説明

透過型光学的検出システム

透過に基づく検出技術を用いて試験試料中の分析物の存在又は濃度を求めるシステムが提供される。詳細には、光学的検出システムは、照明光源と太陽電池パネルとの間に定められた電磁放射経路に位置決めされたアッセイ装置を含む。費用を有意に増大させることなくシステムの感度及び信号対雑音比を高めるために、照明光源及び/又は太陽電池パネルとアッセイ装置との間の距離を最小限にする。また、照明光源及び/又は太陽電池パネルは、アッセイ装置に直接隣接して位置決めすることもできる。また、システムは、光学フィルタ又は拡散器のような外部光学的構成要素への依存性を減少させるように選択的に制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
本出願は、2004年12月22日に出願された米国特許出願番号第11/022,287号の一部継続出願であり、この全部は、引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
光学的検出システムは、試験試料内の分析物の存在又は濃度を定性的、定量的、又は半定量的に求めるのに用いられることが多い。不都合なことには、従来の光学的検出システムは、一般に、2つの主な問題のうち少なくとも1つに悩まされている。問題の1つは、光学的検出システムは感度がよくて正確であるが、診療所、クリニック、家庭、療養所等における非技術者のような一般消費者が用いるには高価で複雑すぎることである。従って、価格及び複雑さを減少させるために、他の光学的検出システムが開発されてきた。しかし、このようなシステムでは、典型的には、価格及び複雑さの減少が、同時に感度を失うことにより達成されている。このような感度の損失は、全ての用途で必ずしも重大な意味を持つわけではないが、システムが膜ベースのアッセイ装置とともに用いられるときにますます問題となる。詳細には、そのような装置では、膜を通る流体により分析物濃度が希釈される。この場合には、分析物が低濃度であるため、正確な結果を達成するためには、背景干渉(即ち「雑音」)のレベルが検出信号に対して単に大きすぎるようになるだけのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願番号第11/022,287号公報
【特許文献2】米国特許第6,436,651号公報
【特許文献3】米国特許第4,366,241号公報
【特許文献4】米国特許第5,075,077号公報
【特許文献5】米国特許第6,759,121号公報
【特許文献6】米国特許第5,670,381号公報
【特許文献7】米国特許第5,252,459号公報
【特許文献8】米国特許第6,261,779号公報
【特許文献9】米国特許第6,585,939号公報
【特許文献10】米国特許第4,614,723号公報
【特許文献11】米国特許第5,464,741号公報
【特許文献12】米国特許第5,518,883号公報
【特許文献13】米国特許第5,922,537号公報
【特許文献14】米国特許第6,004,530号公報
【特許文献15】米国特許第6,582,930号公報
【特許文献16】米国特許第6,613,583号公報
【特許文献17】米国特許第6,468,741号公報
【特許文献18】米国特許第6,444,423号公報
【特許文献19】米国特許第6,362,011号公報
【特許文献20】米国特許第5,731,147号公報
【特許文献21】米国特許第5,591,581号公報
【特許文献22】米国特許第6,030,840号公報
【特許文献23】米国特許第5,585,279号公報
【特許文献24】米国特許第5,573,909号公報
【特許文献25】米国特許第6,242,268号公報
【特許文献26】米国特許第5,637,509号公報
【特許文献27】米国特許第5,670,381号公報
【特許文献28】米国特許第5,252,459号公報
【特許文献29】米国特許出願公開番号2003/0124739号公報
【特許文献30】米国特許第4,168,146号公報
【特許文献31】米国特許第4,366,241号公報
【特許文献32】米国特許第4,235,601号公報
【特許文献33】米国特許第4,442,204号公報
【特許文献34】米国特許第5,208,535号公報
【特許文献35】米国特許第5,395,754号公報
【特許文献36】米国特許第5,670,381号公報
【特許文献37】米国特許第6,194,220号公報
【特許文献38】米国特許第4,560,902号公報
【特許文献39】米国特許第5,352,951号公報
【特許文献40】米国特許第4,097,776号公報
【特許文献41】米国特許第4,513,023号公報
【特許文献42】米国特許第4,560,902号公報
【特許文献43】米国特許第6,004,686号公報
【特許文献44】米国特許第6,432,516号公報
【特許文献45】米国特許第6,602,618号公報
【特許文献46】米国特許第6,479,930号公報
【特許文献47】米国特許第6,723,192号公報
【特許文献48】米国特許第6,734,469号公報
【特許文献49】米国特許出願公開番号2003/0193289号公報
【特許文献50】米国特許第2004/0119400号公報
【特許文献51】米国特許第2004/0070195号公報
【特許文献52】米国特許第5,534,386号公報
【特許文献53】米国特許第5,225,935号公報
【特許文献54】米国特許第5,910,940号公報
【特許文献55】米国特許第6,411,439号公報
【特許文献56】米国特許第5,827,748号公報
【特許文献57】米国特許第6,084,683号公報
【特許文献58】米国特許第6,235,241号公報
【特許文献59】米国特許第6,556,299号公報
【特許文献60】米国特許第6,566,508号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Lovgren,T.らのClin.Chem.第42巻1196〜1201頁(1996年)
【非特許文献2】Yuan,J.とMatsumoto,K.のAnal.Chem.第70巻596〜601頁(1998年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、現在、使用が容易で安価で信号対雑音比が増大したアッセイ装置のための更に「バランスのとれた」光学的検出システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、試験試料に存在する分析物の存在又は量を検出するための光学的検出システムを提供する。このシステムは、検出プローブと連絡するクロマトグラフ媒体を含むアッセイ装置を含む。また、このシステムは、電磁放射を検出プローブに中継することができる照明光源も含む。検出信号は、照明光源からの電磁放射が、検出プローブに中継されるときに生成される。更に、システムは、検出プローブにより生成される検出信号と位置合わせすることができる太陽電池パネルを含む。照明光源及び太陽電池パネルは、媒体が照明光源と太陽電池パネルとの間に定められる電磁放射経路に位置するようにアッセイ装置の対向する両側部に位置決めされる。媒体は、電磁放射及び検出信号に透過性であり、照明光源、太陽電池パネル、又はその両方が、アッセイ装置から約5ミリメートルより小さい範囲に位置決めされる。
【0007】
光学的検出システムのアッセイ装置は、検出プローブと連絡する多孔性膜を含むことができる。この多孔性膜は、支持部により支えることができる。多孔性膜は、検出信号を生成することができる検出プローブと連通関係にある。また、多孔性膜は、電磁放射及び検出信号に透過性である。
【0008】
クロマトグラフ媒体は、流体チャネルを含むことができる。受容材料は、クロマトグラフ媒体により定められる検出ゾーン内に不動化することができ、該受容材料は、検出プローブ又はその複合体の少なくとも1部に結合するように構成することができる。照明光源は、エレクトロルミネセント装置又は発光ダイオードアレイとすることができる。また、照明光源は、光学的に透過性の接着剤又は超音波結合を用いてアッセイ装置にラミネートすることもできる。
【0009】
また、太陽電池パネルもアッセイ装置にラミネートすることができる。太陽電池パネルは、光学的に透過性の接着剤又は超音波結合を用いてアッセイ装置にラミネートすることができる。
【0010】
太陽電池パネルは、可撓性太陽電池パネルとすることができ、アッセイ装置及び照明光源と対称とすることができる。また、太陽電池パネル、照明光源、又は両方は、アッセイ装置に直接接続する位置にすることができる。更に、太陽電池パネルは、複数の個別領域を含むことができる。
【0011】
本発明の完全で実施可能要件を満たす開示は、その最良の形態をも含めて、当業者に対するものであり、添付の図面を参照して本明細書の残部において更に詳細に述べる。
本明細書及び図面で参照記号を繰り返して用いるときには、本発明の同じ又は類似する特徴を表すことを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の光学的検出システムの実施形態の1つの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態の1つに用いることができるエレクトロルミネセント(EL)装置の断面図である。
【図3a】照明光源及び太陽電池パネルが、アッセイ装置から比較的大きな間隔を置いて配置される本発明の光学的検出システムの実施形態を示す略図である。
【図3b】アッセイ装置への及び該装置からの光を合焦するのに照明レンズ及び検出レンズを用いる本発明の光学的検出システムの実施形態を示す略図である。
【図3c】照明レンズが除去され、照明光源がアッセイ装置に近接して移動された本発明の光学的検出システムの実施形態を示す略図である。
【図3d】検出レンズが除去され、太陽電池パネルがアッセイ装置に近接して移動された本発明の光学的検出システムの実施形態を示す略図である。
【図4】EL照明光源を用いる本発明の光学的検出システムの別の実施形態の斜視図である。
【図5A】アッセイストリップに挿入する前の試料ホルダを示す本発明で用いることができる試料ホルダの実施形態の1つの斜視図である。
【図5B】ストリップが挿入された開放構成での試料ホルダを示す本発明で用いることができる試料ホルダの実施形態の1つの斜視図である。
【図5C】閉鎖構成での試料ホルダを示す本発明で用いることができる試料ホルダの実施形態の1つの斜視図である。
【図6】図5の試料ホルダを挿入することができるカートリッジの実施形態の1つの斜視図である。
【図7】図6のカートリッジ及び図5の試料ホルダを用いる光学的検出システムの実施形態の1つの斜視図である。
【図8】封入体に含まれる図7の光学的検出システムの斜視図である。
【図9】試料ホルダ、及びLEDアレイが配置されるカートリッジを用いる本発明の光学的検出システムの別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
本明細書で用いる場合、「分析物」という用語は、一般に、検出される物質をいう。例えば、分析物は、抗原性物質、ハプテン、抗体、及びその組み合わせを含むものとすることができる。分析物には、限定する意味ではないが、毒素、有機化合物、タンパク質、ペプチド、微生物、アミノ酸、核酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、薬物(治療目的で投与されるもののほか、不正な目的で投与されるものを含む)、薬物中間物又は副産物、細菌、ウイルス粒子及び上の物質の代謝物又は抗体が含まれる。分析物のいくつかの特定の例には、フェリチン;クレアチニンキナーゼMB(CK−MB);ジゴキシン;フェニトイン;フェノバルビタール(phenobarbitol);カルバマゼピン;バンコマイシン;ゲンタマイシン;テオフィリン;バルプロ酸;キニジン;黄体形成ホルモン(LH);卵胞刺激ホルモン(FSH);エストラジオール、プロゲステロン;C反応タンパク;リポカリン;IgE抗体;サイトカイン;ビタミンB2マイクログロブリン;糖化ヘモグロビン(GIy.Hb);コルチゾール;ジギトキシン;Nアセチルプロカインアミド(NAPA);プロカインアミド;風疹IgG及び風疹IgMのような風疹に対する抗体;トキソプラズマIgG(Toxo−lgG)及びトキソプラズマIgM(Toxo−lgM)のようなトキソプラズマ症に対する抗体;テストステロン;サリチル酸;アセトアミノフェン;B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg);抗B型肝炎コア抗原IgG及びIgM(抗−HBC)のようなB型肝炎コア抗原;ヒト免疫不全ウイルス1及び2(HIV 1及び2);ヒトT細胞白血病ウイルス1及び2(HTLV);B型肝炎e抗原(HBeAg);B型肝炎e抗原に対する抗体(抗HBe);インフルエンザウイルス;甲状腺刺激ホルモン(TSH);チロキシン(T4);総トリヨードチロニン(総T3);遊離トリヨードチロニン(遊離T3);癌胎児性抗原(CEA);リポタンパク質、コレステロール、及びトリグリセリド;及びαフェトタンパク質(AFP)が含まれる。乱用薬物及び規制物質には、限定されることを意図しないが、アンフェタミン;メタンフェタミン;アモバルビタール、セコバルビタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、及びバルビタールのようなバルビツレート;リブリウム及びバリウムのようなベンゾジアゼピン;ハシシュ及びマリワナのようなカンナビノイド;コカイン;フェンタニル;LSD;メタカロン;ヘロイン、モルヒネ、コデイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、メタドン、オキシコドン、オキシモルホン及びアヘンのようなアヘン誘導体;フェンシクリジン;及びプロポキシフェンが含まれる。他の可能性のある分析物は、Everhartらに付与された米国特許第6,436,651号及びTomらに付与された第4,366,241号に記載されている。
