説明

透過型カラー有機EL表示装置

【課題】ディスプレイの背後が明瞭に見える良好なシースルー特性と、高輝度で色再現性が良いカラー表示品質とを備えた透過型カラー有機ELディスプレイを得る。
【解決手段】画素毎に備えられ1色以上のフィルタ要素を含むカラーフィルタ素子と、透光性を有する第一電極と、有機EL層と、第二電極とを透光性を有する支持基板の上に順に積層してなる有機EL素子を、画素を構成するように支持基板上に二次元的に複数配列させた表示部を備えた透過型カラー有機EL表示装置で、平面から見たときに、第二電極を各画素の一部のみに存在するように配置すると共に、隣り合う画素に配置するカラーフィルタ素子とカラーフィルタ素子との間に隙間を設け、これにより第二電極及びカラーフィルタ素子の双方が配置されておらず光が透過可能なシースルー領域を表示部内に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過型カラー有機EL表示装置に係り、特に、光が透過可能なシースルー性とカラーフィルタによるカラー表示機能の双方を備えた有機ELディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
有機物の発光現象を利用した有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electro-Luminescence/以下「有機EL」と言う)表示装置は、高い画質を有し、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイと比べより一層の薄型化が可能で、高輝度・高精細・小消費電力等の優れた特長を備えることから次世代の表示装置として近年開発が進められ、例えばテレビやカーナビゲーションシステム、携帯端末等の様々な電子機器のディスプレイとして製品化されつつある。
【0003】
かかる有機EL表示装置では、発光体である有機物を陰陽両電極で挟むように積層して発光素子(有機EL素子)を形成し、これを画素として二次元的に多数配列することによって表示画面を構成する。また、ディスプレイをカラー化する方法としては、大別して、3色発光方式、カラーフィルタ方式、および色変換方式が知られている。
【0004】
これらの方式のうちカラーフィルタ方式は、一般に赤(R)・緑(G)・青(B)のフィルタ要素を各画素に備え、白色光を出力する光源(第一電極と第二電極で挟まれた有機EL層)からの光を、これらのフィルタ要素を通過させることにより特定色に変換する。このカラーフィルタ方式は、発光層を白色1種類のみで構成することができ、3色発光方式のように色要素毎の精細な塗り分けが不要であるから、製造工程が比較的簡便で、ディスプレイの高精細化に有利であるという特長を有する。
【0005】
一方、有機EL素子を利用すれば、透過型のディスプレイ(所謂シースルーディスプレイ)を構成することも可能であり、例えば、画面の背面側に設置した表示を画面の正面側からディスプレイを透過して観察できるようにしたり、シースルーディスプレイを自動車のインストルメント・パネル(車載メータ)など様々な表示の前面に配置することによって当該ディスプレイによる前面の表示と、ディスプレイ後方にある表示とを切り換えて表示するようなことも可能となる。このように有機ELシースルーディスプレイは、単純に画面から光を放射して画像を表示するだけの従来のディスプレイとは異なる様々な利用形態を期待することができ、ディスプレイが持つ機能やデザイン性を広げるものである。
【0006】
なお、有機ELディスプレイを開示するものとして下記特許文献1〜6があり、これらのうち、特許文献1〜5は透過型ディスプレイに係るものであり、特許文献6はカラーディスプレイに関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−148292号公報
【特許文献2】特開2002−289362号公報
【特許文献3】特開2002−334792号公報
【特許文献4】特開2005−108672号公報
【特許文献5】特開2006−234963号公報
【特許文献6】特開2003−257666号公報
【特許文献7】特開2001−57290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1〜5記載のディスプレイを含め、従来の透過型ディスプレイは表示画面が単色でカラー表示を行うことが出来ず、この点で表現性に劣る。また、出願人は後に述べる従来の透過型有機ELディスプレイの問題を解消する提案を先に行っているが(特願2009−143302)、これもカラー表示を行うことは出来ない。
【0009】
一方、前記特許文献6(特開2003−257666)及び前記特許文献7(特開2001−57290)記載のディスプレイは、カラー表示は可能であるが、透過性を有しない。さらに、従来の透過型ディスプレイ構造とカラーディスプレイ構造とを組み合わせたとしても、ディスプレイの背後が明瞭に見えるという良好なシースルー特性と、高輝度で色再現性良くカラー表示を行うというカラー表示特性を同時に備えた表示装置を実現することは難しい。
【0010】
他方、従来の透過型有機ELディスプレイには、次のような問題がある。
すなわち、透過型の有機ELディスプレイを実現する方法としては、従来、陽極と陰極に透明な導電膜を使用する方法が主流で、この方法は、アクティブマトリックス駆動方式でディスプレイを駆動する場合には比較的良好な表示品質が得られていた。ところが、コスト的に有利なパッシブマトリックス駆動方式を採用する場合には、以下の問題があり、必ずしも満足できるシースルーディスプレイを得ることが出来なかった。
【0011】
(1) まず、透明電極は、パッシブマトリックス・シースルーディスプレイに要求されるような十分に高い透過率と十分に低いシート抵抗を両立することは一般に出来ない点である。パッシブマトリックス駆動方式を使用する場合には、少なくとも一方の電極は、抵抗値の低いものを使用する必要がある。これは、一方の電極(一般的には陰極)を共通電極として線順次走査駆動を行うためである。
【0012】
ところが、共通電極の透過率を高めると配線抵抗が高くなり、このことが原因となって、輝度がディスプレイ面内で均一でなくなる輝度ムラや、ディスプレイの表示内容によっては明るさが縞状に変化するクロストークが見られ、著しく表示品質が損なわれる。一方、これを改善するには、十分に低い抵抗値(実質的にシート抵抗値1Ω/□以下が好ましい)が必要である。あるいは、電極を低抵抗化しなくても、小さな電流でより明るく発光する有機EL素子を構成できれば良いが、そのような小電流で高い輝度が得られる有機EL材料を得ることは現状では困難である。
【0013】
(2) 一方、配線抵抗を低くするために、透明電極の膜厚を大きくしたり、透明電極上に低抵抗金属である銀の極薄層を積層したり、低抵抗金属を透明電極層に混合することも考えられるが、いずれも共通電極の透過率とのトレードオフの関係にあり、抵抗値を低く抑えれば透過率が低下し、透過率を高くしようとすれば抵抗値が大きくならざるを得ず、表示品質とシースルーディスプレイとしての特長を両立させることは困難である。
【0014】
(3) さらに、上記のように低抵抗金属を透明電極と積層しあるいは混合させる場合には、極薄ないし極微量の低抵抗金属材料をディスプレイ面内で均一に配する必要がある。これはディスプレイ面内の透過率を均一にし、ディスプレイ間における透過率のばらつきを抑えるためである。このとき使用する低抵抗金属材料は、数原子〜数十原子層の厚さに相当する量であるが、数原子層の違いがパーセントオーダの透過率の違いをもたらすことが分かっており、製造上、特に量産する場合に技術的な難易度が非常に高くなってしまう。
【0015】
