説明

透明導電回路基板及びその製造方法

【課題】透明導電回路の均一度と解像度を高めると共に、生産スピードが高速で、生産コストを抑えることができる透明導電回路基板及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】基板10と、基板10表面の導電不要区域に付着され、導電性ポリマー液を吸着する特性を具えた透明インク層20と、インク層20及びインクで覆われていない基板10表面の導電性を具備させる必要がある区域を被覆する、導電性ポリマーコーティングから構成される導電層30とを含み、導電性ポリマーコーティングが真性(intrinsic)導電性ポリマーを含有し、導電層30のインク層20に積層された区域の電気抵抗値を高めて非導電区域301を形成し、導電層30のインク層20に積層されていない区域に、導電性を具備する導電回路11が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電回路基板及びその製造方法、特に、基板表面上に付着されたインク層によりその接触する導電層の電気抵抗値を非導電性まで高め、相対して透明基板表面上のインク層が導電層に接触していない区域を導電性とすることで、透明基板上に必要な導電回路とパターンを形成することができる透明導電回路基板、及び、極性溶液の特性を備えた除去液で、インク層及びインク層と接触している導電層を除去し、基板上のインク層と接触していない区域の導電層に導電回路またはパターンを形成させる、透明導電回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性ポリマーは、材料そのものが導電性を備え、溶液プロセスを使用して透明性を備えた導電膜を製造することができ、一般的なITO(酸化インジウムスズ)膜など金属酸化物で製造される透明導電膜と比べ、導電性ポリマーは材料コストと製造コストが比較的低い等の優位性がある。
しかし、標準的な導電性ポリマー溶液の粘度は、導電性ポリマー溶液の安定性が低下するため固形分が高過ぎてはならず、溶液の粘度が低いため、必要な特定の導電回路とパターンの形成に適さない。
導電性ポリマー溶液の配合組成を変えてより高粘度にしようとすると、透光性、導電性、耐水性、耐気候性等の特性が犠牲となるため、関連産業では低粘度の導電性ポリマー溶液を使用して透明の導電回路とパターンを形成する構造と方法に対して切迫した必要性がある。
【0003】
現在、導電性ポリマー溶液を使用して透明の導電回路とパターンを形成する技術としては、レーザーを使用してパターンの加工と製作を行うレーザー加工法があるが、実際上はレーザー設備を使用するコストが高く、速度が遅いため、工業上の量産ニーズを満たすことができない。
また、マスク(Mask)等の材料を使用して残したい導電回路とパターンを保護し、プラズマを使用して不要な導電性ポリマー区域をエッチング方式で除去し、透明の導電回路とパターンのみを残すプラズマエッチング法もあるが、この方法はプラズマ設備使用のコスト高く、エッチング速度が遅いため、同様に工業上の実際の量産ニーズを満たせない。
【0004】
このほか、インクジェット法もある。これはピエゾ式(Piezo)またはサーマルバブル式(Thermo-bubble)を使用して導電性ポリマー溶液をインクジェットヘッド(Print Head)により水滴状に基板表面に噴射し、導電性を有する回路またはパターンを大量のドットから形成するものであるが、この方法はインクジェットの速度が遅く、インクジェットヘッドが詰まり易いという欠点があるだけでなく、形成する導電回路またはパターンの品質の均一性、辺縁線のドットの平坦性、ドット分布状況等の問題もあり、工業上の実際の量産速度と品質の要求を満たす製品を製造することが容易でない。
【0005】
さらに、特許文献1には、感光触媒と表面張力の差異を利用して必要な機能性回路とパターンを形成する方法を開示しているが、この方法を使用して形成した機能性回路とパターンは均一性を制御することが難しく、且つその使用する形成原理に機能性コーティングの表面張力、液体粘度等の制限が多いため、機能性コーティングの組成と物性が制限され、工業上の要求を満たす導電回路とパターンを生産することが容易でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7749684B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、透明導電回路を形成する導電性ポリマーに対して組成の柔軟性を高め、形成する透明導電回路の均一度と解像度を高めると共に、生産スピードが高速で、生産コストを抑えることができる透明導電回路基板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の透明導電回路基板は、基板と、導電性ポリマー液体を吸着する特性を具えたインク層と、導電性ポリマーコーティングから構成される導電層を備え、前記インク層が前記基板表面に導電回路となる区域を除いて付着され、かつ熱エネルギーまたは放射線のいずれかにより前記インク層の乾燥と硬化を加速させ、前記インク層より大きい面積の前記導電層で前記インク層と前記インクで覆われていない基板の表面が被覆され、前記導電層のインク層表面に積層されていない区域が導電性を具え、これにより基板上に必要な導電回路またはパターンを形成する。
