通信回線選択装置及び通信回線選択方法
【課題】 複数の通信クラスの通信要求に応じて効率的な通信を可能とする通信回線選択装置及び通信回線選択方法を提供する。
【解決手段】 複数の通信クラスの通信要求に応じて複数の通信回線から1つの通信回線を選択するリソース共用型の通信回線選択装置において、複数の通信回線の使用リソース量を含む情報を管理する情報管理部と、複数の通信クラスの通信要求を受けると通信要求の内容を分析する分析部と、情報管理部から読み出した通信回線の情報である使用リソース量と分析部が分析した通信要求の内容に基づいて、通信クラスの各種類に対応付けて複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択する選択部を有する通信回線選択装置。
【解決手段】 複数の通信クラスの通信要求に応じて複数の通信回線から1つの通信回線を選択するリソース共用型の通信回線選択装置において、複数の通信回線の使用リソース量を含む情報を管理する情報管理部と、複数の通信クラスの通信要求を受けると通信要求の内容を分析する分析部と、情報管理部から読み出した通信回線の情報である使用リソース量と分析部が分析した通信要求の内容に基づいて、通信クラスの各種類に対応付けて複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択する選択部を有する通信回線選択装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の通信回線から1つを選択する通信回線選択装置であって、特に、複数の通信クラスの通信要求に応じてポイント・ツー・ポイントによる通信を行うリソース共用型の通信回線選択装置及び通信回線選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット等の広範囲な通信網の各分野への応用が一般化してきており、複数の通信回線が介在するネットワークでの通信技術に関する技術が多く知られている。
特許文献1は、通信網における回線の専用サービスの利用者からの依頼に基づいて回線の帯域変更処理を自動的に短時間に行なえるようにする技術を開示している。ここでは、専用サービスの帯域が固定的でなく、利用者の要望に沿って帯域を設定することができる。
【0003】
また、非特許文献1は、複数の層をもった通信網における通信処理を、光受動ネットワーク(PON,Passive Optical Network)を挙げて説明している。ここで、いずれの層、いずれの層間のトポロジーを実現する通信回線についても、2点間(ポイント・ツー・ポイント)を結ぶものが基本的である。
【0004】
通信事業者は、2点間の通信需要に見合った通信回線を用意する必要がある。しかし、リソースの制約から、物理的に複数本を用意する方法、または、物理的には1本であるがその中を別の意味で物理的あるいは論理的な複数のチャネルで多重化する方法をとる。多重化の方法には、波長分割多重、時分割多重、符号分割多重、あるいは、論理パス多重などがある。
【0005】
この非特許文献1では、論理パス多重の例として、PONシステムが、物理的には1台の局側装置と複数名のユーザ側装置とが光スプリッタと光ファイバからなる伝送路を介して接続されたツリー構造を持つポイント・ツー・マルチポイント型の光アクセスシステムであり、PONシステムにおける通信処理の例が示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−135249号公報
【0007】
【非特許文献1】『(新版)やさしい光ファイバ通信』平成18年11月1日、オーム社、206頁−211頁。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した従来技術において、例えば、ユーザ側装置から局側装置への上り通信にて衝突を動的に制御するために、通信網の一定区間において複数の通信回線をどのように選択すれば、競合を阻止して最も効率的な通信を実現できるかが解らないという問題がある。
【0009】
本発明は、複数の通信クラスの通信要求に応じて通信が行われるポイント・ツー・ポイント型リソース共用通信回線において、効率的な通信を可能とする通信回線選択装置及び通信回線選択方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題を解決するための一実施形態は、
複数の通信クラスの通信要求に応じて、複数の通信回線から1つの通信回線を選択するリソース共用型の通信回線選択装置において、
前記複数の通信回線の使用リソース量を含む情報を管理する情報管理部と、
複数の通信クラスの通信要求を受けると、前記通信要求の内容を分析する分析部と、
前記情報管理部から読み出した通信回線の情報である使用リソース量と前記分析部が分析した前記通信要求の内容に基づいて、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択する選択部と、
を具備することを特徴とする通信回線選択装置である。
【発明の効果】
【0011】
複数の通信クラスの通信要求に応じて通信が行われるポイント・ツー・ポイント型リソース共用通信回線において、通信要求の内容と現在の複数の通信回線の状況に応じて最適の通信回線を選択することで、競合を防止して通信効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(構成)
初めに、本発明の一実施形態に係る通信システム10及びこれに設けられた選択装置100の構成について、以下に図面を用いて説明する。図1は、通信システムの通信網の階層の一例を示す説明図、図2は、選択装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0013】
通信システム10において、図1に示すように、ホーム層11は、ホームノード(HN)21−1〜nにより構成され、利用者が確実にアクセス可能にすることを担う。アクセス層12は、アクセスノード(AN)22−1〜nにより構成され、多数の利用者が効率的にアクセスすることを担う。ディストリビューション層13は、ディストリビューションノード(DN)23−1〜nにより構成され、バックボーン層14との通信に関するポリシーに基づいた接続を担う。バックボーン層14は、バックボーンノード(BN)24−1〜nにより構成される高速の交換網であり、バックボーンノード24−1〜n間のデータ転送の最適化を担う。サーバ層15は、サーバノード(SN)25−1〜nにより構成され、コンテンツ等をバックボーン層14に供給する源である。
【0014】
