通信方法ならびにそれを利用した端末装置
【課題】端末装置の特性に応じた待ち受け動作を実現したい。
【解決手段】無線部20、ベースバンド処理部22は、複数の無線通信方式にそれぞれ対応した複数の基地局装置との間において無線通信を実行する。制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22が無線通信を実行すべき基地局装置を選択する。制御部28は、複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、通信可能な基地局装置のうち、最も優先度の高い無線通信方式に対応した基地局装置を特定する。また、制御部28は、特定した基地局装置に付与された優先度以上の優先度の無線通信方式に対応した基地局装置への待ち受け動作の実行を決定し、特定した基地局装置に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式に対応した基地局装置への待ち受け動作の停止を決定する。
【解決手段】無線部20、ベースバンド処理部22は、複数の無線通信方式にそれぞれ対応した複数の基地局装置との間において無線通信を実行する。制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22が無線通信を実行すべき基地局装置を選択する。制御部28は、複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、通信可能な基地局装置のうち、最も優先度の高い無線通信方式に対応した基地局装置を特定する。また、制御部28は、特定した基地局装置に付与された優先度以上の優先度の無線通信方式に対応した基地局装置への待ち受け動作の実行を決定し、特定した基地局装置に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式に対応した基地局装置への待ち受け動作の停止を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、特に複数の無線通信方式に対応している場合の動作を実行する通信方法ならびにそれを利用した端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムでは、一般的に、端末装置と基地局装置とが接続され、通信が実行される。また、複数の無線通信システムに対して、それぞれに対応した端末装置と基地局装置とが設けられる。複数の無線通信システムのそれぞれについて、サービスエリアの広さ、データレート、処理遅延時間等の特性が異なっており、複数の無線通信システムを比較すると、それぞれが特性について長所や短所を有する。互いの短所を補うために、複数の無線通信システムに対応した端末装置の実現が有効である(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−341734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ひとつの端末装置が複数の無線通信方式に対応している場合、複数の無線通信方式のいずれかについての着信に対応するためには、複数の無線通信方式のそれぞれに対する待ち受け動作が必要になる。つまり、複数種類の待ち受け動作を並列に実行することが好ましい。しかしながら、このような動作は、端末装置の特性を考慮すると必ずしも好ましくない。例えば、端末装置は、バッテリ動作を行っているので、待ち受け動作による消費電力は小さい方がよい。特に、バッテリの残量が少なくなっている場合に、低消費電力を実現するための簡易な動作が望まれる。また、複数の無線通信方式は、サービスエリアの広さが異なる。所定の場所において、サービスエリアに含まれる無線通信方式もあれば、サービスエリアに含まれない無線通信方式もある。後者に対する待ち受け動作は、無駄な処理であり、特にタイムアウト等が発生するので、処理が煩雑になる。
【0004】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、端末装置の特性に応じた待ち受け動作を実現するための通信技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の端末装置は、第1の無線通信方式と、第1の無線通信方式よりも優先度の高い第2の無線通信方式とにそれぞれ対応した無線通信を実行する通信部と、通信部が無線通信を実行する際の無線通信方式を決定する制御部とを備える。制御部は、通信部において第2の無線通信方式が通信可能であるかにかかわらず、第2の無線通信方式での待ち受け動作の実行を決定する。
【0006】
この態様によると、通信可能な無線通信方式の中で高い優先度が付与された無線通信方式に対して、待ち受け動作を実行するので、優先度の高い無線通信方式については、通常通りの処理を実行でき、優先度の低い無線通信方式については、不要な処理を削減できる。
【0007】
制御部は、第2の無線通信方式が通信可能でなく、かつ第1の無線通信方式が通信可能である場合に、両方の無線通信方式での待ち受け動作の実行を決定してもよい。この場合、両方の無線通信方式での待ち受け動作を実行するので、第1の無線通信方式での着信を確実に受信でき、第2の無線通信方式が通信可能になった場合でも対応できる。
【0008】
本発明の別の態様もまた、端末装置である。この装置は、複数の無線通信方式にそれぞれ対応した無線通信を実行する通信部と、通信部が無線通信を実行する際の無線通信方式を選択する制御部とを備える。制御部は、複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、通信部が通信可能な無線通信方式のうち、優先度の高い少なくともひとつの無線通信方式を特定する手段と、特定した無線通信方式に付与された優先度以上の優先度の無線通信方式での待ち受け動作の実行を決定し、特定した無線通信方式に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式での待ち受け動作の停止を決定する手段を含む。
【0009】
この態様によると、通信可能な無線通信方式の中で高い優先度以上の優先度が付与された無線通信方式に対して、待ち受け動作を実行するので、優先度の高い無線通信方式については、通常通りの処理を実行でき、優先度の低い無線通信方式については、不要な処理を削減できる。
【0010】
通信部は、制御部によって待ち受け動作が実行されている状態において、着信を受けつけると、着信がなされた無線通信方式に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式での通信が可能であるかを調査し、制御部は、通信部が通信可能な無線通信方式のうち、優先度の低い無線通信方式での無線通信の実行を決定してもよい。この場合、可能な限り低い優先度の無線通信方式を使用するので、優先度の高い無線通信方式に対するトラヒックの集中を低減できる。
【0011】
制御部は、通信部が通信可能な無線通信方式のうち、優先度の低い無線通信方式での無線通信が所定の品質を満たさない場合、当該優先度よりも高い優先度の無線通信方式での無線通信の実行を決定してもよい。この場合、通信が可能であっても無線品質が悪ければ、優先度の高い無線通信方式を使用するので、通信中のさらなる無線品質の悪化を抑制できる。
【0012】
制御部において選択されている無線通信方式についての情報をユーザに知らしめる通知部をさらに備えてもよい。この場合、動作の状態をユーザに通知できる。
【0013】
本発明の別の態様は、通信方法である。この方法は、第1の無線通信方式と、第1の無線通信方式よりも優先度の高い第2の無線通信方式とに対して、無線通信方式を決定する通信方法であって、第2の無線通信方式が通信可能であるかにかかわらず、第2の無線通信方式での待ち受け動作を実行する。
【0014】
本発明の別の態様もまた、通信方法である。この方法は、複数の無線通信方式のうち、無線通信を実行する際の無線通信方式を選択する通信方法であって、複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、通信可能な無線通信方式のうち、優先度の高い少なくともひとつの無線通信方式を特定し、特定した無線通信方式に付与された優先度以上の優先度の無線通信方式での待ち受け動作を実行し、特定した無線通信方式に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式での待ち受け動作を停止する。
【0015】
待ち受け動作が実行されている状態において、着信を受けつけると、着信がなされた無線通信方式に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式での通信が可能であるかを調査し、通信可能な無線通信方式のうち、優先度の低い無線通信方式での無線通信の実行を決定してもよい。通信可能な基地局装置のうち、優先度の低い無線通信方式での無線通信が所定の品質を満たさない場合、当該優先度よりも高い優先度の無線通信方式での無線通信の実行を決定してもよい。選択されている無線通信方式についての情報をユーザに知らしめてもよい。
【0016】
本発明のさらに別の態様もまた、端末装置である。この装置は、複数の無線通信方式にそれぞれ対応した複数の基地局装置との間において無線通信を実行する通信部と、通信部が無線通信を実行すべき基地局装置を選択する制御部と、制御部は、複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、通信部が通信可能な基地局装置のうち、最も優先度の高い無線通信方式に対応した基地局装置を特定する手段と、特定した基地局装置に付与された優先度以上の優先度の無線通信方式に対応した基地局装置への待ち受け動作の実行を決定し、特定した基地局装置に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式に対応した基地局装置への待ち受け動作の停止を決定する手段を含む。
【0017】
通信部は、制御部によって待ち受け動作が実行されている状態において、基地局装置から着信を受けつけると、着信を受けつけた基地局装置に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式に対応した基地局装置と通信可能であるかを調査し、制御部は、通信部が通信可能な基地局装置のうち、最も優先度の低い無線通信方式に対応した基地局装置との無線通信の実行を決定してもよい。
【0018】
制御部は、通信部が通信可能な基地局装置のうち、最も優先度の低い無線通信方式に対応した基地局装置との無線通信が所定の品質を満たさない場合、当該優先度よりも高い優先度の無線通信方式に対応した基地局装置との無線通信の実行を決定してもよい。
【0019】
制御部において選択されている基地局装置についての情報をユーザに知らしめる通知部をさらに備えてもよい。
【0020】
本発明のさらに別の態様もまた、通信方法である。この方法は、複数の無線通信方式にそれぞれ対応した複数の基地局装置のうち、無線通信を実行すべき基地局装置を選択する通信方法であって、複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、通信可能な基地局装置のうち、最も優先度の高い無線通信方式に対応した基地局装置を特定し、特定した基地局装置に付与された優先度以上の優先度の無線通信方式に対応した基地局装置への待ち受け動作を実行し、特定した基地局装置に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式に対応した基地局装置への待ち受け動作を停止する。
【0021】
待ち受け動作が実行されている状態において、基地局装置から着信を受けつけると、着信を受けつけた基地局装置に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式に対応した基地局装置と通信可能であるかを調査し、通信可能な基地局装置のうち、最も優先度の低い無線通信方式に対応した基地局装置との無線通信の実行を決定してもよい。通信可能な基地局装置のうち、最も優先度の低い無線通信方式に対応した基地局装置との無線通信が所定の品質を満たさない場合、当該優先度よりも高い優先度の無線通信方式に対応した基地局装置との無線通信の実行を決定してもよい。選択されている基地局装置についての情報をユーザに知らしめてもよい。
【0022】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0023】
端末装置の特性に応じた待ち受け動作を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、移動通信システムの基地局装置と通信を実行する端末装置に関する。移動通信システムは、TDMA(Time Division Multiple Access)やCDMA(Code Division Multiple Access)を使用するが、ここでは、例えば、後者を説明の対象とする。以下では、CDMAに対応した移動通信システムを単に「CDMA」という。また、本実施例に係る端末装置は、移動通信システムの基地局装置の他に、固定通信システムの基地局装置とも通信を実行する。固定通信システムとして、例えば、IEEE802.16規格、IEEE802.16e規格に準拠した通信システムがあり、これらは、WiMAX(World Interoperability for Microwave Access)(商標)とも呼ばれている。
【0025】
端末装置は通信を実行していなければ、待ち受け動作を実行する。待ち受け動作は、端末装置において、基地局装置から送信される信号を定期的に受信し、受信した信号の中に自分宛の着信があるかを確認する動作である。このような待ち受け動作は、一般的に間欠的に実行される。また、端末装置は、バッテリによって駆動されているので、消費電力は少ない方が望ましい。一方、端末装置にとっては、CDMAでの着信およびWiMAXでの着信のいずれかを受信するかが不明であるので、CDMAとWiMAXの両者に対する待ち受け動作の実行が好ましい。しかしながら、このような待ち受け動作がバッテリの残量が少ない場合に実行されれば、低消費電力化の点において好ましくない。そのため、本実施例に係る端末装置は、以下のような待ち受け動作を実行する。
【0026】
端末装置は、バッテリの残量を調査する。バッテリの残量が大きければ、端末装置は、CDMAでの待ち受け動作の時間間隔、WiMAXでの待ち受け動作の時間間隔に対して、標準的な値を設定する。バッテリの残量が少なくなれば、端末装置は、CDMAでの待ち受け動作の時間間隔を変更しないが、WiMAXでの待ち受け動作の時間間隔を長くする。さらに、バッテリの残量が少なくなれば、端末装置は、CDMAでの待ち受け動作の時間間隔を変更しないが、WiMAXでの待ち受け動作を停止する。一般的に、サービスエリアが広くなるよう設計されているCDMAでの待ち受け動作の時間間隔は、バッテリの残量にかかわらず一定であるので、CDMAでの着信を受信できる。一方、サービスエリアがCDMAよりも広くなく、着信を受信する可能性の低いWiMAXに対して、バッテリの残量が少なくなれば、時間間隔が大きくされるので、消費電力が低減される。
【0027】
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。通信システム100は、端末装置10、基地局装置12と総称される第1基地局装置12a、第2基地局装置12b、ネットワーク14を含む。また、端末装置10は、端末用アンテナ16を含み、第1基地局装置12aは、第1基地局用アンテナ18aを含み、第2基地局装置12bは、第2基地局用アンテナ18bを含む。ここで、第1基地局用アンテナ18aと第2基地局用アンテナ18bとは、基地局用アンテナ18と総称される。
【0028】
第1基地局装置12aは、前述のCDMAに対応した基地局装置に相当し、第2基地局装置12bは、前述のWiMAXに対応した基地局装置に相当する。これらは、ネットワーク14に接続されている。また、ネットワーク14には、図示されない交換機やルータ等が含まれており、これらによって、第1基地局装置12a、第2基地局装置12bでの通信に対する制御がなされる。なお、CDMAに対応した基地局装置は、CDMAによって多重化した端末装置10との間において通信を実行する移動通信システムの基地局装置である。また、WiMAXに対応した基地局装置は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)によって多重化した端末装置10との間において通信を実行する固定通信システムの基地局装置である。なお、CDMAおよびWiMAXの詳細については、説明を省略する。
【0029】
端末装置10は、音声通信やデータ通信のための機能を有する。端末装置10は、CDMAに対応した通信機能とWiMAXに対応した通信機能とを有している。そのため、端末装置10は、第1基地局装置12aに接続することによって、CDMAによる通信を実行し、第2基地局装置12bに接続することによって、WiMAXによる通信を実行する。また、端末装置10は、通信を実行する前の状態においても、第1基地局装置12aと第2基地局装置12bとに対して待ち受け動作を実行する。ここで、待ち受け動作の詳細は、後述する。
【0030】
図2は、端末装置10の構成を示す。端末装置10は、端末用アンテナ16と総称される第1端末用アンテナ16a、第2端末用アンテナ16b、第4端末用アンテナ16d、無線部20、ベースバンド処理部22、音声処理部24、データ処理部26、制御部28、動作状態管理部30、バッテリ残量管理部32、マイク34、スピーカ36、操作部38、表示部40、バッテリ42を含む。
