説明

通信システム、送信機、受信機、及び通信方法

【課題】切替等に伴う情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎを、伝送するアプリケーションの許容範囲内に抑制する通信システム、送信機、受信機、及び通信方法を提供することを目的とする。
【解決手段】制御回路は、通常時に情報が時刻tに光送信機10Aの第1蓄積回路11に入力する入力帯域で第1蓄積回路11に入力してから所定の時間経過後の時刻に第2蓄積回路22から第2蓄積情報を出力させる。制御回路は、受信情報の波長切替等に伴う通信断を生じたときも、通信断前の入力帯域で第2蓄積回路22から第2蓄積回路が蓄積する情報を出力させる。制御回路は、通信断後に通信が復旧したとき、第2蓄積回路22が所定量以上の情報を蓄積するまで又は第1蓄積回路の蓄積がなくなるまで、波長切替等の通信断を抑制するとともに、光送信機10Aの第1蓄積回路11に蓄積した情報を入力帯域以上の帯域で第2蓄積回路22に移す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信機からの情報を受信する受信機、これを含む通信システム、及び前記通信システムの通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットやイントラネットの急成長を背景に,大容量通信の需要が高まっており,高速光通信システムの普及が急ピッチで進んでいる中、経済的な高速光アクセスネットワークを実現する手段としてPON(Passive Optical Network)が知られている。また、PONに設置される受動素子(光スプリッタ等)の代わりに、光スイッチを備える光アクセスネットワークも多くの提案がなされている(例えば、非特許文献3を参照。)。
【0003】
上記、光アクセスシステムの送受信器には安価なSiGe−BiCMOSプロセスを用いた時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)を利用することで、経済的な光アクセスシステムを実現しているが、更なる高速化をターゲットとした場合、TDMをベースとした多重化では、電子デバイスの制約のため10Gbit/sが上限と考えられている。
【0004】
そこで、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)や芯線多重を適用することで更なる高速化/広帯域化を実現する提案もなされている。しかし、ユーザ毎に異なる波長を用いるWDMを適用すると、局側装置であるOLT(Optical Line Terminal)には加入者側装置であるONU(Optical Network Unit)の数に応じた光送受信機が必要となる。これは既存のONUやOLTの更改を要し、コスト上昇という課題が発生する。一方、芯線多重も、方路である芯線分だけ光送光受信機と方路が必要になるため、コスト上昇という課題が発生する。
【0005】
この課題に対して、ONU毎に異なる波長を用いる代わりに、ONUを複数のグループにグルーピングし、グループ間でWDMとグループ内でTDMを適用するWDM/TDM−PON(例えば、非特許文献1を参照。)がある。これは、波長を複数のONUで共用することで、総帯域拡張に伴うコスト上昇を抑えている。
【0006】
総帯域拡張のための新規の芯線と光送受信機を備える代わりに、冗長構成のための予備芯線を現用芯線として利用する方式(例えば、非特許文献2を参照。)がある。この方式は、冗長芯線を活用することで、総帯域拡張に伴う芯線と光送信の追加によるコスト上昇という課題を解決している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「総帯域拡張型WDM/TDM−PONと動的波長帯域割当の一提案」、吉野學、原一貴、中村浩崇、木村俊二、吉本直人、雲崎清美、2009年電子情報通信学会総合大会、通信講演論文集2、p.426、B−10−107
【非特許文献2】「ATM−PONのプロテクション方式及び動的帯域割当との連携動作の検討」、吉田俊和、向井宏明、岩崎充佳、浅芝慶弘、一番ケ瀬広、横谷哲也、2001年5月CS方式研究会電子情報通信学会技術研究報告vol.101(53):CS2001−21,pp.25−30
【非特許文献3】「光パケットスイッチを適用したアクセスネットワークにおける効率的なディスカバリ方法の提案」、上田裕巳、坪井利憲、河西宏之、社団法人2009年4月CS方式研究会電子情報通信学会技術研究報告vol.109(4):CS2009−12,pp.69−74
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ONUが使用する波長や方路を切替る際、波長、方路、又は波長と方路の組合せの切替に伴う通信断時間が、アプリケーションが情報を送信する周期よりも長い場合がある。また通信断時間は送信する周期よりも短い又は欠落の補正等により通信断とはならないが、帯域が変化しアプリケーションが情報を送信する帯域に満たなくなる場合がある。電話やTV放送などのようにリアルタイム性が重要視されるアプリケーションの場合、切替に伴う通信断時間が長い又は帯域変化が甚だしいと、情報の伝送間隔が揺らぎ、帯域が揺らぎ、受信が瞬断するという課題がある。
【0009】
この課題を解決するために、本発明は、波長、方路、又は波長と方路の組合せの切替に伴う情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎを、伝送するアプリケーションの許容範囲内に抑制する通信システム、送信機、受信機、及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る通信システム、送信機、受信機、及び通信方法は、通信システムのOLT及びONUにおいて、波長、方路、又は波長と方路の組合せの切替等に伴う帯域変化や通信断前に、帯域変化や通信断の間に送信するはずの情報量以上の情報を受信側でバッファリングしておき、帯域変化や通信断の間にバッファリングされた情報を転送先の装置に帯域変化や通信断の前と同様の帯域で情報を送信することとした。そして、帯域変化や通信断の間に送信側に到着する情報は送信側でバッファリングしておき、切替等に伴う帯域変化や通信断の間に送信側でバッファリングしておいた情報は通信が回復した後に送信側に情報が到着する帯域以上の帯域で受信側に通信断の間に送信するはずの情報量以上の情報量が蓄積するまで又はバッファリングしておいた情報を転送するとともに、切替等に伴う帯域変化や通信断の間に送信すると想定される情報量以上の情報量が蓄積するまで又は伝送対象となる情報の伝送が完了するまでは帯域変化や通信断を引き起こす波長、方路、又は波長と方路の組合せの切替等を抑止することとした。
【0011】
具体的には、本発明に係る通信システムは、送信機と光受信機が伝送路を介して対向し、前記送信機と前記受信機の間の帯域を制御する制御回路を備える通信システムであって、前記送信機は、外部より入力された入力情報を第1蓄積情報として一時的に蓄積する第1蓄積回路と、前記第1蓄積回路に蓄積された第1蓄積情報を対向する前記受信機へ送信する送信回路と、を有し、前記受信機は、対向する前記送信機の送信回路からの第1蓄積情報を受信する受信回路と、前記受信回路が受信した第1蓄積情報を第2蓄積情報として一時的に蓄積した後に出力する第2蓄積回路と、を有し、前記制御回路は、前記入力帯域と前記送信機と前記受信機の間の帯域との差分の帯域の時間積以上の情報量を予め前記第2蓄積回路に蓄積させておき、前記送信機と前記受信機の間の帯域の変動にかかわらず前記入力帯域で前記第2蓄積回路から第2蓄積情報を出力させるように前記送信機と前記受信機の間の帯域を制御し、前記送信機と前記受信機との間の通信制御を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る通信方法は、送信機と受信機が伝送路を介して対向し、前記送信機と前記受信機の間の帯域を制御する