他方、前記特許文献1(特開2001−148292)では、陰極を、光を透過できる金属薄膜層と低配線抵抗を確保する厚膜層との機能分離した部分的積層構造とし、画素内にこれら薄膜層による薄膜領域と厚膜層による厚膜領域とを設けることによってシースルー機能を実現している。しかしながらこの構造では、たとえ薄膜領域であっても透過光は金属膜を通過しなければならず、一定以上の透過率は望めないうえに、陰極を光透過性の薄膜層と低抵抗厚膜層との多層構造とする必要があるために製造コストが嵩む難がある。
【0016】
このように、従来のディスプレイ構造では、シースルーとしての特徴と表示品質を十分に両立させ、低コストでディスプレイを量産することが難しい。
【0017】
したがって、本発明の目的は、上記のような問題を解決し、装置構造を複雑化することなく、ディスプレイの背後が明瞭に見える良好なシースルー特性と、高輝度で色再現性が良い良好なカラー表示品質とを同時に備えた透過型カラー有機ELディスプレイを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決し目的を達成するため、本発明に係る透過型カラー有機EL表示装置は、画素毎に備えられ1色以上のフィルタ要素を含むカラーフィルタ素子と、透光性を有する第一電極と、有機EL層と、第二電極とを透光性を有する支持基板の上に順に積層してなる有機EL素子を、画素を構成するように前記支持基板上に二次元的に複数配列させた表示部を備えた透過型カラー有機EL表示装置であって、平面から見たときに、前記第二電極を各画素の一部のみに存在するように配置すると共に、隣り合う画素に配置するカラーフィルタ素子とカラーフィルタ素子との間に隙間を設け、これにより、前記第二電極および前記カラーフィルタ素子の双方が配置されておらず光が透過可能なシースルー領域を前記表示部内に形成した。
【0019】
本発明の表示装置は、発光部である有機EL層からの光を画面表示側に配置したカラーフィルタを通過させる所謂カラーフィルタ方式によるものであるが、画面背後が透けて見えるシースルー特性を付与するため、従来と異なる特有の構造を備える。具体的には次のとおりである。
【0020】
本発明の表示装置では、上記表示部の各画素を構成する有機EL素子について、発光体である有機EL層の下面側(有機EL層の表裏両面のうち支持基板に近い側)に備える第一電極を、透光性を有する電極(以下「透光性電極」又は「透明電極」と言うことがある)により構成する。この第一電極は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide/酸化インジウム錫)により形成すれば良い。なお、第一電極の構成材料はITOに限られず、例えばIZO(Indium Zinc Oxide/酸化インジウム亜鉛)や酸化スズ、酸化亜鉛など、他の透光性を有する導電材料を使用することも可能である。
【0021】
一方、有機EL層の上面側(有機EL層の表裏両面のうち支持基板から遠い側)に備える第二電極は、従来のように各画素において平面から見たときに画素全体に広がるように形成するのではなく、その一部にのみ当該第二電極が配置されるように形成する。またこれと共に、隣り合う画素に配置するカラーフィルタ素子とカラーフィルタ素子との間に隙間を設け、これらの構成によって第二電極およびカラーフィルタ素子の双方が配置されていない、光が透過可能なシースルー領域を表示部内に形成する。
【0022】
カラーフィルタは、構造を複雑化することなくカラー化を行える利点を有する一方で特定色以外の光を吸収するものであるから光透過率は低く(一般に30%程度)、シースルー化するには障害となり得る。そこで、本発明では、上記のように各画素に配置するカラーフィルタ素子とカラーフィルタ素子との間(特に、第二電極が延びる方向に交差する(例えば直交する)方向に隣接する画素のカラーフィルタ素子とカラーフィルタ素子との間)に隙間を設け、この隙間を通じて光が表示部を通過できるようにする。
【0023】
なお、カラーフィルタ素子とは、これに限定されるわけではないが、典型的には、三原色を構成する第一の色彩(例えば赤。以下「R」と言うことがある)を有する第一のフィルタ要素と、第二の色彩(例えば緑。以下「G」と言うことがある)を有する第二のフィルタ要素と、第三の色彩(例えば青。以下「B」と言うことがある)を有する第三のフィルタ要素とからなり、これらR・G・Bの各色を有する3種類のフィルタ要素を一組としたカラーフィルタ素子を各画素に配置する。
【0024】
なお、本発明に言うカラーフィルタ素子は、必ずしも三原色(のフィルタ要素)からなるものである必要はなく、例えば4色以上あるいは1色または2色のみを備えるものであっても良い。例えば白色発光する有機EL層(有機EL材料)を使用し、この有機EL層からの光を特定色(例えば、青や緑、橙その他様々な色)のフィルタ要素を通過させることにより当該特定色(単色)の画面表示を行うような場合についても本発明を適用することは可能である。
【0025】
また、カラーフィルタを使用するディスプレイでは従来、混色によるコントラストの低下を防ぐために、隣り合う画素のカラーフィルタ素子間、ならびに各色のフィルタ要素間(例えばRGB各色の境界部)に遮光性を有する薄膜(例えばクロム膜等)からなるブラックマトリックスが一般に設けられる(前記特許文献6参照)。
【0026】
ところが、このような遮光膜は、ディスプレイの光透過性(シースルー特性)とは相反するものであり、ディスプレイの光透過性は低下してしまう。そこで、本発明では、隣り合うカラーフィルタ素子間ならびに各画素内のフィルタ要素間にブラックマトリックスを備えない。これにより、表示部の光透過性を向上させることが出来る。なお、このようにブラックマトリックスを備えなくても、本発明では、カラーフィルタ素子間ならびに各フィルタ要素間に隙間を設けるから、これにより混色等によってカラー表示品質が低下するような不具合が生じることを防ぐことが出来る。
【0027】
前記第二電極は、低抵抗の金属または合金の単層または複数層の薄膜で形成すれば良く、例えば、アルミニウム、銀、銀−マグネシウム合金、カルシウム等の金属薄膜を使用することが出来る。この第二電極は、本発明では、光の透過率を考慮する必要がなく、低抵抗材料を用いることができ、しかも、膜厚を所望の値にする(大きくする)ことが出来る。したがって、当該電極の配線抵抗を低く抑えることができ、当該電極を例えば共通電極(走査電極)とすれば良好な表示品質を得ることが可能となる。
【0028】
有機EL層の積層構造および使用材料は、特に限定されない。例えば、当該有機EL層を、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層を順に積層した5層構造としても良いし、注入層と輸送層を兼用させた3層構造(ホール輸送層、発光層および電子輸送層)その他の構造を採ることも可能である。各層の使用材料についても、後に実施形態において一例を述べるが、これに限定されるものではなく、各種の材料を使用することが可能である。
【0029】
有機EL素子を使用する従来のシースルーディスプレイでは、例えば、有機EL層の両面に配する電極に透明電極を使用することにより光透過性を確保していた。しかしながら、このような従来のディスプレイでは、使用材料を工夫したとしても透明電極は50〜90%程度の透過率を確保することがせいぜいである。これに対して、本発明の表示装置によれば、シースルー領域では、第二電極の配置側に電極が存在しないから、当該領域につき従来のシースルーディスプレイと比較して10%〜50%の光透過率の向上を期待することが出来る。
【0030】
また本発明では、第一電極についても、例えば、第一電極間のギャップを広くしたり、シースルー領域における第一電極の幅を狭くするなどして、シースルー領域に存在する当該第一電極の面積を小さくしても良い。このような構造によれば、シースルー領域において、第二電極およびカラーフィルタ素子の双方だけでなく、第一電極も存在しない部分が増え、シースルー領域の光透過率をより一層高めることが出来る。さらに、各画素内において上記シースルー領域を広くする(画素内において第二電極およびカラーフィルタ素子の占める面積を小さくする)ことによっても、表示部の光透過率を高めることが出来る。