【0031】
無線部20は、複数の端末用アンテナ16を備える。ここで、端末用アンテナ16の数は、「4」とする。また、無線部20は、受信処理として、端末用アンテナ16において受信した無線周波数の信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドの信号を生成する。さらに、無線部20は、ベースバンドの信号をベースバンド処理部22に出力する。一般的に、ベースバンドの信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線によって伝送されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。また、無線部20には、AGC(Automatic Gain Control)やA/D変換部も含まれる。
【0032】
無線部20は、送信処理として、ベースバンド処理部22から入力したベースバンドの信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数の信号を生成する。なお、CDMAとWiMAXのそれぞれにおいて使用される無線周波数は、一般的に異なっているが、ここでは、それらを総称して単に無線周波数とする。さらに、無線部20は、無線周波数の信号を端末用アンテナ16に出力する。つまり、無線部20は、無線周波数の信号を端末用アンテナ16から送信する。また、無線部20には、PA(Power Amplifier)、D/A変換部も含まれる。以上の処理によって、無線部20は、複数の無線通信システムにそれぞれ対応した複数の基地局装置12との間において無線通信を実行するが、通信対象として第1基地局装置12aおよび第2基地局装置12bのいずれかが選択されるかは、制御部28からの指示にもとづく。
【0033】
ベースバンド処理部22は、受信処理として、無線部20から入力したベースバンドの信号を復調する。その際に、ベースバンド処理部22は、複数のベースバンドの信号に対してアダプティブアレイ信号処理やダイバーシチ処理を実行してもよい。ここで、複数のベースバンドの信号は、複数の端末用アンテナ16において受信された無線周波数の信号のそれぞれに対応する。また、アダプティブアレイ信号処理は、複数のベースバンドの信号のそれぞれに対して受信ウエイトベクトルを導出し、導出した受信ウエイトベクトルにて複数のベースバンドの信号を重みづけた後に、それらを加算する。また、アダプティブアレイ信号処理は、これら以外であっても、公知の技術によって実現されればよい。一方、ダイバーシチ処理として、選択ダイバーシチ、同相合成ダイバーシチ、最大比合成ダイバーシチ等がなされればよい。
【0034】
受信したベースバンドの信号がCDMAに対応する場合、ベースバンド処理部22は、受信処理として逆拡散処理を実行する。また、受信したベースバンドの信号がWiMAXに対応する場合、ベースバンド処理部22は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)を実行する。さらに、ベースバンド処理部22は、復号も実行する。最終的に、受信したベースバンド信号が音声信号に相当する場合、ベースバンド処理部22は、処理した信号を音声処理部24に出力する。一方、受信したベースバンドの信号がデータ信号に相当する場合、ベースバンド処理部22は、処理した信号をデータ処理部26に出力する。
【0035】
ベースバンド処理部22は、送信処理として、音声処理部24あるいはデータ処理部26から入力した信号を変調する。ここで、音声信号が音声処理部24から入力され、データ信号が音声処理部24から入力される。また、ベースバンド処理部22は、受信処理の際と同様に、入力した信号に対して、アダプティブアレイ信号処理やダイバーシチ処理を実行してもよい。アダプティブアレイ信号処理は、受信ウエイトベクトルをもとに送信ウエイトベクトルを導出し、導出した送信ウエイトベクトルによって、変調した信号を重みづけした後に、それらをベースバンドの信号として出力する。また、ダイバーシチ処理は、複数の端末用アンテナ16のうちのいずれかから無線周波数の信号が送信されるように、変調した信号のうちのいずれかを選択する。送信すべき信号がCDMAに対応する場合、ベースバンド処理部22は、送信処理として拡散処理を実行する。また、送信すべき信号がWiMAXに対応する場合、ベースバンド処理部22は、送信処理としてIFFTを実行する。さらに、ベースバンド処理部22は、符号化も実行する。
【0036】
音声処理部24は、電話通信などの音声通信に関する処理を実行する。音声処理部24は、マイク34、スピーカ36を接続しており、マイク34から音声を入力し、入力した音声を符号化し、符号化した信号を前述の音声信号としてベースバンド処理部22へ出力する。また、音声処理部24は、ベースバンド処理部22から前述の音声信号を入力し、復号することによって音声を再生する。また、再生された音声は、スピーカ36から出力される。音声処理部24における符号化および復号には、公知の技術が使用されればよいので、ここでは、説明を省略する。
【0037】
データ処理部26は、電子メール、インターネット接続などのデータ通信に関する処理を実行する。データ処理部26は、操作部38、表示部40を接続しており、操作部38からユーザの指示やデータ(以下、「データ等」という)を入力し、入力したデータ等を符号化し、符号化したデータ等を前述のデータ信号としてベースバンド処理部22へ出力する。また、データ処理部26は、ベースバンド処理部22から、前述のデータ信号を入力し、復号することによってデータ等を再生する。また、再生されたデータは、表示部40に表示される。
【0038】
バッテリ42は、図示しない送電線を介して、端末装置10全体に電力を供給する。バッテリ残量管理部32は、バッテリ42の残量を調査する。ここで、調査は、予め定められた周期にてなされる。バッテリ残量管理部32は、調査結果を制御部28に通知する。なお、調査は、制御部28からの指示をもとになされてもよい。
【0039】
制御部28は、無線部20およびベースバンド処理部22が実行すべき待ち受け動作を制御する。待ち受け動作とは、制御部28が、無線部20、ベースバンド処理部22を介して、図示しない基地局装置12から送信される信号の内容を定期的に受信し、受信した信号の中に自分宛の着信があるかを確認する動作である。一般的に、基地局装置12は、所定の時間間隔にて報知信号を送信する。端末装置10の制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22を介して、報知信号を受信する。また、報知信号の中には、宛先となるべき端末装置10を識別するための番号が含まれている。
【0040】
制御部28は、自分宛の着信を確認すれば、発信動作と同様に基地局装置12に対して、チャネル割当を要求する。その後、基地局装置12によってチャネルが割り当てられると、端末装置10と基地局装置12の間において通信が実行される。前述のごとく、端末装置10は、複数の無線通信システムに対応しているので、制御部28は、複数の無線通信システムのそれぞれに応じた待ち受け動作を実行する。例えば、制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22を介して、第1基地局装置12aに対して、CDMAに対応した待ち受け動作を実行し、第2基地局装置12bに対して、WiMAXに対応した待ち受け動作を実行する。
【0041】
以上のような待ち受け動作は、一般的に間欠的に実行される。制御部28は、バッテリ残量管理部32において調査した残量をもとに、通信部が複数の基地局装置12に対して実行すべき待ち受け動作を制御する。ここでは、特に、待ち受け動作の時間間隔を制御する。具体的に説明すると、制御部28は、残量に関するしきい値と、しきい値を満たした場合の動作とを関連づけたテーブルを予め記憶し、バッテリ残量管理部32から取得した残量と、テーブルとを比較することによって、待ち受け動作の時間間隔を決定する。さらに、制御部28は、決定した時間間隔での待ち受け動作を無線部20、ベースバンド処理部22に指示する。また、制御部28は、決定した内容を表示部40に出力してもよい。表示部40は、制御部28において制御されている待ち受け動作の内容をユーザに知らしめる。
【0042】
図3は、制御部28に記憶された制御条件のデータ構造を示す。これは、前述のテーブルに相当する。条件欄200は、しきい値を示す。ここで、「A」の値は、「B」の値よりも大きいものとするので、最上段の「A以上」が残量の多い状態に相当し、最下段の「それ以外」が残量の少ない状態に相当する。動作内容欄202には、条件を満たした場合の動作を「第1動作」から「第3動作」として示す。図2に戻る。
【0043】
「第1動作」から「第3動作」を説明するための前提として、制御部28は、複数の無線通信システムのそれぞれに対して優先度を規定している。ここでは、CDMAの優先度がWiMAXの優先度よりも高くなるような規定がなされている。また、複数の無線通信システムのそれぞれでの待ち受け動作に対して、標準的な時間間隔が予め規定されている。標準的な時間間隔は、複数の無線通信システムの間で同一の値に設定されていてもよいし、異なった値に設定されていてもよい。
【0044】
制御部28は、「第1動作」において、無線部20、ベースバンド処理部22に対して、優先度の低い無線通信システムに対応した基地局装置12、つまり第2基地局装置12bとの無線通信が可能であるかを調べさせる。例えば、第2基地局装置12bから送信される報知信号を受信できる場合、第2基地局装置12bとの無線通信が可能であると結論づけられ、報知信号を受信できない場合、第2基地局装置12bとの無線通信が可能でないと結論づけられられる。制御部28は、無線通信が可能でなければ、第2基地局装置12bへの待ち受け動作の時間間隔を長くする。一方、制御部28は、無線通信が可能であれば、第2基地局装置12bへの待ち受け動作の時間間隔を標準的な値のまま維持する。なお、第1基地局装置12aへの待ち受け動作の時間間隔は、標準的な値のまま維持される。
【0045】
制御部28は、「第2動作」において、無線部20、ベースバンド処理部22に対して、第2基地局装置12bとの無線通信が可能であるかを調べさせ、無線通信が可能でなければ、第2基地局装置12bへの待ち受け動作を停止する。これは、第2基地局装置12bへの待ち受け動作の時間間隔を最長の値に設定することに相当する。一方、制御部28は、無線通信が可能である場合、第2基地局装置12bへの待ち受け動作の時間間隔は、優先度の高い無線通信システムに対応した基地局装置12、つまり第1基地局装置12aとの無線通信が可能であるかに依存する。具体的には、制御部28は、第1基地局装置12aとの無線通信が可能であれば、第2基地局装置12bへの待ち受け動作の時間間隔を長くし、第1基地局装置12aとの無線通信が可能でなければ、第2基地局装置12bへの待ち受け動作の時間間隔を標準的な値のまま維持する。なお、第1基地局装置12aへの待ち受け動作の時間間隔は、標準的な値のまま維持される。
【0046】
制御部28は、「第3動作」において、無線部20、ベースバンド処理部22と、第2基地局装置12bとの無線通信が可能であるかにかかわらず、第2基地局装置12bへの待ち受け動作を停止する。また、制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22に対して、第1基地局装置12aとの無線通信が可能であるかを調べさせ、無線通信が可能でなければ、第1基地局装置12aへの待ち受け動作の時間間隔を長くする。一方、制御部28は、第1基地局装置12aとの無線通信が可能であれば、第1基地局装置12aへの待ち受け動作の時間間隔を標準的な値のまま維持する。
【0047】
このように制御部28は、バッテリの残量が少なくなるにつれて、優先度の低い無線通信システムに対応した基地局装置12への待ち受け動作の時間間隔を長くすることによって、低消費電力化を図る。なお、以上の説明において、制御部28は、待ち受け動作を実行すべき基地局装置12を選択しているが、これは、待ち受け動作を実行すべき無線通信システムを選択することと同等である。また、制御部28は、バッテリの残量が少なくなるにつれて、複数の端末用アンテナ16のうち、待ち受け動作に使用すべき端末用アンテナ16の数を少なくする。例えば、「第1動作」の場合、4つの端末用アンテナ16が使用され、「第2動作」の場合、ふたつの端末用アンテナ16が使用され、「第3動作」の場合、ひとつの端末用アンテナ16が使用される。つまり、バッテリ残量が多ければ、最大数の端末用アンテナ16が使用され、バッテリ残量が少なければ、ひとつの端末用アンテナ16が使用され、バッテリ残量がそれらの間であれば、それらの間の数の端末用アンテナ16が使用される。
【0048】
動作状態管理部30は、端末装置10全体の動作状態を管理する。例えば、「待ち受け動作」、「通信中」等が管理される。ここでは、「待ち受け動作」中に、着信あるいは発信がなされれば、「通信中」への遷移がなされ、「通信中」の動作が終了すると、「待ち受け動作」への遷移がなされる。発信する際には、動作状態管理部30から制御部28へ発信する旨が通知される。また、制御部28は、複数の無線通信システムのうち、発信に使用すべき無線通信システムを選択する。無線部20、ベースバンド処理部22は、制御部28において選択された無線通信システムにて発信を行う。このときの宛先は、例えば、操作部38によって指示される。また、表示部40は、選択された無線通信システムを表示する。
【0049】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた通信機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0050】
以上の構成による端末装置10の動作を説明する。図4は、端末装置10における待ち受け動作の切替手順を示すフローチャートである。バッテリ残量管理部32は、バッテリ残量を調査する(S10)。バッテリ残量が「A」以上であれば(S12のY)、制御部28は、第1動作の実行を決定する(S14)。バッテリ残量が「A」以上でなく(S12のN)、バッテリ残量が「B」以上であれば(S16のY)、制御部28は、第2動作の実行を決定する(S18)。バッテリ残量が「B」以上でなければ(S16のN)、制御部28は、第3動作の実行を決定する(S20)。その後、処理は終了される。
【0051】
図5は、端末装置10における第1動作の処理手順を示すフローチャートである。図5は、図4のステップ14に相当する。制御部28は、端末用アンテナ16を4本に設定する(S30)。無線部20、ベースバンド処理部22の調査の結果、CDMAがサービスエリア内であり(S32のY)、WiMAXもサービスエリア内であれば(S34のY)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作の時間間隔も通常の値に設定する(S36)。ここで、通常の値は、前述の標準的な値に相当する。WiMAXがサービスエリア内でなければ(S34のN)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作の時間間隔を延長の値に設定する(S38)。ここで、延長の値は、前述の長い値に相当する。
【0052】
無線部20、ベースバンド処理部22の調査の結果、CDMAがサービスエリア内でなく(S32のN)、WiMAXがサービスエリア内であれば(S40のY)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作の時間間隔も通常の値に設定する(S42)。WiMAXがサービスエリア内でなければ(S40のN)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作の時間間隔を延長の値に設定する(S44)。その後、処理は終了される。
【0053】
図6は、端末装置10における第2動作の処理手順を示すフローチャートである。図6は、図4のステップ18に相当する。制御部28は、端末用アンテナ16を2本に設定する(S60)。無線部20、ベースバンド処理部22の調査の結果、CDMAがサービスエリア内であり(S62のY)、WiMAXもサービスエリア内であれば(S64のY)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作の時間間隔を延長の値に設定する(S66)。WiMAXがサービスエリア内でなければ(S64のN)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作をOFFに設定する(S68)。
【0054】
無線部20、ベースバンド処理部22の調査の結果、CDMAがサービスエリア内でなく(S62のN)、WiMAXがサービスエリア内であれば(S70のY)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作の時間間隔も通常の値に設定する(S72)。WiMAXがサービスエリア内でなければ(S70のN)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作をOFFに設定する(S74)。その後、処理は終了される。
【0055】