【0014】
本明細書で用いる場合、「試験試料」という用語は、一般に、分析物を含むことが疑われる生物学的材料をいう。試験試料は、血液、間質液、唾液、眼内レンズ液、脳脊髄液、汗、尿、乳汁、腹水、粘液、鼻汁、痰、滑液、腹膜液、膣液、月経、羊水、精液等を含む生理的流体のようなあらゆる生物学的供給源から誘導することができる。生理的流体のほか、環境又は食品アッセイを行うために水、食品等のような他の液体試料を用いることもできる。また、試験試料として分析物を含むことが疑われる固体材料を用いることもできる。試験試料は、生物学的供給源から得たまま直接用いることもでき、試料の特性を修正するために予備処理を行った後に用いることもできる。例えば、このような予備処理には、血液から血漿を調製すること、粘稠な流体を希釈すること等を含むことができる。また、予備処理の方法には、濾過、沈殿、希釈、蒸留、混合、濃縮、干渉成分の不活化、試薬付加、溶解等を含むこともできる。更に、固体試験試料を改質して液体媒体を形成するか分析物を放出させることも有利である場合がある。
【0015】
詳細な説明
ここで、本発明の種々の実施形態を詳細に参照し、その1つ又はそれ以上の例を以下に述べる。各例は、本発明の説明のために挙げたものであり、本発明を限定するものではない。実際に、本発明には、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく種々の変更形態及び変形形態を用いることができることは当業者には明らかであると考える。例えば、実施形態の1つの一部として図示するか記載した特徴を別の実施形態に用い、更に別の実施形態を得ることができる。従って、本発明は、添付の請求項の範囲及びその同等物に含まれるこのような変更形態及び変形形態を含むものとする。
【0016】
一般に、本発明は、透過型の検出技術を用いて試験試料内の分析物の存在又は濃度を求めるシステムに関する。詳細には、光学的検出システムは、照明光源と太陽電池パネルとの間に定められる電磁放射経路内に配置されるクロマトグラフに基づくアッセイ装置を含む。費用を目立つほど増大させることなくシステムの感度及び信号対雑音比を向上させるために、照明光源及び/又は太陽電池パネルとアッセイ装置との間の距離は最小にする。また、照明光源及び/又は太陽電池パネルは、アッセイ装置に直接隣接して位置決めすることもできる。また、システムは、光学フィルタ又は拡散器のような外部光学的構成要素に対する依存性を減少させるように選択的に制御することができる。例えば、エレクトロルミネセント(EL)装置のような拡散光を放出する照明光源を用いて、典型的にはLEDのような点光源に必要とされる拡散器への依存性を減少させることができる。従って、多くの従来のシステムと異なり、本発明の光学的検出システムは、携帯可能で使用が簡単且つ安価であり、優れた感度及び信号対雑音比を有する。
【0017】
I.アッセイ装置
一般に、本発明に用いられるアッセイ装置は、異種イムノアッセイを行うように構成される。異種アッセイは、錯体化されていないラベル付けされた化学種が錯体化されラベル付けされた化学種から分離されるアッセイである。分離は、例えば、化学種の1つを別の反応槽に移行させるか、濾過、遠心分離、クロマトグラフ法、固相捕捉、磁気分離等による物理的分離により行うことができ、1つ又はそれ以上の洗浄段階を含むことができる。また、分離は、化学種の1つ又は両方の移行が行われないが、化学種が原位置で互いに分離されるという点で非物理的とすることもできる。例えば、特定の実施形態の1つでは、異種イムノアッセイが行われる。このようなイムノアッセイでは、生物に対して病原性又は異質である抗原の存在に応答して抗体が生成される免疫系の機序が用いられる。これらの抗体及び抗原、即ち、免疫反応物は、互いに結合することができ、それによって流体試験試料中でのその特定の抗原の存在又は濃度を求めるのに用いることができる特異性の高い反応機序を引き起こす。
【0018】
例えば、図1を参照し、異種イムノアッセイを行うように構成されたクロマトグラフに基づくアッセイ装置20の実施形態の1つを、以下に更に詳細に記載することにする。ここに示すように、アッセイ装置20は、第1の表面12及び対向する第2の表面14を有するクロマトグラフ媒体23を含む。媒体23の第1の表面12は、支持部21に隣接して配置される。クロマトグラフ媒体23は、一般に、流体チャネル、多孔性膜等のような試験試料が通過することができる材料で作られる。同様に、該媒体23は、光学的に拡散性(例えば拡散透光)であるか透明材料のような電磁放射を伝達することができる材料でも作られる。例えば、特定の実施形態の1つでは、クロマトグラフ媒体23は、限定する意味ではないが、天然、合成、又は合成的に修飾された天然由来材料、例えば多糖類(例えば、紙のようなセルロース材料及び酢酸セルロース及びニトロセルロースのようなセルロース誘導体);ポリエーテルスルホン;ポリエチレン;ナイロン;ポリフッ化ビニリデン(PVDF);ポリエステル;ポリプロピレン;シリカ;塩化ビニル、塩化ビニル−プロピレンコポリマー、及び塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーのようなポリマーを備える多孔性ポリマーマトリクスに均質に分散した不活性化アルミナ、珪藻土、MgSO4、又は他の無機の微粉化材料のような無機材料;天然由来(例えば綿)及び合成(例えばナイロン又はレーヨン)の両方の布;シリカゲル、アガロース、デキストラン、及びゼラチンのような多孔性ゲル;ポリアクリルアミドのようなポリマーフィルム;その他のような材料で形成される光学的に拡散性の多孔性膜で作られる。特定の実施形態の1つでは、クロマトグラフ媒体23は、ニトロセルロース及び/又はポリエーテルスルホン材料で形成される。「ニトロセルロース」という用語は、ニトロセルロース単独とすることもでき、硝酸と、1〜7炭素原子を有する脂肪族カルボン酸のような他の酸との混合エステルとすることもできるセルロースの硝酸エステルをいうことは当然理解される。
【0019】
クロマトグラフ媒体23の大きさ及び形状は、当業者には容易に理解されるように、一般に種々のものとすることができる。例えば、多孔性膜ストリップの長さは、約10〜約100ミリメートルとすることができ、実施形態のいくつかでは、約20〜約80ミリメートル、実施形態のいくつかでは、約40〜約60ミリメートルとすることができる。また、膜ストリップ幅も、約0.5〜約20ミリメートルの範囲とすることができ、実施形態のいくつかでは約1〜約15ミリメートル、実施形態のいくつかでは、約2〜約10ミリメートルとすることができる。同様に、膜ストリップの厚さは、一般に、透過に基づく検出を行うことができるのに十分に小さい。例えば、膜ストリップの厚さは、約500マイクロメートル未満とすることができ、実施形態のいくつかでは約250マイクロメートル未満、実施形態のいくつかでは約150マイクロメートル未満とすることができる。
【0020】
上に述べたように、支持部21は、クロマトグラフ媒体23を支持する。例えば、支持部21は、図1に示すようにクロマトグラフ媒体23に直接隣接して配置することもでき、クロマトグラフ媒体23と支持部21との間に1つ又はそれ以上の介在層を配置することもできる。これにも関わらず、支持部21は、一般に、クロマトグラフ媒体23を支持することができるあらゆる材料で形成することができる。一般に、支持部21は、透明又は光学的に拡散性(例えば拡散透光)材料のような光透過性の材料で形成される。また、支持部21は液体不透過性であり、媒体23を通って流れる流体が支持部21を通って漏れないようにされることが一般に望ましい。支持部として適切な材料の例には、限定する意味ではないが、ガラス;ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(例えばMylar(登録商標)フィルム)、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、エポキシド、メタクリレート、及びポリメラミンのようなポリマー材料;その他が含まれる。クロマトグラフ媒体23の十分な構造的裏当てとするために、支持部21は、一般に、特定の最小厚さを有するように選択される。同様に、支持部21の厚さは、典型的には、その光学的特性に有害な影響を及ぼすほど厚くない。従って、例えば、支持部21の厚さは、約100〜約5,000マイクロメートルの範囲、実施形態のいくつかでは約150〜約2,000マイクロメートル、いくつかの実施形態では約250〜約1,000マイクロメートルの範囲とすることができる。例えば、厚さが約125マイクロメートルの適切な膜ストリップの1つは、マサチューセッツ州ベッドフォードのMillipore Corp.から「SHF180UB25」という名称で入手することができる。
【0021】
当技術分野では公知のように、クロマトグラフ媒体23は、支持部21に流し込み、得られるラミネートをダイカットして望ましい大きさ及び形状にすることができる。或いは、クロマトグラフ媒体23は、単純に、例えば接着剤で支持部21にラミネートすることもできる。実施形態のいくつかでは、ニトロセルロース又はナイロン多孔性膜は、Mylar(登録商標)フィルムに接着される。感圧接着剤のような接着剤を用いて多孔性膜をMylar(登録商標)フィルムに結合する。この種類のラミネート構造は、マサチューセッツのベッドフォートのMillipore Corp.から市販されていると考えられている。適切なラミネートアッセイ装置構造の更に別の例は、Durlev,IIIらに付与された米国特許第5,075,077号に記載されており、これは、本明細書において、引用によりそのまま組み入れられる。
【0022】
支持部21、クロマトグラフ媒体23、及び/又は装置のあらゆる他の層をラミネートするための接着剤の選択は、検出システムに望ましい光学特性及びアッセイ装置を形成するのに用いられる材料を含む種々の因子に応じて決めることができる。例えば、実施形態のいくつかでは、選択した接着剤は、光学的に透明であり、クロマトグラフ媒体23及び支持部21に適合するものとする。光学的透明性にすることより、そうでなければ接着剤が光学的検出システムに及ぼす可能性があるあらゆる悪影響を最小にすることができる。適切な光学的に透明な接着剤は、例えば、(メタ)アクリレートエステル、アクリル酸又は(メタ)アクリル酸モノマーのポリマー等のようなアクリレート又は(メタ)アクリレートポリマーで形成することができる。例示的な(メタ)アクリレートエステルモノマーには、メチルアクリレートのような非3級アルキルアルコールの単官能基アクリレート又はメタクリレートエステル、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソボミルアクリレート、イソボミルメタクリレート、ビニルアセテート、及びその混合物が含まれる。例示的な(メタ)アクリル酸モノマーには、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、等が含まれる。このような光学的に透明な接着剤の例のいくつかは、Alahapperumaらに付与された米国特許第6,759,121号に記載されており、これは、本明細書において引用によりそのまま組み入れられる。更に、適切な透明な接着剤は、ペンシルベニア州グレンロックのAdhesives Research,Inc.からARclear(登録商標)8154という名称で入手することもでき、これは、独立の光学的に透明なアクリル感圧接着剤である。他の適切な透明な接着剤は、「9843」又は「8146」という名称でミネソタ州セントポールの3M Corp.から入手することができる。また、接着剤が塗布される方式でも、アッセイ装置の光学的特性を向上させることができる。例えば、接着剤は、支持部の特定の光学的特性(例えば拡散性)を向上させるものとすることができる。従って、特定の実施形態の1つでは、このような接着剤は、光学的特性を向上させることが望ましい領域に対応するパターンで塗布することができる。
【0023】
再び図1を参照すると、流体がクロマトグラフ媒体23全体を通って移動した後に、該流体を凡そ受け取るようにするために、第2の表面14に吸収性パッド28が設けられる。当技術分野では公知のように、吸収性パッド28は、毛管作用及びクロマトグラフ媒体23を通る流体の流れを促進するのを助けることもできる。試験試料の分析物の検出を開始するために、使用者は、クロマトグラフ媒体23の一部に試験試料を直接付加して該試験試料が図1に矢印「L」で示す方向に進行するようにすることができる。或いは、試験試料は、最初に、クロマトグラフ媒体23と流体的に連絡する試料パッド(図示せず)に付加することができる。吸収性パッド28及び/又は試料パッドを形成するのに用いることができる適切な材料のいくつかには、限定ではないが、ニトロセルロース、セルロース、多孔性ポリエチレンパッド、及びガラス繊維濾紙が含まれる。望むならば、試料パッドは、拡散的又は非拡散的の何れかで付加された1つ又はそれ以上のアッセイ予備処理試薬を含むこともできる。
【0024】
例示した実施形態では、試験試料は、試料パッド(図示せず)から、試料パッドの1端と連絡するように配置された複合パッド22まで進行する。該複合パッド22は、流体が通過することができる材料で形成される。例えば、実施形態の1つでは、複合パッド22は、ガラス繊維で形成される。1つの複合パッド22のみを示しているが、本発明には他の複合パッドも用いることができることは当然理解される。
【0025】