【0031】
なお、各画素においてシースルー領域を広く取ればその分、表示部の光透過率は高くなるが、逆に、第一電極と有機EL層と第二電極とが積層され発光が行われる領域(以下「発光領域」と言う)は小さくなる。したがって、当該表示装置の用途や利用形態、要求仕様等に応じて、シースルー領域の大きさ(画素内における第二電極およびフィルタ要素の配置面積)を決定すれば良い。このように本発明は、画素内におけるシースルー領域と発光領域の比率を、言い換えれば、表示部の透過度(シースルーの程度)と表示部の明るさ(輝度)を、第二電極とフィルタ要素の大きさ(画素内に占める面積)を変えるだけで自由かつ容易に変更することが可能で、当該シースルーディスプレイに求められる仕様・要求に柔軟に対応できる利点を有する。
【0032】
また本発明では、第一電極と有機EL層との間に介在するように積層される層間絶縁膜を備えることが望ましい。隣り合う画素(第一電極)同士の電気的短絡を回避し、クロストーク発光(隣接画素あるいは隣接したサブ画素(フィルタ要素部分)に意図しない発光)が生じることを防ぐためである。またこの層間絶縁膜は、電気的な絶縁性を有することに加えて前記シースルー領域における表示部の光透過性を確保するために透光性を有するものとする。なお、このような層間絶縁膜に使用可能な材料は、後の実施形態の説明において述べる。
【0033】
さらに、上記層間絶縁膜は、第一電極と第二電極の交差領域において第一電極と有機EL層とを接触させて発光部を形成する開口を有するものとする。この開口は、平面から見たときに、その幅が第二電極の幅より大きくすることが望ましい。積層時に第二電極が位置ずれしても、当該電極が開口から外れることがないようにし、所定の輝度が得られるようにするためである。
【0034】
また、平面から見たときに上記開口は、前記フィルタ要素より小さく、当該開口の縁(全周)がフィルタ要素の外縁の内側に収まるように形成することが好ましい。層間絶縁膜(開口)が位置ずれしても、発光部が各フィルタ要素から外れることがないようにし、色再現性が低下することを防ぐためである。
【0035】
さらに第二電極と前記フィルタ要素との寸法関係を述べれば、本発明では、フィルタ要素の幅を、第二電極の幅より大きくすることがある。第二電極が位置ずれしても当該第二電極が(したがって発光部が)フィルタ要素から外れることがないようにし、色再現性の低下が生じることを防ぐためである。
【0036】
一方、本発明の別の態様としては、逆に、各フィルタ要素の幅を、第二電極の幅より小さくしても良い。このような装置構造によれば、フィルタ部分が小さく、表示部の光透過性が高いディスプレイを構成することが出来る。
【0037】
本発明における表示部の典型的な構造を述べれば、次のとおりである。
前記有機EL素子が支持基板上にマトリックス状に配列され、前記画素が方形(正方形または長方形)の平面形状を有する。また、前記第一電極および第二電極として、一定の間隔を隔てて平行に延びる複数本の短冊状の電極をそれぞれ備え、これら第一電極および第二電極が、平面から見たときに画素内で互いに略直交し、前記フィルタ要素は、これら第一電極と第二電極とが交差した位置に配置され、第二電極は、画素の対向する1組の辺を横切りかつ当該辺の長さより小さな幅を有する。
【0038】
また、本発明の一態様では、第一電極と第二電極との交差領域内に、フィルタ要素が配置されることにより有機EL層からの発光光が当該フィルタ要素を通過することなる濾光領域と、フィルタ要素が配置されないことにより有機EL層からの発光光がフィルタ要素を通過せずに出射することとなる無濾光領域とを備える。
【0039】
このような態様によれば、フィルタ素子を通過する上記濾光領域からの出射光によりカラー表示を行う一方で、フィルタ素子を通過しない無濾光領域からの出射光により表示画面の輝度を高めることが出来る。また、各画素におけるこれら濾光領域と無濾光領域の面積比率を変えることにより、画面の色味(色合い/色調)を調整することも可能となる。
【0040】
さらに本発明では、第二電極の、有機EL層に対向する側の面を鏡面としても良い。有機EL層で得られた発光光を当該鏡面で第一電極側(表示部の正面側)に反射させ、表示部の輝度を増すためである。シースルー領域の面積を大きくして表示部の光透過性を増大させればその分、発光領域は小さくなるが、当該構造によれば、輝度の低下を抑えることが出来る。
【0041】
また、前記本発明あるいは上記のように第二電極に鏡面を形成する場合には、第二電極を有機EL層の上に形成する前に、当該第二電極に対向する側の前記有機EL層の面を平坦化するような工夫を施しておくことが好ましい。当該鏡面の平滑度を高めて反射率を向上させるためである。この平坦化の方法は特に問わない。例えば、有機EL層を機械的・物理的な処理(例えば研磨等)によって平滑化しても良いし、有機EL層を導電性ポリマーなどの薄膜形成時に液状または液状にできるタイプの材料を用いて形成することによっても平坦化が可能である。
【0042】
前記第二電極は、各画素について複数本備えるようにしても良い。各画素を横切る第二電極を1本の電極で構成するのではなく、これより細い複数の電極に分ければ、第二電極(特に、第二電極の延びる方向に隣接するカラーフィルタ素子とカラーフィルタ素子との間、ならびに、各画素内におけるフィルタ要素とフィルタ要素との間における第二電極の存在)が目立たなくなり、表示部全体として見たときの光透過性(表示部背後の見えやすさ)を向上させることが出来る。
【0043】
また本発明では、前記層間絶縁膜の上に積層されて有機EL層の天面より高い天面を有する積層体をさらに備えても良く、更に、基板中を導波する光を表示面側に出光させるように当該積層体をテーパー形状や逆テーパー形状等に作製しても良い。
【0044】
従来、層間絶縁膜の上には、第二電極(有機EL層の上面側に配される電極)を縞状に形成するための隔壁が備えられることがある。この隔壁は、一般に「素子分離層」あるいは「陰極隔壁」等と称され、後に形成すべき第二電極の延在方向に平行に縞状に形成され、各隔壁は層間絶縁膜上に起立して一定の高さを有し、有機EL層およびその上に形成される第二電極の天面より高い天面を有する。これは、第二電極の材料を縞状のパターンマスクを使わずに蒸着等により表示部に一様に堆積させても、当該隔壁により作られる段差によって隣り合う第二電極を分離し、隔壁と隔壁との間に縞状の第二電極を形成できることを利用したものである。
【0045】
一方、本発明では、第二電極の典型的な形成方法として、例えば縞状のパターンマスク(メタルマスク)を使用して第二電極を形成するから、上記隔壁のような積層体は必ずしも必要ない。しかしながら、上記隔壁のように層間絶縁膜上に起立する積層体を設けておけば、第二電極を形成するとき使用するマスクによって既に形成されている層(例えば有機EL層)が傷付けられることを防ぐことが出来る。したがって、本発明の一態様では、層間絶縁膜の上に積層されて有機EL層の天面より高い天面を有する積層体(別の表現をすれば、スペーサ)を備える。なお、この積層体(隔壁/スペーサ)も層間絶縁膜と同様に、表示部の光透過性を高めるために透光性を有する材料により形成することが好ましい。
【0046】
