説明

通信ネットワークにおけるセッションの継続性

【課題】パケット交換ネットワークを介する進行中の通信セッションを保持すること。
【解決手段】パケット交換ネットワークから、パケット交換アクセスおよび回線交換アクセスの両方を提供する第2のネットワークに前記通信セッションを移行すること;前記進行中の通信セッションを管理するアプリケーションサーバに、通信セッションがパケット交換部分および回線交換部分に分離されることを通知すること;を含む。また、第1の通信機器と第2の通信機器との間の通信セッションが、パケット交換部分および回線交換部分に分離されるべきことを示す標識を、第1の通信機器から受信すること;パケット交換部分および回線交換部分の両方の移行要求を受信するべく待機すること;分離について第2の通信機器に通知すること;を含む、アプリケーションサーバにおける方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、移動ノードを含む通信ネットワークにおけるセッションの継続性に関する。
【発明の背景】
【0002】
ユーザ装置(User Equipment; UE)または移動ノード(Mobile Node)は、異なるアクセス技術を介して同時にIPマルチメディアサブシステム(IP Multimedia Subsystem; IMS)に登録可能でありうる。例えば、無線ローカルエリアネットワーク(Wireless Local Area Network; WLAN)によるアクセスとUMTS地上波無線アクセスネットワーク(UMTS Terrestrial Radio Access Network; UTRAN)アクセスとを並行して利用しうる。異なるアクセス技術の並行使用によって、例えば、移動機器のユーザが、WLANサービスエリアから出ると同時にUTRANサービスエリアに入る場合に、サービスの継続性を保つことが可能となりうる。
【0003】
音声呼の継続性(Voice Call Continuity; VCC)は、第3世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project; 3GPP)によって規定される技術であり、呼を中断せずに、IMSドメインにおいて進行中の音声呼を回線交換(circuit switched; CS)ドメインに移行し、また、その逆に移行する可能性を提供する。しかしながら、一方のネットワークアクセス技術から別のアクセス技術へ移行する際のサービスの継続性に関する問題が未解決となっている。
【0004】
以下のシナリオを想定してみる。まず、WLAN(A_WLAN)を介してUE_AをIMSに登録する。次に、WLANの電波は弱いが、UTRANを利用可能である領域に、UE_Aのユーザが移動する。したがって、UE_Aは、WLAN登録と並行して、UTRAN汎用パケット無線サービス(General Packet Radio Services; A_GPRS)を介して、IMSに登録する。結果的に、UE_Aは、2つの並行したIMS登録を有する。
【0005】
次に、UE_Aは、その進行中のセッション開始プロトコル(Session Initiation Protocol; SIP)ダイアログ(つまり、進行中のマルチメディアセッション、例えばプレゼンス情報に対するサブスクリプションなど)のA_WLANからA_GPRSへの移行を開始することが可能である。この手順は、PS間ハンドオーバ(パケット交換ドメイン間ハンドオーバ)と呼ばれうる。
【0006】
また、UE_Aは、進行中のマルチメディアセッション(例えば、SIP INVITEにより開始されたセッション)を有してもよい。このようなマルチメディアセッションは音声を含み、また他のリアルタイムトランスポートプロトコル(Real Time Transport Protocol; RTP)により伝送される、共有ビデオのようなメディアを含む。この場合、UE_Aは、セッションの音声部分はCSドメインを介して処理され、映像部分はIMS(A_GPRS)を介して処理されることを希望しうる。
【0007】
このシナリオにおいて3つの重要な関心事項が存在する。
1.IMSのPS間ハンドオーバ;
2.音声呼の継続性;
3.他のメディアから音声を分離すること;
【0008】
音声および他メディアのサービスの継続性を確実にするために、これらの問題にどう対処すべきかについては、未だに明確になっていない。現在のソリューションでは、移行を行う際に、音声および他メディアのうちのどちらかが切断する可能性がある。したがって、さらなる考察が必要とされる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の側面によると、パケット交換ネットワークを介する進行中の通信セッションを保持することと、前記パケット交換ネットワークから、パケット交換アクセスおよび回線交換アクセスの両方を提供する第2のネットワークに前記通信セッションを移行することと、前記進行中の通信セッションを管理するアプリケーションサーバに、前記通信セッションがパケット交換部分および回線交換部分に分離されるべきことを通知することと、を含む方法が提供される。
