通信経路変更方法
【課題】 ネットワーク障害時やネットワークメンテナンス時の面(通信経路)の切替え/戻しを高速に行うことを可能にする。
【解決手段】 通信経路変更方法であって、スイッチ33(第1ルータ)とスイッチ31(第2ルータ)が、一つの仮想ルータプロトコル・グループを構成し、いずれのルータもアクティブルータからスタンバイルータへ、又はスタンバイルータからアクティブルータへ動的に変更可能な通信システムにおいて、スイッチ33の第1ポートを開いてスイッチ23(第1機器)と通信し、スイッチ23と通信可能なように接続されているスイッチ31の第2ポートを閉じている際に、仮想ルータとしての優先度が第1ポートより高く、スイッチ23に対する通信経路としての評価値が第1ポートよりも低い第2ポートを開く。
【解決手段】 通信経路変更方法であって、スイッチ33(第1ルータ)とスイッチ31(第2ルータ)が、一つの仮想ルータプロトコル・グループを構成し、いずれのルータもアクティブルータからスタンバイルータへ、又はスタンバイルータからアクティブルータへ動的に変更可能な通信システムにおいて、スイッチ33の第1ポートを開いてスイッチ23(第1機器)と通信し、スイッチ23と通信可能なように接続されているスイッチ31の第2ポートを閉じている際に、仮想ルータとしての優先度が第1ポートより高く、スイッチ23に対する通信経路としての評価値が第1ポートよりも低い第2ポートを開く。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク障害発生時やネットワークメンテナンス時における現用経路から予備経路への切り替えを高速に行うことを可能にする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ルータの経路の信頼性を向上させるために、現用経路に対して予備経路を設けている場合、現用経路と予備経路とを高速に切り替えることによって、通信中断時間を低減することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−374288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、サーバ等の設置されるセグメントを2面用意しておき、ネットワーク機器のルーティングパラメータ等を操作することで、ネットワーク障害時やネットワークメンテナンス時の面の切替え/戻しを極めて高速に行うことを可能とする技術は見当たらない。
【0004】
そこで、本発明は、サーバ等の設置されるセグメントを2面用意しておき、ネットワーク機器のルーティングパラメータ等を操作することで、ネットワーク障害時やネットワークメンテナンス時の面の切替え/切り戻しを極めて高速に行うことを可能とし、これにより、(1)各面の用途別使い分けおよびOn Demandな切替、(2)機器メンテナンス時の大幅な停止調整が不要、(3)ネットワークの大規模論理障害への対処が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴は、通信経路変更方法であって、第1ルータと第2ルータが、一つの仮想ルータプロトコル・グループを構成し、いずれのルータもアクティブルータからスタンバイルータへ、又はスタンバイルータからアクティブルータへ動的に変更可能な通信システムにおいて、第1ルータの第1ポートを開いて第1機器と通信し、第1機器と通信可能なように接続されている第2ルータの第2ポートを閉じている際に、仮想ルータとしての優先度が第1ポートより高く、第1機器に対する通信経路としての評価値が第1ポートよりも低い第2ポートを開くことにある。
【0006】
仮想ルータプロトコルとは、グループ化された複数のルータが連携して動作し、常に同一の仮想IPアドレスと仮想MACアドレスとを持った1つの仮想ルータとして動作することを可能とするプロトコルであり、VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)が含まれる。アクティブルータは、実際にルーティングを行うルータである。「アクティブルータからスタンバイルータへ、又はスタンバイルータからアクティブルータへ動的に変更可能」とは、実際にルーティングを行うルータが第1のルータから第2のルータへ又は第2のルータから第1のルータへ変更しても、仮想IPアドレスをデフォルトゲートウェイとして参照している通信機器は、アクティブルータの切り替わりを意識することなく通信を継続可能であることを意味する。なお、プロトコルによっては、優先度(priority)が高いポートが開かれても、現行のアクティブルータがダウンするまでアクティブルータが変更されない場合がある。かかる場合は、現行のアクティブルータがダウンしなくても、優先度が高いスタンバイルータが存在するかを調べ、そのようなスタンバイルータの存在が確認されたら優先度の低いルータから優先度の高いルータへアクティブルータを切り替えるためのコマンドを発行する必要がある。
【0007】
第1機器又は第2機器とは、例えばアクセススイッチである。通信経路としての評価値とは、RIP(Routing Information Protocol)におけるディスタンス(ホップ数)、OSPF(Open Shortest Path First)におけるコスト値などのメトリックを意味する。
【0008】
本発明の第2の特徴は、第1ポートと比較して、第2ポートの優先度が低く、評価値が高い場合に、第2ポートの優先度が高く、評価値が低くなるように変更してから、第2ポートを開くことにある。
【0009】
「第2ポートの優先度が高く、・・・なるように変更」とは、第1ポートの優先度を変更せずに、第2ポートの優先度を高くする場合、第2ポートの優先度を変更せずに、第1ポートの優先度を低くする場合、第1ポートの優先度を低くしかつ第2ポートの優先度を高くする場合のいずれであっても良い。
【0010】
同様に、「第2ポートの・・・評価値が低くなるように変更」とは、第1ポートの評価値を変更せずに、第2ポートの評価値を低くする場合、第2ポートの評価値を変更せずに、第1ポートの評価値を高くする場合、第1ポートの評価値を高くしかつ第2ポートの評価値を低くする場合のいずれであっても良い。
【0011】
本発明の第3の特徴は、第2ポートを開いた後であって、第1ポートを経由する通信が行われなくなってから第1ポートを閉じることにある。「第1ポートを経由する通信が行われなくなって」とは、例えば「第2ポートを開く前に第1ポートを通過した全ての要求パケットに対する全ての応答パケットが第1ポートを通過した後」が該当する。
【0012】
本発明の第4の特徴は、第1ポートと比較して、第2ポートの優先度が低く、評価値が高くなるように変更してから、第1ポートを開くことにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の特徴によれば、第1ルータの第1ポートから第2ルータの第2ポートへ切断時間0秒で通信経路を変更することができる。
【0014】
本発明の第2の特徴によれば、当初は第2ポートの優先度が低く、評価値が高い場合であっても、第1ポートと第2ポートとの相対的な優先度の高低及び評価値の高低を変更することによって、第1ポートから第2ポートへ切断時間0秒で通信経路を変更することができる。
【0015】
本発明の第3の特徴によれば、未使用となった第1ポートを閉じることによって誤動作を防止することができる。
【0016】
本発明の第4の特徴によれば、第2ルータの第2ポートから第1ルータの第1ポートへ切断時間0秒で通信経路を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面に基づいて、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、以下の説明は、単なる例示に過ぎず、本発明の技術的範囲は以下の説明に限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
<面切替について>
<1-1.面切替概要>
実施例1におけるネットワークは、A面、B面の両面を持ち、通常はA面の正系とB面の正系を使用する構成となる。但し、ネットワーク機器やケーブル等に障害が発生した場合、またはネットワーク機器のメンテナンス(OSのバージョンアップ等)や構成変更を行う際は、通信を片面(A面またはB面の一方)に片寄せする事でサーバの通信断を極力最小限の時間にとどめる構成となっている。片面に片寄せする作業を面切替(ディストリビューションスイッチのA面またはB面に寄せる作業)と呼び、片面から両面運用に戻す作業を、面戻し(A面またはB面の片面から両面の正系構成へ戻す作業)と呼ぶ。
【0019】
<1-2.面切替の実施対象機器>
図1に、実施例1のネットワーク構成を示す。同図に示すように、A面は、サーバ11と、アクセススイッチ21,22と、ディストリビューションスイッチ31,32とから構成されている。B面は、サーバ12と、アクセススイッチ23,24と、ディストリビューションスイッチ33,34とから構成されている。
【0020】
ディストリビューションスイッチ31,33は、コアスイッチ41を経由して既存ネットワーク51へ接続され、ディストリビューションスイッチ32,34は、コアスイッチ42を経由して既存ネットワーク51へ接続されている。なお、ディストリビューションスイッチ31は、第2のルータに相当し、ディストリビューションスイッチ33は、第2のルータに相当する。
【0021】
コアスイッチ41,42は、LANの中心となるスイッチであって大型で処理能力の高いスイッチを使用する。ディストリビューションスイッチ31〜34は、中型または大型のスイッチ(レイヤー3スイッチ)であってVLAN間転送などを行う。アクセススイッチ21〜24は、小型のレイヤー2スイッチとする。点線内のディストリビューションスイッチ31〜34が、面切替のための制御対象となる。
【0022】
各スイッチ(SW)間のOSPF(Open Shortest Path First)のコスト値(Cost)は以下のとおりとする。SW31と32との間、SW33と34との間、SW41とSW31又はSW33との間は、いずれも100とする。SW42とSW32又はSW34との間は、いずれも300とする。
【0023】
また、各スイッチ(SW)のインターフェース(I/F)のコスト値とVRRPのプライオリティ(Priority)とは
SW31のSW21向けI/F:コスト500、プライオリティ 105、
SW31のSW23向けI/F:コスト200、プライオリティ 125、
SW32のSW22向けI/F:コスト500、プライオリティ 100、
SW32のSW24向けI/F:コスト200、プライオリティ 120、
SW33のSW21向けI/F:コスト200、プライオリティ 125、
SW33のSW23向けI/F:コスト500、プライオリティ 105、
SW34のSW22向けI/F:コスト200、プライオリティ 120、
SW34のSW24向けI/F:コスト500、プライオリティ 100、
であるとする。
【0024】
図2に、ディストリビューションスイッチ31〜34の構成を示す。同図に示すように、ディストリビューションスイッチ31等は、パケット送受信部201、パケット記憶部202、宛先決定部203、CPU204、メモリ205、MACテーブル206、ルーティングテーブル207及びポート部208を備える。
