説明

通信制御装置、通信制御方法及び通信制御プログラム

【課題】発信元から着信先に対して送信される発信情報の送受信がループして行われてしまうことを防止することができる通信制御装置、通信制御方法及び通信制御プログラムを提供すること
【解決手段】本発明にかかる通信制御装置20は、発信元の通信端末装置31から着信先の通信端末装置32に対して発信情報が送信されるときに、当該発信情報の内容を示す発信履歴情報を当該発信情報に付加する履歴付加手段21と、発信情報が前記発信元の通信端末装置31に対して送信されたときに、当該発信情報が示す内容と、当該発信情報に付加された発信履歴情報が示す内容とを比較し、比較した内容が一致した場合、当該発信情報を破棄する比較手段22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置、通信制御方法及び通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ISDN(Integrated Services Digital Network)公衆回線を収容する構内電話交換機は、自身が接続を制御する内線電話機に対する着信があった場合に、任意の電話番号の電話機に対して自動転送を行う機能を有している。しかし、内線電話機の自動転送先にその内線電話機のダイヤルイン番号を誤って設定してしまった場合、その内線電話機に対して着信があると、構内電話交換機が自動転送によってISDN公衆回線を経由してISDN公衆網に発信するが、再び自動転送先であるその内線電話機に対して着信してしまう。そして、構内電話交換機は、自動転送によって再度ISDN公衆回線を経由してISDN公衆網に発信する。その結果、そのISDN公衆回線において、発着信がループして行われてしまう。
【0003】
つまり、発信によって、発信元から着信先に対して送信される発信情報がループして送受信されることになり、一時的に構内電話交換機に対して高負荷がかかってしまうという問題ある。また、そのISDN公衆回線が一時的に塞がってしまうため、電話業務が滞ってしまうという問題がある。
【0004】
特許文献1には、呼設定情報に付加された発信局番号及び中継線番号を、呼設定情報が通過する交換局に登録し、登録した情報に基づいてループ防止を行うことにより、送信情報のデータ量を増加することなく、大規模なネットワークに対応できる技術が開示されている。しかし、特許文献1に開示の技術は、呼設定情報毎に交換局に情報を登録する必要があるため、例えば、公衆網及び公衆回線等のように不特定多数の呼設定情報が送信されるネットワークにおいては交換局に登録が必要な情報量は膨大となってしまい現実的でない。
【0005】
また、特許文献2には、第2のネットワークから受信したパケットの送信元が第1のネットワークである場合、そのパケットの第1のネットワークへの転送を停止することで、無限ループの発生を防止する技術が開示されている。しかし、特許文献2は、発信元から着信先に対して送信される発信情報に、発信情報の内容を示す発信履歴情報を付加することで、発信情報の送受信がループして行われてしまうことを防止するための具体的な技術を開示したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平04−253452号公報
【特許文献2】特開2008−124813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
背景技術として説明したように、発信元から着信先に対して送信される発信情報の送受信がループして行われてしまうことがあるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、上述した課題を解決するために、発信元から着信先に対して送信される発信情報の送受信がループして行われてしまうことを防止することができる通信制御装置、通信制御方法及び通信制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様にかかる通信制御装置は、発信元の通信端末装置から着信先の通信端末装置に対して発信情報が送信されるときに、当該発信情報の内容を示す発信履歴情報を当該発信情報に付加する履歴付加手段と、前記発信情報が前記発信元の通信端末装置に対して送信されたときに、当該発信情報が示す内容と、当該発信情報に付加された発信履歴情報が示す内容とを比較し、比較した内容が一致した場合、当該発信情報を破棄する比較手段と、を備える。
【0010】
本発明の第2の態様にかかる通信制御方法は、発信元の通信端末装置から着信先の通信端末装置に対して発信情報が送信されるときに、当該発信情報の内容を示す発信履歴情報を当該発信情報に付加するステップと、前記発信情報が前記発信元の通信端末装置に対して送信されたときに、当該発信情報が示す内容と、当該発信情報に付加された発信履歴情報が示す内容とを比較するステップと、前記比較した内容が一致した場合に、当該発信情報を破棄するステップと、を備える。
【0011】
本発明の第3の態様にかかる通信制御プログラムは、発信元の通信端末装置から着信先の通信端末装置に対して発信情報が送信されるときに、当該発信情報の内容を示す発信履歴情報を当該発信情報に付加するステップと、前記発信情報が前記発信元の通信端末装置に対して送信されたときに、当該発信情報が示す内容と、当該発信情報に付加された発信履歴情報が示す内容とを比較するステップと、前記比較した内容が一致した場合に、当該発信情報を破棄するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
上述した本発明の各態様により、発信元から着信先に対して送信される発信情報の送受信がループして行われてしまうことを防止することができる通信制御装置、通信制御方法及び通信制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる通信制御装置及びその周辺装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態2にかかる構内電話交換機及びその周辺装置の構成を示す図である。
【図3】ISDNプロトコルのSETUPメッセージに含まれる情報を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2にかかるSETUPメッセージのユーザ・ユーザ情報の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2にかかる構内電話交換機のループ規制処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態1.
