説明

透明製品製造のための組成物及び方法

消費者に高度に透明な外観を訴求する熱可塑性プラスチック製品が製造され得る。透明化剤は、高度に透明な製品を製造するために、そのような熱可塑性プラスチック製品に添加剤として使用され得る。着色剤は、第1のブレンドを生成するために透明化剤と混合され、次いで、そのような第1のブレンドは、透明ポリマー製品を形成するために非常に低い添加量で適用され得る。ポリプロピレンのようなポリオレフィン中に非常に低い着色剤の添加量を使用するのであるが、観察可能な視覚効果を達成することができる。カーボンブラックは、そのようなポリプロピレンでの観察可能な効果を提供し得る顔料である。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の背景
ポリプロピレンのようなポリマーは、ポリマー中に透明化剤を添加することによって、低減された雲り度を有する製品に調製され得る。食物貯蔵容器、家庭用プラスチック製品等のような固体プラスチック製品は、ポリマーへの透明化剤の添加により、一般に透明にされる。透明化剤は、透明化剤に加えて、抗酸化剤、酸除去剤、スリップ剤、光安定剤、光沢剤及びUV光吸収剤の1以上の添加剤を含んでもよい「添加剤パッケージ」プレブレンドの一部として、一般にポリマーに添加される。
【0002】
さて、図1を参照すると、透明化剤の通常の使用においては、種々の慣用プラスチック添加剤が、透明化剤と併用され得る。次いで、混合物は、低或いは高度に混合され得る。ポリマーが添加され、次いで得られたバッチが混合され、加熱配合により、ポリマーを形成する。射出成形、熱成形、射出ストレッチブロー成形(「ISBM」)若しくは押し出しブロー成形(「EBM」)のような成形プロセスが、製品の製造中に実施され得る。
【0003】
時々は、着色剤(ポリマーと前混合されるマスターバッチの形態であってもよい)が、図1のように、成形プロセス中に或いはその直前に、添加される。この手順は、プラスチックが工業的に着色される1つの方法である。100万につき500〜1000(ppm)部の比較的高い添加量の着色剤が、この方法でプラスチックに混合され、適切に分散されてもよい。約50〜1000ppmの範囲の添加量のためには、この手順は、満足すべきものである。通常のプロセスは、日用のための明るい色のプラスチック製品を製造するための高色度の用途に適している。
【0004】
極端に低い添加剤濃度水準で、プラスチック或いはポリマー中に添加剤を適切に分散することは困難である。例えば、非常に低い添加剤の添加量水準で、ポリマー中に添加剤を分散することは、一般に、数工程を必要とする。例えば、添加剤を約10000ppmの範囲で取り入れるために、添加剤は「レットダウン(let-down)」方式でポリマーへ添加され得る。全ての比は、他に特定されなければ、ここでは重量比である。次いで、別の「レットダウン」工程が、数百ppmの範囲で添加剤を取り入れるために必要とされ得る。時々、第3のレットダウンが、約10ppm未満或いは5ppm未満の範囲で添加剤を取り入れるために必要とされ得る。このように、ほんの数ppmの範囲で添加剤を適用することは、別個の工程でなされねばならず、唯一の工程で一般製造装置を使用する従来の方法では通常容易に達成することはできない。ポリマー中での適切で均一な分散を達成することは困難である。非常に低い添加量の添加剤を使用するときには、分散を達成することは、非常に困難である。低い添加量で非常に高度の分散を達成することは困難であり、大部分のポリマー製造用途において、時間を浪費するものである。
【0005】
ポリマー製品の視覚的外観或いは透明度を改善するであろう添加剤のための引き続く工業界での研究がなされている。実質的に無色(透明)のプラスチック製品の場合には、透明プラスチック製品或いはプラークにより示される曇り度の水準を測定するために、曇り度試験を通常行う。一般的に、プラスチック製品の視覚的外観は、プラスチック製造業界で商業的に意義がある。
【0006】
貯蔵容器のようなプラスチック製品は、一般に、小売店での陳列のために積み重ねられる。4、5個の無色の(食品貯蔵容器のような)プラスチック製品が小売店の棚に積み重ねられると、積み重ねの集合的曇り度は、積み重ねられた製品の数を基に「倍増」する。したがって、製品(物品)は、それだけで見ると、異なって透明であるかのように見えるかもしれないが、4、5個の以上の製品が互いに店の棚に積み重ねられ入れ子にされると、殆どそんなに透明には見えないといってよい。
【0007】
消費者は、多くの製品の用途において、透明プラスチックが非常に望ましいことを見出している。例えば、貯蔵容器の場合には、消費者は容器の中身を見ることを望むかもしれない。透明である容器は、貯蔵容器市場で高価格を要求するかもしれない。プラスチックの視覚的外観を改善する添加剤が、非常に望ましい。そのような製品が、積み重ねられ、入れ子にされるときには、プラスチック製品の視覚的外観を改善する添加剤が、非常に望ましい。本発明は、そのような改善をすることに向けられる。
【0008】
当業者に示される最適な態様を含む本発明の完全な実施可能な開示が、明細書で明らかにされる。図2は、透明化剤と着色剤の第1のブレンドが作成される本発明の実施方法を示す。図3は、着色剤添加剤前駆体が使用される本発明の代替具体例を示す。図4は、低着色剤添加量のマスターバッチが使用される更に別の具体例を示す。
【0009】
発明の詳細な説明
非常に低い添加量の着色剤は、ポリマー中に高度に分散されると、そのようなポリマーで作製されるプラスチック製品に向上した視覚的利益を提供することが見出された。本発明の実施に適用されるような着色剤は、非常に低い添加量では(即ち、約5重量ppm未満では)、通常は、プラスチック製品を如何なる意義のある程度に着色するに充分に高い濃度ではない。したがって、プラスチック製品は、実質的に透明なままであり、分光光度計のような機器方法により測定されるものとして、「実質的に着色していない」或いは「実質的に無着色」と定義される。
