説明

通信端末装置、および同装置における制御方法、ならびに通信システム

【課題】接続情報の不整合により通信機能が使用できなくなる弊害を解消する。
【解決手段】サーバ装置(サーバ30)とは無線通信回線経由で接続される、あらかじめ接続情報が初期設定された通信端末装置(携帯電話10)であって、サーバ装置との通信開始時に通信要求を送信し、サーバ装置から送信されるパケットに含まれる特定の情報を識別して前記接続情報の整合状態を判定し、当該判定の結果、サーバ装置と整合状態にあると判定されると、サーバ装置との通信を継続して実行し、不整合状態にあると判定されると、サーバ装置との間での接続情報の初期設定処理を実行する制御部2を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末装置、および同装置における制御方法、ならびに通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の通信端末装置を購入後、サーバ装置(以下、単にサーバという)との間でEメール、Web(World Wide Web)閲覧、ダウンロード等の通信を行う場合には、あらかじめ端末情報をサーバに登録して初期設定を行い、サーバから各種接続情報を取得する必要がある。
【0003】
この初期設定に関して設定完了/未完了に関する状態は、通信端末装置内部およびサーバ上で管理されている。このため、サーバのメンテナンスやネットワークの構成変更に伴い、サーバの初期設定状態が未完了状態になることがあり、その場合、通信端末装置は、再度初期設定を行い、接続情報を更新しない限り、以後サーバへの接続が出来なくなる。なお、ここで、初期設定は、携帯電話の購入時の初回接続時のみ電話番号情報に依存した接続情報(PPP接続のためのID、パスワード等)を取得するために実行するものとする。
【0004】
上記した通信端末装置において、従来、端末情報をサーバに登録して初期設定を行うとともに、サーバと接続を行う場合には接続情報に基づく認証を行い、当該認証が成立した場合にサーバとの通信が許可され、各種データのダウンロード等を可能にする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−107660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したダウンロード等の通信を行う場合、通常はサーバで事前に接続情報の認証が実行されるが、例えば、図7(a)〜(c)の画面遷移図に示されるように、ダウンロード画面に遷移した状態(図7(b))からダウンロードを実行するまでの間にサーバがメンテナンスを開始した場合、あるいは、サーバがメンテナンスしている状態でダウンロード画面をキャッシュ表示してダウンロードを開始した場合等、認証が実行されることなく通信処理を開始することがある。
この場合、サーバ側で認証されないにもかかわらず通信が開始された状態になるため、通信端末装置側では通信中の画面表示が継続してエレベータアイコンによるダウンロードの進捗が進展せずフリーズ状態となって(図7(c))、以降、通信機能が使用できなくなるといった弊害が生じる。
【0006】
本発明は、接続情報の不整合により通信機能が使用できなくなる弊害を解消した、通信端末装置および同装置における制御方法、ならびに通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために本発明の第1の観点に係る通信端末装置は、サーバ装置と通信可能な通信部と、前記サーバ装置との接続情報の整合状態を判定し、前記サーバ装置と不整合状態にあると判定されると、前記通信部による前記サーバ装置との通信開始時に前記サーバ装置との間で前記接続情報の初期設定処理を実行する制御部と、を有する。
【0008】
また、本発明の第1の観点に係る通信端末装置において、前記制御部は、前記サーバ装置との整合状態を判定する整合判定部と、前記通信部による前記サーバ装置との通信開始時に、前記整合判定部により前記サーバ装置と不整合状態にあると判定されると、前記サーバ装置との間での初期設定処理を実行する初期設定処理部と、を有してもよい。
【0009】
また、本発明の第1の観点に係る通信端末装置において、前記制御部は、前記通信部による前記サーバ装置との通信開始時に、前記整合判定部で前記サーバ装置と整合状態にあると判定されると、前記サーバ装置との通信を継続して実行するように構成してもよい。
【0010】
また、本発明の第1の観点に係る通信端末装置において、前記制御部は、前記通信部による前記サーバ装置との通信開始時に、前記整合判定部により前記サーバ装置と不整合状態にあると判定されると、前記サーバ装置と不整合状態にあることを報知するように構成してもよい。
【0011】
