説明

通信システム、送信端末、受信端末、および通信方法

【課題】NGNなどのIPネットワークを介して通信を行う通信システムにおいて、専用サーバを設けることなく、受信側の状態を把握することができる新しし枠組みを提供する。
【解決手段】IPネットワークを介して少なくとも音声チャネルにより通信可能な第1及び第2の端末を含む通信システムであって、第1の端末から第2の端末に対して通信を行う場合に、第2の端末は、第1の端末から通信要求を受信すると、自装置の状態に応じて変動する状態情報を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを第1の端末に送信し、第1の端末は、第2の端末から音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを受信すると、該音声データから前記状態情報を抽出し、前記抽出した状態情報に基づいて第2の端末の状態を表わす情報をユーザに提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPネットワークを介して音声チャネルにより通信可能な端末を含む通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばIP−FAXのような、IPネットワークを介して通信を行う通信システムにおいて、受信側の状態(例えば、FAXデータの印刷がされたかどうかなど)を把握したいという要求がある。
【0003】
このような要求を実現するために、プレゼンスサーバやIM(Instant Messaging)を利用し、都度、受信側の状態を送信側に通知する方法が知られている。例えば、特許文献1には、IMを利用して、FAXデータの受信を通知する方法が開示されている。また、特許文献2には、プレゼンスサーバを用いた方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−328169号公報
【特許文献2】特開2008−113134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなプレゼンスサーバやIMを利用する方法は、IPネットワーク上で音声チャネルによる呼制御を行うサーバ(通信事業者が管理・運営するサーバ)とは別に、状態通知を行うための専用サーバを用意する必要があるため、システムの開発や運用コストが増えてしまうという問題がある。また、通信事業者が管理・運営するサーバと連携するために、通信事業者との調整が必要となることから、迅速、柔軟な開発や運用が困難になるという問題も発生する。更に、端末側においても、専用サーバを介した状態通知を行うために、呼制御以外に専用サーバの仕様に準拠した仕組みを新たに導入する必要が生じ、その結果、端末の開発コストが増えてしまうという問題や、そのような仕組みが導入されていない端末との接続性に問題が生じる可能性もある。
【0006】
一方、近年、国内において整備が進められているNGN(Next Generation Network)では、そのような受信側の状態を通知する仕組みが存在しておらず、提供される予定もない。
【0007】
したがって、本発明は、上記問題点を解決し、NGNなどのIPネットワークを介して通信を行う通信システムにおいて、専用サーバを設けることなく、受信側の状態を把握することができる新しい枠組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の通信システムは、IPネットワークを介して少なくとも音声チャネルにより通信可能な第1及び第2の端末を含む通信システムであって、第1の端末から第2の端末に対して通信を行う場合に、第2の端末は、第1の端末から通信要求を受信すると、自装置の状態に応じて変動する状態情報を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを第1の端末に送信し、第1の端末は、第2の端末から音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを受信すると、該音声データから前記状態情報を抽出し、前記抽出した状態情報に基づいて第2の端末の状態を表わす情報をユーザに提示することを特徴とする。
【0009】
また本発明の通信システムは、IPネットワークを介して音声チャネル及びデータ通信チャネルにより通信可能な第1及び第2の端末を含む通信システムであって、第1の端末からデータ通信チャネルにより第2の端末に対して通信を行う場合に、第2の端末は、第1の端末からデータ通信チャネルによる通信要求を受信すると、自装置の状態に応じて変動する状態情報を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを第1の端末に送信し、第1の端末は、第2の端末から音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを受信すると、該音声データから前記状態情報を抽出し、前記抽出した状態情報に基づいて第2の端末の状態を表わす情報をユーザに提示することを特徴とする。
【0010】
好適には、第1の端末は、データ通信チャネルにより送信するデータに付与したデータ識別子を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記データ識別子を埋め込んだ音声データを第2の端末に送信し、第2の端末は、第1の端末から音声チャネルにより前記データ識別子を埋め込んだ音声データを受信すると、該音声データから前記データ識別子を抽出し、自装置の状態に応じて変動する状態情報及び前記抽出したデータ識別子を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記状態情報及びデータ識別子を埋め込んだ音声データを第1の端末に送信する。
【0011】
また好適には、第2の端末は、データ通信チャネルによるデータの受信が終了した場合、第1の端末との通信を終了し、その後に音声チャネルにより前記状態情報及びデータ識別子を埋め込んだ音声データを第1の端末に送信する場合、第2の端末から第1の端末に対して通信を開始して、音声データを送信する。
【0012】
また好適には、前記端末はIP−FAX端末である。
【0013】
また好適には、前記第2の端末は印刷機能を有する端末であり、前記状態情報は、第2の端末における印刷開始、印刷終了、印刷エラーの少なくともいずれかに対応する状態を示す情報を含む。
【0014】