【0010】
前記方法は、前記パケット交換部分および前記回線交換部分の移行要求を送信することと、前記通信セッションは分離されるべきことを示す標識を、少なくとも前記移行要求のうちの1つに含めることとをさらに含んでもよい。
【0011】
本発明のある実施形態において、前記通知することは、前記パケット交換部分および前記回線交換部分の前記移行要求を並行して送信すること、ただし前記2つの移行要求のいずれもが、前記通信セッションは分離されるべきことを示す標識を含む、前記送信することを含む。
【0012】
本発明の別の実施形態において、前記通知することは、
・ 前記パケット交換部分の前記移行要求を送信すること、ただし前記要求は、前記通信セッションは分離されるべきことを示す標識を含む、前記送信することと;
・ 前記パケット交換部分の前記移行要求に対する応答を受信するべく待機することと;
・ 前記応答の受信に応じて、前記回線交換部分の前記移行要求を送信することと;
によって実行される。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態において、前記通知することは、
・ 前記回線交換部分の前記移行要求を送信すること、ただし前記要求は、前記通信セッションは分離されるべきことを示す標識を含む、前記送信することと;
・ 前記パケット交換部分の前記移行要求に対する応答を受信するべく待機することと;
・ 前記応答の受信に応じて、前記パケット交換部分の前記移行要求を送信することと;
によって実行される。
【0014】
本発明のまたさらに別の実施形態において、前記通知することは、
・ 前記通信セッションは分離されるべきことを示す標識を含む標識メッセージを送信することと;
・ 前記標識メッセージに対する応答を受信するべく待機することと;
・ 前記応答の受信に応じて、前記パケット交換部分および前記回線交換部分の移行要求を送信することと;
によって実行される。
【0015】
本発明の第2の側面によると、アプリケーションサーバにおける方法であって、
・ 第1の通信機器と第2の通信機器との間の通信セッションが、パケット交換部分および回線交換部分に分離されるべきことを示す標識を、前記第1の通信機器から受信することと;
・ 前記パケット交換部分および前記回線交換部分の両方の移行要求を受信するべく待機することと;
・ 前記パケット交換部分および前記回線交換部分の前記移行について、前記第2の通信機器に通知することと;
を含む方法が提供される。
【0016】
前記パケット交換部分および前記回線交換部分の移行について前記第2の通信機器に通知することによって、前記アプリケーションサーバは、前記セッションの分離について、前記第2の通信機器に効果的に通知する。
【0017】
アプリケーションサーバにおける前記方法は、前記パケット交換部分の前記移行要求および前記回線交換部分の前記移行要求のうちの少なくとも1つの一部として前記標識を受信することをさらに含んでもよい。
【0018】
本発明のある実施形態において、アプリケーションサーバにおける前記方法は、
・ 前記パケット交換部分の前記移行要求の一部として前記標識を受信することと;
・ 前記パケット交換部分の前記移行要求の受信を確認する応答を送信することと;
・ 前記回線交換部分の前記移行要求を受信するべく待機することと;
をさらに含む。
【0019】
本発明の別の実施形態において、アプリケーションサーバにおける前記方法は、
・ 前記回線交換部分の前記移行要求の一部として前記標識を受信することと;
・ 前記回線交換部分の前記移行要求の受信を確認する応答を送信することと;
・ 前記パケット交換部分の前記移行要求を受信するべく待機することと;
をさらに含む。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態において、アプリケーションサーバにおける前記方法は、
・ 前記標識を含む標識メッセージを受信することと;
・ 前記標識メッセージの受信を確認する応答を送信することと;
・ 前記パケット交換部分および前記回線交換部分の移行要求を受信するべく待機することと;
をさらに含む
【0021】
本発明の具体的な実施形態によると、前記パケット交換部分の移行要求は、例えば、
・ ドメイン移行URIと、前記通信セッションに対するポインタとを含むINVITEメッセージ;
・ Request URI中にVCCドメイン移行URI(VCC Domain Transfer URI; VDI)を含み、また前記通信セッションを指し示すセッション識別子を含むSIP INVITE;
のうちの1つであってもよい。
【0022】
本発明の具体的な実施形態によると、前記交換回路部分の移行要求は、
・ 特定の情報要素に前記標識を含むSETUPメッセージ;
・ 特定のドメイン移行番号を含むSETUPメッセージ、ただし該特定のドメイン移行番号が前記標識を構成するSETUPメッセージ;
・ User-to-User-Signalling Information Elementに前記標識を含むCS SETUPメッセージ;
