説明

通信デバイス及び制御方法

【課題】2つの通信I/Fを同時に使用可能にする。
【解決手段】通信デバイスは、第1規格に従い、CECライン及びDDCラインを介した通信を行う第1通信部と、第2規格に従い、前記DDCラインを介した通信を行う第2通信部とを有する。前記第2通信部は、前記第1通信部が出力した前記第1規格に従う信号と、前記第2規格に従う信号とを前記DDCラインを介して他の通信デバイスに送信し、前記DDCラインを介して前記他の通信デバイスから受信した前記第2規格に従う信号と、前記第1規格に従う信号とを分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信デバイス及び通信デバイスの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルテレビ(DTV)等の映像機器のための通信インタフェース(I/F)として、デジタルハイビジョン伝送が可能なHigh−Definition Multimedia Interface(HDMI(登録商標))が一般的になりつつある。HDMIは、主として映像伝送のために使用され、映像信号に加えて音声信号を1本のケーブルで伝送することが可能である。HDMIはまた、High−bandwidth Digital Content Protection(HDCP)と呼ばれる著作権保護の仕組みも有する。
【0003】
HDMI規格のver1.3では、デジタルカメラ等の機器への接続を想定し、typeCと呼ばれる小型コネクタも規定されており、今後はより多くの映像機器への実装が予想される。
【0004】
一方、ファイル単位等でのデータ送受信用の通信I/Fとしては、Universal Serial Bus(USB)が用いられることが多い。パーソナルコンピュータ(PC)は、通常、USB端子を有しており、また、USB端子を有するDTVも増えてきている。
【0005】
例えば、特許文献1では、USB及びSecure Digital(SD)メモリカードI/F等が使用可能なメモリカードが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−288141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術では、HDMIとUSBとを同時に使用することはできない。そのため、HDMIで映像を伝送しながら同時にUSBでファイルを転送するようなことはできない。HDMIは映像伝送のために用いられ、例えば、DTVで映画を鑑賞するために用いられる。そのため、HDMIとUSBとを同時に使用できない場合、例えば、USBでファイルを転送することが原因で、鑑賞中の映画の映像が途絶えてしまうという問題が発生する。
【0008】
そこで、本発明は、2つの通信I/Fを同時に使用可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る通信デバイスは、第1規格に従い、CECライン及びDDCラインを介した通信を行う第1通信部と、第2規格に従い、前記DDCラインを介した通信を行う第2通信部とを有し、前記第2通信部は、前記第1通信部が出力した前記第1規格に従う信号と、前記第2規格に従う信号とを前記DDCラインを介して他の通信デバイスに送信し、前記DDCラインを介して前記他の通信デバイスから受信した前記第2規格に従う信号と、前記第1規格に従う信号とを分離する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2つの通信I/Fを同時に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る通信デバイスであるデジタルカメラ及びテレビ(TV)の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る複合HDMIケーブルがHDMI規格のtypeAコネクタに準拠する場合におけるピンアサインの一例を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る複合HDMIケーブルがHDMI規格のtypeBコネクタに準拠する場合におけるピンアサインの一例を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る複合HDMIケーブルがHDMI規格のtypeCコネクタに準拠する場合におけるピンアサインの一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係るDDCライン(SCL,SDA)を、HDMI規格による使用からUSB規格による使用に切り替える処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態に係るDDCライン(SCL,SDA)を、USB規格による使用からHDMI規格による使用に切り替える処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態に係る通信デバイスであるデジタルカメラ及びテレビ(TV)の構成を示すブロック図である。
【図8】第2の実施形態に係る複合HDMIケーブルがHDMI規格のtypeAコネクタに準拠する場合におけるピンアサインの一例を示す図である。
【図9】第2の実施形態に係る複合HDMIケーブルがHDMI規格のtypeBコネクタに準拠する場合におけるピンアサインの一例を示す図である。
【図10】第2の実施形態に係る複合HDMIケーブルがHDMI規格のtypeCコネクタに準拠する場合におけるピンアサインの一例を示す図である。
【図11】第2の実施形態に係るDDCライン(SCL,SDA)を、HDMI規格による使用からUSB規格による使用に切り替える処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第2の実施形態に係るDDCライン(SCL,SDA)を、USB規格による使用からHDMI規格による使用に切り替える処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】第1の実施形態に係る複合HDMIケーブルを、HDMIケーブルとUSBケーブルとに変換或いは分離する変換アダプタの構成を示すブロック図である。
【図14】第2の実施形態に係る複合HDMIケーブルを、HDMIケーブルとUSBケーブルとに変換或いは分離する変換アダプタの構成を示すブロック図である。
【図15】第4の実施形態に係る通信デバイスであるデジタルカメラ及びテレビ(TV)の構成を示すブロック図である。
【図16】USB接続及びHDMI接続の初期化処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】デジタルカメラとTVとの間で転送される、USB規格のフレームを示す図である。
【図18】第4の実施形態において、USB規格に従うファイル転送中にEDID情報の転送を行う処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念から下位概念までの種々の概念を理解するために役立つであろう。
【0013】
