ桂皮酸、3-(トリフルオロメチル)桂皮酸、3-(トリフルオロメトキシ)桂皮酸、2,3,4-トリメトキシ桂皮酸、クマリン、ビニルベンジルシアニド、テトラフェニルエチレン、2-ブロモ-1,1,2-トリフェニルエチレン、トリフェニルエチレン等。
【0040】
また、このようにして得られる芳香族型ノルボルネン単量体においては、芳香族構造とビシクロ環構造が連結する部位の立体異性体としてexo異性体とendo異性体が存在する。そして、このような芳香族型ノルボルネン単量体のexo異性体は、得られるノルボルネン系開環重合体に「ネガティブA性」を与え、他方、endo異性体は、得られるノルボルネン系開環重合体に「ポジティブA性」を与える。そのため、本発明の位相差フィルムにおいては、目的とする光学特性に応じて、フィルム中に含有するこれらの異性体の比率を適宜選択する。例えば、これらの異性体の含有比率を適宜変更する事により複屈折が実質的に発生しないフィルムを得ることも可能である。なお、ここでいうポジティブA性とは、フィルムを一軸延伸した際に発生する屈折率変化から求められ、延伸方向の屈折率が延伸方向に対して垂直方向の屈折率より大きくなる性質をいう。また、ネガティブA性は前述の式(2)の条件を満たす性質をいい、延伸方向の屈折率が延伸方向に対して垂直方向の屈折率より小さくなる性質をいう。また、このような異性体は、例えば、単量体の製造時の反応条件を適宜変更することで生成物中での比率を容易に変更することができ、また、単量体を製造した後においても、熱処理を施し、この熱処理の条件を変更することによってもその比率を容易に変更できる。
【0041】
また、このような芳香族型ノルボルネン単量体を開環重合せしめる反応に用いる開環重合用の触媒としては、Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization(K.J.IVIN,J.C.MOL,Academic Press 1997)に記載されているメタセシス重合触媒が用いられる。すなわち、(a)W、Mo、Re、VおよびTiの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Cd、Hg、B、Al、Si、Sn、Pb等の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなる触媒である。この場合に触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添加されたものであってもよい。また、その他の触媒として(d)助触媒を用いない周期表第4族〜8族遷移金属−カルベン錯体やメタラシクロブテン錯体等からなるメタセシス触媒が挙げられる。なお、前記の(a)成分として適当なW、Mo、Re、VまたはTiの化合物の代表例としては、WCl6、MoCl5、ReOCl3、VOCl3、TiCl4等を挙げることができる。また、(b)成分として用いられる化合物の具体例としては、n−C49Li、(C253Al、(C252AlCl、(C251.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルモキサン、LiH等の化合物を挙げることができる。さらに、(c)成分である添加剤の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類等を用いることができる。また、(d)成分の代表例としては、W(=N−2,6−C63iPr2)(=CHtBu)(OtBu)2、Mo(=N−2,6−C63iPr2)(=CHtBu)(OtBu)2、Ru(=CHCH=CPh2)(PPh32Cl2、Ru(=CHPh)(PC6112Cl2(Grubbs I(第一世代)触媒)、Grubbs II(第二世代)触媒、Hoveyda−Grubbs触媒(第一及び第二世代)等が挙げられる。
【0042】
このようなメタセシス触媒の使用量としては、上記(a)成分と、前記芳香族型ノルボルネン単量体との割合が、モル比で「(a)成分:芳香族型ノルボルネン単量体」が1:500〜1:500000となる範囲が好ましく、1:1000〜1:100000となる範囲がより好ましい。また、(a)成分と(b)成分との割合は、金属原子比で「(a)成分:(b)成分」が1:1〜1:100となる範囲が好ましく、1:2〜1:50となる範囲がより好ましい。さらに(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で「(c)成分:(a)成分」が0.005:1〜15:1となる範囲が好ましく、0.05:1〜10:1となる範囲がより好ましい。また、触媒(d)の使用量は、(d)成分と、芳香族型ノルボルネン単量体との割合が、モル比で「(d)成分:芳香族型ノルボルネン単量体」が1:30〜1:100000となる範囲が好ましく、1:50〜1:50000となる範囲がより好ましい。
【0043】
また、前記芳香族型ノルボルネン単量体を開環重合せしめる反応において、得られるノルボルネン系開環重合体の分子量を調節する方法は特に制限されず、例えば、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類等を変更することによって分子量を適宜調節する方法を採用してもよい。そして、このような分子量を調節する方法としては、分子量調節剤を反応系に共存させる方法を好適に採用することができる。このような分子量調節剤として好適なものとしては、例えばエチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン類、並びにスチレンを挙げることができ、中でも1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。このような分子量調節剤の使用量としては、芳香族型ノルボルネン単量体1モルに対して0.005〜1.0モル、好ましくは0.02〜0.5モルの範囲がより好ましい。
【0044】
