説明

通信経路制御装置

【課題】
インターネット等のパケット網を用い、音声データをIPパケットデータ化し、低コストでの従来回線交換サービスと同等の通話サービスを提供する。
【解決手段】
一般電話機5やPSTN8を収容する従来回線部11と、パケット網との呼制御を行うIP呼制御部14と、音声データとパケット音声データの相互変換を行う音声変換部13と、前記従来回線部11と前記IP呼制御部14と前記音声変換部13それぞれの交換制御を行う交換制御部12とからなり、PSTN8等からのパケット網への呼制御情報は、従来回線部11で受信後、交換制御部12によってIP呼制御部14へ伝達され、パケット網に準じた呼制御データに変換され、PSTN8等からのパケット網への音声データは、従来回線部11で受信後、交換制御部12によって音声変換部13へ伝達され、パケット網に準じた音声データに変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターネット網や、構内LAN等のイントラネットのようなパケット網と、公衆回線交換網とに接続されている端末装置間を通信させる交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の公衆電話網において、最も多く使用されている機器はアナログ電話機である。また、公衆電話網に接続される交換機(PBX)は多くの特別な機能を有し、アナログ電話機を内線電話として直接PBXに接続して多彩なサービスを行えるようにもしている。
【0003】
そして一方では、交換機を介して公衆電話網とインターネットを接続し、インターネットを用いた音声通信(Voice over Internet Protocol:VoIP)が可能となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11ー191791号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような状況においても、公衆電話網、内線電話機、インターネットやITU−T勧告H.323対応端末61(以下IP電話機という)等を収容し、インターネットのようなパケット交換網においても、発呼された電話番号をパケット網上での番号にアドレス変換する処理、呼び出し処理や呼の接続処理等を行うとともに、交換機間で多彩な情報を伝達するのに有効であるSS7シグナリング信号(従来の公衆電話網においては、通話は端局が呼に関係するようになるまで、SS7シグナリング(NO.7)信号によって伝達され、各々の端局によって管理されていた。)をパケット交換網へ適用することも必要とされている。
【0006】
例えば、SS7シグナリング信号を用いると局内転送(PBXをまたがる通信の転送)や局間での発信者番号通知、事業所用PHSのローミングなど、PBXネットワーク機能をIPネットワーク上で実現することが可能になる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、従来の交換機の機能を有しながら、インターネットのようなパケット網に接続可能で、接続された内線電話機がパケット網を用いた音声通信を行っても、従来の公衆網接続サービスと同等のサービスを提供できるように、呼制御情報と音声情報とを別々に管理するとともに、インターネットのようなパケット網を介して交換機間で通信する場合においてもSS7シグナリングで情報を伝達しあえる交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の発明は、パケット網に接続し通話可能な電話機であって、特定の交換機とインタフェースをとる手段と、所定の標準規格に準拠したインタフェースをとる手段と、前記特定の交換機とインタフェースをとる手段と、前記所定の標準規格に準拠したインタフェースをとる手段とを切り替える手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の発明は、第1の発明の電話機であって、複数の物理ポートと、前記複数の物理ポート間のスイッチングを行うスイッチ手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、従来のように特定の交換機の内線電話機としての使用にとどまらず、特定の交換機にしばられないITU−T勧告等の標準規格に準拠しての仕様など、特定交換機の介在しないシステムにおいても通話が行える電話機を提供することができる(電話機として複数のインタフェースプロトコルに適用できるようになる)。また、電話機に複数の物理ポートとスイッチング機能が備わったことで、当該電話機を介して他の複数の装置をパケット網に接続したり、スイッチングしたりすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の交換装置を用いたシステム構成図である。
【図2】本発明の交換装置の内部ブロック図である。
【図3】本発明の交換装置を用いた通信システムの第1の接続形態を示す図である。
【図4】本発明の交換装置を用いた通信システムの第2の接続形態を示す図である。
【図5】本発明の交換装置を用いた通信システムの第3の接続形態を示す図である。
【図6】本発明の交換装置を用いた通信システムの第4の接続形態を示す図である。
【図7】本発明の交換装置を用いた通信システムの第5の接続形態を示す図である。
【図8】本発明の交換装置を用いた通信システムの第6の接続形態を示す図である。
【図9】本発明の交換装置を用いた通信システムの第7の接続形態を示す図である。
【図10】本発明の交換装置を用いた通信システムの第8の接続形態を示す図である。
【図11】本発明の交換装置を用いた通信システムの第9の接続形態を示す図である。
【図12】NO.7共通信号線メッセージの一覧を示す図である。
【図13】H.323メッセージの一覧を示す図である。
【図14】NO.7共通信号線メッセージとH.323メッセージの変換対応を示す図である。
【図15】本発明の交換装置と独自手順にて接続される端末装置との接続構成を示す図である。
【図16】接続シーケンスにおける信号線を説明する図である。
【図17】本発明の交換装置を介した端末装置間接続シーケンスを示す図である。
【図18】本発明の交換装置を介した端末装置間接続シーケンスを示す図である。
【図19】本発明の交換装置を介した端末装置間接続シーケンスを示す図である。
【図20】本発明の交換装置を介した端末装置間接続シーケンスを示す図である。
【図21】本発明の交換装置を介した端末装置間接続シーケンスを示す図である。
【図22】LAN側送受信、独自データフレーム形式を示す図である。
【図23】独自データのデータフォーマットを示す図である。
【図24】IP-MFT用IPアドレステーブルを示す図である。
【図25】プロトコル変換部のメッセージ変換動作を示すシーケンス図である。
【図26】プロトコル変換部のメッセージ変換動作を示すシーケンス図である。
【図27】プロトコル変換部のメッセージ変換動作を示すシーケンス図である。
【図28】プロトコル変換部のメッセージ変換動作を示すシーケンス図である。
【図29】プロトコル変換部のメッセージ変換動作を示すシーケンス図である。
【図30】個別メッセージの伝達シーケンスを示す図である。
【図31】個別メッセージの伝達シーケンスを示す図である。
【図32】個別メッセージの伝達シーケンスを示す図である。
【図33】共通メッセージの伝達シーケンスを示す図である。
【図34】共通メッセージの伝達シーケンスを示す図である。
【図35】IPパケットデータのフレームフォーマットを示す図である。
【図36】本発明のIP-MFTの第1の実施形態(MFT部)を示す図である。
【図37】本発明のIP-MFTの第1の実施形態(IPADP部)を示す図である。
【図38】本発明のIP-MFTの通信までの動作を示す接続シーケンス図である。
【図39】本発明のIP-MFTの通信までの動作を示す接続シーケンス図である。
【図40】本発明のIP-MFTの第2の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に本発明である交換装置を用いたシステム構成を示す。本発明である交換機1は公衆交換網8(以下PSTNという)と接続され、複数のアナログ端末5(以下電話機という)と、複数のLAN(Local Area Network)通信用のHUB2を収容している。集線装置(Concentrator)であるHUB2は社内、構内用のLANケーブル7を通じてITU−T勧告H.323対応端末61(以下IP電話機という)と、交換機1との独自のインタフェースを持つIP多機能電話機62(以下IP−MFTという)および、一般的なIPルーターであるルーター3が接続されている。ルーター3は、異なるネットワーク同士を相互接続するネットワーク機器であり、通信経路が記述されたルーティングテーブルに従って、デジタルデータ(音声等)を宛先のネットワークまで中継する。そして、ルーター3を介して交換機1はInternet Protocol網4(以下IP網という)と接続されている。
【0013】
図2に本発明の交換機1の内部ブロック図を示す。交換機1内には従来の通りの電話交換機能と同様の機能を実現するための従来回線部11(以下EX部という)と、LANやIP網4との呼制御を行うIP呼制御部14(以下SC部という)、アナログデータとパケットデータの変換を行う音声変換部13(以下VC部という)と、EX部11、SC部14およびVC部13それぞれの交換制御を行う交換制御部12(以下CC部という)とを備える。
【0014】
従来回線部であるEX部11内には、PSTN8との電気的インタフェースを合わせ、通信を行う局線インタフェース部111(以下COTという)と、電話機5との電気的インタフェースを合わせ、通信を行う電話機インタフェース部112(以下LINEという)と、CC部12によって制御され、PSTN8、電話機5、および後述するVC部13からのデータの交換処理を行う時分割スイッチ部113(以下TSWという)とを備える。
【0015】
EX部11、SC部14およびVC部13のそれぞれの交換制御を行うCC部12内には、PSTN8や専用線インタフェースとの接続制御を行っているEX制御部121と、IP網4との呼制御を行うSC部を制御し、チャネル毎の呼状態を管理、着信可否判定等を行うSC制御部122と、音声変換を行う複数のVC部13を制御するVC制御部123とを備えている。VC制御部123はチャネル毎のIPアドレスの管理する。チャネル毎に設定されている接続可能符号化方式やパケット多重数を管理し、呼接続時にその条件で接続可否の判定を行うチャネル毎接続条件管理機能と、チャネル毎の呼状態を管理して着信可否の判定を行うチャネル状態管理機能と、接続方路によりVC部13がチャネルの捕捉が必要か否かを判定し、チャネル捕捉/解除を行いチャネルの有効活用を行う機能を有している。
【0016】
CC部12が、EX部11から通知される電話番号とパケット網内のアドレスであるIPアドレスの相互変換(予め変換する電話番号とIPアドレスは設定しておく必要がある)を行い、SC部14を通じてPSTN8とパケット網間の接続を制御している。
【0017】
すなわち、PSTN8とパケット網に接続されている端末間の通信は、従来の交換機の着信機能でいうところのDirect in Line(DIL)方式と同等の機能で接続されていることになる。
【0018】
DILとは、交換機1に収容してある特定の局線について、その局線に着信があった場合、予め指定してある内線あるいは内線グループに直接着信させる機能のことである。
【0019】
ここで、複数のVC部13を搭載するようにしているのは、通話チャネル毎にVC部13のみを追加することで通話チャネル数の増加に対応ができるためであり、VC部13は通話チャネル分の数あることが望ましい。しかし、通話チャネル分のVC部13を搭載することは、物理的、経済的に問題があるので、後述するように通信を行う端末の動作状態に応じて、VC部13の捕捉を行い使用することで、VC部の有効的な利用を行うことも可能である。
【0020】
SC部14も複数搭載可能であり、SC部14の端末接続処理能力に応じて追加を行ったり、複数(SC分)の別ネットワークに接続することもできる。
【0021】
次にIP網4との呼制御を行うSC部14内には、CC部12とのデータ送受信制御を行い、後述するプロトコル変換部141、NO.7制御部142及び独自インタフェース部143とに接続され、それらとCC部12とのメッセージの送受信制御を行うCCインタフェース部144と、CCインタフェース部144に接続され、SS7シグナリングにより局間サービスを行うNO.7制御部142と、同様にCCインタフェース部144に接続され、CC部12からの呼制御メッセージをH.323呼制御メッセージに変換し、H.323対応端末との通信を可能とするプロトコル変換部141と、同様にCCインタフェース部144に接続され、交換機1と独自のプロトコルによって通信をおこなうIP−MFT62とのインタフェースをとる独自インタフェース部143と、プロトコル変換部141、NO.7制御部142および独自インタフェース部143とに接続され、それらからのメッセージの送受信制御を行い、またHUB2と接続され、LAN側からのIPパケットデータの送受信処理を行うLANインタフェース部145とを備えている。
【0022】
また、プロトコル変換部141は、H.323対応端末との呼制御処理を行うH.225呼制御機能と、標準手順等がメディアパス未確立で接続された場合に、H.245手順による端末間での整合性確認処理を行うH.245メッセージ制御機能をもつ。また、LAN側に接続された相手端末の状態を常にPingコマンドによる監視を行うことにより、接続不可能状態となった装置への発信規制を行い、無駄な呼制御処理を行わないようにしている。監視方法は、定期的に相手先にPingコマンドを送出し、回線異常の発生及び異常からの復旧を検出しCC部12へ通知する。ping異常と判断する条件は、Ping応答結果データの異常時、Pingコマンドに対する相手の応答なし及び、Ping送出時に使用するソケット異常とする。相手先のIPアドレスは、局データとして登録されたデータをCC部12から得て、そのIPアドレスを使用する。
【0023】
次に、独自インタフェース部143は、IP−MFT62からのログイン時に内線番号とIPアドレスとの関連づけ、その情報を管理する登録情報管理機能と、IP−MFT62の呼毎のチャネル接続情報(ポート番号、パケット多重数、符号化方式等)を随時管理し、通話パス接続時の接続条件通知に用いる接続情報管理機能と、登録されたIP−MFT62の正常性を確認し、常に最新のIP−MFT62の状態をCC部12に通知する状態管理機能と、IP−MFT62との呼制御メッセージの送受信処理を行う制御メッセージ機能とを備える。
【0024】
次に、CC部12とHUB2との間に接続され音声変換を行うVC部13は、符号化方式(G.711、G.729、G.723.1)により音声データの圧縮/伸長を行う音声圧縮機能と、G.723.1の有無により選択可否判断を行い発着信の規制を行うG.723.1動作規定処理機能と、パケットの多重化処理(各符号化方式/FAX/モデム等の異なるペイロードタイプ(以下PTという)に対応したパケット生成/解析処理)を行う音声パケット処理機能と、LAN上又は網間のゆらぎによる音の途切れをふせぐゆらぎ吸収制御機能と、対向装置間で発生する同期のズレを調整する同期補正機能と、通信中のDTMF信号を音声とは別のコード体系で送受信するDTMF透過機能と、同一LAN上に音声とデータが混在した場合に、ゆらぎや網内遅延による音声の途切れを回避するためにパケットデータの優先順位をきめて通信させる優先制御機能と、通話中の無音状態を検出して無音期間中のパケットデータの送出をやめ、LAN上のトラヒック低減を行う無音サプレス機能と、通話中に回線障害等で通話先とのパケット送受信が不可能となった場合にその呼を無効として開放処理する通信中断監視機能とをもつ。
【0025】
交換機1内のデータ形態は、CC部12からのデータをプロトコル変換部141、NO.7制御部142及び独自インタフェース部143がLANインタフェース145に送信する際には、プロトコル変換部141、NO.7制御部142及び独自インタフェース部143それぞれによって送信されるデータがIPパケット化される。
【0026】
具体的には、プロトコル変換部141からLANインタフェース部145へデータを送信する際は、装置内独自データをH.323データに変換した後IPパケット化し、NO.7制御部142からLANインタフェース部145へデータを送信する際は、装置内独自データをNO.7データに変換した後IPパケット化し、独自インタフェース部143からLANインタフェース部145へデータを送信する際は、装置内独自データを独自インタフェース部143で、IP−MFT62が使用可能な独自データに変換後に、IPパケット化して送信している。
【0027】
CC部12とSC部14間のデータは装置内独自データであるが、呼制御情報については、NO.7信号情報をそのまま使用すると変換効率がよいので、装置内独自メッセージとNO.7メッセージが重複することが望ましい。
【0028】