なお、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせすべてが、本発明に必須とは限らない。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る通信デバイスであるデジタルカメラ101及びテレビ(TV)110の構成を示すブロック図である。第1の実施形態において、デジタルカメラ101は、HDMI規格のソース(source)として動作し、USB規格のデバイス(device)として動作する。以下、HDMI規格のソースとして動作する通信デバイスを「HDMIソース」と呼び、USB規格のデバイス(ペリフェラル)として動作する通信デバイスを「USBデバイス」と呼ぶ。デジタルカメラ101はさらに、通信デバイス(送信元)として動作し、映像出力機器として動作する。また、第1の実施形態において、TV110は、HDMI規格のシンク(sink)として動作し、USB規格のホストとして動作する。以下、HDMI規格のシンクとして動作する通信デバイスを「HDMIシンク」と呼び、USB規格のホストとして動作する通信デバイスを「USBホスト」と呼ぶ。TV110はさらに、通信デバイス(送信先)として動作し、映像入力機器として動作する。
【0015】
なお、第1の実施形態では、HDMI規格(第1規格)とUSB規格(第2規格)との、2つの規格に従う通信を行う通信デバイスについて説明するが、HDMI規格及びUSB規格は一例であり、これら以外の規格に第1の実施形態を適用してもよい。
【0016】
デジタルカメラ101は、画像の撮影を行うカメラ部102と、音声の取得を行うマイクロフォン部103と、撮影画像に対応する画像データの記録や再生を行う記録再生部104とを有する。デジタルカメラ101はまた、映像及び音声をTMDSラインを介して送信するHDMIトランスミッタ108と、記録された映像及び音声をHDMIトランスミッタ108から伝送可能な形態へと変換処理する映像音声処理部105とを有する。デジタルカメラ101はさらに、各種制御を行うCPU106と、USBデバイス制御部107とを有する。
【0017】
デジタルカメラ101は、HDMI規格に従う通信I/Fを有するので、TMDSライン、CECライン及びDDCライン(SCL,SDA)を使用することができる。DDCラインは、SCLラインとSDAラインとから構成される。デジタルカメラ101は、DDCラインを、必要に応じてUSB規格に従うデータ通信のために使用することにより、TMDSラインを介した映像及び音声の伝送(HDMI規格の通信)と、USB規格の通信とを同時に実現する。そこで、デジタルカメラ101は、DDCライン(SCL,SDA)を、USB規格のデータライン(D+,D−)として使用するか、HDMI規格のDDCライン(SCL,SDA)として使用するかを切り替える、セレクタ109を有する。
【0018】
本願では、デジタルカメラ101において、HDMI規格に従う通信を行う要素を第1通信部と呼び、USB規格に従う通信を行う要素を第2通信部と呼ぶ(TV110においても同様)。
【0019】
TV110は、映像を表示する表示部116と、音声を出力するスピーカ部117と、映像及び音声をTMDSラインを介して受信するHDMIレシーバ111と、USBホスト制御部115とを有する。TV110はまた、HDMIレシーバを介して受信した映像及び音声を処理する映像音声処理部113と、各種制御を行うCPU118と、TV110の構成や出力可能な解像度等の情報が格納されているメモリであるEDID ROM114とを有する。
【0020】
TV110も、デジタルカメラ101と同様に、HDMI規格に従う通信I/Fを有するので、TMDSライン、CECライン及びDDCライン(SCL,SDA)を使用することができる。また、TV110は、DDCライン(SCL,SDA)を、USB規格のデータライン(D+,D−)として使用するか、HDMI規格のDDCライン(SCL,SDA)として使用するかを切り替える、セレクタ112を有する。
【0021】
デジタルカメラ101とTV110とは複合HDMIケーブル119で接続されている。複合HDMIケーブル119のピンの割り当て(ピンアサイン)を、図2〜図4を参照して説明する。
【0022】
図2は、複合HDMIケーブル119がHDMI規格のtypeAコネクタに準拠する場合におけるピンアサインの一例を示す図である。
【0023】
図2に示す例では、複合HDMIケーブル119は、第1番ピンから第19番ピンを有する。第1番〜第29番ピンは、HDMI規格の信号線として使用されるように構成され、第15番、第16番及び第17番ピンは、USB規格の信号線としても使用されるように構成されている。図2に示すように、第15番ピンは、HDMI規格のSCLラインとして使用され、USB規格のD+ラインとしても使用される。第16番ピンは、HDMI規格のSDAラインとして使用され、USB規格のD−ラインとしても使用される。第17番ピンは、HDMI規格のDDC/CEC Groundラインとして使用され、USB規格のGroundライン(GND)としても使用される。ここで、HDMI規格のDDC/CEC Groundラインは、DDCライン及びCECラインのGroundラインとして使用される。
【0024】
第13番ピンに割り当てられるCECラインは、Consumer Electronics Controlと呼ばれる制御線である、CECラインは、CECコマンドを送ることで、他の機器を操作するような用途で用いられる。具体的には、例えば、TVとHDDレコーダとをHDMIケーブルで接続し、TVのリモコンでHDDレコーダを操作するような場合に、CECラインを介してTVからHDDレコーダにCECコマンドが送信される。また、HDMI規格によれば、CECコマンドは、機器ベンダによる拡張が可能である。そこで、第1の実施形態では、DDCライン(SCL,SDA)を、USB規格のデータライン(D+,D−)として使用するか、HDMI規格のDDCライン(SCL,SDA)として使用するかを、CECの拡張コマンドによって切り替える例を説明する。
【0025】
具体的には、「USBオン要求コマンド(第1切替指示)」と「USBオフ要求コマンド(第2切替指示)」とを、CECの拡張コマンドとして定義し、切り替えの制御に使用する。USBオン要求コマンドおよびUSBオフ要求コマンドは、CECの規格に違反しない限り、どのように定義してもよい。
【0026】
図3は、複合HDMIケーブル119がHDMI規格のtypeBコネクタに準拠する場合におけるピンアサインを示す図である。
【0027】
図3に示す例では、複合HDMIケーブル119は、第1番ピンから第29番ピンを有する。第1番〜第29番ピンは、HDMI規格の信号線として使用されるように構成され、第25番、第26番及び第27番は、USB規格の信号線としても使用されるように構成されている。図3に示すように、第25番ピンは、HDMI規格のSCLラインとして使用され、USB規格のD+ラインとしても使用される。第26番ピンは、HDMI規格のSDAラインとして使用され、USB規格のD−ラインとしても使用される。第27番ピンは、HDMI規格のDDC/CEC Groundラインとして使用され、USB規格のGroundライン(GND)としても使用される。
【0028】
図4は、複合HDMIケーブル119がHDMI規格のtypeCコネクタに準拠する場合におけるピンアサインを示す図である。
【0029】