また、層間絶縁膜上の上記積層体(スペーサ)は、隔壁構造でなく円柱や多角柱などの柱状構造体であっても良い。この場合、積層体の光透過性が十分高くなくてもそのサイズをパターンマスクを支えるための必要最小限のサイズとすることができるため、ディスプレイの光透過性を損なうことが少なくなり、積層体の材料選択が制約され難くなる。また、前記層間絶縁膜上の積層体としてこのような柱状構造体を採用する場合には、導電性を有する材料を使用することも可能となる。この柱状構造体は径や幅が高さと同程度であればパターンマスクの接触により折れることがほぼ無くなるが、使用する材料の強度やパターンマスクが接触する力にも依るため、当該柱状構造体の径や幅と高さの比は、使用材料の強度やパターンマスクの接触力に対応した値に適宜設定すれば良い。また、柱状構造体の配設数(設置する密度)は少ない方がディスプレイの光透過性を高めることが容易になるが、パターンマスクの撓みや接触させる力によってマスクの接触を防ぐのに必要な設置密度は変わるため、使用するマスクに応じて出来るだけ高い光透過性を確保するように柱状構造体の設置密度を決定すれば良い。さらに、当該柱状構造体の断面形状は支持基板に近い側が大きく/広く、遠い側が小さく/狭くなっている方が強度的に望ましい。
【0047】
また、本発明では、表示部を覆うように支持基板に固定した封止板をさらに備えることがある。この封止板は、例えばガラスや樹脂等の透光性を有する材料により形成する。
【0048】
また、当該封止板に代え、あるいは封止板に加えて、表示部を覆う封止薄膜を備えても良い。この封止薄膜は、透光性を有しかつ表示部への水分の侵入を阻止または抑制可能な膜とする。このような膜を備えれば、水分を取り除くため従来備えられていた乾燥剤を省くことが可能となり、その分、ディスプレイを小型化および薄型化することが出来る。封止薄膜の材料および構造は、特に限定されないが、例えば、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素、酸化炭化珪素および酸化アルミニウムのいずれか1以上を主成分とした単層膜または複数膜を積層した積層膜とすることが出来る。膜厚は、例えば0.1〜10μm程度とすれば良い。またこれらの封止薄膜には10%以下の水素が含まれていても良い。
【0049】
また本発明において前記第二電極は、中央部から縁部に向かうにつれ肉厚が薄くなる断面形状を有する場合がある。第二電極をこのような構造とすれば、上記封止薄膜を備える場合に当該薄膜によって第二電極の縁部が良好に覆われ、被覆不良による不具合(例えば水分の浸入による暗点発生)を生じ難くすることが出来る。
【0050】
また本発明では、表示部の背面側(表示部背面の後方)に、別の表示手段、すなわち前記表示部による表示とは異なる表示を行うことが可能な表示手段をさらに備え、この表示手段からの光(当該表示手段から放射される光、または当該表示手段で反射される光)を、前記シースルー領域を通して透過させて表示部の正面側から視認できるようにしても良い。
【0051】
このような表示装置によれば、例えば、前面に配置したシースルーディスプレイの画像と後方に配置した上記表示手段による表示とを切り換えて表示したり、両者を合成した表示を行うことが可能となる。上記表示手段には、例えば、画像を表示可能な各種のディスプレイ(有機ELディスプレイや液晶ディスプレイ等)が含まれるが、ディスプレイ以外にも、例えば、単に光を照射するだけの照明装置であっても良く、それ自体光を放射することのない(反射する光によって視認可能な)各種の表示であっても構わない。当該表示手段として照明装置を備える場合、例えば当該照明装置を様々な色彩の光を放射できる発光体とすれば、当該発光体から照射される光と、前面に配したシースルーカラー有機ELディスプレイによる画像とを合成することにより、様々な画像表現を行うことが可能となる。
【0052】
さらに本発明では、光を電力に変換する光発電手段(太陽電池等の光起電力効果を利用して光エネルギを電気に変換する手段)を表示部の背面側(表示部背面の後方)に備えても良い。このように光発電手段を備えれば、本発明を適用する機器(例えば携帯電話機のような携帯電子機器)に表示機能だけでなく発電機能を付与することが出来る。しかもこのような本発明の構造によれば、光発電手段をディスプレイの背面に組み込むから、装置筐体内の配置スペースを効率良く利用することができ、本発明に係る表示装置を組み込む電子機器を小型化することが出来る。
【0053】
例えば、シースルーではないディスプレイと太陽電池を組み合わせること、すなわち表示機能と光発電機能の両機能を電子機器に備えようとすると、従来であれば両者についてそれぞれの配置スペースが必要となり、当該機器が大型化してしまう。また、配置スペースの制約上、ディスプレイと太陽電池を同一面内に配置できない場合には、ディスプレイの側面や背面に太陽電池を配置する必要があり、表示機能と発電機能を同時に機能させることが難しい場合がある。これに対して、上記のような本発明の構造よれば、表示部背面に太陽電池を備え、シースルー領域を透過した光によって当該太陽電池に光を供給することが出来るから、例えば表示機能を利用しながら(表示を見ながら)同時に、あるいは表示部に光が当たるようにしてさえおけば、発電を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、装置構造を複雑化することなく、ディスプレイの背後が明瞭に見える良好なシースルー特性と、高輝度で色再現性が良い良好なカラー表示品質とを同時に備えた透過型カラー有機ELディスプレイを実現することが出来る。
【0055】
本発明の他の目的、特徴および利点は、図面に基づいて述べる以下の本発明の実施の形態の説明により明らかにする。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更を行うことができることは当業者に明らかである。また、各図中、同一の符号は、同一又は相当部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本発明の第一の実施形態に係る透過型カラー有機EL表示装置(裏面側)を示す平面図である。
【図2】図2は、前記第一実施形態に係る表示装置(図1のA−A断面)を示す断面図である。
【図3】図3は、前記第一実施形態に係る表示装置の一部(図1のB部分)を拡大して模式的に示す平面図である(封止薄膜および封止板は省略)。
【図4】図4は、前記第一実施形態に係る表示装置の断面構造(図3のD1−D1断面)を模式的に示す図である。
【図5】図5は、前記第一実施形態に係る表示装置の断面構造(図3のD2−D2断面)を模式的に示す図である。
【図6】図6は、前記第一実施形態の表示装置におけるカラーフィルタの配置を示す平面図である。
【図7】図7は、前記第一実施形態の表示装置における陽極(ITO/第一電極)の配置を示す平面図である。
【図8】図8は、前記第一実施形態の表示装置における層間絶縁膜の配置を示す平面図である。
【図9】図9は、前記第一実施形態の変形例に係る表示装置の一部を前記図3と同様に拡大して模式的に示す平面図である。
【図10】図10は、前記第一実施形態の変形例に係る表示装置の断面構造を前記図4と同様の断面で模式的に示す図である。
【図11】図11は、前記第一実施形態の表示装置に備える陰極を拡大して示す断面図である。
【図12】図12は、前記第一実施形態の表示装置に備える陰極の別の構成例を示す拡大断面図である。
【図13】図13は、本発明の第二の実施形態に係る透過型カラー有機EL表示装置の一部を図3と同様に拡大して模式的に示す平面図である(封止薄膜および封止板は省略)。
【図14】図14は、前記第二実施形態に係る表示装置の断面構造(図13のE1−E1断面)を模式的に示す図である。
【図15】図15は、前記第二実施形態に係る表示装置の断面構造(図13のE2−E2断面)を模式的に示す図である。
【図16】図16は、本発明の第三の実施形態に係る透過型カラー有機EL表示装置の一部を図3と同様に拡大して模式的に示す平面図である(封止薄膜および封止板は省略)。
【図17】図17は、前記第三実施形態に係る表示装置の断面構造(図16のF−F断面)を模式的に示す図である。
【図18】図18は、前記第三実施形態の表示装置におけるフィルタの配置を示す平面図である。
