説明

通信サービス提供システム、通信サービス制御ノード、移動通信端末装置、通信サービス提供方法

【課題】移動通信端末装置とPDN間でのコネクションが一旦確立した状態に到った後に、移動通信端末装置での設定の変更操作によって他のPDNに接続を切替えるに際し、一旦確立したコネクションを切断せず、且つ、必要なメモリ領域の増大を要しない通信サービス提供システムを実現する。
【解決手段】移動通信端末装置101からPDNに到る伝送路中、コアネットワーク区間CNの終端部にPDN管理ゲートウェイ120を設け、複数のPDNと接続する場合でも移動通信端末装置101と該PDN管理ゲートウェイ120とのPDNコネクションは常に同一とする。その状態で、ユーザ所望のアプリのQnameを移動通信端末装置からPDN管理ゲートウェイに発し、該当するPDNとのコネクションを都度確立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末装置で設定されたAPN(Access Point Name)に応じたPDN(Packet Data Network)へ該移動通信端末装置からのコネクションを確立する、通信サービス提供システム、通信サービス制御ノード、移動通信端末装置、通信サービス提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体通信の発展に伴い、高速で大容量の通信を行うことが至る所で可能となっている。携帯電話機やパーソナルコンピュータ等の移動通信端末装置からインターネット等に接続を行う場合に、移動通信端末装置でAPNを設定し、該設定に対応するPDNへのコネクションを確立する必要がある。ここに、PDNとは、ISP(Internet Service Provider)などのサービス提供基盤を示し、例えば、iモード(登録商標)などもPDNの一つである。目的とするそれぞれのサービスを利用するには、各該当するPDNとコネクションを確立する必要がある。
【0003】
図8は、移動通信端末装置から目的とするサービスに対応するPDNとコネクションを確立する様子を表す概念図である。
図8では、移動通信端末装置801から3G(3rd Generation)の系統810、或いは、LTE(Long Term Evolution)の系統820を経て、目的とするサービスに対応する何れかのPDN(代表して830の符号で表すが、図示の例では説明の便宜上2つのPDN(#1)831またはPDN(#2)832の何れか)とコネクションを確立する様子を表している。3G系統を利用するか、LTE系統を利用するかは、移動通信端末装置の能力に依存しているが、どちらの場合でも無線アクセスネットワークの区間とこれに続くコアネットワークの区間とを含んで伝送路が構成される。しかしながら、この点は周知であると共に、本発明の技術においてはこれの如何を問わないため、以降の説明では、通例に従い、無線アクセスネットワークの区間については説明を省略する。
【0004】
尚、図8における表記は、3Gの系統810とLTEの系統820とが並存するようにシステムが構築されることが要件とされる意ではなく、このような何れかの既定の系統を通してコネクションが確立することを表している。
3Gの系統810は、そのコアネットワークの区間がSGSN811およびGGSN812を含んで構成されている。また、LTEの系統820は、そのコアネットワークの区間がMME(Mobility Management Entity: 移動管理呼制御サーバ)821およびP−GW(Packet Data Network Gateway)822を含んで構成されている。
【0005】
3Gの系統810を通してコネクションが確立する場合には、移動通信端末装置801で設定されたAPN(例えば、複数のPDNのうちの一つであるPDN(#1)831に対応する)に応じて、GGSN812が、移動通信端末装置801での設定に応じたPDN830を選択し接続を行う。
また、LTEの系統820を通してコネクションが確立する場合には、移動通信端末装置801で設定されたAPN(例えば、複数のPDN830のうちの一つであるPDN(#1)831に対応する)に応じて、P−GW822が、移動通信端末装置801での設定に応じたPDNを選択し接続を行う。
【0006】
図9は、図8におけるコネクションが一旦確立した状態に到った後に、移動通信端末装置での設定の変更操作によって他のPDNに接続を切替える場合に生じる現象について説明するための図である。説明の便宜上、図9においては、図8における800番台の符号は900番台の符号に置き換えてある。
図8では、移動通信端末装置801からPDN830に到る伝送路について3Gの系統810とLTEの系統820とを敢えて表記したが、後述する本発明が主題とする技術は、移動通信端末装置からPDNへの無線アクセスネットワーク区間およびコアネットワーク区間における伝送路の方式の如何を問わない。このため、以降の説明では、図8における3Gの系統810やLTEの系統820を、方式を問わず信号の伝送を担う伝送路910として一括して観念し、この伝送を担うための機能を有するノードを代表的にGGSN/P−GW911と表記する。