制御回路を備える通信システムの通信方法であって、前記送信機の第1蓄積回路が、外部より入力された入力情報を第1蓄積情報として一時的に蓄積し、前記送信機の送信回路が、前記第一蓄積回路に蓄積された前記第1蓄積情報を対向する前記受信機へ送信し、前記受信機の受信回路が、対向する前記送信機の前記送信回路からの第1蓄積情報を受信し、前記受信機の第2蓄積回路が、前記受信回路が受信した第1蓄積情報を第2蓄積情報として一時的に蓄積した後に出力しており、前記入力帯域と前記送信機と前記受信機の間の帯域との差分の帯域の時間積以上の情報量を予め前記第2蓄積回路に蓄積させておき、前記送信機と前記受信機の間の帯域の変動にかかわらず前記入力帯域で前記第2蓄積回路から第2蓄積情報を出力させるように前記送信機と前記受信機の間の帯域を制御し、前記送信機と前記受信機との間の通信制御を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る通信システム及び通信方法は、予め受信側の第2蓄積回路に第2蓄積情報を蓄積しておき、波長、方路、又は波長と方路の組合せの切替等に伴う帯域変化や通信断が生じたときも、前記通信断の前の帯域で受信側の第2蓄積回路から第2蓄積情報を出力する。このため、送受信機の後段の装置は、前記帯域変化や通信断の影響を受けずに情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎを、伝送するアプリケーションの許容範囲内に抑制した所定の帯域で情報を受け取ることができる。
【0014】
また、本発明に係る通信システム及び通信方法は、前記帯域変化や通信断が終了して通信が復旧したときに前記帯域変化や通信断の間に送信側の第1蓄積回路に蓄積しておいた情報を、前記帯域変化や通信断前の帯域以上の帯域で受信機に送信する。これにより第2蓄積回路は、前記切替等に伴う帯域変化や通信断中に減少した第2蓄積情報の量を前記切替等に伴う帯域変化や通信断前の第2蓄積情報の量まで復旧することができる。
【0015】
さらに、本発明に係る通信システム及び通信方法は、第2蓄積回路が蓄積する第2蓄積情報の量が復旧するまで、次の帯域変化や通信断を引き起こす切替等の発生を抑止する。本発明に係る通信システム及び通信方法は、第2蓄積情報の量を早期に復旧させることができ、次の波長、方路、又は波長と方路の組合せの切替等に伴う帯域変化や通信断に備えることができる。
【0016】
従って、本発明は、波長、方路、又は波長と方路の組合せの切替等に伴う帯域変化や通信断の結果である情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎを、伝送するアプリケーションの許容範囲内に抑制する通信システム及び通信方法を提供することができる。
【0017】
本発明に係る通信システムの前記制御回路は、前記第2蓄積回路に対して、前記光送信機に前記入力情報が入力された入力時刻に一定の遅延時間を加えた時刻に、前記入力情報にあたる第2蓄積情報を出力させることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る通信方法は、前記第2蓄積回路に対して、前記送信機に前記入力情報が入力された入力時刻に一定の遅延時間を加えた時刻に、前記入力情報にあたる前記第2蓄積情報を出力させることを特徴とする。
【0019】
制御回路は、送信機への入力情報の入力時刻を第2蓄積回路に逐一通知し、第2蓄積回路は、通知された入力情報の入力時刻に固定の遅延時間を加えた時刻に第2蓄積情報を出力する。入力情報の個別の入力時刻に固定の遅延時間を加えた時刻で出力するので、本発明は、切替等に伴う帯域変化や通信断の間に何らかの送信周期の位相ずれや帯域変更との事象が発生しても、伝送するアプリケーションの許容範囲内に抑制することができる。
【0020】
また、本発明に係る通信システムの前記制御回路は、前記送信機に前記入力情報が入力された前記入力時刻を、前記第2蓄積回路に第1蓄積情報が入力される受取時刻及び前記送信機と前記受信機の間の帯域とから推定することを特徴とする。
【0021】
同様に、本発明に係る通信方法は、前記送信機に前記入力情報が入力された前記入力時刻を、前記第2蓄積回路に前記第1蓄積情報が入力される受取時刻及び前記送信機と前記受信機の間の帯域とから推定することを特徴とする。
【0022】
通信システムは、切替等に伴う帯域変化や通信断が発生する前の第2蓄積回路が第1蓄積情報を受け取る受取時刻を観測する。そして、第2蓄積回路は、その受取時刻に所定の遅延時間を加えた時刻に第2蓄積情報を出力する。第2蓄積回路は、切替等に伴う帯域変化や通信断の発生を検出する、あるいは切替等に伴う帯域変化や通信断の通知を制御回路から受けると、切替等に伴う帯域変化や通信断の間、受取時刻の観測結果に関わらず第2蓄積情報の出力を継続する。制御回路が、入力時刻を第1蓄積回路から第2蓄積回路へ通知する必要がないため、送信機と受信機の間で第1蓄積情報自体の通信以外の制御のための通信量が増大せずに帯域の有効利用ができる。
【0023】
本発明に係る通信システムの前記制御回路は、前記入力情報のうち、情報の伝送間隔揺らぎ又は帯域揺らぎの影響を受けるアプリケーションの情報を検出し、前記アプリケーションの情報に対して前記通信制御を行うことを特徴とする。
【0024】
本発明に係る通信方法は、前記入力情報のうち、情報の伝送間隔揺らぎ又は帯域揺らぎの影響を受けるアプリケーションの情報を検出し、前記アプリケーションの情報に対して前記通信制御を行うことを特徴とする。
【0025】
本発明に係る通信システム及び通信方法は、送受信機の通信状態を監視して、情報の伝送間隔揺らぎ/帯域揺らぎの影響を受け易いアプリケーションの情報の有無を検出する。そして、制御回路が、このアプリケーションの情報に対して優先的に第1蓄積回路及び第2蓄積回路の容量を振り向け、本通信方法を行う。従って、本発明に係る送受信機及び通信方法は、情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎを、伝送するアプリケーションの許容範囲内に抑制でき、受信の瞬断を防止することができる。
【0026】
本発明に係る通信システムの前記制御回路は、前記入力情報のうち、情報の伝送間隔揺らぎ又は帯域揺らぎの影響を受けるアプリケーションの情報を検出し、前記アプリケーションの情報に対する前記送信機と前記受信機の間の帯域の変動を抑制するために、前記アプリケーションの他の情報に対する前記送信機と前記受信機の間の帯域を変動させる制御を行うことを特徴とする。
【0027】
本発明に係る通信方法は、前記入力情報のうち、情報の伝送間隔揺らぎ又は帯域揺らぎの影響を受けるアプリケーションの情報を検出し、前記アプリケーションの情報に対する送信機と受信機の間の帯域の変動を抑制するために、前記アプリケーションの他の情報に対する送信機と受信機の間の帯域を変動させる制御を行うことを特徴とする。
【0028】
情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎに対して影響を受けにくいアプリケーションの通信に対して、制御回路は帯域変化や通信断を引き起こす波長、方路、又は波長と方路の組合せの切替等を、情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎに対して影響を受け易いアプリケーションの通信よりも、優先して行うように送受信機に切替等の指示を出すこととする。制御回路がそのような切替等の指示をすることで、帯域利用効率を向上させることが可能となる。
【0029】
本発明に係る送信機は、前記通信システムが備える送信機であって、外部より入力された入力情報を第1蓄積情報として一時的に蓄積しており、前記受信機との間の帯域が前記入力情報の入力帯域を下回るときに前記入力情報を蓄積しうる第1蓄積回路と、前記第一蓄積回路に蓄積された前記第1蓄積情報を対向する前記受信機へ送信する送信回路と、を有することを特徴とする。
【0030】
