説明

通信システム及びモバイルルータ

【課題】
機能性が高く、使い勝手の良い通信システム及びモバイルルータを提案する。
【解決手段】
モバイルルータの通信モードを制御する制御部を設け、クレードルが、当該クレードルを固定回線に接続する回線終端装置が当該クレードルに接続されているか否かを判定し、判定結果をモバイルルータに通知し、制御部が、クレードルから与えられる判定結果に基づいて、クレードルに回線終端装置が接続されているときには、当該モバイルルータの通信モードを、外部ネットワークへの通信回線として固定回線を利用する第1の通信モードに設定し、クレードルに回線終端装置が接続されていないときには、当該モバイルルータの通信モードを、外部ネットワークへの通信回線として無線通信回線を利用する第2の通信モードに設定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム及びモバイルルータに関し、特に、3G一体型モバイルWi-Fiルータ及びそのクレードル(充電器)から構成される通信システムに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、通信機能を有するコンピュータ装置をインターネット網に接続する場合、自宅や会社などに設けられた電話回線やケーブルテレビ回線などの固定回線を利用するのが一般的であった。
【0003】
これに対して、近年では、3G(第3世代携帯電話)方式による無線通信機能が搭載された携帯型のルータ装置(以下、これをモバイルルータと呼ぶ)が商品化されている(非特許文献1参照)。
【0004】
このモバイルルータは、無線LAN機能が搭載された移動体ノードとは無線LAN方式(IEEE802.11)で接続でき、外部ネットワークとは3G方式で接続できる機能が搭載されたものである。このようなモバイルルータを用いることによって、屋外などにおいても無線LAN機能が搭載されたノート型パーソナルコンピュータや携帯型ゲーム機器などの移動体ノードをインターネット網に接続することが可能となる。
【0005】
また近年では、無線LAN側の通信方式としてWi-Fi規格(IEEE802.11b/g)に準拠した通信方式に対応したものも商品化されている。なお、以下においては、Wi-Fi規格に準拠した無線通信機能が搭載された移動体ノードをWi-Fi対応機器と呼ぶものとする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“Pocket WiFi(D25HW)”、[online]、イー・モバイル株式会社、[平成22年8月11日検索]、インターネット<URL:http://emobile.jp/products/hw/d25hw/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、携帯電話の分野では、FMC(Fixed-Mobile Convergence)と呼ばれる通信サービスの形態が注目されている。FMCは、固定通信と移動体通信とを融合させた通信サービス形態であり、例えば、有線通信及び移動体通信の双方の通信サービスを同一の端末で利用できるようにするといったサービス形態が考えられる。
【0008】
また、近年では、このようなFMCの提案に伴い、固定回線に接続可能なクレードルと呼ばれるモバイルルータの充電器も商品化されている。このクレードルは、装着されたモバイルルータと固定回線との間の中継機能を有するもので、このクレードルを用いることにより、Wi-Fi対応機器をモバイルルータ及びクレードルを順次介して固定回線に接続することが可能となる。
【0009】
ところが、かかる従来のクレードルによると、モバイルルータの充電時は常にWi-Fi対応機器が固定回線に接続されることとなり、充電時にもモバイルルータの通信回線として3G回線を使用したいというユーザの要求を満たすことができない問題があった。
【0010】
また、かかる従来のクレードルは、単独でWi-Fi対応機器との通信機能を有するものではなく、モバイルルータが装着されていなければ、当該クレードルを介してWi-Fi対応機器を固定回線に接続し得ないという問題もあった。
【0011】
従って、モバイルルータ及びクレードルから構成される通信システムにおいて、例えば、モバイルルータの充電時における当該モバイルルータの通信回線をユーザが自由に選択できれば、かかる通信システムの機能性及び当該通信システムに対するユーザの使い勝手を向上させ得るものと考えられる。
