説明

通信制御方法、通信システム、およびコンピュータプログラム

【課題】クライアントおよびサーバがネットワークを通じて接続された通信システムにおいて、サーバに対するアクセスが集中したり、ネットワーク上でデータが輻輳したりする場合に、それを抑制することのできる通信制御方法を提供する。
【解決手段】クライアント1を接続した外部ネットワーク2と、サーバSを接続したサーバネットワーク7とが、ルータ4によって接続された通信システムにおいて、WWWサーバ9からクライアント1に向けて返送データが送られる場合、外部ネットワーク2上におけるデータの転送速度を検知し、転送速度が低下していると判別したとき、返送データのデータ量を削減して送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、たとえばインターネットプロトコル(以下、単に「IP」という)を用いたネットワークを通じて行われる通信制御方法、通信システム、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、IPをベースとしたネットワークを通じて、クライアントおよびサーバが接続された通信(情報処理)システムにおいては、各クライアントからの要求に対して、サーバがホームページやメール等の情報を自動的に返送するようにされている。
【0003】
上記通信システムでは、サーバにおいてクライアントからのアクセスが集中したり、またその結果、ネットワークにおいてデータが輻輳したりすることがある。そのため、クライアントへのサーバからの情報が遅延し、サーバにおけるクライアントへのサービスの質が低下してしまうといった問題点がある。また、最悪の場合、サーバの処理能力を超えてしまい、システムが停止することもありうる。
【0004】
しかしながら、上記問題における有効な対応策は、ほとんど施されていないのが現状である。たとえばあるサーバにおいてアクセスが集中してしまうと、クライアント側では、サーバの処理能力が低下しているにもかかわらず、処理の完了を待つ、すなわち事態の沈静化を待つといった消極的な方法で対処している。また、サーバ側では、クライアントからの要求データの一部をカットしたり、あるいは破棄したりする等の処理を行うといった方法で対処している。そこで、上記問題に対し、ネットワーク上のデータ転送速度を向上させたり、サーバの処理能力を向上させたりする等といった対応策も考えられるが、これらの方法では設備コストが増大し、その実現は容易でない。
【0005】
一方、特開平10−200581号公報には、ネットワーク上に設けられたルータ間における通信時において、IPパケットの遅延転送制御によってIPパケットの輻輳の発生を回避することが開示されている。
【0006】
すなわち、ネットワーク間に設けられた複数のルータにおけるデータの受信速度を抑制し、前段に設けられたルータからのデータ転送に遅延を生じさせることにより、IPパケットの輻輳の発生を抑制するようにされている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−200581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この方法では、一部のルータまたはサーバに、一旦アクセスが集中してしまうと、たとえばルータの周囲に配されたネットワーク機器(物理的に隣接する意味ではなく、ネットワークトポロジー上で隣接する)に、その影響が拡散していくことがあり、ネットワーク機器に対して悪影響を及ぼす場合がある。
【0009】
本願発明は、クライアントおよびサーバがネットワークを通じて接続された通信システムにおいて、サーバに対するアクセスが集中したり、ネットワーク上でデータが輻輳したりする場合に、それを抑制することのできる通信制御方法、その方法を用いた通信システム、およびコンピュータプログラムを提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0011】
本願発明の第1の側面によって提供される通信制御方法は、少なくとも1つのクライアントを接続した外部ネットワークと、少なくとも1つのサーバを接続した内部ネットワークとが、ルータによって接続された通信システムにおける通信制御方法であって、前記サーバから前記クライアントに向けて返送データが送られる場合、前記外部ネットワーク上におけるデータの転送速度を検知し、前記転送速度が低下していると判別したとき、上記返送データのデータ量を削減して送ることを特徴としている。
【0012】