図1を参照して、本発明の実施の形態1にかかる通信制御装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかる通信制御装置の構成を示す図である。
【0015】
通信制御装置20は、履歴付加手段21及び比較手段22を備える。また、通信制御装置20は、通信端末装置31、32と接続される。ここでは、通信端末装置31から通信端末装置32に対して発信が行われる場合について例示する。なお、通信端末装置31と通信端末装置32は、同一の通信端末装置であってもよい。
【0016】
履歴付加手段21は、発信元の通信端末装置31から着信先の通信端末装置32に対して発信情報が送信されるときに、発信情報の内容を示す発信履歴情報を発信情報に付加する。
比較手段22は、発信情報が発信元の通信端末装置31に対して送信されたときに、発信情報が示す内容と、発信情報に付加された発信履歴情報が示す内容とを比較し、比較した内容が一致した場合、発信情報を破棄する。
【0017】
続いて、本発明の実施の形態1にかかる通信制御装置の処理について説明する。
通信端末装置31から通信端末装置32に対して発信がされた場合、通信端末装置31から通信端末装置32に対して発信情報が送信される。
履歴付加手段21は、通信端末装置31から通信端末装置32に対して発信情報が送信されるときに、発信情報の内容を示す発信履歴情報を発信情報に付加する。
比較手段22は、通信端末装置31から通信端末装置32に対して送信された発信情報が、通信端末装置31に対して送信されたときに、発信情報が示す内容と、発信情報に付加された発信履歴情報が示す内容とを比較し、比較した内容が一致した場合、発信情報を破棄する。
【0018】
本発明の実施の形態2.
図2を参照して、本発明の実施の形態2にかかる構内電話交換機及びその周辺装置の構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態2にかかる構内電話交換機及びその周辺装置の構成を示す図である。
【0019】
構内電話交換機1は、SW(スイッチ)制御モジュール2、CPU(Central Processing Unit)3及びメモリ4を有する。構内電話交換機1は、内線電話機5と接続される。また、構内電話交換機1は、トランク6を介してISDN公衆回線7によって、ISDN公衆網8と接続される。
【0020】
構内電話交換機1は、内線電話機5とISDN公衆網8の接続や、内線電話機5とISDN公衆網8の間に送受信される情報を制御する。また、構内電話交換機1は、内線電話機5に対する着信を任意の転送先の電話番号に自動転送する機能を有する。
SW制御モジュール2は、内線電話機5とISDN公衆網8との接続を制御する。
CPU3は、SW制御モジュール2を制御する。CPU3は、ISDN公衆網8との間で送受信される情報を制御する。例えば、後述するSETUPメッセージの生成、発信履歴情報の付加、ループ規制処理における判定等を行う。
メモリ4は、CPU3の動作に必要な情報が格納される記憶装置である。なお、メモリ4は、メモリ以外のハードディスク又は光学ディスク等の記憶装置であってもよい。
【0021】
内線電話機5は、予め任意のダイヤルイン電話番号が割り振られている通信端末装置である。なお、通信端末装置は、内線電話機以外にファクシミリ又はPC(Personal Computer)等であってもよい。本実施の形態2では、内線電話機5に、ダイヤルイン番号として"123456"が割り振られており、内線番号として"3000"が割り振られている場合を例として説明する。
【0022】
トランク6は、ISDN公衆回線7においてインタフェースとして機能する装置である。
ISDN公衆回線7は、PRI(Primary Rate Interface)であり、23回線分の通話回線が使用可能である。本実施の形態2では、ISDN公衆回線7を指定するアクセスコードが"0"の場合を例として説明する。例えば、内線電話機5からISDN公衆回線7を経由して、電話番号"789123"に発信する場合、ダイヤル番号は"0+789123"となる。
【0023】
続いて、図3、4を参照して、本発明の実施の形態2にかかるユーザ・ユーザ情報について説明する。図3は、JT−Q931に定義されるISDNプロトコルのSETUPメッセージに含まれる情報を示す図である。図4は、本発明の実施の形態2にかかるSETUPメッセージのユーザ・ユーザ情報の一例を示す図である。
