説明

通信システム、通信装置、通信方法及びプログラム

【課題】複数のホストにおける周波数ホッピングパターンを合わせる技術を提供する。
【解決手段】通信システムは、周波数ホッピング方式を用いた通信を制御する複数の第1の通信装置10と、第1の通信装置10に通信可能な第2の通信装置20とを具備し、第2の通信装置20は、接続登録済みの第1の通信装置10の識別情報と優先度とが設定された接続登録済リストを保持し、第1の通信装置10との間で接続登録処理を実施した際に、接続登録済リストを当該装置に通知し、当該装置の識別情報とその優先度とを接続登録済リストに登録し、第1の通信装置10は、接続登録処理の後、自装置から所定範囲内にある他の第1の通信装置10を探索し、当該探索された他の装置の中に、接続登録済リストに設定された優先度が自装置よりも高い装置があれば、当該装置と同一の周波数ホッピングパターンを設定し、そうでなければ、任意の周波数ホッピングパターンを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信装置、通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
装置間の接続に使用されるインターフェースやプロトコル等の種類は多岐に渡る。その1つとして、例えば、ワイヤレスUSB(Universal Serial Bus)が知られている。
【0003】
ワイヤレスUSBの規格には、複数のホストと通信可能なコンカレントデバイスが定義されている。その使用例としては、パーソナルコンピュータがワイヤレスUSBホストとして動作し、ストレージ装置がコンカレントデバイスとして動作するケースが考えられる。この場合、複数のパーソナルコンピュータで共有してストレージ装置を使用できる。
【0004】
このようなワイヤレスUSBは、周波数ホッピング方式が採用されており、複数の周波数ホッピングパターンが定義されている。これにより、限られた周波数帯域において、多くの通信チャネルを確保できるため、通信リソースを有効に利用できることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−135965号公報
【特許文献2】特開2003−298591号公報
【特許文献3】特開2006−352835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ワイヤレスUSBでは、ホスト間の通信は考慮されていない。そのため、特別な理由のない限り、帯域を有効に使用できるように、ホスト間においては、異なる周波数ホッピングパターンが使用される。
【0007】
上述した通り、コンカレントデバイスは、複数のホストに接続され、それらホストと通信を行なうことができる。この場合、接続されるホスト間の周波数ホッピングパターンが異なると、通信を行なえない場合がある。
【0008】
例えば、コンカレントデバイスのRF部が1つである場合に、コンカレントデバイスを2台のホストに接続するケースについて考えてみる。この場合、2台のホスト間の周波数ホッピングパターンが異なっていれば、コンカレントデバイスは、いずれか一方のホストにしか接続できない。同様に、コンカレントデバイスのRF部が複数ある場合であっても、RF部の数以上のホストと接続することはできない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数のホストにおける周波数ホッピングパターンを合わせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、周波数ホッピング方式を用いた通信を制御する複数の第1の通信装置と、該複数の第1の通信装置に通信可能な第2の通信装置とを具備する通信システムであって、前記第2の通信装置は、認証を含む接続登録処理を実施済みの前記第1の通信装置の識別情報とその優先度とが設定された接続登録済リストを保持する保持手段と、前記複数の第1の通信装置のいずれかとの間で前記接続登録処理を実施した際に、前記保持手段に保持された接続登録済リストを当該接続登録処理を実施した第1の通信装置に通知する接続制御手段と、前記接続登録処理の後、該接続登録処理を実施した第1の通信装置の識別情報とその優先度とを前記接続登録済リストに登録する登録手段とを具備し、前記第1の通信装置は、前記接続登録処理の後、自装置から所定範囲内にある他の第1の通信装置を探索する探索手段と、前記探索手段により探索された前記他の第1の通信装置の中に、前記接続登録済リストに設定された優先度が自装置よりも高い装置があれば、当該装置と同一の周波数ホッピングパターンを設定し、そうでなければ、任意の周波数ホッピングパターンを設定する設定手段とを具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のホストにおける周波数ホッピングパターンを合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる通信システムの構成の一例を示す図。
