通信システム、移動通信装置、ホームエージェントおよび通信方法
【課題】効率的に位置登録を行い、カプセル化トンネルを確立可能な通信システムを得ること。
【解決手段】MR11〜14がアドホックを構成してマルチホップ通信を行う移動ネットワーク1と、HA41および42を備える外部ネットワーク2と、を含む通信システムにおいて、外部ネットワーク2に対するゲートウェイとなったMR11が、自身を含む移動ネットワーク1内のMRそれぞれの位置登録情報と自身の気付けアドレスとの対応を、1つの位置登録パケットに含ませてHA41または42に向けて送信することにより代表位置登録を行い、HA41または42が、通知された各MRの位置登録情報とMR11の気付けアドレスとの対応を位置登録テーブルに登録し、また、位置登録応答パケットをMR11に返送することにより、HAとMR11との間で、モバイルIPによるカプセル化トンネルを形成する。
【解決手段】MR11〜14がアドホックを構成してマルチホップ通信を行う移動ネットワーク1と、HA41および42を備える外部ネットワーク2と、を含む通信システムにおいて、外部ネットワーク2に対するゲートウェイとなったMR11が、自身を含む移動ネットワーク1内のMRそれぞれの位置登録情報と自身の気付けアドレスとの対応を、1つの位置登録パケットに含ませてHA41または42に向けて送信することにより代表位置登録を行い、HA41または42が、通知された各MRの位置登録情報とMR11の気付けアドレスとの対応を位置登録テーブルに登録し、また、位置登録応答パケットをMR11に返送することにより、HAとMR11との間で、モバイルIPによるカプセル化トンネルを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルIP機能を有する複数の移動通信装置により移動ネットワークを構成する場合の通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IETF(Internet Engineering Task Force)におけるNEMO(Network Mobility)では、移動ネットワーク内にモバイルルータをおくことによって、移動端末のハンドオーバ時に位置登録をする方法が規定されている(たとえば、下記非特許文献1)。また、IETF MANEMO(MANET for NEMO)では、NEMO対応の複数のモバイルルータがアドホックを構成した場合のモバイルルータ間の無線マルチホップ通信について議論されている(たとえば、下記非特許文献2および3)。
【0003】
【非特許文献1】“Network Mobility(NEMO) Basic Support Protocol” RFC3963
【非特許文献2】IETF MANEMO Nested Nemo Tree Discovery draft-thubert-tree-discovery-06.txt
【非特許文献3】IETF MANEMO Network In Node Advertisement draft-thubert-nina-01.txt
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記非特許文献では、モバイルIPによるカプセル化トンネルを形成するにあたって、モバイルルータが単数である場合の位置登録処理について記述され、モバイルルータが複数である場合の位置登録処理については特に記述されていない。したがって、複数のモバイルルータがアドホックを構成する場合、モバイルルータはそれぞれ位置登録等の処理を行うこととなるため、メッセージの送信量が増加し効率が悪い、という問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の移動通信装置がアドホックの移動ネットワークを構成する場合において、効率的に位置登録を行い、カプセル化トンネルを確立可能な通信システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の移動通信装置を備え、当該複数の移動通信装置がアドホックを構成してマルチホップ通信を行う移動ネットワークである第1のネットワークと、前記移動通信装置の位置情報を管理するホームエージェントを備える第2のネットワークと、を含む通信システムであって、前記第2のネットワークに対するゲートウェイとなった前記第1のネットワーク内の各移動通信装置のうちの一つが、所定の位置登録情報テーブルに保持する、自身を含む前記第1のネットワーク内の移動通信装置のそれぞれの位置登録情報と自身の気付けアドレスとの対応を、1つの位置登録パケットに含ませて前記ホームエージェントに向けて送信することにより代表位置登録を行い、前記ホームエージェントが、前記位置登録パケットにより通知された各移動通信装置の位置登録情報と前記ゲートウェイの気付けアドレスとの対応を所定の位置登録テーブルに登録し、また、位置登録応答パケットを当該ゲートウェイに返送することにより、前記ホームエージェントと前記ゲートウェイとなった移動通信装置との間で、モバイルIPによるカプセル化トンネルを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、送信するメッセージ量を削減でき、通信効率を向上させることができるとともに、効率的にモバイルIPトンネルを確立できる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明にかかる通信システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、本実施の形態における移動ネットワークシステムの構成例を示す図である。図1の移動ネットワークシステムは、移動ネットワーク1および外部ネットワーク2を備え、移動ネットワーク1と外部ネットワーク2は無線リンクで接続されている。
【0010】
移動ネットワーク1は、移動ネットワーク1A,1B,1C,1Dを備え、移動ネットワーク1A〜1Dは、有線リンクまたは無線リンクで接続し、アドホックネットワークを構成している。
【0011】
移動ネットワーク1A〜1Dは、それぞれ、ホームアドレス(以下、「HoA」ともいう)#1〜#4を有するモバイルルータ(MR)11〜14と、これらのMRの下に、モバイルネットワークプリフィックス(MNP)21〜24で管理される移動ネットワーク内端末(MN)31〜34を備える。また、移動ネットワーク1AのMR11は、外部ネットワーク2との間のゲートウェイ、すなわち、インターネットゲートウェイ(IGW)となっている。
【0012】
なお、モバイルルータは、他のモバイルルータを接続する自身のインタフェース毎に、他のモバイルルータから受信するホームアドレスおよび各モバイルルータが管理するモバイルネットワークプリフィックスを登録した経路制御テーブルを保持し、このテーブルを経路制御に用いる。また、モバイルルータは、ホームエージェント毎に、自身の配下にあるルータのホームアドレスおよびそのルータが管理する移動ネットワーク内端末のモバイルネットワークプリフィクスを登録した位置登録情報テーブルを保持し、このテーブルを位置登録に用いる。なお、位置登録情報テーブルは、自身が外部ネットワークとのゲートウェイである場合にのみ用いる。
【0013】
外部ネットワーク2(たとえば、インターネットやコアネットワーク)は、固定ネットワークであって、AR(Access Router)3と、HA(ホームエージェント)41および42と、移動ネットワーク1内の端末の対向ノードとなるCN(Correspond Node)5を接続している。なお、外部ネットワーク2は、ここではインターネットとする。また、AR3は、移動ネットワーク1のMR11と無線リンクで接続している。また、ここでは、MR11およびMR13がHA42に属し、MR12およびMR14がHA41に属する。
【0014】
このような移動ネットワークシステムは、具体的には、列車の複数台の車両ごとにモバイルルータが設置され連なって移動する、船舶や航空機などにモバイルルータが搭載され一体となって移動する、といった使用が想定される。
【0015】
つづいて、以上のように構成された移動ネットワークシステムにおけるカプセル化トンネル確立の動作について、図2〜図6を用いて説明する。
【0016】
(1)ツリー構造の経路の作成
まず、移動ネットワーク1内でツリー構造の経路が作成されるまでを説明する。図2は、移動ネットワーク1におけるゲートウェイであるMR11からメッセージがフラッディングされる様子を示す図である。図2において、MR11のみが外部ネットワーク2(インターネット)からのルータ広告(RA:Router Advertisement)を受信したことで、MR11は、移動ネットワーク1におけるインターネットゲートウェイとなる。MR11は、移動ネットワーク1におけるインターネットゲートウェイとなったことで、移動ネットワーク1のツリーの根ともなるので、RA、またはRAを拡張したメッセージであるツリー経路制御パケットを、MR12〜14に対しフラッディングする。なお、ここでは、ツリー経路制御パケットを送信する。
【0017】
ここで、MR11は、ツリー経路制御パケットに自身のアドレス情報(またはID情報)を記載する。そして、このツリー経路制御パケットをブロードキャストまたはマルチキャストすることにより、MR11がツリーの根であることを、アドホックネットワーク(移動ネットワーク1)内の各MRに通知する。図2の例では、MR11は、自身に隣接する(1ホップである)MR12およびMR14に、それぞれツリー経路制御パケット(MR11アドレス)を送信する。ここで、「MR11アドレス」とはMR11の現在のアドレスであり、ホームアドレスではない。以下、メッセージ(パケット)に含ませる情報は、カッコ内に記載して表現する。
【0018】
MR11からのツリー経路制御パケット(MR11アドレス)を受信したMR12は、MR11を移動ネットワーク1Bのデフォルトゲートウェイに設定する。また、MR12は、同一のゲートウェイ(MR11)から送信されたツリー経路制御パケットが重複することを避けるために、自身のアドレス情報(またはID情報)を付加したツリー経路制御パケット(MR11アドレス,MR12アドレス)を、MR13に送信する。
【0019】
同様に、MR11からのツリー経路制御パケット(MR11アドレス)を受信したMR14は、MR11を移動ネットワーク1Dのデフォルトゲートウェイに設定する。また、上述の重複チェックのために自身のアドレス情報(またはID情報)を付加したツリー経路制御パケット(MR11アドレス,MR14アドレス)を、MR13に送信する。
【0020】
MR13は、ツリー経路制御パケット(MR11アドレス,MR12アドレス)および、ツリー経路制御パケット(MR11アドレス,MR14アドレス)を受信する。MR13は、これらのツリー経路制御パケットについて、ツリー経路制御パケットの送信元をチェックすることで、いずれもMR11からのツリー経路制御パケットであると判断する。また、MR13は、ツリー経路制御パケットに含まれるアドレスを検証することにより、これらのツリー経路制御パケットは、中継したモバイルルータが異なる重複したパケットであると判断する。そして、MR13は、予め定められた優先度にしたがうことにより、または、コストの比較を行うことにより、いずれかの経路を選択する。
【0021】
ここで、コストの比較とは、たとえば、以下のように行う。予め、(1)ユーザパケット伝送品質、(2)ルータ広告やHelloメッセージのような周期的な制御パケットの受信率・到達率、(3)無線の場合には受信信号レベル等の無線品質、(4)帯域使用状率やトラヒック量、(5)通信レートや帯域幅、(6)パケットの伝送遅延、などの複数のリンク情報のうち1つをリンクコストと定義する。または、これらのリンク情報の複数を所定の重み付けにしたがい組み合わせたものをリンクコストと定義する。そして、ツリー経路制御パケットを受信すると、たとえばMR13の場合ならば、(MR11−MR12のリンクコスト)+(MR12−MR13のリンクコスト)によってMR11〜MR12〜MR13のパスコストを算出し、(MR11−MR14のリンクコスト)+(MR14−MR13のリンクコスト)によってMR11〜MR14〜MR13のパスコストを算出する。そのうえで、パスコスト同士を比較する。
【0022】
図2の例では、MR11〜MR12〜MR13のパスコストの方が優れていたと仮定する。この場合、MR13は、MR12を選択し、移動ネットワーク1Bのデフォルトゲートウェイに設定する。なお、ここでは、MR11とMR13との間は、MR12とMR14のいずれを経由しても同じホップ数(ホップ数2)であるが、パスコストが優れている場合には、それがホップ数の多いモバイルルータとの間の経路であっても選択することができる。
【0023】
(2)移動ネットワーク1内での位置登録情報の送信
つぎに、図3を用いて、移動ネットワーク内のモバイルルータがインターネットゲートウェイ(MR11)に対して位置登録情報を送信する場合を説明する。図3は、MR11配下のモバイルルータが、MR11に対してメッセージを返送する様子を示す図である。
【0024】
インターネットゲートウェイ以外のすべてのモバイルルータ(MR12,MR13,MR14)は、インターネットゲートウェイ(MR11)宛に、ユニキャストで隣接広告(NA:Neighbor Advertisement)メッセージ、または、それを拡張したメッセージであるツリー経路制御応答パケットを送信する。ここでは、ツリー経路制御応答パケットを送信する。