本発明の一実施形態である選択装置100は、一例として、このような通信システム10の例えばディストリビューション層13に設けられ、各通信回線26−1〜kに接続されて使用される。しかし、これに限定されるものでなく、例えば、アクセス層12やディストリビューション層13、サーバ層15等の複数の通信回線が存在する層であればどこにでも設けることが可能である。
【0015】
本発明の一実施形態である選択装置100は、一例として、図2に示すような構成を有しており、全体の動作を制御する制御部101と、複数の通信回線26−1〜kの各情報を通信回線26−1〜kから取得し内部に設けられた記憶領域に記憶し、適宜更新して管理する通信回線情報管理部102を有する。さらに選択装置100は、与えられる複数の通信クラスの通信要求の内容を分析する通信要求分析部103と、通信回線情報管理部102が管理する複数の通信回線26−1〜kの各情報と通信要求分析部103が分析した複数の通信クラスの通信要求の内容とに基づき、複数の通信回線から少なくとも1つの通信回線を選択する選択部104を有している。
【0016】
ここで、通信回線26−1〜kは、例えば、WDM(Wavelength Division Multiplexing)−PON(Passive Optical Network)の場合のポイント・ツー・ポイント型のリソース共用通信回線を表している。WDMのため波長(λ1〜λk)が、通信回線1〜kに対応している。各通信回線は、光の観点からはスプリッタで分離・多重されるため、ポイント・ツー・マルチポイント型の網であるが、前述のPONシステムのとおり、ポイント・ツー・ポイント型の通信が可能になっている。ここでは、各ユーザ側装置(端末1〜N)が複数波長(λ1〜λk)を使える。
【0017】
また、通信要求とは、一連に扱う必要のあるデータの流れである通信(フロー)を要求する信号である。この通信(フロー)は、例えば、電話サービスでは「呼」と呼ばれ電話番号(2つ)で指定される信号の流れであり、インターネットでは発着IPアドレス(2つ)と発着ポート番号(2つ)と転送プロトコル(1つ)で指定されるIPパケットの流れである。
【0018】
また、通信要求は、複数の通信クラスをもつことが可能であり、複数の通信クラスとは、図4に示すように、一例としてクラス1が音声クラスであり、クラス2がTV電話クラスであり、クラスmがHD(High Density)−TV電話クラスである。しかし、他にどのような通信クラスも定義することが可能である。
【0019】
(第1実施形態)
第1実施形態は、本発明に係る選択装置100の基本的な選択処理について特定している。図3は、本発明の一実施形態に係る通信システムに用いられる選択装置の選択処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下の図3のフローチャートの各ステップは、回路ブロックに置き換えることができ、従って、各フローチャートのステップは、全て回路ブロックに定義しなおすことが可能である。
【0020】
また、図4は、通信システム10の一部のポイント・ツー・ポイント型リソース共用通信回線の一例を示す説明図である。すなわち、選択装置100は、図1のアクセス層12、ディストリビューション層13、バックボーン層14、サーバ層15のどの層にも設けることができ、その場合、図4に示すように、ロアノード31とアッパーノード32の間の複数の通信回線26−1〜kの少なくとも一つを後述する特定のルールに基づいて選択するものである。
【0021】
すなわち、選択装置100は、制御部101により全体の動作が総括され、ロアノード31からの通信要求信号が選択装置100に供給されたかどうかを判断する(ステップS11)。制御部101が通信要求信号を検出すると、制御部101の指令により、通信要求分析部103は、通信要求信号の内容を分析する(ステップS13)。すなわち、通信要求分析部103は、例えば、通信要求信号が要求する通信クラス(例えば、音声クラス、TV電話クラス、HD−TV電話クラス等)、通信速度(リソース)、通信品質(例えば、転送遅延時間、転送遅延時間揺らぎ、転送損失率等)等を明らかにする。
【0022】
次に、制御部101が通信要求信号を検出すると、制御部101の指令により、通信回線情報管理部102は、必要な通信回線情報を内部の記憶領域から読み出す(ステップS13)。これは、現在、選択が可能な複数の通信回線26−1、26−2、…、26−kに関する情報であり、例えば、各通信回線のリソース使用率[%]、各通信回線が可能な通信速度[Kbit/sec]、各通信回線の通信品質等を明らかにする。
【0023】
次に、選択部104は、通信回線情報管理部102が読み出した複数の通信回線26−1〜kの各情報と通信要求分析部103が分析した複数の通信クラスの通信要求の内容とに基づき、所望のルールに基づいて、複数の通信回線から最適と思われる少なくとも1つの通信回線を選択し、その選択結果を図5に示す使用リソーステーブルとして出力する(ステップS14)。
【0024】
この図5に示す使用リソーステーブルは、各通信クラスの通信要求があった場合、どの通信回線のリソース(帯域)をどの程度使用して通信を行なうかを特定するものである。ここで、通信要求を表す(1,i)について、i=0,1,…,N(Nは整数)である。
【0025】
新たに通信要求を設定する際は、図5の使用リソーステーブルにおいて、該当する通信回線とクラスの帯域を増やし、通信要求を開放する際は、該当する通信回線とクラスを減らす。
また、管理する対象を帯域ではなく通信回線数とする場合は、帯域の代わりに、該当する通信回線とクラスの同時接続数を増減することとなる。
【0026】
選択部104は、一例として、図6に示すようなテーブルで示される選択結果を出力する。この場合、通信システム10の選択装置100が存在する例えばディストリビューション層13では、クラス1(電話)の通信は、通信回線1だけを使用して通信を行なう、クラス2(TV電話)の通信は、通信回線2だけを使用して通信を行なう、クラス3(HD−TV電話)の通信は、通信回線kだけを使用して通信を行なうことを示している。
【0027】
次に、通信回線情報管理部102は、現在の通信回線情報を記憶領域に更新して記憶する(ステップS15)。制御部101は、通信要求信号を供給したロアノード31に対して、“接続OK”の信号を返信する。
さらに、制御部101は、ロアノード31から通信終了要求信号を検出すると(ステップS17)、この通信を終了すると共に、この通信が終了した後の複数の通信回線の通信回線情報を記憶領域に新たに更新して記憶する(ステップS18)。
【0028】