・ 特定のVCCドメイン移行番号(VCC Domain Transfer Number; VDN)を含むCS SETUPメッセージ、ただし該特定のVDNが前記標識を構成するCS SETUPメッセージ;
・ 既知のVCC手順に従うCS SETUPメッセージ;
のうちの1つであってもよい。
【0023】
本発明の第3の側面によると、第1の通信機器から、前記第1の通信機器と第2の通信機器との間の通信セッションを管理するアプリケーションサーバに伝送されるように構成される信号であって、前記通信セッションが、パケット交換部分および回線交換部分に分離されるべきことを示す標識を含む信号が提供される。
【0024】
前記信号は、前記パケット交換部分の移行要求、または前記回線交換部分の移行要求、または別の標識メッセージのうちの1つであってもよい。
【0025】
本発明の第4の側面によると、
・ パケット交換ネットワークを介する進行中の通信セッションを保持するように動作しうる入力/出力ユニットと;
・ 前記パケット交換ネットワークから、パケット交換アクセスおよび回線交換アクセスの両方を提供する第2のネットワークに前記通信セッションを移行するように構成される処理ユニットと;
を備え、前記処理ユニットが、前記進行中の通信セッションを管理するアプリケーションサーバに、前記通信セッションがパケット交換部分および回線交換部分に分離されることを通知するようにさらに構成される、通信機器が提供される。
【0026】
本発明の第5の側面によると、
・ 第1の通信機器と第2の通信機器との間の通信セッションが、パケット交換部分および回線交換部分に分離されるべきことを示す標識を、前記第1の通信機器から受信するように動作可能な入力部と;
・ 前記パケット交換部分および前記回線交換部分の両方の移行要求を受信するべく待機し、前記パケット交換部分および前記回線交換部分の前記移行について、前記第2の通信機器に通知するように構成される処理ユニットと;
を備えるアプリケーションサーバが提供される。
【0027】
本発明の第6の側面によると、
・ 第1の通信機器と、第2の通信機器と、アプリケーションサーバとを備え、
・ 前記第1および第2の通信機器は、その間でパケット交換ネットワークを介する進行中の進行中の通信セッションを保持するように動作可能であり、
・ 前記第1の通信機器は、前記パケット交換ネットワークから、パケット交換アクセスおよび回線交換アクセスの両方を提供する第2のネットワークに前記通信セッションを移行するように構成されると共に、前記通信セッションがパケット交換部分および回線交換部分に分離されるべきことを示す標識をアプリケーションサーバに提供するように構成される処理ユニットを備え、
・ 前記アプリケーションサーバは、前記標識を受信するように動作しうる入力部と、前記パケット交換部分および前記回線交換部分の両方の移行要求を受信するべく待機し、前記パケット交換部分および前記回線交換部分の前記移行について、前記第2の通信機器に通知するように構成される処理ユニットとを備える、
システムが提供される。
【0028】
本発明の第7の側面によると、前記第1の側面の方法を装置が実行しうるように構成されるプログラムコードであって、コンピュータにより実行可能なプログラムコードを含む記憶媒体が提供される。
【0029】
本発明の第8の側面によると、前記第2の側面の方法を装置が実行しうるように構成されるプログラムコードであって、コンピュータにより実行可能なプログラムコードを含む記憶媒体が提供される。
【0030】
ある側面に関連するある実施形態の特徴を、必要に応じて、いくつかの他の側面または実施形態と組み合わせてもよいことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
添付の図面を参照して、本発明についてほんの一例として説明する。
【図1A】本発明のある実施形態に従う方法に関するフローチャートを示す。
【図1B】本発明の別の実施形態に従う方法に関するフローチャートを示す。
【図2】本発明のある実施形態に従うシステムを示す。
【図3】本発明のある実施形態に従うメッセージング図を示す。
【図4】本発明の別の実施形態に従うメッセージング図を示す。
【図5】本発明の種々の実施形態を実装するのに適した装置に関するブロック図である。
【図6】本発明の種々の実施形態を実装するのに適した通信機器に関するブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の説明において、同一番号は同一部分を示す。
【0033】
図1Aは、本発明のある実施形態に従う方法に関するフローチャートを示す。図示する方法は、例えば、通信機器において実行されるように意図される。
【0034】