【0007】
図9において、当初、移動通信端末装置901からPDN(#1)931へのコネクション(図中、PDNコネクション#1と概念的に表記)が確立している状態から、移動通信端末装置901での設定の変更操作によってPDN(#2)932へと接続を切替える場合を想定する(この切替えによるコネクションを、図中、PDNコネクション#2と概念的に表記)。この場合、上述の切替えを可能にするためには、従来の技術では、次の2通りの方法が考えられる。
【0008】
第1の方法は、一旦確立したPDNコネクション#1を切断して、PDN(#2)932へと接続を切替える方法である。この切替え方法は、同時には1本のみのコネクションの確立を許容するポリシーの通信事業者の網では必然的に採用されることになる。
上記第1の方法を採る場合には、コネクションが一旦確立したPDNに属するサーバとの通信路が切断されることになる。この場合には、例えば、ストリーミング配信されていた動画等が接断されることになる。
【0009】
また、確立したコネクションを切断した上で、再度、目的とするPDNへの接続処理を実行することになるため、網内の該当するノードにおける処理の負担が増大しトラヒックにも影響を生じることになる。
一方、第2の方法は、PDN(#1)とのコネクションを確立した状態を維持したまま、PDN(#2)とのコネクションを確立する方法である。この方法は、同時には複数本のコネクションの確立が許容される条件下で採用され得る。
【0010】
上記第2の方法を採る場合には、第1の方法におけるように、一旦確立したコネクションを切断して新たに目的とするPDNへの接続処理を実行する必要はない。
しかしながら、常時複数のコネクションを無線装置およびコアネットワーク装置が連携して維持しなくてはならず、必要なメモリ領域が増大する。
尚、LTEにおいて、1台のUE(User Equipment:移動通信端末装置)が同時に複数のPDN−GW(Packet Data Network Gateway:パケットデータ通信網ゲートウェイ)を経由してPDNに接続することは非特許文献1に規定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】3GPP TS 23.401
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上述のような状況に鑑みてなされたものであり、移動通信端末装置とPDN間でのコネクションが一旦確立した状態に到った後に、移動通信端末装置での設定の変更操作によって他のPDNに接続を切替えるに際し、一旦確立したコネクションを切断することを要さず、且つ、必要なメモリ領域の増大を要しない通信サービス提供システム、通信サービス制御ノード、移動通信端末装置、および、通信サービス提供方法を実現することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、ここに、次のような技術を提案する。
(1)移動通信端末装置から該当する無線アクセスネットワークを経て複数のPDNうちの該当するPDNに到る伝送路のうち前記無線アクセスネットワーク寄りの第1の部分に関するコネクションを確立するコアネットワークと、
前記コアネットワークと前記PDNとの間に設けられた前記伝送路のうち前記コアネットワークから自ノードに到る第1の部分のコネクションを確立し、且つ前記コアネットワークと前記PDNとの間に設けられ前記伝送路のうち自ノードから前記複数の各PDNに到る第2の部分のコネクションにおいて、前記第1の部分のコネクションを確立した状態で、前記移動通信端末装置における設定に応じて該当するPDNを選択し、コネクションを確立することで通信を可能にする通信サービス制御ノードと、
を含んで構成されていることを特徴とする通信サービス提供システム。
【0014】
上記(1)の通信サービス提供システムでは、移動通信端末装置から該当する無線アクセスネットワークを経て複数のPDNうちの該当するPDNに到る伝送路における前記コアネットワークと前記PDNとの間に通信サービス制御ノードが設けられている。この通信サービス制御ノードによって、前記コアネットワークと前記PDNとの間に設けられた前期伝送路のうち前記コアネットワークから自ノードに到る第1の部分のコネクションを確立し、且つ前記伝送路のうち自ノードから前記複数の各PDNに到る第2の部分のコネクションにおいて、前記移動通信端末装置における設定に応じて複数PDNのうち該当するPDNを選択し、コネクションを確立することによって当該設定に応じたPDNとの通信を可能にする。
【0015】
(2)移動通信端末装置から該当する無線アクセスネットワークを経て複数のPDNうちの該当するPDNに到る伝送路のうち前記無線アクセスネットワーク寄りの第1の部分に関するコネクションを確立するコアネットワークと前記PDNとの間に設けられ、
前記伝送路のうち前記コアネットワークから自ノードに到る第1の部分のコネクションを確立する情報および、前記移動通信端末装置から前記無線アクセスネットワークおよび前記コアネットワークを通して該当するPDNの選択に係る情報を受信する通信部と、
