説明

通信端末及び通信方法

【課題】通話中に言語選択を行う際、言語の選択操作の開始時に通話状態を保留状態に迅速に移行し、通話相手との通話に対応する翻訳先の言語にて通話を再開する旨を明確に伝え、円滑なコミュニケーションを促進する。
【解決手段】他の携帯通信端末30,40と通話する携帯通信端末1であって、他の携帯通信端末30,40との通話時に、入力された音声データを他の携帯通信端末30,40との通話に対応する翻訳先の言語の選択操作の入力を受け付ける入力部11と、翻訳先の言語の選択操作の入力の開始時に、他の携帯通信端末30,40との通話の通話状態を保留状態に移行する制御部10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ又は複数の他の通信端末と通話する通信端末及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機などの通信端末は、ユーザ間のコミュニケーションを促進するツールとして広く普及している。
【0003】
従来、この様な通信端末として、発信者と着信者との間で音声データの翻訳(通訳)を行う通話翻訳装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この通話翻訳装置は、相手端末に発信される送信先の識別情報から地域データを抽出し、この地域データに対応する言語情報を読み出して翻訳対象の言語を選択し、選択された言語で音声データを翻訳する。この様に、翻訳された言語で通話が行われることで、発信者と着信者との間でコミュニケーションの促進を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−288340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の通信端末においては、通話中に言語の再選択が必要となった時、ユーザは言語を確認して選択する処理を行う必要があり、コミュニケーションの空白期間が発生するという問題があった。この時、ユーザ同士の通話において無音時間又は雑音(ノイズ)が発生することになり、円滑なコミュニケーションの疎通が取れなくなると考えられる。従って、通話相手は、何が起きているのかを確認することができず、コミュニケーション上、不都合が生じる。
【0006】
上述した特許文献1の通話翻訳装置の構成を用いて言語の再選択を通話中に実行した場合には、ユーザが言語の確認を数回行うことによって不可避的に通話が中断されて隙間が生じるため、同様に、コミュニケーションの妨げとなることが考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来の事情に鑑みてなされたものであり、通話中に言語選択を行う際、言語の選択操作の開始時に通話状態を保留状態に迅速に移行し、通話相手との通話に対応する翻訳先の言語にて通話を再開する旨を明確に伝え、円滑なコミュニケーションを促進する通信端末及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した通信端末であって、1つ又は複数の他の通信端末と通話する通信端末であって、前記他の通信端末との通話時に、入力された音声データを前記他の通信端末との通話に対応する翻訳先の言語の選択操作の入力を受け付ける入力部と、前記翻訳先の言語の選択操作の入力の開始時に、前記他の通信端末との通話の通話状態を保留状態に移行する制御部と、を備える。
【0009】
また、本発明は、上述した通信方法であって、1つ又は複数の他の通信端末と通話する通信端末における通信方法であって、前記他の通信端末との通話時に、入力された音声データを前記他の通信端末との通話に対応する翻訳先の言語の選択操作の入力を受け付けるステップと、前記翻訳先の言語の選択操作の入力の開始時に、前記他の通信端末との通話の通話状態を保留状態に移行するステップと、を備える。
【0010】
上述した構成によれば、通話中に言語選択を行う際、言語の選択操作の開始時に通話状態を保留状態に迅速に移行し、通話相手との通話に対応する翻訳先の言語にて通話を再開する旨を明確に伝え、円滑なコミュニケーションを促進することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通話中に言語選択を行う際、言語の選択操作の開始時に通話状態を保留状態に迅速に移行し、通話相手との通話に対応する翻訳先の言語にて通話を再開する旨を明確に伝え、円滑なコミュニケーションを促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態の携帯通信端末を含む通信システムの構成を示すシステム構成図
【図2】第1の実施形態の携帯通信端末のハードウェア構成を示すブロック図
【図3】データベースに記憶されているテーブルの内容を示す図
【図4】携帯通信端末の表示部に表示される画面を示す図、(A)通話中の画面を示す説明図、(B)言語選択時の画面を示す説明図