図4に示す例では、複合HDMIケーブル119は、第1番ピンから第19番ピンを有する。第1番〜第19番ピンは、HDMI規格の信号線として使用されるように構成され、第13番、第15番及び第16番ピンは、USB規格の信号線としても使用されるように構成されている。図4に示すように、第15番ピンは、HDMI規格のSCLラインとして使用され、USB規格のD+ラインとしても使用される。第16番ピンは、HDMI規格のSDAラインとして使用され、USB規格のD−ラインとしても使用される。第13番ピンは、HDMI規格のDDC/CEC Groundラインとして使用され、USB規格のGroundライン(GND)としても使用される。
【0030】
図5は、DDCライン(SCL,SDA)を、HDMI規格による使用からUSB規格による使用に切り替える処理の流れを示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、例えば、ユーザがUSB機能の使用開始をUSBホストであるTV110に指示した場合に開始される。
【0031】
S11で、TV110のCPU118は、DDCラインラインが使用中であるか否かを判定する。デジタルカメラ101がDDCラインを介してEDID ROM114からEDID情報を読み出している場合、CPU118は、DDCラインが使用中であると判定する。デジタルカメラ101は、デジタルカメラ101がTV110に接続された場合に、DDCラインを介してEDID ROM114からEDID情報を読み出す。また、デジタルカメラ101は、TV110に表示される映像の解像度が変更された場合にも、DDCラインを介してEDID ROM114からEDID情報を読み出す。
【0032】
S12で、CPU118は、CECラインを介してUSBオン要求コマンドをデジタルカメラ101に送信する。USBオン要求コマンドは、CECの拡張コマンドの一つとして定義されたコマンドである。USBオン要求コマンドは、デジタルカメラ101のUSB機能をオンにすることを要求するコマンドである。また、USBオン要求コマンドは、DDCラインをHDMI規格による使用からUSB規格による使用に切り替えることを要求するコマンドでもある。
【0033】
S13で、CPU118は、TV110のUSB機能をオンにするために、セレクタ112を制御してセレクタ112とUSBホスト制御部115とを接続する。これにより、DDCライン(SCLライン,SDAライン)及びDDC/CEC Groundラインは、セレクタ112を介してUSBホスト制御部115に接続されることになる。SCLラインは、USBホスト制御部115に接続されることにより、USB規格のD+ラインとして使用可能になる。SDAラインは、USBホスト制御部115に接続されることにより、USB規格のD−ラインとして使用可能になる。DDC/CEC Groundラインは、USBホスト制御部115に接続されることにより、USB規格のGroundライン(GND)として使用可能になる。そして、USBホスト制御部115は、USB規格に準拠したデータ転送(ファイル転送を含む)が可能になる。
【0034】
S14で、デジタルカメラ101のCPU106は、TV110からCECラインを介して送信されたUSBオン要求コマンドを受信したか否かを判定する。USBオン要求コマンドを受信した場合は、S14からS15に進む。
【0035】
S15で、CPU106は、デジタルカメラ101のUSB機能をオンにするために、セレクタ109を制御してセレクタ109とUSBデバイス制御部107とを接続する。これにより、DDCライン(SCLライン,SDAライン)及びDDC/CEC Groundラインは、セレクタ109を介してUSBデバイス制御部107に接続されることになる。SCLラインは、USBデバイス制御部107に接続されることにより、USB規格のD+ラインとして使用可能になる。SDAラインは、USBデバイス制御部107に接続されることにより、USB規格のD−ラインとして使用可能になる。DDC/CEC Groundラインは、USBデバイス制御部107に接続されることにより、USB規格のGroundライン(GND)として使用可能になる。そして、USBデバイス制御部107は、USB規格に準拠したデータ転送(ファイル転送を含む)が可能になる。
【0036】
S13及びS15が終了した後、デジタルカメラ101及びTV110は、USB規格に準拠したデータ転送が可能になる。例えば、デジタルカメラ101は、ユーザによって選択された静止画ファイル、動画ファイル、音楽ファイル等をDDCラインを介してTV110に転送することができる。TV110も、ユーザによって選択された静止画ファイル、動画ファイル、音楽ファイル等をDDCラインを介してデジタルカメラ101に転送することができる。
【0037】
図6は、DDCライン(SCL,SDA)を、USB規格による使用からHDMI規格による使用に切り替える処理の流れを示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、例えば、ユーザがUSB機能の使用停止をUSBホストであるTV110に指示した場合に開始される。
【0038】
S21で、TV110のCPU118は、DDCラインが使用中であるか否かを判定する。USB規格に準拠したデータ転送が完了していない場合、CPU118は、DDCラインが使用中であると判定する。DDCラインが使用中でないと判定された場合は、S21からS22に進む。
【0039】
S22で、CPU118は、CECラインを介してUSBオフ要求コマンドをデジタルカメラ101に送信する。USBオフ要求コマンドは、CECの拡張コマンドの一つとして定義されたコマンドである。USBオフ要求コマンドは、デジタルカメラ101のUSB機能をオフにすることを要求するコマンドである。また、USBオフ要求コマンドは、DDCラインをUSB規格による使用からHDMI規格による使用に切り替えることを要求するコマンドでもある。
【0040】
S23で、CPU118は、TV110のUSB機能をオフにするために、セレクタ112を制御してセレクタ112とEDID ROM114とを接続する。これにより、DDCライン(SCLライン,SDAライン)及びDDC/CEC Groundラインは、セレクタ112を介してEDID ROM114に接続されることになる。SCLラインは、EDID ROM114に接続されることにより、USB規格のD+ラインとして使用できなくなる。SDAラインは、EDID ROM114に接続されることにより、USB規格のD−ラインとして使用可能できなくなる。DDC/CEC Groundラインは、EDID ROM114に接続されることにより、USB規格のGroundライン(GND)として使用できなくなる。そして、USBホスト制御部115は、USB規格に準拠したデータ転送(ファイル転送を含む)ができなくなる。DDCライン(SCLライン,SDAライン)及びDDC/CEC Groundラインは、HDMI規格に準拠したラインとして使用されることになる。
【0041】
S24で、デジタルカメラ101のCPU106は、TV110からCECラインを介して送信されたUSBオフ要求コマンドを受信したか否かを判定する。USBオフ要求コマンドを受信した場合は、S24からS25に進む。
【0042】