【0025】
ツリー経路制御応答パケットは、ツリー経路制御パケットに対する応答である。本実施の形態では、各モバイルルータは、自身のホームエージェントのアドレス(以下、「HAアドレス」とも記す)および自身のHoAと、自身の配下にある移動ネットワーク内端末のモバイルネットワークプリフィックス(以下、「MNP」とも記す)を、ツリー経路制御応答パケットに含ませる。これにより、インターネットゲートウェイに対し、経路情報とともに、位置登録に必要な情報である位置登録情報を通知できる。
【0026】
まず、MR13が、インターネットゲートウェイであるMR11に対して、自身のホームエージェントのアドレス(HA42アドレス)、および、自身のホームアドレス(HoA#3)、自身の配下にある移動ネットワーク内端末のモバイルプリフィックス(MNP23)を含ませたツリー経路制御応答パケット(HA2アドレス:MNP23−HoA#3)を、MR13のデフォルトゲートウェイであるMR12に送信する。なお、本実施の形態では、移動ネットワーク1A〜1Dに接続されるネットワーク内端末を、ホームアドレスおよびモバイルネットワークプリフィクスの組合せで管理する。
【0027】
MR13からのツリー経路制御応答パケット(HA2アドレス:MNP23−HoA#3)を受信したMR12は、自身が保持する経路制御テーブルに、(MNP23−HoA#3)に対応する自身からみたNextHopアドレス、としてMR13アドレスを登録する。また、受信したツリー経路制御応答パケットを、その宛先であるMR11に転送する。このとき、MR12は、MR13と同様に、自身のツリー経路制御応答パケット(HA41アドレス:MNP22−HoA#2)を、MR13からのツリー経路制御応答パケットとは別に、MR11に送信することもできる。しかしながら、本実施の形態では、2つのツリー経路制御応答パケットの情報をまとめて、1つのツリー経路制御応答パケット(HA41アドレス:MNP22−HoA#2,HA42アドレス:MNP23−HoA#3)として、MR11に送信する。これにより、MR12は、MR11に対し、MR13およびMR12の経路情報と位置登録情報をまとめて通知する。
【0028】
また、同様に、MR14は、MR11に対し、ツリー経路制御応答パケット(HA41アドレス:MNP24−HoA#4)を送信することにより、経路情報および位置登録情報を通知する。
【0029】
これらのツリー経路制御応答パケットを受信したMR11は、自身の保持する経路制御テーブルに、MR12〜14から受信した各MRのホームアドレス、および各MRが管理するモバイルネットワークプリフィックスを登録する。また、MR11は、ホームエージェント毎に管理する位置登録情報テーブルを保持し、自身のホームエージェントのアドレス(HA42アドレス)に対して、自身のホームアドレス(HoA#1)および自身の配下にある移動ネットワーク内端末のモバイルネットワークプリフィックス(MNP21)の組合せを事前に登録している。これに対し、MR12〜14のホームエージェントのアドレス(HAアドレス)に対するホームアドレス(HoA)およびそれらの配下にある移動ネットワーク内端末のモバイルネットワークプリフィックス(MNP)の組合せを追加登録する。
【0030】
詳細には、MR11は、ツリー経路制御応答パケット(HA41アドレス:MNP22−HoA#2、HA42アドレス:MNP23−HoA#3)および、ツリー経路制御応答パケット(HA41アドレス:MNP24−HoA#4)を受信する。この場合、MR11は、経路制御テーブルに、(MNP22−HoA#2)および(MNP23−HoA#3)の各組合せに対応する、自身から見たNextHopアドレスとしてMR12のアドレスを登録する。また、MR11は、(MNP24−HoA#4)の組合せに対応する、自身から見たNextHopアドレスとして、MR14のアドレスを登録する。
【0031】
また、MR11は、位置登録情報テーブルに、HA41アドレスに対しては、(MNP22−HoA#2),(MNP24−HoA#4)の各組合せを登録する。また、HA42アドレスに対しては、(MNP21−HoA#1),(MNP23−HoA#3)の各組合せを登録する。
【0032】
(3)外部ネットワーク上のホームエージェントへの位置登録
つぎに、図4を用いて、インターネットゲートウェイ(MR11)が、各ホームエージェントに対して位置登録を行う場合を説明する。図4は、MR11が、外部ネットワーク2のホームエージェントに対して位置登録のメッセージを送信する様子を示す図である。
【0033】
MR11は、アクセスルータからのルータ広告の受信により、アクセスルータを介してインターネットとの接続を確認し、インターネットゲートウェイとなる。なお、MRは、インターネット(またはコアネットワーク)内のルータやホームエージェントからのルータ広告の受信により、アクセスルータを介さずに直接インターネットなどやホームエージェントと接続することによって、そのネットワークとの接続を確認する場合もある。
【0034】
そして、MR11は、ルータ広告に含まれるプレフィクスと自身のIDなどから気付けアドレス(CoA:Care of Address)を生成する。その後、ホームエージェント毎にまとめて、代表位置登録を行う。ここで、「代表位置登録」とは、移動ネットワーク内の複数の端末を代表して、位置登録をまとめて行うことをいう。
【0035】
ここでは、インターネットゲートウェイであるMR11は、自身の保持する位置登録情報テーブルの登録内容にしたがい、位置登録を行う。すなわち、MR12の位置登録情報である(HoA#2−MNP22)と自身の気付けアドレスとの対応、および、MR14の位置登録情報である(HoA#4−MNP24)と自身の気付けアドレスとの対応を、1つの位置登録(BU:Binding Update)パケットに含ませて、移動ネットワーク1を代表して、ホームエージェント41(HA41)に送信する。これにより、移動ネットワーク1内のHA41に属するMRについて、まとめて位置登録できる。
【0036】
また、同様に、MR11の位置登録情報である(HoA#1−MNP21)と自身の気付けアドレスとの対応、および、MR13の位置登録情報である(HoA#3−MNP23)と自身の気付けアドレスとの対応を、1つの位置登録(BU)パケットに含ませて、移動ネットワーク1を代表して、ホームエージェント42(HA42)に送信する。これにより、移動ネットワーク1内のHA42に属するMRについて、まとめて位置登録できる。
【0037】
なお、実際には、インターネットゲートウェイであるMR(MR11)が、アクセスルータ、インターネット(またはコアネットワーク)内のルータ、またはホームエージェントなどからのルータ広告を受信して接続を確認し、気付けアドレスを生成した時点では、他のMR(MR12〜14)の位置登録情報を収集できていない場合もある。その場合は、MR11の位置登録のみを先に行うことができる。その後、MR12〜14の位置登録情報を収集でき、ホームエージェント毎に管理する位置登録情報テーブルを更新した時点で、改めて、その位置登録情報テーブルの内容にしたがい、変更のあったホームエージェントについてまとめて代表位置登録を行う。なお、代表位置登録では、常に最新の情報を送信するので、位置登録対象のホームエージェントに属するMRについては、既に位置登録していても位置登録情報を送信する。
【0038】
(4)ホームエージェントにおけるモバイルIPトンネルの確立
つぎに、図5を用いて、位置登録を受信したホームエージェントがモバイルIPによるカプセル化トンネル(以下、「モバイルIPトンネル」ともいう)を確立するための処理について説明する。図5は、MR11から位置登録を受信した外部ネットワーク2上のホームエージェントが、これを処理する様子を示す図である。
【0039】
外部ネットワーク2において、移動ネットワーク1におけるインターネットゲートウェイであるMR11からの代表位置登録を受信したホームエージェントは、受信したホームアドレスおよびモバイルネットワークプリフィックスと、MR11の気付けアドレスとの対応を位置登録テーブルに登録する。これにより、移動ネットワーク1内の端末へのパケット送信について、ホームエージェントのアドレス,インターネットゲートウェイであるMR11に割り当てられた気付けアドレスを、それぞれ送信元,宛先とするモバイルIPトンネルを確立する。また、位置登録応答(BA:Binding Acknowledgement)パケットをMR11に返送する。
【0040】
詳細には、HA41は、代表位置登録を受信すると、(HoA#2−MNP22)および(HoA#4−MNP24)と、MR11の気付けアドレスとの対応を、自身が保持する位置登録テーブルに登録する。
【0041】
また、HA41は、MR11から受信した位置登録パケットに対する応答として、同じシーケンス番号の位置登録応答(BA:Binding Acknowledgement)パケットを、MR11に返送する。これにより、HA41と、移動ネットワーク1のインターネットゲートウェイであるMR11との間で、モバイルIPトンネルが確立される。そして、外部ネットワーク2内から移動ネットワーク1内のHA41に属する端末へのパケットの送信について、HA41のアドレス,MR11の気付けアドレスを、それぞれ送信元,宛先とするモバイルIPによるカプセル化が開始される。
【0042】
同様に、HA42は、(HoA#1−MNP21)および(HoA#3−MNP23)と、MR11の気付けアドレスとの対応を、自身が保持する位置登録テーブルに登録する。
【0043】
また、HA42は、MR11から受信した位置登録パケットに対する応答として、同じシーケンス番号の位置登録応答(BA)パケットを、MR11に返送する。これにより、HA42と、移動ネットワーク1のインターネットゲートウェイであるMR11との間で、モバイルIPトンネルが確立される。そして、外部ネットワーク2内から移動ネットワーク1内のHA42に属する端末へのパケットの送信について、HA42のアドレス,MR11の気付けアドレスを、それぞれ送信元,宛先とするモバイルIPによるカプセル化が開始される。
【0044】
なお、各ホームエージェントが保持する位置登録テーブルは、通常のモバイルIP技術やネットワークモビリティ(NEMO)技術を用いる場合と同様に、ホームアドレスと気付けアドレスとの対応以外にも、生存時間,シーケンス番号,ホーム登録フラグ,使用法情報、などを有する。これらの情報は、位置登録によって追加更新され、また、生存時間のタイムアウト,継続的な宛先到達不能,モバイルルータからの登録解除要求、などにより削除される。
【0045】
(5)MR11におけるモバイルIPトンネルの確立
つぎに、図6を用いて、ホームエージェントから位置登録応答を受信したモバイルルータが、モバイルIPトンネルを確立する処理について説明する。図6は、外部ネットワーク2上のホームエージェントから位置登録応答を受信したMR11が、これを処理する様子を示す図である。
【0046】
インターネットゲートウェイであるMR11は、自身が送信した位置登録パケットに対する応答として、各ホームエージェントから、同じシーケンス番号の位置登録応答(BA)パケットを受信すると、各ホームエージェントへの位置登録の完了を認識する。これにより、モバイルIPトンネルが確立される。そして、移動ネットワーク1内の端末から対向ノード宛のパケットの送信については、インターネットゲートウェイとなるMR11の気付けアドレス,ホームエージェントのアドレスを、それぞれ送信元,宛先とするモバイルIPによるカプセル化が開始される。
【0047】
詳細には、MR11は、自身がHA41に送信した位置登録パケットに対する応答として、同じシーケンス番号の位置登録応答パケットを受信する。これにより、モバイルIPトンネルが確立され、移動ネットワーク1内の端末から対向ノード(CN5)へのパケットの送信について、MR11の気付けアドレス,HA41のアドレスを、それぞれ送信元,宛先とするモバイルIPによるカプセル化が開始される。
【0048】
同様に、MR11は、自身がHA42に送信した位置登録パケットに対する応答として、同じシーケンス番号の位置登録応答パケットを受信する。これにより、モバイルIPトンネルが確立され、移動ネットワーク1内の端末から対向ノード宛(CN5)へのパケットの送信について、MR11に割り当てられた気付けアドレス,HA42のアドレスを、それぞれ送信元,宛先とするモバイルIPによるカプセル化を開始する。
【0049】
つぎに、各装置の構成を、図7および図8を用いて説明する。図7は、モバイルルータの構成の一例を示す図である。モバイルルータは、1以上の有線または無線のインタフェース部70−m(m=1,2,…)と、パケット交換制御部71と、パケット転送処理部72と、を備えている。パケット交換制御部71は、経路制御部73,移動管理制御部74,位置登録情報テーブル75を、パケット転送処理部72は、パケットカプセル処理・転送部76,経路制御テーブル77を、それぞれ備える。
【0050】
パケット交換制御部71の経路制御部73は、自身配下の移動ネットワーク内の端末を管理する。また、自身がツリーの根の場合、ツリー構造のアドホックを構成する他のモバイルルータとの間、および移動ネットワーク1内のさらに外の外部ネットワークとの間で、経路制御パケットおよび経路制御応答パケットを交換する。これにより、パケットの転送経路を決定し、経路制御テーブル77に設定する。経路制御テーブル77には、上記他のモバイルルータのホームアドレスおよびそのルータが管理するモバイルネットワークプリフィクス毎に、転送先のモバイルルータのIPアドレスと、その転送先のモバイルルータを接続するインタフェースIDを設定する。