また、本発明の第1の観点に係る通信端末装置において、前記整合判定部は、前記通信部による前記サーバ装置との通信開始時に、前記サーバ装置から送信されるパケットに含まれる特定の情報を識別して前記整合状態を判定するように構成してもよい。
【0012】
上記した課題を解決するために本発明の第2の観点は、サーバ装置とは通信回線経由で接続される、あらかじめ接続情報が初期設定された通信端末装置における制御方法であって、前記サーバ装置との通信開始時に通信要求を送信するステップと、前記サーバ装置から送信されるパケットに含まれる特定の情報を識別して前記接続情報の整合状態を判定するステップと、前記判定の結果、前記サーバ装置と整合状態にあると判定されると、前記サーバ装置との通信を継続して実行し、不整合状態にあると判定されると、前記サーバ装置との間での前記接続情報の初期設定処理を実行するステップと、を有する。
【0013】
上記した課題を解決するために本発明の第3の観点に係る通信システムは、通信端末装置により登録される接続情報の初期設定にしたがう認証を行い、前記認証が成立すると所望の情報を配信するサーバ装置と、前記サーバ装置とは通信回線経由で接続され、前記サーバ装置との通信開始時に、前記サーバ装置から送信されるパケットに含まれる特定の情報を識別して前記接続情報の整合性を判定し、前記サーバ装置と整合状態にあると判定されると前記サーバ装置との通信を継続して実行し、前記サーバ装置と不整合状態にあると判定されると前記サーバ装置との間での初期設定処理を実行する前記通信端末装置と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接続情報の不整合により通信機能が使用できなくなる弊害を解消した、通信端末装置および同装置における制御方法をならびに通信システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る通信端末装置の内部構成を示すブロック図である。こでは、通信端末装置の一例として携帯電話10が示されている。
図1に示されるように携帯電話10は、通信部1と、制御部2と、記憶部3と、音声処理部4と、表示部5と、操作部6とにより構成される。
【0016】
通信部1は、不図示のサーバ装置と通信可能な形態(例えば、ブラウザを内蔵してインターネット接続環境を有する)で接続され、また、不図示の基地局のいずれかによって割り当てられるチャネルを用い、当該基地局との間で無線通信回線を介して無線信号の送受信を行う。
【0017】
制御部2は、サーバ装置との接続情報の整合状態を判定し、通信部1によるサーバ装置との通信開始時に、サーバ装置と不整合状態にあると判定されると、サーバ装置との間での初期設定処理を実行する機能を有し、このため、制御部2は、アプリ実行制御部21と、通信処理部22と、報知処理部23とにより構成される。
ここで、サーバ装置との接続情報は、携帯電話10の購入後などに行われる初期設定によりサーバから取得されて、電話番号情報や端末情報などに依存した接続情報(PPP接続のためのID、パスワード等)である。
【0018】
アプリ実行制御部21は、待受けアプリ211、ダウンロードアプリ212、ブラウザアプリ213等、携帯電話10に備え付けの各種アプリケーションプログラムを実行する機能を有する。
【0019】
また、通信処理部22は、上記したアプリケーションプログラムの実行環境と端末ハードウェアとを繋ぐOEM(Original Equipment Manufacture)層の制御を行うOEM層管理部221と、TCP(Transmission Control Protocol)に基づく通信処理を行うサービス層管理部222とにより構成される。
ここでは、サービス層管理部222には、サーバ装置との整合状態を判定する整合判定部222aが、OEM層管理部221には、通信部1による不図示のサーバ装置との通信開始時に、サービス層管理部222の整合判定部222aによりサーバ装置と不整合状態にあると判定されると、サーバ装置との間での初期設定処理を実行する初期設定処理部221aが、それぞれ実装される。
【0020】
なお、報知処理部23は、通信部1によるサーバ装置(以下、単にサーバという)との通信開始時に、サービス層管理部222に実装された整合判定部222aによりサーバと不整合状態にあると判定されると、サーバと不整合状態にあることを、音声処理部4もしくは表示部5を介して報知する機能を有する。
【0021】
一方、記憶部3には、制御部2(アプリ実行制御部21)が実行する上記したアプリケーションプログラムや、当該アプリケーションプログラムが参照するテーブル、あるいは作業領域として使用するデータのそれぞれが格納される記憶領域が割り付けられ、例えば、不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成されるものとする。
【0022】