また好適には、前記状態情報は、状態を特定する識別子を含み、第2の端末は、第1の端末から通信要求を受信すると、前記識別子と状態の対応関係情報を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記対応関係情報を埋め込んだ音声データを第1の端末に送信し、第1の端末は、第2の端末から音声チャネルにより前記対応関係情報を埋め込んだ音声データを受信すると、該音声データから前記対応関係情報を抽出し、前記抽出した対応関係情報に基づいて第2の端末の状態を表わす情報をユーザに提示する。
【0015】
本発明の受信端末は、IPネットワークを介して少なくとも音声チャネルにより送信端末と通信可能な受信端末であって、送信端末から通信要求を受信すると、自装置の状態に応じて変動する状態情報を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを送信端末に送信することを特徴とする。
【0016】
本発明の送信端末は、IPネットワークを介して少なくとも音声チャネルにより受信端末と通信可能な送信端末であって、受信端末に通信開始要求を送信し、前記通信開始要求の応答として、受信端末から、受信端末の状態に応じて変動する状態情報を埋め込んだ所定の音声データを音声チャネルにより受信し、前記音声データから前記状態情報を抽出し、前記抽出した状態情報に基づいて受信端末の状態を表わす情報をユーザに提示することを特徴とする。
【0017】
本発明の通信方法は、IPネットワークを介して少なくとも音声チャネルにより通信可能な第1及び第2の端末を用いた通信方法であって、第1の端末から第2の端末に対して通信を行う場合に、第2の端末が、第1の端末から通信要求を受信すると、自装置の状態に応じて変動する状態情報を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを第1の端末に送信し、第1の端末が、第2の端末から音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを受信すると、該音声データから前記状態情報を抽出し、前記抽出した状態情報に基づいて第2の端末の状態を表わす情報をユーザに提示することを特徴とする。
【0018】
本発明の通信方法のうち各端末において実行される工程は、各端末が備えるCPUにより実施することができるが、そのためのプログラムは、CD−ROM、磁気ディスク、半導体メモリ及び通信ネットワークなどの各種の媒体を通じて各端末にインストールまたはロードすることができる。
【0019】
なお、本明細書において、部とは、ハードウェアにより実現されるユニット、ソフトウェアにより実現されるユニット、両方を用いて実現されるユニットを含む。また1つのユニットが2つ以上のハードウェアを用いて実現されてもよく、2つ以上のユニットが1つのハードウェアにより実現されても良い。
【発明の効果】
【0020】
以上のように構成された本発明によれば、NGNなどのIPネットワークを介して通信を行う通信システムにおいて、専用サーバを設けることなく、受信側の状態を把握することができる新しい枠組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態の通信システムの概略構成を示す図である。
【図2】IP−FAX端末1の機能構成を示す図である。
【図3】通信システム全体の処理フローを示す図である。
【図4】イベント対応テーブルの例を示す図である。
【図5A】IP−FAX端末1BにおけるSIPサーバ登録後の処理フローを示す図である。
【図5B】IP−FAX端末1BにおけるSIPサーバ登録後の処理フローを示す図である。
【図6】IP−FAX端末1AにおけるSIPサーバ登録後の処理フローを示す図である。
【図7】変形例1における、通信システム全体の処理フローを示す図である。
【図8】変形例1における、IP−FAX端末1BにおけるSIPサーバ登録後の処理フローの後半を示す図である。
【図9A】変形例1における、IP−FAX端末1AにおけるSIPサーバ登録後の処理フローを示す図である。
【図9B】変形例1における、IP−FAX端末1AにおけるSIPサーバ登録後の処理フローを示す図である。
【図10A】変形例2における、通信システム全体の処理フローを示す図である。
【図10B】変形例2における、通信システム全体の処理フローを示す図である。
【図11】変形例2における、IP−FAX端末1AにおけるSIPサーバ登録後の処理フローを示す図である。
【図12A】変形例2における、IP−FAX端末1BにおけるSIPサーバ登録後の処理フローの後半を示す図である。
【図12B】変形例2における、IP−FAX端末1BにおけるSIPサーバ登録後の処理フローの後半を示す図である。
【図13】変形例2における、IP−FAX端末1Bの印刷終了通知時の処理フローを示す。
【図14】変形例2における、IP−FAX端末1Aの印刷終了通知時の処理フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係る通信システムについて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態の通信システムの概略構成を示す図である。図1に示すように、通信システム100は、NGNなどのIPネットワーク101を介して接続されるIP−FAX端末1A、1Bを含む。IPネットワーク101には、通信事業者等が管理・運用する通常のSIPサーバ2が接続されている。
【0024】
図1では、IP−FAX端末1(1A、1Bを区別する必要がない場合、このように示す)について2台、SIPサーバ2について1台のみ記載しているが、IF−FAX端末1の台数は2台以上、SIPサーバ2の台数は1台以上であれば、設計に応じて任意に変更することができる。
【0025】
IP−FAX端末1は、SIP(Session Initiation Protocol)による呼制御に対応したIP−FAX端末であり、音声チャネルを少なくとも含む複数チャネル(メディア)により通信可能に構成されている。以下、IP−FAX端末1は、G.711などの音声コーデックに対応した音声チャネル、及びT.38などの規格に対応したデータ通信チャネルの2つのチャネルにより通信可能であるとして説明する。
【0026】
IP−FAX端末1のハードウェア及び機能構成は、音声チャネル及びデータ通信チャネルにより通信可能な従来のIP−FAX端末と同様であり、例えば、CPU、メモリ、専用回路、表示装置、音声出力装置、印刷装置、通信装置などのハードウェアを備えている。また、CPUがメモリに格納されたプログラムを実行し、各ハードウェアを制御することにより実現される機能手段として、送受信部10、呼制御部11、音声処理部12、データ処理部13のほか、スキャナ部、印刷部、表示部、操作部などを備えている(図2参照)。