【図5】他者通話中に行われる翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の全体的な動作手順を説明するシーケンス図
【図6】携帯通信端末の翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の開始時における動作手順を説明するフローチャート
【図7】携帯通信端末の翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の終了時における動作手順を説明するフローチャート
【図8】他者通話中に各着信者(各通話相手)により翻訳先の言語の選択処理(選択操作)が行われた場合の携帯通信端末の動作手順を説明するフローチャート
【図9】携帯通信端末の表示部に表示される画面を示す図
【図10】第2の実施形態の携帯通信端末の翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力終了時における動作手順を説明するフローチャート
【図11】自動翻訳機能部を含む携帯通信端末のハードウェア構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る通信端末の実施形態について、図面を参照して説明する。本発明に係る通信端末は、情報若しくはデータを送受信可能な無線通信機能、及び通話機能を有する携帯電話機又はスマートフォンなどの携帯通信端末に適用可能である。また、以下の実施形態においては、例えば1人の発信者が、本発明に係る通信端末(携帯通信端末)を用いて、それぞれ同様の構成を有する携帯通信端末を用いる複数の着信者(通話相手ともいう)と同時に他者通話している間に、発信者が他者通話の各通話相手に対応する翻訳先の言語を選択する場合を例示して説明する。
【0014】
例えば、日本人で日本語を話す発信者と、米国人で英語を話す着信者と、フランス人でフランス語を話す他の着信者とが他者通話する場合に、通話相手に対応する翻訳先の言語は、日本人の発信者から見た通話相手の話す英語又はフランス語となる。
【0015】
なお、本発明は、携帯通信端末の様な装置、又は携帯通信端末をコンピュータとして動作させるためのプログラムとして表現することも可能である。更に、本発明は、携帯通信端末により実行される処理(ステップ)を含む方法として表現することも可能である。即ち、本発明は、端末(装置)、方法及びプログラムのうちいずれのカテゴリでも表現可能である。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の携帯通信端末1を含む通信システム100の構成を示すシステム構成図である。本実施形態の通信システム100は、発信者が用いる携帯通信端末1、無線基地局25〜27、ネットワーク35、サーバ20、及び着信者が用いる携帯通信端末30,40を含む構成である。
【0017】
通信システム100においては、無線基地局25〜27及びネットワーク35を介して、携帯通信端末1を用いる発信者と、携帯通信端末30,40をそれぞれ所持する複数の着信者とが、同時に1対多の他者通話を行うことが可能である。
【0018】
なお、通信システム100の構成は一例であり、発信者又は着信者の構成は種々に変更することが可能である。例えば、図1において、2つの無線基地局26及び27並びに2つの携帯通信端末30及び40をそれぞれ1つの無線基地局26及び1つの携帯通信端末30として構成し、例えば1つの会議室にいる複数の着信者が用いる1つの携帯通信端末30が、ハンズフリー通話の状態において無線基地局26を介して携帯通信端末1と他者通話しても良い。
【0019】
サーバ20は、発信者が用いる携帯通信端末1から送信された通話内容の音声データ及び後述するメッセージ(図3参照)のテキストデータを、携帯通信端末30,40を用いる着信者に対応した(適した)翻訳先の言語に翻訳する自動翻訳機能部22を含む構成である。
【0020】
(携帯通信端末1の構成)
図2は、第1の実施形態の携帯通信端末1のハードウェア構成を示すブロック図である。携帯通信端末1は、図2に示す様に、制御部10、入力部11、アンテナが接続された通信部12、表示部13、音声処理部14、タイマ15、記憶部16、及びデータベース17を含む構成である。音声処理部14は、音声出力部としてのスピーカ18、及び音声入力部としてのマイク(マイクロホン)19とそれぞれ接続されている。なお、携帯通信端末30,40も図2の携帯通信端末1のハードウェア構成と同様の構成であるため、以下、携帯通信端末1を例示して説明し、携帯通信端末30,40の説明は省略する。
【0021】
制御部10は、携帯通信端末1に内蔵されるCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを用いて構成され、携帯通信端末1の各部の動作を制御する。制御部10の動作は、図5〜図8を参照して後述する。
【0022】