このように、本発明の一実施形態に係る選択装置100は、複数の種類の通信クラスをもった通信要求信号に対して、この通信要求信号の内容と複数の通信回線の通信回線情報とを照合することで、最適の通信回線を選択して使用リソーステーブル等により、通信クラス毎にリソースの設定を行なう。これにより、リソースの競合を防止して通信効率を高めることが可能となる。
【0029】
以下、第2実施形態以降は、ステップS14における具体的なルールと、これに基づいて生成された使用リソーステーブルをそれぞれ説明する。
(第2実施形態)
第2実施形態は、ルールとして、各通信回線のリソース使用率が均等になるように通信回線を選択する場合を特定している。
【0030】
すなわち、通信回線情報管理部102が通信回線情報として記憶領域から『リソース使用率[%]』を読み出す。選択部104は、図7が示すように、通信回線情報である『リソース使用率[%]』に基づいて、各通信回線の『リソース使用率[%]』が均等になるように、例えば、新たな通信要求信号に従って、『○』が示すように、最もリソース使用率[%]が53%と少ない通信回線kに対してリソースを割り当てる。これにより、各通信回線のリソース使用率が均等になるように通信回線が選択され、競合を防止して通信効率を高めることができる。
【0031】
(第3実施形態)
第3実施形態は、ルールとして、通信要求が要望している通信速度に対応した通信回線を選択する場合を特定している。
すなわち、通信回線情報管理部102が通信回線情報として記憶領域から『通信速度』を読み出す。選択部104は、図8が示すように、通信回線情報である『通信速度』に基づいて、該当の通信要求信号が要望している通信速度(例えば、音声電話の通信信号なら200Kbit/sec)に対応した通信回線を使用するべく選択する。
【0032】
ここで、図8の使用リソーステーブルの通信回線情報である『通信速度』は、通信回線1を100とすると、通信回線2は300、通信回線3は30の通信速度である。通信速度についてここでは一例として比率を挙げている。従って、一例として、クラス1(音声電話)の通信は、通信回線1、通信回線2、通信回線3のどれでも通信が可能である。クラス2(TV電話)の通信は、通信回線1と通信回線2が通信可能、通信回線3が通信不可能である。クラス3(HD−TV電話)の通信は、通信回線1と通信回線3が通信不可能、通信回線2が通信可能である。これにより、通信要求が要望している通信速度に対応した通信回線を選択することで、競合を防止して通信効率を高めることができる。
【0033】
(第4実施形態)
第4実施形態は、ルールとして、通信要求が要望している通信品質に対応した通信回線を選択する場合を特定している。
すなわち、通信回線情報管理部102が通信回線情報として記憶領域から『通信品質』を読み出す。選択部104は、図9が示すように、通信回線情報である『通信品質』に基づいて、該当の通信要求信号が要望している通信品質(通信品質の一例として、遅延時間がある。音声電話であれば、例えば、『Cクラス』として100msecの遅延時間が許される。)に対応した通信回線を使用するべく選択する。
【0034】
ここで、図9の使用リソーステーブルの通信回線情報である『通信品質』は、通信回線1を『Bクラス』として100msecの遅延時間、通信回線2を『Aクラス』として5msecの遅延時間、通信回線3を『Cクラス』として20msecの遅延時間が挙げられる。従って、一例として、クラス1(音声電話)の通信は、通信回線1、通信回線2、通信回線3のどれでも通信が可能である。クラス2(TV電話)の通信は、通信回線1と通信回線2が通信可能、通信回線3が通信不可能である。クラス3(HD−TV電話)の通信は、通信回線1と通信回線3が通信不可能、通信回線2が通信可能である。これにより、通信要求が要望している通信品質に対応した通信回線を選択することで、競合を防止して通信効率を高めることができる。
【0035】
(第5実施形態)
第5実施形態は、ルールとして、通信要求が要望している通信速度と通信品質の両方(複数の条件)に対応した通信回線を選択する場合を特定している。
すなわち、通信回線情報管理部102が通信回線情報として『通信速度』と『通信品質』を読み出す。選択部104は、図10が示すように、通信回線情報である『通信速度』と『通信品質』に基づいて、該当の通信要求信号が要望している通信速度と通信品質に対応した通信回線を使用するべく選択する。
【0036】
ここで、図10の使用リソーステーブルの通信回線情報である『通信速度』と『通信品質』は、図8の使用リソーステーブルの通信回線情報と図9の使用リソーステーブルの通信回線情報と同一である。すなわち、ルールとして、通信要求が要望している複数の条件を満たす通信回線を選択することが好適である。
【0037】
従って、一例として、クラス1(音声電話)の通信は、通信回線1、通信回線2、通信回線3のどれでも通信が可能である。クラス2(TV電話)の通信は、通信回線1と通信回線2が通信可能、通信回線3が通信不可能である。クラス3(HD−TV電話)の通信は、通信回線1と通信回線3が通信不可能、通信回線2が通信可能である。これにより、通信要求が要望している通信速度と通信品質(複数の条件)に対応した通信回線を選択することで、競合を防止して通信効率を高めることができる。
【0038】
(第6実施形態)
第6実施形態は、ルールとして、複数の通信回線を端から順番に使用していく場合を特定している。すなわち、一つの通信回線の使用率が十分達成された後に(または、残余リソース量[Kbit/sec]が十分少なくなった後に)、次の通信回線を使用する、これにより、一つ一つの通信回線を使い切ることができ、また、未使用の通信回線を確保することも可能となる。
【0039】
すなわち、通信回線情報管理部102が通信回線情報として記憶領域から『リソース使用率[%]』及び『残余リソース量[Kbit/sec]』を読み出す。選択部104は、図11が示すように、通信要求信号が与えられると、通信回線情報である『リソース使用率[%]』または『残余リソース量[Kbit/sec]』に基づいて、使用すべき通信回線を選択する。
【0040】
ここで、選択部104は、図11が示すように、通信要求信号が与えられると、『リソース使用率[%]』が87%である通信回線1を使用すべき通信回線として選択する。これは、通信回線2や通信回線kは、『リソース使用率[%]』が低いが、通信回線1の『リソース使用率[%]』は、まだ100%ではなく空きが十分あり、さらに、使用可能であるので、選択部104は、通信回線2や通信回線kよりも通信回線1を選択するものである。
【0041】