図7は、端末装置10における第3動作の処理手順を示すフローチャートである。図7は、図4のステップ20に相当する。制御部28は、端末用アンテナ16を1本に設定する(S80)。制御部28は、WiMAXに対する待ち受け動作をOFFに設定する(S82)。無線部20、ベースバンド処理部22の調査の結果、CDMAがサービスエリア内であれば(S84のY)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定する(S86)。CDMAがサービスエリア内でなければ(S84のN)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を延長の値に設定する(S88)。その後、処理は終了される。
【0056】
本発明の変形例を説明する。実施例と同様に変形例も、端末装置での待ち受け動作に関する。また、変形例に係る端末装置は、実施例と同様に複数の通信システムに対応している。このような端末装置の待ち受け動作は、一般的に低消費電力にて実行されることが好ましいが、待ち受け動作に関してユーザから指示を受ける場合がある。そのため、低消費電力でありながら、ユーザの指示に応じた待ち受け動作の実行が望ましい。
【0057】
変形例に係る端末装置10の構成は、図2に示された端末装置10と同様のタイプである。操作部38は、無線部20、ベースバンド処理部22が複数の基地局装置12に対して実行すべき待ち受け動作に関する指示を受けつける。ここで、待ち受け動作に関する指示については、後述する。バッテリ残量管理部32は、前述のごとく、バッテリ42の残量を調査する。制御部28は、バッテリ残量管理部32において調査した残量と、操作部38において受けつけた指示をもとに、無線部20、ベースバンド処理部22での待ち受け動作を制御する。具体的に説明すると、制御部28は、残量がしきい値よりも多ければ、指示に応じた待ち受け動作を実行し、残量がしきい値以下であれば、指示の内容にかかわらず、予め定めた待ち受け動作を実行する。ここで、予め定めた待ち受け動作は、例えば、前述の「第3動作」に相当する。表示部40は、制御部28によって決定された待ち受け動作の内容を表示してもよい。
【0058】
待ち受け動作に関する指示を説明する。ユーザが操作部38を操作しながら、待ち受け動作の時間間隔が入力されてもよいが、ユーザの利便性を考慮して、予め複数のモードが規定される。ユーザは操作部38を操作しながら、複数のモードのうちのいずれかを選択する。ここで、モードの種類には、例えば、「高速通信モード」、「低消費電力モード」、「電話モード」、「ウェブ・メールモード」等が規定されており、それぞれに対して、待ち受け動作の時間間隔が無線通信システム単位に定義されている。ここで、各モードでの時間間隔は、必要に応じて任意の値にされればよいので、説明を省略する。
【0059】
また、操作部38によるモードの切替は、以下のように実行される。まず、ユーザは、図示しないモード切替ボタンを押し下げる。表示部40は、モード選択画面に遷移する。ユーザは操作部38を使用しながら、好みのモードを選択する。制御部28は、選択されたモードを無線部20、ベースバンド処理部22に対して設定する。なお、端末装置10において実行されるアプリケーションが起動されるときに、制御部28は、アプリケーションに必要な帯域を判定し、自動的にモードを切りかえてもよい。さらに、制御部28は、アプリケーションを起動するときに、表示部40を介してユーザへ「自動で切りかえるか、あるいはユーザ自身で切りかえるか」を問わせ、その結果に応じて処理を実行してもよい。
【0060】
以上の構成による端末装置10の動作を説明する。図8は、本発明の変形例に係る待ち受け動作の切替手順を示すフローチャートである。操作部38は、ユーザからの指示を受けつける(S100)。バッテリ残量管理部32は、バッテリ残量を調査する(S102)。残量がしきい値よりも多ければ(S104のY)、制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22での待ち受け動作として、指示に応じた動作を決定する(S106)。残量がしきい値よりも多くなければ(S104のN)、制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22での待ち受け動作として、第3動作の実行を決定する(S108)。その後、処理は終了される。
【0061】
本発明のさらに別の変形例を説明する。本変形例に係る端末装置も、これまでと同様に複数の通信システムに対応する。本端末装置は、着信を受信できる可能性を高めながら、消費電力を低減するための待ち受け動作を実行し、着信したときに他の通信システムを有効に使用する。待ち受け動作において、CDMAが使用可能であれば、端末装置は、WiMAXに対する待ち受け動作を停止する。一方、CDMAが使用可能でなければ、端末装置は、CDMAとWiMAXに対する待ち受け動作を実行する。
【0062】
ここでは、CDMAのサービスエリアがWiMAXのサービスエリアよりも広いと想定するので、CDMAに対する待ち受け動作が優先的に実行されることによって、着信の受信確率が向上する。また、CDMAにて着信を受けつけたとき、WiMAXが使用可能であれば、端末装置は、CDMAからWiMAXへのハンドオーバを実行した後に、WiMAXにて通信を実行する。一方、WiMAXにて着信を受けつけたとき、端末装置はWiMAXにて通信を実行する。つまり、端末装置は、待ち受け動作においてCDMAを優先的に使用し、着信後の通信においてWiMAXを優先的に使用する。
【0063】
別の変形例に係る端末装置10の構成は、図2に示された端末装置10と同様のタイプである。制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22が無線通信を実行すべき基地局装置12を選択する。ここでは、第1基地局装置12aと第2基地局装置12bとが選択の対象になる。なお、ふたつの基地局装置12が選択されてもよい。制御部28は、実施例と同様に複数の無線通信システムのそれぞれに対して優先度を規定している。ここでも、CDMAとWiMAXに対して、実施例と同様の優先度が規定されているものとする。
【0064】
まず、待ち受け動作を説明する。制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22が通信可能な基地局装置12のうち、最も優先度の高い無線通信システムに対応した基地局装置12を特定する。例えば、第1基地局装置12aが通信可能であれば、制御部28は、第1基地局装置12aを特定し、第1基地局装置12aが通信可能でなく、第2基地局装置12bが通信可能であれば、制御部28は、第2基地局装置12bを特定する。無線部20、ベースバンド処理部22が通信可能な基地局装置12の検出方法は、実施例と同様になされるので、ここでは説明を省略する。
【0065】
制御部28は、特定した基地局装置12に付与された優先度以上の優先度の無線通信システムに対応した基地局装置12への待ち受け動作の実行を決定する。例えば、第1基地局装置12aが特定されれば、制御部28は、第1基地局装置12aに対する待ち受け動作の実行を決定し、第2基地局装置12bが特定されれば、制御部28は、第1基地局装置12aおよび第2基地局装置12bに対する待ち受け動作の実行を決定する。一方、制御部28は、特定した基地局装置12に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信システムに対応した基地局装置12への待ち受け動作の停止を決定する。例えば、第1基地局装置12aが特定されれば、制御部28は、第2基地局装置12bに対する待ち受け動作の停止を決定する。なお、待ち受け動作の時間間隔は、前述の標準的な値に設定される。
【0066】
次に着信動作を説明する。無線部20、ベースバンド処理部22に対して、制御部28によって待ち受け動作が実行されている。例えば、第1基地局装置12aに対する待ち受け動作が実行されていたり、第1基地局装置12a、第2基地局装置12bに対する待ち受け動作が実行されている。このような状態において、無線部20、ベースバンド処理部22を介して、基地局装置12から着信を受けつけると、制御部28は、着信を受けつけた基地局装置12に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信システムに対応した基地局装置12と通信可能であるかを調査する。例えば、第1基地局装置12aから着信を受けつけると、制御部28は、第2基地局装置12bと通信可能であるかを調査する。一方、第2基地局装置12bから着信を受けつけた場合、制御部28は、このような調査を実行しない。
【0067】
制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22が通信可能な基地局装置12のうち、最も優先度の低い無線通信システムに対応した基地局装置12との無線通信の実行を決定する。例えば、第1基地局装置12a、第2基地局装置12bと通信可能である場合、制御部28は、第2基地局装置12bとの無線通信の実行を決定する。また、第1基地局装置12aとだけ通信可能である場合、制御部28は、第1基地局装置12aとの無線通信の実行を決定する。また、第2基地局装置12bとだけ通信可能である場合、制御部28は、第2基地局装置12bとの無線通信の実行を決定する。無線部20、ベースバンド処理部22は、制御部28において決定された基地局装置12に対して、着信動作を続行する。着信動作は公知の技術と同様でよいので、ここでは説明を省略する。
【0068】
なお、着信を受けつけた基地局装置12に対応した無線通信システムと、制御部28によって無線通信の実行が決定された無線通信システムとが異なる場合がある。例えば、第1基地局装置12aから着信を受けつけ、制御部28によって第2基地局装置12bとの無線通信の実行が決定される場合である。このとき、無線部20、ベースバンド処理部22は、着信を受けつけた第1基地局装置12aに対して着信動作を続行し、その後、第1基地局装置12aから第2基地局装置12bへのハンドオーバ、つまりCDMAからWiMAXへのハンドオーバを実行する。
【0069】
第1基地局装置12aから第2基地局装置12bへのハンドオーバを実現するために、端末装置10は、第1基地局装置12aを介して、図示しないネットワーク14に接続された交換機に対して、第2基地局装置12bにハンドオーバ開始要求信号を送信する。交換機は、第2基地局装置12bに対して当該端末装置10の割当を指示する。端末装置10は、第2基地局装置12bによって割当られたチャネルを使用して、第2基地局装置12bとの通信を実行する。
【0070】
なお、制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22が通信可能な基地局装置12のうち、最も優先度の低い無線通信システムに対応した基地局装置12との無線通信が所定の品質を満たさない場合、当該優先度よりも高い優先度の無線通信システムに対応した基地局装置12との無線通信の実行を決定してもよい。例えば、第2基地局装置12bが選択されるが、第2基地局装置12bとの無線品質が所定の品質を満たさないとき、制御部28は、第1基地局装置12aとの無線通信の実行を決定する。ここで、無線品質は、受信強度、希望信号電力対干渉信号電力比、誤り率によって示される。また、表示部40は、制御部28において選択されている基地局装置12についての情報をユーザに知らしめる。なお、以上の説明において、制御部28は、基地局装置12を選択しているが、これは、無線通信システムを選択することと同等である。
【0071】
以上の構成による端末装置10の動作を説明する。図9は、本発明のさらに別の変形例に係る通信手順を示すフローチャートである。無線部20は、無線部20、ベースバンド処理部22に対して、待ち受け動作を実行させた後(S120)、着信動作を実行させる(S122)。その後、処理は終了される。
【0072】
図10は、本発明のさらに別の変形例に係る待ち受け動作の処理手順を示すフローチャートである。図10は、図9のステップ120に相当する。無線部20、ベースバンド処理部22の調査の結果、CDMAがサービスエリア内であれば(S130のY)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の実行を決定し、WiMAXに対する待ち受け動作のOFFを決定する(S132)。無線部20、ベースバンド処理部22の調査の結果、CDMAがサービスエリア内でなく(S130のN)、WiMAXがサービスエリア内であれば(S134のY)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の実行を決定し、WiMAXに対する待ち受け動作の実行を決定する(S136)。また、WiMAXがサービスエリア内でなければ(S134のN)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の実行を決定し、WiMAXに対する待ち受け動作のOFFを決定する(S138)。その後、処理は終了される。
【0073】
図11は、本発明のさらに別の変形例に係る着信動作の処理手順を示すフローチャートである。図11は、図9のステップ122に相当する。制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22を介して、着信を受けつける(S150)。着信がCDMAに対応した第1基地局装置12aからであり(S152のY)、WiMAXを使用可能であれば(S154のY)、制御部28は、CDMAからWiMAXからのハンドオーバを決定する(S156)。WiMAXを使用可能でなければ(S154のN)、制御部28は、CDMAの使用を決定する(S158)。一方、着信がCDMAに対応した第1基地局装置12aからでなければ(S152のN)、制御部28は、WiMAXの使用を決定する(S160)。その後、処理は終了される。
【0074】
図12は、本発明のさらに別の変形例に係る発信動作の処理手順を示すフローチャートである。発信内容が緊急通信であれば(S180のY)、制御部28は、CDMAの使用を決定する(S182)。また、発信内容が緊急通信でなくても(S180のN)、音声通信であれば(S184のY)、制御部28は、CDMAの使用を決定する(S186)。音声通信でない場合(S184のN)、ひとつの無線通信システムだけが使用可能であれば(S188のY)、制御部28は、使用可能な方の使用を決定する(S190)。一方、ひとつの無線通信システムだけが使用可能でなく(S188のN)、WiMAXの方が高速であれば(S192のY)、制御部28は、WiMAXの使用を決定し(S194)、WiMAXの方が高速でなければ(S192のN)、制御部28は、CDMAの使用を決定する(S196)。その後、処理は終了される。
【0075】
制御部28によってCDMAの使用が決定された場合、無線部20、ベースバンド処理部22は、第1基地局装置12aに対してチャネル割当要求を送信し、第1基地局装置12aによって割り当てられたチャネルにて、第1基地局装置12aとの無線通信を実行する。また、制御部28によってWiMAXの使用が決定された場合、無線部20、ベースバンド処理部22は、第2基地局装置12bに対してチャネル割当要求を送信し、第2基地局装置12bによって割り当てられたチャネルにて、第2基地局装置12bとの無線通信を実行する。また、CDMAとWiMAXのいずれが高速であるかを判定するために、端末装置10は、第1基地局装置12aや第2基地局装置12bのそれぞれの間で通信を実行し、その際の実質的な伝送レートを測定してもよい。あるいは、端末装置10は、第1基地局装置12aや第2基地局装置12bのそれぞれの間で通信を実行し、その際の信号強度を取得し、信号強度から伝送レートを推定してもよい。
【0076】
以下、実施例および変形例にて共通に実施可能な表示部40での表示内容や操作部38の操作性について説明する。表示部40は、前述のごとく、端末装置10において使用されている無線通信システムを表示する。その際、表示部40は、ユーザが無線通信システムを識別可能なように文字や絵文字等を表示することによって、使用している無線通信システムを通知する。ここで、使用されている無線通信システムとは、待ち受け動作を実行している無線通信システムであってもよく、実際に通信を実行している無線通信システムであってもよい。
【0077】
図13(a)−(b)は、表示部40における表示内容を示す。図13(a)は、CDMAとWiMAXに対して待ち受け動作を実行している場合の表示内容に相当する。表示部40は、CDMA情報表示エリア50、WiMAX情報表示エリア52を備えている。なお、表示部40は、これら以外の内容も表示するが、説明を明瞭にするために、ここでは説明を省略する。CDMA情報表示エリア50には、CDMAに関する情報が表示される。ここでは、アンテナ本数によって無線品質が示される。また、圏外の表示がなされてもよい。WiMAX情報表示エリア52には、WiMAXに関する情報が表示される。ここでは、「W」の文字によってWiMAXが識別され、アンテナ本数によって無線品質が示される。また、「3.0Mbps」のごとく、伝送レートも表示される。なお、伝送レートの表示は、文字の色や文字の点滅間隔にて示されてもよい。
【0078】
図13(b)は、CDMAのみに対して待ち受け動作を実行している場合の表示内容を示す。CDMA情報表示エリア50には、図13(a)の場合と同様の表示がなされている。また、WiMAX情報表示エリア52には、WiMAXに対する待ち受け動作がなされていないことを示すために、「W」の文字の上に×印が表示されている。
【0079】