試験試料中に分析物が存在するかどうかを正確に検出するのを助長するために、予め定めた量の検出プローブをアッセイ装置20の種々の位置に付加することができる。このような検出プローブは、分子、ポリマー、デンドリマー等のような直接又は非直接的に光学的な検出が可能な信号を生成することができる物質を含む。適切な検出可能な物質には、例えば、発光化合物(例えば、蛍光、りん光等);放射性化合物;可視化合物(例えば、着色色素又は金属物質、例えば金);信号生成物質を含むリポソーム又は他の小胞;酵素及び/又は基質等を含むことができる。他の適切な検出可能な物質には、Jouらに付与された米国特許第5,670,381号、及びTarchaらに付与された第5,252,459号に記載されているものがあり、これらは、本明細書において引用によりそのまま組み入れられる。検出可能物質が有色である場合には、理想的な電磁放射は、補色主波長の光である。例えば、青色検出プローブは、赤色光を強く吸収する。
【0026】
実施形態のいくつかでは、検出可能物質は、光学的に検出可能な信号を生成する発光化合物とすることができる。例えば、適切な蛍光分子には、限定ではないが、フルオレセイン、ユーロピウムキレート、フィコビリタンパク質、ローダミン、及びその誘導体及び類似物を含むことができる。他の適切な蛍光化合物は、一般に「量子ドット」と呼ばれる半導体ナノ結晶である。例えば、このようなナノ結晶は、化学式CdX(式中、Xは、Se、Te、S等である)のコアを含むことができる。また、ナノ結晶は、上に重なる化学式YZ(式中、YはCd又はZn、ZはS又はSeである)のシェルで不動態化することもできる。また、適切な半導体ナノ結晶の他の例は、Barbera−Guillemらに付与された米国特許第6,261,779号及びDapprichに付与された第6,585,939号にも記載されており、これらは、本明細書においてそのまま組み入れられる。
【0027】
更に、適切なりん光化合物には、ルテニウム、オスミウム、レニウム、イリジウム、ロジウム、プラチナ、インジウム、パラジウム、モリブデン、テクネチウム、銅、鉄、クロム、タングステン、亜鉛等のような金属の1つ又はそれ以上の金属錯体を含むことができる。特に好ましいのは、ルテニウム、レニウム、オスミウム、プラチナ、及びパラジウムである。金属錯体は、水性又は非水性環境での錯体の溶解性を促進する1つ又はそれ以上の配位子を含むことができる。例えば、配位子の適切ないくつかの例には、限定ではないが、ピリジン;ピラジン;イソニコチンアミド;イミダゾール;ビピリジン;ターピリジン;フェナントロリン;ジピリドフェナジン;ポルフィリン、ポルフィン、及びその誘導体が含まれる。このような配位子は、例えば、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、カルボキシレート、カルボキシアルデヒド、カルボキサミド、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、イミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、アミジン、グアニジン、ウレイド、硫黄含有基、リン含有基、及びN−ヒドロキシースクシンイミドのカルボキシレートエステルで置換することができる。
【0028】
ポルフィリン及びポルフィン金属錯体は、メチレン橋でともに連結されたピロール基を有し、内部空洞をキレートする金属とともに環状構造を形成する。これらの分子の多くは、室温の適切な溶媒(例えば水)及び無酸素環境中で強いりん光特性を示す。りん光特性を示すことができる適切なポルフィリン錯体のいくつかは、限定ではないが、プラチナ(II)コプロポルフィリン−I及びIII、パラジウム(II)コプロポルフィリン、ルテニウムコプロポルフィリン、亜鉛(II)−コプロポルフィリン−l、その誘導体等である。同様に、りん光特性を示すことができる適切なポルフィン錯体のいくつかには、限定ではないが、プラチナ(II)テトラ−メソ−フルオロフェニルポルフィン及びパラジウム(II)テトラ−メソ−フルオロフェニルポルフィンが含まれる。更に別の適切なポルフィリン及び/又はポルフィン錯体は、Schmidtらに付与された米国特許第4,614,723号、Hendrixに付与された第5,464,741号、Soiniに付与された第5,518,883号、Ewartらに付与された第5,922,537号、Saqnerらに付与された第6,004,530号、及びPonomarevらに付与された第6,582,930号に記載されており、これらは、本明細書において引用によりそのまま組み入れられる。
【0029】
また、ビピリジン金属錯体は、りん光化合物として用いることができる。適切なビピリジン錯体の例のいくつかには、限定ではないが、ビス[(4,4’−カルボメトキシ)−2,2’−ビピリジン]2−[3−(4−メチル−2,2’−ビピリジン−4−イル)プロピル]−1,3−ジオキソランルテニウム(II);ビス(2,2’ビピリジン)[4−(ブタン−1−アル)−4’−メチル−2,2’−ビ−ピリジン]ルテニウム(II);ビス(2,2’−ビピリジン)[4−(4’−メチル−2,2’−ビピリジン−4’−イル)−酪酸]ルテニウム(II);トリス(2,2’ビピリジン)ルテニウム(II);(2,2’−ビピリジン)[ビス−ビス(1,2−ジフェニルホスフィノ)エチレン]2−[3−(4−メチル−2,2’−ビピリジン−4’−イル)プロピル]−1,3−ジオキソランオスミウム(II);ビス(2,2’−ビピリジン)[4−(4’−メチル−2,2’−ビピリジン)−ブチルアミン]ルテニウム(II);ビス(2,2’−ビピリジン)[1−ブロモ−4(4’−メチル−2,2’−ビピリジン−4−イル)ブタン]ルテニウム(II);ビス(2,2’−ビピリジン)マレイミドヘキサン酸、4−メチル−2,2’−ビピリジン−4’−ブチルアミドルテニウム(II)等が含まれる。りん光特性を示すことができる更に別の適切な金属錯体は、Richterらに付与された米国特許第6,613,583号、Massevらに付与された第6,468,741号、Meadeらに付与された第6,444,423号、Massevらに付与された第6,362,011号、Bardらに付与された第5,731,147号、及びMassevらに付与された第5,591,581号に記載されており、これは、本明細書において引用によりそのまま組み入れられる。
【0030】
場合によっては、本発明の実施形態のいくつかには、「時間分解」ルミネセンス検出技術を用いることができる。時間分解検出には、1つ又はそれ以上の短パルス光でルミネセンスプローブを励起する段階と、その後、典型的には、励起後、残りのルミネセンス信号を測定する前に特定の時間、例えば約1〜約200マイクロ秒、詳細には約10〜約50マイクロ秒待つ段階を含む。このように、あらゆる短寿命りん光又は蛍光の背景信号及び散乱励起放射が排除される。この大半の背景信号を排除することができる能力により、従来の蛍光又はりん光より感度が2〜4の桁大きくなる場合がある。従って、時間分解検出は、特定のルミネセンス材料の特性をうまく利用することにより、照明光源又は散乱過程(励起放射の散乱による)から背景信号を減少させるようにデザインされる。
【0031】
効果的に機能させるために、時間分解技術では、一般に、発光寿命が比較的長いルミネセンス化合物が必要である。これは、あらゆる短寿命の背景信号が散逸したかなり後まで化合物が信号を放出するようにするのに望ましい。更に、ルミネセンス寿命が長ければ、時間ゲート測定に低価格の回路網を用いることが可能になる。例えば、検出可能化合物のルミネセンス寿命は、約1マイクロ秒より大きく、実施形態のいくつかでは約10マイクロ秒より大きく、実施形態のいくつかでは約50マイクロ秒より大きく、実施形態のいくつかでは、約100マイクロ秒〜約1000マイクロ秒とすることができる。また、化合物は、比較的大きな「ストークスシフト」を有することもできる。「ストークスシフト」という用語は、一般に、ルミネセンス放射のスペクトル線又は帯域が励起線又は帯域より長い発光波長に変位することであると定義される。ストークスシフトが比較的大きければ、ルミネセンス化合物の励起波長はその発光波長から遥かに離れたままとすることができ、このことは、励起波長と発光波長との間の差が大きければ放出信号から反射励起放射を排除することが容易になるため望ましい。更に、ストークスシフトが大きければ、試料中のルミネセンス分子及び/又はいくつかの体液(例えば血液)に存在するタンパク質又はコロイドによる光散乱の干渉も最小限になる。また、ストークスシフトが大きければ、背景干渉を排除するための高価で高精度フィルタの必要性も最低限になる。例えば、実施形態のいくつかでは、発光化合物のストークスシフトは、約50ナノメートルより大きく、実施形態のいくつかでは約100ナノメートルより大きく、実施形態のいくつかでは、約100〜約350ナノメートルである。
【0032】
例えば、時間分解検出技術に用いるための蛍光化合物の適切な種類の1つには、サマリウム(Sm(III))、ジスプロジウム(Dy(III))、ユウロピウム(Eu(III))、及びテルピウム(Tb(III))のランタニドキレートが含まれる。このようなキレートは、実質的にこれより短い波長でキレートが励起された後に、強く赤色にシフトした狭帯域長寿命発光を示すことができる。典型的には、このキレートは、分子のランタニドに近接して配置される発色団のため強い紫外線励起帯域を有する。発色団による励起に続き、励起エネルギーが励起発色団からランタニドに移動することができる。これは、ランタニドの蛍光発光特性によるものである。例えば、ユーロピウムキレートは、フルオレセインでは僅か約28ナノメートルであることに比較すると、約250〜約350ナノメートルという例外的に大きなストークスシフトを有する。また、ユーロピウムキレートの蛍光は、他の蛍光ラベルでは約1〜約100ナノ秒であることに比較して長寿命であり、寿命は約100〜約1000マイクロ秒である。また、これらのキレートの発光スペクトルは狭く、典型的には帯域幅が約50%発光で約10ナノメートル未満である。適切なユーロピウムキレートの1つは、N−(p−イソチオシアナトベンジル)−ジエチレントリアミンテトラ酢酸−Eu+3である。
【0033】
また、本発明において、不活性で安定であり、水溶液又は水性懸濁液中で本質的に蛍光であるランタニドキレートを用いることにより、限られた溶解性及び水溶液又は水性懸濁液中での消光問題を有するキレートを保護するのに用いられることが多いミセル形成試薬の必要性を無くすことができる。このようなキレートの例の1つは、4−[2−(4−イソチオシアナトフェニル)エチル]−2,6−ビス([N,N−ビス(カルボキシメチル)アミノ]メチル)−ピリジン[Lovgren,T.らのClin.Chem.第42巻1196〜1201頁(1996年)参照]である。また、いくつかのランタニドキレートは、例外的に高い信号対雑音比も示す。例えば、このようなキレートの1つは、四座β−ジケトナート−ユーロピウムキレート[Yuan,J.とMatsumoto,K.のAnal.Chem.第70巻596〜601頁(1998年)参照]である。上に記載した蛍光ラベルに加えて、本発明に用いるのに適切な他のラベルは、Mullinaxらに付与された米国特許第6,030,840号、Davidsonに付与された第5,585,279号、Singerらに付与された第5,573,909号、Wiederらに付与された第6,242,268号、及びHemmilaらに付与された第5,637,509号に記載されており、これらは、本明細書において引用によりそのまま組み入れられる。
【0034】
上に記載するような検出可能物質は、単独で用いることもでき、粒子(時に「ビーズ」又は「マイクロビーズ」と呼ばれる)と共に用いることもできる。例えば、核、マイコプラズマ、プラスミド、プラスチド、哺乳類細胞(例えば、赤血球ゴースト)、単細胞微生物(例えば細菌)、多糖類(例えばアガロース)等のような天然由来の粒子を用いることができる。更に、合成粒子も用いることができる。例えば、実施形態の1つでは、蛍光又は着色色素でラベルしたラテックス微小粒子が用いられる。本発明には、あらゆる合成粒子を用いることができるが、粒子は、典型的には、ポリスチレン、ブタジエンスチレン、スチレンアクリル−ビニルターポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、ポリビニルアセテート、ポリビニルピリジン、ポリビニジルベンゼン、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリル、ビニルクロリド−アクリレート等、又はアルデヒド、カルボキシル、アミノ、ヒドロキシル、又はそのヒドラジド誘導体で形成される。他の適切な粒子は、Jouらに付与された米国特許第5,670,381号及びTarchaらに付与された第5,252,459号に記載されている可能性がある。適切な蛍光粒子の市販の例には、Molecular Probes,Inc.により商品名「FluoSphere」(赤色580/605)及び「TransfluoSphere」(543/620)で販売されるもののほか、これもMolecular Probes,Inc.から商品名「Texas Red」及び5−及び6−カルボキシテトラメチルローダミンで販売される蛍光カルボキシル化ミクロスフェアも含まれる。また、適切な着色ラテックス微小粒子の市販の例には、Bang’s Laboratory,Inc.により販売されるカルボキシル化ラテックスビーズが含まれる。また、本発明には、金属粒子(例えば、金粒子)を用いることもできる。
【0035】