また、前記芳香族型ノルボルネン単量体を開環重合せしめる反応において用いられる溶媒としては、芳香族型ノルボルネン単量体、メタセシス触媒及び分子量調節剤を溶解する溶媒が好ましく、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン化アルカン;アリール等の化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン等の飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類を挙げることができ、中でも芳香族炭化水素が好ましい。これらの溶媒は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。このような溶媒の使用量としては、質量比で「溶媒:芳香族型ノルボルネン単量体」が1:1〜30:1となる量が好ましく、1:1〜20:1となる量がより好ましい。
【0045】
また、上述のように開環重合した状態で得られるノルボルネン系開環重合体は、前記反応式(I)中において式(4)で表されるノルボルネン系開環重合体であり、その構造単位中にビニレン基を有するものとなる。このようなノルボルネン系開環重合体は、そのままでも各種用途の本発明の位相差フィルムに使用することができるが、得られる位相差フィルムの耐熱安定性を向上させるという観点からは、前記反応式(I)に示すようにノルボルネン系開環重合体の一部または全部のビニレン基に対して水素添加して、ビニレン基がエチレン基に転換された水素添加物(式(4’)で表されるノルボルネン系開環重合体)とすることが好ましい。なお、このような水素添加物は、芳香族型ノルボルネン単量体の側鎖の芳香環が実質的に水素添加されていないものである。また、前記ビニレン基に対する水素添加率は、90%以上であることが好ましく、より好ましくは95%以上であることがより好ましく、98%以上であることが特に好ましい。ビニレン基に対する水素添加率が高いほど、得られる芳香族型ノルボルネン系開環重合体の耐熱性が向上し、熱による着色や劣化が十分に抑制される傾向にある。
【0046】
また、前記式(4)で表されるノルボルネン系開環重合体に対して水素添加する反応は、上述のように、側鎖の芳香環に実質的に水素添加がされない条件で行われる必要があり、通常は、前記式(4)で表されるノルボルネン系開環重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜30MPa、好ましくは3〜20MPaの水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行われる。
【0047】
また、このような水素添加反応の際に用いられる水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができ、不均一系触媒でも均一系触媒でも用いることができる。このような不均一系触媒の具体例としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウム等の貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニア等の担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。また、均一系触媒の具体例としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等を挙げることができる。このような水素添加触媒の形態は粉末でも粒状でもよい。
【0048】
さらに、このような水素添加触媒は、芳香族型ノルボルネン単量体に基づく側鎖の芳香環が実質的に水素添加されないようにするために、その添加量を調整する必要であり、重量比で「開環重合体:水素添加触媒」が1:1×10-6〜1:2となる割合で使用することが好ましい。
【0049】
また、本発明の位相差フィルムは、前述の本発明にかかるノルボルネン系開環重合体からなるフィルムを延伸してなるものである。このようなノルボルネン系開環重合体からなるフィルムを製造する方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。また、このようなフィルムを製造する際には、本発明の主旨を越えない範囲で、その他の高分子、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、シリカ、アルミナ、色素材料、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、可塑剤、オイル等を加えることができる。また、前述のノルボルネン系開環重合体をフィルム化した後に延伸する方法も特に制限されず、従来公知の延伸方法を適宜採用することができる。
【0050】
また、このようなノルボルネン系開環重合体のフィルムを製造するのに好適な方法としては、例えば、キャスティング法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法等の公知公用の方法が挙げられる。更に、このようなキャスティング法に用いられる成形装置としては、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーター等が使用できる。また、溶融押出法としては、Tダイ法、及びインフレーション法が挙げられる。
【0051】
また、前記キャスティング法に使用する溶媒の具体例としては、例えばシクロヘキサノン、シクロペンタノン等の環状ケトン類;γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン化アルカン;アリール等の化合物、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒を挙げることができ、中でも芳香族炭化水素、ハロゲン化アルカン、アリール類が好ましい。なお、これらの溶媒は単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0052】
また、ノルボルネン系開環重合体をフィルム化した後に延伸する方法としては、ニ軸延伸法としてテンター法、チューブ法等が挙げられ、更に、一軸延伸法として水槽延伸法、輻射延伸法、熱風加熱法、熱板過熱法、ロール加熱法等が挙げられる。
【0053】