前記伝送路のうち自ノードから前記複数の各PDNに到る第2の部分のコネクションにおいて、前記通信部で受信された移動通信端末装置からの該当するPDNの選択に係る情報に応じて前記複数のPDNのうち該当するPDNとコネクションを確立することによって当該設定に応じたPDNとの通信を可能にするPDN選択制御部と、
を備えていることを特徴とする通信サービス制御ノード。
【0016】
上記(2)の通信サービス制御ノードは、移動通信端末装置から該当する無線アクセスネットワークを経て複数のPDNうちの該当するPDNに到る伝送路のうち前記無線アクセスネットワーク寄りの第1の部分に関するコネクションを確立するコアネットワークと前記PDNとの間に設けられる。
そして、前記伝送路のうち前記コアネットワークから自ノードに到る第1の部分のコネクションを確立し、そのPDN選択制御部によって、前記伝送路のうち前記通信サービス制御ノードから前記複数の各PDNに到る第2の部分のコネクションにおいて、前記第1の部分のコネクションを確立した状態で前記通信部で受信された移動通信端末装置からの該当するPDNの選択に係る情報に応じて前記複数のPDNのうち該当するPDNとコネクションを確立することによって当該設定に応じたPDNとの通信を可能にする。
【0017】
(3)前記PDN選択制御部は、前記第1の部分のコネクションを確立した状態で前記通信部で受信された当該PDNの選択に係る情報に応じて前記複数のPDNのうち該当するPDNとコネクションを確立することを特徴とする(2)の通信サービス制御ノード。
上記(3)の通信サービス制御ノードでは、(2)の通信サービス制御ノードにおいて特に、そのPDN選択制御部が、前記第1の部分のコネクションを確立した状態で前記通信部で受信された当該PDNの選択に係る情報に応じて前記複数のPDNのうち該当するPDNとコネクションを確立する。
【0018】
(4)前記PDN選択制御部は、自己が扱う当該PDNの選択に係る情報を前記移動通信端末装置が該当する前記PDNのサーバからデータをダウンロードするに際して更新登録することを特徴とする(3)の通信サービス制御ノード。
上記(4)の通信サービス制御ノードでは、(3)の通信サービス制御ノードにおいて特に、前記PDN選択制御部は、自己が扱う当該PDNの選択に係る情報を前記移動通信端末装置が該当する前記PDNのサーバからデータをダウンロードするに際して更新登録するため、登録された当該PDNの選択に係る情報に関する情報の陳腐化が抑止され得る。
【0019】
(5)前記PDN選択制御部は、前記複数の各PDNとコネクション確立を行うための複数の制御プロトコルを保有し、選択されたPDNに適合する制御プロトコルを用いることを特徴とする(2)の通信サービス制御ノード。
上記(5)の通信サービス制御ノードでは、(2)の通信サービス制御ノードにおいて特に、そのPDN選択制御部が、前記複数の各PDNとコネクション確立を行うための複数の制御プロトコルを保有し、選択されたPDNに適合する制御プロトコルを用いる。
【0020】
(6)無線アクセスネットワークとの通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部を通して前記無線アクセスネットワークおよび既定のコアネットワークを介して複数のPDNのうちのいずれかとの選択的な通信を可能にする通信サービス制御ノードにおける該当するPDNを選択する選択操作部と、
を備えたことを特徴とする移動通信端末装置。
上記(6)の移動通信端末装置では、その選択操作部によって、前記無線通信部を通して、前記第1の部分のコネクションを確立した状態で通信サービス制御ノードにおける該当するPDNを選択する。前記通信サービス制御ノードは、移動通信端末装置から該当する無線アクセスネットワークを経て複数のPDNうちの該当するPDNに到る伝送路のうち前記無線アクセスネットワーク寄りの第1の部分に関するコネクションを確立するコアネットワークと前記PDNとの間に設けられている。そして、移動通信端末装置の前記選択操作部によって前記第1の部分のコネクションを確立した状態で前記該当するPDNが選択されることによって、当該移動通信端末装置から前記該当するPDNに到る伝送路が確立する。
【0021】
(7)前記無線通信部を通して前記無線アクセスネットワーク、既定のコアネットワークおよび前記通信サービス制御ノードを介して、該当するPDNへのコネクションを確立するためのPDN選択情報を保持するPDN選択情報保持部を備えていることを特徴とする(6)の移動通信端末装置。
上記(7)の移動通信端末装置では、(6)の移動通信端末装置において特に、PDN選択情報保持部を備え、このPDN選択情報保持部に保持されているPDN選択情報によって前記無線通信部を通して前記無線アクセスネットワーク、既定のコアネットワークおよび前記通信サービス制御ノードを介して、該当するPDNへのコネクションを確立する。
【0022】
(8)前記PDN選択情報保持部は、前記無線通信部を通してのアプリケーションのダウンロードまたはユーザの設定操作に応じて該当するPDN選択情報を取得して保持することを特徴とする(7)の移動通信端末装置。
