説明

通信端末、サーバ、インタラクティブテレビ網の間のインタラクティブ通信方法

【課題】モバイルテレビ環境内でコミュニティのメンバに、「近い」人々の間のやりとりを可能にするインタラクティブ通信サービスを提供する。
【解決手段】セッション開始者がインタラクティブ通信したいと望む人々の特性を定義するステップであって、これらの人々の集合体がこの開始者との仮想コミュニティを形成するステップと、インタラクティブ通信セッションについて、仮想コミュニティのセッション開始者と他のメンバの間の対話のための初期メディアを定義するステップと、セッション開始者が仮想コミュニティの他のメンバの端末への接続を求める要求を送信するステップと、コミュニティのメンバのうちの少なくとも1人、特にセッション開始者に特有のコンテキストに応じて通信メディアの適応規則を定義するステップとを含む、通信端末間のインタラクティブ通信の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照としてその開示全体が本明細書に組み込まれる、2006年12月21日に出願された仏国特許出願第0655785号に基づくものであり、本出願により、米国特許法第119条の下にその優先権を主張する。
【0002】
本発明の技術分野は、インタラクティブテレビの分野である。
【背景技術】
【0003】
用語「インタラクティブ」は、急速に進化している多くの製品に用いられるので、定義するのが難しい。
【0004】
人間の間のやりとりでは、用語「インタラクティブ」は、参加者が対話を介して互いに影響を及ぼす場合に用いられる。
【0005】
人間/機械のやりとりでは、用語「インタラクティブ」は、対話モードまたはリアルタイムの相互作用を可能にする動作の状態について用いられる。たとえば、機械は、ユーザから情報を受け取り、ユーザに応答する。Eラーニングでは、学習者は、学習プロセス中に介入し、この介入によって学習プロセスを修正する。
【0006】
インタラクティブテレビは、視聴者がコンテンツプロバイダに情報または質問を送ることを可能にする戻りチャネルを提供する。これは、テレビ放送される従来のコンテンツ、インターネットサイトへのリンクのアクセス、Tコマース、ビデオオンデマンド、電子番組ガイドを補完するものである。
【0007】
このように、テレビは、大衆市場のデジタル電子装置になっている。
【0008】
戻りチャネルは、テレビの画面(たとえば分割画面(分離した画面))上で見ることができ、ユーザがリモコンおよびセットトップボックス、または組込み装置、たとえばIST(Integrated Smart Television:統合スマートテレビ)装置を用いて通信する。
【0009】
表現「インタラクティブテレビ」は、いくらか異なる現実を指すために用いられる。
【0010】
したがって、表現「インタラクティブテレビ」は、テレビ視聴者が電子番組ガイド(EPG:electronic program guide)を使用してデジタルバンドルの様々なコンテンツ間で選択できることを示すために使用されてきた。
【0011】
表現「インタラクティブテレビ」は、アドホックのセットトップボックス(WebTv)からインターネットにアクセスすることを指すためにも使用されてきた。
【0012】
「インタラクティブテレビ」という名(label)の下で提供されるサービスの実状は、2つの観点、すなわち一方ではサービスの内容、もう一方では対話性のタイプから見ることができる。
【0013】
サービスの内容については、
拡張型テレビ、
コールテレビ(call TV)、
スタンドアロンのインタラクティブテレビ、
の間で区別され得る。
【0014】
拡張型テレビでは、放送番組を補足するサービスが提供される。追加の情報は、たとえば、テレビ信号の垂直帰線区間の間に、かつ/または電話回線を介して視聴者に送られる。この追加の情報は、番組に関するテキスト、グラフィックスおよび固定の画像、トリガによってアクティブ化されたウェブコンテンツ、新しいオーディオおよびビデオ、またはパーソナライズされたビュー(カメラアングル)からなり得る。たとえば、Equidiaチャンネルは、電話回線に接続されたデジタル端末を有する加入者が容易にアカウントを開き、放送されるすべての競馬の賭けを自宅で行えるようにしている。送出される情報は、放送中の番組にリンクされても、されなくてもよい。拡張型テレビでは、同じ番組を見ている人々の間の通信は可能でない。
【0015】
