説明

通信中継装置と通信制御方法およびプログラム

【課題】コンテンツ配信サービスと電話サービスを同時に利用したとき、通話音声が聞き取り難くなってしまうことを回避できるようにする。
【解決手段】音声信号転送部24は、受信した配信コンテンツの音声信号を音声出力装置34に転送する。呼制御部25は、電話サービスを利用するための呼制御を行う。中継制御部27は、呼制御部25によってセッションの確立が行われる相手先が、配信コンテンツ提供元であるとき、セッションの確立中は配信コンテンツの音声信号の転送を停止させる。電話機から出力される音声に配信コンテンツの音声が含まれても、音声出力装置から出力される音声と電話機から出力される音声が重畳することがないので、通話音声が聞き取り難くなってしまうことを回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信中継装置と通信制御方法およびプログラムに関する。詳しくは、配信コンテンツの提供元と通話を行っても、電話機から出力される音声に再生されている配信コンテンツの音声と等しい内容が含まれて音声の重複が生じないように、配信コンテンツの音声信号を音声出力装置に転送する処理を停止させるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットとLAN(Local Area Network)などのように2つのネットワークを相互に接続し、通信を中継する機器として例えばホームゲートウェイ(HGW)がある。ホームゲートウェイを用いると、宅外のインターネットに繋がった機器とパソコンなどの宅内LAN上の機器とで通信し、宅内から宅外のサービスや情報を利用することができる。
【0003】
ここで、ネットワークを介して提供されているサービスを利用するためには、利用するサービスに対応できる機能を有した機器が必要である。また、新たなサービスを利用するためには、通信機能をもつ汎用的な機器に新たなサービスを利用のために必要な機能を追加したり、新たなサービスを利用する機能を持った専用の機器を導入する必要がある。そこで、特許文献1の通信中継装置では、通信するデータの種類ごとにデータ中継先の機器を指定し、適切な複数の機器を適応的に選択することで、サービス利用のために必要な機能の追加やサービスを利用する機能を持った専用機器の導入等を行うことなく、種々のサービスを利用可能とすることが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−31795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のような通信中継装置を用いることで、ネットワークを介して提供されるサービスを複数同時に利用した場合、例えばIPプロトコルを用いたネットワークを介して提供される電話サービスとコンテンツ配信サービスを利用した場合、コンテンツ配信サービスが電話サービスに影響を与えてしまう場合がある。
【0006】
ここで、コンテンツ配信サービスが電話サービスに与える影響について説明する。配信コンテンツ提供元は、コンテンツ配信サービスを利用するとき、例えばコンテンツ利用者の映像表示装置の画面上に配信コンテンツ提供元の電話番号が表示されるように、配信コンテンツに配信コンテンツ提供元の電話番号を含めて配信する。コンテンツ利用者が視聴中の配信コンテンツの配信コンテンツ提供元に電話した場合、配信コンテンツがリアルタイムのコンテンツであり、配信コンテンツの音声が配信コンテンツ提供元の電話機のマイクで集音されると、コンテンツ利用者の電話機から出力される音声に配信コンテンツの音声が含まれる。また、配信コンテンツは、配信コンテンツ提供元から配信サーバに供給されて、配信サーバからネットワークを介してマルチキャスト配信される。このため、音声出力装置から出力される配信コンテンツの音声は、電話機から出力される音声に含まれている配信コンテンツの音声に比べて遅延を生じたものとなる。したがって、電話機から出力される通話音声に含まれた配信コンテンツの音声と遅延を生じて音声出力装置から出力される配信コンテンツの音声が重複した状態でコンテンツ利用者に聞こえることとなり、通話音声が聞き取り難くなってしまう。
【0007】
そこで、この発明では、コンテンツ配信サービスと電話サービスを同時に利用したとき、通話音声が聞き取り難くなってしまうことを回避できる通信中継装置と通信中継方法およびプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面は、受信した配信コンテンツの音声信号を音声出力装置に転送する音声信号転送部と、電話サービスを利用するための呼制御を行う呼制御部と、呼制御部によってセッションの確立が行われる相手先が、配信コンテンツにおいて示されている配信コンテンツ提供元であるとき、セッションの確立中は配信コンテンツの音声信号の転送を停止させる中継制御部とを備える通信中継装置にある。
【0009】
本発明の通信中継装置において、例えばコンテンツ配信サービスを利用しながら電話サービスを利用してコンテンツ提供者と通話を行ったときに、すなわち受信した配信コンテンツの音声信号が音声信号転送部によって音声出力装置に転送されている場合に、呼制御部によって、配信コンテンツにおいて示されている配信コンテンツ提供元とセッションが確立されたとき、中継制御部は、電話機から出力される音声に、コンテンツ配信サービスで配信された配信コンテンツの音声が含まれて、配信コンテンツの音声を出力する音声出力装置から出力される音声と電話機から出力される音声が重畳することのないように、音声信号転送部における配信コンテンツの音声信号の転送を停止させる。
【0010】
また、本発明の通信中継装置において、セッションが終了したときには音声の重畳を生じないことから、中継制御部は、セッションが終了したとき音声信号転送部における配信コンテンツの音声信号の転送を再開させる。さらに、セッションの確立中に配信コンテンツの切り換えが行われて、配信コンテンツ提供元がセッションの確立が行われている相手先と異なるものとなったときは音声の重畳を生じない。したがって、中継制御部は、配信コンテンツの音声信号の転送を再開させる。