【0025】
パケット送受信部201は各ポート部208からパケットを受信し、受信したパケットをパケット記憶部202に格納するとともに、パケットのヘッダ情報を取得し宛先決定部203へ渡す。
【0026】
宛先決定部203では、MACアドレスのMACテーブル206への保存、IPアドレスのルーティングテーブル207への保存、MACテーブル206のルックアップ、ルーティングテーブル207のルックアップ、ポート間のコスト値やプライオリティ値の比較、各ポートがオープン状態かシャットダウン状態かの確認が行われ、パケットの送信先情報が決定される。決定された送信先情報は、パケット送受信部201に渡される。
【0027】
パケット送受信部201は、パケット記憶部202からパケットを呼び出し、送信先情報に基づいてヘッダ情報を書き換え、ポート部208からパケットを送信する。
【0028】
各ポートのコスト値及びプライオリティ値は、メモリ205に記憶されている。各ポートのコスト値又はプライオリティ値を変更するとは、かかるメモリ205の記憶内容が書き換えられることを意味する。
【0029】
<1-3.面切替対象機器リスト>
表1に記載の機器設定情報を変更し、面切替を実現する。
【表1】
【0030】
<1-4.面切替実施方法>
面切替を実施する場合は、事前に作成したプログラム(マクロプログラム)を用いてLANに設置した端末から、変更を実施する。コマンドラインでの作業は、作業ミス、作業時間が長いことを考慮し、原則実施しない。
【0031】
また、障害発生時は各ディストリビューションスイッチ31〜34へTELNETによるリモート接続が不能になる場合を考慮し、LANに設置する端末は、コンソールポートへの接続を可能とするアウトバンド監視LANを構築する。
【0032】
図3に、各スイッチとターミナルサーバ等との接続関係を示す。同図に示すように、運用LAN80内にターミナルサーバ61及び62、並びにマクロ実施端末正63及びマクロ実施端末副64を設置する。ターミナルサーバ61の各非同期ポートと、ディストリビューションスイッチ31〜34及びアクセススイッチ21〜24のコンソールポートとをコンソールケーブルを用いて接続し、ターミナルサーバ62の各非同期ポートとコアスイッチ41〜42のコンソールポートとをコンソールケーブルを用いて接続する。ターミナルサーバのリバースTELNETにより各機器のコンソールポートへのアクセスを可能とする。ターミナルサーバ61のIPアドレスは7.31.4.229/24、デフォルトゲートウェイのIPアドレスは7.31.4.254/24とし、ターミナルサーバ62のIPアドレスは7.31.2.247/24、デフォルトゲートウェイのIPアドレスは7.31.2.254/24とする。運用LAN80用の正側のL3スイッチ71はコアスイッチ41に接続し、運用LAN80用の副側のL3スイッチ72はコアスイッチ42に接続する。
【0033】
これによりLANに設置の端末は、(1)TELNETによる接続、(2)コンソールポートへの接続が可能な構成となる。コンソールポートへの接続による面切り替え作業は、各ディストリビューションスイッチ31〜34のコンソールポートへの接続仕様から、接続の速度に制限があり、作業時間が長いため、図4のフローチャートに従ってプログラムを実行する。
【0034】
図4に示すように、TELNETによるログ取得を試みて(ステップS41)、TELNETによるログ取得が成功したら、TELNETによる面切替えを実施する(ステップS42)。TELNETによるログ取得が失敗したら、コンソールによりログを取得し(ステップS43)、コンソールによる面切替を実施する(ステップS44)。ステップS42又はステップS44終了後、面切替後のログ取得、疎通確認を行う(ステップS45)。
【0035】
上記の点を踏まえて表2に示す4パターンのマクロを作成する。
【表2】
【0036】
なお、面切替は、各VLAN単位での面切替を実施できるマクロとする。
【0037】
図5に、面切替マクロ実行処理の流れを示す。同図に示すように、マクロを起動後、パスワードを入力し(ステップS51)、LAN接続又はコンソール接続を選択し(ステップS52)、A面へ片寄せするか又はB面へ片寄せするかを選択し(ステップS53)、全てのVLANを面切り替えするか又は面切り替えするVLANを選択するかを選択し(ステップS54)、オペレーションパスワードを入力し(ステップS55)、面切替の実行内容を確認し(ステップS56)、面切替を実行し(ステップS57)、面切替を終了し(ステップS58)、マクロを終了する。
【0038】
表3に、ターミナルサーバ61〜62の接続先や各パラメータを示す。面切替を実施する端末は、LANに設置のワーク端末より面切替、面戻しのマクロを実行する。ワーク端末の障害を考慮し、LANに設置のOSPF対応用疎通PCをバックアップ機とする。
【表3】
【0039】
なお、(1―1)ディストリビューションスイッチ31は、コア正−A面ディストリビューション正セグメントのA面ディストリビューションスイッチ正側アドレス、(1−2)ディストリビューションスイッチ32は、コア副−A面ディストリビューション副セグメントのA面ディストリビューションスイッチ副側アドレス、(1−3)アクセススイッチ21は、A面アクセススイッチ正、(1−4)アクセススイッチ22は、A面アクセススイッチ副、(1−5)ディストリビューションスイッチ33は、コア正−B面ディストリビューション正セグメントのB面ディストリビューションスイッチ正側アドレス、(1−6)ディストリビューションスイッチ34は、コア副−B面ディストリビューション副セグメントのB面ディストリビューションスイッチ副側アドレス、(1−7)アクセススイッチ23は、B面アクセススイッチ正、(1−8)アクセススイッチ24は、B面アクセススイッチ副、がそれぞれターミナルサーバ62の接続先となる。(2)ターミナルサーバ61は、コアスイッチ41及びコアスイッチ42に接続されている。
【0040】
<1-5.面切替実施手順>
面切替を実施する際、表4の順にポート設定を変更する。
【表4】
【0041】
なお、面切替は、各VLAN単位での面切替を実施できるマクロとする。
【0042】
図6に基づいて、面切替の待ち時間について説明する。シャットダウンしているインターフェース(例えば、ディストリビューションスイッチ31のアクセススイッチ23向けインターフェース)をオープン後、VLANインターフェースがアップ(VLANの若番5つはアップするのが早いが、それ以降はアップするのが遅い)し、OSPFが収束するまで約30秒程度要する。VRRPの優先度がB面より高いため、HSRP(Hot Standby Router Protocol)のpreemptコマンドに相当する遅延コマンドに遅延時間を指定することによって意図的に遅延させないと仮想ルータとして機能するアクティブルータがすぐに切り替わってしまうので、VRRPの設定で切り替わる時間を30秒遅らせるコマンドを設定している。そのため、インターフェースをオープンにしてから反対面のインターフェース(例えば、ディストリビューションスイッチ33のアクセススイッチ23向けインターフェース)をシャットダウンするまで40秒間隔を置く仕様とする。
【0043】
<1-6.面切替実施の際の取得情報>
(1)常時取得情報
実施例1のネットワーク機器において、障害時の比較対照ログデータとして、LAN設置の端末より、毎日ログを取得することにより、障害時のトラブル対応が迅速に行われるようにする。1ヶ月以上経過したログデータは定期的に破棄する。
【0044】
表5に、常時ログ取得スケジュールを示す。
【表5】
【0045】
表6に、常時取得ログを示す。
【表6】
【0046】
(2)メンテナンス時の面切替
実施例1のネットワーク機器において、OS等のバグ、機能強化、拡張作業により、機器の停止、再起動を行う場合は面切替により片面に片寄せを行う。
【0047】
表7に、メンテナンス時に取得する情報を示す。面切替を実施するにあたり各コアスイッチ、ディストリビューションスイッチ、アクセススイッチにて表7に記載の情報を取得し、メンテナンス作業終了時点で、取得情報を比較する。取得するにあたっては、情報収集マクロを使用する。
【表7】
【0048】
(3)障害時の面切替
実施例1のネットワーク機器、収容のサーバにて、通信不安定、通信断、監視装置のアラーム表示等が発生した場合は、表8又は表9に記載の情報を取得し比較データと比較する。比較データは、例えば毎日AM2:00に取得しているデータと比較する。
【0049】
表8は、障害時に取得する情報(TELNET接続版)を示す。
【表8】
【0050】
表9は、障害時に取得する情報(コンソール接続版)を示す。
【表9】
【0051】
(4)面切替終了後の収録情報
表10は、障害時に取得する情報(TELNET接続版)を示す。面切替終了後、表10に示すデータを取得する。表10に示す情報は、最低限取得する情報である。取得する場合は、ログ収集用のマクロを使用し取得する。
【表10】
【0052】
<1-7.面切替判断>
障害発生時の面切替にあたっては、各コアスイッチ41〜42、ディストリビューションスイッチ31〜34、アクセススイッチ21〜24にて所定の情報を取得し正常性を確認した後に、面切替の要否を判断する。
【0053】
<1-8.A面へ片寄せする場合の面切替(すべての通信がA面に片寄る)>
(1)正常時(通常運用時)
図7に、正常時の通信状態を示す。同図に示すように、正常時の通信は、各A面、B面の正系スイッチを経由し通信する。つまり、A面はディストリビューションスイッチ31とアクセススイッチ21とを経由して通信し、B面はディストリビューションスイッチ33とアクセススイッチ23とを経由して通信する。
【0054】
表11に、正常時のディストリビューションスイッチの、アクセススイッチとの接続用VLANインターフェースの状態を示す。このとき、切断時間は0秒である。
【0055】
SW31〜34はディストリビューションスイッチ31〜34を、OPはオープンを、SDはシャットダウンを、SW21〜24はアクセススイッチ21〜24を示す。
【表11】
【0056】
(2)ポートオープン
図8に、A面へ片寄せする場合のポートオープン時の通信状態を示す。また、表12に、A面へ片寄せする場合のポートオープン時のインターフェース状態を示す。図8及び表12に示すように、A面へ面切替を実施するため、「A面ディストリビューションスイッチ31のB面アクセススイッチ23向けVLANインターフェース」及び「A面ディストリビューションスイッチ32のB面アクセススイッチ24向けVLANインターフェース」をオープンにする。
【0057】
VRRPのプライオリティ(Priority)、OSPFのコスト値(Cost)の設定により、A面のディストリビューションスイッチにて、B面向けのVLANインターフェースをオープンにした場合、A面が優先ルートとなる。切断時間は0秒である。
【表12】
【0058】
(3)ポートクローズ(A面へ片寄せ時)