入力部11は、携帯通信端末1を用いる発信者の携帯通信端末1に対する入力操作を受け付けるユーザインタフェースであり、発信者の操作内容に応じた操作信号を制御部10に出力する。例えば、入力部11は、携帯通信端末30,40との他者通話時に、マイク19に入力された発信者の通話内容である音声データを携帯通信端末30,40との他者通話に対応する翻訳先の言語の選択操作の入力を受け付ける。入力部11は、受け付けた言語の選択操作に応じた操作信号を制御部10に出力する。
【0023】
入力部11は、電話番号などを入力するテンキー、オンフック又はオフフックを行う通話器キー及びファンクションキーなどの各種キーを用いて構成可能である。更に、入力部11は、表示部13の上に配置され、発信者の指又はスタイラスペンなどによる入力操作を受け付け可能なタッチパネルを用いて構成されても良い。
【0024】
通信部12は、情報若しくはデータの送受信が可能な無線通信回路を用いて構成され、アンテナを介して無線基地局25と通信を行い、音声データ、テキストデータ又は画像データなどのデータを送受信する。
【0025】
表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)若しくは有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)を用いて構成され、制御部10の制御の下で、携帯通信端末1において用いられる待受画面、通話時に表示される通話画面、又は翻訳先の言語の選択操作時に表示される言語選択画面(図4(B)参照)などを表示する。
【0026】
音声処理部14は、入力された音声データから例えばノイズ音声を取り除く若しくは音量レベルを調整するなどの音声処理が可能な音声処理回路を用いて構成され、発信者によりマイク19を介して入力された音声データを音声処理して制御部10に出力する。また、音声処理部14は、通話相手(着信者)から送信された音声データを音声処理してスピーカ18から出力させる。
【0027】
タイマ15は、制御部10から出力された保留状態に移行した旨の指示を基に、着信者(通話相手)との他者通話が保留状態に移行し始めたときからの保留継続時間を計時する。
【0028】
記憶部16は、携帯通信端末1に内蔵されるフラッシュメモリ若しくはハードディスクを用いて構成され、携帯通信端末1の動作において用いられる又は発信者により保存が指示された各種のデータを記憶している。
【0029】
データベース17は、記憶部16と同様に、携帯通信端末1に内蔵されるフラッシュメモリ若しくはハードディスクを用いて構成され、後述するテーブル17a、及びテーブル17aにおいて用いられている予め設定されたメッセージのテキストデータ及び音声データが記憶されている。なお、携帯通信端末1が使用者(例えば日本人)の仕様に合わせて使用言語(日本語)が使用可能に設定されている場合には、使用言語に応じたメッセージのテキストデータ及び音声データが記憶されていることが好ましい。
【0030】
また、データベース17は、携帯通信端末1が保留状態に移行した場合に携帯通信端末30,40との間で音声出力される保留音の音声データを記憶している。なお、図1には記憶部16とデータベース17とを別々の構成として示したが、携帯通信端末1において記憶部16とデータベース17とが一体とした構成としても良い。
【0031】
第1の実施形態においては、データベース17に記憶されている複数のメッセージのうち、固定のメッセージ「お待たせしました。通話を再開します。」のテキストデータ若しくは音声データ又はその両方のデータが用いられる。
【0032】
図3は、データベース17に記憶されているテーブル17aの内容を示す図である。テーブル17aには、保留継続時間と保留継続時間に対応するメッセージとが予め固定的に設定されている。
【0033】
具体的には、保留継続時間が5sec(秒)以内である場合、「お待たせしました。通話を再開します。」のメッセージが用いられる。また、保留継続時間が10sec(秒)以内である場合、「ご準備はよろしいですか?通話を再開します。」のメッセージが用いられる。また、保留継続時間が30sec(秒)以内である場合、「大変長らくお待たせして申し訳ありません。通話を再開しますので、ご準備ください。」のメッセージが用いられる。
【0034】
図4は、携帯通信端末1の表示部13に表示される画面を示す図である。図4(A)は、通話中の画面を示す説明図である。図4(B)は言語選択時の画面を示す説明図である。表示部13は、携帯通信端末1の筐体1aの前面側に設けられている。
【0035】
図4(A)の通話中の画面においては、「他者通話中」である旨を表すメッセージのテキストデータ及び他者通話における通話相手が用いる携帯通信端末30,40の各電話番号などが表示される。また、表示部13の画面の下部には、言語選択キー11aを含む各種の操作キーが押下(選択)可能に表示されている。
【0036】
また、図4(B)の言語選択時の画面においては、「日本語」、「英語」、「フランス語」などの携帯通信端末1において選択可能な翻訳先の言語候補が一覧で表示されている。図4(B)においては、現在選択されている言語として例えば英語がフォーカスされて選択された状態であることが示されている。また、表示部13の画面の下部には、メニューキー11b、決定キー11c、キャンセルキー11dなどが押下(選択)可能に表示されている。