【0011】
また、本発明の通信中継装置では、配信コンテンツ提供元とのセッションの確立が容易となるように、呼制御部は、電話機から特定の番号が通知されたとき配信コンテンツ提供元を相手先としてセッションの確立を行う。
【0012】
本発明の第2の側面は、受信した配信コンテンツの音声信号を音声出力装置に転送するステップと、電話サービスを利用するための呼制御を行うステップと、呼制御によってセッションの確立が行われる相手先が、配信コンテンツにおいて示されている配信コンテンツ提供元であるとき、セッションの確立中は配信コンテンツの音声信号の転送を停止させるステップとを備える通信制御方法にある。
【0013】
本発明の第3の側面は、受信した配信コンテンツの音声信号を音声出力装置に転送するステップと、電話サービスを利用するための呼制御を行うステップと、呼制御によってセッションの確立が行われる相手先が、配信コンテンツにおいて示されている配信コンテンツ提供元であるとき、セッションの確立中は配信コンテンツの音声信号の転送を停止させるステップとを実行させるプログラムにある。
【0014】
なお、本発明のプログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な汎用コンピュータに対して、コンピュータ読み取り可能な形式で提供する記憶媒体、通信媒体、例えば、CDやFD、MOなどの記憶媒体、あるいは、ネットワークなどの通信媒体によって提供可能なプログラムである。このようなプログラムをコンピュータ読み取り可能な形式で提供することにより、コンピュータ上でプログラムに応じた処理が実現される。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、受信した配信コンテンツの音声信号を音声出力装置に転送する処理と、電話サービスを利用するための呼制御が行われて、この呼制御によってセッションの確立が行われる相手先が、音声出力装置に転送している配信コンテンツの音声信号の提供元であるとき、このセッションの確立中は音声出力装置に配信コンテンツの音声信号を転送する処理が停止される。
【0016】
このため、電話機から出力される相手先の音声と音声出力装置から出力される音声が重畳されてしまうことがなく、コンテンツ配信サービスと電話サービスを同時に利用しても、通話音声が聞き取り難くなってしまうことを回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図を参照しながら、この発明の実施の一形態について説明する。図1は、通信システム10の構成を例示している。
【0018】
この通信システム10は、配信コンテンツ提供元の通信中継装置(ホームゲートウェイ:HGW)20Pとコンテンツ利用者の通信中継装置(ホームゲートウェイ:HGW)20Uが、IPプロトコルを用いたネットワーク、例えばSIP(Session Initiation Protocol)サーバ41を用いて構成された次世代ネットワーク(NGN)網40に接続されている。また、NGN網40には、コンテンツ配信サービスに用いる配信サーバ50が接続されている。
【0019】
通信中継装置20Pは、NGN網40を介して配信コンテンツの提供等を行うために、配信コンテンツ提供元の各機器をNGN網40に接続するためのものである。コンテンツ提供者は、例えば映像と音声からなる配信コンテンツの配信サービスを行う場合、映像コンテンツのコンテンツ信号を生成するための撮像装置31と音声コンテンツのコンテンツ信号を生成するためのマイク32を通信中継装置20に接続する。また、コンテンツ提供者は、電話サービスを利用する場合、IP電話機35を接続する。
【0020】
通信中継装置20Pは、撮像装置31から供給された映像信号やマイク32から供給された音声信号を配信コンテンツのコンテンツ信号として、NGN網40を介して配信サーバ50に供給する処理を行う。例えば、通信中継装置20Pは、撮像装置31から供給された映像信号やマイク32から供給された音声信号等のパケット化を行う。さらに、通信中継装置20Pは、配信コンテンツの映像や音声のパケットが統合されたコンテンツ配信サービスのメディアストリームを生成して、NGN網40を介して配信サーバ50に供給させる。通信中継装置20Pは、配信コンテンツのコンテンツ信号を配信サーバ50に供給する際に、配信コンテンツ提供元を示す固有の識別情報、例えば通信中継装置20Pに割り当てられた電話番号等を示す情報をコンテンツ信号に含める。
【0021】
また、通信中継装置20Pは、電話サービスのストリームを生成してNGN網40を介して通話先の通信中継装置等に供給させる。なお、通信中継装置20Pは、映像信号や音声信号が圧縮符号化処理されていないとき、映像信号や音声信号の圧縮符号化処理を行う。
【0022】
通信中継装置20Uは、NGN網40を介して提供されるサービスを利用できるように、コンテンツ利用者の各機器をNGN網40に接続するためのものである。コンテンツ提供者は、コンテンツ配信サービスを利用する場合、映像表示や音声出力を行うための映像音声出力装置34を通信中継装置20Uに接続する。また、コンテンツ利用者は、電話サービスを利用する場合にIP電話機35を接続する。なお、映像音声出力装置34は、テレビジョン装置のように映像出力と音声出力を行う装置に限られるものではなく、例えば映像出力のみを行う映像出力装置と音声出力のみを行う音声出力装置を用いるものとしてもよい。
【0023】
通信中継装置20Uは、NGN網40を介して配信サーバ50から配信されたコンテンツ信号を映像音声出力装置34に転送する処理を行う。例えば、通信中継装置20Uは、配信サーバ50から供給されたコンテンツ信号のパケット分離を行う。通信中継装置20Uは、配信サーバ50から供給されたコンテンツ信号のパケット分離を行うことにより分離された映像信号と音声信号を映像音声出力装置34に転送する。なお、映像音声出力装置34として映像出力装置と音声出力装置が設けられているとき、通信中継装置20Uは、コンテンツ信号のパケット分離を行うことにより分離された映像信号を映像出力装置、分離された音声信号を音声出力装置に転送する。