【0012】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、機能性及び使い勝手を向上させ得る通信システム及びモバイルルータを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため本発明においては、通信システムにおいて、無線LAN(Local Area Network)を介して接続された移動体ノードを、無線通信回線を介して外部ネットワークに接続するモバイルルータと、装着された前記モバイルルータに充電電圧を供給するクレードルとを設け、前記クレードルが、当該クレードルを固定回線に接続するモデムが当該クレードルに接続されているか否かを判定し、判定結果を前記モバイルルータに通知し、前記モバイルルータに、前記クレードルから与えられる前記判定結果に基づいて、前記クレードルに前記モデムが接続されているときには、当該モバイルルータの通信モードを、前記外部ネットワークへの通信回線として前記固定回線を利用する第1の通信モードに設定し、前記クレードルに前記モデムが接続されていないときには、当該モバイルルータの通信モードを、前記外部ネットワークへの通信回線として前記無線通信回線を利用する第2の通信モードに設定する制御部を設けるようにした。
【0014】
また本発明においては、無線LAN(Local Area Network)を介して接続された移動体ノードを、無線通信回線を介して外部ネットワークに接続するモバイルルータにおいて、当該モバイルルータの通信モードを制御する制御部を設け、前記クレードルが、当該クレードルを固定回線に接続するモデムが当該クレードルに接続されているか否かを判定し、判定結果を前記モバイルルータに通知し、前記制御部が、前記クレードルから与えられる前記判定結果に基づいて、前記クレードルに前記モデムが接続されているときには、当該モバイルルータの通信モードを、前記外部ネットワークへの通信回線として前記固定回線を利用する第1の通信モードに設定し、前記クレードルに前記モデムが接続されていないときには、当該モバイルルータの通信モードを、前記外部ネットワークへの通信回線として前記無線通信回線を利用する第2の通信モードに設定するようにした。
【0015】
本発明による通信システム及びモバイルルータでは、クレードルにモデムを接続するか否かによって、充電中のモバイルルータの通信モードが第1及び第2の通信モードのうちの予め定められた通信モードに設定される。従って、本通信システム及びモバイルルータによれば、充電時におけるモバイルルータの通信回線をユーザが自由に選択することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、充電時におけるモバイルルータの通信回線をユーザが自由に選択することができるため、機能性が高く、使い勝手の良い通信システム及びモバイルルータを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態による通信システムの全体構成を示す略線図である。
【図2】モバイルルータの構成を示す斜視図である。
【図3】モバイルルータ、クレードル及びモデムの内部構成を示すブロック図である。
【図4】モバイルルータにおける3G通信処理の流れの説明に供する概念図である。
【図5】クレードルのアクセスポイント機能の説明に供する概念図である。
【図6】FMCモードの説明に供する概念図である。
【図7】ノーマルモードの説明に供する概念図である。
【図8】モバイルルータにおいて実行されるノーマルモードからFMCモードへの通信モードの切替え処理の説明に供するチャート図である。
【図9】モバイルルータにおいて実行されるFMCモードからノーマルモードへの通信モードの切替え処理の説明に供するチャート図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0019】
(1)本実施の形態による通信システムの構成
図1において、1は全体として本実施の形態による通信システムを示す。この通信システム1は、モバイルルータ2、クレードル3及びモデム4から構成される。
【0020】
モバイルルータ2は、3G一体型モバイルWi-Fiルータであり、3G方式により3G回線を介して外部ネットワーク(以下、インターネット網とする)に接続でき、さらに最大5台までのWi-Fi対応機器を同時に接続できるようになされている。
【0021】
このモバイルルータ2は、角部及び表面側に丸みを帯びた板状の外観形状を有し、全体として名刺程度の大きさに形成されている。そして正面側の上段部には、各種情報を表示するための液晶パネル(図示せず)が配設され、この液晶パネルを隠すように正面側の上半分が半透明のシールド10で覆われている。また図2に示すように、モバイルルータ2の左側面側にはマイクロSDカードスロット11が設けられ、下端部にはUSB(Universal Serial Bus)コネクタ12が設けられている。さらにモバイルルータ2の右側面には複数の操作ボタン(図示せず)が設けられている。
【0022】
クレードル3は、モバイルルータ2の充電器であり、全体として半球型に形成されている。このクレードル3の背面側には電源コード20の一端側が取り付けられており、この電源コード20の他端側に設けられた電源プラグ21をAC(Alternating Current)アダプタ46(図3)を介して商業用電源コンセントに接続することにより、クレードル3に対する電源供給を行い得るようになされている。
【0023】