実施例や変形例のごとく、バッテリ42の残量に応じた待ち受け動作の制御がなされる場合も、表示部40は、図13(a)−(b)と同様の表示を実行する。例えば、バッテリ42の残量が多い場合には、図13(a)のごとく、使用可能な無線通信システムが表示される。一方、バッテリ42の残量が少ない場合には、図13(b)のごとく、使用不可能な無線通信システムが識別可能なような表示がなされる。なお、使用不可能な無線通信システムは、表示されなくてもよい。また、通信中に、無線通信システムが切りかわる場合、表示部40は、LEDや表示の色を変更することによって、変更の旨をユーザに通知する。なお、スピーカ36から出力される音声や、バイブレーションによって通知がなされてもよい。
【0080】
次に、操作部38の構成および機能を説明する。操作部38には、無線通信システムを自動的に切りかえさせるためのボタンが含まれていてもよい。当該ボタンが押し下げられると、切替の指示が制御部28に入力される。その後の処理は、前述の通りなので、説明を省略する。また、制御部28が、表示部40に通信可能な無線通信システムを表示させ、それに対応したボタンをユーザが押し下げられることによって、切替の指示が制御部28に入力されてもよい。その際、スループットを測定するためのアプリケーションが制御部28に組み込まれており、当該アプリケーションによって伝送レートが測定され、表示部40には、測定結果が表示される。なお、伝送レートは、速い、普通、遅い等のように段階的に表示されてもよく、「3.0Mbps」のように実速度が表示されてもよい。
【0081】
図14は、端末装置10における通信速度測定アプリケーションの実行結果を示す。表示部40には、図示のごとく、伝送レートの測定結果が示される。このような場合、自動切替では、WiMAXが推奨される。また、操作部38のうち、「2」に対応したボタンを押し下げることによって、あるいはそのまま放置して一定期間経過後に、制御部28は、推奨した無線通信システムの使用を決定する。なお、高速移動を行うことによって、ユーザがWiMAXを使用可能なエリアから通信中に出てしまう恐れがあると判断した場合、または料金等を考慮してCDMAを使用したい場合、ユーザが操作部38のうち、「1」に対応したボタンを押し下げることによって、制御部28は、CDMAの使用を決定する。
【0082】
本発明の実施例によれば、バッテリ残量に応じて、優先度の低い無線通信システムでの待ち受け動作の時間間隔を長くするので、優先度の高い無線通信システムに対して、通常通りの待ち受け動作を維持しながら、消費電力を低減できる。また、優先度の高い無線通信システムとして、サービスエリアの広いCDMAを設定すれば、時間間隔が長くなる場合であっても、着信の可能性を維持できる。また、無線通信が可能であるかに応じて時間間隔を調節するので、無駄な処理を除外でき、処理を簡易に実行できる。また、バッテリの残量が少なくなれば、WiMAXによる通信が可能であるかの確認を実行しないので、消費電力を低減できる。また、バッテリの残量という特性に応じて、無線通信システムを切りかえるので、特性に応じた待ち受け動作を実現できる。また、バッテリ残量や優先度を考慮することによって、複数の無線通信システムに対応した端末装置の消費電力を低減できる。
【0083】
また、バッテリの残量に応じて、指示を受けつけるか否かを切りかえるので、バッテリ残量が多ければ、ユーザの指示に応じた処理を実現できる。また、バッテリの残量に応じて、指示を受けつけるか否かを切りかえるので、バッテリ残量が少なければ、消費電力を低減できる。また、バッテリの残量という特性に応じて、指示を受けつけるか否かを切りかえるので、特性に応じた待ち受け動作を実現できる。また、バッテリの残量に応じて、
また、ユーザの好みに合わせて設定できるようにすることによって、ユーザの利便性を向上できる。使用するアンテナの数を調節するので、バッテリの残量が多ければ、無線品質を向上できる。また、バッテリの残量に応じて、使用するアンテナの数を調節するので、バッテリの残量が少なければ、消費電力を低減できる。また、動作の状態をユーザに通知できる。
【0084】
また、通信可能な無線通信システムの中で最も高い優先度以上の優先度が付与された無線通信システムに対して、待ち受け動作を実行するので、優先度の高い無線通信システムについては、通常通りの処理を実行できる。また、通信可能な無線通信システムの中で最も高い優先度以上の優先度が付与された無線通信システムに対して、待ち受け動作を実行するので、優先度の低い無線通信システムについては、不要な処理を削減できる。また、サービスエリアが広いCDMAの優先度を高くすれば、サービスエリアの広さという特性に応じた待ち受け動作を実現できる。また、着信の際に、可能な限り低い優先度の無線通信システムを使用するので、優先度の高い無線通信システムに対するトラヒックの集中を低減できる。また、待ち受け動作については優先度の高い無線通信システムを優先的に使用し、着信後の通信については優先度の低い無線通信システムを優先的に使用するので、待ち受け動作と着信後の通信について、トラヒックを分散できる。また、通信が可能であっても無線品質が悪ければ、優先度の高い無線通信システムを使用するので、通信中のさらなる無線品質の悪化を抑制できる。
【0085】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0086】
本発明の実施例において、無線部20、ベースバンド処理部22は、ふたつの無線通信システムに対応しており、制御部28は、バッテリ42の残量に応じて、優先度が低い方の無線通信システムに対する待ち受け動作の時間間隔を調節している。しかしながらこれに限らず例えば、無線部20、ベースバンド処理部22は、3つ以上の無線通信システムに対応していてもよい。3つ目の無線通信システムとして、例えば、IEEE802.11に準拠した無線LAN(Local Area Network)システムが使用される。その際、3つ以上の無線通信システムのそれぞれに対して優先度が規定されており、制御部28は、バッテリ42の残量に応じて、優先度が低くなるほど、待ち受け動作の時間間隔が長くなるように制御する。また、実施例は、バッテリ42の残量に応じて3段階の動作に分類しているが、それ以上の段階あるいはそれ以下の段階に分類がなされてもよい。本変形例によれば、3つ以上の無線通信システムに対応した端末装置10に対して、バッテリ残量に応じた待ち受け動作を実現できる。つまり、優先度の低い無線通信システムに対する待ち受け動作の時間間隔が長くなるようであればよい。
【0087】
本発明の実施例において、無線部20、ベースバンド処理部22は、ふたつの無線通信システムに対応しており、優先度が高い方の無線通信システムが通信可能であれば、他方の無線通信システムに対する待ち受け動作を停止させている。しかしながらこれに限らず例えば、無線部20、ベースバンド処理部22は、3つ以上の無線通信システムに対応していてもよい。その際、制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22が通信可能な基地局装置12のうち、最も優先度の高い無線通信システムに対応した基地局装置12を特定する。制御部28は、特定した基地局装置12に付与された優先度以上の優先度の無線通信システムに対応した基地局装置12への待ち受け動作の実行を決定し、特定した基地局装置12に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信システムに対応した基地局装置12への待ち受け動作の停止を決定する。本変形例によれば、3つ以上の無線通信システムに対応した端末装置10に対して、サービスエリアの広さを考慮した待ち受け動作を実現できる。
【0088】
また、制御部28が、WiMAXによって発信を行ったが、通信相手の端末装置10のバッテリ42が少ないために、通信相手の端末装置10がCDMAで着信しかできなければ、制御部28は、CDMAに切りかえてもよい。その際、制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22を介して、通信相手の端末装置10からCDMAでしか受信できない旨を受けつける。表示部40は、その旨を表示してもよい。本変形例によれば、ユーザの利便性が向上する。
【0089】
本発明の実施例において、通信を実行しているとき、無線部20、ベースバンド処理部22は、複数の無線通信システムのいずれかに対応した動作を実行している。しかしながらそれに限らず例えば、無線部20、ベースバンド処理部22は、複数の無線通信システムに対応した動作を並列に実行してもよい。本変形例によれば、伝送レートを高速にできる。
【0090】
実施例に記載された発明の特徴は、次の項目によって規定されてもよい。
(項目1)
複数の無線通信方式にそれぞれ対応した無線通信を実行する通信部と、
前記通信部に電力を供給すべきバッテリの残量を調査する調査部と、
前記調査部において調査したバッテリの残量をもとに、前記通信部が複数の無線通信方式に対して実行すべき待ち受け動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、バッテリの残量が少なくなるにつれて、優先度の低い無線通信方式での待ち受け動作の時間間隔を長くすることを特徴とする端末装置。
【0091】
(項目2)
前記制御部は、バッテリの残量が多い第1状態において、前記通信部に対して、優先度の低い無線通信方式での無線通信が可能であるかを調べさせ、無線通信が可能でなければ、優先度の低い無線通信方式での待ち受け動作の時間間隔を長くし、第1状態よりもバッテリの残量が少ない第2状態において、前記通信部に対して、優先度の低い無線通信方式での無線通信が可能であるかを調べさせ、無線通信が可能でなければ、優先度の低い無線通信方式での待ち受け動作を停止し、第2状態よりもバッテリの残量が少ない第3状態において、優先度の低い無線通信方式での無線通信が可能であるかにかかわらず、優先度の低い無線通信方式での待ち受け動作を停止することを特徴とする項目1に記載の端末装置。
【0092】
(項目3)
複数の無線通信方式にそれぞれ対応した無線通信を実行する通信部と、
前記通信部に電力を供給すべきバッテリの残量を調査する調査部と、
前記通信部が複数の無線通信方式に対して実行すべき待ち受け動作に関する指示を受けつける受付部と、
前記調査部において調査したバッテリの残量と、前記受付部において受けつけた指示をもとに、前記通信部での待ち受け動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、バッテリの残量が多ければ、指示に応じた待ち受け動作を実行し、バッテリの残量が少なくなれば、指示の内容にかかわらず、予め定めた待ち受け動作を実行することを特徴とする端末装置。
【0093】
(項目4)
前記通信部は、複数のアンテナを備えており、
前記制御部は、バッテリの残量が少なくなるにつれて、前記通信部に備えられた複数のアンテナのうち、待ち受け動作に使用すべきアンテナの数を少なくすることを特徴とする項目1から3のいずれかに記載の端末装置。
【0094】
(項目5)
前記制御部において制御されている待ち受け動作の内容をユーザに知らしめる通知部をさらに備えることを特徴とする項目1から4のいずれかに記載の端末装置。
【0095】
(項目6)
複数の無線通信方式にそれぞれ対応した無線通信を実行する端末装置が、複数の無線通信方式に対して実行すべき待ち受け動作を制御する待ち受け動作の制御方法であって、
複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、前記端末装置に電力を供給すべきバッテリの残量を調査した後に、バッテリの残量が少なくなるにつれて、優先度の低い無線通信方式での待ち受け動作の時間間隔を長くすることを特徴とする待ち受け動作の制御方法。
【0096】
(項目7)
複数の無線通信方式にそれぞれ対応した無線通信を実行する端末装置が、複数の無線通信方式に対して実行すべき待ち受け動作を制御する待ち受け動作の制御方法であって、
前記端末装置が実行すべき待ち受け動作に関する指示を受けつけるとともに、前記端末装置に電力を供給すべきバッテリの残量を調査し、バッテリの残量が多ければ、指示に応じた待ち受け動作を実行し、バッテリの残量が少なくなれば、指示の内容にかかわらず、予め定めた待ち受け動作を実行することを特徴とする待ち受け動作の制御方法。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1の端末装置の構成を示す図である。
【図3】図2の制御部に記憶された制御条件のデータ構造を示す図である。
【図4】図1の端末装置における待ち受け動作の切替手順を示すフローチャートである。
【図5】図1の端末装置における第1動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図1の端末装置における第2動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図1の端末装置における第3動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の変形例に係る待ち受け動作の切替手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明のさらに別の変形例に係る通信手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明のさらに別の変形例に係る待ち受け動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明のさらに別の変形例に係る着信動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明のさらに別の変形例に係る発信動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】図13(a)−(b)は、図2の表示部における表示内容を示す図である。
【図14】図2の端末装置における通信速度測定アプリケーションの実行結果を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
10 端末装置、 16 端末用アンテナ、 20 無線部、 22 ベースバンド処理部、 24 音声処理部、 26 データ処理部、 28 制御部、 30 動作状態管理部、 32 バッテリ残量管理部、 34 マイク、 36 スピーカ、 38 操作部、 40 表示部、 42 バッテリ、 100 通信システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、特に複数の無線通信方式に対応している場合の動作を実行する通信方法ならびにそれを利用した端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムでは、一般的に、端末装置と基地局装置とが接続され、通信が実行される。また、複数の無線通信システムに対して、それぞれに対応した端末装置と基地局装置とが設けられる。複数の無線通信システムのそれぞれについて、サービスエリアの広さ、データレート、処理遅延時間等の特性が異なっており、複数の無線通信システムを比較すると、それぞれが特性について長所や短所を有する。互いの短所を補うために、複数の無線通信システムに対応した端末装置の実現が有効である(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−341734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ひとつの端末装置が複数の無線通信方式に対応している場合、複数の無線通信方式のいずれかについての着信に対応するためには、複数の無線通信方式のそれぞれに対する待ち受け動作が必要になる。つまり、複数種類の待ち受け動作を並列に実行することが好ましい。しかしながら、このような動作は、端末装置の特性を考慮すると必ずしも好ましくない。例えば、端末装置は、バッテリ動作を行っているので、待ち受け動作による消費電力は小さい方がよい。特に、バッテリの残量が少なくなっている場合に、低消費電力を実現するための簡易な動作が望まれる。また、複数の無線通信方式は、サービスエリアの広さが異なる。所定の場所において、サービスエリアに含まれる無線通信方式もあれば、サービスエリアに含まれない無線通信方式もある。後者に対する待ち受け動作は、無駄な処理であり、特にタイムアウト等が発生するので、処理が煩雑になる。
【0004】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、端末装置の特性に応じた待ち受け動作を実現するための通信技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の端末装置は、第1の無線通信方式と、第1の無線通信方式よりも優先度の高い第2の無線通信方式とにそれぞれ対応した無線通信を実行する通信部と、通信部が無線通信を実行する際の無線通信方式を決定する制御部とを備える。制御部は、通信部において第2の無線通信方式が通信可能であるかにかかわらず、第2の無線通信方式での待ち受け動作の実行を決定する。
【0006】
この態様によると、通信可能な無線通信方式の中で高い優先度が付与された無線通信方式に対して、待ち受け動作を実行するので、優先度の高い無線通信方式については、通常通りの処理を実行でき、優先度の低い無線通信方式については、不要な処理を削減できる。
【0007】