【0051】
また、自身がツリーの根でない場合、パケット交換制御部71の経路制御部73は、ツリーの根からの自身のホップ数から決まる所定時間を保持し、経路制御パケットを受信してからこの所定時間が経過するまで待機する。そして、自身より下流から経路制御応答パケットを受信した場合は、その経路制御応答パケットに、経路制御情報とともに、自身のホームアドレスおよびモバイルネットワークプリフィクスをさらに含ませて、ツリーの根であるモバイルルータに向けて送信する。また、自身より下流から経路制御応答パケットを受信しなかった場合は、経路制御情報とともに自身のホームアドレスおよびモバイルネットワークプリフィクスを含ませた、自身の情報のみを含む経路制御応答パケットを、ツリーの根であるモバイルルータに向けて送信する。
【0052】
パケット交換制御部71の移動管理制御部74は、自身がインターネットゲートウェイとなる場合のみ動作する。この移動管理制御部74は、自身をツリーの根とするツリー構造のアドホックを構成する他のモバイルルータと交換する経路制御応答パケットに含まれる位置登録情報を収集し、位置登録情報テーブル75に、ホームエージェント毎に内容を登録する。また、位置登録情報テーブル75に基づいて、各モバイルルータの位置登録情報と自身の気付けアドレスとの対応を、1つの位置登録パケットに含ませて、対応するホームエージェントに送信することで、代表位置登録を行う。
【0053】
パケット転送処理部72のパケットカプセル処理・転送部76は、位置登録情報テーブル75を参照してパケットのカプセル化・デカプセル化を行うパケットカプセル処理機能と、経路制御テーブル77を参照してパケットの転送先を振り分けるパケット転送機能を備える。パケット転送機能により、カプセル化を行ったパケットはホームエージェントに転送され、デカプセル化を行ったパケットは移動ネットワーク1内の該当する端末に転送される。
【0054】
図8は、ホームエージェントの構成の一例を示す図である。ホームエージェントは、1以上の有線または無線のインタフェース部80−n(n=1,2,…)と、パケット交換制御部81と、パケット転送処理部82と、を備えている。パケット交換制御部81は、経路制御部83,移動管理制御部84,位置登録情報テーブル85を、パケット転送処理部82は、パケットカプセル処理・転送部86,経路制御テーブル87を、それぞれ備える。
【0055】
パケット交換制御部81の経路制御部83は、インターネット(または、コアネットワーク)に接続される他のルータまたはモバイルルータといったIP装置との間で経路制御パケットを交換することにより、パケットの転送経路を決定し、経路制御情報を経路制御テーブル87に登録する。移動管理制御部84は、対向するモバイルルータ11との間で代表位置登録を行うことにより、各モバイルルータの位置登録情報とMR11の気付けアドレスとの対応を、位置登録テーブル85に設定する。また、位置登録パケットに対する位置登録応答パケットを送信する。
【0056】
パケット転送処理部82のパケットカプセル処理・転送部86は、位置登録テーブル85を参照してパケットのカプセル化・デカプセル化を行うパケットカプセル処理機能と、経路制御テーブル87を参照して、パケットの転送先を振り分けるパケット転送機能を備える。パケット転送機能によって、カプセル化を行ったパケットはゲートウェイとなるMR11に転送され、デカプセル化を行ったパケットは、パケットの送信先である対向ノードCN5に転送される。なお、位置登録テーブルは、BC(Binding Cache)であってもよい。
【0057】
つぎに、メッセージフォーマットについて、図9および図10を用いて説明する。図9は、ツリーの上流方向へのツリー経路制御応答パケットのフォーマットの一例を示す図である。このフォーマットは、経路制御応答メッセージとして使用するために、上述の非特許文献3におけるNINOのパケットフォーマットに対して以下の機能を追加したものである。
【0058】
フォーマットのタイプ「Type」として、新たに未使用の値(たとえば、“110”など)を定義する。また、インターネットゲートウェイとなるモバイルルータ以外の、アドホックを構成するモバイルルータからも位置登録を要求できるように、1ビットのフラグ「B」を定義する。
【0059】
さらに、送信元のモバイルルータのホームアドレス用のフィールドとして、オリジネータアドレス(Originator Address)を、モバイルルータのホームエージェントのアドレス用のフィールドとして、ホームエージェントアドレス(Home Agent Address)を追加する。これにより、経路制御応答メッセージを送信することで、経路制御情報および位置登録情報をまとめて通知できる。
【0060】
また、オリジネータアドレス(Originator Address)とホームエージェントアドレス(Home Agent Address)は、モバイルルータで中継する毎に追加できることとしたので、複数のモバイルルータの情報を同一のパケットに含ませることができ、メッセージ量を削減できる。
【0061】
図10は、インターネットゲートウェイとなるモバイルルータからホームエージェントへの代表位置登録パケットのフォーマットの一例を示す図である。
【0062】
図10において、(1)MobileIPV6ヘッダフォーマット、(2)メッセージデータのBinding Update(BU)フォーマット、(3)モビリティオプションのモバイルネットワークプリフィックス(MNP)オプションのフォーマット、の各フォーマットについては、非特許文献1に記載の位置登録(BU)パケットのフォーマットである。ここでは、TLV(Type,Length,Value)形式の(3)のモバイルネットワークプリフィックス(MNP)オプションを複数含ませる。これにより、同一ホームエージェント宛に、複数のMRをまとめて代表位置登録ができる。
【0063】
さらに、上記(3)のモバイルネットワークプリフィックス(MNP)オプションのフォーマットを、(4)モビリティオプションのモバイルネットワークプリフィックス(MNP)とホームアドレス(HoA)オプション、として拡張したフォーマットを定義する。このフォーマットでは、メッセージタイプ(Type)として、新たに未使用の値を定義する(たとえば、106)。ここで、ホームアドレス(HoA:Home Address)は、図9においてオリジネータアドレス(Originator Address)と呼ぶ、16バイト(固定長)のモバイルルータのホームアドレス(HoA)と同一のものである。
【0064】
(4)のフォーマットにおいて、“Length”は、“Type”の長さと“Length”の長さを除くデータ長である。“Prefix Length”は、オプションに含まれるIPv6プレフィクスの長さである。“Mobile Network Prefix”は、16バイトのモバイルネットワークプレフィクスである。“HoA(Home Address)”は、16バイト(固定長)のホームアドレスである。
【0065】
つぎに、図1のように構成された移動ネットワークシステムにおけるモバイルIPによるカプセル化トンネル作成の処理全体を説明する。図11は、移動ネットワークシステム1と外部ネットワーク2との間の、モバイルIPトンネルの確立処理を説明するシーケンス図である。
【0066】
MR11は、HA42に属し、ホームアドレス11(HoA#1),モバイルネットワークプリフィックス11(MNP21)を管理している。まず、MR11は、AR3からのルータ広告(RA)を受信すると(ステップS1)、デフォルトルートをAR3に設定する。その後、MR11は上述同様、気付けアドレスを生成する。この時点で、MR11の保持する位置登録情報テーブルには、MNP21−HoA#1の組合せがHA42に対して登録されているので、MR11は、位置登録情報テーブルにしたがい、HA42宛に自身の位置登録パケット(BU)を送信する(ステップS2)。
【0067】
HA42は、MR11からの位置登録パケットを受信すると、自身が保持する位置登録テーブルに、(MNP21−HoA#1)に対してMR11の気付けアドレスを設定する。また、HA42は、位置登録応答パケット(BA)をMR11に返送する(ステップS3)。これにより、HA42とMR11との間で、モバイルIPトンネルが確立され(ステップS4)、対向ノード(ここでは、CN5とする)と、MNP21で管理される端末との間で、パケットの転送が可能となる。
【0068】
また、MR11は、AR3からのルータ広告を受信すると、移動ネットワーク1のインターネットゲートウェイ(IGW)となる。したがって、MR11は、移動ネットワーク1を構成する他のMR12〜14に対して、ツリー経路制御パケットをブロードキャストまたはマルチキャストする。これにより、ツリー経路制御パケットはMR12とMR14に送信され(ステップS5)、MR12およびMR14を経由することで、MR13にも送信される(ステップS6)。図2の説明で述べたように、MR12およびMR14は、MR11をデフォルトルートに設定し、MR13は、上述したようにMR12を選択してデフォルトルートに設定する。
【0069】
以下、図3〜図6において説明したように、移動ネットワーク1についてモバイルIPトンネルが確立される。ツリー経路制御パケットを受信した各モバイルルータは、ツリー制御パケットの送信元であるMR11からのホップ数に応じて段階的に変化する一定時間経過後に、MR11宛に、ツリー経路制御応答パケットを返送する。
【0070】
ここで、ホップ数に応じて段階的に変化する一定時間とは、ツリー経路のより上流にあるモバイルルータが、ツリー経路の下流からのツリー経路制御応答パケットに自身の情報を相乗りさせて返送するために、下流のモバイルルータから送信されるツリー経路制御応答パケットを待つ時間である。一定時間には、遅延を想定した時間差を静的に設定してもいいし、ダイナミックに設定・更新する時間差を設定してもよい。
【0071】
ここでは、MR13は、移動ネットワーク1に設定されたツリー経路では最下流である。したがって、MR13は、下流のモバイルルータからのツリー制御応答パケットを受信しないので、ツリー経路制御パケットを受信してからホップ数2で設定された一定時間経過後、自身の情報のみを含ませたツリー経路制御応答パケット(HA42:MNP23−HoA23)を送信する(ステップS7)。
【0072】
MR12は、MR11からツリー経路制御パケットを受信してからホップ数1により設定された一定時間が経過するまで待機する。そして、MR13から返送されるツリー経路制御応答パケット(HA42:MNP23−HoA#3)を受信すると、MR13からのツリー経路制御応答パケットに自身の情報をさらに含ませたツリー経路制御応答パケット(HA41:MNP22−HoA#2、HA42宛:MNP23−HoA#3)を、MR11に返送する(ステップS8)。
【0073】
また、MR14は、MR11からは1ホップであるが、MR13の上流モバイルルータではないので、ツリー経路では最下流である。したがって、MR13と同様に、MR14は、ツリー経路制御パケットを受信してからホップ数1により設定された一定時間経過後、自身の情報のみを含ませたツリー経路制御応答パケット(HA41:MNP24−HoA#4)を送信する(ステップS9)。
【0074】
MR11は、以上のようにMR12からのツリー経路制御応答パケットを受信すると、経路制御テーブルに、MR12およびMR13を設定し、MR13に対するNextHopとしてMR12を設定する。また、位置登録情報テーブルに、HA41宛の(MNP22−HoA#2)および、HA42宛の(MNP23−HoA#3)を設定する。また、MR11は、MR14からのツリー経路制御応答パケット(HA41:MNP24−HoA#4)を受信すると、経路制御テーブルにMR14を設定する。また、位置登録情報テーブルに、HA41宛の(MNP24−HoA#4)を設定する。
【0075】
つぎに、MR11は、位置登録情報テーブルの設定にしたがって、(MNP22−HoA#2)とMR11の気付けアドレス(CoA)との対応、および(MNP24−HoA#4)とMR11の気付けアドレス(CoA)との対応を、まとめて1つの代表位置登録(BU)パケットに載せ、HA41宛に送信する(ステップS10)。
【0076】
代表位置登録(BU)パケットを受信したHA41は、位置登録テーブル(BC)に、(MNP22−HoA#2)および(MNP24−HoA#4)と、MR11の気付けアドレスの対応を登録する。また、位置登録応答(BA)パケットをMR11に返送する(ステップS11)。これにより、HA41とMR11との間で、モバイルIPトンネルが確立される(ステップS12)。以後、対向ノードCN5と、MNP22で管理される端末、およびMNP24で管理される端末との間で、パケットの転送が可能となる。
【0077】
同様に、MR11は、位置登録情報テーブルの設定にしたがって、(MNP21−HoA#1)および(MNP23−HoA#3)と、MR11の気付けアドレスの対応を、まとめて1つの代表位置登録(BU)パケットに載せ、HA42宛に送信する(ステップS13)。
【0078】
