通信制御装置、画像表示装置、画像生成装置、通信制御システム、通信制御方法及びプログラム
【課題】接続可能な装置を確実に限定し、他の装置からの割込みを防いで安定した所定のアプリケーションプログラムによる装置間でのデータの送受信を実行する。
【解決手段】予め登録していた相手側装置のMACアドレスと自装置のMACアドレスとから共通キーを作成し(B21)、作成した共通キーをESSIDキー及びWEPキーとして設定し(B22)、アプリケーションソフトに基づく上位階層での1対1での連続した通信をESSIDキー及びWEPキーを用いて実行する(B23〜B25)。
【解決手段】予め登録していた相手側装置のMACアドレスと自装置のMACアドレスとから共通キーを作成し(B21)、作成した共通キーをESSIDキー及びWEPキーとして設定し(B22)、アプリケーションソフトに基づく上位階層での1対1での連続した通信をESSIDキー及びWEPキーを用いて実行する(B23〜B25)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパーソナルコンピュータとプロジェクタ装置とを接続してプレゼンテーションを行なうような場合に好適な通信制御装置、画像表示装置、画像生成装置、通信制御システム、通信制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のプロジェクタのような外部機器と無線通信可能で、外部機器に画像データとポインタ表示を送信することを可能にした情報処理装置を提供するべく、PDAのワイヤレスユーティリティプログラムがLCDに表示された画像イメージデータをキャプチャし、無線LANデバイスを用いて複数のワイヤレスプロジェクタに無線で送信し、その際にポインタ表示モードに設定されているワイヤレスプロジェクタに対しては、キャプチャした画像イメージデータにポインタ画像を合成した合成画像イメージを送信し、ポインタ表示モードに設定されていないワイヤレスプロジェクタに対してはキャプチャした画像イメージデータを送信するようにした技術が考えられている。(例えば、特許文献1)
【特許文献1】特開2004−259090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載された技術を含め、無線LANの接続技術では、パーソナルコンピュータやワイヤレスプロジェクタ等の機器に対して、無線LANによる通信制御部が相手側の機器を識別したり、認証や暗号化を行うためのIPアドレス、ESSID、WEPキーなどの設定情報を、当該機器の購入後に利用者が任意に設定する必要がある。ここで設定する情報は、利用者が意図せずに重複してしまうことの無いように吟味して設定する必要があるが、複数の機器の各々に対して重複しない設定情報を選ぶことは非常に手間がかかる。例えば、利用者がより簡単に重複の無い設定情報を決めるためにワイヤレスプロジェクタ装置の裏面などに記載されている製造番号(シリアル番号)を用いる場合などがある。
【0004】
しかしながら、この製造番号(シリアル番号)を設定する方法は、誰もが容易に思いつくものであり、同じワイヤレスプロジェクタ装置を共用して使用する複数の利用者が、各自のパーソナルコンピュータに同じワイヤレスプロジェクタ装置の製造番号(シリアル番号)を設定してしまう可能性もあり、プレゼンテーションを行なっている最中に関係の無いパーソナルコンピュータからの映像データが混信してしまう場合もある。また、悪意を有するものであればその番号を詐称して別の無線LAN対応機器から接続に参加することができるようになる。
【0005】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、所定のアプリケーションプログラムを用いた無線ネットワーク接続を行なう場合に、接続可能な装置を確実に限定することが可能な通信制御装置、画像表示装置、画像生成装置、通信制御システム、通信制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、無線ネットワークに接続可能な他の装置との間で通信を行なう通信制御装置であって、無線ネットワークに接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御手段と、所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスが予め登録された登録手段と、
上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、上記登録手段に登録された相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記下位階層の通信制御手段及び登録手段を、装置本体に対して着脱自在に装着する無線アダプタに設けることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、相手側の装置の物理アドレスが登録されていない初期状態において、複数の装置に共通するキー情報を設定した通信により相手側の装置の物理アドレスを取得し、この取得した物理アドレスを上記登録手段に登録する初期設定手段をさらに備え、上記通信制御手段は、上記初期設定手段により相手側の装置の物理アドレスが登録された後に、この登録された相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスとから生成されたキー情報であり、この2台の装置の組合せに特化されたキー情報を設定した通信により連続した通信パケットの通信を行なうことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、第1の物理アドレスのデータを第1の方法で処理し、第2の物理アドレスのデータを上記第1の方法とは異なる第2の方法で処理する所定の生成規則によりキー情報を生成する生成手段をさらに備え、上記通信制御手段は、第1の役割を有する第1の装置と、上記第1の役割とは異なる第2の役割を有する第2の装置との間で通信を行なう場合に、上記第1の装置に固有の物理アドレスを上記第1の物理アドレスとし、上記第2の装置に固有の物理アドレスを上記第2の物理アドレスとして上記生成手段によりキー情報を生成することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、上記請求項4記載の発明において、上記生成規則は、上記第1の物理アドレスのデータに続く位置に上記第2の物理アドレスのデータを連結してキー情報を生成する生成規則であることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、上記請求項1または4記載の発明において、上記第1の役割を有する第1の装置は、画像データを生成して送信する役割を有するパーソナルコンピュータ装置であり、上記第2の役割を有する第2の装置は、画像データを受信して表示するプロジェクタ装置であることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記相手側の装置の物理アドレス及び自分側の装置の物理アドレスから作成する共通のキー情報を、無線ネットワークの認証キーとして使用することを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記相手側の装置の物理アドレス及び自分側の装置の物理アドレスから作成する共通のキー情報を、無線ネットワークのセキュリティキーとして使用することを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の発明は、上記請求項8記載の発明において、上記2台の装置の物理アドレスを暗号化した上で共通のキー情報を作成し、無線ネットワークのセキュリティキーとして使用することを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記所定のアプリケーションプログラムは、一連の画像データの送受信を行なうことを特徴とする。
【0016】
請求項11記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記所定のアプリケーションプログラムは、画像データの生成機能を備えた画像生成装置から画像データの表示機能を備えた画像表示装置に対して複数画面分の画像データを連続して送信するものであることを特徴とする。
【0017】
請求項12記載の発明は、上記請求項11記載の発明において、上記通信制御装置を内蔵すると共に、上記画像データの表示機能を備え、上記所定のアプリケーションプログラムを実行することが可能であることを特徴とする。
【0018】
請求項13記載の発明は、上記請求項11記載の発明において、上記通信制御装置を内蔵すると共に、上記画像データの生成機能と、上記所定のアプリケーションプログラムを外部から入力して記憶するメモリとを備え、該アプリケーションプログラムを実行することが可能であることを特徴とする。
【0019】
請求項14記載の発明は、無線ネットワーク接続可能な2台の装置間で通信を行なう通信制御システムであって、上記2台の装置は共に、無線ネットワーク接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御手段を備え、且つ、上記2台の少なくとも一方は、所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスが予め登録された登録手段と、上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、上記登録手段に登録された相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
請求項15記載の発明は、無線ネットワーク接続可能な他の装置との間で通信を行なう通信制御装置が用いる通信制御方法であって、無線ネットワーク接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御工程と、上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、登録部に予め登録されている通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御工程とを有したことを特徴とする。
【0021】
請求項16記載の発明は、無線ネットワーク接続可能な他の装置との間で通信を行なう通信制御装置に内蔵されたコンピュータが実行するプログラムであって、無線ネットワーク接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御ステップと、上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、登録部に予め登録されている通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ネットワーク接続の対象となる相手側装置に固有の物理アドレスを利用して、相手側の装置と自分側の装置の双方で認識可能なキー情報を作成し、このキー情報を用いて通信制御を行なうことにより、接続可能な相手側の装置を確実に限定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本発明をパーソナルコンピュータ(図では「PC」と称する)及びデータプロジェクタ装置(図では「PJ」と称する)からなるプレゼンテーションシステムに適用した場合の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、システム全体の外観と接続構成を示すものである。パーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2とが無線LAN技術、例えばIEEE802.11g規格に従って無線接続され、パーソナルコンピュータ1で再生されるプレゼンテーションプログラムの画像データが適宜データプロジェクタ装置2へ送られて、データプロジェクタ装置2により投影される。
【0025】
ここでは、パーソナルコンピュータ1自体が予め無線LAN機能を有するものではなく、例えばUSB接続の無線LANアダプタ3Aを用いることで、パーソナルコンピュータ1が無線LAN機能を実現できるものとする。
【0026】
加えて、パーソナルコンピュータ1は、製品としてのデータプロジェクタ装置2に同梱されたデータプロジェクタ装置2用のドライバプログラムが記録されているCD−ROM4から同プログラムを予めインストールしておくことで、データプロジェクタ装置2との無線LAN接続によりプレゼンテーションプログラム等の各種アプリケーションプログラムでデータプロジェクタ装置2とアドホックモードに基づいた子機間での直接通信を行なうことが可能となる。
【0027】
同様に、データプロジェクタ装置2もそれ自体は予め無線LAN機能を有するものではなく、例えばUSB接続の無線LANアダプタ3Bを用いることで、データプロジェクタ装置2が無線LAN機能を実現できるものとする。
【0028】
データプロジェクタ装置2は、パーソナルコンピュータ1から送られてきた画像データを基に、例えばマイクロミラー素子を用いて画像データに対応する光像を形成し、投影対象となるスクリーン(図示せず)に各種画像を投影表示する。
【0029】