図9に、A面へ片寄せする場合のポートクローズ時の通信状態を示す。また、表13に、A面へ片寄せする場合のポートクローズ時のインターフェース状態を示す。図9及び表13に示すように、障害発生時にインターフェースのバタツキによる、VRRP、OSPFの状態変化により通信が不安定になる場合を考慮し、「B面ディストリビューションスイッチ33のアクセススイッチ23向けVLANインターフェース」及び「B面ディストリビューションスイッチ34のアクセススイッチ24向けVLANインターフェース」はシャットダウンする。切断時間は0秒である。
【表13】
【0059】
<1-9.B面へ片寄せする場合の面切替(すべての通信がB面に片寄る)>
(1)正常時(通常運用時)
正常時における通信状態及びVLANインターフェースの状態等は、図7及び表11に示したとおりである。
【0060】
(2)ポートオープン
図10に、B面へ片寄せする場合のポートオープン時の状態を示す。また、表14に、B面へ片寄せする場合のポートオープン時のインターフェース状態を示す。図10及び表14に示すように、B面へ面切替を実施するために「B面ディストリビューションスイッチ33のA面アクセススイッチ21向けVLANインターフェース」及び「B面ディストリビューションスイッチ34のA面アクセススイッチ22向けVLANインターフェース」をオープンにする。
【0061】
VRRPのプライオリティ、OSPFのコスト値により、B面のディストリビューションスイッチにて、A面向けのVLANインターフェースをオープンにした場合、B面が優先ルートとなる。切断時間は0秒である。
【表14】
【0062】
(3)ポートクローズ
図11に、B面へ片寄せする場合のポートクローズ時の状態を示す。また、表15に、B面へ片寄せする場合のポートクローズ時のインターフェース状態を示す。図11及び表15に示すように、障害発生時にインターフェースのバタツキによる、VRRP、OSPFの状態変化により通信が不安定になる場合を考慮し、A面ディストリビューションスイッチ31〜32のアクセススイッチ向けVLANインターフェースはシャットダウンする。切断時間は0秒である。
【表15】
【0063】
<1-10.面切替の際のポート設定変更一覧>
表16は、A面へ片寄せする際のポート設定変更の一覧を示す。表16に示すように、
(1)まず、ディストリビューションスイッチ31のアクセススイッチ23向けVLAN I/Fをシャットダウンからオープンへ変更し、
(2)次に、ディストリビューションスイッチ32のアクセススイッチ24向けVLAN I/Fをシャットダウンからオープンへ変更し、
(3)次に、ディストリビューションスイッチ33のアクセススイッチ23向けVLAN I/Fをオープンからシャットダウンへ変更し、
(4)そして、ディストリビューションスイッチ34のアクセススイッチ24向けVLAN I/Fをオープンからシャットダウンへ変更する。
【表16】
【0064】
表17は、B面へ片寄せする際のポート設定変更の一覧を示す。表17に示すように、
(1)まず、ディストリビューションスイッチ33のアクセススイッチ21向けVLAN I/Fをシャットダウンからオープンへ変更し、
(2)次に、ディストリビューションスイッチ34のアクセススイッチ22向けVLAN I/Fをシャットダウンからオープンへ変更し、
(3)次に、ディストリビューションスイッチ31のアクセススイッチ21向けVLAN I/Fをオープンからシャットダウンへ変更し、
(4)そして、ディストリビューションスイッチ32のアクセススイッチ22向けVLAN I/Fをオープンからシャットダウンへ変更する。
【表17】
【0065】
<1-11.面切替チェック機能について>
面切替を実施するにあたり、稼動状態と実施マクロの組み合わせが異なるような、人為的ミスをなくすため、マクロにチェック機能を設け、面切替実施中は、再度面切替を実施等のないようにすることが好ましい。例えば、(1)A面片寄せ中は、A面片寄せのビットを立てて、A面片寄せからの面戻しのみ実施可能とし、また(2)B面片寄せ中は、B面片寄せのビットを立てて、B面片寄せからの面戻しのみ実施可能とする。但し、障害時等についてはチェック機能を外すことにより柔軟に対応できる仕組みを持つことが好ましい。
【0066】
<2.面戻しについて>
<2-1.面戻し概要>
実施例1のネットワークは、メンテナンスまたは障害発生時、A面もしくはB面に片寄せを実施し、通信断を極力発生させない構成となっている。メンテナンスまたは障害対応が終了した時点で、A面・B面のそれぞれの正系スイッチを流れる両面運用に戻す、面戻しを実施する必要がある。
【0067】
<2-2.面戻しの実施対象機器>
図1の点線内のディストリビューションスイッチ31〜34が、面戻しのための制御対象となる。
【0068】
<2-3.面戻し対象機器リスト>
表1に記載の機器設定情報を変更し、面戻しを実現する。
【0069】
<2-4.面戻し実施方法>
面戻しを実施する場合は、事前に作成したプログラム(マクロプログラム)を用いてLANに設置した端末から、変更を実施する。コマンドラインでの作業は、作業ミス、作業時間が長いことを考慮し、原則実施しない。
【0070】
不測の事態によりTELNETによる接続が不可となり、シャットダウンしているポートをオープンにする必要がある場合、各ディストリビューションスイッチ31〜34のコンソールポートに接続し、面戻しを実施する。
【0071】
図12に示す面戻し実施フローチャートに従い面戻しを実施する。同図に示すように、
TELNETによるログ取得を試みて(ステップS61)、TELNETによるログ取得が成功したら、TELNETによる面戻しを実施する(ステップS62)。TELNETによるログ取得が失敗したら、コンソールによりログを取得し(ステップS63)、コンソールによる面戻しを実施する(ステップS64)。ステップS62又はステップS64終了後、面戻し後のログ取得、疎通確認を行う(ステップS65)。
【0072】
上記の点を踏まえて表18のマクロを作成する。
【表18】
【0073】
<2-5.面戻し実施手順>
面戻しを実施する際、以下の順にポート設定を変更する。
【0074】
実施順1:片寄せするためシャットダウンしているVLANインターフェースの、VRRPのPriority、OSPFのCostの設定を最優先になるように設定変更する。面戻し用に一時的に設定変更を行う。例えば、A面へ片寄せしている場合は、B面ディストリビューションスイッチ33〜34の、B面アクセススイッチ23〜24向けを変更する。
【0075】
実施順2:片寄せするためシャットダウンしているVLANインターフェースをオープンにする。例えば、A面へ片寄せしている場合は、B面ディストリビューションスイッチ33〜34の、B面アクセススイッチ23〜24向けをオープンにする。
【0076】
実施順3:OSPF・VRRPの収束を考慮して、例えば40秒間待つ。その理由は下記のとおりである。
【0077】
シャットダウンしているインターフェースをオープン後、VLANインターフェースがアップ(VLANの若番5つはアップするのが早いが、それ以降はアップするのが遅い)し、OSPFが収束するまで約30秒程度要する。VRRPの優先度がB面より高いため、VRRPの設定で切り替わる時間を30秒遅らせるコマンド「preempt-delay 30」を設定し、仮想ルータとして機能するアクティブルータがすぐに切り替わらないようにしている。そのため、インターフェースをオープンにしてからシャットダウンにするまで40秒間隔を置く仕様とする。
【0078】
実施順4:片寄せしている面の、逆面アクセススイッチ向けディストリビューションスイッチのVLANインターフェースをシャットダウンする。例えば、A面へ片寄せしている場合は、A面ディストリビューションスイッチ31〜32の、B面アクセススイッチ23〜24向けをシャットダウンする。
【0079】
実施順5:設定変更し、一時的に最優先の設定を行ったOSPFのCostを元の値に設定変更する。つまり、実施順1で変更したCostの値を元に戻す。
【0080】
実施順6:設定変更し、一時的に最優先の設定を行ったVRRPのPriorityを元の値に設定変更する。つまり、実施順1で変更したPriorityの値を元に戻す。
【0081】
<2-6.面戻しの際の取得情報>
(1) 面戻し実施前の取得ログ
面戻しを実施するにあたり、表8、9に記載の情報を取得する。
【0082】
(2)面戻し終了後の取得ログ
面戻し終了後、表8に記載の情報を再び取得しマクロ実行端末に保存する。
【0083】
<2-7.面戻しの実施判断>
(1)メンテナンス終了後の面戻し
メンテナンスが終了し、正常性が確認されたと判断した時点で、面戻しを実施する。正常性の判断は各システム要件によるものとする。
【0084】
(2)障害復旧後の面戻し
面戻しを実施するにあたり、障害部位の正常性が確認された時点で、面戻しを実施する。正常性の判断は各システム要件によるものとする。
【0085】
<2-8.A面に片寄せしている場合の面戻し方法>
(1)A面へ片寄せ実施中(面切替中)
図13に、A面へ片寄せしている状態を示す。同図に示すように、B面ディストリビューションスイッチ33〜34のB面アクセススイッチ23〜24向けVLANインターフェースは、バタツキにより、VRRPの状態、OSPFの状態が不安定になり、通信に影響がでる場合を考慮し、シャットダウンする。
【0086】
表19に、A面へ片寄せ時のインターフェース状態を示す。この時点で切断時間は0秒である。
【表19】
【0087】
(2)VRRP、OSPFの値を最優先に変更
図13及び表20に、設定変更後のコストとプライオリティ等を示す。これらの図表に示すように、(1)ディストリビューションスイッチ33のアクセススイッチ23向けVLAN I/FのOSPFのCostを500から150に変更し、VRRP優先度(Priority)を105から150へ変更し、(2)ディストリビューションスイッチ34のアクセススイッチ24向けVLAN I/FのOSPFのCostを500から150に変更し、VRRP優先度(Priority)を100から145へ変更する。
【0088】
つまり、B面向けVLANインターフェースのOSPF Cost、VRRP Priorityを最優先となるように、一時的に設定変更を行う。この時点でも切断時間は0秒である。
【表20】
【0089】
(3)ポートオープン
図14及び表21に、ポートオープン時のインターフェース状態等を示す。これらの図表に示すように、A面へ面切替を実施しているため、B面ディストリビューションスイッチ33〜34のB面アクセススイッチ23〜24向けVLANインターフェースをオープンにする。
【0090】
B面アクセススイッチ向けのVLANインターフェースは、OSPFのCost、VRRPのPriorityともに最優先の設定になっているため、オープンにした段階でB面アクセススイッチ23向けは、A面ディストリビューションスイッチ31ではなく、B面ディストリビューションスイッチ33を経由して通信する。この時点でも切断時間は0秒である。
【表21】
【0091】
(4)ポートクローズ
図15及び表22に、面戻し完了時のインターフェース状態等を示す。前記(3)でVLANインターフェースをオープンにしてから、OSPF、VRRPの収束を考慮し、40sec間隔をあけてから、これらの図表に示すように、A面ディストリビューションスイッチ31〜32の、B面アクセススイッチ23〜24向けVLANインターフェースをシャットダウンする。
【表22】
【0092】
(5)OSPF、VRRPの優先度をもとにもどす(正常時構成)