本発明に係る送信機は、波長、方路、又は波長と方路の組合せの切替等に伴う帯域変化や通信断が生じたときに、入力される入力情報を第1蓄積回路に蓄積しておくことができる。このため、切替等に伴う帯域変化や通信断が生じたときに入力情報を破棄することなく通信を維持することができる。また、送信機は、前記切替等に伴う帯域変化や通信断が終了した後に前記帯域変化や通信断の間に第1蓄積回路に蓄積しておいた情報を、前記帯域変化や通信断前の帯域以上の帯域で受信機に送信する。
【0031】
本発明に係る光受信機は、前記通信システムが備える受信機であって、対向する前記送信機の前記送信回路からの前記第1蓄積情報を受信する受信回路と、前記受信回路が受信した前記第1蓄積情報を第2蓄積情報として一時的に蓄積した後に出力しており、前記第2蓄積情報の上限が、前記送信機との間の帯域が前記入力情報の入力帯域を下回るときの前記入力帯域と前記送信機との間の帯域との差分の帯域の時間積以上の情報量であり、前記送信機との間の帯域の変動によらず対向する前記送信機に入力された前記入力情報の前記入力帯域で前記第2蓄積情報を出力する第2蓄積回路と、を有することを特徴とする。
【0032】
本発明に係る受信機は、予め受信側の第2蓄積回路に情報を蓄積しておき、波長、方路、又は波長と方路の組合せの切替等に伴う帯域変化や通信断が生じたときも、前記帯域変化や通信断の前の帯域で第2蓄積回路から情報を出力する。このため、受信機の後段の装置は、前記切替等に伴う帯域変化や通信断の影響を受けずに情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎを、伝送するアプリケーションの許容範囲内に抑制した所定の帯域で情報を受け取ることができる。
【0033】
また、本発明に係る受信機は、帯域変化や通信断等を引き起こす前記切替等が終了した後に前記帯域変化や通信断の間に送信側の蓄積回路に蓄積しておいた情報を、前記帯域変化や通信断前の帯域以上の帯域で送信側から情報を受信する。このため、第2蓄積回路は減少した蓄積情報の量を回復することができ、次の帯域変化や通信断を引き起こす波長、方路、又は波長と方路の組合せの切替等に備えることができる。
【0034】
従って、本発明は、波長、方路、又は波長と方路の組合せの切替等に伴う帯域変化や通信断等の結果である情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎを、伝送するアプリケーションの許容範囲内に抑制する送信機及び受信機を提供することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、波長、方路、又は波長と方路の組合せの切替等に伴う帯域変化や通信断の結果である情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎを、伝送するアプリケーションの許容範囲内に抑制する通信システム、送信機、受信機、及び通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る通信システムを説明するブロック図である。
【図2】本発明に係る通信システムを説明する信号光のタイムチャートである。
【図3】本発明に係る通信システムを説明するブロック図である。
【図4】本発明に係る通信システムが波長、方路、又は波長と方路の組合せの切替に伴う情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎを、伝送するアプリケーションの許容範囲内に抑制できることを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0038】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の通信システム301を説明する概念図である。通信システム301は光通信システムであり、光送信機(10A、10B、10C)、光受信機20、光伝送路50、及び制御回路(不図示)を備える。通信システム301は、例えば、光加入者側装置としてのONUが光送信機(10A、10B、10C)を持ち、局側装置としてのOLTが光受信機20を持ち、双方の間で時間領域及び複数の波長領域を共用して信号光を送受信するPON(Passive Optical Network)に適用することができる。
【0039】
なお、制御回路は、光送信機(10A、10B、10C)の通信状態を監視可能な位置に接続されている。例えば、制御回路は、光スプリッタ55と光受信機20との間の光伝送路50に配置されてもよいし、光受信機20に配置されてもよい。本実施形態では、制御回路が光受信機20に配置されるとして説明する。
【0040】
光送信機(10A、10B、10C)は、第1蓄積回路11、送信回路を備える。光送信機のいずれか、光伝送路50、光受信機20を介して、後段の装置30へ伝送するために光送信機に入力される情報を、光受信機20に送信する前に第1蓄積回路11は蓄積する。第1蓄積回路に蓄積された情報は、送信回路により、所定の時刻に光送信機に割り当てられた波長の信号光で出力される。光送信機に割り当てられた波長は、選択可能な複数の波長のうちの1波長である。ここでは波長λ1又は波長λ2である。(所定の時刻は、例えば、情報を入力してから光送信機内での処理に要する時間が経過後の時刻、制御回路から送信許可を受けた時間、送信許可を受けた時間内で上位の優先度の被送信対象が使用していない時間などである。所定の時刻は、距離測定等の情報の通信に使えない時間や、波長切替等に伴うONUやOLTの設定変更などに伴う通信に使えない時間などによる過剰な情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎである帯域変化や通信断の間は帯域変化や通信断前の状態よりも遅くなる。)
【0041】
光伝送路50は、光送信機(10A、10B、10C)から出力された信号光を、光伝送路50である光分配網(ODN:Optical Distribution Network)を構成する光ファイバと光スプリッタ55を介して、光受信機20へ結合する。ONUからの信号光は、光伝送路50を構成する光ファイバを伝達し、光スプリッタ55で合波される。なお、後述するようにOLTの送信機からONUの受信機に対して信号光を送る場合は、OLTからの信号光は光伝送路50を構成する光ファイバを伝達し、光スプリッタ55で分波されONUの受信機に結合される。
【0042】
光受信機20は、受信回路21、第2蓄積回路22、及び制御回路を備える。受信回路21は、波長分割多重且つ時分割多重で伝送される、複数の光送信機(10A、10B、10C)からの情報を受信する。例えば、受信回路21は、光伝送路50からの光信号を波長毎(波長λ1及びλ2)に分波する光合分波器25、光合分波器25で分波された波長毎(λ1、λ2)の信号光をそれぞれ受光して電気信号を出力する受光器27と受光器28を有する。これにより、光受信機20は、複数の波長毎に光送信機(10A、10B、10C)からの信号光を受信する。光合分波器25は、例えば、波長フィルタである。受光器(27、28)は、例えば、フォトダイオードである。
【0043】
第2蓄積回路22は、受信回路21が受信した情報を一時的に蓄積する。具体的には、第2蓄積回路22は、受光器27及び受光器28が出力する電気信号の情報を順次蓄積する。第2蓄積回路22は、蓄積する情報を取り出し、後段の装置30に、光送信機に情報が入力した入力帯域で概ね出力する。
【0044】
制御回路は、光送信機(10A、10B、10C)に対して信号光を送信できる波長と時間を波長λ1と波長λ2の輻輳状態や起動状態や故障状態等を監視して割り当てる。例えば、光送信機(10A、10B、10C)は、2波長(λ1、λ2)の中から割り当てられた所定の1波長で信号光を出力する。このように制御回路が光送信機(10A、10B、10C)に波長と時間を割り当て、割り当てた波長と時間で通信可能な通信量が割当帯域である。
【0045】