【図19】図19は、前記第三実施形態の変形例に係る表示装置の一部を図3と同様に拡大して模式的に示す平面図である(封止薄膜および封止板は省略)。
【図20】図20は、本発明の第四の実施形態に係る透過型カラー有機EL表示装置の一部を図3と同様に拡大して模式的に示す平面図である(封止薄膜および封止板は省略)。
【図21】図21は、前記第四実施形態に係る表示装置の断面構造(図20のG−G断面)を模式的に示す図である。
【図22】図22は、前記第四実施形態の表示装置におけるフィルタの配置を示す平面図である。
【図23】図23は、従来のカラー有機EL表示装置におけるフィルタの配置を示す平面図である。
【図24】図24は、前記従来のカラー有機EL表示装置の断面構造(前記図4の断面に相当)を模式的に示す図である。
【図25】図25は、前記従来のカラー有機EL表示装置の断面構造(前記図5の断面に相当)を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
〔第1実施形態〕
図1から図2に示すように、本発明の第一の実施形態に係る透過型カラー有機EL表示装置11は、透光性を有する平板状のガラス基板12(以下単に「基板」と言うことがある)と、このガラス基板12の表面に形成した有機EL表示部13(以下「表示部」と言う)と、当該表示部13を覆う封止薄膜14と、当該封止薄膜14により覆われた表示部13をさらに覆って封止する封止板15と、表示部12を駆動するIC(Integrated Circuit/集積回路)16と、IC16に接続されたFPC(Flexible Printed Circuit board/フレキシブルプリント基板)17とを備える。なお、図2において符号51は、前述した別の表示手段および光発電手段(太陽電池)を示すもので、このように表示部13の背面側には別のディスプレイや太陽電池等を備えることも可能である。
【0058】
表示部13は、画像を表示できるように、画素を構成する複数の有機EL素子を二次元的に、すなわち横方向(図1のx軸方向)と縦方向(図1のy軸方向)とにマトリックス状に配列させたもので、図3から図8に拡大して示すように、ガラス基板12の上にカラーフィルタ(フィルタ要素)21と、当該カラーフィルタ21を覆ってこれを保護すると共に表面を平坦化するオーバーコート層22と、透明電極である陽極(第一電極)23と、隣り合う陽極23同士を電気的に絶縁する絶縁膜(層間絶縁膜)24と、発光層を含む有機EL層25と、陰極(第二電極)26とを順に積層することにより形成する。なお、この実施形態の表示装置11は、ガラス基板12側(図2、図4及び図5の下方)へ表示光を出射するボトムエミッション型であり、ICは表示部13をパッシブマトリックス方式により駆動する。
【0059】
カラーフィルタとして本実施形態では、R、G及びBの各フィルタ要素を1つずつ合計3個のフィルタ要素21を各画素に備える。各フィルタ要素21は、陽極23の延在方向に長い長方形の平面形状を有し、互いに隙間を開け、所謂アイランド(島)状に形成する。すなわち、各画素内において各フィルタ要素21は互いに接することが無く平面から見たときに一定の間隔W11を隔てて配置されると共に、隣り合う画素同士についてもフィルタ要素21とフィルタ要素21との間(あるいは、或る画素に備えられたR・G・Bからなるカラーフィルタ素子と、当該画素に隣接する別の画素に備えたR・G・Bからなるカラーフィルタ素子との間)にも、同様に隙間W12を設ける。
【0060】
また特に、本実施形態では、後に述べる陰極26が延びる方向(図1のy軸方向/図3の上下方向)と直交する方向(図1のx軸方向/図3の左右方向)に隣接するフィルタ要素21又はカラーフィルタ素子間に、大きな(陰極26が延びる方向についてのフィルタ要素間の間隔W11より広い)間隔W12を設ける。これにより、陰極26とフィルタ要素21が存在せず光を良好に透過するシースルー領域31を、陰極26と陰極26との間に陰極26と平行にストライプ状に表示部13に形成することができ、良好なシースルー特性(光透過性)を備えた表示装置11を実現することが出来る。
【0061】
なお、このようなパターンを有するカラーフィルタ素子の形成方法は特に問わない。例えば、所定のパターンマスクを通しての蒸着やスパッタ等の気相法により形成しても良いし、フォトリソグラフィー技術(フォトレジスト塗布、パターンマスクを通しての露光、現像およびエッチングの各工程を含む)を利用することにより形成することも可能である(後に述べる陽極23や層間絶縁膜24も同様)。
【0062】
上記各フィルタ要素21の間には、ブラックマトリックスのような遮光膜を設けない。光が透過可能なシースルー領域31を形成するためである。各フィルタ要素21の幅(短辺の長さ)は、陽極23の幅と略同一とし、フィルタ要素21と陽極23とが重なるように配置する。さらに、基板12上に配列したカラーフィルタ素子の上には、前述のようにオーバーコート層22を設ける。このオーバーコート層22は、透光性を有し、カラーフィルタ素子(フィルタ要素21)を保護すると共にカラーフィルタが形成された基板表面を平坦化するもので、単層であっても2以上の層からなるものであっても良い。
【0063】
陽極23は、ITO(Indium Tin Oxide/酸化インジウム錫)により形成する。この陽極23は、オーバーコート層22の上にストライプ状に互いに平行に配列させ、カラーフィルタ素子を構成するR、G及びBの各フィルタ要素21に対応して3本ずつ各画素を通過するように備える。また、これら陽極23の各端部には引出配線19を接続し、これらの引出配線19を表示部13(封止板15による封止空間)から引き出すように配置し、駆動用のIC16と接続する。なお、後に述べる陰極26も同様に、当該陰極26の各端部(表示部13の端部)において引出配線18を接続してこれらを表示部13(封止板15による封止空間)の外部に引き出し、IC16と電気的に接続する。
【0064】
絶縁膜(層間絶縁膜)24は、透光性を有すること、特に、可視光域において高い透過率(可視光域で透過率が例えば80%以上)を有しかつ無色透明に出来るだけ近いことが好ましい。シースルー領域31の光透過率を高め、シースルーディスプレイとしての機能を向上させるためである。また当該絶縁膜24は、電気的には、隣り合う陽極23間に漏れ流れる電流が表示品質に影響を与えない程度以上の抵抗値を有するものとする。このような絶縁膜24は、具体的には、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化タンタルなどを主成分とする無機化合物や、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、ポリイミド樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂などにより形成することが可能である。
【0065】
また、絶縁膜24は、略長方形の平面形状を有する開口24aを備える。この開口24aは、前記フィルタ要素21に対応して各フィルタ要素21の上方位置に配置し、各開口24aは平面から見て各フィルタ要素21の外周の内側に収まるよう形成してある。そして、有機EL層25は、絶縁膜24に設けたこれらの開口24aを通じて前記陽極23と接触するように当該絶縁膜24の上に積層する。
【0066】
有機EL層25は、様々な積層構造を有して良いことは既に述べたとおりであるが、当該有機EL層25は透光性を有しかつ成膜したときにほぼ無色透明の有機材料により構成する。当該表示部13を透過する光への影響を極力排除し、シースルーディスプレイとしての機能を高めるためである。このような有機EL層25は、例えば、α−NPD(Bis [N-(1-naphthyl)-N-pheny] benzidine/ホール輸送層)と、ルブレン(rubrene)をドーピングしたAlq3(トリスキノリナトアルミニウム(tris (8-hydroxyquinoline) aluminum)/発光層)と、Alq3(電子輸送層)と、フッ化リチウム(電子注入層)とをこの順に前記陽極23(絶縁膜24)の上に成膜することにより形成することが出来る。