または、選択部104は、図11が示すように、通信要求信号が与えられると、『残余リソース量[Kbit/sec]』が80Kbit/secである通信回線1を使用すべき通信回線として選択する。これは、通信回線2や通信回線kは、『残余リソース量[Kbit/sec]』が大きく、通信回線1の『残余リソース量[Kbit/sec]』は、まだ0ではなく空きが十分あり、さらに、使用可能であるので、選択部104は、通信回線2や通信回線kよりも通信回線1を選択するものである。
【0042】
これにより、適切な通信回線が選択されて、結果的に競合を防止して通信効率を高めることができる。
なお、以上述べてきた、ポイント・ツー・ポイント型のリソース共用通信回線としては、具体的には、波長分割多重(WDM,wavelength Division Multiplexing)の受動光ネットワーク(PON,Passive Optical Network)や、マルチプロトコル・ラベル・スイッチング(MPLS,Multi−protocol Label Switching)のラベル・スイッチング・パス(LSP,Label Switching Path)が考えられ、本発明の通信回線の選択方法としては、波長の選択、あるいはLSPの選択として適用できる。
【0043】
以上述べたように本発明によれば、複数の通信クラスの通信要求に従って行なわれるポイント・ツー・ポイント型リソース共用通信回線において、通信要求に応じて通信回線とリソースについての競合を防ぎ、通信効率を高めることができる。
以上記載した様々な実施形態により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信システムの通信網の階層の一例を示す説明図。
【図2】本発明の一実施形態に係る通信システムに用いられる選択装置の構成の一例を示すブロック図
【図3】本発明の一実施形態に係る通信システムに用いられる選択装置の選択処理の一例を示すフローチャート。
【図4】本発明の一実施形態に係る通信システムの一部のポイント・ツー・ポイント型リソース共用通信回線の一例を示す説明図。
【図5】本発明の一実施形態に係る通信システムの第1実施形態のリソーステーブルの一例を示す図。
【図6】本発明の一実施形態に係る通信システムの第1実施形態のリソーステーブルの他の一例を示す図。
【図7】本発明の一実施形態に係る通信システムの第2実施形態のリソーステーブルの一例を示す図。
【図8】本発明の一実施形態に係る通信システムの第3実施形態のリソーステーブルの一例を示す図。
【図9】本発明の一実施形態に係る通信システムの第4実施形態のリソーステーブルの一例を示す図。
【図10】本発明の一実施形態に係る通信システムの第5実施形態のリソーステーブルの一例を示す図。
【図11】本発明の一実施形態に係る通信システムの第6実施形態のリソーステーブルの一例を示す図。
【符号の説明】
【0045】
10…通信システム、11…ホーム層、12…アクセス層、13…ディストリビューション層、14…バックボーン層、15…サーバ層、21…ホームノード、22…アクセスノード、23…ディストリビューションノード、24…バックボーンノード、25…サーバノード、26−1〜k…通信回線、31…ロアノード、32…アッパーノード、100…選択装置、101…制御部、102…通信回線情報管理部、103…通信要求分析部、104…選択部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の通信回線から1つを選択する通信回線選択装置であって、特に、複数の通信クラスの通信要求に応じてポイント・ツー・ポイントによる通信を行うリソース共用型の通信回線選択装置及び通信回線選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット等の広範囲な通信網の各分野への応用が一般化してきており、複数の通信回線が介在するネットワークでの通信技術に関する技術が多く知られている。
特許文献1は、通信網における回線の専用サービスの利用者からの依頼に基づいて回線の帯域変更処理を自動的に短時間に行なえるようにする技術を開示している。ここでは、専用サービスの帯域が固定的でなく、利用者の要望に沿って帯域を設定することができる。
【0003】
また、非特許文献1は、複数の層をもった通信網における通信処理を、光受動ネットワーク(PON,Passive Optical Network)を挙げて説明している。ここで、いずれの層、いずれの層間のトポロジーを実現する通信回線についても、2点間(ポイント・ツー・ポイント)を結ぶものが基本的である。
【0004】
通信事業者は、2点間の通信需要に見合った通信回線を用意する必要がある。しかし、リソースの制約から、物理的に複数本を用意する方法、または、物理的には1本であるがその中を別の意味で物理的あるいは論理的な複数のチャネルで多重化する方法をとる。多重化の方法には、波長分割多重、時分割多重、符号分割多重、あるいは、論理パス多重などがある。
【0005】
この非特許文献1では、論理パス多重の例として、PONシステムが、物理的には1台の局側装置と複数名のユーザ側装置とが光スプリッタと光ファイバからなる伝送路を介して接続されたツリー構造を持つポイント・ツー・マルチポイント型の光アクセスシステムであり、PONシステムにおける通信処理の例が示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−135249号公報
【0007】
【非特許文献1】『(新版)やさしい光ファイバ通信』平成18年11月1日、オーム社、206頁−211頁。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した従来技術において、例えば、ユーザ側装置から局側装置への上り通信にて衝突を動的に制御するために、通信網の一定区間において複数の通信回線をどのように選択すれば、競合を阻止して最も効率的な通信を実現できるかが解らないという問題がある。
【0009】
本発明は、複数の通信クラスの通信要求に応じて通信が行われるポイント・ツー・ポイント型リソース共用通信回線において、効率的な通信を可能とする通信回線選択装置及び通信回線選択方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題を解決するための一実施形態は、
複数の通信クラスの通信要求に応じて、複数の通信回線から1つの通信回線を選択するリソース共用型の通信回線選択装置において、
前記複数の通信回線の使用リソース量を含む情報を管理する情報管理部と、
複数の通信クラスの通信要求を受けると、前記通信要求の内容を分析する分析部と、