コールテレビに関しては、通信サービスによってTV視聴者は、放送番組の内容にライブでまたはオフラインで介入することができる。たとえば、Tatamia Solutions社は、SMS(ショートメッセージサービス)テキストメッセージを画面上にライブでブロードキャストすることを可能にするTatamiaインタラクティブチャンネルと呼ばれるプラットフォームを提供している。たとえば、テレビ視聴者は、ブロードキャスト中に送信されるビデオクリップを選択し、友人とチャットする間にそれを専用にすることができる。視聴者は、たとえば実際のテレビ放送の間、競技に投票しまたは参加することもできる。
【0016】
独立型のインタラクティブテレビサービスは、主要または付属のテレビサービスを含まない。これらは、特に、ホームバンキングおよび案内広告など、取引のサービスである。テレビ受信機は、たとえば加入者間でやりとりされるメッセージ(たとえばTPS社のTVメールサービス)用の受信端末として使用されることもでき、加入者は、新しいメッセージを受信する場合に、チャンネルを変更するときに画面の下部で自動的に知らせを受ける。テレビ受信機は、仮想チャンネルによって提供されるインタラクティブな利益を得るための画面として使用されることもできる。
【0017】
シミュレーションタイプの対話性、リモートタイプの対話性、リアルタイプの対話性の間で区別が行われる。
【0018】
対話性がシミュレーションタイプである場合は、アプリケーションおよびデータは、1度だけまたはループで、ブロードキャストビデオストリームに統合される。サービスは、テレビ視聴者による選択時にリアルタイムに、またはローカルな対話性を可能にするハードディスクへの格納によって使用可能になる。
【0019】
対話性がリモートタイプである場合は、コンテンツのブロードキャストネットワークと関係のない機器を用いて放送局とテレビ視聴者の間でデータのやりとりが行われる。たとえば、ギャンブラーは、セットトップボックスが接続された電話回線を介してアカウントにアクセスすることができる。
【0020】
リアル対話性は、永続的な戻りチャネルを統合するサービスブロードキャストネットワークに言及するものである。
【0021】
対話性の1つの魅力は、仮想コミュニティ(たとえば友人グループ、家族、同じ興味を共有する人々)を作成するために、離れた人々のつながりを強化することである。
【0022】
これらの仮想コミュニティの生活は、高性能を提供する瞬時の通信の手段によって容易にされる。
【0023】
この考えに従って、たとえばWindows(登録商標) Liveメッセンジャー、Yahoo!(登録商標)メッセンジャー、Google(登録商標) Talk、ICQ、Livecom、AOLインスタントメッセンジャーが知られている。これらのプロプライエタリプログラムは、固定コンピュータまたは特定のモバイル端末(携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant))用に開発されており、一般に相互互換性がない。
【0024】
モバイルインスタントメッセージング(モバイルインスタントメッセージングおよびプレゼンスサービス(IMPS:Mobile Instant Messaging and Presence Service)の取組み(initiative)も存在してきたが、今までのところ、SMS(Short Message Service:ショートメッセージサービス)およびMMS(Multimedia Message Service:マルチメディアメッセージサービス)メッセージがインテリジェント携帯型通信端末(スマートフォン)用のインスタントメッセージングで置き換えられることになる相互運用可能サービスには至っていない。
【0025】
本出願人は、ユーザがコミュニティ間で意見および感情を共有することを可能にするAmigoTVとして知られているインタラクティブテレビ技術を開発してきた。複数の友人が同じテレビ番組を見ている場合、AmigoTVを使用して彼らは互いにライブでコメントすることができ、音声がインターネットを介して伝わり、6人が同時に通信することができる。誰がテレビを見ているか、また彼が見ているチャンネルを見つけ出すには、すべての情報がリアルタイムに表示されており、コミュニティのメンバのプレゼンスが画面上のアバターによって示されているメニューを参考にするためにリモコンを使用することで十分である。AmigoTVは、テレビ放送されたイベントに対する気分を示すために、カタログから選択された画像および音声が送られることをも可能にする。AmigoTVは、キーボードまたはマウスを使用する必要がない。しかし、AmigoTV技術は、ヘッドセット、マイクロホン、テレビおよびセットトップボックスを必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の目的は、モバイルテレビ環境内でコミュニティのメンバに、「近い」人々の間のやりとりを可能にするインタラクティブ通信サービスを提供することである。
