説明

通信ネットワークを用いた健康増進管理システム

【課題】通信ネットワークを用いて、契約ユーザが使用する健康増進機器の使用成果を容易に把握できる健康増進管理システムを提供する。
【解決手段】健康増進機器1についての使用情報を、通信ネットワーク上に設けたサービスサーバ21に送信して、該サービスサーバ21側で蓄積、管理するようにしたシステムであって、サービスサー21バは、契約ユーザ毎に、その個人識別情報とともに、健康増進機器1の使用データ、健康診断測定装置3で測定された健診データを受信し、受信した使用データと、健診データとの相関を示す統計処理データを、健康増進機器のそれぞれについて生成し、契約ユーザに対して閲覧を許可するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークを用いて、特定の健康増進機器を使用するユーザの日常生活における健康増進を支援する健康増進管理システムの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、ランニングマシンなどの健康増進機器の使用データや、血圧計、体脂肪率計などの家庭内健康診断測定装置の健診データを、通信ネットワーク上に設けたサーバに送信して、サーバ側で蓄積し、分析するようにした健康管理支援システムが提案されている。
【0003】
たとえば、次の特許文献1には、携帯型医療機器で心電図、血圧などの健診データを測定し、それらをホストコンピュータに送信し、ホストコンピュータで診断解析する技術が記載されている。
【0004】
さらに最近では、疾病予防、管理に活用するために、種々の企業等より提供を受けた匿名の健診データを電子カルテに連動させるシステムなどの実施が計画されている。
【0005】
このように、健康増進機器の使用情報や健診データをコンピュータで集中管理し、蓄積、分析等するためのネットワークシステムは、徐々に進化しつつあり、今後、急速に普及してゆくことが期待されている。
【特許文献1】特開平10−328147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、サーバやホストコンピュータで集中的に健康増進機器の使用データや健診データを管理できたとしても、ユーザが、使用している健康増進機器の効果を定量化して把握できるようにしなければ、ユーザにとって利用価値は低い。
【0007】
特に健康管理の意識の乏しい人にとっては、わかりやすい形で分析し、分析したデータ等を表示できなければ、健康増進活動を継続するというモチベーションを維持することは困難である。
たとえば、ユーザがある健康増進機器を継続使用することによって、体脂肪率、血糖値、尿酸値などの生理学的数値が改善されたにもかかわらず、その相関関係がユーザに把握されない場合には、ユーザにとって健康増進機器の価値は薄れ、健康機器の普及化を妨げる要因になっている。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮して提案されるもので、第1の目的は、通信ネットワークを用いて、契約ユーザが使用する健康増進機器の使用成果を分析し、容易に把握できる健康増進管理システムを提供することにある。
【0009】
また第2の目的は、ネットワーク上のサービスサーバで収集した多数の契約ユーザから回収したデータに基づいて、健康増進機器の使用成果や利点などを、すでに加入している他の契約ユーザや、新たに加入した契約ユーザに閲覧させることによって、契約ユーザに健康増進機器の有用性を理解させ、健康増進活動のモチベーションを向上させることにある。
【0010】
さらに、第3の目的は、契約ユーザが特定の健康増進機器を継続して使用した場合に、契約ユーザにインセンティブとなる付加的な利点を与えて、健康増進機器のメーカの販促、普及化に寄与するシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記第1の目的を達成するために提案される、請求項1に記載の通信ネットワークを用いた健康増進管理システムは、健康増進機器についての使用情報を、通信ネットワーク上に設けたサービスサーバに送信して、該サービスサーバ側で蓄積、管理するようにしたネットワーク健康増進管理システムであって、次の特徴を有している。
【0012】