このようにして得られる本発明の位相差フィルムの厚みは特に制限されないが、10〜500μmであることが望ましく、30〜200μmであることがより好ましい。位相差フィルム厚みが10μm未満の場合は、機械特性および2次加工時におけるハンドリング性が低下する傾向にあり、他方、500μmを超える場合には、可撓性に問題が生じる傾向にある。また、本発明の位相差フィルムを得る際における延伸倍率も特に制限されないが1.1〜5.0倍程度であることが好ましい。
【0054】
本発明の位相差フィルムの位相差値としては、5〜2000nmの範囲で、目的に応じて選択されるべきものであるが、1/2λ板として用いる場合には、波長550nmの可視光における位相差が200〜400nmであることが望ましく、1/4λ板として用いる場合には、波長550nmの可視光における位相差が90〜200nmとすることが望ましい。
【0055】
また、本発明の位相差フィルムにおいては、ガスバリヤー性、耐傷つき性、耐薬品性、防眩性等の機能を付与する目的にて、更に薄膜を備えていてもよい。このような薄膜を形成する方法としては、例えば、各種の熱可塑性樹脂、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、シリル基等を有する熱硬化性樹脂、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等を有する放射線硬化型樹脂、あるいはこれら樹脂の混合物に重合禁止剤、ワックス類、分散剤、色素材料、溶剤、可塑剤、紫外線吸収剤、無機フィラー等を加え、これを、グラビアロールコーティング法、マイヤーバーコーティング法、リバースロールコーティング法、ディップコーティング法、エアーナイフコーティング法、カレンダーコーティング法、スキーズコーティング法、キスコーティング法、ファンテンコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法等の方法により塗工する方法を採用することができる。さらに、このような薄膜は、塗工後、必要に応じて放射線照射による硬化、または加熱による熱硬化を行わせて硬化薄膜層としてもよい。また、このような薄膜を形成する際に印刷を行う場合には、グラビア方式、オフセット方式、フレキソ方式、シルクスクリーン方式等の方法を用いることができる。また、本発明の位相差フィルムにおいては、ガスシール性等を付与する目的から、アルミニウム、ケイ素、マグネシウム、亜鉛等を主成分とする金属酸化物層を更に備えてもよい。このような金属酸化物層は真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等により形成される。
【0056】
また、本発明の位相差フィルムと他のフィルムとを積層化させてもよい。このように積層化させる方法としては、従来公知の方法が適宜採用でき、例えば、ヒートシール法、インパルスシール法、超音波接合法、高周波接合法等の熱接合方法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、無溶剤接着ラミネート法、サーマルラミネート法、共押出法等のラミネート加工方法等が挙げられる。また、積層化させるフィルムとしては、例えば、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、セルロース系樹脂フィルム、ポリフッ化ビニル樹脂フィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂フィルム、ポリアクリロニトリル樹脂フィルム、ナイロン系樹脂フィルム、ポリエチレン系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルム、アセテート樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリアクリレート系樹脂フィルム等が挙げられる。
【0057】
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。すなわち、本発明の液晶表示装置は上記本発明の逆分散位相差フィルムを備えることを特徴とするものである。
【0058】
上記本発明の逆分散位相差フィルムは、高い透明性と優れた波長分散性を有していて広帯域の光に対して特定の位相差を与えることができる位相差フィルムであって他の材料との密着性が非常に高く、しかも複屈折の波長分散特性を逆分散とすることが達成できるため、反射型液晶表示装置における1/4λ板、液晶プロジェクタ装置における1/2λ板および1/4λ板、透過型液晶表示装置における1/2λ板および1/4λ板、液晶表示装置において使用される偏光フィルムの保護フィルム、反射防止フィルム等として有用である。
【0059】
従って、本発明の液晶表示装置は、上記本発明の逆分散位相差フィルムを1/2λ板、1/4λ板、保護フィルム、反射防止フィルム等として備えていれば良く、その他の構成は従来公知の液晶表示装置と同様のものでよい。
【0060】
また、本発明の逆分散位相差フィルムは、その面上にインジウムスズオキサイドやインジウムジンクオキサイド等のセラミック薄膜をDCあるいはグロー放電を用いたプラズマプロセスにより成膜し、タッチパネルや液晶表示装置等における透明電極フィルムとして使用することも可能である。
【実施例】
【0061】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
先ず、各合成例で得られる重合体及び各実施例で得られる位相差フィルムの特性の評価方法について説明する。
【0063】
<ガラス転移温度:Tg>
示差走査熱量計(Perkin−Elmer社製、商品名:DSC7)を用い、昇温速度を毎分20℃として窒素気流下において、各合成例で得られた重合体のガラス転移温度の測定を行った。
【0064】
<分子量および分子量分布>
測定装置としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製、商品名:HLC−8020/カラム4本:東ソー株式会社製、商品名:TSK gel GMHHR)を用い、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、各合成例で得られた重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、Mnは数平均分子量を表す。
