説明

通信制御IC内蔵コネクタと通信線の接続構造

【課題】連続した通信線に通信制御IC内蔵コネクタを接続していくだけで、デイジーチェーンの配線回路を容易に形成できる。
【解決手段】通信制御IC内蔵コネクタのコネクタハウジング内に、デイジーチェーン配線回路と接続される通信制御ICが収容され、該通信制御ICの一対の第1、第2トランシーバと接続される通信線接続側第1、第2リード部に第1、第2切断刃付き圧接端子が接続され、前記第1、第2切断刃付き圧接端子の各切断刃を隣接配置して連続した通信線を切断し、該切断で分割された両側の通信線に前記第1、第2切断刃付き圧接端子を圧接刃で圧接接続してデイジーチェーン配線回路と前記通信制御ICを接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信制御IC内蔵コネクタと通信線の接続構造に関し、詳しくは、連続した通信線に通信制御IC内蔵コネクタを接続していくだけで、デイジーチェーンの配線回路が容易に形成できるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載される電装機器をデータ通信により独立して分散制御する車両通信制御システムが採用されている。この車両通信制御システムを形成するために、通信制御回路基板や通信制御ICが内蔵され通信ネットワークを構成する通信線と接続されるコネクタが用いられている。該コネクタは電装機器側のコネクタと接続され、電装機器の分散制御を可能としている。
【0003】
例えば、特開2006−286596号公報(特許文献1)で開示されている通信制御IC内蔵コネクタ100は、図5に示されているように、コネクタハウジング101内にバス配線回路と接続される通信制御IC102を組み込んでいる。コネクタハウジング101には、通信制御IC102の機器接続側リード部103と機器側コネクタの雄端子(図示せず)とを接続する雌端子105が組み込まれた機器側接続部101aを設けていると共に、通信制御IC102のバス配線接続側リード部104とバス配線回路の通信線Wとを接続する圧接端子106が組み込まれたバス配線側接続部101bを設けている。前記バス配線側接続部101bに組み込まれる圧接端子106の上部にはバス配線接続側リード部104と接続したブリッジ接続子108の雄端子部108aが挿入される雌端子部107を設けており、電線Wに圧接端子106を圧接刃で圧接接続することによって、通信制御IC内蔵コネクタ100をバス配線回路の通信線Wに接続し、通信制御IC内蔵コネクタ100と電装機器との接続も可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−286596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、複数の電装機器を通信線で接続する方式としては、図6(A)のように、各電装機器400とそれぞれ接続した通信制御IC内蔵コネクタ100を1本の幹線(バス)Wから枝分かれした配線で接続するバス配線や、図6(B)のように、各電装機器410と接続した通信制御IC内蔵コネクタ110間を通信線wで順に繋いでいくデイジーチェーン配線などがある。
コネクタ100に内蔵されるバス配線回路と接続される通信制御IC102では、機器接続側リード部103と接続されるコントローラ200と、バス配線接続側リード部104と接続されるトランシーバ300が1対1で接続され、トランシーバ300でバスWからの全ての通信データを送受信し、コントローラ200で必要な通信データのみを処理している。
一方、コネクタ110に内蔵されるデイジーチェーン配線回路と接続される通信制御IC112では、機器接続側リード部113と接続されるコントローラ210に、通信線接続側リード部114a、114bとそれぞれ接続される一対の第1、第2トランシーバ310a、310bが接続され、前記第1トランシーバ310aは隣接配置されるコネクタの第2トランシーバ310bとの間で通信データの送受信を行い、前記第2トランシーバ310bは隣接配置されるコネクタの第1トランシーバ310aとの間で通信データの送受信を行っている。コントローラ210は各トランシーバ310a、310bで送受信した必要な通信データのみを処理している。
【0006】
前記特許文献1の接続構造、即ち、図7(A)のように、コネクタ100毎にトランシーバ300と接続されるバス配線接続側リード部104を圧接端子106でバス通信線Wと圧接接続していくことにより、図6(A)のバス配線回路を容易に形成することができ、通信制御上も問題は生じない。