また、プロトコル変換部141、NO.7制御部142及び独自インタフェース部143がLANインタフェース145からIPパケットデータを受信し、CCインタフェース144にデータを送信する際には、プロトコル変換部141、NO.7制御部142及び独自インタフェース部143において、パケットフレームがはずされ、受信したそれぞれのデータを装置内独自データに変換して、CC部12に送信する。
【0029】
本発明の実施形態に従う典型的な通話手順を図2を用いて説明する。これは、PSTN8に接続されている一般電話機(図示しない)が、HUB2に接続されているIP電話機61へ電話をする場合を例とする。
【0030】
一般電話機がPSTN8を介して交換機1に発呼する。交換機1は発呼に対し、発信者からのダイヤル情報から接続しようとする相手先特定する。また、特定する発呼者自身を特定する番号、暗証コード等を尋ねるアプリケーションで応答し、発呼者または発呼電話機を識別してもよい。
【0031】
交換機1は発呼者が入力した電話番号に対応する地域をどの設備がサービスしているのかを判断し、接続する相手がインターネットのようなパケット交換網を用いているIP電話機61のような場合は、そのインタフェースに合わせた呼制御および通信データの形態に変換して被呼側と通信させる。
【0032】
交換機1は、被呼側の呼び出し中/話中/応答の状態を監視する。交換機1は、呼が応答される前に、発呼者に対して呼び出し音の再生などにより呼の状態を知らせることができるよう、呼の状態を発呼元に伝達できる。呼がIP電話機61を介して応答されると、交換機1は発呼者への呼び出し音再生を中止する。
【0033】
そして、PSTN8側の電話機からの入力音声データを圧縮及び、圧縮した入力音声のパケットデータ化を行いHUB2に接続されているIP電話機61へ送信を開始する。一方では同時にIP電話機61からの入力パケットデータを受け取り、音声を伸長し、伸長した音声はPSTN8を介して接続されている電話機に再生出力される。
【0034】
このデータ通信(通話)の間、交換機1はデータ変換におけるA/D又はD/A変換、暗号化/暗号翻訳、音声圧縮/伸長、それぞれの電話機へ出力されるデータ信号と同じデータ信号が話者に送り返されることの無いよう行われるエコーキャンセル処理を行う。
【0035】
上記2つの話者は、一方が電話を切るまで、通常通り通話する。交換機1によって回線の切断が検知されると、任意の使用料金への適用が可能な呼の詳細な記録(通話時間、送信されたパケット数、等)が取られる。
【0036】
図3に本発明である交換機1を用いた通信システムにおける第1の接続形態を示す。
【0037】
交換機1に収容されている電話機5と、交換機1が接続されているPSTN8(PSTN8に接続されている交換機1以外の端末)とが通信を行う場合、電話機5からPSTN8への呼制御情報は、EX部11内のLINE112、TSW113を経由してCC部12内のEX制御部121に送られる。
【0038】
EX制御部121では、電話機5からの呼制御情報がどこに接続を要求しているものかを相手先番号等から判別して、TSW113を動作させ、EX制御部121の受信した呼制御情報を基に、TSW113、COT111を経由してPSTN8へ送出する。次に、呼制御情報によって、PSTN8側への接続要求と認識したEX制御部121が、TSW113をLINE112とCOT111を接続させるよう動作させて、通信データが通るルートを形成させる。
【0039】
電話機5からの通信(音声)データは、先ほどルートが形成されたとおり、EX部11内のLINE112、TSW113およびCOT111の順でPSTN8側へ送出され、PSTN8側からの通信データはそれとは逆のルートで電話機5へ送信される。
【0040】
発信側がPSTN8側からあるときは、呼制御情報の伝達ルートは上記と逆の順序で電話機5に伝達される。
【0041】
図4に本発明である交換機1を用いた通信システムにおける第2の接続形態を示す。
【0042】
交換機1に収容されている電話機5と、交換機1が接続されているHUB2に接続されているIP電話機61とが通信を行う場合、電話機5からIP電話機61への呼制御情報は、EX部11内のLINE112、TSW113を経由してCC部12内のEX制御部121に送られる。EX制御部121では、電話機5からの呼制御情報がどこに接続を要求しているものか判別して、EX制御部121の受信した呼制御情報を基に、SC制御部122と、VC制御部123を起動させる。
【0043】
SC制御部122では、呼制御情報によって、IP電話機61への接続要求と認識し、SC部14内のCCインタフェース144を経由して、呼制御情報をプロトコル変換部141へ伝達する。呼制御情報を受信したプロトコル変換部141は、呼制御情報をH.323の呼制御情報に変換し、LANインタフェース145、HUB2を介してIP電話機61へ送信する。
【0044】
SC制御部122と同様に、呼制御情報によってIP電話機61への接続要求と認識したVC制御部123は、TSW113に対して、通信データの伝達ルートであるLINE112とVC部13を接続させるよう指示する。
【0045】
これにより電話機5からの通信データは、EX部11内のLINE112、TSW113、VC部13およびHUB2の順に経由してIP電話機61へ送出され、IP電話機61からの通信データはそれとは逆のルートで電話機5へ送信される。
【0046】
発信側がIP電話機61であるときは、呼制御情報の伝達ルートは上記と逆の順序で電話機5に伝達される。
【0047】
図5に本発明である交換機1を用いた通信システムにおける第3の接続形態を示す。
【0048】
交換機1に収容されている電話機5と、交換機1が接続されているHUB2に接続されているIP−MFT62とが通信を行う場合、電話機5からIP−MFT62への呼制御情報は、EX部11内のLINE112、TSW113を経由してCC部12内のEX制御部121に送られる。EX制御部121では、電話機5からの呼制御情報がどこに接続を要求しているものか判別して、EX制御部121の受信した呼制御情報を基に、SC制御部122と、VC制御部123を起動させる。
【0049】
SC制御部122では、呼制御情報によって、IP−MFT62への接続要求と認識し、SC部14内のCCインタフェース144を経由して、呼制御情報を独自インタフェース部143へ伝達する。呼制御情報を受信した独自インタフェース部143は、呼制御情報をIP−MFT62で使用可能なIPパケット型の独自メッセージに変換し、LANインタフェース145、HUB2を介してIP−MFT62へ送信する。
【0050】
SC制御部122と同様に、呼制御情報によってIP−MFT62への接続要求と認識したVC制御部123は、TSW113に対して、通信データの伝達ルートであるLINE112とVC部13を接続させるよう指示する。
【0051】
これにより電話機5からの通信データは、EX部11内のLINE112、TSW113、VC部13およびHUB2の順に経由してIP−MFT62へ送出され、IP−MFT62からの通信データはそれとは逆のルートで電話機5へ送信される。発信側がIP−MFT62であるときは、呼制御情報の伝達ルートは上記と逆の順序で電話機5に伝達される。
【0052】
図6に本発明である交換機1を用いた通信システムにおける第4の接続形態を示す。
【0053】
交換機1が接続されているPSTN8(PSTN8に接続されている交換機1以外の端末)と、交換機1が接続されているHUB2に接続されているIP電話機61とが通信を行う場合、PSTN8側からIP電話機61への呼制御情報は、EX部11内のCOT111、TSW113を経由してCC部12内のEX制御部121に送られる。EX制御部121では、PSTN8からの呼制御情報がどこに接続を要求しているものか判別して、EX制御部121の受信した呼制御情報を基に、SC制御部122と、VC制御部123を起動させる。
【0054】
SC制御部122では、呼制御情報によって、IP電話機61への接続要求と認識し、SC部14内のCCインタフェース144を経由して、呼制御情報をプロトコル変換部141へ伝達する。呼制御情報を受信したプロトコル変換部141は、呼制御情報をH.323系の呼制御情報に変換し、LANインタフェース145、HUB2を介してIP電話機61へ送信する。
【0055】
また、SC制御部122と同様に、呼制御情報によってIP電話機61への接続要求と認識したVC制御部123は、TSW113に対し、通信データの伝達ルートであるCOT111とVC部13を接続させるよう指示する。
【0056】
これによりPSTN8からの通信データは、EX部11内のCOT111、TSW113、VC部13およびHUB2を経由してIP電話機61へ送出され、IP電話機61からの通信データはそれとは逆のルートでPSTN8へ送信される。
【0057】
発信側がIP電話機61であるときは、呼制御情報の伝達ルートは上記と逆の順序でPSTN8に伝達される。
【0058】
図7に本発明である交換機1を用いた通信システムにおける第5の接続形態を示す。
【0059】
交換機1が接続されているPSTN8(PSTN8に接続されている交換機1以外の端末)と、交換機1が接続されているHUB2に接続されているIP−MFT62とが通信を行う場合、PSTN8側からIP−MFT62への呼制御情報は、EX部11内のCOT111、TSW113を経由してCC部12内のEX制御部121に送られる。EX制御部121では、PSTN8からの呼制御情報がどこに接続を要求しているものか判別して、EX制御部121の受信した呼制御情報を基に、SC制御部122と、VC制御部123を起動させる。
【0060】
SC制御部122では、呼制御情報によって、IP−MFT62への接続要求と認識し、SC部14内のCCインタフェース144を経由して、呼制御情報を独自インタフェース部143へ伝達する。呼制御情報を受信した独自インタフェース部143は、呼制御情報をIPパケット型の独自メッセージに変換し、LANインタフェース145、HUB2を介してIP−MFT62へ送信する。
【0061】
また、SC制御部122と同様に、呼制御情報によってIP−MFT62への接続要求と認識したVC制御部123は、TSW113に指示し、通信データの伝達ルートであるCOT111とVC部13を接続させる。
【0062】
PSTN8からの通信データは、EX部11内のCOT111、TSW113、VC部13およびHUB2の順に経由してIP−MFT62へ送出され、IP−MFT62からの通信データはそれとは逆のルートでPSTN8へ送信される。
【0063】
発信側がIP−MFT62であるときは、呼制御情報の伝達ルートは上記と逆の順序でPSTN8に伝達される。
【0064】
図8に本発明である交換機1を用いた通信システムにおける第6の接続形態を示す。
【0065】
HUB2に接続されているIP−MFT62aとIP−MFT62bとが通信を行う場合、IP−MFT62aからIP−MFT62bへの呼制御情報は、HUB2、SC部14内のLANインタフェース145を経由して、独自インタフェース部143に送られる。(交換機1とIP−MFT62間は独自手順による接続方式をとっているためである。)独自インタフェース部143では、独自メッセージである呼制御情報をCCインタフェース144を介してCC部12内のSC制御部122に伝達する。
【0066】
SC制御部122では、IP−MFT62aからの呼制御情報がどこに接続を要求しているものか判別して、IP−MFT62bへの接続要求と認識し、SC部14内のCCインタフェース144を経由して、呼制御情報を独自インタフェース部143へ送信する。呼制御情報を受信した独自インタフェース143は、独自メッセージである呼制御情報をLANインタフェース145、HUB2を介してIP−MFT62bへ送信する。
【0067】
IP−MFT62aからの通信データは、HUB2を介してIP−MFT62bへ送出される。IP−MFT62bからの通信データもそれと同様のルートで、送信される。
【0068】
発信側がIP−MFT62bであるときは、呼制御情報の伝達ルートは上記と逆の順序でIP−MFT62aに伝達される。
【0069】
図9に本発明である交換機1を用いた通信システムにおける第7の接続形態を示す。
【0070】
HUB2に接続されているIP−MFT62とIP電話機61とが通信を行う場合、IP−MFT62からIP電話機61への呼制御情報は、HUB2、SC部14内のLANインタフェース145を経由して、独自インタフェース部143に送られる。独自インタフェース部143では、独自メッセージである呼制御情報をIPパケットフレームをはずし、CCインタフェース144を介してCC部12内のSC制御部122に伝達する。
【0071】
SC制御部122では、IP−MFT62からの呼制御情報がどこに接続を要求しているものか判別して、呼制御情報によって、IP電話機61への接続要求と認識し、SC部14内のCCインタフェース144を経由して、プロトコル変換部141へ伝達する。装置内独自メッセージの呼制御情報を受信したプロトコル変換部141は、呼制御情報をH.323メッセージの呼制御情報に変換後にIPパケット化し、LANインタフェース145、HUB2を介してIP電話機61へ送信する。この時受信した呼制御情報をもとに、VC制御部123を起動させて、IP電話機61からのパケット音声データをVC部13で受信できるように準備する。
【0072】
IP−MFT62からIP電話機61への通信データは、HUB2を介してIP電話機61へ送出される。IP電話機61からの通信データは、HUB2、VC部13及びHUB2というルートでIP−MFT62へ送信される。
【0073】
発信側がIP電話機61であるときは、呼制御情報の伝達ルートは上記と逆の順序でIP−MFT62に伝達される。
【0074】
図10に本発明である交換機1を用いた通信システムにおける第8の接続形態を示す。
【0075】
HUB2に接続されているIP−MFT62と、ルーター3を介してIP網4側に接続されているH.323対応端末9(以下IP網側端末)とが通信を行う場合、IP−MFT62からIP網側端末9への呼制御情報は、HUB2、SC部14内のLANインタフェース145を経由して、独自インタフェース部143に送られる。独自インタフェース部143では、独自メッセージである呼制御情報をCCインタフェース144を介してCC部12内のSC制御部122に伝達する。
【0076】
SC制御部122では、IP−MFT62からの呼制御情報がどこに接続を要求しているものか判別して、呼制御情報によって、IP網側端末9への接続要求と認識し、SC部14内のCCインタフェース144を経由して、呼制御情報をプロトコル変換部141へ伝達する。
【0077】
呼制御情報を受信したプロトコル変換部141は、呼制御情報をH.323メッセージの呼制御情報に変換し、LANインタフェース145、HUB2を介してIP網側端末9へ送信する。この時受信した呼制御情報をもとに、VC制御部123を起動させて、IP網側端末9からのパケット音声データをVC部13で受信できるように準備する。
【0078】
IP−MFT62からIP網側端末9への通信データは、HUB2、ルーター3、IP網4を介してIP網側端末9へ送出される。IP網側端末9からの通信データは、IP網4、ルーター3、HUB2、VC部13及びHUB2のルートでIP−MFT62へ送信される。
【0079】
発信側がIP網側端末9であるときは、呼制御情報の伝達ルートは上記と逆の順序でIP−MFT62に伝達される。
【0080】
図11に本発明である交換機1を用いた通信システムにおける第9の接続形態を示す。
【0081】
HUB2に接続されているIP−MFT62と、ルーター3を介してIP網4側に接続されている交換機1と同様の交換装置10(以下IP網側交換機:本発明の交換機と同等機能の交換機若しくは同じ交換機)とが通信を行う場合、IP−MFT62からIP網側交換機10への呼制御情報は、HUB2、SC部14内のLANインタフェース145を経由して、独自インタフェース部143に送られる。独自インタフェース部143では、呼制御情報をCCインタフェース144を介してCC部12内のSC制御部122に伝達する。
【0082】
SC制御部122では、IP−MFT62からの呼制御情報がどこに接続を要求しているものか判別して、呼制御情報によって、IP網側交換機10への接続要求と認識し、SC部14内のCCインタフェース144を経由して、呼制御情報をNO.7制御部142へ伝達する。
【0083】
呼制御情報を受信したNO.7制御部142は、呼制御情報をPBX間の通信で用いるSS7系メッセージに変換後、IPパケット化し、LANインタフェース145、HUB2を介してIP網側交換機10へ送信する。この時受信した呼制御情報をもとに、VC制御部123を起動させて、IP網側交換機10からのパケット音声データをVC部13で受信できるように準備する。
【0084】
IP−MFT62からの通信データは、HUB2、ルーター3、IP網4を介してIP網側交換機10へ送出される。IP網側交換機10からの通信データは、IP網4、ルーター3、HUB2、VC部13及びHUB2のルートでIP−MFT62へ送信される。
【0085】
発信側がIP網側交換機10であるときは、呼制御情報の伝達ルートは上記と逆の順序でIP−MFT62に伝達される。
【0086】