【0010】
ある用途では、測定された曇り度(ヘーズ%)は、着色剤なしで製造された標準対照製品と実質的に変化していない。しかしながら、人間試験対象者は、このような製品の非常に望ましい透明度と外観を報告している。統計的意義のある数の人間観察者は、この方法で製造された製品は、曇り度測定値が減少しないかもしれないにもかかわらず、全く透明で、視覚的に望ましいことを指摘している。
【0011】
向上した視覚的利点は、ポリマー中の非常に低い着色剤添加量の存在に基づくものであると考えられる。このようなプラスチックに目に見える色を付与するために一般に使用される着色剤は、非常に低い添加量水準で、プラスチックの外観を、実際に透明に或いはより透明にさえもする。この型の着色剤の使用は、着色剤の大部分の通常の適用とは対照的である。
【0012】
製品の外観を改善するこのような着色剤の作用は、着色剤が非常に高度に分散するときに、最も明らかである。そのようなプラーク(或いは、プラスチックの薄いシート)の背後に置かれた写真のような画像は、そのような高度に分散された着色剤なしで製造された対照のプラークの背後におかれた同じ画像よりも、より生き生きとした明るいものであると試験人間対象者には時々見える。この視覚作用の正確な機構は知られていないが、その作用は、本発明の展開の間に記録されてきた。
【0013】
透明化剤、及び水不溶性着色剤を含む組成物が提供される。水不溶性着色剤は、少なくとも1つの顔料を含んでもよい。用語水不溶性は、室温で100gの水に約0.1グラム未満溶解することを意味することを意図している。着色剤の部の透明化剤の部に対する比は、100万部に対して、約50〜10000部である。1つの具体例では、透明化剤は、ジベンジリデンソルビトール誘導体を含む。透明ポリプロプレン樹脂組成物は、前記組成物をポリプロピレンと配合することによって形成され得る。本発明のある特定の適用においては、透明化剤に対する着色剤の比は、100万部の透明化剤に対して、約200ppm〜5000ppmの着色剤を含む。
【0014】
ある適用では、樹脂組成物は、合計樹脂組成の約5ppmより少ない着色剤濃度を有する。更に、樹脂組成物は、合計樹脂組成の約500ppm〜約5000ppmの濃度で透明化剤を追加的に含んでもよい。製造品は、組成物及び/又は樹脂から構築されてもよい。
【0015】
水不溶性着色剤は、黒色着色剤であってよいが、黒色は、本発明の実施における着色剤のために必要なわけではない。図3に示されるように、ある具体例では、着色剤添加剤前駆体が形成される。前駆体は、第1のブレンドと、1以上の抗酸化剤、酸除去剤、スリップ剤、光安定剤、UV光吸収剤及び/又は光沢剤とを配合することにより製造される。
【0016】
マスターバッチ組成物は、透明化剤と着色剤の第1のブレンドと、ポリプロピレン等のポリオレフィンとを配合することによって作られ得る(図4に示されるように)。マスターバッチ組成物は、ある用途のために、マスターバッチ組成物中に、約1〜約40重量%の割合の透明化剤の割合を提供し得る。この濃縮された着色マスターバッチは、次いで、着色剤を非常に低い添加量水準に希釈するために役立つ、成形プロセス中で適用され得る。
【0017】
高度に透明なポリプロピレン製品は、高度に分散された実質的に水不溶性であるカーボンブラック顔料を含んで製造され得る。カーボンブラック顔料は、前記製品中で、約0.25〜約5ppmの添加量で供給され得る。
【0018】
高度に透明で実質的に無色のポリプロピレン製品は、第1のブレンドを形成するプロセスにより製造される。第1のブレンドは、透明化剤と着色剤を含み、前記第1のブレンドは引き続く工程でポリプロピレン内に分散される。着色剤は、更に少なくとも1つの顔料を含み、前記着色剤は、前記製品の約0.25〜約5ppmの濃度の添加量で製品中に供給される。
【0019】
着色剤添加剤前駆体組成物も提供され得、この前駆体組成物は、透明化剤と水不溶性着色剤を含む。水不溶性着色剤は、少なくとも1つの顔料が含まれる。組成物は更に、百万部の透明化剤に対して約50〜10000部の比の着色剤を含む。組成物は、少なくとも1つの他の添加剤を使用する。他の添加剤は、抗酸化剤、酸除去剤、スリップ剤、光安定剤、光沢剤及びUV光吸収剤の群から選ばれる。定義した着色剤添加剤前駆体組成物はポリプロピレンのようなポリマーとともに使用または混合され得る。透明化ポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレンを有する組成物を合計樹脂組成物の約5ppm未満の着色剤濃度を有する樹脂組成物と配合することによって形成され得る。このような樹脂組成物は、合計樹脂組成物の約500ppm〜約5000ppmの濃度で追加的に透明化剤を含み得る。上記定義のような樹脂組成物の製造品は、本発明を実施する方法で形成され得る。
【0020】
高度に分散された着色剤を有する透明化熱可塑性製品の製造方法が、本発明の実施に於いて開示される。方法は、着色剤が少なくとも1つの顔料を備える、透明化剤と着色剤の使用に関する。その後、着色剤は、第1のブレンドを生成するために透明化剤と混合される。第1のブレンドは、配合された樹脂組成物を形成するためにポリマーと混合される。この方法で、前記製品中に高度に分散された着色剤を有する透明化熱可塑性製品であって、改善された消費者に対する訴求性と改善された外観を備える製品を製造することができる。
【0021】
方法で使用される着色剤は、前記製品の約0.25〜約5pmの添加量で供給され得る。着色剤は、水不溶性着色剤であってよい。多くの用途のために、透明化剤は、DBS誘導体である。方法から得られる製造品は、例えば、射出成形、押し出しブロー成形、射出ストレッチブロー成形及び熱成形のような成形プロセスを含む多くの成形プロセスの1つから製造され得る。
【0022】