【0024】
また、通信中継装置20Uは、電話サービスのストリームを生成してNGN網40を介して通話先の通信中継装置等に供給させる。さらに、通信中継装置20Uは、コンテンツ配信サービスと電話サービスを同時に利用しても、通話音声が聞き取り難くなってしまうことがないように、音声信号の転送動作を制御する。なお、通信中継装置20Uは、圧縮符号化処理された映像信号や音声信号の伸張復号化処理が映像音声出力装置34で行われないとき、圧縮符号化処理されている映像信号や音声信号の伸張復号化処理を行う。
【0025】
また、通信システム10では、コンテンツ利用者を示す固有の識別情報として例えば通信中継装置20Uに電話番号等が割り当てられており、電話サービスを利用する場合、通信中継装置20P,20Uは、割り当てられている電話情報を用いて所望の通信中継装置とセッションを確立することで、セッションの確立された通信中継装置に接続されているIP電話機35を用いて通話を行えるようにする。
【0026】
図2は、通信中継装置の構成を例示している。通信中継装置20(20P,20U)は、外部ネットワークインタフェース部21、パケット統合/分離部22、映像信号転送部23、音声信号転送部24、呼制御部25、不揮発性メモリ部26、中継制御部27を有しており、各部はバス29を介して接続されている。
【0027】
外部ネットワークインタフェース部21は、NGN網40を介して通信を行うためのインタフェースである。外部ネットワークインタフェース部21は、NGN網40を介してコンテンツ信号を配信サーバ50に送信したり、配信サーバ50からNGN網40を介して供給されたコンテンツ信号を受信する。また、外部ネットワークインタフェース部21は、電話サービスを利用するとき、NGN網40を介して通話音声の音声信号を相手先のIP電話機に送信したり、NGN網40を介して相手先のIP電話機から供給された音声信号を受信する。
【0028】
パケット統合/分離部22は、外部ネットワークインタフェース部21で受信されたコンテンツ信号に対してパケット分離処理を行い、映像信号や音声信号を生成する。また、パケット統合/分離部22は、生成された映像信号を映像信号転送部23に供給し、生成された音声信号を音声信号転送部24に供給する。また、パケット統合/分離部22は、通話音声のパケットの分離や統合を行う。
【0029】
映像信号転送部23は、コンテンツ配信サービスを利用するとき、撮像装置31から供給された映像信号をパケット統合/分離部22に転送する処理や、パケット統合/分離部22から供給された映像信号を映像音声出力装置34に転送する処理を行う。
【0030】
音声信号転送部24は、コンテンツ配信サービスを利用するとき、マイク32から供給された音声信号をパケット統合/分離部22に転送する処理や、パケット統合/分離部22から供給された音声信号を映像音声出力装置34に転送する処理を行う。また、音声信号転送部24は、電話サービスを利用するとき、接続されているIP電話機35から供給された音声信号をパケット統合/分離部22に転送する処理や、パケット統合/分離部22から供給された通話音声の音声信号をIP電話機35に転送する処理を行う。
【0031】
呼制御部25は、IP電話機35で使用されるプロトコルとNGN網40で使用されるプロトコルを終端して、両プロトコルのプロトコル変換を行い、NGN網40を介した呼制御を行うためのものである。
【0032】
不揮発性メモリ部26は、通信中継装置20において行う中継動作に関する種々の設定状態等を記憶する。
【0033】
中継制御部27は、通信中継装置20の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)271、ROM(Read Only Memory)272、RAM(Random Access Memory)273を有している。
【0034】
CPU271は、例えばROM272に記憶されているプログラムをRAM273にロードして実行して、各部の動作を制御する。また、CPU271は、各部の動作の制御を行う際に、不揮発性メモリ部26に記憶されている情報を用いて、予め設定されている中継動作を通信中継装置で行わせる。例えば、CPU271は、ネットワークや接続されている装置の認証処理、アドレス管理やアドレス変換、ルーティング処理等を行い、通信中継装置に接続された装置と他の通信中継装置に接続された装置がNGN網を介して正しく通信を行うことができるように各部を制御する。さらに、CPU271は、NGN網40を介して提供されるコンテンツ配信サービスと電話サービスを同時に利用しても、通話音声が聞き取り難くなってしまうことがないように、音声信号転送部24の転送動作を制御する。
【0035】
図1において、通信中継装置20や配信サーバ50が接続されるNGN網40は、セッション管理サーバであるSIPサーバ41を用いて構成されている。このNGN網40は、通信事業者が提供するネットワークであり、通信事業者の管理下で品質や機能が保証された通信を行うことができる帯域保証型のネットワークである。
【0036】
NGN網40を用いた通信システム10では、SIPのプロトコルで通話制御が行われる。SIPでは、何らかの処理を行うとき、処理を要求するリクエストメッセージと、リクエストメッセージに対する応答を示すレスポンスメッセージの通信が行われる。
【0037】
SIPのメッセージは、スタートライン、ヘッダ、ボディで構成されている。スタートラインは、メッセージがどのような目的のメッセージであるかを示す情報を記述したものである。SIPのメッセージがリクエストメッセージであるとき、スタートラインにはメソッド名INVITE,BYE,UPDATE,ACK等が記述される。ここで、INVITEは、セッションの開始要求である。BYEは、セッションの終了である。UPDATEは、更新されたセッション情報の提供であり、ACKは、最終応答の受信の確認である。また、SIPのメッセージがレスポンスメッセージであるとき、スタートラインにはHTTP(Hypertext Transfer Protocol)と同様な3桁の番号で表現されるステータスコード200 OK,488 Not Acceptable Here等が記述される。ここで、200 OKは、リクエストの成功を示すものである。また、488 Not Acceptable Hereは、リクエストの受け入れ不能を示すものである。