本願発明の第2の側面によって提供される通信システムは、少なくとも1つのクライアントを接続した外部ネットワークと、少なくとも1つのサーバを接続した内部ネットワークとを接続するルータと、前記ルータを制御するためのルータコントローラとを備える通信システムであって、前記ルータコントローラは、前記サーバから前記クライアントに向けて返送データが送られる場合、前記外部ネットワーク上におけるデータの転送速度を検知し、前記転送速度が低下しているか否かを判別する転送速度判別手段と、前記転送速度判別手段によってデータの転送速度が低下していると判別されたとき、前記サーバに対して、前記返送データのデータ量を削減して前記クライアントに向けて前記返送データを送る旨の指示を行う指示手段とを有することを特徴としている。
【0013】
本願発明の第3の側面によって提供されるコンピュータプログラムは、少なくとも1つのクライアントを接続する外部ネットワークと、少なくとも1つのサーバを接続する内部ネットワークとがルータによって接続され、前記ルータに接続されたルータコントローラを制御するためのコンピュータプログラムであって、前記サーバから前記クライアントに向けて返送データが送られる場合、前記外部ネットワーク上におけるデータの転送速度を検知し、前記転送速度が低下しているか否かを判別する転送速度プログラムと、前記転送速度判別プログラムによってデータの転送速度が低下していると判別されたとき、前記サーバに対して、前記返送データのデータ量を削減して前記クライアントに向けて前記返送データを送る旨の指示を行う指示プログラムとを含むことを特徴としている。
【0014】
本願発明によれば、クライアントからサーバに向かって送られるデータのうち、同一の内容を有する不要なデータや不正なデータを削除するので、ネットワーク上において、データの増大が抑えられ、スムーズにデータの転送を行うことができる。そのため、サーバにおけるアクセスが集中したり、データが輻輳したりすることを抑制することができるとともに、サーバにおいてクライアントからの要求に対する処理の効率化を図ることができる。
【0015】
本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1は、本願発明に係る通信制御方法が適用される通信システムを示すブロック構成図である。この通信システムは、複数のクライアント1と、これらクライアント1に接続されたインターネット等の外部ネットワーク2と、外部ネットワーク2に接続されたプロバイダ機器3と、このプロバイダ機器3に接続されたルータ4(機能的な名称は、「サーバノードゲートウェイ」)と、ルータ4に接続された、バッファプール6を有するプロセッサ5と、ルータ4に接続された内部ネットワークとしてのサーバネットワーク7と、このサーバネットワーク7に接続され、上記ルータ4を制御するためのルータコントローラ8と、サーバネットワーク7上に接続されたサーバSとによって大略構成されている。なお、サーバSとしては、WWWサーバ9、アプリケーションサーバ10等が挙げられるが、サーバネットワーク7に接続されるサーバSとしては、これらのサーバ9,10に限るものではなく、ファイルサーバ、メールサーバ、またはプリントサーバ等でもよい。
【0018】
クライアント1は、たとえば企業や家庭に配置されたパーソナルコンピュータからなり、外部ネットワーク2に対して複数設けられている。クライアント1は、ユーザによる操作によって、外部ネットワーク2を通じて各サーバSに対してアクセス可能とされ、たとえばメールの交換やホームページの参照が可能とされている。
【0019】
プロバイダ機器3は、クライアント1と各種のサーバSとを外部ネットワーク2を介して接続させるためのサービスを行う機器であり、プロバイダと呼称される通信事業者によって運用されている。
【0020】
ルータ4は、プロバイダ機器3とサーバネットワーク7とを接続するためのものであり、たとえばサーバネットワーク7に接続されている各サーバSのIPアドレスが割り当てられている。ルータ4は、クライアント1からサーバSに対して送られるデータ、およびサーバSからクライアント1に対して送られるデータの通信制御を行う。
【0021】
プロセッサ5は、たとえばパーソナルコンピュータからなり、大容量のハードディスク装置等からなるバッファプール6を接続している。プロセッサ5は、後述するように、ルータコントローラ8からの指令に基づいて、クライアント1から外部ネットワーク2およびルータ4等を介して送られたデータを一時的にバッファプール6に蓄積する。また、プロセッサ5は、バッファプール6に蓄積されたデータのうち、不要なデータを必要に応じて削除する。
【0022】
ルータコントローラ8は、サーバネットワーク7に接続され、ルータ4、プロセッサ5および各サーバSの動作を制御する。ルータコントローラ8は、たとえば、サーバネットワーク7上のデータの輻輳状態またはWWWサーバ9の処理負荷をチェックし、プロセッサ5に対して、バッファプール6に蓄積されたデータをサーバネットワーク7上に送出するよう指示する。
【0023】
WWWサーバ9は、サーバネットワーク7に接続され、クライアント1に対して種々のサービスを提供するものである。WWWサーバ9は、図示しないマイクロコンピュータおよびメモリを有しており、たとえば各種のホームページのデータを蓄積している。
