説明

通信システムのパケット伝送方法

【課題】無線通信システムでの集合パケットを生成する方法を提供する。
【解決手段】所定のデータ長さを有する少なくとも二つのデータパケットを受信する過程と、前記データパケットのうち、サービス品質に対する情報が同一である少なくとも二つのデータパケットを結合する過程と、前記結合がされたパケットにヘッダを付加して集合パケットを生成する過程と、を含み、前記集合パケットを形成する各データパケットのヘッダは、該当データパケットの長さに対する情報と目的地アドレスとを含み、前記集合パケットのヘッダは目的地アドレスを含み、前記各データパケットのヘッダに含まれた目的地アドレスと前記集合パケットのヘッダに含まれた目的地アドレスとは同一であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムのパケットデータ伝送方法に関し、特に、パケットデータの集合伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、通信システムのパケットデータ伝送は、下位階層の伝送媒体を通じてデータのみを伝送するのではなく、媒体アクセス制御(Media Access Control: MAC)階層において伝送制御のためのデータの前方にヘッダ(header)情報を追加する。さらに、連結制御、フロー制御などの付加的な機能のために別途のフレームを使用するか、フレームに新しいアドレスを割り当てて前記付加的な機能を具現する。
【0003】
さらに、プロトコルの特性によって、ある程度の遊休時間区間(idle time)を使用することもある。例えば、CSMA(Carrier Sense Multiple Access)を使用するIEEE 802.11 MACプロトコルの場合、データを伝送する前に、DIFS(Distributed Inter Frame Space)またはバックオフ(back-off)などの遊休時間区間を利用してフレーム間の衝突を防止し、データの伝送後は、SIFS(Short Inter Frame Spacing)以後にACKを受信する方法を使用する。
【0004】
MACプロトコル10は、図1に示すように、データ14を伝送するためにある程度のオーバーヘッド(overhead)12が必要である。しかしながら、このオーバーヘッドは、 MAC階層のデータ処理量(throughput)の低下の原因になる。このようなオーバーヘッドを最小限の長さに維持するために、ヘッダ圧縮(Header Compression)及びパケット集合(Aggregation)方法を利用する。
【0005】
ヘッダ圧縮は、IPv6においてアドレスのために割り当てられるフィールドの長さの拡大及びオプションフィールドの追加によってヘッダのサイズ自体が大きくなることを補償するために利用される。
【0006】
パケット集合方法は、伝送パケットの長さを長くしてデータ処理量を高めるために適用される。同一の長さのオーバーヘッドを有する時、伝送パケットの長さが短い時より長い時の処理量が良好である。
【0007】
図2は、従来の技術によるパケット集合方法を示す図である。
図2を参照すると、一般的に、データ“1”18及びデータ“2”20を伝送するために、それぞれのパケット22に同一のサイズのオーバーヘッド16が付加されて伝送される。この時、パケット集合伝送方法を適用すると、データ“1”18及びデータ“2”20が1つのパケット24に統合され、オーバーヘッド26は一回のみ付加されて伝送される。従って、省略されたオーバーヘッド区間だけ資源が節約される。
【0008】
しかしながら、従来の技術によるパケット集合伝送は、以下のような問題点がある。
まず、伝送しようとするパケットの目的地アドレス(Destination Address)が同一である時のみに集合伝送が可能である。異なる目的地アドレスを有するパケットを集合してマルチキャスト(Multicast)またはブロードキャスト(Broadcast)アドレスを利用して伝送する場合、ACKを受信することができないので、信頼性のある通信を保障することができない。
【0009】
次に、従来の技術によるパケット集合伝送は、サービス品質(Quality of Service: QoS)特性を提供することができない。QoS特性の資源が必要であるパケットは、保持されるべきである遅延及びジッター(jitter)などの特性値が同一であるので、順次なパケット集合は、このような特性を保持することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明は、前述したような問題点を解決するために案出され、本発明の目的は、異なる目的地アドレスを有するパケットの集合問題を解決し、QoSを支援する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するための本発明による無線通信システムでの集合パケットを生成する方法は、所定のデータ長さを有する少なくとも二つのデータパケットを受信する過程と、前記データパケットのうち、サービス品質に対する情報が同一である少なくとも二つのデータパケットを結合する過程と、前記結合がされたパケットにヘッダを付加して集合パケットを生成する過程と、を含み、前記集合パケットを形成する各データパケットのヘッダは、該当データパケットの長さに対する情報と目的地アドレスとを含み、前記集合パケットのヘッダは目的地アドレスを含み、前記各データパケットのヘッダに含まれた目的地アドレスと前記集合パケットのヘッダに含まれた目的地アドレスとは同一であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、異なる目的地アドレスを有するパケットの集合問題を解決し、QoSも支援できるという利点がある。
