説明

透明導電ガラス基板およびその製造方法

【課題】酸素存在雰囲気下において熱処理した後であっても酸化せず低抵抗で、熱線反射性および電磁波シールド性がより高くなり、さらに耐擦傷性に優れる透明導電ガラス基板が得られる製造方法の提供。
【解決手段】ガラス基板上に、透明導電性金属酸化物からなる層(A)、金属および/または金属窒化物からなる厚さ0.25〜10nmの層(B)および金属酸化物からなる厚さ10nm以上の層(C)をこの順で形成してコーティング付きガラス基板を得るコーティング工程と、前記コーティング付きガラス基板を、550〜750℃の大気中で1〜30分間熱処理する熱処理工程とを具備する、透明導電ガラス基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透明導電ガラス基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板、例えば建物、輸送車両の窓用ガラス基板やプラズマディスプレイパネルの前面基板には、熱線反射性および電磁波シールド性が要求される場合がある。この要求に応えるものとして、例えば表面に導電性皮膜を形成したガラス基板が挙げられる。
また、ガラス基板には上記特性に加えて、さらに高強度であることが要求される場合がある。この場合、平面状のガラス基板上に導電性皮膜を形成した後に熱処理する強化加工に供する。また、曲面を有することが要求される場合があるが、この場合は熱処理した後、ガラス基板を曲げ加工する。
しかしながら、熱処理することで導電性皮膜が酸化するので抵抗が上昇し、導電性が低下して熱線反射性および電磁波シールド性は低下する。
また、さらに導電性皮膜には耐擦傷性が要求される。例えば導電性皮膜を有するガラス基板を製造後、重ねた状態で運搬等する場合があるが、ガラス基板同士の摩擦等によって容易に剥がれたり傷ついたりすることは回避しなければならないからである。
【0003】
このような課題を解決することを目的としたものとして、例えば特許文献1に記載のガラス基材が挙げられる。
特許文献1には、ガラス基材と不足当量の金属酸化物(スズをドープされた酸化インジウム等の金属酸化物を含むもの等)の透明な導電性皮膜とを含んでなる製品であって、この皮膜がこれを酸化から保護する金属酸化物の外側皮膜等(シリカで等の金属酸化物を含むもの等)で被覆されていることを特徴とする製品が記載されている。そして、この製品では、導電性皮膜が外側皮膜等に保護されているので、熱処理によっても導電性皮膜は酸化しないと記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、特許文献1に記載の製品と類似する構造を有する断熱ガラスについて記載されている。
特許文献2には、特定成分のガラス基板と、前記ガラス基板上に多層膜を形成した断熱ガラスであって、前記多層膜は少なくともインジウムとスズとの酸化物を主成分とする第1層と、酸化ケイ素を主成分とする最外層とを有し、特定の日射透過率等を具備する断熱ガラスが記載されている。そして、このような断熱ガラスは、可視光透過率が高く、断熱性能が高く、膜面可視光反射率が低く、ある条件ではさらに耐擦傷性が優れるという特徴と有すると記載されている。
【特許文献1】特開平5−58681号公報
【特許文献2】特開2004−149400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載のガラス基板(ガラス基板上にインジウムとスズとを含む皮膜を有し、その上にシリカ等の外側皮膜を有するもの)は導電性皮膜を覆うシリカ等からなる外側皮膜を有するので、これを熱処理した場合、外側皮膜を有しないものと比較して導電性皮膜の酸化は抑制される。よって、熱処理後の抵抗値は上昇しない場合もある。しかしながら、熱処理後のガラス基板は抵抗値がより低く、熱線反射性および電磁波シールド性がより高いことが好ましい。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決することを目的とする。すなわち、酸素存在雰囲気下において熱処理した後であっても酸化せず低抵抗で、熱処理前よりも抵抗が低下し熱線反射性および電磁波シールド性がより高くなり、さらに耐擦傷性に優れる透明導電ガラス基板を提供することを課題とする。また、このような透明導電ガラス基板を容易に低コストで得ることができる製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記のような課題を解決するため鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は次の(1)〜(7)である。
(1)ガラス基板上に、透明導電性金属酸化物からなる層(A)、金属および/または金属窒化物からなる厚さ0.25〜10nmの層(B)および金属酸化物からなる厚さ10nm以上の層(C)をこの順で形成してコーティング付きガラス基板を得るコーティング工程と、前記コーティング付きガラス基板を、550〜750℃の大気中で1〜30分間熱処理する熱処理工程とを具備する、透明導電ガラス基板の製造方法。