前記情報管理部から読み出した通信回線の情報である使用リソース量と前記分析部が分析した前記通信要求の内容に基づいて、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択する選択部と、
を具備することを特徴とする通信回線選択装置である。
【発明の効果】
【0011】
複数の通信クラスの通信要求に応じて通信が行われるポイント・ツー・ポイント型リソース共用通信回線において、通信要求の内容と現在の複数の通信回線の状況に応じて最適の通信回線を選択することで、競合を防止して通信効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(構成)
初めに、本発明の一実施形態に係る通信システム10及びこれに設けられた選択装置100の構成について、以下に図面を用いて説明する。図1は、通信システムの通信網の階層の一例を示す説明図、図2は、選択装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0013】
通信システム10において、図1に示すように、ホーム層11は、ホームノード(HN)21−1〜nにより構成され、利用者が確実にアクセス可能にすることを担う。アクセス層12は、アクセスノード(AN)22−1〜nにより構成され、多数の利用者が効率的にアクセスすることを担う。ディストリビューション層13は、ディストリビューションノード(DN)23−1〜nにより構成され、バックボーン層14との通信に関するポリシーに基づいた接続を担う。バックボーン層14は、バックボーンノード(BN)24−1〜nにより構成される高速の交換網であり、バックボーンノード24−1〜n間のデータ転送の最適化を担う。サーバ層15は、サーバノード(SN)25−1〜nにより構成され、コンテンツ等をバックボーン層14に供給する源である。
【0014】
本発明の一実施形態である選択装置100は、一例として、このような通信システム10の例えばディストリビューション層13に設けられ、各通信回線26−1〜kに接続されて使用される。しかし、これに限定されるものでなく、例えば、アクセス層12やディストリビューション層13、サーバ層15等の複数の通信回線が存在する層であればどこにでも設けることが可能である。
【0015】
本発明の一実施形態である選択装置100は、一例として、図2に示すような構成を有しており、全体の動作を制御する制御部101と、複数の通信回線26−1〜kの各情報を通信回線26−1〜kから取得し内部に設けられた記憶領域に記憶し、適宜更新して管理する通信回線情報管理部102を有する。さらに選択装置100は、与えられる複数の通信クラスの通信要求の内容を分析する通信要求分析部103と、通信回線情報管理部102が管理する複数の通信回線26−1〜kの各情報と通信要求分析部103が分析した複数の通信クラスの通信要求の内容とに基づき、複数の通信回線から少なくとも1つの通信回線を選択する選択部104を有している。
【0016】
ここで、通信回線26−1〜kは、例えば、WDM(Wavelength Division Multiplexing)−PON(Passive Optical Network)の場合のポイント・ツー・ポイント型のリソース共用通信回線を表している。WDMのため波長(λ1〜λk)が、通信回線1〜kに対応している。各通信回線は、光の観点からはスプリッタで分離・多重されるため、ポイント・ツー・マルチポイント型の網であるが、前述のPONシステムのとおり、ポイント・ツー・ポイント型の通信が可能になっている。ここでは、各ユーザ側装置(端末1〜N)が複数波長(λ1〜λk)を使える。
【0017】
また、通信要求とは、一連に扱う必要のあるデータの流れである通信(フロー)を要求する信号である。この通信(フロー)は、例えば、電話サービスでは「呼」と呼ばれ電話番号(2つ)で指定される信号の流れであり、インターネットでは発着IPアドレス(2つ)と発着ポート番号(2つ)と転送プロトコル(1つ)で指定されるIPパケットの流れである。
【0018】
また、通信要求は、複数の通信クラスをもつことが可能であり、複数の通信クラスとは、図4に示すように、一例としてクラス1が音声クラスであり、クラス2がTV電話クラスであり、クラスmがHD(High Density)−TV電話クラスである。しかし、他にどのような通信クラスも定義することが可能である。
【0019】
(第1実施形態)
第1実施形態は、本発明に係る選択装置100の基本的な選択処理について特定している。図3は、本発明の一実施形態に係る通信システムに用いられる選択装置の選択処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下の図3のフローチャートの各ステップは、回路ブロックに置き換えることができ、従って、各フローチャートのステップは、全て回路ブロックに定義しなおすことが可能である。
【0020】
また、図4は、通信システム10の一部のポイント・ツー・ポイント型リソース共用通信回線の一例を示す説明図である。すなわち、選択装置100は、図1のアクセス層12、ディストリビューション層13、バックボーン層14、サーバ層15のどの層にも設けることができ、その場合、図4に示すように、ロアノード31とアッパーノード32の間の複数の通信回線26−1〜kの少なくとも一つを後述する特定のルールに基づいて選択するものである。
【0021】
すなわち、選択装置100は、制御部101により全体の動作が総括され、ロアノード31からの通信要求信号が選択装置100に供給されたかどうかを判断する(ステップS11)。制御部101が通信要求信号を検出すると、制御部101の指令により、通信要求分析部103は、通信要求信号の内容を分析する(ステップS13)。すなわち、通信要求分析部103は、例えば、通信要求信号が要求する通信クラス(例えば、音声クラス、TV電話クラス、HD−TV電話クラス等)、通信速度(リソース)、通信品質(例えば、転送遅延時間、転送遅延時間揺らぎ、転送損失率等)等を明らかにする。
【0022】
次に、制御部101が通信要求信号を検出すると、制御部101の指令により、通信回線情報管理部102は、必要な通信回線情報を内部の記憶領域から読み出す(ステップS13)。これは、現在、選択が可能な複数の通信回線26−1、26−2、…、26−kに関する情報であり、例えば、各通信回線のリソース使用率[%]、各通信回線が可能な通信速度[Kbit/sec]、各通信回線の通信品質等を明らかにする。
【0023】