このような着色剤の低添加量は、多くの異なる方法を使用して、ポリマー中に分散され得る。しかしながら、高分散を達成することは意義のある挑戦である。図2に示されるように、このような製品で適切な分散の着色剤を達成する1つの方法は、まず、透明化剤/着色剤ブレンド即ち「第1のブレンド」を形成するために、透明化剤を着色剤と共に適用することにより達成される。第1のブレンドは、一般に粒子形状である。第1のブレンドは、場合によってはポリマー或いは添加剤「パーケージ」(即ち、抗酸化剤、酸除去剤、スリップ剤、光安定剤、光沢剤及び/又はUV光吸収剤)と配合され得る。第1のブレンドと任意の物質は、ミキサーで混合され得る。この混合工程が実施されるか否かにかかわらず、次工程は、着色剤を更に分散させる作用を有する随意のポリマーの添加である。次いで、混合物は、加熱適用を使用する1軸或いは2軸スクリュー混合工程で使用される。ペレットの生成が通常であり、このようなペレットは次いで暫時貯蔵されてもよいし、代替として、成形プロセスですぐに使用されてもよい。得られたものは、非常に低い添加量で製品中に高度に分散した着色剤を有する透明ポリマー製品である。
【0023】
一般的に、図2のように、透明化剤と着色剤との第1のブレンドの使用は、実質的利点を有する。(少なくとも透明化剤と着色剤とを含む)第1のブレンドの使用は、非常に低い添加量でより大きい分散を達成する傾向にある。そのため、このような第1のブレンドを使用する技術は、有利であると考えられる。
【0024】
本発明を実施する代わりの方法が、図3に示される。この方法は、着色剤添加剤前駆体を形成するための透明化剤と着色剤と随意の量のポリマー(そして随意の添加剤と共に)の混合物を示す。随意の添加剤は、1以上の抗酸化剤、酸除去剤、スリップ剤、光安定剤及び/又はUV光安定剤を含む一般の添加剤パーケージであり得る。前駆体は、ポリマーか随意の添加剤の何れかを含まなければならない。着色剤添加剤前駆体は、次いでポリマーと随意に混合され、次いで、配合される。成形プロセスは、非常に低い添加量水準で製品中に高度に分散した着色剤を有する透明ポリマー製品を製造するためにペレットを使用する。
【0025】
本発明の更に別の具体例が、図4に示される。この図は、低着色剤添加量マスターバッチの製造に関する本発明の適用を示す。これは、そのような適用のための一般のマスターバッチと比べて低い量の着色剤を有するポリマーのマスターバッチである。このプロセスでは、透明化剤は、着色剤と(そして随意にポリマーのある量と)結合され、次いで混合される。混合して得られたものは、着色剤を更に分散するために、更に別の工程でポリマーと混合されてもよい。引き続き配合され、熱が適用され、低着色剤マスターバッチを生成する。次いで、マスターバッチは更なる使用のためのペレットに成形され得るし、或いは、すぐに成形プロセスに代わりに適用され得る。成形プロセスでは、ポリマーが、非常に低い濃度で製品中に高度に分散した着色剤を有する透明ポリマー製品を生成するために添加される。
【0026】
顔料と染料
カーボンブラック以外の着色剤は、通常熱可塑性樹脂に使用され、本発明の実施に有益である。顔料は、一般的に有機顔料或いは無機顔料に分類され、カーボンブラックは、無機顔料の1つの例である。本発明の実施に於いて、少なくとも1つの顔料を有する水不溶性着色剤が使用される。
【0027】
染料も、熱可塑性樹脂に広く使用され得る。しかしながら、染料は、プラスチックから移行することが知られており望ましくない。染料は、通常ポリオレフィンに化学的親和性を有さず、食品に接触する容器或いは子供用玩具のような用途のためには不適切とされ、特に、高添加量で使用すると、暗い影をもたらす。したがって、染料は、本発明の適用のためには、顔料より適切でない。本発明の実施に於いては、1以上の顔料と組み合わせて染料を使用することができるが、本発明は、顔料が使用されるときに、有利な効果を最も与えるようである。カーボンブラックは、本発明の実施に完全に適することが見出された1つの型の顔料である。
【0028】
熱可塑性樹脂における黒色は、カーボンブラックのような単一の着色剤により得ることができる。所望の黒色をもたらすことは、ある特性を持つ数種の異なる着色顔料及び/又は染料を混合することにより得ることもできる。本発明に使用される顔料は、黒色、薄紫色或いは青色であるが、黒色が特に適していると考えられる。多くの用途で、少なくとも1つの顔料が本発明の実施に適用される着色剤中に存在しなければならない。
【0029】
本発明においては着色剤を使用することができ、その場合、顔料が、着色剤の少なくとも一部(全部でなければ)を形成する。しかしながら、顔料と染料の混合物は、着色剤として使用することができる。付属する例で示される1つの着色剤「ホルコプリル(Holcoprill)」が、この用途に有効であることが見出された。これは、この明細書の例に関連して更に説明される。この製品は、オランダのHolland Colors Company of Appledornにより商業的に販売されている。この「ホルコプリル」着色剤は、少なくとも1つの染料と少なくとも1つの顔料の混合物或いはブレンドと考えられている。
【0030】
顔料と染料のブレンドは、熱可塑性結合剤中に分散され、一緒に保持され、顔料自身そうであるより、着色剤を後の樹脂組成物中に容易に分散させる。熱可塑性結合剤中の着色剤は、容易にその粒子サイズを制御することができるという別の効果を有する。より小さな粒子サイズにすることによって、着色剤は、後の樹脂組成物中により容易に分散させられることができる。着色剤をより大きな粒子サイズにすることによって、第1のブレンドの色は、実質的に無色か、白色に保たれることができることが見出された。水溶性或いは水混和性染料を使用する従来技術の例は、透明化剤を有する得られたブレンドは実質的に灰色であり、工業的に透明化剤を使用するにはより望ましくない。したがって、着色剤の粒子サイズのバランスをとる能力(最終樹脂での良好な分散に作用するに十分なほど小さく、第1のブレンドを実質的に無色即ち白色に保つに十分なほど大きく保つこと)は、熱可塑性結合剤での場合のように、着色剤の粒子サイズが容易に変性され制御されることができるときには、特に実施されることができる。