【0027】
ただし、後述するように、本実施形態のIP−FAX端末1は、上記各部が連携することにより、他のIP−FAX端末1からデータ通信チャネルにより通信要求を受信すると、自装置の状態に応じて変動する状態情報を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを前記他のIP−FAX端末1に送信する機能と、他のIP−FAX端末1にデータ通信チャネルにより通信開始要求を送信し、前記通信開始要求の応答として、前記他のIP−FAX端末1から音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを受信すると、該音声データから前記状態情報を抽出し、前記抽出した状態情報に基づいて前記他のIP−FAX端末1の状態を表わす情報をユーザに提示する機能とを備えている点で、従来のIP−FAX端末とは異なる。
【0028】
以下、IP−FAX端末1の各部について説明する。
【0029】
送受信部10は、IPネットワーク101に接続されているSIPサーバ2とのあいだで呼制御に関するデータ(SIPメッセージ)を送受信し、通信先端末とのあいだで音声データ、FAXデータを送受信する部であり、原則として、従来のIP−FAX装置が備える送受信部と同様である。なお、送受信部10の処理対象となるデータはすべてIPパケットであり、送受信部10は、例えばFAX受信時においては、IPパケットの種類に応じて、呼制御部11、音声処理部12、データ処理部13へIPパケットを分配する。またFAX送信時においては、呼制御部11、データ処理部13において生成されたIPパケットをIPネットワーク101へ送出する。
【0030】
呼制御部11は、SIPサーバ2との間でやり取りされるSIPメッセージの生成・解釈を行うとともに、音声処理部12で対応可能な音声コーデックの判断、データ処理部13で対応可能なデータ形式(FAXデータ形式)の判断を行う部であり、原則として、従来のIP−FAX装置が備える呼制御部と同様である。
【0031】
音声処理部12は、自身が対応可能な音声形式についての情報を対応形式テーブルとして保持しており、FAX受信時においては、データ処理部13から通知される状態情報に応じた音声データの生成を行い、前記生成した音声データに状態情報の埋め込みを行う。さらに、状態情報埋め込み済みの音声データをRTP(Real-time Transport Protocol)データとしてIPパケット化し、送受信部10へ渡す。
【0032】
またFAX送信時においては、FAX受信側から送信されたRTPパケットから、音声データを復元し、復元した音声データから状態情報を抽出し、かかる音声データ及び状態情報を用いて、音声の再生や表示部に対する表示指示を出す。
【0033】
このように本実施形態の音声処理部12は、従来のIP−FAX装置が備える音声処理部と同様の機能に加え、状態情報の埋め込み及び抽出を行う機能を備えている。
【0034】
データ処理部13は、自身が対応可能なデータ形式についての情報を対応形式テーブルとして保持しており、FAX受信時においては、送受信部10からIPパケット化されているFAXデータを受け取り、適切なデータ(印刷データ、画像データ)に復元し、印刷部に対して復元したデータを送って印刷指示を出す。また、自装置の状態(受信状況、印刷状況など)に応じて変動する状態情報を音声処理部12へ通知する。
【0035】
またFAX送信時においては、スキャナ部からデータを受け取って、FAXデータを生成し、IFP(internet facsimile protocol)データとしてIPパケット化して、送受信部10へ渡す。
【0036】
スキャナ部、印刷部、表示部は、原則として、従来のIP−FAX端末が備える各部と同様である。ただし、本実施形態の印刷部は、データ処理部13のように、状態情報を音声処理部12へ通知する機能を備えている。
【0037】
次に、図3〜図6を参照して、通信システム100における通信処理の流れを説明する。なお本明細書において、フローチャート等に示す各工程(符号が付与されていない部分的な工程を含む)は処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。また、IP−FAX端末1Aが送信端末となり、IP−FAX端末1Bが受信端末となる場合を想定して説明する。
【0038】
図3に、通信システム全体の処理フローを示す。
【0039】
IP−FAX端末1A及び1Bは、通信を開始する前に、SIPサーバ2に対して呼制御による登録手続を行う(REGISTERリクエストを送信する)(S100)。
【0040】
IP−FAX端末1A及び1Bは、登録手続が成功したかどうか(SIPサーバ2から200OKレスポンスが返ってきたかどうか)を判断し(S101)、失敗した場合(S101:No)、規定回数、登録手続を繰り返す(S102)。規定回数を繰り返しても登録手続が成功しなかった場合(S102:Yes)、処理を終了する。
【0041】
一方、IP−FAX端末1A及び1Bの登録手続が成功した場合(S101:Yes)、IP−FAX端末1Aは、IP−FAX端末1Bに対して、SIPに従って通信開始要求を送信する(INVITEリクエストを送信する)(S103)。
【0042】
IP−FAX端末1Bは、IP−FAX端末1Aから、SIPに従った通信開始要求を受信すると、対応可能かどうかを判断し(S104)、対応可能でない場合、エラーレスポンスをIP−FAX端末1Aに返す。
【0043】
IP−FAX端末1Aは、エラーレスポンスを受信した場合や、通信開始要求を送信してから一定期間内に200OKレスポンスを受信できない場合、コーデックを変更するなどして、規定回数、通信開始要求の送信を繰り返す(S105:No)。規定回数を繰り返しても通信開始要求に対する応答がない場合(S105:Yes)、処理を終了する。
【0044】
一方、対応可能な場合、IP−FAX端末1Bは、IP−FAX端末1Aに対して200OKレスポンスを送信する(S106)。これにより、両端末間でSIPセッションが確立し、IP−FAX端末1Aは、データ通信チャネルによる通信(ここでは、FAXデータの送信)を開始する(S107)。
【0045】
SIPセッションが確立されると、IP−FAX端末1Bは、イベント発生の有無を判断する(S108)。イベントとしては、例えば、データ受信開始、データ受信終了、データ受信エラー発生、印刷開始、印刷終了、印刷エラー(インク切れ、紙づまりなど)といったIP−FAX端末1Bの状態(プレゼンス)に対応するイベントが考えられる。
【0046】