図7及び表23に、OSPF、VRRPの優先度をもとにもどした時のインターフェース状態等を示す。これらの図表に示すように、(1)ディストリビューションスイッチ34のアクセススイッチ24向けVLAN I/FのOSPFコストを150から500に変更し、(2)10秒間隔をあけてから、(3)ディストリビューションスイッチ34のアクセススイッチ24向けVLAN I/FのVRRP優先度(Priority)を145から100へ変更する。
【0093】
そして、(4)ディストリビューションスイッチ33のアクセススイッチ23向けVLAN I/FのOSPFコストを150から500に変更し、(5)10秒間隔をあけてから、(6)ディストリビューションスイッチ33のアクセススイッチ23向けVLAN I/FのVRRP優先度(Priority)を150から105へ変更する。
【表23】
【0094】
<2-9.B面に片寄せしている場合の面戻し方法>
(1)B面へ片寄せ実施中(面切替中)
図11及び表24に示すように、B面へ片寄せしている場合、A面ディストリビューションスイッチ31〜32のA面アクセススイッチ21〜22向けアクセススイッチ向けのVLANインターフェースは、バタツキにより、VRRPの状態、OSPFの状態が不安定になり、通信に影響がでる場合を考慮し、シャットダウンする。
【表24】
【0095】
(2)VRRP、OSPFの値を最優先に変更
図16及び表25に、A面に面戻しするために設定変更した後のコストとプライオリティ等を示す。これらの図表に示すように、(1)ディストリビューションスイッチ31のアクセススイッチ21向けVLAN I/FのOSPFのCostを500から150に変更し、VRRP優先度(Priority)を105から150へ変更し、(2)ディストリビューションスイッチ32のアクセススイッチ22向けVLAN I/FのOSPFのCostを500から150に変更し、VRRP優先度(Priority)を100から145へ変更する。
【0096】
つまり、A面向けVLANインターフェースのOSPF Cost、VRRP Priorityを最優先となるように、一時的に設定変更を行う。この時点でも切断時間は0秒である。
【表25】
【0097】
(3)ポートオープン
図17及び表26に、A面へ面戻しするためにポートオープンした時のインターフェース状態等を示す。これらの図表に示すように、B面へ面切替を実施しているため、A面ディストリビューションスイッチ31〜32のA面アクセススイッチ21〜22向けVLANインターフェースをオープンにする。
【0098】
A面アクセススイッチ向けのVLANインターフェースは、OSPFのCost、VRRPのPriorityともに最優先の設定になっているため、オープンにした段階でA面アクセススイッチ21向けは、B面ディストリビューションスイッチ33ではなく、A面ディストリビューションスイッチ31を経由して通信する。この時点でも切断時間は0秒である。
【表26】
【0099】
(4)ポートクローズ
図18及び表27に、A面への面戻し完了時のインターフェース状態等を示す。前記(3)でVLANインターフェースをオープンにしてから、OSPF、VRRPの収束を考慮し、40sec間隔をあけてから、これらの図表に示すように、B面ディストリビューションスイッチ33〜34の、A面アクセススイッチ21〜22向けVLANインターフェースをシャットダウンする。
【表27】
【0100】
(5)OSPF、VRRPの優先度をもとにもどす(正常時構成)
図7及び表28に、OSPF、VRRPの優先度をもとにもどした時のインターフェース状態等を示す。これらの図表に示すように、(1)ディストリビューションスイッチ32のアクセススイッチ22向けVLAN I/FのOSPFコストを150から500に変更し、(2)10秒間隔をあけてから、(3)ディストリビューションスイッチ32のアクセススイッチ24向けVLAN I/FのVRRP優先度(Priority)を145から100へ変更する。
【0101】
そして、(4)ディストリビューションスイッチ31のアクセススイッチ21向けVLAN I/FのOSPFコストを150から500に変更し、(5)10秒間隔をあけてから、(6)ディストリビューションスイッチ31のアクセススイッチ21向けVLAN I/FのVRRP優先度(Priority)を150から105へ変更する。
【表28】
【0102】
<2-10.面戻しの際のポート設定変更一覧について>
まず、A面片寄せを面戻しする場合について説明する。表29に、A面片寄せ中の各インターフェース状態を示す。
【表29】
【0103】
表30に、OSPF, VRRP値の優先度変更後の各インターフェース状態を示す。なお、優先度変更は、まず最初にSW33のSW23向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
ip ospf cost 150
standby 254 priority 150
によって変更し、次にSW34のSW24向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
ip ospf cost 150
standby 254 priority 145
によって変更する。
【表30】
【0104】
表31に、面戻しのために一部のVLAN I/Fをオープンした際の状態を示す。まずSW33のSW23向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
no shutdown
によってオープンし、次にSW34のSW24向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
no shutdown
によってオープンする。
【表31】
【0105】
表32に、面戻しのために一部のVLAN I/Fをシャットダウンした際の状態を示す。まずSW32のSW24向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
shutdown
によってシャットダウンし、次にSW31のSW23向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
shutdown
によってシャットダウンする。
【表32】
【0106】
表33に、OSPF, VRRP値を元に戻した各インターフェース状態を示す。まず最初にSW34のSW24向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
ip ospf cost 500
standby 254 priority 100
によって変更し、次にSW33のSW23向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
ip ospf cost 500
standby 254 priority 105
によって変更する。
【表33】
【0107】
次に、B面片寄せを面戻しする場合について説明する。表34に、B面片寄せ中の各インターフェース状態を示す。
【表34】
【0108】
表35に、OSPF, VRRP値の優先度変更後の各インターフェース状態を示す。なお、優先度変更は、まず最初にSW31のSW21向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 332-427
ip ospf cost 150
standby 254 priority 150
によって変更し、次にSW32のSW22向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 332-427
ip ospf cost 150
standby 254 priority 145
によって変更する。
【表35】
【0109】
表36に、面戻しのために一部のVLAN I/Fをオープンした際の状態を示す。まずSW31のSW21向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 332-427
no shutdown
によってオープンし、次にSW32のSW22向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 332-427
no shutdown
によってオープンする。
【表36】
【0110】
表37に、面戻しのために一部のVLAN I/Fをシャットダウンした際の状態を示す。まずSW34のSW22向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 332-427
shutdown
によってシャットダウンし、次にSW33のSW21向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
shutdown
によってシャットダウンする。
【表37】
【0111】
表38に、OSPF, VRRP値を元に戻した各インターフェース状態を示す。まず最初にSW32のSW22向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
ip ospf cost 500
standby 254 priority 100
によって変更し、次にSW31のSW21向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
ip ospf cost 500
standby 254 priority 105
によって変更する。
【表38】
【0112】
<2-11.面戻しチェック機能について>
面戻しを実施するにあたり、片寄せしているパターンと面戻し実施マクロの組み合わせが異なった場合、全VLANシャットダウンとなる場合があるため、マクロにチェック機能を設け人為的ミスが少なくなるように作成することが好ましい。
具合的には、A面切替を実施した場合、A面切替を実施したビットを立て、面戻しはA面片寄せからのマクロのみが実行可能とする。同様に、B面切替を実施した場合、B面切替を実施したビットを立て、面戻しはB面片寄せからのマクロのみが実行可能とする。
【0113】
但し、障害時等についてはチェック機能を外すことにより柔軟に対応できる仕組みを持つことがより好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】実施例1におけるネットワーク構成を示す図である。
【図2】実施例1におけるディストリビューションスイッチの構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1におけるターミナルサーバ等との接続関係を示す図である。
【図4】実施例1における面切替実施処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施例1における面切替マクロ実行処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施例1における面切替の待ち時間を説明するための図である。
【図7】実施例1における正常時の通信状態を示す図である。
【図8】実施例1におけるA面へ片寄せする場合のポートオープン時の通信状態を示す図である。
【図9】実施例1におけるA面へ片寄せする場合のポートクローズ時の通信状態を示す図である。