しかし、前記特許文献1の接続構造を参照して、通信制御IC112の一対の第1、第2トランシーバ310a、310bと接続される一対の通信線接続側リード部114a、114bを圧接端子116a、116bで通信線Wと圧接接続した場合[図7(B)]、図6(B)のようなデイジーチェーン配線回路を形成することができず、圧接端子116a、116b間の通信線W1を介して第1、第2トランシーバ310a、310bに不必要な通信データの送受信が行われ、電装機器の誤作動が生じてしまうおそれがある。
一方、図6(B)のように、コネクタ間を別の通信線wで順次繋いでいく方法では作業性があまり良くないという問題がある。
【0007】
本発明は、デイジーチェーンの配線回路を容易かつ確実に形成できる通信制御IC内蔵コネクタと通信線の接続構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、通信ネットワークを構成する通信線と通信制御IC内蔵コネクタとを接続すると共に、該通信制御IC内蔵コネクタを電装機器側のコネクタと接続して電装機器をデータ通信により独立して分散制御する車両通信制御システムにおける通信制御IC内蔵コネクタと通信線の接続構造であって、
前記通信制御IC内蔵コネクタのコネクタハウジング内に、デイジーチェーン配線回路と接続される通信制御ICが収容され、該通信制御ICの一対の第1、第2トランシーバと接続される通信線接続側第1、第2リード部に第1、第2切断刃付き圧接端子が接続され、
前記第1、第2切断刃付き圧接端子の各切断刃を隣接配置して連続した通信線を切断し、該切断で分割された両側の通信線に前記第1、第2切断刃付き圧接端子を圧接刃で圧接接続してデイジーチェーン配線回路と前記通信制御ICを接続している通信制御IC内蔵コネクタと通信線の接続構造を提供している。
【0009】
通信制御IC内蔵コネクタのデイジーチェーン配線回路と接続される通信制御ICは、通信制御ICの機器接続側リード部と接続されるコントローラを備えると共に、該コントローラと接続される1対の第1、第2トランシーバを備えている。本発明では、前記のように、通信制御ICの第1、第2トランシーバと接続される通信線接続側第1、第2リード部に第1、第2切断刃付き圧接端子をそれぞれ接続すると共に、該第1、第2切断刃付き圧接端子の切断刃を隣接配置させている。この構成により、通信線接続側第1、第2リード部に接続した第1、第2切断刃付き圧接端子を、連続した通信線にそれぞれ圧接刃で圧接接続できると共に、前記隣接配置させた切断刃によって前記圧接接続箇所間の通信線を切断することができる。言い換えれば、連続した通信線を前記隣接配置させた切断刃で切断できると共に、切断で分割された両側の通信線に、前記通信線接続側第1、第2リード部に接続した第1、第2切断刃付き圧接端子を圧接刃で圧接接続することができる。
【0010】
したがって、接続する複数の通信制御IC内蔵コネクタについて、コネクタ毎に前記第1、第2切断刃付き圧接端子を連続した通信線にそれぞれ圧接接続していくだけで、第1トランシーバと隣接配置されるコネクタの第2トランシーバとを接続し、第2トランシーバと隣接配置されるコネクタの第1トランシーバとを接続することができ、デイジーチェーン配線回路を容易かつ確実に形成することができる。よって、第1、第2トランシーバに不必要な通信データの送受信を防止して、電装機器の誤作動を防止することができる。また、隣接配置されるコネクタの第1トランシーバと第2トランシーバとを接続するためにコネクタ間を別の通信線で順次繋いでいく必要がないため、作業性も向上する。
【0011】
前記第1、第2切断刃付き圧接端子は導電性金属片を屈曲加工して形成され、前記圧接刃により前記通信線の絶縁被覆を切断して芯線と接触させる圧接工程時に同時に前記切断刃で前記通信線を切断できる形状としていることが好ましい。
【0012】
前記第1、第2切断刃付き圧接端子の切断刃は、スロットを切り込んた圧接刃の形成面と所定の隙間をあけて略平行に形成され、切断刃の形状は、先端を鋭利な刃物状とすることが好ましい。また、第1、第2切断刃付き圧接端子の材質としては、強度を上げるために鉄や亜鉛を含有させた銅合金とすることも好ましい。
【0013】
通信線と圧接接続される前記第1、第2切断刃付き圧接端子の他端側は通信線接続側第1、第2リード部と接続されるが、該リード部と接続する方法としては、例えば、半田付けによる接続、圧着バレルによる接続、音叉端子部による接続、オスメス嵌合による接続等、いずれを用いてもよい。
【0014】
前記コネクタハウジングの通信線接続側に被せるカバー材を設け、該カバー材の内面に通信線配線溝を設けると共に、該通信線配線溝の中間部に切断部収容凹部を連続して設けており、
前記第1、第2切断刃付き圧接端子の切断刃は前記切断部収容凹部の両側部分に突出し、前記通信線の切断部分は切断部収容凹部に収容保持され、前記通信線配線溝に圧接刃が挿入保持されることが好ましい。
【0015】