【0024】
アプリケーションサーバ10は、サーバネットワーク7に接続され、クライアント1に対して種々のサービスを提供するものである。アプリケーションサーバ10は、図示しないマイクロコンピュータおよびメモリを有しており、たとえばアプリケーションソフトウェアのデータを蓄積している。
【0025】
以下、この通信システムの制御動作を、図2のフローチャート、および図3の各機器の制御およびデータの遷移を示す図を参照して説明する。
【0026】
まず、いずれかのクライアント1を操作するユーザが、たとえばWWWサーバ9に対してアクセスする際、クライアント1において電文が生成される。この電文は、IPパケットの形で、外部ネットワーク2に送出される(S1)。IPパケットは、外部ネットワーク2およびプロバイダ機器3を介してルータ4に送られる。ルータ4は、プロバイダ機器3からのIPパケットを受信し(S2)、自己の受信バッファ(図示せず)に一旦蓄える。
【0027】
このとき、ルータコントローラ8は、ルータ4がクライアント1からのIPパケットを受信したことを認識しつつ、サーバネットワーク7においてデータが輻輳する可能性があるか否かを判別する(S3)。具体的には、ルータコントローラ8は、サーバネットワーク7上におけるIPパケットの転送速度を監視し、転送速度が所定の基準値を下回るか否か、または下回る可能性があるか否かといった事項に基づいて判別する。
【0028】
ルータコントローラ8は、サーバネットワーク7上でデータが輻輳する可能性があると判別した場合(S3:YES)、ルータ4に対してプロセッサ5に向けてIPパケットを転送する旨の指令信号を出力する。
【0029】
ルータ4は、指令信号をルータコントローラ8から受けると、受信バッファに蓄えていたIPパケットをプロセッサ5に転送する(S4)。なお、ルータ4は、ルータコントローラ8による制御に従わずに、外部ネットワーク2からのIPパケットを、無条件に、プロセッサ5に対して転送するようにしてもよい。
【0030】
一方、ステップS3において、ルータコントローラ8は、サーバネットワーク7においてデータが輻輳する可能性がないと判別した場合(S3:NO)、ルータ4に対して、WWWサーバ9にIPパケットを送信する旨の指令信号を出力する。ルータ4は、この指令信号を受けると、受信バッファに蓄えていたIPパケットをWWWサーバ9に向けて送信する(S5)。
【0031】
プロセッサ5は、ステップS4においてルータ4からIPパケットが送られた 後、IPパケットの妥当性を評価する。具体的には、プロセッサ5は、IPパケットに含まれる送信元のIPアドレスが不完全でないか否かを判別する(S6)。そして、プロセッサ5は、送信元のIPアドレスが不完全であると判別した場合(ステップS6:NO)、そのIPパケットを削除する(S7)。
【0032】
すなわち、たとえば意図的に不正データを送信してサービスの妨害を行なう目的の不正利用者が存在し、その不正利用者がそのような不正データを送信した場合、不正データには送信元のIPアドレスが含まれていない場合が多いため、プロセッサ5において、そのデータを不正データとみなして削除することができる。そのため、IPパケットにおける通信の信頼性を維持することができる。なお、プロセッサ5は、IPパケットを削除する際、IPパケットに含まれる他のデータが不完全であることに基づいて削除するようにしてもよい。
【0033】
ステップS6において、プロセッサ5は、送信元のIPアドレスが不完全でないと判別した場合(ステップS6:YES)、ルータ4から送られたIPパケットに含まれる電文データを復元して、バッファプール6に蓄積する(S8)。すなわち、プロセッサ5は、電文データを、送信元のIPアドレス、送信先のIPアドレス、プロトコルの情報(IPパケットに変換するために必要な情報)等とともに、バッファプール6に電文データ単位で格納する。
【0034】
その後、プロセッサ5は、不要な電文データの削除を行なう。すなわち、プロセッサ5は、バッファプール6に蓄積されている電文データを検索し、それらの電文データの中から、同一のクライアント1からの同一の要求電文データがあるか否かを判別する(S9)。そして、同一のクライアント1からの同一の要求電文データがあれば、その電文データを1つ残し、その他は全て削除する(S10)。
【0035】
たとえば、外部ネットワーク2上あるいはサーバネットワーク7上において、個々のクライアント1からのアクセスが集中し、WWWサーバ9からのレスポンスが遅延している場合、ユーザは、再び、送信要求するための操作を行うことが多い。このときの要求電文データは、データとしては正当なデータであるが、同じ内容のデータであるため、WWWサーバ9およびクライアント1の双方にとっては意味のない不要なデータである。しかも、このデータは、アクセスが集中するといった事態をさらに悪化させるデータとなる。
【0036】