S25で、CPU106は、デジタルカメラ101のUSB機能をオフにするために、セレクタ109を制御してセレクタ109とCPU106とを接続する。これにより、DDCライン(SCLライン,SDAライン)及びDDC/CEC Groundラインは、セレクタ109を介してCPU106に接続されることになる。SCLラインは、CPU106に接続されることにより、USB規格のD+ラインとして使用できなくなる。SDAラインは、CPU106に接続されることにより、USB規格のD−ラインとして使用できなくなる。DDC/CEC Groundラインは、CPU106に接続されることにより、USB規格のGroundライン(GND)として使用できなくなる。そして、USBデバイス制御部107は、USB規格に準拠したデータ転送(ファイル転送を含む)ができなくなる。DDCライン(SCLライン,SDAライン)及びDDC/CEC Groundラインは、HDMI規格に準拠したラインとして使用されることになる。
【0043】
このように、TV110及びデジタルカメラ101は、CECラインをUSB機能のオン要求及びオフ要求のために利用することができる。
【0044】
なお、TV110とデジタルカメラ101とのいずれかの電源投入直後、もしくは複合HDMIケーブル119による接続直後は、セレクタ109及び112はHDMI規格のための通信部を選択した状態であるとする。これにより、複合HDMIケーブル119に対応していない機器は、従来通り、HDMI規格に従う通信が可能である。
【0045】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、HDMI規格のTMDSラインで映像及び音声を送信しながら、同時にUSB規格によるデータ転送を行うことが可能となる。HDMI規格上、映像及び音声の送信にはTMDSラインを3チャネル使用するが、上述の拡張CECコマンドは、TMDSラインによる映像及び音声の送信や制御を妨げない。
【0046】
また、第1の実施形態によれば、HDMI規格のDDCライン(SCL,SDA)をUSB規格のデータライン(D+,D−)と共用するため、従来のHDMIコネクタをそのまま使用することが可能である。
【0047】
また、第1の実施形態では、デジタルカメラ101及びTV110の少なくとも一方がUSB機能を有していない場合にも、複合HDMIケーブル119は使用可能である。したがって、デジタルカメラ101及びTV110の少なくとも一方がUSB機能を有していない場合であっても、デジタルカメラ101及びTV110は、HDMI規格に準拠した通信を行うことができる。
【0048】
さらに、第1の実施形態によれば、デジタルカメラ101及びTV110は、DDCラインを介した通信を行う第1通信部と、DDCライン(SCL,SDA)を介した通信を行う第2通信部とを有する。そして、CPU及びセレクタが、DDCライン(SCL,SDA)を使用させる通信部として、第1通信部と第2通信部とのうちのいずれか一方を選択することができる。
【0049】
なお、第1の実施形態では、デジタルカメラ101が通信デバイス(送信元)である実施形態を説明したが、第1の実施形態における通信デバイス(送信元)はデジタルカメラ101以外の機器でもよい。例えば、HDDレコーダ、DVDレコーダ、パーソナルコンピュータ、セットトップボックス、デジタルビデオカメラ、携帯電話等の映像出力機器が、第1の実施形態における通信デバイス(送信元)であってもよい。
【0050】
また、第1の実施形態では、TV110が通信デバイス(送信先)である実施形態を説明したが、第1の実施形態における通信デバイス(送信先)はTV110以外の機器でもよい。例えば、パーソナルコンピュータ、プロジェクタ等の映像入力機器が、第1の実施形態における通信デバイス(送信先)であってもよい。
【0051】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、HDMI規格のReservedピンをUSB規格のパワーライン(VBUS)として使用する例を説明する。これにより、第2の実施形態のUSBデバイスは、USBバスパワーを利用することが可能になる。
【0052】
図7は、第2の実施形態に係る通信デバイスであるデジタルカメラ201及びテレビ(TV)207の構成を示すブロック図である。図7において、図1と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0053】
デジタルカメラ201は、Reservedピンの状態を検知可能なUSBデバイス制御部202と、セレクタ203とを有する。
【0054】
TV207は、CPU206の制御に従って状態が切り替わり、Reservedピンをアサート又はネゲートすることができるセレクタ205を有する。TV207はまた、セレクタ205の状態に応じて、DDCライン(SCL,SDA)を、USB規格のデータライン(D+,D−)として使用するか、HDMI規格のDDCライン(SCL,SDA)として使用するかを切り替える、セレクタ204を有する。
【0055】
図7に示すように、デジタルカメラ201とTV207とは、複合HDMIケーブル208を介して接続される。複合HDMIケーブル208のピンアサインの例を、図8〜図10を参照して説明する。
【0056】
図8は、複合HDMIケーブル208がHDMI規格のtypeAコネクタに準拠する場合におけるピンアサインを示す図である。
【0057】
図8に示す例では、複合HDMIケーブル119は、第1番ピンから第19番ピンを有する。第1番〜第29番ピンは、HDMI規格の信号線として使用されるように構成され、第14番、第15番、第16番及び第17番ピンは、USB規格の信号線としても使用されるように構成されている。図8に示すように、第15番ピンは、HDMI規格のSCLラインとして使用され、USB規格のD+ラインとしても使用される。第16番ピンは、HDMI規格のSDAラインとして使用され、USB規格のD−ラインとしても使用される。第17番ピンは、HDMI規格のDDC/CEC Groundラインとして使用され、USB規格のGroundライン(GND)としても使用される。第14番ピンは、HDMI規格のReservedピンであり、USB規格のパワーライン(VBUS)としても使用される。
【0058】
USB使用時、CPU206は、セレクタ205を制御し、Reservedピンに5ボルト(5V)の電圧を印加する(即ち、Reservedピンをアサートする)。セレクタ203及びセレクタ204は、Reservedピンがアサートされると、DDCライン(SCL,SDA)を、HDMI規格による使用からUSB規格による使用に切り替える。USBホスト制御部115及びUSBデバイス制御部202は、Reservedピンがアサートされた状態を、擬似的にUSBケーブルが挿入された状態とみなす。また、USBホスト制御部115及びUSBデバイス制御部202は、Reservedピンがネゲートされた状態を、擬似的にUSBケーブルが切り離された状態とみなす。
【0059】
図9は、複合HDMIケーブル208がHDMI規格のtypeBコネクタに準拠する場合におけるピンアサインを示す図である。
【0060】
図9に示す例では、複合HDMIケーブル119は、第1番ピンから第19番ピンを有する。第1番〜第29番ピンは、HDMI規格の信号線として使用されるように構成され、第24番、第25番、第26番及び第27番ピンは、USB規格の信号線としても使用されるように構成されている。図9に示すように、第25番ピンは、HDMI規格のSCLラインとして使用され、USB規格のD+ラインとしても使用される。第26番ピンは、HDMI規格のSDAラインとして使用され、USB規格のD−ラインとしても使用される。第27番ピンは、HDMI規格のDDC/CEC Groundラインとして使用され、USB規格のGroundライン(GND)としても使用される。第24番ピンは、HDMI規格のReservedピンであり、USB規格のパワーライン(VBUS)としても使用される。なお、typeBの場合、第23番ピンもReservedピンとして定義されているため、第23番ピンを第24番ピンの代わりにUSB規格のパワーライン(VBUS)として使用するように構成してもよい。