制御部は、第2の無線通信方式が通信可能でなく、かつ第1の無線通信方式が通信可能である場合に、両方の無線通信方式での待ち受け動作の実行を決定してもよい。この場合、両方の無線通信方式での待ち受け動作を実行するので、第1の無線通信方式での着信を確実に受信でき、第2の無線通信方式が通信可能になった場合でも対応できる。
【0008】
本発明の別の態様もまた、端末装置である。この装置は、複数の無線通信方式にそれぞれ対応した無線通信を実行する通信部と、通信部が無線通信を実行する際の無線通信方式を選択する制御部とを備える。制御部は、複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、通信部が通信可能な無線通信方式のうち、優先度の高い少なくともひとつの無線通信方式を特定する手段と、特定した無線通信方式に付与された優先度以上の優先度の無線通信方式での待ち受け動作の実行を決定し、特定した無線通信方式に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式での待ち受け動作の停止を決定する手段を含む。
【0009】
この態様によると、通信可能な無線通信方式の中で高い優先度以上の優先度が付与された無線通信方式に対して、待ち受け動作を実行するので、優先度の高い無線通信方式については、通常通りの処理を実行でき、優先度の低い無線通信方式については、不要な処理を削減できる。
【0010】
通信部は、制御部によって待ち受け動作が実行されている状態において、着信を受けつけると、着信がなされた無線通信方式に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式での通信が可能であるかを調査し、制御部は、通信部が通信可能な無線通信方式のうち、優先度の低い無線通信方式での無線通信の実行を決定してもよい。この場合、可能な限り低い優先度の無線通信方式を使用するので、優先度の高い無線通信方式に対するトラヒックの集中を低減できる。
【0011】
制御部は、通信部が通信可能な無線通信方式のうち、優先度の低い無線通信方式での無線通信が所定の品質を満たさない場合、当該優先度よりも高い優先度の無線通信方式での無線通信の実行を決定してもよい。この場合、通信が可能であっても無線品質が悪ければ、優先度の高い無線通信方式を使用するので、通信中のさらなる無線品質の悪化を抑制できる。
【0012】
制御部において選択されている無線通信方式についての情報をユーザに知らしめる通知部をさらに備えてもよい。この場合、動作の状態をユーザに通知できる。
【0013】
本発明の別の態様は、通信方法である。この方法は、第1の無線通信方式と、第1の無線通信方式よりも優先度の高い第2の無線通信方式とに対して、無線通信方式を決定する通信方法であって、第2の無線通信方式が通信可能であるかにかかわらず、第2の無線通信方式での待ち受け動作を実行する。
【0014】
本発明の別の態様もまた、通信方法である。この方法は、複数の無線通信方式のうち、無線通信を実行する際の無線通信方式を選択する通信方法であって、複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、通信可能な無線通信方式のうち、優先度の高い少なくともひとつの無線通信方式を特定し、特定した無線通信方式に付与された優先度以上の優先度の無線通信方式での待ち受け動作を実行し、特定した無線通信方式に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式での待ち受け動作を停止する。
【0015】
待ち受け動作が実行されている状態において、着信を受けつけると、着信がなされた無線通信方式に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式での通信が可能であるかを調査し、通信可能な無線通信方式のうち、優先度の低い無線通信方式での無線通信の実行を決定してもよい。通信可能な基地局装置のうち、優先度の低い無線通信方式での無線通信が所定の品質を満たさない場合、当該優先度よりも高い優先度の無線通信方式での無線通信の実行を決定してもよい。選択されている無線通信方式についての情報をユーザに知らしめてもよい。
【0016】
本発明のさらに別の態様もまた、端末装置である。この装置は、複数の無線通信方式にそれぞれ対応した複数の基地局装置との間において無線通信を実行する通信部と、通信部が無線通信を実行すべき基地局装置を選択する制御部と、制御部は、複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、通信部が通信可能な基地局装置のうち、最も優先度の高い無線通信方式に対応した基地局装置を特定する手段と、特定した基地局装置に付与された優先度以上の優先度の無線通信方式に対応した基地局装置への待ち受け動作の実行を決定し、特定した基地局装置に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式に対応した基地局装置への待ち受け動作の停止を決定する手段を含む。
【0017】
通信部は、制御部によって待ち受け動作が実行されている状態において、基地局装置から着信を受けつけると、着信を受けつけた基地局装置に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式に対応した基地局装置と通信可能であるかを調査し、制御部は、通信部が通信可能な基地局装置のうち、最も優先度の低い無線通信方式に対応した基地局装置との無線通信の実行を決定してもよい。
【0018】
制御部は、通信部が通信可能な基地局装置のうち、最も優先度の低い無線通信方式に対応した基地局装置との無線通信が所定の品質を満たさない場合、当該優先度よりも高い優先度の無線通信方式に対応した基地局装置との無線通信の実行を決定してもよい。
【0019】
制御部において選択されている基地局装置についての情報をユーザに知らしめる通知部をさらに備えてもよい。
【0020】
本発明のさらに別の態様もまた、通信方法である。この方法は、複数の無線通信方式にそれぞれ対応した複数の基地局装置のうち、無線通信を実行すべき基地局装置を選択する通信方法であって、複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、通信可能な基地局装置のうち、最も優先度の高い無線通信方式に対応した基地局装置を特定し、特定した基地局装置に付与された優先度以上の優先度の無線通信方式に対応した基地局装置への待ち受け動作を実行し、特定した基地局装置に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式に対応した基地局装置への待ち受け動作を停止する。
【0021】
待ち受け動作が実行されている状態において、基地局装置から着信を受けつけると、着信を受けつけた基地局装置に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式に対応した基地局装置と通信可能であるかを調査し、通信可能な基地局装置のうち、最も優先度の低い無線通信方式に対応した基地局装置との無線通信の実行を決定してもよい。通信可能な基地局装置のうち、最も優先度の低い無線通信方式に対応した基地局装置との無線通信が所定の品質を満たさない場合、当該優先度よりも高い優先度の無線通信方式に対応した基地局装置との無線通信の実行を決定してもよい。選択されている基地局装置についての情報をユーザに知らしめてもよい。
【0022】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0023】
端末装置の特性に応じた待ち受け動作を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、移動通信システムの基地局装置と通信を実行する端末装置に関する。移動通信システムは、TDMA(Time Division Multiple Access)やCDMA(Code Division Multiple Access)を使用するが、ここでは、例えば、後者を説明の対象とする。以下では、CDMAに対応した移動通信システムを単に「CDMA」という。また、本実施例に係る端末装置は、移動通信システムの基地局装置の他に、固定通信システムの基地局装置とも通信を実行する。固定通信システムとして、例えば、IEEE802.16規格、IEEE802.16e規格に準拠した通信システムがあり、これらは、WiMAX(World Interoperability for Microwave Access)(商標)とも呼ばれている。
【0025】
端末装置は通信を実行していなければ、待ち受け動作を実行する。待ち受け動作は、端末装置において、基地局装置から送信される信号を定期的に受信し、受信した信号の中に自分宛の着信があるかを確認する動作である。このような待ち受け動作は、一般的に間欠的に実行される。また、端末装置は、バッテリによって駆動されているので、消費電力は少ない方が望ましい。一方、端末装置にとっては、CDMAでの着信およびWiMAXでの着信のいずれかを受信するかが不明であるので、CDMAとWiMAXの両者に対する待ち受け動作の実行が好ましい。しかしながら、このような待ち受け動作がバッテリの残量が少ない場合に実行されれば、低消費電力化の点において好ましくない。そのため、本実施例に係る端末装置は、以下のような待ち受け動作を実行する。
【0026】
端末装置は、バッテリの残量を調査する。バッテリの残量が大きければ、端末装置は、CDMAでの待ち受け動作の時間間隔、WiMAXでの待ち受け動作の時間間隔に対して、標準的な値を設定する。バッテリの残量が少なくなれば、端末装置は、CDMAでの待ち受け動作の時間間隔を変更しないが、WiMAXでの待ち受け動作の時間間隔を長くする。さらに、バッテリの残量が少なくなれば、端末装置は、CDMAでの待ち受け動作の時間間隔を変更しないが、WiMAXでの待ち受け動作を停止する。一般的に、サービスエリアが広くなるよう設計されているCDMAでの待ち受け動作の時間間隔は、バッテリの残量にかかわらず一定であるので、CDMAでの着信を受信できる。一方、サービスエリアがCDMAよりも広くなく、着信を受信する可能性の低いWiMAXに対して、バッテリの残量が少なくなれば、時間間隔が大きくされるので、消費電力が低減される。
【0027】
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。通信システム100は、端末装置10、基地局装置12と総称される第1基地局装置12a、第2基地局装置12b、ネットワーク14を含む。また、端末装置10は、端末用アンテナ16を含み、第1基地局装置12aは、第1基地局用アンテナ18aを含み、第2基地局装置12bは、第2基地局用アンテナ18bを含む。ここで、第1基地局用アンテナ18aと第2基地局用アンテナ18bとは、基地局用アンテナ18と総称される。
【0028】
第1基地局装置12aは、前述のCDMAに対応した基地局装置に相当し、第2基地局装置12bは、前述のWiMAXに対応した基地局装置に相当する。これらは、ネットワーク14に接続されている。また、ネットワーク14には、図示されない交換機やルータ等が含まれており、これらによって、第1基地局装置12a、第2基地局装置12bでの通信に対する制御がなされる。なお、CDMAに対応した基地局装置は、CDMAによって多重化した端末装置10との間において通信を実行する移動通信システムの基地局装置である。また、WiMAXに対応した基地局装置は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)によって多重化した端末装置10との間において通信を実行する固定通信システムの基地局装置である。なお、CDMAおよびWiMAXの詳細については、説明を省略する。
【0029】
端末装置10は、音声通信やデータ通信のための機能を有する。端末装置10は、CDMAに対応した通信機能とWiMAXに対応した通信機能とを有している。そのため、端末装置10は、第1基地局装置12aに接続することによって、CDMAによる通信を実行し、第2基地局装置12bに接続することによって、WiMAXによる通信を実行する。また、端末装置10は、通信を実行する前の状態においても、第1基地局装置12aと第2基地局装置12bとに対して待ち受け動作を実行する。ここで、待ち受け動作の詳細は、後述する。
【0030】
図2は、端末装置10の構成を示す。端末装置10は、端末用アンテナ16と総称される第1端末用アンテナ16a、第2端末用アンテナ16b、第4端末用アンテナ16d、無線部20、ベースバンド処理部22、音声処理部24、データ処理部26、制御部28、動作状態管理部30、バッテリ残量管理部32、マイク34、スピーカ36、操作部38、表示部40、バッテリ42を含む。
【0031】
無線部20は、複数の端末用アンテナ16を備える。ここで、端末用アンテナ16の数は、「4」とする。また、無線部20は、受信処理として、端末用アンテナ16において受信した無線周波数の信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドの信号を生成する。さらに、無線部20は、ベースバンドの信号をベースバンド処理部22に出力する。一般的に、ベースバンドの信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線によって伝送されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。また、無線部20には、AGC(Automatic Gain Control)やA/D変換部も含まれる。
【0032】
無線部20は、送信処理として、ベースバンド処理部22から入力したベースバンドの信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数の信号を生成する。なお、CDMAとWiMAXのそれぞれにおいて使用される無線周波数は、一般的に異なっているが、ここでは、それらを総称して単に無線周波数とする。さらに、無線部20は、無線周波数の信号を端末用アンテナ16に出力する。つまり、無線部20は、無線周波数の信号を端末用アンテナ16から送信する。また、無線部20には、PA(Power Amplifier)、D/A変換部も含まれる。以上の処理によって、無線部20は、複数の無線通信システムにそれぞれ対応した複数の基地局装置12との間において無線通信を実行するが、通信対象として第1基地局装置12aおよび第2基地局装置12bのいずれかが選択されるかは、制御部28からの指示にもとづく。
【0033】
ベースバンド処理部22は、受信処理として、無線部20から入力したベースバンドの信号を復調する。その際に、ベースバンド処理部22は、複数のベースバンドの信号に対してアダプティブアレイ信号処理やダイバーシチ処理を実行してもよい。ここで、複数のベースバンドの信号は、複数の端末用アンテナ16において受信された無線周波数の信号のそれぞれに対応する。また、アダプティブアレイ信号処理は、複数のベースバンドの信号のそれぞれに対して受信ウエイトベクトルを導出し、導出した受信ウエイトベクトルにて複数のベースバンドの信号を重みづけた後に、それらを加算する。また、アダプティブアレイ信号処理は、これら以外であっても、公知の技術によって実現されればよい。一方、ダイバーシチ処理として、選択ダイバーシチ、同相合成ダイバーシチ、最大比合成ダイバーシチ等がなされればよい。
【0034】
受信したベースバンドの信号がCDMAに対応する場合、ベースバンド処理部22は、受信処理として逆拡散処理を実行する。また、受信したベースバンドの信号がWiMAXに対応する場合、ベースバンド処理部22は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)を実行する。さらに、ベースバンド処理部22は、復号も実行する。最終的に、受信したベースバンド信号が音声信号に相当する場合、ベースバンド処理部22は、処理した信号を音声処理部24に出力する。一方、受信したベースバンドの信号がデータ信号に相当する場合、ベースバンド処理部22は、処理した信号をデータ処理部26に出力する。
【0035】
ベースバンド処理部22は、送信処理として、音声処理部24あるいはデータ処理部26から入力した信号を変調する。ここで、音声信号が音声処理部24から入力され、データ信号が音声処理部24から入力される。また、ベースバンド処理部22は、受信処理の際と同様に、入力した信号に対して、アダプティブアレイ信号処理やダイバーシチ処理を実行してもよい。アダプティブアレイ信号処理は、受信ウエイトベクトルをもとに送信ウエイトベクトルを導出し、導出した送信ウエイトベクトルによって、変調した信号を重みづけした後に、それらをベースバンドの信号として出力する。また、ダイバーシチ処理は、複数の端末用アンテナ16のうちのいずれかから無線周波数の信号が送信されるように、変調した信号のうちのいずれかを選択する。送信すべき信号がCDMAに対応する場合、ベースバンド処理部22は、送信処理として拡散処理を実行する。また、送信すべき信号がWiMAXに対応する場合、ベースバンド処理部22は、送信処理としてIFFTを実行する。さらに、ベースバンド処理部22は、符号化も実行する。
【0036】
音声処理部24は、電話通信などの音声通信に関する処理を実行する。音声処理部24は、マイク34、スピーカ36を接続しており、マイク34から音声を入力し、入力した音声を符号化し、符号化した信号を前述の音声信号としてベースバンド処理部22へ出力する。また、音声処理部24は、ベースバンド処理部22から前述の音声信号を入力し、復号することによって音声を再生する。また、再生された音声は、スピーカ36から出力される。音声処理部24における符号化および復号には、公知の技術が使用されればよいので、ここでは、説明を省略する。