【0009】
導電層上に極性溶剤の特性を具えた除去液を用いることができ、前記除去液は水(HO)及びエタノール(COH)等を含む極性溶剤であり、前記溶剤によりインク層及び前記インク層の表面に積層されている導電層を除去し、インク層上に積層されず、基板上に直接積層された導電層の区域に導電性を具えた回路またはパターンを形成させる。 インク層と導電層とを接触することによって化学的作用を生じさせ、インク層表面に積層された導電層の電気抵抗を大幅に高め、局部的に導電層の導電性を変化させ、前記インク層上に積層された導電層の区域に非導電性区域を形成させることができる。
【0010】
本発明の透明導電回路の製造方法は、次の工程を含む。
a)導電性ポリマー液体を吸着する特性を具え、かつ固化後に極性溶剤より成る除去液を用いて除去可能なインク層を基板表面のあらかじめ定めた導電性が不要な区域に付着させる工程と、
b)前記インク層に熱エネルギーまたは放射線のいずれか1つの方式を用いて固化を加速する工程と、
c)導電性ポリマーコーティングで構成される導電層で、インク層表面と前記基板上のあらかじめ定めた導電性を具備させる必要がある区域を被覆して固化する工程。
また、c)工程に続いて、
d)極性溶液の特性を具えた除去液で、インク層及びインク層と接触している導電層を物理的に除去し、基板表面にインク層と接触していない導電層を残して、導電性の導電回路を形成する工程を実施することもある。
【0011】
前述の極性溶剤の特性を具えた除去液は、導電層の導電性をインク層の溶解と剥離除去後に低下させない溶液である。
前述の透明導電回路基板及びその製造方法では、前記インク層にUV硬化型インク層等の放射線硬化型インクを使用し、放射線の照射によりインクの乾燥及び硬化を加速することができる。前記放射線は紫外線、可視光、電子線のいずれかとする。
透明導電回路基板の製造方法は、前記インク層が、現像または平版印刷、スクリーン印刷によって形成され、かつ熱エネルギーまたは放射線照射のいずれかを用いてインク層を硬化させる。前記放射線は紫外線、可視光、電子線のいずれかであり、前記熱エネルギーは熱風または赤外線のいずれかとする。
【0012】
前記基板は、透明のPET、PC、PEN、PI、アクリル、COC、コーティング層またはガラスのいずれか1つより成る。
前記導電層が界面活性剤及び少なくとも1つのバインダ(binder)を含有し、前記界面活性剤がさらにUV吸収剤または光安定剤のうち少なくとも1つを含有する。前記バインダはさらにPU、ポリエステル、アクリルのいずれかを含有する。
【0013】
前記真性(intrinsic)導電性ポリマーは少なくともポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)[Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)、PEDOT]、ポリピロール(Pyrrols)のいずれかの導電性ポリマーを含む。
前記導電層の導電性ポリマーが「ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)」[Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)、PEDOT]であるとき、さらにPSS(polystyenesulfonate)のような少なくとも1つのポリ酸(polyacid)を含む。前記導電性ポリマー層がさらにシラン(silane)を含むこともある。かつ、透明基板の表面上の導電層の電気抵抗値(Resistivity)は2000Ω/squareより低く、導電層の可視光(380nm〜750nm)の透過率は65%以上である。
【0014】
前記導電層は、ワイヤバー(Wire Bar Method)、ロールコーティング(Roller Coatng Method)、スロットダイコーティング(Slot Die Coating)、スクリーン印刷(Screen Printing)、スピンコーティング(Spin Coating Method)、ギャップコーティング(Knife Over Coating“Gap Coating”)、スプレー(Spray)のいずれか1つの方式を使用して形成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の透明導電回路基板及びその製造方法によれば、従来のような複雑で汚染性のある化学エッチング法(Chemical Etch Method)を使用する必要がなく、設備コストが高いレーザー成形法とプラズマエッチング法を使用して導電回路とパターンを形成するよりも高速で、光触媒を使用した表面張力差での回路とパターン形成方式よりも高い品質と信頼性を具え、さらにインクジェットを使用した方式よりも、高速で均一性が高く、高品質である。