【0061】
図10は、複合HDMIケーブル208がHDMI規格のtypeCコネクタに準拠する場合におけるピンアサインを示す図である。
【0062】
図10に示す例では、複合HDMIケーブル119は、第1番ピンから第19番ピンを有する。第1番〜第29番ピンは、HDMI規格の信号線として使用されるように構成され、第13番、第15番、第16番及び第17番ピンは、USB規格の信号線としても使用されるように構成されている。図10に示すように、第15番ピンは、HDMI規格のSCLラインとして使用され、USB規格のD+ラインとしても使用される。第16番ピンは、HDMI規格のSDAラインとして使用され、USB規格のD−ラインとしても使用される。第13番ピンは、HDMI規格のDDC/CEC Groundラインとして使用され、USB規格のGroundライン(GND)としても使用される。第17番ピンは、HDMI規格のReservedピンであり、USB規格のパワーライン(VBUS)としても使用される。
【0063】
図11は、DDCライン(SCL,SDA)を、HDMI規格による使用からUSB規格による使用に切り替える処理の流れを示すフローチャートである。図11に示すフローチャートは、例えば、ユーザがUSB機能の使用開始をUSBホストであるTV207に指示した場合に開始される。なお、図11において、図5と同様の処理を行うステップには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0064】
S32で、TV207のCPU206は、デジタルカメラ101のUSB機能をオンにするために、セレクタ205を制御してReservedピンをアサートする。Reservedピンがアサートされた場合は、S32からS33に進む。
【0065】
S33で、セレクタ204は、DDCライン(SCL,SDA)を、HDMI規格による使用からUSB規格による使用に切り替える。ここで、セレクタ204は、セレクタ204とUSBホスト制御部115とを接続する。これにより、DDCライン(SCLライン,SDAライン)及びDDC/CEC Groundラインは、セレクタ112を介してUSBホスト制御部115に接続されることになる。SCLラインは、USBホスト制御部115に接続されることにより、USB規格のD+ラインとして使用可能になる。SDAラインは、USBホスト制御部115に接続されることにより、USB規格のD−ラインとして使用可能になる。DDC/CEC Groundラインは、USBホスト制御部115に接続されることにより、USB規格のGroundライン(GND)として使用可能になる。そして、USBホスト制御部115は、USB規格に準拠したデータ転送(ファイル転送を含む)が可能になる。
【0066】
S34で、デジタルカメラ201のセレクタ203は、Reservedピンがアサートされたか否かを判定する。Reservedピンがアサートされた場合は、S34からS35に進む。
【0067】
S35で、セレクタ203は、DDCライン(SCL,SDA)を、HDMI規格による使用からUSB規格による使用に切り替える。ここで、セレクタ203は、セレクタ203とUSBデバイス制御部202とを接続する。これにより、DDCライン(SCLライン,SDAライン)及びDDC/CEC Groundラインは、セレクタ109を介してUSBデバイス制御部202に接続されることになる。SCLラインは、USBデバイス制御部202に接続されることにより、USB規格のD+ラインとして使用可能になる。SDAラインは、USBデバイス制御部202に接続されることにより、USB規格のD−ラインとして使用可能になる。DDC/CEC Groundラインは、USBデバイス制御部202に接続されることにより、USB規格のGroundライン(GND)として使用可能になる。そして、USBデバイス制御部202は、USB規格に準拠したデータ転送(ファイル転送を含む)が可能になる。
【0068】
S33及びS35が終了した後、デジタルカメラ201及びTV207は、USB規格に準拠したデータ転送が可能になる。例えば、デジタルカメラ101は、ユーザによって選択された静止画ファイル、動画ファイル、音楽ファイル等をDDCラインを介してTV110に転送することができる。TV110も、ユーザによって選択された静止画ファイル、動画ファイル、音楽ファイル等をDDCラインを介してデジタルカメラ101に転送することができる。
【0069】
図12は、DDCライン(SCL,SDA)を、USB規格による使用からHDMI規格による使用に切り替える処理の流れを示すフローチャートである。図12に示すフローチャートは、例えば、ユーザがUSB機能の使用停止をUSBホストであるTV207に指示した場合に開始される。なお、図12において、図6と同様の処理を行うステップには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0070】
S42で、TV207のCPU206は、TV110のUSB機能をオフにするために、セレクタ205を制御してReservedピンをネゲートする。Reservedピンがネゲートされた場合は、S42からS43に進む。
【0071】
S43で、セレクタ204は、DDCライン(SCL,SDA)を、USB規格による使用からHDMI規格による使用に切り替える。ここで、セレクタ204は、セレクタ204とEDID ROM114とを接続する。これにより、DDCライン(SCLライン,SDAライン)及びDDC/CEC Groundラインは、セレクタ112を介してEDID ROM114に接続されることになる。SCLラインは、EDID ROM114に接続されることにより、USB規格のD+ラインとして使用できなくなる。SDAラインは、EDID ROM114に接続されることにより、USB規格のD−ラインとして使用可能できなくなる。DDC/CEC Groundラインは、EDID ROM114に接続されることにより、USB規格のGroundライン(GND)として使用できなくなる。そして、USBホスト制御部115は、USB規格に準拠したデータ転送(ファイル転送を含む)ができなくなる。DDCライン(SCLライン,SDAライン)及びDDC/CEC Groundラインは、HDMI規格に準拠したラインとして使用されることになる。
【0072】
S44で、デジタルカメラ201のセレクタ203は、Reservedピンがネゲートされたか否かを判定する。Reservedピンがネゲートされた場合は、S44からS45に進む。
【0073】
S45で、セレクタ203は、DDCライン(SCL,SDA)を、USB規格による使用からHDMI規格による使用に切り替える。ここで、セレクタ203は、セレクタ203とCPU106とを接続する。これにより、DDCライン(SCLライン,SDAライン)及びDDC/CEC Groundラインは、セレクタ109を介してCPU106に接続されることになる。SCLラインは、CPU106に接続されることにより、USB規格のD+ラインとして使用できなくなる。SDAラインは、CPU106に接続されることにより、USB規格のD−ラインとして使用できなくなる。DDC/CEC Groundラインは、CPU106に接続されることにより、USB規格のGroundライン(GND)として使用できなくなる。そして、USBデバイス制御部107は、USB規格に準拠したデータ転送(ファイル転送を含む)ができなくなる。DDCライン(SCLライン,SDAライン)及びDDC/CEC Groundラインは、HDMI規格に準拠したラインとして使用されることになる。