【0037】
データ処理部26は、電子メール、インターネット接続などのデータ通信に関する処理を実行する。データ処理部26は、操作部38、表示部40を接続しており、操作部38からユーザの指示やデータ(以下、「データ等」という)を入力し、入力したデータ等を符号化し、符号化したデータ等を前述のデータ信号としてベースバンド処理部22へ出力する。また、データ処理部26は、ベースバンド処理部22から、前述のデータ信号を入力し、復号することによってデータ等を再生する。また、再生されたデータは、表示部40に表示される。
【0038】
バッテリ42は、図示しない送電線を介して、端末装置10全体に電力を供給する。バッテリ残量管理部32は、バッテリ42の残量を調査する。ここで、調査は、予め定められた周期にてなされる。バッテリ残量管理部32は、調査結果を制御部28に通知する。なお、調査は、制御部28からの指示をもとになされてもよい。
【0039】
制御部28は、無線部20およびベースバンド処理部22が実行すべき待ち受け動作を制御する。待ち受け動作とは、制御部28が、無線部20、ベースバンド処理部22を介して、図示しない基地局装置12から送信される信号の内容を定期的に受信し、受信した信号の中に自分宛の着信があるかを確認する動作である。一般的に、基地局装置12は、所定の時間間隔にて報知信号を送信する。端末装置10の制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22を介して、報知信号を受信する。また、報知信号の中には、宛先となるべき端末装置10を識別するための番号が含まれている。
【0040】
制御部28は、自分宛の着信を確認すれば、発信動作と同様に基地局装置12に対して、チャネル割当を要求する。その後、基地局装置12によってチャネルが割り当てられると、端末装置10と基地局装置12の間において通信が実行される。前述のごとく、端末装置10は、複数の無線通信システムに対応しているので、制御部28は、複数の無線通信システムのそれぞれに応じた待ち受け動作を実行する。例えば、制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22を介して、第1基地局装置12aに対して、CDMAに対応した待ち受け動作を実行し、第2基地局装置12bに対して、WiMAXに対応した待ち受け動作を実行する。
【0041】
以上のような待ち受け動作は、一般的に間欠的に実行される。制御部28は、バッテリ残量管理部32において調査した残量をもとに、通信部が複数の基地局装置12に対して実行すべき待ち受け動作を制御する。ここでは、特に、待ち受け動作の時間間隔を制御する。具体的に説明すると、制御部28は、残量に関するしきい値と、しきい値を満たした場合の動作とを関連づけたテーブルを予め記憶し、バッテリ残量管理部32から取得した残量と、テーブルとを比較することによって、待ち受け動作の時間間隔を決定する。さらに、制御部28は、決定した時間間隔での待ち受け動作を無線部20、ベースバンド処理部22に指示する。また、制御部28は、決定した内容を表示部40に出力してもよい。表示部40は、制御部28において制御されている待ち受け動作の内容をユーザに知らしめる。
【0042】
図3は、制御部28に記憶された制御条件のデータ構造を示す。これは、前述のテーブルに相当する。条件欄200は、しきい値を示す。ここで、「A」の値は、「B」の値よりも大きいものとするので、最上段の「A以上」が残量の多い状態に相当し、最下段の「それ以外」が残量の少ない状態に相当する。動作内容欄202には、条件を満たした場合の動作を「第1動作」から「第3動作」として示す。図2に戻る。
【0043】
「第1動作」から「第3動作」を説明するための前提として、制御部28は、複数の無線通信システムのそれぞれに対して優先度を規定している。ここでは、CDMAの優先度がWiMAXの優先度よりも高くなるような規定がなされている。また、複数の無線通信システムのそれぞれでの待ち受け動作に対して、標準的な時間間隔が予め規定されている。標準的な時間間隔は、複数の無線通信システムの間で同一の値に設定されていてもよいし、異なった値に設定されていてもよい。
【0044】
制御部28は、「第1動作」において、無線部20、ベースバンド処理部22に対して、優先度の低い無線通信システムに対応した基地局装置12、つまり第2基地局装置12bとの無線通信が可能であるかを調べさせる。例えば、第2基地局装置12bから送信される報知信号を受信できる場合、第2基地局装置12bとの無線通信が可能であると結論づけられ、報知信号を受信できない場合、第2基地局装置12bとの無線通信が可能でないと結論づけられられる。制御部28は、無線通信が可能でなければ、第2基地局装置12bへの待ち受け動作の時間間隔を長くする。一方、制御部28は、無線通信が可能であれば、第2基地局装置12bへの待ち受け動作の時間間隔を標準的な値のまま維持する。なお、第1基地局装置12aへの待ち受け動作の時間間隔は、標準的な値のまま維持される。
【0045】
制御部28は、「第2動作」において、無線部20、ベースバンド処理部22に対して、第2基地局装置12bとの無線通信が可能であるかを調べさせ、無線通信が可能でなければ、第2基地局装置12bへの待ち受け動作を停止する。これは、第2基地局装置12bへの待ち受け動作の時間間隔を最長の値に設定することに相当する。一方、制御部28は、無線通信が可能である場合、第2基地局装置12bへの待ち受け動作の時間間隔は、優先度の高い無線通信システムに対応した基地局装置12、つまり第1基地局装置12aとの無線通信が可能であるかに依存する。具体的には、制御部28は、第1基地局装置12aとの無線通信が可能であれば、第2基地局装置12bへの待ち受け動作の時間間隔を長くし、第1基地局装置12aとの無線通信が可能でなければ、第2基地局装置12bへの待ち受け動作の時間間隔を標準的な値のまま維持する。なお、第1基地局装置12aへの待ち受け動作の時間間隔は、標準的な値のまま維持される。
【0046】
制御部28は、「第3動作」において、無線部20、ベースバンド処理部22と、第2基地局装置12bとの無線通信が可能であるかにかかわらず、第2基地局装置12bへの待ち受け動作を停止する。また、制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22に対して、第1基地局装置12aとの無線通信が可能であるかを調べさせ、無線通信が可能でなければ、第1基地局装置12aへの待ち受け動作の時間間隔を長くする。一方、制御部28は、第1基地局装置12aとの無線通信が可能であれば、第1基地局装置12aへの待ち受け動作の時間間隔を標準的な値のまま維持する。
【0047】
このように制御部28は、バッテリの残量が少なくなるにつれて、優先度の低い無線通信システムに対応した基地局装置12への待ち受け動作の時間間隔を長くすることによって、低消費電力化を図る。なお、以上の説明において、制御部28は、待ち受け動作を実行すべき基地局装置12を選択しているが、これは、待ち受け動作を実行すべき無線通信システムを選択することと同等である。また、制御部28は、バッテリの残量が少なくなるにつれて、複数の端末用アンテナ16のうち、待ち受け動作に使用すべき端末用アンテナ16の数を少なくする。例えば、「第1動作」の場合、4つの端末用アンテナ16が使用され、「第2動作」の場合、ふたつの端末用アンテナ16が使用され、「第3動作」の場合、ひとつの端末用アンテナ16が使用される。つまり、バッテリ残量が多ければ、最大数の端末用アンテナ16が使用され、バッテリ残量が少なければ、ひとつの端末用アンテナ16が使用され、バッテリ残量がそれらの間であれば、それらの間の数の端末用アンテナ16が使用される。
【0048】
動作状態管理部30は、端末装置10全体の動作状態を管理する。例えば、「待ち受け動作」、「通信中」等が管理される。ここでは、「待ち受け動作」中に、着信あるいは発信がなされれば、「通信中」への遷移がなされ、「通信中」の動作が終了すると、「待ち受け動作」への遷移がなされる。発信する際には、動作状態管理部30から制御部28へ発信する旨が通知される。また、制御部28は、複数の無線通信システムのうち、発信に使用すべき無線通信システムを選択する。無線部20、ベースバンド処理部22は、制御部28において選択された無線通信システムにて発信を行う。このときの宛先は、例えば、操作部38によって指示される。また、表示部40は、選択された無線通信システムを表示する。
【0049】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた通信機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0050】
以上の構成による端末装置10の動作を説明する。図4は、端末装置10における待ち受け動作の切替手順を示すフローチャートである。バッテリ残量管理部32は、バッテリ残量を調査する(S10)。バッテリ残量が「A」以上であれば(S12のY)、制御部28は、第1動作の実行を決定する(S14)。バッテリ残量が「A」以上でなく(S12のN)、バッテリ残量が「B」以上であれば(S16のY)、制御部28は、第2動作の実行を決定する(S18)。バッテリ残量が「B」以上でなければ(S16のN)、制御部28は、第3動作の実行を決定する(S20)。その後、処理は終了される。
【0051】
図5は、端末装置10における第1動作の処理手順を示すフローチャートである。図5は、図4のステップ14に相当する。制御部28は、端末用アンテナ16を4本に設定する(S30)。無線部20、ベースバンド処理部22の調査の結果、CDMAがサービスエリア内であり(S32のY)、WiMAXもサービスエリア内であれば(S34のY)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作の時間間隔も通常の値に設定する(S36)。ここで、通常の値は、前述の標準的な値に相当する。WiMAXがサービスエリア内でなければ(S34のN)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作の時間間隔を延長の値に設定する(S38)。ここで、延長の値は、前述の長い値に相当する。
【0052】
無線部20、ベースバンド処理部22の調査の結果、CDMAがサービスエリア内でなく(S32のN)、WiMAXがサービスエリア内であれば(S40のY)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作の時間間隔も通常の値に設定する(S42)。WiMAXがサービスエリア内でなければ(S40のN)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作の時間間隔を延長の値に設定する(S44)。その後、処理は終了される。
【0053】
図6は、端末装置10における第2動作の処理手順を示すフローチャートである。図6は、図4のステップ18に相当する。制御部28は、端末用アンテナ16を2本に設定する(S60)。無線部20、ベースバンド処理部22の調査の結果、CDMAがサービスエリア内であり(S62のY)、WiMAXもサービスエリア内であれば(S64のY)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作の時間間隔を延長の値に設定する(S66)。WiMAXがサービスエリア内でなければ(S64のN)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作をOFFに設定する(S68)。
【0054】
無線部20、ベースバンド処理部22の調査の結果、CDMAがサービスエリア内でなく(S62のN)、WiMAXがサービスエリア内であれば(S70のY)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作の時間間隔も通常の値に設定する(S72)。WiMAXがサービスエリア内でなければ(S70のN)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定し、WiMAXに対する待ち受け動作をOFFに設定する(S74)。その後、処理は終了される。
【0055】
図7は、端末装置10における第3動作の処理手順を示すフローチャートである。図7は、図4のステップ20に相当する。制御部28は、端末用アンテナ16を1本に設定する(S80)。制御部28は、WiMAXに対する待ち受け動作をOFFに設定する(S82)。無線部20、ベースバンド処理部22の調査の結果、CDMAがサービスエリア内であれば(S84のY)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を通常の値に設定する(S86)。CDMAがサービスエリア内でなければ(S84のN)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の時間間隔を延長の値に設定する(S88)。その後、処理は終了される。
【0056】
本発明の変形例を説明する。実施例と同様に変形例も、端末装置での待ち受け動作に関する。また、変形例に係る端末装置は、実施例と同様に複数の通信システムに対応している。このような端末装置の待ち受け動作は、一般的に低消費電力にて実行されることが好ましいが、待ち受け動作に関してユーザから指示を受ける場合がある。そのため、低消費電力でありながら、ユーザの指示に応じた待ち受け動作の実行が望ましい。
【0057】
変形例に係る端末装置10の構成は、図2に示された端末装置10と同様のタイプである。操作部38は、無線部20、ベースバンド処理部22が複数の基地局装置12に対して実行すべき待ち受け動作に関する指示を受けつける。ここで、待ち受け動作に関する指示については、後述する。バッテリ残量管理部32は、前述のごとく、バッテリ42の残量を調査する。制御部28は、バッテリ残量管理部32において調査した残量と、操作部38において受けつけた指示をもとに、無線部20、ベースバンド処理部22での待ち受け動作を制御する。具体的に説明すると、制御部28は、残量がしきい値よりも多ければ、指示に応じた待ち受け動作を実行し、残量がしきい値以下であれば、指示の内容にかかわらず、予め定めた待ち受け動作を実行する。ここで、予め定めた待ち受け動作は、例えば、前述の「第3動作」に相当する。表示部40は、制御部28によって決定された待ち受け動作の内容を表示してもよい。
【0058】
待ち受け動作に関する指示を説明する。ユーザが操作部38を操作しながら、待ち受け動作の時間間隔が入力されてもよいが、ユーザの利便性を考慮して、予め複数のモードが規定される。ユーザは操作部38を操作しながら、複数のモードのうちのいずれかを選択する。ここで、モードの種類には、例えば、「高速通信モード」、「低消費電力モード」、「電話モード」、「ウェブ・メールモード」等が規定されており、それぞれに対して、待ち受け動作の時間間隔が無線通信システム単位に定義されている。ここで、各モードでの時間間隔は、必要に応じて任意の値にされればよいので、説明を省略する。
【0059】
また、操作部38によるモードの切替は、以下のように実行される。まず、ユーザは、図示しないモード切替ボタンを押し下げる。表示部40は、モード選択画面に遷移する。ユーザは操作部38を使用しながら、好みのモードを選択する。制御部28は、選択されたモードを無線部20、ベースバンド処理部22に対して設定する。なお、端末装置10において実行されるアプリケーションが起動されるときに、制御部28は、アプリケーションに必要な帯域を判定し、自動的にモードを切りかえてもよい。さらに、制御部28は、アプリケーションを起動するときに、表示部40を介してユーザへ「自動で切りかえるか、あるいはユーザ自身で切りかえるか」を問わせ、その結果に応じて処理を実行してもよい。
【0060】
以上の構成による端末装置10の動作を説明する。図8は、本発明の変形例に係る待ち受け動作の切替手順を示すフローチャートである。操作部38は、ユーザからの指示を受けつける(S100)。バッテリ残量管理部32は、バッテリ残量を調査する(S102)。残量がしきい値よりも多ければ(S104のY)、制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22での待ち受け動作として、指示に応じた動作を決定する(S106)。残量がしきい値よりも多くなければ(S104のN)、制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22での待ち受け動作として、第3動作の実行を決定する(S108)。その後、処理は終了される。
【0061】
本発明のさらに別の変形例を説明する。本変形例に係る端末装置も、これまでと同様に複数の通信システムに対応する。本端末装置は、着信を受信できる可能性を高めながら、消費電力を低減するための待ち受け動作を実行し、着信したときに他の通信システムを有効に使用する。待ち受け動作において、CDMAが使用可能であれば、端末装置は、WiMAXに対する待ち受け動作を停止する。一方、CDMAが使用可能でなければ、端末装置は、CDMAとWiMAXに対する待ち受け動作を実行する。
【0062】