ここで、異なる波長として受信する信号光は同時に受信できるが、同一波長として受信する光信号を同時に受信することはできない。そこで、制御回路は同一波長として受信する複数の光送信機からの信号光が同時に光受信機20に到着しないように、光送信機(10A、10B、10C)に対して送信時間を許可する必要がある。
【0046】
図2は、X点における光送信機(10A、10B、10C)からの信号光のタイムチャートの一例を表す。送信割当は、縦方向が光送信機(10A、10B、10C)に与えられた送信許可波長であり、横方向が光送信機に与えられた送信許可時間を示す。光送信機10Aは、波長λ1の信号光を時間t1から時間t2までの送信許可時間で送信し、波長λ2の信号光をSだけの切替に要する通信断時間経過後の時間t2+Sから時間t3までの送信許可時間で送信する。光送信機10Bは、波長λ2の信号光を時間t1から時間t2までの送信許可時間で送信する。光送信機10Cは、波長λ1の信号光を時間t2から時間t3までの送信許可時間で送信する。このように、通信システム301は、光送信機(10A、10B、10C)からの信号光を波長分割多重且つ時分割多重をして光受信機20に結合する。
【0047】
この場合、制御回路は、時間t1で光送信機10Aに波長λ1の信号光を出力するよう指示し、光送信機10Bに波長λ2の信号光の送出を出力するよう指示し、光送信機10Cに信号光の送出を止めるように指示する。制御回路は、時間t2で波長λ1の代りに、波長λ2の信号光の送出を出力するよう光送信機10Aに送出する波長を切替る指示をし、光送信機10Bに波長λ2の信号光の送出を止めるように指示し、光送信機10Cに波長λ1の信号光を送出するように指示する。光送信機10Aは、波長切替の指示に従い、切替に要する通信断時間S経過後に波長λ2の信号光を送出する。ここで、切替に要する通信断時間Sは、制御回路が光送信機(10A、10B、10C)に指示を伝達するのに要する時間を含めても良い。また、制御回路は、光送信機(10A、10B、10C)から光受信機20までの伝送距離が異なる場合、合波したときに重ならないように信号光間の間隔を調整する。フレーム単位で信号光を送信する場合、制御回路はフレーム間隔を調整することになる。
【0048】
切替等に伴う通信断の影響を吸収するために、本願の通信システムは、以下の動作を行う。
【0049】
ここで通信断とは、波長切替等の際にONUやOLTの波長設定の変更等に伴う通信に使えない時間、距離測定等の情報の通信に使えない時間、上位の優先度の情報等の伝送や他の送信機との待合等により当該情報の通信に使えない時間の発生による、当該情報にとっての過剰な伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎであるである。従って、光送信機と光受信機の間の通信断は、一時的な光送信機と光受信機の間の帯域の低下である。
【0050】
第1蓄積回路は、光送信機と光受信機の間の帯域が光送信機に情報が入力する入力帯域を下回るときに入力する情報を一時的に蓄積し、上回るときに蓄積する情報を減少する。第2蓄積回路は光送信機と光受信機の間の帯域が光送信機に情報が入力する入力帯域を下回る場合にその下回る可能性のある帯域時間積に相当する情報量以上を予め蓄積しておき、その後は、光送信機と光受信機の間の帯域の変動によらずに光送信機に情報が入力した入力帯域に概ね対応する出力帯域で蓄積した情報を出力する。
【0051】
制御回路は第2蓄積回路の蓄積する情報の量が光送信機と光受信機の間の帯域から光受信機から情報を出力する出力帯域を減じた帯域の時間積を下回らないように光送信機と光受信機の間の帯域の制御を行う。そのために制御回路は、第2蓄積回路の蓄積する情報量を直接監視又は光送信機と光受信機の間の帯域の時間積から算出し、蓄積する情報量が切替等に伴う通信断や光送信機と光受信機の間の帯域減少に伴う情報の蓄積量の減少に満たないときは切替等に伴う通信断や光送信機と光受信機の間の帯域減少を抑制する。そして、切替等による通信断や帯域減少が終了した後に、切替等による通信断や帯域減少の間に第1蓄積回路に蓄積しておいた情報を、光送信機と光受信機の間の帯域を通信断前の帯域以上の帯域に増加させることで第2蓄積回路に蓄積する情報量を増加させる。この帯域増加による第1蓄積回路から第2蓄積回路への蓄積量の転移は、切替等の通信断の原因となる事象が解消した直後である程、次の切替等を制限する時間が短くなるために望ましい。この帯域増加による蓄積量の転移は、第1蓄積回路への蓄積量が切替等の発生以前と同等の程度に戻るまで継続してもよいし、第2蓄積回路の蓄積量がある水準、即ち切替等の事象が発生しても光受信機からの出力帯域が変動しない蓄積量に到達するまででもよい。後者の場合、第2蓄積回路に複数回の切替等の事象が発生した場合も光受信機からの出力帯域が変動しない蓄積量を蓄積することが可能である。この場合、第2蓄積回路の蓄積量の回復も、複数回の切替等の事象をはさんでであってもよい。なお、この場合、切替等の事象が発生していない際も、光送信機に入力してから光受信機を出力するまでの遅延時間を第1蓄積回路内での時間と第2蓄積回路内での時間で按分することになる。
【0052】
上記説明を動作における処理を、不等式を用いて説明しなおす。
第1蓄積回路は、光送信機と光受信機の間の帯域F(t)が光送信機に情報が入力する入力帯域I(t)を下回るときに入力する情報を一時的に蓄積し、上回るときに蓄積する情報を減少する。第2蓄積回路は光送信機に情報が入力する入力帯域I(t)と光送信機と光受信機の間の帯域F(t)との差分の帯域の時間積∫{I(τ)−F(τ)}dτ以上の情報量を予め蓄積しておき、光送信機と光受信機の間の帯域の変動によらずに、所定の時間Dだけ前の時刻t−Dにおいて光送信機の情報が入力した入力帯域I(t−D)に概ね対応する出力帯域O(t)で蓄積した情報を出力する。ここでtは時刻を、∫は光送信機に情報が入力する時刻又はそれ以前の時刻である時刻0から現時点の時刻tまでの時間積分を意味する。所定の時間Dは、少なくとも、一回の切替等に伴う通信断等よる帯域減少分の時間積を光送信機に情報が入力する入力帯域で除した時間以上であり、切替等の事象が発生していない場合に第2蓄積回路の蓄積量する情報量の上限値を情報が入力する入力帯域で除した時間に光送信機及び光受信機における処理時間や光送信機と光受信器間の伝搬遅延や伝搬までの待ち合わせ遅延等のその他の時間を加えた値である。
【0053】
制御回路は第2蓄積回路の蓄積する情報の量∫{F(τ)−O(τ)}dτが、切替等の際に第1蓄積回路の滞留する情報量である光送信機と光受信機の間の帯域F(t)から光受信機から情報を出力する出力帯域O(t)を減じた帯域の時間積を下回らないように、即ち不等式∫{F(τ)−O(τ)}dτ≧∫{I(τ)−F(τ)}dτを満たすように光送信機と光受信機の間の帯域F(t)の制御を行う。そのために制御回路は、第2蓄積回路の蓄積する情報量を直接監視又は光送信機と光受信機の間の帯域F(t)と出力帯域O(t)の時間積∫{F(τ)−O(τ)}dτから算出し、蓄積する情報量が切替等に伴う通信断や光送信機と光受信機の間の帯域減少に伴う情報の蓄積量の減少に満たないときは、当該情報の通信が継続する限り、切替等に伴う通信断や光送信機と光受信機の間の帯域減少を抑制し、光送信機と光受信機の間の帯域F(t)を入力帯域I(t)より増加させることで第2蓄積回路に蓄積する情報量を増加させ、次の切替等に備える。