また、低粘度水性導電性ポリマーコーティングなどの低粘度機能性コーティングを使用し、微細化した透明導電回路とパターンを形成でき、従来の酸化インジウムスズ(ITO)等のコストが高い透明導電酸化物薄膜とエッチングの製造方式を置き換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1を示す透明導電回路基板の斜視図である。
【図2】本発明の実施例1を示す透明導電回路基板の断面図である。
【図3】本発明の実施例2を示す透明導電回路基板の断面図である。
【図4】本発明の透明導電回路基板の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1及び図2に示すように、実施例1に係る透明導電回路基板は、基板10、インク層20、導電層30を含む。
基板10は、透明なPET、PC、PEN、PI、アクリル、コーティング層、COCまたはガラスのいずれかより成る。
インク層20は、導電性ポリマー液体を吸着する特性を具え、固化後に水(HO)、エタノール(COH)等を含む極性有機溶剤によって溶解または膨潤(swell)可能なインクによって形成される。
また、インク層20は、基板10表面に付着されてその間に必要な導電回路11、即ちあらかじめ定めた導電が必要な区域を形成する。インク層20は極性溶剤で溶解可能な透明インク層20であり、インク層20を形成するには、平版印刷、スクリーン印刷のいずれかによる。さらに、熱エネルギーH(熱風または赤外線を含む)または放射線Lでインク層20の乾燥と硬化を加速させ、透明基板10表面に付着させることができる。放射線Lは紫外線、可視光、電子線のいずれかとする。
【0019】
導電層30は、基本的にインク層20より大きい面積であり、全体がインク層20表面とインク層20が付着していないあらかじめ定めた導電が必要な区域を被覆する。導電層30の導電性ポリマーコーティングは、少なくともポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)[Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)、PEDOT]、ポリピロール(Pyrrols)のいずれかを含む真性導電性ポリマーより成る。基板10表面上に付着されたインク層20により、導電層30のインク層20表面に積層されている非導電区域301の電気抵抗値(Resistivity)を導電層30の元の抵抗値の少なくとも100倍以上、さらには非導電性となるまで高めることができる。
【0020】
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)[Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)、PEDOT]を含有する有機導電ポリマーから組成される導電性ポリマー溶液を、ワイヤバー(Wire Bar)方式またはスロットダイコーティング(Slot Die Coating)等の方式で均一に、部分的または全面的に基板10表面と基板10上のインク層20上に塗布して、120℃で10分間乾燥させた後、4端子法(Four-Pin Method)抵抗計を使用してPET薄膜上の導電性ポリマー導電層(下にインクのない導電層)を測定すると、その元の抵抗(Resistivity)が210Ω/square(2.1×10Ω/square)であり、透明導電回路基板の元の基板10の透光度93〜94%を差し引いた導電層30の可視光透過率は91〜93%である。
【0021】
インク層20は、放射硬化性とすることができ、例えば、UV、可視光、電子ビームを使用して硬化させるか、あるいは、熱乾燥性とすることもできる。
インク層20の成分は、親水基を持つポリマー、例えばPyrrolidonering構造を含むモノマー又はオリゴマーを含有するか、或いは水溶性の樹脂、例えばエタノールPVA(Polyvinyl Alcohol)等を含有する。そして、固化後のインク層20と導電高分子液を吸収した後乾燥したインク層20は、水又は極性を持つ溶剤、例えばメタノール、エタノールを使用して除去することができる。さらに、光開始剤(photoinitiator)と架橋剤(Cross Linker)を使用することで、固化後のインク層20の架橋密度(cross linking density)を調整し、インク層20の導電高分子液吸収量と吸収速度及び水又は極性を備えた溶剤に対する溶解度又は膨潤(Swelling)度を調整して、より工業上の条件に適うようにすることができる。
また、インク層20は、アルカリ性物質、酸化/還元材、ドーパント(Dopant)結合材等を含有し、導電高分子液の化学共役構造(Conjugated Structure)、ドーパント、または酸基を変化させる等により、接触して吸収した導電層30の導電高分子の導電性を低下させる。
【0022】