まず、段階100において、通信機器は、パケット交換ネットワークを介する進行中の通信セッションを保持する。次に、段階101において、通信機器は、パケット交換ネットワークから、パケット交換アクセスおよび回線交換アクセスの両方を提供するネットワークに、通信セッションを移行する。通信機器のユーザが、WLANの電波は弱いがUTRANは利用可能である区域に移動する場合、通信セッションは、例えば、WLANネットワークからUTRANネットワークに移行されうる。この移行に関連して、段階102において、通信機器は、パケット交換アクセスおよび回線交換アクセスの両方を提供するネットワークにおいて、通信セッションがパケット交換部分および回線交換部分に分離されることを、通信セッションを管理するアプリケーションサーバに通知する。アプリケーションサーバは、例えば、音声呼の継続性に関連する手続を処理するアプリケーションサーバでありうる。
【0035】
セッションの移行および分離を実行するべく、通信機器は、アプリケーションサーバに、回線交換部分の移行要求およびパケット交換部分の移行要求を送信する。アプリケーションサーバへの通知は、移行要求の片方または両方の一部として、または別のメッセージによって行われうる。分離についての通知を受けると、アプリケーションサーバは、回線交換部分およびパケット交換部分の両方の移行要求を待機するべきことを認識する。このプロセスに関するより具体的な例については、図2〜図4に関連して後述する。
【0036】
図1Bは、本発明のある実施形態に従う方法に関するフローチャートを示す。図示される方法は、例えば、通信ネットワークのアプリケーションサーバにおいて実行されることが意図されている。このアプリケーションサーバは、音声呼の継続性に関する手続を処理するアプリケーションサーバでありうる。
【0037】
段階110において、第1の通信機器と第2の通信機器との間の通信セッションが、パケット交換部分および回線交換部分に分離されるべきことを示す標識を、第1の通信機器から受信する。これは、あるタイプのネットワークアクセスから別のタイプのネットワークアクセスに移行する第1の通信機器に関連しうる。次に、段階111において、アプリケーションサーバは、パケット交換部分および回線交換部分の両方の移行要求を受信するべく待機し、これらの受信後、段階112において、アプリケーションサーバは、分離について第2の通信機器に通知する。このように、アプリケーションサーバは、回線交換部分およびパケット交換部分について第2の通信機器に通知することが可能であることから、これら2つの部分が、中断せずに継続することが可能になりうる。本発明のいくつかの実施形態において、ステップ112は、ステップ111に先行してもよい。
【0038】
図2は、本発明のある実施形態に従うシステム200を示す。本システムは、相互に通信するUE_A 201およびUE_B 202を備える。UE_A 201は、WLANネットワーク203またはUTRAN/GERAN(例えば、GSMエッジ無線アクセスネットワーク)ネットワーク204を介した通信ネットワークアクセスを有してもよい。WLANネットワークは、プロキシ呼セッション制御機能(Proxy Call Session Control Function; P-CSCF)要素205に接続され、この要素は、サービス呼セッション制御機能(Serving Call Session Control Function; S-CSCF)要素206に接続される。S-CSCF要素206は、アプリケーションサーバAS 207と協働する。アプリケーションサーバは、例えば、音声呼の継続性のためのアプリケーションサーバ(Voice Call Continuity AS: VCC AS)であってもよい。また、UTRAN/GERANネットワーク204は、P-CSCF要素のP-CSCF 208を有し、これはS-CSCF要素206に接続される。回線交換接続において、UTRAN/GERANネットワーク204は、メディアゲートウェイ制御機能(Media Gateway Control Function; MGCF)要素209に接続され、この要素も、S-CSCF要素206に接続される。実際の実装は、種々の他のネットワーク要素を備えてもよいが、それらが本発明について重要でないことを理解されたい。
【0039】
次に、本発明のある実施形態に関する動作について、図2のシステム200において説明する。(図2に示す3つの矢印によって示される。)まず、(1)UE_A 201とUE_B 202との間に、WLANネットワーク203ならびにP-CSCF要素205、S-CSCF要素206、およびAS要素207を介して進行中のセッションが存在する。進行中のセッションは、音声部分および他のメディア部分を含む。次に、(2)UE_Aは、アクセスをUTRAN/GERANネットワーク204に移行する。UE_Aは、WLANネットワークへの登録を(まだ)終了せずに、WLANネットワークへの登録およびUTRAN/GERANネットワークへの登録を並行して維持する。
【0040】
進行中のセッションの音声部分をUTRAN/GERANネットワークへ移行するために、UE_Aは、(3)既知のVCC手順に従い、VCCドメイン移行番号(VCC Domain Transfer Number; VDN)へ向けたCS SETUPメッセージをMGCF要素209に送信する。(4)MGCFは、CS SETUPメッセージに基づいて、AS 207に、Request URI=VDNを含むSIP INVITE をS-CSCF 206を介して送信する。(5)このINVITEを受信すると、ASは、音声部分の移行についてUE_Bに通知するRe-INVITEをUE_Bに送信する。
