説明

通信制御システム、通信制御装置、通信制御方法、及びプログラム

【課題】ハンドオーバを頻繁に行う場合に調整の効率を向上する。
【解決手段】通信方式記憶部306は、軌道に沿う各地点で使用すべき通信方式を記憶する。また、測位部105は、移動体が存在する地点を測定する。そして、切り替え制御部307は、測位部105が測定した地点に関連付けられた通信方式を通信方式記憶部306から読み出し、車両100と基地局200との間の通信方式を当該読み出した通信方式に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御システム、通信制御装置、通信制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一部の航空機や列車などの公共交通機関では、それらの旅客向けの情報サービスとして、機内または車内に公衆無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントを設置し、航空無線や列車無線などを介したインターネットへの接続サービスが提供されている。
【0003】
例えば非特許文献1には、LCX(Leaky Coaxial Cable:漏洩同軸ケーブル)方式による列車無線システムを利用した旅客へのインターネットへの接続サービスについて記載されている。本方式によれば、鉄道沿線にLCXを布設し、移動局である列車とLCXとの間で無線通信を行う。本方式は、列車とLCXとが近接して無線通信を行うため、フェージング変動が少なく、回線が高品質かつ安定する。これにより、トンネルなどの多い乗車中の環境、すなわち、携帯電話などの移動公衆網を利用したデータ通信サービスが利用しづらい環境においても、旅客のインターネット接続のニーズを満たすことができる。
【0004】
ところで近年、携帯電話などの携帯情報端末の発展は目覚ましく、動画像などのいわゆるリッチコンテンツの利用が進展しており、携帯情報端末が通信に用いる情報量が大きくなっている。このことから、公共交通機関におけるインターネットへの接続サービスにおいても、通信容量を増大させたいという要望がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“東海道新幹線デジタル列車無線の開発と導入”、[online]、株式会社日立製作所、[平成23年9月12日検索]、インターネット〈URL: http://www.hitachihyoron.com/2010/02/pdf/02a05.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LCX方式による列車無線システムでは、メガヘルツ帯の電波を用いて通信を行っている。そこで、通信の広帯域化を図るためには、ギガヘルツ帯などのより周波数の高い帯域の電波を用いて通信を行うことが好ましい。
【0007】
しかしながら、ギガヘルツ帯などの高周波数の電波は直進性が強く、例えば列車無線システムに適用するには、軌道に沿って、短い間隔で基地局を連続的に設置する必要がある。その場合、列車の進行に応じ、ある基地局から次の基地局への切り替え、すなわち、ハンドオーバを頻繁に次々と行う必要が生じる。
【0008】
このとき、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11規格の無線LANなど、受信信号の明瞭度に応じて変調方式を自動調整する通信方式を用いる場合、ハンドオーバが発生する都度、エラー率の測定などを行い、最適な変調方式のパラメータを調整する必要がある。最適値に調整されるまでの間は、通信が安定せずエラー率が高くなり、伝送効率が下がる可能性があるため、ハンドオーバを頻繁に行う場合、調整の効率を向上することが課題と想定されている。
【0009】
また、トンネルの入口など、地形によってフェージング環境が変化する特異点が存在する場合、車両が当該特異点を通過するときに一時的にエラー率が高くなる。車両の速度が大きい場合、このような特異点においてエラー率が悪化するのは極めて短時間である。しかし、短い時間であっても、例えば回線が途切れてしまうと、回線への再接続を行う必要があり、通信効率の大きなロスとなってしまうという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、上述した課題を解決する通信制御システム、通信制御装置、通信制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、所定の軌道に沿って移動する移動体と、前記軌道に沿って所定間隔をおいて配置された基地局との間の通信方式を制御する通信制御システムであって、前記軌道に沿う各地点で使用すべき通信方式を記憶する通信方式記憶部と、前記移動体が存在する地点を検出する測位部と、前記測位部が検出した地点に関連付けられた通信方式を前記通信方式記憶部から読み出し、前記移動体と前記基地局との間の通信方式を当該読み出した通信方式に切り替える切り替え制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、所定の軌道に沿って移動する移動体と、前記軌道に沿って所定間隔をおいて配置された基地局との間の通信方式を制御する通信制御方法であって、前記移動体が存在する地点を検出するステップと、前記測位部が検出した地点に関連付けられた通信方式を、前記軌道に沿う各地点で使用すべき通信方式を記憶する通信方式記憶部から読み出し、前記移動体と前記基地局との間の通信方式を当該読み出した通信方式に切り替えるステップとを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、所定の軌道に沿って移動する移動体と、前記軌道に沿って所定間隔をおいて配置された基地局との間の通信方式を制御する通信制御装置であって、前記軌道に沿う各地点で使用すべき通信方式を記憶する通信方式記憶部と、前記移動体から、当該移動体が存在する地点を取得する位置取得部と、前記位置取得部が取得した地点に関連付けられた通信方式を前記通信方式記憶部から読み出し、前記移動体及び前記基地局に対して、前記読み出した通信方式への切り替えの要求を出力する切り替え制御部とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、所定の軌道に沿って移動する移動体と、前記軌道に沿って所定間隔をおいて配置された基地局との間の通信方式を制御する通信制御装置を、前記移動体から、当該移動体が存在する地点を取得する位置取得部、前記位置取得部が取得した地点に関連付けられた通信方式を、前記軌道に沿う各地点で使用すべき通信方式を記憶する通信方式記憶部から読み出し、前記移動体及び前記基地局に対して、前記読み出した通信方式への切り替えの要求を出力する切り替え制御部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、所定の軌道に沿って移動する移動体が当該軌道に沿って設けられた基地局と高周波数の電波を用いて通信する場合に、ハンドオーバ時に高速に適切な通信方式へ切り替えることができる。