【0031】
他の顔料は、本発明の実施に関して、有効に使用することができる。例えば、単独或いは他の着色剤若しくは光沢剤と共に、カーボンブラックが、使用することができる。水不溶性物質を含む着色剤は、水不溶性物質が、人間の消費のための食品或いは医薬に接触する製品での使用のための米国食品医薬局(FDA)若しくは他の規制承認を達成するらしいとき、特に有益であると更に考えられる。水不溶性着色剤は、一般的に、製造されたプラスチック製品から移行(或いは「抽出」)しそうになく、それゆえ、より望ましくない着色剤と比べて、実質的利益を提供する。したがって、本発明の1つの面は、本発明の実施における水不溶性着色剤の使用である。
【0032】
カーボンブラック
カーボンブラックは、ダイアモンド、コークス、木炭及び黒鉛とは異なる形態の元素状炭素の顔料である。それは、一般的には、細かい粒子サイズを有する球状粒子から成る。
【0033】
カーボンブラックは、炭化水素化合物の熱分解若しくは不完全燃焼により製造される商業製品である。カーボンブラックは、タール若しくは他の付着材料を最小量で有する明確な形態学を有し、一般的には、水不溶性である。
【0034】
米国マサチューセッツのカボット社は注意深く制御されたプロセスで、重質残渣油原料を極端な高温にさらすことによりカーボンブラックを製造している。カーボンブラックは、煤の形状とよく誤解されるが、カーボンブラックは制御された条件下製造されるのに対して、煤はランダムに形成される。両者は、タール、灰含有量と不純物を分析することにより識別することができる。カーボンブラックは、インク、塗料及びトナーのための顔料として、導電性パッケージング、フィルム、繊維、成形品及び管のようなプラスチック用途で、海洋、航空及び産業用被覆で、またタイヤ及び工業用ゴム製品で、使用される。
【0035】
粒状カーボンブラックは、一般に重質芳香族原料の、(予熱)空気と天然ガスの高温フレーム中での不完全燃焼により製造される。カーボンブラックの主な「ユニット」は、凝集物であり、粒子が反応器の燃焼ゾーンでコロイド化し一緒に融合するときに形成される。これら凝集物の幾つかは、凝集塊を形成するために弱い力で一緒に保持されてもよい。広範囲のカーボンブラック型が、反応条件の制御された操作により製造することができる。本発明は、任意の如何なる特別の型のカーボンブラックに限定されるものではなく、本質的に任意の商業的な既知の型のカーボンブラックが、本発明の実施に使用することができる。
【0036】
熱可塑性樹脂
ここで使用されるように、用語「熱可塑性樹脂」は、一般的に十分な熱にさらされると溶融するが、冷却によりその固体状態を再現するであろうポリマー或いはポリマー材料を指す。「熱可塑性樹脂」は、ここでは、「ポリマー」或いは「重合体」と交換可能に使用される。このような定義内に考えられる特別な型のポリマーは、限定されることなく、(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及び任意のそれらの組み合わせのような)ポリオレフィン、(ナイロンのような)ポリアミド、ポリウレタン、(ポリエチレンテレフタレートのような)ポリエステル等(また任意のその組み合わせ)を包含する。
【0037】
熱可塑性樹脂は、貯蔵容器、医用デバイス、食品パッケージ、プラスチックチューブ及び管、棚単位等を含む種々の最終用途で使用されてきた。しかしながら、そのような基本組成は、広範に広がった使用を可能とするために、ある物理的特性を示さねばならない。特にポリオレフィンに於いては、例えば、結晶化時の結晶配列の均質性が、有効で耐久性で汎用性のあるポリオレフィン製品を提供するために必須である。このような望ましい物理的特性を達成するために、ある種の化合物と組成物が、成形或いは製造中のポリオレフィン結晶成長のための核化サイトを提供することが知られている。一般的に、このような成核剤を含む組成物は、非核化ポリオレフィンよりずっと早い速度で結晶化する。より迅速でより高いポリマー結晶化温度を提供するこのような化合物と組成物は、成核剤として一般に知られている。このような化合物は、熱可塑性溶融成形の冷却時の結晶成長のための核化サイトを提供する。
【0038】
透明化剤
透明化剤の使用は、本発明の実施において結晶化温度と結晶化速度を増加させ得る。このような透明化化合物を含む組成物は、非核化ポリオレフィンよりずっと早い速度で結晶化する。しかしながら、これら剤は、最終成形製品に対する透明化作用のためにも同様に使用され、低曇り度でありそれ故望ましい。
【0039】
透明化剤も、熱可塑性溶融成形の冷却時の結晶成長のための核化サイトを時々提供する。このような核化サイトの存在は非常に多数のより小さな結晶を生じる。そこに生成するより小さな結晶の結果、目標の熱可塑性樹脂の透明化が達成され得る。しかしながら、良好な透明化が、常に得られるものでもない。結晶サイズが均一(そして小)であればあるほど、光はより散乱されない。そのため、熱可塑性樹脂製品自身の透明度が改善され得る。したがって、熱可塑性透明化剤化合物は、向上した透明度、改善された物理的特性及びより迅速な加工を提供し得ることから、工業界に重要である。
【0040】
ジベンゾイルソルビトール誘導体は、通常ポリプロピレン最終製品に使用される透明化化合物である。これらは、一般に粒子形態で販売される。1,3-O-2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(以下、「DMDBS」)は、ミリケンアンドカンパニーから、ミラッド(Millad(登録商標))3988の商品名で入手可能であり、ポリプロピレンのための優秀な核化及び透明化特性を備える。分子のソルビトール部分若しくは分子のベンゼン環部分に他に置換基を有するものを含む、他のDBS系透明化化合物も使用することができる。
【0041】