また、音声処理部4は、スピーカ(SP)から出力される音声信号やマイクロフォン(MIC、以下マイクという)を介して入力される音声信号の処理を行う。
すなわち、音声処理部4は、マイクから入力される音声を増幅し、アナログ/デジタル変換を行い、更に符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部2に出力する。
また、音声処理部4は、制御部2から供給される音声データに復号化、デジタル/アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してスピーカに出力する。
【0023】
表示部5は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display Device)パネルや有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどの表示デバイスを用いて構成されており、制御部2から供給される映像信号に応じた画像を表示する。
例えば、表示部5は、携帯電話機発信時における発信先の電話番号、着信時における着信相手の電話番号、受信メールや送信メールの内容、日付、時刻、アンテナレベル、バッテリ残量等のピクト、発信成否、待ち受け画面などの各種の情報や画像を表示する。
【0024】
また、操作部6は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キーなど、各種の機能が割り当てられたキーを有しており、これらのキーがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部2に入力する。
【0025】
図2は、本発明の実施の形態1に係る通信端末装置の動作を説明するめに示したシーケンス図であり、図1に示す制御部2のアプリ実行制御部21(待受けアプリ211、ブラウザアプリ213、ダウンロードアプリ212)と、通信処理部22(OEM層管理部221、サービス層管理部222)と、サーバ30との関係が示されている。また、図3(a)〜(f)は、本発明の実施の形態1に係る通信端末装置の画面遷移の一例を示す図である。
以下、図2のシーケンス図と、図3の画面遷移図を参照しながら、図1に示す本発明の実施の形態1に係る通信端末装置の動作について詳細に説明する。
【0026】
携帯電話10(制御部2)は、電源投入直後、表示部5に不図示の待受け画面を表示しているものとする。このとき、制御部2のアプリ実行制御部21は、記憶部3から待受けアプリ211を読み出し実行している。
続いて、ユーザが操作部6を操作して待受け画面に表示されたメニューの中から不図示の「Web閲覧」を選択することにより、制御部2は、アプリ実行制御部21を起動してブラウザアプリ213を実行(起動要求)し(ステップS201)、表示部5に、例えば図3(a)に示すブラウザ画面を表示する。ここで、ユーザにより、ダウンロードのリンクが選択された場合(ステップS202)、アプリ実行制御部21は、記憶部3からダウンロードアプリ212を読み出して実行(起動要求)し(ステップS203)、ダウンロード処理を実行するためにサーバ30と通信を行うための手続きを開始する。
【0027】
アプリ実行制御部21は、ダウンロードアプリ212にしたがい、通信処理部22のOEM層管理部221に対してダウンロード要求を発行する(ステップS204)。これを受けたOEM層管理部221は、サービス層管理部222に対して送信要求を発行する(ステップS205)。
サービス層管理部222は、OEM層管理部221から送信要求を受信することにより、あらかじめ設定された接続情報に基づきサーバ30との間で通信チャネル確立のための通信(パケット送信)を行う(ステップS206)。サーバ30では接続情報に基づく認証処理を実行し、応答として要求のあった携帯電話10に対して無線通信回線経由で応答パケットを送信する(ステップS207)。
【0028】
応答パケットは、通信部1を介して制御部2(通信処理部22)のサービス層管理部222にて受信される。ここで、サービス層管理部222は、応答パケットを受信して、そのパケットに含まれる特定の情報である、例えば、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)にしたがうステータス情報やヘッダ情報を識別して整合性のための判定を行う(ステップS208)。
【0029】
接続情報の整合判定処理の詳細は図4にフローチャートで示されている。図4のフローチャートに示されるように、サービス層管理部222の整合判定部222aは、サーバ30の応答パケットから特定のステータスコード、およびヘッダ情報に含まれる特定のデータを検知することにより(ステップS2081“Yes”)、内部状態を不整合状態に変更する(ステップS2082)。また、応答パケットに特定のステータスコードやヘッダ情報が含まれない場合は(ステップS2081“No”)、内部状態を整合状態に変更して次の処理に進む(ステップS2083)。