【0013】
さらに本発明は、伝送される各セッションのQoSパラメータを考慮して同一の特性を有するパケットをグループ化してから集合を適用するので、MAC階層のQoSスケジューラが上位階層の集合による複雑度がない。
【0014】
本発明による集合技法は、オーバーヘッドを減少させるので、MACの伝送処理量を増加させる。信頼性のあるチャネルを有する無線端末のためのマルチキャスト集合は、オーバーヘッドを減少させ、No-ACK政策使用して処理量を増加させる。この集合政策は、MACプロトコルの上位階層に存在するので、ソフトウェア的に具現されることができ、短い期間に低い費用による開発が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な一実施形態について添付図を参照しつつ詳細に説明する。下記の説明において、本発明の要旨のみを明確にする目的で、関連した公知機能又は構成に関する具体的な説明は省略する。
【0016】
本発明は、通信システムにおいてフレームの生成/伝送方法及び装置に関する。
本発明の原理は、図3に示すようなパケット生成装置によって提供される。図3を参照すると、集合モジュール(Aggregation Module)300は、上位階層310から受信されるパケットを集合してMAC階層330に伝送する。ここで、集合モジュール300は、集合に対する全ての判断、生成及び処理を遂行する。さらに、集合モジュール300は、上位階層310からQoSセッション(session)情報及びバッファの状態情報を受信し、前記受信された情報に基づいて把握できるデータ率(date rate)情報を取得し、MAC階層330から無線端末のチャネル状態情報を受信する。前記集合モジュール300は、前記情報に基づいてパケットを集合し、前記情報に基づいて生成された集合パケットをMAC階層330に伝送する。
【0017】
本発明は、異なる目的地アドレスを有するパケットの集合問題を解決し、QoSも支援するために、マルチキャスト集合パケットとユニキャスト集合パケットに区分される集合パケット概念を導入する。
【0018】
図4は、本発明の実施形態によるマルチキャスト集合パケットの構成を示す図である。
図4を参照すると、マルチキャスト集合パケット332は、異なる目的地アドレス336を有するパケット334を1つのマルチキャストパケットに集合したものである。従って、目的地アドレスは、マルチキャストアドレス(Multicast address)340になり、何個のデータが集合されているかを示すカウント(count)部分を有する。データ部分は、パケットの目的地アドレス336、データ長さ338及び個々のパケット334のデータからなる複数のパケット情報を含む。
【0019】
図5は、本発明の実施形態によるユニキャスト集合パケットの構成を示す図である。
図5を参照すると、ユニキャスト集合パケット342は、同一の目的地アドレス346を有する複数のパケット344を1つのユニキャストパケットに集合したものである。従って、ユニキャスト集合パケット342は、目的地アドレスが必要でないという点以外は前記マルチキャスト集合パケット340と同一の形態を有する。
【0020】
図6は、図3に示す集合モジュールの動作を示す図である。
図6を参照すると、上位階層310から集合モジュール300にダウンロードされる情報は、各セッション別のQoSパラメータ620であり、下位階層から受信される情報は、各無線端末のチャネル状態640である。集合モジュール300は、キュー(Queue)610からデータ率を受信し、上位階層310及び下位階層から受信した情報に基づいて端末状態テーブル情報(Station_Status_table)630を生成してパケット分類モジュール(Classification Module)600に提供する。前記分類モジュール600は、予め設定された方法によってマルチキャストパケットまたはユニキャストパケットを生成して下位階層に伝送する。
【0021】
図7は、図6に示す分類モジュール600の詳細構成を示す図である。
図7を参照すると、パケット分析器710は、端末状態テーブル情報630及びデータ率に基づいてキュー610に貯蔵されたパケットをパラメータ化して集合分析器730に伝送する。集合分析器730は、前記パケット分析器710から受信した情報を利用してパケットをどのように集合するかを判断してグループ化する。それぞれのグループ化したパケットは、集合分析器730の制御信号によってマルチキャスト集合パケット生成器750またはユニキャスト集合パケット生成器760に伝達される。つまり、集合分析器750は、パケットの集合方式を決定する。