(2)前記層(B)が、Si、Sn、Zn、Ti、Al、Cr、NiCr、TiNおよびSiNからなる群から選ばれる少なくとも一つからなる、上記(1)に記載の透明導電ガラス基板の製造方法。
(3)前記層(B)が、Si、Sn、Zn、AlおよびSiNからなる群から選ばれる少なくとも一つからなる厚さが0.3〜7.5nmの層である、上記(1)または(2)に記載の透明導電ガラス基板の製造方法。
(4)前記層(A)が、ドープされた酸化インジウムを主成分とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の透明導電ガラス基板の製造方法。
(5)ガラス基板上に、透明導電性金属酸化物からなる層(A)、金属および/または金属窒化物からなる厚さ0.25〜10nmの層(B)が550〜750℃の大気中で1〜30分間熱処理されてなる層(B’)および金属酸化物からなる厚さ10nm以上の層(C)をこの順で有している、透明導電ガラス基板。
(6)前記層(B)が、Si、Sn、Zn、Ti、Al、CrおよびNiCrからなる群から選ばれる少なくとも一つからなる厚さが0.5〜5nmの層、またはTiNおよびSiNからなる群から選ばれる少なくとも一つからなる厚さが1〜10nmの層である、上記(5)に記載の透明導電ガラス基板。
(7)前記層(A)が、ドープされた酸化インジウムを主成分とする、上記(5)または(6)に記載の透明導電ガラス基板。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、酸素存在雰囲気下において熱処理した後であっても酸化せず低抵抗で、熱線反射性および電磁波シールド性がより高くなり、さらに耐擦傷性に優れる透明導電ガラス基板を提供することができる。また、このような透明導電ガラス基板を容易に低コストで得ることができる製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明について説明する。
本発明は、ガラス基板上に、透明導電性金属酸化物からなる層(A)、金属および/または金属窒化物からなる厚さ0.25〜10nmの層のいずれかである層(B)および金属酸化物からなる厚さ10nm以上の層(C)をこの順で形成してコーティング付きガラス基板を得るコーティング工程と、前記コーティング付きガラス基板を、550〜750℃の大気中で1〜30分間熱処理する熱処理工程とを具備する、透明導電ガラス基板の製造方法である。
このような製造方法を、以下では「本発明の製造方法」ともいう。
【0010】
また、本発明は、ガラス基板上に、透明導電性金属酸化物からなる層(A)、金属および/または金属窒化物からなる厚さ0.25〜10nmの層のいずれかである層(B)が550〜750℃の大気中で1〜30分間熱処理されてなる層(B’)および金属酸化物からなる厚さ10nm以上の層(C)をこの順で有している、透明導電ガラス基板である。
このようなガラス基板と、以下では「本発明のガラス基板」ともいう。
【0011】
本発明のガラス基板は、本発明の製造方法で製造し得る。すなわち、本発明の製造方法によって得られる透明導電ガラス基板と本発明のガラス基板とは同一となる場合がある。
【0012】
本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、コーティング工程と熱処理工程とを具備する。
【0013】
初めにコーティング工程について説明する。
コーティング工程は、ガラス基板上に層(A)、層(B)および層(C)をこの順で形成する工程である。
【0014】
層(A)について説明する。
層(A)は、透明導電性金属酸化物からなる層である。
透明導電性金属酸化物は、ガラス基板上に透明な層を形成できる金属酸化物であって、導電性を具備するものであれば特に限定されない。透明導電性金属酸化物としては、例えば、ドープされた金属酸化物が挙げられる。具体的にはスズをドープされた酸化インジウム(ITO)、フッ素をドープされた酸化スズ、インジウムをドープされた酸化亜鉛、フッ素をドープされた酸化亜鉛、アルミニウムをドープされた酸化亜鉛、スズをドープされた酸化亜鉛が挙げられる。複数種類のドープされた金属酸化物を透明導電性金属酸化物として用いて層(A)を形成してもよい。
層(A)はスズをドープされた酸化インジウムを主成分とする透明導電性金属酸化物からなることが好ましく、スズをドープされた酸化インジウムからなることがより好ましい。理由は、ドープされた酸化インジウムでは最も低い抵抗が得られるからである。ここで「主成分」とは、透明導電性金属酸化物からなる層(A)の全質量に対するドープされた酸化インジウムの含有率が50質量%以上であることを意味する。
【0015】
層(A)の厚さは特に限定されない。例えば10〜600nmであってよく、10〜100nmであることが好ましく、10〜50nmであることがより好ましい。層(A)は雰囲気からの酸素の混入によって熱処理中に酸化されるが、このような厚さであると、層の深さ方向で酸化の程度に不均一が生じないという効果を奏するからである。