【0027】
ここでは、「近い」は、以下のうちの少なくとも1つを意味する。
人々が地理的に互いに近くにいる;
人々が、互いに通信することを決定するときに、実質上同じ活動を求めている;
人々が実質上同じ興味を有する;
人々が、比較可能なまたは互換性のある通信手段へのアクセスを有する。
【0028】
本発明によるインタラクティブ通信手段は、コミュニティのメンバがインスタントメッセージのやりとりだけでなく、チャットすることや、モバイル端末にブロードキャストされたテレビ番組に関連する音声またはビデオデータをやりとりすることをも可能にしなければならない。
【0029】
本発明によって提供された通信サービスは、コミュニティのメンバがエモティコン(emoticon)および会話をやりとりすることを可能にしなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0030】
このために、本発明の第1の態様は、通信端末間のインタラクティブ通信の方法に関し、この方法は、
セッション開始者がインタラクティブ通信したいと望む人々の特性を定義するステップであって、これらの人々の集合体が、この開始者との仮想コミュニティを形成する、ステップと、
インタラクティブ通信セッションについて、仮想コミュニティのセッション開始者と他のメンバの間の対話のための初期メディアを定義するステップと、
セッション開始者が仮想コミュニティの他のメンバの端末への接続を求める要求を送信するステップとを含み、
この方法は、通信メディアの適応の規則を、コミュニティのメンバのうちの少なくとも1人、特にセッション開始者に特有のコンテキストに応じて定義するステップを含む。
【0031】
この方法は有利には、インタラクティブ通信セッションの間に、仮想コミュニティの通信端末のうちの少なくとも1つ、特にセッション開始者の通信端末にテレビ番組を表示するステップを含む。しかし、セッション開始者は、テレビ放送を前もって見る必要なしに、対話セッションの開始を望んでもよいことを理解されたい。たとえば、将来の放送の中に、ある人がインタラクティブ通信セッションに参加したいと告げることがあり、コミュニティのメンバは、そのセッションの様式(たとえば時間、選択された通信メディア)について論じ得る。
【0032】
インタラクティブ通信が間で提供される人々の特性の定義は有利には、人々の位置、特に地理的位置を考慮する。したがって、仮想コミュニティは、そのメンバが位置する場所、または共有の目的地に応じて定義されることができる。
【0033】
インタラクティブ通信が間で提供される人々の特性の定義は有利には、人々のプロファイル、特に興味、および開始者との関係のタイプを考慮する。セッション開始者は、関係のある者のうちから、たとえば、その放送が通知されており、または進行中であるテレビ番組に興味があり得る人を選択することがある。
【0034】
インタラクティブ通信が間で提供される人々の特性の定義は有利には、その人たちによって使用される通信端末の容量を考慮する。
【0035】
本発明の第2の態様は、上述の方法を実施するためのインタラクティブ通信サーバに関し、このサーバが、オペレータまたはセッション開始者によって事前定義されまたは作成されるサービス適応規則を含む適応規則モジュールを含み、このサーバはさらに、仮想コミュニティのメンバのうちの少なくとも1人、特にセッション開始者に特有のコンテキストに応じてインタラクティブ通信サービスを構成し、管理し、適応させる役割をするエンジンを含む。
【0036】
このサーバは有利には、インタラクティブ通信のために仮想コミュニティの各メンバによって選択されたメディアの整合をとる役割をするメディア変換器モジュールをさらに含む。
【0037】
このサーバは有利には、セッション開始者のプロファイルに基づくコミュニティの一般的規則を含むコミュニティ内ユーザプロファイルモジュールをさらに含む。
【0038】
このサーバは有利には、セッション開始者の近くにいる人のリストを含む近接コミュニティモジュールをさらに含む。
【0039】
サーバは有利には、セッション開始者の友人のリストを含む、友人リストモジュールをさらに含む。
【0040】
本発明の第3の態様は、上述の少なくとも1つのサーバを含むインタラクティブ通信ネットワークに関し、このインタラクティブ通信ネットワーク内では、通信端末のうちの少なくとも1つ、特にセッション開始者の通信端末はモバイル通信端末である。
【0041】