すなわち、サービスサーバでは、契約ユーザから、ユーザの個人識別情報とともに、健康増進機器の使用データ、健康診断測定装置で測定された健診データを受信すると、受信した使用データと、健診データとの相関を示す統計処理データを、健康増進機器のそれぞれについて生成し、契約ユーザに対して閲覧を許可するようにしている。
【0013】
また第2の目的を達成するために提案される請求項2のシステムでは、統計処理データは、契約ユーザから収集した、それぞれの健康増進機器の使用データと健診データとを蓄積し、それらの収集した契約ユーザのデータを母集団として、所定の解析を行うことによって、健康増進機器の種別に応じて算出されるようにしている。
ここに、生成した統計処理データは、統計処理に使用することを許諾した契約ユーザを対象としており、契約ユーザの閲覧に供されることで、契約ユーザの健康増進活動のモチベーションを向上させるだけでなく、提携先の医療研究機関や健康保険組合に提供することによって、それら機関による健康指導や成人病予防対策などの発行、改善にも寄与させる構成にも出来る。
【0014】
さらに、第3の目的を達成するために提案される請求項3では、サービスサーバは、契約ユーザから健康増進機器の使用データを受信する毎に、予め定めた換算基準に基づいて利用度数ポイントを算出し、蓄積保存するようにしている。
ここに、利用度数ポイントは、健康増進機器の種別に応じて異なるが、ユーザの健康増進活動の実効性を確保するため、契約ユーザの身体的情報(身長、体重)を考慮した換算基準値を定めておくことが望ましい。
【0015】
請求項4では、健康増進機器は、それ自体で通信ネットワークに接続されて、サービスサーバをアクセスして、双方向通信を行うことのできる、ネットワーク対応型健康増進機器であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の通信ネットワークを用いた健康増進管理システムによれば、契約ユーザが、個人識別情報とともに健康増進機器の使用データと、健康診断測定装置で測定された健診データとをサービスサーバに送信すれば、サービスサーバでは、健康増進機器の使用データと健診デーとの相関を示す統計処理データを生成し、それをユーザが閲覧できるようにしているため、契約ユーザは自分が使用している健康増進機器に対して健診データの変化が把握でき、健康増進機器使用による成果を確認することができる。
そのため、契約ユーザには健康増進機器を使用し、健康増進活動を継続することの有用性が理解でき、モチベーションの維持に寄与する。
【0017】
請求項2に記載の健康増進管理システムによれば、統計処理データは、契約ユーザから収集した、それぞれの健康増進機器の使用データと健診データとを蓄積し、それらの収集した契約ユーザのデータを母集団として、所定の解析を行うことによって、健康増進機器の種別に応じて算出されるようにしている。
【0018】
このため、契約ユーザは、それらの母集団から収集した健康増進機器の使用データ、健診データをもとに生成した統計処理データを閲覧可能とすることにより、他のユーザとの比較において、使用データと使用成果を把握できるので、健康増進機器を使用するモチベーションを更に向上できる。
また、健康増進機器のメーカにとっては、健康増進に対する貢献度をアピールでき、それにより健康増進機器を広く普及させることができるばかりでなく、機器の改良、発展にもつながる。
また、生成した統計処理データを、病院や国の機関に提供することで、健康増進活動の有益性をアピールし、社会的な成人病予防対策などの臨床データとして有効利用できる。
【0019】
請求項3に記載の健康増進管理システムによれば、契約ユーザに対して、特定の健康増進機器を使用した場合に、所定の換算基準で特定された利用度数ポイントを付与するようにしているため、契約ユーザは利用度数ポイントを貯めることで付加的な利益が与えられ、健康増進活動を維持するモチベーションを更に向上できるとともに、メーカの健康増進機器の販促にも寄与できる。
【0020】
請求項4に記載の健康増進管理システムによれば、健康増進機器それ自体がネットワークを介してサービスサーバをアクセスできるようにしているため、契約ユーザは、住宅内のホームサーバやパソコンなどを接続付加する必要がなく、その健康増進機器だけでシステムを利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明システムの実施例を図とともに説明する。
図1は、本発明を適用した健康増進管理システムSの基本的な構成を示すネットワーク図である。
【実施例1】
【0022】