しかしながら、この実施形態によれば、上記したように、同一のユーザからの同一の要求電文データを削除する。そのため、仮に、クライアント1のユーザ全員が再び、送信要求するための操作を行なった場合、2回目以降の操作による電文データは全て削除されるので、この場合、WWWサーバ9におけるトータルの処理データ量を半分以下にすることが可能となる。したがって、WWWサーバ9において、アクセス集中時でも各電文データの処理に要する時間が増大することなく、アクセス数に比例した時間で電文データの処理を行うことができる。たとえば、従来の構成では、アクセス集中時には、処理時間が10倍程度悪化することもありえたが、本実施形態によれば、これを確実に抑制することができる。
【0037】
このように、クライアント1からWWWサーバ9に送られるデータを一旦バッファプール6に格納し、アクセスが集中する原因のひとつとなるクライアント1からの不要な電文データを削除することにより、WWWサーバ9における処理能力以上の電文データが一度にWWWサーバ9に導入されることを防止することができる。したがって、WWWサーバ9における処理の効率化を図ることができる。また、サーバネットワーク7においては、スムーズにデータの転送を行うことができ、データが輻輳することを抑制することができる。
【0038】
また、従来の構成では、一旦、WWWサーバ9においてアクセスが集中すると、その影響が他のネットワーク等に拡散していく場合があったが、本実施形態によれば、ルータ4およびプロセッサ5において内部的に処理を行なうため、サーバネットワーク7に対して影響を及ぼすことはない。
【0039】
次いで、ルータコントローラ8は、サーバネットワーク7およびWWWサーバ9の負荷状態を監視する(S11)。ルータコントローラ8は、負荷状態を監視した結果、負荷が低下していると判別した場合(S12:YES)、プロセッサ5に対し、削除されなかった電文データを、WWWサーバ9に送る旨の指令信号を与える。一方、ルータコントローラ8は、負荷が低下していないと判別した場合(S12:NO)、所定時間経過後(S13:YES)、再度、サーバネットワーク7およびWWWサーバ9の負荷状態を監視して、同様の処理を行う。
【0040】
プロセッサ5は、上記指令信号に応答して、削除されなかった電文データをバッファプール6から、格納された順番に取り出し、それをIPパケットに変換し直した後、ルータ4の送信バッファに転送する。なお、プロセッサ5は、削除されなかった電文データを、直前に格納された電文データから過去を遡るような順番でバッファプール6から取り出すようにしてもよい。
【0041】
その後、ルータ4は、自己の送信バッファに転送されたIPパケットを、WWWサーバ9に向けてサーバネットワーク7に送出する(S14)。
【0042】
WWWサーバ9は、届いたIPパケットを処理し、たとえばアプリケーションサーバ10へ依頼していた処理結果を受け取り、送信要求があったクライアント1に向けて返信を行う。この場合、ルータコントローラ8は、プロバイダ機器3から送られる情報に基づいて、外部ネットワーク2上のデータの転送速度を検知し(S15)、この転送速度が所定のしきい値に達しているか否かを判別する(S16)。ルータコントローラ8は、データの転送速度がしきい値に達していると判別した場合(S16:YES)、WWWサーバ9に対して、データ量を削減する旨の指令信号を与える。
【0043】
WWWサーバ9は、この指令信号に応答して、返送するデータのコンテンツを変更し、すなわち、そのデータ量を削減する(S17)。たとえば、コンテンツにおいて視覚に訴えるだけの情報(たとえば画像データ)等といった付加的な情報を削除する。そして、WWWサーバ9は、一部が削除された返信データをIPパケットの形で内部ネットワーク7に対して送出する(S18)。また、ルータコントローラ8が、データの転送速度がしきい値に達していないと判別した場合(S16:NO)も、WWWサーバ9は、返信データをIPパケットの形で送出する(S18)。なお、WWWサーバ9からクライアント1に向けて送出される電文データのデータ量を削減するときには、上記電文データをプロセッサ5のバッファプール6に一時的に格納し、ルータコントローラ8からの指令によって、電文データの一部を削除するようにしてもよい。
【0044】
このように、WWWサーバ9からクライアント1に向けて返信データを含むIPパケットを送る場合、その返信データの一部を変更してデータの内容を簡略化することにより、外部ネットワーク2における負荷を軽減させることができる。また、他のネットワークに対する影響を防止することができる。
【0045】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。たとえば、ルータ4にプロセッサ5およびバッファプール6の機能を持たせるようにしてもよい。
【0046】