次に図2によりパーソナルコンピュータ1の構成について説明する。図2はこのパーソナルコンピュータ1のハードウェア構成を示すものであり、各種処理制御を司るCPU11とフロントサイドバスFSBを介してノースブリッジ12が接続される。
【0030】
このノースブリッジ12は、さらにメモリバスMBを介してメインメモリ13と、またグラフィクスインタフェースAGPを介してグラフィックコントローラ14及びグラフィックメモリ15と接続される他、サウスブリッジ16とも接続され、主としてこれらの間での入出力制御を実行する。
【0031】
サウスブリッジ16は、PCIバス17、キーボード/マウス18、ビデオエンコーダ19、USBインタフェース20、マルチディスクドライブ21、ハードディスク装置(HDD)22と接続され、主としてこれら周辺回路とノースブリッジ12との間の入出力制御を行なう。
【0032】
なお、これらパーソナルコンピュータ1を構成する個々の要素は、きわめて一般的な技術であるのでその説明は省略するものとする。
【0033】
なお、ビデオエンコーダ19は、与えられたデジタル値の画像信号からアナログ値の画像信号であるRGBビデオ信号を生成して出力し、ここでは図示しないカラーTFT(薄膜トランジスタ)液晶表示パネルで構成されるディスプレイ部を表示駆動する。
【0034】
ハードディスク装置22は、OS(オペレーティングシステム)や各種アプリケーションプログラム、データファイルと共に、マルチディスクドライブ21に上記CD−ROM4を装着してインストールしたデータプロジェクタ装置2との無線接続用のドライバプログラムを予め記憶している。
【0035】
次いで図3を用いて上記データプロジェクタ装置2の回路構成について説明する。
図中、入出力コネクタ部31より入出力インタフェース(I/F)32を介して入力されたRGBビデオ信号を含む各種規格の画像信号、または後述するUSBインタフェース51を介して入力される画像信号が、システムバスSBを介して画像変換部33で所定のフォーマットの画像信号に統一された後に、投影エンコーダ34へ送られる。
【0036】
投影エンコーダ34は、送られてきた画像信号をビデオRAM35に展開記憶させた上でこのビデオRAM35の記憶内容からビデオ信号を生成して投影駆動部36に出力する。
【0037】
この投影駆動部36は、送られてきた画像信号に対応して適宜フレームレート、例えば60[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動で空間的光変調素子(SOM)である例えばマイクロミラー素子37を表示駆動する。
【0038】
このマイクロミラー素子37に対して、リフレクタ38内に配置された光源ランプ39が出射する高輝度の白色光を、カラーホイール40を介して適宜原色に着色し、インテグレータ41、ミラー42を介して照射することで、その反射光で光像が形成され、投影レンズ43を介してここでは図示しないスクリーンに投影表示される。
【0039】
しかるに、光源ランプ39の点灯駆動と、カラーホイール40を回転駆動するモータ(M)44はいずれも投影光処理部45からの供給電圧値に基づいて動作する。
【0040】
上記各回路のすべての動作制御を制御部46が司る。この制御部46は、CPUと、後述するプレゼンテーションプログラム実行時の投影動作の処理を含む該CPUで実行される動作プログラムを記憶した不揮発性メモリ、及びワークメモリ等により構成される。
【0041】
この制御部46にはまた、システムバスSBを介して音声処理部47が接続される。
音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音し、あるいは必要によりビープ音を発生させる。
【0042】
なお、このデータプロジェクタ装置2に備えられるキースイッチ(SW)部49における各キー操作信号が直接制御部46に入力されると共に、Ir受信部50からの信号が直接入力される。このIr受信部50は、データプロジェクタ装置2の前面及び背面にそれぞれ設けられるもので、図示しないこのデータプロジェクタ装置2用のリモートコントローラからの赤外光受信信号を受信し、コード信号化して制御部46に送出する。
【0043】
図4により上記パーソナルコンピュータ1及びデータプロジェクタ装置2に装着される無線LANアダプタ3A,3Bの回路構成を説明する。なお、この無線LANアダプタ3A,3Bは、上述した如く無線LAN規格として、例えばIEEE802.11g規格に則った無線通信機能を実現するべく上記パーソナルコンピュータ1、データプロジェクタ装置2に装着される。
【0044】
同図に示すようにこの無線LANアダプタ3A(,3B)は、USBインタフェース61、制御部62、アドレスROM63、RF部64、及びアンテナ65から構成される。
USBインタフェース61は、例えばUSB2.0規格によりこの無線LANアダプタ3A(,3B)が装着された装置との間でシリアルデータの送受信を行なう一方で、当該装置から供給される電力をこの無線LANアダプタ3A(,3B)内の他の回路に供給する。
【0045】
制御部62は、簡易なCPUとその動作プログラムを記憶したメモリ等で構成されてコントローラとして機能するもので、下位階層での動作プロトコルに際してはアドレスROM63に記憶されたMAC(Media Access Control)アドレスを用いる。
【0046】
このアドレスROM63は、電気的な書き換えができないマスクROMと、電気的な書き換えが可能なEEPROMとから構成される。
【0047】
すなわち、このアドレスROM63に記憶されたMACアドレスは、無線LAN機器としてEthernet(登録商標)の規格に準拠して割り当てられた固有の物理アドレスとして用いられるもので、同一のアドレスは他に存在しない。
【0048】
アドレスROM63のマスクROM部には、当該アダプタ(当該アダプタを装着した機器)に対応するMACアドレスが固定的に記憶されており、EEP−ROM部には、相手側機器のMACアドレスが適宜記憶される。
【0049】
RF部64は、無線LAN規格の最下階層である物理層に準拠し、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重方式),PBCC(Packet Binary Convolutional Code),DSSS(Direct Sequence Spread Sprctrum:直接(スペクトラム)拡散方式)を用いて他の同規格の装置との間でパケット通信を行なう。
【0050】
次に上記実施の形態の動作について説明する。
まず、本実施の形態の基礎概念を説明する。図5は、本実施の形態で送信される通信パケット内のヘッダ部とデータ部との階層的な入れ子構造を一部簡略化して示すものである。通常、無線LANではアプリケーションプログラムで送信要求のあったTCPパケットをIPパケット及び物理パケットに載せて相手側の装置へ送信する。
【0051】
その際、物理層では、物理パケットのヘッダ部内に位置するMACアドレスを用いて送信対象となる相手側の装置を識別し、データリンク層では、IPパケットのヘッダ部内に位置するIPアドレスを用いて、送信対象となる相手側の装置を識別するものとなる。
【0052】
本実施の形態では、このMACアドレスを、アプリケーションプログラムによって実現されるより上位の通信制御に利用するものであり、本来は下位階層、具体的には最下階層の物理層で使用する、物理アドレスであるMACアドレスを上位階層でも利用するものとする。
【0053】
すなわち、このMACアドレスは本来、図中に示す如く実際に無線LANで送受される物理パケットのヘッダ部内に付記され、物理層が送信対象となる相手側の装置を識別したり、インフラストラクチャモード時にパケット単位でAP(アクセスポイント)に予め登録されているMACアドレスと比較されることで、最寄りのAPとの接続を制限(MACアドレスフィルタリング機能)するために使用されるものであるが、上述した如く本実施の形態では、上位階層のアプリケーションプログラムによって実現されるより上位の通信制御に利用するものであり、例えば、このMACアドレスに基づいて生成されるキー情報を、通信の際の認証キーやセキュリティキーとして用いることで、アプリケーションプログラム実行時の複数の装置間の接続の確立を制御するものである。
【0054】
また、このMACアドレスをTCPパケットのデータ本体部に含ませて相手側に送信することで、双方の機器で共通して認識可能なキー情報をアプリケーションプログラムが自動的に生成することを可能にするものである。
【0055】
次に、図6により無線LANアダプタ3A,3Bを装着したパーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2の双方で、予め通信相手を相互に登録しておく場合の処理内容について説明する。
【0056】
同図は、パーソナルコンピュータ1側はハードディスク装置22にインストールされた無線LAN接続プログラムに含まれる初期設定プログラムに基づいてCPU11が、データプロジェクタ装置2側は予め制御部46内のフラッシュメモリに記憶された無線LAN接続プログラムに含まれる初期設定プログラムに基づいて制御部46が、夫々実行する。
【0057】
動作当初、パーソナルコンピュータ1及びデータプロジェクタ装置2は、まだ通信接続(画像データの送受信)を行なうべき相手側機器が決まっていない。このため、予め決められたデフォルト(共通)のキー情報である認証キーやセキュリティキーを設定して通信を開始することになる。
【0058】
データプロジェクタ装置2では、無線LANアダプタ3Bを介して、上記デフォルト(共通)のキー情報及び上記接続プログラムに定義してあるネットワーク情報に基づいて接続待ちの状態となり、以後パーソナルコンピュータ1からの接続があるのを待機する(ステップB01,B02)。
【0059】
ここで上記ネットワーク情報とは、例えばIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、及びセキュリティ方法を含む。
【0060】
一方のパーソナルコンピュータ1では、接続された無線LANアダプタ3AのMACアドレスをアドレスROM63から読出して取得する(ステップA01)。
【0061】
次いでパーソナルコンピュータ1は、上記デフォルト(共通)のキー情報及び上記接続プログラムに定義してあるネットワーク情報に基づいてアドホックモードで無線LANアダプタ3Aを介して、無線LANアダプタ3Bを装着したデータプロジェクタ装置2と接続する(ステップA02)。
【0062】
このとき、デフォルト(共通)のキー情報を用いているため、同じキー情報が設定されたデータプロジェクタ装置がパーソナルコンピュータ1の周囲に複数存在する場合には、複数のデータプロジェクタ装置からの応答があるが、この場合には、所望のデータプロジェクタ装置を利用者が選択指定する。
【0063】
上記取得したMACアドレスを応答のあった(または選択された)データプロジェクタ装置2へ転送する(ステップA03)。
【0064】
接続を待機していたデータプロジェクタ装置2では、パーソナルコンピュータ1からの接続要求に応答し、利用者により実行の装置が選択されたことを上記ステップB02で判断し、続けてパーソナルコンピュータ1側から転送されてくるMACアドレスを受信する(ステップB03)。
【0065】
データプロジェクタ装置2は、次にすでに登録してある筈のMACアドレスをアドレスROM63のEEPROM部から読出し(ステップB04)、上記受信したMACアドレスとの一致を判断することで、上記受信したMACアドレスがすでに登録されているか否かを判断する(ステップB05)。
【0066】
ここで、受信したMACアドレスとすでに登録されていたMACアドレスとが一致しなかった場合、または、まだいずれのMACアドレスも登録されていない場合には、次いでパーソナルコンピュータ1側のMACアドレスを新規に登録するか否かをユーザに確認するべく表示する(ステップB06)。
【0067】
図7は、このときデータプロジェクタ装置2側で表示されるMACアドレス登録の確認画面を例示するものである。
これは、上記図3では示さなかったが、データプロジェクタ装置2が液晶表示パネル等による表示部を有していればその表示部で表示するものとしてもよいし、投影レンズ43を介して同様の内容を投影表示するものとしてもよい。
【0068】
しかるに、上記図7で示した如く確認の画面を表示した状態で、画面内容に示す如く「登録」を選択するユーザの操作があったか否かを判断し(ステップB07)、あったと判断した場合にのみ、パーソナルコンピュータ1側から転送されてきたMACアドレスを新規にアドレスROM63のEEPROM部に登録設定する(ステップB08)。
【0069】
なお、上記ステップB05ですでにパーソナルコンピュータ1側から転送されてきたMACアドレスが登録されていると判断した場合、及び上記ステップB07でユーザが新規のMACアドレスを登録しない旨の選択操作を行なったと判断した場合には、当然ながら上記ステップB08での新規のMACアドレスの登録処理は実行しない。
【0070】
しかしてデータプロジェクタ装置2では、次に無線LANアダプタ3BのアドレスROM63から自装置側のMACアドレスを読出して取得し(ステップB09)、この取得したMACアドレスをパーソナルコンピュータ1へ転送し(ステップB10)、以上で当該接続プログラムに基づくMACアドレス登録の一連の処理を終了する。