用いる場合には、粒子の形状は一般に種々とすることができる。例えば、特定の実施形態の1つでは、粒子は、球形である。しかし、本発明では、平皿形、ロッド形、円板形、バー形、管形、不規則な形状等のような他の形状も意図されていることは当然理解すべきである。また、粒子の大きさも種々とすることができる。例えば、粒子の平均の大きさ(例えば直径)は、約0.1ナノメートル〜約1,000ミクロンの範囲、実施形態のいくつかでは約0.1ナノメートル〜約100ミクロンの範囲、実施形態のいくつかでは、約1ナノメートル〜約10ミクロンの範囲とすることができる。例えば、「ミクロン目盛」の粒子が望ましいことが多い。用いる場合には、このような「ミクロン目盛」の粒子の平均の大きさは、約1ミクロン〜約1,000ミクロン、実施形態のいくつかでは約1ミクロン〜約100ミクロン、実施形態のいくつかでは約1ミクロン〜約10ミクロンとすることができる。同様に、「ナノ目盛」の粒子を用いることもできる。このような「ナノ目盛」の粒子の平均の大きさは、約0.1〜約10ナノメートル、実施形態のいくつかでは約0.1〜約5ナノメートル、実施形態のいくつかでは約1〜約5ナノメートルとすることができる。
場合によっては、分析物に更に容易に結合することができるように何らかの方法で検出プローブを修正することが望ましいことがある。このような場合には、検出プローブは、それに接着されて複合プローブを形成する特定の特異的結合要素で修飾することができる。特異的結合要素は、一般に、特異的結合対、即ち、分子の1つが化学的及び/又は物理的に第2の分子に結合する2つの異なる分子の要素をいう。例えば、免疫反応性特異的結合要素は、組み換えDNA法又はペプチド合成により形成されるものを含む抗原、ハプテン、アプタマー、抗体(1次又は2次)、及びその複合体を含むことができる。抗体は、モノクローナル又はポリクローナル抗体、組み換えタンパク質又はその混合物又はフラグメントのほか、抗体及び他の特異的結合要素の混合物とすることができる。このような抗体の調製及び特異的結合要素として用いるためのその適合性の詳細は、当業者には公知である。他の一般的な特異的結合対は、限定ではないが、ビオチン及びアビジン(又はその誘導体)、ビオチン及びストレプトアビジン、炭水化物及びレクチン、相補ヌクレオチド配列(標的核酸配列を検出するためのDNAハイブリダイゼーションアッセイに用いられるプローブ及び捕捉核酸配列を含む)、組み換え法により形成されたものを含む相補ペプチド配列、作動体及び受容体分子、ホルモン及びホルモン結合タンパク質、酵素補因子及び酵素、酵素阻害剤及び酵素等が含まれる。更に、特異的結合対は、元の特異的結合要素の類似物である要素を含むことができる。例えば、分析物と共通な少なくとも1つのエピトープを有する限り、分析物の誘導体又はフラグメント、すなわち、分析物類似物を用いることができる。
【0036】
特異的結合要素は、一般に、種々の公知の技術の何れかを用いて検出プローブに取り付けることができる。例えば、特異的結合要素の検出プローブ(例えば粒子)に対する共有結合は、カルボキシル、アミノ、アルデヒド、ブロモアセチル、ヨードアセチル、チオール、エポキシ及び他の反応性又は架橋官能基のほか、タンパク質カップリング反応を達成することができる残留遊離基及びラジカルカチオンを用いて達成することができる。また、検出プローブの表面は比較的高表面濃度の極性基を含むことができるため、表面官能基は官能化コモノマーとして組み入れることもできる。また、検出プローブは、合成の後にポリ(チオフェノール)等で官能化されることが多いが、検出プローブは、更に修飾することを必要とせずにタンパク質と直接共有結合することができる可能性もある。例えば、実施形態の1つでは、接合の第1の段階は、カルボジイミドを用いてプローブ表面のカルボキシル基を活性化させることである。第2の段階では、活性化カルボン酸基は、抗体のアミノ基と反応してアミド結合を形成する。活性化及び/又は抗体カップリングは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(例えばpH7.2)又は2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)(例えばpH5.3)のような緩衝液中で起こすことができる。得られる検出プローブは、次に、例えばエタノールアミンと接触し、あらゆる残存する活性部位を遮断することができる。全体として、この工程は、抗体がプローブに共有的に取り付けられた接合検出プローブを形成する。本発明には、共有結合のほか、物理吸着のような他の取り付け技術を用いることもできる。
【0037】
再び図1を参照すると、クロマトグラフ媒体23は、その中に、接合検出プローブに結合することができる受容材料が不動化された検出ゾーン31をも定める。例えば、実施形態のいくつかでは、受容材料は、生物学的受容材料とすることができる。このような生物学的受容材料は、当技術分野では公知であり、限定する意味ではないが、抗原、ハプテン、タンパク質A又はG、ニュートラアビジン、アビジン、ストレプトアビジン、キャプトアビジン、1次又は2次抗体(例えば、ポリクローナル、モノクローナル等)、及びその複合体を含むことができる。多くの場合で、これらの生物学的受容材料は、検出プローブに存在する特異的結合要素(例えば抗体)に結合することができることが望ましい。受容材料は、分析物と接合検出プローブとの間に形成された複合体に対する静止結合部位として働く。詳細には、抗体、抗原等のような分析物は、典型的には2つ又はそれ以上の結合部位(例えばエピトープ)を有する。検出ゾーン31に到達すると、これらの結合部位の1つは、接合プローブの特異的結合要素により占められる。しかし、分析物の自由結合部位は、不動化受容材料に結合することができる。不動化受容材料に結合されると、複合化プローブは、新しい三元サンドウィッチ錯体を形成する。
【0038】
検出ゾーン31には、一般に、使用者が試験試料内の特定の分析物の濃度を更に良好に求めることができるように、あらゆる数の個別の検出領域を設けることができる。各領域は、同じ受容材料を含むこともでき、複数の分析物を捕捉するために異なる受容材料を含むこともできる。例えば、検出ゾーン31は、2つ又はそれ以上の個別検出領域(例えば、線、ドット等)を含むことができる。検出領域は、アッセイ装置20を通る試験試料の流れに実質的に垂直な方向の線の形で配置することができる。同様に、実施形態のいくつかでは、検出領域は、アッセイ装置20を通る試験試料の流れに実質的に平行な方向の線の形で配置することもできる。
【0039】
検出ゾーン31は、分析物の検出に対して正確な結果をもたらすが、実際の試験条件では、試験試料中の分析物の相対濃度を求めるのが幾分困難である。従って、アッセイ装置20は、較正ゾーン32も含むことができる。この実施形態では、較正ゾーン32は、検出ゾーン31の下流に位置決めされる。しかし、或いは、較正ゾーン32は、検出ゾーン31の上流に位置決めすることもできる。較正ゾーン32には、クロマトグラフ媒体23の長さを通過する較正プローブ又は非複合化検出プローブに結合することができる受容材料を設けることができる。用いる場合には、較正プローブは、検出プローブと同じ又は異なる材料で形成することができる。一般に、較正プローブは、検出ゾーン31で受容材料に結合しないように選択される。
【0040】
較正ゾーン32の受容材料は、検出ゾーン31に用いられる受容材料と同じか又は異なるものとすることができる。例えば、実施形態の1つでは、受容材料は、生物学的受容材料である。また、較正ゾーン32の受容材料に対して種々の非生物学的材料を用いることが望ましい場合がある。高分子電解質は、正味の正又は負の荷電のほか、一般に中性である正味の荷電を有することができる。例えば、正味の正の荷電を有する高分子電解質の適切な例のいくつかには、限定ではないが、ポリリジン(ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrich Chemical Co.,Inc.から市販されている)、ポリエチレンイミン;ポリ(ジメチルアミン−コ−エピクロルヒドリン)のようなエピクロルヒドリン官能化ポリアミン及び/又はポリアミドアミン;ポリジアリルジメチル−塩化アンモニウム;セルロースコポリマー又は四級アンモニウム水溶性モノマーでグラフトしたセルロース誘導体のようなカチオン性セルロース誘導体;その他が含まれる。特定の実施形態の1つでは、四級アンモニウム水溶性モノマーを含むセルロース誘導体であるCelQuat(登録商標)SC−230M又はH−100(National Starch & Chemical,Inc.から入手可能)を用いることができる。更に、正味の負の荷電を有する高分子電解質の適切な例のいくつかには、限定ではないが、ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸、ナトリウム塩)のようなポリアクリル酸等が含まれる。また、本発明には、両親媒性多価電解質(即ち、極性及び非極性部分を有する)のような他の高分子電解質を用いることもできることも当然理解される。例えば、適切な両親媒性多価電解質の例のいくつかには、限定ではないが、何れもカナダ国ドーバルのPolymer Source,Inc.から入手可能なポリ(スチリル−b−N−メチル2−ビニルピリジニウムヨージド)及びポリ(スチリル−b−アクリル酸)が含まれる。多価電解質を用いる内部較正システムの別の例は、Songらに付与された米国特許出願公開番号2003/0124739号に更に詳細に記載されており、これは、本明細書において、引用によりそのまま組み入れられる。
【0041】
場合によっては、クロマトグラフ媒体23は、使用者にアッセイが適切に行われているという信号を与える対照ゾーン(図示せず)を定めることもできる。例えば、対照ゾーン(図示せず)は、一般に、プローブ又はプローブに不動化された受容材料と化学的及び/又は物理的結合を形成することができる不動化受容材料を含むことができる。このような受容材料の例のいくつかには、限定ではないが、抗原、ハプテン、抗体、タンパク質A又はG、アビジン、ストレプトアビジン、2次抗体、及びその錯体が含まれる。また、対照ゾーン受容材料に種々の非生物学的材料を用いることも望ましい可能性がある。例えば、実施形態のいくつかでは、対照ゾーン受容材料は、非捕捉プローブに結合することができる上に記載したような多価電解質を含むこともできる。対照ゾーンの受容材料は、プローブに対してのみ特異的であるため、分析物が存在するかどうかに関係なく信号を形成する。対照ゾーンは、媒体23に沿うあらゆる場所に位置決めすることができるが、典型的には、検出ゾーン31の上流に位置決めされる。
【0042】
アッセイ装置20を用いて分析物の存在又は不在を試験するのに種々の形式を用いることができる。例えば、「サンドイッチ」形式は、典型的には、分析物が分析物と接合プローブとの間に複合体を形成するように特異的結合要素(例えば抗体)が接合された試験試料を検出プローブと混合する段階が含まれる。これらの複合体は、次に、検出ゾーン内に不動化された受容材料(例えば抗体)と接触することができる。分析物/プローブ接合複合体と不動化受容材料との間に結合が起こり、それによって、分析物の存在を示すために検出可能である「サンドイッチ」複合体の位置が確認される。この技術を用いて、定量的又は半定量的な結果を得ることができる。このようなサンドイッチ型アッセイの例のいくつかは、Grubbらに付与された米国特許第4,168,146号及びTomらに付与された第4,366,241号に記載されており、これらは、本明細書において引用によりそのまま組み入れられる。競合的アッセイでは、ラベル化プローブは、一般に、分析物と同一又は類似物である分子に接合される。従って、ラベル化プローブは、利用可能な受容材料に対して関心のある分析物と競合する。競合的アッセイは、典型的には、各ハプテンが単価であり及び1つの抗体分子のみに結合することができるハプテンのような分析物の検出に用いられる。競合的イムノアッセイ装置の例は、Deutschらに付与された米国特許第4,235,601号、Liottaに付与された第4,442,204号、及びBuechlerらに付与された第5,208,535号に記載されており、これらは、本明細書において引用によりそのまま組み入れられる。種々の他の装置構成及び/又はアッセイの形式も、Lambotteらに付与された米国特許第5,395,754号、Jouらに付与された第5,670,381号、及びMalickらに付与された第6,194,220号に記載されており、これらは、本明細書において引用によりそのまま組み入れられる。
【0043】
II.光学的検出システム
用いるアッセイ装置の特定の種類に関係なく、本発明に従って光学的検出システムを用い、分析物の存在又は不在を検出する。本発明に用いる光学的検出システムは、透過型の測定を用いて信号を最大化し、それによって低分析物濃度での全体的な信号対雑音比を改善する。
【0044】
例えば、再び図1を参照すると、図示した検出システムは、照明光源52及び太陽電池パネル54を用いる。ここに示すように、太陽電池パネル54は、支持部21に近接して配置され、照明光源52は、クロマトグラフ媒体23の第2の表面14に隣接して配置される。同様に、太陽電池パネル54は、クロマトグラフ媒体23の第2の表面14に隣接して配置することができ、照明光源52は、支持部21に隣接して配置することができる。従って、照明光源52は、検出及び較正ゾーン31及び32に同時に光を放出することができ、太陽電池パネル54も、同様に、検出及び較正ゾーン31及び32のプローブから検出信号を同時に受け取ることができる。或いは、照明光源52は、検出ゾーン31及び較正ゾーン32に連続的に光を放出するように構成することができる。また、較正ゾーン32に別個の照明光源及び/又は太陽電池パネル(図示せず)を用いることもできる。
【0045】