イベントが発生していない場合、IP−FAX端末1Bは、データ通信チャネルによる通信が終了するまで(S114:No)、S108の判断を続行する。
【0047】
イベントが発生した場合、IP−FAX端末1Bは、発生したイベントに対応する音声データ、及び状態情報を取得する(S109)。例えば、図4に示すようなイベント内容、イベント識別子、音声メッセージ及びテキストメッセージとの対応関係情報を格納したイベント対応テーブルを装置内に記憶しておき、これらを参照して音声データとして音声メッセージを取得し、状態情報としてイベント識別子を取得することが考えられる。
【0048】
次に、IP−FAX端末1Bは、前記取得した音声データに前記取得した状態情報を埋め込む(S110)。音声データへの状態情報の埋め込みには、ウォータマークに関する種々の従来技術や、特開2003-295894に開示される技術を利用することが考えられる。
【0049】
次に、IP−FAX端末1Bは、IP−FAX端末1Aに対して、状態情報埋め込み済み音声データをRTPパケット化して音声チャネルにより送信する(S111)。
【0050】
IP−FAX端末1Aは、IP−FAX端末1Bから、符号化された状態情報埋め込み済み音声データを受信すると、これを復元し、復元した音声データから状態情報を抽出する(S112)。
【0051】
次に、IP−FAX端末1Aは、前記復元した音声データを再生するとともに、前記抽出した状態情報に基づいて、IP−FAX端末1Bの状態を表わす情報をユーザに提示する(例えば表示部にイベントに対応するメッセージを表示したり、ログとして記憶する)(S113)。
【0052】
S108〜S113までの処理は、データ通信チャネルによる通信が終了し、FAXデータの印刷が終了するまで(S114:No)、繰り返される。
【0053】
データ通信チャネルによる通信が終了し、FAXデータの印刷が終了した場合(S114:Yes)、IP−FAX端末1Bは、IP−FAX端末1Aに対し、SIPに従って通信終了を通知する(BYEリクエストを送信する)(S115)。これにより、両端末間でSIPセッションが終了する。
【0054】
図5A、図5Bに、IP−FAX端末1BにおけるSIPサーバ登録後の処理フローを示す。
【0055】
IP−FAX端末1Bの送受信部10は、IP−FAX端末1AからのINVITEリクエストを待機する(S200)。
【0056】
INVITEリクエストを受信した場合、送受信部10は、INVITEリクエストを呼制御部11に渡す(S201)。
【0057】
呼制御部11は、INVITEリクエストを解析し、通信方式を判断して、音声処理部12、データ処理部13に対応可能かどうかを問い合わせる(S202)。
【0058】
音声処理部12、データ処理部13はそれぞれ、保持している対応形式テーブルを参照して、対応可否を判断し、判断結果を呼制御部11に返す(S203)。
【0059】
呼制御部11は、音声処理部12、データ処理部13から対応不可の判断結果を受け取った場合(S204:No)、エラーレスポンスを生成し、送受信部10を介してIP−FAX端末1Aに送信し(S205)、S200に再帰する。
【0060】
一方、呼制御部11は、音声処理部12、データ処理部13の両方から対応可能の判断結果を受け取った場合(S204:Yes)、200OKレスポンスを生成し、送受信部10を介してIP−FAX端末1Aに送信する(S206)。これにより、IP−FAX端末1Aと1Bとの間でSIPセッションが確立し、IP−FAX端末1Aは、データ通信チャネルによる通信(ここでは、FAXデータの送信)を開始する。
【0061】
データ通信チャネルによる通信が開始されると、送受信部10は、FAXデータの受信を待機する(S207)。
【0062】
送受信部10を介してFAXデータの受信が開始された場合、データ処理部13は、受信開始イベントを音声処理部12に通知する(S208)。
【0063】
次に、データ処理部13は、FAXデータの受信が終了するまで、受信したFAXデータを復元して印刷データを生成し、印刷部に送る(S209)。FAXデータの受信が終了した場合、データ処理部13は、受信終了イベントを音声処理部12に通知する(S210)。
【0064】
一方、印刷データを受け取った印刷部は、印刷処理を実行するとともに、印刷状況に応じたイベント(印刷開始イベント、インク切れイベントなど)を音声処理部12に通知する(S211)。
【0065】
印刷部は、印刷が終了するまでS211を繰り返す(S212:No)。印刷が終了すると(S212:Yes)、印刷部は、印刷終了イベントを音声処理部12及び呼制御部11に通知する(S213)。
【0066】
一方、音声処理部12は、データ通信チャネルによる通信が開始されると、イベントの発生を待機する(S214)。
【0067】
データ処理部13や印刷部からイベント発生の通知を受け取った場合、音声処理部12は、発生したイベントに対応する音声データ及び状態情報を取得し、前記取得した音声データに前記取得した状態情報を埋め込む(S215)。
【0068】
次に、音声処理部12は、状態情報埋め込み済み音声データをRTPパケット化して、送受信部10を介して音声チャネルによりIP−FAX端末1Aに対して送信し(S216)、音声データ送信後、S214に再帰する。
【0069】
一方、呼制御部11は、印刷部から印刷終了イベントが通知された場合、BYEリクエストを生成し、送受信部10を介してIP−FAX端末1Aに送信する(S217)。これにより、IP−FAX端末1BにおけるSIPセッションが終了する。
【0070】
図6に、IP−FAX端末1AにおけるSIPサーバ登録後の処理フローを示す。
【0071】
IP−FAX端末1Aの呼制御部11は、音声処理部12、データ処理部13の保持する対応方式テーブルからIP−FAX端末1Bとの通信方式を決定し、INVITEリクエストを生成する(S300)。
【0072】
次に、呼制御部11は、生成したINVITEリクエストを、送受信部10を介してIP−FAX端末1Bに送信し(S301)、200OKレスポンスの受信を待機する(S302)。
【0073】
呼制御部11は、IP−FAX端末1Bからエラーレスポンスを受信した場合や、通信開始要求を送信してから一定期間内に200OKレスポンスを受信できない場合(S302:No)、コーデックを変更するなどして、規定回数、INVITEリクエストの生成を繰り返し(S303)、S301に再帰する。なお、規定回数を繰り返しても通信開始要求に対する応答がない場合は処理を終了する。
【0074】
一方、200OKレスポンスを受信した場合、音声処理部12、データ処理部13は、それぞれ以下の処理を実行する。