次に、選択部104は、通信回線情報管理部102が読み出した複数の通信回線26−1〜kの各情報と通信要求分析部103が分析した複数の通信クラスの通信要求の内容とに基づき、所望のルールに基づいて、複数の通信回線から最適と思われる少なくとも1つの通信回線を選択し、その選択結果を図5に示す使用リソーステーブルとして出力する(ステップS14)。
【0024】
この図5に示す使用リソーステーブルは、各通信クラスの通信要求があった場合、どの通信回線のリソース(帯域)をどの程度使用して通信を行なうかを特定するものである。ここで、通信要求を表す(1,i)について、i=0,1,…,N(Nは整数)である。
【0025】
新たに通信要求を設定する際は、図5の使用リソーステーブルにおいて、該当する通信回線とクラスの帯域を増やし、通信要求を開放する際は、該当する通信回線とクラスを減らす。
また、管理する対象を帯域ではなく通信回線数とする場合は、帯域の代わりに、該当する通信回線とクラスの同時接続数を増減することとなる。
【0026】
選択部104は、一例として、図6に示すようなテーブルで示される選択結果を出力する。この場合、通信システム10の選択装置100が存在する例えばディストリビューション層13では、クラス1(電話)の通信は、通信回線1だけを使用して通信を行なう、クラス2(TV電話)の通信は、通信回線2だけを使用して通信を行なう、クラス3(HD−TV電話)の通信は、通信回線kだけを使用して通信を行なうことを示している。
【0027】
次に、通信回線情報管理部102は、現在の通信回線情報を記憶領域に更新して記憶する(ステップS15)。制御部101は、通信要求信号を供給したロアノード31に対して、“接続OK”の信号を返信する。
さらに、制御部101は、ロアノード31から通信終了要求信号を検出すると(ステップS17)、この通信を終了すると共に、この通信が終了した後の複数の通信回線の通信回線情報を記憶領域に新たに更新して記憶する(ステップS18)。
【0028】
このように、本発明の一実施形態に係る選択装置100は、複数の種類の通信クラスをもった通信要求信号に対して、この通信要求信号の内容と複数の通信回線の通信回線情報とを照合することで、最適の通信回線を選択して使用リソーステーブル等により、通信クラス毎にリソースの設定を行なう。これにより、リソースの競合を防止して通信効率を高めることが可能となる。
【0029】
以下、第2実施形態以降は、ステップS14における具体的なルールと、これに基づいて生成された使用リソーステーブルをそれぞれ説明する。
(第2実施形態)
第2実施形態は、ルールとして、各通信回線のリソース使用率が均等になるように通信回線を選択する場合を特定している。
【0030】
すなわち、通信回線情報管理部102が通信回線情報として記憶領域から『リソース使用率[%]』を読み出す。選択部104は、図7が示すように、通信回線情報である『リソース使用率[%]』に基づいて、各通信回線の『リソース使用率[%]』が均等になるように、例えば、新たな通信要求信号に従って、『○』が示すように、最もリソース使用率[%]が53%と少ない通信回線kに対してリソースを割り当てる。これにより、各通信回線のリソース使用率が均等になるように通信回線が選択され、競合を防止して通信効率を高めることができる。
【0031】
(第3実施形態)
第3実施形態は、ルールとして、通信要求が要望している通信速度に対応した通信回線を選択する場合を特定している。
すなわち、通信回線情報管理部102が通信回線情報として記憶領域から『通信速度』を読み出す。選択部104は、図8が示すように、通信回線情報である『通信速度』に基づいて、該当の通信要求信号が要望している通信速度(例えば、音声電話の通信信号なら200Kbit/sec)に対応した通信回線を使用するべく選択する。
【0032】
ここで、図8の使用リソーステーブルの通信回線情報である『通信速度』は、通信回線1を100とすると、通信回線2は300、通信回線3は30の通信速度である。通信速度についてここでは一例として比率を挙げている。従って、一例として、クラス1(音声電話)の通信は、通信回線1、通信回線2、通信回線3のどれでも通信が可能である。クラス2(TV電話)の通信は、通信回線1と通信回線2が通信可能、通信回線3が通信不可能である。クラス3(HD−TV電話)の通信は、通信回線1と通信回線3が通信不可能、通信回線2が通信可能である。これにより、通信要求が要望している通信速度に対応した通信回線を選択することで、競合を防止して通信効率を高めることができる。
【0033】
(第4実施形態)
第4実施形態は、ルールとして、通信要求が要望している通信品質に対応した通信回線を選択する場合を特定している。
すなわち、通信回線情報管理部102が通信回線情報として記憶領域から『通信品質』を読み出す。選択部104は、図9が示すように、通信回線情報である『通信品質』に基づいて、該当の通信要求信号が要望している通信品質(通信品質の一例として、遅延時間がある。音声電話であれば、例えば、『Cクラス』として100msecの遅延時間が許される。)に対応した通信回線を使用するべく選択する。
【0034】
ここで、図9の使用リソーステーブルの通信回線情報である『通信品質』は、通信回線1を『Bクラス』として100msecの遅延時間、通信回線2を『Aクラス』として5msecの遅延時間、通信回線3を『Cクラス』として20msecの遅延時間が挙げられる。従って、一例として、クラス1(音声電話)の通信は、通信回線1、通信回線2、通信回線3のどれでも通信が可能である。クラス2(TV電話)の通信は、通信回線1と通信回線2が通信可能、通信回線3が通信不可能である。クラス3(HD−TV電話)の通信は、通信回線1と通信回線3が通信不可能、通信回線2が通信可能である。これにより、通信要求が要望している通信品質に対応した通信回線を選択することで、競合を防止して通信効率を高めることができる。
【0035】
(第5実施形態)
第5実施形態は、ルールとして、通信要求が要望している通信速度と通信品質の両方(複数の条件)に対応した通信回線を選択する場合を特定している。
すなわち、通信回線情報管理部102が通信回線情報として『通信速度』と『通信品質』を読み出す。選択部104は、図10が示すように、通信回線情報である『通信速度』と『通信品質』に基づいて、該当の通信要求信号が要望している通信速度と通信品質に対応した通信回線を使用するべく選択する。
【0036】
ここで、図10の使用リソーステーブルの通信回線情報である『通信速度』と『通信品質』は、図8の使用リソーステーブルの通信回線情報と図9の使用リソーステーブルの通信回線情報と同一である。すなわち、ルールとして、通信要求が要望している複数の条件を満たす通信回線を選択することが好適である。
【0037】