代表位置登録(BU)パケットを受信したHA42は、位置登録テーブル(BC)に、(MNP21−HoA#1)および(MNP23−HoA#3)と、MR11の気付けアドレスの対応を登録する。また、位置登録応答(BA)パケットをMR11に返送する(ステップS14)。これにより、HA42とMR11との間のモバイルIPトンネルに、(MNP23−HoA#3)も追加され、対向ノードCN5とMNP23で管理される端末との間でも、パケットの転送が可能となる(ステップS15)。
【0079】
以上説明したように、本実施の形態では、複数のモバイルルータによってアドホックネットワークが構成される場合に、外部ネットワークとの間のゲートウェイとなるモバイルルータに対し、他のモバイルルータが、経路制御情報と位置登録情報を1つのパケットにまとめて通知することとした。また、これを受信したゲートウェイとなるモバイルルータは、外部ネットワークに対し、ホームエージェント毎にまとめて代表位置登録を行うこととした。これにより、送信するメッセージ量を削減でき、通信効率を向上させることができる。また、効率的に位置登録を行い、モバイルIPトンネルを確立することができる。
【0080】
なお、本実施の形態では、モバイルルータが移動ネットワークを構成する場合について説明したが、モバイルルータの代わりに移動IP端末または無線基地局がネットワークを構成する場合であっても本実施の形態の処理が適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0081】
また、本実施の形態の経路制御テーブルには、制御対象のモバイルルータのホームアドレスおよびそのルータが管理するモバイルネットワークプリフィクス毎に、IPアドレスと、そのルータを接続するインタフェースIDを設定することとしたが、これに限らず、ホームアドレスまたはモバイルネットワークプリフィクスのみを設定するとしてもよい。
【0082】
また、本実施の形態では、各モバイルルータは、モバイルネットワークプリフィックスおよびホームアドレスを管理するが、いずれかのみを管理することとしてもよい。
【0083】
なお、モバイルルータの代わりに移動IP端末を採用する場合、移動IP端末は、ホームアドレスは管理するが、モバイルネットワークプリフィクスは管理しないので、この場合、MNPは位置登録情報に含まれない。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明にかかる通信システムは、複数のモバイルルータにより移動ネットワークを構成する場合に有用であり、特に、当該移動ネットワークにおける複数のモバイルルータがアドホックを構成する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本実施の形態における移動ネットワークシステムの構成例を示す図である。
【図2】ゲートウェイであるMRからメッセージがフラッディングされる様子を示す図である。
【図3】MR配下のモバイルルータがMRに対してメッセージを返送する様子を示す図である。
【図4】MRが外部ネットワークのホームエージェントに対して位置登録のメッセージを送信する様子を示す図である。
【図5】MRから位置登録を受信した外部ネットワーク上のホームエージェントがこれを処理する様子を示す図である。
【図6】外部ネットワーク上のホームエージェントから位置登録応答を受信したMRがこれを処理する様子を示す図である。
【図7】モバイルルータの構成の一例を示す図である。
【図8】ホームエージェントの構成の一例を示す図である。
【図9】ツリーの上流方向へのツリー経路制御応答パケットのフォーマットの一例を示す図である。
【図10】インターネットゲートウェイとなるモバイルルータからホームエージェントへの代表位置登録パケットのフォーマットの一例を示す図である。
【図11】移動ネットワークシステムと外部ネットワークとの間のモバイルIPトンネルの確立処理を説明するシーケンス図である。
【符号の説明】
【0086】
1,1A,1B,1C,1D 移動ネットワーク
2 外部ネットワーク
3 AR
5 CN
11,12,13,14 モバイルルータ
21,22,23,24 モバイルネットワークプリフィクス
31,32,33,34 モバイルノード
41,42 ホームエージェント
70−m(m=1,2,…) インタフェース部
71 パケット交換制御部
72 パケット転送処理部
73 経路制御部
74 移動管理制御部
75 位置登録情報テーブル
76 パケットカプセル処理・転送部
77 経路制御テーブル
80−n(n=1,2,…) インタフェース部
81 パケット交換制御部
82 パケット転送処理部
83 経路制御部
84 移動管理制御部
85 位置登録情報テーブル
86 パケットカプセル処理・転送部
87 経路制御テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルIP機能を有する複数の移動通信装置により移動ネットワークを構成する場合の通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IETF(Internet Engineering Task Force)におけるNEMO(Network Mobility)では、移動ネットワーク内にモバイルルータをおくことによって、移動端末のハンドオーバ時に位置登録をする方法が規定されている(たとえば、下記非特許文献1)。また、IETF MANEMO(MANET for NEMO)では、NEMO対応の複数のモバイルルータがアドホックを構成した場合のモバイルルータ間の無線マルチホップ通信について議論されている(たとえば、下記非特許文献2および3)。
【0003】
【非特許文献1】“Network Mobility(NEMO) Basic Support Protocol” RFC3963
【非特許文献2】IETF MANEMO Nested Nemo Tree Discovery draft-thubert-tree-discovery-06.txt
【非特許文献3】IETF MANEMO Network In Node Advertisement draft-thubert-nina-01.txt
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記非特許文献では、モバイルIPによるカプセル化トンネルを形成するにあたって、モバイルルータが単数である場合の位置登録処理について記述され、モバイルルータが複数である場合の位置登録処理については特に記述されていない。したがって、複数のモバイルルータがアドホックを構成する場合、モバイルルータはそれぞれ位置登録等の処理を行うこととなるため、メッセージの送信量が増加し効率が悪い、という問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の移動通信装置がアドホックの移動ネットワークを構成する場合において、効率的に位置登録を行い、カプセル化トンネルを確立可能な通信システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の移動通信装置を備え、当該複数の移動通信装置がアドホックを構成してマルチホップ通信を行う移動ネットワークである第1のネットワークと、前記移動通信装置の位置情報を管理するホームエージェントを備える第2のネットワークと、を含む通信システムであって、前記第2のネットワークに対するゲートウェイとなった前記第1のネットワーク内の各移動通信装置のうちの一つが、所定の位置登録情報テーブルに保持する、自身を含む前記第1のネットワーク内の移動通信装置のそれぞれの位置登録情報と自身の気付けアドレスとの対応を、1つの位置登録パケットに含ませて前記ホームエージェントに向けて送信することにより代表位置登録を行い、前記ホームエージェントが、前記位置登録パケットにより通知された各移動通信装置の位置登録情報と前記ゲートウェイの気付けアドレスとの対応を所定の位置登録テーブルに登録し、また、位置登録応答パケットを当該ゲートウェイに返送することにより、前記ホームエージェントと前記ゲートウェイとなった移動通信装置との間で、モバイルIPによるカプセル化トンネルを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、送信するメッセージ量を削減でき、通信効率を向上させることができるとともに、効率的にモバイルIPトンネルを確立できる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明にかかる通信システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、本実施の形態における移動ネットワークシステムの構成例を示す図である。図1の移動ネットワークシステムは、移動ネットワーク1および外部ネットワーク2を備え、移動ネットワーク1と外部ネットワーク2は無線リンクで接続されている。
【0010】
移動ネットワーク1は、移動ネットワーク1A,1B,1C,1Dを備え、移動ネットワーク1A〜1Dは、有線リンクまたは無線リンクで接続し、アドホックネットワークを構成している。
【0011】
移動ネットワーク1A〜1Dは、それぞれ、ホームアドレス(以下、「HoA」ともいう)#1〜#4を有するモバイルルータ(MR)11〜14と、これらのMRの下に、モバイルネットワークプリフィックス(MNP)21〜24で管理される移動ネットワーク内端末(MN)31〜34を備える。また、移動ネットワーク1AのMR11は、外部ネットワーク2との間のゲートウェイ、すなわち、インターネットゲートウェイ(IGW)となっている。
【0012】
なお、モバイルルータは、他のモバイルルータを接続する自身のインタフェース毎に、他のモバイルルータから受信するホームアドレスおよび各モバイルルータが管理するモバイルネットワークプリフィックスを登録した経路制御テーブルを保持し、このテーブルを経路制御に用いる。また、モバイルルータは、ホームエージェント毎に、自身の配下にあるルータのホームアドレスおよびそのルータが管理する移動ネットワーク内端末のモバイルネットワークプリフィクスを登録した位置登録情報テーブルを保持し、このテーブルを位置登録に用いる。なお、位置登録情報テーブルは、自身が外部ネットワークとのゲートウェイである場合にのみ用いる。
【0013】
外部ネットワーク2(たとえば、インターネットやコアネットワーク)は、固定ネットワークであって、AR(Access Router)3と、HA(ホームエージェント)41および42と、移動ネットワーク1内の端末の対向ノードとなるCN(Correspond Node)5を接続している。なお、外部ネットワーク2は、ここではインターネットとする。また、AR3は、移動ネットワーク1のMR11と無線リンクで接続している。また、ここでは、MR11およびMR13がHA42に属し、MR12およびMR14がHA41に属する。
【0014】
このような移動ネットワークシステムは、具体的には、列車の複数台の車両ごとにモバイルルータが設置され連なって移動する、船舶や航空機などにモバイルルータが搭載され一体となって移動する、といった使用が想定される。
【0015】
つづいて、以上のように構成された移動ネットワークシステムにおけるカプセル化トンネル確立の動作について、図2〜図6を用いて説明する。
【0016】
(1)ツリー構造の経路の作成
まず、移動ネットワーク1内でツリー構造の経路が作成されるまでを説明する。図2は、移動ネットワーク1におけるゲートウェイであるMR11からメッセージがフラッディングされる様子を示す図である。図2において、MR11のみが外部ネットワーク2(インターネット)からのルータ広告(RA:Router Advertisement)を受信したことで、MR11は、移動ネットワーク1におけるインターネットゲートウェイとなる。MR11は、移動ネットワーク1におけるインターネットゲートウェイとなったことで、移動ネットワーク1のツリーの根ともなるので、RA、またはRAを拡張したメッセージであるツリー経路制御パケットを、MR12〜14に対しフラッディングする。なお、ここでは、ツリー経路制御パケットを送信する。
【0017】
ここで、MR11は、ツリー経路制御パケットに自身のアドレス情報(またはID情報)を記載する。そして、このツリー経路制御パケットをブロードキャストまたはマルチキャストすることにより、MR11がツリーの根であることを、アドホックネットワーク(移動ネットワーク1)内の各MRに通知する。図2の例では、MR11は、自身に隣接する(1ホップである)MR12およびMR14に、それぞれツリー経路制御パケット(MR11アドレス)を送信する。ここで、「MR11アドレス」とはMR11の現在のアドレスであり、ホームアドレスではない。以下、メッセージ(パケット)に含ませる情報は、カッコ内に記載して表現する。
【0018】
MR11からのツリー経路制御パケット(MR11アドレス)を受信したMR12は、MR11を移動ネットワーク1Bのデフォルトゲートウェイに設定する。また、MR12は、同一のゲートウェイ(MR11)から送信されたツリー経路制御パケットが重複することを避けるために、自身のアドレス情報(またはID情報)を付加したツリー経路制御パケット(MR11アドレス,MR12アドレス)を、MR13に送信する。
【0019】