【図2】ホスト10及びコンカレントデバイス20の処理の概要を説明するための図(接続登録処理)。
【図3】ホスト10及びコンカレントデバイス20の機能的な構成の一例を示す図。
【図4】ホスト10の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図5】通信システムにおける処理の流れの一例を示すシーケンスチャート。
【図6】コンカレントデバイス20の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図7】ホスト10及びコンカレントデバイス20の処理の概要を説明するための図(再接続登録処理)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係わる実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係わる通信システムの構成の一例を示す図である。
【0015】
通信システムには、複数のホスト10(10a〜10c)と、コンカレントデバイス20とを具備して構成される。コンカレントデバイス20は、1又は複数のホスト10との間でワイヤレスUSBを用いて通信可能に構成されている。
【0016】
ここで、ホスト10は、ワイヤレスUSBのホスト(第1の通信装置)として機能する。本実施形態においては、ホスト10は、例えば、パーソナルコンピュータ等で実現されるが、ワイヤレスUSBのホストとして機能できる装置であれば、何でも良い。
【0017】
コンカレントデバイス20は、ワイヤレスUSBのデバイス(第2の通信装置)として機能し、複数のホスト10と(同時に)通信を行なう。本実施形態においては、コンカレントデバイス20は、例えば、ストレージ装置等で実現されるが、ワイヤレスUSBのデバイスとして機能でき、複数のホストと通信可能な装置であれば、何でも良い。なお、コンカレントデバイス20は、複数のホスト10と同時に通信が行なえる装置を示しており、この場合、複数のホスト10に共有して使用される。
【0018】
ここで、ワイヤレスUSBのホスト及びデバイスは、アソシエーションと呼ばれる接続登録モードと、通信を行なう通常モードとの2つのモードを有する。
【0019】
接続登録モードにおいては、通信を行なうホストとデバイスとの間で認証を含む接続登録処理が行なわれる。接続登録時には、ホストからデバイスに対して、ID(識別情報)や暗号鍵などが通知される。このとき、デバイス側からは、接続登録済みのホストのリスト(接続登録済リスト)をホスト側へ通知する。
【0020】
通信モードにおいては、ホスト及びデバイスの間で通信が行なわれる。この通信に際して、接続登録処理を実施済みのホストは、通信設定処理を実施し、通信に用いる周波数ホッピングパターンを設定する。これにより、ホスト及びデバイスの間では、当該設定された周波数ホッピングパターンに従って通信が行なわれる。
【0021】
以上が、本発明の一実施の形態に係わる通信システムの全体構成の一例についての説明である。なお、ホスト10及びコンカレントデバイス20には、コンピュータが内蔵されている。コンピュータには、CPU等の主制御手段、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段が具備される。また、コンピュータにはその他、ボタンやディスプレイ又はタッチパネル等の入出力手段、ネットワークカード等の通信手段等も具備されていてもよい。なお、これら各構成部は、バス等により接続され、主制御手段が記憶手段に記憶されたプログラムを実行することで制御される。
【0022】
ここで、図2を用いて、接続登録処理時(接続登録モード)におけるホスト10及びコンカレントデバイス20の処理の概要について説明する。
【0023】
T11のタイミングにおいて、ホスト10aが、コンカレントデバイス20と接続登録を行なったとする。このとき、コンカレントデバイス20は、接続登録済みのホストがないため、ホスト10aに対して、全ての項目がnullとなっている接続登録済リストL21をホスト10aへ渡す。nullは、接続登録を行なったホストがないことを示す。
【0024】