本発明の他の目的および利点は、添付の図面を参照して、以下に示された説明を考慮すると明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明は、モバイルテレビ環境内のコミュニティのためのインタラクティブ通信サービスを提供する。
【0043】
このサービスは、本明細書では以下、モバイルスマートチャットテレビサービス(MSCTVサービス)と呼ばれる。以下に明らかになるように、本発明の文脈では、インスタントメッセージングで使用される用語「チャット」は、テキストメッセージのやりとりだけでなく、音声、画像、ビデオまたはファイルのやりとりをも指す。
【0044】
MSCTVサービスは、コミュニティ(たとえば友人)のメンバがモバイル端末上で、または同じインタラクティブモバイルアプリケーションを使用して同じテレビ番組を見ているときに、テキスト、音声またはビデオを用いてコミュニティのメンバ間の議論、ならびにエモティコン、感情の状態、および知的態度(気分)のやりとりを可能にする。
【0045】
これらのやりとりは、モバイル端末の画面に統合され、MSCTVサービスは、モバイル端末(たとえばマイクロホン、カメラ、キーパッド)のインターフェースを使用することができる。
【0046】
MSCTVサービスは、コンテキスト、位置、ユーザのプロファイル、およびコミュニティのメンバのプロファイルを考慮する。
【0047】
ここでは、「コンテキスト」は、特に以下を指す。
コミュニティのメンバが位置する環境(たとえば個人的な場所、公共の場所、騒々しいまたは静かな環境);
ネットワークのタイプ(帯域幅、サービス品質);
コミュニティメンバの通信端末の能力(画面サイズ、サポートされるメディア、端末のタイプ);
インタラクティブ通信セッションが行われる背景(コミュニティメンバの活動、イベント);
社会的な背景(コミュニティメンバが友人、中立的な者、敵、近隣者、同僚または親戚としてリストされる場合);
個人的な背景(コミュニティメンバの気分、攻撃性、ストレス);
選択されたテレビ番組。
【0048】
用語「位置」は、地理的な位置だけでなく、移動、目的地、速度に関連のある他のパラメータをも指す。
【0049】
ここでは、「ユーザプロファイル」は特に、ユーザについての説明、ユーザの嗜好、ユーザの権利、および履歴データを指す。
【0050】
MSCTVサービスに対する環境の影響は、以下のように示されることができる。コミュニティメンバがコミュニティの他のメンバとのやりとりを音声モードで開始し、彼が公共の場所または騒々しい環境に入るときにテキストモードに切り換える。たとえば、ボブがひとりで列車の個室におり、モバイル端末でサッカーの試合を見るためにMSCTVサービスを使用している。ボブがひとりで個室におり、音声モードで友人と議論を行う。誰かが個室に入り、座るとき、ボブは、その人に迷惑をかけずに友人との会話を継続することを決定する。ボブは、音声モードからテキストモードに切り換えることを決定する。特定の条件に応じて、音声モードからテキストモードへの移行は、自動的に行うことができ、たとえばやりとりのセッション中にコミュニティメンバが車を運転しなければならない場合、テキストモードから音声モードに変化する。
【0051】
MSCTVサービスへの端末の影響は、以下のように示されることができる。MSCTVセッションの間、1人のコミュニティメンバAが、対話するために他のメンバB、C、Dによって選択されたものと異なるメディアを使用している。たとえば、このユーザAは音声モードを使用しており、他のコミュニティメンバB、C、Dは、テキストモードを使用して通信している。音声合成は、他のコミュニティメンバB、C、DがユーザAと通信することを可能にし、音声認識装置は、ユーザAが他のコミュニティメンバB、C、Dと通信することを可能にする。
【0052】
MSCTVサービスは、モバイルネットワークの既存の要素にわたって展開されることができる。
【0053】
複数の規格が現在、モバイル端末へのテレビ放送をカバーしている:MPEG−4 BIFS、MPEG−LASeR(Streamezzo社によって推進された簡易版シーン記述:Lightweight Application Scene Representation)、SVG(World Wide Web Consortium(W3C)によって推進されたスケーラブルベクトルグラフィックス:Scalable Vector Graphics)、MORE(Nokia社によって推進されたモバイルオープンリッチメディア環境:Mobile Open Rich−Media Environment)。UMTS(ユニバーサル移動通信システム)電話などのモバイル端末へのテレビブロードキャスティングでは、セルが、少数の同時の高位ビットレート(一般に256kbit/秒)マルチメディアセッションをサポートする。この容量は、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access:高速ダウンリンクパケットアクセス)または3GLTE(3GPP Long Term Evolution:3GPP長期的進化)の導入によって確かに向上される。「ブロードキャスト」の解決策は、これだけに限らないが、モバイル端末へのテレビブロードキャスティングのための以下の3つの技術が可能である。