同様に、MR11からのツリー経路制御パケット(MR11アドレス)を受信したMR14は、MR11を移動ネットワーク1Dのデフォルトゲートウェイに設定する。また、上述の重複チェックのために自身のアドレス情報(またはID情報)を付加したツリー経路制御パケット(MR11アドレス,MR14アドレス)を、MR13に送信する。
【0020】
MR13は、ツリー経路制御パケット(MR11アドレス,MR12アドレス)および、ツリー経路制御パケット(MR11アドレス,MR14アドレス)を受信する。MR13は、これらのツリー経路制御パケットについて、ツリー経路制御パケットの送信元をチェックすることで、いずれもMR11からのツリー経路制御パケットであると判断する。また、MR13は、ツリー経路制御パケットに含まれるアドレスを検証することにより、これらのツリー経路制御パケットは、中継したモバイルルータが異なる重複したパケットであると判断する。そして、MR13は、予め定められた優先度にしたがうことにより、または、コストの比較を行うことにより、いずれかの経路を選択する。
【0021】
ここで、コストの比較とは、たとえば、以下のように行う。予め、(1)ユーザパケット伝送品質、(2)ルータ広告やHelloメッセージのような周期的な制御パケットの受信率・到達率、(3)無線の場合には受信信号レベル等の無線品質、(4)帯域使用状率やトラヒック量、(5)通信レートや帯域幅、(6)パケットの伝送遅延、などの複数のリンク情報のうち1つをリンクコストと定義する。または、これらのリンク情報の複数を所定の重み付けにしたがい組み合わせたものをリンクコストと定義する。そして、ツリー経路制御パケットを受信すると、たとえばMR13の場合ならば、(MR11−MR12のリンクコスト)+(MR12−MR13のリンクコスト)によってMR11〜MR12〜MR13のパスコストを算出し、(MR11−MR14のリンクコスト)+(MR14−MR13のリンクコスト)によってMR11〜MR14〜MR13のパスコストを算出する。そのうえで、パスコスト同士を比較する。
【0022】
図2の例では、MR11〜MR12〜MR13のパスコストの方が優れていたと仮定する。この場合、MR13は、MR12を選択し、移動ネットワーク1Bのデフォルトゲートウェイに設定する。なお、ここでは、MR11とMR13との間は、MR12とMR14のいずれを経由しても同じホップ数(ホップ数2)であるが、パスコストが優れている場合には、それがホップ数の多いモバイルルータとの間の経路であっても選択することができる。
【0023】
(2)移動ネットワーク1内での位置登録情報の送信
つぎに、図3を用いて、移動ネットワーク内のモバイルルータがインターネットゲートウェイ(MR11)に対して位置登録情報を送信する場合を説明する。図3は、MR11配下のモバイルルータが、MR11に対してメッセージを返送する様子を示す図である。
【0024】
インターネットゲートウェイ以外のすべてのモバイルルータ(MR12,MR13,MR14)は、インターネットゲートウェイ(MR11)宛に、ユニキャストで隣接広告(NA:Neighbor Advertisement)メッセージ、または、それを拡張したメッセージであるツリー経路制御応答パケットを送信する。ここでは、ツリー経路制御応答パケットを送信する。
【0025】
ツリー経路制御応答パケットは、ツリー経路制御パケットに対する応答である。本実施の形態では、各モバイルルータは、自身のホームエージェントのアドレス(以下、「HAアドレス」とも記す)および自身のHoAと、自身の配下にある移動ネットワーク内端末のモバイルネットワークプリフィックス(以下、「MNP」とも記す)を、ツリー経路制御応答パケットに含ませる。これにより、インターネットゲートウェイに対し、経路情報とともに、位置登録に必要な情報である位置登録情報を通知できる。
【0026】
まず、MR13が、インターネットゲートウェイであるMR11に対して、自身のホームエージェントのアドレス(HA42アドレス)、および、自身のホームアドレス(HoA#3)、自身の配下にある移動ネットワーク内端末のモバイルプリフィックス(MNP23)を含ませたツリー経路制御応答パケット(HA2アドレス:MNP23−HoA#3)を、MR13のデフォルトゲートウェイであるMR12に送信する。なお、本実施の形態では、移動ネットワーク1A〜1Dに接続されるネットワーク内端末を、ホームアドレスおよびモバイルネットワークプリフィクスの組合せで管理する。
【0027】
MR13からのツリー経路制御応答パケット(HA2アドレス:MNP23−HoA#3)を受信したMR12は、自身が保持する経路制御テーブルに、(MNP23−HoA#3)に対応する自身からみたNextHopアドレス、としてMR13アドレスを登録する。また、受信したツリー経路制御応答パケットを、その宛先であるMR11に転送する。このとき、MR12は、MR13と同様に、自身のツリー経路制御応答パケット(HA41アドレス:MNP22−HoA#2)を、MR13からのツリー経路制御応答パケットとは別に、MR11に送信することもできる。しかしながら、本実施の形態では、2つのツリー経路制御応答パケットの情報をまとめて、1つのツリー経路制御応答パケット(HA41アドレス:MNP22−HoA#2,HA42アドレス:MNP23−HoA#3)として、MR11に送信する。これにより、MR12は、MR11に対し、MR13およびMR12の経路情報と位置登録情報をまとめて通知する。
【0028】
また、同様に、MR14は、MR11に対し、ツリー経路制御応答パケット(HA41アドレス:MNP24−HoA#4)を送信することにより、経路情報および位置登録情報を通知する。
【0029】
これらのツリー経路制御応答パケットを受信したMR11は、自身の保持する経路制御テーブルに、MR12〜14から受信した各MRのホームアドレス、および各MRが管理するモバイルネットワークプリフィックスを登録する。また、MR11は、ホームエージェント毎に管理する位置登録情報テーブルを保持し、自身のホームエージェントのアドレス(HA42アドレス)に対して、自身のホームアドレス(HoA#1)および自身の配下にある移動ネットワーク内端末のモバイルネットワークプリフィックス(MNP21)の組合せを事前に登録している。これに対し、MR12〜14のホームエージェントのアドレス(HAアドレス)に対するホームアドレス(HoA)およびそれらの配下にある移動ネットワーク内端末のモバイルネットワークプリフィックス(MNP)の組合せを追加登録する。
【0030】
詳細には、MR11は、ツリー経路制御応答パケット(HA41アドレス:MNP22−HoA#2、HA42アドレス:MNP23−HoA#3)および、ツリー経路制御応答パケット(HA41アドレス:MNP24−HoA#4)を受信する。この場合、MR11は、経路制御テーブルに、(MNP22−HoA#2)および(MNP23−HoA#3)の各組合せに対応する、自身から見たNextHopアドレスとしてMR12のアドレスを登録する。また、MR11は、(MNP24−HoA#4)の組合せに対応する、自身から見たNextHopアドレスとして、MR14のアドレスを登録する。
【0031】
また、MR11は、位置登録情報テーブルに、HA41アドレスに対しては、(MNP22−HoA#2),(MNP24−HoA#4)の各組合せを登録する。また、HA42アドレスに対しては、(MNP21−HoA#1),(MNP23−HoA#3)の各組合せを登録する。
【0032】
(3)外部ネットワーク上のホームエージェントへの位置登録
つぎに、図4を用いて、インターネットゲートウェイ(MR11)が、各ホームエージェントに対して位置登録を行う場合を説明する。図4は、MR11が、外部ネットワーク2のホームエージェントに対して位置登録のメッセージを送信する様子を示す図である。
【0033】
MR11は、アクセスルータからのルータ広告の受信により、アクセスルータを介してインターネットとの接続を確認し、インターネットゲートウェイとなる。なお、MRは、インターネット(またはコアネットワーク)内のルータやホームエージェントからのルータ広告の受信により、アクセスルータを介さずに直接インターネットなどやホームエージェントと接続することによって、そのネットワークとの接続を確認する場合もある。
【0034】
そして、MR11は、ルータ広告に含まれるプレフィクスと自身のIDなどから気付けアドレス(CoA:Care of Address)を生成する。その後、ホームエージェント毎にまとめて、代表位置登録を行う。ここで、「代表位置登録」とは、移動ネットワーク内の複数の端末を代表して、位置登録をまとめて行うことをいう。
【0035】
ここでは、インターネットゲートウェイであるMR11は、自身の保持する位置登録情報テーブルの登録内容にしたがい、位置登録を行う。すなわち、MR12の位置登録情報である(HoA#2−MNP22)と自身の気付けアドレスとの対応、および、MR14の位置登録情報である(HoA#4−MNP24)と自身の気付けアドレスとの対応を、1つの位置登録(BU:Binding Update)パケットに含ませて、移動ネットワーク1を代表して、ホームエージェント41(HA41)に送信する。これにより、移動ネットワーク1内のHA41に属するMRについて、まとめて位置登録できる。
【0036】
また、同様に、MR11の位置登録情報である(HoA#1−MNP21)と自身の気付けアドレスとの対応、および、MR13の位置登録情報である(HoA#3−MNP23)と自身の気付けアドレスとの対応を、1つの位置登録(BU)パケットに含ませて、移動ネットワーク1を代表して、ホームエージェント42(HA42)に送信する。これにより、移動ネットワーク1内のHA42に属するMRについて、まとめて位置登録できる。
【0037】
なお、実際には、インターネットゲートウェイであるMR(MR11)が、アクセスルータ、インターネット(またはコアネットワーク)内のルータ、またはホームエージェントなどからのルータ広告を受信して接続を確認し、気付けアドレスを生成した時点では、他のMR(MR12〜14)の位置登録情報を収集できていない場合もある。その場合は、MR11の位置登録のみを先に行うことができる。その後、MR12〜14の位置登録情報を収集でき、ホームエージェント毎に管理する位置登録情報テーブルを更新した時点で、改めて、その位置登録情報テーブルの内容にしたがい、変更のあったホームエージェントについてまとめて代表位置登録を行う。なお、代表位置登録では、常に最新の情報を送信するので、位置登録対象のホームエージェントに属するMRについては、既に位置登録していても位置登録情報を送信する。
【0038】
(4)ホームエージェントにおけるモバイルIPトンネルの確立
つぎに、図5を用いて、位置登録を受信したホームエージェントがモバイルIPによるカプセル化トンネル(以下、「モバイルIPトンネル」ともいう)を確立するための処理について説明する。図5は、MR11から位置登録を受信した外部ネットワーク2上のホームエージェントが、これを処理する様子を示す図である。
【0039】
外部ネットワーク2において、移動ネットワーク1におけるインターネットゲートウェイであるMR11からの代表位置登録を受信したホームエージェントは、受信したホームアドレスおよびモバイルネットワークプリフィックスと、MR11の気付けアドレスとの対応を位置登録テーブルに登録する。これにより、移動ネットワーク1内の端末へのパケット送信について、ホームエージェントのアドレス,インターネットゲートウェイであるMR11に割り当てられた気付けアドレスを、それぞれ送信元,宛先とするモバイルIPトンネルを確立する。また、位置登録応答(BA:Binding Acknowledgement)パケットをMR11に返送する。
【0040】
詳細には、HA41は、代表位置登録を受信すると、(HoA#2−MNP22)および(HoA#4−MNP24)と、MR11の気付けアドレスとの対応を、自身が保持する位置登録テーブルに登録する。
【0041】
また、HA41は、MR11から受信した位置登録パケットに対する応答として、同じシーケンス番号の位置登録応答(BA:Binding Acknowledgement)パケットを、MR11に返送する。これにより、HA41と、移動ネットワーク1のインターネットゲートウェイであるMR11との間で、モバイルIPトンネルが確立される。そして、外部ネットワーク2内から移動ネットワーク1内のHA41に属する端末へのパケットの送信について、HA41のアドレス,MR11の気付けアドレスを、それぞれ送信元,宛先とするモバイルIPによるカプセル化が開始される。
【0042】
同様に、HA42は、(HoA#1−MNP21)および(HoA#3−MNP23)と、MR11の気付けアドレスとの対応を、自身が保持する位置登録テーブルに登録する。
【0043】
また、HA42は、MR11から受信した位置登録パケットに対する応答として、同じシーケンス番号の位置登録応答(BA)パケットを、MR11に返送する。これにより、HA42と、移動ネットワーク1のインターネットゲートウェイであるMR11との間で、モバイルIPトンネルが確立される。そして、外部ネットワーク2内から移動ネットワーク1内のHA42に属する端末へのパケットの送信について、HA42のアドレス,MR11の気付けアドレスを、それぞれ送信元,宛先とするモバイルIPによるカプセル化が開始される。
【0044】