またクレードル3の上面中央部には、上方向に突出するようにUSB端子22が配設されている。これによりこのUSB端子22をモバイルルータ2のUSBコネクタ12に嵌め込むようにモバイルルータ2をクレードル3に装着することによって、モバイルルータ2をクレードル3に物理的及び電気的に接続できる。そして、このようにモバイルルータ2をクレードル3に装着することによって、USB規格に従ってクレードル3からモバイルルータ2に供給される5ボルトの電源電圧により、モバイルルータ2を充電することができるようになされている。
【0024】
図3は、モバイルルータ2、クレードル3及びモデム4の内部構成を示す。この図3からも明らかなように、モバイルルータ2は、制御部30、3Gインタフェース部31、無線LAN(Local Area Network)インタフェース部32、USBインタフェース部33、USB/イーサネット(登録商標)変換部34及び充電部35を備えて構成される。
【0025】
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などを備え、ROMに格納されているプログラムに従って必要な制御処理を実行する。
【0026】
3Gインタフェース部31は、モバイルルータ2を3G方式によりインターネット網に接続する際のインタフェースとして機能し、通信事業者が設置した基地局との間の通信時における通信フォーマットの変換処理を行う。
【0027】
無線LANインタフェース部32は、Wi-Fi対応機器との間の通信時における通信フォーマットの変換処理を行うインタフェースとして機能する。この無線LANインタフェース部32は、Wi-Fi対応機器との間の通信時におけるフォーマット変換処理を最大5台分(Wi-Fi対応機器の5台分)まで並行して行うことができる。
【0028】
USBインタフェース部33は、USB規格に準拠したインタフェースであり、上述のUSBコネクタ12(図2)を備える。USBインタフェース部33は、後述のようにモバイルルータ2及びクレードル3間の通信時における通信フォーマットの変換処理を行う。
【0029】
USB/イーサネット(登録商標)変換部34は、制御部30から出力されるイーサネット(登録商標)規格に準拠した信号をUSB規格に準拠した通信フォーマットの信号に変換する一方、USBインタフェース部33を介してクレードル3から与えられるUSB規格に準拠した信号を、イーサネット(登録商標)規格に準拠した信号に変換する。
【0030】
充電部35は、クレードル3からUSB端子22(図1)を介して供給される5ボルトの充電電圧をUSBインタフェース部33から受け取り、この充電電圧に基づいてモバイルルータ2内に装填された図示しないバッテリを充電する。
【0031】
以上の構成を有するモバイルルータ2では、図4に示すように、Wi-Fi対応機器36から送信される無線通信信号(以下、これをWi-Fi信号と呼ぶ)を無線LANインタフェース部32において受信し、受信したWi-Fi信号を無線LANインタフェース部32においてモバイルルータ2内の通信フォーマットの通信信号にフォーマット変換した後に制御部30を介して3Gインタフェース部31に転送する。
【0032】
また3Gインタフェース部31は、転送されてきた通信信号を3G方式の無線通信信号(以下、これを3G信号と呼ぶ)にフォーマット変換し、得られた3G信号を3Gインタフェース部31から3G方式で発信する。かくしてこの3G信号は、この後、通信事業者の基地局で受信されてフォーマット変換された後にインターネット網37に送信され、かくしてインターネット網37上のサーバ等の所定のホストに転送される。
【0033】
またかかるホストからWi-Fi対応機器に向けて送信された通信信号は、インターネット網37を介して通信事業者の基地局に転送され、この基地局において3G信号にフォーマット変換された後に当該基地局から発信される。そしてこの3G信号を受信したモバイルルータ2は、受信した3G信号を3Gインタフェース部31においてモバイルルータ2内の通信フォーマットにフォーマット変換した後に、制御部30を介して無線LANインタフェース部32に転送する。
【0034】
また無線LANインタフェース部32は、転送されてきた通信信号をWi-Fi信号にフォーマット変換した後に、このWi-Fi信号を発信する。かくしてこのWi-Fi信号が対応するWi-Fi対応機器36に受信される。
【0035】
一方、クレードル3は、図3に示すように、制御部40、USBインタフェース部41、電源部42、USB/イーサネット(登録商標)変換部43及び有線LANインタフェース部44を備えて構成される。
【0036】
制御部40は、CPU、ROM及びRAMなどを備え、ROMに格納されているプログラムに従って必要な制御処理を実行する。
【0037】
USBインタフェース部41は、USB規格に準拠したインタフェースであり、上述のUSB端子22(図1)を備える。このUSBインタフェース部41は、モバイルルータ2との通信時におけるフォーマット変換処理を行う。
【0038】
電源部42は、ACアダプタ46から与えられる12ボルトの直流電圧を5ボルトの直流電圧に変換してUSBインタフェース部41に供給する。これによりUSBインタフェース部41のUSB端子22にモバイルルータ2を接続したときに、かかるUSB端子22を介して上述の5ボルトの充電電圧がモバイルルータ2に供給される。