上記(8)の移動通信端末装置では(7)の移動通信端末装置において特に、前記PDN選択情報保持部は、前記無線通信部を通してのアプリケーションのダウンロードによって取得され、またはユーザの設定操作に応じて入力された該当するPDN選択情報を保持する。
【0023】
(9)前記選択操作部は、選択されたコネクションの確立の履歴に応じて当該コネクション確立のための情報をキャッシュするキャッシュ処理部を備えていることを特徴とする(6)の移動通信端末装置。
上記(9)の移動通信端末装置では、(6)の移動通信端末装置において特に、前記選択操作部のキャッシュ処理部によって、選択されたコネクションの確立の履歴に応じて当該コネクション確立のための情報をキャッシュする。
【0024】
(10)移動通信端末装置から該当する無線アクセスネットワークを経て前記伝送路のうち前記コアネットワークから自ノードに到る第1の部分に関するコネクションを通信サービス制御ノードと確立し、
前記コアネットワークと前記PDNとの間に設けた通信サービス制御ノードによって前記伝送路のうち前記通信サービス制御ノードから前記複数の各PDNに到る第2の部分のコネクションにおいて、前記移動通信端末装置における設定に応じて該当するPDNを選択し、コネクションを確立することによって当該設定に応じたPDNとの通信を可能にすることを特徴とする通信サービス提供方法。
【0025】
上記(10)の通信サービス提供方法では、前記伝送路のうち前記コアネットワークから自ノードに到る第1の部分のコネクションを確立した状態で、通信サービス制御ノードが複数のPDNとのコネクション確立を実現しているため、他のPDNに接続を切替える場合でも、一旦確立した前記第1の部分のコネクションを切断する必要がない。また、前記第2の部分のコネクションが複数確立された場合でも、前記第1の部分のコネクションは同一のコネクションが用いられるため、コアネットワーク装置の必要なメモリ領域が増大することを要しない。
【発明の効果】
【0026】
移動通信端末装置とPDN間でのコネクションが一旦確立した状態に到った後に、移動通信端末装置での設定の変更操作によって他のPDNに接続を切替えるに際し、一旦確立したコネクションを切断することを要さず、且つ、必要なメモリ領域が増大することを要しない通信サービス提供システム、通信サービス制御ノード、移動通信端末装置、および、通信サービス提供方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本願発明の実施の形態としての通信サービス提供システムを表す概念図である。
【図2】図1の通信サービス提供システムが稼動に到る状態を説明するための図である。
【図3】LTEを想定した図1の通信サービス提供システムにおいて、選択された通信サービスを利用しようとする状態を説明するための図である。
【図4】図3の通信サービス提供システムにおいて、利用するサービスを切替える状態を説明するための図である。
【図5】図1の通信サービス提供システムに適用される通信サービス制御ノード(PDN管理ゲートウェイ)の構成を表す機能ブロック図である。
【図6】図1の通信サービス提供システムに適合する移動通信端末装置の構成を表す機能ブロック図である。
【図7】図1の通信サービス提供システムの動作を表すシーケンスチャートである。
【図8】移動通信端末装置から目的とするサービスに対応するPDNとコネクションを確立する様子を表す概念図である。
【図9】図8におけるコネクションが一旦確立した状態に到った後に、移動通信端末装置での設定の変更操作によって他のPDNに接続を切替える場合に生じる現象について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について詳述することにより、本発明を明らかにする。
(通信サービス提供システムの構成の概要)
図1は、本願発明の実施の形態としての通信サービス提供システムを表す概念図である。
図1において、移動通信端末装置101から該当する無線アクセスネットワークを経て複数のPDNうちの該当するPDN130(131,132)に到る伝送路のうち前記無線アクセスネットワークRAN寄りの第1の部分S1には、この第1の部分におけるコネクションを確立するコアネットワークCNが構成されている。
コアネットワークCNには、GGSN/P−GW110が設備され上述のコネクション確立の処理を行う。
【0029】
尚、既述のとおり、本発明が主題とする技術は、移動通信端末装置からPDNへの無線アクセスネットワーク区間およびコアネットワーク区間における伝送路の方式の如何を問わない。このため、3Gの系統やLTEの系統を、方式を問わず信号の伝送を担う伝送路として一括して観念し、これら方式の相違による区分については詳述しない。また、無線アクセスネットワークを、適宜、無線アクセスネットワーク区間と呼び、コアネットワークをコアネットワーク区間と呼ぶ。
【0030】
図1では、このコアネットワーク区間の伝送を担うために機能するノードを代表的にGGSN/P−GW110と表記している。
上述の伝送路の第1の部分に続いてPDN130に到る第2の部分S2(図1の場合では、コアネットワーク区間CNに続く部分)にPDN管理ゲートウェイ120が設けられている。