【0075】
音声処理部12は、送受信部10を介してRTPパケットの受信を待機する(S304)。RTPパケットを受信した場合、音声処理部12は、受信したRTPパケットから音声データの復元を行い(S305)、復元した音声データから状態情報を抽出する(S306)。
【0076】
次に、音声処理部12は、IP−FAX端末1Bが使用したものと同等のイベント対応テーブル(図4参照)を参照して、前記抽出した状態情報に対応するイベントの内容を特定し、対応するテキストメッセージを読み出してユーザに提示するよう(例えば、表示部に表示するよう)指示する(S307)。
【0077】
次に、音声処理部12は、前記復元した音声データを再生し(S308)、SIPセッションが終了するまで、S304に再帰する。
【0078】
一方、データ処理部13は、スキャナ部により読み込んだ画像データに基づいてFAXデータを生成し、IFPデータとしてIPパケット化して、送受信部10を介してIP−FAX端末1Bに送信する(S309)。
【0079】
データ処理部13は、FAXデータの送信が終了するまで、S309を繰り返す(S310:No)。FAXデータの送信が終了すると(S310:Yes)、呼制御部11は、IP−FAX端末1BからのBYEリクエストの受信を待機する(S311)。BYEリクエストを受信した場合、IP−FAX端末1AにおけるSIPセッションが終了する。
【0080】
このように、本実施形態では、IP−FAX端末間でデータ通信チャネルによりFAXデータを送受信する場合に、FAXデータ受信側において自装置の状態に応じた状態情報を音声データに埋め込んで、音声チャネルによりFAXデータ送信側に送信する構成を採用しているため、専用サーバを設けることなく、FAXデータ送信側において、受信側の状態を把握することができる。また、状態情報をパケットのヘッダ等に挿入するのではなく音声データに埋め込んで送信する構成としていることから、既存のプロトコルを変更することなくRTPパケットを用いて状態情報を送ることができ、その結果、既存の中継装置などに変更を加えずに接続性を確保することが可能となる。
【0081】
(変形例1)
例えば、状態情報としてイベント識別子を用いる場合、IP−FAX端末1Aと1Bがそれぞれ同等のイベント対応テーブルを保持していることが必要となる。かかるテーブルは、例えば通信ネットワークや可搬型メモリを介して配信しても良いが、端末間でテーブルのデータを送受することで自動的に同期を取ることも可能である。
【0082】
以下、イベント対応テーブルの自動同期機能を備える変形例1の処理フローについて説明する。なお、変形例1における通信システムや端末の構成は原則として上記実施形態と同様である。
【0083】
図7に、変形例1における通信システム全体の処理フローを示す。図3に示す上記実施形態の処理フローと異なる点は、S107とS108との間に、ステップS120、S121が追加されている点である。以下、かかる変更点について説明する。
【0084】
SIPセッションが確立されると、IP−FAX端末1Bは、自装置のイベント対応テーブルをIP−FAX端末1Aに送信する(S120)。IP−FAX端末1Aは、IP−FAX端末1Bから送信されるイベント対応テーブルを受信すると、これを自装置のイベント対応テーブルとして保持する(S121)。
【0085】
図8に、変形例1におけるIP−FAX端末1BのSIPサーバ登録後の処理フローの後半を示す。前半(S200〜S205)は図5Aの処理フローと同じである。後半の処理フローが図5Bに示す処理フローと異なる点は、S206の後に、ステップS220、S221が追加されている点である。以下、かかる変更点について説明する。
【0086】
データ通信チャネルによる通信が開始されると、データ処理部13は、音声処理部12が保持するイベント対応テーブルのデータを取得し(S220)、かかるデータをIPパケット化して、送受信部10を介してIP−FAX端末1Aに送信する(S221)。
【0087】
具体的には、イベント対応テーブルのデータに基づいて、{(イベント識別子、イベント内容を示す文字列)、・・・}という形式のデータを生成し、かかる生成したデータを音声データとみなしてRTPパケット化して送信する。この際、状態情報を埋め込んだ音声データと区別するために、みなし音声データの最初と最後にトーン信号を挿入する。後述するように、IP−FAX端末1Aでは、かかるトーン信号の有無を検出することにより、イベント対応テーブルのデータに対応するみなし音声データであるか否かを判断することができる。
【0088】
図9A、図9Bに、変形例1におけるIP−FAX端末1AのSIPサーバ登録後の処理フローを示す。図6に示す処理フローと異なる点は、S302で200OKレスポンスを受信した場合以降の処理として、ステップS320〜S325が追加されている点である。以下、かかる変更点について説明する。なお、処理開始にあたり、変数Nは初期値0に初期化されているものとする。
【0089】
200OKレスポンスを受信した場合、音声処理部12は、送受信部10を介してRTPパケットの受信を待機する(S304)。RTPパケットを受信した場合、音声処理部12は、受信したRTPパケットから音声データの復元を行う(S305)。
【0090】
次に、音声処理部12は、Nが2より小さいかどうかを判断し(S320)、Nが2以上の場合はS306に進む。
【0091】
一方、Nが2より小さい場合、音声処理部12は、前記復元した音声データがトーン信号であるかどうかを判断する(S321)。
【0092】
トーン信号でない場合、音声処理部12は、前記復元した音声データを{(イベント識別子、イベント内容を示す文字列)、・・・}の形式のデータに変換し、該データに基づいて自装置のイベント対応テーブルを更新して(S322)、S304に再帰する。
【0093】
一方、トーン信号である場合、音声処理部12は、Nを+1インクリメントした後、N=1か成立するかどうかを判断する(S323)。
【0094】
N=1が成立する場合、受信したRTPパケットは、イベント対応テーブルに対応する1つ目のパケットであると判断し(S324)、引き続きイベント対応テーブルに対応するRTPパケットを受信すべく、S304に再帰する。
【0095】
N=1が成立しない場合、受信したRTPパケットは、イベント対応テーブルに対応する最終パケットであると判断し、イベント対応テーブルの自動更新を終了する(S325)。この場合、音声処理部12、データ処理部13は、それぞれS304、S309以降の処理を実行する。
【0096】