ここでは、CDMAのサービスエリアがWiMAXのサービスエリアよりも広いと想定するので、CDMAに対する待ち受け動作が優先的に実行されることによって、着信の受信確率が向上する。また、CDMAにて着信を受けつけたとき、WiMAXが使用可能であれば、端末装置は、CDMAからWiMAXへのハンドオーバを実行した後に、WiMAXにて通信を実行する。一方、WiMAXにて着信を受けつけたとき、端末装置はWiMAXにて通信を実行する。つまり、端末装置は、待ち受け動作においてCDMAを優先的に使用し、着信後の通信においてWiMAXを優先的に使用する。
【0063】
別の変形例に係る端末装置10の構成は、図2に示された端末装置10と同様のタイプである。制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22が無線通信を実行すべき基地局装置12を選択する。ここでは、第1基地局装置12aと第2基地局装置12bとが選択の対象になる。なお、ふたつの基地局装置12が選択されてもよい。制御部28は、実施例と同様に複数の無線通信システムのそれぞれに対して優先度を規定している。ここでも、CDMAとWiMAXに対して、実施例と同様の優先度が規定されているものとする。
【0064】
まず、待ち受け動作を説明する。制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22が通信可能な基地局装置12のうち、最も優先度の高い無線通信システムに対応した基地局装置12を特定する。例えば、第1基地局装置12aが通信可能であれば、制御部28は、第1基地局装置12aを特定し、第1基地局装置12aが通信可能でなく、第2基地局装置12bが通信可能であれば、制御部28は、第2基地局装置12bを特定する。無線部20、ベースバンド処理部22が通信可能な基地局装置12の検出方法は、実施例と同様になされるので、ここでは説明を省略する。
【0065】
制御部28は、特定した基地局装置12に付与された優先度以上の優先度の無線通信システムに対応した基地局装置12への待ち受け動作の実行を決定する。例えば、第1基地局装置12aが特定されれば、制御部28は、第1基地局装置12aに対する待ち受け動作の実行を決定し、第2基地局装置12bが特定されれば、制御部28は、第1基地局装置12aおよび第2基地局装置12bに対する待ち受け動作の実行を決定する。一方、制御部28は、特定した基地局装置12に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信システムに対応した基地局装置12への待ち受け動作の停止を決定する。例えば、第1基地局装置12aが特定されれば、制御部28は、第2基地局装置12bに対する待ち受け動作の停止を決定する。なお、待ち受け動作の時間間隔は、前述の標準的な値に設定される。
【0066】
次に着信動作を説明する。無線部20、ベースバンド処理部22に対して、制御部28によって待ち受け動作が実行されている。例えば、第1基地局装置12aに対する待ち受け動作が実行されていたり、第1基地局装置12a、第2基地局装置12bに対する待ち受け動作が実行されている。このような状態において、無線部20、ベースバンド処理部22を介して、基地局装置12から着信を受けつけると、制御部28は、着信を受けつけた基地局装置12に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信システムに対応した基地局装置12と通信可能であるかを調査する。例えば、第1基地局装置12aから着信を受けつけると、制御部28は、第2基地局装置12bと通信可能であるかを調査する。一方、第2基地局装置12bから着信を受けつけた場合、制御部28は、このような調査を実行しない。
【0067】
制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22が通信可能な基地局装置12のうち、最も優先度の低い無線通信システムに対応した基地局装置12との無線通信の実行を決定する。例えば、第1基地局装置12a、第2基地局装置12bと通信可能である場合、制御部28は、第2基地局装置12bとの無線通信の実行を決定する。また、第1基地局装置12aとだけ通信可能である場合、制御部28は、第1基地局装置12aとの無線通信の実行を決定する。また、第2基地局装置12bとだけ通信可能である場合、制御部28は、第2基地局装置12bとの無線通信の実行を決定する。無線部20、ベースバンド処理部22は、制御部28において決定された基地局装置12に対して、着信動作を続行する。着信動作は公知の技術と同様でよいので、ここでは説明を省略する。
【0068】
なお、着信を受けつけた基地局装置12に対応した無線通信システムと、制御部28によって無線通信の実行が決定された無線通信システムとが異なる場合がある。例えば、第1基地局装置12aから着信を受けつけ、制御部28によって第2基地局装置12bとの無線通信の実行が決定される場合である。このとき、無線部20、ベースバンド処理部22は、着信を受けつけた第1基地局装置12aに対して着信動作を続行し、その後、第1基地局装置12aから第2基地局装置12bへのハンドオーバ、つまりCDMAからWiMAXへのハンドオーバを実行する。
【0069】
第1基地局装置12aから第2基地局装置12bへのハンドオーバを実現するために、端末装置10は、第1基地局装置12aを介して、図示しないネットワーク14に接続された交換機に対して、第2基地局装置12bにハンドオーバ開始要求信号を送信する。交換機は、第2基地局装置12bに対して当該端末装置10の割当を指示する。端末装置10は、第2基地局装置12bによって割当られたチャネルを使用して、第2基地局装置12bとの通信を実行する。
【0070】
なお、制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22が通信可能な基地局装置12のうち、最も優先度の低い無線通信システムに対応した基地局装置12との無線通信が所定の品質を満たさない場合、当該優先度よりも高い優先度の無線通信システムに対応した基地局装置12との無線通信の実行を決定してもよい。例えば、第2基地局装置12bが選択されるが、第2基地局装置12bとの無線品質が所定の品質を満たさないとき、制御部28は、第1基地局装置12aとの無線通信の実行を決定する。ここで、無線品質は、受信強度、希望信号電力対干渉信号電力比、誤り率によって示される。また、表示部40は、制御部28において選択されている基地局装置12についての情報をユーザに知らしめる。なお、以上の説明において、制御部28は、基地局装置12を選択しているが、これは、無線通信システムを選択することと同等である。
【0071】
以上の構成による端末装置10の動作を説明する。図9は、本発明のさらに別の変形例に係る通信手順を示すフローチャートである。無線部20は、無線部20、ベースバンド処理部22に対して、待ち受け動作を実行させた後(S120)、着信動作を実行させる(S122)。その後、処理は終了される。
【0072】
図10は、本発明のさらに別の変形例に係る待ち受け動作の処理手順を示すフローチャートである。図10は、図9のステップ120に相当する。無線部20、ベースバンド処理部22の調査の結果、CDMAがサービスエリア内であれば(S130のY)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の実行を決定し、WiMAXに対する待ち受け動作のOFFを決定する(S132)。無線部20、ベースバンド処理部22の調査の結果、CDMAがサービスエリア内でなく(S130のN)、WiMAXがサービスエリア内であれば(S134のY)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の実行を決定し、WiMAXに対する待ち受け動作の実行を決定する(S136)。また、WiMAXがサービスエリア内でなければ(S134のN)、制御部28は、CDMAに対する待ち受け動作の実行を決定し、WiMAXに対する待ち受け動作のOFFを決定する(S138)。その後、処理は終了される。
【0073】
図11は、本発明のさらに別の変形例に係る着信動作の処理手順を示すフローチャートである。図11は、図9のステップ122に相当する。制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22を介して、着信を受けつける(S150)。着信がCDMAに対応した第1基地局装置12aからであり(S152のY)、WiMAXを使用可能であれば(S154のY)、制御部28は、CDMAからWiMAXからのハンドオーバを決定する(S156)。WiMAXを使用可能でなければ(S154のN)、制御部28は、CDMAの使用を決定する(S158)。一方、着信がCDMAに対応した第1基地局装置12aからでなければ(S152のN)、制御部28は、WiMAXの使用を決定する(S160)。その後、処理は終了される。
【0074】
図12は、本発明のさらに別の変形例に係る発信動作の処理手順を示すフローチャートである。発信内容が緊急通信であれば(S180のY)、制御部28は、CDMAの使用を決定する(S182)。また、発信内容が緊急通信でなくても(S180のN)、音声通信であれば(S184のY)、制御部28は、CDMAの使用を決定する(S186)。音声通信でない場合(S184のN)、ひとつの無線通信システムだけが使用可能であれば(S188のY)、制御部28は、使用可能な方の使用を決定する(S190)。一方、ひとつの無線通信システムだけが使用可能でなく(S188のN)、WiMAXの方が高速であれば(S192のY)、制御部28は、WiMAXの使用を決定し(S194)、WiMAXの方が高速でなければ(S192のN)、制御部28は、CDMAの使用を決定する(S196)。その後、処理は終了される。
【0075】
制御部28によってCDMAの使用が決定された場合、無線部20、ベースバンド処理部22は、第1基地局装置12aに対してチャネル割当要求を送信し、第1基地局装置12aによって割り当てられたチャネルにて、第1基地局装置12aとの無線通信を実行する。また、制御部28によってWiMAXの使用が決定された場合、無線部20、ベースバンド処理部22は、第2基地局装置12bに対してチャネル割当要求を送信し、第2基地局装置12bによって割り当てられたチャネルにて、第2基地局装置12bとの無線通信を実行する。また、CDMAとWiMAXのいずれが高速であるかを判定するために、端末装置10は、第1基地局装置12aや第2基地局装置12bのそれぞれの間で通信を実行し、その際の実質的な伝送レートを測定してもよい。あるいは、端末装置10は、第1基地局装置12aや第2基地局装置12bのそれぞれの間で通信を実行し、その際の信号強度を取得し、信号強度から伝送レートを推定してもよい。
【0076】
以下、実施例および変形例にて共通に実施可能な表示部40での表示内容や操作部38の操作性について説明する。表示部40は、前述のごとく、端末装置10において使用されている無線通信システムを表示する。その際、表示部40は、ユーザが無線通信システムを識別可能なように文字や絵文字等を表示することによって、使用している無線通信システムを通知する。ここで、使用されている無線通信システムとは、待ち受け動作を実行している無線通信システムであってもよく、実際に通信を実行している無線通信システムであってもよい。
【0077】
図13(a)−(b)は、表示部40における表示内容を示す。図13(a)は、CDMAとWiMAXに対して待ち受け動作を実行している場合の表示内容に相当する。表示部40は、CDMA情報表示エリア50、WiMAX情報表示エリア52を備えている。なお、表示部40は、これら以外の内容も表示するが、説明を明瞭にするために、ここでは説明を省略する。CDMA情報表示エリア50には、CDMAに関する情報が表示される。ここでは、アンテナ本数によって無線品質が示される。また、圏外の表示がなされてもよい。WiMAX情報表示エリア52には、WiMAXに関する情報が表示される。ここでは、「W」の文字によってWiMAXが識別され、アンテナ本数によって無線品質が示される。また、「3.0Mbps」のごとく、伝送レートも表示される。なお、伝送レートの表示は、文字の色や文字の点滅間隔にて示されてもよい。
【0078】
図13(b)は、CDMAのみに対して待ち受け動作を実行している場合の表示内容を示す。CDMA情報表示エリア50には、図13(a)の場合と同様の表示がなされている。また、WiMAX情報表示エリア52には、WiMAXに対する待ち受け動作がなされていないことを示すために、「W」の文字の上に×印が表示されている。
【0079】
実施例や変形例のごとく、バッテリ42の残量に応じた待ち受け動作の制御がなされる場合も、表示部40は、図13(a)−(b)と同様の表示を実行する。例えば、バッテリ42の残量が多い場合には、図13(a)のごとく、使用可能な無線通信システムが表示される。一方、バッテリ42の残量が少ない場合には、図13(b)のごとく、使用不可能な無線通信システムが識別可能なような表示がなされる。なお、使用不可能な無線通信システムは、表示されなくてもよい。また、通信中に、無線通信システムが切りかわる場合、表示部40は、LEDや表示の色を変更することによって、変更の旨をユーザに通知する。なお、スピーカ36から出力される音声や、バイブレーションによって通知がなされてもよい。
【0080】
次に、操作部38の構成および機能を説明する。操作部38には、無線通信システムを自動的に切りかえさせるためのボタンが含まれていてもよい。当該ボタンが押し下げられると、切替の指示が制御部28に入力される。その後の処理は、前述の通りなので、説明を省略する。また、制御部28が、表示部40に通信可能な無線通信システムを表示させ、それに対応したボタンをユーザが押し下げられることによって、切替の指示が制御部28に入力されてもよい。その際、スループットを測定するためのアプリケーションが制御部28に組み込まれており、当該アプリケーションによって伝送レートが測定され、表示部40には、測定結果が表示される。なお、伝送レートは、速い、普通、遅い等のように段階的に表示されてもよく、「3.0Mbps」のように実速度が表示されてもよい。
【0081】
図14は、端末装置10における通信速度測定アプリケーションの実行結果を示す。表示部40には、図示のごとく、伝送レートの測定結果が示される。このような場合、自動切替では、WiMAXが推奨される。また、操作部38のうち、「2」に対応したボタンを押し下げることによって、あるいはそのまま放置して一定期間経過後に、制御部28は、推奨した無線通信システムの使用を決定する。なお、高速移動を行うことによって、ユーザがWiMAXを使用可能なエリアから通信中に出てしまう恐れがあると判断した場合、または料金等を考慮してCDMAを使用したい場合、ユーザが操作部38のうち、「1」に対応したボタンを押し下げることによって、制御部28は、CDMAの使用を決定する。
【0082】
本発明の実施例によれば、バッテリ残量に応じて、優先度の低い無線通信システムでの待ち受け動作の時間間隔を長くするので、優先度の高い無線通信システムに対して、通常通りの待ち受け動作を維持しながら、消費電力を低減できる。また、優先度の高い無線通信システムとして、サービスエリアの広いCDMAを設定すれば、時間間隔が長くなる場合であっても、着信の可能性を維持できる。また、無線通信が可能であるかに応じて時間間隔を調節するので、無駄な処理を除外でき、処理を簡易に実行できる。また、バッテリの残量が少なくなれば、WiMAXによる通信が可能であるかの確認を実行しないので、消費電力を低減できる。また、バッテリの残量という特性に応じて、無線通信システムを切りかえるので、特性に応じた待ち受け動作を実現できる。また、バッテリ残量や優先度を考慮することによって、複数の無線通信システムに対応した端末装置の消費電力を低減できる。
【0083】
また、バッテリの残量に応じて、指示を受けつけるか否かを切りかえるので、バッテリ残量が多ければ、ユーザの指示に応じた処理を実現できる。また、バッテリの残量に応じて、指示を受けつけるか否かを切りかえるので、バッテリ残量が少なければ、消費電力を低減できる。また、バッテリの残量という特性に応じて、指示を受けつけるか否かを切りかえるので、特性に応じた待ち受け動作を実現できる。また、バッテリの残量に応じて、
また、ユーザの好みに合わせて設定できるようにすることによって、ユーザの利便性を向上できる。使用するアンテナの数を調節するので、バッテリの残量が多ければ、無線品質を向上できる。また、バッテリの残量に応じて、使用するアンテナの数を調節するので、バッテリの残量が少なければ、消費電力を低減できる。また、動作の状態をユーザに通知できる。
【0084】
また、通信可能な無線通信システムの中で最も高い優先度以上の優先度が付与された無線通信システムに対して、待ち受け動作を実行するので、優先度の高い無線通信システムについては、通常通りの処理を実行できる。また、通信可能な無線通信システムの中で最も高い優先度以上の優先度が付与された無線通信システムに対して、待ち受け動作を実行するので、優先度の低い無線通信システムについては、不要な処理を削減できる。また、サービスエリアが広いCDMAの優先度を高くすれば、サービスエリアの広さという特性に応じた待ち受け動作を実現できる。また、着信の際に、可能な限り低い優先度の無線通信システムを使用するので、優先度の高い無線通信システムに対するトラヒックの集中を低減できる。また、待ち受け動作については優先度の高い無線通信システムを優先的に使用し、着信後の通信については優先度の低い無線通信システムを優先的に使用するので、待ち受け動作と着信後の通信について、トラヒックを分散できる。また、通信が可能であっても無線品質が悪ければ、優先度の高い無線通信システムを使用するので、通信中のさらなる無線品質の悪化を抑制できる。