前記のように、通信線接続側に被せるカバー材の内面に通信線配線溝を設け、該通信線配線溝に圧接刃を挿入保持することにより、該通信線配線溝に安定保持された通信線の絶縁被覆に圧接刃を精度よく切り込んで、芯線と圧接刃とを圧接接続させることができる。また、通信線配線溝の中間部に切断部収容凹部を設け、切断部収容凹部の両側部分に切断刃を突出させることにより、切断刃によって切断された切断部をすべて前記切断部収容凹部に収容することができる。よって、切断部をコネクタ内に散乱させることがなく、切断部収容凹部に収容された切断部をまとめて廃棄することも可能となる。切断刃による確実な切断を可能とするために、(切断部収容凹部の深さ)>(通信線配線溝の深さ)とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
前述したように、コネクタに内蔵される通信制御ICの第1、第2トランシーバは通信線接続側第1、第2リード部に接続され、本発明では、前記通信線接続側第1、第2リード部に第1、第2切断刃付き圧接端子をそれぞれ接続していると共に、該第1、第2切断刃付き圧接端子の切断刃を隣接配置している。この構成により、通信線接続側第1、第2リード部に接続した第1、第2切断刃付き圧接端子を、連続した通信線にそれぞれ圧接接続すると同時に、前記隣接配置させた切断刃によって圧接接続箇所間の通信線を切断することができる。
【0017】
したがって、接続する複数の通信制御IC内蔵コネクタについて、コネクタ毎に第1、第2切断刃付き圧接端子を連続した通信線にそれぞれ圧接接続していくだけで、第1トランシーバと隣接配置されるコネクタの第2トランシーバとを接続し、第2トランシーバと隣接配置されるコネクタの第1トランシーバとを接続することができ、デイジーチェーン配線回路を容易に形成することができる。よって、第1、第2トランシーバに不必要な通信データの送受信を防止し、電装機器の誤作動を防止することができる。また、隣接配置されるコネクタの第1トランシーバと第2トランシーバとを接続するためにコネクタ間を別の通信線で順次繋いでいく必要がないため、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態における通信制御IC内蔵コネクタの分解斜視図である。
【図2】第1、第2切断刃付き圧接端子の位置関係を示す要部拡大図である。
【図3】通信制御ICを搭載したハウジング本体に機器接続側カバー材および通信線接続側カバー材を被せて一体化したときのA−A線断面図である。
【図4】通信制御IC内蔵コネクタと通信線との接続構造を示す説明図である。
【図5】従来例を示す図面である。
【図6】(A)はバス配線を示す説明図であり、(B)はデイジーチェーン配線を示す説明図である。
【図7】(A)は従来例の接続構造を示す説明図であり、(B)はデイジーチェーン配線回路に接続される通信制御IC内蔵コネクタに、(A)と同様の接続構造を適用した場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の通信制御IC内蔵コネクタと通信線の接続構造の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1乃至図4は本実施形態を示している。本実施形態における通信制御IC内蔵コネクタ1は、デイジーチェーン配線回路と接続されると共に、電装機器側のコネクタ(図示せず)と接続して電装機器(図示せず)をデータ通信により独立して分散制御するものである。
【0020】
通信制御IC内蔵コネクタ1のコネクタハウジング2は、図1に示すように、ハウジング本体3と、該ハウジング本体3の通信線接続側に被せる通信線接続側カバー材4と、前記ハウジング本体3の電気機器側コネクタとの接続側に被せる機器接続側カバー材5とからなる。
ハウジング本体3には、デイジーチェーン配線回路と接続される通信制御IC6を収容している。即ち、通信制御IC6は、図4に示すように、機器接続側リード部7と接続されるコントローラ8を備えると共に、該コントローラ8と接続される1対の第1、第2トランシーバ9a、9bを備え、該第1、第2トランシーバ9a、9bを通信制御IC6の一対の通信線接続側第1、第2リード部10a、10bとそれぞれ接続している。
【0021】
本実施形態では、前記通信制御IC6の一対の通信線接続側第1、第2リード部10a、10bを第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bにそれぞれ接続すると共に、該第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bを連続した通信線20に圧接刃12a、12bで圧接接続し、かつ第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bの隣接配置した切断刃13a、13bで圧接箇所A、B間の通信線21を切断する構成としている。