タイミングT22において、ホスト10bが、コンカレントデバイス20と接続登録を行なう。このとき、コンカレントデバイス20は、接続登録済リストL22をホスト10bへ渡す。接続登録済リストL22には、コンカレントデバイス20と接続登録を既に行なったホスト10aの識別情報が設定されている。なお、その他の項目についてはnullが設定されている。
【0025】
タイミングT23において、ホスト10cが、コンカレントデバイス20と接続登録を行なう。このとき、コンカレントデバイス20は、接続登録済リストL23をホスト10cへ渡す。接続登録済リストL22には、コンカレントデバイス20と接続登録を既に行なったホスト10a及び10bの識別情報が設定されるている。なお、その他の項目についてはnullが設定されている。
【0026】
ここで、接続登録済リストには、登録済みのホストに対応して優先度が設定される。具体的には、周波数ホッピングパターンをいずれのホストに合わせるのかを示す優先度が各ホストに設定されている。優先度は、コンカレントデバイス20と接続登録を先に行なうほど、高くなる。そのため、最後に接続登録を行なったホストには、最も低い優先度が設定される。図2に示す例の場合、ホスト10aの優先度が最も高い。詳細について後述するが、図2に示す優先度が設定されている場合、ホスト10b及びホスト10cは、ホスト10aが使用する周波数ホッピングパターンと同じ周波数ホッピングパターンを設定することになる。
【0027】
ここで、図3を用いて、図1に示すホスト10及びコンカレントデバイス20における機能的な構成の一例について説明する。
【0028】
コンカレントデバイス20には、その機能的な構成として、接続制御部21と、登録部23と、保持部24とが具備される。なお、接続制御部21及び登録部23は、例えば、CPUがROM等に格納されたプログラムを実行することにより実現される。保持部24は、例えば、RAMやHDD等により実現される。
【0029】
保持部24は、接続登録済リスト24aを保持する。接続登録済リスト24aには、上述した通り、接続登録処理を既に実施済みのホストの識別情報に対応して優先度が設定されている。
【0030】
接続制御部21は、接続登録処理の実行を統括制御する。接続制御部21には、保持部24に保持された接続登録済リスト24aをホスト10に通知するリスト通知部22が設けられる。
【0031】
登録部23は、接続登録処理が実施されたホストの識別情報に優先度を対応付けて接続登録済リスト24に登録する。なお、本実施形態においては、接続登録済リスト24a内における接続登録の順番が優先度を示すが、接続登録済リスト24a内に明示的に優先度を示す情報が書き込まれていても良い。
【0032】
ホスト10には、その機能的な構成として、接続登録処理部11と、接続登録済リスト保持部12と、ホスト探索部13と、通信制御部14とが具備される。なお、接続登録処理部11、ホスト探索部13及び通信制御部14は、例えば、CPUがROM等に格納されたプログラムを実行することにより実現される。接続登録済リスト保持部12は、例えば、RAMやHDD等により実現される。
【0033】
接続登録処理部11は、コンカレントデバイス20との間で接続登録処理を実施するとともに、その際通知された接続登録済リスト24aを接続登録済リスト保持部12に格納する。なお、一度取得して接続登録済リスト保持部12に保持された接続登録済リスト24aが何らかの理由により破損や消失等した場合には、接続登録処理部11は、コンカレントデバイス20に対して再度、接続登録済リスト24aの取得を要求する。
【0034】
ホスト探索部13は、周辺のホストを探索する。すなわち、ワイヤレスUSBの通信範囲内(所定範囲内)に位置するホストの探索を行なう。なお、ホスト探索部13によるホストの探索は、通信制御部14(探索指示部15)からの指示に基づいて開始される。
【0035】
通信制御部14は、ホスト10における通信を統括制御する。通信制御部14には、探索指示部15と、通信設定部16とが設けられる。探索指示部15は、ホスト探索部13に対して、周辺のホストの探索の開始を指示する。この指示を発行するタイミング(探索条件)としては、例えば、タイマーがタイムアウトした時(すなわち、定期的)や、通信の干渉が生じた時、通信の開始時等が挙げられる。
【0036】
通信設定部16は、通信チャネル(周波数ホッピングパターン)を設定する。通信設定部16には、設定する通信チャネル(周波数ホッピングパターン)をいずれにするかの判定を行なう判定部17が設けられる。
【0037】