【0037】
スピーカ18は、音声処理部14により音声処理された音声データを出力可能な音声出力素子を用いて構成され、制御部10から出力された音声処理指示に基づいて音声処理部14により音声処理された音声データを出力する。
【0038】
マイク19は、携帯通信端末1を用いる発信者からの通話音声データを収音する音声入力素子を用いて構成され、発信者から発声された通話内容である通話音声データを収音して音声処理部14に出力する。
【0039】
(携帯通信端末1の動作)
次に、上述した構成を含む携帯通信端末1の動作を説明する。先ず、携帯通信端末1と携帯通信端末30,40との間の他者通話時における翻訳先の言語の選択操作時の動作概略について、図5を参照して説明する。図5は、他者通話中に行われる翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の全体的な動作手順を説明するシーケンス図である。
【0040】
図5において、携帯通信端末1を用いる発信者と、携帯通信端末30,40をそれぞれ用いる着信者とがサーバ20の自動翻訳機能部22を用いて他者通話しているとする。他者通話時において、携帯通信端末1は、携帯通信端末1を用いる発信者の操作によって翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力の開始時に、発信者からの言語選択キー11aの押下操作を受け付け、更に着信者に対応した翻訳先の言語の選択処理(選択操作)を受け付ける(ステップT1)。
【0041】
ステップT1の言語選択キー11aの押下操作及び着信者に対応した翻訳先の言語の選択処理(選択操作)が行われた時、制御部10は、携帯通信端末30,40との他者通話の通話状態を保留状態に移行する旨の指示を通信部12及び音声処理部14にそれぞれ出力する(ステップT2)。これにより、携帯通信端末1及び携帯通信端末30,40における他者通話は一時的に保留状態に移行する(ステップT2)。
【0042】
なお、保留状態に移行している間においては、携帯通信端末1を用いる発信者により、着信者に対応した翻訳先の言語の選択処理(選択操作)が行われる。
【0043】
翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力の終了時に(ステップT3)、制御部10は、保留状態の解除指示を通信部12及び音声処理部14にそれぞれ出力する(ステップT4)。これにより、携帯通信端末1と携帯通信端末30,40との間の他者通話の保留状態が解除されて他者通話の通話状態に戻る。更に、制御部10は、携帯通信端末30,40に対して、上述したテーブル17aにおいて設定されているメッセージのテキストデータ若しくは音声データ又はその両方のデータを送信する(ステップT5)。
【0044】
図6は、携帯通信端末1の翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の開始時における動作手順を説明するフローチャートである。図6のフローチャートの動作手順を実現させるためのプログラムは制御部10に内蔵されるROMに予め格納され、図6のフローチャートの動作手順は制御部10に内蔵されるCPUによって周期的に実行される。
【0045】
図6において、制御部10は、携帯通信端末1と携帯通信端末30,40とが他者通話しているとき、入力部11から何かしらのキー操作を受け付けたか否かを判別する(ステップS1)。ステップS1において入力部11からキー操作を一切受け付けていない場合(ステップS1、NO)、図6のフローチャートで示した制御部10の動作は終了する。
【0046】
一方、ステップS1において入力部11から何かしらのキー操作を受け付けた場合(ステップS1、YES)、制御部10は、他者通話中であるか否かを判別する(ステップS2)。他者通話中であるか否かは、例えば携帯通信端末1が携帯通信端末30,40と他者通話中であることを示すフラグ(情報)が制御部10に内蔵されるRAMなどに記憶されているか否かに応じて判別される。
【0047】
他者通話中でないと判別された場合(ステップS2、NO)、制御部10は、ステップS1において受け付けた発信者からの入力操作に応じて、非通話の処理、例えば他のアプリケーション起動などを行う(ステップS3)。ステップS3の後、制御部10の動作は終了する。
【0048】
一方、ステップS2において他者通話中であると判別された場合(ステップS2、YES)、制御部10は、ステップS1において受け付けた発信者からの入力操作に応じて言語選択キー11aが押下され、翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力が開始されたか否かを判別する(ステップS4)。
【0049】