つまり、サーバ30は、接続情報に基づく認証処理の結果、認証できなかった場合には、特定のステータスコードや特定のデータを有するステータス情報やヘッダ情報を含む応答パケットを送信し、整合判定部222aは、受信した応答パケットのステータス情報やヘッダ情報に特定のステータスコードや特定のデータが含まれる場合にサーバと不整合が発生していると判定する。また、整合判定部222aは、受信した応答パケットのステータス情報やヘッダ情報に特定のステータスコードや特定のデータが含まれていない場合には、サーバと不整合が発生していないと判定する。上記した整合判定処理の後、サービス層管理部222は、OEM層管理部221に対して受信通知を発行する(図2のステップS209)。
【0030】
一方、ダウンロードアプリ212実行中のアプリ実行制御部21は、ダウンロード要求の発行を契機にタイマ監視を行っており、タイマによる所定時間経過後(ステップS210)、通信処理部22のサービス層管理部222に対して整合性の判定結果を問い合わせる(ステップS211)。これを受けたサービス層管理部222は、先に実行した整合性判定の結果をダウンロードアプリ212に引き渡す(ステップS212)。
【0031】
ここで、サービス層管理部222(整合判定部222a)により整合性判定処理の結果、サーバ30と整合状態にあると判定された場合、携帯電話10は、サーバ30との通信を継続して実行し、サーバ30と不整合状態にあると判定された場合は、サーバ30との間での初期設定処理を実行する。
この初期設定処理を実行する際、アプリ実行制御部21(ダウンロードアプリ212)は、ブラウザアプリ213に対し、初期設定起動要求を発行し(ステップS213)、これを受けたブラウザアプリ213は、通信処理部22のOEM層管理部221に対して初期設定要求を発行する(ステップS214)。
同時に、ブラウザアプリ213は、表示部5に対して図3(d)に示すメッセージ「不整合状態のため初期設定を行います」を表示してユーザに通知する。すなわち、報知処理部23は、通信部1によるサーバ30との通信開始時に、整合判定部222aによりサーバ30と不整合状態にあると判定されると、サーバ30と不整合状態にあることを表示部5に報知する。勿論、音声処理部4による音声で代替してもよい。
【0032】
初期設定要求を受信したOEM層管理部221は、実装された初期設定処理部221aにて初期設定処理を実行する(ステップS215)。なお、初期設定処理中、ブラウザアプリ213は、表示部5に対し、図3(e)に示す初期設定画面(初期設定中です。暫くお待ち下さい)を表示してユーザに初期設定中であることを通知する。
一方、OEM層管理部221は、サービス層管理部222に対し、初期設定処理に基づく通信要求を発行する(ステップS216)。これを受けたサービス層管理部222は、通信部1を制御して、無線通信回線経由でサーバ30に初期設定処理のためのパケット送信を行う(ステップS217)。
【0033】
サーバ30は、通信処理部22からの初期設定処理のためのパケットを受信すると、そのパケットに含まれる携帯電話10の電話番号などの端末情報を識別し、この端末情報を図示しない記憶部に記憶して登録するとともに、携帯電話10が通信を行う際に必要となる接続情報(PPP接続のためのID、パスワード、接続先IPアドレス、など)を設定する。これら接続情報は、携帯電話10からの通信要求時における認証処理などに使用される。
そして、サーバ30は、パケットを受信して無線通信回線経由で携帯電話10の通信部1に対しその設定された接続情報を含む応答パケットを送信し(ステップS218)、通信部1は、通信処理部22のサービス層管理部222に応答パケットを転送し、サービス層管理部222は、OEM層管理部221に対して受信通知を発行する(ステップS219)。なお、サービス層管理部222は、受信した応答パケットに含まれる接続情報を記憶部3に記憶させる。
これを受けたOEM層管理部221は、アプリ実行制御部21(ブラウザアプリ213)に対して初期設定完了通知を発行し(ステップS220)、アプリ実行制御部21は、この初期設定完了通知の受信により初期設定の終了を判定する。この初期設定処理の終了に伴い、ブラウザアプリ213は、表示部5に対し、図3(f)に示す初期設定画面に対し初期設定が正常に終了した旨のメッセージを表示する。続いてアプリ実行制御部21は、待受けアプリ211を起動することにより、表示部5は、不図示の待受け画面に遷移する(ステップS221)。
【0034】