【0024】
図3に示すように、ISDNプロトコルにおいて、呼設定を行うための情報であるSETUPメッセージには、任意の情報を設定することができる領域として、ユーザ・ユーザ情報が定義されている。ユーザ・ユーザ情報は、発信元から着信先に透過的に転送される情報である。なお、SETUPメッセージは、発信情報に相当する。
【0025】
ユーザ・ユーザ情報は、構内電話交換機1が送信したSETUPメッセージの内容を履歴として示す発信履歴情報を付加するために使用される。具体的には、図4に示すように、ISDN公衆回線7に発信する場合に、構内電話交換機1が、送信するSETUPメッセージのユーザ・ユーザ情報に、ループ規制情報識別子、構内電話交換機識別コード、発信者番号情報及びダイヤル番号情報を含む発信履歴情報を設定する。図4に示すユーザ・ユーザ情報のうち、ループ規制情報識別子、構内電話交換機識別コード、発信者番号情報及びダイヤル番号情報が、新たに定義した情報となる。
【0026】
ループ規制情報識別子は、ループを規制するか否かを識別する情報である。
構内電話交換機識別コードは、構内電話交換機を識別するための情報である。構内電話交換機識別コードは、例えば、予め構内電話交換機1のメモリ4に格納しておき、それを参照することで設定可能とする。
発信者番号情報は、SETUPメッセージの発番号に設定した電話番号と同じものが設定される。
ダイヤル番号情報は、発信先の電話番号である。ダイヤル番号情報には、発信時にISDN公衆回線7のアクセスコードの指定が必要な場合は、アクセスコードも含めて設定される。ダイヤル番号情報は、自動転送時には転送先の電話番号となる。
【0027】
続いて、図5を参照して本発明の実施の形態2にかかる構内電話交換機1の処理について説明する。図5は、本発明の実施の形態2にかかる構内電話交換機1のループ規制処理を示すフローチャートである。
【0028】
外部の電話機からISDN公衆網8を経由して、内線電話機5のダイヤルイン番号"123456"に対して発信がされた場合、構内電話交換機1は、内線電話機5に対する着信を検出する。具体的には、構内電話交換機1が、外部の電話機から送信されたSETUPメッセージを受信する。ここで、構内電話交換機1において、内線電話機5のダイヤルイン番号"123456"に対する着信の自動転送が有効になっているものとする。また、転送先の電話番号として、ISDN公衆回線7を経由しての内線電話機5のダイヤルイン番号"0+123456"が登録されているものとする。
【0029】
この場合、構内電話交換機1は、登録されている転送先の電話番号"0+123456"に対して転送を行う。構内電話交換機1は、自動転送によって、アクセスコード"0"によって指定されたISDN公衆回線7を経由して内線電話機5に対して発信する。具体的には、内線電話機5から内線電話機5に対する転送となるため、構内電話交換機1は、発番号に"1234567"、着番号に"1234567"を設定したSETUPメッセージを生成する。
【0030】
このときに、構内電話交換機1は、図4に例示するように、SETUPメッセージのユーザ・ユーザ情報にループ規制情報識別子、構内電話交換機識別コード、発信者番号情報及びダイヤル番号情報を設定する。そして、構内電話交換機1は、SETUPメッセージをISDN公衆回線7に送信する。つまり、発信元の通信端末装置となる内線電話機5から着信先の通信端末装置となる内線電話機5に対して発信情報であるSETUPメッセージが送信される。
【0031】
ここで、構内電話交換機1は、ループ規制情報識別子に、ループを規制する旨を示す文字列"LoopPrevention"を設定する。このように、ループを規制する必要のあるSETUPメッセージのみをループを規制するように指定することができる。なお、ループを規制するか否かを示す情報であればこれに限られない。
また、構内電話交換機1は、構内電話項交換機識別コードに、構内電話交換機1を識別する情報として"我孫子局"と設定する。つまり、ここで、構内電話交換機1のメモリ4には、構内電話項交換機識別コードとして"我孫子局"が格納されているものとする。なお、構内電話交換機1が設置されている交換局の名称の文字列を設定するが、構内電話交換機1が識別可能な情報であればどのようなものであってもよい。