【0016】
層(A)の厚さは、本明細書中では、触針法により測定した測定値を意味するものとする。後述する層(B)、層(C)の場合も同様とする。
【0017】
層(A)は複数の層からなっていてもよい。複数の層における各層が異なる透明導電性金属酸化物からなっていてもよい。層(A)が複数の層からなる場合における層(A)の厚さは、それらの層の合計の厚さを意味するものとする。
後述する層(B)および層(C)も同様である。
【0018】
コーティング工程では、このような層(A)をガラス基板上に形成する。
その方法は特に限定されない。例えば物理的蒸着法(真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法)、化学的蒸着法(熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法)、イオンビームスパッタリング法が挙げられる。このような中でもスパッタリング法が、大面積にわたり膜厚が均一で、シート抵抗値が均一な膜を作製できる点から好ましい。
例えばスパッタリング法によって層(A)を形成する場合、透明導電性金属酸化物のターゲットを用い、通常の処理条件で層(A)を形成することができる。スパッタガス種、反応温度、反応時間を調整することで厚さを調整することができる。
【0019】
なお、層(A)はガラス基板上に形成される層であればよく、ガラス基板の主面の表面に形成される層であることが好ましい。つまり、ガラス基板と層(A)との間に他の層が存在していてもよい。他の層としては例えばSiOからなる層が挙げられる。
【0020】
次に層(B)について説明する。
層(B)は層(A)の表面に形成される層である。つまり層(A)と層(B)とは接触しており、層(B)は層(A)の表面の少なくとも一部を覆っている。層(B)は後述する熱処理工程の時に、層(A)が酸化されるのを防止または抑制し、かつ層(A)を還元するものと考えられる。その結果、本発明の製造方法によって得られる透明導電ガラス基板は、酸素存在雰囲気下で熱処理した後であるにも関わらず、層(B)を有さず層(C)のみを有するもの(例えば特許文献1、2に記載のもの)と比較して、抵抗値が低下し、熱線反射性および電磁波シールド性が向上すると考えられる。
【0021】
層(B)は金属および/または金属窒化物からなる層である。
層(B)において金属および金属窒化物は、上記のような役割、すなわち、熱処理工程の時に層(A)が酸化されるのを防止または抑制し、かつ層(A)に含まれる酸素原子を奪う役割を果たすことができる金属または金属窒化物であれば特に限定されない。
【0022】
金属は、Si、Sn、Zn、Ti、Al、CrおよびNiCrからなる群から選ばれる少なくとも一つからなることが好ましい。熱処理工程の時に層(A)が酸化されるのを防止または抑制する効果が大であるからである。ここでNiCrとは、NiとCrを主成分とする合金であって、NiとCrの合計に対するNiの割合が10〜80質量%であるものが好ましい。
金属窒化物は、TiNおよび/またはSiNからなることが好ましい。本明細書中では、TiN、SiNはそれぞれ窒化チタン、窒化珪素を意味する。TiN、SiNの化学両論的組成比はそれぞれTi:N=1:1、Si:N=3:4であるが、本明細書中では、これからずれのある所謂非化学両論的組成を有するものも含めて言う。TiN、SiNは、酸素存在雰囲気下で熱処理をおこなうとこれら自身は酸化されるが、その一方、酸化物の層(A)が酸化されるのを防止または抑制する効果が大であるため、好ましい。
【0023】
層(B)は、Si、Sn、Zn、Ti、Al、Cr、NiCr、TiNおよびSiNからなる群から選ばれる少なくとも一つからなることが好ましい。Si、Sn、Zn、TiNおよびSiNからなる群から選ばれる少なくとも一つからなると、これらが熱処理中に層(A)が酸化して抵抗値が増加するのをより効果的に防止または抑制できるので、より好ましい。Si、SnおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも一つからなると、層(A)の熱処理中の酸化を効果的に防止または抑制するとともに、良好な耐擦傷性が得られて、さらに好ましい。SnまたはZnからなることが特に好ましい。
【0024】
層(B)の厚さは特に限定されない。ただし、後述する熱処理工程に供した後に、層(B)が実質的に透明となる厚さであることが好ましい。厚すぎると実質的に透明とはならないおそれがある。「実質的に透明」とは、層(B)による可視光線の吸収率が30%以下であることを意味する。また、層(B)が厚すぎると、熱処理前のコーティング付きガラス基板の耐擦傷性が低下するおそれがある。
【0025】
層(B)の厚さは0.25〜10nmであることが好ましい。また、層(B)がSi、Sn、Zn、Ti、Al、Cr、NiCr、TiNおよびSiNからなる群から選ばれる少なくとも一つからなる場合は、厚さは0.3〜7.5nmであることが好ましく、0.5〜5nmであることがより好ましい。理由は、厚くなると抵抗が増加する傾向を示すからである。