【0085】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0086】
本発明の実施例において、無線部20、ベースバンド処理部22は、ふたつの無線通信システムに対応しており、制御部28は、バッテリ42の残量に応じて、優先度が低い方の無線通信システムに対する待ち受け動作の時間間隔を調節している。しかしながらこれに限らず例えば、無線部20、ベースバンド処理部22は、3つ以上の無線通信システムに対応していてもよい。3つ目の無線通信システムとして、例えば、IEEE802.11に準拠した無線LAN(Local Area Network)システムが使用される。その際、3つ以上の無線通信システムのそれぞれに対して優先度が規定されており、制御部28は、バッテリ42の残量に応じて、優先度が低くなるほど、待ち受け動作の時間間隔が長くなるように制御する。また、実施例は、バッテリ42の残量に応じて3段階の動作に分類しているが、それ以上の段階あるいはそれ以下の段階に分類がなされてもよい。本変形例によれば、3つ以上の無線通信システムに対応した端末装置10に対して、バッテリ残量に応じた待ち受け動作を実現できる。つまり、優先度の低い無線通信システムに対する待ち受け動作の時間間隔が長くなるようであればよい。
【0087】
本発明の実施例において、無線部20、ベースバンド処理部22は、ふたつの無線通信システムに対応しており、優先度が高い方の無線通信システムが通信可能であれば、他方の無線通信システムに対する待ち受け動作を停止させている。しかしながらこれに限らず例えば、無線部20、ベースバンド処理部22は、3つ以上の無線通信システムに対応していてもよい。その際、制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22が通信可能な基地局装置12のうち、最も優先度の高い無線通信システムに対応した基地局装置12を特定する。制御部28は、特定した基地局装置12に付与された優先度以上の優先度の無線通信システムに対応した基地局装置12への待ち受け動作の実行を決定し、特定した基地局装置12に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信システムに対応した基地局装置12への待ち受け動作の停止を決定する。本変形例によれば、3つ以上の無線通信システムに対応した端末装置10に対して、サービスエリアの広さを考慮した待ち受け動作を実現できる。
【0088】
また、制御部28が、WiMAXによって発信を行ったが、通信相手の端末装置10のバッテリ42が少ないために、通信相手の端末装置10がCDMAで着信しかできなければ、制御部28は、CDMAに切りかえてもよい。その際、制御部28は、無線部20、ベースバンド処理部22を介して、通信相手の端末装置10からCDMAでしか受信できない旨を受けつける。表示部40は、その旨を表示してもよい。本変形例によれば、ユーザの利便性が向上する。
【0089】
本発明の実施例において、通信を実行しているとき、無線部20、ベースバンド処理部22は、複数の無線通信システムのいずれかに対応した動作を実行している。しかしながらそれに限らず例えば、無線部20、ベースバンド処理部22は、複数の無線通信システムに対応した動作を並列に実行してもよい。本変形例によれば、伝送レートを高速にできる。
【0090】
実施例に記載された発明の特徴は、次の項目によって規定されてもよい。
(項目1)
複数の無線通信方式にそれぞれ対応した無線通信を実行する通信部と、
前記通信部に電力を供給すべきバッテリの残量を調査する調査部と、
前記調査部において調査したバッテリの残量をもとに、前記通信部が複数の無線通信方式に対して実行すべき待ち受け動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、バッテリの残量が少なくなるにつれて、優先度の低い無線通信方式での待ち受け動作の時間間隔を長くすることを特徴とする端末装置。
【0091】
(項目2)
前記制御部は、バッテリの残量が多い第1状態において、前記通信部に対して、優先度の低い無線通信方式での無線通信が可能であるかを調べさせ、無線通信が可能でなければ、優先度の低い無線通信方式での待ち受け動作の時間間隔を長くし、第1状態よりもバッテリの残量が少ない第2状態において、前記通信部に対して、優先度の低い無線通信方式での無線通信が可能であるかを調べさせ、無線通信が可能でなければ、優先度の低い無線通信方式での待ち受け動作を停止し、第2状態よりもバッテリの残量が少ない第3状態において、優先度の低い無線通信方式での無線通信が可能であるかにかかわらず、優先度の低い無線通信方式での待ち受け動作を停止することを特徴とする項目1に記載の端末装置。
【0092】
(項目3)
複数の無線通信方式にそれぞれ対応した無線通信を実行する通信部と、
前記通信部に電力を供給すべきバッテリの残量を調査する調査部と、
前記通信部が複数の無線通信方式に対して実行すべき待ち受け動作に関する指示を受けつける受付部と、
前記調査部において調査したバッテリの残量と、前記受付部において受けつけた指示をもとに、前記通信部での待ち受け動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、バッテリの残量が多ければ、指示に応じた待ち受け動作を実行し、バッテリの残量が少なくなれば、指示の内容にかかわらず、予め定めた待ち受け動作を実行することを特徴とする端末装置。
【0093】
(項目4)
前記通信部は、複数のアンテナを備えており、
前記制御部は、バッテリの残量が少なくなるにつれて、前記通信部に備えられた複数のアンテナのうち、待ち受け動作に使用すべきアンテナの数を少なくすることを特徴とする項目1から3のいずれかに記載の端末装置。
【0094】
(項目5)
前記制御部において制御されている待ち受け動作の内容をユーザに知らしめる通知部をさらに備えることを特徴とする項目1から4のいずれかに記載の端末装置。
【0095】
(項目6)
複数の無線通信方式にそれぞれ対応した無線通信を実行する端末装置が、複数の無線通信方式に対して実行すべき待ち受け動作を制御する待ち受け動作の制御方法であって、
複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、前記端末装置に電力を供給すべきバッテリの残量を調査した後に、バッテリの残量が少なくなるにつれて、優先度の低い無線通信方式での待ち受け動作の時間間隔を長くすることを特徴とする待ち受け動作の制御方法。
【0096】
(項目7)
複数の無線通信方式にそれぞれ対応した無線通信を実行する端末装置が、複数の無線通信方式に対して実行すべき待ち受け動作を制御する待ち受け動作の制御方法であって、
前記端末装置が実行すべき待ち受け動作に関する指示を受けつけるとともに、前記端末装置に電力を供給すべきバッテリの残量を調査し、バッテリの残量が多ければ、指示に応じた待ち受け動作を実行し、バッテリの残量が少なくなれば、指示の内容にかかわらず、予め定めた待ち受け動作を実行することを特徴とする待ち受け動作の制御方法。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1の端末装置の構成を示す図である。
【図3】図2の制御部に記憶された制御条件のデータ構造を示す図である。
【図4】図1の端末装置における待ち受け動作の切替手順を示すフローチャートである。
【図5】図1の端末装置における第1動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図1の端末装置における第2動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図1の端末装置における第3動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の変形例に係る待ち受け動作の切替手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明のさらに別の変形例に係る通信手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明のさらに別の変形例に係る待ち受け動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明のさらに別の変形例に係る着信動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明のさらに別の変形例に係る発信動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】図13(a)−(b)は、図2の表示部における表示内容を示す図である。
【図14】図2の端末装置における通信速度測定アプリケーションの実行結果を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
10 端末装置、 16 端末用アンテナ、 20 無線部、 22 ベースバンド処理部、 24 音声処理部、 26 データ処理部、 28 制御部、 30 動作状態管理部、 32 バッテリ残量管理部、 34 マイク、 36 スピーカ、 38 操作部、 40 表示部、 42 バッテリ、 100 通信システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信方式と、第1の無線通信方式よりも優先度の高い第2の無線通信方式とにそれぞれ対応した無線通信を実行する通信部と、
前記通信部が無線通信を実行する際の無線通信方式を決定する制御部とを備え、
前記制御部は、前記通信部において第2の無線通信方式が通信可能であるかにかかわらず、第2の無線通信方式での待ち受け動作の実行を決定することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記制御部は、第2の無線通信方式が通信可能でなく、かつ第1の無線通信方式が通信可能である場合に、両方の無線通信方式での待ち受け動作の実行を決定することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
複数の無線通信方式にそれぞれ対応した無線通信を実行する通信部と、
前記通信部が無線通信を実行する際の無線通信方式を選択する制御部とを備え、
前記制御部は、複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、前記通信部が通信可能な無線通信方式のうち、優先度の高い少なくともひとつの無線通信方式を特定する手段と、特定した無線通信方式に付与された優先度以上の優先度の無線通信方式での待ち受け動作の実行を決定し、特定した無線通信方式に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式での待ち受け動作の停止を決定する手段を含むことを特徴とする端末装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記制御部によって待ち受け動作が実行されている状態において、着信を受けつけると、着信がなされた無線通信方式に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式での通信が可能であるかを調査し、
前記制御部は、前記通信部が通信可能な無線通信方式のうち、優先度の低い無線通信方式での無線通信の実行を決定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の端末装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記通信部が通信可能な無線通信方式のうち、優先度の低い無線通信方式での無線通信が所定の品質を満たさない場合、当該優先度よりも高い優先度の無線通信方式での無線通信の実行を決定することを特徴とする請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記制御部において選択されている無線通信方式についての情報をユーザに知らしめる通知部をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の端末装置。
【請求項7】
第1の無線通信方式と、第1の無線通信方式よりも優先度の高い第2の無線通信方式とに対して、無線通信方式を決定する通信方法であって、
第2の無線通信方式が通信可能であるかにかかわらず、第2の無線通信方式での待ち受け動作を実行することを特徴とする通信方法。
【請求項8】
複数の無線通信方式のうち、無線通信を実行する際の無線通信方式を選択する通信方法であって、
複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、通信可能な無線通信方式のうち、優先度の高い少なくともひとつの無線通信方式を特定し、特定した無線通信方式に付与された優先度以上の優先度の無線通信方式での待ち受け動作を実行し、特定した無線通信方式に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式での待ち受け動作を停止することを特徴とする通信方法。
【請求項1】
第1の無線通信方式と、第1の無線通信方式よりも優先度の高い第2の無線通信方式とにそれぞれ対応した無線通信を実行する通信部と、
前記通信部が無線通信を実行する際の無線通信方式を決定する制御部とを備え、
前記制御部は、前記通信部において第2の無線通信方式が通信可能であるかにかかわらず、第2の無線通信方式での待ち受け動作の実行を決定することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記制御部は、第2の無線通信方式が通信可能でなく、かつ第1の無線通信方式が通信可能である場合に、両方の無線通信方式での待ち受け動作の実行を決定することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
複数の無線通信方式にそれぞれ対応した無線通信を実行する通信部と、
前記通信部が無線通信を実行する際の無線通信方式を選択する制御部とを備え、
前記制御部は、複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、前記通信部が通信可能な無線通信方式のうち、優先度の高い少なくともひとつの無線通信方式を特定する手段と、特定した無線通信方式に付与された優先度以上の優先度の無線通信方式での待ち受け動作の実行を決定し、特定した無線通信方式に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式での待ち受け動作の停止を決定する手段を含むことを特徴とする端末装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記制御部によって待ち受け動作が実行されている状態において、着信を受けつけると、着信がなされた無線通信方式に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式での通信が可能であるかを調査し、
前記制御部は、前記通信部が通信可能な無線通信方式のうち、優先度の低い無線通信方式での無線通信の実行を決定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の端末装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記通信部が通信可能な無線通信方式のうち、優先度の低い無線通信方式での無線通信が所定の品質を満たさない場合、当該優先度よりも高い優先度の無線通信方式での無線通信の実行を決定することを特徴とする請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記制御部において選択されている無線通信方式についての情報をユーザに知らしめる通知部をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の端末装置。
【請求項7】
第1の無線通信方式と、第1の無線通信方式よりも優先度の高い第2の無線通信方式とに対して、無線通信方式を決定する通信方法であって、
第2の無線通信方式が通信可能であるかにかかわらず、第2の無線通信方式での待ち受け動作を実行することを特徴とする通信方法。
【請求項8】
複数の無線通信方式のうち、無線通信を実行する際の無線通信方式を選択する通信方法であって、
複数の無線通信方式のそれぞれに対して優先度を規定しており、通信可能な無線通信方式のうち、優先度の高い少なくともひとつの無線通信方式を特定し、特定した無線通信方式に付与された優先度以上の優先度の無線通信方式での待ち受け動作を実行し、特定した無線通信方式に付与された優先度よりも低い優先度の無線通信方式での待ち受け動作を停止することを特徴とする通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−61015(P2008−61015A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236823(P2006−236823)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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