【0074】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、擬似的なUSBケーブルの挿抜を実現し、Reservedピンを介した電力の供給が可能となるため、USBバスパワーの利用が可能となる。
【0075】
また、第2の実施形態では、デジタルカメラ201及びTV207の少なくとも一方がUSB機能を有していない場合にも、複合HDMIケーブル208は使用可能である。したがって、デジタルカメラ201及びTV207の少なくとも一方がUSB機能を有していない場合であっても、デジタルカメラ201及びTV207は、HDMI規格に準拠した通信を行うことができる。
【0076】
なお、TV207とデジタルカメラ201いずれかの電源投入直後、もしくは複合HDMIケーブル208による接続直後は、セレクタ205はReservedピンをネゲートした状態であるものとする。これにより、複合HDMIケーブル208に対応していない機器であっても、HDMI規格に準拠した通信を行うことができる。
【0077】
さらに、第2の実施形態によれば、デジタルカメラ201及びTV207は、ReservedピンをUSB規格のパワーライン(VBUS)として使用することができる。これにより、デジタルカメラ201等のUSBデバイスは、USBバスパワーを使用することができる。
【0078】
なお、第2の実施形態では、デジタルカメラ201が通信デバイス(送信元)である実施形態を説明したが、第2の実施形態における通信デバイス(送信元)はデジタルカメラ201以外の機器でもよい。例えば、HDDレコーダ、DVDレコーダ、パーソナルコンピュータ、セットトップボックス、デジタルビデオカメラ、携帯電話等の映像出力機器が、第2の実施形態における通信デバイス(送信元)であってもよい。
【0079】
また、第2の実施形態では、TV207が通信デバイス(送信先)である実施形態を説明したが、第2の実施形態における通信デバイス(送信先)はTV207以外の機器でもよい。例えば、パーソナルコンピュータ、プロジェクタ等の映像入力機器が、第2の実施形態における通信デバイス(送信先)であってもよい。
【0080】
[第3の実施形態]
デジタルカメラ及びTVのうちの一方が、HDMI規格の通信I/FとUSB規格の通信I/Fとを独立して有する場合、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明した複合HDMIケーブルを利用することができない。
【0081】
そこで、第3の実施形態では、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る複合HDMIケーブルを、HDMIケーブルとUSBケーブルとに変換或いは分離する変換アダプタについて説明する。
【0082】
図13は、第1の実施形態に係る複合HDMIケーブル119を、HDMIケーブル308とUSBケーブル309とに変換或いは分離する変換アダプタ303の構成を示すブロック図である。図13において、図1と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0083】
テレビ(TV)306は、HDMI規格の通信機能とUSB規格の通信機能とを有し、それぞれの規格のために独立したコネクタを有する。つまり、TV306は、HDMI規格に準拠したコネクタ及び通信I/Fと、USB規格に準拠したコネクタ及び通信I/Fとを備える。
【0084】
変換アダプタ303は、複合ケーブルコネクタ301(第1コネクタ)と、HDMIコネクタ305(第2コネクタ)と、USBコネクタ307(第3コネクタ)とを有する。複合ケーブルコネクタ301は、デジタルカメラ101を第1通信デバイスとして接続する。HDMIコネクタ305は、HDMI規格に従うTV306を第2通信デバイスとして接続し、USBコネクタ307は、USB規格に従うTV306を第3通信デバイスとして接続する。複合ケーブルコネクタ301は、複合HDMIケーブル119を介してデジタルカメラ101と接続される。HDMIコネクタ305は、HDMIケーブル308を介してTV306と接続される。USBコネクタ307は、USBケーブル309を介してTV306と接続される。
【0085】
変換アダプタ303はまた、CEC解釈部302及びセレクタ304を備える。CEC解釈部302は、第1の実施形態で説明した、CECの拡張コマンドであるUSBオン要求コマンド及びUSBオフ要求コマンドを解釈することができる。また、セレクタ304は、複合ケーブルコネクタ301のDDCライン(SCL,SDA)を、HDMIコネクタ305のDDCライン(SCL,SDA)と、USBコネクタ307のデータライン(D+,D−)とのうちのいずれか一方と接続することができる。
【0086】
CEC解釈部302は、デジタルカメラ101からCECラインを介して受信した指示(CECコマンド)に従い、セレクタ304による接続先の切り替えを行う。具体的には、CEC解釈部302がUSBオン要求コマンドを受信すると、セレクタ304は、DDCライン(SCL,SDA)を介してUSB規格の通信を行うように切り替わる。この場合、セレクタ304は、複合ケーブルコネクタ301のDDCライン(SCL,SDA)と、USBコネクタ307のデータライン(D+,D−)とを接続する。また、CEC解釈部302が「USB利用停止コマンド」を受信すると、セレクタ304は、HDMI規格のDDCラインを介した通信を行うように切り替わる。この場合、セレクタ304は、複合ケーブルコネクタ301のDDCライン(SCL,SDA)と、HDMIコネクタ305のDDCライン(SCL,SDA)とを接続する。
【0087】
図14は、第2の実施形態に係る複合HDMIケーブル208を、HDMIケーブル308とUSBケーブル309とに変換或いは分離する変換アダプタ402の構成を示すブロック図である。図14において、図7及び図13の少なくとも一つと同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0088】
変換アダプタ402は、デジタルカメラ201を第1通信デバイスとして接続する、複合ケーブルコネクタ401を有する。複合ケーブルコネクタ401は、複合HDMIケーブル208を介してデジタルカメラ101と接続される。変換アダプタ402はまた、セレクタ403を備える。セレクタ403は、複合ケーブルコネクタ401のDDCライン(SCL,SDA)を、HDMIコネクタ305のDDCライン(SCL,SDA)と、USBコネクタ307のデータライン(D+,D−)とのうちのいずれか一方と接続することができる。
【0089】
セレクタ403は、複合HDMIケーブル208のReservedピンのためのラインの状態に基づいて、接続を切り替える。具体的には、Reservedピンがアサートされると、セレクタ403は、DDCライン(SCL,SDA)を介してUSB規格の通信を行うように切り替わる。この場合、セレクタ403は、複合ケーブルコネクタ401のDDCライン(SCL,SDA)と、USBコネクタ307のデータライン(D+,D−)とを接続する。また、Reservedピンがネゲートされると、セレクタ403は、HDMI規格のDDCラインを介した通信を行うように切り替わる。この場合、セレクタ403は、複合ケーブルコネクタ401のDDCライン(SCL,SDA)と、HDMIコネクタ305のDDCライン(SCL,SDA)とを接続する。