【0041】
進行中のセッションの他のメディア部分を、UTRAN/GERANネットワークへ移行するために、UE_Aは、(6)P-CSCF 208およびS-CSCF 206を介してAS207に、Request URI=VDI(VCC Domain Transfer URI;VCCドメイン移行URI)を含むSIP INVITEメッセージと、セッション識別子とを送信する。セッション識別子は、例えば、進行中のセッションを指定するReplacesヘッダまたはR-URIである。このINVITEを受信すると、ASは、(7)他のメディア部分の移行についてUE_Bに通知するRe-INVITEをUE_Bに送信する。
【0042】
従来技術のソリューションにおいて、Re-INVITE(5)は、進行中のセッションから他のメディア部分を削除し、Re-INVITE(7)は、進行中のセッションから音声部分を削除することに留意されたい。したがって、本発明のある実施形態によると、ASは、メディアフローにおける非継続性を低減するために、Re-INVITES(5)および(7)を送信する前に、INVITE(4)および(6)の両方を待機するべきである。また、ASは、Re-INVITE(5)および(7)を、音声部分および他のメディア部分の両方の移行についてUE_Bに通知する1つのRe-INVITEに組み合わせてもよく、これにより、メディアフローにおける中断の最小化が達成されうる。
【0043】
図3および図4のメッセージング図に示される実施形態は、通信セッションを回線交換部分およびパケット交換部分に分離して、両方の部分に関連するINVITE(または他の移行要求)を待機することをアプリケーションサーバ(AS)が把握する必要性を、(例えば図2のAS207に)通知しうる方法に関する。
【0044】
図3において、UE_Aは、まず、音声および映像の両方を含むセッション用のSIP INVITE 3-1を送信することによって、WLANネットワークを介して、UE_Bとの通信セッションを確立する。VCC ASは、SIP INVITE 3-2をUE_Bに転送する。その後、UE_Aは、UTRANネットワークに移行する。移行を行うために、UE_Aは、音声以外のメディア部分を移行するためのSIP INVITE 3-3および音声部分を移行するためのCS SETUPメッセージ3-5を並行して送信する。
【0045】
SIP INVITE 3-3は、Request URIとしてVDIを含み、またセッション識別子を含む。セッション識別子は進行中のセッションを示す。セッション識別子は、例えば、Replacesヘッダであってもよい。CS SETUPメッセージ3-5は、メディアの分離が希望されているという標識を含むという点において、先行技術において対応する既知のメッセージとは異なる。MGCFは、CS SETUPメッセージ3-5を受信し、それに基づいて、Request URIとしてVDNを含むSIP INVITE 3-6を送信する。また、希望されているメディア分離に関する標識は、SIP INVITE 3-6にも含まれる。
【0046】
CS SETUPメッセージ3-5に含まれる標識は、例えば、
・ CS SETUPメッセージのUser-to-User-Signalling Information Element内の新しい標識、または;
・ 特定のVDN;
であってもよい。
【0047】
さらにこの標識は、例えば、メディア分離が希望されているという標識であることをアプリケーションサーバが把握できるような、予め合意されたビットパターンであってもよい。しかしながら、当業者に明白であるように、このような標識の実装には、無限の同等の可能性が存在する。唯一必要なのは、標識が、メディア分離が希望されているという標識であることを、アプリケーションサーバが認識可能であることだけである。実施形態によっては、あるフィールドにおける単一のビットだけでも十分その役に立ちうる。
【0048】
VCC ASは、SIP INVITE 3-3およびSIP INVITE 3-6を受信する。しかしながら、SIP INVITE 3-3およびSIP INVITE 3-6のいずれかが、VCC ASに最初に到達しうることに留意されたい。VCC ASが、SIP INVITE 3-3を最初に受信する場合、VCC ASは、SIP INVITE 3-3に含まれるセッション識別子およびVDIに基づいて、本シナリオにおいてメディア分離を実行する必要があることを把握し、したがって、他方のSIP INVITE 3-6を待機することを把握することになる。つまり、SIP INVITE 3-3におけるセッション識別子およびVDIは、メディア分離が希望されているという標識を構成する。SIP INVITE 3-3は、メディア分離が希望されているという他のいくつかの標識も含んでもよいことに留意されたい。
【0049】
