説明

透明で2相の泡形成エアゾールヘアスタイリング製品

透明な耐圧エアゾール包装容器、前記エアゾール包装容器に含まれる組成物を泡立てるための装置、及び、少なくとも相互に分離している2つの透明な液体相の起泡性組成物から成るヘアケア製品について説明する。前記組成物には、水;エアゾール噴射剤を除いた組成物の少なくとも15重量%の水溶性液体アルコール;ヘアコンディショニング、ヘアセッティング、及び皮膜形成ポリマーから選択される少なくとも1つのポリマー;少なくとも1つのヘアコンディショニングカチオン性界面活性剤;HLB値が少なくとも10である非イオン性界面活性剤、及び双極性界面活性剤から選択される少なくとも1つの泡形成又は泡安定化界面活性剤;並びに、1つの非水溶性液化エアゾール噴射剤が含有されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、透明な耐圧エアゾール包装容器、該エアゾール包装容器に含まれる組成物を泡立てるための装置、及び、少なくとも相互に分離している2つの透明な液体相の起泡性組成物から成るヘアケア製品である。前記組成物には、水;水溶性液体アルコール;ヘアコンディショニング、ヘアセッティング、又は皮膜形成ポリマー;ヘアコンディショニングカチオン性界面活性剤;泡を形成又は安定化させる非イオン性又は非カチオン性イオノゲン界面活性剤;並びに、非水溶性液化エアゾール噴射剤が含有されている。
【背景技術】
【0002】
加圧ガス包装容器から泡として放出されるヘアトリートメント剤は既知であり、エアゾールフォーム、フォームエアゾール、スタイリングフォーム、コンディショニングフォーム、又はムースとしても既知である。これらの製品は主に、加圧包装容器、起泡ヘッド、液体、水性活性成分相、及び液化噴射剤相から構成されている。一般にこれらの製品には、例えば、金属又は不透明プラスチック製の不透明な包装が必要となる。噴射剤、活性成分、及び添加物の相互作用が原因で、液化噴射剤相と活性成分相間の境界面では、非均質かつ非化粧品様、及び美観が悪く濁った汚れ形成物質が生じ、及び/又は通常用いられる成分の相乗効果により、一方又は両方の相で濁る可能性があるからである。しかしながら、充填量が簡単に視覚的に認識できること、使用前に包装容器を振った後十分に相が混合していることを簡単に視覚的に認識できること、成分のカラーデザインを認識できること(該当する場合)、並びに、透明な製品が一般により魅力的であるという事実により、透明な包装容器が望ましい。
【0003】
透明で2相の泡形成エアゾールヘアケア製品は、EP1169998A2号で知られている。前記製品には、明らかに相互に分離している2つの透明な液体相が含まれている。特に明確な相分離は包装容器を振った後にも回復可能であるが、この相分離は、親水性相へ水溶性塩を添加すること、及び液化噴射剤に可溶性の非水溶性疎水性物質、特に油脂である前記物質を添加することにより得られる。相分離を得るために必要な塩類並びに油脂類の添加は、望ましくない影響をもたらす可能性がある。例えば、これらの添加物は、特に細い毛髪に適用する場合に「重い」効果をもたらす可能性があり、細い毛髪用ボリューム製品の製造をも困難にする。時として、前記添加物はヘアセッティングポリマー用軟化剤ともなり、保持力が高いスタイリング製品の製造を妨害する。しかし、添加物を省くことにより、相分離の特性が望ましくない水準にまで低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、加圧下で存在でき泡を形成する透明ヘア製品;包装容器を振った後に回復でき外側から認識可能な、液化噴射剤相及び水含有活性成分相間で相分離も必要となる該製品;十分なボリューム及びセッティング効果のあるボリューム及びスタイリング製品の製造を可能にする必要性もあり、塩類及び疎水性油脂類が全く含まれないか極めて少量存在している中での生産をも可能である該製品を提供する方法から、本課題が生じた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、透明耐圧エアゾール包装容器、該エアゾール包装容器に含まれる組成物を泡立てるための装置、及び少なくとも相互に分離している2つの透明な液体相の起泡性組成物から成るヘアケア製品であり、該組成物には
(A)水、
(B)噴射剤を除いた組成物の少なくとも15重量%の水溶性液体アルコール、
(C)ヘアコンディショニングポリマー、ヘアセッティングポリマー、及び皮膜形成ポリマーから選択される少なくとも1つのポリマー、
(D)少なくとも1つのヘアコンディショニングカチオン性界面活性剤、
(E)HLB値が少なくとも10の非イオン性界面活性剤、及び双極性界面活性剤から成る群から選択される少なくとも1つの泡形成又は泡安定化界面活性剤、
(F)前記エアゾール包装容器中、加圧条件下で液化される少なくとも1つの非水溶性噴射剤が含有されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明による組成物は、アルコール含有量を少なくとも15重量%に高めることによって識別される。相分離の特性は、アルコール含有量が高まるにつれ向上する場合があるが、アルコールが泡阻害物質として働くため、泡特性は通常悪化する。良好な相分離並びに良好な泡特性は、製品のボリューム又はスタイリング効果にいかなる影響も与えずに、アルコール量及び本発明による界面活性剤(E)の好適な選択を同時に選択することで得られる。
【0007】
本発明では、肉眼で濁りや汚れが見られない場合、両液相が透明であるとする。本発明では、流動性がある場合、その相が液体相であるとする。これは、より物理的な観点から見た場合の液体、並びに、20°C(68°F)で傾斜面(45°)に置かれた場合に、自然に下向きに流れる流動性ジェルの両方に適用する。本発明では、単一かつ水平な唯一の境界面を形成する場合、両相が互いに分離されるとする。包装容器を振った後この境界面は、完全に、好ましくは24時間以内に回復する。相が互いに明確に分離される、すなわち、分離線以外の境界層が相間に見られない、又は相間の分離線が1mm(0.039インチ)未満、好ましくは0.1mm(0.0039インチ)未満である場合が好ましい。起泡可能組成物は、少なくとも短時間(例えば少なくとも30秒間)安定した泡を、起泡ヘッドを備えたエアゾール包装容器のような好適な起泡用装置を用いて形成させる組成物である。
【0008】
親水性相溶媒
