説明

逆浸透膜分離装置の運転方法

【課題】脱塩及び/又は有機物除去を行うRO装置の膜面透過流束の低下を抑制し、長期安定運転を可能とする。
【解決手段】脱塩及び/又は有機物除去を行う逆浸透膜分離手段を多段に設けた逆浸透膜分離装置の運転方法において、弁Vを開とすることにより1段目の逆浸透膜分離手段(ベッセル21〜24)のみをフラッシングする。フラッシング排水を配管41〜44,45,49を介して装置外に排出する。フラッシング時に弁Vを閉としてもよく、弁V,Vを開としてもよい。差圧(P−P)に基づいてフラッシング頻度を制御してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は逆浸透膜分離装置(RO装置)の運転方法に係り、特に、脱塩及び/又は有機物除去を行うRO装置の運転圧力の上昇及び/又は膜面透過流束の低下を抑制し、長期安定運転を可能とするRO装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
RO装置は用水の造水プロセス、食品・医薬用水の製造プロセス、排水回収プロセスなど幅広い分野で使用されている。中でも近年、用排水のコスト低減、環境負荷低減の目的から、排水回収プロセスにおいて、RO装置を使用するケースが増加している。
【0003】
通常、RO装置は、供給水に対する水回収率を高める目的から、例えば、第4図に示すようなクリスマスツリーと呼ばれる配置をとる。即ち、第4図において、ROエレメントを内蔵したROベッセル(RO手段本体)1A,1B,1C,1Dが4機並列配置されてなる第1ROベッセル群(ROベッセル群は「バンク」とも言う。)1と、ROベッセル2A,2Bが2機並列配置されてなる第2ROバンク2とでクリスマスツリー型の多段RO装置が構成されている。
【0004】
被処理水、即ち、RO装置の供給水(RO給水)はまず第1バンク1に流入し、透過水と濃縮水とに分離される。続いて第1バンク1の濃縮水は第2バンク2に流入し、ここでも透過水と濃縮水とに分離される。第1バンク1の透過水と第2バンク2の透過水は合流し、後段処理工程に移送される。一方、第2バンク2の濃縮水は系外に放流されるか排水処理設備等に移送される。通常、RO装置におけるクリスマスツリー構造は、要求される水回収率にもよるが、2又は3バンクで構成されることが多い。
【0005】
このようなRO装置を、用水系造水プロセス、特に被処理水中の濁質除去の不十分な用水系造水プロセスや排水処理プロセス、特に被処理水中の有機物成分濃度が比較的高い排水回収プロセスに利用した場合、濁質や微生物有機ゲルなどのRO装置への流入による膜面閉塞で、RO装置、特に第1バンクでの操作圧力の上昇や透過水量の低下が進み、そのために頻繁に膜洗浄を実施しなければならないという問題があり、この問題は近年特に顕著になる傾向にある。
【0006】
特開2007−125526には、2段に直列に配置された逆浸透膜分離手段を有する逆浸透膜分離装置を運転する方法において、アルカリを添加してpHを9.5〜13にした被処理水をフラッシング水として用い、まずフラッシング水を前段逆浸透膜分離手段のみに供給してフラッシングし、続いて、フラッシング水を前段逆浸透膜分離手段と後段逆浸透膜分離手段とに直列的に供給して後段逆浸透膜分離手段もフラッシングする方法が記載されている。
【0007】
しかしながら、この方法は、すべての逆浸透膜分離手段をフラッシングするものであるため、流路切替に手間がかかると共に、流路切替手段の構成も複雑となる。更に、フラッシングによって第1バンクの閉塞物を第2,第3バンクに送り込んでしまう可能性もある。
【特許文献1】特開2007−125526号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解消し、簡易なフラッシングによって、膜面透過流束の低下を抑制し、長期安定運転を可能とするRO装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の逆浸透膜分離装置の運転方法は、直列に多段に設置された逆浸透膜分離手段を有する逆浸透膜分離装置の運転方法であって、該逆浸透膜分離手段を一時的にフラッシングするフラッシング工程を有する逆浸透膜分離装置の運転方法において、フラッシング工程においては、1段目の逆浸透膜分離手段のみをフラッシングし、フラッシング排水を該逆浸透膜分離装置外に排出することを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の逆浸透膜分離装置の運転方法は、請求項1において、1段目の逆浸透膜分離手段の濃縮水取出口と2段目の逆浸透膜分離手段の被処理水流入口とをつなぐ流路からフラッシング排水流路が分岐しており、透過水の採水工程にあっては1段目の逆浸透膜分離手段からの濃縮水の全量を2段目の逆浸透膜分離手段に供給し、フラッシング工程にあっては、被処理水の1段目の逆浸透膜分離手段への導入を継続したまま、1段目の逆浸透膜分離手段からの濃縮水の全量又はほぼ全量を該フラッシング排水流路から該逆浸透膜分離装置外に排出することを特徴とするものである。