インク層20が基板10の表面において導電性を具備させる必要がある導電回路11以外の区域にインク被覆面を形成するため、導電層30のインク層20上面に積層されていない区域は導電性を具え、これにより基板10上に必要な導電回路11を形成することができる。図面では、積層構造を明確にするため、インク層20及び導電層30の厚みを大きくしてあるが、実際には導電回路11の幅に比べて非常に薄く、インク層20間の凹陥部に流入した導電材料がインク層20の側面に接触している面積は無視できるほど小さいため、導電層30の内、インク層20の上面に積層された部分の導電性は失われるが、導電回路11の導電性が失われることはない。
なお、インク層20と導電層30に蛍光剤(fluorescence material)、蛍光増白剤(optical brighter)、染料のいずれかを含有して光学特性と識別性を増強してもよい。
【実施例2】
【0023】
図3に本発明の実施例2を示す。
実施例2では、インク層20があらかじめ定めた導電不要の区域にあり、局部的に付着される方式で基板10の表面に形成され、かつ熱エネルギーHまたは放射線Lにより固化され、導電層30でインク層20表面とあらかじめ定めた導電回路11となる区域が被覆され、かつ熱エネルギーHまたは放射線Lにより導電層30及びインク層20の乾燥と固化が加速される。
【0024】
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)[Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)、PEDOT]を含有する有機導電ポリマーから組成される導電性ポリマー溶液をワイヤバー(Wire Bar)方式またはスロットダイコーティング(Slot Die Coating)等の方式で均一に、部分的または全面的に透明プラスチック製の基板10表面と基板10上のインク層20表面に塗布し、120℃で10分間乾燥させた後、4端子法(Four-Pin Method)抵抗計を使用してPET薄膜上の導電性ポリマー導電層(下にインクのない導電層)を測定すると、その元の抵抗(Resistivity)は210Ω/square(2.1×10Ω/square)であり、透明導電回路基板の元の基板10の透光度93〜94%を差し引いた導電層30の可視光透過率は91〜93%である。
【0025】
インク層20表面に積層された部分において導電層30に形成される非導電区域301はさらに除去液40で物理的に除去する。除去液40は水(HO)及びエタノール(COH)等を含む極性溶剤より成り、インク層20と非導電区域301を同時に除去することができる。基板10表面のインク層20が付着されていない区域は、導電層30で覆われる前は凹陥状を呈し、導電層30がインク層20及びあらかじめ定めた導電回路11となる区域の表面を被覆するため、導電層30が凹陥区域に充填される。除去液40でインク層20と導電層30を同時に除去すると、インク層20表面に積層されていない区域の導電層30が導電回路11を形成する。そして、除去液40での除去後、導電回路11は基板10に対して突出した状態となる。
【0026】
図4に、透明導電回路基板の製造方法のフローチャートを示す。この製造方法は次の工程を含む。
a)導電性ポリマー液体を吸着する特性を備え、固化後に極性溶剤より成る除去液を用いて除去可能なインク層20を印刷または現像のいずれかの方式で、基板10表面のあらかじめ定めた導電不要の区域に付着させる工程と、
b)インク層20を熱エネルギーHまたは放射線Lのいずれかを照射して、インク層20の固化を加速させる工程と、
c)インク層20より大きい面積の導電性ポリマーコーティングで構成される導電層30でインク層20及び必要な導電回路11となる区域の表面を被覆して、乾燥かつ固化し、導電層30のインク層20表面に積層されている区域に非導電区域301を形成すると共に、導電層30のインク層20に積層されていない区域に導電回路11を形成する工程とを備える。
【0027】
c)工程において、導電性ポリマーコーティングは真性(intrinsic)導電性ポリマーを含有し、基板10上に付着されたインク層20表面に積層されている非導電区域301の電気抵抗値(Resistivity)を高め、導電層30の元の抵抗値の少なくとも100倍以上、さらには非導電性まで高めることができ、導電層30のインク層20と接触していない区域は導電性を具える。
また、実施例2の透明導電回路基板を製造するには、c)工程に続いて、
d)極性溶液の特性を具えた除去液40でインク層20と、インク層20上に積層されている非導電区域301を除去し、基板10表面に、インク層20上に積層されていない導電層30を残して、導電性を具えた導電回路11とする工程を実施する。
【0028】