【0031】
移動通信端末装置101で、特定のAPN(ここでは「xxx」とする)の設定が行われると、無線アクセスネットワーク区間RANを経てこの設定を受けたコアネットワークCNにおいて、PDN管理ゲートウェイ120へのコネクションが形成される。即ち、コアネットワークCNのGGSN/P−GW110では、上述のAPN(xxx)に対応してPDN管理ゲートウェイ120への接続を実行するための登録が予め行われている。
【0032】
このPDN管理ゲートウェイ120は、上述した移動通信端末装置101とのPDNコネクションを確立した状態で、コアネットワーク区間CNとPDN130との間に設けられ伝送路のうち上述の第2の部分S2のコネクションにおいて、移動通信端末装置101における設定に応じて該当するPDNを選択し、コネクションを確立することによって当該設定に応じたPDNとの通信を可能にする通信サービス制御ノードである。
【0033】
上述における第2の部分S2のコネクションのうち該当するコネクションを選択する操作は第1の部分S1のコネクションが確立した状態を維持したままで実行される。即ち、他のPDNと接続をする場合でも第1の部分S1のコネクションは同一のため、一旦確立したコネクションを切断する必要がない。
また、上述のとおり複数のPDNとコネクションが確立した場合でも、第1の部分S1のコネクションは一つであるため、従来技術におけるようにコアネットワーク装置の必要なメモリ領域が増大することを要しない。
【0034】
図2は、図1の通信サービス提供システムが稼動に到る状態を説明するための図である。図2において図1との対応部は同一の符号が附されている。
図1を参照して既述のとおり、移動通信端末装置101からAPN(xxx)が設定されると、無線アクセスネットワークRANおよびコアネットワークCNを経てPDN管理ゲートウェイ120へのコネクションが確立する。この状態に到った後、移動通信端末装置101から、PDN(#1)131への接続を求める何等かの信号(ここではDNS信号を用いることとする)が上記の如く確立したコネクションを通してPDN管理ゲートウェイ120に送信されると、この信号を受けたPDN管理ゲートウェイ120がPDN(#1)131への接続処理を実行する。
【0035】
この接続処理では、PDN(#1)131における該当するサーバに対する認証等を行い、通信を行うサーバのIPアドレスを取得する。PDN管理ゲートウェイ120は、取得したIPアドレスを移動通信端末装置101に通知する。この通知を受けた移動通信端末装置101は上述のIPアドレスの認識のもとにPDN(#1)131における該当するサーバとの通信を開始することができる。
【0036】
図3は、図1の通信サービス提供システムにおいて、選択された通信サービスを利用しようとする状態を説明するための図である。尚、図3では、LTEのシステムである場合を想定している。図3において図1との対応部は同一の符号が附されている。
移動通信端末装置101で、デフォルト(default)の設定として既述のAPN(xxx)を設定する。これにより、ユーザが移動通信端末装置101を用いる際に、無線アクセスネットワークRANおよびコアネットワークCNを経てPDN管理ゲートウェイ120へのコネクションが確立する。
【0037】
尚、図3の例では、コアネットワークCNはLTEにおけるP−GW(Packet Data Network Gateway)110aが設備された系である。また、SAE/EPCアーキテクチャを採る場合には、P−GW110aより無線アクセスネットワークRAN寄りに図示しないS−GW(Serving Gateway)が設備される。
上述のように、ユーザが移動通信端末装置101を用いる際に、無線アクセスネットワークRANおよびコアネットワークCNを経てPDN管理ゲートウェイ120へのコネクションが確立する。このため、既述のように通信サービス制御ノードであるPDN管理ゲートウェイ120が機能し、ユーザは、続く選択操作によって、iモード基盤であるPDN131aやIMS(IP Multimedia Subsystem)基盤であるPDN132aへの接続が可能になる。
【0038】
図4は、図3の通信サービス提供システムにおいて、利用するサービスを切替える状態を説明するための図である。
ここでは、既に、図3を参照して既述のように、PDN管理ゲートウェイ120が機能してPDN130への選択的接続が可能になった状態あることを前提としている。
第1のケースとして、ユーザが通信端末装置101からiモード(登録商標)のメーラ(以下、特定メーラという)を起動した場合を想定する。この場合、通信端末装置101からDNSクエリ(DNS Query)におけるDNSヘッダに続くセクションの質問セクションにおいてQnameとしてiモード(登録商標)を設定する………(41)。
PDN管理ゲートウェイ120は、上述の如く設定されたQnameであるiモード(登録商標)を受信し認識すると、これに基づいて、PDN131aにおける目的とするiモード(登録商標)のサーバに対し接続処理およびアドレスの取得を実行する………(42)。