【0011】
請求項3の逆浸透膜分離装置の運転方法は、請求項2において、フラッシング工程にあっては、1段目の逆浸透膜分離手段からのフラッシング排水の全量を逆浸透膜分離装置外に排出することを特徴とするものである。
【0012】
請求項4の逆浸透膜分離装置の運転方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、フラッシング工程を1〜30回/dayの頻度で、1回のフラッシング時間5〜500秒にて行うことを特徴とするものである。
【0013】
請求項5の逆浸透膜分離装置の運転方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、1段目の被処理水流入口と濃縮水取出口との差圧を検出手段で検出し、この差圧が高くなるほどフラッシング工程の頻度を増大させるように制御手段によって制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、RO装置の運転中に一時的に1段目の逆浸透膜分離手段のみをフラッシングとするという簡易なフラッシングにより、膜面透過流束の低下を抑制し、長期に亘り安定運転を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明のRO装置の運転方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
第1図は本発明のRO装置の運転方法の実施の形態を示す系統図である。
【0017】
第1図に示すRO装置は、4個のROベッセル21〜24が並列配置されて1段目の第1バンク(ベッセル群)が構成され、3個のROベッセル51〜53で2段目の第2バンクが構成され、2個のROベッセル81,82で3段目の第3バンクが構成されている、3段のクリスマスツリー型RO装置である。
【0018】
各ROベッセル21〜24,51〜53,81,82には、各々、ROエレメントが1本又は複数本内蔵されている。
【0019】
なお、RO膜としては、通常のRO膜のほか、表面を表面処理剤で修飾した膜を用いてもよい。表面処理剤としては、分子量2000〜10000のポリアルキレングリコールあるいはその誘導体を挙げることができる。誘導体としては、イオン性基やエーテルあるいはエステル結合したアルキル基を有するポリアルキレングリコールを挙げることができる。イオン性基としては、スルホ基、カルボキシル基、アミノ基を挙げることができ、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜20である。また、分子量10万以上のカチオン性、アニオン性高分子も挙げることができる。
【0020】
表面処理剤の種類を変えて、複数回処理することも有効である。処理の順番としては、例えば、カチオン性高分子による処理を行った後、アニオン性高分子による処理を行うことで、吸着層が安定化し、表面のアニオン性基がアニオンの反発を強め、アニオン性物質の吸着を抑制することができる。
【0021】
RO膜としては、表面を酸化剤で処理したものを用いてもよい。例えば、特許第3807395に示される、過酸化水素処理RO膜が挙げられる。
【0022】
第1図において、被処理水(原水)は、圧力計Pを有した原水配管10から分岐原水配管11,12,13,14に流入する。これらのベッセル21〜24からの透過水は透過水配管31,32,33,34から集合透過水配管30を介して系外(装置外)に取り出される。
【0023】
各ベッセル21〜24からの濃縮水は、濃縮水配管41,42,43,44から集合濃縮水配管45に集められ、次いで弁Vを通り、分岐配管46,47,48を介して第2バンクのベッセル51,52,53に供給される。
【0024】
なお、濃縮水配管45の弁Vよりも上流側からフラッシング排水配管49が分岐している。この配管49には圧力計Pが設けられると共に、それよりも下流側にフラッシング排水の排出及び排水停止を行うための弁Vが設けられている。
【0025】
これらのベッセル51〜54からの透過水は透過水配管61,62,63から集合透過水配管64,30を介して系外に取り出される。