前述の透明導電回路の製造方法において、導電層30が界面活性剤及び少なくとも1つのバインダ(binder)を含有し、前記界面活性剤がさらにUV吸収剤または光安定剤のうち少なくとも1つを含有する。前記バインダ(binder)はさらにPU、ポリエステル、アクリルの少なくともいずれかを含有する。導電層30の導電性ポリマーがポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)[Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)、PEDOT]であるとき、さらにPSS(polystyenesulfonate)のような少なくとも1つのポリ酸(polyacid)を含有する。導電性ポリマーはさらにシラン(silane)を含む。且つ透明導電回路基板の表面上の導電層30の電気抵抗値(Resistivity)は2,000 Ω/squareより低い。導電層30の可視光(380nm〜750nm)の透過率は65%以上である。導電層30はワイヤバー方式(Wire Bar Method)、ロールコーティング(Roller Coatng Method)、スロットダイコーティング(Slot Die Coating)、スピンコーティング(Spin Coating Method),ギャップコーティング(Knife Over Coating“Gap Coating”)、スプレー(Spray)のいずれかの方式により形成される。
【0029】
本発明の透明導電回路基板及びその製造方法の応用領域は少なくとも透明導電膜(Transparent Conductive Film、TCF)、液晶ディスプレイ(LCD)、断熱ガラス、タッチパネル(Touch Panel)、薄膜抵抗器(Thin Film Resistor)、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)、発光素子(Light-Emitting Device)、太陽光電池(Solar Cell)、印刷電子工学(Printed Electronics)を含む。
【0030】
以上の実施例の説明と図面に示す内容は、本発明の最良の実施例を示したものであり、本発明の権利範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない変更は、本発明の特許請求の範囲内に含まれることをここで述べておく。
【符号の説明】
【0031】
10 基板
11 導電回路
20 インク層
30 導電層
301 非導電区域
40 除去液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明導電回路基板であって、
基板と、
前記基板表面のあらかじめ定めた導電不要の区域に付着され、導電性ポリマー液を吸着する特性を具えた透明インク層と、
前記インク層及び前記インクで覆われていない基板表面のあらかじめ定めた導電性を具備させる必要がある区域を被覆する、導電性ポリマーコーティングから構成される導電層と、
を含み、前記導電性ポリマーコーティングが真性(intrinsic)導電性ポリマーを含有し、前記基板表面上に付着されたインク層により前記インク層に積層された導電層の電気抵抗値(Resistivity)を導電層の元の抵抗値の少なくとも100倍以上に高めて非導電区域を形成し、前記基板表面において、前記導電層のインク層に積層されていない区域に、導電性を具備する導電回路が形成されたことを特徴とする、透明導電回路基板。
【請求項2】
透明導電回路基板の製造方法であって、
a)導電性ポリマー液体を吸着する特性を備え、固化後に極性溶剤より成る除去液を用いて除去可能なインク層を基板表面のあらかじめ定めた導電不要の区域に付着させる工程と、
b)前記インク層に熱エネルギーまたは放射線のいずれかを照射して前記インク層の固化を加速する工程と、
c)真性(intrinsic)導電性ポリマーを含有する導電性ポリマーコーティングから構成される導電層で、前記インク層表面と前記基板上のあらかじめ定めた導電性を具備させる必要がある区域を被覆して固化させる工程と、
d)極性溶剤より成る除去液で、前記インク層及び前記インク層表面に積層された前記導電層を物理的に除去し、前記基板の表面に前記インク層表面に積層されていない前記導電層を残し、導電性を具えた導電回路とする工程を実施する、
ことを特徴とする、透明導電回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記真性(intrinsic)導電性ポリマーが少なくともポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)[Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)、PEDOT]、ポリピロール(Pyrrols)のいずれかの導電性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の透明導電回路基板。
【請求項4】
前記インク層が、紫外線、可視光、電子線のいずれかを照射することにより硬化促進されるインクより成ることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電回路基板。
【請求項5】