ここで、第1蓄積回路への情報の滞留時間は切替等が無い場合は、許容される帯域揺らぎや帯域変動に対して十分小さく無視できるとして、切替等の事象が発生していない状態において、光送信機に入力してから光受信機を出力するまでの遅延時間Dを第1蓄積回路内での時間と第2蓄積回路内での時間で按分しない設定である0とした。しかし、0でなくとも同様の不等式を満たせばよい。第1蓄積回路への滞留時間は、例えば、情報を光送信機に入力してから光送信機内での処理に要する時間、情報を光送信機に入力してから制御回路からの送信許可を受けるまでの時間、送信許可を受けた時間で更に上位の優先度の被送信対象の使用が終了した時間などである。この時間は、距離測定等の情報の通信に使えない時間や、波長切替等に伴うONUやOLTの設定変更に伴う通信に使えない時間などにより、過剰な情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎである通信断の間は長くなり、通信断が解消し、当該情報に対する光送信機と光受信機の間の帯域が増加すると通信断の前の値に近づく。制御回路からの送信許可等で当該情報に与えられる帯域が、複数のアプリケーションに属する情報間で共用する帯域として与えられ、第1蓄積回路がその共用する帯域をどのアプリケーションに属する情報に与えるか決定できる場合も、第1蓄積回路は、蓄積した情報量が通信断前の状態に戻るまでは当該アプリケーションに属する情報に対して優先的に帯域を与えるとしてよい。なお、ここで帯域の時間積から蓄積する情報量の算出の例を示す。例えば、蓄積する情報量が1Gbitであり、入力帯域が0.1Gbit/s,光送信機と光受信機の間の帯域が0Gbit/sが2秒続いた場合(0.1−0)Gbit/s×2秒=0.2Git減少する従って、そのときの蓄積する情報量は0.8Gbitに減ずる。
【0054】
また、光送信機への入力帯域と概ね等しい出力帯域で第2蓄積回路は出力するとしたが、光送信機への入力帯域が当該情報に許容された帯域を超過しポリシング等で廃棄する場合やシェーピング等で帯域を絞る場合や、輻輳により一部情報を廃棄する場合は、廃棄後の帯域や絞ったあとの帯域に置き換えてよい。例えば、平均の入力帯域1Gbit/sで1秒間に0.1Gbitを廃棄している場合は1Gbit/s−0.1Gbit/s=0.9Gbit/sで平均の出力帯域0.9Gbit/sで出力する。また出力帯域は許容される帯域揺らぎの範囲であり、許容される観測時間での平均帯域が入力帯域に合致すれば揺らいでもよい。
【0055】
更に、切替等に伴う通信断の影響を吸収するための通信制御の例を、入力時刻を用いた表現で示し直す。ここで、切替による通信断を述べているが、切替ではない、距離測定等の一般に通信断とみなさない通信できない時間を生ずる動作であっても、時間間隔揺らぎや帯域揺らぎに影響を受け易いアプリケーションに対する効果は同様である。
【0056】
制御回路は、通常時に前記情報が時刻tに送信側(例えば、光送信機10A)の第1蓄積回路11に入力する入力帯域で第1蓄積回路11に入力してから所定の時間D経過後の時刻t+Dに第2蓄積回路22から前記第2蓄積情報を出力させる。所定の時間とは、例えば、波長切替等に伴う通信断等の帯域減少の際に伝送できない情報量以上の情報が光送信機に入力されるに要する時間である。所定の時間に蓄積する情報量は、蓄積回路で蓄積する情報量は、複数回の通信断時間に相当する情報量であっても良い。その場合、後述する蓄積と通信断後の波長切替等の通信断発生の抑制は、バッファリングする情報量が1回の通信断時間に相当する情報量以下になってから行ってもよい。
【0057】
制御回路は、前記受信情報の波長切替等に伴う通信断を生じたときも、前記通信断前の前記入力帯域で第2蓄積回路22から第2蓄積回路が蓄積する情報を出力させる。制御回路は、前記通信断後に通信が復旧したとき、第2蓄積回路22が所定量以上の情報を蓄積するまで又は第1蓄積回路の蓄積がなくなるまで、前記波長切替等の通信断を抑制するとともに、前記受信情報の送信側(例えば、光送信機10A)の第1蓄積回路11に蓄積した情報を光送信機10の送信回路、光伝送路50、光受信機20の受信回路21を経て前記入力帯域以上の帯域で第2蓄積回路に移す。
【0058】
図4は、第1蓄積回路11の情報の入出力タイミング、光送信機10と光受信機20の間の通信断タイミング、第2蓄積回路の情報の入出力タイミングを示した図である。図4では、第1蓄積回路11に情報が入力した後、第2蓄積回路から情報が出力するまでの固定遅延時間Dを5Tとし、通信断時間Sを3Tとし、蓄積量回復時間を5Tとしたときの例である。
【0059】
ここで蓄積量回復時間は当該情報の光送信機への入力帯域と当該送信機に割当可能な最大帯域と通信断時間との関係で定まる。本例では当該情報の入力帯域の倍が割当可能な最大帯域としたため、通信断時間が1T、2T,3Tであれば、それぞれ蓄積量回復時間は1T、3T、5Tとなっている。
【0060】
制御回路は、伝送するアプリケーションが許容する情報の伝送間隔揺らぎ/帯域揺らぎ及び波長切替等に伴う通信断時間を検出し、光受信機20に対して、波長切替等に伴う断時間に送受する情報量以上の情報を第2蓄積回路22に蓄積させる。より詳細には、図4のように、第2蓄積回路22から受信情報が出力する出力時刻が、前記受信情報に対応する入力情報が光送信機10Aの第1蓄積回路11へ入力した入力時刻に所定の遅延時間Dを加えた時刻となるように、第2蓄積回路22は受信情報を一時的に蓄積する。図4で第2蓄積回路に蓄積している情報量は、第2蓄積手段に入力し、出力していない情報量である。
【0061】
ここで、第2蓄積回路は、第1蓄積回路11への情報の入力時刻を知る必要がある。制御回路は、例えば次の4つの方法を用いて入力時刻を第2集積回路22に通知する。
【0062】
1)光送信機10に対して、例えば光送信機10の第1蓄積回路11に対して、光送信機10に情報が入力する時刻又は入力帯域を通知させる。
前者の入力時刻の通知は、入力時刻が明らかであるため、通信断の間に、何らかの送信周期の位相ずれや帯域変更との事象が発生していても、影響を受けることはない。但し、光送信機10と光受信機20との間で入力時刻を伝達するために両者の間の通信帯域を使用する。
入力時刻の通知は、最初の入力時刻と入力間隔又は最初の二つの入力時刻を伝え、順次入力間隔を加算していくことで入力時刻を算出することで差し替えてもよい。この場合、入力間隔が変動する度に間隔又は間隔がずれた入力の入力時刻を通知してもよい。入力時刻を通知した方が時刻精度や時刻のドリフトによるずれを補正可能であるので望ましい。但し、いずれにしても通信量を軽減する効果がある。
後者の入力帯域の申告は、情報がフレームで伝送されていれば、フレーム長と入力帯域からその入力の時間間隔Tは明らかである。時間間隔Tは、例えば、フレーム長を入力帯域で除した値である。
最初に入力した情報の時刻が通知されていれば、その時刻に時間間隔を加えていくこと、全ての情報の入力時刻が明らかである。最初に入力した情報の時刻の通知がない場合も、通常の光送信機10に情報が入力してから、第2蓄積回路に到達するまでの概ねの時間がわかっていれば、その時間の精度で入力時刻は推定可能である。推定誤差による位相すれは、概ねの1つの時間間隔以下である。
なお、入力帯域の申告は、フレーム毎に申告してもよいし、帯域が変化する毎に申告してもよい。帯域が変化する毎で帯域の変化が少ないときは、申告に使用する通信帯域が少ない効果がある。通知に用いる帯域量の削減と時刻の精度の観点からは帯域が変化する毎の帯域の申告で、最初に入力した情報の時刻の通知と組み合わせるのが望ましい。
【0063】
以下の3つの方法は、1)と異なり、光送信機10と光受信機20の間で入力時刻や入力帯域を申告するための特別な帯域消費を軽減する方法である。
【0064】
2)情報の送受の帯域がSIP(Session Initiation Protocol等のプロトコルにより設定される場合、そのプロトコルでのやり取りを監視し、そのやり取りで設定される入力時刻や入力帯域を取得する。取得した入力時刻又は入力帯域の取り扱いは上記1)と同様である。
【0065】
3)情報を送受するアプリケーションの一般的な入出力帯域に基づき、第2蓄積回路22が該情報を受信した時刻から推定する。
具体的には、20ms間隔でフレームを送信する電話のアプリケーションであれば、その時間間隔がフレーム間隔である。なお、このときの入力帯域は例えば、一般的なフレーム長を時間間隔に乗ずることで得られる。
【0066】
4)第2蓄積回路に情報が入力する入力時刻又は入力帯域を観測して推定する。