【0026】
各ベッセル51〜53からの濃縮水は、濃縮水配管71,72,73から集合濃縮水配管74に集められ、次いで分岐配管75,76を介して第3バンクのベッセル81,82に供給される。
なお、濃縮水配管74には圧力計Pが設けられている。
【0027】
これらのベッセル81,82からの透過水は透過水配管91,92から集合透過水配管93,30を介して系外に取り出される。
【0028】
各ベッセル81,82からの濃縮水は、濃縮水配管101,102から集合濃縮水配管103及び弁Vを通り、系外に排出される。なお、濃縮水配管103の弁Vよりも上流側には圧力計Pが設けられている。
【0029】
この第1図のRO装置において、通常運転(採水運転)の際には、弁Vを閉、Vを開、弁Vは所定の水回収率となる開度とし、給水ポンプ(図示略)を作動させて、被処理水を配管10から、配管11〜14を経て第1バンクのROベッセル21〜24に加圧供給し、透過水を配管31〜34,30を経て系外へ排出する。一方、濃縮水は配管41〜48を経て第2バンクのROベッセル51〜53に導入し、透過水を配管61〜64を経て系外へ排出する。第2バンクのROベッセル51〜53からの濃縮水は配管71〜76を経て第3バンクのROベッセル81,82に導入され、透過水を配管91〜93を経て系外へ排出する。第3バンクから濃縮水は配管103より系外へ排出される。
なお、濃縮水は放流又は後段の排水処理装置に送給される。透過水は更に後段の処理装置に送給される。
このような通常運転を所定時間行った後は次のようにしてフラッシングを行う。
【0030】
まず、通常運転時と同様に給水ポンプを作動させたまま、弁Vを開く。このとき、弁Vは閉としてもよく、開のままとしてもよい。弁Vを開とすることにより、第1バンクのROベッセル21〜24に流入した水の全量(弁V閉の場合)又は大部分(弁Vを開のままとした場合)は、RO膜を透過することなく、配管41〜44,49を経て系外へ排出される。
【0031】
この操作で、第1バンクのROベッセル21〜24の膜面に沿って水が多量にかつ高流速で流れることにより、各膜面が洗浄される。
【0032】
上述の如く、第1バンクのみのフラッシングを行った後は、弁Vが閉のときは開に戻し、弁Vを閉とし、通常運転を再開する。
【0033】
本発明において、フラッシングの頻度としては特に制限はなく、被処理水の水質やRO処理条件等に応じて適宜決定されるが、通常1〜30日に一度の割合で1回当り5〜500秒程度実施することが好ましい。
【0034】
なお、第1図においては、第1バンクに4個のROベッセルが並列配置され、第2バンクに3個のROベッセルが設けられ、第3バンクに2個のROベッセルが設けられたクリスマスツリー型RO装置を示したが、本発明が適用されるRO装置は、何ら第2図の構成のものに限らず、各バンクのベッセル数は任意であり、バンク数も2以上であれば任意である。クリスマスツリー型RO装置に限らず、各段1個のROベッセルが多段に連結されたものであっても良い。
【0035】
クリスマスツリー型RO装置の場合、そのバンク数やベッセル数には特に制限はないが、バンクの段数は通常2段又は3段である。ただし、4段以上の多段構成であっても良いことは言うまでもない。また、各段のバンクのROベッセル数は、処理水量とROベッセルの処理能力に応じて適宜設定されるが、一般的には上流側ほど多く、下流側ほど少なくなる。通常、2段の場合は第1バンクのベッセル数:第2バンクのベッセル数=2:1の割合でベッセル数が設定され、3段の場合は、第1バンクのベッセル数:第2バンクのベッセル数:第3バンクのベッセル数=4:2:1の割合でベッセル数が設定されることが多い。最終段のベッセル数は1個である場合もある。
【0036】
いずれの場合も、前述の如く、各ROベッセルには、ROエレメントが内蔵されており、1ベッセルにROエレメントが1本又は複数本内蔵されている。また、少なくとも、最終段のバンクからの濃縮水配管には絞り弁又は開度調節可能な弁Vが設けられ、全てのバンクのROベッセルにかかる運転圧を調整できるようになっている。
【0037】
開閉弁、絞り弁は自動弁が好ましいが、手動弁でもよい。第2図は、弁V,Vを自動弁とし、その開閉を圧力計P,Pの差圧に基づいて制御装置110で自動制御することにより、フラッシング工程を自動的に通常運転中に行うようにしたものである。
【0038】
この場合、膜透過差圧が大きくなるほどフラッシングの頻度を多くするのが好ましいが、1回のフラッシング時間を長くするようにしてもよい。第2図のその他の構成は第1図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0039】