【0039】
第2のケースとして、ユーザが通信端末装置101からIMSのアプリケーションを起動した場合を想定する。この場合、通信端末装置101からDNSクエリ(DNS Query)におけるDNSヘッダに続くセクションの質問セクションにおいてQnameとして当該IMSのアプリケーションの表記を設定する……(43)。
PDN管理ゲートウェイ120は、上述の如く設定されたQnameである当該IMSのアプリケーションの表記を受信し認識すると、これに基づいて、PDN131aにおける目的とするIMSのアプリケーションのサーバに対し接続処理およびアドレスの取得を実行する………(44)。
【0040】
(通信サービス制御ノードの構成)
図5は、図1の通信サービス提供システムに適用される通信サービス制御ノードとしてのPDN管理ゲートウェイの構成を表す機能ブロック図である。図5のPDN管理ゲートウェイの説明では、適宜、図1を併せ参照する。
【0041】
この通信サービス制御ノード(PDN管理ゲートウェイ)120は、通信部121およびPDN選択制御部122を備えている。
通信部121は、移動通信端末装置101から前記無線アクセスネットワークおよび前記コアネットワークを通して該当するPDNの選択に係る情報を受信する。尚、本実施の形態では、通信部121は、上述の受信機能を含み、コアネットワーク110および、自ノード(PDN管理ゲートウェイ)120の外部との種々の通信機能を賄う。
【0042】
PDN選択制御部122は、図1を参照して既述の伝送路のうち自ノード120から複数の各PDN130(131、132)に到る第2の部分S2のコネクションにおいて、通信部121で受信された移動通信端末装置101からの該当するPDNの選択に係る情報に応じて該当するPDNを選択し、伝送路の第2の部分S2のコネクションを確立することによって当該設定に応じたPDNとの通信を可能にする。
【0043】
即ち、図4を参照して既述のように通信部121で受信された当該PDNの選択に係る情報としてのQnameに応じて該当のPDNを選択し、伝送路の第2の部分S2のコネクションを確立する。
尚、PDN選択制御部122は、PDNの選択を行い、該当のPDNとコネクション確立を行うための複数の制御プロトコルを保有し、選択されたPDNに適合する制御プロトコルを用いるように構成することができる。このように構成した場合には、PDNの選択によく適合した制御プロトコルによって効率よく速やかなコネクション確立処理が実行され得る。
【0044】
また、PDN選択制御部は、自己が扱うQnameを、前記移動通信端末装置が該当する前記PDNのサーバからデータをダウンロードするに際して、更新登録するように構成することができる。このように構成した場合には、上述の更新登録によって、登録されたQnameに関する情報の計時的な陳腐化が抑止され得る。
【0045】
(移動通信端末装置の構成)
図6は、図1の通信サービス提供システムに適合する移動通信端末装置の構成を表す機能ブロック図である。この図6では、図1の移動通信端末装置101について改めて600番台の符号を附している。
移動通信端末装置600は、無線通信部610、選択操作部620、および、ユーザ操作部630を備えている。
無線通信部610は、無線アクセスネットワークRANとの通信を行う。
【0046】
選択操作部620は、無線通信部610を通して無線アクセスネットワークRANおよび既定のコアネットワークCNを介して複数のPDN130のうちのいずれかとの選択的な通信を可能にする通信サービス制御ノード(PDN管理ゲートウェイ)120における該当するコネクションを選択する。そして、この実施の形態における選択操作部620は、無線通信部610を通して無線アクセスネットワークRANおよび既定のコアネットワークCNを介して通信サービス制御ノード(PDN管理ゲートウェイ)120へのコネクションを確立するためのQnameを保持するQname保持部621を備えている。このQname保持部621は、無線通信部610を通してのアプリケーションのダウンロードによって取得され、またはユーザの設定操作に応じて入力された該当するQnameを保持する。Qnameは、図4を参照して既述の如く用いられるが、この点については、後に図7を参照して更に説明する。また選択操作部620は、選択されたコネクションの確立の履歴に応じて当該コネクション確立のための情報をキャッシュするキャッシュ処理部622を備えている。
【0047】
一方、ユーザ操作部630は、ユーザからの種々の操作を例えば、キースイッチやタッチパネル等によって受付けるユーザインターフェース部を構成している。選択操作部620等に対するユーザからの操作も、このユーザ操作部630を通して行われる。
【0048】
(通信サービス提供システムの動作)
図7は、図1の通信サービス提供システムの動作を表すシーケンスチャートである。
このシーケンスチャートは、既述の移動通信端末装置101(600)、P−GW110a、PDN管理ゲートウェイ(通信サービス制御ノード)120、iモード(登録商標)のサーバ(以下、特定通信サービス用サーバという)131aa、および、IMSサーバ132aa間での動作を表している。