【0026】
層(B)がSi、Sn、Zn、AlおよびSiNからなる群から選ばれる少なくとも一つからなる場合は、熱処理後に低い比抵抗と低い可視光に対する吸収をともに得やすく好ましい。その場合、層(B)の厚さは0.3〜7.5nmであることが好ましく、0.5〜5nmであることがより好ましい。理由は、厚くなると比抵抗と可視光に対する吸収が増加する傾向を示すからである。
【0027】
層(B)がSiからなる場合は、厚さは、0.3〜7.5nmであることが好ましく、0.3〜3nmであることがより好ましく、0.5〜2nmであることがさらに好ましい。このような厚さであると、シート抵抗値がより低く、電磁波シールド性がより高く、さらに耐擦傷性に優れる透明導電ガラス基板を得ることができるからである。
【0028】
層(B)がSnまたはZnからなる場合は、厚さは、0.3〜7.5nmであることがより好ましく、0.5〜5nmであることがさらに好ましい。このような厚さであると、シート抵抗値がより低くて電磁波シールド性がより高く、可視光線に対する吸収が低く、さらに耐擦傷性に優れる透明導電ガラス基板を得ることができるからである。
【0029】
層(B)がTiからなる場合は、厚さは、0.3〜5nmであることが好ましく、0.3〜3nmであることがより好ましく、0.5〜2.5nmであることがさらに好ましい。このような厚さであると、シート抵抗値がより低く、電磁波シールド性がより高く、さらに耐擦傷性に優れる透明導電ガラス基板を得ることができるからである。
【0030】
層(B)がAlからなる場合は、厚さは、0.3〜7.5nmであることが好ましく、0.3〜3nmであることがより好ましく、0.5〜2.5nmであることがさらに好ましい。このような厚さであると、シート抵抗値がより低くて電磁波シールド性がより高く、可視光線に対する吸収が低く、さらに耐擦傷性に優れる透明導電ガラス基板を得ることができるからである。
【0031】
層(B)がCrからなる場合は、厚さは、0.25〜5nmであることが好ましく、0.3〜3nmであることがより好ましく、0.5〜2.5nmであることがさらに好ましい。このような厚さであると、シート抵抗値がより低く、電磁波シールド性がより高く、さらに耐擦傷性に優れる透明導電ガラス基板を得ることができるからである。
【0032】
層(B)がNiCrからなる場合は、厚さは、0.25〜5nmであることが好ましく、0.5〜5nmであることがより好ましく、0.5〜3nmであることがさらに好ましい。このような厚さであると、シート抵抗値がより低く、電磁波シールド性がより高く、さらに耐擦傷性に優れる透明導電ガラス基板を得ることができるからである。
【0033】
層(B)がTiNからなる場合は、厚さは、0.5〜5nmであることが好ましく、0.3〜3nmであることがより好ましく、0.5〜2.5nmであることがさらに好ましい。このような厚さであると、シート抵抗値がより低く、電磁波シールド性がより高く、さらに耐擦傷性に優れる透明導電ガラス基板を得ることができるからである。
【0034】
層(B)がSiNからなる場合は、厚さは、0.3〜7.5nmであることが好ましく、0.3〜5nmであることがより好ましく、0.5〜3nmであることがさらに好ましい。このような厚さであると、シート抵抗値がより低く、電磁波シールド性がより高く、さらに耐擦傷性に優れる透明導電ガラス基板を得ることができるからである。
【0035】
層(B)は上記のように層(A)の場合と同様の方法で層(A)の表面の少なくとも一部を覆うように形成できる層であるが、層(A)の一方主面の全てを覆うように形成することが好ましい。後述する熱処理工程における層(A)の酸化をより抑制することができるからである。
【0036】
コーティング工程では、このような層(B)を、層(A)の表面上に形成する。
その方法は層(A)の形成方法と同様であってよい。すなわち、例えばスパッタリング法等の物理的蒸着法、化学的蒸着法等であってよい。このような中でも、大面積基板であっても層(B)の厚さを均一に形成できて、その結果、層(A)の面内での酸化の程度が均一になって均一なシート抵抗の分布が実現できるという観点から、スパッタリング法が好ましい。
【0037】
次に層(C)について説明する。
層(C)は、金属酸化物からなる層である。
金属酸化物は、層(B)の上側に透明な層を形成できる金属酸化物であって、後述する熱処理工程に供したときに層(A)を酸化から保護することができる金属酸化物であれば特に限定されない。
金属酸化物としては、例えば、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化アルミニウムが挙げられる。このような中でも、非晶質で酸素を透過させにくく、高い可視光透過率を得やすく、さらに安価である点から、二酸化珪素が好ましい。
【0038】