特定の種類の複合体、及びレンズ又は他の光誘導要素のような高価な光学的構成要素を必要とすることなく光学的検出システムの信号対雑音比を改善するために、アッセイ装置20からの照明光源52及び/又は太陽電池パネル54の距離は、典型的には最小限にされる。例えば、図3aに示すように、比較的大きな距離進行する光(方向矢印で示す)は、拡散する傾向があり、従って、いくつかの光子が試験試料又は太陽電池パネル54を外れることになる。光散乱を減少させるために、レンズを用いて図3bに示すような望ましい方向の光の焦点を合わせることができる。しかし、図3c及び3dに示すように、このように高価で複雑な機器の必要性は、照明光源52及び/又は太陽電池パネル54を単純にアッセイ装置20に近づけて移動させることにより減少させることができる。短い光路を用いると、光の拡散が少なくなる。例えば、図3cは、照明光源52がアッセイ装置20に近接して位置決めされる実施形態を示し、図3dは、照明光源52及び太陽電池パネル54の両方がアッセイ装置20に近接して位置決めされる実施形態を示す。従って、実施形態のいくつかでは、照明光源52及び/又は太陽電池パネル54は、アッセイ装置20から約5ミリメートルより小さい範囲に、実施形態のいくつかでは約3ミリメートルより小さい範囲に、実施形態のいくつかでは約2ミリメートルより小さい範囲に配置することができる。例えば、照明光源52は、支持部21に直接ラミネートすることができる。同様に、以下に更に詳細に論じるように、照明光源52及び/又は太陽電池パネル54は、場合によっては、クロマトグラフ媒体23に直接接触させることもできる。例えば、照明光源52は、媒体23を支持することができ、それによって支持部としても機能することができる。しかし、他の場合には、照明光源52及び/又は太陽電池パネル54は、生物学的試薬が汚染されるのを避けるのに十分な距離に維持することが望ましいこともある。例えば、照明光源52及び/又は太陽電池パネル54は、時に、アッセイ装置20から約1〜約3ミリメートルの距離に位置決めすることもできる。
【0046】
一般に、照明光源52は、プローブが検出信号を生成するのに十分な強度の電磁放射を生成することができる当技術分野で公知の装置のいずれかとすることができる。電磁放射は、赤外又は紫外光のような可視又は近可視範囲の光を含むものとすることができる。例えば、本発明に用いることができる適切な照明光源には、限定する意味ではないが、発光ダイオード(LED)、閃光ランプ、冷陰極蛍光ランプ、エレクトロルミネセントランプ等が含まれる。照明は、多重化及び/又はコリメートすることができる。場合によっては、照明はパルス化してあらゆる背景干渉を減少させることができる。更に、照明は、連続的とすることもでき、連続波(CW)及びパルス化照明を組み合わせることもでき、この場合、複数の照明ビームが多重化され(例えば、パルス化ビームがCWビームと多重化され)、CW源により引き起こされる信号とパルス化源により引き起こされる信号との間の信号の区別が可能になる。例えば、実施形態のいくつかでは、パルス化照明光源52としてLED(例えば、ヒ化アルミニウムガリウム赤色ダイオード、リン化ガリウム緑色ダイオード、ヒ化リン化ガリウム緑色ダイオード、又は窒化インジウムガリウム紫/青/紫外線(UV)ダイオード)を用いる。本発明に用いるのに適する適切なUV LED励起ダイオードの市販の例の1つは、Model NSHU55OE(Nichia Corporation)であり、これは、10ミリアンペア(3.5〜3.9ボルト)の順方向電流で750〜1000マイクロワットの光パワーを全幅の最大半減が10度、ピーク波長が370〜375ナノメートル、スペクトル半値幅が12ナノメートルのビームにして放出する。
【0047】
場合によっては、照明光源52は、アッセイ装置20は拡散照明を与えるものとすることができる。このようにすると、拡散器のような特定の外部光学的構成要素への依存性を本質的に排除することができる。例えば、実施形態のいくつかでは、複数の点光源(例えばLED)のアレイを単純に用いて、装置20を比較的拡散性の照明とすることができる。比較的安価な方式で拡散照明をすることができる別の特に望ましい照明光源は、エレクトロルミネセンス(EL)装置である。EL装置は、一般に、少なくとも1つが透明で光を逃がすことができる電極間に挟まれたルミネセンス材料(例えば、蛍光体粒子)を用いるキャパシタ構造である。電極間に電圧を加えると、ルミネセンス材料内に変動電場が生じ、それにより、光が生成される。
【0048】
一般に、あらゆる公知のEL装置は、この照明光源52として用いることができる。例えば、本発明において、「無機」又は「有機」ルミネセンス材料を用いるEL装置を用いることができる。適切な「有機」EL装置は、低及び高分子量装置を含む。同様に、適切な無機EL装置は、分散体及び薄膜蛍光体を含む。分散EL装置は、一般に、電極層の間に挟まれた結合剤中に粉末ルミネセンス材料の分散体を含む。一方、薄膜EL装置は、1対の絶縁薄膜と1対の電極層との間に挟まれたルミネセンス薄膜を含み、電気絶縁基層上に配置される。必ずしも必要ではないが、比較的低価格で製造が容易であるため、本発明の特定の実施形態では、分散型EL装置が特に望ましい。
【0049】
例えば、図2を参照すると、本発明に用いることができる分散型EL装置100の実施形態の1つが示される。図示するように、EL装置100は、カソード112、誘電層114、ルミネセンス層116、アノード118、及びフィルム119を有する。望むならば、任意的にカソード112及びフィルム119には、付加的な水不透過性保護層(図示せず)を付加することができる。カソード及びアノード層112及び118それぞれに鉛165が電気的に付加される。カソード112は、金属(半金属を含む)又はその合金(金属間化合物を含む)で形成することができる。カソード112を形成するのに適切な材料の例には、限定ではないが、炭素;アルミニウム、金、銀、銅、プラチナ、パラジウム、イリジウム、及びその合金のような金属;その他が含まれる。カソード112の厚さは、一般に種々とすることができ、電気的絶縁基層(図示せず)上に堆積することができる。例えば、基層は、アルミナ(Al23)、石英ガラス(SiO2)、マグネシア(MgO)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、ステアタイト(MgO−SiO2)、ムライト(3Al23・2SiO2)、ベリリア(BeO)、ジルコニア(ZrO2)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(SiN)、炭化ケイ素(SiC)、ガラス、耐熱ガラス等のようなセラミック材料で形成することができる、また、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート等のようなポリマー材料を用いて基層を形成することもできる。
【0050】
カソード112には、誘電層114が配置される。誘電層114を形成する材料は、一般に、当業者には公知のように種々のものとすることができる。例えば、適切な材料としては、限定する意味ではないが、BaTiO3、(BaxCa1-x)TiO3、(BaxSr1-x)TiO3、PbTiO3及びPb(ZrxTi1-x)O3(「PZT」として知られる)のようなペロブスカイト構造誘電及び強誘電材料;Pb(Mg1/3Nb2/3)O3のような複合ペロブスカイト緩和(relaxation)型強誘電材料;Bi4Ti312及びSrBi2Ta29のようなビスマス層化合物;及び(SrxBa1-x)Nb26及びPbNb26のようなタングステンブロンズ型強誘電材料がある。誘電層114に用いるのに適切な更に別の誘電材料には、SiO2、SiN、SiON、ZrO2、Al23、Al34、Y23、Ta25等のような誘電材料を含むことができる。適切な実施形態の1つでは、誘電層114は、チタン酸バリウム(BaTiO3)で形成される。
【0051】
誘電層114は、当業者に公知の種々の技術の何れを用いて形成することもできる。例えば、層114を形成するのに用いられる誘電材料は、最初に、適切な溶媒と混合することができる。このような溶媒には、例えば、グリコールエーテル、アルキルケトン及び芳香族溶媒を含むことができる。適切なグリコールエーテルには、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル等を含むことができる。適切なアルキルケトンには、アセトン、メチルエチルケトン、エチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のような低級アルキルケトンを含むことができる。適切な芳香族溶媒には、トルエン、キシレン等を含むことができる。実施形態の1つでは、溶媒に、重量で約70%〜約90%の量でチタン酸バリウムを加える。チタン酸バリウム及び溶媒は、次に、共に攪拌して均質なスラリーを形成する。
【0052】
溶媒と混合するとき、誘電材料は、結合剤とも混合することができる。例えば、実施形態のいくつかでは、結合剤は、スラリーの約10〜約30部の量で加える。適切な結合剤は、公知であり、例えば、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート等が含まれる。実施形態のいくつかでは、結合剤は、フェノール及び過剰なエピハロヒドリンの接着性熱可塑反応生成物である。適切なフェノールには、ビスフェノールA、ジクロロビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールACPが含まれる。反応は、グリコールエーテル又は他の適切な溶媒の存在下で行われる。この反応生成物に、約1部のエピハロヒドリン/フェノール反応生成物に対して樹脂約5〜6部の範囲でウレタン又はエポキシ樹脂のような樹脂を加える。このような結合剤は、Kardonに付与された米国特許第4,560,902号及びKardonらに付与された第5,352,951号に更に詳細に記載されており、これらは、本明細書において引用によりそのまま組み入れられる。
【0053】
望むならば、この段階で、又はEL装置100を組み立てた後に、結合剤システムに水を加えることができる。溶媒を除去する前又は後に、水を攪拌してスラリーに入れることができる。結合剤に加える水の量は、用いる特定の結合剤が吸収することができる水の量に応じて幾分変動することになる。例えば、少なくとも約100万分率(「ppm」)(0.0001%)の水が存在する可能性があれば、結合剤は最大量までの水を吸収することになる。例えば、シアノエチルポリビニルアルコール結合剤は、典型的には、最大約40,000ppm(4.0%)の水を吸収する。一方、シアノアルキル化プルラン結合剤は、典型的には、最大約100,000ppm(10.0%)の水を吸収する。しかし、殆どの場合、結合剤に加えられる水の量は、約500ppm(0.05%)〜約20,000ppm(2.0%)である。得られるチタン酸バリウム/樹脂結合剤層114の厚さは、典型的には、約0.2〜約6ミルである。
【0054】
再び図2を参照すると、EL装置100は又、誘電層114に配置されたルミネセンス層116を含む。ルミネセンス層116の材料は、蛍光体粒子を含むことができる。適切な蛍光体粒子には、種々の金属酸化物、硫化物、フッ化物、及びケイ酸塩化合物を含むことができる。例えば、このような蛍光体粒子には、マンガン−及びヒ素−活性化ケイ酸亜鉛(P39蛍光体)、チタン活性化ケイ酸亜鉛、マンガン活性化ケイ酸亜鉛(P1蛍光体)、セリウム活性化ケイ酸イットリウム(P47蛍光体)、マンガン−活性化ケイ酸マグネシウム(P13蛍光体)、鉛−及びマンガン−活性化ケイ酸カルシウム(P25蛍光体)、テルピウム−活性化ケイ酸イットリウム、テルピウム−活性化酸化イットリウム、テルピウム−活性化イットリウムアルミニウム酸化物、テルピウム−活性化酸化ガドリニウム、テルピウム−活性化イットリウムアルミニウムガリウム酸化物、ユウロピウム−活性化酸化イットリウム、ユウロピウム−活性化イットリウムバナジウム酸化物、ユウロピウム−活性化酸硫化イットリウム、マンガン−活性化硫化亜鉛、セシウム−活性化硫化ストロンチウム、ツリウム−活性化硫化亜鉛、サマリウム−活性化硫化亜鉛、ユウロピウム−活性化硫化カルシウム、テルピウム−活性化硫化亜鉛、及びセシウム−活性化硫化カルシウム等を含むことができる。
【0055】
蛍光体粒子により放出される色は、蛍光体の製造の間に定めることもでき、異なる色の蛍光体を混合して合成色を達成することにより定めることもできる。適切な蛍光体の特定の例のいくつかには、マンガン−活性化硫化亜鉛(黄色がかったオレンジ色光放出)、セシウム−活性化硫化ストロンチウム(青色光放出)、ツリウム−活性化硫化亜鉛(青色光放出)、サマリウム−活性化硫化亜鉛(赤色光放出)、ユウロピウム−活性化硫化カルシウム(赤色光放出)、テルピウム−活性化硫化亜鉛(緑色光放出)、及びセシウム−活性化硫化カルシウム(緑色光放出)が含まれる。
【0056】
蛍光体粒子の平均の大きさは、典型的には、約15マイクロメートル未満、実施形態のいくつかでは約10マイクロメートル未満、実施形態のいくつかでは約5マイクロメートル未満である。ルミネセンス層116は、当業者に公知の種々の技術の何れを用いて形成することもできる。例えば、封入蛍光体粒子は、上に記載したような溶媒と混合することができる。溶媒に加えられる蛍光体粒子の量は、例えば、混合物の重量で約60%〜約95%、実施形態のいくつかでは約75%〜約85%の範囲とすることができる。同様に、混合した後、上に記載したような結合剤も蛍光体粒子スラリーと混合される。結合剤は、典型的には、約5〜約40部の量で存在する。望むならば、蛍光体粒子は、保護材料に封入して当技術分野で公知のように水障壁を形成することもできる。蛍光体粒子を封入するための適切な保護材料には、例えば、液晶、ポリマー結合剤、セラミック材料(例えば、コロイド状シリカ、アルミナ等)等が含まれる。封入技術は、Allinikovに付与された米国特許第4,097,776号;Waryに付与された第4,513,023号;Kardonに付与された第4,560,902号:及びKardonらに付与された第5,352,951号に更に詳細に記載されており、これらは、本明細書において引用によりそのまま組み入れられる。