【0022】
まず、同一のQoS政策のパケットは、全部同一のグループに含まれることができ、全ての集合政策に適用されることができる。そのうち、信頼性のある伝送が保障される無線チャネル状態を有する無線端末のためのパケットは、マルチキャスト集合政策を使用することができ、そうでないパケットは、ユニキャスト集合政策に従う。
【0023】
集合パケット生成器は、マルチキャスト集合パケット生成器750及びユニキャスト集合パケット生成器760から構成され、前記集合分析器の決定によってマルチキャスト集合パケットまたはユニキャスト集合パケットを生成する。つまり、マルチキャスト集合パケット生成器750及びユニキャスト集合パケット生成器760は、図4及び図5に示す形態のクループ化したパケットを集合する。図6及び図7に示すように、マルチキャスト集合は、No-ACKポリシーによってMAC階層に伝送され、ユニキャスト集合は、ACKポリシーによってMAC階層に伝送される。マルチキャスト集合パケットは、信頼性のある伝送ができる無線端末のみに伝送されるので、No-ACKポリシーによって伝送しても信頼性のある伝送を保障する。
【0024】
図8は、本発明の実施形態によって無線端末が無線接続ノードにパケットを伝送する場合を示す図である。
図8は、IEEE 802.11無線端末(station: STA)702が無線接続ノード(ACCESS POINT: AP)704にパケットを伝送する例を示す。無線端末702は、パケットの目的地アドレスと関係なく無条件で無線接続ノード704に伝送するようになっているので、全てのパケットは、ユニキャスト集合技法を適用して伝送される。
【0025】
図9は、本発明の実施形態による無線端末における集合パケット送受信動作を示す図である。
図9を参照すると、応用プログラム910は、伝送データを生成する。生成された伝送データは、バッファ管理器920に貯蔵され、集合モジュール930によって集合される。集合モジュール930は、バッファの状態に基づいてMAC階層のMAX_FRAME_SIZEだけパケットを集合して伝送する。フレーム生成器940は、集合パケットにヘッダを付加し、ヘッダが付加された集合パケットは、フレーム伝送部950によって接続ノード704に伝送される。
【0026】
パケット受信の場合、フレーム受信部990、フレーム分析部980、集合分析器970、及びバッファ管理器960を通じて受信される。
【0027】
図10は、本発明の実施形態によって無線接続ノードが無線端末にパケットを伝送する場合を示す図である。
無線接続ノード704は、チャネル状態によって信頼性のあるチャネルが保障される無線端末にはマルチキャスト集合技法を適用し、そうでない無線端末にはユニキャスト集合技法を適用する。
【0028】
図11は、本発明の実施形態による無線接続ノードにおける集合パケットの送受信動作を示す図である。
図11を参照すると、ブリッジモジュール(Bridging module)1100は、伝送データを生成する。生成された伝送データは、バッファ管理器1110に貯蔵され、集合モジュール1120によって集合される。集合モジュール1120は、バッファの状態に基づいてMAC階層のMAX_FRAME_SIZEだけパケットを集合して伝送する。フレーム生成器1130は、集合パケットにヘッダを付加し、ヘッダが付加された集合パケットは、フレーム伝送部1140によって接続ノードに伝送される。無線接続ノードは、各無線端末のチャネル情報を必要とするので、フレームが受信される度に各フレームのアドレス及びチャネル状態を端末(station)情報管理器1150に貯蔵し、これを集合モジュール1120に提供する。集合モジュール1120は、この情報に基づいてユニキャスト集合及びマルチキャスト集合技法を適用して無線端末にパケットを伝送する。
【0029】
パケット受信の場合、フレーム受信部1190、フレーム分析部1180、集合分析器1170及びバッファ管理器1160を通じて受信され、フレーム分析部1180は、フレームが受信される度に各フレームのアドレス及びチャネル状態を端末情報管理器1150に貯蔵する。
【0030】
以上、本発明を具体的な一実施形態を参照して詳細に説明してきたが、本発明の範囲は前述の一実施形態によって限られるべきではなく、本発明の範囲内で様々な変形が可能であるということは、当該技術分野における通常の知識を持つ者には明らかである
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】一般的なパケットデータのフレーム構造を説明するための図。
【図2】従来の技術によるパケット集合方法を示す図。
【図3】本発明の実施形態によるパケット集合過程を説明するための図。
【図4】本発明の実施形態によるマルチキャスト集合パケットの構成を示す図。