ステップS4において翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力が開始されていないと判別された場合(ステップS4、NO)、制御部10は、ステップS1において受け付けた発信者からの入力操作に応じて、非言語選択の処理、例えば音量調節などを行う(ステップS5)。ステップS5の後、制御部10の動作は終了する。
【0050】
一方、ステップS4において翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力が開始されたと判別された場合(ステップS4、YES)、制御部10は、保留状態に移行するための移行指示を、通信部12及び音声処理部14に出力する(ステップS6)。通信部12は、制御部10からの保留状態への移行指示を携帯通信端末30,40にそれぞれ送信する。音声処理部14は、制御部10からの保留状態への移行指示を基に、保留音の音声データをデータベース17から取得してスピーカ18から出力させる。なお、携帯通信端末30,40は、通信部12から送信された保留状態への移行指示を基に、各携帯通信端末30,40のスピーカから保留音の音声データがスピーカより出力させる。
【0051】
これにより、携帯通信端末1と携帯通信端末30,40とは他者通話の状態から保留状態に移行する(ステップS7)。ステップS7の後、制御部10の動作は終了する。
【0052】
図7は、携帯通信端末1の翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の終了時における動作手順を説明するフローチャートである。図7のフローチャートの動作手順を実現させるためのプログラムは制御部10に内蔵されるROMに予め格納され、図7のフローチャートの動作手順は制御部10に内蔵されるCPUによって周期的に実行される。
【0053】
図7において、制御部10は、携帯通信端末1と携帯通信端末30,40との他者通話が保留状態である場合に(ステップS11)、発信者からの翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力が終了したか否かを周期的に判別する(ステップS12)。
【0054】
ステップS12において翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力が終了していないと判別された場合には(ステップS12、NO)、制御部10は、翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力が終了するまで待機する(ステップS13)。ステップS13の後、制御部10の動作はステップS11の処理に戻る。
【0055】
一方、ステップS12において翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力が終了したと判別された場合には(ステップS12、YES)、制御部10は、データベース17に記憶されたメッセージのテキストデータ若しくは音声データ又はその両方のデータを読み出す(ステップS14)。
【0056】
更に、制御部10は、通信部12を介して、ステップS14において読み出されたメッセージのテキストデータ若しくは音声データ又はその両方のデータを、携帯通信端末1から携帯通信端末30,40にそれぞれ送信する(ステップS15)。更に、制御部10は、ステップS14において読み出されたメッセージのテキストデータを、表示部13に表示させる。更に、制御部10は、ステップS14において読み出されたメッセージの音声データを、音声処理部14によりスピーカ18から出力する。なお、音声データの出力の場合には、音声処理部14は、制御部10からの保留音の音声データの取得を中断するものとする。なお、図7の説明においては、固定のメッセージ、例えば「お待たせしました。通話を再開します。」のメッセージのテキストデータ若しくは音声データ又はその両方のデータが送信されるとする。ステップS15の後、制御部10は、他者通信の保留状態を解除する(ステップS16)。これにより、制御部10の動作は終了する。
【0057】
図8は、他者通話中に各着信者(各通話相手)により翻訳先の言語の選択処理(選択操作)が行われた場合の携帯通信端末30,40の動作手順を説明するフローチャートである。図8のフローチャートの動作手順を実現させるためのプログラムは、携帯通信端末30,40の各制御部に内蔵されているROMに予め格納され、図8のフローチャートの動作手順は制御部に内蔵されるCPUによって周期的に実行される。
【0058】
携帯通信端末30,40の制御部は、携帯通信端末1と他者通話しているときに携帯通信端末1が保留状態に移行すると(ステップS31)、携帯通信端末1の通信部12からメッセージのテキストデータ若しくは音声データを受信するまで待機する(ステップS32)。なお、携帯通信端末30,40に送信されたメッセージのテキストデータ若しくは音声データは、携帯通信端末1において用いられたメッセージのテキストデータ若しくは音声データ(例えば日本語)から、携帯通信端末1において選択された翻訳先の言語にサーバ20の自動翻訳機能部22によって翻訳されたもの(例えば英語又はフランス語など)である。