クリスマスツリー型RO装置のような多段RO装置の場合、特に、超低圧RO膜を用いた場合や濁質除去が不十分であったり、微生物抑制剤が使用されていない被処理水を処理する場合、1段目のバンク(ないしベッセル)のRO膜の汚染が顕著になることから、前述の如く、1段目のバンク(ベッセル群)のみのフラッシングを行うだけで透過水量を長期にわたって高く保つことができる。
【0040】
本発明では、第1バンクのフラッシング時に弁Vを開のままとしてもよいので、弁Vを省略してもよい。
【0041】
本発明では、RO膜として、表面を高分子(例えばポリエチレングリコール)で修飾したり、酸化剤で処理したものを用いてもよい。
【0042】
本発明のRO装置の運転方法は、例えば濁質除去が不十分なSDIが3以上の被処理水や排水回収プロセスなどTOC濃度が0.5mg/L以上、例えば、0.5〜20mg/L程度であるような被処理水や生菌数が5000CFU/mL以上である被処理水をRO給水とする場合に有効である。なお、TOCは溶存成分であるが、生物代謝物などの高分子が含まれている場合、膜面で濃縮されたり、カチオンと結合してゲル化する場合があり、RO膜供給水の流路に付着して、流路を閉塞させる場合があることがわかった。
【実施例】
【0043】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
以下の実施例及び比較例では表1に示す水質の原水を用いた。
【0044】
【表1】

【0045】
実施例1,2、比較例1,2
採水時には、弁Vを開、弁Vを閉、弁Vを半開とし、原水を第1図に示すRO装置(膜は栗田工業(株)製K−RO−A2032。ベッセル1個当り4本に30m/hにて供給し、濃縮水流量を10m/h、回収率75%とした。
【0046】
実施例1,2では、1回/dayの頻度で1回当り60秒間V,V,Vの開閉を表2の通りとしてフラッシングを行った。比較例1ではフラッシングを行わなかった。比較例2では、1回/dayの頻度で1回当り60秒間、弁Vを全開とした。
【0047】
【表2】

【0048】
実施例3
第2図に示すように、圧力計P,Pの検出値を制御装置110に入力し、差圧(P−P)に応じて、バルブVを60秒だけ開とし且つバルブVを60秒だけ閉とするフラッシングを、次の頻度にて行った。
【0049】
−Pが0.15未満のとき 1回/day
−Pが0.15〜0.20のとき 2回/day
−Pが0.20〜0.25のとき 3回/day
−Pが0.25超のとき 4回/day
なお、膜の材質及び各ベッセルの膜面積は実施例1,2及び比較例1,2と同一である。
【0050】
実施例1〜3及び比較例1,2の運転開始直後及び1ヶ月経過後の圧力計P〜Pの検出値を表3,表4に示す。表3,4及び後述の表5,7において、電導度の単位はmS/mである。
【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
フラッシングを行わない比較例1では圧力計1の圧力が上昇し、圧力計4の圧力が低下している。Vを開放する比較例2ではこの傾向は小さくなるものの、やはり圧力計1の圧力上昇や他の圧力計の圧力低下が顕著である。Vを開放する本発明(実施例1,2及び3)では、圧力計1の圧力上昇と他の圧力計での圧力低下は抑えられた。圧力に応じて、バルブの開閉を制御する実施例3で、最もこの効果は大きい。
【0054】
実施例4、比較例3
膜として、上記K−RO−A2032に、2ppmポリエチレングリコール水溶液(平均分子量3000)を30分間、0.75MPaで通水処理して、ポリエチレングリコールによる修飾処理を行ったものを用いたほかは、それぞれ実施例3、比較例1と同一条件にて通水した。運転開始直後及び1ヶ月経過後の圧力計P〜Pの検出値を表5に示す。
【0055】
【表5】

【0056】
表5の通り、修飾処理によって膜の抵抗が増加した分、運転開始直後の初期圧力は高い。しかしながら、実施例4及び比較例3ともに、実施例3、比較例1に比べて1ヵ月後の圧力上昇は抑えられており、実施例4では圧力上昇が著しく抑えられている。
【0057】
実施例5
表6に示す原水を第3図に示すRO装置に28m/hにて供給し、濃縮水流量を12m/hとし、回収率を70%とした。
【0058】
第3図のRO装置は、第1バンクと第2バンクとの2バンクよりなり、第1バンクは8個のROベッセル21〜24、24a〜24dを並列に設け、配管11〜14、14a〜14dによってそれぞれ原水を供給し、透過水を配管31〜34、34a〜34dによって取り出し、濃縮水を配管41〜44、44a〜44dを介して配管45に送り出すようにしている。