このように本変形例では、IP−FAX端末1A、1B間でFAXデータを送受する前にイベント対応テーブルを自動的に同期させている。例えば、送信側と受信側とでメーカや機種が異なる場合など、通信ネットワークや可搬型メモリを介してのイベント対応テーブルの配信が困難な場合もあり、このような場合に自動的に同期を取る機能は有効である。
【0097】
(変形例2)
通常、FAXデータの送受信が完了した後、当該FAXデータに基づく印刷が終了するところ、上記実施形態では、印刷が終了するのを待ってSIPセッションを閉じる構成としている。しかし、かかる構成では、FAXデータの送受信が完了した後、当該FAXデータに基づく印刷が終了するまでの間、データ通信チャネルによる通信が完了しているにもかかわらず、SIPセッションが維持されて通信費用が発生してしまう。
【0098】
かかる問題を解決する方法として、本発明の枠組みのもと、FAXデータの送受信が完了した時点でSIPセッションを閉じ、印刷が終了した時点で、IP−FAX端末1Bから1Aに対して、印刷終了イベントに対応する状態情報を埋め込んだ音声データを音声チャネルにより送信することが考えられる。
【0099】
しかし、例えば、IP−FAX端末1Aが複数のFAXデータをIP−FAX端末1Bに送信している場合、IP−FAX端末1Bが単に印刷終了イベントに対応する状態情報を埋め込んだ音声データを送信したのでは、IP−FAX端末1AはどのFAXデータについて印刷終了したのかを把握することはできない。
【0100】
そこで、変形例2では、IP−FAX端末1Aが、FAXデータに付与したデータ識別子をIP−FAX端末1Bに通知し、IP−FAX端末1Bが、印刷終了イベントに対応する状態情報、及び印刷終了FAXデータのデータ識別子を埋め込んだ音声データを送信する枠組みを採用する。
【0101】
以下、変形例2の処理フローについて説明する。なお、変形例2における通信システムや端末の構成は原則として上記実施形態と同様である。
【0102】
図10A、図10Bに、変形例2における通信システム全体の処理フローを示す。図3に示す上記実施形態の処理フローと異なる点は、S107とS108との間に、ステップS130、S131が追加されている点、S114の条件が変更されている点、及び、FAXデータ送受信のためのSIPセッション終了後に、印刷終了を通知するための処理(図10B)が実行される点である。以下、かかる変更点について説明する。
【0103】
データ通信チャネルによる通信路が確立されると、IP−FAX端末1Aは、これから送信するFAXデータに付与したデータ識別子をIP−FAX端末1Aに送信する(S130)。IP−FAX端末1Bは、IP−FAX端末1Aから送信されるデータ識別子を受信すると、これを記憶する(S131)。
【0104】
また、データ通信チャネルによる通信が終了した場合(S114:Yes)、IP−FAX端末1Bは、IP−FAX端末1Aに対し、SIPに従って通信終了を通知する(BYEリクエストを送信する)(S115)。これにより、両端末間でSIPセッションが終了する。
【0105】
その後、IP−FAX端末1Bは、FAXデータの印刷終了を待機する(S132)。印刷が終了すると、IP−FAX端末1Bは、印刷が終了したことを示す状態情報と、印刷終了FAXデータのデータ識別子とを所定の音声データに埋め込み、IP−FAX端末1Aに送信する(S133)。IP−FAX端末1Aは、かかる音声データを受信すると、埋め込まれたデータ識別子に基づいて、印刷が終了したFAXデータを特定し、その情報をユーザに提示する(S134)。
【0106】
図11に、変形例2における、IP−FAX端末1AのSIPサーバ登録後のFAXデータ送信時の処理フローを示す。図6に示す上記実施形態の処理フローと異なる点は、S302で200OKレスポンスを受信した場合以降の処理として、ステップS330、S331が追加されている点である。以下、かかる変更点について説明する。
【0107】
200OKレスポンスを受信した場合、データ処理部13は、これから送信するFAXデータにデータ識別子を付与し、かかるデータ識別子を自装置内に記憶するとともに、音声処理部12に通知する(S330)。
【0108】
音声処理部12は、通知されたデータ識別子を所定の音声データに埋め込み、IP−FAX端末1Bに対して、データ識別子埋め込み済み音声データをRTPパケット化して音声チャネルにより送信する(S331)。データ識別子を埋め込む所定の音声データとしては、例えばデータ識別子が0001である場合、「ID0001の送信を開始します」という音声データを生成して用いることが考えられる。
【0109】
その後、音声処理部12、データ処理部13は、それぞれS304、S309以降の処理を実行する。
【0110】
図12A、図12Bに、変形例2における、IP−FAX端末1BのSIPサーバ登録後のFAXデータ受信時の処理フローの後半を示す。前半(S200〜S205)は図5Aの処理フローと同じである。後半の処理フローが図5Aに示す処理フローと異なる点は、S206の後に、ステップS230〜S233が追加されている点、及び、呼制御部11によるセッション終了の条件である。以下、かかる変更点について説明する。
【0111】
データ通信チャネルによる通信が開始されると、音声処理部12は、送受信部10を介してRTPパケットの受信を待機する(S230)。
【0112】
RTPパケットを受信した場合、音声処理部12は、受信したRTPパケットから音声データの復元を行い(S231)、復元した音声データからデータ識別子を抽出する(S232)。抽出されたデータ識別子はデータ処理部13に渡され、記憶される。
【0113】
次に、音声処理部12は、前記復元した音声データを再生する(S233)。その後、データ処理部13、音声処理部12等は、それぞれS207、S214以降の処理を実行する。
【0114】
ただし、図5に示す処理フローでは、印刷部が、印刷終了した場合に印刷終了イベントを呼制御部11に通知し、呼制御部11は、かかる印刷部からの印刷処理イベントの通知を受けて、BYEリクエストの生成・送信を行っていたが、変形例2では、データ処理部13が、FAXデータの受信が終了した場合に受信終了イベントを音声処理部12及び呼制御部11に通知し(S210)、呼制御部11は、かかるデータ処理部13からの受信終了イベントの通知を受けて、BYEリクエストの生成・送信を行う(S217)構成となっている。
【0115】
図13に、変形例2における、IP−FAX端末1Bの印刷終了通知時の処理フローを示す。
【0116】
印刷部は、印刷終了した場合に印刷終了イベントを呼制御部11に通知する(S400:Yes)。
【0117】