なお、各ホームエージェントが保持する位置登録テーブルは、通常のモバイルIP技術やネットワークモビリティ(NEMO)技術を用いる場合と同様に、ホームアドレスと気付けアドレスとの対応以外にも、生存時間,シーケンス番号,ホーム登録フラグ,使用法情報、などを有する。これらの情報は、位置登録によって追加更新され、また、生存時間のタイムアウト,継続的な宛先到達不能,モバイルルータからの登録解除要求、などにより削除される。
【0045】
(5)MR11におけるモバイルIPトンネルの確立
つぎに、図6を用いて、ホームエージェントから位置登録応答を受信したモバイルルータが、モバイルIPトンネルを確立する処理について説明する。図6は、外部ネットワーク2上のホームエージェントから位置登録応答を受信したMR11が、これを処理する様子を示す図である。
【0046】
インターネットゲートウェイであるMR11は、自身が送信した位置登録パケットに対する応答として、各ホームエージェントから、同じシーケンス番号の位置登録応答(BA)パケットを受信すると、各ホームエージェントへの位置登録の完了を認識する。これにより、モバイルIPトンネルが確立される。そして、移動ネットワーク1内の端末から対向ノード宛のパケットの送信については、インターネットゲートウェイとなるMR11の気付けアドレス,ホームエージェントのアドレスを、それぞれ送信元,宛先とするモバイルIPによるカプセル化が開始される。
【0047】
詳細には、MR11は、自身がHA41に送信した位置登録パケットに対する応答として、同じシーケンス番号の位置登録応答パケットを受信する。これにより、モバイルIPトンネルが確立され、移動ネットワーク1内の端末から対向ノード(CN5)へのパケットの送信について、MR11の気付けアドレス,HA41のアドレスを、それぞれ送信元,宛先とするモバイルIPによるカプセル化が開始される。
【0048】
同様に、MR11は、自身がHA42に送信した位置登録パケットに対する応答として、同じシーケンス番号の位置登録応答パケットを受信する。これにより、モバイルIPトンネルが確立され、移動ネットワーク1内の端末から対向ノード宛(CN5)へのパケットの送信について、MR11に割り当てられた気付けアドレス,HA42のアドレスを、それぞれ送信元,宛先とするモバイルIPによるカプセル化を開始する。
【0049】
つぎに、各装置の構成を、図7および図8を用いて説明する。図7は、モバイルルータの構成の一例を示す図である。モバイルルータは、1以上の有線または無線のインタフェース部70−m(m=1,2,…)と、パケット交換制御部71と、パケット転送処理部72と、を備えている。パケット交換制御部71は、経路制御部73,移動管理制御部74,位置登録情報テーブル75を、パケット転送処理部72は、パケットカプセル処理・転送部76,経路制御テーブル77を、それぞれ備える。
【0050】
パケット交換制御部71の経路制御部73は、自身配下の移動ネットワーク内の端末を管理する。また、自身がツリーの根の場合、ツリー構造のアドホックを構成する他のモバイルルータとの間、および移動ネットワーク1内のさらに外の外部ネットワークとの間で、経路制御パケットおよび経路制御応答パケットを交換する。これにより、パケットの転送経路を決定し、経路制御テーブル77に設定する。経路制御テーブル77には、上記他のモバイルルータのホームアドレスおよびそのルータが管理するモバイルネットワークプリフィクス毎に、転送先のモバイルルータのIPアドレスと、その転送先のモバイルルータを接続するインタフェースIDを設定する。
【0051】
また、自身がツリーの根でない場合、パケット交換制御部71の経路制御部73は、ツリーの根からの自身のホップ数から決まる所定時間を保持し、経路制御パケットを受信してからこの所定時間が経過するまで待機する。そして、自身より下流から経路制御応答パケットを受信した場合は、その経路制御応答パケットに、経路制御情報とともに、自身のホームアドレスおよびモバイルネットワークプリフィクスをさらに含ませて、ツリーの根であるモバイルルータに向けて送信する。また、自身より下流から経路制御応答パケットを受信しなかった場合は、経路制御情報とともに自身のホームアドレスおよびモバイルネットワークプリフィクスを含ませた、自身の情報のみを含む経路制御応答パケットを、ツリーの根であるモバイルルータに向けて送信する。
【0052】
パケット交換制御部71の移動管理制御部74は、自身がインターネットゲートウェイとなる場合のみ動作する。この移動管理制御部74は、自身をツリーの根とするツリー構造のアドホックを構成する他のモバイルルータと交換する経路制御応答パケットに含まれる位置登録情報を収集し、位置登録情報テーブル75に、ホームエージェント毎に内容を登録する。また、位置登録情報テーブル75に基づいて、各モバイルルータの位置登録情報と自身の気付けアドレスとの対応を、1つの位置登録パケットに含ませて、対応するホームエージェントに送信することで、代表位置登録を行う。
【0053】
パケット転送処理部72のパケットカプセル処理・転送部76は、位置登録情報テーブル75を参照してパケットのカプセル化・デカプセル化を行うパケットカプセル処理機能と、経路制御テーブル77を参照してパケットの転送先を振り分けるパケット転送機能を備える。パケット転送機能により、カプセル化を行ったパケットはホームエージェントに転送され、デカプセル化を行ったパケットは移動ネットワーク1内の該当する端末に転送される。
【0054】
図8は、ホームエージェントの構成の一例を示す図である。ホームエージェントは、1以上の有線または無線のインタフェース部80−n(n=1,2,…)と、パケット交換制御部81と、パケット転送処理部82と、を備えている。パケット交換制御部81は、経路制御部83,移動管理制御部84,位置登録情報テーブル85を、パケット転送処理部82は、パケットカプセル処理・転送部86,経路制御テーブル87を、それぞれ備える。
【0055】
パケット交換制御部81の経路制御部83は、インターネット(または、コアネットワーク)に接続される他のルータまたはモバイルルータといったIP装置との間で経路制御パケットを交換することにより、パケットの転送経路を決定し、経路制御情報を経路制御テーブル87に登録する。移動管理制御部84は、対向するモバイルルータ11との間で代表位置登録を行うことにより、各モバイルルータの位置登録情報とMR11の気付けアドレスとの対応を、位置登録テーブル85に設定する。また、位置登録パケットに対する位置登録応答パケットを送信する。
【0056】
パケット転送処理部82のパケットカプセル処理・転送部86は、位置登録テーブル85を参照してパケットのカプセル化・デカプセル化を行うパケットカプセル処理機能と、経路制御テーブル87を参照して、パケットの転送先を振り分けるパケット転送機能を備える。パケット転送機能によって、カプセル化を行ったパケットはゲートウェイとなるMR11に転送され、デカプセル化を行ったパケットは、パケットの送信先である対向ノードCN5に転送される。なお、位置登録テーブルは、BC(Binding Cache)であってもよい。
【0057】
つぎに、メッセージフォーマットについて、図9および図10を用いて説明する。図9は、ツリーの上流方向へのツリー経路制御応答パケットのフォーマットの一例を示す図である。このフォーマットは、経路制御応答メッセージとして使用するために、上述の非特許文献3におけるNINOのパケットフォーマットに対して以下の機能を追加したものである。
【0058】
フォーマットのタイプ「Type」として、新たに未使用の値(たとえば、“110”など)を定義する。また、インターネットゲートウェイとなるモバイルルータ以外の、アドホックを構成するモバイルルータからも位置登録を要求できるように、1ビットのフラグ「B」を定義する。
【0059】
さらに、送信元のモバイルルータのホームアドレス用のフィールドとして、オリジネータアドレス(Originator Address)を、モバイルルータのホームエージェントのアドレス用のフィールドとして、ホームエージェントアドレス(Home Agent Address)を追加する。これにより、経路制御応答メッセージを送信することで、経路制御情報および位置登録情報をまとめて通知できる。
【0060】
また、オリジネータアドレス(Originator Address)とホームエージェントアドレス(Home Agent Address)は、モバイルルータで中継する毎に追加できることとしたので、複数のモバイルルータの情報を同一のパケットに含ませることができ、メッセージ量を削減できる。
【0061】
図10は、インターネットゲートウェイとなるモバイルルータからホームエージェントへの代表位置登録パケットのフォーマットの一例を示す図である。
【0062】
図10において、(1)MobileIPV6ヘッダフォーマット、(2)メッセージデータのBinding Update(BU)フォーマット、(3)モビリティオプションのモバイルネットワークプリフィックス(MNP)オプションのフォーマット、の各フォーマットについては、非特許文献1に記載の位置登録(BU)パケットのフォーマットである。ここでは、TLV(Type,Length,Value)形式の(3)のモバイルネットワークプリフィックス(MNP)オプションを複数含ませる。これにより、同一ホームエージェント宛に、複数のMRをまとめて代表位置登録ができる。
【0063】
さらに、上記(3)のモバイルネットワークプリフィックス(MNP)オプションのフォーマットを、(4)モビリティオプションのモバイルネットワークプリフィックス(MNP)とホームアドレス(HoA)オプション、として拡張したフォーマットを定義する。このフォーマットでは、メッセージタイプ(Type)として、新たに未使用の値を定義する(たとえば、106)。ここで、ホームアドレス(HoA:Home Address)は、図9においてオリジネータアドレス(Originator Address)と呼ぶ、16バイト(固定長)のモバイルルータのホームアドレス(HoA)と同一のものである。
【0064】
(4)のフォーマットにおいて、“Length”は、“Type”の長さと“Length”の長さを除くデータ長である。“Prefix Length”は、オプションに含まれるIPv6プレフィクスの長さである。“Mobile Network Prefix”は、16バイトのモバイルネットワークプレフィクスである。“HoA(Home Address)”は、16バイト(固定長)のホームアドレスである。
【0065】
つぎに、図1のように構成された移動ネットワークシステムにおけるモバイルIPによるカプセル化トンネル作成の処理全体を説明する。図11は、移動ネットワークシステム1と外部ネットワーク2との間の、モバイルIPトンネルの確立処理を説明するシーケンス図である。
【0066】
MR11は、HA42に属し、ホームアドレス11(HoA#1),モバイルネットワークプリフィックス11(MNP21)を管理している。まず、MR11は、AR3からのルータ広告(RA)を受信すると(ステップS1)、デフォルトルートをAR3に設定する。その後、MR11は上述同様、気付けアドレスを生成する。この時点で、MR11の保持する位置登録情報テーブルには、MNP21−HoA#1の組合せがHA42に対して登録されているので、MR11は、位置登録情報テーブルにしたがい、HA42宛に自身の位置登録パケット(BU)を送信する(ステップS2)。
【0067】
HA42は、MR11からの位置登録パケットを受信すると、自身が保持する位置登録テーブルに、(MNP21−HoA#1)に対してMR11の気付けアドレスを設定する。また、HA42は、位置登録応答パケット(BA)をMR11に返送する(ステップS3)。これにより、HA42とMR11との間で、モバイルIPトンネルが確立され(ステップS4)、対向ノード(ここでは、CN5とする)と、MNP21で管理される端末との間で、パケットの転送が可能となる。
【0068】
また、MR11は、AR3からのルータ広告を受信すると、移動ネットワーク1のインターネットゲートウェイ(IGW)となる。したがって、MR11は、移動ネットワーク1を構成する他のMR12〜14に対して、ツリー経路制御パケットをブロードキャストまたはマルチキャストする。これにより、ツリー経路制御パケットはMR12とMR14に送信され(ステップS5)、MR12およびMR14を経由することで、MR13にも送信される(ステップS6)。図2の説明で述べたように、MR12およびMR14は、MR11をデフォルトルートに設定し、MR13は、上述したようにMR12を選択してデフォルトルートに設定する。
【0069】
以下、図3〜図6において説明したように、移動ネットワーク1についてモバイルIPトンネルが確立される。ツリー経路制御パケットを受信した各モバイルルータは、ツリー制御パケットの送信元であるMR11からのホップ数に応じて段階的に変化する一定時間経過後に、MR11宛に、ツリー経路制御応答パケットを返送する。
【0070】
ここで、ホップ数に応じて段階的に変化する一定時間とは、ツリー経路のより上流にあるモバイルルータが、ツリー経路の下流からのツリー経路制御応答パケットに自身の情報を相乗りさせて返送するために、下流のモバイルルータから送信されるツリー経路制御応答パケットを待つ時間である。一定時間には、遅延を想定した時間差を静的に設定してもいいし、ダイナミックに設定・更新する時間差を設定してもよい。
【0071】