【0039】
USB/イーサネット(登録商標)変換部43は、USBインタフェース部41から出力されるUSB規格に準拠した信号をイーサネット(登録商標)規格に準拠した通信フォーマットの信号に変換する一方、有線LANインタフェース部44から与えられるイーサネット(登録商標)規格に準拠した信号をUSB規格に準拠した信号に変換する。
【0040】
有線LANインタフェース部44は、ケーブル(例えばイーサネット(登録商標)ケーブル)50を介して接続されたモデム4との通信時における通信フォーマットの変換処理を行う。
【0041】
モデム4は、例えばADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデムなどから構成され、ケーブル50を介してクレードル3と接続される。このモデム4は、有線LANインタフェース部51を備えている。有線LANインタフェース部51は、ケーブル50を介してクレードル3から与えられるイーサネット(登録商標)信号を固定回線52側に送信すると共に、固定回線52を介して送信される通信信号をクレードル3側に送信する。
【0042】
かかる構成に加えて、本実施の形態による通信システム1の場合、図5に示すように、クレードル3には、それ自体がWi-Fiアクセスポイントとして機能するWi-Fiアクセスポイント機能が搭載されている。
【0043】
実際上、クレードル3には、モバイルルータ2の無線LANインタフェース部32と同様の無線LANインタフェース部45が搭載されている。この無線LANインタフェース部45は、Wi-Fi対応機器との間の通信時におけるインタフェースとして機能し、Wi-Fi対応機器との間の通信時におけるフォーマット変換処理を最大32台分(Wi-Fi対応機器の32台分)まで並行して行うことができる。
【0044】
そして無線LANインタフェース部45は、Wi-Fi対応機器から送信されるWi-Fi信号を受信すると、これをクレードル3内の通信フォーマットにフォーマット変換した後に、制御部40を介して有線LANインタフェース部44に転送する。かくして、この通信信号は、この後、有線LANインタフェース部44においてイーサネット(登録商標)規格に準拠したフォーマットに変換された後に、モデム4及び固定回線52を介してインターネット網上の対応するホストに送信される。
【0045】
また、かかるホストから固定回線52を介して送信されてきたかかるWi-Fi対応機器宛ての通信信号は、モデム4を介してクレードル3の有線LANインタフェース部44において受信される。そして有線LANインタフェース部44は、受信した通信信号をクレードル3内部の通信フォーマットにフォーマット変換し、得られた通信信号を制御部40を介して無線LANインタフェース部45に送信する。そして無線LANインタフェース部45は、かかる通信信号を受領すると、これをWi-Fi規格に従ったフォーマットのWi-Fi信号に変換して発信する。
【0046】
このように本通信システム1においては、クレードル3が単体でWi-Fiアクセスポイントとして機能するため、クレードル3にモバイルルータ2が装着されていない場合においてもWi-Fi対応機器がクレードル3及びモデム4を順次介して固定回線52経由でインターネット網にアクセスすることができる。
【0047】
(2)通信モード切替え機能
次に、モバイルルータ2に搭載された通信モード切替え機能について説明する。
【0048】
本実施の形態によるモバイルルータ2には、クレードル3に装着されているときの通信モードとして、FMCモードとノーマルモードとの2つのモードが用意されている。FMCモードは、図6に示すように、モバイルルータ2のインターネット網37への通信回線として固定回線52を利用するモードであり、ノーマルモードは、図7に示すように、モバイルルータ2のインターネット網37への通信回線として3G回線を利用するモードである。
【0049】
そしてモバイルルータ2には、クレードル3にモデム4が接続されたことを検出したときや、モバイルルータ2がクレードル3に装着されたことを検出したときなどには、通信モードをFMCモードに切り替える一方、かかるクレードル3及びモデム4間の接続が切断されたことを検出したときや、モバイルルータ2がクレードル3から取り外されたことを検出したときなどには、通信モードをノーマルモードに切り替える通信モード切替え機能が搭載されている。
【0050】
このようなモバイルルータ2の通信モード切替え機能を実現するための手段として、クレードル3には、有線LANインタフェース部44(図3)にモデム4が接続されているか否かをモデム4との間のリンク状態により判定する判定機能が搭載されている。
【0051】
実際上、クレードル3の筐体背面側には、メス型のケーブルコネクタが配設されており、有線LANインタフェース部44は、このケーブルコネクタに接続されたケーブル50を介したモデム4との間のリンクの状態を常時監視している。そして有線LANインタフェース部44は、モデム4との間のリンクを確立(リンクアップ)すると、その後はモデム4が接続されていると判定し、かかるリンクが切断(リンクダウン)されると、その後は、モデム4が接続されていないと判定する。