アルミニウムビス[2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート(仏国のアデカパルマロール(Adeka Palmarole)SASの「NA-21Tm」として知られる)のような他の透明化剤化合物も使用されることができる。一般的に、本質的に任意の透明化剤が、本発明の実施に使用することができる。
【0042】
本発明は、DBS誘導体を使用する最も有利な方法で実施され得ると考えられるが、本発明は、DBS誘導体である透明化剤の使用に限定されるものではない。
【0043】
成形プロセスと用途
射出成形。射出成形の基本原理は、加熱により軟化し、一緒に締付けられる型空洞に圧力下に押し付けられる熱可塑性樹脂の機能である。得られるものは、型の形状に固化し、それにより部品を形成する熱可塑性樹脂である。樹脂ペレットは、供給ホッパー、ペレットをスクリューに下方に供給する広く開口した有底容器に注がれてもよい。モーターがスクリューを回転させると、ペレットを溶かす熱を発生するスクリューの回りのヒーターに沿って極度の圧力と摩擦を受けながら、ペレットは、前方に移動される。より多い溶融プラスチックの混合を生じるより多いエネルギーを供給してプラスチックを溶かしながら、背圧が、水圧ポンプからスクリューに供給されることができる。溶融した樹脂は、相対的に冷却された型に、ノズルを通じてシリンダーの他端に押し込まれ(注入プロセス)、把持機構により閉じられ保持される。溶融物は冷却し固化し、型が開き、成形された部品が放出される。射出成形は、最も小さい部品から、例えば車の全車体パネルまでの、種々な部品の製造のために広く使用される。
【0044】
押し出しブロー成形(EBM)。押し出しブロー成形においては、プラスチックは溶融され、中空管(パリソンと呼ばれる)に押し出される。パリソンは、次いで冷却された金属型に閉じられることにより捕捉される。圧力空気がパリソンに吹かれ、型の形状に膨張する。プラスチックが十分に冷却した後、型が開放され、部品が放出される。吹成型は、中空プラスチック部品を製造する使用のために意図されている。その主な利点は、2以上の別々の型部品を接合する必要なく中空形状を生み出すことである。EBMプロセスにより製造される部品の例は、日用容器、シャンプーボトル及びドラムのような中空工業部品を包含する。押し出しは、プラスチック材料を圧縮し溶融し連続方法でオリフィスを通じてそれを押し込むプロセスである。材料は螺旋状スクリュー(或いはスクリュー)により加熱された機械バレルを移動し、そこで加熱され、均一状態まで混合され、次いで、最終製品に必要な形状のダイに押し込まれる。
【0045】
射出ストレッチブロー成形(ISBM)。射出ストレッチブロー成形においては、プラスチックは、まず射出成形プロセスを使用して、プリフォームに成形され、次いで拡開され、壜に吹成される。このプロセスは全て1段階で起こるか、2段階であることができ、プリフォームは段階の間で冷却可能である。2段階システムでは、成形されたプリフォームは、再加熱され(一般には赤外線ヒーターを使用して)、次いでコアロッドで延伸され、壜は2つの圧力段階で吹成される。幾つかのポリマーの延伸は、樹脂のひずみ硬化を生じ、壜が炭酸飲料により生成される圧力下で変形に抵抗することを可能とする。この方法の主な用途は、壜、ジャー及び他の容器である。
【0046】
熱成形(TF)。熱成形は、熱可塑性シート或いはフィルムを部品に成形するプロセスである。シート或いはフィルムは、その成形温度までヒーターの間を通過し、次いで拡開されるか、温度制御された単一の表面型に延伸される。シートは、冷却されるまで型表面に対して保持され、次いで、成形部品はシートからバリ取りされる。シートは、機械的手段(例えば、ツール、プラス、固体型等)或いは空気圧手段(例えば、真空吸引、圧縮空気による押し出し)により型の形状に成形されることができる。熱成形製品の例は、プラスチック若しくは発泡食器、カップ、肉及び農産物トレー、卵カートン、冷蔵庫内張り、コンピューター筐体、内装及び外装自動車部品、パッキング用ブリスターその他である。
【0047】
例1−10
透明化剤の第1のブレンドの調製とポリプロピレン樹脂への添加
100グラムの透明化剤が、着色剤と共に、Cuisinart Classic 食品加工機(Model DFP-14BCN)で、約0.5〜1分間混合される。
【0048】
表1:透明化剤の第1のブレンド
【表1】

【0049】
注:「ミラッド」及び「ミラッド3988」は、ミリケンアンドカンパニーの登録商標である。「NA-21」は、仏国のアデカパルマロールSASの登録商標である。
【0050】
透明化剤と着色剤のブレンド(透明化剤の第1のブレンド)が、500グラムの11MFR(メルトフローインデックス)ポリプロピレンランダムコポリマー樹脂((Basell SA-849)及び標準添加剤パーケージ(即ち、500ppm Irganox 1010、1000ppm Irgafos 168及び800ppmステアリン酸カルシウムCaSt)と共にガードナーリボンブレンダーを使用して約200-220rpm(速度設定5)で5分間混合された。ブレンドは、次いで、Prism 16mm diameter, 25:1 L/D共回転2軸スクリューエクトレーダーで溶融配合された。溶融配合された樹脂は、20個の2.00”×3.00”×0.05”の試験プラークを製造するために、40-ton Arburg AllRounder221Kを使用して射出成形され、順番に収集された。樹脂は、230℃フラットプロファイルバレル温度で背圧なしで成形機で加工された。次いでL*色値が、L*値の標準偏差により測定されるものとして、プラークからプラークへの影の変動を測定するために、Gretag MacBeth Color-Eye 7000A色彩コンピューターを使用して、各プラーク毎に評価された。L*は、白色から黒色への色の尺度の測定値である。それは、純粋白色に対する100という最大値から純粋な黒色に対する0の範囲である。1連の20個の順番のプラークに関する標準偏差の評価は、着色剤の分散の直接的測定である。この測定は、冷白色蛍光光源と10°オブザーバーを使用して、広域視点で反射モードで行われた。曇り度は、ASTM D1003によるビーワイケーガードナーヘーズ-ガードプラスヘーズ計(BYK Gardner haze-gard plus)を使用して測定された。