【0059】
第2バンクは4個のROベッセル52〜53、53Aを並列に設け、分岐配管46〜48、4aによって配管45からの濃縮水を各ベッセル51〜53Aに供給し、透過水を配管61〜63、63aによって取り出し、濃縮水を配管71〜73、73aによって配管74に送り出し、系外に取り出すようにしている。
【0060】
その他の構成は第1図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0061】
膜としては、日東電工(株)製NTR−759HRを、1%過酸化水素水に24時間浸漬処理したものを用いた。
【0062】
フラッシングは弁Vのみを1回/hrの頻度で1回当り60秒だけ開とすることにより行った。運転開始直後及び1ヶ月経過後の圧力計P〜Pの検出値を表7に示す。
【0063】
比較例4
実施例5において、膜として過酸化水素水しなかったものを用い、フラッシングを行わなかったこと以外は実施例5と同一とした。運転開始直後及び1ヶ月経過後の圧力計P〜Pの検出値を表7に示す。
【0064】
比較例5
実施例5において、フラッシングを行わなかったこと以外は、実施例5と同一とした。運転開始直後及び1ヶ月経過後の圧力計P〜Pの検出値を表7に示す。
【0065】
【表6】

【0066】
【表7】

【0067】
表7の通り、実施例5では比較例4,5に比べて1ヶ月経過後の圧力計Pの圧力上昇が顕著に抑制され、P及びPも低い値に維持されている。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明のRO装置の運転方法の実施の形態を示す系統図である。
【図2】本発明のRO装置の運転方法の実施の形態を示す系統図である。
【図3】本発明のRO装置の運転方法の実施の形態を示す系統図である。
【図4】一般的なクリスマスツリー型RO装置の構成を示す系統図である。
【符号の説明】
【0069】
1 第1バンク(第1ROベッセル群)
2 第2バンク(第2ROベッセル群)
21〜24,51〜53,81,82 ROベッセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に多段に設置された逆浸透膜分離手段を有する逆浸透膜分離装置の運転方法であって、
該逆浸透膜分離手段を一時的にフラッシングするフラッシング工程を有する逆浸透膜分離装置の運転方法において、
フラッシング工程においては、1段目の逆浸透膜分離手段のみをフラッシングし、フラッシング排水を該逆浸透膜分離装置外に排出することを特徴とする逆浸透膜分離装置の運転方法。
【請求項2】
請求項1において、
1段目の逆浸透膜分離手段の濃縮水取出口と2段目の逆浸透膜分離手段の被処理水流入口とをつなぐ流路からフラッシング排水流路が分岐しており、
透過水の採水工程にあっては1段目の逆浸透膜分離手段からの濃縮水の全量を2段目の逆浸透膜分離手段に供給し、
フラッシング工程にあっては、被処理水の1段目の逆浸透膜分離手段への導入を継続したまま、1段目の逆浸透膜分離手段からの濃縮水の全量又はほぼ全量を該フラッシング排水流路から該逆浸透膜分離装置外に排出することを特徴とする逆浸透膜分離装置の運転方法。
【請求項3】
請求項2において、フラッシング工程にあっては、1段目の逆浸透膜分離手段からのフラッシング排水の全量を逆浸透膜分離装置外に排出することを特徴とする逆浸透膜分離装置の運転方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、フラッシング工程を1〜30回/dayの頻度で、1回のフラッシング時間5〜500秒にて行うことを特徴とする逆浸透膜分離装置の運転方法。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項において、1段目の被処理水流入口と濃縮水取出口との差圧を検出手段で検出し、この差圧が高くなるほどフラッシング工程の頻度を増大させるように制御手段によって制御することを特徴とする逆浸透膜分離装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−104920(P2010−104920A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280102(P2008−280102)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】