【図5】本発明の実施形態によるユニキャスト集合パケットの構成を示す図。
【図6】図3に示す集合モジュールの動作を示す図。
【図7】図6に示す分類モジュールの詳細構成を示す図。
【図8】本発明の実施形態によって無線端末が無線接続ノードにパケットを伝送する場合を示す図。
【図9】本発明の実施形態による無線端末における集合パケット送受信動作を示す図。
【図10】本発明の実施形態によって無線接続ノードが無線端末にパケットを伝送する場合を示す図。
【図11】本発明の実施形態による無線接続ノードにおける集合パケットの送受信動作を示す図。
【符号の説明】
【0032】
300 集合モジュール
310 上位階層
330 MAC階層
332 マルチキャスト集合パケット
334 パケット
336 目的地アドレス
340 マルチキャストアドレス
600 分類モジュール
610 キュー
620 QoSパラメータ
630 端末状態テーブル情報
710 パケット分析器
730 集合分析器
750 マルチキャスト集合パケット生成器
760 ユニキャスト集合パケット生成器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムでの集合パケットを生成する方法であって、
所定のデータ長さを有する少なくとも二つのデータパケットを受信する過程と、
前記データパケットのうち、サービス品質に対する情報が同一である少なくとも二つのデータパケットを結合する過程と、
前記結合がされたパケットにヘッダを付加して集合パケットを生成する過程と、を含み、
前記集合パケットを形成する各データパケットのヘッダは、該当データパケットの長さに対する情報と目的地アドレスとを含み、前記集合パケットのヘッダは目的地アドレスを含み、前記各データパケットのヘッダに含まれた目的地アドレスと前記集合パケットのヘッダに含まれた目的地アドレスとは同一であることを特徴とする集合パケット生成方法。
【請求項2】
前記少なくとも二つのデータパケットの結合のために、上位階層からデータレートを受信する過程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の集合パケット生成方法。
【請求項3】
前記少なくとも二つのデータパケットを結合する過程で、信頼性のある無線チャンネル状態を有する複数の無線端末のためのパケットの場合、マルチキャスト集合方式を用いて集合することを特徴とする請求項1記載の集合パケット生成方法。
【請求項4】
前記少なくとも二つのデータパケットを結合する過程で、信頼性のある伝送が保障されない無線チャンネル状態を有する無線端末のためのパケットの場合、ユニキャスト集合方式を用いて集合することを特徴とする請求項1記載の集合パケット生成方法。
【請求項5】
前記ユニキャスト集合方式は、同一のアドレスを有する複数のパケットを一つのユニキャストアドレスのみを残して除去することを特徴とする請求項4記載の集合パケット生成方法。
【請求項6】
一つ以上の無線端末(Station)と一つ以上の無線接続ノード(Access Point)とを含む無線通信システムにおいて、前記無線接続ノードが集合パケットを生成する方法であって、
前記集合パケットを送信する前記無線接続ノードと前記集合パケットを受信する前記無線端末との間に支援可能なサービス品質に対する情報を上位階層から受信する過程と、
上位階層から所定のデータ長さを有する少なくとも二つのデータパケットを受信する過程と、
前記データパケットのうち、サービス品質に対する情報が同一である少なくとも二つのデータパケットを結合する過程と、
前記結合がされたパケットにヘッダを付加して集合パケットを生成する過程と、を含み、
前記集合パケットを形成する各データパケットのヘッダは、該当データパケットの長さに対する情報と目的地アドレスとを含み、前記集合パケットのヘッダは目的地アドレスを含み、前記各データパケットのヘッダに含まれた目的地アドレスと前記集合パケットのヘッダに含まれた目的地アドレスとは同一であることを特徴とする集合パケット生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−104152(P2008−104152A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192348(P2007−192348)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【分割の表示】特願2004−69541(P2004−69541)の分割
【原出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【出願人】(503434302)財団法人ソウル大学校産学協力財団 (32)
【氏名又は名称原語表記】Seoul National University Industry Foundation
【住所又は居所原語表記】San 4−2, Bongchun−dong, Kwanak−gu, Seoul, Korea
【Fターム(参考)】