【0057】
蛍光体粒子は、好ましくは、当技術分野で公知の種々の技術の何れかにより滑らかで均質な層に堆積される。このような技術としては、沈降技術、スラリー法(例えばスクリーン印刷、スピンコーティング、及びスピンキャスティング)、電気泳動、又は散粉法(例えば静電散粉、「フォトタッキー(phototacky)」法、及び高圧散粉)がある。沈降技術及びスラリー法には、適切な液体媒体中に蛍光体粒子の分散体を形成する段階が含まれる。特に望ましい堆積方法の1つは、スクリーン印刷である。乾燥時の蛍光体/結合剤層116に対する適切な厚さは、約0.2〜約6ミルである。
【0058】
上に述べた層に加えて、EL装置100は又、フィルム119上に形成されたアノード118を含み、この両方が、ルミネセンス層116を覆って配置される。望ましくは、層118及び119に用いられる材料は、光学的に透明である。例えば、アノード118は、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ、及びアンチモンスズ酸化物のような無機伝導性酸化物で形成することができる。実施形態の1つでは、厚さが約0.2〜1マイクロメートルであるインジウムスズ酸化物(ITO)層を用いる。同様に、フィルム119として用いるのに適切な材料は、ポリマーフィルム(例えばポリエステル)とすることができる。上に記載した実施形態は、単なる例であり、本発明には、あらゆる他の公知のEL装置を用いることができることは当然理解される。例えば、他の適切なEL装置は、Rasmussenらに付与された米国特許第6,004,686号:Terasakiらに付与された第6,432,516号:Watanabeらに付与された第6,602,618号:Tanabeらに付与された第6,479,930号;Naganoらに付与された第6,723,192号:及びYanoらに付与された第6,734,469号のほか、Shirakawaらに付与された米国特許出願公開番号2003/0193289号:Takahashiらに付与された第2004/0119400号、及びNelsonらに付与された第2004/0070195号に記載されており、これらの全ては、本明細書において引用によりそのまま組み入れられる。
【0059】
照明光源52(図1)として用いると、EL装置は、光学的検出システムに種々の利点をもたらすことができる。例えば、多くの従来の光学的検出システムに用いられる点光源(例えばLED)と異なり、EL装置は、比較的均質な拡散光を放出し、従って、一様に照明することができる。これにより、他の点光源照明システムでは必要とされることが多い付加的な拡散器の必要性が排除されることになる。また、EL装置から放出される光強度は、駆動信号の電圧又は周波数を単純に変化させることにより容易に制御することができる。従って、EL装置は、比較的単純且つ携行可能で安価な光学読み取り装置を用いることができる。
【0060】
図1では、アッセイ装置20から分離した構成要素として照明光源52が示される。しかし、本発明は、照明光源がアッセイ装置20と一体化した実施形態も意図している。例えば、実施形態のいくつかでは、支持部21は、光学的検出システムの光源として及びクロマトグラフ媒体23の物理的担体として同時に機能するEL装置である。EL装置を支持部21として用いると、高価であり、過剰に複雑で場所をとるシステムになることが多い付加的な光源が必要でなくなるため、得られる光学的検出システムに実質的な利点がもたらされる。即ち、EL装置は、クロマトグラフ媒体23にラミネートされ、支持部21及び光学的検出システムの光源として同時に機能することができる。EL装置は、巧みに操作及び/又は切断してアッセイ装置20を容易に望ましい形状及び大きさにすることができるある程度の可撓性を有するように選択することができる。支持部21として用いるのに十分な強度及び可撓性を有する市販のEL装置の1つは、イリノイ州バーリッジのGraphic Solutions Int’l,LLCから「Proto−Kut」という名称で入手可能なランプキットである。
【0061】
EL装置は、図4に示すようにアッセイ装置の支持部として用いることができる。詳細には、クロマトグラフ媒体223、EL装置221、吸収性パッド228、及び複合パッド222を含むアッセイ装置220が示される。媒体223は、第1の表面212及び第2の表面214を有し、第1の表面212は、EL装置221に隣接して配置される。検出及び較正信号を供給するために、媒体223により検出ゾーン231及び較正ゾーン232が定められる。更に、検出器254は、媒体223の第2の表面214に隣接して配置される。この特定の実施形態では、EL装置221は、媒体223に対する照明光源及び支持部の両方として機能する。EL装置221のためのリード線256は、配線を介して駆動回路260に接続され、次に、動力源266に接続される。駆動回路260及び動力源266の詳細は、特定のEL装置の必要事項によって決まる。例えば、EL装置221は、対応する大きさが小さいアッセイ装置220により比較的小さい可能性があるため、低電圧回路及び電池動力源を用いてシステムの費用及び複雑さを減少させることができる。しかし、EL装置221を駆動するためにDC電圧をAC出力に変換する駆動回路のような高電圧回路を用いることもできる。このようなACインバータは、50〜5000ヘルツでほぼ60〜300ボルトACを生成することができる。この目的に適切な駆動回路は市販されている。
【0062】
太陽電池パネル54は、多くの種類の太陽電池セルを含むことができる。これらのセルには、限定する意味ではないが、単結晶、多結晶、非晶質、又は二酸化チタンに基づくセルが含まれる。単結晶セルは、シリコンの単一の結晶から切断された薄いシリカから成る。多結晶セルは、鋳造シリコンブロックをスライスしたものであり、破砕ガラスの外観を有する。非晶質セルは、固体又は可撓性裏当て上に活性シリコンの薄膜を配置することにより作られる。二酸化チタンセルは、ヨウ素イオンを含む電解質溶液中の2つの電極間に二酸化チタン粒子を配置することにより作られる。また、太陽電池パネルの性質は、可撓性とすることができる。
【0063】
太陽電池パネル54は、太陽電池パネルがアッセイ装置と実質的に位置合わせするようにアッセイ装置に直接結合することができる。これにより、光がアッセイ装置を通して直接太陽電池パネルに透過するため、必要な光学的要素の数が減少する。従って、光がそれを通って移行する必要がある界面の数が減少する。これにより、光束が良好になり、場が更に一貫し、試験ストリップとの光位置合わせが良好になる。
【0064】
太陽電池パネル54は、アッセイの検出31、231及び較正32、232ゾーンに平行な複数の個別領域45、245を含むことができる。試薬は、検出及び較正ゾーンに配置することができ、検出31、231及び較正ゾーン32、232に信号を生成することができる。例えば、試験試料(即ち血液又は他の体液)は、アッセイを通して移行させるためにアッセイ上に装入することができる。信号生成試薬は、アッセイに沿う種々の点に配置することができ、試料に見出される種々の分析物と反応することができる。試薬が分析物と反応すると、信号又はマーカを生成することができる。
【0065】
このように、太陽電池パネルの個別領域は、個々の検出装置として働き、同時に多数の分析物の濃度を測定するように機能することができる。個別領域は、分析物の異なる濃度又は光吸収に対応する異なる色及び強度を検出することができる。この点に関して、低濃度の分析物は、個別領域で強く光が透過することになり、高濃度の分析物は、個別領域での光の透過が弱いことになる。従って、複数の分析物の存在及び含量は、単一の試験で対応することができる。例えば、4つの分析物の存在又は濃度は、4つの個別領域を有する1つの太陽電池パネルで測定することができる。
【0066】
太陽電池パネルの個別領域に伝達される光信号は、アナログデジタル変換装置を用いてデジタル信号に変換することができる。変換装置は、太陽電池パネルまで直接配線することができる。変換装置は、光信号の強度を測定し、試験の利用者に理解される定量値に変換する。
【0067】
照明光源52及び太陽電池パネル54には別個の光学的構成要素を用いることもでき、共通の光学的構成要素を共有することもできる。例えば、本発明に光拡散器を用いて、検出ゾーンに向かうか及び/又は離れる方向のような特定の方向に光を散乱させることができる。光拡散器は、発光ダイオード(LED)のような「点」光源を用いる検出システムと併用すると特に有用である。例えば、適切な光拡散器には、すりガラス、オパールガラス、不透明プラスチック、化学的にエッチングしたプラスチック、機械加工プラスチック等のような光を種々の方向に散乱する拡散器を含むことができる。オパールガラス拡散器は、均等に光を拡散し、それによって近ランベルト光源を生成するための乳白色「オパール」コーティングを含む。他の適切な光散乱拡散器には、二酸化チタン又は硫酸バリウム粒子のような光散乱材料を含むポリマー材料(例えばポリエステル、ポリカーボネート等)が含まれる。他の実施形態では、照明光源から発散する光線を均質化すること、及び予め決定した方向を付与することの両方を行うホログラフィック拡散器を用いることができる。このような拡散器は、光が伝搬する方向を制御する微小彫刻表面構造を含むことができる。このようなホログラフィック拡散器の例は、Petersenらに付与された米国特許第5,534,386号に更に詳細に記載されており、これは、本明細書において引用によりそのまま組み入れられる。
【0068】
また、光学フィルタ(図示せず)を照明光源52及び/又は太陽電池パネル54に隣接して配置することができる。光学フィルタは、望ましい波長(各)範囲で高透過性、1つ又はそれ以上の望ましくない波長(各)帯域で低透過性であり、照明光源52の望ましくない波長をろ波することができる。例えば、ルミネセンス検出システムでは、望ましくない波長の範囲は、検出可能試料の自家蛍光(autofluoresence)を生成し及び/又は励起最大波長の約25〜約100ナノメートルであり、従って散乱励起照明からの背景雑音の可能性のある供給源である波長を含むことができる。本発明に用いることができる光学フィルタの例のいくつかには、限定ではないが、染色プラスチック樹脂又はゼラチンフィルタ、2色性フィルタ、多層薄膜干渉フィルタ、プラスチック又はガラスフィルタ、エポキシ又は硬化透明樹脂フィルタが含まれる。実施形態の1つでは、太陽電池パネル54及び/又は照明光源52をフィルタ内に埋め込むか封入することができる。
【0069】
また、光を集めて集束するためにレンズを用いることもできる。本発明の特定の実施形態の1つでは、マイクロレンズを用いて試験試料及び/又は太陽電池パネル54に向かって光を集束させる。適切なマイクロ光学レンズには、限定する意味ではないが、屈折率分布型(GRIN)レンズ、球形レンズ、フレネルレンズ等が含まれる。例えば、屈折率分布型レンズは、ほぼ円筒形であり、屈折率が、放物線の側面で半径方向に変化する。球形レンズは、ほぼ球形であり、屈折率が半径方向に一定である。大きさが比較的小さいため、このようなマイクロレンズは、本発明にとっては特に有利である。マイクロレンズを形成するのには、種々の公知の技術の何れを用いることもできる。例えば、マイクロレンズは、基層(例えば、シリコン又は水晶)をアルカリ塩の溶液に沈め、基層に形成された遮蔽物を通して基層と塩溶液との間でイオンが交換され、それによって、屈折率が遮蔽物のパターンに対応して分配する基層が得られるようにすることにより形成することができる。また、感光性モノマーを紫外光線で照射して感光性モノマーの照射部分を重合化することができる。従って、照射部分は、照射部分と非照射部分との間に起こる浸透圧下でレンズ構成に膨張する。別の実施形態では、感光性樹脂は、円形のパターンにしてその軟化点を超える温度まで加熱し、各円形パターンの周囲が表面張力により垂れ下がることができるようにすることができる。この工程は、「熱垂れ下がり工程」と呼ばれる。更に、レンズ基層は、単純に、機械的にレンズの形状にすることもできる。マイクロレンズ又は他のマイクロ光学素子を形成するための更に別の適切な技術は、Watanabeらに付与される米国特許第5,225,935号、Guerraに付与される第5,910,940号、Nishikawaに付与される第6,411,439号に記載されており、これらは、本明細書において引用によりそのまま組み入れられる。
【0070】
更に、黒色コーティング又は色素のような遮蔽物を用いて、光がアッセイ装置20の1つ又はそれ以上の区域を通過しないようにすることができる。また、単一の光ファイバー、ファイバー束、二又ファイバー束のセグメント、直径が大きな光光導体、平面導波路、減衰全反射結晶、2色性鏡、平面鏡又は他の光誘導要素のような光誘導要素を用いて光を望ましい方向に向けることもできる。本発明に用いることができる光学的機能性材料の更に別の例は、Goldenに付与された米国特許第5,827,748号、Brunoらに付与された第6,084,683号、Cattらに付与された第6,235,241号、Rushbrookeらに付与された第6,556,299号、Bentsenらに付与された第6,566,508号に記載されており、これらは、本明細書において引用によりそのまま組み入れられる。
【0071】