【0052】
そしてクレードル3の制御部40は、クレードル3にモバイルルータ2が装着された後に、当該クレードル3にモデム4が接続されたことを検出した場合には、モバイルルータ2に対して接続通知を送信する。
【0053】
またモバイルルータ2のUSBインタフェース部33は、モバイルルータ2及びクレードル3の接続状態を常時監視しており、クレードル3にモデム4が接続されている状態において、クレードル3にモバイルルータ2が装着されたことを検出した場合や、クレードル3の電源が投入(オン)されたことを検出した場合に、制御部30に対して接続通知を送信する。
【0054】
この接続通知を受信したモバイルルータ2の制御部30は、3Gインタフェース部31を無効化することにより3G方式による通信を停止させる一方、その後、モバイルルータ2がクレードル3に装着されている間にインターネット網37に接続する際の通信回線を、モデム4を経由した固定回線52に切り替える。
【0055】
また制御部30は、このときモデム4から配布されるDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)アドレスをUSBインタフェース部33に設定し、この後、インターネット網37へのアクセスはモデム4を介して行うFMCモードにより行う。
【0056】
一方、クレードル3の制御部40は、クレードル3にモデム4が接続されている状態において、クレードル3及びモデム4間の接続が切断されたことを検出した場合には、モバイルルータ2に対して切断通知を送信する。
【0057】
またモバイルルータ2のUSBインタフェース部33は、モバイルルータ2がクレードル3に装着されている状態において、モバイルルータ2がクレードル3から取り外されたことを検出した場合や、クレードル3の電源が切断(オフ)されたことを検出した場合に、制御部30に対して切断通知を送信する。
【0058】
この切断通知を受信したモバイルルータ2の制御部30は、3Gインタフェース部31を有効化することにより3G方式による通信を再開させる一方、この後、モバイルルータ2がクレードル3に装着されている間にインターネット網に接続する際の通信回線を、3Gインタフェース部31を経由した3G回線に切り替える。
【0059】
このように本通信システム1においては、クレードル3及びモデム4の接続状態や、クレードル3及びモバイルルータ2の接続状態に応じてモバイルルータ2の通信モードをFMCモード又はノーマルモードに切り替えるため、クレードル3をモデム4に接続しないことにより、当該クレードル3を充電器としてのみ使用することもできる。よって、ユーザは、モバイルルータ2の充電中における通信モードとして、FMCモード及びノーマルモードのいずれかを自由に選択することができる。
【0060】
図8及び図9は、以上のような通信モード切替え機能に関するモバイルルータ2及びクレードル3における処理の流れを示す。具体的に、図8は、モバイルルータ2の通信モードがノーマルモードからFMCモードに切り替わるときの処理の流れを示し、図9は、モバイルルータ2の通信モードがFMCモードからノーマルモードに切り替わるときの処理の流れを示している。
【0061】
まず、図8について説明する。この場合、モバイルルータ2の通信モードは、初期状態ではノーマルモードに設定されている。
【0062】
クレードル3の制御部40は、当該クレードル3にモデム4が接続されたことを有線LANインタフェース部44からの通知により検出すると、USBインタフェース部41を介してモバイルルータ2に接続通知を送信する(SP1)。
【0063】
またモバイルルータ2のUSBインタフェース部33は、当該モバイルルータ2がクレードル3に装着された状態でクレードル3の電源が投入されたことを検出し、又は、当該モバイルルータ2がクレードル3に装着されたことを検出すると、制御部30に接続通知を送信する(SP2,SP3)。
【0064】
モバイルルータ2の制御部30は、クレードル3からの接続通知又はUSBインタフェース部33からの接続通知を受信すると、通信モードの切替え動作を開始し(SP4)、3Gインタフェース部31に無効化命令を送信する(SP5)。かくして3Gインタフェース部31は、この無効化命令を受けて動作を停止する(SP6)。
【0065】
また制御部30は、この後、Wi-Fi対応機器からインターネット網へのアクセス要求が与えられた場合に使用する回線として固定回線52(図2)を設定すると共に(SP7)、モデム4から配布されるDHCPアドレスを取得し(SP8)、この後、FMCモードによる通信を開始する(SP9)。
【0066】
かくしてモバイルルータ2は、この後、Wi-Fi対応機器からインターネット網へのアクセス要求が与えられた場合、インターネット網へのアクセスを固定回線52を介して行うことになる。
【0067】
次に、図9について説明する。この場合、モバイルルータ2の通信モードは、初期状態ではFMCモードに設定されている。
【0068】