また、本発明によれば、トンネルの入口など、地形によってフェージング環境が変化する場合においても、適切に通信方式を切り替えることで通信回線の断絶などの極端な事象を発生させず、通信を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態による通信制御システムの概要を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による通信制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図3】通信方式記憶部が記憶する情報の例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による車両走行時における通信制御システムの動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態による隣接走行する車両が存在する際の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態による通信方式記憶部が記憶する情報を更新する動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態による通信制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施形態による通信方式記憶部が記憶する情報を更新する動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明による通信制御システムの基本構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
《第1の実施形態》
図1は、本発明の第1の実施形態による通信制御システムの概要を示す図である。
通信制御システムは、決まった軌道上を走行する複数の車両100−1〜100−M(以下、車両100−1〜100−Mを総称する場合は車両100と表記する)からなる車上側と、当該軌道上に設けられた複数の基地局200−1〜200−N(以下、基地局200−1〜200−Nを総称する場合は基地局200と表記する)と基地局200の制御を行う基地局集約装置300とからなる地上側とに大別され、当該車上側と地上側との通信の制御を行う。
なお、通信制御システムにおいて、基地局集約装置300はインターネット400に接続されている。これにより、車両100に乗車しているユーザのユーザ端末(図示せず)は、車両100、基地局200及び基地局集約装置300を介して、インターネット400に接続することができる。
【0018】
図2は、本発明の第1の実施形態による通信制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
【0019】
車両100は、アンテナ101、送受信部102、客室内AP部103(AP:Access Point)、通信方式制御部104、測位部105、電界強度計測部106、通信状態記録部107、通信状態記憶部108を備える。
アンテナ101は、基地局200との通信に用いる電波の捕捉及び出力を行う。
送受信部102は、通信方式制御部104が設定した通信方式を用いて、アンテナ101を介して基地局200との情報の送受信を行う。なお、送受信部102は、基地局200との通信における通信エラー率を算出する。また、送受信部102は、基地局200から当該基地局200が設けられた地点における気象の情報を受信する。
客室内AP部103は、車両100の客室においてユーザ端末と無線により通信し、当該ユーザ端末を、基地局200及び基地局集約装置300を介してインターネット400に接続する。なお、ユーザ端末と客室内AP部103との通信手段は、有線による接続であっても良い。
通信方式制御部104は、基地局200との通信に用いる変調方式などの通信方式の情報を、基地局200を介して基地局集約装置300から取得する。また、通信方式制御部104は、取得した通信方式での通信を行うよう送受信部102を制御する。
測位部105は、車速パルスを用いた累積走行距離の計算等により自車両が存在する地点を測定する。なお、測位部105は、累積走行距離の計算のほか、例えばGPS(Global Positioning System)等の測定方法を用いて、またはそれらを組み合わせて自車両の存在する地点を測定しても良い。なお、測位部105が測定した地点を示す位置情報は、送受信部102によって基地局200を介して基地局集約装置300に送信される。これにより、基地局集約装置300は、各車両100が現在存在する地点を把握することができる。
電界強度計測部106は、アンテナ101が捕捉した電波の電界強度を計測する。
通信状態記録部107は、電界強度計測部106が計測した電界強度、送受信部102が算出した通信エラー率、送受信部102が用いた通信方式、送受信部102が受信した気象情報、及び測位部105が測定した地点を示す位置情報を、関連付けて通信状態記憶部に記録する。
通信状態記憶部108は、軌道を1回通行する際の、各地点における通信状態の履歴を記憶する。
【0020】
基地局200は、アンテナ201、送受信部202、上位系通信部203、気象センサ204、通信方式制御部205を備える。