【0067】
有機EL層25の上には、陰極26を配置する。この陰極26は、ストライプ状に互いに平行に画素数に対応した本数だけ備えるが、必要に応じて画素数に対応した本数以上備えても良く、平面から見て各陰極26が前記陽極23と直交するように配置する。また本実施形態では、当該各陰極26がフィルタ要素21の幅W1ならびに層間絶縁膜の開口の幅W2より狭い幅寸法W3を有するものとし、画素領域(開口24aおよびフィルタ要素21)の略中央位置を横断して前記陽極23と共に有機EL層25を挟むように有機EL層25の上面に配する。陰極26をこのような配置構造とすれば、積層ずれによって陰極26が多少左右(陰極26の延在方向に直交する方向)に位置ずれを起しても、開口24aおよびフィルタ要素21から陰極26が外れることがないから、輝度や色再現性が低下することがなく、表示画質の劣化が生じることを防ぐことが出来る。
【0068】
また、上記陰極26と前記陽極23とにより挟まれた部分(平面から見たときの陽極23と陰極26との交差部分)が発光領域となり、発光された光は、陽極23を透過してガラス基板12に向け図4及び図5の下方へ放射され、フィルタ要素21を通過することにより特定色の光となってガラス基板12の下面から出射されることとなる。
【0069】
陰極26の下面26a(有機EL層25側の面/ディスプレイ表示面側の面)はこれを鏡面としても良い。有機EL層25で発光した光を鏡面となっている陰極26の下面26aで表示面側へ反射させ、高輝度の表示装置を得るためである。また、当該鏡面の反射率を高めるため、陰極26を形成する前にその下層となる有機EL層25の表面を平坦にする処理を行っても良い。この平坦化処理は、前述したように、機械的・物理的な処理(例えば研磨等)や、導電性ポリマーなどの薄膜形成時に液状または液状にできるタイプの材料を用いて有機EL層25を形成するなどの方法によれば良い。陰極26の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銀、あるいは銀−マグネシウム合金等の低電気抵抗の金属を使用する。
【0070】
陰極26の段差は、封止薄膜14を形成する場合に被覆性を良くするため、パターン中央部からパターン縁部にかけて膜厚が薄くなるような断面形状を有することが好ましい。このような形状を備えるものとして、図11および図12に示すように陰極26は、台形の断面形状を有し、左右両縁部において当該陰極26の天面が有機EL層25の天面に向け下り勾配となるように傾斜面(テーパー面)26cを形成してある(後述の第二実施形態でも同様)。これら陰極両縁部の傾斜面26cは、上記封止薄膜14による被覆性の観点から、出来るだけなだらかであることが望ましい。特に、有機EL層25の天面との境界となるパターンの縁部では、当該傾斜面26cの傾斜角θが30°以下、より好ましくは1°以下の小さな角度を有するものとする。
【0071】
また、上記傾斜面26cは、平面である必要はなく、例えば図12に示す陰極66のように湾曲した(下方に凹んだ)曲面66cとしても良い。当該傾斜面66cをこのような曲面とすれば、陰極66の中央部の厚さを大きくして電気抵抗の低抵抗化を図ると同時に、陰極66の縁部の傾斜角θを非常に小さくして上記封止薄膜14による被覆性を良好なものとすることが出来る。
【0072】
なお、上記陰極26,66を形成する金属薄膜を蒸着する際には、ガラス基板12を回転させることで、さまざまな角度から基板12に対し金属を付着させる。これにより、上述したような傾斜面26c,66cを縁部に有する陰極26,66を形成することが出来る。パターン縁部の傾斜角θとしては0.1°〜30°が好ましい。このように陰極26,66のパターン縁部の傾斜角θを30°以下とすれば、封止薄膜14がパターン縁をきれいに覆うこととなり、被覆不良による欠陥(例えば水分の浸入による暗点発生)を生じ難くすることが出来る。なお、本発明における陰極(第二電極)の断面形状は必ずしも上記のような形状に限定されるものではなく、例えば方形(長方形又は正方形)の断面形状であっても良い。
【0073】
陰極26の上には、封止薄膜14を設ける。この封止薄膜14は、透光性を有するものとし、表示部13の全体を覆うように形成する。封止薄膜14の材料としては、例えば酸化シリコンや酸化窒化シリコンなどを使用することが出来る。また、水分の遮断性を高めるため、当該封止薄膜14を例えば酸化シリコンや酸化窒化シリコンの膜の上にポリシラザン等を塗布した多層膜構造とすることも可能である。
【0074】
そして、封止薄膜14を形成した表示部13をさらに覆うように封止板15を配する。
この封止板15は、透光性を有するガラスや樹脂により形成することができ、例えばアクリル系やエポキシ系等の紫外線硬化型樹脂などからなる接着剤によってガラス基板12に接着する。なお、樹脂材料からなる封止板15を使用する場合には、封止効果を高めるため、その少なくとも片面に酸化シリコンや酸化窒化シリコン、アルミナなどを主成分とする水分透過抑制(あるいは防止)効果を有する薄膜を形成しておくことが好ましい。
【0075】
また、封止構造の別の例としては、陰極26を成膜した後に例えばエッチングで凹部を設けたガラス板を貼り付けると共に、このとき外部から視認されない位置に乾燥剤を設置するか、あるいは透明な乾燥剤を当該凹部に塗布するようにしても良い。ただし、このような封止構造によると、乾燥剤を設置するための領域を確保する必要があるため表示装置が大きくなってしまう難がある。これに対し、封止薄膜14を設ける上記実施形態の封止構造によれば、乾燥剤の設置領域を設ける必要がなく、その分、表示装置11を小型化できる利点がある。
【0076】
本実施形態ではさらに、図9から図10に示すように、各画素を通過する各陰極26を前記第一実施形態の陰極より細い複数本の電極26bにより構成しても良い。このように陰極26を複数本の細い電極26bに分ければ、電気抵抗を増大させることなく、また発光光量(輝度)を落とすことなく、陰極26の存在を目立たなくして光透過性(表示部背後の見えやすさ)を向上させることが出来る。なお、図では各画素について3本ずつの電極26bに分割した例を示したが、当該電極26bの数はこれに限られず、2本であっても良いし4本以上とすることも可能である。
【0077】
さらに本実施形態では、図9から図10に符号32で示すように、層間絶縁膜24の上に積層されて有機EL層25よりその高さが高い(有機EL層25の天面より高い天面を有する)従来の素子分離層(陰極隔壁)と同様の絶縁膜(積層体)32をさらに備えても良い。本発明では既に述べたように、典型的にはマスクを使用して所定幅の陰極26を気相成膜法により形成し、従来のように表示部全体に(一様に)陰極材料を堆積させないから、陰極26の形成のために従来の陰極隔壁のような構造物は必ずしも必要ない。しかしながら、上記のような隔壁同様の絶縁膜32を備えておけば、陰極26を形成するときにマスクによって有機EL層25が傷付けられるような事態が生じることを防ぐことが出来る。なお、このような絶縁膜32は、後に述べる第二から第四の実施形態においても形成して良い。
【0078】
〔第2実施形態〕
図13から図15に示すように、本発明の第二の実施形態に係る透過型カラー有機EL表示装置は、前記第一実施形態の表示装置よりフィルタ要素21の大きさを小さくしたものである。具体的には、この表示装置は、前記第一実施形態の表示装置と同様の積層構造を有するが、各フィルタ要素21を略正方形の平面形状を有しかつ陰極26の幅に収まる(陰極26の幅W3より小さい)幅寸法W10を有するものとする。また、層間絶縁膜24の各開口24aは、当該フィルタ要素の形状に合わせて同様に略正方形の平面形状を有するものとし、各フィルタ要素の外縁の内側に収まる大きさW20とする。