具体的には、切替等に起因する帯域変化や通信断が発生していないときの入力時刻はそのまま入力時刻とし、その際の入力の時間間隔を測定しておき、通信断により第1蓄積回路11で蓄積されて入力が遅延した通信復旧後に入力される情報は、通信断以前の入力の時間間隔で入力したものと推定する。例えば通信断以前の入力の時間間隔がTで通信断時間がS、通信断前の最後の入力時刻をt0、通信復旧後の光送信機10に入力する入力帯域以上で、光送信機10から光受信機20に伝送される情報の時間間隔をT’(<T)とし、通信復旧後に遅延して時刻t0+S、t0+S+T’,t0+S+2T’,…に到着したとする。このとき入力時刻は、t0+T,t0+2T,t0+3Tと推定する。この通信断の復旧に伴う推定は、光送信機10から光受信機20に伝送される情報の時間間隔が光送信機10に入力する情報の時間間隔以下とするのをやめるタイミングで終了し、通信断前の状態に戻る。図4を例に取れば、通信断後4フレーム目までがこの推定であり、5フレーム以降は通信断前の状態に戻り、推定ではなく観測に戻る。
ここで、通信断、通信復旧、入力帯域が通常状態に復旧は、制御回路から明示的に伝えてもよいし、第2蓄積回路で入力情報の入力の時間間隔の変化や時間の経過から検出するとしてもよい。
時間間隔の変化から検出する場合、通信断状態では入力する情報がないので、この時間の間は推定をしない。前の入力との時間間隔が通信断時間相当の情報が入力すると通信断が発生したと推定し、そこから時間間隔が、通信断が発生する前の時間間隔に戻るまで通信復旧中とみなし、時間間隔が通信断前相当となったときに、通常状態とみなす。なお通信案状態からの復旧は、通常状態に復旧するまでの所定の時間の経過で判断してもよいし、第2蓄積回路22に通信断以前に蓄積しておく情報の量に情報量が到達したことで判断してもよい。図4を例にとれば、量で判断するなら4フレーム蓄積した時点であり、時間間隔では時間間隔がTにもどった7フレーム目である。
時間間隔から決定し、かつ他のアプリケーションや他のユーザや管理情報等のやりとりや帯域の割当等により時間間隔が揺らぐ場合は、通信断前の時間間隔に戻って数回情報を受けてからとするのが望ましい。
【0067】
波長切替に伴う通信断中も、制御回路は、通信断以前の入力帯域に従って第2蓄積回路22に後段の装置30へ第2蓄積回路22が蓄積する情報を出力させる。波長切替後の通信復旧以降、波長切替等に伴う通信断時間に送受する情報量以上の第2蓄積情報が第2蓄積回路22に蓄積されるまで又は第1蓄積回路の蓄積が解消されるまで、制御回路は、光送信機10Aの波長切替等に伴う通信断の発生を抑制しかつ、光送信機10Aに対して入力帯域以上の帯域で第1蓄積回路11から情報を送信させる。
【0068】
また、波長切替が抑制されうる光送信機10Aと同じ波長を出力する他の光送信機(10B、10C)が、情報の伝送間隔揺らぎ/帯域揺らぎに対して、第2蓄積回路の蓄積量が次の切替によっても払拭しないか、影響を受けづらい情報を通信しており、いずれかの光送信機の波長切替をおこなうべき場合には、制御回路は波長切替を優先して行うように他の光送信機(10B、10C)に波長切替指示を出すこととする。また、波長切替が抑制されうる光送信機10Aと同じ波長を出力していた他の光送信機(10B、10C)が、通信を休止後に、情報の伝送間隔揺らぎ/帯域揺らぎに対して影響を受けづらい通信を開始する場合には、制御回路は他波長で通信するように光送信機(10B、10C)に波長切替指示を出すこととする。
【0069】
制御回路がそのような波長切替指示をすることで、光送信機10Aと対向する光受信機の第2蓄積回路が所定の情報量を蓄積するまでの切替の抑止の発生を軽減できる。このように、情報の伝送間隔揺らぎ/帯域揺らぎに対して、影響を受けづらい情報を通信する光送信機の切替を優先して行うことで、波長切替を抑止する可能性のある光送信機の切替抑止状態の発生を軽減することができる。これは、切替する対象となる全ての光送信機で切替抑止状態が重なると、切替ができなくなるからである。波長切替は例えば、波長間での帯域の最適化が目的であるため、抑止状態の衝突により、波長間での帯域の最適化ができない。従って、抑止の衝突の軽減により帯域の最適化をすすめ、帯域利用効率を向上させることができる。
【0070】
切替を優先的に行うべきと優先すべきでない光送信機10の識別は前述した時刻の推定方法2)及び3)と類似の方法で行うことができる。
例えば、制御回路は、伝送するアプリケーションの種類と通信中か否かを識別する。アプリケーションの種類から、当該アプリケーションの許容する情報の伝達間隔揺らぎ/帯域揺らぎを判別する。アプリケーションの種類がGE−PONの上りトラフィックの場合であれば、アプリケーションの許容する情報の伝送間隔揺らぎ/帯域揺らぎは、データフレームからLLID(Logical Link ID)とVLAN(Virtual Local Area Network)タグのユーザプライオリティビット(優先度)を読み出すことで識別できる。また、当該アプリケーションの伝送がSIP等の制御フレームにより開始し、終了されるようなアプリケーションの種類であれば、SIP等の制御フレームによりアプリケーションの種別を識別することができる。
【0071】
通信中か否かは、一定時間における同一のLLIDやVLANタグのユーザプライオリティビットのフレーム数が所定の値以上であるか、一定時間の間に同一のLLIDやVLANタグのユーザプライオリティビットのフレームがバッファに蓄積されたかで判定することができる。SIP等の制御フレームにより開始し、終了されるようなトラフィックであれば、通信が開始され終了するまでの間は通信中であると判定することができる。
【0072】
なお、SIP等の制御フレームを利用する方法は開始又は終了を意味するSIP等の制御フレームの欠落による通信中か否かを誤判定する可能性を減らすために、併用することが望ましい。
【0073】
以上、使用しているアプリケーションは監視により制御回路で検出するとしたが、上位の装置から明示的に制御回路に通知するとしてもよい。
【0074】
制御回路は、受信情報のうち、情報の伝送間隔揺らぎ又は帯域揺らぎの影響を受けるアプリケーションの種別を検出または外部装置からの通知により取得し、前記アプリケーションの情報を伝送する光送信機に対し前記通信制御を行う。制御回路は、光送信機(10A、10B、10C)の通信状態を監視または外部装置からの通知により、上述のようにアプリケーションの種別を判断し、情報の伝送間隔揺らぎ/帯域揺らぎの影響を受け易いアプリケーションを伝送する光送信機の有無を検出する。そして、この光送信機からのトラフィックに対して優先的に本通信制御を行ってもよい。制御回路が、このトラフィックに対して優先的に本通信制御を行うことで、このトラフィックの情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎをアプリケーションの許容範囲内に抑制でき、受信の瞬断を防止することができる。
【0075】
上記の説明では、光送信機(10A、10B、10C)は、同時に単一の波長でのみ通信する例で説明したが、同時に複数の波長を用いて通信する場合も同様である。図1では、3つの光送信機(10A、10B、10C)と2波長で例示しているが、光送信機(10A、10B、10C)の数は増減してもよいし、波長分割多重する波長の数も3以上であってよい。また、図1では、1つの光受信機20側が波長分割多重した信号を受信しているが、光受信機20は複数であってもよい。更に、上記の説明では、上り信号の例で説明したが、下り信号の場合も同様である。更に、複数のONUと単一のOLTで通信を行う光通信システムの例で示したが、単一の送信機と単一の受信機の組からなる光通信システムであってもよいし、光通信システム以外の通信システムであってもよい。これらは以降の実施形態で示す例でも同様である。
【0076】