水及び水溶性アルコールが主な溶媒である。水分含有量は、エアゾール噴射剤を除いた組成物の好ましくは50〜75重量%であり、55〜75重量%が特に好ましい。アルコールは液体で、室温(25°C(77°F))において水溶性であり、すなわち、少なくとも20g(0.71オンス)又は少なくとも50g(1.76オンス)が100mL(3.38オンス)に可溶性である場合が好ましく、溶解度の制限がないことが特に好ましい。使用するアルコールは、エタノール及びイソプロパノールなど、通常化粧品用として用いられる1〜4個の炭素原子を有する低級1価アルコール、又は、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、又はペンタンジオールなどの2〜5個の炭素原子を有する多価アルコールとすることができる。エタノールを単一のアルコールとするか、又はエチレングリコール、グリセリン、又はプロピレングリコールと混合するのが、特に好ましい。アルコール含有量は、エアゾール噴射剤を除いた組成物の少なくとも15重量%であり、20〜35重量%が好ましく、20〜30重量%が特に好ましい。親水性相のpH範囲は好ましくは2〜8であり、pH4〜7が特に好ましい。双極性界面活性剤を泡形成又は泡安定化界面活性剤として使用する場合は、pH値は好ましくは3.5超、特に4.0超である。双極性界面活性剤のカチオン性が強すぎることになり得るため、泡特性は、pH値が約3になると低下する可能性がある。酸性域は、化粧品に相溶するギ酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、ピロリドンカルボン酸、クエン酸、乳酸、硫酸、酢酸、塩酸、及び特にリン酸などの有機又は無機酸を用いて調整することができる。塩基性pH域は、例えば、アミノメチルプロパノール(AMP)、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、又はテトラヒドロキシプロピルエチレンジアミンのようなアミノアルコール、並びに、アンモニア、NaOH、KOHなどの好適な有機又は無機塩基を用いて調整することができる。
【0009】
ポリマー
本発明による製品の組成物には、少なくとも1つのヘアセッティング、及び/又はヘアコンディショニング、及び/又は皮膜形成ポリマーが含有されている。これらのポリマーは、好ましくは0.01〜20重量%、又は0.5〜10重量%の量で存在し、1〜8重量%が特に好ましい。これらのポリマーは、アニオン性ポリマー、換言するとアニオン又はアニオン性基を有するポリマー、又はカチオン性ポリマー、換言するとカチオン又はカチオン性基を有するポリマー、又は双極性ポリマー、換言するとカチオン及びアニオン基を有するポリマー、又は両性ポリマー、言い換えれば酸性及び塩基性基を有するポリマー、又は非イオン性ポリマーとすることができる。アニオン性基は、例えばカルボン酸、スルホン酸、又はリン酸基などの酸性基として知られており、例えば有機アミン、又はアルカリ又は水酸化アルカリ土類などの通常の塩基を用いて脱プロトン化することができる。カチオン化され得る基は、典型的な酸を用いてプロトン化することのできる第一級、第二級、又は第三級アミン基のような塩基性基である。水/アルコール混合物に十分に可溶するそれらのポリマーは、本発明による親水性相中に完全に溶解した形状で提供するために好ましい。
【0010】
皮膜形成ポリマーは、特に、「国際化粧品成分辞典及び便覧(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)第9版」に掲載されている「皮膜形成剤」の機能を持つポリマー、及び/又は、0.01〜5%の水性、アルコール、又は水性アルコール溶液として使用する場合に、毛髪上にポリマー皮膜を残すことができるポリマーである。ヘアセッティングポリマーは、特に、「国際化粧品成分辞典及び便覧(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)第9版」に掲載されている「毛髪固定剤」の機能を持つポリマーである。ヘアコンディショニングポリマーは、特に、「国際化粧品成分辞典及び便覧(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)第9版」に掲載されている「ヘアコンディショニング剤」の機能を持つ材料であり、ポリマーを指す場合である。本発明の意味するポリマーの例を以下に記載する。
【0011】
アニオン性ポリマーは、塩基性中和剤により部分的又は完全に中和することができる。好ましい中和度は50〜100%であり、70〜100%が特に好ましい。有機又は無機塩基を中和剤として使用することができる。塩基の特定例は、例えばアミノメチルプロパノール(AMP)、トリエタノールアミン、又はモノエタノールアミンなどのアミノアルカノール、またとりわけ、アンモニア、NaOH、及びKOHである。
【0012】
アニオン性ポリマーは、天然又は合成源由来の酸性基含有モノマー単位を有するホモポリマー又はコポリマーとすることができ、必要であれば、酸性基が含有されていないコモノマーで重合することができる。考慮され得る酸性基は、スルホン酸、リン酸、及びカルボン酸基であり、その中でもカルボン酸基が好ましい。好適な酸性基含有モノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、及び無水マレイン酸、マレイン酸モノエステルであり、特にマレイン酸のC−1〜C−7のアルキルモノエステル、並びにアルデヒドカルボン酸、又はケトカルボン酸である。酸性基で置換されていないコモノマーは、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキル及びジアルキルアクリルアミド、アルキル及びジアルキルメタクリルアミド、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、ビニルカプロラクトン、ビニルピロリドン、ビニルエステル、ビニルアルコール、プロピレングリコール、又はエチレングリコール、例えばジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、モノアルキルアミノアルキルアクリレート、及びモノアルキルアミノアルキルメタクリレートなどのアミン置換ビニルモノマーであり、ここでこれらのモノマーのアルキル基は、好ましくはC−1〜C−7のアルキル基であり、C−1〜C−3のアルキル基が特に好ましい。
【0013】
酸性基を有する好適なポリマーは、特に、アクリル酸又はメタクリル酸のホモポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、及びビニルピロリドンから選択されるモノマーを有するアクリル酸又はメタクリル酸のコポリマー、クロトン酸のホモポリマー、並びに、多官能性剤と非架橋又は架橋するビニルエステル、アクリル酸又はメタクリル酸エステル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから選択されるモノマーを有するクロトン酸のコポリマーである。好適な天然ポリマーは、例えばセラックである。
【0014】
好ましい酸性基を有するポリマーは、
アクリル酸、アクリル酸アルキル、及びN−アルキルアクリルアミドから成るターポリマー(INCI名:アクリル酸アルキル/アクリルアミドコポリマー)、特に、アクリル酸、アクリル酸エチル、及びN−tert−ブチルアクリルアミドから成るターポリマー;架橋又は非架橋酢酸ビニル/クロトン酸のコポリマー(INCI名:VA/クロトン酸のコポリマー);1つ以上のC−1〜C−5アクリル酸アルキル、特にC−2〜C−4アクリル酸アルキル、及びアクリル酸又はメタクリル酸から選択される少なくとも1つのモノマーから成るコポリマー(INCI名:アクリル酸のコポリマー)、例えば、tert−アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、及びメタクリル酸から成るターポリマー;ポリスチレンスルホン酸ナトリウム;酢酸ビニル/クロトン酸/アルカン酸ビニルのコポリマー、例えば、酢酸ビニル、クロトン酸、及びプロピオン酸ビニルから成るコポリマー;酢酸ビニル、クロトン酸、及びネオデカン酸ビニルから成るコポリマー(INCI名:VA/クロトン酸/プロピオン酸ビニルコポリマー、VA/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー);アクリル酸アミノメチルプロパノールコポリマー;ビニルピロリドン、及びアクリル酸及びメタクリル酸、並びに必要であればアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つの更なるモノマーから成るコポリマー;メチルビニルエーテル及びマレイン酸モノアルキルエステルから成るコポリマー(INCI名:ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチルコポリマー、ビニルメチルエーテル/マレイン酸ブチルコポリマー);メタクリル酸アリール、及びアクリル酸及びメタクリル酸、並びに必要であればアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つの更なるモノマーから成るコポリマーのアミノメチルプロパノール塩;アクリル酸エチル及びメタクリル酸から成る架橋コポリマー;酢酸ビニル、モノ−N−マレイン酸ブチル、及びアクリル酸イソボルニルから成るコポリマー;アクリル酸及びメタクリル酸、並びに必要であればアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選択される2つ以上のモノマーから成るコポリマー;オクチルアクリルアミド、及びアクリル酸及びメタクリル酸、並びに必要であればアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマーから成るコポリマー;ジグリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、及びスルホイソフタル酸から成るポリエステルであり、前記ポリマーのアルキル基は、概して、好ましくは1、2、3、又は4個の炭素原子を持つポリマーである。
【0015】
好ましい双極性又は両性ポリマーは、
アルキルアクリルアミド、メタクリル酸アルキルアミノアルキル、及びアクリル酸及びメタクリル酸、並びに必要であればそのエステルから成る2つ以上のモノマーから形成されるコポリマー、特に、オクチルアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸ブチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸ヒドロキシプロピルから成るコポリマー(INCI名:オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマー);少なくとも1つの第四級アミノ基を持つ第1のタイプのモノマー、及び少なくとも1つの酸性基を持つ第2のタイプのモノマーから形成されるコポリマー;アクリル酸脂肪族アルコール、メタクリル酸アルキルアミンオキシド、及びアクリル酸及びメタクリル酸、並びに必要であればアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマーから成るコポリマー、特に、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸エチルアミンオキシド、及びアクリル酸及びメタクリル酸、並びに必要であればそのエステルから選択される少なくとも1つのモノマーから成るコポリマー;メタクリロイルエチルベタイン、並びにメタクリル酸及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマーから成るコポリマー;アクリル酸、アクリル酸メチル、及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドから成るコポリマー(INCI名:ポリクオタニウム−47);アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、及びアクリル酸から成るコポリマー、又はアクリルアミド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2−スルホン酸アミドプロピルアクリルアミド、及びジメチルアミノプロピルアミンから成るコポリマー(INCI名:ポリクオタニウム−43);第四級クロトノイルベタイン又は第四級クロトノイルベタインエステルから生産できるオリゴマー又はポリマーである。
【0016】
カチオン性ポリマーは、特に、第一級、第二級、第三級、又は第四級アミノ基を有するポリマーである。カチオン電荷密度は、好ましくは1〜7meq/gとなる。好適なカチオン性ポリマーには、好ましくは第四級アミノ基が含有されている。カチオン性ポリマーは、ホモ又はコポリマーとすることができ、第四級窒素属がポリマー鎖中に、又は好ましくは1つ以上のモノマー上の置換基として含有される。アンモニウム基含有モノマーは、非カチオンモノマーを用いて共重合することができる。好適なカチオン性モノマーは、ラジカル重合を起こすことができる不飽和化合物であり、少なくとも1つのカチオン性基、特に、例えばトリアルキルメタクリルオキシアルキルアンモニウム、トリアルキルアクリルオキシアルキルアンモニウム、ジアルキルジアリルアンモニウムなどのアンモニウム置換ビニルモノマー、及び、ピリジニウム、イミダゾリウム、又は第四級ピロリドン、例えば、アルキルビニルイミダゾリウム、アルキルビニルピリジニウム、又はアルキルビニルピロリドン塩などの環状カチオン性窒素含有基を有する第四級ビニルアンモニウムモノマーを持つ。これらのモノマーのアルキル基は、好ましくは、例えばC−1〜C−7のアルキル基などの低級アルキル基であり、特に好ましいのは、C−1〜C−3のアルキル基である。
【0017】
アンモニウム基含有モノマーは、非カチオンモノマーを用いて共重合することができる。好適なコモノマーは、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキル及びジアルキルアクリルアミド、アルキル及びジアルキルメタクリルアミド、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、ビニルカプロラクトン、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルアルコール、プロピレングリコール、又はエチレングリコールであり、これらのモノマーのアルキル基は、好ましくはC−1〜C−7のアルキル基であり、特に好ましいのは、C−1〜C−3のアルキル基である。
【0018】
第四級アミノ基を有する好適なポリマーは、例えばCTFAの「化粧品成分辞典(Cosmetic Ingredient Dictionary)」に、メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドンコポリマー(ポリクオタニウム−16)、又は第四級化ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマー(ポリクオタニウム−11)などのポリクオタニウムという名称で記載されているポリマー、並びに例えば第四級末端基を有するシリコーンポリマー(クオタニウム−80)などの第四級シリコーンポリマー又はシリコーンオリゴマーである。
【0019】
好ましい合成由来のカチオン性ポリマーは、
ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロリド);アクリルアミド及びジメチルジアリルアンモニウムクロリドから成るコポリマー;ビニルピロリドン及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルから成るコポリマーと硫酸ジエチルの反応により形成される第四級アンモニウムポリマー、特にビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチルメトサルフェートのコポリマー(例えばガフクァット(登録商標)755N、ガフクァット(登録商標)734);メチルビニルイミダゾリウムクロリド及びビニルピロリドンから成る第四級アンモニウムポリマー(例えばルビクァット(LUVIQUAT)(登録商標)HM550、ルビクァット(LUVIQUAT)(登録商標)FC905);ポリクオタニウム−35;ポリクオタニウム−57;メタクリル酸トリメチルアンモニウムエチルクロリドから成るポリマー;ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、アクリル酸ナトリウム、及びアクリルアミドから成るターポリマー(例えばマークァット(Merquat)(登録商標)Plus3300);ビニルピロリドン、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、及びメタクリロイルアミノプロピルラウリルジメチルアンモニウムクロリドから成るコポリマー;ビニルピロリドン、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、及びビニルカプロラクタムから成るターポリマー(例えばガフィックス(Gaffix)(登録商標)VC713);ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドコポリマー(例えばガフクァット(登録商標)HS100);ビニルピロリドン及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルから成るコポリマー;ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、及びジメチルアミノプロピルアクリルアミドから成るコポリマー;少なくとも1つの第四級アンモニウム基で置換したヒドロキシ酸から選択される少なくとも1つの第1のタイプのモノマーから形成されるポリ又はオリゴエステル;末端部を第四級アンモニウム基で置換したジメチルポリシロキサンである。
【0020】
天然ポリマー由来の好適なカチオン性ポリマーは、特に多糖類のカチオン性誘導体、例えば、カチオン性セルロース誘導体、デンプン、又はグアーである。更に、キトサン、及びキトサン誘導体が好適である。カチオン性多糖類は、例えば以下の一般式、
G−O−B−N+abc-
Gは無水グルコース残基、例えば、デンプン又はセルロースの無水グルコースであり、 Bは二価結合基、例えば、アルキレン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、又はヒドロキシアルキレンであり、
a、Rb、及びRcは互いに独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、又はアルコキシアリールであり、いずれかが最大22個の炭素原子を有することができ、Ra、Rb、及びRcの総炭素原子数は、好ましくは最大20個である。
Xは通常のカウンターアニオン、例えばハロゲン、酢酸、リン酸、硝酸、又はアルキル硫酸であり、好ましくは塩化物である)で表わされる。カチオン性セルロースは、例えば、INCI名がポリクオタニウム−10、又はポリクオタニウム−24のセルロースである。好適なカチオン性グアー誘導体は、例えば、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドのINCI名を持つ。
【0021】
カチオン性セルロース誘導体は、少なくとも1つの第四級アンモニウム基を有し、例えば、ヒドロキシエチルセルロース及びジアリルジメチルアンモニウムクロリドから作られるコポリマー(ポリクオタニウム−4)又は、ヒドロキシエチルセルロース及びトリアルキルアンモニウム基で置換されているエポキシドから作られる反応生成物(ポリクオタニウム−10)であり、アルキル基は1〜20個の炭素原子を有することができ、メチル基が好ましい。分子量は、好ましくは100,000〜600,000であるが、200,000〜400,000が特に好ましい。窒素含有量は好ましくは0.5〜4%であり、1.5〜3%が特に好ましい。好ましいセルロース誘導体はポリクオタニウム−4で、セルクワット(Celquat)(登録商標)H100、及びセルクワット(Celquat)(登録商標)L200の商品名で市販されており、その中ではセルクワット(Celquat)(登録商標)L200が特に好ましい。
【0022】
特に好ましいカチオン性ポリマーは、キトサン、キトサン塩、及びキトサン誘導体である。本発明に用いることができるキトサンは、完全に又は部分的に脱アセチル化したキチンとすることができる。一例として、分子量は、20,000〜約500万g/mol(705〜約176,369oz/mol)の広範に渡って、例えば30,000〜70,000g/mol(1,058〜2,469oz/mol)で分布させることができる。しかし、分子量は、好ましくは100,000g/mol(3,527oz/mol)を超え、200,000〜700,000g/mol(7,054〜24,692oz/mol)が特に好ましい。脱アセチル化度は、好ましくは10〜99%、特に好ましくは60〜99%である。好ましいキトサン塩は、ピロリドンカルボン酸キトソニウム、例えば、分子量約200,000〜300,000g/mol(7,054〜10,582oz/mol)、脱アセチル化度70〜85%のカイタマー(Kytamer)(登録商標)PCである。考慮できるキトサン誘導体としては、第四級化、アルキル化又はヒドロキシアルキル化誘導体が挙げられ、例えばヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル又はヒドロキシブチルキトサンである。キトサン又はキトサン誘導体は、好ましくは中和又は部分中和物として存在する。中和度は、遊離塩基性基の数に基づいて計算すると、好ましくは少なくとも50%となり、特に好ましくは70〜100%であろう。中和剤には、原則として化粧品に相溶する、例えば、ギ酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、ピロリドンカルボン酸、塩酸などのような、任意の無機又は有機酸を使用することができ、その中ではピロリドンカルボン酸が特に好ましい。
【0023】
好ましい天然由来のカチオン性ポリマーは、
ヒドロキシエチルセルロース及びジアリルジメチルアンモニウムクロリドから成るカチオン性セルロース誘導体;ヒドロキシエチルセルロース及びトリメチルアンモニウム置換エポキシドを有するカチオン性セルロース誘導体;キトサン及びその塩;ヒドロキシアルキルキトサン及びその塩;アルキルヒドロキシアルキルキトサン及びその塩;N−ヒドロキシアルキルキトサンアルキルエーテル;N−ヒドロキシアルキルキトサンベンジルエーテルである。
【0024】