前記インク層が、印刷または現像のいずれかで形成されることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電回路基板。
【請求項6】
前記導電層が界面活性剤を含有し、さらにUV吸収剤と光安定剤のうち少なくとも1つを含有することを特徴とする、請求項1に記載の透明導電回路基板。
【請求項7】
前記導電層が、PU、ポリエステル、アクリルのうち少なくとも1つを含有するバインダを含むことを特徴とする、請求項1に記載の透明導電回路基板。
【請求項8】
前記導電層の導電性ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)[Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)、PEDOT]であるとき、少なくとも1つのポリ酸(polyacid)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の透明導電回路基板。
【請求項9】
前記導電層がワイヤバー(Wire Bar Method)、ロールコーティング(Roller Coatng Method)、スロットダイコーティング(Slot Die Coating)、スピンコーティング(Spin Coating Method)、ギャップコーティング(Knife Over Coating“Gap Coating”)、スプレー(Spray)のうちのいずれかの方式を使用して形成されることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電回路基板。
【請求項10】
前記導電層の導電性ポリマー層がさらにシラン(silane)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の透明導電回路基板。
【請求項11】
前記真性(intrinsic)導電性ポリマーが少なくともポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)[Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)、PEDOT]、ポリピロール(Pyrrols)のいずれかの導電性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項2に記載の透明導電回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記放射線が紫外線、可視光、電子線のいずれかであることを特徴とする、請求項2に記載の透明導電回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記インク層が、印刷または現像のいずれかで形成されることを特徴とする、請求項2に記載の透明導電回路基板の製造方法。
【請求項14】
前記導電層が界面活性剤を含有し、さらにUV吸収剤と光安定剤のうち少なくとも1つを含有することを特徴とする、請求項2に記載の透明導電回路基板の製造方法。
【請求項15】
前記導電層が、PU、ポリエステル、アクリルのうち少なくとも1つを含有するバインダを含むことを特徴とする、請求項2に記載の透明導電回路基板の製造方法。
【請求項16】
前記導電層の導電性ポリマーがポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)[Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)、PEDOT]であるとき、少なくとも1つのポリ酸(polyacid)を含むことを特徴とする、請求項11に記載の透明導電回路基板の製造方法。
【請求項17】
前記導電層がワイヤバー(Wire Bar Method)、ロールコーティング(Roller Coatng Method)、スロットダイコーティング(Slot Die Coating)、スピンコーティング(Spin Coating Method)、ギャップコーティング(Knife Over Coating“Gap Coating”)、スプレー(Spray)のうちのいずれかの方式を使用して形成されることを特徴とする、請求項2に記載の透明導電回路基板の製造方法。
【請求項18】
前記導電層の導電性ポリマー層がさらにシラン(silane)を含むことを特徴とする、請求項2に記載の透明導電回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−227505(P2012−227505A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233034(P2011−233034)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(509034155)瑞化股▲ふん▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】