かかる通知を受けた呼制御部11は、新たにSIPセッションを確立すべく、音声処理部12の保持する通信方式対応テーブルからIP−FAX端末1Aとの通信方式を決定し、INVITEリクエストを生成する(S401)。
【0118】
次に、呼制御部11は、生成したINVITEリクエストを、送受信部10を介してIP−FAX端末1Aに送信し(S402)、200OKレスポンスの受信を待機する(S403)。
【0119】
呼制御部11は、IP−FAX端末1Bからエラーレスポンスを受信した場合や、通信開始要求を送信してから一定期間内に200OKレスポンスを受信できない場合(S403:No)、コーデックを変更するなどして、規定回数、INVITEリクエストの生成
を繰り返し(S404)、S402に再帰する。なお、規定回数を繰り返しても通信開始要求に対する応答がない場合は処理を終了する。
【0120】
200OKレスポンスを受信した場合、データ処理部13は、FAXデータ受信時に記憶したデータ識別子を参照し、印刷が終了したFAXデータのデータ識別子を取得して、音声処理部12に通知する(S405)。
【0121】
音声処理部12は、印刷が終了したことを示す状態情報と、前記通知されたデータ識別子とを所定の音声データに埋め込む(S406)。データ識別子を埋め込む所定の音声データとしては、例えばデータ識別子が0001である場合、「ID0001の印刷が終了しました」という音声データを生成して用いることが考えられる。
【0122】
次に、音声処理部12は、データ識別子埋め込み済み音声データをRTPパケット化し、送受信部10を介してIP−FAX端末1Aに対して音声チャネルにより送信する(S407)。
【0123】
次に、呼制御部11は、IP−FAX端末1AからのBYEリクエストを待機し(S408)、BYEリクエストを受信すると、処理を終了する。
【0124】
図14に、変形例2における、IP−FAX端末1Aの印刷終了通知時の処理フローを示す。
【0125】
IP−FAX端末1Aの呼制御部11は、送受信部10を介して受信したINVITEリクエストが、自装置が対応可能な方式を示す場合、200OKレスポンスを生成し、送受信部10を介してIP−FAX端末1Bに送信する(S500)。
【0126】
次に、音声処理部12は、送受信部10を介してIP−FAX端末1BからのRTPパケットの受信を待機する(S501)。
【0127】
RTPパケットを受信した場合、音声処理部12は、音声データの受信が完了するまで、受信したRTPパケットから音声データの復元を行い(S502)、復元した音声データからデータ識別子を抽出して、データ処理部13に渡す(S503)。
【0128】
データ処理部13は、前記抽出されたデータ識別子と、FAXデータ送信時に記憶したデータ識別子とを照合して、対応するFAXデータを特定し、例えば表示部に前記特定したFAXデータについて印刷終了したことを示すテキストメッセージを表示する(S504)。また、前記復元した音声データが「ID0001の印刷が終了しました」といった意味のある音声データである場合、音声処理部12は、前記復元した音声データを再生する(S505)。
【0129】
データ識別子埋め込み済み音声データの受信が完了した場合、呼制御部11は、BYEリクエストを生成し、送受信部を介してIP−FAX端末1Bに対して送信する(S506)。これにより、印刷終了通知のためのSIPセッションは終了する。
【0130】
このように本変形例では、IP−FAX端末1Aが、FAXデータに付与したデータ識別子を音声チャネルにより1Bに送信しておき、FAXデータの送信が終了した時点で一旦、SIPセッションを閉じる。その後、IP−FAX端末1Bが、FAXデータの印刷が終了した時点で、IP−FAX端末1Aに対して新たにSIPセッションを開始し、印刷が終了したFAXデータのデータ識別子を埋め込んだ音声データを音声チャネルによりIP−FAX端末1Aに送信する。これにより、FAXデータの送受信が完了した後、当該FAXデータに基づく印刷が終了するまでの間の、SIPセッションの通信費用の発生を回避できるとともに、新たなSIPセッションにより印刷終了を通知する際に、どのFAXデータの印刷が終了したのかをIP−FAX端末1Aに知らせることが可能となる。
【0131】
以上、本発明の好適な実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、以上の実施形態や変形例に限定されるべきものではなく、特許請求の範囲に表現された思想および範囲を逸脱することなく、種々の変形、追加、および省略が当業者によって可能である。
【0132】
例えば本発明によって状態情報を送受信する装置は、IPネットワークを介して少なくとも音声チャネルにより通信可能な情報処理であれば足り、IP−FAX装置には限定されない。例えば、プリンタや表示装置等の画像形成装置であってもよい。また、イベント内容や状態情報は、用いる装置によって種々に決定することができる。
【0133】
また例えば、SIP以外のプロトコルによってデータ通信チャネルや音声チャネルによる通信路を確立する構成としてもよい。また、本発明においてデータ通信チャネルによる通信は必ずしも必須ではなく、音声チャネルでのみ通信可能な情報処理装置間においても本発明の枠組みを適用することは可能である。
【0134】
また例えば、状態情報等を埋め込む音声データは上記実施形態や変形例に示したものに限定されない。例えば、IP−FAX端末1Aが状態情報に応じた音声メッセージを保持している場合、IP−FAX端末1Bにおいて状態情報をビープ音などの音声データに埋め込んでIP−FAX端末1Aに送信してもよい。この場合、IP−FAX端末1Aでは、保持している音声メッセージの中から、音声データから抽出した状態情報に対応する音声メッセージを選択し、再生することができる。
【0135】
また例えば、変形例2において、IP−FAX端末1Bから新たにSIPセッションを開始して1Aに通知する内容は、印刷終了以外であってもよい。例えば、FAXデータの送受信のためのSIPセッション終了後、印刷中にエラーが発生した場合、1Bから1Aに新たにSIPセッションを開始し、発生したエラーの情報(例えば、エラー識別子)を埋め込んだ音声データを音声チャネルによりIP−FAX端末1Aに送信することも考えられる。
【0136】
また例えば、変形例2において、FAXデータの受信完了をもってSIPセッションを閉じることは必ずしも必須ではなく、上記実施形態のようにSIPセッションを維持しつつ、IP−FAX端末1Bにおいて状態情報及び対応するデータ識別子を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記状態情報及びデータ識別子を埋め込んだ音声データをIP−FAX端末1Aに送信する構成としてもよい。かかる構成によれば、IP−FAX端末1Aにおいて、音声データから抽出したデータ識別子に基づいて、状態情報がどのFAXデータに関する状態を表わすのかを把握することが可能となる。