【図10】実施例1におけるB面へ片寄せする場合のポートオープン時の通信状態を示す図である。
【図11】実施例1におけるB面へ片寄せする場合のポートクローズ時の通信状態を示す図である。
【図12】実施例1における面戻し実施処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】実施例1においてA面へ片寄せ中の通信状態を示す図である。
【図14】実施例1においてB面へ面戻しする場合のポートオープン時の通信状態を示す図である。
【図15】実施例1においてB面への面戻しする場合のポートクローズ時の通信状態を示す図である。
【図16】実施例1においてA面への面戻しのために設定変更したコストとプライオリティ等を示す図である。
【図17】実施例1においてA面への面戻しのためにポートオープンした時の通信状態等を示す図である。
【図18】実施例1においてA面への面戻しのためにポートクローズした時の通信状態等を示す図である。
【符号の説明】
【0115】
11〜12…サーバ、 21〜24…アクセススイッチ、
31〜34…ディストリビューションスイッチ、 41〜42…コアスイッチ、
51…既存ネットワーク、
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク障害発生時やネットワークメンテナンス時における現用経路から予備経路への切り替えを高速に行うことを可能にする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ルータの経路の信頼性を向上させるために、現用経路に対して予備経路を設けている場合、現用経路と予備経路とを高速に切り替えることによって、通信中断時間を低減することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−374288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、サーバ等の設置されるセグメントを2面用意しておき、ネットワーク機器のルーティングパラメータ等を操作することで、ネットワーク障害時やネットワークメンテナンス時の面の切替え/戻しを極めて高速に行うことを可能とする技術は見当たらない。
【0004】
そこで、本発明は、サーバ等の設置されるセグメントを2面用意しておき、ネットワーク機器のルーティングパラメータ等を操作することで、ネットワーク障害時やネットワークメンテナンス時の面の切替え/切り戻しを極めて高速に行うことを可能とし、これにより、(1)各面の用途別使い分けおよびOn Demandな切替、(2)機器メンテナンス時の大幅な停止調整が不要、(3)ネットワークの大規模論理障害への対処が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴は、通信経路変更方法であって、第1ルータと第2ルータが、一つの仮想ルータプロトコル・グループを構成し、いずれのルータもアクティブルータからスタンバイルータへ、又はスタンバイルータからアクティブルータへ動的に変更可能な通信システムにおいて、第1ルータの第1ポートを開いて第1機器と通信し、第1機器と通信可能なように接続されている第2ルータの第2ポートを閉じている際に、仮想ルータとしての優先度が第1ポートより高く、第1機器に対する通信経路としての評価値が第1ポートよりも低い第2ポートを開くことにある。
【0006】
仮想ルータプロトコルとは、グループ化された複数のルータが連携して動作し、常に同一の仮想IPアドレスと仮想MACアドレスとを持った1つの仮想ルータとして動作することを可能とするプロトコルであり、VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)が含まれる。アクティブルータは、実際にルーティングを行うルータである。「アクティブルータからスタンバイルータへ、又はスタンバイルータからアクティブルータへ動的に変更可能」とは、実際にルーティングを行うルータが第1のルータから第2のルータへ又は第2のルータから第1のルータへ変更しても、仮想IPアドレスをデフォルトゲートウェイとして参照している通信機器は、アクティブルータの切り替わりを意識することなく通信を継続可能であることを意味する。なお、プロトコルによっては、優先度(priority)が高いポートが開かれても、現行のアクティブルータがダウンするまでアクティブルータが変更されない場合がある。かかる場合は、現行のアクティブルータがダウンしなくても、優先度が高いスタンバイルータが存在するかを調べ、そのようなスタンバイルータの存在が確認されたら優先度の低いルータから優先度の高いルータへアクティブルータを切り替えるためのコマンドを発行する必要がある。
【0007】
第1機器又は第2機器とは、例えばアクセススイッチである。通信経路としての評価値とは、RIP(Routing Information Protocol)におけるディスタンス(ホップ数)、OSPF(Open Shortest Path First)におけるコスト値などのメトリックを意味する。
【0008】
本発明の第2の特徴は、第1ポートと比較して、第2ポートの優先度が低く、評価値が高い場合に、第2ポートの優先度が高く、評価値が低くなるように変更してから、第2ポートを開くことにある。
【0009】
「第2ポートの優先度が高く、・・・なるように変更」とは、第1ポートの優先度を変更せずに、第2ポートの優先度を高くする場合、第2ポートの優先度を変更せずに、第1ポートの優先度を低くする場合、第1ポートの優先度を低くしかつ第2ポートの優先度を高くする場合のいずれであっても良い。
【0010】
同様に、「第2ポートの・・・評価値が低くなるように変更」とは、第1ポートの評価値を変更せずに、第2ポートの評価値を低くする場合、第2ポートの評価値を変更せずに、第1ポートの評価値を高くする場合、第1ポートの評価値を高くしかつ第2ポートの評価値を低くする場合のいずれであっても良い。
【0011】
本発明の第3の特徴は、第2ポートを開いた後であって、第1ポートを経由する通信が行われなくなってから第1ポートを閉じることにある。「第1ポートを経由する通信が行われなくなって」とは、例えば「第2ポートを開く前に第1ポートを通過した全ての要求パケットに対する全ての応答パケットが第1ポートを通過した後」が該当する。
【0012】
本発明の第4の特徴は、第1ポートと比較して、第2ポートの優先度が低く、評価値が高くなるように変更してから、第1ポートを開くことにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の特徴によれば、第1ルータの第1ポートから第2ルータの第2ポートへ切断時間0秒で通信経路を変更することができる。
【0014】
本発明の第2の特徴によれば、当初は第2ポートの優先度が低く、評価値が高い場合であっても、第1ポートと第2ポートとの相対的な優先度の高低及び評価値の高低を変更することによって、第1ポートから第2ポートへ切断時間0秒で通信経路を変更することができる。
【0015】
本発明の第3の特徴によれば、未使用となった第1ポートを閉じることによって誤動作を防止することができる。
【0016】
本発明の第4の特徴によれば、第2ルータの第2ポートから第1ルータの第1ポートへ切断時間0秒で通信経路を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面に基づいて、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、以下の説明は、単なる例示に過ぎず、本発明の技術的範囲は以下の説明に限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
<面切替について>
<1-1.面切替概要>
実施例1におけるネットワークは、A面、B面の両面を持ち、通常はA面の正系とB面の正系を使用する構成となる。但し、ネットワーク機器やケーブル等に障害が発生した場合、またはネットワーク機器のメンテナンス(OSのバージョンアップ等)や構成変更を行う際は、通信を片面(A面またはB面の一方)に片寄せする事でサーバの通信断を極力最小限の時間にとどめる構成となっている。片面に片寄せする作業を面切替(ディストリビューションスイッチのA面またはB面に寄せる作業)と呼び、片面から両面運用に戻す作業を、面戻し(A面またはB面の片面から両面の正系構成へ戻す作業)と呼ぶ。
【0019】
<1-2.面切替の実施対象機器>
図1に、実施例1のネットワーク構成を示す。同図に示すように、A面は、サーバ11と、アクセススイッチ21,22と、ディストリビューションスイッチ31,32とから構成されている。B面は、サーバ12と、アクセススイッチ23,24と、ディストリビューションスイッチ33,34とから構成されている。
【0020】
ディストリビューションスイッチ31,33は、コアスイッチ41を経由して既存ネットワーク51へ接続され、ディストリビューションスイッチ32,34は、コアスイッチ42を経由して既存ネットワーク51へ接続されている。なお、ディストリビューションスイッチ31は、第2のルータに相当し、ディストリビューションスイッチ33は、第2のルータに相当する。
【0021】
コアスイッチ41,42は、LANの中心となるスイッチであって大型で処理能力の高いスイッチを使用する。ディストリビューションスイッチ31〜34は、中型または大型のスイッチ(レイヤー3スイッチ)であってVLAN間転送などを行う。アクセススイッチ21〜24は、小型のレイヤー2スイッチとする。点線内のディストリビューションスイッチ31〜34が、面切替のための制御対象となる。
【0022】
各スイッチ(SW)間のOSPF(Open Shortest Path First)のコスト値(Cost)は以下のとおりとする。SW31と32との間、SW33と34との間、SW41とSW31又はSW33との間は、いずれも100とする。SW42とSW32又はSW34との間は、いずれも300とする。
【0023】
また、各スイッチ(SW)のインターフェース(I/F)のコスト値とVRRPのプライオリティ(Priority)とは
SW31のSW21向けI/F:コスト500、プライオリティ 105、
SW31のSW23向けI/F:コスト200、プライオリティ 125、
SW32のSW22向けI/F:コスト500、プライオリティ 100、
SW32のSW24向けI/F:コスト200、プライオリティ 120、
SW33のSW21向けI/F:コスト200、プライオリティ 125、
SW33のSW23向けI/F:コスト500、プライオリティ 105、
SW34のSW22向けI/F:コスト200、プライオリティ 120、
SW34のSW24向けI/F:コスト500、プライオリティ 100、
であるとする。
【0024】
図2に、ディストリビューションスイッチ31〜34の構成を示す。同図に示すように、ディストリビューションスイッチ31等は、パケット送受信部201、パケット記憶部202、宛先決定部203、CPU204、メモリ205、MACテーブル206、ルーティングテーブル207及びポート部208を備える。
【0025】