ここでは、MR13は、移動ネットワーク1に設定されたツリー経路では最下流である。したがって、MR13は、下流のモバイルルータからのツリー制御応答パケットを受信しないので、ツリー経路制御パケットを受信してからホップ数2で設定された一定時間経過後、自身の情報のみを含ませたツリー経路制御応答パケット(HA42:MNP23−HoA23)を送信する(ステップS7)。
【0072】
MR12は、MR11からツリー経路制御パケットを受信してからホップ数1により設定された一定時間が経過するまで待機する。そして、MR13から返送されるツリー経路制御応答パケット(HA42:MNP23−HoA#3)を受信すると、MR13からのツリー経路制御応答パケットに自身の情報をさらに含ませたツリー経路制御応答パケット(HA41:MNP22−HoA#2、HA42宛:MNP23−HoA#3)を、MR11に返送する(ステップS8)。
【0073】
また、MR14は、MR11からは1ホップであるが、MR13の上流モバイルルータではないので、ツリー経路では最下流である。したがって、MR13と同様に、MR14は、ツリー経路制御パケットを受信してからホップ数1により設定された一定時間経過後、自身の情報のみを含ませたツリー経路制御応答パケット(HA41:MNP24−HoA#4)を送信する(ステップS9)。
【0074】
MR11は、以上のようにMR12からのツリー経路制御応答パケットを受信すると、経路制御テーブルに、MR12およびMR13を設定し、MR13に対するNextHopとしてMR12を設定する。また、位置登録情報テーブルに、HA41宛の(MNP22−HoA#2)および、HA42宛の(MNP23−HoA#3)を設定する。また、MR11は、MR14からのツリー経路制御応答パケット(HA41:MNP24−HoA#4)を受信すると、経路制御テーブルにMR14を設定する。また、位置登録情報テーブルに、HA41宛の(MNP24−HoA#4)を設定する。
【0075】
つぎに、MR11は、位置登録情報テーブルの設定にしたがって、(MNP22−HoA#2)とMR11の気付けアドレス(CoA)との対応、および(MNP24−HoA#4)とMR11の気付けアドレス(CoA)との対応を、まとめて1つの代表位置登録(BU)パケットに載せ、HA41宛に送信する(ステップS10)。
【0076】
代表位置登録(BU)パケットを受信したHA41は、位置登録テーブル(BC)に、(MNP22−HoA#2)および(MNP24−HoA#4)と、MR11の気付けアドレスの対応を登録する。また、位置登録応答(BA)パケットをMR11に返送する(ステップS11)。これにより、HA41とMR11との間で、モバイルIPトンネルが確立される(ステップS12)。以後、対向ノードCN5と、MNP22で管理される端末、およびMNP24で管理される端末との間で、パケットの転送が可能となる。
【0077】
同様に、MR11は、位置登録情報テーブルの設定にしたがって、(MNP21−HoA#1)および(MNP23−HoA#3)と、MR11の気付けアドレスの対応を、まとめて1つの代表位置登録(BU)パケットに載せ、HA42宛に送信する(ステップS13)。
【0078】
代表位置登録(BU)パケットを受信したHA42は、位置登録テーブル(BC)に、(MNP21−HoA#1)および(MNP23−HoA#3)と、MR11の気付けアドレスの対応を登録する。また、位置登録応答(BA)パケットをMR11に返送する(ステップS14)。これにより、HA42とMR11との間のモバイルIPトンネルに、(MNP23−HoA#3)も追加され、対向ノードCN5とMNP23で管理される端末との間でも、パケットの転送が可能となる(ステップS15)。
【0079】
以上説明したように、本実施の形態では、複数のモバイルルータによってアドホックネットワークが構成される場合に、外部ネットワークとの間のゲートウェイとなるモバイルルータに対し、他のモバイルルータが、経路制御情報と位置登録情報を1つのパケットにまとめて通知することとした。また、これを受信したゲートウェイとなるモバイルルータは、外部ネットワークに対し、ホームエージェント毎にまとめて代表位置登録を行うこととした。これにより、送信するメッセージ量を削減でき、通信効率を向上させることができる。また、効率的に位置登録を行い、モバイルIPトンネルを確立することができる。
【0080】
なお、本実施の形態では、モバイルルータが移動ネットワークを構成する場合について説明したが、モバイルルータの代わりに移動IP端末または無線基地局がネットワークを構成する場合であっても本実施の形態の処理が適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0081】
また、本実施の形態の経路制御テーブルには、制御対象のモバイルルータのホームアドレスおよびそのルータが管理するモバイルネットワークプリフィクス毎に、IPアドレスと、そのルータを接続するインタフェースIDを設定することとしたが、これに限らず、ホームアドレスまたはモバイルネットワークプリフィクスのみを設定するとしてもよい。
【0082】
また、本実施の形態では、各モバイルルータは、モバイルネットワークプリフィックスおよびホームアドレスを管理するが、いずれかのみを管理することとしてもよい。
【0083】
なお、モバイルルータの代わりに移動IP端末を採用する場合、移動IP端末は、ホームアドレスは管理するが、モバイルネットワークプリフィクスは管理しないので、この場合、MNPは位置登録情報に含まれない。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明にかかる通信システムは、複数のモバイルルータにより移動ネットワークを構成する場合に有用であり、特に、当該移動ネットワークにおける複数のモバイルルータがアドホックを構成する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本実施の形態における移動ネットワークシステムの構成例を示す図である。
【図2】ゲートウェイであるMRからメッセージがフラッディングされる様子を示す図である。
【図3】MR配下のモバイルルータがMRに対してメッセージを返送する様子を示す図である。
【図4】MRが外部ネットワークのホームエージェントに対して位置登録のメッセージを送信する様子を示す図である。
【図5】MRから位置登録を受信した外部ネットワーク上のホームエージェントがこれを処理する様子を示す図である。
【図6】外部ネットワーク上のホームエージェントから位置登録応答を受信したMRがこれを処理する様子を示す図である。
【図7】モバイルルータの構成の一例を示す図である。
【図8】ホームエージェントの構成の一例を示す図である。
【図9】ツリーの上流方向へのツリー経路制御応答パケットのフォーマットの一例を示す図である。
【図10】インターネットゲートウェイとなるモバイルルータからホームエージェントへの代表位置登録パケットのフォーマットの一例を示す図である。
【図11】移動ネットワークシステムと外部ネットワークとの間のモバイルIPトンネルの確立処理を説明するシーケンス図である。
【符号の説明】
【0086】
1,1A,1B,1C,1D 移動ネットワーク
2 外部ネットワーク
3 AR
5 CN
11,12,13,14 モバイルルータ
21,22,23,24 モバイルネットワークプリフィクス
31,32,33,34 モバイルノード
41,42 ホームエージェント
70−m(m=1,2,…) インタフェース部
71 パケット交換制御部
72 パケット転送処理部
73 経路制御部
74 移動管理制御部
75 位置登録情報テーブル
76 パケットカプセル処理・転送部
77 経路制御テーブル
80−n(n=1,2,…) インタフェース部
81 パケット交換制御部
82 パケット転送処理部
83 経路制御部
84 移動管理制御部
85 位置登録情報テーブル
86 パケットカプセル処理・転送部
87 経路制御テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動通信装置を備え、当該複数の移動通信装置がアドホックを構成してマルチホップ通信を行う移動ネットワークである第1のネットワークと、前記移動通信装置の位置情報を管理するホームエージェントを備える第2のネットワークと、を含む通信システムであって、
前記第2のネットワークに対するゲートウェイとなった前記第1のネットワーク内の各移動通信装置のうちの一つが、所定の位置登録情報テーブルに保持する、自身を含む前記第1のネットワーク内の移動通信装置のそれぞれの位置登録情報と自身の気付けアドレス(Care of Address)との対応を、1つの位置登録(Binding Update)パケットに含ませて前記ホームエージェントに向けて送信することにより代表位置登録を行い、
前記ホームエージェントが、前記位置登録パケットにより通知された各移動通信装置の位置登録情報と前記ゲートウェイの気付けアドレスとの対応を所定の位置登録テーブルに登録し、また、位置登録応答(Binding Acknowledgement)パケットを当該ゲートウェイに返送することにより、
前記ホームエージェントと前記ゲートウェイとなった移動通信装置との間で、モバイルIPによるカプセル化トンネルを形成することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記複数の移動通信装置は、前記ゲートウェイとなった移動通信装置を根とするツリー構造の経路を形成し、
前記ゲートウェイとなった移動通信装置以外の各移動通信装置は、自身の位置登録情報を含ませた所定のパケットをツリーの上流方向へ送信することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
ツリーの最下流でない移動通信装置は、自身より下流から前記所定のパケットを受信した場合、自身の位置登録情報を当該所定のパケットに含ませてさらに上流方向に送信することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記所定のパケットを、前記ゲートウェイとなった移動通信装置が送信したツリー構造の経路を作成するためのツリー経路制御パケット、に対する応答パケットとすることを特徴とする請求項2または3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記ゲートウェイとなった移動通信装置は、前記所定の位置登録情報テーブルに、自身を含む前記複数の移動通信装置の位置登録情報を、各移動通信装置がそれぞれ属するホームエージェント毎に格納することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の通信システム。
【請求項6】
前記ゲートウェイとなった移動通信装置は、さらに、自身を除く前記複数の移動通信装置のそれぞれの転送先となるIPアドレスと、自身のインタフェースアドレスとの対応である経路制御情報を格納する所定の経路制御テーブル、
を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の通信システム。
【請求項7】
前記位置登録情報を、各移動通信装置のホームアドレスおよび各移動通信装置が管理するモバイルネットワークプレフィクスの、少なくともいずれか一方とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の通信システム。
【請求項8】
前記移動通信装置を、移動ネットワーク内端末を収容できるモバイルルータまたは移動IP(Mobile IP)端末とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の通信システム。
【請求項9】
複数の移動通信装置を備えかつ当該複数の移動通信装置がアドホックを構成してマルチホップ通信を行う移動ネットワークである第1のネットワークと、前記移動通信装置の位置情報を管理するホームエージェントを備える第2のネットワークと、を含む通信システムにおいて、
前記複数の移動通信装置のうちの一つが前記第2のネットワークに対するゲートウェイとなることが可能な場合の、前記第1のネットワーク内の移動通信装置であって、
前記第2のネットワークに対するゲートウェイとなる場合に、所定の位置登録情報テーブルに保持する、自身を含む前記第1のネットワーク内の移動通信装置の位置登録情報と、自身の気付けアドレス(Care of Address)との対応を、1つの位置登録(Binding Update)パケットに含ませて、前記ホームエージェントに向けて送信することにより、代表位置登録を行う移動管理制御手段、
を備えることを特徴とする移動通信装置。
【請求項10】
前記第2のネットワークに対するゲートウェイとなった移動通信装置を根とするツリー構造の経路を形成する場合であって、かつ、自身が当該ゲートウェイでない場合に、自身の位置登録情報を含ませた所定のパケットをツリーの上流方向へ送信する経路制御手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の移動通信装置。
【請求項11】
自身がツリーの最下流ではなく、自身より下流から前記所定のパケットを受信した場合、前記経路制御手段は、自身の位置登録情報を当該所定のパケットに含ませてさらに上流方向に送信することを特徴とする請求項10に記載の移動通信装置。
【請求項12】