【0022】
具体的には、ハウジング本体3の通信制御IC6を収容する凹部の底面3aに端子取付穴15a、15bを穿設し、第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bの上部側のメス端子部14a、14bを端子取付穴15a、15bに挿入係止すると共に、圧接刃12a、12bならびに切断刃13a、13bが設けられた端子下部側を凹部底面3aの裏面側に突出させている。この際、第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bの切断刃13a、13bが図2のように隣接配置されるように第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bを端子取付穴15a、15bに取り付けている。
ハウジング本体3の凹部に通信制御IC6を収容することにより、通信制御IC6の底部から突出させたタブ状の通信線接続側第1、第2リード部10a、10bが端子取付穴15a、15bに挿入係止された第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bのメス端子部14a、14bに嵌合接続されるようにしている。
【0023】
なお、本実施形態では送信、受信用の信号線2本とアース線1本からなる3本の通信線20と通信制御IC内蔵コネクタ1とを接続させている。よって、通信制御IC6の一対の第1、第2トランシーバ9a、9bと接続する通信線接続側第1、第2リード部10a、10bを、図1に示すように、それぞれ3本ずつ突出させていると共に、通信線接続側第1、第2リード部10a、10bと接続する第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bもハウジング本体3の凹部底面3aよりそれぞれ3本ずつ突設している。
【0024】
通信線接続側カバー材4の内面には連続した通信線20を安定保持するための通信線配線溝16を設けていると共に、該通信線配線溝16の中間部に通信線配線溝16より深さが大の切断部収容凹部17を設けている。本実施形態では、3本の通信線20を配線するため、3本の通信線配線溝16を平行して設けている。
【0025】
通信線配線溝16に通信線20を配線した通信線接続側カバー材4を、通信制御ICを収容し通信線接続側第1、第2リード部10a、10bと接続した第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bを通信線配線側に突出させているハウジング本体3に組み付けることにより、図3に示すように、第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bの圧接刃12a、12bが通信線配線溝16に挿入保持され、通信線配線溝16に保持された通信線20の絶縁被覆に圧接刃12a、12bが精度よく切り込んで、芯線(図示せず)と圧接刃12a、12bとが圧接接続される。また同時に、切断部収容凹部17の両側部分に第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bの切断刃13a、13bが突出され、圧接箇所A、B間の通信線21を切断して、切断部が切断部収容凹部17に収容される。
【0026】
第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bは導電性金属片を屈曲加工して形成している。第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bの切断刃13a、13bは、スロット12a−1、12b−1を切り込んだ圧接刃12a、12bの形成面と所要の隙間をあけて略平行に形成しており、切断刃13a、13bの形状は先端を鋭利な刃物状とし、圧接刃12a、12bによる通信線20の圧接接続と同時に切断刃13a、13bによる圧接箇所A、B間の通信線21の切断を可能としている。本実施形態では、第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bの材質として、鉄を含有させた銅合金を用いている。
【0027】
一方、機器接続側カバー材5には電気機器側のコネクタ(図示せず)の端子と通信制御IC6の機器接続側リード部7とを接続する機器側接続部18を設けており、通信制御IC6を収容したハウジング本体3に機器接続側カバー材5を組み付けることにより、通信制御IC6の上面より突出した機器接続側リード部7が機器側接続部18の各端子収容室18a内に挿入係止されるようにしている(図3参照)。