【0065】
<単量体及び重合体分子構造>
超伝導核磁気共鳴吸収装置(NMR、VARIAN社製、商品名:UNITY INOVA−600)を用い、重水素化クロロホルム中で、各合成例で得られた重合体のH、13C−NMRを測定した。得られたデータから、単量体のendo/exo比及び重合体の水素添加率(前記一般式(1)で表されるノルボルネン系開環重合体中のXが式:−CHCH−で表される基に変換されている割合)の算出および分子構造の同定を行なった。
【0066】
<位相差、複屈折評価、複屈折の波長分散値評価>
各実施例及び比較例で得られた位相差フィルムに対して、レターデーション測定器(王子計測社製、商品名:KOBRA21DH)を用いて、下記式により定義されるレターデーション(Re)及び複屈折の波長分散値(D)を測定した。
Re=(nx−ny)×d
nx:延伸方向の屈折率
ny:延伸方向に対して垂直方向の屈折率
d:フィルムの厚み(nm)
D:複屈折の波長分散値 Δn(λ=481nm)/Δn(λ=589nm)。
【0067】
(合成例1)
〈芳香族型ノルボルネンA,Bの合成〉
2Lのオートクレーブに、4−tBu−スチレン(856g:5.36mol)、ジシクロペンタジエン(709g:5.36mol)、4−tBu−カテコール(44.6g:0.27mol)、トルエン(200ml)を投入し、185℃で4時間加熱攪拌を行った。反応初期は0.4MPaの圧力を示したが、時間の経過とともに圧力が減少し最終的に0.2MPaを示した。そして、加熱停止後、自然放冷を行い室温まで下がった後にオートクレーブを開蓋し、反応物を取り出した。
【0068】
次に、このようにして得られた反応物を蒸留精製し、118〜120℃/1mmHgの留分A及び165〜170℃/1mmHgの留分Bを取得した。留分Aの収量は640g(収率53%、tBu−スチレンベース)であり、留分Bの収量は97g(収率6%、tBu−スチレンベース)であった。留分Aのガスクロマト分析及びNMR分析を行った結果、endo/exo比(異性体比率)が79/21の5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(下記一般式(8))であることが確認された。
【0069】
【化5】

【0070】
また、留分Bについてもガスクロマト分析及びNMR分析を行った結果、endo−endo/endo−exo比が87/13の8−(p−tBuフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−3−ドデセン(下記一般式(9))であることが確認された。
【0071】
【化6】

【0072】
次に、300gの留分Aを1200mlのメタノールに加熱溶解し自然放冷すると、5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(A)の結晶が165g得られた。得られた結晶の純度は98%であり、endo/exo比は80/20であった。また、30gの留分Bを150mlのイソプロピルアルコールに加熱溶解し自然放冷すると、8−(p−tBuフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−3−ドデセン(B)の結晶が18g得られた。得られた結晶の純度は99%であり、endo−endo/endo−exo比は100/0であった。
【0073】
〈芳香族型ノルボルネンAの重合〉
窒素雰囲気下、endo/exo比が80/20の5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(A)(2.26g:0.01mol)の無水トルエン溶液(20ml)に1−ヘキセン(2.5μl:0.2mol%)とGrubbs I触媒(4.1mg:0.05mol%)の無水トルエン溶液(2ml)を添加し、室温で20時間攪拌した。続いて、粘調な重合液を100mlのトルエンで希釈し、3000mlのメタノール中に投入し得られた沈殿を濾過した。次いで、真空乾燥機によって沈殿を乾燥し、Aの開環重合体(pA)1.90g(収率85%)を得た。得られた生成物についてGPCによって確認したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は90000、Mw/Mnは1.6であった。
【0074】
〈芳香族型ノルボルネンBの重合〉
窒素雰囲気下、endo−endo/endo−exo比が100/0の8−(p−tBuフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−3−ドデセン(B)(2.90g:0.01mol)の無水トルエン溶液(20ml)に1−ヘキセン(2.5μl:0.2mol%)とGrubbs I触媒(4.1mg:0.05mol%)の無水トルエン溶液(2ml)を添加し、室温で20時間攪拌した。続いて、粘調な重合液を100mlのトルエンで希釈し、3000mlのメタノール中に投入し得られた沈殿を濾過した。次いで、真空乾燥機によって沈殿を乾燥し、Bの開環重合体(pB)2.84g(収率98%)を得た。得られた生成物についてGPCによって確認したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は125000、Mw/Mnは1.5であった。
【0075】
〈芳香族型ノルボルネンAの開環重合体(pA)の水素化〉
容量0.2Lのオートクレーブに5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンの開環重合体(pA)1.9g、キシレン(150ml)、RuHCl(CO)(PPh(19mg)を仕込み、窒素置換した。次いで、水素ガス圧10MPa、反応温度165℃の条件下で30時間加熱して水素化反応を行った後、得られた反応溶液を冷却し、水素ガスを放圧した。そして、このようにして得られた反応溶液を3000mlのメタノール中に注いで沈殿を分離回収し、得られた沈殿を乾燥して5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンの開環重合体の水素添加物(HpA)1.69g(収率89%)を得た。