層(C)の厚さは特に限定されない。例えば10nm以上であってよく、10〜500nmであることが好ましく、20〜100nmであることがより好ましく、30〜50nmであることがさらに好ましい。このような厚さであると、熱処理中に酸素が拡散して層(A)が酸化されるのを充分に抑制するという効果を奏するからである。
【0039】
層(C)は層(B)の上側に形成される層であればよい。
【0040】
コーティング工程では、このような層(C)を、層(B)の上側に形成する。
その方法は層(A)および層(B)の形成方法と同様であってよい。
【0041】
本発明の製造方法では、このような層(A)、層(B)および層(C)をこの順でガラス基板の主面上の少なくとも一部に形成する。当該主面の全面に形成することが好ましい。
【0042】
本発明の製造方法で用いるガラス基板は特に限定されない。例えば通常、窓用ガラス基板として用いられているガラス基板を用いることができる。例えばソーダライムガラス基板、石英ガラス基板、ホウ珪酸ガラス基板、無アルカリガラス基板が挙げられる。鉄などの金属イオンを含む着色ガラスを用いても良い。
ガラス基板の厚さも特に限定されない。例えば0.5〜25mmであってよく、0.5〜20mmであることが好ましく、0.5〜10mmであることがより好ましい。
また、ガラス基板の大きさ、形状等も特に限定されない。ただし曲面状ではなく、平面状のものであることが好ましい。層(A)、層(B)および層(C)の形成が容易になるからである。
また、ガラス基板の製造方法も特に限定されない。例えば従来公知の方法で製造することできる。例えば従来公知のガラス原料を溶解し溶融ガラスとした後、フロート法、フュージョン法、ダウンドロー法、スロットダウン法、リドロー法等によって板状に成形して得ることができる。
【0043】
本発明の製造方法はこのようなコーティング工程を具備する。
コーティング工程によって、前記ガラス基板上に前記層(A)、前記層(B)および前記層(C)をこの順で有するコーティング付きガラス基板を得ることができる。
【0044】
次に、本発明の製造方法が具備する熱処理工程について説明する。
熱処理工程は、前記コーティング付きガラス基板を、550〜750℃の大気中で1〜30分間熱処理する工程である。ここで熱処理工程に供するコーティング付きガラス基板は、前記コーティング工程で得られたコーティング付きガラス基板に、さらに別の処理を施した後のものであってもよい。例えば前記コーティング付きガラス基板にさらに別の層を形成したものや、何らかの処理を施したものであってもよい。このような場合でも本発明の範囲内である。
【0045】
熱処理温度は550〜750℃であるが、600〜750℃であることが好ましく、600〜720℃であることがより好ましい。このような温度であると強化を十分な信頼性を持って行うことができるという効果を奏する。
【0046】
熱処理時間は1〜30分間であるが、特に限定されない。
【0047】
熱処理工程における熱処理方法は特に限定されない。例えば大気中に設置した加熱炉でコーティング付きガラス基板を加熱する方法が挙げられる。すなわち、熱処理工程では、気密な構造の加熱炉を用いて、例えば酸化性ガスを含まない不活性ガス雰囲気や真空雰囲気などに制御された雰囲気下で熱処理をおこなわなくてもよい。それにより、簡単な構造の加熱炉を用いることができて好ましい。
【0048】
前記コーティング付きガラス基板をこのような熱処理工程に供すると、層(B)は層(A)が酸化されるのを防止または抑制し、かつ層(A)を還元するものと考えられる。その結果、本発明の製造方法によって得られる透明導電ガラス基板は、酸素存在雰囲気下で熱処理した後であるにも関わらず、層(B)を有さず層(C)のみを有するもの(例えば特許文献1、2に記載のもの)を熱処理した場合と比較して、抵抗値が低下し熱線反射性および電磁波シールド性が向上する。層(A)の抵抗値は酸化度に影響され、酸化度が高すぎても低すぎても抵抗値は高まる。すなわち、好ましい酸化度が存在する。本発明の製造方法において層(A)は、大気中の酸素によっては酸化され、層(B)によっては還元されることで、酸化度がより好ましい程度に調整され、抵抗が低くなり熱線反射性および電磁波シールド性が向上するものと、本発明者は推定している。
【0049】
本発明の製造方法は、上記のようなコーティング工程と熱処理工程とを具備する。
【0050】
このような本発明の製造方法によって得られる透明導電ガラス基板は低抵抗であり、その比抵抗は7.5×10−4Ωcm以下であり、5.0×10−4Ωcm以下であることが好ましい。よって、熱線反射性および電磁波シールド性が高く、耐擦傷性に優れるものである。
【0051】
コーティング付きガラス基板に上述したような熱処理を施す際に、同時に、曲げ加工して曲面(例えば自動車用窓ガラスに要求される曲面)を付与することができる。また、コーティング付きガラス基板にこのような所定の熱処理を施すことでコーティング付きガラス基板に対して強化加工することができる。さらにまた、曲げ加工と強化加工の両方を施すこともできる。かかる曲げ加工や強化加工を施すための具体的な方法は特に限定されず、従来公知の方法であってよい。
【0052】