【0071】
一方のパーソナルコンピュータ1では、上記ステップA03で自装置側である無線LANアダプタ3AのMACアドレスをデータプロジェクタ装置2に対して転送した後、今度はデータプロジェクタ装置2側からのMACアドレスが転送されてくるとこれを受信し(ステップA04)、すでに登録してある筈のMACアドレスをアドレスROM63のEEPROM部から読出し(ステップA05)、上記受信したMACアドレスとの一致を判断することで、上記受信したMACアドレスがすでに登録されているか否かを判断する(ステップA06)。
【0072】
ここで、受信したMACアドレスとすでに登録されていたMACアドレスとが一致しなかった場合、または、まだいずれのMACアドレスも登録されていない場合には、次いでデータプロジェクタ装置2側のMACアドレスを新規に登録するか否かをユーザに確認するべく表示する(ステップA07)。
【0073】
このときパーソナルコンピュータ1の表示部において表示される画面も、上記図7で示したものと基本的には同様となるもので、このような確認の画面を表示した状態で、MACアドレスの登録を選択するユーザの操作があったか否かを判断し(ステップA08)、あったと判断した場合にのみ、データプロジェクタ装置2側から転送されてきたMACアドレスを新規にアドレスROM63のEEPROM部に登録設定する(ステップA09)。
【0074】
なお、パーソナルコンピュータ1側で、上記ステップA06ですでにデータプロジェクタ装置2側から転送されてきたMACアドレスが登録されていると判断した場合、及び上記ステップA08でユーザが新規のMACアドレスを登録しない旨の選択操作を行なったと判断した場合には、当然ながら上記ステップA09での新規のMACアドレスの登録処理は実行せず、そのまま以上で当該接続プログラムに基づくMACアドレス登録の一連の処理を終了する。
【0075】
こうしてパーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2相互のMACアドレス登録処理を予め実行しておくことで、以後、無線LANアダプタ3Aを装着したパーソナルコンピュータ1と無線LANアダプタ3Bを装着したデータプロジェクタ装置2とによる1対1でのプレゼンテーション等のアプリケーションプログラムの実行が可能となり、再度初期設定プログラムを実行して設定を変更しない限りこの1対1の組み合わせは維持される。
【0076】
なお、この1対1の組み合わせは、パーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2との間に設定されたものではなく、無線LANアダプタ3Aと無線LANアダプタ3Bとの間で設定されたものであり、本実施の形態では、無線LANアダプタを着脱可能としている。
【0077】
そのため、組み合わせが設定された2つの無線LANアダプタを別のパーソナルコンピュータやデータプロジェクタ装置に装着することで、再度初期設定プログラムを実行することなく、別のパーソナルコンピュータとデータプロジェクタ装置との組み合わせを実現することができる。
【0078】
以下、図8により、1対1の組み合わせが設定された(1対1の組み合わせが設定された無線LANアダプタが装着された)パーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2との間での選択的な通信接続を可能とし、他の組み合わせでの通信接続を排除して、プレゼンテーションのプログラムを実行する場合の処理内容について説明する。
【0079】
動作当初、画像データの送受信を開始するのに先立って、双方に装着された無線LANアダプタ3A,3Bに設定されたMACアドレスの情報に基づいて、双方に共通の認証キー及びセキュリティキーを生成して互いに設定することになる。
【0080】
データプロジェクタ装置2では、無線LANアダプタ3Bに登録されているパーソナルコンピュータ1側の無線LANアダプタ3AのMACアドレスと自身のMACアドレスとにより共通キーとして作成し(ステップB21)、これを通信接続における相互認証を制御するための認証キーの1種であり、ネットワーク名でもあるESSID(Extended Service Set IDentifier)キー及び、通信接続におけるセキュリティを制御するためのセキュリティキーの1種であり、暗号化情報を含むWEP(Wired Equivalent Privacy)キーとする(ステップB22)。
【0081】
例えば、パーソナルコンピュータ1側の無線LANアダプタ3A、データプロジェクタ装置2側の無線LANアダプタ3Bの各のMACアドレスが以下の内容
3A:「0090CCB7F057(H)」
3B:「0090CC5DBFF2(H)」
であった場合、これらをマージすることで
「0090CC5DBFF20090CCB7F057(H)」
なるマージ結果を得、これをESSIDキー及びWEPキーとして作成する。
【0082】
なお、このマージにおいては、パーソナルコンピュータ側に装着された無線LANアダプタのマスクROM部に記憶されているMACアドレスであり、データプロジェクタ装置側に装着された無線LANアダプタのEEPROM部に記憶されているMACアドレスでもあるMACアドレスを先頭(左側)に、パーソナルコンピュータ側に装着された無線LANアダプタのEEPROM部に記憶されているMACアドレスであり、データプロジェクタ装置側に装着された無線LANアダプタのマスクROM部に記憶されているMACアドレスでもあるMACアドレスを続く位置である後ろ(右側)にするような順番でマージする、というように共通する生成規則を予め決めておく。これによりパーソナルコンピュータ側でもデータプロジェクタ装置側でも同じキー情報を生成することができる。
【0083】
因みに、上述した如くMACアドレスが各48ビットであるのに対し、ESSIDの最大データ長が32バイト(256ビット)、WEPが128ビットであるものとすると、この条件をクリアしている。
【0084】
なお、ここではWEPが128ビットとしたが、実際にはキーとして使用しないデータ部分を24ビット含むので、上記2つのMACアドレス計96ビットの他に、残り8ビット分を適宜補填する。
【0085】
データプロジェクタ装置2では、無線LANアダプタ3Bの接続ソフトで記述されているネットワーク情報、例えば
IPアドレス:192.168.1.1
サブネットマスク:255.255.255.0
デフォルトゲートウェイ:0.0.0.0
セキュリティ方法:WEP(128ビット)
と、作成した共通キーを上述した如くESSIDキー及びWEPキーとして設定した上で、パーソナルコンピュータ1からの接続要求があるのを待機する(ステップB23)。
【0086】
一方、パーソナルコンピュータ1側にインストールされている無線LAN接続プログラムは、パーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2とをワイヤレスで接続し、パーソナルコンピュータ1での表示画面の画像データをキャプチャし、無線LANアダプタ3A,3Bを介してデータプロジェクタ装置2へ転送し、データプロジェクタ装置2側で投影表示させるためのプログラムであり、製品としてのデータプロジェクタ装置2に同梱される上記CD−ROM4等の記録媒体に格納されている。
【0087】
パーソナルコンピュータ1側では、画像データの送受信を開始するのに先立って、無線LANアダプタ3Aに登録されているデータプロジェクタ装置2側の無線LANアダプタ3BのMACアドレスと自身のMACアドレスとにより共通キーとして作成し(ステップA21)、これを認証キーであるESSIDキー及びセキュリティキーであるWEPキーとする(ステップA22)。
【0088】
この場合、パーソナルコンピュータ1では、上述した共通する生成規則により無線LANアダプタ3B,3Aの各のMACアドレスをマージして
「0090CC5DBFF20090CCB7F057(H)」
なるマージ結果を得、これを用いてESSIDキー及びWEPキーとして作成する。
【0089】
パーソナルコンピュータ1では、無線LANアダプタ3Aの接続ソフトで記述されているネットワーク情報、例えば
IPアドレス:192.168.1.2
サブネットマスク:255.255.255.0
デフォルトゲートウェイ:0.0.0.0
セキュリティ方法:WEP(128ビット)
と、作成した共通キーを上述した如くESSIDキー及びWEPキーとして設定した上で、子機機間での直接通信を行なうアドホックモードでデータプロジェクタ装置2側との接続を確立する(ステップA23)。
【0090】
以後、プレゼンテーションのアプリケーションプログラムに従ってパーソナルコンピュータ1側の無線LANアダプタ3Aから順次、上位階層であるTCPパケットのデータ本体部に上記ESSIDキー及びWEPキーを共通キーとして含んだ画像データを送信しながら(ステップA24)、同時に同アプリケーションプログラムの終了となるのを待機する(ステップA25)。
【0091】
データプロジェクタ装置2側でも、送られてくる画像データを無線LANアダプタ3Bを介して受信し、受信した画像データ中に上記共通キーが含まれていることを確認した上で、画像データに対応した投影動作を実行しながら(ステップB24)、同時にパーソナルコンピュータ1側からの終了要求により同アプリケーションプログラムの終了となるのを待機する(ステップB25)。
【0092】
その後、パーソナルコンピュータ1側でプレゼンテーションのアプリケーションプログラムでの画像データの送信動作を終了すると、上記ステップA25でこれを判断し、データプロジェクタ装置2側への終了要求の送信を含む当該アプリケーションプログラムの終了、及びデータプロジェクタ装置2との接続を切断する一連の処理を実行する(ステップA26)。
【0093】
パーソナルコンピュータ1側からの終了要求を受けるデータプロジェクタ装置2側でも、ステップB25でこれを判断し、投影動作の終了とパーソナルコンピュータ1との接続を切断する一連の処理を実行する(ステップB26)。
【0094】
このように、相手側装置の、本来は下位階層で用いる物理アドレスであるMACアドレスを予め登録しておくことで、所定のアプリケーションプログラムに基づく上位階層の通信制御でも共通キーを作成するのに用いてパケット通信を行なうものとする。このため、所定のアプリケーションプログラムを用いた無線ネットワーク環境下でのデータ転送時に、接続可能な装置を確実に限定することが可能となる。
【0095】
なお、上記実施の形態では、パーソナルコンピュータ1に装着した無線LANアダプタ3AのMACアドレスとデータプロジェクタ装置2に装着した無線LANアダプタ3BのMACアドレスから作成する共通キーとして、無線ネットワークのネットワーク名を表す認証キーであるESSIDキーを作成してデータ通信に利用するものとしたことで、きわめて独自性の高いネットワーク環境を容易に作成し、1:1で2台の装置を確実に無線接続することができる。
【0096】
つまり、2つの装置の各々に固有の情報から2つの装置で共通して認識可能なキー情報を生成して通信制御に利用することにより、他の装置から割り込まれることのない、2つの装置間での1対1での通信接続が可能となる。
【0097】
加えて上記実施の形態では、パーソナルコンピュータ1に装着した無線LANアダプタ3AのMACアドレスとデータプロジェクタ装置2に装着した無線LANアダプタ3BのMACアドレスから作成する共通キーとして、さらに無線ネットワークの暗号化技術の秘密キーであるWEPキーを作成してデータ通信に利用するものとしたことで、確実に独自性の高い共通キーを得ることができるため、セキュリティの向上を図ることが可能となる。
【0098】
なお、実施の形態では、2台の装置のMACアドレスからネットワーク名を表す認証用キーであるESSIDキーと暗号化技術の秘密キーであるWEPキーとを作成するものとしたが、特にWEPキーに関しては、2つのMACアドレスを暗号化した上でWEPキーを作成することで、より解読が困難となり、セキュリティの度合いを向上させることができる。
【0099】
例えば、データプロジェクタ装置2側の無線LANアダプタ3Bとパーソナルコンピュータ1側の無線LANアダプタ3Aの各MACアドレスが
3A:「0090CCB7F057(H)」
3B:「0090CC5DBFF2(H)」
であった場合、これらを上述した如く単純にマージするだけではなく、マージ結果
「0090CC5DBFF20090CCB7F057(H)」
に対して、特に暗号化方式は限定しないが、ある変換式f(x)と変換キーZZZとにより変換を施すことで、例えば
「byQIGJh1pz5j2QKpt4ArtyO」
のような文字列を得、これをWEPキーとして用いることで、秘匿性を高めて、さらなるセキュリティの向上を図ることができる。
【0100】
なお、上記実施の形態では、2台の装置間で無線LAN技術を用いて所定のアプリケーションプログラム上で送受信するデータとして、一連の画像データを取扱うものとしたが、このようにデータ量が多いストリームデータとしての画像データを取扱う場合にも、接続可能な装置を確実に限定し、他の装置からの割込みを確実に阻止することができる。
【0101】