VCC ASが、SIP INVITE 3-6を最初に受信する場合、VCC ASは、SIP INVITE 3-6に含まれる標識に基づいて、本シナリオにおいて、メディア分離を実行する必要があることを把握し、したがって、他方のSIP INVITE 3-3を待機することを把握することになる。ここで、CS SETUP 3-5およびSIP INVITE 3-6が、所望のメディア分離に関する標識を含まない場合、VCC ASは、通常のVCC手順を想定し、SIP INVITE 3-3が到達することを予測しないことに留意されたい。したがって、VCC ASは、進行中の通信セッションの他のメディア部分を逃すことになる。
【0050】
INVITE 3-3およびINVITE 3-6の両方の受信後、VCC ASは、Re-INVITE 3-7をUE_Bに送信する。このRe-INVITE 3-7は、進行中の通信セッションの音声部分および他のメディア部分の両方の移行を示す。Re- INVITE 3-7は、2つの並行するRe-INVITE(1つは、音声部分用で、もう一つは、他のメディア部分用)に置換されてもよいことに留意されたい。複数のRe-INVITEを組み合わせることによって得られる利益として、進行中の通信セッションに対して発生する中断が最小化する可能性があることが挙げられる。
【0051】
要約すると、SIP INVITE 3-3およびSIP INVITE 3-6の両方に、希望されるメディア分離に関する標識を含めることによって、UE_Aは、VCC ASが両方のINVITEの待機を常に把握することを確信することができる。この実施形態によって達成される利益は、手続が高速になりうることである。
【0052】
図4において、UE_Aは、図3と同様に、SIP INVITE 3-1およびSIP INVITE 3-2によって、WLANネットワークを介してUE_Bとの通信セッションを確立し、その後、UTRANネットワークに移行する。
【0053】
次に、UE_Aは、まず、他のメディア部分の移行用のSIP INVITE 3-3のみを送信する。VCC ASは、SIP INVITE 3-3を受信し、INVITEに含まれるセッション識別子およびVDIに基づいて、本シナリオにおいてメディア分離を実行する必要があることを把握する。VCC ASは、SIP INVITE 3-3を受信したことをUE_Aに確認する。この確認は、例えば、SIP 180(Ringing)応答またはSIP 183(Session Progress)応答等の、確実に送信される暫定応答4-4で応答することによってもたらされうる。
【0054】
応答4-4を受信すると、UE_Aは、SIP INVITE 3-3が受信されたことと、VCC ASが、音声部分のINVITEを待機中であることとを把握する。次に、UE_Aは、音声部分の移行用のCS SETUPメッセージ4-5を送信する。MGCFは、CS SETUPメッセージ4-5を受信し、それに基づいて、Request URIとしてVDNを含むSIP INVITE 4-6を送信する。VCC ASは、メディア分離が希望されていることを既に把握しているため、メディア分離が希望されていることを表す標識は、CS SETUPメッセージ4-5およびSIP INVITE 4-6において必要とされない。
【0055】
実用的な実装において、応答4-4は確実に送信されるため、UE_Aは、PRACK(暫定応答確認)要求(図4に図示せず)で、それに回答する必要がありうる。応答を確実に送信する利益は、UE_Aが応答4-4を受信したことをVCC ASが確認できることである。
【0056】
図3と同様に、VCC ASは、INVITE 3-3およびINVITE 4-6の両方の受信後に、Re-INVITE 3-7をUE_Bに送信する。
【0057】
図4の実施形態によって達成される利益は、CS SETUPメッセージを修正する必要がないことと、追加のプロトコル要素が必要ないことである。
【0058】
図4の具体的な例に対する代替として、CS SETUPを最初に送信し、CS SETUPを受信したという確認の受信後にのみSIP INVITE 3-3を送信してもよい。この場合、図3に関して上述したように、、CS SETUPメッセージにおいて標識が必要とされる。つまり、そのような実施形態において、応答4-4は、CS SETUPに応答して送信され、SIP INVITE 3-3は、応答4-4の受信に応答して送信される。
【0059】
上述の実施形態に対するさらなる代替として、メディア分離が希望されているという標識を含む別の「標識メッセージ」を最初に送信し、移行要求(回線交換/音声部分およびパケット交換/他のメディア部分に関する)の両方を、標識メッセージの受信の確認後にのみ送信してもよい。この場合、既知の移行要求に変更は必要とされない。
【0060】
このような標識メッセージは、任意の適切なメッセージであってもよい。メッセージに含まれる標識は、例えば、合意したビットパターンであってもよく、メディア分離が希望されているという標識であることを、アプリケーションサーバが把握しうるような、予め合意されたビットパターンであってもよい。しかしながら、当業者には明白であるように、このような標識の実装には、無限の同等の可能性が存在する。唯一必要なのは、標識がメディア分離を所望するという標識であることを、アプリケーションサーバが認識可能であることだけである。実施形態によっては、あるフィールドにおける単一のビットだけで十分にその役に立ちうる。