この例の健康増進システムSは、それぞれネットワークに対応した健康増進機器1であるウォーキングマシン1(#1)、健康診断測定装置3であるヘルスメータ3(#1)を備えた契約ユーザの住戸と、サービスサーバ21を設けた管理センタ2とを、インターネットなどのネットワークNを介して接続した基本構成をなすが、このシステムSに、健康増進機器としてペダル式健康増進機器1(#2)、乗馬式健康増進機器1(#3)などを設置したスポーツクラブのサーバ31や、後述するようにWebサーバ41等を追加してショッピングモール等を運営するポータルサイト4等を含めて構成してもよい。
ここに、乗馬式健康増進機器1(#3)は、馬の鞍を模した座部が上下、左右に揺れる構造になっており、その座部に乗ったユーザは乗馬感覚を楽しみながら自然に適度な足、腰の運動ができるものである。
【0023】
ユーザは、サービスサーバ21の運営者と契約することによって、契約ユーザとなり、契約ユーザの住戸は、ネットワークNと住戸内LANとの間にゲートウェイ機能を有するホームサーバ11を配し、住戸内LANには、ネットワーク対応型の健康増進機器1であるウォーキングマシン1(#1)、健康診断測定装置3であるヘルスメータ3(#1)、血圧計、血糖値測定器や、パーソナルコンピュータ12などが接続されている。
ネットワーク対応型の健康増進機器1や健康診断測定装置3は、契約ユーザが購入する他、運営者やレンタルするなどして準備する。
【0024】
契約ユーザの住戸に設置されたホームサーバ11は、図示しないHAラインや、照明用電源ラインを導出しており、それらに接続する空調機器などの設備機器や照明器具を、パーソナルコンピュータ12、あるいはネットワークNを通じて外部からリモート制御することができる。
【0025】
健康増進機器1、健康診断測定装置3は、歩数計1(#4)や図2に示した血圧計3(#2)等を含め、それらにブルーツース等による無線通信機能を与えて、パーソナルコンピュータ12と双方向通信できるようにし、パーソナルコンピュータ12を介してネットワークNに接続する構成にしてもよい。
【0026】
スポーツクラブは、ネットワークNに接続されたクラブ管理サーバ31から、構内LANが導出され、この構内LANに、ペダル式健康増進機器1(#2)や、乗馬式健康増進機器1(#3)を接続している。
また、健康増進機器1は、図示しないカードリーダを備えており、ユーザカードCからユーザID等を読み取って、機器ID、使用データと共に、後述するのと同様な手順で管理センタ2にデータを送信するようになっている。ユーザカードCはスポーツクラブで提供されるメンバーズカードをそのまま使用してもよい。
本発明では、契約ユーザは、住戸に居る他、スポーツクラブにおいても同様なサービスを受けることができ、健康増進機器1、健康診断測定装置3の設置される場所は問わない。
【0027】
図2は、ネットワーク対応型健康増進機器の基本的な構成例を示すブロック図である。
この健康増進機器はウォーキングマシン1(#1)を想定しており、1aはユーザが歩行運動するベルト部などで構成されるユーザ負荷手段を示し、操作パネルはハンドル中央部などユーザの見易い位置に設けられ、ユーザ負荷手段1aを制御するコントローラ1bが組込まれる。
【0028】
ここに、コントローラ1bは、CPU、ROM、RAM等で構成される制御部1cと、ユーザ負荷手段1aから出力されるユーザの運動量などを計測するデータ計測部1dと、各種操作スイッチや液晶パネル等で構成される表示操作部1eと、住戸内LANに接続するネットワーク通信部1fと、個人識別情報を記憶したカードリーダ13や血圧計3(#2)等を接続できるインタフェース部1gを備えている。
【0029】
このような構成のウォーキングマシン1(#1)では、ユーザが使用したときには、歩行速度等の運動量に基づいて使用データを算出し、表示出力すると共に、個人識別情報を付加して、管理センタ2に送信する。
より具体的に説明すると、コントローラ1bの制御部1cは、表示操作部1eによって予め入力したユーザ名とユーザIDとを設定記憶しており、ユーザ名を指定して使用したときには、その使用が終了したあと、その使用時間や、消費カロリー等を使用データとして算出され、ネットワーク通信部1fによって、ユーザID、機器毎に割当てられた機器IDと共に、管理センタ2のサービスサーバ21に所定のプロトコルで送信される。