特に、送信側の装置が画像データの生成機能を備えた画像生成装置であり、この画像生成装置から送信されてきた画像データに対し、受信側の装置が表示機能を備えていて、その画像データに応じた表示を行なうような、例えばプレゼンテーションのようなアプリケーションプログラムを実行している場合には、他の装置からの割込み等で本来の正しい画像データが表示されなくなってしまうことで損なう被害が大きいものと考えられるので、そのような不測の事態を確実に回避して、当該アプリケーションプログラムを安定した状態で実行することができる。
【0102】
なお、上記実施の形態では、パーソナルコンピュータ1及びデータプロジェクタ装置2が夫々その装置自体は無線LAN機能を有しておらず、無線LANアダプタ3A,3Bを装着することで無線LAN環境を実現するものとして説明したが、本発明はこれに限らない。
【0103】
図9は、汎用のパーソナルコンピュータ1を無線LANの接続対象とするデータプロジェクタ装置2の構成の一形態を示すものである。
【0104】
すなわち、データプロジェクタ装置2は、予め上記図6で示した初期設定(登録)用のプログラムと上記図8で示した投影制御用のプログラムとを接続プログラムとして予め備えると共に、無線LAN通信部を内蔵し、当該無線LAN通信部内にMACアドレスを含む各種ネットワーク情報を所持している。
【0105】
一方で、このデータプロジェクタ装置2の無線LAN接続対象となるパーソナルコンピュータ1は、データプロジェクタ装置2に同梱されたCD−ROM4に書込まれている、上記図6で示した初期設定(登録)用のプログラムと上記図8で示した投影制御用のプログラムとを接続プログラムとしてインストールすることで、データプロジェクタ装置2との接続が可能となる。
【0106】
また、図10は、無線LANアダプタ3A,3Bの双方のメモリ内に相手側の無線LANアダプタのMACアドレスを予め登録しておき、複数のパーソナルコンピュータ1,1,‥‥と複数のデータプロジェクタ装置2,2,‥‥とが存在する環境下で、ユーザが任意のパーソナルコンピュータ1、データプロジェクタ装置2を選択して無線LANアダプタ3A,3Bを装着することで、その他の装置からの割込みの状態を確実に防止しながら、任意の装置間でのみデータ通信を安定して実行することができる状態を例示している。
【0107】
なお、装置の出荷時のままのネットワーク設定で無線接続を行なう場合、上記図10で説明したようにパーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2が夫々複数存在する環境下で、複数セットの組合せにより夫々データ通信を行なうものとすると、IPアドレスの重複エラーが発生する可能性が生じる。
【0108】
そのような場合には、エラーを認識した機器側でIPアドレスを1ずつ加算した上で再接続を行なうことにより、確実にIPアドレスの重複エラーを回避し、夫々の装置セット間で確実にデータ通信を行なうことが可能となる。
【0109】
これに代えて、上記MACアドレスの下位24ビットは、各メーカが設定するユニークなアドレス値であり、同一メーカであれば同一アドレスは存在しないので、その下位24ビットをIPアドレスに変換所定設定することによっても、IPアドレスの重複エラーを回避することができる。
【0110】
また、上記実施の形態では、パーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2とを無線LAN接続し、パーソナルコンピュータ1からの画像データを連続してデータプロジェクタ装置2へ転送し、データプロジェクタ装置2でその画像データに基づいた投影動作を実行するものとして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、2つの装置間を無線ネットワーク接続して何らかのデータ通信を行なうようなシステム、あるいはそのシステムで使用される個々の装置、それら個々の装置にインストールされたプログラム等、種々の形態で同様の構成を実現することができる。
【0111】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施の形態で実行される機能は可能な限り適宜組合わせて実施しても良い。上述した実施の形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件により適宜の組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施の一形態に係るシステム全体の構成を示す図。
【図2】同実施の形態に係るパーソナルコンピュータの機能回路構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態に係るプロジェクタ装置の機能回路構成を示すブロック図。
【図4】同実施の形態に係る無線LANアダプタの機能回路構成を示すブロック図。
【図5】同実施の形態に係る開放型システムの相互接続で使用される通信パケット内のヘッダ部とデータ本体部との階層的な入れ子構造を簡略化して例示する図。
【図6】同実施の形態に係るパーソナルコンピュータとデータプロジェクタ装置双方で実行される処理内容を示すフローチャート。
【図7】同実施の形態に係る相手側装置のMACアドレス登録時の画面表示例を示す図。
【図8】同実施の形態に係るパーソナルコンピュータとデータプロジェクタ装置双方で実行される通信接続時の処理内容を示すフローチャート。
【図9】同実施の形態に係るデータプロジェクタ装置の機能構成と製品としての付属品の一形態を示す図。
【図10】同実施の形態に係る接続環境を例示する図。
【符号の説明】
【0113】
1…パーソナルコンピュータ(PC)、2…データプロジェクタ装置(PJ)、3A,3B…無線LANアダプタ、4…CD−ROM、11…CPU、12…ノースブリッジ、13…メインメモリ、14…グラフィックコントローラ、15…グラフィックメモリ、16…サウスブリッジ、17…PCIバス、18…キーボード/マウス、19…ビデオエンコーダ、20…USBインタフェース(I/F)、21…マルチディスクドライブ、22…ハードディスク装置(HDD)、31…入出力コネクタ部、32…入出力インタフェース(I/F)、33…画像変換部、34…投影エンコーダ、35…ビデオRAM、36…投影駆動部、37…マイクロミラー素子、38…リフレクタ、39…光源ランプ、40…カラーホイール、41…インテグレータ、42…ミラー、43…投影レンズ、44…モータ(M)、45…投影光処理部、46…制御部、47…音声処理部、48…スピーカ、49…キースイッチ(SW)部、50…Ir受信部、61…USBインタフェース(I/F)、62…制御部、63…アドレスROM、64…RF部、65…アンテナ、AGP…グラフィクスインタフェース、FSB…フロントサイドバス、MB…メモリバス、SB…システムバス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパーソナルコンピュータとプロジェクタ装置とを接続してプレゼンテーションを行なうような場合に好適な通信制御装置、画像表示装置、画像生成装置、通信制御システム、通信制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のプロジェクタのような外部機器と無線通信可能で、外部機器に画像データとポインタ表示を送信することを可能にした情報処理装置を提供するべく、PDAのワイヤレスユーティリティプログラムがLCDに表示された画像イメージデータをキャプチャし、無線LANデバイスを用いて複数のワイヤレスプロジェクタに無線で送信し、その際にポインタ表示モードに設定されているワイヤレスプロジェクタに対しては、キャプチャした画像イメージデータにポインタ画像を合成した合成画像イメージを送信し、ポインタ表示モードに設定されていないワイヤレスプロジェクタに対してはキャプチャした画像イメージデータを送信するようにした技術が考えられている。(例えば、特許文献1)
【特許文献1】特開2004−259090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載された技術を含め、無線LANの接続技術では、パーソナルコンピュータやワイヤレスプロジェクタ等の機器に対して、無線LANによる通信制御部が相手側の機器を識別したり、認証や暗号化を行うためのIPアドレス、ESSID、WEPキーなどの設定情報を、当該機器の購入後に利用者が任意に設定する必要がある。ここで設定する情報は、利用者が意図せずに重複してしまうことの無いように吟味して設定する必要があるが、複数の機器の各々に対して重複しない設定情報を選ぶことは非常に手間がかかる。例えば、利用者がより簡単に重複の無い設定情報を決めるためにワイヤレスプロジェクタ装置の裏面などに記載されている製造番号(シリアル番号)を用いる場合などがある。
【0004】
しかしながら、この製造番号(シリアル番号)を設定する方法は、誰もが容易に思いつくものであり、同じワイヤレスプロジェクタ装置を共用して使用する複数の利用者が、各自のパーソナルコンピュータに同じワイヤレスプロジェクタ装置の製造番号(シリアル番号)を設定してしまう可能性もあり、プレゼンテーションを行なっている最中に関係の無いパーソナルコンピュータからの映像データが混信してしまう場合もある。また、悪意を有するものであればその番号を詐称して別の無線LAN対応機器から接続に参加することができるようになる。
【0005】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、所定のアプリケーションプログラムを用いた無線ネットワーク接続を行なう場合に、接続可能な装置を確実に限定することが可能な通信制御装置、画像表示装置、画像生成装置、通信制御システム、通信制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、無線ネットワークに接続可能な他の装置との間で通信を行なう通信制御装置であって、無線ネットワークに接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御手段と、所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスが予め登録された登録手段と、
上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、上記登録手段に登録された相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記下位階層の通信制御手段及び登録手段を、装置本体に対して着脱自在に装着する無線アダプタに設けることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、相手側の装置の物理アドレスが登録されていない初期状態において、複数の装置に共通するキー情報を設定した通信により相手側の装置の物理アドレスを取得し、この取得した物理アドレスを上記登録手段に登録する初期設定手段をさらに備え、上記通信制御手段は、上記初期設定手段により相手側の装置の物理アドレスが登録された後に、この登録された相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスとから生成されたキー情報であり、この2台の装置の組合せに特化されたキー情報を設定した通信により連続した通信パケットの通信を行なうことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、第1の物理アドレスのデータを第1の方法で処理し、第2の物理アドレスのデータを上記第1の方法とは異なる第2の方法で処理する所定の生成規則によりキー情報を生成する生成手段をさらに備え、上記通信制御手段は、第1の役割を有する第1の装置と、上記第1の役割とは異なる第2の役割を有する第2の装置との間で通信を行なう場合に、上記第1の装置に固有の物理アドレスを上記第1の物理アドレスとし、上記第2の装置に固有の物理アドレスを上記第2の物理アドレスとして上記生成手段によりキー情報を生成することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、上記請求項4記載の発明において、上記生成規則は、上記第1の物理アドレスのデータに続く位置に上記第2の物理アドレスのデータを連結してキー情報を生成する生成規則であることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、上記請求項1または4記載の発明において、上記第1の役割を有する第1の装置は、画像データを生成して送信する役割を有するパーソナルコンピュータ装置であり、上記第2の役割を有する第2の装置は、画像データを受信して表示するプロジェクタ装置であることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記相手側の装置の物理アドレス及び自分側の装置の物理アドレスから作成する共通のキー情報を、無線ネットワークの認証キーとして使用することを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記相手側の装置の物理アドレス及び自分側の装置の物理アドレスから作成する共通のキー情報を、無線ネットワークのセキュリティキーとして使用することを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の発明は、上記請求項8記載の発明において、上記2台の装置の物理アドレスを暗号化した上で共通のキー情報を作成し、無線ネットワークのセキュリティキーとして使用することを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記所定のアプリケーションプログラムは、一連の画像データの送受信を行なうことを特徴とする。