次に、図4を用いて、図1に示すホスト10における処理の流れの一例について説明する。ここでは、接続登録処理が終了した後、ホスト10において、通信設定処理を実施する際の処理の流れの一例について説明する。
【0038】
ホスト10は、接続登録モードから通常モードへ移行する(S101)。そして、探索指示部15において、周辺のホストの探索を行なうための条件(探索条件)を満たしているか否かの判定を行なう。探索条件とは、上述した通り、タイマーがタイムアウトした時(すなわち、定期的)や、通信の干渉が生じた時、通信の開始時等が挙げられる。
【0039】
探索条件を満たすと(S102でYES)、ホスト10は、判定部17において、接続登録処理時にコンカレントデバイス20から取得した接続登録済リストを参照し、当該リスト内の項目が全てnullであるか否かを判定する。全てnullであれば(S103でYES)、当該リスト内で自装置の優先度が最も高いことになるので、ホスト10は、通信設定部16において、任意の周波数ホッピングパターンを設定する(S104)。
【0040】
一方、S103の判定の結果、接続登録済リスト内の項目が全てnullでなければ(S103でNO)、ホスト10は、ホスト探索部13において、周辺のホストの探索を行なう(S105)。このとき、ホスト10は、他のホストの有無と、当該他のホストが使用している周波数ホッピングパターンとを調べるために、周波数ホッピングパターンを変えながら探索を行なう。
【0041】
ここで、ホスト10は、ホスト探索部13において、S105の探索結果に基づいてホストリストを作成する。より具体的には、他のホストにより送信されたビーコンから、当該他のホストの識別情報(ID)と使用している周波数ホッピングパターン情報とを取得し、ホストリストを作成する(S106)。
【0042】
ここで、ホスト10は、判定部17において、当該作成したホストリストと、コンカレントデバイス20から取得した接続登録済リストとを比較する(S107)。比較の結果、一致したホストがなければ(S108でNO)、ホスト10は、通信設定部16において、任意の周波数ホッピングパターンを設定した後(S113)、再度、S102の処理に戻る。
【0043】
一方、一致したホストが見つかれば(S108でYES)、ホスト10は、判定部17において、接続登録済リストを参照し、自装置の優先度と、S108の処理で一致した1又は複数のホストの優先度とを比較する。
【0044】
比較の結果、自装置の優先度の方が高ければ(S109でYES)、ホスト10は、通信設定部16において、任意の周波数ホッピングパターンを設定する(S104)。また、自装置の優先度の方が高くなければ(S109でNO)、ホスト10は、判定部17において、S106の処理で一致したホストが複数であるか否かを判定する。
【0045】
この判定の結果、一致したホストが1台であれば(S110でYES)、ホスト10は、通信設定部16において、当該ホストの周波数ホッピングパターンと同一のパターンを設定する(S111)。一方、一致したホストが複数であれば(S110でNO)、ホスト10は、通信設定部16において、当該一致したホストの中で優先度が最も高いホストと同じ周波数ホッピングパターンを設定する(S112)。
【0046】
その後、ホスト10は、判定部17において、当該設定した周波数ホッピングパターンが、接続登録済リスト内の最も優先度の高いホストの周波数ホッピングパターンと同一である否かを判定する。同一でなければ(S114でNO)、ホスト10は、再度、S102の処理に戻る。同一であれば(S114でYES)、この処理を終了する。
【0047】
ここで、図5を用いて、図1に示す通信システムにおける処理の流れの一例について説明する。ここでは、ホスト10a、ホスト10b、ホスト10cの順に接続登録処理が行なわれた後、当該接続登録処理とは逆の順番(すなわち、ホスト10c、ホスト10b、ホスト10aの順)で通信設定処理が行なわれる場合について説明する。
【0048】
まず、ホスト10aは、接続登録モードに移行するとともに、コンカレントデバイス20と接続登録処理を行なう(S201)。その後、ホスト10b、ホスト10cにおいても順番に接続登録処理が実施される(S202、S203)。すなわち、優先度は、ホスト10a、ホスト10b、ホスト10cの順となる。
【0049】
ここで、接続登録処理の完了後、ホスト10cが、他のホストよりも先に通信設定処理を開始する。すなわち、接続登録モードから通信モードへ移行し(S204)、周辺のホストを探索する(S205)。この場合、ホスト10a及びホスト10bは、通常モードに移行していないため、探索されず、探索結果は、周辺にホストなしとなる。そのため、ホスト10cは、任意の周波数ホッピングパターンを設定する(S206)。しかし、接続登録済リスト内では、ホスト10aが最も高い優先度を有しているため、ホスト10cは、探索条件を満たすまで待機した後、再度、ホストの探索を行なう。