図3から図11に示したとおり、SC部14とCC部12間のメッセージのやりとりは、装置内独自のメッセージ形態をとり、SC部14とHUB2間のメッセージのやりとりは、IPパケットデータ化したメッセージの形態をとっている。特に、IP網4を介しての交換機間(局間)でのメッセージのやりとりは、従来と同じく多彩な情報を伝達するのに有効なメッセージであるNO.7メッセージをIPパケットデータ化して用いている。
【0087】
ここで、NO.7メッセージを伝達するNO.7共通線信号方式について説明する。電話/ISDN網を構成するとき、電話交換機を制御する情報(制御信号)を、ユーザー情報向け回線とは別の回線で伝送する方式を共通線信号方式という。
【0088】
制御信号は、交換機間で接続を行う場合に必要な信号で、通信を接続するための相手先(着信)番号の転送、着信側が応答したことの通知、通信が終了したことの通知等の情報授受を行う。NO.7共通線信号方式は、ディジタル・ネットワークに対応した共通線信号方式として、ITU−T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)が検討し、勧告した共通線信号方式(Q.700シリーズ勧告)である。これは、電話交換、データ交換、ISDNの疎通だけでなく、交換局の遠隔制御、ネットワークの保守や運用管理などの多様な用途に使用できる。
【0089】
NO.7共通線信号方式は、その使用する用途によってユーザー部が異なる。電話接続では電話ユーザー部(TUP:telephone user part)、ISDNではISDNユーザー部(ISUP:ISDN user part)を使用する。
【0090】
NO.7共通線信号方式の特徴には、信号の種類が豊富、通話中の信号転送が可能、信号の高速転送が可能、電話、非電話サービスの同一制御が可能、などがある。
【0091】
図12に、NO.7メッセージの一覧を示す。
【0092】
メッセージの代表的なものを説明すると、IAIメッセージ120とは、付加情報付アドレス信号であり、AIM(アドレス信号)と同様に呼設定時最初に送られ、選択数字(ダイヤル等)情報と呼接続条件に関する情報の他に、発信者情報、呼種等の情報が付加された信号である。
【0093】
ACIメッセージ121とは、付加情報付アドレス完了信号であり、ACM(アドレス完了信号)メッセージと同様に被呼接続に必要なアドレス情報を全部受信したことを示し、そのほかに被呼者情報が付加された信号である。
【0094】
ANDメッセージ122とは、付加情報不応答信号であり、着呼加入者応答時に、応答加入者情報を付加して発信局側に送出される信号である。
【0095】
CLFメッセージ123とは、切断信号であり、設定途中の呼、または通話中の呼が終了したことを示す信号であり、通常は発信者の復旧により送出するが、RSCメッセージ(回線リセット信号)受信時にも送出する。
【0096】
RLGメッセージ124は、復旧完了信号であり、切断信号又は回線リセット信号に対して当該回線が空き状態になったことを示す信号である。
【0097】
SSBメッセージ125は、加入者話中信号であり、被呼加入者が話中であることを示す信号である。
【0098】
次に、図13にはH.323メッセージ(H.225呼制御情報)一覧を示す。
【0099】
代表的な呼設定メッセージと呼終結メッセージについて説明する。まず、呼設定メッセージであるAlerting130は呼出を示す信号であり、CallProceeding131は、呼設定受付を示す信号である。また、Connect132は応答を示し、Connect Acknowledge133は応答確認を、Progress134は経過表示を、Setup135は呼設定を、Setup Acknowledge136は呼設定確認を示す信号である。
【0100】
次に呼終結メッセージのDisc137は、切断を示し、Release138は開放を、Release Compleate139は開放完了を示す信号である。
【0101】
図14に、NO.7メッセージとH.323(H.225)メッセージの変換対応表を示す。
【0102】
図14に示したように、NO.7メッセージである付加情報付アドレス信号(IAI)とH.323メッセージである呼設定(Set up)(140)、NO.7メッセージである付加情報付アドレス完了信号(ACI)とH.323メッセージである呼出(Alert)(141)、NO.7メッセージである付加情報付応答信号(AND)とH.323メッセージである応答(Connect)(142)、といった具合に相互に変換を対応づけている。
【0103】
図25から図29に発着信におけるプロトコル変換部141の変換処理(NO.7メッセージとH.323メッセージとの変換)の動作シーケンスを示す。
【0104】
CC部12が受信したデータ(NO.7セッセージ及び独自メッセージ)をプロトコル変換部141に伝達し、プロトコル変換部141がそれをH.323メッセージに変換している。
【0105】
図25は、発信の場合の第1例を示す。CC部12からダイヤル情報であるIAI(S2501)を受信すると、呼設定メッセージであるSetup(S2502)に変換してHUB2側へ送出する。HUB2側から呼設定受付メッセージであるCallproc(S2503)及び呼び出しメッセージであるAlerting(S2504)をプロトコル変換部141が受信すると、ダイヤル完了としてACIに変換してCC部12に送信する。HUB2側から応答メッセージであるConnect(S2506)が送られてくると、プロトコル変換部141は、ANDに変換しCC部12へ送信する。
【0106】
通信中に入り、HUB2側から開放完了メッセージであるRel Comp(S2508)を受信したプロトコル変換部141は、終話信号であるCBK(S2509)に変換し、CC部12に送信する。CBKを受信したCC部12は切断信号CLF(S2510)をプロトコル変換部141に送り、プロトコル変換部141がCC部12に復旧完了信号RLG(S2511)を送信し、通信が終了する。
【0107】
図26は、発信の場合の第2の例を示す。CC部12からダイヤル情報であるIAI(S2601)を受信すると、呼設定メッセージであるSetup(S2602)に変換してHUB2側へ送出する。HUB2側から応答メッセージであるConnect(S2606)が送られてくると、プロトコル変換部141は、ACIとANDに変換し、2つのメッセージをCC部12へ送信する。図25で説明したAlertingがない場合でもACIは送出する(S2605、S2606)。
【0108】
通信中に入り、CC部12から切断メッセージであるCLF(S2610)を受信したプロトコル変換部141は、開放完了Rel comp(S2608)に変換し、HUB2側に送信する。CLFを受信したプロトコル変換部141は、復旧完了信号RLG(S2611)をCC部12に返し、通信が終了する。
【0109】
図27は、着信の場合の第1例を示す。HUB2側からCC部12から呼設定メッセージであるSetup(S2702)を受信したプロトコル変換部141は、ダイヤル情報であるIAI(S2701)に変換して、CC部12へ送出する。次にCC部12はダイヤル完了としてACI(S2705)を返信し、それを受信したプロトコル変換部141は、呼設定受付メッセージであるCallproc(S2703)及び呼び出しメッセージであるAlerting(S2704)に変換し、HUB2側に送信する。CC部12から応答であるAND(S2707)を受信すると、プロトコル変換部141がConnect(S2706)に変換し、HUB2側に送信する。
【0110】
通信中に入り、CC部12から終話信号であるCBK(S2709)を受信すると、プロトコル変換部141が開放完了メッセージであるRel Comp(S2708)に変換してHUB2側に送信する。その送信と同時に切断信号CLF(S2710)をCC部12に送り、CC部12が復旧完了信号RLG(S2711)を返信し、通信が終了する。
【0111】
図28は、着信の場合の第2例を示す。HUB2側からCC部12から呼設定メッセージであるSetup(S2802)を受信したプロトコル変換部141は、ダイヤル情報であるIAI(S2801)に変換して、CC部12へ送出する。
【0112】
次にCC部12はダイヤル完了としてACI(S2805)を返信し、それを受信したプロトコル変換部141は、呼設定受付メッセージであるCallproc(S2803)及び呼び出しメッセージであるAlerting(S2804)に変換し、HUB2側に送信する。CC部12から応答であるAND(S2807)を受信すると、プロトコル変換部がConnect(S2806)に変換し、HUB2側に送信する。
【0113】
通信中に入り、HUB2側からRel Comp(S2808)を受信したプロトコル変換部141は、切断信号CLF(S2810)に変換後、CC部12に送信し、折り返しCC部12からの復旧完了信号RLG(S2811)を受信して通信が終了する。
【0114】
図29は、着信の場合の第3例を示す。HUB2側からCC部12から呼設定メッセージであるSetup(S2902)を受信したプロトコル変換部141は、ダイヤル情報であるIAI(S2901)に変換して、CC部12へ送出する。次にCC部12は、ダイヤル完了としてACIを返信し、それを受信したプロトコル変換部141は、呼設定受付メッセージであるCallproc(S2903)に変換し、HUB2側に送信する。
【0115】
CC部12から不完了通知信号であるEUM(S2909)を受信すると、プロトコル変換部がRel Comp(S2908)に変換し、HUB2側に送信する。HUB2へRel Compを送信したプロトコル変換部141は、切断信号CLF(S2910)をCC部12に送信し、折り返しCC部12からの復旧完了信号RLG(S2911)を受信して通信が終了する。
【0116】
H.323による接続制御は、以下に示すプロトコルからなっている。第1はH.225.0(TCPコネクションによる接続を行う)、第2はH.245(Q.931で接続された呼に対するメディアパスの設定等を行う)、第3はH.450(転送や保留等の不可サービスの規定)である。
【0117】
CC部12内で扱うメッセージ体系は、独自メッセージとしているため、他の局から受信したNO.7メッセージは、一旦装置内の独自メッセージにて変換後、H.323端末(IP電話機61等)へ送信する場合に、更にメッセージをH.323メッセージに置換えて接続制御している。
【0118】
NO.7メッセージと独自メッセージの変換時に、同一データ(データフォーマット異なるが、主データは同じ)の場合は、データフォーマット変換のみ行う。また、H.323メッセージと独自メッセージ変換も同一データ(データフォーマット異なるが、主データは同じ)である場合は、データフォーマット変換のみ行う。この変換メッセージ処理を用いたシステム全体の動作シーケンス例は、図16から図21を用いて後述する。
【0119】
図15に、独自手順にて交換機1と接続されるIP−MFT62との間のメッセージ送受信方式を示すシステム構成を示す。
【0120】
交換機1とIP−MFT62間の共通メッセージは、時刻情報や同時制御情報があり、交換機1から複数のIP−MFT62に同時に伝送される。LAN7上における共通メッセージ伝送方式は以下のとおりである。
【0121】
交換機1から延びるLANにルーター3aや複数のIP−MFT62(a)、(b)、(c)が接続されている。ルーター3aの先にはIP網を経由して同様にルータ3bを介してIP−MFT62(d)、(e)が接続されている。
【0122】
交換機1とIP−MFT62間の通信は、UDP(User Datagram Protocol)パケット交換を行っている。これは、1パケットデータの送信のみのマルチキャスト伝送であるため、回線のトラヒックが低くて済むことからである。ここで、パケットデータ紛失等を考慮してパケットデータの2度送り等を行ってもよい。
【0123】
UDPとは、TCP/IPプロトコルにおける、トランスポート層のプロトコルである。2つのノード上のプロセス(アプリケーション)間で、ベストエフォート型のデータグラム指向の通信を行なう。
【0124】
UDPは、その下位層にあるIPパケットをほとんどそのままアプリケーションから使えるようにしただけのプロトコルである。そのため、パケットが相手に確実に届くという保証はないし、再送や受信確認応答、フロー制御、大きなデータの分割や再合成(フラグメント化)などはすべてアプリケーション側で自分で制御する必要がある。ただし、これらのオーバーヘッドがないので、処理は簡単であり、高速という特徴がある。
【0125】
図17から図21に、交換機1を介した端末装置間の接続シーケンスを示す。図16には、図17から図21を説明する上で必要となる記号の一覧を示す。
【0126】
項番1の記号はVCのIPアドレス、相手端末のIPアドレス等の情報を含むことを示し、項番2の記号は、圧縮方式、パケット多重数等の情報を含むことを示し、項番3の記号は、IP−MFT62のIPアドレス等の情報を含むことを示し、項番4の矢印は呼制御(以下SP系という)メッセージを示し、項番5の矢印SP(IP)系は呼制御IPパケットデータ型メッセージを示し、項番6の矢印はTSWにおける経路スイッチング指示を示し、項番7の矢印は、PCM音声を示し、項番8の矢印は、IPパケット音声を示し、項番9はVC部13を捕捉した状態となったことを示し、項番10はIPパケット音声の送受信可能状態(以下チャネルオープン状態という)を、項番11はチIPパット音声の送受信停止状態(以下チャネルクローズ状態という)を示すものとする。
【0127】
図17に、交換機1に直接収容された電話機5と、HUB2経由で交換機1に接続されたIP−MFT62との接続シーケンスを示す。
【0128】
電話機5が受話器を上げる(OFF HOOK)と(S1700)、その情報は、EX部11で認識され、CC部12に伝達される(S1701)。OFFHOOK情報を受けたCC部12は、EX部11内の図示しない音源トランクとLINE112を接続するようTSW113を制御し(S1702)、ダイヤルトーンを電話機5に出力させる(S1703)。音源トランクは、ダイヤルトーンやリングバックトーン等の音生成をおこなっている部位である。
【0129】
ダイヤルトーンを受信して、交換機1に起動がかかったと認識した電話機5は、接続するためのダイヤル送信を開始する(S1704)。EX部11経由で最初のダイヤルを受信したCC部12は(S1705)、音源トランクとLINE112との接続を解除させ、ダイヤルトーンの送出をとめる(S1706、S1707)。
【0130】
最終ダイヤルを受信したCC部12は(S1708)、そのダイヤル情報から接続相手先を認識し、SC部14内の独自インタフェース部143に接続相手先のベルを鳴動させるよう指示する(S1709)。指示を受けた独自インタフェース143は、IP−MFT62のIPアドレス宛てに独自メッセージ(IPパケット型呼制御メッセージ)を送信し、ベルの鳴動を要求する(S1710)。このメッセージには、IP−MFT62が接続され、音声データの伝送に使用するVC部13のIPアドレス及び発信元のSC部14のIPアドレスの情報も付加されている。
【0131】
その要求に従い、IP−MFT62は自身の呼び出しベルを鳴動させる(S1711)。また、CC部12は、ダイヤルを受信し終えたと同時に、VC部13に対して使用中(以下BSYという)メッセージを伝達し(S1712)、VC部13はこれを受けて捕捉された状態となる(S1713)。
【0132】
これと同時にCC部12は、EX部11内の図示しない音源トランクとLINE112を接続するようTSW113を制御し(S1714)、リングバックトーンを電話機5に出力させる(S1715)。これを受けて電話機5は、相手を呼び出し中であることを認識する。
【0133】
ここで、IP−MFT62が受話器を上げると(OFF HOOK)(S1716)、その情報をIPパケット型独自メッセージでSC部14内の独自インタフェース部143に送り(S1717)、CC部12に伝達される(S1718)。それを受けたCC部12は、折り返し電話機5とIP−MFT62が通話する旨のメッセージを独自インタフェース143に返し(S1719)、独自インタフェース143はIPパケット型独自メッセージにてその情報をIP−MFT62に伝達する(S1720)。この情報によりIP−MFT62はチャネルオープンの状態となり、通話準備が完了する(S1721)。
【0134】
また、CC部12は上記と同時期にEX部11内のLINE112とVC部13を接続するようTSW113に指示し(S1722)、VC部13に対しても電話機5とIP−MFT62が通話する旨の指示と(S1723)、チャネルをオープンさせる旨のメッセージを送り(S1724)、このメッセージを受け、VC部13はチャネルオープン状態となり(S1725)、交換機1の通話準備が完了する。
【0135】
この後、通話データは、IP−MFT62からVC部13までがIPパケット音声(宛先はVC部13、発信元はIP−MFT62)で伝送され、VC部13でPCMアナログ音声に変換後、EX部11内のTSW113、LINE112経由で電話機5に伝送される(S1726)。IPパケット音声とPCM音声の変換はVC部13が行い、TSW113が電話機5が接続されているLINE112とVC13との接続ルートを形成させる。そのスイッチング制御をTSW113へ行っているのは、接続元、接続先情報を管理しているCC部12である。