アンテナ201は、車両100との通信に用いる電波の捕捉及び出力を行う。
送受信部202は、通信方式制御部205が設定した通信方式を用いて、アンテナ201を介して車両100との情報の送受信を行う。
上位系通信部203は、送受信部202が車両100から受信した情報を、基地局集約装置300に送信する。
気象センサ204は、雨量計等のセンサから構成されており、降水量などの気象情報を測定する。
通信方式制御部205は、車両100との通信に用いる変調方式などの通信方式の情報を、基地局集約装置300から取得する。また、通信方式制御部205は、取得した通信方式での通信を行うよう送受信部202を制御する。
【0021】
基地局集約装置300は、下位系通信部301、インターネット通信部302、気象状態取得部303、位置取得部304、隣接算出部305、通信方式記憶部306、切り替え制御部307、通信状態履歴記憶部308、平滑化部309、通信方式更新部310を備える。
【0022】
下位系通信部301は、基地局200との情報の送受信を行う。
インターネット通信部302は、基地局200及び車両100を介してユーザ端末から受信したリクエストを、インターネット400を介して所望のサーバに送信し、外サーバからレスポンスを受信する。
気象状態取得部303は、下位系通信部301が基地局200から受信した気象情報を取得する。
位置取得部304は、下位系通信部301が基地局200を介して車両100から受信した位置情報を取得する。
隣接算出部305は、位置取得部304が取得した複数の位置情報に基づいて、車両100同士が所定の時間内(例えば、10秒)に隣接するかを算出する。なお、本実施形態において車両100が隣接して走行する状態とは、上り車線を走行する車両100と下り車線とを走行する車両100とがすれ違うこと、並行する車線において2つの車両100が併走すること、またはある車両100が停止している他の車両100を追い越すことである。
【0023】
図3は、通信方式記憶部306が記憶する情報の例を示す図である。
通信方式記憶部306は、図3に示すように、軌道の始点からの走行距離ごとに、対応する基地局200のID、電界強度、推奨変調方式(使用すべき通信方式)を記憶する。また、これら受信環境のデータは、降水量などの気象条件にも依存するため、図3に示すように、降水量に応じて異なる、複数のデータベースとして記憶される。
ここで、通信方式記憶部306が記憶する推奨変調方式には、地形(トンネルの有無など)によってフェージングが発生しやすい地点には、ビットエラー率が低い変調方式が割り当てられる。他方、フェージングが発生しにくい地点には、ビットレートが高い変調方式が割り当てられる。また、降水量が高い場合、フェージングが発生しやすくなるため、降水量が低い場合と比較してビットエラー率が低い変調方式が割り当てられる。
また、通信方式記憶部306は、図3に示す情報と別に、隣接して走行する車両100が用いる変調方式(隣接走行時の変調方式)を、車種毎に記憶する。これは、車両100が隣接して走行する際に、強いフェージングが発生するため、通常の場合と異なりビットエラー率が低い変調方式で通信を行うことが好ましいからである。なお、隣接走行時の変調方式としては、通信方式記憶部306が記憶する通信方式のうち最もビットレートが低い通信方式を用いることが好ましい。
【0024】
切り替え制御部307は、気象状態取得部303が取得した気象情報及び位置取得部304が取得した位置情報に関連付けられた推奨変調方式を通信方式記憶部306から読み出し、当該変調方式を用いる指示を示す通信方式情報を、基地局200及び車両100に送信する。また、切り替え制御部307は、隣接算出部305によって所定の時間内に隣接して走行することが算出された場合、隣接して走行する車両100が用いる変調方式を通信方式記憶部306から読み出す。そして、切り替え制御部307は、読み出した変調方式を示す通信方式情報を、隣接して走行すると判定された車両100及び隣接して走行する区間に設置された基地局200に対して送信する。
【0025】
通信状態履歴記憶部308は、軌道における各地点における通信状態の履歴を示す情報を記憶する。具体的には、各地点における過去の電界強度の指数移動平均値を記憶する。
平滑化部309は車両100から、軌道を始点から終点まで走行した後に通信状態記憶部108に記録された情報を取得する。また、平滑化部309は、通信状態履歴記憶部308が記憶する情報を用いて、取得した情報に指数移動平均の算出による平滑化処理を行う。
通信方式更新部310は、通信状態履歴記憶部308が記憶する情報が示す各地点における電界強度の情報に基づいて、各地点において適した変調方式を特定し、通信方式記憶部306が記憶する推奨変調方式を更新する。
【0026】
次に、第1の実施形態による通信制御システムの動作について説明する。
まず、ある車両100が軌道の始点から終点まで走行しているときにおける車両100と基地局200との通信動作について説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態による車両100走行時における通信制御システムの動作を示すフローチャートである。
【0027】
車両100と基地局200との通信が確立すると、車両100は測位部105が測定した位置情報や自車両の速度を基地局集約装置300へ送信する。また、基地局集約装置300の切り替え制御部307は、車両100の位置や降水量などに対応した変調方式と、その有効区間の情報を通信方式記憶部306から検索し、車両100の送受信部102と、対応する基地局200の送受信部202との双方に設定する(ステップS101)。
【0028】