以上説明のように上記した実施の形態1によれば、携帯電話10とサーバ30が有する接続情報に不整合が生じても、ユーザ操作なしにブラウザアプリ213を起動することにより初期設定処理を行い、携帯電話10とサーバ30の接続情報の整合をとることにより、ダウンロード画面がフリーズして画面が更新されないといった問題を解決することができる。このため、ブラウザの通信機能を使用するダウンロード等のアプリにて、以後、通信機能が使用できなくなる弊害を解消することが可能になる。
なお、図3に示した画面遷移例によれば、初期設定完了後、待受け画面に遷移するようにしたが、ダウンロード直前のコンテンツURL(Uniform Resource Locator)を、不図示のアプリケーションマネージャー等にて保持しておくことにより、初期設定完了後、ダウンロード直前の画面に遷移させることも可能である。
【0035】
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の形態2に係る通信端末装置の内部構成を示すブロック図である。図1に示す実施の形態1との差異は、図1に示す実施の形態1では整合判定部222aがサービス層(サービス層管理部222)に実装されていたのに対し、ここに示す実施の形態2では、OEM層(OEM層管理部221)に実装したことにある。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0036】
図6は、本発明の実施の形態2に係る通信端末装置の動作を説明するめに示したシーケンス図であり、図5に示す制御部2のアプリ実行制御部21(待受けアプリ211、ダウンロードアプリ212、ブラウザアプリ213)と、通信処理部22(OEM層管理部221、サービス層管理部222)と、サーバ30との関係が示されている。
以下、図6のシーケンス図を参照しながら、図5に示す本発明の実施の形態2に係る通信端末装置の動作について詳細に説明する。
【0037】
携帯電話10(制御部2)は、まず、アプリ実行制御部21を起動してブラウザアプリ213を実行(起動要求)しており(ステップS601)、ここで、ブラウザの通信機能を利用するダウンロードアプリ212が起動された場合(ステップS602)、アプリ実行制御部21は、記憶部3からダウンロードアプリ212を読み出して実行(起動要求)し(ステップS603)、ダウンロード処理を実行するためにサーバ30と通信を行うための手続きを開始する。
アプリ実行制御部21は、ダウンロードアプリ212にしたがい、通信処理部22のOEM層管理部221に対してダウンロード要求を発行する(ステップS604)。これを受けたOEM層管理部221は、サービス層管理部222に対して送信要求を発行する(ステップS605)。
【0038】
サービス層管理部222は、OEM層管理部221から送信要求を受信することにより、あらかじめ設定された接続情報に基づきサーバ30との間で通信チャネル確立のための通信(パケット送信)を行う(ステップS606)。サーバ30では接続情報に基づく認証処理を実行し、応答として要求のあった携帯電話10に対して不図示の無線通信回線経由で応答パケットを送信する(ステップS607)。
応答パケットは、通信部1を介して制御部2(通信処理部22)のサービス層管理部222にて受信される。ここで、サービス層管理部222は、OEM層管理部221に対して受信通知を発行し(ステップS608)、OEM層管理部221は、当該受信通知を受け、整合判定部221bにて接続情報の整合判定を行う(ステップS609)。すなわち、整合判定部221bは、応答パケットに含まれる特定の情報である、例えば、HTTPにしたがうステータス情報やヘッダ情報を識別して整合性のための判定を行う。接続情報の整合判定処理(ステップS609)は、図4にフローチャートで示した実施の形態1と同様であるため、重複を回避する意味でここでの説明は省略する。
【0039】
一方、ダウンロードアプリ212実行中のアプリ実行制御部21は、ダウンロード要求の発行を契機にタイマ監視を行っており、タイマによる所定時間経過後(ステップS610)、通信処理部22のOEM層管理部221に対して整合性の判定結果を問い合わせる(ステップS611)。これを受けたOEM層管理部221は、先に整合判定部221bで実行した整合判定の結果をダウンロードアプリ212に引き渡す(ステップS612)。
OEM層管理部221(整合判定部221b)による整合性判定処理の結果、サーバ30と整合状態にあると判定された場合は、携帯電話10は、サーバ30との通信を継続して実行し、サーバ30と不整合状態にあると判定された場合は、サーバ30との間での初期設定処理を実行する。この初期設定処理を実行する際、アプリ実行制御部21(ダウンロードアプリ212)は、ブラウザアプリ213に対し、初期設定起動要求を発行し(ステップS613)、これを受けたブラウザアプリ213は、通信処理部22のOEM層管理部221に対して初期設定要求を発行する(ステップS614)。