【0051】
表2:透明化剤の第1のブレンドのポリプロピレン樹脂への組み込み
【表2】

【0052】
例11−12
着色剤添加剤前駆体の調製とポリプロピレン樹脂への添加
透明化剤と着色剤及び標準添加剤パッケージが、例1−10に記載された食品加工機を使用して、以下の表3に挙げられた混合時間で、一緒に混合された。
【0053】
表3:着色剤添加剤前駆体
【表3】

【0054】
透明化剤と着色剤及び標準添加剤パッケージブレンドが、次いで、500グラムの11MFRポリプロピレンランダムコポリマー樹脂と、例1−10に記載された方法によるリボンブレンダーを使用して混合された。ブレンドは、次いで2軸スクリューエクトレーダーで溶融配合され、例1−10に記載されたプロセスにより20個の2.00”×3.00”×0.05”の試験プラークを製造するために、射出成形された。L*色値が、次いでプラークからプラークへの影の変動を測定するために、例1−10に記載されたようにGretag MacBeth Color色彩コンピューターを使用して、評価された。曇り度は、ASTM D1003によるビーワイケーガードナーヘーズ-ガードプラスヘーズメーターを使用して測定された。
【0055】
表4:着色剤添加剤前駆体のポリプロピレン樹脂への組み込み
【表4】

【0056】
例13−14
低着色剤添加量マスターバッチの調製とポリプロピレン樹脂への添加
50グラムのミラッド(登録商標)3988である透明化剤と着色剤及び低温粉砕11MFRポリプロピレンランダムコポリマー粉末(合計7620Z)が、Cuisinart Classic 食品加工機(Model DFP-14BCN)で約5分間一緒に混合された。ブレンドは、次いで2軸スクリューエクトレーダーで例1−10に記載される方法で溶融配合された。
【0057】
表5:低着色剤添加量マスターバッチ
【表5】

【0058】
濃縮ブレンドは、次いで、標準添加剤パーケージ(即ち、500ppm Irganox 1010、1000ppm Irgafos 168及び800ppmCaSt)を含む980グラムの11MFRポリプロピレンランダムコポリマーペレット化樹脂とKitchen Aid Mixerで、撹拌設定で、5分間混合された。ブレンドは、例1−10に記載されたプロセスにより20個の2.00”×3.00”×0.05”の試験プラークを製造するために、射出成形された。射出成形の間350バールの背圧もまた分散を改善するために使用された。L*色値が、次いでプラークからプラークへの影の変動を測定するために、例1−10に記載されたようにGretag MacBeth色彩コンピューターを使用して、評価された。曇り度は、ASTM D1003によるビーワイケーガードナーヘーズ-ガードプラスヘーズ計を使用して測定された。
【0059】
表6:ポリプロピレン樹脂への組み込み
【表6】

【0060】
例15
合計15名のパネリストは、1つのプラークが黒色着色剤を含み、他のプラークが黒色着色剤を含まない、1対の比較のためのプラークが与えられる。プラークの組成は、パネリストには与えられておらず、どの試料が黒色着色剤を含むかは教えられていない。プラークは、黒色着色剤によるエッジ効果をすべて排除することを目的として、引き続く評価のための制御された配列を保つために、炎中に据えられる。次いで、パネリストは、どのプラークがより透明に見え、背景をより生き生きと見せるかについて質問された。黒色上の白色プリントの背景と白色上の黒色プリント背景また色彩背景が、比較のためにパネリストに提供された。この対による比較は、本発明の例1(黒色着色剤なし)と本発明の例4(黒色着色剤あり)についてなされた。結果は、15名中13名のパネリストが、より透明に見え、背景をより生き生きと見せるプラークとして黒色着色剤を含むプラークを選択したことを示した。96%の(統計的)信頼水準で、黒色着色剤を含むプラークがより視覚的に訴求的であることが見出された。
【0061】
第1のブレンドの色に関する着色剤の作用
本発明の例1、4及び5からの透明化剤の第1のブレンド粉末が、62mm×32mm×13.5mm水晶キュベットに置かれた。粉末は、キュベット表面に対して粉末の平滑な表面を生み出すためにキュベットに詰め込まれた。L*色値が、Gretag MacBeth Color-Eye 7000A色彩コンピューターを使用して、キュベット中の各粉末試料に対して評価された。L*は、白色から黒色への色の尺度の測定値である。それは、純粋白色に対する100という最大値から純粋な黒色に対する0の範囲である。1連の20個の順番のプラークに関する標準偏差の評価は、着色剤の分散の直接的測定である。この測定は、冷白色蛍光光源と10°オブザーバーを使用して、広域視点で反射モードで行われた。
【0062】
表7:第1のブレンド粉末のL*値
【表7】

【0063】
本発明の第1のブレンドは、85より大きいL*値を示し得る。時々は、L*値は、90より大きく、第1のブレンドは実質的に白色であり得る。更に、上記表7のこの例16−18は、透明化剤中への着色剤の組み込みが第1のブレンドの白色を実質的に維持し、商業的に望ましい。
【0064】
第1のブレンドを使用せずに、透明化剤、着色剤及び他の添加剤をコポリマー中に適用する技術を使用する比較例1−3
透明化剤と着色剤ブレンド、標準添加剤パーケージ(即ち、500ppm Irganox 1010、1000ppm Irgafos 168及び800ppm CaSt)及び1000グラムの11MFRランダムコポリマーが、図1に実質的に示されるように、Cuisinart Classic食品加工機(Model DFP-14BCN)で約0.5−1.0分間一緒に混合された。添加剤を有するコポリマーは、次いで、Prism 16mm diameter, 25:1 L/D共回転2軸スクリューエクトレーダーで溶融配合された。