従って、一例として、クラス1(音声電話)の通信は、通信回線1、通信回線2、通信回線3のどれでも通信が可能である。クラス2(TV電話)の通信は、通信回線1と通信回線2が通信可能、通信回線3が通信不可能である。クラス3(HD−TV電話)の通信は、通信回線1と通信回線3が通信不可能、通信回線2が通信可能である。これにより、通信要求が要望している通信速度と通信品質(複数の条件)に対応した通信回線を選択することで、競合を防止して通信効率を高めることができる。
【0038】
(第6実施形態)
第6実施形態は、ルールとして、複数の通信回線を端から順番に使用していく場合を特定している。すなわち、一つの通信回線の使用率が十分達成された後に(または、残余リソース量[Kbit/sec]が十分少なくなった後に)、次の通信回線を使用する、これにより、一つ一つの通信回線を使い切ることができ、また、未使用の通信回線を確保することも可能となる。
【0039】
すなわち、通信回線情報管理部102が通信回線情報として記憶領域から『リソース使用率[%]』及び『残余リソース量[Kbit/sec]』を読み出す。選択部104は、図11が示すように、通信要求信号が与えられると、通信回線情報である『リソース使用率[%]』または『残余リソース量[Kbit/sec]』に基づいて、使用すべき通信回線を選択する。
【0040】
ここで、選択部104は、図11が示すように、通信要求信号が与えられると、『リソース使用率[%]』が87%である通信回線1を使用すべき通信回線として選択する。これは、通信回線2や通信回線kは、『リソース使用率[%]』が低いが、通信回線1の『リソース使用率[%]』は、まだ100%ではなく空きが十分あり、さらに、使用可能であるので、選択部104は、通信回線2や通信回線kよりも通信回線1を選択するものである。
【0041】
または、選択部104は、図11が示すように、通信要求信号が与えられると、『残余リソース量[Kbit/sec]』が80Kbit/secである通信回線1を使用すべき通信回線として選択する。これは、通信回線2や通信回線kは、『残余リソース量[Kbit/sec]』が大きく、通信回線1の『残余リソース量[Kbit/sec]』は、まだ0ではなく空きが十分あり、さらに、使用可能であるので、選択部104は、通信回線2や通信回線kよりも通信回線1を選択するものである。
【0042】
これにより、適切な通信回線が選択されて、結果的に競合を防止して通信効率を高めることができる。
なお、以上述べてきた、ポイント・ツー・ポイント型のリソース共用通信回線としては、具体的には、波長分割多重(WDM,wavelength Division Multiplexing)の受動光ネットワーク(PON,Passive Optical Network)や、マルチプロトコル・ラベル・スイッチング(MPLS,Multi−protocol Label Switching)のラベル・スイッチング・パス(LSP,Label Switching Path)が考えられ、本発明の通信回線の選択方法としては、波長の選択、あるいはLSPの選択として適用できる。
【0043】
以上述べたように本発明によれば、複数の通信クラスの通信要求に従って行なわれるポイント・ツー・ポイント型リソース共用通信回線において、通信要求に応じて通信回線とリソースについての競合を防ぎ、通信効率を高めることができる。
以上記載した様々な実施形態により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信システムの通信網の階層の一例を示す説明図。
【図2】本発明の一実施形態に係る通信システムに用いられる選択装置の構成の一例を示すブロック図
【図3】本発明の一実施形態に係る通信システムに用いられる選択装置の選択処理の一例を示すフローチャート。
【図4】本発明の一実施形態に係る通信システムの一部のポイント・ツー・ポイント型リソース共用通信回線の一例を示す説明図。
【図5】本発明の一実施形態に係る通信システムの第1実施形態のリソーステーブルの一例を示す図。
【図6】本発明の一実施形態に係る通信システムの第1実施形態のリソーステーブルの他の一例を示す図。
【図7】本発明の一実施形態に係る通信システムの第2実施形態のリソーステーブルの一例を示す図。
【図8】本発明の一実施形態に係る通信システムの第3実施形態のリソーステーブルの一例を示す図。
【図9】本発明の一実施形態に係る通信システムの第4実施形態のリソーステーブルの一例を示す図。
【図10】本発明の一実施形態に係る通信システムの第5実施形態のリソーステーブルの一例を示す図。
【図11】本発明の一実施形態に係る通信システムの第6実施形態のリソーステーブルの一例を示す図。
【符号の説明】
【0045】
10…通信システム、11…ホーム層、12…アクセス層、13…ディストリビューション層、14…バックボーン層、15…サーバ層、21…ホームノード、22…アクセスノード、23…ディストリビューションノード、24…バックボーンノード、25…サーバノード、26−1〜k…通信回線、31…ロアノード、32…アッパーノード、100…選択装置、101…制御部、102…通信回線情報管理部、103…通信要求分析部、104…選択部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信クラスの通信要求に応じて、複数の通信回線から1つの通信回線を選択するリソース共用型の通信回線選択装置において、
前記複数の通信回線の使用リソース量を含む情報を管理する情報管理部と、
複数の通信クラスの通信要求を受けると、前記通信要求の内容を分析する分析部と、
前記情報管理部から読み出した通信回線の情報である使用リソース量と前記分析部が分析した前記通信要求の内容に基づいて、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択する選択部と、
を具備することを特徴とする通信回線選択装置。
【請求項2】
前記選択部は、通信要求を受けると、前記情報管理部が管理する前記複数の通信回線の情報に基づいてそれぞれの使用リソース量を算出し、前記複数の通信回線の各使用リソース量が互いに均等になるように、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択することを特徴とする請求項1に記載の通信回線選択装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記通信要求が要求する使用リソース量に基づいて、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択することを特徴とする請求項1に記載の通信回線選択装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記通信要求が要求する通信品質に基づいて、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択することを特徴とする請求項1に記載の通信回線選択装置。