【0076】
得られた生成物についてGPCによって確認したところ、ポリスチレン換算の平均重量分子量(Mw)は97000、Mw/Mnは1.5であった。また、得られた生成物についてNMRを用いてオレフィン性不飽和結合の水素添加率を測定したところ、99.9%であることが確認された。なお、芳香環に由来するシグナルが変化していないことから、実質的に芳香環は水素添加されていないことが確認された。得られたNMRチャートを図1に示す。一方、DSCを用いてTgを測定した結果、Tgは118℃であった。
【0077】
〈芳香族型ノルボルネンBの開環重合体(pB)の水素化〉
容量0.2Lのオートクレーブに8−(p−tBuフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−3−ドデセンの開環重合体(pB)2.0g、キシレン(150ml)、RuHCl(CO)(PPh(20mg)を仕込み、窒素置換した。次いで、水素ガス圧10MPa、反応温度165℃の条件下で30時間加熱して水素化反応を行った後、得られた反応溶液を冷却し水素ガスを放圧した。次に、この反応溶液を3000mlのメタノール中に注いで沈殿を分離回収し、得られた沈殿を乾燥して8−(p−tBuフェニル)テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−3−ドデセンの開環重合体の水素添加物(HpB)1.99g(収率99.5%)を得た。
【0078】
このようにして得られた生成物についてGPCによって確認したところ、ポリスチレン換算の平均重量分子量(Mw)は96400、Mw/Mnは1.5であった。得られた生成物についてNMRを用いてオレフィン性不飽和結合の水素添加率を測定したところ、99.9%であることが確認された。なお、芳香環に由来するシグナルが変化していないことから、実質的に芳香環は水素添加されていないことが確認された。得られたNMRチャートを図2に示す。一方、DSCを用いてTgを測定した結果、Tgは226℃であった。
【0079】
(合成例2)
〈endo/exo比の異なる芳香族型ノルボルネンC、Dの合成〉
約10cmのガラス直管(石英製)に石英ウールを詰めた後、約340〜380℃に加熱し真空条件下、滴下ロートを用いて、5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(endo/exo=79/21)を滴下し、熱分解を行った。反応生成物は、tBuスチレン、シクロペンタジエン、及びexo体の含有量の高い5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンであった。これは、endo体の方が熱的に不安定なため、熱分解温度を上げるとexo体の含有量が向上するためである。なお、温度上昇とともに5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンの収率は減少した。熱分解温度340℃における熱分解の結果、endo/exo比が50/50の5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(C)が収率50%で得られた。また、熱分解温度を380℃に高めると、endo/exo比が24/76の5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(D)が収率13%で得られた。
【0080】
〈芳香族型ノルボルネンCの重合〉
窒素雰囲気下、endo/exo比が50/50の5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(C)(2.26g:0.01mol)の無水トルエン溶液(20ml)に1−ヘキセン(2.5μl:0.2mol%)とGrubbs I触媒(4.1mg:0.05mol%)の無水トルエン溶液(2ml)を添加し、室温で20時間攪拌した。続いて、粘調な重合液を100mlのトルエンで希釈し、3000mlのメタノール中に投入し得られた沈殿を濾過した。次いで真空乾燥機によって沈殿を乾燥し、Cの開環重合体(pC)2.19g(収率97%)を得た。得られた生成物についてGPCによって確認したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は113000、Mw/Mnは1.4であった。
【0081】
〈芳香族型ノルボルネンDの重合〉
窒素雰囲気下、endo/exo比が24/76の5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(D)(2.26g:0.01mol)の無水トルエン溶液(20ml)に1−ヘキセン(2.5μl:0.2mol%)とGrubbs I触媒(4.1mg:0.05mol%)の無水トルエン溶液(2ml)を添加し、室温で20時間攪拌した。続いて、粘調な重合液を100mlのトルエンで希釈し、3000mlのメタノール中に投入し得られた沈殿を濾過した。次いで真空乾燥機によって沈殿を乾燥し、Dの開環重合体(pD)1.74g(収率77%)を得た。得られた生成物についてGPCによって確認したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は129000、Mw/Mnは1.7であった。
【0082】
〈芳香族型ノルボルネンCの開環重合体(pC)の水素化〉
容量0.2Lのオートクレーブにendo/exo比が50/50の5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンの開環重合体(pC)2.0g、キシレン(150ml)、RuHCl(CO)(PPh(20mg)を仕込み、窒素置換した。次いで、水素ガス圧10MPa、反応温度165℃の条件下で30時間加熱して水素化反応を行った後、得られた反応溶液を冷却し水素ガスを放圧した。次に、この反応溶液を3000mlのメタノール中に注いで沈殿を分離回収し、得られた沈殿を乾燥してendo/exo比が50/50の5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンの開環重合体の水素添加物(HpC)1.96g(収率98%)を得た。