【0136】
電話機5からのアナログ音声データは、EX部11で受信後、VC部13に送信し、VC部13によってIPパケット音声(宛先はIP-MFT62、発信元はVC部13)化され、IP-MFT62へ送信される。
【0137】
次に切断シーケンスを説明する。まずは、被呼者先掛け時でIP−MFT62から通話を終了する場合は、まず、IP−MFT62が受話器をおき(ON HOOK)(S1727)、その情報をIPパケット型独自メッセージにて交換機1のSC部14内の独自インタフェース143に伝達し(S1728)、SC部14はそれをCC部12に伝達する(S1729)。そのON HOOK情報を受信したCC部12は、折り返しSC部14に対して復旧(以下空という)メッセージを返し(S1730)、それを受けた独自インタフェース部143が独自メッセージに変換して、IP−MFT62に伝達する(S1731)。これで、IP−MFT62は待機状態であるチャネルクローズ状態となる(S1732)。
【0138】
また、CC部12はIP−MFT62が受話器を置いたことを認識したため、EX部11内の図示しない音源トランクとLINE112を接続するようTSW113を制御し(S1733)、音源トランクからのビジートーンを電話機5に出力させる(S1734)。それと同時にCC部12は、VC部13に空メッセージを送り、VC部13も、チャネルクローズ状態となる(S1735、S1736)。
【0139】
そして、ビジートーンを聞いた電話機5の話者は、相手が受話器を置いたことを認識して受話器をおく(ON HOOK)(S1750)。このON HOOK情報をEX部11が検出して、CC部12に伝送し通話が終了する(S1737)。
【0140】
次に、発呼者先掛け時で電話機5から通話を終了する場合は、まず、電話機5が受話器をおき(ON HOOK)(S1738)、その情報をEX部11で認識し、CC部12に伝達する(S1739)。そのON HOOK情報を受信したCC部12は、VC部13に対して、空メッセージを送り(S1740)、それを受けたVC部13はチャネルクローズ状態となる(S1741)。
【0141】
また、CC部12は、ビジートーン送出要求をSC部14に送り(S1742)、SC部14内の独自インタフェース部143は、その情報を独自メッセージ変換しIP−MFT62へ送出する(S1743)。
【0142】
相手が受話器をおいた情報であるビジートーン送出要求を受けたIP−MFT62は、自身でビジートーンを発生させ話者に通知する(S1744)。そして、ビジートーンを聞いたIP−MFT62の話者は、相手が受話器を置いたことを認識して受話器をおく(ON HOOK)(S1745)。IP−MFT62はON HOOK情報を独自メッセージでSC部14に送り、それを受信したSC部14からON HOOK情報を受けたCC部12は(S1746)、IP−MFT62が受話器を置いたことを認識して、SC部14経由で空メッセージとビジートーン停止要求をIP−MFT62へ送出する(S1747)。
【0143】
それをIP−MFT62が受けるとチャネルクローズ状態へ移行し、ビジートーンの出力を止め、通話が終了する(S1748、S1749)。
【0144】
図18に、交換機1にHUB2を経由して接続されているIP−MFT62(a)、(b)相互間の接続シーケンスを示す。
【0145】
IP−MFT62(a)が受話器を上げる(OFF HOOK)と(S1800)、その情報は、IPパケット型呼制御メッセージとして送出され、SC部14内の独自インタフェース143で認識し(S1801)、CC部12に伝達される(S1802)。このSC部14へのメッセージの宛先IPアドレスはSC部14であり、発信元IPアドレスはIP−MFT62aである。
【0146】
OFF HOOK情報を受けたCC部12は、VC部13に対してBSYメッセージを伝達し(S1803)、VC部13はこれを受けて捕捉された状態となる(S1804)。同時に、ダイヤルトーン出力要求をSC部14経由でIP−MFT62(a)に送出する(S1805、S1806)。SC部14からIP−MFT62aに送信されたダイヤルトーン出力要求には、音声通信で使用するVC部13のIPアドレス情報も付加されている。
【0147】
ダイヤルトーン出力要求を受けたIP−MFT62(a)は、話者に対してダイヤルトーン聞かせるためダイヤルトーンを生成し受話器から出力する(S1807)。
【0148】
ダイヤルトーンを受信して、交換機1に起動がかかったと認識したIP−MFT62(a)の話者は、接続するためのダイヤル送信を開始する(S1808)。
【0149】
SC部14経由で最初のダイヤルを受信したCC部12は(S1809)、ダイヤルトーン停止要求をSC部14経由でIP−MFT62(a)に送り(S1820)、IP−MFT62(a)からのダイヤルトーンの出力を停止させる(S1821)。
【0150】
最終ダイヤルを受信したCC部12は(S1822)、そのダイヤル情報から接続相手先を認識し、SC部14内の独自インタフェース143に接続相手先のベルを鳴動させるよう指示する(S1823)。指示を受けた独自インタフェース143は、IP−MFT62(b)のIPアドレス宛てにパケット型の独自メッセージを送信(送信元IPアドレスはSC部14)し、ベルの鳴動を要求する(S1824)。
【0151】
その要求に従い、IP−MFT62(b)は自身の呼び出しベルを鳴動させる(S1825)。これと同時にCC部12は、SC部14を介してリングバックトーン出力要求をIP−MFT62(a)に行い(S1826)、その指示に従い、リングバックトーンをIP−MFT62(a)が出力する(S1827)。
【0152】
ここで、IP−MFT62(b)の話者が受話器を上げると(OFF HOOK)(S1828)、その情報はIPパケット型の独自メッセージ(宛先IPアドレスはSC部14、送信元IPアドレスはIP−MFT62(b))でSC部14内の独自インタフェース143で受信され(S1829)、CC部12に伝達される(S1830)。それを受けたCC部12は、折り返しIP−MFT62(a)とIP−MFT62(b)が通話する旨のメッセージ(通信相手先であるIP−MFT62(b)のIPアドレスを付加)を、SC部14内の独自インタフェース143に返し(S1831)、独自インタフェース143は独自メッセージにてその情報をIP−MFT62(b)に伝達する(S1832)。この情報によりIP−MFT62(b)はチャネルオープンの状態となり、通話準備が完了する(S1833)。
【0153】
また、CC部12は上記と同時期にIP−MFT62(a)とIP−MFT62(b)が通話する旨のメッセージ(通信相手先であるIP−MFT62(a)のIPアドレスを付加)をSC部14内の独自インタフェース143を用いて、IP−MFT62(a)へも伝達し、IP−MFT62(a)も通話準備が完了する(S1834、S1835)。
【0154】
また、CC部12は、VC部13に空メッセージも送り、先ほど捕捉したがこのIP-MFT62間のい通信では使用しないVC部13をチャネルクローズ状態にする(S1837)。
【0155】
この後、通話データは、IP−MFT62(a)、(b)間をLAN経由でIPパケット音声のみで伝送される(S1838)。この時のIP−MFT62(a)からIP−MFT62(b)への音声データは、宛先がIP−MFT62(b)のIPアドレスであり、発信元IPアドレスがIP−MFT62(a)のIPアドレスとなっており、IP−MFT62(b)からIP−MFT62(a)への音声データも同様の形態をとっている。
【0156】
次に切断シーケンスを説明する。まずは、被呼者先掛け時でIP−MFT62(b)から通話を終了する場合は、まず、IP−MFT62(b)が受話器をおき(ON HOOK)(S1839)、その情報を独自メッセージにて交換機1のSC部14内の独自インタフェース143に伝達し(S1840)、SC部14はそれをCC部12に伝達する(S1841)。そのON HOOK情報を受信したCC部12は、折り返しSC部14に対して空メッセージを返し(S1845)、それを受けたSC部14内の独自インタフェース部143が独自メッセージに変換して、IP−MFT62(b)に伝達する(S1846)。これを受けて、IP−MFT(b)は待機状態であるチャネルクローズとなる(S1847)。
【0157】
また、CC部12は、IP−MFT62(b)が受話器を置いたことを認識したため、IP−MFT62(a)に対してビジートーン出力要求を送信する(S1848)。それを受けたIP−MFT62(a)は話者に相手方が通話を終了したことを通知するため、ビジートーンを受話器から出力する(S1849)。
【0158】
そして、ビジートーンを聞いたIP−MFT62(a)の話者は、相手が受話器を置いたことを認識して受話器をおく(ON HOOK)(S1850)。IP−MFT62(a)は、このON HOOK情報を交換機1に送出し、CC部12が検出して、空メッセージとビジートーン停止要求をIP−MFT62(a)に返送する(S1851)。空メッセージとビジートーン停止要求を受信したIP−MFT62(a)は、ビジートーンの出力を停止し、チャネルクローズ状態となり、通話が終了する(S1852)。
【0159】
次に、発呼者先掛け時でIP−MFT62(a)から通話を終了する場合は、まず、IP−MFT62(a)が受話器をおく(ON HOOK)(S1853)、その情報は、IP−MFT62(a)からSC部14に伝達され(S1854)、それを受けたSC部14は、ビジートーン出力要求を相手方のIP−MFT62(b)へ送出する(S1855)。ビジートーン出力要求を受けたIP−MFT62(b)は話者に相手方が通話を終了したことを通知するため、ビジートーンを受話器から出力する(S1856)。
【0160】
CC部12は、ビジートーン出力要求を受けると、IP−MFT62(a)に対して、空メッセージを送り(S1857)、それを受けたIP−MFT62(a)は、チャネルクローズ状態となる(S1858)。
【0161】
そして、ビジートーンを聞いたIP−MFT62(b)の話者は、相手が受話器を置いたことを認識して受話器をおく(ON HOOK)(S1859)。IP−MFT62(b)は、このON HOOK情報を交換機1に送出し(S1860)、CC部12がそれを検出して、空メッセージとビジートーン停止要求をIP−MFT62(b)に返送する(S1861、S1862)。空メッセージとビジートーン停止要求を受信したIP−MFT62(b)は、ビジートーンの出力を停止し、チャネルクローズ状態となり、通話が終了する(S1863)。
【0162】
図19に、HUB2経由で交換機に接続されているIP−MFT62と、IP電話機61との接続シーケンスを示す。
【0163】
IP−MFT62が受話器を上げてからダイヤルを開始するまでは、図18と同様なので省略する。
【0164】
ダイヤル情報を独自メッセージによりSC部14内の独自インタフェース部143経由でダイヤルを受信したCC部12は(S1900)、NO.7メッセージの付加情報アドレス信号であるIAIを使用し、SC部14内のプロトコル変換部141に送る(S1901)。この呼制御メッセージには音声データ通信で使用するVC部13のIPアドレスや宛先であるIP電話機61のIPアドレス、ポート番号情報などが格納されている。
【0165】
それを受けたプロトコル変換部141は、図14に示す変換表に従い、IAIメッセージをH.323メッセージの呼設定要求であるSET UPに変換し、IPパケットデータにてIP電話機61に伝達する(S1902)。また、このSET UPメッセージは、送信元がSC部14のIPアドレス、宛先がIP電話機61としており、SET UPメッセージ内の着信者番号はIP電話機61のIPアドレスとしている。
【0166】
SET UPを受けたIP電話機61は、呼設定受付処理を行い、SC部14に対して、H.323メッセージのCALL PROC(呼設定処理中)と、ALERT(呼出中)メッセージを返し、自身の呼び出しベルを鳴動させる(S1903、S1904、S1905)。また、このCALL PROC等の応答メッセージの宛先はSC部14のIPアドレスとしている。
【0167】
ALERTを受けたSC部14内のプロトコル変換部141は、先ほどの変換表に従い、ALERTメッセージをNO.7メッセージの付加情報付アドレス完了信号であるACIに変換し、更に、IPパケット音声送信不可情報(以下インチャネル利用不可情報という)とともにCC部12に伝える(S1906)。
【0168】
インチャネル利用不可情報は、IP−MFT62に対してのリングバックトーンを対向装置から送信できない場合に送るメッセージであり、IP−MFT62に対してリングバックトーン送出要求を送信する契機となっている。対向装置がIP−MFT62に対してリングバックトーン(IPパケット型)を送信できるような場合は、後述するIPパケット音声送信可能情報(以下インチャネル利用可情報という)を用いる。
【0169】
これを受けたCC部12は、SC部14を介してリングバックトーン出力要求をIP−MFT62に行い(S1907)、リングバックトーン出力要求を受けたIP−MFT62は、リングバックトーンの出力を行う(S1908、S1909)。
【0170】
ここで、IP電話機61が受話器を上げると(OFF HOOK)(S1910)、そのIP電話機61自身がチャネルオープン状態となり、そのOFF HOOK情報は、H.323メッセージでSC部14内のH.323インタフェース141に送られる(S1911)。
【0171】
その情報は、応答メッセージのCONNECTであり、それを受信したSC部14内のプロトコル変換部141は、NO.7メッセージであるAND(付加情報付応答信号)に変換され、CC部12に伝達される(S1912)。この呼制御メッセージには相手端末(IP−MFT62)のIPアドレス、ポート番号、圧縮方式などの情報が格納されている。
【0172】
それを受けたCC部12は、折り返しIP−MFT62とIP電話機61が通話する旨のメッセージをプロトコル変換部141に返すとともに(S1913)、同様のメッセージをIP−MFT62へ送出するため、SC部14内の独自インタフェース部143へも送り(S1914)、同時にVC部13へIPパケット音声中継メッセージ(以下デジタル1リンクメッセージという)を送る(S1915)。
【0173】
上記メッセージを受けた独自インタフェース143は、独自メッセージ(宛先はIP−MFT62のIPアドレス、送信元は、SC部14のIPアドレス)にてその情報をIP−MFT62に伝達する(S1916)。この情報によりIP−MFT62はチャネルオープンの状態となり、通話準備が完了する(S1917)。また、上記デジタル1リンクメッセージを受けたVC部13も、チャネルオープンの状態となり通話準備が完了する(S1918)。
【0174】
この後、通話データは、IP−MFT62からIP電話機61へは、HUB2(LAN)を経由し、IPパケット音声データ(宛先はIP電話機61、送信元はIP−MFT62のIPアドレス)として伝送され、IP電話機61からIP−MFT62への通話データ(宛先はVC部13、送信元はIP電話機61)は、VC部13とHUB2(LAN)を経由して、IPパケット音声(宛先はIP-MFT62、送信元はSC部14)で伝送される(S1919)。
【0175】
IP電話機61からIP-MFT62への音声データのみがVC部13を介している理由は以下のとおりある。もし、VC部13を介さずにIP−MFT62が別のIP−MFTに転送した場合は、IP電話機61が転送先のIPアドレスを入手しなければ、転送先に音声パケットデータを送出できない。そこで、VC部13を介して通信を行っていれば、転送先のIPアドレスをIP電話機61が入手しなくとも、VC部13のIPアドレスにだけ音声パケットデータを送っていればよい。それは、交換機1にIP−MFT62が転送指示してくる情報から入手した転送先IPアドレスで、VC部13から送信するIP電話機61から受信したデータの宛先を替えるだけよいからである。
【0176】
次に切断シーケンスを説明する。まずは、被呼者先掛け時でIP電話機61から通話を終了する場合は、まず、IP電話機61が受話器をおき(ON HOOK)(S1920)、その情報をH.323メッセージのREL COMPにてSC部14内のプロトコル変換部141に伝達し(S1921)、SC部14はそれをCC部12に伝達する。プロトコル変換部141では、ON HOOK(開放)情報であるREL COMPメッセージを受けて、CBK(終話信号)に変換してCC部12に送り(S1922)、それを受けたCC部12はCLF(切断信号)を返す(S1923)。
【0177】
CLFを受けたプロトコル変換部141は、RLG(復旧完了信号)をCC部12に送り(S1924)、CC部12は、それを受けて空メッセージを返し、プロトコル変換部は待機状態となる(S1925)。
【0178】