【0059】
メッセージのテキストデータ若しくは音声データを受信すると(ステップS32、YES)、携帯通信端末30,40の制御部は、ステップS32において受信されたメッセージ、即ち、携帯通信端末1から送信された日本語のメッセージ「お待たせしました。通話を再開します。」がサーバ20において例えば英語に翻訳されたメッセージ「I’m so sorry to have kept you waiting. Our communication will be back in business soon.」のテキストデータを表示部13の画面に表示し(ステップS33、図9参照)、更に、このメッセージの音声データを、音声処理部14によりスピーカ18から出力させる。なお、音声データの出力の場合には、音声処理部14は、制御部10からの保留音の音声データの取得を中断するものとする。図9は、携帯通信端末30、40の表示部13に表示される画面を示す図である。携帯通信端末30,40をそれぞれ用いる着信者は、この表示部13の画面に表示されたメッセージ若しくはスピーカ18から出力された音声を確認することにより、発信者との他者通話が再開することを認識することができる。
【0060】
携帯通信端末30,40の制御部は、ステップS33の後、スピーカに保留音の音声データの出力を停止する様に音声処理部に指示する。これにより、携帯通信端末30,40と携帯通信端末1との他者通話が通話状態に復帰する(ステップS34)。以上により、携帯通信端末30,40の制御部の動作は終了する。
【0061】
この様に、第1の実施形態の携帯通信端末によれば、他者通話中に発信者が翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力の開始時に、他者通話の通話状態から保留状態に迅速に移行することによって、各着信者(各通話相手)との通話に対応する翻訳先の言語にて通話を再開する旨を明確に伝えることができる。これにより、第1の実施形態の携帯通信端末によれば、通話相手間におけるコミュニケーション上のトラブルの防止を図り、通話相手に安心感を与えることができる。
【0062】
また、携帯通信端末1と携帯通信端末30,40との他者通話が保留状態に移行している場合において、携帯通信端末1は、保留状態を解除する前に、メッセージのテキストデータ若しくは音声データ又はその両方のデータを通話相手の携帯通信端末30,40にそれぞれ送信する。これにより、携帯通信端末1は、携帯通信端末30,40を用いる各ユーザに通話復帰前の準備を促すことができる。また、携帯通信端末1において発信者から言語の選択操作が行われると言語の選択が開始されるので、他者通話の発信者は自己の任意のタイミングで言語の選択を開始させることができる。また、自動翻訳機能はサーバ20に搭載されているので、携帯通信端末1を簡易な構成にすることができる。
【0063】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態においては、保留状態を解除して通話を再開する際、携帯通信端末1から携帯通信端末30,40に固定のメッセージのテキストデータ若しくは音声データ又はその両方のデータがそれぞれ送信された。第2の実施形態においては、携帯通信端末1が保留継続時間(単に保留時間ともいう)に応じて携帯通信端末30,40に送信するメッセージを変更する。
【0064】
また、第2の実施形態においては、図3のテーブル17aの保留継続時間が5sec(秒)以内毎に、メッセージが予め設定されているとする。更に、第2の実施形態において、テーブル17aのメッセージが変更される保留継続時間の閾値をパラメータNj(jは自然数)と表す。従って、図3のテーブル17aにおいて、N1=5、N2=10、…、N6=30、…となる。
【0065】
第2の実施形態の携帯通信端末は、第1の実施形態の携帯通信端末とほぼ同一の構成を有するため、第1の実施形態の携帯通信端末と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
【0066】
また、他者通話における発信者が用いる携帯通信端末1の翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力開始時における動作手順は、図6に示した第1の実施形態の内容と同様である。更に、他者通話中に各着信者(各通話相手)により翻訳先の言語の選択処理(選択操作)が行われた場合の携帯通信端末の動作手順は、図8に示した第1の実施形態の内容と同様である。
【0067】
図10は、第2の実施形態の携帯通信端末1の翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力終了時における動作手順を説明するフローチャートである。図10のフローチャートの動作手順を実現させるためのプログラムは制御部10に内蔵されるROMに予め格納され、図10のフローチャートの動作手順は制御部10に内蔵されるCPUによって周期的に実行される。