パケット送受信部201は各ポート部208からパケットを受信し、受信したパケットをパケット記憶部202に格納するとともに、パケットのヘッダ情報を取得し宛先決定部203へ渡す。
【0026】
宛先決定部203では、MACアドレスのMACテーブル206への保存、IPアドレスのルーティングテーブル207への保存、MACテーブル206のルックアップ、ルーティングテーブル207のルックアップ、ポート間のコスト値やプライオリティ値の比較、各ポートがオープン状態かシャットダウン状態かの確認が行われ、パケットの送信先情報が決定される。決定された送信先情報は、パケット送受信部201に渡される。
【0027】
パケット送受信部201は、パケット記憶部202からパケットを呼び出し、送信先情報に基づいてヘッダ情報を書き換え、ポート部208からパケットを送信する。
【0028】
各ポートのコスト値及びプライオリティ値は、メモリ205に記憶されている。各ポートのコスト値又はプライオリティ値を変更するとは、かかるメモリ205の記憶内容が書き換えられることを意味する。
【0029】
<1-3.面切替対象機器リスト>
表1に記載の機器設定情報を変更し、面切替を実現する。
【表1】
【0030】
<1-4.面切替実施方法>
面切替を実施する場合は、事前に作成したプログラム(マクロプログラム)を用いてLANに設置した端末から、変更を実施する。コマンドラインでの作業は、作業ミス、作業時間が長いことを考慮し、原則実施しない。
【0031】
また、障害発生時は各ディストリビューションスイッチ31〜34へTELNETによるリモート接続が不能になる場合を考慮し、LANに設置する端末は、コンソールポートへの接続を可能とするアウトバンド監視LANを構築する。
【0032】
図3に、各スイッチとターミナルサーバ等との接続関係を示す。同図に示すように、運用LAN80内にターミナルサーバ61及び62、並びにマクロ実施端末正63及びマクロ実施端末副64を設置する。ターミナルサーバ61の各非同期ポートと、ディストリビューションスイッチ31〜34及びアクセススイッチ21〜24のコンソールポートとをコンソールケーブルを用いて接続し、ターミナルサーバ62の各非同期ポートとコアスイッチ41〜42のコンソールポートとをコンソールケーブルを用いて接続する。ターミナルサーバのリバースTELNETにより各機器のコンソールポートへのアクセスを可能とする。ターミナルサーバ61のIPアドレスは7.31.4.229/24、デフォルトゲートウェイのIPアドレスは7.31.4.254/24とし、ターミナルサーバ62のIPアドレスは7.31.2.247/24、デフォルトゲートウェイのIPアドレスは7.31.2.254/24とする。運用LAN80用の正側のL3スイッチ71はコアスイッチ41に接続し、運用LAN80用の副側のL3スイッチ72はコアスイッチ42に接続する。
【0033】
これによりLANに設置の端末は、(1)TELNETによる接続、(2)コンソールポートへの接続が可能な構成となる。コンソールポートへの接続による面切り替え作業は、各ディストリビューションスイッチ31〜34のコンソールポートへの接続仕様から、接続の速度に制限があり、作業時間が長いため、図4のフローチャートに従ってプログラムを実行する。
【0034】
図4に示すように、TELNETによるログ取得を試みて(ステップS41)、TELNETによるログ取得が成功したら、TELNETによる面切替えを実施する(ステップS42)。TELNETによるログ取得が失敗したら、コンソールによりログを取得し(ステップS43)、コンソールによる面切替を実施する(ステップS44)。ステップS42又はステップS44終了後、面切替後のログ取得、疎通確認を行う(ステップS45)。
【0035】
上記の点を踏まえて表2に示す4パターンのマクロを作成する。
【表2】
【0036】
なお、面切替は、各VLAN単位での面切替を実施できるマクロとする。
【0037】
図5に、面切替マクロ実行処理の流れを示す。同図に示すように、マクロを起動後、パスワードを入力し(ステップS51)、LAN接続又はコンソール接続を選択し(ステップS52)、A面へ片寄せするか又はB面へ片寄せするかを選択し(ステップS53)、全てのVLANを面切り替えするか又は面切り替えするVLANを選択するかを選択し(ステップS54)、オペレーションパスワードを入力し(ステップS55)、面切替の実行内容を確認し(ステップS56)、面切替を実行し(ステップS57)、面切替を終了し(ステップS58)、マクロを終了する。
【0038】
表3に、ターミナルサーバ61〜62の接続先や各パラメータを示す。面切替を実施する端末は、LANに設置のワーク端末より面切替、面戻しのマクロを実行する。ワーク端末の障害を考慮し、LANに設置のOSPF対応用疎通PCをバックアップ機とする。
【表3】
【0039】
なお、(1―1)ディストリビューションスイッチ31は、コア正−A面ディストリビューション正セグメントのA面ディストリビューションスイッチ正側アドレス、(1−2)ディストリビューションスイッチ32は、コア副−A面ディストリビューション副セグメントのA面ディストリビューションスイッチ副側アドレス、(1−3)アクセススイッチ21は、A面アクセススイッチ正、(1−4)アクセススイッチ22は、A面アクセススイッチ副、(1−5)ディストリビューションスイッチ33は、コア正−B面ディストリビューション正セグメントのB面ディストリビューションスイッチ正側アドレス、(1−6)ディストリビューションスイッチ34は、コア副−B面ディストリビューション副セグメントのB面ディストリビューションスイッチ副側アドレス、(1−7)アクセススイッチ23は、B面アクセススイッチ正、(1−8)アクセススイッチ24は、B面アクセススイッチ副、がそれぞれターミナルサーバ62の接続先となる。(2)ターミナルサーバ61は、コアスイッチ41及びコアスイッチ42に接続されている。
【0040】
<1-5.面切替実施手順>
面切替を実施する際、表4の順にポート設定を変更する。
【表4】
【0041】
なお、面切替は、各VLAN単位での面切替を実施できるマクロとする。
【0042】
図6に基づいて、面切替の待ち時間について説明する。シャットダウンしているインターフェース(例えば、ディストリビューションスイッチ31のアクセススイッチ23向けインターフェース)をオープン後、VLANインターフェースがアップ(VLANの若番5つはアップするのが早いが、それ以降はアップするのが遅い)し、OSPFが収束するまで約30秒程度要する。VRRPの優先度がB面より高いため、HSRP(Hot Standby Router Protocol)のpreemptコマンドに相当する遅延コマンドに遅延時間を指定することによって意図的に遅延させないと仮想ルータとして機能するアクティブルータがすぐに切り替わってしまうので、VRRPの設定で切り替わる時間を30秒遅らせるコマンドを設定している。そのため、インターフェースをオープンにしてから反対面のインターフェース(例えば、ディストリビューションスイッチ33のアクセススイッチ23向けインターフェース)をシャットダウンするまで40秒間隔を置く仕様とする。
【0043】
<1-6.面切替実施の際の取得情報>
(1)常時取得情報
実施例1のネットワーク機器において、障害時の比較対照ログデータとして、LAN設置の端末より、毎日ログを取得することにより、障害時のトラブル対応が迅速に行われるようにする。1ヶ月以上経過したログデータは定期的に破棄する。
【0044】
表5に、常時ログ取得スケジュールを示す。
【表5】
【0045】
表6に、常時取得ログを示す。
【表6】
【0046】
(2)メンテナンス時の面切替
実施例1のネットワーク機器において、OS等のバグ、機能強化、拡張作業により、機器の停止、再起動を行う場合は面切替により片面に片寄せを行う。
【0047】
表7に、メンテナンス時に取得する情報を示す。面切替を実施するにあたり各コアスイッチ、ディストリビューションスイッチ、アクセススイッチにて表7に記載の情報を取得し、メンテナンス作業終了時点で、取得情報を比較する。取得するにあたっては、情報収集マクロを使用する。
【表7】
【0048】
(3)障害時の面切替
実施例1のネットワーク機器、収容のサーバにて、通信不安定、通信断、監視装置のアラーム表示等が発生した場合は、表8又は表9に記載の情報を取得し比較データと比較する。比較データは、例えば毎日AM2:00に取得しているデータと比較する。
【0049】
表8は、障害時に取得する情報(TELNET接続版)を示す。
【表8】
【0050】
表9は、障害時に取得する情報(コンソール接続版)を示す。
【表9】
【0051】
(4)面切替終了後の収録情報
表10は、障害時に取得する情報(TELNET接続版)を示す。面切替終了後、表10に示すデータを取得する。表10に示す情報は、最低限取得する情報である。取得する場合は、ログ収集用のマクロを使用し取得する。
【表10】
【0052】
<1-7.面切替判断>
障害発生時の面切替にあたっては、各コアスイッチ41〜42、ディストリビューションスイッチ31〜34、アクセススイッチ21〜24にて所定の情報を取得し正常性を確認した後に、面切替の要否を判断する。
【0053】
<1-8.A面へ片寄せする場合の面切替(すべての通信がA面に片寄る)>
(1)正常時(通常運用時)
図7に、正常時の通信状態を示す。同図に示すように、正常時の通信は、各A面、B面の正系スイッチを経由し通信する。つまり、A面はディストリビューションスイッチ31とアクセススイッチ21とを経由して通信し、B面はディストリビューションスイッチ33とアクセススイッチ23とを経由して通信する。
【0054】
表11に、正常時のディストリビューションスイッチの、アクセススイッチとの接続用VLANインターフェースの状態を示す。このとき、切断時間は0秒である。
【0055】
SW31〜34はディストリビューションスイッチ31〜34を、OPはオープンを、SDはシャットダウンを、SW21〜24はアクセススイッチ21〜24を示す。
【表11】
【0056】
(2)ポートオープン
図8に、A面へ片寄せする場合のポートオープン時の通信状態を示す。また、表12に、A面へ片寄せする場合のポートオープン時のインターフェース状態を示す。図8及び表12に示すように、A面へ面切替を実施するため、「A面ディストリビューションスイッチ31のB面アクセススイッチ23向けVLANインターフェース」及び「A面ディストリビューションスイッチ32のB面アクセススイッチ24向けVLANインターフェース」をオープンにする。
【0057】
VRRPのプライオリティ(Priority)、OSPFのコスト値(Cost)の設定により、A面のディストリビューションスイッチにて、B面向けのVLANインターフェースをオープンにした場合、A面が優先ルートとなる。切断時間は0秒である。
【表12】
【0058】
(3)ポートクローズ(A面へ片寄せ時)
図9に、A面へ片寄せする場合のポートクローズ時の通信状態を示す。また、表13に、A面へ片寄せする場合のポートクローズ時のインターフェース状態を示す。図9及び表13に示すように、障害発生時にインターフェースのバタツキによる、VRRP、OSPFの状態変化により通信が不安定になる場合を考慮し、「B面ディストリビューションスイッチ33のアクセススイッチ23向けVLANインターフェース」及び「B面ディストリビューションスイッチ34のアクセススイッチ24向けVLANインターフェース」はシャットダウンする。切断時間は0秒である。