さきほど、CBKを受信したCC部12は、SC部内の独自インタフェース143にビジートーン出力要求を行い(S1926)、それを受けた独自インタフェース部143がIPパケット型の独自メッセージに変換して、IP−MFT62に伝達する(S1927)。その要求を受けたIP−MFT62は、話者に相手方が通話を終了したことを通知するため、ビジートーンを受話器から出力する(S1928)。
【0179】
また、CC部12はビジートーン出力要求を送出すると同時にVC部13に空メッセージを送出し(S1929)、それを受けてVC部13はチャネルクローズ状態となる(S1930)。
【0180】
その後、ビジートーンを聞いたIP−MFT62の話者は、相手が受話器を置いたことを認識して受話器をおく(ON HOOK)(S1931)。IP−MFT62は、このON HOOK情報を交換機1に送出し(S1932)、CC部12が検出して、空メッセージとビジートーン停止要求をIP−MFT62に返送する(S1933)。空メッセージとビジートーン停止要求を受信したIP−MFT62は、ビジートーンの出力を停止し、チャネルクローズ状態となり、通話が終了する(S1934)。
【0181】
次に、発呼者先掛け時でIP−MFT62から通話を終了する場合は、まず、IP−MFT62が受話器をおく(ON HOOK)(S1935)、その情報は、IP−MFT62からSC部14に伝達され(S1936)、それを受けたSC部14は、CC部12に伝え(S1937)、CC部12はプロトコル変換部141に対して、NO.7メッセージであるCLF(切断信号)で伝える(S1940)。これと同時に、空メッセージをIP−MFT62に返送してIP−MFT62をチャネルクローズ状態にする(S1938、S1939)。
【0182】
また、CLFを受けたプロトコル変換部141は、CLFをH.323メッセージであるREL COMP(開放完了)に変換して、IP電話機61へ送出する(S1941)。これをIP電話機61が受けると、チャネルクローズ状態となり話者が受話器をおく(ON HOOK)(S1942、S1943)。
【0183】
ここで、CLFを受けたプロトコル変換部141は、RLG(復旧完了信号)をCC部12に返し(S1944)、CC部12は、それを受けて空メッセージをプロトコル変換部141とVC部13に送り、VC部13はチャネルクローズ状態となり通話が終了する(S1945、S1946、S1957)。
【0184】
図20に、HUB2経由で交換機1に接続されているIP−MFT62と、ルーター3経由でIP網2側に接続されているNO.7メッセージ対応であるIP網側交換装置10との接続シーケンスを示す。
【0185】
HUB2に接続されているIP−MFT62と、ルーター3を介してIP網4側に接続されているNO.7メッセージ対応交換装置10(以下IP網側交換機)とが通信を行う場合、IP−MFT62が受話器を上げる(OFF HOOK)と(S2000)、その情報(宛先はSC部14、送信元はIP−MFT62のIPアドレス)は、SC部14内の独自インタフェース143で認識され、CC部12に伝達される(S2001)。
【0186】
OFF HOOK情報を受けたCC部12は、VC部13に対してBSYメッセージを伝達し(S2002)、VC部13はこれを受けて捕捉された状態となる(S2003)。同時に、ダイヤルトーン出力要求をSC部14経由でIP−MFT62に送出する(S2004)。ダイヤルトーン出力要求を受けたIP−MFT62は、話者に対してダイヤルトーン聞かせるためダイヤルトーンを生成し受話器から出力する(S2005)。
【0187】
ダイヤルトーンを受信して、交換機1に起動がかかったと認識したIP−MFT62は、接続するためのダイヤル送信を開始する(S2006)。
【0188】
SC部14内の独自インタフェース部143経由で最初のダイヤルを受信したCC部12は(S2007)、ダイヤルトーン停止要求をIP−MFT62に送り、IP−MFT62からのダイヤルトーンの出力をとめさせる(S2008、S2009)。
【0189】
最終ダイヤルを受信したCC部12は(S2010)、そのダイヤル情報から接続相手先を認識し、SC部14内のNO.7制御部142に対しNO.7メッセージであるIAIを送る(S2011)。このメッセージは、発信元であるSC部14のIPアドレス、宛先であるIP網側交換機10のIPアドレスや、音声データ通信で使用するVC部13のIPアドレス等が格納されている。それを受けたNO.7制御部142はIP網4側装置にNO.7メッセージであるIAIをIPパケットデータ(宛先はIP網側交換機10、送信元はSC部14のIPアドレス)化して送出する(S2012)。
【0190】
IAIを受けたIP網側交換機10は、着信状態となり(S2013)、NO.7メッセージのACI(付加情報付アドレス完了信号)をパケットデータ(宛先はSC部14、送信元はIP網側交換機10)にてNO.7制御部142におくり(S2014)、IP網側交換機10に接続されている端末に対してベル(リングバックトーン)の鳴動を開始する(S2015)。
【0191】
IP網側交換機10からのACIメッセージを受信したSC部14内のNO.7制御部142はそれを認識し、ACIデータとインチャネル利用可情報とともに、CC部12に伝達する(S2016)。このメッセージには相手先であるVC部13のIPアドレス、ポート番号等の情が格納されている。
【0192】
インチャネル利用可情報は、IP−MFT62の対向装置がIP−MFT62に対してIPパケット型音声であるリングバックトーンを送信可能である場合に使用するメッセージであり、このメッセージを受信したCC部12は、折り返しIP−MFT62とIP網側交換機10が通話する旨のメッセージをNo.7制御部142に返すとともに(S2017)、同様のメッセージをSC部14内の独自インタフェース部143へも送る(S2018)。
【0193】
これを受けた独自インタフェース143は、パケット型にメッセージを変換し、IP−MFT62へ送信する(S2019)。また、このメッセージを受けたIP−MFT62はチャネルオープン状態となる(S2020)。
【0194】
更に、ACIを受信したSC部14内のNO.7制御部142は、同時にVC部13へデジタル1リンクメッセージ(宛先はIP−MFT62、送信元はSC部14、更に通信相手先のIP網側交換機10のIPアドレスを付加)も送り(S2021)、VC部13もチャネルオープン状態となる。ここでのVC部13は、IP網側交換機10からIP−MFT62方向のパケット型音声を伝送するために使用する。
【0195】
ここでさきほど、IP網側交換機10が鳴動を開始したリングバックトーンは、IPパケット音声として、VC部13経由でIP−MFT62へ流され、IP−MFT62の話者は呼び出し中であることを認識する(S2022)。
【0196】
リングバックトーン送出と同時に、IP網側交換機10に接続されている内線電話機等に呼び出しが行われ、その呼び出しが行われている内線電話機等がOFF HOOKすると(S2023)、IP網側交換機10がそれを認識し、パケット型のNO.7メッセージであるAND(付加情報付応答信号)をNO.7制御部142に伝えるとともに(S2024)、リングバックトーンの送出を停止する。
【0197】
そのANDを受信したSC部14内のNO.7制御部142は、それを認識し、CC部12に伝達する(S2025)。それを受けたCC部12は、折り返しIP−MFT62とIP網側交換機10が通話する旨のメッセージをNo.7制御部142に返すとともに、同様のメッセージをSC部14内の独自インタフェース部143へも送る(S2027)。これを受けた独自インタフェース143はパケット型にメッセージを変換しIP−MFT62に送出する(S2027)。ANDを受信したCC部12は、同時にVC部13へデジタル1リンクメッセージも送る(S2028)。
【0198】
これらのS2027、S2028メッセージはIP−MFT62とVC部13側では無視される(S2029、S2030)。
【0199】
この後、通話データは、IP−MFT62からIP網側交換機10へは、HUB2(LAN)を経由し、IPパケット音声データ(宛先はIP網側交換機10、送信元はIP−MFT62のIPアドレス)として伝送され、IP網側交換機10からIP−MFT62への通話データ(宛先VC部13、送信元IP網側交換機10のIPアドレス)は、VC部13とHUB2(LAN)を経由して、IPパケット音声(宛先はIP−MFT62、送信元はVC部13)で伝送される(S2031)。このアドレス変換はVC部13で行っている。
【0200】
IP網側交換機10からIP−MFT62への音声データのみがVC部13を介している理由は以下のとおりある。もし、VC部13を介さずにIP−MFT62が別のIP−MFTに転送した場合は、IP網側交換機10が転送先のIPアドレスを入手しなければ、転送先に音声パケットデータを送出できない。そこで、VC部13を介して通信を行っていれば、転送先のIPアドレスをIP網側交換機10が入手しなくとも、VC部13のIPアドレスにだけ音声パケットデータを送っていればよい。それは、交換機1にIP−MFT62が転送指示してくる情報から入手した転送先IPアドレスで、IP網側交換機10から受信した音声データの宛先を替えればよいからである。
【0201】
次に切断シーケンスを説明する。まずは、被呼者先掛け時でIP網側交換機10から通話を終了する場合は、まず、IP網側交換機10に接続されている内線電話機等が受話器をおき(ON HOOK)(S2032)、それをIP網側交換機10が認識し、その情報をNO.7メッセージのCBK(終話信号)として、SC部14内のNO.7制御部142に伝達し(S2033)、NO.7制御部142は、それをCC部12に伝達する(S2034)。そのON HOOK情報(CBK)を受信したCC部12は、折り返しNO.7制御部142に対してCLF(切断信号)を返し(S2035)、それを受けたNO.7制御部142がパケットデータとしてIP網側交換機10へ送出する(S2036)。それをIP網側交換機10が受けると、IPパケット型NO.7メッセージのRLG(復旧完了信号)をSC部14経由で、CC部12に送り(S2037)、CC部12はそれを受けて空メッセージをNO.7制御部142に送る(S2038)。
【0202】
また、そのON HOOK情報(CBK)を受信したCC部12は、SC部14内の独自インタフェース143経由でIP−MFT62に対して、IP網側交換機10が受話器を置いたことを認識したため、ビジートーン出力要求を送信する(S2039)。同時に、VC部13に対して空メッセージを送り、VC部13をチャネルクローズ状態にさせる(S2040、S2041)。
【0203】
ビジートーン出力要求受けたIP−MFT62は、話者に相手方が通話を終了したことを通知するため、ビジートーンを受話器から出力する(S2042)。
【0204】
そして、ビジートーンを聞いたIP−MFT62の話者は、相手が受話器を置いたことを認識して受話器をおく(ON HOOK)(S2043)。IP−MFT62は、このON HOOK情報を交換機1に送出し(S2044)、CC部12が検出して、空メッセージとビジートーン停止要求をIP−MFT62に返送する(S2045)。空メッセージとビジートーン停止要求を受信したIP−MFT62は、ビジートーンの出力を停止し、チャネルクローズ状態となり、通話が終了する(S2046)。
【0205】
次に、発呼者先掛け時でIP−MFT62から通話を終了する場合は、まず、IP−MFT62が受話器をおく(ON HOOK)(S2047)、その情報は、IP−MFT62からSC部14内の独自インタフェース部143経由でCC部12に伝達され(S2048)、それを受けたCC部12は、SC部14内のNO.7制御部142にNO.7メッセージであるCLF(切断信号)を送出し(S2049)、それを、NO.7制御部142がパケットデータ化して、IP網側交換機10に伝達する(S2050)。
【0206】
IP網側交換機10側では相手が受話器を置いたこと認識し、IP網側交換機10に接続している内線電話機の話者も受話器を置く(ON HOOK)(S2051)。
【0207】
CC部12は、CLFを出力すると同時に空メッセージを独自インタフェース部143を介してIP−MFT62に送り、IP−MFT62をチャネルクローズ状態にさせる(S2052、S2053)。
【0208】
S2051にてON HOOK状態を検出したIP網側交換機10は、IPパケット型のNO.7メッセージであるRLG(復旧完了信号)をSC部14内のNO.7制御部142経由でCC部12に送り(S2054)、それを受けたCC部12は、VC部13とNO.7制御部142に対して空メッセージを送り(S2055、S2056)、VC部13はチャネルクローズ状態となり、通話が終了する(S2057)。
【0209】
図21に、HUB2経由で交換機1と接続されているIP電話機61とIP網側交換機10との接続シーケンスを示す。
【0210】
IP電話機61からのダイヤルが完了して、H.323メッセージであるSET UP(宛先はSC部14、送信元はIP電話機61のIPアドレス)(呼設定要求)がSC部14内のプロトコル変換部141に伝えられると(S2100)、プロトコル変換部141は、図13に示すH.323メッセージである(H.225)CALL PROC(呼設定受付)をIP電話機61に返すとともに(S2101)、SET UPをNO.7メッセージのIAIに変換し、CC部12に伝える(S2112)。このIAIには、相手端末(IP網側交換機10)のIPアドレス、ポート番号、圧縮方式等のデータが格納されている。
【0211】
次に、CC部12は、そのIAIメッセージを発信元であるIP電話機61が接続されているVC部13aのIPアドレス等を格納したIAIに変換し(S2113)、SC部14内のNO.7制御部142で、IPパケット型データ(宛先はIP網側交換機10、送信元はSC部14のIPアドレス)に変換した後、IP網側交換機10に送出する(S2114)。また、CC部12は、プロトコル変換部141からIAIを受けると同時に、IP電話機61が接続されているVC部13aと、IP網側交換機10が接続されている別のVC部13bの両方にBSYメッセージを送出して、各々のVC部13を捕捉状態にする(S2115、S2116、S2117、S2118)。
【0212】
IAIを受けたIP網側交換機10は、IPパケット型のACI(付加情報付アドレス完了信号)(宛先はSC部14、送信元はIP網側交換機10のIPアドレス)をSC部14内のNO.7制御部142経由で、CC部12に送る(S2119)。NO.7制御部142からCC部12へ送るACIには、相手端末(IP電話機61)のIPアドレス、ポート番号等が格納されている。それを受けた、CC部12は、IP網側交換機10と接続されているVC部13bのIPアドレス、相手端末(IP電話機61)のIPアドレスを格納したACIに変換し、SC部14内のプロトコル変換部141に伝達する(S2120)。次にプロトコル変換部141が、NO.7メッセージであるACIをH.323メッセージのALERT(呼出)に変換して、IP電話機61におくる(宛先はIP電話機61、送信元はSC部14のIPアドレス。また、通信相手であるIP網側交換機10と接続されていて音声データ通信で使用するVC部13bのIPアドレス情報も付加している。)(S2121)。これで、IP電話機61はチャネルオープン状態となる(S2122)。
【0213】
そして、ACIを受けたCC部12は、IP電話機61とIP網側交換機10が通話する旨の情報をSC部14内のNO.7制御部142と、プロトコル変換部141に送るとともに(S2123、S2124)、VC部13a/bに対して、デジタル1リンクメッセージを送り(S2125、S2126)、IP電話機61とIP網側交換機10が接続されている各々別のVC部13をチャネルオープン状態にさせる(S2127、S2128)。
【0214】
IP網側交換機10がIAIを受けて、鳴動を開始したリングバックトーンは、IPパケット音声(宛先はVC部13、送信元はIP網側交換機10のIPアドレス)として、VC部13b経由でIP電話機61へ流されたデータ(宛先はIP電話機61、送信元はVC部13bのIPアドレス)は、IP電話機61で受信され、話者が相手を呼び出し中であることを認識する(S2129)。
【0215】
呼出は、IP網側交換機10に接続されている内線電話機等に行われ、その内線電話機等がOFF HOOKすると(S2130)、IP網側交換機10がそれを認識し、IPパケット型AND(付加情報付応答信号)をNO.7制御部142に伝える(S2131)。
【0216】
そのANDを受信したSC部14内のNO.7制御部142は、それを認識し、CC部12に伝達する(S2132)。それを受けたCC部12は、ANDをSC部14内のプロトコル変換部141に送り(S2133)、プロトコル変換部141では、No.7メッセージであるANDをH.323メッセージのCONNECT(応答信号)に変換して、IP電話機61へ伝達する(S2134)。
【0217】
また、ANDを受信したCC部12は、折り返しプロトコル変換部141とNO.7制御部142に対して、IP電話機61とIP網側交換機10が通話する旨のメッセージ送るとともに(S2135、S2136)、IP電話機61とIP網側交換機10が接続されている各々別のVC部13a/bへデジタル1リンクメッセージを送る(S2137、S2138)。このメッセージを受けた各々のVC部13は、IPパケット音声の送信先アドレス変更である接続替え処理を行う。