【0038】
ヘッダは、メッセージの制御内容を記述したものであり、予め規定された意味を持つ複数のヘッダ行(例えばFrom,To,Call−ID等)で構成されている。
【0039】
ボディは、メッセージの添付情報を記述したものである。例えばINVITEメッセージでは、セッションの識別と、セッションで利用するメディアの種類等を指定する情報がSDP(Session Description Protocol)に従って記述される。
【0040】
配信サーバ50は、配信コンテンツ提供元から供給されたコンテンツ信号を1または複数のコンテンツ利用者に配信するためのものである。配信サーバ50は、マルチキャストアドレスを用いることで、特定グループ(以下「マルチキャストグループ」という)に属するコンテンツ利用者にのみコンテンツ信号を配信する。
【0041】
次に、通信システム10の動作について説明する。図3は、コンテンツ配信サービスが行われているときの動作を示している。なお、図3および後述する図は、撮像装置31で生成した映像信号とマイク32で生成した音声信号を、配信コンテンツのコンテンツ信号として配信する場合である。
【0042】
通信中継装置20Pは、撮像装置31から供給された映像信号を、NGN網40を介して配信サーバ50に送信する(FV1)。また、通信中継装置20Pは、マイク32から供給された音声信号を、NGN網40を介して配信サーバ50に送信する(FA1)。なお、撮像装置31から供給された映像信号とマイク32から供給された音声信号は、上述のように通信中継装置20Pでパケット化されたのち統合されてコンテンツ信号(メディアストリーム)として、配信サーバ50に供給および配信サーバ50から配信されるものである。しかし、動作の理解を容易とするため、図3および後述する図では、映像信号と音声信号を別々の矢印で図示している。
【0043】
配信サーバ50は、NGN網40を介して配信コンテンツのマルチキャスト配信を行う。すなわち、配信サーバ50は、通信中継装置20Pから供給された映像信号をマルチキャストグループ内のコンテンツ利用者の通信中継装置20Uに配信する(FV2)。また、配信サーバ50は、通信中継装置20Pから供給された音声信号をマルチキャストグループ内のコンテンツ利用者の通信中継装置20Uに配信する(FA2)。具体的には、配信サーバ50は、通信中継装置20Pから供給されたコンテンツ信号を配信する際にマルチキャストアドレスを用いるものとして、マルチキャストグループ内のコンテンツ利用者の通信中継装置20Uでのみコンテンツ信号を受信させる。
【0044】
コンテンツ利用者の通信中継装置20Uは、配信サーバ50から供給された映像信号を映像音声出力装置34に転送する(FV3)。また、通信中継装置20Uは、配信サーバ50から供給された音声信号を映像音声出力装置34に転送する(FA3)。通信中継装置20Uは、配信サーバ50から供給されたコンテンツ信号のパケット分離を行い、分離された映像信号を映像信号転送部23によって映像音声出力装置34に転送する。また、通信中継装置20Uは、分離された音声信号を音声信号転送部24によって映像音声出力装置34に転送する。したがって、コンテンツ配信サービスを利用するコンテンツ利用者は、映像音声出力装置34によって配信コンテンツを視聴することができる。
【0045】
次に、配信コンテンツを視聴しているときに電話サービスを利用して、視聴している配信コンテンツのコンテンツ提供者と通話を行う場合について図4〜図8を用いて説明する。
【0046】
コンテンツ利用者側に設けられているIP電話機35は、コンテンツ利用者の通話開始操作が行われたとき、図4に示すように、通話開始操作に応じたダイヤル信号等を生成して通信中継装置20Uに供給する(FT1)。コンテンツ利用者は、通話開始操作としてIP電話機35の操作キーの操作を行い、例えば配信コンテンツの視聴中に提示された配信コンテンツ提供元の電話番号を入力する。また、IP電話機35にコンテンツ提供者との通話を行う機能を割り当てた操作キーに設けておき、この操作キーが操作されたとき、IP電話機35は特定番号のダイヤル信号を生成して通信中継装置20Uに供給するものとしてもよい。
【0047】
配信コンテンツ提供元から供給された配信コンテンツのコンテンツ信号には、上述したように、配信コンテンツ提供元を示す固有の識別情報、例えば通信中継装置20Pに割り当てられた電話番号等を示す情報がコンテンツ信号に含まれている。したがって、コンテンツ利用者の通信中継装置20Uは、例えば通信中継装置20Pに割り当てられた電話番号を示す表示信号を生成して、映像信号転送部23から映像信号と共に映像音声出力装置34に供給することで、配信コンテンツの視聴中に配信コンテンツ提供元の電話番号を表示させることができる。また、コンテンツ利用者の通信中継装置20Uは、通信中継装置20Pに割り当てられた電話番号を記憶しておくことで、IP電話機35から特定番号のダイヤル信号が供給されたとき、記憶している電話番号を用いることでコンテンツ提供者との通話が可能となる。
【0048】
通信中継装置20Uは、IP電話機35からコンテンツ提供者との通話のためのダイヤル信号が供給されたとき、配信コンテンツ提供元のIP電話機35と通話ができるように、配信コンテンツ提供元の通信中継装置20Pとのセッションを確立させる。すなわち、通信中継装置20Uは、通信中継装置20Pを宛先としたリクエストメッセージすなわちINVITEメッセージを生成して、図5に示すようにINVITEメッセージをNGN網40に送信する(FT2)。
【0049】