好適な非イオン性ポリマーは、少なくとも以下のモノマー1つから形成されるホモ又はコポリマーである。ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、例えば酢酸ビニル、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキル及びジアルキルアクリルアミド、アルキル及びジアルキルメタクリルアミド、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、プロピレングリコール又はエチレングリコールなどのビニルエステル、ここで、これらモノマー中のアルキル基は好ましくはC−1〜C−7のアルキル基であり、C−1〜C−3のアルキル基が特に好ましい。好適なホモポリマーは、例えば、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、又はN−ビニルホルムアミドのホモポリマーである。更に好適な、合成皮膜形成非イオン性ヘアセッティングポリマーは、例えば、ビニルピロリドン及び酢酸ビニルから成るコポリマー、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニルから成るターポリマー、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、並びに、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールコポリマーである。好適な、天然皮膜形成ポリマーは、例えば、セルロース誘導体、例えばヒドロキシアルキルセルロースである。
【0025】
好ましい非イオン性ポリマーは、
ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン/酢酸ビニルのコポリマー、ポリビニルアルコール、イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドのコポリマー;ビニルピロリドン、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルから成るコポリマーである。
【0026】
好ましいポリマーの組み合わせは特に次の、
・ ヒドロキシエチルセルロース及びジアリルジメチルアンモニウムクロリドから成るカチオン性セルロース誘導体と、ビニルピロリドン/酢酸ビニルのコポリマーの組み合わせ、
・ キトサンと、ポリビニルピロリドンの組み合わせ、
・ メチルビニルイミダゾリウムクロリド及びビニルピロリドンから成る第四級アンモニウムポリマーと、キトサン、及び/又は、ビニルピロリドン/酢酸ビニルのコポリマー、及び/又は、ポリビニルピロリドンの組み合わせである。
【0027】
カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤(D)は、本発明による製品の組成物中に、エアゾール噴射剤を除いた組成物の好ましくは0.01〜10重量%、又は0.05〜5重量%の量で含まれ、0.1〜2.5重量%が特に好ましい。好適なカチオン性界面活性剤は特に、カチオン性基に基づきヒトの毛髪に対する直接性を有する界面活性剤、又は、アミン基又は第四級アンモニウム基がカチオン化、詳細にはプロトン化できる界面活性剤である。
【0028】
好適なカチオン性界面活性剤は、詳細には以下の一般式、
(+)1234(-) (I)
(式中、R1〜R4は互いに独立して、1〜22個の炭素原子を有する脂肪族基、芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、又はアルカリール基を表し、R1〜R4残基のうち少なくとも1つが、少なくとも8個の炭素原子を有し、X(-)はアニオンを表し、例えば、ハロゲン、酢酸、リン酸、硝酸、又はアルキル硫酸であるが、好ましくは塩化物である)を有する。前記脂肪族基には、炭素原子と水素原子に加えて、架橋や更なるアミノ基のような他の基も含有させることができる。
【0029】
好適なカチオン性界面活性剤の例は、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩の塩化物又は臭化物、例えば、セチルトリメチルアンモニウムの塩化物又は臭化物、テトラデシルトリメチルアンモニウムの塩化物又は臭化物、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムの塩化物又は臭化物、ジアルキルジメチルアンモニウムの塩化物又は臭化物、アルキルピリジニウム塩、例えばラウリル又はセチルピリジニウムの塩化物、アルキルアミドエチルトリメチルエーテル硫酸アンモニウム、並びに、アミンオキシドのようなカチオン性を有する化合物、例えば、アルキルメチルアミンオキシド、又はアルキルアミノエチルジメチルアミンオキシドである。特に好ましいのは、セチルトリメチル塩化アンモニウムである。
【0030】
泡形成及び泡安定化界面活性剤
泡形成及び泡安定化界面活性剤は、本発明の組成物の起泡能力を増強する、すなわち、高いアルコール含有量にもかかわらず、製品をエアゾール包装容器から放出させた時に作られる泡の容量及び/又は安定性を向上させる。これらは、エアゾール噴射剤を除いた組成物の好ましくは0.1〜5重量%の量で存在し、0.5〜3重量%が好ましい。
【0031】
界面活性剤(E)は、グリフィン(Griffin)による分類のHLB値が10以上であるが、好ましくは11〜15の範囲内の非イオン性界面活性剤、並びに、双極性界面活性剤から選択する。好ましい非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグルコシド(APG)である。これらは、モノ−、ジ−、又はオリゴグルコシド、又はこれらの混合物として存在し得るアセタール結合グルコシドである。グルコース、デンプン、又は脂肪族アルコールを有するn−ブチルグルコシドからの酸触媒反応(フィッシャー反応)により均質な混合物として、これらを製造できる。これにより、例えば、アルキル基に8〜22個、8〜20個、又は好ましくは10〜16個の炭素原子を有するアルキルモノグルコシド、アルキルジグルコシド、及びアルキルオリゴグルコシド(詳細にはトリオシド及びテトラオシド)の複雑な混合物をもたらす。平均重合度は、通常1〜3、例えば1.2〜1.5である。HLB値は、通常10を超え、疎水基の変化及び/又は重合度により、11〜15の間で可変である。APGは、ココグルコシド、カプリリル/カプリルグルコシド、セテアリルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、及びミリスチルグルコシドのINCI名で既知である。
【0032】
双極性界面活性剤は、少なくとも1つの第四級アンモニウム基、及びカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、及びホスホン酸塩基から選択される少なくとも1つのアニオン基を有する界面活性剤であり、例えば以下の一般式、
1−N(+)(R22−A−Z(-)
(式中R1は、8〜22個の炭素原子、0〜10個のエチレンオキシド単位、0〜1個のグリセロール単位を有する直鎖又は分枝鎖アルキル、アルケニル、又はヒドロキシアルキル基、又は、脂肪酸基中に8〜22個の炭素原子、アルキレン基中に1〜4個、好ましくは2又は3個の炭素原子を有する脂肪酸アミドアルキレン基を表し、R2は、2〜4個の炭素原子を有するアルキル、ヒドロキシアルキル、又はカルボキシアルキル基であり、Aは1〜4個の炭素原子、0又は1個のヒドロキシ基を有するアルキレン又はヒドロキシアルキレン基であり、Zは、カルボン酸塩、硫酸塩、ホスホン酸塩、又はリン酸塩の基を表す)を持つ。双極性リン酸界面活性剤は、例えば、ラウロアンホPG酢酸リン酸ナトリウムのINCI名で既知である。