望むならば、アッセイ装置自身の光学特性は、検出システムの光学的な要求事項に選択的に合わせて作ることができる。例えば、再び図1を参照すると、本発明の実施形態の1つでは、支持部21を選択的に制御することにより光学的検出システムの性能を最適化する。特定の実施形態の1つでは、例えば、支持部21は、光学的に透過性であり、光が照明光源52から太陽電池パネル54まで進行することができる。また、支持部21は、照明光源52及び/又は太陽電池パネル54のための拡散器として機能し、光学検出システムの信号対雑音比を改善することができる。また、支持部21は、検出システムの光学フィルタとして機能することもできる。従って、図示する実施形態では、照明光源52からの光は、検出ゾーン31及び/又は較正ゾーン32に存在するプローブ(図示せず)により吸収される。プローブは、太陽電池パネル54に到達する前に光学フィルタにより減衰する信号を生成する。光学フィルタは、例えば、放出波長の(各)範囲で高透過性であり、1つ又はそれ以上の望ましくない波長(各)帯域では低透過性であり、太陽電池パネル54から望ましくない波長をろ波して除外する。また、光学的検出システムは、照明光源52とクロマトグラフ媒体23との間に位置決めされた付加的な光学フィルタ(図示せず)を含むこともできる。この付加的な光学フィルタは、励起波長の(各)範囲では高透過性であり、1つ又はそれ以上の望ましくない波長(各)帯域では低透過性とすることができる。或いは、付加的な光学フィルタは、照明光源52及び/又は太陽電池パネル54に一体化することができる。また、支持部21は、他の望ましい光学的品質を有することもできる。例えば、支持部21は、遮蔽部、光誘導要素、レンズ等を含むことができる。場合によっては、支持部21に用いるときには、「マイクロ光学」要素を用いることが望ましい。マイクロ光学要素は、一般に、約2ミリメートル未満の大きさであり、1次元又は2次元に配列される。大きさが小さいため、マイクロ光学要素は、支持部21で更に容易に用いることができる。
【0072】
支持部21が特定の光学特性に最適化される場合には、支持部21を形成するのに用いられる(各)材料は、望ましい光学特性を有するように選択することができる。或いは、単純に、アッセイ装置20を形成する前及び/又は後に望ましい光学的機能性材料を支持部21に付加することができる。このような光学的機能性材料は、種々の方式で支持部21に付加することができる。例えば、光学的機能性材料は、単純に、支持部21の1つ又はそれ以上の表面に染色又はコーティングすることができる。このように付加する場合には、光学的機能性材料は、支持部21の一部又は全表面を覆うことができる。例えば、実施形態の1つでは、光学的機能性材料は、検出ゾーン31及び/又は較正ゾーン32に対応する支持部21の一部に付加される。このように、光学的機能性材料は、使用中にアッセイ装置20により生成される検出又は較正信号を強化することができる。或いは、光学的機能性材料は、支持部21の構造に組み入れることもできる。例えば、エンボス加工、打ち抜き加工、鋳造等のような公知の技術を用いて内部光学素子を形成することができる。
【0073】
本発明の特定の実施形態によれば、光学的検出システムは、分析物の検出感度を強化する種々の他の構成要素を用いることもできる。例えば、検出システムは、時に、アッセイ装置のための試料ホルダを用いることができる。例えば、図5〜図8を参照すると、このような試料ホルダを用いる光学的検出システムの実施形態の1つをこれから更に詳細に記載することにする。例えば、図5は、本発明の光学的検出システムに用いることができる試料ホルダ400の実施形態の1つを示す。ここに示すように、試料ホルダ400は、下側部分402及び上側部分403を含む。上側部分403は、蝶番404の周りを動くことができ、開放位置(図5A及び5B)及び閉鎖位置(図5C)に位置決めすることができるようにする。更に、試料ホルダ400は、ホルダ400を閉鎖位置に固定するために下側掛金415と結合する上側掛金413を含むことができる。また、使用者がホルダ400を容易に把持することができるようにハンドル417を設けることもできる。
【0074】
図示するように、1つ又はそれ以上のアッセイストリップ405は、下側部分402と上側部分403との間に定められる試料ホルダ400の内部に配置することができる。この特定の実施形態では、EL装置412にアッセイストリップ405の支持カード(図示せず)もラミネートされる。これにより、EL装置412は、使用中にアッセイストリップ405に近接して位置決めし、光学的検出システムの信号対雑音比を最適化することができる。EL装置412は、種々の異なる方式でリード線と電気的に接触するように配置することができる。例えば、EL装置の下側表面(例えばカソード側)は、8つ(8)の穴409に隣接して配置することができるが、当然、あらゆる数の穴を用いることができる。図6及び図7を参照すると、これらの穴409は、カートリッジ300の8つ(8)の対応するリード線313(図6及び図7にはそのうちの3つのみを示す)に隣接して配置することができる。詳細には、使用者は、ホルダ400の1つの端部419をカートリッジ300の本体部分310により定められる試料ポート315に位置合わせし、その後、穴409がリード線313の上に位置決めされるまで、試料ポート315を通り平行軌道319を介して試料ホルダ400をスライドさせることができる。このように、EL装置412の下側部(例えばカソード側)は、リード線313と電気的に接触するように配置される。詳細には図示されていないが、EL装置412(例えばアノード側)は、アッセイストリップ405を超えて延び、リード線と電気的に接触することもできる。例えば、リード線(図示せず)は、ホルダが閉鎖されると、リード線がEL装置412の上側表面の延長部分と接触するように試料ホルダ400(図5)の内側部分403の内側表面に配置することができる。従って、使用中に、EL装置412は、アッセイストリップ405に配置される検出プローブに接触する照明を生成する。検出プローブは、試料ホルダ400の上側窓406及びカートリッジ300の上側窓326を通って進行する検出信号を生成する。
【0075】
図9を参照すると、試料ホルダ400及びカートリッジ350を用いる光学検出の別の実施形態が示される。図示するように、この実施形態に用いられるカートリッジ350は、上側窓376を形成する本体部分360を有する。また、カートリッジ350は、平行軌道379を介して試料ホルダ400を挿入することができる試料挿入ポート375を定める。例えば、図7に示す実施形態と同様に、使用者は、試料ホルダ400の取っ手417を掴み、ホルダの端部419をカートリッジ350の試料ポート375に位置合わせすることができる。位置合わせすると、使用者は、次に、試料ホルダ400の上側窓406がカートリッジ300の上側窓376と位置合わせするまで試料ポート375を通して試料ホルダ400をスライドすることができる。
【0076】
図9に示す実施形態では、LED353のアレイを含む回路基板354は、基台351の下に位置決めし、光学的検出システムのための照明光源として働かせる。詳細には図示しないが、試料ホルダ400の下側表面は、同様に、試料ホルダ400をカートリッジ300に挿入するときに基台351を収容する開口部を含む。基台351は、蝶番358を介して本体部分360に接続されるドア364に装着される。ドア364が閉鎖されているとき(手動又は自動で)には、LED353は、活性位置に配置される。図示するように、基台351及びドア364により、LED353は、光学的検出システムを使用する間に、アッセイストリップ405と極めて近接して、場合によってはそれと接触して位置決めすることができる。LED353により生成される照明が確実にアッセイストリップ405に到達することができるようにするために、基台351は、LED353に放出される光に一般に透過性(例えば、光学的に拡散性、透明等)である上側表面352を含む。例えば、上側表面352は、比較的厚さが薄く(例えば、0.5ミリメートル)、光学的に拡散性のポリマー材料で形成することができる。従って、上側表面352を通って透過すると、照明は、アッセイストリップ405に配置された検出プローブに接触して検出信号を生成することができ、これが、試料ホルダ400の上側窓406及びカートリッジ300の上側窓376を通って進行する。基台351の残りの表面は、LED353により放出される光に対し透過性でもそうでなくてもよい。
【0077】
望むならば、図8に示すように、上述の構成要素は、照明光源に放出される電磁放射に透過性でないか太陽電池パネルに位置合わせされず、システムを光学的に隔離する封入体600に含むことができる。例えば、図示する実施形態では、試料ホルダ400(図5)及びカートリッジ300(図6)は、封入体600内に位置決めされる。卵型形状を有するように示されるが、円形、正方形、長方形等のようなあらゆる他の適切な形状及び/又は大きさを用いることができることは当然理解される。更に、当業者には容易に理解されるように、電子回路網、マイクロプロセッサ、ディスプレイ、鏡、光学フィルタ、レンズ等のような他の光学的構成要素を用い、それを封入体600内に光学的に含むこともできる。
【0078】
光学的検出システムが形成される特定の様式に関わらず、本発明によれば、分析物の存在又は濃度を定性的、定量的、又は半定量的に求めることができる。例えば、実施形態の1つでは、分析物の量は、検出ゾーン31で捕捉されるプローブの信号の強度Isを予め決定した分析物濃度と相関することにより定量的又は半定量的に求めることができる。実施形態のいくつかでは、信号の強度Isは、較正ゾーン32で捕捉されるプローブの信号の強度Icと比較することもできる。信号の強度Isは、信号の強度Icと比較することができる。この実施形態では、較正ゾーン32のプローブの総量は、予め決定されていて既知であり、従って、較正の目的で用いることができる。例えば、実施形態のいくつかでは(例えばサンドイッチアッセイ)、分析物の量は、Is対Icの比率に正比例する。他の実施形態(例えば競合的アッセイ)では、分析物の量は、Is対Icの比率に反比例する。検出ゾーン31が含まれる強度範囲に基づき、分析物の全体的な濃度範囲を求めることができる。その結果、較正及び試料試験は、ほぼ同じ条件でほぼ同時に行うことができ、それによって、信頼性のある定量的又は半定量的結果を得ることができ、感度が増大する。
【0079】
任意的に、マイクロプロセッサを用いて、太陽電池パネル54の測定値を定量的又は半定量的に分析物の存在又は濃度を示す結果に変換することができる。マイクロプロセッサは、使用者が最後のいくつかの結果を呼び出すことができるメモリ機能を含むことができる。本発明には、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、ベルヌーイカートリッジ等のようなあらゆる適切なコンピュータ読み取り可能なメモリ装置を用いることができることは当業者には理解されると考える。光学密度(グレースケール)基準を用いて当技術分野では公知のように定量的な結果を容易に得ることもできる。更に、任意的に、データ収集のためにあらゆる公知のソフトウェアを用いることができる。画像を保存した後、カリフォルニア州サニーベールのImageQuantのMolecular Dynamicsのようなあらゆる公知の市販のソフトウェアパッケージを用いて分析することができる。望むならば、結果は、液晶(LCD)又はLEDディスプレイを用いて使用者に伝えることができる。
【0080】
本発明による光学的検出システムは、以下のように生成することができる。ニトロセルロース膜(SHF−120、マサチューセッツ州ベッドフォードのMillipore Corp.)をMylar(登録商標)フィルム支持部にラミネートすることができる。Mylar(登録商標)フィルムは、ペンシルベニア州グレンロックのAdhesives Researchから「ARclear 8154」という名称で入手した透明な接着剤を用いてエレクトロルミネセンス(EL)装置に直接取り付けることができる。泡、粉塵、及び汚染物質が確実に無いように注意する必要がある。EL装置は、イリノイ州バーリッジのBKL,Inc.から入手することができ、大きさは、60ミリメートル×300ミリメートルとすることができる。また、EL装置は、482及び580ナノメートルに2重の幅広の放出最大を有し、「白色」光を放出する。
【0081】
Goldline(商標)(British Biocell Internationalから入手されるポリリジン溶液)を膜上に縞に配置し、較正ゾーンを形成することができる。C反応性タンパクに反応するモノクローナル抗体(BiosPacific,Inc.濃度1ミリグラム/ミリリットル)を多孔性膜に不動化して検出ゾーンを形成することができる。次に、カードは、温度37.5°Cで1時間乾燥することができる。その後、カードをオーブンから除去することができ、セルロース吸い上げパッド(Millipore Co.)を較正ゾーンに近い膜の端部に取り付けることができる。接合及び試料パッドに取り付けるのに用いることができるカードのもう一方の端部は除去することができる。次に、カードをスライスしてストリップ(大きさ4mm×60mm)にすることができる。カルボキシル化青色ラテックスビーズ(0.3ミリメートル、Bang’s Laboratories)をC反応タンパクに反応性のモノクローナル抗体(BiosPacific,Inc.濃度1ミリグラム/ミリリットル)に接合することができる。この接合体は、種々の濃度のC反応タンパク(CRP)血清標準(Kamiya)と混合し、マイクロウェルプレートに入れ、ハーフスティック(half sticks)に対して試験することができる。1分以内に青色検出及び対照ラインが発生することができる。
【0082】