【0016】
請求項11記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記所定のアプリケーションプログラムは、画像データの生成機能を備えた画像生成装置から画像データの表示機能を備えた画像表示装置に対して複数画面分の画像データを連続して送信するものであることを特徴とする。
【0017】
請求項12記載の発明は、上記請求項11記載の発明において、上記通信制御装置を内蔵すると共に、上記画像データの表示機能を備え、上記所定のアプリケーションプログラムを実行することが可能であることを特徴とする。
【0018】
請求項13記載の発明は、上記請求項11記載の発明において、上記通信制御装置を内蔵すると共に、上記画像データの生成機能と、上記所定のアプリケーションプログラムを外部から入力して記憶するメモリとを備え、該アプリケーションプログラムを実行することが可能であることを特徴とする。
【0019】
請求項14記載の発明は、無線ネットワーク接続可能な2台の装置間で通信を行なう通信制御システムであって、上記2台の装置は共に、無線ネットワーク接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御手段を備え、且つ、上記2台の少なくとも一方は、所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスが予め登録された登録手段と、上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、上記登録手段に登録された相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
請求項15記載の発明は、無線ネットワーク接続可能な他の装置との間で通信を行なう通信制御装置が用いる通信制御方法であって、無線ネットワーク接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御工程と、上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、登録部に予め登録されている通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御工程とを有したことを特徴とする。
【0021】
請求項16記載の発明は、無線ネットワーク接続可能な他の装置との間で通信を行なう通信制御装置に内蔵されたコンピュータが実行するプログラムであって、無線ネットワーク接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御ステップと、上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、登録部に予め登録されている通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ネットワーク接続の対象となる相手側装置に固有の物理アドレスを利用して、相手側の装置と自分側の装置の双方で認識可能なキー情報を作成し、このキー情報を用いて通信制御を行なうことにより、接続可能な相手側の装置を確実に限定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本発明をパーソナルコンピュータ(図では「PC」と称する)及びデータプロジェクタ装置(図では「PJ」と称する)からなるプレゼンテーションシステムに適用した場合の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、システム全体の外観と接続構成を示すものである。パーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2とが無線LAN技術、例えばIEEE802.11g規格に従って無線接続され、パーソナルコンピュータ1で再生されるプレゼンテーションプログラムの画像データが適宜データプロジェクタ装置2へ送られて、データプロジェクタ装置2により投影される。
【0025】
ここでは、パーソナルコンピュータ1自体が予め無線LAN機能を有するものではなく、例えばUSB接続の無線LANアダプタ3Aを用いることで、パーソナルコンピュータ1が無線LAN機能を実現できるものとする。
【0026】
加えて、パーソナルコンピュータ1は、製品としてのデータプロジェクタ装置2に同梱されたデータプロジェクタ装置2用のドライバプログラムが記録されているCD−ROM4から同プログラムを予めインストールしておくことで、データプロジェクタ装置2との無線LAN接続によりプレゼンテーションプログラム等の各種アプリケーションプログラムでデータプロジェクタ装置2とアドホックモードに基づいた子機間での直接通信を行なうことが可能となる。
【0027】
同様に、データプロジェクタ装置2もそれ自体は予め無線LAN機能を有するものではなく、例えばUSB接続の無線LANアダプタ3Bを用いることで、データプロジェクタ装置2が無線LAN機能を実現できるものとする。
【0028】
データプロジェクタ装置2は、パーソナルコンピュータ1から送られてきた画像データを基に、例えばマイクロミラー素子を用いて画像データに対応する光像を形成し、投影対象となるスクリーン(図示せず)に各種画像を投影表示する。
【0029】
次に図2によりパーソナルコンピュータ1の構成について説明する。図2はこのパーソナルコンピュータ1のハードウェア構成を示すものであり、各種処理制御を司るCPU11とフロントサイドバスFSBを介してノースブリッジ12が接続される。
【0030】
このノースブリッジ12は、さらにメモリバスMBを介してメインメモリ13と、またグラフィクスインタフェースAGPを介してグラフィックコントローラ14及びグラフィックメモリ15と接続される他、サウスブリッジ16とも接続され、主としてこれらの間での入出力制御を実行する。
【0031】
サウスブリッジ16は、PCIバス17、キーボード/マウス18、ビデオエンコーダ19、USBインタフェース20、マルチディスクドライブ21、ハードディスク装置(HDD)22と接続され、主としてこれら周辺回路とノースブリッジ12との間の入出力制御を行なう。
【0032】
なお、これらパーソナルコンピュータ1を構成する個々の要素は、きわめて一般的な技術であるのでその説明は省略するものとする。
【0033】
なお、ビデオエンコーダ19は、与えられたデジタル値の画像信号からアナログ値の画像信号であるRGBビデオ信号を生成して出力し、ここでは図示しないカラーTFT(薄膜トランジスタ)液晶表示パネルで構成されるディスプレイ部を表示駆動する。
【0034】
ハードディスク装置22は、OS(オペレーティングシステム)や各種アプリケーションプログラム、データファイルと共に、マルチディスクドライブ21に上記CD−ROM4を装着してインストールしたデータプロジェクタ装置2との無線接続用のドライバプログラムを予め記憶している。
【0035】
次いで図3を用いて上記データプロジェクタ装置2の回路構成について説明する。
図中、入出力コネクタ部31より入出力インタフェース(I/F)32を介して入力されたRGBビデオ信号を含む各種規格の画像信号、または後述するUSBインタフェース51を介して入力される画像信号が、システムバスSBを介して画像変換部33で所定のフォーマットの画像信号に統一された後に、投影エンコーダ34へ送られる。
【0036】
投影エンコーダ34は、送られてきた画像信号をビデオRAM35に展開記憶させた上でこのビデオRAM35の記憶内容からビデオ信号を生成して投影駆動部36に出力する。
【0037】
この投影駆動部36は、送られてきた画像信号に対応して適宜フレームレート、例えば60[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動で空間的光変調素子(SOM)である例えばマイクロミラー素子37を表示駆動する。
【0038】
このマイクロミラー素子37に対して、リフレクタ38内に配置された光源ランプ39が出射する高輝度の白色光を、カラーホイール40を介して適宜原色に着色し、インテグレータ41、ミラー42を介して照射することで、その反射光で光像が形成され、投影レンズ43を介してここでは図示しないスクリーンに投影表示される。
【0039】
しかるに、光源ランプ39の点灯駆動と、カラーホイール40を回転駆動するモータ(M)44はいずれも投影光処理部45からの供給電圧値に基づいて動作する。
【0040】
上記各回路のすべての動作制御を制御部46が司る。この制御部46は、CPUと、後述するプレゼンテーションプログラム実行時の投影動作の処理を含む該CPUで実行される動作プログラムを記憶した不揮発性メモリ、及びワークメモリ等により構成される。
【0041】
この制御部46にはまた、システムバスSBを介して音声処理部47が接続される。
音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音し、あるいは必要によりビープ音を発生させる。
【0042】
なお、このデータプロジェクタ装置2に備えられるキースイッチ(SW)部49における各キー操作信号が直接制御部46に入力されると共に、Ir受信部50からの信号が直接入力される。このIr受信部50は、データプロジェクタ装置2の前面及び背面にそれぞれ設けられるもので、図示しないこのデータプロジェクタ装置2用のリモートコントローラからの赤外光受信信号を受信し、コード信号化して制御部46に送出する。
【0043】
図4により上記パーソナルコンピュータ1及びデータプロジェクタ装置2に装着される無線LANアダプタ3A,3Bの回路構成を説明する。なお、この無線LANアダプタ3A,3Bは、上述した如く無線LAN規格として、例えばIEEE802.11g規格に則った無線通信機能を実現するべく上記パーソナルコンピュータ1、データプロジェクタ装置2に装着される。
【0044】
同図に示すようにこの無線LANアダプタ3A(,3B)は、USBインタフェース61、制御部62、アドレスROM63、RF部64、及びアンテナ65から構成される。
USBインタフェース61は、例えばUSB2.0規格によりこの無線LANアダプタ3A(,3B)が装着された装置との間でシリアルデータの送受信を行なう一方で、当該装置から供給される電力をこの無線LANアダプタ3A(,3B)内の他の回路に供給する。
【0045】
制御部62は、簡易なCPUとその動作プログラムを記憶したメモリ等で構成されてコントローラとして機能するもので、下位階層での動作プロトコルに際してはアドレスROM63に記憶されたMAC(Media Access Control)アドレスを用いる。
【0046】
このアドレスROM63は、電気的な書き換えができないマスクROMと、電気的な書き換えが可能なEEPROMとから構成される。
【0047】
すなわち、このアドレスROM63に記憶されたMACアドレスは、無線LAN機器としてEthernet(登録商標)の規格に準拠して割り当てられた固有の物理アドレスとして用いられるもので、同一のアドレスは他に存在しない。
【0048】
アドレスROM63のマスクROM部には、当該アダプタ(当該アダプタを装着した機器)に対応するMACアドレスが固定的に記憶されており、EEP−ROM部には、相手側機器のMACアドレスが適宜記憶される。
【0049】
RF部64は、無線LAN規格の最下階層である物理層に準拠し、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重方式),PBCC(Packet Binary Convolutional Code),DSSS(Direct Sequence Spread Sprctrum:直接(スペクトラム)拡散方式)を用いて他の同規格の装置との間でパケット通信を行なう。
【0050】
次に上記実施の形態の動作について説明する。
まず、本実施の形態の基礎概念を説明する。図5は、本実施の形態で送信される通信パケット内のヘッダ部とデータ部との階層的な入れ子構造を一部簡略化して示すものである。通常、無線LANではアプリケーションプログラムで送信要求のあったTCPパケットをIPパケット及び物理パケットに載せて相手側の装置へ送信する。
【0051】
その際、物理層では、物理パケットのヘッダ部内に位置するMACアドレスを用いて送信対象となる相手側の装置を識別し、データリンク層では、IPパケットのヘッダ部内に位置するIPアドレスを用いて、送信対象となる相手側の装置を識別するものとなる。
【0052】
本実施の形態では、このMACアドレスを、アプリケーションプログラムによって実現されるより上位の通信制御に利用するものであり、本来は下位階層、具体的には最下階層の物理層で使用する、物理アドレスであるMACアドレスを上位階層でも利用するものとする。
【0053】