使用データは、自動送信モードに選択設定している場合には、健康増進機器1を使用し、所定の運動を行った後に、管理センタ2のサービスサーバ21に自動送信されるが、そうでない場合には、送信ボタン(不図示)を操作したときに管理センタ2のサービスサーバ21に送信される。
【0030】
この送信処理を実行するため、制御部1cは、通信プログラムや、管理センタ2のネットワークアドレス等の設定情報を記憶している。なお、設定情報は、パーソナルコンピュータ12によって、リモートで設定操作できるようにしてもよい。
【0031】
また、ユーザの個人識別情報は、サービスサーバへの送信の前処理時に、操作表示部1eから入力する他、インタフェース部1gに接続したカードリーダ13を用いて、ユーザカードCからユーザ名やユーザIDなどの個人識別情報を読み取らせる構成にしてもよい。
また、図示しないが、指紋や掌の静脈などの生体識別情報の読取手段を設けて、生体識別情報を入力させる構成であってもよい。
【0032】
健診データは、機器1の使用前後に、血圧計3(#2)によって血圧を測定した後、サービスサーバ21に送信するようにしている。
健診データは、自動送信モードに選択設定している場合には、健康診断測定機器1で所定の測定を行った後に、管理センタ2のサービスサーバ21に自動送信されるが、そうでない場合には、送信ボタンを操作したときに、管理センタ2のサービスサーバ21に送信される。
【0033】
また、健康診断測定装置3をなすヘルスメータ3(#1)によって、ユーザ名を指定して体重を計測したときには、その体重が健診データとして、ユーザIDと共に、サービスサーバ21に送信される。送信プロトコルには、HTTP、POP等が利用できるが、それ以外のプロトコルでも構わない。
【0034】
また、歩数計1(#4)も類似した構成にできるが、ブルーツース等の無線通信機能により、パーソナルコンピュータ12をゲートウェイとして、住戸内LANに接続するようにする。
【0035】
なお、健康増進機器1は、管理センタ2と自ら双方向通信を行うことのできる構成として、ホームサーバ21や、パーソナルコンピュータPCなどの通信端末器に接続付加しないでも、ネットワークNに直接接続できるようにしてもよい。
【0036】
図3は、管理センタに設置されるサービスサーバの基本構成を説明するブロック図である。
この図に示すように、サービスサーバ21は、UNIX(登録商標)やWindows(登録商標)等のOSで動作するネットワークサーバ装置で構成され、そこでは、契約ユーザから送信されてくる個人識別情報、使用データ、健診データを受付けてデータベースDBに保存する入力・保存手段21aと、使用データと健診データとの相関関係を統計処理データに演算、変換する統計処理手段21bと、契約ユーザから受信した利用データを基にして、予め定めている換算基準に応じて利用度数データを算出し、累積するポイント算出手段21dと、ログイン要求があったときに契約ユーザを認証してユーザ用ホームページを閲覧させるユーザ用ホームページ手段21cとを備えている。
なお、データベースDBには、契約ユーザから入手した氏名、住所、年齢などの個人情報、身長、体重などの身体情報も蓄積されている。
【0037】
サービスサーバ21は、個人識別情報と共に、健康増進機器1の使用データ、健康診断測定装置3で測定した健診データ等を受信し、蓄積する。そして、契約ユーザがホームページをアクセスし、閲覧要求をしてきたときに、使用データと健診データとの相関を示す統計処理データを、契約ユーザの使用しているそれぞれの健康増進機器毎に生成し、認証した契約ユーザに対して、そのユーザの統計処理データの閲覧を許容する基本サービスを提供している。
なお、統計処理は受信のつど実施する構成であってもよい。
【0038】
また、健康増進機器1の使用データなどの種々の臨床データについて統計的利用について承諾を受けた契約ユーザから収集した、それぞれの健康増進機器1についての使用データ、健康診断測定装置3の健診データとを蓄積し、所定の解析を行うことによって、複数のユーザが所属する母集団について、健康増進機器1の種別毎に、その使用データと、各種健診データとの相関を示す統計処理データを自動生成する。
ここに、生成した統計処理データは、統計処理に使用することを許諾した契約ユーザを対象としており、契約ユーザの閲覧に供されることで、契約ユーザの健康増進活動のモチベーションを向上させるだけでなく、提携先の医療研究機関や健康保険組合に提供することによって、それら機関による健康指導や成人病予防対策などの発行、改善にも寄与させる構成にも出来る。