【0218】
この後、通話データは、IP電話機61からIP網側交換機10へのデータは(宛先はVC部13a、送信元はIP電話機61のIPアドレス)、VC部13a、HUB2(LAN)を経由し、IPパケット音声データ(宛先はIP網側交換機10、送信元はVC部13aのIPアドレス)として伝送され、IP網側交換機10からIP電話機61へのデータは(宛先はVC部13b、送信元はIP網側交換機10のIPアドレス)、VC部13bとHUB2(LAN)を経由して、IPパケット音声(宛先はIP電話機61、送信元はVC部13bのIPアドレス)で伝送される(S2139)。
【0219】
次に切断シーケンスを説明する。まずは、被呼者先掛け時でIP網側交換機10から通話を終了する場合は、まず、IP網側交換機10に接続されている内線電話機等が受話器をおき(ON HOOK)(S2140)、それをIP網側交換機10が認識し、その情報をNO.7メッセージのCBK(終話信号)として、SC部14内のNO.7制御部142に伝達し(S2141)、SC部14はそれをCC部12に伝達する(S2142)。
【0220】
そのON HOOK情報(CBK)を受信したCC部12は、折り返しNO.7制御部142に対してCLF(切断信号)を返し(S2143)、それを受けたNO.7制御部142がパケットデータとしてCLFをIP網側交換機10へ送出する(S2144)。それをIP網側交換機10が受けると、RLG(復旧完了信号)をSC部14経由で、CC部12に送り(S2145、S2146)、CC部12はそれを受けて空メッセージをSC部14内のNO.7制御部142とIP網側交換機10が接続されているVC部13bに送る(S2180、S2147)。これを受けてVC部13bはチャネルクローズ状態となり、IP網側交換機10側の通話が終了する(S2148)。
【0221】
また、そのON HOOK情報(CBK)を受信したCC部12は、SC部14内のプロトコル変換部141に対して、IP網側交換機10が受話器を置いたことを認識したため、同じくCBKを送信する(S2149)。それを受けたプロトコル変換部141は、CBKをH.323メッセージのREL COMP(開放完了信号)に変換してIP電話機61に送る(S2150)。それを受けたIP電話機61はチャネルクローズ状態となり(S2151)、話者に相手方が通話を終了したことを通知するため、ビジートーンを受話器から出力する。
【0222】
そして、ビジートーンを聞いたIP電話機61の話者は、相手が受話器を置いたことを認識して受話器をおく(ON HOOK)(S2152)。
【0223】
また、CBKを受信したプロトコル変換部141は、CLF(切断信号)をCC部12に返送し(S2153)、CC部12からRLG(復旧完了信号)と、空メッセージを受信する(S2154、S2155)。
【0224】
これと、同時にCC部12は、IP電話機61が接続されているVC部13aに空メッセージを送り、VC部13aをチャネルクローズ状態にさせて、通話が終了する(S2156、S2157)。
【0225】
次に、発呼者先掛け時でIP電話機61から通話を終了する場合は、まず、IP電話機61が受話器をおく(ON HOOK)(S2158)、その情報であるH.323メッセージのREL COMPは、SC部14内のプロトコル変換部141で一旦受けられ(S2159)、No.7メッセージであるCLF(切断信号)に変換され、CC部12に伝達される(S2160)。それを受けたCC部12は、SC部14内のNO.7制御部142にNO.7メッセージのCLF(切断信号)を送出し(S2161)、それを受信したNO.7制御部142が、パケットデータ化して、IP網側交換機10に伝達する(S2162)。
【0226】
IP網側交換機10側でも相手が受話器を置いたこと認識し、IP網側交換機10に接続している内線電話機の話者が受話器を置く(ON HOOK)。
【0227】
CC部12は、CLFを出力すると同時にRLGと空メッセージをプロトコル変換部141に送り(S2163、S2164)、空メッセージはプロトコル変換部141からIP電話機61に伝達され(S2165)、IP電話機61は、チャネルクローズ状態となる(S2166)。また、CC部12からIP電話機61が接続されているVC部13aにも空メッセージが送出され(S2167)、これによりVC部13aもチャネルクローズ状態となる(S2168)。
【0228】
また、IP網側交換機10側でもIP網側交換機10に接続している内線電話機の話者が受話器を置いたことを認識すると、RLGをNO.7制御部142経由で、CC部12に送り(S2169)、それを受けたCC部12は、空メッセージをNo.7制御部142及びIP網側交換機10が接続されているVC部13bに送出して(S2170、S2171)、VC部13bがチャネルクローズ状態となり通話が終了する(S2172)。
【0229】
次に、交換機1のIP−MFT62制御を具体的に説明する。制御処理とは、CC部12〜SC部14間、及びSC部14からIP−MFT62間メッセージの送受信制御をいう。制御処理では、以下に示す機能を実施する。
【0230】
まず一番目としては、IP−MFT CSスキャン応答機能。これは、IP−MFT62が行うSC部14スキャン動作に対して応答し、自SC部12のIPアドレス、ログインポート番号等をIP−MFT62に通知するものである。
【0231】
次に二番目は、IP−MFT62のログイン状態を管理する機能。これはIP−MFT62から交換機1へログインする際のログインコマンド許可/拒否、及びログアウトコマンド処理を行い、ログイン状態を管理するものである。
【0232】
三番目は、CC部12からの情報要素メッセージをIP−MFT62へ送信する機能。これはCC部12からの共通メッセージ(複数のIP−MFTへ一斉に通知する場合のメッセージ)、及び個別メッセージ(特定のIP−MFTに通知する場合のメッセージ)毎に該当IP−MFT62へメッセージ送信を行うものである。
【0233】
四番目は、IP−MFT62からの情報要素メッセージをCC部12へ通知する機能。これは、IP−MFT62から受信した情報要素メッセージをCC部12へ通知するものである。
【0234】
五番目は、SC部14輻輳時のIP−MFT62発信規制機能。これは、SC部14にて輻輳発生時、IP−MFT62オフフック時に輻輳であることを通知し、発信規制を行うものである。
【0235】
六番目は、IP−MFT62からの通信統計情報収集機能。これは、IP−MFT62から送られる通信統計情報を収集するものである。
【0236】
以下に、上記各機能毎の処理概要を示す。
【0237】
IP−MFT SCスキャン応答機能処理。本制御処理ではIP−MFT62からのSC部14のスキャンを待って、IP−MFT62からのマルチキャストによるSCスキャンメッセージ受信時に、局データに基づいた自SC情報(SC部14のIPアドレス、サブネットマスクは必須、ログインポート番号はSCスキャンポート番号と異なる場合に必要。)をスキャン元IP−MFT62へユニキャストで通知する。
【0238】
IP−MFTログイン状態管理機能処理。本制御処理ではIP−MFT62からのログインを待って、IP−MFT62からのログイン/ログアウトメッセージ、及びライフチェックタスクからのライフチェック(自己診断)NG通知により、それぞれ以下の処理を行う。IP−MFT62からのユニキャストによるログインメッセージ受信時は、IP−MFT状態管理テーブルによりログイン許可判定処理を行う。
【0239】
ログイン許可した場合には、IP−MFT62へログイン許可、呼制御ポート番号通知、及びIP−MFT初期化情報を通知し、IP−MFT状態管理テーブルの該当電話番号位置へIP−MFT情報(IP−MFTのIPアドレス、MACアドレス)の登録を行い、IP−MFT62をログイン状態とする。その後ライフチェックタスクへ該当IP−MFT62のライフチェック開始指示を行う。また、ログイン拒否した場合は、IP−MFT62へログイン拒否通知を行い、IP−MFT情報登録せず、ライフチェック開始指示も行わない。
【0240】
IP−MFT62からのユニキャストによるログアウトメッセージ受信時、及び、IP−MFT62(ライフチェックタスク)からのIP−MFTライフチェック(自己診断)NG通知時には、IP−MFT状態管理テーブルの該当電話番号位置のIP−MFT情報(IP−MFTのIPアドレス、MACアドレス)のクリアを行い、IP−MFT62をログアウト状態とする。
【0241】
IP−MFT情報要素メッセージ送信機能処理。CC部12からのメッセージ受信時、受信した情報要素の共通メッセージ/個別メッセージ分別を行う。その後、メッセージ種別毎に以下の処理を行う。
【0242】
共通メッセージ受信時の処理は、SC部14がCC部12から受信した情報要素をLAN側送受信データフレームフォーマットにカプセリングし、全IP−MFTに対して一斉同報を行うため、マルチキャストにて呼制御用ポートからメッセージ送信を行う。この際IP−MFT62からの受信応答は無いため、パケットロス対策として局データにて指定された送信回数分連続送信を行う。また、マルチキャストアドレスは設定されている局データに従う。
【0243】
個別メッセージ受信時の処理は、メッセージの送信先判定を行い、該当IP−MFT62がログアウト中であればメッセージは捨て、処理を終了する。該当IP−MFT62がログイン中であれば、宛先アドレスの特定して情報要素をLAN側送受信データフレームフォーマットにカプセリングし、該当IP−MFT62に呼制御用ポートから送信を行う。その後IP−MFT62からの受信応答を呼制御用ポートにて受信し、送信処理完了となる。
【0244】
IP−MFT62からの受信応答がない場合にはメッセージ再送処理を行う。この場合のタイムアウト時間、再送リトライ回数は、局データに従う。再送リトライオーバー時には、IP−MFT62状態管理テーブルをIP−MFT62ログアウト状態とし、CC部12へ切断通知後IP−MFTログアウト通知を行う。
【0245】
IP−MFT情報要素メッセージ受信機能処理。本制御処理ではIP−MFT62からのメッセージを待って、IP−MFT62からのユニキャストによる呼制御メッセージ受信時、該当IP−MFT62がログアウト中であればメッセージ受信拒否応答をIP−MFT62へ送信し処理を終了する。該当IP−MFT62がログイン中であれば、メッセージ受信応答をIP−MFT62へ送信し、受信したデータ中の情報要素を抽出し、CCインタフェースタスクに対してのCCメッセージ送信要求ハンドリングにより、CC部12へIP−MFT情報通知を行う。
【0246】
また、IP−MFT62からの再送メッセージのCC部12への2度送りを防止するため、受信データのシーケンス番号をチェックし、同一IP−MFT62からの最終受信データと同一のシーケンス番号のデータを受信した際は、受信メッセージを破棄する。
【0247】
SC部輻輳時のIP−MFT発信規制機能処理。本制御処理ではSC部にて輻輳発生を検出した時に、IP−MFT62から受信した呼制御メッセージがオフフック通知であった場合、IP−MFT62への受信応答にて輻輳中通知を行い、発信規制を行う。この規制は、開放メッセージ等にて行い、IP−MFT62がビジートーンを送出できるようにする。
【0248】
また、輻輳復旧検出時には、マルチキャストにて全てのIP−MFT62に対して輻輳復旧通知を行い、発信規制を解除する。
【0249】
SC部14で検出する輻輳とは、定められたIPパケットの送受信能力を超えたり、同時に接続される端末数が定められた台数を超えた場合等に発生する。
【0250】
例えば、プロトコル変換部141、NO.7制御部142及び独自インタフェース部143の処理中呼をCC部12で管理し、一定量(閾値)を超えた場合に輻輳と判断し、閾値を下回った場合に輻輳を解除する。
【0251】
輻輳時の処理として、CC部12側へは、新たな呼を受付ないようにチャネル全てを閉塞状態とする。プロトコル変換部141へは、着信は全て拒否するよう指示し、NO.7制御部142へは、新たな呼を受付ないようにチャネル全てを閉塞状態とする。また、独自インタフェース部142へは、IP−MFT62がオフフックした場合に、ビジートーンをIP−MFT62に出力させる指示を出す。
【0252】
IP−MFTからの通信統計情報収集機能処理。IP−MFT62は通話終了時、呼制御ポートにて1通話の通信統計情報をSC部14に通知する。本制御処理では、IP−MFT62から通信統計情報受信時、通信統計情報テーブルへの展開を行う。通信統計情報テーブルはそれぞれ、IP−MFT62毎の通信統計情報トレースエリア、全体統計エリアが有り、両方のエリアに展開格納する。
【0253】
図22から図24を用いて、交換機1とIP−MFT62間で行われる独自メッセージに関し説明する。
【0254】
図22にSC部14(交換機1)とIP−MFT62間で行われる独自メッセージ変換のフレーム形式を示す。
【0255】
LAN側のメッセージは独自規定のものであるため、IP−MFT62用情報要素メッセージをLAN側送受信用の独自フレームにカプセリングする。このデータはUDPユーザーデータとして取り扱っている。
【0256】
独自フレームのデータフォーマットは、ヘッダ部とデータ部に分かれている。ヘッダ部は、2バイトのメッセージ固有の識別子を示すメッセージ識別子221と、2バイトのメッセージ発信元装置固有の識別子を示すメッセージ発信元識別子222と、2バイトのヘデータ固有の識別子を示すデータ識別子223と、2バイトのヘッダ個別データ長を示すヘッダ個別データレングス224、nバイト(nは4の倍数)プロトコル固有の情報を設定するデータであるヘッダ個別データ225から構成されている。
【0257】
また、ヘッダ個別データレングス224は、4の倍数を指定するものとして、ヘッダ部全体長が、ヘッダ個別データレングス(n:4の倍数)メッセージと8バイトとなるようにしている。
【0258】
データ部は、ユーザーデータであるIP−MFT62用情報要素メッセージ長を示すデータレングス226(4バイト)と、IP−MFT62用情報要素メッセージであるユーザデータ227から構成されている。ユーザデータ227内にON/OFF HOOK情報やダイヤル情報等を格納する。
【0259】
図23には、SC部14からIP−MFT62へ送られる個別メッセージのフレーム内容を示す。
【0260】
メッセージ識別子221は、0001(HEX)が個別メッセージの「応答有(応答の必要あり)」、0002(HEX)が個別メッセージの「応答無(応答の必要なし)」、0003(HEX)が共通メッセージの「応答有(応答の必要あり)」、0004(HEX)が共通メッセージの「応答無(応答の必要なし)」、8001(HEX)が個別メッセージに対する応答、8003(HEX)が共通メッセージに対する応答を示すようにしている。
【0261】
メッセージ発信元装置識別子222は、0001(HEX)がSC部14、0002(HEX)がVC部13、0003(HEX)がIP−MFT62、0004(HEX)がIP−MFT62用保守端末を示すようにしている。
【0262】
データ識別子223は、データ固有の識別子を示し、ヘッダ個別データレングス224は、ヘッダ個別のデータ長を示し、ヘッダ個別データ225は、装置、プロトコルメッセージ固有の情報を設定するところで、SC部14が管理、付加する情報である。ひとつのIP−MFT62に送信する個別メッセージ毎に00000000〜FFFFFFFF(HEX)までサイクリックに使用する(メッセージシーケンシャル番号として使用)。
【0263】
本情報は、同一個別メッセージ再送時に、同一シーケンシャル番号が使用されるため、受信側において同一個別メッセージかどうかの判断基準として使用できる。このデータは2バイトを初期値としているが、機能拡張を想定して可変長(nバイト)としている。
【0264】
データレングス226はユーザデータ227の長さを示し、最後にユーザデータ227は、送受信のデータエリアであり、IP−MFT62用情報要素を格納するものである。
【0265】
次にIP-MFTのIPアドレス特定する動作を説明する。
【0266】
SC部14に対し、IP−MFT62への個別メッセージを送信時に、CC部12から送られてくるIP−MFT62用情報要素メッセージの宛先情報をパッケージ番号と回路番号のみとしているので、SC部14ではその情報から送信先アドレスを特定する処置が必要となる。
【0267】
ここで、パッケージ番号とは、本発明の交換装置に搭載される物理的な基板の搭載を管理する番号であり、基板の搭載位置に応じて付与される。そして回路番号とは、前記基板(パッケージ)内に複数の機能回路が搭載された場合にその機能回路を管理する番号である。
【0268】
前記パッケージ番号と回路番号はCC部12が管理し、前記パッケージ番号と回路番号に電話番号がマッピングされる。そのデータをもとにSC部14では、パッケージ番号及び回路番号毎の電話番号及びIPアドレステーブルを作成し、IP−MFT62のログイン時に該当電話番号のテーブルへIP−MFT62のIPアドレスを登録する。これで、メッセージ送信先のIP−MFT62のIPアドレスを特定する。