すなわち、このMACアドレスは本来、図中に示す如く実際に無線LANで送受される物理パケットのヘッダ部内に付記され、物理層が送信対象となる相手側の装置を識別したり、インフラストラクチャモード時にパケット単位でAP(アクセスポイント)に予め登録されているMACアドレスと比較されることで、最寄りのAPとの接続を制限(MACアドレスフィルタリング機能)するために使用されるものであるが、上述した如く本実施の形態では、上位階層のアプリケーションプログラムによって実現されるより上位の通信制御に利用するものであり、例えば、このMACアドレスに基づいて生成されるキー情報を、通信の際の認証キーやセキュリティキーとして用いることで、アプリケーションプログラム実行時の複数の装置間の接続の確立を制御するものである。
【0054】
また、このMACアドレスをTCPパケットのデータ本体部に含ませて相手側に送信することで、双方の機器で共通して認識可能なキー情報をアプリケーションプログラムが自動的に生成することを可能にするものである。
【0055】
次に、図6により無線LANアダプタ3A,3Bを装着したパーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2の双方で、予め通信相手を相互に登録しておく場合の処理内容について説明する。
【0056】
同図は、パーソナルコンピュータ1側はハードディスク装置22にインストールされた無線LAN接続プログラムに含まれる初期設定プログラムに基づいてCPU11が、データプロジェクタ装置2側は予め制御部46内のフラッシュメモリに記憶された無線LAN接続プログラムに含まれる初期設定プログラムに基づいて制御部46が、夫々実行する。
【0057】
動作当初、パーソナルコンピュータ1及びデータプロジェクタ装置2は、まだ通信接続(画像データの送受信)を行なうべき相手側機器が決まっていない。このため、予め決められたデフォルト(共通)のキー情報である認証キーやセキュリティキーを設定して通信を開始することになる。
【0058】
データプロジェクタ装置2では、無線LANアダプタ3Bを介して、上記デフォルト(共通)のキー情報及び上記接続プログラムに定義してあるネットワーク情報に基づいて接続待ちの状態となり、以後パーソナルコンピュータ1からの接続があるのを待機する(ステップB01,B02)。
【0059】
ここで上記ネットワーク情報とは、例えばIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、及びセキュリティ方法を含む。
【0060】
一方のパーソナルコンピュータ1では、接続された無線LANアダプタ3AのMACアドレスをアドレスROM63から読出して取得する(ステップA01)。
【0061】
次いでパーソナルコンピュータ1は、上記デフォルト(共通)のキー情報及び上記接続プログラムに定義してあるネットワーク情報に基づいてアドホックモードで無線LANアダプタ3Aを介して、無線LANアダプタ3Bを装着したデータプロジェクタ装置2と接続する(ステップA02)。
【0062】
このとき、デフォルト(共通)のキー情報を用いているため、同じキー情報が設定されたデータプロジェクタ装置がパーソナルコンピュータ1の周囲に複数存在する場合には、複数のデータプロジェクタ装置からの応答があるが、この場合には、所望のデータプロジェクタ装置を利用者が選択指定する。
【0063】
上記取得したMACアドレスを応答のあった(または選択された)データプロジェクタ装置2へ転送する(ステップA03)。
【0064】
接続を待機していたデータプロジェクタ装置2では、パーソナルコンピュータ1からの接続要求に応答し、利用者により実行の装置が選択されたことを上記ステップB02で判断し、続けてパーソナルコンピュータ1側から転送されてくるMACアドレスを受信する(ステップB03)。
【0065】
データプロジェクタ装置2は、次にすでに登録してある筈のMACアドレスをアドレスROM63のEEPROM部から読出し(ステップB04)、上記受信したMACアドレスとの一致を判断することで、上記受信したMACアドレスがすでに登録されているか否かを判断する(ステップB05)。
【0066】
ここで、受信したMACアドレスとすでに登録されていたMACアドレスとが一致しなかった場合、または、まだいずれのMACアドレスも登録されていない場合には、次いでパーソナルコンピュータ1側のMACアドレスを新規に登録するか否かをユーザに確認するべく表示する(ステップB06)。
【0067】
図7は、このときデータプロジェクタ装置2側で表示されるMACアドレス登録の確認画面を例示するものである。
これは、上記図3では示さなかったが、データプロジェクタ装置2が液晶表示パネル等による表示部を有していればその表示部で表示するものとしてもよいし、投影レンズ43を介して同様の内容を投影表示するものとしてもよい。
【0068】
しかるに、上記図7で示した如く確認の画面を表示した状態で、画面内容に示す如く「登録」を選択するユーザの操作があったか否かを判断し(ステップB07)、あったと判断した場合にのみ、パーソナルコンピュータ1側から転送されてきたMACアドレスを新規にアドレスROM63のEEPROM部に登録設定する(ステップB08)。
【0069】
なお、上記ステップB05ですでにパーソナルコンピュータ1側から転送されてきたMACアドレスが登録されていると判断した場合、及び上記ステップB07でユーザが新規のMACアドレスを登録しない旨の選択操作を行なったと判断した場合には、当然ながら上記ステップB08での新規のMACアドレスの登録処理は実行しない。
【0070】
しかしてデータプロジェクタ装置2では、次に無線LANアダプタ3BのアドレスROM63から自装置側のMACアドレスを読出して取得し(ステップB09)、この取得したMACアドレスをパーソナルコンピュータ1へ転送し(ステップB10)、以上で当該接続プログラムに基づくMACアドレス登録の一連の処理を終了する。
【0071】
一方のパーソナルコンピュータ1では、上記ステップA03で自装置側である無線LANアダプタ3AのMACアドレスをデータプロジェクタ装置2に対して転送した後、今度はデータプロジェクタ装置2側からのMACアドレスが転送されてくるとこれを受信し(ステップA04)、すでに登録してある筈のMACアドレスをアドレスROM63のEEPROM部から読出し(ステップA05)、上記受信したMACアドレスとの一致を判断することで、上記受信したMACアドレスがすでに登録されているか否かを判断する(ステップA06)。
【0072】
ここで、受信したMACアドレスとすでに登録されていたMACアドレスとが一致しなかった場合、または、まだいずれのMACアドレスも登録されていない場合には、次いでデータプロジェクタ装置2側のMACアドレスを新規に登録するか否かをユーザに確認するべく表示する(ステップA07)。
【0073】
このときパーソナルコンピュータ1の表示部において表示される画面も、上記図7で示したものと基本的には同様となるもので、このような確認の画面を表示した状態で、MACアドレスの登録を選択するユーザの操作があったか否かを判断し(ステップA08)、あったと判断した場合にのみ、データプロジェクタ装置2側から転送されてきたMACアドレスを新規にアドレスROM63のEEPROM部に登録設定する(ステップA09)。
【0074】
なお、パーソナルコンピュータ1側で、上記ステップA06ですでにデータプロジェクタ装置2側から転送されてきたMACアドレスが登録されていると判断した場合、及び上記ステップA08でユーザが新規のMACアドレスを登録しない旨の選択操作を行なったと判断した場合には、当然ながら上記ステップA09での新規のMACアドレスの登録処理は実行せず、そのまま以上で当該接続プログラムに基づくMACアドレス登録の一連の処理を終了する。
【0075】
こうしてパーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2相互のMACアドレス登録処理を予め実行しておくことで、以後、無線LANアダプタ3Aを装着したパーソナルコンピュータ1と無線LANアダプタ3Bを装着したデータプロジェクタ装置2とによる1対1でのプレゼンテーション等のアプリケーションプログラムの実行が可能となり、再度初期設定プログラムを実行して設定を変更しない限りこの1対1の組み合わせは維持される。
【0076】
なお、この1対1の組み合わせは、パーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2との間に設定されたものではなく、無線LANアダプタ3Aと無線LANアダプタ3Bとの間で設定されたものであり、本実施の形態では、無線LANアダプタを着脱可能としている。
【0077】
そのため、組み合わせが設定された2つの無線LANアダプタを別のパーソナルコンピュータやデータプロジェクタ装置に装着することで、再度初期設定プログラムを実行することなく、別のパーソナルコンピュータとデータプロジェクタ装置との組み合わせを実現することができる。
【0078】
以下、図8により、1対1の組み合わせが設定された(1対1の組み合わせが設定された無線LANアダプタが装着された)パーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2との間での選択的な通信接続を可能とし、他の組み合わせでの通信接続を排除して、プレゼンテーションのプログラムを実行する場合の処理内容について説明する。
【0079】
動作当初、画像データの送受信を開始するのに先立って、双方に装着された無線LANアダプタ3A,3Bに設定されたMACアドレスの情報に基づいて、双方に共通の認証キー及びセキュリティキーを生成して互いに設定することになる。
【0080】
データプロジェクタ装置2では、無線LANアダプタ3Bに登録されているパーソナルコンピュータ1側の無線LANアダプタ3AのMACアドレスと自身のMACアドレスとにより共通キーとして作成し(ステップB21)、これを通信接続における相互認証を制御するための認証キーの1種であり、ネットワーク名でもあるESSID(Extended Service Set IDentifier)キー及び、通信接続におけるセキュリティを制御するためのセキュリティキーの1種であり、暗号化情報を含むWEP(Wired Equivalent Privacy)キーとする(ステップB22)。
【0081】
例えば、パーソナルコンピュータ1側の無線LANアダプタ3A、データプロジェクタ装置2側の無線LANアダプタ3Bの各のMACアドレスが以下の内容
3A:「0090CCB7F057(H)」
3B:「0090CC5DBFF2(H)」
であった場合、これらをマージすることで
「0090CC5DBFF20090CCB7F057(H)」
なるマージ結果を得、これをESSIDキー及びWEPキーとして作成する。
【0082】
なお、このマージにおいては、パーソナルコンピュータ側に装着された無線LANアダプタのマスクROM部に記憶されているMACアドレスであり、データプロジェクタ装置側に装着された無線LANアダプタのEEPROM部に記憶されているMACアドレスでもあるMACアドレスを先頭(左側)に、パーソナルコンピュータ側に装着された無線LANアダプタのEEPROM部に記憶されているMACアドレスであり、データプロジェクタ装置側に装着された無線LANアダプタのマスクROM部に記憶されているMACアドレスでもあるMACアドレスを続く位置である後ろ(右側)にするような順番でマージする、というように共通する生成規則を予め決めておく。これによりパーソナルコンピュータ側でもデータプロジェクタ装置側でも同じキー情報を生成することができる。
【0083】
因みに、上述した如くMACアドレスが各48ビットであるのに対し、ESSIDの最大データ長が32バイト(256ビット)、WEPが128ビットであるものとすると、この条件をクリアしている。
【0084】
なお、ここではWEPが128ビットとしたが、実際にはキーとして使用しないデータ部分を24ビット含むので、上記2つのMACアドレス計96ビットの他に、残り8ビット分を適宜補填する。
【0085】
データプロジェクタ装置2では、無線LANアダプタ3Bの接続ソフトで記述されているネットワーク情報、例えば
IPアドレス:192.168.1.1
サブネットマスク:255.255.255.0
デフォルトゲートウェイ:0.0.0.0
セキュリティ方法:WEP(128ビット)
と、作成した共通キーを上述した如くESSIDキー及びWEPキーとして設定した上で、パーソナルコンピュータ1からの接続要求があるのを待機する(ステップB23)。
【0086】
一方、パーソナルコンピュータ1側にインストールされている無線LAN接続プログラムは、パーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2とをワイヤレスで接続し、パーソナルコンピュータ1での表示画面の画像データをキャプチャし、無線LANアダプタ3A,3Bを介してデータプロジェクタ装置2へ転送し、データプロジェクタ装置2側で投影表示させるためのプログラムであり、製品としてのデータプロジェクタ装置2に同梱される上記CD−ROM4等の記録媒体に格納されている。
【0087】
パーソナルコンピュータ1側では、画像データの送受信を開始するのに先立って、無線LANアダプタ3Aに登録されているデータプロジェクタ装置2側の無線LANアダプタ3BのMACアドレスと自身のMACアドレスとにより共通キーとして作成し(ステップA21)、これを認証キーであるESSIDキー及びセキュリティキーであるWEPキーとする(ステップA22)。
【0088】