【0050】
この待機中に、ホスト10bが、ホスト10aよりも先に通信設定処理を開始する。すなわち、接続登録モードから通信モードへ移行し(S207)、周辺のホストを探索する(S208)。この場合、ホスト10bは、探索結果として、ホスト10cの存在を検出する。ここで、ホスト10bは、自装置(ホスト10b)の優先度の方がホスト10cの優先度がよりも高いため、任意の周波数ホッピングパターンを設定する(S209)。しかし、接続登録済リスト内では、ホスト10aが最も高い優先度を有しているため、ホスト10bは、探索条件を満たすまで待機した後、再度、ホストの探索を行なう。
【0051】
ホスト10cは、再度、周辺のホストの探索を行なう(S210)。この場合、ホスト10cは、探索結果として、ホスト10bの存在を検出する。ここで、ホスト10cは、自装置(ホスト10c)よりもホスト10bの優先度の方が高いため、ホスト10bと同じ周波数ホッピングパターンを設定する(S211)。しかし、接続登録済リスト内では、ホスト10aが最も高い優先度を有しているため、ホスト10cは、探索条件を満たすまで待機した後、再度、ホストの探索を行なう。
【0052】
ここで、ホスト10aが、通信設定処理を開始する。すなわち、接続登録モードから通信モードへ移行する(S212)。このとき、ホスト10aは、接続登録済リスト内の項目全てにnullが設定されている(図2参照)。すなわち、ホスト10aの優先度は、接続登録済リスト内で最も高い。そのため、ホスト10aは、任意の周波数ホッピングパターンを設定する(S213)。これにより、ホスト10aによる通信設定処理は終了する。
【0053】
その後、ホスト10b及びホスト10bはそれぞれ、再度、周辺のホストを探索する(S214、S216)。この場合、それぞれの装置において、探索結果として、接続登録済リスト内で優先度が最も高いホスト10aの存在が検出される。これにより、ホスト10b及びホスト10bは、ホスト10aと同じ周波数ホッピングパターンを設定する(S215、S217)。
【0054】
このようにホスト10a〜10cは、同一の周波数ホッピングパターン(ホスト10aの周波数ホッピングパターン)を用いて通信を行なう。なお、ワイヤレスUSBにおいては、ビーコン期間内を共有し、互いの通信が干渉しないよう、スーパーフレーム内の時間を分割して使用するメカニズムが規定されている。そのため、周波数ホッピングパターンが一致しているホストは、スーパーフレーム内で別々の時間帯に通信を行なうため、複数のホストが同じ周波数ホッピングパターンを用いたとしても、特に問題はない。
【0055】
次に、図6を用いて、図1に示すコンカレントデバイス20における処理の流れの一例について説明する。ここでは、コンカレントデバイス20において、接続登録処理を実施する際の処理の流れの一例について説明する。
【0056】
この処理は、ホスト10から接続登録要求があると(S301でYES)、開始する。この処理が開始すると、コンカレントデバイス20は、接続制御部21において、当該要求とともに送られてきたホストの識別情報を参照し、既に接続登録済みのホストであるか否かの判定を行なう。なお、既に接続登録済みのホスト10が再度、接続登録要求を行なう状況としては、例えば、ホスト10で何らかのトラブルが生じ、接続登録情報を失った場合等が考えられる。
【0057】
判定の結果、接続登録済みのホストであれば(S302でYES)、コンカレントデバイス20は、リスト通知部22において、当該ホストに以前(初回登録時)と同じ内容の接続登録済ホストリストを当該ホストに通知する(S303)。すなわち、当該ホストに既に割り当てられた優先度が初期状態に戻った場合、他のホストとの関係で不具合が生じてしまうため、このように以前に通知した接続登録済リストの通知を行なう。
【0058】
また、S302の判定の結果、接続登録済みでないホストであれば(S302でNO)、コンカレントデバイス20は、リスト通知部22において、接続登録済リストを当該ホストに通知する(S304)。そして、登録部23において、当該ホストの情報(例えば、ホストの識別情報や周波数ホッピングパターン)を接続登録済リストに追加する(S305)。
【0059】
ここで、図7を用いて、既に接続登録済みのホスト10bが再度、コンカレントデバイス20に対して接続登録を要求した場合の処理の概要について説明する。
【0060】