【0079】
このような第二実施形態によれば、陰極26と陰極26との間に幅W22の広いシースルー領域31を形成することができ、表示部の光透過性をより一層高めることが出来る。また、本実施形態においても、フィルタ要素21および層間絶縁膜24の開口24aと陰極幅との大小関係が前記第一実施形態とは逆となっているが、陰極26が積層ずれにより多少左右方向に位置ずれしてもフィルタ要素21および層間絶縁膜24の開口24aが陰極26から外れることが無く、前記第一実施形態と同様に、表示画質の劣化が生じることを防ぐことも出来る。
【0080】
〔第3実施形態〕
図16から図18に示すように、本発明の第三の実施形態に係る透過型カラー有機EL表示装置は、陽極23と有機EL層25と陰極26とが重なった発光領域内に、フィルタ要素21を配置することにより有機EL層25からの発光光71がフィルタ要素21を通過することなる濾光領域61と、フィルタ要素21が配置されず有機EL層25からの発光光72がフィルタ要素21を通過せずに出射する無濾光領域62とを備えるものである。
【0081】
より具体的には、本実施形態の表示装置は、前記第一実施形態の表示装置と同様の積層構造を有するものであるが、陰極26の延在方向に関するフィルタ要素21の長さW41を、前記第一実施形態の表示装置に比べて短くする。これにより、陽極23と陰極26が交差する発光領域内に、上記濾光領域61と上記無濾光領域62とを形成する。なお、各フィルタ要素21の幅は、前記第一実施形態と同様に陰極26の幅より大きく、当該フィルタ要素21の幅内に陰極26が収まるように当該各フィルタ要素21を配置する。
【0082】
このような本実施形態によれば、フィルタ素子21を通過する濾光領域61からの出射光71によりカラー表示を行う一方、無濾光領域62からの出射光72により表示画面の輝度を高めることが出来る。また、従来の表示装置と比較して少ない消費電力で同一輝度を実現することも可能となる。さらに、フィルタ要素21の上記長さW41を変えることによって、画面の色味(色合い/色調)を調整することも可能となる。また、フィルタ要素21の幅が陰極26の幅より大きく、陰極26が積層ずれにより多少左右方向に位置ずれしてもフィルタ要素21が陰極26から外れることが無いから、積層ずれによって色味に変化が生じることを防ぐことも出来る。
【0083】
なお、本実施形態では、前記第一及び第二実施形態と異なり、フィルタ要素21を取り囲むようにオーバーコート層22を形成している(即ち、オーバーコート層22の厚さとフィルタ要素21の厚さが略等しくオーバーコート層22の天面とフィルタ要素21の天面とが面一となるようにフィルタ要素21とフィルタ要素21との間にオーバーコート層22を形成している)が、本実施形態においても前記第一実施形態(図4〜図5)および第二実施形態(図14〜図15)のようにフィルタ要素21の天面までを覆うようにオーバーコート層22を形成しても良い(後述の第四実施形態についても同様)。また逆に、前記第一及び第二実施形態におけるオーバーコート層22を、本実施形態(図17)のようなフィルタ要素21を取り囲むオーバーコート層22とすることも可能である。
【0084】
さらに、図19に示すようにフィルタ要素21の幅W42を小さく形成することも可能である。また、当該フィルタ要素21の幅W42を更に小さくして前記図13に示した第二実施形態のように陰極26の幅に収まるようにしても良い。このような構成によれば、陰極26,26間のシースルー領域31に存在するフィルタ要素21の面積を低減し或いは無くすことにより表示部13の光透過性を高めることが出来る。
【0085】
〔第4実施形態〕
図20から図22に示すように、本発明の第四の実施形態に係る透過型カラー有機EL表示装置は、前記第三実施形態と同様に、陽極23と有機EL層25と陰極26とが重なった発光領域内に濾光領域61と無濾光領域62とを備えるものであるが、各フィルタ要素21として複数(この例の場合2つ)のフィルタ要素部21aをそれぞれ備える。そして、これらのフィルタ要素部21aを、陰極26の一方の縁と、他方の縁とにそれぞれ重なるように(陰極26の各縁が各フィルタ要素部21aの略中央位置を通過するように)配置して前記濾光領域61を形成するとともに、両フィルタ要素部21a,21aの間にフィルタ要素部21aが存在しない無濾光領域62を形成する。
【0086】
このような本実施形態によっても前記第三実施形態と同様に、無濾光領域62を通過する発光光72によって輝度を向上させることが出来るとともに、フィルタ要素部21aの大きさや両フィルタ要素部21a,21a間の間隔を変えることによって色味の調整を行うことが出来る。なお、本実施形態においても、積層ずれによって陰極26が左右にずれても、陰極26の各縁にフィルタ要素部21aを配置してあるからから、色味が変化することを防ぐことが出来る。
【0087】
なお、このように発光領域内に濾光領域61と無濾光領域62を形成する場合には、本実施形態のように陰極26の両縁に(片方の縁だけでなく)フィルタ要素21(フィルタ要素部21a)を配置するか、あるいは逆に、陰極26の両縁にフィルタ要素21(フィルタ要素部21a)が配置されないようにする(この場合、陰極26の幅方向の中央部のみにフィルタ要素21又はフィルタ要素部21aが配置されるようにする)ことが、積層ずれによって陰極26が左右にずれたとしても色味の変動を抑えることが出来る点で好ましい。
【0088】
また、濾光領域61と無濾光領域62の形状パターン(発光領域内におけるフィルタ要素21やフィルタ要素部21aの形状)は、例えば無濾光領域62を取り囲むように濾光領域61(フィルタ要素21又はフィルタ要素部21a)を形成するなど、前記実施形態のほかにも様々なものとすることが可能である。なお、上記に限らず、一画素内には異なる色味を有するフィルタ要素21(フィルタ要素部21a)を有する構成としても良い。この場合、フィルタ要素21(フィルタ要素部21a)を適宜選定することで、所望の色味を実現することが可能となる。
【0089】
上記実施形態の比較対照として、図23から図25に従来のカラーフィルタ方式の有機EL表示装置の一例を示す。図23は前記図3に対応する平面図であり、図24は前記図4に対応する断面図、図25は前記図5に対応する断面図である。これらの図に示すように従来の装置構造では、ディスプレイ背面側(図24,図25の上方)からの光は陰極46に遮られて表示部を透過することは出来ず、たとえ陰極46を透明電極としたとしても、表示部の全面にカラーフィルタ41とブラックマトリックス42が形成されているから光透過性が極めて低く、シースルーディスプレイとして実用上機能しない。これに対して、前記本発明の実施形態によれば、装置構造(積層構造)を複雑化することなく、前記シースルー領域31を通じて表示部背後からの光を表示部前面に透過可能な透過性に優れたシースルーディスプレイを構成することが出来る。
【符号の説明】
【0090】
11 透過型カラー有機EL表示装置
12 ガラス基板
13 有機EL表示部
14 封止薄膜
15 封止板
16 表示部駆動用IC
17 FPC
18,19 引出配線
21,41 カラーフィルタ(フィルタ要素)
21a フィルタ要素部
22 オーバーコート層
23 陽極(第一電極)
24 層間絶縁膜
24a 層間絶縁膜の開口
25 有機EL層
26,46,66 陰極(第二電極)
26a 陰極の下面(鏡面)
26b 陰極を構成する電極
26c 陰極の側面(傾斜面)
31 シースルー領域
32 素子分離層(陰極隔壁)
42 ブラックマトリックス
51 別の表示手段(ディスプレイ)又は光発電手段(太陽電池)
61 濾光領域
62 無濾光領域