ここで、ステップS101の具体的な手順について説明する。まず、車両100の送受信部102は測位部105が測定した位置情報及び自車両の速度を、基地局200に送信する。次に、基地局200の送受信部202が車両100から位置情報及び速度を受信すると、上位系通信部203は、送受信部202から位置情報及び速度を取得し、気象センサ204から気象情報を取得する。そして、上位系通信部203は、取得した位置情報、速度及び気象情報を、基地局集約装置300に送信する。基地局集約装置300の下位系通信部301が基地局200から情報を受信すると、気象状態取得部303は下位系通信部301が受信した情報から気象情報を取得する。また、位置取得部304は、下位系通信部301が受信した情報から位置情報及び速度を取得する。次に、切り替え制御部307は、気象状態取得部303が取得した気象情報及び位置取得部304が取得した位置情報に関連付けられた通信方式及び対応基地局ID、並びに当該通信方式に対応する最大の累積走行距離を通信方式記憶部306から読み出す。ここで、当該通信方式に対応する最大の累積走行距離とは、車両100が現在通信している変調方式を変化させる地点を示す。なお、変調方式を変化させる地点の例としては、トンネルの入り口など地形によりフェージング環境が変化する地点が挙げられる。そして、下位系通信部301は、切り替え制御部307が読み出した通信方式及び累積走行距離を、読み出した対応基地局IDが示す基地局200に送信する。基地局200の上位系通信部203が、基地局集約装置300から通信方式及び累積走行距離を受信すると、通信方式制御部205は、受信した通信方式で通信を行うよう送受信部202の制御を行う。また、送受信部202は、上位系通信部203が受信した通信方式及び累積走行距離を、車両100に送信する。車両100の送受信部102が通信方式及び累積走行距離を受信すると、通信方式制御部104は、受信した通信方式で通信を行うように送受信部102を制御する。
これにより、基地局200及び車両100は、変調方式を設定することができる。
【0029】
次に、車両100の送受信部102は、ステップS101にて設定した変調方式を用いて、車両100と基地局200との間に通信回線のリンクを維持すると共に、その間のパケットエラー等の通信エラー率を計測する(ステップS102)。これにより、例えばユーザ端末より、客室内AP部103を介してインターネット400へのアクセス要求があった場合に、送受信部102は、当該回線を経由して接続を行う。
【0030】
次に、車両100の通信状態記録部107は、位置情報、対応基地局ID、電界強度、変調方式、通信エラー率、気象情報などを、連続的に通信状態記憶部108に記録する(ステップS103)。なお、通信状態記録部107が記録する位置情報は、測位部105によって測定された地点を示す位置情報である。また、対応基地局IDは、ステップS102で通信回線のリンクを張った基地局200を示すIDである。また、電界強度は、電界強度計測部106が計測する電界強度である。また、変調方式は、送受信部102が通信方式制御部104によって設定された変調方式である。また、通信エラー率は、ステップS102で送受信部102が計測した通信エラー率である。また、気象情報は、基地局200の気象センサ204が検知し、基地局200から送信された気象情報である。
【0031】
次に、通信方式制御部104は、基地局集約装置300から、隣接走行の発生予告を受信したか否かを判定する(ステップS104)。具体的には、基地局集約装置300の隣接算出部305は、ステップS101で位置取得部304が取得した位置情報及び速度に基づいて、各車両100の現在位置を算出する。このとき、隣接算出部305は、2つの車両100間の距離が所定の閾値未満(例えば、車両100同士が10秒後に隣接し得る距離)になっている場合、下位系通信部301は、基地局200を介して隣接走行の発生予告を当該2つの車両100に送信する。
【0032】
通信方式制御部104が、ステップS104で、隣接走行の発生予告を受信していないと判定した場合(ステップS104:NO)、送受信部102は、ステップS101において算出している蓄積したビットエラー率が、規定値より劣化するなどの変化があるか否かを判定する(ステップS105)。送受信部102が、ビットエラー率の劣化があったと判定した場合(ステップS105:YES)、通信方式制御部104は、ビットエラー率が適性値となるようリアルタイムで変調パラメータの調整を行う(ステップS106)。そして、以降ステップS102の処理に戻り、通信を継続する。
【0033】
他方、送受信部102が、ビットエラー率の劣化がないと判定した場合(ステップS105:NO)、通信方式制御部104は、測位部105が計測した車両100の位置情報と、ステップS101で基地局集約装置300から取得した累積走行距離(変調方式の有効区間の情報)とを比較する。そして、通信方式制御部104は、車両100の現在位置が有効区間の終端に到達したか否かを判定する(ステップS107)。有効区間の終端に到達したということは、すなわちフェージング環境が変化する特異点などに到達したということである。通信方式制御部104が、車両100の現在位置が有効区間の終端に到達していないと判定した場合(ステップS107)、ステップS102に戻り、通信を継続する。
【0034】
他方、ステップS107にて有効区間の終端に到達したと判定した場合、通信方式制御部104は、車両100が軌道の終点に到達したか否かなどの、車両100の運行の可否を判定する(ステップS108)。通信方式制御部104は、運行継続であると判定した場合(ステップS108:NO)、ステップ101に戻って新たな変調方式の設定を行う。他方、通信方式制御部104が、運行終了であると判定した場合、処理を終了する。
【0035】
上述した動作により、基地局集約装置300の通信方式記憶部306に保持された最適な変調パラメータを常に利用しつつ、かつ、急激な気象変動など、予測し得ない事由により通信環境の変化があった場合にも、その影響を最小限に留めて通信を継続することが可能となる。
【0036】
なお、車両100が現在の変調方式の有効区間の走行中に、すなわち現在通信している変調方式を変化させる地点へ到達する前に、現在の基地局200と次の基地局200との境界に到達した場合、車両100、該当する基地局200、及び基地局集約装置300は、ハンドオーバ処理を行う。このとき、車両100の送受信部102及び該当する基地局200の送受信部202は、変調方式の自動的な再調整などを行わずに、現在設定されている変調方式での通信を継続するよう、ハンドオーバ処理を行う。このように、本実施形態によればハンドオーバ時に調整処理を要しないため、基地局の設置間隔が狭くハンドオーバを頻繁に次々と行う必要がある場合にも、高速に適切な通信方式へ切り替え、回線の接続を保持し続けることができる。