【0032】
また、構内電話交換機1は、発信者番号情報に、SETUPメッセージの発番号に設定した電話番号を設定する。
また、構内電話交換機1は、ダイヤル番号情報に、ISDN公衆回線7のアクセスコードを含めた内線電話機5のダイヤルイン番号"01234567"を設定する。
【0033】
その後、SETUPメッセージの発番号には内線電話機5のダイヤルイン番号"1234567"が設定されているため、SETUPメッセージは、ISDN公衆網8を経由して、再び構内電話交換機1に送信される。つまり、再び構内電話交換機1が、内線電話機5に対する着信を検出する。
【0034】
このときに、構内電話交換機1は、SETUPメッセージがループして送受信されないようにするために、図4に示すループ規制処理を実施する。以下、図4に示すループ規制処理について説明する。
【0035】
構内電話交換機1は、SETUPメッセージを受信すると、受信したSETUPメッセージにユーザ・ユーザ情報があるか否かを判定する(S10)。ユーザ・ユーザ情報があるか否かは、例えば、情報要素識別子として、ユーザ・ユーザ情報識別子が格納されているか否かによって判定する。ここでは、上述したようにユーザ・ユーザ情報が設定されているため、SETUPメッセージにユーザ・ユーザ情報があると判定する(S10:YES)。
【0036】
一方、ユーザ・ユーザ情報が設定されていないと判定した場合(S10:NO)、構内電話交換機1は、自動転送が有効となっている場合は、自動転送を行う。また、自動転送が有効となっていない場合は、内線電話機5に対する着信を許可する。
【0037】
構内電話交換機1は、ユーザ・ユーザ情報があると判定した場合、ユーザ・ユーザ情報のループ規制情報識別子がループを規制する旨を示しているか否かを判定する(S11)。ここでは、上述したように、ループ規制情報識別子にループを規制する旨"LoopPrevention"が設定されているため、ループ規制情報識別子がループを規制する旨を示していると判定する(S11:YES)。
【0038】
一方、ループ規制情報識別子がループを規制する旨を示していないと判定した場合(S11:NO)、受信したSETUPメッセージは、ループを規制する必要がない。そのため、構内電話交換機1は、上述したように、自動転送又は着信を許可する。
【0039】
構内電話交換機1は、ループ規制情報識別子がループを規制する旨を示していると判定した場合、ユーザ・ユーザ情報の構内電話交換機識別コードと、自身に格納されている構内電話交換機識別コードとを比較して一致するか否かを判定する(S12)。ここでは、上述したように、構内電話交換機1のメモリ4に格納されている構内電話交換機識別コードがユーザ・ユーザ情報に設定されている。そのため、構内電話交換機1は、構内電話交換機識別コードが一致すると判定する(S12:YES)。
【0040】
一方、構内電話交換機識別コードが一致しないと判定した場合(S12:NO)、受信したSETUPメッセージに付加されたユーザ・ユーザ情報は、構内電話交換機1によって設定されたものではない。つまり、構内電話交換機1が送信して、再びループして戻ってきたSETUPメッセージではない。そのため、構内電話交換機1は、上述したように、自動転送又は着信を許可する。
【0041】
構内電話交換機1は、構内電話交換機識別コードが一致しないと判定した場合、SETUPメッセージに含まれる発番号の内容と、ユーザ・ユーザ情報に含まれる発信者番号情報の内容とを比較して一致するか否かを判定する(S13)。ここで、上述したように、SETUPメッセージの発番号には"123456"が、ユーザ・ユーザ情報の発信者番号には"123456"が設定されているため、その内容は一致する(S13:YES)。
【0042】
一方、発番号の内容と発信者番号情報の内容が一致しない場合(S13:NO)は、受信したSETUPメッセージは、送信したSETUPメッセージそのものではないため、上述したように、自動転送又は着信を許可する。
【0043】
構内電話交換機1は、発番号の内容と発信者番号情報の内容が一致すると判定した場合、SETUPメッセージに含まれる着番号の内容と、ユーザ・ユーザ情報のダイヤル番号情報の内容とを比較して一致するか否かを判定する(S14)。なお、上述したように、SETUPメッセージの着番号には"123456"が、ユーザ・ユーザ情報のダイヤル番号情報には"0123456"が設定されている。