周囲条件で1時間乾燥した後、図5に示すように、横方向流のストリップを1度に4つ試料ホルダに装入することができる。ホルダは、閉鎖されると、EL装置の下側の露出電極がホルダの穴と位置合わせすることができるようにストリップを不動化することができる。試料ホルダは、次に、可撓性太陽電池パネルを収容する封入体に挿入することができる。封入体は、システムを外部環境から光学的に隔離し、太陽電池パネルとアッセイ装置との間に確実に適切に位置合わせすることができる。EL装置は、100V及び400HzでAC動力供給装置(ニューヨーク州ハウパウゲのBehlmanのACM−500)により動力を供給することができる。ばね荷重接触装置(70AD/Male/4−up、カリフォルニア州リバーサイドのBourns)を封入体の内部に装着し、試料ホルダの穴を通して電気的に接触させることができる。
【0083】
照明したアッセイ装置の図は、Visual Basic(VB)ソフトウェアを用いて収集して分析することができる。輝度、露出、ゲイン、飽和及び白バランスを含む種々の画像取得パラメータを制御することができる。また、連続して複数の画像を撮って平均し、雑音を減少させることができる。平均画像を獲得することができると、その特徴及び代表的な背景領域の周りに長方形を配置して大きさを定めることにより分析する関心領域(ROI)(即ち帯域及びその周囲)を識別することができる。背景領域のピクセルの平均値を計算し、これを用いてROIのピクセルを正規化することができる。また、データは、白紙ストリップの画像由来の較正データで補正することもできる。関心のある領域内のピクセルの平均強度及びピクセルの面積は、台形法を用いて計算することができる。
【0084】
また、本発明による光学的検出システムは、次のように生成することもできる。ニトロセルロース膜(SHF−120、マサチューセッツ州ベッドフォードのMillipore Corp.)をMylar(登録商標)フィルム支持部にラミネートすることができる。Mylar(登録商標)フィルムは、ペンシルベニア州グレンロックのAdhesives Researchから「ARclear 8154」という名称で入手される透明接着剤を用いてエレクトロルミネセンス(EL)装置に直接取り付けることができる。泡、粉塵、及び汚染物質が確実に無いように注意する必要がある。EL装置は、イリノイ州バーリッジのBKL,Inc.から入手することができ、大きさは、60ミリメートル×300ミリメートルとすることができる。また、EL装置は、525ナノメートルに放出極大を有し、「緑色」光を放出することができる。
【0085】
C反応性タンパクに反応するモノクローナル抗体(BiosPacific,Inc.濃度1ミリグラム/ミリリットル)を40ナノメートルの大きさのコロイド状金粒子に接合することができる。次に、接合体を2ミリモルホウ酸ナトリウム水和物(Borax、pH7.2)及び50%ショ糖(最終的に10%ショ糖)に希釈することができる。接合体は、Kinematic 1600ディスペンサを用いて、5マイクロリットル/センチメートルの割合、ベッド速度5センチメートル/秒で5ミリメートル幅のガラス繊維ストリップ(Millipore GF33)に噴霧することができる。噴霧した接合体ストリップは、20%未満の相対湿度、室温で一晩乾燥させることができる。接合体ストリップは、次に、乾燥剤とともに不透過性バッグ内に入れてヒートシールすることができる。抗マウスヤギ抗体(GAM)は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に入れて0.1ミリグラム/ミリリットルまで希釈し、Kinematic1600ディスペンサを用いて分取率1マイクロリットル/センチメートル、ベッド速度5センチメートル/秒でニトロセルロース膜(HF120、Millipore)上に縞に配置することができる。また、生合成CRP(KC202004A、2.59ミリグラム/ミリリットル)もGAM試験ラインの下に整然と縞に配置することができる。カードを放置し、37°Cで1時間乾燥することができる。上側吸い上げ及び接合帯域は、3ミリメートルの重なりで取り付け、ニトロセルロース膜上に縞に配置することができる。CRP標準(Scipac)は、PBSで希釈することができる。各標準溶液の200マイクロリットルをストリップに付加することができる。周囲条件で1時間乾燥した後、いくつかの側方流れストリップは、Visual Basicソフトウェアを用いて分析することができる。
【0086】
また、本発明による光学的検出システムは、次のように生成することもできる。EL装置は、イリノイ州バーリッジのBKL,Inc.により製造することができ、60ミリメートル×300ミリメートルの大きさを有することができる。また、EL装置は、525ナノメートルの放出極大を有し、「緑色」光を放出することもできる。EL装置は、100V及び400HzでAC動力供給装置(ニューヨーク州ハウパウゲのBehlmanから入手されるACM−500)により動力を供給することができる。EL装置は、図5〜図8に示すように、ばね荷重接触装置(70AD/Male/4−up、カリフォルニア州リバーサイドのBourns)を用いて試料ホルダの穴を通して電気的に接触させるように、封入体に挿入することができる4mm×60mmストリップに切断することができる。封入体は、可撓性太陽電池パネル(Konarka Technologies、マサチューセッツ州ローエル)を収容することができる。封入体は、システムを外部環境から光学的に隔離し、太陽電池パネルとアッセイ装置との間に確実に適切に位置合わせすることができる。太陽電池パネルは、挿入時に膜の表面から100マイクロメートルとなるように位置決めすることができる。太陽電池パネルの個別領域は、並列に配線することができる。
【0087】
また、本発明による光学的検出システムは、次のように生成することができる。ニトロセルロース膜(SHF−120、マサチューセッツ州ベッドフォードのMillipore Corp.)を含む側方流れストリップをMylar(登録商標)フィルム支持部にラミネートすることができる。Goldline(商標)(British Biocell Internationalから入手されるポリリジン溶液)を膜上に縞に配置して較正ゾーンを形成することができる。C反応タンパクに反応性のモノクローナル抗体(BiosPacific,Inc.濃度1ミリグラム/ミリリットル)を多孔性膜に不動化して検出ゾーンを形成することができる。次に、温度37.5°Cで1時間試料を乾燥することができる。試料をオーブンから取り出した後、セルロース吸い上げパッド(Millipore Co.)を較正ゾーンに近い膜の端部に取り付けることができる。接合体及び試料パッドを取り付けるのに用いることができる試料のもう一方の端部は、除去することができる。次に、試料をスライスして4ミリメートルストリップにすることができる。カルボキシル化青色ラテックスビーズ(0.3ミリメートル、Bang’s Laboratories)をC反応タンパクに反応性のモノクローナル抗体(BiosPacific,Inc.濃度1ミリグラム/ミリリットル)に接合することができる。接合体は、種々の濃度のC反応タンパク(CRP)血清標準(Kamiya)と混合し、マイクロウェルプレートに入れ、ハーフスティックに対して試験することができる。1分以内に青色検出及び対照ラインが生じることができる。
【0088】
図9に示すように照明光源としてLEDアレイを用いることができる。詳細には、11の2×4ミリメートルLED(イリノイ州パラタインのLumexから入手可能なSSL−LX2473GD)を互いに固着して長さ22ミリメートル幅4ミリメートルのアレイを形成することができる。アレイの大きさは、アッセイ装置の大きさと一致することになる。11のLEDからの光は、500マイクロメートル厚さの白色ポリアミドシートを用いて拡散性とすることができる。LEDアレイは、並列に配線し、BK Precision 1735A DC動力供給装置(Yorba Linda)を用いて2.4と3.5VDCの間で駆動することができる。4つのこのようなアレイ(合計44のLEDOをカートリッジ(図9)内にアレイ間の間隔を0.5mmにして互いに隣接するようにを配列することができる。
【0089】
カートリッジは、太陽電池パネルに沿って光密封入体の内部に装着することができる。封入体は、システムを外部環境から光学的に隔離し、太陽電池パネルとアッセイ装置との間を確実に適切に位置合わせすることができる。アッセイストリップの4つをストリップ間を0.5ミリメートル間隔にして試料ホルダ(図5)内に装着することができる。閉鎖されると、試料ホルダはストリップを不動化し、LEDアレイとアッセイ装置の下側との間を密接に接触させるようにすることができる。封入体に挿入すると、LEDは、図9に示すように適所に入るように回転することができる。Visual Basicソフトウェアを用いていくつかの照明されたアッセイ装置の画像を収集し、分析することができる。
【0090】
本発明は、特定の実施形態に関して詳細に記載したが、当業者は、前述の事項を理解すれば、これらの実施形態の変更形態、変形形態、及び同等物を容易に思いつくことができることは当然理解されると考える。従って、本発明の範囲は、添付の請求項及びそのあらゆる均等物の範囲であると判断する必要がある。
【符号の説明】
【0091】
12 第1の表面
14 第2の表面
20 アッセイ装置
21 支持部
22 複合パッド
23 クロマトグラフ媒体
28 吸収性パッド
31 検出ゾーン
32 較正ゾーン
45 個別領域
52 照明光源
54 太陽電池パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験試料内に存在する分析物の存在又は量を検出するための光学的検出システムであって、
検出信号を生成することができる検出プローブと連通状態にあるクロマトグラフ媒体を含むアッセイ装置と、
電磁放射を前記検出プローブに伝達することができる照明光源と、
前記検出プローブにより生成される前記検出信号に対して位置合わせすることができる太陽電池パネルと、
を含み、
前記照明光源及び前記太陽電池パネルは、前記媒体が前記照明光源と前記太陽電池パネルとの間に定められる電磁放射路内に位置するように、前記アッセイ装置の対向する両側部に配置されており、
前記媒体は、前記電磁放射及び前記検出信号に透過性であり、前記照明光源、太陽電池パネル、又はその両方が前記アッセイ装置から約5ミリメートルより小さい範囲未満に配置されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記クロマトグラフ媒体が、前記検出プローブと連通状態にある多孔性膜を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学的検出システム。
【請求項3】
前記クロマトグラフ媒体が、流体チャネルを含むことを特徴とする請求項1に記載の光学的検出媒体。
【請求項4】
前記検出プローブ又はその複合体の少なくとも一部に結合するように構成された受容材料が、前記クロマトグラフ媒体により定められる検出ゾーン内に不動化されることを特徴とする請求項1に記載の光学的検出システム。
【請求項5】
前記照明光源が、エレクトロルミネセンス装置であることを特徴とする請求項1に記載の光学的検出システム。
【請求項6】
前記照明光源が、発光ダイオードアレイであることを特徴とする請求項1に記載の光学的検出システム。
【請求項7】
前記照明光源が、前記アッセイ装置にラミネートされていることを特徴とする請求項1に記載の光学的検出システム。
【請求項8】
光学的に透明な接着剤を用いて前記照明光源が前記アッセイ装置にラミネートされていることを特徴とする請求項7に記載の光学的検出システム。
【請求項9】
前記照明光源が、前記アッセイ装置に超音波結合されていることを特徴とする請求項7に記載の光学的検出システム。
【請求項10】
前記太陽電池パネルが、前記アッセイ装置にラミネートされていることを特徴とする請求項1に記載の光学的検出システム。
【請求項11】
光学的に透明な接着剤を用いて前記太陽電池パネルが前記アッセイ装置にラミネートされていることを特徴とする請求項10に記載の光学的検出システム。
【請求項12】
前記太陽電池パネルが、前記アッセイ装置に超音波結合されていることを特徴とする請求項10に記載の光学的検出システム。
【請求項13】
前記太陽電池パネルが、可撓性のある太陽電池パネルであることを特徴とする請求項1に記載の光学的検出システム。
【請求項14】
前記太陽電池パネルが、前記アッセイ装置及び前記照明光源と対称であることを特徴とする請求項1に記載の光学的検出システム。
【請求項15】
前記太陽電池パネルが、前記アッセイ装置と直接接続するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学的検出システム。
【請求項16】
前記照明光源が、前記アッセイ装置と直接接続するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学的検出システム。
【請求項17】
前記照明光源及び前記太陽電池パネルの両方が、前記アッセイ装置と直接接続するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学的検出システム。
【請求項18】
前記太陽電池パネルが、複数の個別領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学的検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−502941(P2010−502941A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526211(P2009−526211)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052811
【国際公開番号】WO2008/026095
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】