上述した図2で説明したように、各タイミング(T11、T12、T13)において、ホスト10a、ホスト10b、ホスト10cの順に各ホストによる接続登録処理が行なわれる。
【0061】
その後、T14のタイミングにおいて、ホスト10bが、再度、コンカレントデバイス20に対して接続登録を要求する。この場合、コンカレントデバイス20は、当該要求元のホスト10bに対して、T12のタイミングで接続登録済リストL22を既に通知している。そのため、コンカレントデバイス20は、T12のタイミングで通知した接続登録済リストと同じ内容の接続登録済リストL22をホスト10bに通知する。
【0062】
以上説明したように本実施形態によれば、接続登録処理時にコンカレントデバイス20側からホスト10に向けて接続登録済リストを通知する。当該リストの通知を受けたホスト10は、当該リストに基づいて優先度の高い他のホストと同一の通信チャネル(周波数ホッピングパターン)を設定する。
【0063】
これにより、コンカレントデバイス20と接続登録処理を実施したホスト10は、同一の周波数ホッピングパターンを用いて通信を行なうことになる。コンカレントデバイス20は、RF部の数に関わらず、複数のホストと同時に通信が行なえる。
【0064】
また、ホストリスト内に周波数ホッピングパターンを最終的に合わせるホスト(最も優先度の高いホスト)が指定されているため、ホスト及びコンカレントデバイスの電源投入の順番にも特に制約はない。
【0065】
以上が本発明の代表的な実施形態の例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0066】
例えば、コンカレントデバイス20が複数のRF部を持つ場合には、RF部毎に接続登録済リストを設け、接続登録時にホスト10をどのRF部の管理化に割り当てるかを決めれば、上記同様の処理が行なえる。なお、RF部への割り当て方としては、例えば、接続登録の順番で割り当てる方法や、RF部への割り当て数を予め決定しておき、上限を満たすと別のRF部へ割り当てる方法などが挙げられる。
【0067】
また、上述した説明では、ワイヤレスUSBを用いて通信を行なう通信システムを例に挙げて説明したが、これに限られず、ワイヤレスUSBと同様に周波数ホッピング方式を使用して通信を行なう通信システムであれば、上記同様に本発明を適用できる。
【0068】
(その他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数ホッピング方式を用いた通信を制御する複数の第1の通信装置と、該複数の第1の通信装置に通信可能な第2の通信装置とを具備する通信システムであって、
前記第2の通信装置は、
認証を含む接続登録処理を実施済みの前記第1の通信装置の識別情報とその優先度とが設定された接続登録済リストを保持する保持手段と、
前記複数の第1の通信装置のいずれかとの間で前記接続登録処理を実施した際に、前記保持手段に保持された接続登録済リストを当該接続登録処理を実施した第1の通信装置に通知する接続制御手段と、
前記接続登録処理の後、該接続登録処理を実施した第1の通信装置の識別情報とその優先度とを前記接続登録済リストに登録する登録手段と
を具備し、
前記第1の通信装置は、
前記接続登録処理の後、自装置から所定範囲内にある他の第1の通信装置を探索する探索手段と、
前記探索手段により探索された前記他の第1の通信装置の中に、前記接続登録済リストに設定された優先度が自装置よりも高い装置があれば、当該装置と同一の周波数ホッピングパターンを設定し、そうでなければ、任意の周波数ホッピングパターンを設定する設定手段と
を具備することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記探索手段は、
前記設定手段により前記接続登録済リストに設定された最も高い優先度を持つ装置と自装置の周波数ホッピングパターンが同一の周波数ホッピングパターンになるまで繰り返し、前記探索を行なう
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記登録手段は、
前記接続登録処理の実施の順番に従って、前記接続登録処理を実施した第1の通信装置に対する優先度を決定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の通信システム。
【請求項4】
前記接続制御手段は、
前記複数の第1の通信装置のいずれかから接続登録処理の実施を要求された場合に、当該要求元の第1の通信装置との間で接続登録処理が実施済みであれば、そのときに通知した内容と同一の内容の前記接続登録済リストを当該要求元の第1の通信装置に通知する