NGN網40は、通信中継装置20Uから供給されたINVITEメッセージを、図6に示すように配信コンテンツ提供元の通信中継装置20Pに転送する(FT3)。
【0050】
通信中継装置20Uは、NGN網40を介してINVITEメッセージが供給されたとき、IP電話機35に対して呼び出し動作を行わせるための制御信号を供給する(FT4)。
【0051】
IP電話機35の呼び出し動作に対して、応答動作が配信コンテンツ提供元によって行われると、図7に示すように、IP電話機35はオフフック信号を通信中継装置20Pに供給する(FT5)。
【0052】
通信中継装置20Pは、IP電話機35からオフフック信号が供給されたことにより、受信したINVITEメッセージの受け入れを可能として、200 OKメッセージをレスポンスとして送信する(FT6)。
【0053】
NGN網40は、通信中継装置20Pから供給された200 OKメッセージを、INVITEメッセージの送信元の通信中継装置20Uに転送する(FT7)。
【0054】
INVITEメッセージを送信した通信中継装置20Uは、リクエストメッセージに対するレスポンスメッセージが200 OKメッセージであることから、通信中継装置20Pとの間でセッションを確立する。すなわち、図8に示すように、コンテンツ利用者の通信中継装置20Uに接続されたIP電話機35と、配信コンテンツ提供元の通信中継装置20Pに接続されたIP電話機35との間で双方向通信を行い、コンテンツ利用者とコンテンツ提供者で通話を行えるようにする(FT8)。なお、通信中継装置20Uは、セッションの確立を通信中継装置20Pで確認できるように、レスポンスメッセージの受信を示すACKメッセージを通信中継装置20Pに送信する処理が行われるが、図では省略している。
【0055】
ここで、通信中継装置20P(20U)の音声信号転送部24は、IP電話機35から供給された通話音声の音声信号をパケット統合/分離部22に供給して、他のパケットと統合して外部ネットワークインタフェース部21からNGN網40に出力する。また、通信中継装置20U(20P)の外部ネットワークインタフェース部21は受信した信号をパケット統合/分離部22に供給して通話音声の音声信号を分離する。また、通信中継装置20U(20P)の音声信号転送部24は、分離された通話音声の音声信号をIP電話機35に転送する。したがって、コンテンツ利用者の通信中継装置20Uに接続されたIP電話機35と、配信コンテンツ提供元の通信中継装置20Pに接続されたIP電話機35との間で通話が可能となる。
【0056】
通信中継装置20Uは、NGN網40を介して提供されるコンテンツ配信サービスと電話サービスを同時に利用しても、通話音声が聞き取り難くなってしまうことがないように、音声信号転送部24の転送動作を制御する。具体的には、通信中継装置20Uと通信中継装置20Pとの間でセッションが確立されているとき、通信中継装置20Uの中継制御部27は、音声信号転送部24を制御して、図8に示すように、コンテンツ信号から分離した音声信号を映像音声出力装置34に転送する処理を停止させる。
【0057】
図9は、コンテンツ利用者の通信中継装置20Uに接続されたIP電話機35において、コンテンツ提供者との通話操作が開始されたときの通信中継装置20Uの動作を示すフローチャートである。
【0058】
ステップST1で通信中継装置20UのCPU271は、通話先である配信コンテンツ提供元から配信されたコンテンツの音声信号を映像音声出力装置34に転送中であるか否か判別する。CPU271は、配信コンテンツの音声信号が転送中であると判別したときステップST2に進み、音声信号の転送が行われていないと判別したときステップST3に進む。
【0059】
ステップST2でCPU271は、音声重複フラグをON状態に設定してステップST3に進む。この音声重複フラグは、音声の重複を生じてしまう場合があるか否かを示すフラグであり、IP電話機35から出力される通話音声に映像音声出力装置34から出力される音声と等しい内容の音声が含まれるおそれがある場合、音声重複フラグをON状態に設定する。ここで、コンテンツ提供者との通話を行う際に、通話先の配信コンテンツ提供元から供給された配信コンテンツのリアルタイム再生が行われて、音声信号が映像音声出力装置34に転送されているときは、音声の重複を生じるおそれがあることから音声重複フラグをON状態に設定する。なお、音声重複フラグの初期状態、すなわち動作開始時の状態はOFF状態に設定されているものとする。
【0060】
ステップST3でCPU271は、配信コンテンツ提供元の通信中継装置20Pとのセッションが確立されたか否かを判別する。CPU271は、上述のようにリクエストメッセージとしてINVITEメッセージの送信を行い、このリクエストメッセージに対するレスポンスメッセージとして200 OKメッセージが供給されたとき、通信中継装置20Pとの間でセッションを確立する。ここで、セッションが確立されたことを判別したとき、CPU271はステップST4に進む。また、CPU271は、セッションが確立されなかったことを判別したとき、例えばコンテンツ提供者が、IP電話機35の呼び出し動作に対する応答操作を行わなかったことにより、レスポンスメッセージとして200 OKメッセージが供給されなかったとき、処理を終了する。
【0061】
ステップST4でCPU271は、音声重複フラグがON状態に設定されているか否かを判別する。CPU271は、音声重複フラグがON状態に設定されているときステップST5に進む。また、CPU271は、音声重複フラグがOFF状態に設定されているときステップST6に進む。
【0062】
ステップST5でCPU271は、音声信号転送停止状態に設定してステップST7に進む。すなわち、CPU271は、IP電話機35から出力される音声に映像音声出力装置34から出力される音声と等しい内容の音声が含まれるおそれがあることから、音声信号転送部24の動作を制御して、音声の重複が生じないように、配信サーバ50から供給された配信コンテンツの音声信号を映像音声出力装置に転送する処理を停止させてステップST7に進む。
【0063】