以上のように、この発明によれば、クライアントからサーバに向かって送られるデータのうち、同一の内容を有する不要なデータや不正なデータを削除するので、ネットワーク上において、データの増大が抑えられ、スムーズにデータの転送を行うことができる。そのため、サーバにおけるアクセスが集中したり、データが輻輳したりすることを抑制することができるとともに、サーバにおいてクライアントからの要求に対する処理の効率化を図ることができる。
【0047】
(付記1) 少なくとも1つのクライアントを接続した外部ネットワークと、少なくとも1つのサーバを接続した内部ネットワークとが、ルータによって接続された通信システムにおける通信制御方法であって、
前記クライアントから前記サーバに向けて送られるデータを蓄積手段に蓄積して、該蓄積手段に蓄積されたデータが削除すべき条件を有しているとき、当該データを削除することを特徴とする、通信制御方法。
【0048】
(付記2) 前記クライアントからサーバに向けて送られる複数のデータを検索し、検索されたデータの中に同一送り先からの同一内容のデータがあるか否かを判別し、同一送り先からの同一内容のデータがあると判別した場合、当該データを1つ残して削除する、付記1に記載の通信制御方法。
【0049】
(付記3) 前記データの削除は、前記内部ネットワーク上におけるデータの流入量が所定のしきい値を超えた場合に行う、付記1または2に記載の通信制御方法。
【0050】
(付記4) 前記クライアントから送られたデータにおいて、送り元アドレスのないデータが含まれているとき、当該データを削除する、付記1ないし3のいずれかに記載の通信制御方法。
【0051】
(付記5) 前記サーバから前記クライアントに向けて返送データが送られる場合、前記外部ネットワーク上におけるデータの転送速度を検知し、前記転送速度が低下していると判別したとき、上記返送データのデータ量を削減して送る、付記1ないし4のいずれかに記載の通信制御方法。
【0052】
(付記6) 少なくとも1つのクライアントを接続した外部ネットワークと、少なくとも1つのサーバを接続した内部ネットワークとを接続するルータと、前記ルータに接続されたプロセッサとを備える通信システムであって、
前記プロセッサは、
前記クライアントから前記サーバに向けて送られるデータを蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積されたデータが削除すべき条件を有しているとき、当該データを削除する削除手段とを備えることを特徴とする、通信システム。
【0053】
(付記7) 前記プロセッサは、
前記蓄積手段において蓄積されたデータを検索し、検索されたデータの中に同一送り先からの同一内容のデータがあるか否かを判別するデータ判別手段を備え、
前記削除手段は、前記データ判別手段によって同一送り先からの同一内容のデータがあると判別された場合、当該データを1つ残して削除する、付記6に記載の通信システム。
【0054】
(付記8) 前記ルータを制御するためのルータコントローラを備え、
前記ルータコントローラは、前記内部ネットワーク上におけるデータの流入量が所定のしきい値を超えたか否かを判別する流入量判別手段を備え、
前記削除手段は、前記流入量判別手段によって内部ネットワーク上におけるデータの流入量が所定のしきい値を超えたと判別されたとき、前記削除すべきデータを削除する、付記6または7に記載の通信システム。
【0055】
(付記9) 前記削除手段は、前記クライアントから送られたデータにおいて、送り元アドレスのないデータが含まれているとき、当該データを削除する、付記6ないし8のいずれかに記載の通信システム。
【0056】
(付記10) 前記ルータコントローラは、
前記サーバから前記クライアントに向けて返送データが送られる場合、前記外部ネットワーク上におけるデータの転送速度を検知し、前記転送速度が低下しているか否かを判別する転送速度判別手段と、
前記転送速度判別手段によってデータの転送速度が低下していると判別されたとき、前記サーバに対して、前記返送データのデータ量を削減して前記クライアントに向けて前記返送データを送る旨の指示を行う指示手段とを有する、付記6ないし9のいずれかに記載の通信システム。
【0057】
(付記11) 少なくとも1つのクライアントを接続する外部ネットワークと、少なくとも1つのサーバを接続する内部ネットワークとがルータによって接続され、前記ルータに接続されたプロセッサを制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記クライアントから前記サーバに向けて送られるデータを蓄積する蓄積プログラムと、
前記蓄積プログラムによって蓄積されたデータが削除すべき条件を有しているとき、当該データを削除する削除プログラムとを含むことを特徴とする、コンピュータプログラム。
【0058】
(付記12) 前記蓄積プログラムによって蓄積されたデータを検索し、検索 されたデータの中に同一送り先からの同一内容のデータがあるか否かを判別するデータ判別プログラムを含み、