【0037】
次に、ステップS104で隣接走行の発生予告を受信した場合の動作について説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態による隣接走行する車両100が存在する際の動作を示すフローチャートである。
基地局集約装置300の下位系通信部301が隣接走行の発生予告を送信すると、隣接算出部305は、ステップS101で位置取得部304が取得した速度と車両100の移動方向に沿う長さとに基づいて、隣接走行の開始予定時刻及び位置、並びに車両100同士が隣接して走行している時間(隣接走行が継続する時間)を算出する。そして、隣接算出部305は、切り替え制御部307に、隣接走行の開始予定時刻及び位置、隣接走行が継続する時間、並びに隣接走行することとなる車両100のID及び車種を通知する(ステップS201)。
【0038】
次に、切り替え制御部307は、隣接算出部305から通知された車種に関連付けられた、隣接走行する際の変調方式を、通信方式記憶部306から読み出す。そして、下位系通信部301は、読み出した変調方式での通信を行わせる通信方式情報、隣接走行の開始予定時刻及び位置、並びに隣接走行が継続する時間を、隣接走行する車両100及び隣接走行の区間に設置された基地局200に送信する(ステップS202)。これにより、隣接走行する車両100の通信方式制御部104及び隣接走行の区間に設置された基地局200の通信方式制御部205は、隣接走行する際の変調方式で送受信部102及び送受信部202を制御することができる。
【0039】
次に、車両100の送受信部102は、ステップS202にて設定した変調方式を用いて、車両100と基地局200との間に通信回線のリンクを維持すると共に、その間のパケットエラー等の通信エラー率を計測する(ステップS203)。なお、ここでは通信状態記録部107は、ステップS103のように電界強度などの情報を通信状態記憶部108に記録しない。隣接走行中の電界強度は、隣接走行によって発生するフェージングの影響で通常時より弱くなる。そのため基地局集約装置300の通信方式更新部310がこのような一時的な情報を用いて通信方式記憶部306が記憶する通信方式の更新を行ってしまうと、効率の悪い通信方式に更新されてしまうおそれがある。したがって、隣接走行中の情報を通信状態記憶部108に記録しないことにより、通信方式更新部310は、隣接走行していないときの電界強度を用いて通信方式の決定を行うことができる。これにより、通信方式記憶部306が記憶する通信方式を適切に更新することができる。
【0040】
次に、通信方式制御部104は、隣接走行が終了したか否かを判定する(ステップS204)。具体的には、通信方式制御部104は、ステップS203で隣接走行する際の変調方式での通信を開始した時刻からの経過時間が、ステップS202で基地局集約装置300から受信した、隣接走行が継続する時間に達した場合に、隣接走行が終了したと判定する。通信方式制御部104は、隣接走行の途中であると判定した場合(ステップS204:NO)、ステップ203に戻り、変更した変調方式での通信を継続する。他方、通信方式制御部104は、隣接走行が終了したと判定した場合(ステップS204:YES)、図4に示すステップS109の隣接走行処理を終了する。そして、ステップS101に戻り、現在位置に対応した変調方式での通信を開始する。
【0041】
このように、車両100の隣接走行が発生する場合においても、車両100と基地局200との間の通信方式を最適な通信方式、すなわちビットエラー率が低い変調方式に変更することで、通信の断絶などを防ぐことができる。
【0042】
次に、基地局集約装置300の通信方式記憶部306が記憶する情報を更新する動作について説明する。
図6は、本発明の第1の実施形態による通信方式記憶部306が記憶する情報を更新する動作を示すフローチャートである。
【0043】
第1の実施形態では、図4に示すように、各車両100の通信状態記録部107は走行時、その軌道上の位置情報、対応基地局ID、電界強度、変調方式、通信エラー率、気象情報などを連続的に通信状態記憶部108に記録する。こうして各車両100に、軌道に沿った全ての位置での情報を格納しておき、車両100が軌道の終点に到達すると、基地局集約装置300の平滑化部309は、通信状態記憶部108に蓄積された情報を一括して取得する(ステップS301)。
【0044】
次に平滑化部309は、取得した情報に含まれる位置情報毎に、通信状態履歴記憶部308が記憶する電界強度の履歴のうち該当する降水量に関連付けられた電界強度に最新値を反映する(ステップS302)。このとき、平滑化部309は、単に値を最新値へ置き換えるのではなく、通信状態履歴記憶部308が記憶する過去の電界強度に重み付けして最新値との平均を取る指数移動平均などの手法を用いて最新値を反映する。これにより、一過性の事象には過度に影響を受けずに電界強度の履歴を更新することができる。
【0045】
次に、通信方式更新部310は、最新値が反映された電界強度に応じた変調方式を導出する(ステップS303)。具体的には、通信方式更新部310は、電界強度と推奨変調方式とを関連付けた情報を予め記憶しており、当該情報に基づいて、通信状態履歴記憶部308が記憶する電界強度に対応する推奨変調方式を読み出すことで、変調方式を導出する方法が挙げられる。
【0046】
次に、通信方式更新部310は、導出した変調方式を従来の変調方式と比較し、異なる変調方式であるか否かを判定する(ステップS304)。通信方式更新部310は、導出した変調方式と従来の変調方式とが異なると判定した場合(ステップS304:YES)、通信方式が該当する位置情報に関連付けて記憶する変調方式を更新する(ステップS305)。
【0047】
他方、通信方式更新部310は、導出した変調方式と従来の変調方式とが同じであると判定した場合(ステップS304:NO)、またはステップS305で変調方式を更新した場合、ステップS302〜S305の処理が軌道の終点分まで完了しているか否かを判定する(ステップS306)。通信方式更新部310は、ステップS302〜305の処理が終点分まで完了していないと判定した場合(ステップS306:NO)、ステップS302に戻り、完了していると判定した場合(ステップS306:YES)、処理を終了する。
【0048】
このようにして、例えば運行終了後の夜間などに、車両100に蓄積されたデータを一括して基地局集約装置300にアップロードすることにより、旅客の通信に影響を与えることなく、大量の履歴情報を送信し、通信方式記憶部306が記憶する情報の更新を行うことができる。
【0049】
このように、本実施形態によれば、切り替え制御部307は、測位部105が測定した地点に関連付けられた通信方式を通信方式記憶部306から読み出し、車両100と基地局200との間の通信方式を当該読み出した通信方式に切り替える。これにより、ハンドオーバが発生する際や、車両がフェージング環境が変化する特異点に進入する際に、受信信号の明瞭度に応じた変調方式の自動調整せずに、通信方式記憶部306が記憶する最適な変調方式を用いた通信を行うことができる。したがって本実施形態によれば頻繁にハンドオーバが生じる状況下において伝送効率の低下を防ぐことができる。また、本実施形態によれば、トンネルなど軌道周辺の物理構造に起因するフェージングにより、局所的な通信エラーが恒常的に発生する場所においても、予めフェージングには影響されづらい変調方式に設定しておくことで、通信の断絶などの極端な事象を防ぐことができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、隣接算出部305は、測位部105が測定した位置情報に基づいて、隣接走行の開始予定時刻を算出する。また、切り替え制御部307は、隣接算出部305が算出した時刻における車両100と基地局200との間の通信方式を、地点に関連付けられた通信方式に優先して所定の通信方式に切り替える。これにより、複数の車両100が隣接走行することで強いフェージングが発生することが予測される場合に、ビットエラー率の低い所定の通信方式を用いることで、伝送効率の低下を防ぐことができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、隣接算出部305は、車両100の移動速度と移動方向に沿う長さとに基づいて、車両100同士が隣接して走行している時間を算出する。また、切り替え制御部307は、隣接算出部305が算出した時間の間、車両100と基地局200とに所定の通信方式での通信を行わせる。これにより、隣接走行している車両100は、隣接走行が終了したときに、直ちに隣接走行以前の通信方式に切り替えることができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、切り替え制御部307は、隣接して走行する車両100が用いる変調方式として、通信方式記憶部306が記憶する通信方式のうち最もビットレートが低い通信方式に切り替える。これにより、隣接走行によってフェージングが発生したとしても、確実な通信を確保することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、電界強度計測部106は、車両100と基地局200との間で通信を行う際の複数の地点における電界強度を計測する。また、通信方式更新部310は、電界強度計測部106が計測した各地点の電界強度に基づいて、通信方式記憶部306が記憶する各地点の通信方式を更新する。これにより、例えば軌道の沿線において開発が進んで通信環境が変化した場合にも、通信方式記憶部306が記憶する通信方式を現在の環境に適合させることができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、平滑化部309は、電界強度計測部106が計測した各地点の電界強度を、各地点の過去の電界強度を用いて平滑化する。また、通信方式更新部310は、平滑化部309が平滑化した各地点の電界強度に基づいて、通信方式記憶部306が記憶する各地点の通信方式を更新する。これにより、偶発的な通信エラーなど一過性の事象に過度な影響を受けずに通信方式記憶部306が記憶する各地点の通信方式を更新することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、通信方式更新部310は、車両100同士が隣接していないときの電界強度を用いて通信方式を更新する。これにより、通信方式更新部310は、通信方式記憶部306が記憶する通信方式を適切に更新することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、気象状態取得部303は、基地局200が存在する地点における気象状態を取得する。また、通信方式記憶部306は、気象条件に関連付けて通信方式を記憶する。また、切り替え制御部307は、気象状態取得部303が取得した気象状態が満たす気象条件に関連付けられた通信方式を通信方式記憶部306から読み出す。これにより、車両100と基地局200とは、天候に関わらず適切な通信方式で通信を行うことができる。
【0057】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
上述した第1の実施形態では、車両100が通信状態記憶部108を備え、通信方式更新部310が、通信状態記憶部108が記憶する情報を用いて通信方式記憶部306が記憶する通信方式の更新を行うものである。そこで、第2の実施形態は、これらの情報を車両100ではなく、基地局200に一時的に蓄積し、車両100が当該基地局200との通信を終了した後、当該基地局200が蓄積した情報を、基地局集約装置300にアップロードするものである。
【0058】
図7は、本発明の第2の実施形態による通信制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
第2の実施形態による通信制御システムは、第1の実施形態による車両100が備える通信状態記録部107及び通信状態記憶部108に代えて、基地局200が通信状態記録部206及び通信状態記憶部207を備えるものである。
【0059】
次に、第2の実施形態による通信制御システムの動作について説明する。