【0068】
図10において、制御部10は、携帯通信端末1と携帯通信端末30,40との他者通話が保留状態である場合に、タイマ15に保留状態に移行した旨の指示を出力する。これにより、タイマ15は、制御部10からの指示を基に、保留状態に移行し始めたときからの保留継続時間の計測を開始する(ステップS21)。制御部10は、入力部11からの操作信号を基に、発信者における翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力が終了したか否かを周期的に判別する(ステップS22)。
【0069】
発信者における翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力が終了していないと判別された場合には(ステップS22、NO)、制御部10は、翻訳先の言語の選択処理(選択操作)の入力が終了するまで待機する(ステップS23)。ステップS23の後、制御部10の動作はステップS22の処理に戻る。
【0070】
一方、ステップS22において翻訳先の言語の選択処理(選択操作)が終了したと判別された場合には(ステップS22、YES)、制御部10は、ステップS21において計測された保留継続時間(kとする)を基に、携帯通信端末30,40に送信されるメッセージを判別するための保留継続時間の閾値Njを判別する(ステップS24)。
【0071】
例えば、ステップS21において計測された保留継続時間kが3secである場合には、制御部10は、携帯通信端末30,40に送信されるメッセージを判別するための保留継続時間の閾値NjをN1=5secと判別する(j=1)。また、ステップS21において計測された保留継続時間kが10secである場合には、制御部10は、携帯通信端末30,40に送信されるメッセージを判別するための保留継続時間の閾値NjをN2=10secと判別する(j=2)。更に、ステップS21において計測された保留継続時間kが11secである場合には、制御部10は、携帯通信端末30,40に送信されるメッセージを判別するための保留継続時間の閾値NjをN3=15secと判別する(j=3)。
【0072】
ステップS24の後、制御部10は、データベース17に記憶されているテーブル17aを参照し、ステップS24において判別された保留継続時間の閾値Njに対応するメッセージを読み出す(ステップS25)。例えば、ステップS24において判別された保留継続時間の閾値NjがN1=5sec以内である場合、「お待たせしました。通話を再開します。」、閾値NjがN6=30sec以内である場合、「大変長らくお待たせして申し訳ありません。通話を再開しますので、ご準備ください。」のメッセージが読み出される。
【0073】
更に、制御部10は、通信部12を介して、ステップS25において読み出されたメッセージのテキストデータ若しくは音声データ又はその両方のデータを、携帯通信端末1から携帯通信端末30,40にそれぞれ送信する(ステップS26)。更に、制御部10は、ステップS25において読み出されたメッセージのテキストデータを、表示部13に表示させる。更に、制御部10は、ステップS14において読み出されたメッセージの音声データを、音声処理部14によりスピーカ18から出力させる。ステップS26の後、制御部10は、他者通信の保留状態を解除する(ステップS27)。これにより、図10の制御部10の動作は終了する。
【0074】
以上により、第2の実施形態の携帯通信端末1によれば、保留状態が一定時間(保留継続時間の閾値)以上続いた後に通話状態に復帰する際、タイマ15により計測された保留継続時間に応じて、話の流れが切れること又は着信者の心情に配慮した情報に切り替える。これにより、第2の実施形態の携帯通信端末1によれば、第1の実施形態の携帯通信端末1に比べて、コミュニケーションの円滑化をより図ることができる。
【0075】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種実施の形態の変更例または修正例、更に各種実施の形態の組み合わせ例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0076】
例えば、上述した各実施形態においては、自動翻訳機能部22は、無線基地局25を介してネットワーク35に接続されたサーバ20に設けられていたが、サーバ20に設けることなく、発信者が用いる携帯端末装置1が自動翻訳機能部5を搭載してもよい。図11は、自動翻訳機能を搭載した携帯通信端末1Aのハードウェア構成を示すブロック図である。携帯通信端末1Aは、第1の実施形態においてサーバ20に設けられていた自動翻訳機能部22の代わりに、自動翻訳機能部22と同様の機能を持つ自動翻訳機能部5を含む構成である。これにより、サーバ20の翻訳処理における負荷を軽減することができる。
【0077】
また、上述した実施形態においては、保留状態から他者通話を再開する際、メッセージが送信されたが、携帯通信端末1を用いる発信者における言語の選択処理のために保留状態に入った場合も、同様のメッセージが送信されても良い。