前記所定のパケットを、前記ゲートウェイとなる移動通信装置が送信したツリー構造の経路を作成するためのツリー経路制御パケット、に対する応答パケットとすることを特徴とする請求項10または11に記載の移動通信装置。
【請求項13】
前記ゲートウェイとなった場合、前記所定の位置登録情報テーブルに、自身を含む前記複数の移動通信装置の位置登録情報を、各移動通信装置がそれぞれ属するホームエージェント毎に格納することを特徴とする請求項9〜12のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項14】
前記ゲートウェイとなった場合、所定の経路制御テーブルに、自身を除く前記複数の移動通信装置の転送先となるそれぞれのIPアドレスと、自身のインタフェースアドレスとの対応である経路制御情報を格納することを特徴とする請求項9〜13のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項15】
前記位置登録情報を、自身のホームアドレスおよび自身が管理するモバイルネットワークプレフィクスの、少なくともいずれか一方とすることを特徴とする請求項9〜14のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項16】
移動ネットワーク内端末を収容できるモバイルルータまたは移動IP(Mobile IP)端末として動作することを特徴とする請求項9〜15のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項17】
請求項9〜16に記載の複数の移動通信装置がアドホックを構成してマルチホップ通信を行う移動ネットワークである第1のネットワーク、とともに通信システムを構成する第2のネットワークにおいて、前記移動通信装置の位置情報を管理するホームエージェントであって、
前記移動通信装置の位置登録情報を管理する位置登録情報記憶手段と、
前記移動通信装置のうちのゲートウェイとなった移動通信装置から位置登録パケットによって位置登録情報を通知された場合に、各移動通信装置の位置登録情報と、当該ゲートウェイとなった移動通信装置の気付けアドレスとの対応を、前記位置登録情報記憶手段に登録し、また、当該位置登録パケットに対する応答として位置登録応答(Binding Acknowledgement)パケットを当該ゲートウェイに返送する移動管理制御手段と、
を備えることを特徴とするホームエージェント。
【請求項18】
複数の移動通信装置を備え、当該複数の移動通信装置がアドホックを構成してマルチホップ通信を行う移動ネットワークである第1のネットワークと、前記移動通信装置の位置情報を管理するホームエージェントを備える第2のネットワークと、を含む通信システムにおける通信方法であって、
前記第2のネットワークに対するゲートウェイとなった前記各移動通信装置のうちの一つが、所定の位置登録情報テーブルに保持する、自身を含む前記第1のネットワーク内の移動通信装置のそれぞれの位置登録情報と、自身の気付けアドレス(Care of Address)との対応を、1つの位置登録(Binding Update)パケットに含ませて前記ホームエージェントに向けて送信することにより代表位置登録を行う代表位置登録ステップと、
前記ホームエージェントが、前記位置登録パケットにより通知された各移動通信装置の位置登録情報と前記ゲートウェイの気付けアドレスとの対応を所定の位置登録テーブルに登録し、また、位置登録応答(Binding Acknowledgement)パケットを当該ゲートウェイに返送する位置登録応答ステップと、
を含み、
前記ホームエージェントと前記ゲートウェイとなった移動通信装置との間で、モバイルIPによるカプセル化トンネルを形成することを特徴とする通信方法。
【請求項1】
複数の移動通信装置を備え、当該複数の移動通信装置がアドホックを構成してマルチホップ通信を行う移動ネットワークである第1のネットワークと、前記移動通信装置の位置情報を管理するホームエージェントを備える第2のネットワークと、を含む通信システムであって、
前記第2のネットワークに対するゲートウェイとなった前記第1のネットワーク内の各移動通信装置のうちの一つが、所定の位置登録情報テーブルに保持する、自身を含む前記第1のネットワーク内の移動通信装置のそれぞれの位置登録情報と自身の気付けアドレス(Care of Address)との対応を、1つの位置登録(Binding Update)パケットに含ませて前記ホームエージェントに向けて送信することにより代表位置登録を行い、
前記ホームエージェントが、前記位置登録パケットにより通知された各移動通信装置の位置登録情報と前記ゲートウェイの気付けアドレスとの対応を所定の位置登録テーブルに登録し、また、位置登録応答(Binding Acknowledgement)パケットを当該ゲートウェイに返送することにより、
前記ホームエージェントと前記ゲートウェイとなった移動通信装置との間で、モバイルIPによるカプセル化トンネルを形成することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記複数の移動通信装置は、前記ゲートウェイとなった移動通信装置を根とするツリー構造の経路を形成し、
前記ゲートウェイとなった移動通信装置以外の各移動通信装置は、自身の位置登録情報を含ませた所定のパケットをツリーの上流方向へ送信することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
ツリーの最下流でない移動通信装置は、自身より下流から前記所定のパケットを受信した場合、自身の位置登録情報を当該所定のパケットに含ませてさらに上流方向に送信することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記所定のパケットを、前記ゲートウェイとなった移動通信装置が送信したツリー構造の経路を作成するためのツリー経路制御パケット、に対する応答パケットとすることを特徴とする請求項2または3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記ゲートウェイとなった移動通信装置は、前記所定の位置登録情報テーブルに、自身を含む前記複数の移動通信装置の位置登録情報を、各移動通信装置がそれぞれ属するホームエージェント毎に格納することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の通信システム。
【請求項6】
前記ゲートウェイとなった移動通信装置は、さらに、自身を除く前記複数の移動通信装置のそれぞれの転送先となるIPアドレスと、自身のインタフェースアドレスとの対応である経路制御情報を格納する所定の経路制御テーブル、
を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の通信システム。
【請求項7】
前記位置登録情報を、各移動通信装置のホームアドレスおよび各移動通信装置が管理するモバイルネットワークプレフィクスの、少なくともいずれか一方とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の通信システム。
【請求項8】
前記移動通信装置を、移動ネットワーク内端末を収容できるモバイルルータまたは移動IP(Mobile IP)端末とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の通信システム。
【請求項9】
複数の移動通信装置を備えかつ当該複数の移動通信装置がアドホックを構成してマルチホップ通信を行う移動ネットワークである第1のネットワークと、前記移動通信装置の位置情報を管理するホームエージェントを備える第2のネットワークと、を含む通信システムにおいて、
前記複数の移動通信装置のうちの一つが前記第2のネットワークに対するゲートウェイとなることが可能な場合の、前記第1のネットワーク内の移動通信装置であって、
前記第2のネットワークに対するゲートウェイとなる場合に、所定の位置登録情報テーブルに保持する、自身を含む前記第1のネットワーク内の移動通信装置の位置登録情報と、自身の気付けアドレス(Care of Address)との対応を、1つの位置登録(Binding Update)パケットに含ませて、前記ホームエージェントに向けて送信することにより、代表位置登録を行う移動管理制御手段、
を備えることを特徴とする移動通信装置。
【請求項10】
前記第2のネットワークに対するゲートウェイとなった移動通信装置を根とするツリー構造の経路を形成する場合であって、かつ、自身が当該ゲートウェイでない場合に、自身の位置登録情報を含ませた所定のパケットをツリーの上流方向へ送信する経路制御手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の移動通信装置。
【請求項11】
自身がツリーの最下流ではなく、自身より下流から前記所定のパケットを受信した場合、前記経路制御手段は、自身の位置登録情報を当該所定のパケットに含ませてさらに上流方向に送信することを特徴とする請求項10に記載の移動通信装置。
【請求項12】
前記所定のパケットを、前記ゲートウェイとなる移動通信装置が送信したツリー構造の経路を作成するためのツリー経路制御パケット、に対する応答パケットとすることを特徴とする請求項10または11に記載の移動通信装置。
【請求項13】
前記ゲートウェイとなった場合、前記所定の位置登録情報テーブルに、自身を含む前記複数の移動通信装置の位置登録情報を、各移動通信装置がそれぞれ属するホームエージェント毎に格納することを特徴とする請求項9〜12のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項14】
前記ゲートウェイとなった場合、所定の経路制御テーブルに、自身を除く前記複数の移動通信装置の転送先となるそれぞれのIPアドレスと、自身のインタフェースアドレスとの対応である経路制御情報を格納することを特徴とする請求項9〜13のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項15】
前記位置登録情報を、自身のホームアドレスおよび自身が管理するモバイルネットワークプレフィクスの、少なくともいずれか一方とすることを特徴とする請求項9〜14のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項16】
移動ネットワーク内端末を収容できるモバイルルータまたは移動IP(Mobile IP)端末として動作することを特徴とする請求項9〜15のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項17】
請求項9〜16に記載の複数の移動通信装置がアドホックを構成してマルチホップ通信を行う移動ネットワークである第1のネットワーク、とともに通信システムを構成する第2のネットワークにおいて、前記移動通信装置の位置情報を管理するホームエージェントであって、
前記移動通信装置の位置登録情報を管理する位置登録情報記憶手段と、
前記移動通信装置のうちのゲートウェイとなった移動通信装置から位置登録パケットによって位置登録情報を通知された場合に、各移動通信装置の位置登録情報と、当該ゲートウェイとなった移動通信装置の気付けアドレスとの対応を、前記位置登録情報記憶手段に登録し、また、当該位置登録パケットに対する応答として位置登録応答(Binding Acknowledgement)パケットを当該ゲートウェイに返送する移動管理制御手段と、
を備えることを特徴とするホームエージェント。
【請求項18】
複数の移動通信装置を備え、当該複数の移動通信装置がアドホックを構成してマルチホップ通信を行う移動ネットワークである第1のネットワークと、前記移動通信装置の位置情報を管理するホームエージェントを備える第2のネットワークと、を含む通信システムにおける通信方法であって、
前記第2のネットワークに対するゲートウェイとなった前記各移動通信装置のうちの一つが、所定の位置登録情報テーブルに保持する、自身を含む前記第1のネットワーク内の移動通信装置のそれぞれの位置登録情報と、自身の気付けアドレス(Care of Address)との対応を、1つの位置登録(Binding Update)パケットに含ませて前記ホームエージェントに向けて送信することにより代表位置登録を行う代表位置登録ステップと、
前記ホームエージェントが、前記位置登録パケットにより通知された各移動通信装置の位置登録情報と前記ゲートウェイの気付けアドレスとの対応を所定の位置登録テーブルに登録し、また、位置登録応答(Binding Acknowledgement)パケットを当該ゲートウェイに返送する位置登録応答ステップと、
を含み、
前記ホームエージェントと前記ゲートウェイとなった移動通信装置との間で、モバイルIPによるカプセル化トンネルを形成することを特徴とする通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−302753(P2009−302753A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153065(P2008−153065)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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