熱処理温度は550〜750℃であるが、600〜750℃であることが好ましく、600〜720℃であることがより好ましい。このような温度であると、基板ガラスの曲げおよび/または強化を、十分な信頼性を持って行うことができるという効果を奏する。
【0053】
熱処理時間は1〜30分間であるが、特に限定されない。
【0054】
本発明の製造方法は、前記コーティング工程と前記熱処理工程とを具備すれば、他の工程を具備してもよい。例えばコーティング工程の前、コーティング工程と熱処理工程との間、あるいは熱処理工程の後に、基板洗浄などの他の工程を有してもよい。
【0055】
次に、本発明のガラス基板について説明する。
本発明のガラス基板は、前記ガラス基板上に前記層(A)、層(B’)および前記層(C)をこの順で有している。
本発明のガラス基板におけるガラス基板、層(A)および層(C)は、本発明の製造方法で用いたガラス基板ならびに前記コーティング工程によってガラス基板上に形成した層(A)および層(C)と同様のものである。また、この層(A)および層(C)は、前記熱処理工程における熱処理を施すことによっては原則変化しないので、本発明の製造方法で得られる透明導電ガラス基板における層(A)および層(C)と同様ともいえる。
ガラス基板、層(A)および層(C)の各々における好ましい態様(材料種、厚さ等)についても同様である。
【0056】
層(B’)について説明する。
層(B’)は、前記層(B)を550〜750℃の大気中で1〜30分間熱処理されてなる層である。すなわち、前記層(B)に前記熱処理工程における熱処理と同様の熱処理を施してなる層である。
前記層(B)にこのような熱処理を施すと層(B)は酸化され、層(B’)となる。ただし、完全には酸化されていない。したがって、例えば、層(B)がSiからなる層であり、層(C)がSiOからなる層である場合であっても、熱処理された後の層(B’)は酸化珪素ではあるもののSiO2−X(X>0)で表されるものとなっており、層(C)とは区別される。例えば本発明のガラス基板の断面のTEM写真は、層(B’)と層(C)とはコントラストが異なり、別の物質から形成されていることを確認することができる。すなわち珪素に対する酸素の珪素原子数比が2より小さい酸化物である考えられる。
【0057】
本発明のガラス基板の層(B’)は、本発明の製造方法の熱処理工程における熱処理と同様の熱処理を前記層(B)に施してなる層であり、層(A)および層(C)は、本発明の製造方法によって得られる透明導電ガラス基板における層(A)および層(C)と同様であるので、本発明のガラス基板は、本発明の製造方法によって得られる透明導電ガラス基板と同一である。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
<層(B)の有無によるシート抵抗値の比較試験>
(実施例1)
ガラス基板として、厚さが2.0mmのソーダライムガラス(旭硝子株式会社製、FL2、可視光線透過率91.2%)を用意し、このガラス基板を洗浄後、基板ホルダーにセットした。
次に、InとSnOとの総量に対してSnO含有量が10質量%である複合酸化物焼結体ターゲット(以下、「ITO複合酸化物焼結体ターゲット」ともいう。)および金属Siターゲット(Si含有量は99.99質量%)を直流マグネトロンスパッタを行うカソードに取り付けた。また、多結晶シリコンターゲットを間欠直流マグネトロンスパッタを行うカソードに取り付けた。
【0060】
次に、成膜室内を真空に排気した後、直流マグネトロンスパッタ法により、ITO複合酸化物焼結体ターゲットを用いて、厚さが25nmのITO層(層(A))をガラス基板上に形成した。ここでスパッタガスとしてアルゴンのみを用い、スパッタ時の圧力は0.4Paとした。成膜されたITO層の組成はターゲットと同等であった。
次に直流マグネトロンスパッタ法で、Bドープ多結晶シリコンターゲットを用いて厚さが1nmのSi層(層(B))をITO層上に形成した。スパッタガスの種類およびスパッタ時の圧力は、ITO層形成の場合と同様とした。
次に間欠直流マグネトロンスパッタ法で、Si層の上にBドープ多結晶シリコンターゲットを用いて厚さが50nmの二酸化珪素層(層(C))を形成した。間欠周期はON時間を30μs、OFF時間を10μsとした。ここでスパッタガスとして酸素を用いた。スパッタ時の圧力はITO層形成の場合と同様とした。
なお、いずれの層の成膜時にも、ガラス基板の加熱は行わなかった。
このようなコーティング工程によって、コーティング付きガラス基板[α1]を得た。
【0061】
次に、コーティング付きガラス基板[α1]をベルト炉で大気中650℃、2分間熱処理する熱処理工程を施した。そして、その後、放冷し、透明導電ガラス基板[β1]を得た。
【0062】
(実施例2)
実施例1において1nmとしたSi層(層(B))の厚さを2nmとし、それ以外は全て実施例1の場合と同様としたコーティング工程により、コーティング付きガラス基板[α2]を得た。そして、実施例1と同様の熱処理工程を施し、透明導電ガラス基板[β2]を得た。