なお、第2の実施形態における車両100走行時の通信動作は、図4に示すステップS103の動作を行わない以外、第1の実施形態のそれとおおむね変わらない。
【0060】
次に、第2の実施形態において、基地局集約装置300の通信方式記憶部306が記憶する情報を更新する動作について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態による通信方式記憶部306が記憶する情報を更新する動作を示すフローチャートである。なお、図6に示す第1の実施形態における動作と同じところは、同じ符号を用いて説明する。
【0061】
まず、ある車両100が基地局200の通信区間内に進入し、当該車両100と基地局200との通信が開始すると、基地局200の通信状態記録部206は、車両100が自装置の通信区間を通過したか否かを判定する(ステップS401)。通信状態記録部206は、車両100がまだ基地局200の通信区間内に存在すると判定した場合(ステップS401:NO)、車両100の位置情報、電界強度、変調方式、通信エラー率、気象情報などを、連続的に通信状態記憶部207に記録する(ステップS402)。なお、通信状態記録部206が記録する位置情報は、車両100の測位部105が測定して送受信部102が送信した位置情報である。また、電界強度は、車両100の電界強度計測部106が計測して送受信部102が送信した電界強度である。また、変調方式は、送受信部202が通信方式制御部205によって設定された変調方式である。また、通信エラー率は、送受信部202が計測した通信エラー率である。また、気象情報は、気象センサ204が検知した気象情報である。
【0062】
他方、通信状態記録部206が、車両100が基地局200の通信区間を通過したと判定した場合(ステップS401:YES)、上位系通信部203は、通信状態記憶部207に蓄積された情報を一括して基地局集約装置300に送信する。そして、基地局集約装置300の平滑化部309は、下位系通信部301が受信した情報を一括して取得する(ステップS403)。
以降、上述した第1の実施形態におけるステップS302〜ステップS306の処理を実行する。
【0063】
このように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と比べ、車両100が通信状態記憶部108を備える必要がないため、一般的に搭載スペースなど、物理的制約のより厳しい車両100の要件を緩和することができる。また、各基地局200は、車両100がそれぞれの基地局200の区間を通過した後で、蓄積した情報を一括してアップロードする。つまり、車両100が自装置との通信を終了し、隣接する基地局200との通信を開始してからアップロードを行うことで、第1の実施形態と同様、旅客の通信に影響を与えることなく、大量のデータを送信することができる。
【0064】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、車両100が電界強度計測部106を備える場合を説明したが、これに限られない。例えば、基地局200がアンテナ201が捕捉する電界強度を計測する電界強度計測部を備えていても良いし、車両100と基地局200の双方が電界強度計測部を備えていても良い。
また、上述した実施形態では、基地局200の送受信部202が通信エラー率を計測する場合を説明したが、これに限られない。例えば、車両100の送受信部102が通信エラー率を計測しても良いし、車両100と基地局200の双方が通信エラー率を計測しても良い。
【0065】
また、上述した実施形態では、通信方式記憶部306が車種に関連付けて隣接走行時の通信方式を記憶する場合を説明したが、これに限られず、隣接走行時の通信方式として1つの通信方式を記憶するようにしても良い。
【0066】
《基本構成》
図9は、本発明による通信制御システムの基本構成を示す概略ブロック図である。
上述した実施形態では、本発明による通信制御システムの一実施形態として図2、図7に示す構成について説明したが、本発明による通信装置の基本構成は、図9に示すとおりである。
すなわち、本発明による通信制御システムは、通信方式記憶部306、測位部105、及び切り替え制御部307を基本構成とする。
【0067】
通信方式記憶部306は、軌道に沿う各地点で使用すべき通信方式を記憶する。また、測位部105は、移動体が存在する地点を測定する。そして、切り替え制御部307は、測位部105が測定した地点に関連付けられた通信方式を通信方式記憶部306から読み出し、移動体と基地局200との間の通信方式を当該読み出した通信方式に切り替える。
これにより、通信制御システムは、所定の軌道に沿って移動する移動体が当該軌道に沿って設けられた基地局200と高周波数の電波を用いて通信する場合に、ハンドオーバ時に高速に適切な通信方式へ切り替えることができる。
【0068】
上述の車両100、基地局200、及び基地局集約装置300は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0069】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0070】
100、100−1〜100−M…車両 101…アンテナ 102…送受信部 103…客室内AP部 104…通信方式制御部 105…測位部 106…電界強度計測部 107…通信状態記録部 108…通信状態記憶部 200、200−1〜200−N…基地局 201…アンテナ 202…送受信部 203…上位系通信部 204…気象センサ 205…通信方式制御部 300…基地局集約装置 301…下位系通信部 302…インターネット通信部 303…気象状態取得部 304…位置取得部 305…隣接算出部 306…通信方式記憶部 307…切り替え制御部 308…通信状態履歴記憶部 309…平滑化部 310…通信方式更新部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軌道に沿って移動する移動体と、前記軌道に沿って所定間隔をおいて配置された基地局との間の通信方式を制御する通信制御システムであって、