【0061】
本発明は、例えば、適切なハードウェアプラットフォーム上で実行するコンピュータプログラムによって、あるいはハードウェア、ソフトウェア、専用回路、ロジックの任意の適切な組み合わせによって、実装されることができる。
【0062】
図5は、本発明の種々の実施形態を実装するのに適した装置500に関するブロック図である。装置500は、恐らく分散機能を含む汎用コンピュータまたはサーバ等の典型的なコンピュータであってもよい。装置は、装置ならびにコンピュータプログラムコードまたはソフトウェア503を含むメモリ502を制御するための、中央処理装置(Central Processing Unit; CPU)501を備える。
【0063】
ソフトウェア503は、CPU501が装置500の動作を制御するための命令を含む。ソフトウェア503は、本発明のいくつかの機能性を提供するように装置を制御するための命令を含んでもよい。この命令は、例えば、本発明のいくつかの実施形態に従って、アプリケーションサーバとして動作するように装置を制御してもよい。装置500は、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network; LAN)、イーサネット、または無線LAN(Wireless LAN; WLAN)ユニット等の、I/O(入力/出力)ユニット505をさらに備える。装置500は、ディスプレイおよびキーボード等のユーザインターフェース(図示せず)も備えてもよいが、ユーザインターフェースは、I/Oユニットを介した遠隔接続によっても実装されてもよい。
【0064】
図6は、本発明の種々の実施形態を実装するのに適した通信機器600に関するブロック図を示す。通信機器600は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、またはいくつかの他の通信機器であってもよい。本通信機器は、装置ならびにコンピュータプログラムコードまたはソフトウェア603を含むメモリ602を制御するための、中央処理装置(Central Processing Unit; CPU)601を備える。
【0065】
ソフトウェア603は、CPU601が通信機器600の動作を制御するための命令を含む。メモリ602に格納されるソフトウェア603は、本発明のいくつかの機能性を提供するように装置を制御するための命令を含んでもよい。装置600は、通信ネットワークに無線インターフェースを提供するRFユニット605をさらに備える。さらに、装置600は、通信機器のユーザと相互作用するためのユーザインターフェースを備える。ユーザインターフェースは、例えば、ディスプレイおよびキーボードを備えてもよい。
【0066】
本書において、用語の「備える」、「含む」、および「含有する」の各々は、排他性を意図せずに、非制約表現として使用されることを理解されたい。
【0067】
本発明の特定の実装および実施形態について、VCCおよびSIP INVITEに関する非制限的な例を挙げて説明した。上に提示した実施形態の詳細に本発明を制限せずに、本発明の特徴から逸脱することなく、同等の手段を使用して他の実施形態において実装可能であることが、当業者には明白である。さらに、本発明について開示された実施形態の特徴のうちのいくつかを使用して、他の特徴を対応して使用せずに利益をもたらすことが可能である。したがって、前述の説明は、本発明の原理を単に例証するものとして考えられ、それを制限するものとして考えられるべきではない。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求項によってのみ制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット交換ネットワークを介する進行中の通信セッションを保持することと;
前記パケット交換ネットワークから、パケット交換アクセスおよび回線交換アクセスの両方を提供する第2のネットワークに前記通信セッションを移行することと;
前記進行中の通信セッションを管理するアプリケーションサーバに、前記通信セッションがパケット交換部分および回線交換部分に分離されるべきことを通知することと;
を含む、方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−157011(P2012−157011A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−38405(P2012−38405)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【分割の表示】特願2009−544421(P2009−544421)の分割
【原出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.イーサネット
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】