【0040】
初期設定要求を受信したOEM層管理部221は、実装された初期設定処理部221aにて初期設定処理を実行する(ステップS615)。初期設定処理終了後、OEM層管理部221は、サービス層管理部222に対し、初期設定処理に基づく送信要求を発行する(ステップS616)。これを受けたサービス層管理部222は、通信部1を制御して、不図示の無線通信回線経由でサーバ30にパケット送信を行う(ステップS617)。
サーバ30は、パケットを受信して無線通信回線経由で携帯電話10の通信部1に対しその応答パケットを送信し(ステップS618)、これを無線通信回線経由で受信した携帯電話10の通信部1は、通信処理部22のサービス層管理部222に応答パケットを転送し、これを受けたサービス層管理部222は、OEM層管理部221に対して受信通知を発行する(ステップS619)。また、OEM層管理部221は、アプリ実行制御部21(ブラウザアプリ213)に対して初期設定完了通知を発行し(ステップS620)、続いて待受けアプリ211を起動することにより、表示部5は、不図示の待受け画面に遷移する(ステップS621)。
【0041】
以上説明のように上記した実施の形態2によれば、実施の形態1同様、携帯電話10とサーバ30が有する接続情報に不整合が生じても、ユーザ操作なしにブラウザアプリ213を起動することにより初期設定処理を行い、携帯電話10とサーバ30との接続情報の整合をとることにより、ダウンロード画面がフリーズして画面が更新されないといった問題を解決することができる。このため、ブラウザの通信機能を使用するダウンロード等のアプリにて、以後、通信機能が使用できなくなる弊害を解消することが可能になる。
【0042】
なお、本発明の通信端末装置における制御方法は、サーバ装置(サーバ30)とは通信回線経由(図示省略)で接続される、あらかじめ接続情報が初期設定された通信端末装置(携帯電話10)における制御方法であって、例えば、図2に示すシーケンス図において、前記サーバ装置との通信開始時に通信要求を送信するステップ(S201〜S206)と、前記サーバ装置から送信されるパケットに含まれる特定の情報を識別して前記接続情報の整合状態を判定するステップ(S208〜S212)と、前記判定の結果、前記サーバ装置と整合状態にあると判定されると、前記サーバ装置との通信を継続して実行し、不整合状態にあると判定されると、前記サーバ装置との間での前記接続情報の初期設定処理を実行するステップ(S213〜S221)と、を有するものである。
【0043】
本発明の通信端末装置における制御方法によれば、メンテナンス等によりサーバ装置の接続情報の初期設定状態が未完了状態にあっても、通信端末装置がダウンロード等の通信処理を実行する際に、ユーザ操作なしに初期設定を行わせることにより接続情報の不整合状態を回避し、このことにより、その後の通信処理を正常動作させることができる。したがって、接続情報の不整合により通信機能が使用できなくなる弊害を解消することができる。
【0044】
なお、上記した本発明の実施の形態1、2によれば、通信端末装置として携帯電話10を例示したが、携帯電話10に限らず、PDA(Personal Digital Assistants)、やゲーム機等にも同様に適用が可能である。また、通信端末装置が有する各構成ブロックの機能は、全てをソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。例えば、制御部2を構成する、アプリ実行制御部21、通信処理部22、報知処理部23におけるデータ処理は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現してもよく、また、その少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
また、上記した本発明の実施の形態1、2によれば、通信端末装置(携帯電話)10とサーバ装置とは無線通信回線経由で接続される構成としたが、無線通信に限らず、有線通信回線経由で接続される構成であってもよい。
また、上記した本発明の実施の形態1、2によれば、ステップS215又はステップS615での初期設定処理に伴う初期設定処理が完了した後は、待受けアプリ211を起動して待受け画面に遷移する、又はダウンロ一ド直前の画面に遷移する構成としたが、この構成に限らず、初期設定完了後にアプリ実行制御部21(ブラウザアプリ213)は、ダウンロード処理を実行すべく、ステップS203又はステップS603以降の処理を自動的に行うようにしてもよい。
また、通信処理部22は、初期設定処理が完了した後に整合判定部222a、221bにて内部状態を整合状態に変更するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態1に係る通信端末装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る通信端末装置の動作を示すシーケンス図である。