なお、本実施形態では、通信制御IC6の上面より機器接続側リード部7を4本突出させ、機器接続側リード部7を挿入する端子収容室18aも4個設けている。
【0028】
前記のように、コネクタ1に内蔵される通信制御IC6の第1、第2トランシーバ9a、9bは通信線接続側第1、第2リード部10a、10bに接続され、本実施形態では、通信線接続側第1、第2リード部10a、10bに第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bをそれぞれ接続していると共に、該第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bの切断刃13a、13bを隣接配置している。この構成により、通信線接続側第1、第2リード部10a、10bに接続した第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bを連続した通信線20に圧接刃12a、12bでそれぞれ圧接接続すると同時に、前記隣接配置させた切断刃13a、13bによって圧接箇所A、B間の通信線21の切断も行うことができる。
【0029】
したがって、接続する複数の通信制御IC内蔵コネクタ1について、コネクタ毎に第1、第2切断刃付き圧接端子11a、11bを連続した通信線20にそれぞれ圧接接続していくだけで、第1トランシーバ9aと隣接配置されるコネクタの第2トランシーバ9bとを接続し、第2トランシーバ9bと隣接配置されるコネクタの第1トランシーバ9aとを接続することができ、デイジーチェーン配線回路を容易に形成することができる。よって、第1、第2トランシーバ9a、9bに不必要な通信データの送受信を防止し、電装機器の誤作動を防止することができる。また、隣接配置されるコネクタ1の第1、第2トランシーバ9a、9bを接続するためにコネクタ間を別の通信線で順次繋いでいく必要がないため、作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 通信制御IC内蔵コネクタ
2 コネクタハウジング
3 ハウジング本体
4 通信線接続側カバー材
5 機器接続側カバー材
6 通信制御IC
7 機器接続側リード部
8 コントローラ
9a、9b 第1、第2トランシーバ
10a、10b 通信線接続側第1、第2リード部
11a、11b 第1、第2切断刃付き圧接端子
12a、12b 圧接刃
13a、13b 切断刃
16 通信線配線溝
17 切断部収容凹部
20 (連続した)通信線
21 圧接箇所間の通信線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを構成する通信線と通信制御IC内蔵コネクタとを接続すると共に、該通信制御IC内蔵コネクタを電装機器側のコネクタと接続して電装機器をデータ通信により独立して分散制御する車両通信制御システムにおける通信制御IC内蔵コネクタと通信線の接続構造であって、
前記通信制御IC内蔵コネクタのコネクタハウジング内に、デイジーチェーン配線回路と接続される通信制御ICが収容され、該通信制御ICの一対の第1、第2トランシーバと接続される通信線接続側第1、第2リード部に第1、第2切断刃付き圧接端子が接続され、
前記第1、第2切断刃付き圧接端子の各切断刃を隣接配置して連続した通信線を切断し、該切断で分割された両側の通信線に前記第1、第2切断刃付き圧接端子を圧接刃で圧接接続してデイジーチェーン配線回路と前記通信制御ICを接続している通信制御IC内蔵コネクタと通信線の接続構造。
【請求項2】
前記第1、第2切断刃付き圧接端子は導電性金属片を屈曲加工して形成され、前記圧接刃により前記通信線の絶縁被覆を切断して芯線と接触させる圧接工程時に同時に前記切断刃で前記通信線を切断できる形状としている請求項1に記載の通信制御IC内蔵コネクタと通信線の接続構造。
【請求項3】
前記コネクタハウジングの通信線接続側に被せるカバー材を設け、該カバー材の内面に通信線配線溝を設けると共に、該通信線配線溝の中間部に切断部収容凹部を連続して設けており、
前記第1、第2切断刃付き圧接端子の切断刃は前記切断部収容凹部の両側部分に突出し、前記通信線の切断部分は切断部収容凹部に収容保持され、前記通信線配線溝に圧接刃が挿入保持される請求項1または請求項2に記載の通信制御IC内蔵コネクタと通信線の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−74210(P2012−74210A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217475(P2010−217475)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】