ステップST6でCPU271は、音声信号転送状態に設定してステップST7に進む。すなわち、CPU271は、IP電話機35から出力される音声に、映像音声出力装置34から出力される音声と等しい内容の音声が含まれるおそれがないことから、配信サーバ50から供給された配信コンテンツの音声信号を、音声信号転送部24によって、映像音声出力装置34に転送させてステップST7に進む。
【0064】
ステップST7でCPU271は、セッションが終了したか否かを判別する。CPU271は、通信中継装置20Pとのセッションが終了したと判別したときステップST8に進む、例えば、通信中継装置20Uまたは通信中継装置20Pに接続されたIP電話機35でオンフック操作が行われたときセッションを終了してステップST8に進む。また、CPU271は、セッションが終了していないと判別したときステップST7に戻る。
【0065】
ステップST8でCPU271は、音声重複フラグがON状態に設定されているか否かを判別する。CPU271は、音声重複フラグがON状態に設定されていると判別したときステップST9に進む。また、CPU271は、音声重複フラグがOFF状態であると判別したとき処理を終了する。
【0066】
ステップST9でCPU271は、音声重複フラグをOFF状態に設定してステップST10に進む。ステップST10でCPU271は、音声信号転送状態に設定して処理を終了する。すなわち、通信中継装置20Pとのセッションが終了ことにより、IP電話機35から通話音声が出力されなくなるので、音声の重複を生ずることがない。したがって、音声重複フラグをOFF状態に設定して、映像音声出力装置34から配信コンテンツの音声を出力させる。
【0067】
このように、コンテンツ提供者との通話操作が行われたとき、通話先である配信コンテンツ提供元から配信された配信コンテンツの音声信号が映像音声出力装置34に転送中である場合には、音声重複フラグがON状態に設定される。また、配信コンテンツ提供元とのセッションが確立されている期間中は、音声重複フラグに応じて音声信号の転送動作が制御されて、音声重複フラグがON状態であるとき、映像音声出力装置34への音声信号の転送が停止される。このため、IP電話機35から出力される音声に映像音声出力装置34から出力される配信コンテンツの音声と等しい内容の音声が含まれるおそれがあるときは、映像音声出力装置34から配信コンテンツの音声が出力されないので、音声が重複して通話音声が聞き取り難くなってしまうことを回避できる。
【0068】
また、配信コンテンツ提供元とのセッションが終了したときには、音声重複フラグがOFF状態に設定されて、配信コンテンツの音声信号の転送が再開される。このため、音声信号の転送が停止されたままとなって、映像音声出力装置34から配信コンテンツの音声が出力されない状態が通話終了後も継続されてしまうことを回避できる。
【0069】
ところで、図9に示すフローチャートの処理では、音声重複フラグがON状態でセッションが確立中であるとき、映像音声出力装置34から配信コンテンツの音声が出力されない状態に保たれる。したがって、セッションの確立中に、配信コンテンツの切り換えを行って、通話中のコンテンツ提供者が提供している配信コンテンツとは異なる配信コンテンツを新たに選択しても、この選択した配信コンテンツの音声を映像音声出力装置34から出力させることができない。
【0070】
そこで、通信中継装置20Uは、セッションの確立中に配信コンテンツの切り換えが行われて、音声の重複を生じるおそれがなくなったときには、配信コンテンツの音声信号を音声信号転送部24から映像音声出力装置34に転送して、新たに選択した配信コンテンツの音声を映像音声出力装置34から出力させるものとしてもよい。
【0071】
図10は、コンテンツ利用者の通信中継装置20Uにおける他の動作を示すフローチャートであり、セッションの確立中であっても、音声の重複を生じるおそれがなくなったときには、配信コンテンツの音声を出力させる場合を示している。
【0072】
ステップST21で通信中継装置20UのCPU271は、通話先である配信コンテンツ提供元から配信されたコンテンツの音声信号を映像音声出力装置34に転送中であるか否か判別する。CPU271は、配信コンテンツの音声信号が転送中であると判別したときステップST22に進み、音声信号の転送が行われていないと判別したときステップST23に進む。
【0073】
ステップST22でCPU271は、音声重複フラグをON状態に設定してステップST23に進む。この音声重複フラグは、上述したように、音声の重複を生じてしまう場合があるか否かを示すフラグである。ここで、コンテンツ提供者との通話を行う際に、通話先の配信コンテンツ提供元から供給された配信コンテンツのリアルタイム再生が行われて、音声信号が映像音声出力装置34に転送されているときは、音声の重複を生じるおそれがあることから音声重複フラグをON状態に設定する。なお、音声重複フラグの初期状態、すなわち動作開始時の状態はOFF状態に設定されているものとする。
【0074】
ステップST23でCPU271は、配信コンテンツ提供元の通信中継装置20Pとのセッションが確立されたか否かを判別する。CPU271は、上述のようにリクエストメッセージとしてINVITEメッセージの送信を行い、このリクエストメッセージに対するレスポンスメッセージとして200 OKメッセージが供給されたとき、通信中継装置20Pとの間でセッションを確立する。ここで、セッションが確立されたとき、CPU271はステップST24に進む。また、CPU271は、セッションが確立されなかったとき処理を終了する。
【0075】
ステップST24でCPU271は、音声重複フラグがON状態に設定されているか否かを判別する。CPU271は、音声重複フラグがON状態に設定されていると判別したときステップST25に進む。また、CPU271は、音声重複フラグがOFF状態に設定されていると判別したときステップST26に進む。
【0076】