【0090】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、変換アダプタ303は、第1の実施形態に係る複合HDMIケーブル119を、HDMIケーブル308とUSBケーブル309とに変換或いは分離することができる。また、第3の実施形態によれば、変換アダプタ402は、第2の実施形態に係る複合HDMIケーブル208を、HDMIケーブル308とUSBケーブル309とに変換或いは分離することができる。
【0091】
これにより、第1の実施形態に係る通信デバイスを、複合HDMIケーブル119及び変換アダプタ303を介して、HDMI規格又はUSB規格に準拠した通信I/Fを有する通信デバイスに接続することが可能となる。また、第2の実施形態に係る通信デバイスを、複合HDMIケーブル208及び変換アダプタ402を介して、HDMI規格又はUSB規格に準拠した通信I/Fを備える通信デバイスに接続することもできる。
【0092】
なお、第3の実施形態においては、HDMIコネクタ305とUSBコネクタ307は別々の機器を接続することも可能である。この場合、第2通信デバイスと、第3通信デバイスは、異なる機器となる。
【0093】
第3の実施形態において、複合ケーブルコネクタ301に接続される機器は、デジタルカメラ以外の機器でもよい。例えば、HDDレコーダ、DVDレコーダ、パーソナルコンピュータ、セットトップボックス、デジタルビデオカメラ、携帯電話等の映像出力機器が、複合ケーブルコネクタ301に接続される機器であってもよい。
【0094】
第3の実施形態において、複合ケーブルコネクタ401に接続される機器は、デジタルカメラ以外の機器でもよい。例えば、HDDレコーダ、DVDレコーダ、パーソナルコンピュータ、セットトップボックス、デジタルビデオカメラ、携帯電話等の映像出力機器が、複合ケーブルコネクタ401に接続される機器であってもよい。
【0095】
第3の実施形態において、HDMIコネクタ305に接続される機器は、TV以外の機器でもよい。例えば、パーソナルコンピュータ、プロジェクタ等の映像入力機器が、HDMIコネクタ305に接続される機器であってもよい。
【0096】
第3の実施形態において、USBコネクタ307に接続される機器も、TV以外の機器でもよい。例えば、パーソナルコンピュータ、プロジェクタ等の映像入力機器が、USBコネクタ307に接続される機器であってもよい。
【0097】
[第4の実施形態]
第4の実施形態では、USB規格による接続を切断することなく、EDID情報の転送を実現する通信デバイスを提案する。
【0098】
図15は、第4の実施形態に係る通信デバイスとしての、デジタルカメラ1501及びテレビ(TV)1503の構成を示すブロック図である。図15において、図1と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0099】
図15に示すように、デジタルカメラ1501及びTV1503は、複合HDMIケーブル119を介して接続される。複合HDMIケーブル119のピン配置は、第1の実施形態と同様である(図2〜図4参照)。複合HDMIケーブル119のDDCライン(SCL,SDA)の一端は、デジタルカメラ1501が有するUSBデバイス制御部1502に接続される。複合HDMIケーブル119のDDC制御線(SCL,SDA)の他端は、TV1503が有するUSBホスト制御部1504に接続される。
【0100】
HDMIソースであるデジタルカメラ1501は、DDCライン(SCL,SDA)を使用して、HDMIシンクであるTV1503のEDID ROM114から、解像度等の情報を読み出す必要がある。第4の実施形態では、この読み出しを、USB規格に準拠した通信プロトコルに従って実施する。これにより、USB規格による接続を切断せずに、EDID情報の転送要求を処理することが可能になる。
【0101】
図16は、USB接続及びHDMI接続の初期化処理の流れを示すフローチャートである。HDMI接続の初期化のためには、EDID ROM114の読み出し動作が必要であるため、この初期化処理では、USB接続の初期化が先に行われる。USBデバイス制御部1502及びUSBホスト制御部1504が、DDCライン(SCL,SDA)が通電したことを検知すると、本フローチャートの処理が開始する。
【0102】
S1601で、USBデバイス制御部1502及びUSBホスト制御部1504は、USBの初期化を行う。初期化に失敗した場合は、S1602からS1604に進む。S1604において、CPU106及びCPU118は、USB接続及びHDMI接続を無効にする。S1604において、例えば、表示部116は、エラーメッセージを表示して、HDMI及びUSBの接続エラーが発生したことをユーザに通知する。初期化に成功した場合は、S1602からS1603に進む。
【0103】
S1603で、CPU106及びCPU118は、HDMIの初期化を行う。この際、EDID ROM114の読み出しは、次の手順で行われる。まず、CPU106が、CECコマンドを利用して、EDID ROM114の読み出し要求をCPU118に送信する。読み出し要求を受けて、CPU118は、USBホスト制御部1504に対してEDID ROM114の読み出しを指示する。USBホスト制御部1504は、EDID ROM114から読み出した情報を、USB規格に従ってUSBデバイス制御部1502に送信する。USBデバイス制御部1502は、USBホスト制御部1504から受信した情報をDDCによりCPU106に送信する。これにより、CPU106は、EDID ROM114に格納されている情報を取得することができる。
【0104】
HDMIの初期化に失敗した場合、S1605からS1607に進む。S1607において、CPU106及びCPU118は、USB接続を有効にし、HDMI接続を無効にする。また、S1607において、例えば、表示部116は、エラーメッセージを表示して、HDMIの接続エラーが発生したことをユーザに通知する。この場合、デジタルカメラ1501及びTV1503は、USB規格に従うデータ転送のみ、実行可能である。
【0105】
HDMIの初期化に成功した場合は、S1605からS1606に進む。S1606において、CPU106及びCPU118は、HDMI接続及びUSB接続を有効にする。これにより、デジタルカメラ1501及びTV1503は、USB規格に従うデータ転送、及びDDC通信の両方を行うことができる。
【0106】
図17は、デジタルカメラ1501とTV1503との間で転送される、USB規格のフレームを示す図である。図17(a)に示すように、USBのプロトコルでは、フレーム(又はマイクロフレーム)と呼ばれる単位でパケット通信が行われる。そして、そのフレームには複数種類のトランザクションを混在させることができるため、ファイル転送を行いながらEDID情報の転送も行う、という動作が可能である。
【0107】