【0033】
ベタイン構造を有する双極性界面活性剤が好ましく、例えば以下の式、
R−N(+)(CH32−(CH2x−CO2(-)
(式中Rは、8〜22個の炭素原子を有する脂肪アルキル残基、又は、脂肪アルキル基中に8〜22個の炭素原子、アルキレン基中に1〜3個の炭素原子を有する脂肪アルキルアミドアルキレン残基を意味し、xは、1、2、又は3の数字を意味する)の界面活性剤である。これらのタイプの界面活性剤は、コカミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ステアルアミドプロピルベタイン、セチルベタイン、ラウリルベタイン、オレイルベタイン、ステアリルベタイン、又はココベタインのINCI名で既知である。
【0034】
また、スルタイン構造を有する双極性界面活性剤も好ましく、例えば以下の式、
R−N(+)(CH32−A−SO3(-)
(式中Rは、8〜22個の炭素原子を有する脂肪アルキル残基、又は、脂肪アルキル基中に8〜22個の炭素原子、アルキレン基中に1〜3個の炭素原子を有する脂肪アルキルアミドアルキレン残基を意味し、Aは、1、2、又は3個の炭素原子を有するアルキレン又はヒドロキシアルキレン基を意味する)の界面活性剤である。これらのタイプの界面活性剤は、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココスルタイン、ラウリルスルタイン、及びラウリルヒドロキシスルタインのINCI名で既知である。
【0035】
エアゾール噴射剤
本発明によるエアゾール噴射剤は、通常の条件、すなわち、常圧(1,013mbar)及び室温(20°C(68°F))下でガス状の疎水性材料であり、加圧下で充填される場合液化状態で存在し、少なくとも部分的に親水性相に不溶性であり、その結果、第2の疎水性液相を形成する。好適であると考えられるのは、詳細には、プロパン、イソブタン、n−ブタンなどのC3及びC4の炭化水素、又はこれらの混合物、並びに、F152(1,1−ジフルオロエタン)、又はF134(テトラフルオロエタン)などのフッ化炭化水素である。ジメチルエーテルのような、親水性の部分的に水溶性のエアゾール噴射剤との混合物も使用することができるが、第2の相が形成されないため、単独のエアゾール噴射剤としては使用しない。純粋のジメチルエーテルには、透明プラスチック、詳細にはポリエチレンテレフタラート製の特に好ましい包装材との適合性がないという短所もある。ジメチルエーテルにより、容器壁が柔らかく不安定になる可能性があり、容器壁から原料が抽出されたり、又は活性成分溶液から成分が拡散し、容器壁内に吸着したり容器壁を通して揮発したりする可能性がある。特に好ましいのは、プロパン及びブタンの混合物、並びにプロパン、ブタン、及びジメチルエーテルの混合物である。
【0036】
用いるエアゾール噴射剤の量は、好ましくは、充填後にエアゾール包装容器内の圧力が最大3barになるように選択し、20°C(68°F)において最大2.7barが特に好ましく、及び/又は、噴射剤を除いた組成物とエアゾール噴射剤の充填比が80:20〜97:3の範囲内であり、85:15〜95:5が好ましい。
【0037】
本発明による製品は、好適な耐圧エアゾール包装容器内に詰め、更なる構成要素として、包装容器に入っている組成物を泡立てる装置を備えており、前記装置は、噴射剤を用いた場合に組成物を起泡させることができる。好適な起泡装置として、例えば市販のエアゾール起泡ヘッドを使用できる。包装容器は透明な材料で作り、それによって、稠度、充填量、組成物の色、及び2つの液体相の混和度や分離度を確認できる。包装容器用として使用できる材料は、例えば、ガラス、及び透明耐圧プラスチックであり、コスト及び重量的理由からプラスチックが好ましい。特に好ましいのはポリエチレンテレフタラートである。
【0038】
液相の色
都合のいいことに、両液相は、1つ又は2つの異なる種類の異なる着色剤を用いて着色することができる。使用前に包装容器を振っている最中に生じる複合色は、混合物が十分に使用できることの視覚的な指標である。この方法では、非水溶性油溶性着色剤を疎水性相中で使用し、非油溶性水溶性着色剤、又は水/アルコール混合物に可溶性の着色剤を親水性相中で使用する。
【0039】
追加添加物
本発明による組成物には、ヘアトリートメント剤に通常用いられる、例えば、防腐剤、可溶化剤、香油、芳香剤、増粘剤、pH緩衝剤、例えば、植物及びハーブ抽出物、タンパク質、及びシルク加水分解産物などのコンディショニング剤、光防護剤、酸化防止剤、ラジカルスカベンジャー、抗ふけ成分、輝き増強剤、ビタミン、軟化剤、櫛通り改善剤などの任意の添加物成分を更に含有させることができる。
【0040】
特に細い毛髪における重量効果を低減するために、本発明による組成物には、好ましくは塩、及び油又は脂肪類物質、特に不揮発性物質を含まないか、これらの物質を極めて少量、例えば0.5重量%未満や0.05重量%未満で含有させる。
【0041】
特に好ましい実施形態は、エアゾール包装容器の材料がポリエチレンテレフタラートで作られており、組成物に
(A)水が50〜75重量%、
(B)エタノールが20〜30重量%、
(C)ヘアコンディショニングポリマー、ヘアセッティングポリマー、及び皮膜形成ポリマーから選択される少なくとも1つのカチオン性、非イオン性、両性、又は双極性ポリマーが0.5〜10重量%、
(D)少なくとも1つのヘアコンディショニングカチオン性界面活性剤が0.05〜5重量%、
(E)HLB値が少なくとも10のアルキルポリグルコシドから選択される少なくとも1つの泡形成又は泡安定化界面活性剤、及び以下の一般式、
1−N(+)(R22−A−Z(-)
(式中R1は、8〜22個の炭素原子、0〜10個のエチレンオキシド単位、0〜1個のグリセロール単位を有する直鎖又は分枝鎖アルキル、アルケニル、又はヒドロキシアルキル基、又は、脂肪酸基中に8〜22個の炭素原子、アルキレン基中に1〜4個、好ましくは2又は3個の炭素原子を有する脂肪酸アミドアルキレン基を表し、R2は、2〜4個の炭素原子を有するアルキル、ヒドロキシアルキル、又はカルボキシアルキル基であり、Aは1〜4個の炭素原子、0又は1個のヒドロキシ基を有するアルキレン又はヒドロキシアルキレン基であり、Zは、カルボン酸塩、硫酸塩、ホスホン酸塩、又はリン酸塩の基を表す)の双極性界面活性剤が0.1〜5重量%含有されている製品である。
【0042】
該含有量は、エアゾール噴射剤を除いた組成物に基づいており、該組成物は、プロパン、ブタン、及びこれらの混合物から選択されるエアゾール噴射剤で充填され、噴射剤を除いた組成物とエアゾール噴射剤の含有量比が80:20〜97:3の範囲内であり、エアゾール包装容器内の圧力が20°C(68°F)において最大3barである。
【0043】
本発明による製品は、まず、親水性相に可溶性の成分を親水性溶媒に溶解することにより製造する。エアゾール噴射剤の充填前に、疎水性相に可溶性の成分を追加する。最後に、エアゾール噴射剤を充填し、エアゾール包装容器を圧力シールで封止する。
【0044】