ステップST25でCPU271は、音声信号転送停止状態に設定してステップST27に進む。すなわち、CPU271は、IP電話機35から出力される音声に映像音声出力装置34から出力される音声と等しい内容の音声が含まれるおそれがあることから、音声信号転送部24の動作を制御して、音声の重複が生じないように、配信サーバ50から供給された配信コンテンツの音声信号を映像音声出力装置に転送する処理を停止させてステップST27に進む。
【0077】
ステップST26でCPU271は、音声信号転送状態に設定してステップST27に進む。すなわち、CPU271は、IP電話機35から出力される音声に、映像音声出力装置34から出力される音声と等しい内容の音声が含まれるおそれがないことから、配信サーバ50から供給された配信コンテンツの音声信号を、音声信号転送部24によって、映像音声出力装置34に転送させてステップST27に進む。
【0078】
ステップST27でCPU271は、セッションが終了したか否かを判別する。CPU271は、通信中継装置20Pとのセッションが終了していないと判別したときステップST28に進み、セッションが終了したと判別したときステップST32に進む。
【0079】
ステップST28でCPU271は、配信コンテンツの切り換えが行われたか否かを判別する。CPU271は、配信コンテンツの切り換えが行われたと判別したときステップST29に進む。例えば映像音声出力装置34でチャンネル切り換え操作が行われて、新たな配信コンテンツの要求が映像音声出力装置34から供給されたとき、通信中継装置20Uは、例えば配信サーバ50から配信されている新たな配信コンテンツを受信して、この受信した配信コンテンツの映像信号と音声信号を映像音声出力装置34に転送する。また、CPU271は、配信コンテンツの切り換えが行われたと判別してステップST29に進む。また、CPU271は、配信コンテンツの切り換えが行われていないと判別したときステップST24に戻る。
【0080】
ステップST29でCPU271は、音声の重複のおそれがあるか否かを判別する。CPU271は、音声の重複のおそれがあると判別したときステップST30に進み、音声の重複のおそれがあると判別したときステップST31に進む。CPU271は、例えば通話先の配信コンテンツ提供元と切り換え後の配信コンテンツの配信コンテンツ提供元が一致するとき、音声の重複のおそれがあると判別する。また、通話先の配信コンテンツ提供元と切り換え後の配信コンテンツの配信コンテンツ提供元が一致しないとき、音声の重複のおそれがないと判別する。また、通話先の配信コンテンツ提供元と切り換え後の配信コンテンツの配信コンテンツ提供元が一致する否かの判定は、通話先の配信コンテンツ提供元の電話番号と、切り換え後の配信コンテンツのコンテンツ信号に含まれている配信コンテンツ提供元の電話番号等の情報を用いて行うことができる。ここで、切り換え後の配信コンテンツのコンテンツ信号に含まれている配信コンテンツ提供元の電話番号が、通話先の電話番号と一致しないときはステップST31に進む。また、配信コンテンツの切り換えを繰り返し行ったことで、切り換え後の配信コンテンツのコンテンツ信号に含まれている配信コンテンツ提供元の電話番号が、通話先の電話番号と一致するようになったときはステップST30に進む。
【0081】
ステップST30でCPU271は、音声重複フラグをON状態に設定してステップST24に戻る。また、ステップST31でCPU271は、音声重複フラグをOFF状態に設定してステップST24に戻る。
【0082】
このステップST24からステップST31の処理を行うものとすると、通話中に配信コンテンツの切り換えが行われて音声の重複のおそれがなくなると、音声重複フラグがOFF状態に設定されて、配信コンテンツの音声信号を映像音声出力装置34に転送する処理が再開される。また、配信コンテンツの切り換えが繰り返し行われて音声の重複のおそれが生じた場合には、音声重複フラグがON状態に設定されて、配信コンテンツの音声信号を映像音声出力装置34に転送する処理が停止される。このため、音声の重複が生じるおそれがある場合にのみ映像音声出力装置34からの配信コンテンツの音声出力を停止させることができる。
【0083】
ステップST27でセッションの終了と判別されてステップST32に進むと、ステップST32でCPU271は、音声重複フラグがON状態に設定されているか否かを判別する。CPU271は、音声重複フラグがON状態に設定されていると判別したときステップST33に進む。また、CPU271は、音声重複フラグがOFF状態に設定されていると判別したとき処理を終了する。
【0084】
ステップST33でCPU271は、音声重複フラグをOFF状態に設定してステップST34に進む。ステップST34でCPU271は、音声信号転送状態に設定して処理を終了する。すなわち、通信中継装置20Pとのセッションが終了ことにより、IP電話機35から通話音声が出力されなくなるので、音声の重複を生ずることがない。したがって、音声重複フラグをOFF状態に設定して、映像音声出力装置34から配信コンテンツの音声を出力させる。
【0085】
このような処理を行うものとすると、セッションの確立されている期間中に、配信コンテンツの切り換え操作が行われて音声の重複を生じるおそれが無くなったときには、音声重複フラグがOFF状態に設定されて、切り換え後の配信コンテンツの音声信号を映像音声出力装置34に転送する処理が行われる。したがって、通話中の配信コンテンツ提供元が提供している配信コンテンツとは異なる配信コンテンツを新たに選択しても、この選択した配信コンテンツの音声が映像音声出力装置34から出力されなくなってしまうことを防止できる。さらに、配信コンテンツの切り換えを繰り返し行ったことにより、通話中の配信コンテンツ提供元が提供している配信コンテンツが選択されて、音声の重複を生じるおそれが生じても、音声重複フラグがON状態に設定されて、切り換え後の配信コンテンツの音声信号を映像音声出力装置34に転送する処理が停止されるので、配信コンテンツ提供元からの通話音声が聞き取り難くなってしまうことを確実に回避できる。
【0086】