図17(b)は、ファイル転送中にEDID情報をinterrupt転送で送信する場合におけるUSBライン(SCL,SDA)上のデータ構成の一例を示す。USBのinterrupt転送は、任意のタイミングで周期的にデータ転送を行うことができる。具体的には、デジタルカメラ1501のエンドポイントディスクリプタのポーリング間隔をEDID読み出しに必要なタイミング(例えば、1ミリ秒)に設定し、さらに、優先度をファイル転送(Bulk)より高く設定しておく。これにより、TV1503はそのタイミングで周期的にEDID情報をデジタルカメラ1501に転送することができる。なお、これはアイソクロナス転送を用いた場合でも同様に可能である。
【0108】
図17(c)は、ファイル転送中にEDID情報をControl転送やBulk転送で送信する場合におけるUSBライン上のデータ構成の一例を示す。また、このときのTV1503の処理の流れを図18に示す。
【0109】
S1801で、TV1503のCPU118は、EDID情報の読み出し要求を受信したか否かを判定する(読み出し要求は、CECコマンドにより受信される)。読み出し要求を受信した場合は、S1801からS1802に進む。
【0110】
S1802で、CPU118は、USBホスト制御部1504に対して、ファイル転送の中断と、EDID情報の送信の開始を指示する。この指示を受けて、USBホスト制御部1504は、EDID情報の送信を開始する。
【0111】
S1803で、CPU118は、EDID情報の送信が終了したか否かを判定する。EDID情報の送信が終了した場合、本フローチャートの処理は終了する。なお、S1801において読み出し要求が受信されなかった場合、ファイル転送は中断されず、本フローチャートの処理は終了する。
【0112】
以上説明したように、第4の実施形態によれば、USBホスト制御部1504及びUSBデバイス制御部1502は、HDMI規格に従う信号と、USB規格に従う信号とを時分割に多重することができる(図17参照)。また、USBホスト制御部1504及びUSBデバイス制御部1502は、USB規格に従う信号と、HDMI規格に従う信号とを分離することができる。これにより、USB規格による接続を切断せずに、EDID情報の転送要求を処理することが可能になる。
【0113】
なお、第4の実施形態では、デジタルカメラ1501がUSBホスト制御部1504を有し、TV1503がUSBデバイス制御部1502を有するにように構成してもよい。
【0114】
また、第4の実施形態では、デジタルカメラ1501が通信デバイス(送信元)である実施形態を説明したが、第4の実施形態における通信デバイス(送信元)はデジタルカメラ1501以外の機器でもよい。例えば、HDDレコーダ、DVDレコーダ、パーソナルコンピュータ、セットトップボックス、デジタルビデオカメラ、携帯電話等の映像出力機器が、第4の実施形態における通信デバイス(送信元)であってもよい。
【0115】
また、第4の実施形態では、TV1503が通信デバイス(送信先)である実施形態を説明したが、第4の実施形態における通信デバイス(送信先)はTV1503以外の機器でもよい。例えば、パーソナルコンピュータ、プロジェクタ等の映像入力機器が、第4の実施形態における通信デバイス(送信先)であってもよい。
【0116】
[その他の実施形態]
上述した各実施形態の機能を実現するためには、各機能を具現化したソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体をシステム或いは装置に提供してもよい。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによって、上述した各実施形態の機能が実現される。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した各実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は、本発明の一つに相当する。このようなプログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピィ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどを用いることができる。或いは、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることもできる。
【0117】
また、上述した各実施形態の機能を実現するための構成は、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することだけには限られない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した各実施形態の機能が実現される場合も含まれている。
【0118】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれてもよい。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した各実施形態の機能が実現される場合も含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1規格に従い、CECライン及びDDCラインを介した通信を行う第1通信部と、
第2規格に従い、前記DDCラインを介した通信を行う第2通信部と
を有し、
前記第2通信部は、
前記第1通信部が出力した前記第1規格に従う信号と、前記第2規格に従う信号とを前記DDCラインを介して他の通信デバイスに送信し、
前記DDCラインを介して前記他の通信デバイスから受信した前記第2規格に従う信号と前記第1規格に従う信号とを分離する
ことを特徴とする通信デバイス。
【請求項2】
前記DDCラインが通電したことを検知する検知手段と、
前記検知に応えて、前記第2通信部の初期化を行い、その後、前記第1通信部の初期化を行う制御部と
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の通信デバイス。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2通信部の初期化が成功した場合のみ、前記第1通信部の初期化を行うことを特徴とする請求項2に記載の通信デバイス。
【請求項4】
前記第1通信部は、前記第1規格に従う信号と、前記第2規格に従う信号とを送信するように、前記CECラインを介して前記他の通信デバイスに対して要求することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の通信デバイス。
【請求項5】
第1規格に従い、CECライン及びDDCラインを介した通信を行う第1通信部と、第2規格に従い、前記DDCラインを介した通信を行う第2通信部とを有する通信デバイスの制御方法であって、
前記第1通信部が出力した前記第1規格に従う信号と、前記第2規格に従う信号とを前記DDCラインを介して他の通信デバイスに送信するステップと、
前記DDCラインを介して前記他の通信デバイスから受信した前記第2規格に従う信号と、前記第1規格に従う信号とを分離するステップと
を有することを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−278969(P2010−278969A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132112(P2009−132112)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】