【0065】
表8:透明化剤/着色剤マスターバッチブレンド
【表8】

【0066】
透明化剤/着色剤マスターバッチブレンドは、次いで、ミラッド3988(登録商標、2000ppm)と標準添加剤パーケージ(即ち、500ppm Irganox 1010、1000ppm Irgafos 168及び800ppmCaSt)を含む11MFRポリプロピレンランダムコポリマーペレット化樹脂と、Artisan Kiccen Aid Mixerで撹拌設定で、5分間混合された。ブレンドされた樹脂は、20個の2.00”×3.00”×0.05”の試験プラークを製造するために、40-ton Arburg AllRounder221Kを使用して射出成形され、順番に収集された。樹脂は、分散を改善するために、230℃平坦プロファイルバレル温度と350バールの背圧で成形機で加工された。L*色値が、次いでプラークからプラークへの影の変動を測定するために、Gretag MacBeth Color-Eye 7000A色彩コンピューターを使用して、各プラーク毎に評価された。この測定は、冷白色蛍光光源と10°オブザーバーを使用して、広域視点で反射モードで行われた。曇り度は、ASTM D1003によるビーワイケーガードナーヘーズ-ガードプラスヘーズ計を使用して測定された。
【0067】
表9:ポリプロピレン樹脂(PP)への組み込み
【表9】

【0068】
比較例1−3は、マスターバッチに黒色着色剤を配合し、次いで射出成形プロセスで製品を成形した結果を示す。比較例1は、同一の最終組成を有することから、本発明の例2と直接比較することができる。両方の例は、着色剤の低添加量の添加による略同じL値の低下を生じている。L値の標準偏差は比較例1においてより非常に高く、着色剤の分散が同じように良好ではなく望ましくない最終製品の色の偏差を生じていることを示している。分散を改良する工業的標準方法である製品成型中の背圧を使用しているにもかかわらず、この結果である。
【0069】
更に、比較例2は、透明化剤の第1のブレンド法、着色剤添加剤前駆体法及び低着色剤添加量マスターバッチ法により夫々調製されることから、本発明の例3、11及び14と直接比較することができる。この各例は、調製方法が異なっても、最終製品の同一の最終組成を生じている。全ての例は、着色剤のない対照樹脂に対して略同じL値の低下を生じている。L値の標準偏差は比較例2においてより非常に高く、着色剤の分散が同じように良好ではなく望ましくない最終製品の色の偏差を生じていることを示している。
【0070】
着色剤マスターバッチを使用する比較例4−5
着色剤とミラッド3988約1800ppmで透明化された30MFRランダムコポリマー樹脂(合計6823MZ)が、Artisan Kiccen Aid Mixerで、撹拌設定で、5分間一緒に混合された。コポリマー混合物は、次いで、Prism 16mm diameter, 25:1 L/D共回転2軸スクリューエクトレーダーで溶融配合された。
【0071】
表10:着色剤/透明化剤マスターバッチ
【表10】

【0072】
着色剤/透明化剤マスターバッチブレンドとミラッド3988(登録商標)で透明化された着色剤と30MFRランダムコポリマー樹脂(合計6823MZ)が、Kitcen Aid mixerで5分間混合された。ブレンドは、次いで、Prism 16mm diameter, 25:1 L/D共回転2軸スクリューエクトレーダーで溶融配合された。
【0073】
表11:最終透明化剤マスターバッチブレンド
【表11】

【0074】
最終透明化剤マスターバッチブレンドが、次いで、ミラッド3988(2000ppm)と標準添加剤パーケージ(即ち、500ppm Irganox 1010、1000ppm Irgafos 168及び800ppm CaSt)を含む11MFRポリプロピレンランダムコポリマーペレット化樹脂と、Artisan Kiccen Aid Mixerで、撹拌設定で、5分間混合された。ブレンドされた樹脂は、20個の2.00”×3.00”×0.05”の試験プラークを製造するために、40-ton Arburg AllRounder221Kを使用して射出成形され、順番に収集された。樹脂は、最適な分散を確保するために、230℃平坦プロファイルバレル温度と350バールの背圧で成形機で加工された。L*色値が、次いでプラークからプラークへの影の変動を測定するために、Gretag MacBeth Color-Eye 7000A色彩コンピューターを使用して、各プラーク毎に評価された。この測定は、冷白色蛍光光源と10°オブザーバーを使用して、広域視点で反射モードで行われた。曇り度は、ASTM D1003によるビーワイケーガードナーヘーズ-ガードプラス(BYK Gardner haze-gard plus)を使用して測定された。
【0075】
た。
【0076】
表12:PP樹脂への組み込み
【表12】

【0077】
比較例4−5は、マスターバッチに黒色着色剤を配合し、次いで射出成形プロセスで製品を成形した結果を示す。比較例4は、透明化剤の第1のブレンド法(図2)及び着色剤添加剤前駆体法(図3)により夫々調製されることから、本発明の例4及び12と直接比較することができる。この各例は、調製方法が異なっても、最終製品では同一の最終組成を生じており、着色剤低添加量の添加に対して略同じL値の低下を生じている。L値の標準偏差は比較例4においてより非常に高く、着色剤の分散が比較例4においては良好ではないことを示し、望ましくない最終製品の色の変動を生じている。分散を改良する工業的標準方法である製品の射出成型中の背圧を使用しているにもかかわらず、これが生じている。したがって、本発明の実施が有益であることが見出された。
【0078】