【0063】
(比較例1)
実施例1において形成したSi層(層(B))を形成しないこと以外は全て実施例1の場合と同様としたコーティング工程により、コーティング付きガラス基板[α0−1]を得た。そして、実施例1と同様の熱処理工程を施し、透明導電ガラス基板[β0−1]を得た。
【0064】
(実施例3)
実施例1においてITO層形成時にスパッタガスとして用いたアルゴンを、アルゴン/酸素混合気体(アルゴン:酸素=99:1(流量比))としたこと以外は、全て実施例1の場合と同様としたコーティング工程により、コーティング付きガラス基板[α3]を得た。そして、実施例1と同様の熱処理工程を施し、透明導電ガラス基板[β3]を得た。
【0065】
(実施例4)
実施例2においてITO層形成時にスパッタガスとして用いたアルゴンを、アルゴン/酸素混合気体(アルゴン:酸素=99:1(流量比))としたこと以外は、全て実施例2の場合と同様としたコーティング工程により、コーティング付きガラス基板[α4]を得た。そして、実施例2と同様の熱処理工程を施し、透明導電ガラス基板[β4]を得た。
【0066】
(比較例2)
比較例1においてITO層形成時にスパッタガスとして用いたアルゴンを、アルゴン/酸素混合気体(アルゴン:酸素=99:1(流量比))としたこと以外は、全て比較例1の場合と同様としたコーティング工程により、コーティング付きガラス基板[α0−2]を得た。そして、実施例1と同様の熱処理工程を施し、透明導電ガラス基板[β0−2]を得た。
【0067】
このようにして得た実施例1〜4、比較例1、2の、熱処理前のコーティング付きガラス基板[α1]、[α2]、[α3]、[α4]、[α0−1]、[α0−2]および熱処理後の透明導電ガラス基板[β1]、[β2]、[β3]、[β4]、[β0−1]、[β0−2]のシート抵抗値を測定した。測定方法はvan der Pauwの4端子法である(以下、シート抵抗値の測定方法は同様である。)。
測定結果を第1表に示す。
第1表より、透明導電ガラス基板[β0−1]、[β0−2]のシート抵抗値よりも、Si層(層(B))を有する透明導電ガラス基板[β1]、[β2]、[β3]および[β4]のシート抵抗値が低くなることを確認した。
【0068】
【表1】

【0069】
<層(C)の厚さを変更した場合のシート抵抗値>
(実施例5)
実施例1において50nmとした二酸化珪素層(層(C))の厚さを30nmとし、1nmとしたSi層(層(B))の厚さを0.5nmとして、それ以外は全て実施例1の場合と同様としたコーティング工程により、コーティング付きガラス基板[α5]を得た。そして、実施例1と同様の熱処理工程を施し、透明導電ガラス基板[β5]を得た。
【0070】
(実施例6)
実施例1において50nmとした二酸化珪素層(層(C))の厚さを30nmとし、それ以外は全て実施例1の場合と同様としたコーティング工程により、コーティング付きガラス基板[α6]を得た。そして、実施例1と同様の熱処理工程を施し、透明導電ガラス基板[β6]を得た。
【0071】
(実施例7)
実施例1において50nmとした二酸化珪素層(層(C))の厚さを30nmとし、1nmとしたSi層(層(B))の厚さを2nmとして、それ以外は全て実施例1の場合と同様としたコーティング工程により、コーティング付きガラス基板[α7]を得た。そして、実施例2と同様の熱処理工程を施し、透明導電ガラス基板[β7]を得た。
【0072】
このようにして得た熱処理前のコーティング付きガラス基板[α5]、[α6]および[α7]、熱処理後の透明導電ガラス基板[β5]、[β6]および[β7]のシート抵抗値を測定した。
測定結果を第2表に示す。
第2表より、透明導電ガラス基板[β5]、[β6]および[β7]のシート抵抗値は[β0−1]よりも低くなり、透明導電ガラス基板[β1]および[β2]と同程度となることを確認した。
【0073】
【表2】

【0074】
<層(C)の厚さとシート抵抗値との関係>
(実施例8)
実施例1において50nmとした二酸化珪素層(層(C))の厚さを10nmとし、それ以外は全て実施例1の場合と同様としたコーティング工程により、コーティング付きガラス基板[α8]を得た。そして、実施例1と同様の熱処理工程を施し、透明導電ガラス基板[β8]を得た。
【0075】
(実施例9)
実施例1において50nmとした二酸化珪素層(層(C))の厚さを20nmとし、それ以外は全て実施例1の場合と同様としたコーティング工程により、コーティング付きガラス基板[α9]を得た。そして、実施例1と同様の熱処理工程を施し、透明導電ガラス基板[β9]を得た。
【0076】
このようにして得たコーティング付きガラス基板[α8]および[α9]ならびに[α6]、透明導電ガラス基板[β8]および[β9]ならびに[β6]のシート抵抗値を測定した。
測定結果を第3表に示す。
第3表より、透明導電ガラス基板[β8]および[β9]ならびに[β6]のシート抵抗値は[β0−1]よりも低くなり、透明導電ガラス基板[β1]および[β2]と同程度となることを確認した。