統計処理データの母集団は、システムに加入している全契約ユーザでもよいし、男女の性別区分や、特定の企業、団体に属する契約ユーザ、特定の年齢幅、伸長、体重を有した契約ユーザなどで種々グルーピングしたものでもよい。また契約ユーザには、特定の条件を設けて、閲覧を制限してもよい。
なお、1ユーザの期間毎の使用データ、健診データをサンプルデータとして統計処理を行い、使用データと健診データの相関を算出するようにしてもよい。
【0039】
上記統計処理データには、例えば消費カロリーと、体重の相関値等の相関値データと、そのユーザの母集団での位置付けを示したデータ等が含まれる。
これらデータは、ユーザ用ホームページ手段21cが、認証した契約ユーザ毎に準備するユーザ用ホームページに埋込まれ、契約ユーザは、パーソナルコンピュータ12などからユーザ用ホームページ手段21cにアクセスすることで閲覧できるので、自分が使用している健康関連機器の有益性を認識することができ、健康増進活動を維持する励みとなり、モチベーションを向上することができる。
【0040】
また、このようなサービスサーバ21では、契約ユーザが年齢、身長、体重などの身体情報を指定して、参考データの閲覧を要求して来たときには、蓄積しているデータのうちから、契約ユーザと類似した身体情報を有する別の契約ユーザのデータを検索し、健康増進機器の種別毎に、匿名ユーザとして相関値データを閲覧できるようにすれば、これから使用を始めるユーザに対して、健康増進機器を用いて健康増進活動を行った成果を見せることによって、新規契約ユーザのモチベーションを向上させることが出来る。
【0041】
なお、健康増進機器1の使用データを受信する毎に、種別毎に設定した換算基準で利用度数ポイントを算出し、蓄積保存するようにしてもよい。利用度数ポイントは、ユーザの身長、体重に基づいて算出されるMETSなどの代謝量を換算基準として反映させて定めるようにしてもよい。
【0042】
図4のステップ101〜111は、その基本動作の例を説明するフローチャートを示している。
【0043】
このフローチャートに従って基本動作を説明すると、入力・保存手段21aは、ユーザ個別情報であるIDを受付けてログインを許可したあと、受信データに含まれるユーザIDを判別する(ステップ101、102)。
そして、受信データに、健康増進機器1の使用データ、健康診断測定装置3の健診データが含まれているかどうかを判別し、双方が含まれていれば、それをデータベースDBに時系列的に蓄積し、ユーザの要求処理があるときには、統計処理手段21bによって、使用データと健診データとに所定の評価関数を作用させて算出した統計処理データを算出し、蓄積し、ユーザ用のホームページを更新する(ステップ101〜108)。
【0044】
たとえば、ある健康増進機器について、次式より、使用データと健診データとの相関値であるパラメータb0、b1、b2、b3を統計処理によって算出する方法が考えられる。
Y=b1*x1+b2*x2+b3*x3+b0
x1:ある期間中の健康増進機器の平均使用時間(分/日)
x2:ある期間中の健康増進機器の平均使用日数(日/週)
x3:ある期間中の平均摂取カロリー(cal/日)
Y:ある期間中の体重の減少量(kg重)
複数の契約ユーザのデータ処理(重回帰分析)を行えば、相関値データb0、b1、b2、b3が求まり、それによって、たとえば、「健康機器の使用日数の多い人は明らかに体重が減少する傾向が見られる」などの統計処理結果が得られる。
ここで、統計処理データには、相関値データそのもののほかに、そのパラメータと各ユーザのデータとにより判断される成果データ(達成度合い)や母集団内での位置付けを示すデータなども含まれる。
【0045】
また、受信データに、健康増進機器1の使用データのみが含まれているときには、ポイント算出手段21dによって、予め定めた換算基準に従ってポイントに換算して、そのユーザの利用度数ポイントに加算する(ステップ109〜111)。
【0046】
なお、サービスサーバ21では、健診データのみを受信し蓄積することで統計処理を行うようにしてもよい。
【0047】
さらに、ポータルサイト4は、サービスサーバ21とハイパーリンクされており、健康増進機器や、健康食品等を販売するショッピングモールを運営している。また、利用度数ポイントが貯まった契約ユーザには、それらの購入についての割引サービスや、交換商品を準備している。
【0048】
図5は、健康増進管理システムSを用いたビジネスモデルの一例を説明する系統図である。