MBMS(マルチメディアブロードキャスト/マルチキャストサービス)、UMTSの拡張物;
DVB−H(Digital Video Broadcast transmission to Handheld terminal:携帯型端末へのデジタルビデオブロードキャスト放送)、T−DMB(Terrestrial Digital Multimedia Bradcasting:地上デジタルマルチメディアブロードキャスティング)、Media−Flo(Media Forward Link Only:メディア順方向リンク専用)および日本のISDB−Tネットワークなどの地上デジタル網;
MBMSの3つの256kbit/秒チャネルと比べて、5から11Mbit/秒(8MHz)の20から30個のチャネルを提供する、韓国のS−DMB、日本のMobaHO!、本出願人によって開発されたSバンドに適応されたDVB−Hなどのハイブリッド衛星/地上網。
【0054】
MSCTVサービスは、DVB−H、たとえば3Gネットワークを使用する戻りチャネルを用いたブロードキャストチャネルを介して展開されることができる。
【0055】
別の実施形態では、MSCTVサービスは、IMS(IP Multimedia Subsystem:IPマルチメディアサブシステム)環境へと統合される。IMS解決策への統合によって、AAC、GLMS(Group List Management Server:グループリスト管理サーバ)、HSS(Home Subscriber Server:ホーム加入者サーバ、たとえばユーザプロファイル)、通信(ユニファイドメッセージング、音声およびビデオメール、音声およびビデオポータル、電話会議)など、IMS環境によって提供されたすべての利点がもたらされる。
【0056】
固定または固定/移動通信ネットワークへの展開も企図され得る。
【0057】
図1は、IMS環境内のMSCTVサービスの実装形態を示している。
【0058】
テレビ番組1は、ネットワーク2、たとえばDVB−Hネットワークを使用して放送される。
【0059】
エンドユーザ3は、コミュニティ(友人、同じ地理的エリアに位置する人、同じプロファイルを有する人)とMSCTVサービスを用いて議論をすることを決定する。
【0060】
エンドユーザ3は、コミュニティのメンバを選択するために、事前定義された規則を選択し、または規則を自身で定義する。
【0061】
端末4を使用してエンドユーザ3は、事前定義されたこれらの規則を適用するために、または自身の規則を設けるためにサーバ5と連絡をとる。
【0062】
たとえば、エンドユーザ3は、「近くの人との議論」オプションを選択する。次いで、エンドユーザは、近くに位置する人のリストを受け取り、彼が対話を望まない相手を選択することができる。
【0063】
エンドユーザは、コンテキストが変化する場合、たとえば公共の場所に入るときに音声モードからテキストモードに切り換えるために、適用される自動的な規則を選択することができる。
【0064】
セッションの構成が確立されたとき、MSCTVサービスは使用可能であり、対話が開始し得る。サービスは、セッション全体を通して適応される。
【0065】
図2は、MSCTVサーバの図である。
【0066】
そのサーバは、複数のモジュールを含む。
【0067】
適応規則モジュール6は、オペレータまたはエンドユーザによって事前定義されまたは作成されるサービス適応規則を含む。
【0068】
メディア変換器モジュール7は、コミュニティのメンバ間のメディアの整合をとる役割を担う。たとえば、他のメンバがテキストモードを使用しているときに一部のコミュニティメンバが音声モードを使用している場合、メディア変換器モジュール7は、コミュニティのすべてのメンバが互いに対話できることを保証する。たとえば、このモジュール7は、(たとえば音声合成によって)テキストデータを音声データに、または音声データをテキストデータに変換する(音声認識)役割を担う。
【0069】