前記軌道に沿う各地点で使用すべき通信方式を記憶する通信方式記憶部と、
前記移動体が存在する地点を測定する測位部と、
前記測位部が測定した地点に関連付けられた通信方式を前記通信方式記憶部から読み出し、前記移動体と前記基地局との間の通信方式を当該読み出した通信方式に切り替える切り替え制御部と
を備えることを特徴とする通信制御システム。
【請求項2】
前記軌道に沿って複数の移動体が移動し、
前記測位部が測定した地点に基づいて、前記移動体同士が隣接して走行する時刻を算出する隣接算出部を備え、
前記切り替え制御部は、前記隣接算出部が算出した時刻における前記移動体と基地局との間の通信方式を、前記通信方式記憶部が記憶する測位部が測定した地点に関連付けられた通信方式に優先して、所定の通信方式に切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の通信制御システム。
【請求項3】
前記隣接算出部は、前記移動体の移動速度と移動方向に沿う長さとに基づいて、前記移動体同士が隣接して走行している時間を算出し、
前記切り替え制御部は、前記隣接算出部が算出した時間の間、前記移動体と基地局とに前記所定の通信方式での通信を行わせる
ことを特徴とする請求項2に記載の通信制御システム。
【請求項4】
前記切り替え制御部は、前記移動体同士が隣接して走行する場合における通信方式として、前記通信方式記憶部が記憶する通信方式のうち最もビットレートが低い通信方式に切り替えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の通信制御システム。
【請求項5】
前記移動体と前記基地局との間で通信を行う際の複数の地点における電界強度を計測する電界強度計測部と、
前記電界強度計測部が計測した各地点の電界強度に基づいて、前記通信方式記憶部が記憶する各地点の通信方式を更新する通信方式更新部と
を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の通信制御システム。
【請求項6】
前記電界強度計測部が計測した各地点の電界強度を、各地点の過去の電界強度を用いて平滑化する平滑化部を備え、
前記通信方式更新部は、前記平滑化部が平滑化した各地点の電界強度に基づいて、前記通信方式記憶部が記憶する各地点の通信方式を更新する
ことを特徴とする請求項5に記載の通信制御システム。
【請求項7】
前記通信方式更新部は、前記移動体同士が隣接していないときの電界強度を用いて通信方式を更新する
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の通信制御システム。
【請求項8】
前記基地局は、
前記電界強度計測部が計測した各地点の電界強度を記憶する通信状態記憶部と、
前記移動体との通信を行っている間、前記通信状態記憶部に前記電界強度計測部が計測した各地点の電界強度を記録する通信状態記録部と
を備え、
前記平滑化部は、前記基地局と前記移動体との通信が終了した後に、前記通信状態記憶部が記憶する情報を取得する
ことを特徴とする請求項5から請求項7の何れか1項に記載の通信制御システム。
【請求項9】
前記基地局が存在する地点における気象状態を取得する気象状態取得部を備え、
前記通信方式記憶部は、気象条件に関連付けて前記通信方式を記憶し、
前記切り替え制御部は、前記気象状態取得部が取得した気象状態が満たす気象条件に関連付けられた通信方式を前記通信方式記憶部から読み出し、前記移動体と前記基地局との間の通信方式を当該読み出した通信方式に切り替える
ことを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載の通信制御システム。
【請求項10】
所定の軌道に沿って移動する移動体と、前記軌道に沿って所定間隔をおいて配置された基地局との間の通信方式を制御する通信制御方法であって、
前記移動体が存在する地点を測定するステップと、
前記測定した地点に関連付けられた通信方式を、前記軌道に沿う各地点で使用すべき通信方式を記憶する通信方式記憶部から読み出し、前記移動体と前記基地局との間の通信方式を当該読み出した通信方式に切り替えるステップと
を有することを特徴とする通信制御方法。
【請求項11】
所定の軌道に沿って移動する移動体と、前記軌道に沿って所定間隔をおいて配置された基地局との間の通信方式を制御する通信制御装置であって、
前記軌道に沿う各地点で使用すべき通信方式を記憶する通信方式記憶部と、
前記移動体から、当該移動体が存在する地点を取得する位置取得部と、
前記位置取得部が取得した地点に関連付けられた通信方式を前記通信方式記憶部から読み出し、前記移動体及び前記基地局に対して、前記読み出した通信方式への切り替えの要求を出力する切り替え制御部と
を備えることを特徴とする通信制御装置。
【請求項12】
通信方式の制御対象となる移動体は複数存在し、
前記測位部が測定した地点に基づいて、前記移動体同士が隣接して走行する時刻を算出する隣接算出部を備え、
前記切り替え制御部は、前記隣接算出部が算出した時刻における前記移動体と基地局との間の通信方式を、前記通信方式記憶部が記憶する測位部が測定した地点に関連付けられた通信方式に優先して、所定の通信方式に切り替える
ことを特徴とする請求項11に記載の通信制御装置。
【請求項13】
所定の軌道に沿って移動する移動体と、前記軌道に沿って所定間隔をおいて配置された基地局との間の通信方式を制御する通信制御装置を、
前記移動体から、当該移動体が存在する地点を取得する位置取得部、
前記位置取得部が取得した地点に関連付けられた通信方式を、前記軌道に沿う各地点で使用すべき通信方式を記憶する通信方式記憶部から読み出し、前記移動体及び前記基地局に対して、前記読み出した通信方式への切り替えの要求を出力する切り替え制御部
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−70246(P2013−70246A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207450(P2011−207450)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】