移動通信端末装置101における電源ON等の操作に基づいて、その網内の在圏が検知された場合(ステップS701)、これを契機として、デフォルト(default)設定されたAPN(xxx)がP−GW110aに送信される(ステップS702)。
【0049】
APN(xxx)を受けたP−GW110aでは、このAPN(xxx)によって表された接続先を判断する。既述のとおり、このAPN(xxx)はP−GW110aに予め登録されたデータに依拠してPDN管理ゲートウェイ(通信サービス制御ノード)120への接続要求である旨認識される(ステップS703)。
ステップS703に次いで、PDN管理ゲートウェイ120へ接続要求信号が発信され(ステップS704)、これに対し、PDN管理ゲートウェイ120からP−GW110aを介して移動通信端末装置101へ接続応答信号が返される(ステップS705、ステップS706)。
【0050】
ステップS706までの処理によって、移動通信端末装置101からPDN管理ゲートウェイ120までのコネクションが確立し、以降、ユーザが所望するアプリケーション(即ち、PDN130)の選択に応じたコネクションを確立できる状態となる。
この状態において、移動通信端末装置101においてメーラ(例えば、既述の特定メーラ)を起動すると(ステップS707)、移動通信端末装置101からP−GW110aを介してPDN管理ゲートウェイ120にDNS問い合せが発せられる(ステップS708)。ステップS708の問い合せは、この実施の形態の場合、図4を参照して既述のように、Qnameとして設定されたiモード(登録商標)について行われる。
【0051】
ステップS708の問い合せを受けたPDN管理ゲートウェイ120では、このQnameに対応するIPアドレスの判断処理を実行する(ステップS709)。
この実施の形態で想定した状況においては、このQnameに対応するIPアドレスが特定通信サービス用サーバ131aaに該当する旨判断される。
ステップS709での上述の判断に基づいて、PDN管理ゲートウェイ120から特定通信サービス用サーバ131aaへ接続要求信号が発信され(ステップS710)、これに対し、特定通信サービス用サーバ131aaからPDN管理ゲートウェイ120に接続応答信号が返される(ステップS711)。
【0052】
ステップS711での接続応答信号を受けたPDN管理ゲートウェイ120は、P−GW110aを介して移動通信端末装置101へDNS応答を返す(ステップS712)。このステップS712におけるDNS応答によって、移動通信端末装置101では特定通信サービス用サーバ131aaのIPアドレスが取得され、以降、特定通信サービス用サーバ131aaとの通信(ユーザデータ通信)を行うことが可能となる(ステップS713)。
【0053】
ステップS713におけるように、移動通信端末装置101が特定通信サービス用サーバ131aaとの通信(ユーザデータ通信)を持続している状態で、次に、ユーザが移動通信端末装置101でIMSのアプリケーションを起動した場合を想定する(ステップS714)。
ステップS714におけるようにIMSのアプリケーションが起動されると、移動通信端末装置101からP−GW110aを介してPDN管理ゲートウェイ120にDNS問い合せが発せられる(ステップS715)。ステップS715の問い合せは、この実施の形態の場合、図4を参照して既述のように、Qnameとして設定されたIMSのアプリケーションについて行われる。
【0054】
ステップS715の問い合せを受けたPDN管理ゲートウェイ120では、このQnameに対応するIPアドレスの判断処理を実行する(ステップS716)。
この実施の形態で想定した状況においては、このQnameに対応するIPアドレスがIMSサーバ132aaに該当する旨判断される。
ステップS716での上述の判断に基づいて、PDN管理ゲートウェイ120からIMSサーバ132aaへ接続要求信号が発信され(ステップS717)、これに対し、IMSサーバ132aaからPDN管理ゲートウェイ120に接続応答信号が返される(ステップS718)。
【0055】
ステップS718での接続応答信号を受けたPDN管理ゲートウェイ120は、P−GW110aを介して移動通信端末装置101へDNS応答を返す(ステップS719)。このステップS718におけるDNS応答によって、移動通信端末装置101ではIMSサーバ132aaのIPアドレスが取得され、以降、IMSサーバ132aaとの通信(ユーザデータ通信)を行うコネクションが確立する(ステップS720)。
【符号の説明】
【0056】
101(600)…………………………移動通信端末装置
110………………………………………GGSN/P−GW
110a……………………………………P−GW
120………………………………………PDN管理ゲートウェイ
121………………………………………通信部
122………………………………………PDN選択制御部
130(131,132)………………PDN
610………………………………………無線通信部
620………………………………………選択操作部
621………………………………………Qname保持部