クレードル3の制御部40は、当該クレードル3からモデム4が外されたことを有線LANインタフェース部44からの通知により検出すると、USBインタフェース部41を介してモバイルルータ2に切断通知を送信する(SP10)。
【0069】
またモバイルルータ2のUSBインタフェース部33は、当該モバイルルータ2がクレードル3に装着された状態でクレードル3の電源が切断されたことを検出し、又は、当該モバイルルータ2がクレードル3から取り外されたことを検出すると、制御部30に切断通知を送信する(SP11,SP12)。
【0070】
モバイルルータ2の制御部30は、クレードル3からの切断通知又はUSBインタフェース部33からの切断通知を受信すると、通信モードの切替え動作を開始し(SP13)、3Gインタフェース部31に有効化命令を送信する(SP14)。かくして3Gインタフェース部31は、この有効化命令を受けて動作を開始する(SP15)。
【0071】
また制御部30は、この後、Wi-Fi対応機器からインターネット網へのアクセス要求が与えられた場合に使用する回線として3G回線を設定し(SP16)、この後、ノーマルモードによる通信を開始する(SP17)。
【0072】
かくしてモバイルルータ2は、この後、Wi-Fi対応機器からインターネット網へのアクセス要求された場合、インターネット網へのアクセスを3G回線を介して行うことになる。
【0073】
(3)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による通信システム1によれば、クレードル3にモデム4を接続することによって充電中のモバイルルータ2の通信回線を固定回線に設定することができ、クレードル3にモデム4を接続しないことによって充電中のモバイルルータの通信回線を3G回線に設定することができる。よって本通信システム1によれば、モバイルルータ2の充電時における通信回線をユーザが自由に選択することができるため、通信システムの機能性及び使い勝手を向上させることができる。
【0074】
また本通信システム1によれば、クレードル3がWi-Fi対応機器との通信機能を有しているため、当該クレードル3を単体でWi-Fiアクセスポイントとして利用することができ、その分、より一層と通信システム1の機能性及び使い勝手を向上させることができる。
【0075】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、モバイルルータ2がサポートする無線LAN方式がWi-Fi方式である場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これ以外の無線LAN方式をサポートするモバイルルータにも広く適用することができる。
【0076】
同様に、上述の実施の形態においては、モバイルルータ2がサポートする基地局との間の無線通信方式が3G方式である場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これ以外の無線通信方式をサポートするモバイルルータにも広く適用することができる。
【0077】
また上述の実施の形態においては、クレードル3を固定回線に接続する回線終端装置としてモデムを適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、回線終端装置としては、固定回線の種類に応じて、例えばルータ又はDSU(Digital Service Unit)などの広域ネットワーク(Wide Area Network)回線終端装置や、これ以外の種々の回線終端装置を適用することができる。
【0078】
さらに上述の実施の形態においては、本発明を、最大5台までのWi-Fi対応機器を同時に接続できるモバイルルータ2に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、1〜3若しくは4台又は6台以上のWi-Fi対応機器を同時に接続できるモバイルルータにも広く適用することができる。
【0079】
さらに上述の実施の形態においては、クレードル3に設ける無線LANインタフェース部45として、最大32台までのWi-Fi対応機器を同時に接続可能な無線LANインタフェース部45を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、かかる無線LANインタフェース部45として、最大の接続台数が32台よりも少ない又は多い無線LANインタフェース部を適用するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、モバイルルータ及びクレードルから構成される種々の形態の通信システムに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1……通信システム、2……モバイルルータ、3……クレードル、4……モデム、30,40……制御部、31……3Gインタフェース部、32,45……無線LANインタフェース部、36……Wi-Fi対応機器、37……インターネット網、44,51……有線LANインタフェース部、52……固定回線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN(Local Area Network)を介して接続された移動体ノードを、無線通信回線を介して外部ネットワークに接続するモバイルルータと、