コミュニティ規則モジュール8は、コミュニティに特有の規則を含む。それらの規則は、オペレータまたはエンドユーザによって定義される。
【0070】
コミュニティ内ユーザプロファイルモジュール9は、ユーザプロファイルに基づくコミュニティの一般的規則を含む。それは、エンドユーザのプロファイルに近いまたは類似のプロファイルを有する人のリストを供給する。
【0071】
近接コミュニティモジュール10は、エンドユーザの近くにいる人のリストを含む。エンドユーザまたはオペレータによって、それぞれ異なる規則が定義されてもよい。基本の規則は、近く(たとえば周囲)に関係し、またはより文脈的な規則が定義されてもよい。(同じ列車、同じバスに乗車している人)。
【0072】
友人リストモジュール11は、エンドユーザの友人のリストを含む。このリストは、エンドユーザによって作成される。
【0073】
MSCTVサービスのエンジン12は、MSCTVサービスを構成し、管理し、適応させる役割を担う。このエンジンは、MSCTVサービスを構成する様々なモジュール6〜11を管理する。
【0074】
MSCTVサービスサーバ13は、プレゼンス、GLMS、AAC、QoSなどのIMS環境のイネイブラ14とインターフェースされる。
【0075】
サーバ13は、通信アプリケーション15ともインターフェースされる。
【0076】
次に、MSCTVサービスの使用について述べる。
【0077】
ジョンは、モバイル端末上でサッカーの試合を見ている。彼は、MSCTVサービスを使用して友人と会話することを決定する。彼は、MSCTVアプリケーションを起動する。複数のオプションが彼に提供される。ジョンは、友人、たとえば同じ場所(たとえば同じ列車、同じバス)にいる人と通信する(またはその選択を行う)ことができる。ジョンは、自分と同じプロファイル(または彼のプロファイルに近いプロファイル)を有する人を選択することもできる。ジョンは、特定のプロファイルを有する人を選択することもできる。
【0078】
ジョンは、MSCTVサービスを用いて、同じテレビ番組を見ている友人と会話することを決定する。MSCTVサービスを使用する会話は、テキスト、音声、ビデオまたはインタラクティブな画像/音声/アイコンをやりとりすることによって行われてもよい。ジョンは、ビデオ会話を行うことを選択する。
【0079】
次いで、サッカーの試合中のコミュニティメンバ間の議論およびコメントが可能となる。アイコンおよびアニメーションがやりとりされ、それぞれの気分および感情を表すために友人のテレビ画面上に現われてもよい。
【0080】
MSCTVサービスの使用のシナリオの一例は、以下のとおりである。
【0081】
第1のステップで、バートは、モバイル端末でサッカーの試合を見ることを決定する。次いで、彼は、他の人と議論するためにMSCTVサービスをアクティブ化することを選択する。次いで、バートは、サービスガイドにアクセスする。たとえば番組ガイド、投票、チャットなど、複数のオプションがそのガイド内で提供される。
【0082】
第2のステップで、バートは、チャットオプションを選択する。
【0083】
第3のステップで、バートは、MSCTVサービスセッションを構成する。以下の基準、すなわちコミュニティ(友人、近さ、プロフィール)を形成する人のフィルタリング、メディアの選択、セッション適応規則が彼に提供される。バートは、コミュニティの基準を定義し、対話するために使用されるメディア、および適応規則を選択する。
【0084】
次いで、第4のステップで、MSCTVサービスが機能可能となる。バートは、接続されている人を(たとえばアイコン、写真によって)見ることができる。バートは、ビデオ画像に加えて、テキストおよびアイコンを友人に送信することができる。
【0085】
あるいは、バートは、ビデオカメラを含むモバイル通信端末を使用し、音声およびビデオを使用して友人と対話することを選択する。バートが公共の場所に入る場合、適応規則のおかげで音声モードからテキストモードに自動的に切り換えられ、彼の言葉がコミュニティの他のメンバの画面上に、ウィンドウ内または画面表示上に重ね合わされて現われる。
【0086】
本発明によるインタラクティブ通信サービスは、以下の複数の利点を有する。
コンテキストを統合するコミュニティの管理;
コンテキスト(たとえば、様々な環境)、ネットワークおよび端末の性能、ならびに使用されるメディア(テキスト、音声、ビデオ)へのサービスの適応;
モバイルテレビのための新しいサービスの提供。
【0087】