【符号の説明】
【0137】
1 IP−FAX端末、2 SIPサーバ、10 送受信部、11 呼制御部、12 音声処理部、13 データ処理部、100 通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPネットワークを介して少なくとも音声チャネルにより通信可能な第1及び第2の端末を含む通信システムであって、
第1の端末から第2の端末に対して通信を行う場合に、
第2の端末は、第1の端末から通信要求を受信すると、自装置の状態に応じて変動する状態情報を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを第1の端末に送信し、
第1の端末は、第2の端末から音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを受信すると、該音声データから前記状態情報を抽出し、前記抽出した状態情報に基づいて第2の端末の状態を表わす情報をユーザに提示することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
IPネットワークを介して音声チャネル及びデータ通信チャネルにより通信可能な第1及び第2の端末を含む通信システムであって、
第1の端末からデータ通信チャネルにより第2の端末に対して通信を行う場合に、
第2の端末は、第1の端末からデータ通信チャネルによる通信要求を受信すると、自装置の状態に応じて変動する状態情報を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを第1の端末に送信し、
第1の端末は、第2の端末から音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを受信すると、該音声データから前記状態情報を抽出し、前記抽出した状態情報に基づいて第2の端末の状態を表わす情報をユーザに提示することを特徴とする通信システム。
【請求項3】
第1の端末は、データ通信チャネルにより送信するデータに付与したデータ識別子を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記データ識別子を埋め込んだ音声データを第2の端末に送信し、
第2の端末は、第1の端末から音声チャネルにより前記データ識別子を埋め込んだ音声データを受信すると、該音声データから前記データ識別子を抽出し、自装置の状態に応じて変動する状態情報及び前記抽出したデータ識別子を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記状態情報及びデータ識別子を埋め込んだ音声データを第1の端末に送信することを特徴とする請求項2記載の通信システム。
【請求項4】
第2の端末は、データ通信チャネルによるデータの受信が終了した場合、第1の端末との通信を終了し、その後に音声チャネルにより前記状態情報及びデータ識別子を埋め込んだ音声データを第1の端末に送信する場合、第2の端末から第1の端末に対して通信を開始して、音声データを送信することを特徴とする請求項3記載の通信システム。
【請求項5】
前記端末はIP−FAX端末であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記第2の端末は印刷機能を有する端末であり、前記状態情報は、第2の端末における印刷開始、印刷終了、印刷エラーの少なくともいずれかに対応する状態を示す情報を含むことを特徴とすする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記状態情報は、状態を特定する識別子を含み、
第2の端末は、第1の端末から通信要求を受信すると、前記識別子と状態の対応関係情報を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記対応関係情報を埋め込んだ音声データを第1の端末に送信し、
第1の端末は、第2の端末から音声チャネルにより前記対応関係情報を埋め込んだ音声データを受信すると、該音声データから前記対応関係情報を抽出し、前記抽出した対応関係情報に基づいて第2の端末の状態を表わす情報をユーザに提示することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
IPネットワークを介して少なくとも音声チャネルにより送信端末と通信可能な受信端末であって、
送信端末から通信要求を受信すると、自装置の状態に応じて変動する状態情報を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを送信端末に送信することを特徴とする受信端末。
【請求項9】
IPネットワークを介して少なくとも音声チャネルにより受信端末と通信可能な送信端末であって、
受信端末に通信開始要求を送信し、前記通信開始要求の応答として、受信端末から、受信端末の状態に応じて変動する状態情報を埋め込んだ所定の音声データを音声チャネルにより受信し、前記音声データから前記状態情報を抽出し、前記抽出した状態情報に基づいて受信端末の状態を表わす情報をユーザに提示することを特徴とする送信端末。
【請求項10】
IPネットワークを介して少なくとも音声チャネルにより通信可能な第1及び第2の端末を用いた通信方法であって、
第1の端末から第2の端末に対して通信を行う場合に、
第2の端末が、第1の端末から通信要求を受信すると、自装置の状態に応じて変動する状態情報を所定の音声データに埋め込み、音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを第1の端末に送信し、
第1の端末が、第2の端末から音声チャネルにより前記状態情報を埋め込んだ音声データを受信すると、該音声データから前記状態情報を抽出し、前記抽出した状態情報に基づいて第2の端末の状態を表わす情報をユーザに提示することを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−259268(P2011−259268A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132700(P2010−132700)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】