【0083】
このようにして得られた生成物についてGPCによって確認したところ、ポリスチレン換算の平均重量分子量(Mw)は112000、Mw/Mnは1.5であった。得られた生成物についてNMRを用いてオレフィン性不飽和結合の水素添加率を測定したところ、99.9%であることが確認された。なお、芳香環に由来するシグナルが変化していないことから、実質的に芳香環は水素添加されていないことが確認された。得られたNMRチャートを図3に示す。一方、DSCを用いてTgを測定した結果、Tgは107℃であった。
【0084】
〈芳香族型ノルボルネンDの開環重合体(pD)の水素化〉
容量0.2Lのオートクレーブにendo/exo比が24/76の5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンの開環重合体(pD)2.0g、キシレン(150ml)、RuHCl(CO)(PPh(20mg)を仕込み、窒素置換した。次いで、水素ガス圧10MPa、反応温度165℃の条件下で30時間加熱して水素化反応を行った後、得られた反応溶液を冷却し水素ガスを放圧した。次に、この反応溶液を3000mlのメタノール中に注いで沈殿を分離回収し、得られた沈殿を乾燥してendo/exo比が24/76の5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンの開環重合体の水素添加物(HpD)1.70g(収率85%)を得た。
【0085】
このようにして得られた生成物についてGPCによって確認したところ、ポリスチレン換算の平均重量分子量(Mw)は117000、Mw/Mnは1.5であった。また、得られた生成物についてNMRを用いてオレフィン性不飽和結合の水素添加率を測定したところ、99.9%であることが確認された。なお、芳香環に由来するシグナルが変化していないことから、実質的に芳香環は水素添加されていないことが確認された。得られたNMRチャートを図4に示す。一方、DSCを用いてTgを測定した結果、Tgは105℃であった。
【0086】
(合成例3)
〈exo型芳香族型ノルボルネンEの合成〉
Angew.Chem.Int.Ed.,39,p1946,2000及びibid.,34,p1844,1995に記載されている方法に準拠してexo型芳香族型ノルボルネンEの合成を行った。先ず、0.3Lの三口フラスコに、4−tBu−ヨードベンゼン(5g:19.22mmol)、ジノルボルナジエン(5.66g:61.50mmol)、トランス−ジ(μ−アセトナト)ビス[o−(ジ−o−トリル−ホスフィノ)ベンジル]ジパラジウム(II)(90mg:0.5mol%)、DMSO(82ml)、NEt(6.22g:61.5mmol)、ギ酸(2.26g:49.2mmol)を投入し、120℃で16時間加熱攪拌を行った。次に、得られた反応溶液を冷却した後、300mlの氷水中に注ぎ、分液ロートを用いてn−へキサン(50ml×3回)で抽出を行った。その後、n−へキサン溶液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥を行い、抽出液をろ過、濃縮することで、3.62gの粗生成物を得た。次いで、得られた粗生成物を蒸留精製し、104℃/1mmHgの留分Eを取得した。留分Eの収量は2.45g(収率55%)であった。留分Eのガスクロマト分析及びNMR分析を行った結果、endo/exo比(異性体比率)が0/100の5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンであることが確認された。
【0087】
〈芳香族型ノルボルネンEの重合〉
窒素雰囲気下、endo/exo比が0/100の5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(E)(2.61g:11.6mmol)の無水トルエン溶液(23ml)に1−ヘキセン(7.5μl:0.6mol%)とGrubbs I触媒(4.7mg:0.05mol%)の無水トルエン溶液(2ml)を添加し、室温で20時間攪拌した。続いて、粘調な重合液を200mlのトルエンで希釈し、3000mlのメタノール中に投入して得られた沈殿を濾過した。次いで、真空乾燥機によって沈殿を乾燥し、Eの開環重合体(pE)2.28g(収率87%)を得た。得られた生成物についてGPCによって確認したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は174000、Mw/Mnは2.4であった。
【0088】
〈芳香族型ノルボルネンCの開環重合体(pE)の水素化〉
容量0.2Lのオートクレーブにendo/exo比が0/100の5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンの開環重合体(pE)2.3g、キシレン(150ml)、RuHCl(CO)(PPh(23mg)を仕込み、窒素置換した。次いで、水素ガス圧10MPa、反応温度165℃の条件下で30時間加熱して水素化反応を行った後、得られた反応溶液を冷却し水素ガスを放圧した。次に、この反応溶液を2000mlのメタノール中に注いで沈殿を分離回収し、得られた沈殿を乾燥してendo/exo比が0/100の5−(p−tBuフェニル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンの開環重合体の水素添加物(HpE)2.0g(収率89%)を得た。
【0089】
このようにして得られた生成物についてGPCによって確認したところ、ポリスチレン換算の平均重量分子量(Mw)は173900、Mw/Mnは2.4であった。得られた生成物についてNMRを用いてオレフィン性不飽和結合の水素添加率を測定したところ、99.9%であることが確認された。なお、芳香環に由来するシグナルが変化していないことから、実質的に芳香環は水素添加されていないことが確認された。得られたNMRチャートを図5に示す。一方、DSCを用いてTgを測定した結果、Tgは108℃であった。