MSCTVサービスでは、同じテレビ番組を見ている同じコミュニティのメンバは、様々なメディアおよびアプリケーションを介して対話することができる。コミュニティは、様々な基準、すなわち同じプロフィールおよび興味を有する人、たとえば地理的な近さに基づいて作成されてもよい。コミュニティ作成の基準は、エンドユーザによって選択されても、オペレータによって選択されてもよい。MSCTVサービスは、コミュニティ管理モジュールに統合されても、こうしたモジュールにインターフェースされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施形態の手段の概略図である。
【図2】本発明で使用される手段の一部をより詳細に示す図である。
【符号の説明】
【0089】
1 テレビ番組
2 ネットワーク
3 エンドユーザ
4 端末
5 サーバ
6 適応規則モジュール
7 メディア変換器モジュール
8 コミュニティ規則モジュール
9 コミュニティ内ユーザプロファイルモジュール
10 近接コミュニティモジュール
11 友人リストモジュール
12 エンジン
13 MSCTVサービスサーバ
14 イネイブラ
15 通信アプリケーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セッション開始者がインタラクティブ通信したいと望む人々の特性を定義するステップであって、これらの人々の集合体がこの開始者との仮想コミュニティを形成する、ステップと、
インタラクティブ通信セッションについて、仮想コミュニティのセッション開始者と他のメンバの間の対話のための初期メディアを定義するステップと、
セッション開始者が仮想コミュニティの他のメンバの端末への接続を求める要求を送信するステップと、
コミュニティのメンバのうちの少なくとも1人、特にセッション開始者に特有のコンテキストに応じて通信メディアの適応の規則を定義するステップとを含む、通信端末間のインタラクティブ通信の方法。
【請求項2】
インタラクティブ通信セッション中に、仮想コミュニティの通信端末のうちの少なくとも1つ、特にセッション開始者の通信端末上にテレビ番組を表示するステップを含む、請求項1に記載のインタラクティブ通信方法。
【請求項3】
インタラクティブ通信が間で提供される人々の特性を定義するステップが、人々の位置、特に地理的位置を考慮する、請求項1に記載のインタラクティブ通信方法。
【請求項4】
インタラクティブ通信が間で提供される人々の特性を定義するステップが、人々のプロファイル、特に興味、および開始者との関係のタイプを考慮する、請求項1に記載のインタラクティブ通信方法。
【請求項5】
インタラクティブ通信が間で提供される人々の特性を定義するステップが、それらの人々によって使用される通信端末の容量を考慮する、請求項1に記載のインタラクティブ通信方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法を実施するためのインタラクティブ通信サーバであって、オペレータまたはセッション開始者によって事前定義されまたは作成されるサービス適応規則を含む適応規則モジュールを含み、仮想コミュニティのメンバのうちの少なくとも1人、特にセッション開始者に特有のコンテキストに応じてインタラクティブ通信サービスを構成し、管理し、適応させる役割を担うエンジンをさらに含む、サーバ。
【請求項7】
インタラクティブ通信のために仮想コミュニティの各メンバによって選択されたメディアの整合をとる役割を果たすメディア変換器モジュールをさらに含む、請求項6に記載のサーバ。
【請求項8】
セッション開始者のプロファイルに基づくコミュニティの一般的規則を含むコミュニティ内ユーザプロファイルモジュールをさらに含む、請求項6に記載のサーバ。
【請求項9】
セッション開始者の近くにいる人々のリストを含む接近コミュニティモジュールをさらに含む、請求項6に記載のサーバ。
【請求項10】
セッション開始者の友人のリストを含む、友人リストモジュールをさらに含む、請求項6に記載のサーバ。
【請求項11】
請求項6から10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのサーバを含むインタラクティブ通信ネットワークであって、通信端末のうちの少なくとも1つ、特にセッション開始者の通信端末がモバイル通信端末である、インタラクティブ通信ネットワーク。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−199584(P2008−199584A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−323175(P2007−323175)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】