622………………………………………キャッシュ処理部
630………………………………………ユーザ操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信端末装置から該当する無線アクセスネットワークを経て複数のPDNうちの該当するPDNに到る伝送路のうち前記無線アクセスネットワーク寄りの第1の部分に関するコネクションを確立するコアネットワークと、
前記コアネットワークと前記PDNとの間に設けられた前記伝送路のうち前記コアネットワークから自ノードに到る第1の部分のコネクションを確立し、且つ前記コアネットワークと前記PDNとの間に設けられ前記伝送路のうち自ノードから前記複数の各PDNに到る第2の部分のコネクションにおいて、前記第1の部分のコネクションを確立した状態で、前記移動通信端末装置における設定に応じて該当するPDNを選択し、コネクションを確立することで通信を可能にする通信サービス制御ノードと、
を含んで構成されていることを特徴とする通信サービス提供システム。
【請求項2】
移動通信端末装置から該当する無線アクセスネットワークを経て複数のPDNうちの該当するPDNに到る伝送路のうち前記無線アクセスネットワーク寄りの第1の部分に関するコネクションを確立するコアネットワークと前記PDNとの間に設けられ、
前記伝送路のうち前記コアネットワークから自ノードに到る第1の部分のコネクションを確立する情報および、前記移動通信端末装置から前記無線アクセスネットワークおよび前記コアネットワークを通して該当するPDNの選択に係る情報を受信する通信部と、
前記伝送路のうち自ノードから前記複数の各PDNに到る第2の部分のコネクションにおいて、前記通信部で受信された移動通信端末装置からの該当するPDNの選択に係る情報に応じて前記複数のPDNのうち該当するPDNとコネクションを確立することによって当該設定に応じたPDNとの通信を可能にするPDN選択制御部と、
を備えていることを特徴とする通信サービス制御ノード。
【請求項3】
前記PDN選択制御部は、前記第1の部分のコネクションを確立した状態で前記通信部で受信された当該PDNの選択に係る情報に応じて前記複数のPDNのうち該当するPDNとコネクションを確立することを特徴とする請求項2に記載の通信サービス制御ノード。
【請求項4】
前記PDN選択制御部は、自己が扱う当該PDNの選択に係る情報を前記移動通信端末装置が該当する前記PDNのサーバからデータをダウンロードするに際して更新登録することを特徴とする請求項3に記載の通信サービス制御ノード。
【請求項5】
前記PDN選択制御部は、前記複数の各PDNとコネクション確立を行うための複数の制御プロトコルを保有し、選択されたPDNに適合する制御プロトコルを用いることを特徴とする請求項2に記載の通信サービス制御ノード。
【請求項6】
無線アクセスネットワークとの通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部を通して前記無線アクセスネットワークおよび既定のコアネットワークを介して複数のPDNのうちのいずれかとの通信を可能にする通信サービス制御ノードにおける該当するPDNを選択する選択操作部と、
を備えたことを特徴とする移動通信端末装置。
【請求項7】
前記無線通信部を通して前記無線アクセスネットワーク、既定のコアネットワークおよび前記通信サービス制御ノードを介して、該当するPDNへのコネクションを確立するためのPDN選択情報を保持するPDN選択情報保持部を備えていることを特徴とする請求項6に記載の移動通信端末装置。
【請求項8】
前記PDN選択情報保持部は、前記無線通信部を通してのアプリケーションのダウンロードまたはユーザの設定操作に応じて該当するPDN選択情報を取得して保持することを特徴とする請求項7に記載の移動通信端末装置。
【請求項9】
前記選択操作部は、選択されたコネクションの確立の履歴に応じて当該コネクション確立のための情報をキャッシュするキャッシュ処理部を備えていることを特徴とする請求項6に記載の移動通信端末装置。
【請求項10】
移動通信端末装置から該当する無線アクセスネットワークを経て前記伝送路のうち前記コアネットワークから自ノードに到る第1の部分に関するコネクションを通信サービス制御ノードと確立し、
前記コアネットワークと前記PDNとの間に設けた通信サービス制御ノードによって前記伝送路のうち前記通信サービス制御ノードから前記複数の各PDNに到る第2の部分のコネクションにおいて、前記移動通信端末装置における設定に応じて該当するPDNを選択し、コネクションを確立することによって当該設定に応じたPDNとの通信を可能にすることを特徴とする通信サービス提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−175575(P2012−175575A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37609(P2011−37609)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】