この場合、パーソナルコンピュータ1では、上述した共通する生成規則により無線LANアダプタ3B,3Aの各のMACアドレスをマージして
「0090CC5DBFF20090CCB7F057(H)」
なるマージ結果を得、これを用いてESSIDキー及びWEPキーとして作成する。
【0089】
パーソナルコンピュータ1では、無線LANアダプタ3Aの接続ソフトで記述されているネットワーク情報、例えば
IPアドレス:192.168.1.2
サブネットマスク:255.255.255.0
デフォルトゲートウェイ:0.0.0.0
セキュリティ方法:WEP(128ビット)
と、作成した共通キーを上述した如くESSIDキー及びWEPキーとして設定した上で、子機機間での直接通信を行なうアドホックモードでデータプロジェクタ装置2側との接続を確立する(ステップA23)。
【0090】
以後、プレゼンテーションのアプリケーションプログラムに従ってパーソナルコンピュータ1側の無線LANアダプタ3Aから順次、上位階層であるTCPパケットのデータ本体部に上記ESSIDキー及びWEPキーを共通キーとして含んだ画像データを送信しながら(ステップA24)、同時に同アプリケーションプログラムの終了となるのを待機する(ステップA25)。
【0091】
データプロジェクタ装置2側でも、送られてくる画像データを無線LANアダプタ3Bを介して受信し、受信した画像データ中に上記共通キーが含まれていることを確認した上で、画像データに対応した投影動作を実行しながら(ステップB24)、同時にパーソナルコンピュータ1側からの終了要求により同アプリケーションプログラムの終了となるのを待機する(ステップB25)。
【0092】
その後、パーソナルコンピュータ1側でプレゼンテーションのアプリケーションプログラムでの画像データの送信動作を終了すると、上記ステップA25でこれを判断し、データプロジェクタ装置2側への終了要求の送信を含む当該アプリケーションプログラムの終了、及びデータプロジェクタ装置2との接続を切断する一連の処理を実行する(ステップA26)。
【0093】
パーソナルコンピュータ1側からの終了要求を受けるデータプロジェクタ装置2側でも、ステップB25でこれを判断し、投影動作の終了とパーソナルコンピュータ1との接続を切断する一連の処理を実行する(ステップB26)。
【0094】
このように、相手側装置の、本来は下位階層で用いる物理アドレスであるMACアドレスを予め登録しておくことで、所定のアプリケーションプログラムに基づく上位階層の通信制御でも共通キーを作成するのに用いてパケット通信を行なうものとする。このため、所定のアプリケーションプログラムを用いた無線ネットワーク環境下でのデータ転送時に、接続可能な装置を確実に限定することが可能となる。
【0095】
なお、上記実施の形態では、パーソナルコンピュータ1に装着した無線LANアダプタ3AのMACアドレスとデータプロジェクタ装置2に装着した無線LANアダプタ3BのMACアドレスから作成する共通キーとして、無線ネットワークのネットワーク名を表す認証キーであるESSIDキーを作成してデータ通信に利用するものとしたことで、きわめて独自性の高いネットワーク環境を容易に作成し、1:1で2台の装置を確実に無線接続することができる。
【0096】
つまり、2つの装置の各々に固有の情報から2つの装置で共通して認識可能なキー情報を生成して通信制御に利用することにより、他の装置から割り込まれることのない、2つの装置間での1対1での通信接続が可能となる。
【0097】
加えて上記実施の形態では、パーソナルコンピュータ1に装着した無線LANアダプタ3AのMACアドレスとデータプロジェクタ装置2に装着した無線LANアダプタ3BのMACアドレスから作成する共通キーとして、さらに無線ネットワークの暗号化技術の秘密キーであるWEPキーを作成してデータ通信に利用するものとしたことで、確実に独自性の高い共通キーを得ることができるため、セキュリティの向上を図ることが可能となる。
【0098】
なお、実施の形態では、2台の装置のMACアドレスからネットワーク名を表す認証用キーであるESSIDキーと暗号化技術の秘密キーであるWEPキーとを作成するものとしたが、特にWEPキーに関しては、2つのMACアドレスを暗号化した上でWEPキーを作成することで、より解読が困難となり、セキュリティの度合いを向上させることができる。
【0099】
例えば、データプロジェクタ装置2側の無線LANアダプタ3Bとパーソナルコンピュータ1側の無線LANアダプタ3Aの各MACアドレスが
3A:「0090CCB7F057(H)」
3B:「0090CC5DBFF2(H)」
であった場合、これらを上述した如く単純にマージするだけではなく、マージ結果
「0090CC5DBFF20090CCB7F057(H)」
に対して、特に暗号化方式は限定しないが、ある変換式f(x)と変換キーZZZとにより変換を施すことで、例えば
「byQIGJh1pz5j2QKpt4ArtyO」
のような文字列を得、これをWEPキーとして用いることで、秘匿性を高めて、さらなるセキュリティの向上を図ることができる。
【0100】
なお、上記実施の形態では、2台の装置間で無線LAN技術を用いて所定のアプリケーションプログラム上で送受信するデータとして、一連の画像データを取扱うものとしたが、このようにデータ量が多いストリームデータとしての画像データを取扱う場合にも、接続可能な装置を確実に限定し、他の装置からの割込みを確実に阻止することができる。
【0101】
特に、送信側の装置が画像データの生成機能を備えた画像生成装置であり、この画像生成装置から送信されてきた画像データに対し、受信側の装置が表示機能を備えていて、その画像データに応じた表示を行なうような、例えばプレゼンテーションのようなアプリケーションプログラムを実行している場合には、他の装置からの割込み等で本来の正しい画像データが表示されなくなってしまうことで損なう被害が大きいものと考えられるので、そのような不測の事態を確実に回避して、当該アプリケーションプログラムを安定した状態で実行することができる。
【0102】
なお、上記実施の形態では、パーソナルコンピュータ1及びデータプロジェクタ装置2が夫々その装置自体は無線LAN機能を有しておらず、無線LANアダプタ3A,3Bを装着することで無線LAN環境を実現するものとして説明したが、本発明はこれに限らない。
【0103】
図9は、汎用のパーソナルコンピュータ1を無線LANの接続対象とするデータプロジェクタ装置2の構成の一形態を示すものである。
【0104】
すなわち、データプロジェクタ装置2は、予め上記図6で示した初期設定(登録)用のプログラムと上記図8で示した投影制御用のプログラムとを接続プログラムとして予め備えると共に、無線LAN通信部を内蔵し、当該無線LAN通信部内にMACアドレスを含む各種ネットワーク情報を所持している。
【0105】
一方で、このデータプロジェクタ装置2の無線LAN接続対象となるパーソナルコンピュータ1は、データプロジェクタ装置2に同梱されたCD−ROM4に書込まれている、上記図6で示した初期設定(登録)用のプログラムと上記図8で示した投影制御用のプログラムとを接続プログラムとしてインストールすることで、データプロジェクタ装置2との接続が可能となる。
【0106】
また、図10は、無線LANアダプタ3A,3Bの双方のメモリ内に相手側の無線LANアダプタのMACアドレスを予め登録しておき、複数のパーソナルコンピュータ1,1,‥‥と複数のデータプロジェクタ装置2,2,‥‥とが存在する環境下で、ユーザが任意のパーソナルコンピュータ1、データプロジェクタ装置2を選択して無線LANアダプタ3A,3Bを装着することで、その他の装置からの割込みの状態を確実に防止しながら、任意の装置間でのみデータ通信を安定して実行することができる状態を例示している。
【0107】
なお、装置の出荷時のままのネットワーク設定で無線接続を行なう場合、上記図10で説明したようにパーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2が夫々複数存在する環境下で、複数セットの組合せにより夫々データ通信を行なうものとすると、IPアドレスの重複エラーが発生する可能性が生じる。
【0108】
そのような場合には、エラーを認識した機器側でIPアドレスを1ずつ加算した上で再接続を行なうことにより、確実にIPアドレスの重複エラーを回避し、夫々の装置セット間で確実にデータ通信を行なうことが可能となる。
【0109】
これに代えて、上記MACアドレスの下位24ビットは、各メーカが設定するユニークなアドレス値であり、同一メーカであれば同一アドレスは存在しないので、その下位24ビットをIPアドレスに変換所定設定することによっても、IPアドレスの重複エラーを回避することができる。
【0110】
また、上記実施の形態では、パーソナルコンピュータ1とデータプロジェクタ装置2とを無線LAN接続し、パーソナルコンピュータ1からの画像データを連続してデータプロジェクタ装置2へ転送し、データプロジェクタ装置2でその画像データに基づいた投影動作を実行するものとして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、2つの装置間を無線ネットワーク接続して何らかのデータ通信を行なうようなシステム、あるいはそのシステムで使用される個々の装置、それら個々の装置にインストールされたプログラム等、種々の形態で同様の構成を実現することができる。
【0111】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施の形態で実行される機能は可能な限り適宜組合わせて実施しても良い。上述した実施の形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件により適宜の組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施の一形態に係るシステム全体の構成を示す図。
【図2】同実施の形態に係るパーソナルコンピュータの機能回路構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態に係るプロジェクタ装置の機能回路構成を示すブロック図。
【図4】同実施の形態に係る無線LANアダプタの機能回路構成を示すブロック図。
【図5】同実施の形態に係る開放型システムの相互接続で使用される通信パケット内のヘッダ部とデータ本体部との階層的な入れ子構造を簡略化して例示する図。
【図6】同実施の形態に係るパーソナルコンピュータとデータプロジェクタ装置双方で実行される処理内容を示すフローチャート。
【図7】同実施の形態に係る相手側装置のMACアドレス登録時の画面表示例を示す図。
【図8】同実施の形態に係るパーソナルコンピュータとデータプロジェクタ装置双方で実行される通信接続時の処理内容を示すフローチャート。
【図9】同実施の形態に係るデータプロジェクタ装置の機能構成と製品としての付属品の一形態を示す図。
【図10】同実施の形態に係る接続環境を例示する図。
【符号の説明】
【0113】
1…パーソナルコンピュータ(PC)、2…データプロジェクタ装置(PJ)、3A,3B…無線LANアダプタ、4…CD−ROM、11…CPU、12…ノースブリッジ、13…メインメモリ、14…グラフィックコントローラ、15…グラフィックメモリ、16…サウスブリッジ、17…PCIバス、18…キーボード/マウス、19…ビデオエンコーダ、20…USBインタフェース(I/F)、21…マルチディスクドライブ、22…ハードディスク装置(HDD)、31…入出力コネクタ部、32…入出力インタフェース(I/F)、33…画像変換部、34…投影エンコーダ、35…ビデオRAM、36…投影駆動部、37…マイクロミラー素子、38…リフレクタ、39…光源ランプ、40…カラーホイール、41…インテグレータ、42…ミラー、43…投影レンズ、44…モータ(M)、45…投影光処理部、46…制御部、47…音声処理部、48…スピーカ、49…キースイッチ(SW)部、50…Ir受信部、61…USBインタフェース(I/F)、62…制御部、63…アドレスROM、64…RF部、65…アンテナ、AGP…グラフィクスインタフェース、FSB…フロントサイドバス、MB…メモリバス、SB…システムバス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークに接続可能な他の装置との間で通信を行なう通信制御装置であって、
無線ネットワークに接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御手段と、
所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスが予め登録された登録手段と、
上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、上記登録手段に登録された相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御手段と
を備えたことを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
上記下位階層の通信制御手段及び登録手段を、装置本体に対して着脱自在に装着する無線アダプタに設けることを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