【表13】
【0059】
<1-9.B面へ片寄せする場合の面切替(すべての通信がB面に片寄る)>
(1)正常時(通常運用時)
正常時における通信状態及びVLANインターフェースの状態等は、図7及び表11に示したとおりである。
【0060】
(2)ポートオープン
図10に、B面へ片寄せする場合のポートオープン時の状態を示す。また、表14に、B面へ片寄せする場合のポートオープン時のインターフェース状態を示す。図10及び表14に示すように、B面へ面切替を実施するために「B面ディストリビューションスイッチ33のA面アクセススイッチ21向けVLANインターフェース」及び「B面ディストリビューションスイッチ34のA面アクセススイッチ22向けVLANインターフェース」をオープンにする。
【0061】
VRRPのプライオリティ、OSPFのコスト値により、B面のディストリビューションスイッチにて、A面向けのVLANインターフェースをオープンにした場合、B面が優先ルートとなる。切断時間は0秒である。
【表14】
【0062】
(3)ポートクローズ
図11に、B面へ片寄せする場合のポートクローズ時の状態を示す。また、表15に、B面へ片寄せする場合のポートクローズ時のインターフェース状態を示す。図11及び表15に示すように、障害発生時にインターフェースのバタツキによる、VRRP、OSPFの状態変化により通信が不安定になる場合を考慮し、A面ディストリビューションスイッチ31〜32のアクセススイッチ向けVLANインターフェースはシャットダウンする。切断時間は0秒である。
【表15】
【0063】
<1-10.面切替の際のポート設定変更一覧>
表16は、A面へ片寄せする際のポート設定変更の一覧を示す。表16に示すように、
(1)まず、ディストリビューションスイッチ31のアクセススイッチ23向けVLAN I/Fをシャットダウンからオープンへ変更し、
(2)次に、ディストリビューションスイッチ32のアクセススイッチ24向けVLAN I/Fをシャットダウンからオープンへ変更し、
(3)次に、ディストリビューションスイッチ33のアクセススイッチ23向けVLAN I/Fをオープンからシャットダウンへ変更し、
(4)そして、ディストリビューションスイッチ34のアクセススイッチ24向けVLAN I/Fをオープンからシャットダウンへ変更する。
【表16】
【0064】
表17は、B面へ片寄せする際のポート設定変更の一覧を示す。表17に示すように、
(1)まず、ディストリビューションスイッチ33のアクセススイッチ21向けVLAN I/Fをシャットダウンからオープンへ変更し、
(2)次に、ディストリビューションスイッチ34のアクセススイッチ22向けVLAN I/Fをシャットダウンからオープンへ変更し、
(3)次に、ディストリビューションスイッチ31のアクセススイッチ21向けVLAN I/Fをオープンからシャットダウンへ変更し、
(4)そして、ディストリビューションスイッチ32のアクセススイッチ22向けVLAN I/Fをオープンからシャットダウンへ変更する。
【表17】
【0065】
<1-11.面切替チェック機能について>
面切替を実施するにあたり、稼動状態と実施マクロの組み合わせが異なるような、人為的ミスをなくすため、マクロにチェック機能を設け、面切替実施中は、再度面切替を実施等のないようにすることが好ましい。例えば、(1)A面片寄せ中は、A面片寄せのビットを立てて、A面片寄せからの面戻しのみ実施可能とし、また(2)B面片寄せ中は、B面片寄せのビットを立てて、B面片寄せからの面戻しのみ実施可能とする。但し、障害時等についてはチェック機能を外すことにより柔軟に対応できる仕組みを持つことが好ましい。
【0066】
<2.面戻しについて>
<2-1.面戻し概要>
実施例1のネットワークは、メンテナンスまたは障害発生時、A面もしくはB面に片寄せを実施し、通信断を極力発生させない構成となっている。メンテナンスまたは障害対応が終了した時点で、A面・B面のそれぞれの正系スイッチを流れる両面運用に戻す、面戻しを実施する必要がある。
【0067】
<2-2.面戻しの実施対象機器>
図1の点線内のディストリビューションスイッチ31〜34が、面戻しのための制御対象となる。
【0068】
<2-3.面戻し対象機器リスト>
表1に記載の機器設定情報を変更し、面戻しを実現する。
【0069】
<2-4.面戻し実施方法>
面戻しを実施する場合は、事前に作成したプログラム(マクロプログラム)を用いてLANに設置した端末から、変更を実施する。コマンドラインでの作業は、作業ミス、作業時間が長いことを考慮し、原則実施しない。
【0070】
不測の事態によりTELNETによる接続が不可となり、シャットダウンしているポートをオープンにする必要がある場合、各ディストリビューションスイッチ31〜34のコンソールポートに接続し、面戻しを実施する。
【0071】
図12に示す面戻し実施フローチャートに従い面戻しを実施する。同図に示すように、
TELNETによるログ取得を試みて(ステップS61)、TELNETによるログ取得が成功したら、TELNETによる面戻しを実施する(ステップS62)。TELNETによるログ取得が失敗したら、コンソールによりログを取得し(ステップS63)、コンソールによる面戻しを実施する(ステップS64)。ステップS62又はステップS64終了後、面戻し後のログ取得、疎通確認を行う(ステップS65)。
【0072】
上記の点を踏まえて表18のマクロを作成する。
【表18】
【0073】
<2-5.面戻し実施手順>
面戻しを実施する際、以下の順にポート設定を変更する。
【0074】
実施順1:片寄せするためシャットダウンしているVLANインターフェースの、VRRPのPriority、OSPFのCostの設定を最優先になるように設定変更する。面戻し用に一時的に設定変更を行う。例えば、A面へ片寄せしている場合は、B面ディストリビューションスイッチ33〜34の、B面アクセススイッチ23〜24向けを変更する。
【0075】
実施順2:片寄せするためシャットダウンしているVLANインターフェースをオープンにする。例えば、A面へ片寄せしている場合は、B面ディストリビューションスイッチ33〜34の、B面アクセススイッチ23〜24向けをオープンにする。
【0076】
実施順3:OSPF・VRRPの収束を考慮して、例えば40秒間待つ。その理由は下記のとおりである。
【0077】
シャットダウンしているインターフェースをオープン後、VLANインターフェースがアップ(VLANの若番5つはアップするのが早いが、それ以降はアップするのが遅い)し、OSPFが収束するまで約30秒程度要する。VRRPの優先度がB面より高いため、VRRPの設定で切り替わる時間を30秒遅らせるコマンド「preempt-delay 30」を設定し、仮想ルータとして機能するアクティブルータがすぐに切り替わらないようにしている。そのため、インターフェースをオープンにしてからシャットダウンにするまで40秒間隔を置く仕様とする。
【0078】
実施順4:片寄せしている面の、逆面アクセススイッチ向けディストリビューションスイッチのVLANインターフェースをシャットダウンする。例えば、A面へ片寄せしている場合は、A面ディストリビューションスイッチ31〜32の、B面アクセススイッチ23〜24向けをシャットダウンする。
【0079】
実施順5:設定変更し、一時的に最優先の設定を行ったOSPFのCostを元の値に設定変更する。つまり、実施順1で変更したCostの値を元に戻す。
【0080】
実施順6:設定変更し、一時的に最優先の設定を行ったVRRPのPriorityを元の値に設定変更する。つまり、実施順1で変更したPriorityの値を元に戻す。
【0081】
<2-6.面戻しの際の取得情報>
(1) 面戻し実施前の取得ログ
面戻しを実施するにあたり、表8、9に記載の情報を取得する。
【0082】
(2)面戻し終了後の取得ログ
面戻し終了後、表8に記載の情報を再び取得しマクロ実行端末に保存する。
【0083】
<2-7.面戻しの実施判断>
(1)メンテナンス終了後の面戻し
メンテナンスが終了し、正常性が確認されたと判断した時点で、面戻しを実施する。正常性の判断は各システム要件によるものとする。
【0084】
(2)障害復旧後の面戻し
面戻しを実施するにあたり、障害部位の正常性が確認された時点で、面戻しを実施する。正常性の判断は各システム要件によるものとする。
【0085】
<2-8.A面に片寄せしている場合の面戻し方法>
(1)A面へ片寄せ実施中(面切替中)
図13に、A面へ片寄せしている状態を示す。同図に示すように、B面ディストリビューションスイッチ33〜34のB面アクセススイッチ23〜24向けVLANインターフェースは、バタツキにより、VRRPの状態、OSPFの状態が不安定になり、通信に影響がでる場合を考慮し、シャットダウンする。
【0086】
表19に、A面へ片寄せ時のインターフェース状態を示す。この時点で切断時間は0秒である。
【表19】
【0087】
(2)VRRP、OSPFの値を最優先に変更
図13及び表20に、設定変更後のコストとプライオリティ等を示す。これらの図表に示すように、(1)ディストリビューションスイッチ33のアクセススイッチ23向けVLAN I/FのOSPFのCostを500から150に変更し、VRRP優先度(Priority)を105から150へ変更し、(2)ディストリビューションスイッチ34のアクセススイッチ24向けVLAN I/FのOSPFのCostを500から150に変更し、VRRP優先度(Priority)を100から145へ変更する。
【0088】
つまり、B面向けVLANインターフェースのOSPF Cost、VRRP Priorityを最優先となるように、一時的に設定変更を行う。この時点でも切断時間は0秒である。
【表20】
【0089】
(3)ポートオープン
図14及び表21に、ポートオープン時のインターフェース状態等を示す。これらの図表に示すように、A面へ面切替を実施しているため、B面ディストリビューションスイッチ33〜34のB面アクセススイッチ23〜24向けVLANインターフェースをオープンにする。
【0090】
B面アクセススイッチ向けのVLANインターフェースは、OSPFのCost、VRRPのPriorityともに最優先の設定になっているため、オープンにした段階でB面アクセススイッチ23向けは、A面ディストリビューションスイッチ31ではなく、B面ディストリビューションスイッチ33を経由して通信する。この時点でも切断時間は0秒である。
【表21】
【0091】
(4)ポートクローズ
図15及び表22に、面戻し完了時のインターフェース状態等を示す。前記(3)でVLANインターフェースをオープンにしてから、OSPF、VRRPの収束を考慮し、40sec間隔をあけてから、これらの図表に示すように、A面ディストリビューションスイッチ31〜32の、B面アクセススイッチ23〜24向けVLANインターフェースをシャットダウンする。
【表22】
【0092】
(5)OSPF、VRRPの優先度をもとにもどす(正常時構成)