装着された前記モバイルルータに充電電圧を供給するクレードルと
を備え、
前記クレードルは、
当該クレードルを固定回線に接続する回線終端装置が当該クレードルに接続されているか否かを判定し、判定結果を前記モバイルルータに通知し、
前記モバイルルータは、
前記クレードルから与えられる前記判定結果に基づいて、前記クレードルに前記回線終端装置が接続されているときには、当該モバイルルータの通信モードを、前記外部ネットワークへの通信回線として前記固定回線を利用する第1の通信モードに設定し、前記クレードルに前記回線終端装置が接続されていないときには、当該モバイルルータの通信モードを、前記外部ネットワークへの通信回線として前記無線通信回線を利用する第2の通信モードに設定する制御部を有する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記モバイルルータは、
前記クレードルとの間の通信時におけるインタフェースとして機能するインタフェース部を備え、
前記インタフェース部は、
前記モバイルルータ及び前記クレードル間の接続状態を監視し、
前記クレードルに前記モバイルルータが装着されたことを検出し、又は、前記モバイルルータが装着された前記クレードルの電源がオンされたことを検出したときには第1の通知を前記制御部に送信する一方、前記クレードルから前記モバイルルータが取り外されたことを検出し、又は、前記モバイルルータが装着された前記クレードルの電源がオフされたことを検出したときには第2の通知を前記制御部に送信し、
前記制御部は、
前記インタフェース部から前記第1の通知が与えられたときには、前記モバイルルータの通信モードを前記第1の通信モードに設定し、前記インタフェース部から前記第2の通知が与えられたときには、前記モバイルルータの通信モードを前記第2の通信モードに設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記クレードルは、
前記無線LANを介した前記移動体ノードとの通信時にインタフェースとして機能する無線LANインタフェース部を備え、
前記移動体ノードからの要求に応じて、当該移動体ノードを前記固定回線を介して前記外部ネットワークに接続する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
無線LAN(Local Area Network)を介して接続された移動体ノードを、無線通信回線を介して外部ネットワークに接続するモバイルルータにおいて、
当該モバイルルータの通信モードを制御する制御部
を備え、
前記クレードルは、
当該クレードルを固定回線に接続する回線終端装置が当該クレードルに接続されているか否かを判定し、判定結果を前記モバイルルータに通知し、
前記制御部は、
前記クレードルから与えられる前記判定結果に基づいて、前記クレードルに前記回線終端装置が接続されているときには、当該モバイルルータの通信モードを、前記外部ネットワークへの通信回線として前記固定回線を利用する第1の通信モードに設定し、前記クレードルに前記回線終端装置が接続されていないときには、当該モバイルルータの通信モードを、前記外部ネットワークへの通信回線として前記無線通信回線を利用する第2の通信モードに設定する
ことを特徴とするモバイルルータ。
【請求項5】
前記モバイルルータに充電電圧を供給するクレードルとの通信時のインタフェースとして機能するインタフェース部をさらに備え、
前記インタフェース部は、
前記モバイルルータ及び前記クレードル間の接続状態を監視し、
前記クレードルに前記モバイルルータが装着されたことを検出し、又は、前記モバイルルータが装着された前記クレードルの電源がオンされたことを検出したときには第1の通知を前記制御部に送信する一方、前記クレードルから前記モバイルルータが取り外されたことを検出し、又は、前記モバイルルータが装着された前記クレードルの電源がオフされたことを検出したときには第2の通知を前記制御部に送信し、
前記制御部は、
前記インタフェース部から前記第1の通知が与えられたときには、前記モバイルルータの通信モードを前記第1の通信モードに設定し、前記インタフェース部から前記第2の通知が与えられたときには、前記モバイルルータの通信モードを前記第2の通信モードに設定する
ことを特徴とする請求項4に記載のモバイルルータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−44477(P2012−44477A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184341(P2010−184341)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(500051454)イー・アクセス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】