【請求項3】
相手側の装置の物理アドレスが登録されていない初期状態において、複数の装置に共通するキー情報を設定した通信により相手側の装置の物理アドレスを取得し、この取得した物理アドレスを上記登録手段に登録する初期設定手段をさらに備え、
上記通信制御手段は、上記初期設定手段により相手側の装置の物理アドレスが登録された後に、この登録された相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスとから生成されたキー情報であり、この2台の装置の組合せに特化されたキー情報を設定した通信により連続した通信パケットの通信を行なう
ことを特徴とする請求項1または2記載の通信制御装置。
【請求項4】
第1の物理アドレスのデータを第1の方法で処理し、第2の物理アドレスのデータを上記第1の方法とは異なる第2の方法で処理する所定の生成規則によりキー情報を生成する生成手段をさらに備え、
上記通信制御手段は、第1の役割を有する第1の装置と、上記第1の役割とは異なる第2の役割を有する第2の装置との間で通信を行なう場合に、上記第1の装置に固有の物理アドレスを上記第1の物理アドレスとし、上記第2の装置に固有の物理アドレスを上記第2の物理アドレスとして上記生成手段によりキー情報を生成する
ことを特徴とする請求項1または2記載の通信制御装置。
【請求項5】
上記生成規則は、上記第1の物理アドレスのデータに続く位置に上記第2の物理アドレスのデータを連結してキー情報を生成する生成規則であることを特徴とする請求項4記載の通信制御装置。
【請求項6】
上記第1の役割を有する第1の装置は、画像データを生成して送信する役割を有するパーソナルコンピュータ装置であり、上記第2の役割を有する第2の装置は、画像データを受信して表示するプロジェクタ装置であることを特徴とする請求項1または4記載の通信制御装置。
【請求項7】
上記相手側の装置の物理アドレス及び自分側の装置の物理アドレスから作成する共通のキー情報を、無線ネットワークの認証キーとして使用することを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
【請求項8】
上記相手側の装置の物理アドレス及び自分側の装置の物理アドレスから作成する共通のキー情報を、無線ネットワークのセキュリティキーとして使用することを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
【請求項9】
上記2台の装置の物理アドレスを暗号化した上で共通のキー情報を作成し、無線ネットワークのセキュリティキーとして使用することを特徴とする請求項8記載の通信制御装置。
【請求項10】
上記所定のアプリケーションプログラムは、一連の画像データの送受信を行なうことを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
【請求項11】
上記所定のアプリケーションプログラムは、画像データの生成機能を備えた画像生成装置から画像データの表示機能を備えた画像表示装置に対して複数画面分の画像データを連続して送信するものであることを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
【請求項12】
上記通信制御装置を内蔵すると共に、上記画像データの表示機能を備え、上記所定のアプリケーションプログラムを実行することが可能であることを特徴とする請求項11記載の画像表示装置。
【請求項13】
上記通信制御装置を内蔵すると共に、上記画像データの生成機能と、上記所定のアプリケーションプログラムを外部から入力して記憶するメモリとを備え、該アプリケーションプログラムを実行することが可能であることを特徴とする請求項11記載の画像生成装置。
【請求項14】
無線ネットワーク接続可能な2台の装置間で通信を行なう通信制御システムであって、
上記2台の装置は共に、
無線ネットワーク接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御手段を備え、且つ、
上記2台の少なくとも一方は、
所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスが予め登録された登録手段と、
上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、上記登録手段に登録された相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御手段とを備える
ことを特徴とする通信制御システム。
【請求項15】
無線ネットワーク接続可能な他の装置との間で通信を行なう通信制御装置が用いる通信制御方法であって、
無線ネットワーク接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御工程と、
上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、登録部に予め登録されている通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御工程と
を有したことを特徴とする通信制御方法。
【請求項16】
無線ネットワーク接続可能な他の装置との間で通信を行なう通信制御装置に内蔵されたコンピュータが実行するプログラムであって、
無線ネットワーク接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御ステップと、
上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、登録部に予め登録されている通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
無線ネットワークに接続可能な他の装置との間で通信を行なう通信制御装置であって、
無線ネットワークに接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御手段と、
所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスが予め登録された登録手段と、
上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、上記登録手段に登録された相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御手段と
を備えたことを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
上記下位階層の通信制御手段及び登録手段を、装置本体に対して着脱自在に装着する無線アダプタに設けることを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
【請求項3】
相手側の装置の物理アドレスが登録されていない初期状態において、複数の装置に共通するキー情報を設定した通信により相手側の装置の物理アドレスを取得し、この取得した物理アドレスを上記登録手段に登録する初期設定手段をさらに備え、
上記通信制御手段は、上記初期設定手段により相手側の装置の物理アドレスが登録された後に、この登録された相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスとから生成されたキー情報であり、この2台の装置の組合せに特化されたキー情報を設定した通信により連続した通信パケットの通信を行なう
ことを特徴とする請求項1または2記載の通信制御装置。
【請求項4】
第1の物理アドレスのデータを第1の方法で処理し、第2の物理アドレスのデータを上記第1の方法とは異なる第2の方法で処理する所定の生成規則によりキー情報を生成する生成手段をさらに備え、
上記通信制御手段は、第1の役割を有する第1の装置と、上記第1の役割とは異なる第2の役割を有する第2の装置との間で通信を行なう場合に、上記第1の装置に固有の物理アドレスを上記第1の物理アドレスとし、上記第2の装置に固有の物理アドレスを上記第2の物理アドレスとして上記生成手段によりキー情報を生成する
ことを特徴とする請求項1または2記載の通信制御装置。
【請求項5】
上記生成規則は、上記第1の物理アドレスのデータに続く位置に上記第2の物理アドレスのデータを連結してキー情報を生成する生成規則であることを特徴とする請求項4記載の通信制御装置。
【請求項6】
上記第1の役割を有する第1の装置は、画像データを生成して送信する役割を有するパーソナルコンピュータ装置であり、上記第2の役割を有する第2の装置は、画像データを受信して表示するプロジェクタ装置であることを特徴とする請求項1または4記載の通信制御装置。
【請求項7】
上記相手側の装置の物理アドレス及び自分側の装置の物理アドレスから作成する共通のキー情報を、無線ネットワークの認証キーとして使用することを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
【請求項8】
上記相手側の装置の物理アドレス及び自分側の装置の物理アドレスから作成する共通のキー情報を、無線ネットワークのセキュリティキーとして使用することを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
【請求項9】
上記2台の装置の物理アドレスを暗号化した上で共通のキー情報を作成し、無線ネットワークのセキュリティキーとして使用することを特徴とする請求項8記載の通信制御装置。
【請求項10】
上記所定のアプリケーションプログラムは、一連の画像データの送受信を行なうことを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
【請求項11】
上記所定のアプリケーションプログラムは、画像データの生成機能を備えた画像生成装置から画像データの表示機能を備えた画像表示装置に対して複数画面分の画像データを連続して送信するものであることを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
【請求項12】
上記通信制御装置を内蔵すると共に、上記画像データの表示機能を備え、上記所定のアプリケーションプログラムを実行することが可能であることを特徴とする請求項11記載の画像表示装置。
【請求項13】
上記通信制御装置を内蔵すると共に、上記画像データの生成機能と、上記所定のアプリケーションプログラムを外部から入力して記憶するメモリとを備え、該アプリケーションプログラムを実行することが可能であることを特徴とする請求項11記載の画像生成装置。
【請求項14】
無線ネットワーク接続可能な2台の装置間で通信を行なう通信制御システムであって、
上記2台の装置は共に、
無線ネットワーク接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御手段を備え、且つ、
上記2台の少なくとも一方は、
所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスが予め登録された登録手段と、
上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、上記登録手段に登録された相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御手段とを備える
ことを特徴とする通信制御システム。
【請求項15】
無線ネットワーク接続可能な他の装置との間で通信を行なう通信制御装置が用いる通信制御方法であって、
無線ネットワーク接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御工程と、
上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、登録部に予め登録されている通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御工程と
を有したことを特徴とする通信制御方法。
【請求項16】
無線ネットワーク接続可能な他の装置との間で通信を行なう通信制御装置に内蔵されたコンピュータが実行するプログラムであって、
無線ネットワーク接続可能な複数の装置の夫々に固定的に割り当てられた固有の物理アドレスを用い、通信パケット内のヘッダ部に当該物理アドレスを格納して送受信を行なうことにより、任意の装置間でパケット単位でデータの送受信を行なう下位階層の通信制御ステップと、
上記所定のアプリケーションプログラムに基づく1対1での連続した通信時に、登録部に予め登録されている通信の対象となる相手側の装置の物理アドレスと自分側の装置の物理アドレスから2台の装置間で共通するキー情報を作成し、作成したキー情報に基づいて連続した通信パケットの通信を行なう上位階層の通信制御ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−109592(P2008−109592A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292854(P2006−292854)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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