【0090】
(合成例4)
〈芳香族型ノルボルネンFの合成〉
(i)桂皮酸フェニルエステルの合成
1Lの三口フラスコに、窒素気流下、trans−桂皮酸クロリド(100g、0.60mol)、フェノール(59.3g、0.63mol)、THF(500ml)を仕込み氷冷下、滴下ロートを用いてトリエチルアミン(63.8g、0.63mol)のTHF溶液(100ml)を滴下した。滴下終了後、室温下において12時間攪拌を行った後、反応液を水浴中に投入した。得られた白色の沈殿をろ過、減圧乾燥後、収量は135.5g(収率99.9%)であった。これを約200mlのメタノールに加熱溶解し冷却すると白色の結晶が得られた(112.6g、収率83.8%)。なお、得られた結晶は、NMR構造解析により目的物であるtrans−桂皮酸フェニルエステルであることを確認した。
【0091】
(ii)芳香族型ノルボルネンFの合成
容量0.3Lのオートクレーブに、前述のようにして得られたtrans−桂皮酸フェニルエステル(112g、0.5mol)、ジシクロペンタジエン(36.4g、0.55mol)、トルエン(100ml)を投入し、180℃で4時間加熱攪拌を行った。そして、加熱停止後、自然放冷を行い室温まで下がった後、オートクレーブを開蓋し、反応物を取り出した。次にこの反応物を濃縮し、濃縮物の一部(1.2g)をリサイクル分取HPLC(日本分析工業製LC−918)によって分離精製を行い目的物である5−フェニル−6−カルボキシフェニルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(F)を0.58g(反応収率40%)得た(リサイクル回数7回)。また、このような分取操作を4回繰り返し2.7gの目的物を取得した。このようにして得られた目的物は、NMRによって構造解析した結果、異性体比率endo/exo比が60/40の混合物であった。
【0092】
〈芳香族型ノルボルネンFの重合〉
窒素雰囲気下、endo/exo比が60/40の5−フェニル−6−カルボキシフェニルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(F)(2.67g、9.2mmol)の無水THF溶液(25ml)にGrubbs II触媒(3.9mg、0.05mol%)の無水THF溶液(5ml)を添加し、室温で20時間攪拌した。続いて、粘調な重合液を200mlのTHFで希釈し、3000mlのメタノール中に投入し得られた沈殿を濾過した。次いで、真空乾燥機によって沈殿を乾燥し、5−フェニル−6−カルボキシフェニルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(F)の開環重合体(pF)2.3g(収率87%)を得た。得られた生成物についてGPCによって確認したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は3096000、Mw/Mnは2.7であった。
【0093】
〈芳香族型ノルボルネンFの開環重合体(pF)の水素化〉
容量0.2Lのオートクレーブに5−フェニル−6−カルボキシフェニルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンの開環重合体(pF)2.20g、キシレン(150ml)、RuHCl(CO)(PPh(22mg)を仕込み、窒素置換した。次いで、水素ガス圧10MPa、反応温度165℃の条件下で30時間加熱して水素化反応を行った後、得られた反応溶液を冷却し水素ガスを放圧した。次に、この反応溶液を3000mlのメタノール中に注いで沈殿を分離回収し、得られた沈殿を乾燥して5−フェニル−6−カルボキシフェニルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンの開環重合体の水素添加物(HpF)1.97g(収率89.5%)を得た。
【0094】
このようにして得られた生成物についてGPCによって確認したところ、ポリスチレン換算の平均重量分子量(Mw)は3920000、Mw/Mnは1.8であった。得られた生成物についてNMRを用いてオレフィン性不飽和結合の水素添加率を測定したところ、99.9%であることが確認された。なお、芳香環に由来するシグナルが変化していないことから、実質的に芳香環は水素添加されていないことが確認された。得られたNMRチャートを図6に示す。一方、DSCを用いてTgを測定した結果、Tgは103℃であった。
【0095】
(実施例1〜5及び参考例1〜3)
合成例1〜4で得られた芳香族型ノルボルネン系開環重合体{HpA(実施例1)、HpB(参考例1)、HpC(実施例2)、HpD(参考例2)、HpE(参考例3)、HpF(実施例3)}を用い、位相差フィルム(実施例1〜3及び参考例1〜3)作成した。さらに、HpA(0.925g)とHpC(0.695g)のポリマー溶液ブレンドによりHpG(実施例4)を、HpC(0.462g)とHpD(0.420g)のポリマー溶液ブレンドによりHpH(実施例5)の位相差フィルム(実施例4〜5)を作成した。すなわち、先ず、各重合体を5wt%濃度で含有するクロロベンゼン溶液をそれぞれ調製し、ガラス板上にキャスト法によってフィルム状に流延し自然乾燥を24時間行った。次いで、得られたフィルムをそれぞれガラス板上から剥離した後、各フィルムの材料となった重合体のTg近辺の温度(各重合体のTg―10℃)に保った真空乾燥機を用いて、残溶剤濃度が1.0重量%以下になるまで乾燥した。このようにして得られたフィルムは、透明性がいずれも十分に高かった。また、得られたフィルムの膜厚は、30〜150μmであった。次に、得られたフィルムを短冊状(大きさ:5.0×4.0cm)に切断し、二軸延伸装置(柴山科学製の商品名「SS−60型」)を用いて、各フィルムの材料となった重合体のTg+10℃の温度条件で、50mm/min.の引張り速度で200%(2.0倍)の一軸延伸を行い、位相差フィルム(実施例1〜5及び参考例1〜3)を得た。
【0096】
〈実施例1〜5及び参考例1〜3で得られた位相差フィルムの光学特性の評価〉