71 フィルタ要素を通過した発光光
72 フィルタ要素を通過せずに出射した発光光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素毎に備えられ1色以上のフィルタ要素を含むカラーフィルタ素子と、透光性を有する第一電極と、有機EL層と、第二電極とを透光性を有する支持基板の上に順に積層してなる有機EL素子を、画素を構成するように前記支持基板上に二次元的に複数配列させた表示部を備えた透過型カラー有機EL表示装置であって、
平面から見たときに、前記第二電極を各画素の一部のみに存在するように配置すると共に、隣り合う画素に配置するカラーフィルタ素子とカラーフィルタ素子との間に隙間を設け、
これにより、前記第二電極および前記カラーフィルタ素子の双方が配置されておらず光が透過可能なシースルー領域を前記表示部内に形成した
ことを特徴とする透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項2】
前記第一電極と前記有機EL層との間に介在されるように積層される層間絶縁膜を備え、
当該層間絶縁膜は、透光性を有し、かつ、前記第一電極と前記第二電極の交差領域において前記第一電極と前記有機EL層とを接触させて発光部を形成する開口を有する
請求項1に記載の透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項3】
前記有機EL素子は、前記支持基板上にマトリックス状に配列され、かつ、
前記画素は、方形の平面形状を有し、
前記透過型カラー有機EL表示装置は、前記第一電極および前記第二電極として、一定の間隔を隔てて平行に延びる複数本の短冊状の電極をそれぞれ備え、
これら第一電極と第二電極は、平面から見たときに各画素内で互いに略直交し、
前記フィルタ要素は、これら第一電極と第二電極とが交差した位置に配置され、
前記第二電極は、前記画素の対向する1組の辺を横切りかつ当該辺の長さより小さな幅を有する
請求項1または2に記載の透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項4】
前記カラーフィルタ素子は、三原色を構成する第一の色彩を有する第一のフィルタ要素と、三原色を構成する第二の色彩を有する第二のフィルタ要素と、三原色を構成する第三の色彩を有する第三のフィルタ要素とを各画素についてそれぞれ含み、
これら第一から第三の各フィルタ要素は、平面から見たときに、互いに間隔を開けて配置され、かつ、これら各フィルタ要素の間ならびに前記隣り合うカラーフィルタ素子の間にブラックマトリックスを備えていない
請求項1から3のいずれか一項に記載の透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項5】
前記フィルタ要素の幅が、前記第二電極の幅より大きい
請求項1から4のいずれか一項に記載の透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項6】
前記第一電極と前記有機EL層との間に介在されるように積層され、かつ、透光性を有し、かつ、前記第一電極と前記第二電極の交差領域において前記第一電極と前記有機EL層とを接触させて発光部を形成する開口を有する層間絶縁膜を備え、
前記開口の幅が、前記第二電極の幅より大きい
請求項1から5のいずれか一項に記載の透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項7】
前記フィルタ要素の幅が、前記第二電極の幅より小さい
請求項1から4のいずれか一項に記載の透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項8】
前記第一電極と前記有機EL層との間に介在されるように積層され、かつ、透光性を有し、かつ、前記第一電極と前記第二電極の交差領域において前記第一電極と前記有機EL層とを接触させて発光部を形成する開口を有する層間絶縁膜を備え、
平面から見たときに、前記開口が前記フィルタ要素の外縁より内側に収まっている
請求項1から7のいずれか一項に記載の透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項9】
前記第一電極と前記第二電極との交差領域内に、
前記フィルタ要素が配置されて前記有機EL層からの発光光が当該フィルタ要素を通過する濾光領域と、
前記フィルタ要素が配置されず前記有機EL層からの発光光が前記フィルタ要素を通過せずに出射する無濾光領域と
を備えた
請求項1から8のいずれか一項に記載の透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項10】
前記第二電極の、前記有機EL層に対向する側の面が、鏡面である
請求項1から9のいずれか一項に記載の透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項11】
前記第二電極を前記有機EL層の上に形成する前に、当該第二電極に対向する側の前記有機EL層の面を平坦化した
請求項1から10のいずれか一項に記載の透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項12】
前記第二電極は、各画素について複数本備えられている
請求項1から11のいずれか一項に記載の透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項13】
前記第一電極と前記有機EL層との間に介在されるように積層され、かつ、透光性を有し、かつ、前記第一電極と前記第二電極の交差領域において前記第一電極と前記有機EL層とを接触させて発光部を形成する開口を有する層間絶縁膜と、
当該層間絶縁膜の上に積層されて前記有機EL層の天面より高い天面を有する積層体と
をさらに備えた請求項1から12のいずれか一項に記載の透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項14】
前記表示部を覆うように前記支持基板に固定した封止板を備え、
当該封止板は、透光性を有する
請求項1から13のいずれか一項に記載の透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項15】
透光性を有しかつ前記表示部を覆って当該表示部への水分の侵入を阻止または抑制可能な封止薄膜をさらに備えた
請求項1から14のいずれか一項に記載の有機EL表示装置。
【請求項16】
前記第二電極は、中央部から縁部に向かうにつれ肉厚が薄くなる断面形状を有する
請求項1から15のいずれか一項に記載の透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項17】
前記表示部の画像表示側の面を正面、当該正面とは反対側の表示部の面を背面とした場合に、当該表示部の背面側に、前記表示部による表示とは異なる表示を行うことが可能な表示手段をさらに備えた
請求項1から16のいずれか一項に記載の透過型カラー有機EL表示装置。
【請求項18】
前記表示部の画像表示側の面を正面、当該正面とは反対側の表示部の面を背面とした場合に、当該表示部の背面側に、光を電力に変換する光発電手段をさらに備えた
請求項1から16のいずれか一項に記載の透過型カラー有機EL表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−228249(P2011−228249A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199941(P2010−199941)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【出願人】(510086442)TDKマイクロディバイス株式会社 (3)
【Fターム(参考)】