【0044】
ここで、一般的に、構内電話交換機1は、内線電話機5に対する着信について自動転送が有効となっている場合は、その内線電話機5のダイヤルイン番号"123456"と、転送先の電話番号"0123456"とを対応付けた情報をメモリ4に格納しており、その情報を用いてSETUPメッセージを生成して転送を行う処理を可能としている。また、構内電話交換機1は、内線電話機5のダイヤルイン番号"123456"と、内線電話機5の内線番号"3000"とを対応付けた情報をメモリ4に格納しており、自動転送が有効となっていない場合は、その情報に用いて、ダイヤルイン番号"123456"に対する着信を内線番号"3000"の内線電話機5に対する着信であると認識することができるようになっている。
【0045】
構内電話交換機1は、この情報を参照して、SETUPメッセージの着番号には"123456"を展開する。具体的にここでは、上述したように、内線電話機5に対する着信の自動転送が有効となっているため、着番号の"123456"は、それに対応付けられた転送先の電話番号"0123456"を示していると認識する。よって、SETUPメッセージの着番号"123456"は"0123456"を示しており、ユーザ・ユーザ情報のダイヤル番号情報は"0123456"であるため、その内容は一致する(S14:YES)。
【0046】
その場合は、ステップS11〜14までの判定結果によって、一度自身が送信した内容と同一のSETUPメッセージを受信しているといえるため、自身が送信したSETUPメッセージが戻ってきているということが分かる。また、その内容のSETUPメッセージを送信すると、再び戻ってきてしまうということが分かる。そのため、構内電話交換機1は、受信したSETUPメッセージを破棄して、転送先の電話番号"0123456"には送信しない。これにより、構内電話交換機1が送信したSETUPメッセージが、ISDN公衆回線7において、ループして送受信されることを防ぐことができる。
【0047】
一方、着番号の内容とダイヤル番号情報の内容が一致しない場合(S14:NO)、受信したSETUPメッセージは、送信したSETUPメッセージそのものではないため、上述したように、自動転送又は着信を許可する。
【0048】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、発信元の通信端末装置から着信先の通信端末装置に対して発信情報が送信されるときに、発信情報の内容を示す発信履歴情報を付加するようにしている。また、その送信した発信情報が、発信元の通信端末装置に対して送信されたときに、発信情報が示す内容と、その発信情報に付加された発信履歴情報が示す内容とを比較して、比較した内容が一致したときは、その発信情報を破棄するようにしている。これにより、送信すると戻ってきてしまう発信情報を再度送信しないようにすることができ、発信情報の送受信がループして行われることを防止することができる。
【0049】
また、本実施の形態2によれば、発信情報が示す内容と、その発信情報に付加された発信履歴情報が示す内容とを比較する際に、発信者情報に含まれる発信元の通信端末装置の電話番号と、着信先の通信端末装置の電話番号とを発信履歴情報に含めて比較するようにしている。つまり、同一の発信元の通信端末装置から、同一の着信先の通信端末装置に対して送信される発信情報の送受信がループして行われることを防止することができる。これにより、一度送信された発信情報が戻ってくるまでに、その着信先が更新されており、再度発信情報を送信してもループしなくなっているような場合に、発信情報を破棄することなく送信することができるようになる。
【0050】
例えば、具体的には、上述した実施の形態2において、構内電話交換機1が、SETUPメッセージを送信してから、再びSETUPメッセージを受信するまでに、自動転送における転送先の電話番号が内線電話機5以外の着信可能な電話機の電話番号に変更されている場合、ステップS14において着番号の内容とダイヤル番号の内容が一致しない。そのため、新たに設定された電話機に対して自動転送が行われて、その電話機で着信することができる。その他、ここで例示した以外に同様のケースがでてきた場合にも、同様に着信を可能にすることができる。
【0051】
その他の発明の実施の形態.