実施例1〜5及び参考例1〜3で得られた位相差フィルムの複屈折をレターデーション測定器により測定した。得られた結果を表1に示す。なお、アッベの屈折計によって屈折率を測定した。また、前記フィルムの一軸延伸による延伸方向をX軸と定義し、かつX軸と直交する方向をY軸及びZ軸(Y軸とZ軸も直交)と定義し、X軸の屈折率(Nx)、Y軸の屈折率(Ny)及びZ軸の屈折率(Nz)を測定した。
【0097】
また、実施例1〜2、実施例4〜5、参考例2〜3で得られた位相差フィルムについて、含有するexo体の比率と、複屈折との関係を示すグラフを図7に示す。更に、実施例1〜2、実施例4〜5、参考例2〜3で得られた位相差フィルムについて、含有するexo体の比率と、波長分散値{D=(Δn:λ481nm)/(Δn:λ589nm)}との関係を示すグラフを図8に示す。
【0098】
【表1】

【0099】
表1及び図7に示した結果からも明らかなように、各実施例で得られた位相差フィルムは、位相差フィルムとして良好に機能するものであることが確認された。
【0100】
また、図8に示した結果から明らかな通り、各位相差フィルムの複屈折の波長分散値{D=(Δn:λ481nm)/(Δn:λ589nm)}は、モノマーのendo/exo比率によって異なることが確認され、実施例1、2、4、5で得られた位相差フィルムにおいては、逆分散の位相差フィルムとなっていることが確認された。
【0101】
〈実施例1〜5及び参考例1〜3で得られた位相差フィルムの密着性の評価〉
実施例1〜5及び参考例1〜3で得られた位相差フィルムをトリアセチルセルロース基板の表面上に紫外線硬化型接着剤(東亞合成製UVX−1620)で密着せしめ、JIS−K5400に記載の方法に準拠してそれらの密着性を評価したところ、いずれの位相差フィルムもトリアセチルセルロースフィルムとの密着性が非常に高いことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上説明したように、本発明によれば、単層で高い透明性と優れた波長分散特性を有し、広帯域の光に対して特定の位相差を与えることができ、他の材料との密着性が非常に高く、しかも複屈折の波長分散特性を逆分散とすることも可能な逆分散位相差フィルム、並びに、それを用いた液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0103】
したがって、本発明の位相差フィルムは液晶表示装置等に用いる1/2λ板、1/4λ板、保護フィルム、反射防止フィルム等として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】合成例1で得られた芳香族型ノルボルネン開環重合体の水素添加物(HpA)のNMRチャートである。
【図2】合成例1で得られた芳香族型ノルボルネン開環重合体の水素添加物(HpB)のNMRチャートである。
【図3】合成例2で得られた芳香族型ノルボルネン開環重合体の水素添加物(HpC)のNMRチャートである。
【図4】合成例2で得られた芳香族型ノルボルネン開環重合体の水素添加物(HpD)のNMRチャートである。
【図5】合成例3で得られた芳香族型ノルボルネン開環重合体の水素添加物(HpE)のNMRチャートである。
【図6】合成例4で得られた芳香族型ノルボルネン開環重合体の水素添加物(HpF)のNMRチャートである。
【図7】実施例1〜2、実施例4〜5、参考例2〜3で得られた延伸フィルムについてのexo比率と複屈折との関係を示すグラフである。
【図8】実施例1〜2、実施例4〜5、参考例2〜3で得られた延伸フィルムについてのexo比率と複屈折の波長分散値との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
【化1】



[式(1)中、nは、0又は1の整数を示し、
Xは、式:−CH=CH−で表される基、又は、式:−CHCH−で表される基を示し、
、R、R、Rは、同一でも又は異なっていてもよく、それぞれ、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子及びケイ素原子からなる群から選択される少なくとも1種の連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;及び極性基からなる群から選択される原子若しくは基を示し、
波線a、bは、endo又はexoの立体配置を示し、
波線cは、endo又はexoの立体配置を示す。]
で表される構造単位を含有し且つ前記構造単位のうちの前記波線cがexoの立体配置を示す構造単位の比率が20モル%以上65モル%以下の範囲にあるノルボルネン系開環重合体からなるフィルムを延伸してなることを特徴とする逆分散位相差フィルム。
【請求項2】
前記構造単位のうちの前記波線cがexoの立体配置を示す構造単位の比率が35モル%以上65モル%以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の逆分散位相差フィルム。
【請求項3】
前記Xが式:−CHCH−で表される基である前記構造単位の比率が、前記ノルボルネン系開環重合体中の全構造単位に対して90モル%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の逆分散位相差フィルム。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の逆分散位相差フィルムを備えることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−80488(P2009−80488A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273479(P2008−273479)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【分割の表示】特願2006−229363(P2006−229363)の分割
【原出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】