本製品は、洗い流す又は洗い流さないものとして使用できる。本発明による化粧品剤は、毛髪の量や状態にもよるが、希望のヘアスタイリング効果を得るのに十分な量(典型的には約3〜10g(0.11〜0.35オンス))で洗髪後の毛髪に泡として適用し、広げて使用する。作用時間後(例えば3〜6分)、洗い流すことができる。本剤は毛髪中に残しておくこともでき、その後毛髪を乾燥させる。
【0045】
従って、本発明の目的は、同様にヘアトリートメントの方法であり、
− 本発明による前記製品を使用して泡を作り、
− この泡を洗髪直後の濡れた毛髪又は乾いた毛髪に適用して毛髪中に広げ、
− 毛髪に適用した組成物を毛髪中で放置し、又は作用時間後に水で洗い流し、
− その後希望のヘアスタイルをもたらす方法である。
【0046】
本発明による製品は特に、ヒトのヘアスタイルのボリューム付与及び/又は保持のために使用することができる。
【0047】
以下の実施例は、本発明の更なる目的の例証を提供するであろう。
【実施例】
【0048】
以下に指定した組成物を透明なポリエチレンテレフタラート製の耐圧容器に充填し、噴射剤(プロパン/ブタン 2.7bar)を9:1の割合で満たす。容器には起泡ヘッドを搭載して、封止する。
【0049】
実施例1
【0050】
【表1】

【0051】
実施例2
【0052】
【表2】

【0053】
実施例3
【0054】
【表3】

1)ビニルピロリドン/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー
【0055】
実施例4
【0056】
【表4】

【0057】
いずれの実施例でも、放出毎に柔らかなミクロ孔質の泡が形成され、少なくとも約2分間、密な泡が維持される。包装容器を振らない状態、並びに包装容器を振ってから24時間後の両方において、明らかな2液相間の相分離が生じる。
【0058】
実施例5
【0059】
【表5】

【0060】
このプロセスで、良好なミクロ孔質の泡が形成される。装容器を振らない状態、並びに包装容器を振ってから24時間後の両方において、2相に分離された透明な溶液の相分離が生じる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明耐圧エアゾール包装容器、該エアゾール包装容器に入っている組成物を泡立てるための装置、及び少なくとも相互に分離している2つの透明な液体相の起泡性組成物から成るヘアケア製品であって、該組成物が
(A)水、
(B)噴射剤を除いた組成物の少なくとも15重量%の水溶性液体アルコール、
(C)ヘアコンディショニングポリマー、ヘアセッティングポリマー、及び皮膜形成ポリマーから選択される少なくとも1つのポリマー、
(D)少なくとも1つのヘアコンディショニングカチオン性界面活性剤、
(E)HLB値が少なくとも10の非イオン性界面活性剤、及び双極性界面活性剤から成る群から選択される少なくとも1つの泡形成又は泡安定化界面活性剤、
(F)前記エアゾール包装容器中、加圧条件下で液化される少なくとも1つの非水溶性噴射剤
を含有する製品。
【請求項2】
前記水溶性液体アルコール(B)が、エアゾール噴射剤を除いた組成物の20〜35重量%の量で含有され、C1〜C4の1価アルコール及びC2〜C5の多価アルコールから選択される、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記泡形成又は泡安定化界面活性剤(E)が、エアゾール噴射剤を除いた組成物の0.1〜5重量%の量で含有され、アルキルポリグルコシド及びベタイン又はスルタイン構造を有する双極性界面活性剤から選択される、請求項1又は2に記載の製品。
【請求項4】
前記カチオン性界面活性剤(D)が、エアゾール噴射剤を除いた組成物の0.01〜10重量%の量で含有され、一般式
(+)1234(-)
(式中、R1〜R4が互いに独立して、1〜22個の炭素原子を有する脂肪族基、芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、又はアルカリール基を意味し、R1〜R4残基のうち少なくとも1つが、少なくとも8個の炭素原子を有し、X(-)がアニオンを表す)によって表される化合物から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製品。
【請求項5】
前記ポリマー(C)が、0.01〜20重量%の量で含有され、
アクリル酸、アクリル酸エチル、及びN−tert−ブチルアクリルアミドから成るターポリマー;架橋又は非架橋酢酸ビニル/クロトン酸のコポリマー;tert−アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、及びメタクリル酸から成るターポリマー;ポリスチレンスルホン酸ナトリウム;酢酸ビニル、クロトン酸、及びプロピオン酸ビニルから成るコポリマー;酢酸ビニル、クロトン酸、及びネオデカン酸ビニルから成るコポリマー;アミノメチルプロパノール/アクリル酸のコポリマー;ビニルピロリドン、並びにアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つの更なるモノマーから成るコポリマー;メチルビニルエーテル、及びマレイン酸モノアルキルエステルから成るコポリマー;メタクリル酸アリル、並びにアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つの更なるモノマーから成るコポリマーのアミノメチルプロパノール塩;アクリル酸エチル、及びメタクリル酸から成る架橋コポリマー;酢酸ビニル、マレイン酸モノ−n−ブチル、及びアクリル酸イソボルニルから成るコポリマー;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルから選択される2つ以上のモノマーから成るコポリマー、オクチルアクリルアミド、及びアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマーから成るコポリマー;ジグリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、及びスルホイソフタル酸から成るポリエステル;から選択されるアニオン又はアニオン性基を有するポリマー、
ヒドロキシエチルセルロース、及びジアリルジメチルアンモニウムクロリドから成るカチオン性セルロース誘導体;ヒドロキシエチルセルロース、及びトリメチルアンモニウム置換エポキシドとから成るカチオン性セルロース誘導体;ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロリド);アクリルアミド、及びジメチルジアリルアンモニウムクロリドから成るコポリマー;硫酸ジエチルと、ビニルピロリドン及びジメチルアミノエチルメタクリル酸から成るコポリマーとの反応で形成される第四級アンモニウムポリマー;メチルビニルイミダゾリウムクロリド及びビニルピロリドンから成る第四級アンモニウムポリマー;ポリクオタニウム−35;メタクリル酸トリメチルアンモニウムエチルクロリドから成るポリマー;ポリクオタニウム−57;末端部が第四級アンモニウム基で置換されているジメチルポリシロキサン;ビニルピロリドン、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、及びメタクリロイルアミノプロピルラウリルジメチルアンモニウムクロリドから成るコポリマー;キトサン及びその塩;ヒドロキシアルキルキトサン及びその塩;アルキルヒドロキシアルキルキトサン及びその塩;N−ヒドロキシアルキルキトサンアルキルエーテル;N−ヒドロキシアルキルキトサンベンジルエーテル;ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルから成るコポリマー;ビニルピロリドン及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルから成るコポリマー、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、及びジメチルアミノプロピルアクリルアミドから成るコポリマー;少なくとも1つの第四級アンモニウム基で置換されているヒドロキシ酸から選択される少なくとも1つの第一タイプのモノマーから形成されるポリ又はオリゴエステル;ビニルピロリドン、メタクリルアミド、及びビニルイミダゾールから成るターポリマー;から選択されるカチオン又はカチオン性基を有するポリマー、
オクチルアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸ブチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸ヒドロキシプロピルから成るコポリマー;アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸エチルアミンオキシド、及びアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマーから成るコポリマー;メタクリロイルエチルベタイン、並びにメタクリル酸及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマーから成るコポリマー;アクリル酸、アクリル酸メチル、及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドから成るコポリマー;第四級クロトノイルベタイン、又は第四級クロトノイルベタインエステルから調製することができるオリゴマー又はポリマー;から選択される双極性及び/又は両性ポリマー、
ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン/酢酸ビニルのコポリマー、ポリビニルアルコール、イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドのコポリマー;ビニルピロリドン、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニルから成るコポリマー;から選択される非イオン性ポリマー
から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製品。
【請求項6】
前記ポリマー(C)が、ヒドロキシエチルセルロース及びジアリルジメチルアンモニウムクロリドのカチオン性セルロース誘導体;ビニルピロリドン/酢酸ビニルのコポリマー;キトサン;ポリビニルピロリドン;メチルビニルイミダゾリウムクロリド及びビニルピロリドンの第四級アンモニウムポリマー、及びこれらのポリマーの組み合わせから選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製品。
【請求項7】
エアゾール噴射剤(F)が、C3〜C4の炭化水素、これらの混合物、並びに、1つ以上のC3〜C4の炭化水素とジメチルエーテルの混合物から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製品。
【請求項8】
噴射剤を除いた組成物とエアゾール噴射剤の含有量比が、80:20〜97:3の範囲内となり、エアゾール包装容器内の圧力が20°C(68°F)において最大3barとなるように前記エアゾール噴射剤(F)の含有量が選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製品。
【請求項9】
両液相が着色剤を用いて異なる色に着色される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製品。
【請求項10】
前記エアゾール包装容器の材料がポリエチレンテレフタラートから作製される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製品。
【請求項11】
前記エアゾール包装容器の材料がポリエチレンテレフタラートから作製され、前記組成物に
(A)水が50〜75重量%、
(B)エタノールが20〜30重量%、
(C)ヘアコンディショニングポリマー、ヘアセッティングポリマー、及び皮膜形成ポリマーから選択される少なくとも1つのカチオン性、非イオン性、両性、又は双極性ポリマーが0.5〜10重量%、
(D)少なくとも1つのヘアコンディショニングカチオン性界面活性剤が0.05〜5重量%、
(E)HLB値が少なくとも10のアルキルポリグルコシド、及び一般式R1−N(+)(R22−A−Z(-)(式中R1が8〜22個の炭素原子、0〜10個のエチレンオキシド単位、0〜1個のグリセリン単位を有する直鎖又は分枝鎖アルキル、アルケニル、又はヒドロキシアルキル基、又は、脂肪酸基中に8〜22個の炭素原子、アルキレン基中に1〜4個の炭素原子を有する脂肪酸アミドアルキレン基を表し、R2が、1〜4個の炭素原子を有するアルキル、ヒドロキシアルキル、又はカルボキシアルキル基であり、Aが1〜4個の炭素原子、0又は1個のヒドロキシ基を有するアルキレン又はヒドロキシアルキレン基を表し、Zが、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、又はリン酸塩の基を表す)の双極性界面活性剤から選択される少なくとも1つの泡形成又は泡安定化界面活性剤が0.1〜5重量%、
を含み、
該含有量がエアゾール噴射剤を除いた組成物に基づいており、該組成物が、プロパン、ブタン、及びこれらの混合物から選択されるエアゾール噴射剤で充填され、噴射剤を除いた組成物とエアゾール噴射剤の含有量比が80:20〜97:3の範囲内であり、エアゾール包装容器内の圧力が20°C(68°F)において最大3barである、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の製品。
【請求項12】
ヘアトリートメントの方法であって、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の製品を使用して泡を作成し、
前記泡を洗髪直後の濡れた毛髪又は乾いた毛髪に適用して毛髪全体に分散させ、
毛髪に適用した組成物を毛髪中で適用したまま、又は作用時間後に水で洗い流し、
その後、所望のヘアスタイルをもたらす
方法。
【請求項13】
ヒトのヘアスタイルのボリューム付与及び/又は保持のための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製品の使用。

【公表番号】特表2008−518981(P2008−518981A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539487(P2007−539487)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011215
【国際公開番号】WO2006/050788
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】