前記削除プログラムにおいては、前記データ判別プログラムによって同一送り先からの同一内容のデータがあると判別された場合、当該データを1つ残して削除する、付記11に記載のコンピュータプログラム。
【0059】
(付記13) 前記内部ネットワーク上におけるデータの流入量が所定のしきい値を超えたか否かを判別する流入量判別プログラムを含み、
前記削除プログラムにおいては、前記流入量判別プログラムによって内部ネットワーク上におけるデータの流入量が所定のしきい値を超えたと判別されたとき、前記削除すべきデータを削除する、付記11または12に記載のコンピュータプログラム。
【0060】
(付記14) 前記削除プログラムにおいては、前記クライアントから送られたデータにおいて、送り元アドレスのないデータが含まれているとき、当該データを削除する、付記11ないし13のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【0061】
(付記15) 前記サーバから前記クライアントに向けて返送データが送られる場合、前記外部ネットワーク上におけるデータの転送速度を検知し、前記転送速度が低下しているか否かを判別する転送速度プログラムと、
前記転送速度判別プログラムによってデータの転送速度が低下していると判別されたとき、前記サーバに対して、前記返送データのデータ量を削減して前記クライアントに向けて前記返送データを送る旨の指示を行う指示プログラムとを含む、付記11ないし14のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本願発明に係る通信制御方法が適用される通信システムを示すブロック構成図である。
【図2】通信システムの制御動作を示すフローチャートである。
【図3】各機器の制御およびデータの変遷を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 クライアント
2 外部ネットワーク
4 ルータ
5 プロセッサ
6 バッファプール
7 サーバネットワーク
8 ルータコントローラ
9 WWWサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのクライアントを接続した外部ネットワークと、少なくとも1つのサーバを接続した内部ネットワークとが、ルータによって接続された通信システムにおける通信制御方法であって、
前記サーバから前記クライアントに向けて返送データが送られる場合、前記外部ネットワーク上におけるデータの転送速度を検知し、前記転送速度が低下していると判別したとき、上記返送データのデータ量を削減して送ることを特徴とする、通信制御方法。
【請求項2】
少なくとも1つのクライアントを接続した外部ネットワークと、少なくとも1つのサーバを接続した内部ネットワークとを接続するルータと、前記ルータを制御するためのルータコントローラとを備える通信システムであって、
前記ルータコントローラは、
前記サーバから前記クライアントに向けて返送データが送られる場合、前記外部ネットワーク上におけるデータの転送速度を検知し、前記転送速度が低下しているか否かを判別する転送速度判別手段と、
前記転送速度判別手段によってデータの転送速度が低下していると判別されたとき、前記サーバに対して、前記返送データのデータ量を削減して前記クライアントに向けて前記返送データを送る旨の指示を行う指示手段とを有することを特徴とする、通信システム。
【請求項3】
少なくとも1つのクライアントを接続する外部ネットワークと、少なくとも1つのサーバを接続する内部ネットワークとがルータによって接続され、前記ルータに接続されたルータコントローラを制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記サーバから前記クライアントに向けて返送データが送られる場合、前記外部ネットワーク上におけるデータの転送速度を検知し、前記転送速度が低下しているか否かを判別する転送速度プログラムと、
前記転送速度判別プログラムによってデータの転送速度が低下していると判別されたとき、前記サーバに対して、前記返送データのデータ量を削減して前記クライアントに向けて前記返送データを送る旨の指示を行う指示プログラムとを含むことを特徴とする、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−167466(P2008−167466A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15045(P2008−15045)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【分割の表示】特願2001−386024(P2001−386024)の分割
【原出願日】平成13年12月19日(2001.12.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】