上述した実施の形態は、携帯電話を内線として利用できるサービスであるFMC(Fixed Mobile Convergence)において適用することも可能である。ここで、FMCサービスにおいて、内線電話機から構内電話交換機を経由して契約解除した携帯電話に発信した場合に、背景技術として説明したように、発信元から着信先に対して送信される発信情報がループして送受信されてしまう場合がある。
【0052】
具体的には、図1に示すような構成において、内線電話機5から構内電話交換機1を経由して、ISDN公衆網8に接続されるアクセスポイントの受信エリア内にいる契約解除した携帯電話(図示せず)に発信した場合、携帯電話は着信することができなくなっているため、ISDN公衆網8がその発信を発信元に返すようになっている。つまり、構内電話交換機1は、携帯電話に対して送信したSETUPメッセージを再び受信することになる。しかし、構内電話交換機1は、受信したSETUPメッセージの着番号が携帯電話の電話番号を示しているため、受信したSETUPメッセージを再びISDN公衆網8に送信する。これにより、構内電話交換機1において、発信元の内線電話機5から発信先の携帯電話に対して送信されるSETUPメッセージがループして送受信されることになる。このような場合にも、上述した実施の形態における処理によってループを防止することができる。
【0053】
例えば、携帯電話の内線電話番号が"7000"であり、内線電話機5の内線電話番号が"3000"である場合、SETUPメッセージの発番号には"3000"、SETUPメッセージの着番号には"7000"、発信履歴情報の発信者番号情報には"3000"、発信履歴情報のダイヤル番号情報には"7000"が設定される。そのため、ループ規制処理において、発番号の内容と発信者番号情報の内容が一致し、着番号の内容とダイヤル番号情報の内容が一致するため、SETUPメッセージが破棄され、ループを防止することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、ISDN公衆回線を利用する構内電話交換機でなく、VoIP(Voice over Internet Protocol)サーバシステムにおいて適用してもよい。つまり、呼制御を行うプロトコルとしてISDNプロトコル以外に、VoIPで使用されるSIPプロトコルが使用される場合についても適用してもよい。例えば、SIPプロトコルにおいて呼設定を行うためのINVITEメッセージに発信履歴情報を付加することループ規制処理を行う。
【0055】
また、ISDNプロトコルを利用するDpチャネル共通線又はQSIG等の専用線において適用してもよい。
また、発信履歴情報に、さらに発信時の時刻を示す発信時刻情報を設定するようにして、SETUPメッセージを受信した時刻と、発信時刻情報が示す時刻とを比較し、時差が所定の時間未満である場合、ループ規制処理を行わないようにして、時差が所定の時間以上ある場合、ループ規制処理を行うようにしてもよい。
【0056】
以上に説明した本発明にかかる通信制御装置及び構内電話交換機は、上述の実施の形態の機能を実現するプログラムを記憶した記憶媒体を装置に供給し、装置の有するCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)がこのプログラムを実行することによって、構成することが可能である。
【0057】
また、このプログラムは様々な種類の記憶媒体に格納することが可能であり、通信媒体を介して伝達されることが可能である。ここで、記憶媒体には、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、ROM(Read Only Memory)カートリッジ、バッテリバックアップ付きRAM(Random Access Memory)、メモリカートリッジ、フラッシュメモリカートリッジ、不揮発性RAMカートリッジを含む。また、通信媒体には、電話回線等の有線通信媒体、マイクロ波回線等の無線通信媒体を含む。また、上述のプログラムは、インターネットを介して伝達することも可能である。
【0058】
また、上述の実施の形態の機能を実現するプログラムを実行することにより、上述の実施の形態の機能が実現されるだけではなく、このプログラムの指示に基づき、CPU又はMPUによって実行されるOS(Operating System)もしくはアプリケーションソフトと共同して上述の実施の形態の機能が実現される場合も、発明の実施の形態に含まれる。
【0059】