以上のような通信制御を行うことで、通信システム301は、波長切替等に伴う通信断時間にも、情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎなく、情報の伝送を継続することができる。このため、通信システム301は、情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎの影響を受け易いトラフィックに影響を与えることなく波長切替でき、アプリケーションの要求する品質を確保することができる。
【0077】
(実施形態2)
図3は、本実施形態の通信システム302を説明する概念図である。通信システム302は光通信システムであり、通信システム302と図1の通信システム301との違いは、通信システム302が波長分割多重ではなく芯線多重となっている点である。なお、実施形態2では、すでに実施形態1で説明した部分と同一あるいは略同一である部分の説明を省略する。
【0078】
通信システム302は、光送信機(10A、10B、10C)と光受信機20との間を光伝送路51で接続する。光伝送路51は2本の方路(H1、H2)で構成される。方路H1は光送信機(10A、10B、10C)からの光信号を光スプリッタ55で合流し、受光器27に結合する。同様に、方路H2は光送信機(10A、10B、10C)からの光信号を光スプリッタ55で合流し、受光器28に結合する。
【0079】
制御回路は、光送信機(10A、10B、10C)に対して信号光を送信できる方路と時間を割り当てる。例えば、光送信機(10A、10B、10C)は、2方路(H1、H2)の中から割り当てられた所定の1方路で信号光を出力する。このように制御回路が光送信機(10A、10B、10C)に方路と時間を割り当てることで、割当帯域が決定される。
【0080】
光伝送路51は、光送信機(10A、10B、10C)からの信号光を方路毎に合波して光受信機20に結合する。ここで、異なる方路の信号光は同時に受信できるが、同一方路の光信号を同時に受信することはできない。そこで、制御回路は同一の受光器に接続する方路の信号光が同時に光受信機20に到着しないように、光送信機(10A、10B、10C)に対して送信時間を許可する必要がある。
【0081】
このため、例えば、光送信機(10A、10B、10C)からの信号光のタイムチャートは図2のようになる。ここで、波長λ1を方路H1、波長λ2を方路H2と読み替えることで、図1の通信システム301と同様の説明をすることができる。
以下、通信システム302に特徴的な構成と動作について説明する。
【0082】
通信システム302の制御回路は次のように通信制御を行う。制御回路は、前記通信断後に通信が復旧された後、第2蓄積回路22が所定量以上の情報を蓄積するまで又は第1蓄積回路の蓄積がなくなるまで、帯域減少や通信断を引き起こす前記方路切替等を抑制するとともに、送信側(例えば、光送信機10A)の第1蓄積回路11に蓄積した情報を前記入力帯域以上の帯域で送信回路、光伝送路50、受信回路21を介して前記第2蓄積回路に移す。
【0083】
図1の通信システム301の説明と同様に、制御回路は、光受信機20に対して、方路切替に伴う断時間に送受する情報量以上の情報を第2蓄積回路22に予め蓄積させる。具体的な手法は、図1の通信システム301の説明と同様であり、制御回路が通知又は推測した、第1蓄積回路11への入力情報の入力時刻を基に行う。
【0084】
方路切替に伴う通信断中も、制御回路は、通信断以前の入力帯域に従って第2蓄積回路22に後段の装置30へ蓄積情報を出力させる。
【0085】
また、この時に、方路切替が抑制されている光送信機10Aと同じ方路で情報を出力する他の光送信機(10B、10C)が送信する通信が、情報の伝送間隔揺らぎ/帯域揺らぎに対して影響を受けない通信である場合には、制御回路は方路切替を優先して行うように光送信機(10B、10C)に方路切替指示を出すこととする。制御回路がそのような方路切替指示をすることで、切替抑止の低減が可能であり、結果として帯域利用効率を向上させることができる。
【0086】
図1の通信システム301の説明と同様に、制御回路は、伝送するアプリケーションの種類と通信中か否かを識別する。また、制御回路は、受信情報のうち、情報の伝送間隔揺らぎ又は帯域揺らぎの影響を受けるアプリケーションの情報を検出し、前記アプリケーションの情報に対し前記通信制御を優先的に行う。制御回路が、このアプリケーションのトラフィックに対して優先的に本通信制御を行うことで、このトラフィックの情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎをアプリケーションの許容範囲内に抑制でき、受信の瞬断を防止することができる。
【0087】
上記の説明では、光送信機(10A、10B、10C)は、同時に単一の方路で通信する例で説明したが、同時に複数の方路を用いて通信する場合も同様である。更に、上記の説明では、上り信号の例で説明したが、下り信号の場合も同様である。
【0088】
以上のような通信制御を行うことで、通信システム302は、方路切替に伴う通信断時間にも、情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎなく、情報の伝送を継続することができる。このため、通信システム302は、情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎの影響を受け易いトラフィックに影響を与えることなく方路切替でき、アプリケーションの要求する品質を確保することができる。
【0089】
(実施形態3)
実施形態3の通信システムは、図3の通信システム302の構成においてさらに波長分割多重も行う。
【0090】
制御回路は、光送信機(10A、10B、10C)に対して信号光を送信できる波長、方路、及び時間を割り当てる。例えば、光送信機(10A、10B、10C)は、2方路(H1、H2)の中から割り当てられた所定の1方路で、2波長(λ1、λ2)の中から割り当てられた波長で信号光を出力する。このように制御回路が光送信機(10A、10B、10C)に波長、方路、及び時間を割り当てることで、割当帯域が決定される。
以下、本通信システムに特徴的な構成と動作について説明する。
【0091】
本通信システムの制御回路は次のように通信制御を行う。制御回路は、前記情報が送信側(例えば、光送信機10A)の第1蓄積回路11に入力する入力帯域で第2蓄積回路22から前記第2蓄積情報を出力させる。制御回路は、前記情報の波長と方路の組合せの切替を行う際の通信断を生じたとき、前記通信断前の前記入力帯域で第2蓄積回路22から前記第2蓄積回路に蓄積した情報を出力させる。制御回路は、前記通信断後に通信が復旧したとき、第2蓄積回路22が所定量以上の情報を蓄積するまで又は第1蓄積回路の蓄積がなくなるまで、前記切替を抑制するとともに、前記受信情報の送信側(例えば、光送信機10A)の第1蓄積回路11に蓄積した情報を前記入力帯域以上の帯域で送信回路、光伝送路50、受信回路21を介して前記第2蓄積回路に移す。
【0092】
図1の通信システム301の説明と同様に、制御回路は、光受信機20に対して、波長と方路の組合せの切替に伴う断時間に送受する情報量以上の情報を第2蓄積回路22に蓄積させる。具体的な手法は、図1の通信システム301の説明と同様であり、制御回路が通知又は推測した、第1蓄積回路11への入力情報の入力時刻を基に行う。
【0093】
波長と方路の組合せの切替に伴う通信断中、制御回路は、通信断以前の入力帯域に従って第2蓄積回路22に後段の装置30へ蓄積情報を出力させる。波長と方路の組合せの切替後の通信復旧以降、該切替に伴う通信断時間に送受する情報量以上の第2蓄積情報が第2蓄積回路22に蓄積されるまで又は第1蓄積回路の蓄積が解消されるまで、制御回路は、光送信機10Aの該切替を抑制しかつ、光送信機10Aに対して入力帯域以上の帯域で第1蓄積回路11から情報を送信させる。
【0094】
また、この時に、波長と方路の組合せの切替が抑制されている光送信機10Aと同じ波長と方路の組合せで情報を出力していた他の光送信機(10B、10C)が、情報の伝送間隔揺らぎ/帯域揺らぎに対して影響を受けない通信を開始する場合には、制御回路は波長と方路の組合せの切替を優先して行うように光送信機(10B、10C)に波長と方路の組合せの切替指示を出してもよい。