【0077】
【表3】

【0078】
<層(B)の種類とシート抵抗値との関係>
実施例1においては層(B)としてSi層を形成したが、その代わりにSn、Zn、Ti、Al、Cr、NiCr、TiNまたはSiNを用いて層(B)を形成した。各種の層(B)の形成方法を第4表に示す。第4表には、層(A)および層(C)としてITO層およびSiO層を形成する際の条件もあわせて示す。
また、各々の元素で層(B)を形成する際に厚さも変化させた。そして、各々の場合のシート抵抗値を測定した。また、各々の可視光透過率も測定した。可視光透過率は、旭分光株式会社製304型透過率計で求めた値である。さらに各々の付着力試験も行った。付着力試験は、キムワイプにエタノールを30cc含ませ手で擦るという方法で行った。
結果を第5表に示す。
第5表中には、付着力試験の結果を1〜5の数字で示した。「5」は「膜が剥がれない」、「3」は「膜が一部剥がれる」、「1」は「膜が簡単に剥がれる」ということを示す。また、「4」は「5」と「3」との中間、「2」は「3」と「1」との中間であることを示す。
【0079】
【表4】

【0080】
【表5】

【0081】
第5表より、Si、Sn、Zn、Ti、Al、Cr、NiCr、TiNまたはSiNからなる層(B)を有する透明導電ガラス基板は、シート抵抗値が低く、付着力も高いこと(耐擦傷性が高いこと)がわかる。また、層(B)としてSi、Sn、Zn、Al、SiNからなる層を用いた場合、積層条件を選ぶことにより87%以上の可視光線透過率すなわち可視光線に対する吸収が低い積層体が得られており、さらに3.0×10−3Ωcm以下と特に低い比抵抗と両立できることがわかる。
【0082】
<断面観察>
実施例1において1nmとしたSi層(層(B))の厚さを3nmとし、それ以外は全て実施例1の場合と同様としたコーティング工程および熱処理工程を施し、透明導電ガラス基板[β10]を得た。
そして、β10および比較例1で得た透明導電ガラス基板β0−1の断面写真をTEMによって得た。
[β10]の場合、ITO層と二酸化珪素層との間に、二酸化珪素層とはコントラストが異なる珪素の酸化物からなる層が存在することを確認した。そして、その厚さを測定すると、1nmのSi層におけるSi原子の全てがSiOに変化した場合の理論上の厚さである6.9nmよりも、やや薄いものとなっていることがわかった。すなわち、この層がSiO2−X(X>0)で表されるものとなっていることを確認した。
これ対して[β0−1]の断面写真には、ITO層および二酸化珪素層があるのみで、ITO層と二酸化珪素層との間にはなんらの層も存在せず、二酸化珪素層は均一なコントラストとなっていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板上に、
透明導電性金属酸化物からなる層(A)、
金属および/または金属窒化物からなる厚さ0.25〜10nmの層(B)および
金属酸化物からなる厚さ10nm以上の層(C)
をこの順で形成してコーティング付きガラス基板を得るコーティング工程と、
前記コーティング付きガラス基板を、550〜750℃の大気中で1〜30分間熱処理する熱処理工程とを具備する、透明導電ガラス基板の製造方法。
【請求項2】
前記層(B)が、Si、Sn、Zn、Ti、Al、Cr、NiCr、TiNおよびSiNからなる群から選ばれる少なくとも一つからなる、請求項1に記載の透明導電ガラス基板の製造方法。
【請求項3】
前記層(B)が、Si、Sn、Zn、AlおよびSiNからなる群から選ばれる少なくとも一つからなる厚さが0.3〜7.5nmの層である、請求項1または2に記載の透明導電ガラス基板の製造方法。
【請求項4】
前記層(A)が、ドープされた酸化インジウムを主成分とする、請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電ガラス基板の製造方法。
【請求項5】
ガラス基板上に、
透明導電性金属酸化物からなる層(A)、
金属および/または金属窒化物からなる厚さ0.25〜10nmの層(B)が550〜750℃の大気中で1〜30分間熱処理されてなる層(B’)および
金属酸化物からなる厚さ10nm以上の層(C)
をこの順で有している、透明導電ガラス基板。
【請求項6】
前記層(B)が、Si、Sn、Zn、Ti、Al、CrおよびNiCrからなる群から選ばれる少なくとも一つからなる厚さが0.5〜5nmの層、またはTiNおよびSiNからなる群から選ばれる少なくとも一つからなる厚さが1〜10nmの層である、請求項5に記載の透明導電ガラス基板。
【請求項7】
前記層(A)が、ドープされた酸化インジウムを主成分とする、請求項5または6に記載の透明導電ガラス基板。

【公開番号】特開2009−242128(P2009−242128A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87667(P2008−87667)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】