【0269】
図24のIPアドレステーブルを用いて、IP−MFT62のIPアドレス特定方式を詳細に説明する。
【0270】
SC部14では、IP−MFT62の状態管理を行うために図24に示す管理テーブル作成し、IP−MFT62ログイン毎にCC部12に記憶させておく。
【0271】
CC部12で記憶した情報は、SC部14リブート時に再送され、SC部14はリブート前の状態を維持できるようにしているためである。
【0272】
また、IP−MFT62からの情報要素付加用に、交換機1内のパッケージ番号及び回路番号をIP−MFT62ログイン時にSC部14よりIP−MFT62に対して通知する。
【0273】
図中の電話番号部241には、パッケージ番号・回路番号に対応した電話番号をセットする。本情報はSC部14の起動時にCC部12よりセットされる。
【0274】
次のIP−MFT IPアドレス部242は、電話番号に対応したIP−MFT IPアドレスをIP−MFTログイン時に登録し、IP−MFT62のIPアドレスの特定に使用する。(IP-MFT IPアドレスは、ログイン時にIP−MFTから入手する。) SC部14ではIP−MFT62がSC部14にログイン時、対応する電話番号を検索し、一致するSC部14内のオフセット部にIP−MFT IPアドレスをセットする。ログインしていない場合やログアウトした場合には、0.0.0.0をセットする。
【0275】
IP−MFT MACアドレス部243は、電話番号に対応したIP−MFT62のMACアドレスをIP−MFT62ログイン時に登録し、再ログイン時の許可判定に使用して、同一電話番号の2重ログイン防止を行う。(IP-MFTMACアドレスも、ログイン時にIP−MFTから入手する。) SC部14ではIP−MFT62がSC部14にログイン時、対応する電話番号を検索し、一致するオフセット部にIP−MFT MACアドレスをセットする。ログインしていない場合やログアウトした場合には0000 0000 0000を入力し未ログイン状態と判断する。
【0276】
その他の状態情報部244は、SC部14が管理すべき上記以外のIP−MFT62の状態(例えば通話状態等)を随時セットする。
【0277】
IP−MFT62がSC部14にログイン後、SC部14がそのIP−MFT62に対してメッセージ送信を行う際、CC部12からの情報要素のパッケージ番号、回路番号をオフセットとしてIP−MFT IPアドレスを取得し、そのIPアドレスに対してメッセージ送信を行う。
【0278】
また、IPアドレスが0.0.0.0の場合(IP−MFT62がログインしていない状態)、CC部12からの該当パッケージ番号・回路番号へのメッセージは読み捨てる。
【0279】
IP−MFT62が同一電話番号であった場合の2重ログイン防止については、IP−MFT62がログインした際に、既にMACアドレスが登録されていた場合、再ログインと認識する。
【0280】
IP−MFT62が再ログインした際にMACアドレスが同一であれば、IP−MFT62移動や、IP−MFT62のIPアドレス変更等と判断し、そのままIP−MFT IPアドレスを更新しログインを許可する。また、再ログイン時にMACアドレスが不一致であれば別装置からの同一電話番号2重ログインと判断しログインを許可しない。
【0281】
尚、他MACアドレスにて同一電話番号が使用される条件として、装置(IP−MFT62)故障等による装置交換時のMACアドレス変更がある。この場合装置交換時には1度ログアウト操作してから交換することが条件となる。
【0282】
SC部14からIP-MFT62へのメッセージ伝達方式について図30〜図34を用いて説明する。
【0283】
SC部14からIP-MFT62へ送信されるメッセージはUDPで行うため、データの保証を行わなければならない。図30から図32に個別メッセージの伝達方法、図33、図34に共通メッセージの伝達方法を示す。
【0284】
図30から図32に示す通り、個別メッセージは、それに対するメッセージ受信応答を返送することにより伝送確認を行う。
【0285】
図30には、SC部14がIP−MFT62へメッセージを正常に送信した場合のシーケンスを示す。まず、SC部14がシーケンシャル(順序)番号を付加したメッセージを作成し、指定のIP−MFT62のIPアドレスを宛て先にして送信する(S3000、S3001)。シーケンス番号は、送信するデータの順序を示す番号のことをいう。メッセージを受信したIP−MFT62は、送られてきたデータのシーケンス番号を確認し、それに対する応答を作成し、SC部14に送信する。この応答にもシーケンス番号が付加される(S3002、S3003、S3004)。
【0286】
応答を受信したSC部14は、いままで、IP−MFT62からの受信した最終シーケンシャル番号と先に受信した応答データのシーケンシャル番号とを比較して、最終シーケンシャル番号の次につづくシーケンシャル番号であった場合に問題なしと判断し、メッセージの送信完了とする(S3006、S3007、S3008)。
【0287】
また、SC部14からメッセージを送信した際に、応答受信待ちまでの時間を規定するタイマを起動させ、応答の返信がない場合に備えて、待ち時間に制限を持たせている(S3005)。
【0288】
図31にSC部14に送信リトライが発生した場合のシーケンスを示す。まず、SC部14がシーケンシャル(順序)番号を付加したメッセージを作成し、指定のIP−MFT62のIPアドレスを宛て先にして送信する(S3100、S3101)。このときIP−MFT62からの応答待ちタイマを起動させる(S3103)。
【0289】
ネットワーク上でパケットロスや対向IP−MFT62の無応答(以降、パケットロスという)が発生した場合は(S3102)、SC部14で応答を受信できないので、応答待ちタイムアウトが発生する(S3104)。これを契機に前記メッセージを同じメッセージの再送信を行う(S3105)。
【0290】
メッセージを受信したIP−MFT62は、送られてきたデータのシーケンス番号を確認し、それに対する応答を作成し、SC部14に送信する。この応答にもシーケンス番号が付加される(S3106、S3107、S3108)。
【0291】
応答を受信したSC部14は、いままで、IP−MFT62からの受信した最終シーケンシャル番号と先に受信した応答データのシーケンシャル番号とを比較して、最終シーケンシャル番号の次につづくシーケンシャル番号であった場合に問題なしと判断し、メッセージの送信完了とする(S3110、S3111、S3112)。
【0292】
また、SC部14からメッセージを再送信した場合にも、応答受信待ちまでの時間を規定するタイマを起動させ、応答の返信がない場合に備えて、待ち時間に制限を持たせている(S3109)。
【0293】
図32にSC部14に送信リトライオーバーが発生した場合のシーケンスを示す。まず、SC部14がシーケンシャル(順序)番号を付加したメッセージを作成し、指定のIP−MFT62のIPアドレスを宛て先にして送信する(S3200、S3201)。このときIP−MFT62からの応答待ちタイマを起動させる(S3203)。
【0294】
ネットワーク上でパケットロスが発生し(S3202)、SC部14で応答を受信できないので、応答待ちタイムアウトが発生する(S3204)。これを契機に前記メッセージを同じメッセージの再送信を行う(S3205)。しかし、このときもネットワーク上でパケットロスが発生し(S3206)、SC部14で再度応答待ちタイムアウトが発生する(S3207、S3208)。ここで、もう一度S3205と同じメッセージを再送信する(S2109)。ここでも、ネットワーク上でパケットロスが発生し(S3210)、SC部14で応答を受信できないので、応答待ちタイムアウトが発生する(S3212)。この3回の応答待ちタイムアウトが発生した場合は、指定したIP−MFT62が3回無応答状態と判断し、通信エラーの処理へ移行する。
【0295】
応答待ちタイムアウト時間は交換機1(データ)→IP−MFT62(応答)→交換機1メッセージ伝送時間が3ms程度である場合は、安全率が10倍以上のとすること(例えば50ms)が望ましい。伝送時間の内訳は、交換機1の処理時間、LAN伝送時間、HUB2の中継遅延時間、IP-MFT62の処理時間等からなっている。
【0296】
またリトライ2回NGにてメッセージ送信不可と判定し、送信装置毎の通信障害処理を行うこととする。尚、応答待ちタイムアウト時間、リトライ回数は今回の例としては50ms、2回としているが、ネットワーク特性に合わせて可変設定可能としている。
【0297】
また、メッセージ送信のパイプライン処理(並列処理)を行う場合、同一送信先に対してはメッセージの順序入れ替えの無いよう、シリアル処理としている。
【0298】
図33から図34に示す通り、共通メッセージは、マルチキャストにて複数の端末へ送信するため、トラフィックの問題からメッセージに対するメッセージ受信応答を返送しない。よって、2回連続送信を行い、パケットロスに対応している。
【0299】
尚、連続送信回数は基本的に2回とするが、ネットワーク特性に合わせて可変設定可能としている。共通メッセージはSC部14からの送信のみで、IP−MFT62からの送信は無いものとしている。
【0300】
図33には、SC部14がIP−MFT62へ共通メッセージを正常に送信した場合のシーケンスを示す。まず、SC部14がシーケンシャル(順序)番号を付加したメッセージを作成し、IP−MFT62のIPアドレスを宛て先にして2回連続して送信する(S3300、S3301、S3303)。
【0301】
1回目のメッセージを受信したIP−MFT62は、送られてきたデータとともに、データのシーケンシャル番号を記憶する(S3302)。その後2回目のメッセージを受信した場合は、1回目に受信したシーケンシャル番号と2回目に受信したデータのシーケンシャル番号とを比較して、同一のシーケンシャル番号であった場合には、2回目に受信したメッセージを破棄する(S3304)。先程2回連続してメッセージを送信したSC部14は、IP-MFT62が受信したか否かにかかわらず送信完了の状態となる(S3305)。
【0302】
次に図34には、共通メッセージ送信時にパケットロスが発生した場合のシーケンスを示す。まず、SC部14がシーケンシャル(順序)番号を付加したメッセージを作成し、IP−MFT62のIPアドレスを宛て先にして2回連続して送信する(S3400、S3401、S3403)。そして2回連続してメッセージを送信したSC部14は、IP-MFT62が受信したか否かにかかわらず送信完了の状態となる(S3405)。
【0303】
1回目のメッセージがネットワーク上でパケットロスし、その後2回目のメッセージを受信した場合は、2回目に受信したデータを記憶する(S3404)。
【0304】
図35にIPパケットデータのフレームフォーマットを示す。
【0305】
図35の(a)がIPパケットデータのフォーマットである。また、(b)にIPパケットデータ内のIPヘッダ部のフォーマット、(c)にIPパケットデータ内のTCP/UDPヘッダ部のフォーマットを示す。
【0306】
IP電話機61やIP−MFT62がLAN上で送受信するIPパケットデータは、(a)のようなファーマットである。IPパケットデータは、情報部であるデータ部があり、データ部の送出側にTCP/UDP部、IPパケットであることを示すIPヘッダ部が付加され、更にLCP/NCP等のタイプを示すタイプ部、コントロール(C)部、アドレス(A)部、先頭にフラグ(F)部を配置し、データ部の後方にFCS部、最後尾にフラグ(F)部を付加した形態をとっている。これは、一般的にいうところのHDLCフレームフォーマットと同様である。
【0307】
TCP/UDP部は、TCP/IPプロトコルにおけるトランスポート層のプロトコルの種類をTCPかUDPかのいずれかを示す。
【0308】
IPヘッダ部(b)には、プロトコル番号、送信元のIPアドレスや宛先のIPアドレスが格納され、TCP/UDPヘッダ部(c)には、送信元のポート番号や宛先ポート番号が格納される。
【0309】
次に交換機1内に複数搭載されるVC部13の捕捉方法について説明する。
【0310】
VC部13は、PCM音声とIP音声パケット変換を行う部位であり、IP−MFT62と、従来回線(局線、MFT(多機能電話機)、2線式一般電話機等)が通話する場合に必要である。
【0311】
このため、従来回線に対応するに充分数のVC部13がある場合は、VC部13の捕捉はIP−MFT62と従来回線の通話路を接続する際に捕捉すれば良い。
【0312】
しかし、従来回線(チャネル)に対応する分のVC部13を追加実装するにはコストが掛かりすぎることと、トーキ装置との接続を考えると(1回路に複数の端末が接続される)、通話時に輻輳や塞がりが発生しない程のVC部13を実装することはできない。
【0313】
そこで、VC部13の捕捉及び解放を以下の方法で行うこととする。
【0314】
VC部13捕捉はCC部12が行い、1つ目の捕捉条件として、IP−MFT62が発呼した時点。その際捕捉不可時には、IP−MFT62のLCD表示部に“混み合っています。”等の表示を行うよう指示する。また、混雑トーン(BT等)を送出するよう指示する。
【0315】
2つ目の捕捉条件として、IP−MFT62が転送動作に入る時点(発信者がVC部13をすでに捕捉している場合を除く)。その際の捕捉不可時には、転送操作を無視する。
【0316】
3つ目の捕捉条件として、IP−MFT62が三者通話に入る時点。その際、捕捉不可時には、三者操作を無視する。
【0317】
前記IP−MFT62の発呼、転送、三者通話等の動作情報は、IP−MFT62から独自メッセージにて交換機1に送信されている。
【0318】
4つ目の捕捉条件として、IP−MFT62を呼出す時点(発信者がVC部13をすでに捕捉している場合を除く)。その際、捕捉不可時には、IP-MFT62に“混み合っています。”を表示させるよう指示する。また、混雑トーン又は混雑トーキを送出させるよう指示する。
【0319】
次にVC部13の解放については、一つ目の解放条件として、通話路(TSW)をつなぐ時点でVC部13が不要である場合(保留者の条件も考慮する)。
【0320】
ニつ目の解放条件として、内線・外線を解放する時点とする。
【0321】
次に、本発明で使用されるIP−MFT62の第1の実施形態を図36及び図37に示す。
【0322】
IP−MFT62は2つのブロックから構成されていて、一方は通常の電話機として機能するMFT部200であり、他方は、前記MFT部200をパケット網に接続するためのIPADP部300である。図36には、MFT部200の内部構成を示し、図37にはIPADP部300の内部構成を示す。
【0323】
図36において、201は、通常の多機能電話機として交換機1の内線電話機インタフェースに直接収用する為のインタフェースであり、後述するIPADP部300に接続可能なインタフェース部(以下DLIという)である。202は、DLI201から得たディジタル化されている通話データをアナログ信号に変換し、ハンドセット203に送出すると共に、ハンドセット203からのアナログ信号をディジタル化し、DLI201に送出するコーディック(以下CODECという)、205は呼び出し音や音声等を出力するスピーカ、204は着信音を鳴動させるベル213からのアナログ信号や、コーディック202からの音声信号等を増幅し、スピーカ205に送出するアンプ(以下AMPという)、206は電話機としての機能の全体を制御する制御装置(以下MPUAという)、207はMPUA206の制御に従い、表示器であるLCD表示器208にメッセージを文字表示させるLCDドライバ(以下LCDDRVという)、210は複数のLEDでマトリックスを形成しているLED表示器、209はMPUA206の制御に従い、LED表示器210を駆動するLEDドライバ(以下LEDDRVという)、211はダイヤルキー、保留キー、オートダイヤルキー等の各種キーでマトリックスを形成しているボタン部である。
【0324】
なお、MPUA206は、ハンドセット203の状態をCODEC202を介して得たり、DLI201を介して後述するIPADP部300内のピンポン伝送部が送出した制御情報を受信し、その制御情報に基づいてLCD表示器208、LED表示器部210、アンプ204等を制御している。
【0325】
また、MPUA206は、ボタン部211から得たキー情報により制御情報を生成し、その制御情報をDLI201に送出する。これによって、MFT部200の状態をIPADP部300に伝達している。
【0326】
また、DLI201は、交換機1の内線に直接接続可能のインタフェースであり、MFT部200は、このポイントでIPADP部300と、切り離しても使用するようにしてもよい。その場合、交換機1にMFT部200のみを収用し、内線電話機として動作させることができる。
【0327】
次に図37にIPADP部300の内部構成を示す。図37において、301は、MFT部200用の電源を伝送ラインに与える給電部であり、302は、MFT部200と2線式時分割伝送方式を用いて通信を行うピンポン伝送部、303は、CLK/FLM生成部314から供給される2.048MHzのクロック信号と、8kHzフレーム信号により、ピンポン伝送部302と後述する音声圧縮コーデック(以下DSP304という)間の上り下りの通信に用いる2Mハイウェイバスの同期化を行う2MHWインタフェースである。