【0078】
また、上述した実施形態においては、送信されるメッセージは日本語でサーバ20において翻訳されたメッセージが携帯通信端末30,40に送信されたが、携帯通信端末1を用いる発信者により選択された言語を用いてメッセージが送信される様にしても良い。これにより、通話相手が理解しやすく、コミュニケーションの安心感を与えることができる。なお、この場合には、テーブル17aには日本語のメッセージだけではなく、言語毎に同様な内容のメッセージが予め記憶されているとする。
【0079】
また、他者通話は、アナログの音声データを用いて行われる他、VoIP(Voice over Internet Protocol)などの双方向通信によりデジタルの音声データの送受信によって行われても良い。この場合、メッセージなどの情報の送信が容易である。なお、情報はメッセージに限らず、周知のマーク(画像データ)などでも良い。
【0080】
また、上述した実施形態においては、1対多で他者通話する場合を示したが、多対多で他者通話する場合或いは1対1で通話する場合にも本発明は同様に適用可能である。
【0081】
また、上述した実施形態においては、通信端末として携帯通信端末に適用された場合を示したが、固定電話などの通信端末に適用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、通話中に言語選択を行う際、言語の選択操作の開始時に通話状態を保留状態に迅速に移行し、通話相手との通話に対応する翻訳先の言語にて通話を再開する旨を明確に伝え、円滑なコミュニケーションを促進する通信端末及び通信方法として有用である。
【符号の説明】
【0083】
1、1A、30、40 携帯通信端末
5、22 自動翻訳機能部
10 制御部
11 入力部
12 通信部
13 表示部
14 音声処理部
15 タイマ
16 記憶部
17 データベース
17a テーブル
18 スピーカ
19 マイク
20 サーバ
25、26、27 無線基地局
35 ネットワーク
100 通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の他の通信端末と通話する通信端末であって、
前記他の通信端末との通話時に、入力された音声データを前記他の通信端末との通話に対応する翻訳先の言語の選択操作の入力を受け付ける入力部と、
前記翻訳先の言語の選択操作の入力の開始時に、前記他の通信端末との通話の通話状態を保留状態に移行する制御部と、を備える通信端末。
【請求項2】
請求項1に記載の通信端末であって、
前記制御部からの指示に応じた情報を、前記他の通信端末に送信する通信部と、を更に備え、
前記制御部は、前記保留状態において前記翻訳先の言語の選択操作の入力の終了時に、前記通話状態を再開する旨の情報の送信を指示する通信端末。
【請求項3】
請求項2に記載の通信端末であって、
前記制御部は、前記選択された前記翻訳先の言語に応じて、前記通話状態を再開する旨の情報の送信を前記通信部に指示する通信端末。
【請求項4】
請求項1に記載の通信端末であって、
前記保留状態に移行してからの保留継続時間を計測するタイマと、
前記計測された保留継続時間と、前記保留継続時間に応じた前記通話状態を再開する旨の情報とを含むテーブルを記憶するデータベースと、を更に備え、
前記制御部は、前記テーブルを参照し、前記選択された前記翻訳先の言語、及び前記タイマにより計測された保留継続時間に応じた前記通話状態を再開する旨の情報の送信を指示する通信端末。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の通信端末であって、
前記入力された音声データ又は前記通話状態を再開する旨の情報を、前記選択された翻訳先の言語に翻訳する自動翻訳機能部を含むサーバに接続されている通信端末。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の通信端末であって、
前記入力された音声データ又は前記通話状態を再開する旨の情報を、前記選択された翻訳先の言語に翻訳する自動翻訳機能部と、を更に備える通信端末。
【請求項7】
1つ又は複数の他の通信端末と通話する通信端末における通信方法であって、
前記他の通信端末との通話時に、入力された音声データを前記他の通信端末との通話に対応する翻訳先の言語の選択操作の入力を受け付けるステップと、
前記翻訳先の言語の選択操作の入力の開始時に、前記他の通信端末との通話の通話状態を保留状態に移行するステップと、を備える通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−26779(P2013−26779A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158978(P2011−158978)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】