【請求項5】
前記選択部は、前記通信要求を受けると、前記複数の通信回線のうちで最も使用率が高く使用可能な通信回線を、または、前記複数の通信回線のうちで最も残余リソース量が少なく使用可能な通信回線を、使用すべき通信回線として選択することを特徴とする請求項1に記載の通信回線選択装置。
【請求項6】
複数の通信クラスの通信要求に応じて、複数の通信回線から1つの通信回線を選択するリソース共用型通信回線選択方法において、
前記通信要求を受けると、前記複数の通信回線の使用リソース量を検出し、
前記通信要求の内容及び前記検出した通信回線の使用リソース量に基づいて、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択することを特徴とする通信回線選択方法。
【請求項7】
前記通信要求を受けると、前記複数の通信回線のそれぞれの使用リソース量を算出し、前記複数の通信回線の各使用リソース量が互いに均等になるように、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択することを特徴とする請求項6に記載の通信回線選択方法。
【請求項8】
前記通信要求が要求する通信速度に基づいて、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択することを特徴とする請求項6に記載の通信回線選択方法。
【請求項9】
前記通信要求が要求する通信品質に基づいて、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択することを特徴とする請求項6に記載の通信回線選択方法。
【請求項10】
前記通信要求を受けると、前記複数の通信回線のうちで最も使用率が高く使用可能な通信回線を、または、前記複数の通信回線のうちで最も残余リソース量が少なく使用可能な通信回線を、使用すべき通信回線として選択することを特徴とする請求項6に記載の通信回線選択方法。
【請求項1】
複数の通信クラスの通信要求に応じて、複数の通信回線から1つの通信回線を選択するリソース共用型の通信回線選択装置において、
前記複数の通信回線の使用リソース量を含む情報を管理する情報管理部と、
複数の通信クラスの通信要求を受けると、前記通信要求の内容を分析する分析部と、
前記情報管理部から読み出した通信回線の情報である使用リソース量と前記分析部が分析した前記通信要求の内容に基づいて、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択する選択部と、
を具備することを特徴とする通信回線選択装置。
【請求項2】
前記選択部は、通信要求を受けると、前記情報管理部が管理する前記複数の通信回線の情報に基づいてそれぞれの使用リソース量を算出し、前記複数の通信回線の各使用リソース量が互いに均等になるように、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択することを特徴とする請求項1に記載の通信回線選択装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記通信要求が要求する使用リソース量に基づいて、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択することを特徴とする請求項1に記載の通信回線選択装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記通信要求が要求する通信品質に基づいて、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択することを特徴とする請求項1に記載の通信回線選択装置。
【請求項5】
前記選択部は、前記通信要求を受けると、前記複数の通信回線のうちで最も使用率が高く使用可能な通信回線を、または、前記複数の通信回線のうちで最も残余リソース量が少なく使用可能な通信回線を、使用すべき通信回線として選択することを特徴とする請求項1に記載の通信回線選択装置。
【請求項6】
複数の通信クラスの通信要求に応じて、複数の通信回線から1つの通信回線を選択するリソース共用型通信回線選択方法において、
前記通信要求を受けると、前記複数の通信回線の使用リソース量を検出し、
前記通信要求の内容及び前記検出した通信回線の使用リソース量に基づいて、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択することを特徴とする通信回線選択方法。
【請求項7】
前記通信要求を受けると、前記複数の通信回線のそれぞれの使用リソース量を算出し、前記複数の通信回線の各使用リソース量が互いに均等になるように、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択することを特徴とする請求項6に記載の通信回線選択方法。
【請求項8】
前記通信要求が要求する通信速度に基づいて、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択することを特徴とする請求項6に記載の通信回線選択方法。
【請求項9】
前記通信要求が要求する通信品質に基づいて、前記通信クラスの各種類に対応付けて、前記複数の通信回線の中の1つの通信回線を選択することを特徴とする請求項6に記載の通信回線選択方法。
【請求項10】
前記通信要求を受けると、前記複数の通信回線のうちで最も使用率が高く使用可能な通信回線を、または、前記複数の通信回線のうちで最も残余リソース量が少なく使用可能な通信回線を、使用すべき通信回線として選択することを特徴とする請求項6に記載の通信回線選択方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−253841(P2009−253841A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101750(P2008−101750)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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