【0328】
また、304はG.711/G.729A/G.723.1音声符号化に対応し、音声処理に必要とされる各種処理を演算により実行するDSP(ディジタル信号プロセッサ)である。例えば、符号化復号化(CODEC)演算処理、受信検出演算処理、エコーキャンセラー演算処理、レベル調整演処理等が実行される。
【0329】
また、本実施例ではDTMF信号や400Hz等の各種トーン信号送出について、そのトーンデータを図示しないROM上に記憶し、その記憶した複数のトーンデータをIPADP部300の制御部であるMPUB310の指示により、トーン信号を発生させる形態をとっている。
【0330】
上記各種トーン発生演算処理機能及び、DTMF(Dual Tone Multi Frequency )発生演算処理機能をDSP304に取り込み、演算により任意のトーン信号を発生させ、また、トーン信号の発生に必要な周波数、位相等の情報の入力により、周波数、位相、インターバル等の任意の組み合わせによる任意のトーン信号を発生できるよう構成させてもよい。
【0331】
次に、Dch情報部305は、Dch制御(呼制御手順)データを16kbit/sの伝送容量にてピンポン伝送部302との間で送受信し、また、MPUB310との間でその呼制御データのやり取りを行う部位である。
【0332】
CLK/FLM生成部314は、8.192MHzクロック源315から2MHWインタフェース303動作用のクロックと8kHzフレーム信号を生成している。
【0333】
MPUB310は、IPADP部300の主制御部で、MAC制御等のLANインタフェースの制御及び、Dch制御、Bch制御等のMFT部200の制御、音声ゆらぎ制御等を行う。具体的にはITU−T勧告H .323に準拠した呼処理、音声パケット化処理等を実行する中央処理装置である。
【0334】
ROM308はIPADP300のプログラムを格納し、RAM309は前記プログラムが動作する等のワークエリアである。
【0335】
上記MPUB310と、DSP304、SRDインタフェース306、ROM308、RAM309は内部バス307で接続されている。
【0336】
LANC311は、MPUB310と接続され、LAN7上で定義されたフレーム形式へのデータの組み立てと、その反対に、フレーム形式からデータへの分解とを行う回路であるとともに、Ethernet(登録商標)スイッチの機能であるポート間のスイッチングと、異インタフェース間の速度整合を行う機能も備える。
【0337】
PHY312はパーソナルコンピュータ(以下PCという)を接続するインタフェースであり、PHY313は、HUB2との接続のためのインタフェースをとるIEEE802.3準拠のトランシーバーである。
【0338】
次に図38を用いて交換機1を介して、2台のIP−MFT62が通信可能となるまでの接続シーケンスを説明する。(以下、便宜上、発信側をIP−MFT62a、着信側をIP−MFT62bと呼ぶ) まず、IP−MFT62aのMFT部200内のハンドセット203aのオフフック状態を、CODEC202aが検出し(S3801)、IPADP部300と接続されたDLI201aを経由して、MPUB310aに通知される(S3802)。
【0339】
MPUB310aがこのオフフック通知を認識すると、交換機1に伝達する(S3803)。これを受信した交換機1がIP−MFT62aに対してダイヤルトーン出力要求を送出し(S3804)、MPUB310aがそれを認識して、ダイヤルトーンの送出をDSP304aに指示する(S3805)。指示を受けたDSP304aは、当該指示を入力すると、ダイヤルトーン生成のための演算を行い、生成されたダイヤルトーンをMFT部200に送出する。
【0340】
DSP304aから送出されたダイヤルトーンは、DLI201aを介してCODEC202aに送られ、デジタルデータからアナログデータに変換され、ハンドセット203aから可聴音として送出される(S3806)。
【0341】
次に、ダイヤルトーンを聞いた話者は、交換機1に起動がかかったと認識しボタン部211aを操作し、相手先の電話番号をダイヤルする(S3807)。この信号は、MFT部200内のCODEC202aでA/D変換されてDSP304aに取り込まれて解読される。DSP304aは、解読された相手先電話番号をMPUB310aに通知する(S3808)。ダイヤル情報を受信したMPUB310aは、この後、LANC311aを経由させ、交換機1にダイヤル情報を送出する(S3809)。
【0342】
最初のダイヤル情報を受信した交換機1は、IP−MFT62aに対してダイヤルトーン停止要求を送出し(S3810)、それを受けたDSP304aがダイヤルトーンの出力を停止する(S3811)。
【0343】
その後、MPUB310aが最終ダイヤルを受信し、交換機1にダイヤル情報を送信すると(S3812)、交換機1がそのダイヤル情報から接続相手先を認識し、接続相手先へ着信要求を行う。(S3813)。着信要求にてベル鳴動指示を受けたIP−MFT62b内のMPUA206bは、ベル213bを起動させ着信ベルを鳴動させる(S3814、S3815)。
【0344】
交換機1は、この着信要求を出すとともにリングバックトーン出力要求をIP−MFT62aに行い(S3816)、その指示を受けたMPUB310aがDSP304aに出力指示を行う(S3817)。そして、その指示に従いDSP304aがリングバックトーンをハンドセット203aに出力し、相手呼出中であることを話者に伝える(S3818)。
【0345】
ここで、呼び出されているIP−MFT62bの話者が受話器を上げて応答すると(OFF HOOK)(S3819)、その情報はCODEC202bで認識され、MPUA206bを介して交換機1に伝達される(S3821)。MPUA206bは、受話器が上げられたことを察知すると、ベル213bのベルの鳴動を停止させ(S3822)、IP−MFT62bの通話準備が完了する。
【0346】
交換機1が、IP−MFT62bのOFF HOOK状態を認識すると、IP−MFT62aに対してリングバックトーン出力停止指示を送出し(S3823)、それを受信したDSP304aがングバックトーンの出力を停止し、(S3824)IP−MFT62aの通話準備が完了し、IP−MFT62bと通話が可能となる(S3825)。
【0347】
次に図39を用いて、交換機1を介してIP−MFT62とIP網側端末9(H.323対応IP電話機等)間の通信が可能となるまでの接続シーケンスを説明する。IP−MFT62が受話器を上げてからダイヤルを開始するまでは、図38と同様なので説明は省略し、IP−MFT62が最終ダイヤルを送出するシーケンスから説明する。
【0348】
MPUB310が最終ダイヤルを受信し、交換機1にダイヤル情報を送信し(S3912)、交換機1がそのダイヤル情報から接続相手先を認識し、接続相手先への着信要求を行う。
【0349】
交換機1はその受信した情報をH.323メッセージの呼設定要求であるSET UPに変換し、IP網4を介してIPパケットデータにてIP網側端末9に伝達する(S3913)。
【0350】
SET UPを受けたIP網側端末9は、呼設定受付処理を行い、交換機1に対して、H.323メッセージのCALL PROC(呼設定処理中)と、ALERT(呼出中)メッセージを返し、自身の呼び出しベルを鳴動させる(S3914、S3915)。ALERTを受けた交換機1は、リングバックトーン出力要求をIP−MFT62に行い(S3916)、その指示を受けたMPUB310がDSP304に出力指示を行う(S3917)。そして、その指示に従いDSP304がリングバックトーンをハンドセット203に出力し、相手呼出中を話者に伝える(S3918)。
【0351】
ここで、呼び出されているIP網側端末9の話者が受話器を上げると(OFFHOOK)(S3919)、呼び出しベルの鳴動を停止させるとともに、そのOFF HOOK情報を、H.323メッセージに変換して交換機1に送る(S3920)。
【0352】
その情報は、応答メッセージのCONNECTであり、それを受信した交換機1は、IP網側端末9のOFF HOOK状態をCONNECT受信で認識すると、IP−MFT62に対してリングバックトーン出力停止指示を送出し(S3921)、それを受信したDSP304がングバックトーンの出力を停止し、(S3922)IP−MFT62の通話準備が完了し、IP網側端末9と通話が可能となる(S3923)。
【0353】
次に、IP−MFT62が交換機1を介さずにIP網4に接続されたIP−MFT62やIP網側端末9と通話を行う場合について説明する。
【0354】
IP−MFT62は、交換機1との独自インタフェースを用いて多彩な機能を実現しようとする為の電話機であるが、交換機1の介在しないシステムにおいても使用できるようになっている。すなわち、IP−MFT62の動作モードを切り替えることで、IP電話機61の様に動作することが可能である。
【0355】
動作については、まず、MPUB310が、ハンドセット203のオフフックを検出したときに、ダイヤルトーン出力要求をDSP304に行う。次に相手先電話番号が通知されると、例えばITU−T勧告H.323に規定するRAS手順に従い、IP網4に接続されているゲートキーパ(IPネットワークにおける電話番号とIPアドレスの変換を行う装置)よりアクセスを要求する相手先のIPアドレス及びポート番号を取得する。この後、MPUB310は、取得したIPアドレスの相手先に対して、例えばITU−T勧告H.323の呼処理手順(Q.931,H.245)に基づいた発呼処理を行う。
【0356】
なお、MPUB310は、相手先の呼出し中のときは、MFT部200に対するリングバックトーンの送出をDSP304に指示する。
【0357】
一方、相手先である着呼側のIP−MFT62は、そのMPUB310において、発信側が呼び出し中であって、自側のハンドセット203がオフフックするまでの間、自側のMFT部200内のベル213を鳴らすようにする。
【0358】
この後、符号化の方法が相互間の通信手順のやり取りで確定し、自側のハンドセット203がオフフックされると、通話状態に移行する。
【0359】
次に、MFT部200に入力された音声信号は、アナログ電話収容回路を内臓したCODEC202が、A/D変換して、ディジタル信号に変換され、IPADP300に入力される。
【0360】
IPADP300内のDSP304は、MPUB310から指示があった場合は、ディジタル信号に対してのレベル調整演算処理、レベル制御処理、符号化演算処理を実行し、データを回線側に送出する。
【0361】
次に、アナログ信号(音声データ)のパケット化について説明する。DSP304にデータが入力されるとMPUB310は、DSP304内の音声信号を読み出し、内部バス307を介して、RAM309に書き込む。その後、図35に示す各種ヘッダ(TCP/UDPヘッダ、IPヘッダ、及び図示しないRTP(Real Time Protocol )ヘッダ)を付加したフレームフォーマットを作成して、LANC311から送出する。但し、RTPヘッダはデータ部とTCP/UDPヘッダ部の間に付加されるものとする。
【0362】
LANC311は、それらデータを受信すると、ARP(アドレス解決プロトコル)で取得した宛先MACアドレスや送信元(自装置)MACアドレスなどの入ったLANヘッダ(フラグ(F)、アドレス(A)、コントロール(C)、タイプ)及びFCSを付加してLANプロトコルに応じたフレームを構成し、PHY313を経由させHUB2に送出する。
【0363】
次に、受信側での処理を説明する。受信側では、LANC311が受信した音声パケット信号を、自装置宛てのパケットであるか否かを検出する。ここで、当該音声パケットが自装置宛てであった場合、LANC311は音声パケットからLANヘッダ及びFCSを削除し、図示しないメモリに書き込む。
【0364】
MPUB310は、LANC311が書き込んだメモリからデータを読出し、RAM309に書き込む。RAM309にデータを書きこみ後、MPUB310は、データに付されているTCP/UDPヘッダを解析し、そのデータが音声データか制御データかを判定し、データが音声信号であると判定した場合、MPUB310は、RTPヘッダ、TCP/UDPヘッダ及びIPヘッダを削除し、DSP304へデータを転送する。
【0365】
このように、LANC311を介して受信される数パケット分の音声パケットをRAM309に一旦貯め込んだ後、DSP304に順次書き込むことにより、音声パケットの同期補正や、音声パケットのゆらぎ吸収を行っている。
【0366】
DSP304は、復号化演算処理を実行後に、MFT部200にデータを転送し、CODEC202によりディジタル信号をアナログ信号に変換され、ハンドセット203に当該アナログ信号を出力する。このような処理により、話者間の通話が可能となる。
【0367】
図40に、IPーMTF62の第2の実施形態を示す。図36、図37に示した第1の実施形態のIP−MFT62は、交換機1の内線電話インタフェースにも接続可能な構成であったが、図40のIP−MFT62は、LANへの接続に特化した機能ブロック構成となっている。
【0368】
第1の実施形態と第2の実施形態との相違点のみを説明する。
【0369】
第2の実施形態は、交換機1の内線電話機インタフェースであるDLI201と、DLI201とのインタフェースをとるためのピンポン伝送部302、給電部301、ピンポン伝送部がDSP304とのインタフェースをとる2MHWインタフェース部303を削除している。また、呼制御情報であるDチャネル情報は、直接MPUが管理するので、Dチャネル情報部305を削除している。また、制御系を一つにするため、MPUも1つのMPUAに統合している。
【0370】
但し、CODEC202とDSP304を直接接続するため、この間のインタフェースをとる回路はDSP内部に取り込んでいるものとする。CLK/FRM生成部314及びクロック源315は、DSP304が必要とするクロック周波数やフレームを供給するようにしている。
【0371】
その他の構成及び機能は、図36、図37で説明したものと同様であり、このように、交換機1の内線電話機として使用できるインタフェースを削除し、シンプルな機能ブロック構成となっている。
【0372】
また、収容される内線電話機等がパケット網を用いた音声通信を行っても、従来の公衆網接続サービスと同等のサービスを提供できるように、呼制御情報と音声情報とを別々に管理し、更にパケット網を介して交換機間で通信する場合においてもSS7シグナリングで情報を用いて通信を行うことができる。
【符号の説明】
【0373】
1:交換機
2:HUB
3:ルーター
4:IP網
5:一般電話機
61:IP電話機(H.323対応端末)
62:IP−MFT
7:LAN
8:公衆交換網(PSTN)
11:従来回線部(EX部)
12:交換制御部(CC部)
13:音声変換部(VC部)
14:IP呼制御部(SC部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理ポートを介してパケット網に接続し通話可能な電話機であって、
前記パケット網を介して特定の交換機との間で独自の手順を用いて、当該物理ポートを介して前記パケット網に接続された他の電話機と通話を行う第1のインタフェース手段と、
所定の標準規格に準拠した手順を用いて、前記交換機を用いることなく当該物理ポートを介して前記パケット網に接続された他の電話機と通話を行う第2のインタフェース手段と、
ダイヤルトーンやリングバックトーン等のトーン信号を生成し、自身のハンドセットより送出する手段と、を備えたことを特徴とする電話機。
【請求項2】
前記第2のインタフェース手段は、
前記パケット網を介して電話番号とIPアドレスとの変換を行う装置にアクセスし、
相手先のIPアドレスを取得し、
当該物理ポートを介して前記パケット網に接続された他の電話機と通話を行う、ことを特徴とする請求項1記載の電話機。
【請求項3】
前記第1のインタフェース手段と、前記第2のインタフェース手段とを切り替え、動作モードを変えての通話を可能とする、ことを特徴とする請求項2記載の電話機。
【請求項4】
パソコンやHUB等を収容可能な前記複数の物理ポートと、
前記複数の物理ポート間のスイッチングを行うEthernet(登録商標)スイッチ手段と、を備えたことを特徴とする請求項3記載の電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2010−279062(P2010−279062A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164434(P2010−164434)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【分割の表示】特願2007−61118(P2007−61118)の分割
【原出願日】平成14年9月19日(2002.9.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】