【図3】図2に示す整合判定処理の詳細手順をフローチャートで示した図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る通信端末装置の画面遷移の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る通信端末装置の内部構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る通信端末装置の動作を示すシーケンス図である。
【図7】従来の通信端末装置の画面遷移の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1…通信部、2…制御部、3…記憶部、4…音声処理部、5…表示部、6…操作部、10…携帯電話、21…アプリ実行制御部、22…通信処理部、23…報知処理部、30…サーバ、211…待受けアプリ、212…ダウンロードアプリ、213…ブラウザアプリ、221…OEM層管理部、221a…初期設定処理部、222…サービス層管理部、221b、222a…整合判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置と通信可能な通信部と、
前記サーバ装置との接続情報の整合状態を判定し、前記サーバ装置と不整合状態にあると判定されると、前記通信部による前記サーバ装置との通信開始時に前記サーバ装置との間で前記接続情報の初期設定処理を実行する制御部と、
を有することを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記サーバ装置との整合状態を判定する整合判定部と、
前記通信部による前記サーバ装置との通信開始時に、前記整合判定部により前記サーバ装置と不整合状態にあると判定されると、前記サーバ装置との間での初期設定処理を実行する初期設定処理部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記通信部による前記サーバ装置との通信開始時に、前記整合判定部で前記サーバ装置と整合状態にあると判定されると、前記サーバ装置との通信を継続して実行する
ことを特徴とする請求項2記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記通信部による前記サーバ装置との通信開始時に、前記整合判定部により前記サーバ装置と不整合状態にあると判定されると、前記サーバ装置と不整合状態にあることを報知する
ことを特徴とする請求項2記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記整合判定部は、
前記通信部による前記サーバ装置との通信開始時に、前記サーバ装置から送信されるパケットに含まれる特定の情報を識別して前記整合状態を判定する
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載の通信端末装置。
【請求項6】
サーバ装置とは通信回線経由で接続される、あらかじめ接続情報が初期設定された通信端末装置における制御方法であって、
前記サーバ装置との通信開始時に通信要求を送信するステップと、
前記サーバ装置から送信されるパケットに含まれる特定の情報を識別して前記接続情報の整合状態を判定するステップと、
前記判定の結果、前記サーバ装置と整合状態にあると判定されると、前記サーバ装置との通信を継続して実行し、不整合状態にあると判定されると、前記サーバ装置との間での前記接続情報の初期設定処理を実行するステップと、
を有することを特徴とする通信端末装置における制御方法。
【請求項7】
通信端末装置により登録される接続情報の初期設定にしたがう認証を行い、前記認証が成立すると所望の情報を配信するサーバ装置と、
前記サーバ装置とは通信回線経由で接続され、前記サーバ装置との通信開始時に、前記サーバ装置から送信されるパケットに含まれる特定の情報を識別して前記接続情報の整合性を判定し、前記サーバ装置と整合状態にあると判定されると前記サーバ装置との通信を継続して実行し、前記サーバ装置と不整合状態にあると判定されると前記サーバ装置との間での前記接続情報の初期設定処理を実行する前記通信端末装置と、
を有することを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−244855(P2008−244855A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82673(P2007−82673)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】