さらに、このプログラムの処理の全てもしくは一部がコンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットにより行われて上述の実施の形態の機能が実現される場合も、発明の実施の形態に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 構内電話交換機
2 SW制御モジュール
3 CPU
4 メモリ
5 内線電話機
6 トランク
7 ISDN公衆回線
8 ISDN公衆網
20 通信制御装置
21 履歴付加手段
22 比較手段
31、32 通信端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信元の通信端末装置から着信先の通信端末装置に対して発信情報が送信されるときに、当該発信情報の内容を示す発信履歴情報を当該発信情報に付加する履歴付加手段と、
前記発信情報が前記発信元の通信端末装置に対して送信されたときに、当該発信情報が示す内容と、当該発信情報に付加された発信履歴情報が示す内容とを比較し、比較した内容が一致した場合、当該発信情報を破棄する比較手段と、を備えた通信制御装置。
【請求項2】
前記発信情報は、前記発信元の通信端末装置の電話番号と、前記着信先の通信端末装置の電話番号とを含み、
前記比較手段が比較する内容は、前記発信元の通信端末装置の電話番号と、前記着信先の通信端末装置の電話番号とが含まれる請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記通信制御装置は、さらに当該通信制御装置を識別する装置特定情報を格納する記憶手段を備え、
前記発信履歴情報は、当該発信履歴情報を付加した通信制御装置の装置識別情報を含み、
前記比較手段は、自装置の記憶手段に格納された装置特定情報と、前記発信履歴情報に含まれる装置特定情報とが一致する場合に、前記比較を行う請求項1又は2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記通信制御装置は、前記発信元の通信端末装置の接続を制御する電話交換機に含まれる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記電話交換機は、構内電話交換機であり、
前記発信元の通信端末装置は、内線電話機である請求項4に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記通信端末装置は、FMC(Fixed Mobile Convergence)における通信端末装置である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記発信情報は、前記発信元の通信端末装置から前記着信先の通信端末装置に対して呼設定を行うための情報である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項8】
前記発信情報は、ISDN(Integrated Services Digital Network)プロトコルにおけるSETUPメッセージであり、
前記発信履歴情報は、前記SETUPメッセージに含まれるユーザ・ユーザ情報として付加される請求項7に記載の通信制御装置。
【請求項9】
発信元の通信端末装置から着信先の通信端末装置に対して発信情報が送信されるときに、当該発信情報の内容を示す発信履歴情報を当該発信情報に付加するステップと、
前記発信情報が前記発信元の通信端末装置に対して送信されたときに、当該発信情報が示す内容と、当該発信情報に付加された発信履歴情報が示す内容とを比較するステップと、
前記比較した内容が一致した場合に、当該発信情報を破棄するステップと、を備えた通信制御方法。
【請求項10】
発信元の通信端末装置から着信先の通信端末装置に対して発信情報が送信されるときに、当該発信情報の内容を示す発信履歴情報を当該発信情報に付加するステップと、
前記発信情報が前記発信元の通信端末装置に対して送信されたときに、当該発信情報が示す内容と、当該発信情報に付加された発信履歴情報が示す内容とを比較するステップと、
前記比較した内容が一致した場合に、当該発信情報を破棄するステップと、をコンピュータに実行させる通信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−103623(P2011−103623A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258611(P2009−258611)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】