【0095】
図1の通信システム301の説明と同様に、制御回路は、伝送するアプリケーションの種類と通信中か否かを識別する。また、制御回路は、受信情報のうち、情報の伝送間隔揺らぎ又は帯域揺らぎの影響を受けるアプリケーションの情報を検出し、前記アプリケーションの情報に対し記通信制御を行う。
【0096】
以上のような通信制御を行うことで、本通信システムは、波長と方路の組合せの切替に伴う通信断時間にも、情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎなく、情報の伝送を継続することができる。このため、本通信システムは、情報の伝送間隔揺らぎや帯域揺らぎの影響を受け易いトラフィックに影響を与えることなく波長と方路の組合せの切替でき、アプリケーションの要求する品質を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本実施形態では、通信システムをPONとして説明したが、光スイッチを光スプリッタ55に代替した光アクセスネットワークにも適用できる。
【符号の説明】
【0098】
10A、10B、10C:光送信機
11:第1蓄積回路
20:光受信機
21:受信回路
22:第2蓄積回路
23:出力回路
25:光合分波器
27、28:受光器
30:後段の装置
50、51:光伝送路
55:光スプリッタ
H1、H2:方路
301、302:通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機と光受信機が伝送路を介して対向し、前記送信機と前記受信機の間の帯域を制御する制御回路を備える通信システムであって、
前記送信機は、
外部より入力された入力情報を第1蓄積情報として一時的に蓄積する第1蓄積回路と、
前記第1蓄積回路に蓄積された第1蓄積情報を対向する前記受信機へ送信する送信回路と、
を有し、
前記受信機は、
対向する前記送信機の送信回路からの第1蓄積情報を受信する受信回路と、
前記受信回路が受信した第1蓄積情報を第2蓄積情報として一時的に蓄積した後に出力する第2蓄積回路と、
を有し、
前記制御回路は、
前記入力帯域と前記送信機と前記受信機の間の帯域との差分の帯域の時間積以上の情報量を予め前記第2蓄積回路に蓄積させておき、前記送信機と前記受信機の間の帯域の変動にかかわらず前記入力帯域で前記第2蓄積回路から第2蓄積情報を出力させるように前記送信機と前記受信機の間の帯域を制御し、
前記送信機と前記受信機との間の通信制御を行うことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記第2蓄積回路に対して、前記光送信機に前記入力情報が入力された入力時刻に一定の遅延時間を加えた時刻に、前記入力情報にあたる第2蓄積情報を出力させることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記送信機に前記入力情報が入力された前記入力時刻を、前記第2蓄積回路に第1蓄積情報が入力される受取時刻及び前記送信機と前記受信機の間の帯域とから推定することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記入力情報のうち、情報の伝送間隔揺らぎ又は帯域揺らぎの影響を受けるアプリケーションの情報を検出し、前記アプリケーションの情報に対して前記通信制御を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記入力情報のうち、情報の伝送間隔揺らぎ又は帯域揺らぎの影響を受けるアプリケーションの情報を検出し、前記アプリケーションの情報に対する前記送信機と前記受信機の間の帯域の変動を抑制するために、前記アプリケーションの他の情報に対する前記送信機と前記受信機の間の帯域を変動させる制御を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通信システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の通信システムが備える送信機であって、
外部より入力された入力情報を第1蓄積情報として一時的に蓄積しており、前記受信機との間の帯域が前記入力情報の入力帯域を下回るときに前記入力情報を蓄積しうる第1蓄積回路と、
前記第一蓄積回路に蓄積された前記第1蓄積情報を対向する前記受信機へ送信する送信回路と、
を有することを特徴とする送信機。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の通信システムが備える受信機であって、
対向する前記送信機の前記送信回路からの前記第1蓄積情報を受信する受信回路と、
前記受信回路が受信した前記第1蓄積情報を第2蓄積情報として一時的に蓄積した後に出力しており、前記第2蓄積情報の上限が、前記送信機との間の帯域が前記入力情報の入力帯域を下回るときの前記入力帯域と前記送信機との間の帯域との差分の帯域の時間積以上の情報量であり、前記送信機との間の帯域の変動によらず対向する前記送信機に入力された前記入力情報の前記入力帯域で前記第2蓄積情報を出力する第2蓄積回路と、
を有することを特徴とする受信機。
【請求項8】
送信機と受信機が伝送路を介して対向し、前記送信機と前記受信機の間の帯域を制御する制御回路を備える通信システムの通信方法であって、
前記送信機の第1蓄積回路が、外部より入力された入力情報を第1蓄積情報として一時的に蓄積し、
前記送信機の送信回路が、前記第一蓄積回路に蓄積された前記第1蓄積情報を対向する前記受信機へ送信し、
前記受信機の受信回路が、対向する前記送信機の前記送信回路からの第1蓄積情報を受信し、
前記受信機の第2蓄積回路が、前記受信回路が受信した第1蓄積情報を第2蓄積情報として一時的に蓄積した後に出力しており、
前記入力帯域と前記送信機と前記受信機の間の帯域との差分の帯域の時間積以上の情報量を予め前記第2蓄積回路に蓄積させておき、前記送信機と前記受信機の間の帯域の変動にかかわらず前記入力帯域で前記第2蓄積回路から第2蓄積情報を出力させるように前記送信機と前記受信機の間の帯域を制御し、
前記送信機と前記受信機との間の通信制御を行うことを特徴とする通信方法。
【請求項9】
前記第2蓄積回路に対して、前記送信機に前記入力情報が入力された入力時刻に一定の遅延時間を加えた時刻に、前記入力情報にあたる前記第2蓄積情報を出力させることを特徴とする請求項8に記載の通信方法。
【請求項10】
前記送信機に前記入力情報が入力された前記入力時刻を、前記第2蓄積回路に前記第1蓄積情報が入力される受取時刻及び前記送信機と前記受信機の間の帯域とから推定することを特徴とする請求項9に記載の通信方法。
【請求項11】
前記入力情報のうち、情報の伝送間隔揺らぎ又は帯域揺らぎの影響を受けるアプリケーションの情報を検出し、前記アプリケーションの情報に対して前記通信制御を行うことを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の通信方法。
【請求項12】
前記入力情報のうち、情報の伝送間隔揺らぎ又は帯域揺らぎの影響を受けるアプリケーションの情報を検出し、前記アプリケーションの情報に対する送信機と受信機の間の帯域の変動を抑制するために、前記アプリケーションの他の情報に対する送信機と受信機の間の帯域を変動させる制御を行うことを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載の通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−147022(P2011−147022A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7297(P2010−7297)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】