更に、比較例5は、透明化剤の第1のブレンド法により調製されることから、本発明の例5と直接比較することができる。この各例は、調製方法が異なっても、最終製品では同一の最終組成を生じている。全ての例は、着色剤のない対照樹脂に対して略同じL値の低下を生じている。L値の標準偏差は比較例5においてより非常に高く、着色剤の分散が比較例5においては良好ではないことを示し、比較例5においては、望ましくない最終製品の色の変動を生じている。したがって、再度、本発明の実施は優れた結果を提供する。
【0079】
本明細書は、例示的具体例のみを説明しているが、本発明のより広範な面を限定するつもりはなく、本発明のより広範な面は例示的構成により具体化されていることが、当業者には理解される。本発明は、請求項で示される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】通常の着色ポリマー製品製造プロセス。
【図2】透明化剤と着色剤の第1のブレンドが作成される本発明の実施方法。
【図3】着色剤添加物前駆体が使用される本発明の代替具体例。
【図4】低着色剤添加量のマスターバッチが使用される更に別の具体例。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)透明化剤、及び
(b)少なくとも1つの顔料を含む水不溶性着色剤
を含み、更に、約100万部の透明化剤に対して、約50〜約10000部の比の着色剤を含む、組成物。
【請求項2】
前記透明化剤が、置換或いは非置換ジベンジリデンソルビトール化合物を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
請求項1記載の組成物をポリプロピレンと配合することによって形成され、合計樹脂組成の約5ppmより少ない着色剤濃度を有する、透明ポリプロプレン樹脂組成物。
【請求項4】
前記樹脂組成物が、合計樹脂組成の約500ppm〜約5000ppmの濃度で前記透明化剤を追加的に含む、請求項3記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項3記載の樹脂組成物を使用して成形される製造品。
【請求項6】
請求項4記載の組成物を使用して成形される製造品。
【請求項7】
前記水不溶性着色剤が、黒色着色剤である、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、実質的に白色であり、少なくとも85のL*値により規定される、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
請求項1記載の組成物をポリプロピレンと配合することによって製造され、約1〜約40重量%の割合の透明化剤を含む、マスターバッチ組成物。
【請求項10】
透明化剤に対する着色剤の比が、約100万部の透明化剤に対して、約200〜5000部の比の着色剤を含むものとして更に規定される、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
前記着色剤が、追加的に熱可塑性結合剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
前記着色剤が、カーボンブラックを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
第1のブレンドを形成するプロセスにより製造される高透明度の実質的に無色のポリプロピレン製品であって、前記第1のブレンドは、透明化剤と着色剤を含み、前記第1のブレンドは、引き続く工程でポリプロピレン内に分散され、前記着色剤は、更に少なくとも1つの顔料を含み、前記着色剤は、前記製品の約0.25〜5ppmの範囲の濃度で前記製品に供給される、製品。
【請求項14】
(a)透明化剤、及び
(b)少なくとも1つの顔料を含む水不溶性着色剤
を含み、更に、約100万部の透明化剤に対して、約50〜10000部の比で着色剤を含み、及び
(c)抗酸化剤、酸除去剤、スリップ剤、光安定剤、光沢剤及びUV光吸収剤の群から選ばれる少なくとも1つの他の添加剤を含む着色剤添加剤前駆体組成物。
【請求項15】
前記着色剤が、少なくともカーボンブラックを含む、請求項14記載の着色剤添加剤前駆体組成物。
【請求項16】
前記ポリマーがポリプロピレンである、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
前記透明化剤が、ジベンジリデンソルビトール或いはその誘導体を含む、請求項14記載の組成物。
【請求項18】
前記水不溶性着色剤が、黒色着色剤である、請求項14記載の組成物。
【請求項19】
(a)透明化剤を準備すること
(b)少なくとも1つの顔料を有する着色剤を準備すること
(c)第1のブレンドを形成するために前記透明化剤を前記着色剤と混合すること
(d)配合された樹脂組成物を形成するために、前記第1のブレンドとポリマーを混合すること、
を含む高度に分散した着色剤を有する透明熱可塑性樹脂の製造方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法で製造された樹脂を含む、高度に分散した着色剤を有する透明熱可塑性製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−526123(P2009−526123A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554306(P2008−554306)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/003182
【国際公開番号】WO2007/092462
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(599060788)ミリケン・アンド・カンパニー (65)
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
【Fターム(参考)】