また、通信中継装置は、プログラムを実行可能なコンピュータに対して、コンピュータ読み取り可能な形式で提供する記憶媒体、通信媒体、例えば、CDやFD、MOなどの記憶媒体、あるいは、ネットワークなどの通信媒体によって、上述の通信中継動作を行わせるプログラムをコンピュータに提供する。このようなプログラムをコンピュータ読み取り可能な形式で提供することにより、コンピュータ上でプログラムに応じた処理が実現されて、上述のように配信コンテンツ提供元からの通話音声が聞き取り難くなってしまうことを回避できるようになる。
【0087】
なお、上述の実施の形態では、配信コンテンツが映像信号と音声信号を含む場合を示したが、本願発明は、音声信号の重複を防止するものであることから、配信コンテンツが音声信号のみを含む場合であってもよい。
【0088】
また、IPプロトコルを用いるネットワークとして、リアルタイムに映像等を配信できるように帯域保証型のネットワークであるNGN網40を用いた場合を説明したが、例えば配信コンテンツが音声信号のみを含む場合、ベストエフォート型のネットワークを用いるものとしてもよい。配信コンテンツが音声信号である場合、データ量が少ないことからリアルタイムで音声を再生することが可能となり、このような場合にも、本願発明を適用すれば、帯域保証型のネットワークを用いた場合と同様な作用効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
この発明では、配信コンテンツの提供元と通話を行ったことにより、電話機から出力される音声に、再生されている配信コンテンツの音声と等しい内容が含まれても、電話機から出力される音声と音声出力装置から出力される音声が重複しないように、配信コンテンツの音声信号を音声出力装置に転送する処理が停止される。したがって、ネットワークを介してコンテンツの配信サービスと電話サービスを同時に利用する場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】通信システムの構成を示す図である。
【図2】通信中継装置の構成を示す図である。
【図3】コンテンツ配信サービスが行われているときの動作を説明するための図である。
【図4】視聴している配信コンテンツのコンテンツ提供者と通話を行う場合の動作を説明するための図である。
【図5】視聴している配信コンテンツのコンテンツ提供者と通話を行う場合の動作を説明するための図である。
【図6】視聴している配信コンテンツのコンテンツ提供者と通話を行う場合の動作を説明するための図である。
【図7】視聴している配信コンテンツのコンテンツ提供者と通話を行う場合の動作を説明するための図である。
【図8】視聴している配信コンテンツのコンテンツ提供者と通話を行う場合の動作を説明するための図である。
【図9】通信中継装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】通信中継装置の他の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
10・・・通信システム、20,20P,20U・・・通信中継装置、21・・・外部ネットワークインタフェース部、22・・・パケット統合/分離部、23・・・映像信号転送部、24・・・音声信号転送部、25・・・呼制御部、26・・・不揮発性メモリ部、27・・・中継制御部、29・・・バス、31・・・撮像装置、32・・・マイク、34・・・映像音声出力装置、35・・・IP電話機、40・・・NGN網、41・・・SIPサーバ、50・・・配信サーバ、271・・・CPU、272・・・ROM、273・・・RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した配信コンテンツの音声信号を音声出力装置に転送する音声信号転送部と、
電話サービスを利用するための呼制御を行う呼制御部と、
前記呼制御部によってセッションの確立が行われる相手先が、前記配信コンテンツにおいて示されている配信コンテンツ提供元であるとき、前記セッションの確立中は前記配信コンテンツの音声信号の転送を停止させる中継制御部と
を備える通信中継装置。
【請求項2】
前記中継制御部は、前記セッションの確立中に前記配信コンテンツの切り換えが行われて、前記配信コンテンツ提供元が前記セッションの確立が行われている相手先と異なるものとなったとき、前記配信コンテンツの音声信号の転送を再開させる
請求項1記載の通信中継装置。
【請求項3】
前記中継制御部は、前記セッションを終了したとき、前記配信コンテンツの音声信号の転送を再開させる
請求項2記載の通信中継装置。
【請求項4】
前記呼制御部は、電話機から特定の番号が通知されたとき、前記配信コンテンツ提供元を前記相手先としてセッションの確立を行う
請求項1記載の通信中継装置。
【請求項5】
受信した配信コンテンツの音声信号を音声出力装置に転送するステップと、
電話サービスを利用するための呼制御を行うステップと、
前記呼制御によってセッションの確立が行われる相手先が、前記配信コンテンツにおいて示されている配信コンテンツ提供元であるとき、前記セッションの確立中は前記配信コンテンツの音声信号の転送を停止させるステップと
を備える通信制御方法。
【請求項6】
コンピュータに、
受信した配信コンテンツの音声信号を音声出力装置に転送するステップと、
電話サービスを利用するための呼制御を行うステップと、
前記呼制御によってセッションの確立が行われる相手先が、前記配信コンテンツにおいて示されている配信コンテンツ提供元であるとき、前記セッションの確立中は前記配信コンテンツの音声信号の転送を停止させるステップと
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−302807(P2009−302807A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153785(P2008−153785)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】