ことを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
周波数ホッピング方式を用いた通信を制御する複数のホストに通信可能な通信装置であって、
認証を含む接続登録処理を実施済みの前記ホストの識別情報とその優先度とが設定された接続登録済リストを保持する保持手段と、
前記複数のホストのいずれかとの間で前記接続登録処理を実施した際に、前記保持手段に保持された接続登録済リストを当該接続登録処理を実施したホストに通知する接続制御手段と、
前記接続登録処理の後、該接続登録処理を実施したホストの識別情報とその優先度とを前記接続登録済リストに登録する登録手段と
を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項6】
周波数ホッピング方式を用いた通信を制御してデバイスと通信を行なう通信装置であって、
認証を含む接続登録処理を前記デバイスと実施した後、自装置から所定範囲内にある他の通信装置を探索する探索手段と、
前記探索手段により探索された前記他の通信装置の中に、前記接続登録処理を実施済みのホストの識別情報とその優先度とが設定された接続登録済リストに設定された優先度が自装置よりも高い装置があれば、当該装置と同一の周波数ホッピングパターンを設定し、そうでなければ、任意の周波数ホッピングパターンを設定する設定手段と
を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項7】
周波数ホッピング方式を用いた通信を制御する複数の第1の通信装置と、該複数の第1の通信装置に通信可能な第2の通信装置とを具備する通信システムの通信方法であって、
前記第2の通信装置は、
保持手段が、認証を含む接続登録処理を実施済みの前記第1の通信装置の識別情報とその優先度とが設定された接続登録済リストを保持する工程と、
接続制御手段が、前記複数の第1の通信装置のいずれかとの間で前記接続登録処理を実施した際に、前記保持手段に保持された接続登録済リストを当該接続登録処理を実施した第1の通信装置に通知する工程と、
登録手段が、前記接続登録処理の後、該接続登録処理を実施した第1の通信装置の識別情報とその優先度とを前記接続登録済リストに登録する工程と
を含み、
前記第1の通信装置は、
探索手段が、前記接続登録処理の後、自装置から所定範囲内にある他の第1の通信装置を探索する工程と、
設定手段が、前記探索手段により探索された前記他の第1の通信装置の中に、前記接続登録済リストに設定された優先度が自装置よりも高い装置があれば、当該装置と同一の周波数ホッピングパターンを設定し、そうでなければ、任意の周波数ホッピングパターンを設定する工程と
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項8】
周波数ホッピング方式を用いた通信を制御する複数のホストに通信可能な通信装置に内蔵されたコンピュータを、
認証を含む接続登録処理を実施済みの前記ホストの識別情報とその優先度とが設定された接続登録済リストを保持する保持手段、
前記複数のホストのいずれかとの間で前記接続登録処理を実施した際に、前記保持手段に保持された接続登録済リストを当該接続登録処理を実施したホストに通知する接続制御手段、
前記接続登録処理の後、該接続登録処理を実施したホストの識別情報とその優先度とを前記接続登録済リストに登録する登録手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
周波数ホッピング方式を用いた通信を制御してデバイスと通信を行なう通信装置に内蔵されたコンピュータを、
認証を含む接続登録処理を前記デバイスと実施した後、自装置から所定範囲内にある他の通信装置を探索する探索手段、
前記探索手段により探索された前記他の通信装置の中に、前記接続登録処理を実施済みのホストの識別情報とその優先度とが設定された接続登録済リストに設定された優先度が自装置よりも高い装置があれば、当該装置と同一の周波数ホッピングパターンを設定し、そうでなければ、任意の周波数ホッピングパターンを設定する設定手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−161042(P2012−161042A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21079(P2011−21079)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】