健康増進管理システムSの運営会社のサービスサーバ21にリンクされたポータルサイト4のユーザ用ホームページ手段41は、バーチャルショッピングモールHP、HP(#1)・・・HP(#n)を構成しており、これらのショッピングモールでは、運営会社自らが健康増進機器1を自社製品として販売したり、レンタルする他、提携会社として、健康食品会社、健康を重視した食物、食品の食品メーカ、健康増進機器1を設置したスポーツクラブ、各種製品のメーカ、サービス会社、生命保険会社などを加え、それぞれのサイトにリンクさせ、利用度数ポイントの交換製品やサービス(ポイント交換サービス)を提供している。健康増進に関連する各種の商品、サービスに関係する企業、店舗とリンクした構成にしている。
ここに示す生命保険会社は、運営会社などが提供するプログラムに従って、健康増進活動を行い、臨床データを提供した契約ユーザが、所定の健康条件を充たしたときに、通常の保険料に対して割引優待サービスを行う会社を想定しているが、そのようなものに限られるものではない。
【0049】
また、このビジネスモデルでは、サービスサーバ21は、承認を受けた契約ユーザから入手した臨床データや、それを基にして得た統計データを、病院や大学などの研究医療機関、健康管理組合(図5では、産業医(企業)、健康管理者(自治体)と記入している)に対して提供することで、成人病の予防や、健康指導を行う公的機関との連鎖を構築して、これらの機関や組合から発行される健康指導の作成、改善などにも寄与させている。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を適用した健康増進管理システムの基本的な構成を示すネットワーク図。
【図2】健康増進機器のハード構成例を示すブロック図。
【図3】サービスサーバのハード構成例を示すブロック図。
【図4】サービスサーバにおける基本動作の例を説明するフローチャート。
【図5】健康増進管理システムを用いたビジネスモデルの全体構成を説明する系統図。
【符号の説明】
【0051】
S ネットワーク健康増進管理システム
N 通信ネットワーク
1 健康増進機器
2 管理センタ
21 サービスサーバ
3 健康診断測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康増進機器についての使用情報を、通信ネットワーク上に設けたサービスサーバに送信して、該サービスサーバ側で蓄積、管理するようにしたネットワーク健康増進管理システムであって、
上記サービスサーバは、契約ユーザ毎に、その個人識別情報とともに、上記健康増進機器の使用データ、健康診断測定装置で測定された健診データを受信し、
受信した使用データと、健診データとの相関を示す統計処理データを、健康増進機器のそれぞれについて生成し、契約ユーザに対して閲覧を許可するようにしている、通信ネットワークを用いた健康増進管理システム。
【請求項2】
請求項1において、
上記統計処理データは、上記契約ユーザから収集した、それぞれの健康増進機器の使用データと健診データとを蓄積し、それらの収集した契約ユーザのデータを母集団として、所定の解析を行うことによって、健康増進機器の種別に応じて算出されるようにしている、通信ネットワークを用いた健康増進管理システム。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記サービスサーバは、上記契約ユーザから上記健康増進機器の使用データを受信する毎に、予め定めた換算基準に従って利用度数ポイントを算出し、蓄積保存するようにしている、通信ネットワークを用いた健康増進管理システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
上記健康増進機器は、それ自体で通信ネットワークに接続されて、上記サービスサーバをアクセスして、双方向通信を行うことのできる、ネットワーク対応型健康増進機器である、通信ネットワークを用いた健康増進管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−156839(P2007−156839A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351223(P2005−351223)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】