図7及び表23に、OSPF、VRRPの優先度をもとにもどした時のインターフェース状態等を示す。これらの図表に示すように、(1)ディストリビューションスイッチ34のアクセススイッチ24向けVLAN I/FのOSPFコストを150から500に変更し、(2)10秒間隔をあけてから、(3)ディストリビューションスイッチ34のアクセススイッチ24向けVLAN I/FのVRRP優先度(Priority)を145から100へ変更する。
【0093】
そして、(4)ディストリビューションスイッチ33のアクセススイッチ23向けVLAN I/FのOSPFコストを150から500に変更し、(5)10秒間隔をあけてから、(6)ディストリビューションスイッチ33のアクセススイッチ23向けVLAN I/FのVRRP優先度(Priority)を150から105へ変更する。
【表23】
【0094】
<2-9.B面に片寄せしている場合の面戻し方法>
(1)B面へ片寄せ実施中(面切替中)
図11及び表24に示すように、B面へ片寄せしている場合、A面ディストリビューションスイッチ31〜32のA面アクセススイッチ21〜22向けアクセススイッチ向けのVLANインターフェースは、バタツキにより、VRRPの状態、OSPFの状態が不安定になり、通信に影響がでる場合を考慮し、シャットダウンする。
【表24】
【0095】
(2)VRRP、OSPFの値を最優先に変更
図16及び表25に、A面に面戻しするために設定変更した後のコストとプライオリティ等を示す。これらの図表に示すように、(1)ディストリビューションスイッチ31のアクセススイッチ21向けVLAN I/FのOSPFのCostを500から150に変更し、VRRP優先度(Priority)を105から150へ変更し、(2)ディストリビューションスイッチ32のアクセススイッチ22向けVLAN I/FのOSPFのCostを500から150に変更し、VRRP優先度(Priority)を100から145へ変更する。
【0096】
つまり、A面向けVLANインターフェースのOSPF Cost、VRRP Priorityを最優先となるように、一時的に設定変更を行う。この時点でも切断時間は0秒である。
【表25】
【0097】
(3)ポートオープン
図17及び表26に、A面へ面戻しするためにポートオープンした時のインターフェース状態等を示す。これらの図表に示すように、B面へ面切替を実施しているため、A面ディストリビューションスイッチ31〜32のA面アクセススイッチ21〜22向けVLANインターフェースをオープンにする。
【0098】
A面アクセススイッチ向けのVLANインターフェースは、OSPFのCost、VRRPのPriorityともに最優先の設定になっているため、オープンにした段階でA面アクセススイッチ21向けは、B面ディストリビューションスイッチ33ではなく、A面ディストリビューションスイッチ31を経由して通信する。この時点でも切断時間は0秒である。
【表26】
【0099】
(4)ポートクローズ
図18及び表27に、A面への面戻し完了時のインターフェース状態等を示す。前記(3)でVLANインターフェースをオープンにしてから、OSPF、VRRPの収束を考慮し、40sec間隔をあけてから、これらの図表に示すように、B面ディストリビューションスイッチ33〜34の、A面アクセススイッチ21〜22向けVLANインターフェースをシャットダウンする。
【表27】
【0100】
(5)OSPF、VRRPの優先度をもとにもどす(正常時構成)
図7及び表28に、OSPF、VRRPの優先度をもとにもどした時のインターフェース状態等を示す。これらの図表に示すように、(1)ディストリビューションスイッチ32のアクセススイッチ22向けVLAN I/FのOSPFコストを150から500に変更し、(2)10秒間隔をあけてから、(3)ディストリビューションスイッチ32のアクセススイッチ24向けVLAN I/FのVRRP優先度(Priority)を145から100へ変更する。
【0101】
そして、(4)ディストリビューションスイッチ31のアクセススイッチ21向けVLAN I/FのOSPFコストを150から500に変更し、(5)10秒間隔をあけてから、(6)ディストリビューションスイッチ31のアクセススイッチ21向けVLAN I/FのVRRP優先度(Priority)を150から105へ変更する。
【表28】
【0102】
<2-10.面戻しの際のポート設定変更一覧について>
まず、A面片寄せを面戻しする場合について説明する。表29に、A面片寄せ中の各インターフェース状態を示す。
【表29】
【0103】
表30に、OSPF, VRRP値の優先度変更後の各インターフェース状態を示す。なお、優先度変更は、まず最初にSW33のSW23向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
ip ospf cost 150
standby 254 priority 150
によって変更し、次にSW34のSW24向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
ip ospf cost 150
standby 254 priority 145
によって変更する。
【表30】
【0104】
表31に、面戻しのために一部のVLAN I/Fをオープンした際の状態を示す。まずSW33のSW23向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
no shutdown
によってオープンし、次にSW34のSW24向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
no shutdown
によってオープンする。
【表31】
【0105】
表32に、面戻しのために一部のVLAN I/Fをシャットダウンした際の状態を示す。まずSW32のSW24向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
shutdown
によってシャットダウンし、次にSW31のSW23向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
shutdown
によってシャットダウンする。
【表32】
【0106】
表33に、OSPF, VRRP値を元に戻した各インターフェース状態を示す。まず最初にSW34のSW24向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
ip ospf cost 500
standby 254 priority 100
によって変更し、次にSW33のSW23向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
ip ospf cost 500
standby 254 priority 105
によって変更する。
【表33】
【0107】
次に、B面片寄せを面戻しする場合について説明する。表34に、B面片寄せ中の各インターフェース状態を示す。
【表34】
【0108】
表35に、OSPF, VRRP値の優先度変更後の各インターフェース状態を示す。なお、優先度変更は、まず最初にSW31のSW21向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 332-427
ip ospf cost 150
standby 254 priority 150
によって変更し、次にSW32のSW22向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 332-427
ip ospf cost 150
standby 254 priority 145
によって変更する。
【表35】
【0109】
表36に、面戻しのために一部のVLAN I/Fをオープンした際の状態を示す。まずSW31のSW21向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 332-427
no shutdown
によってオープンし、次にSW32のSW22向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 332-427
no shutdown
によってオープンする。
【表36】
【0110】
表37に、面戻しのために一部のVLAN I/Fをシャットダウンした際の状態を示す。まずSW34のSW22向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 332-427
shutdown
によってシャットダウンし、次にSW33のSW21向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
shutdown
によってシャットダウンする。
【表37】
【0111】
表38に、OSPF, VRRP値を元に戻した各インターフェース状態を示す。まず最初にSW32のSW22向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
ip ospf cost 500
standby 254 priority 100
によって変更し、次にSW31のSW21向けI/Fを実施コマンド
interface range vlan 632-727
ip ospf cost 500
standby 254 priority 105
によって変更する。
【表38】
【0112】
<2-11.面戻しチェック機能について>
面戻しを実施するにあたり、片寄せしているパターンと面戻し実施マクロの組み合わせが異なった場合、全VLANシャットダウンとなる場合があるため、マクロにチェック機能を設け人為的ミスが少なくなるように作成することが好ましい。
具合的には、A面切替を実施した場合、A面切替を実施したビットを立て、面戻しはA面片寄せからのマクロのみが実行可能とする。同様に、B面切替を実施した場合、B面切替を実施したビットを立て、面戻しはB面片寄せからのマクロのみが実行可能とする。
【0113】
但し、障害時等についてはチェック機能を外すことにより柔軟に対応できる仕組みを持つことがより好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】実施例1におけるネットワーク構成を示す図である。
【図2】実施例1におけるディストリビューションスイッチの構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1におけるターミナルサーバ等との接続関係を示す図である。
【図4】実施例1における面切替実施処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施例1における面切替マクロ実行処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施例1における面切替の待ち時間を説明するための図である。
【図7】実施例1における正常時の通信状態を示す図である。
【図8】実施例1におけるA面へ片寄せする場合のポートオープン時の通信状態を示す図である。
【図9】実施例1におけるA面へ片寄せする場合のポートクローズ時の通信状態を示す図である。
【図10】実施例1におけるB面へ片寄せする場合のポートオープン時の通信状態を示す図である。
【図11】実施例1におけるB面へ片寄せする場合のポートクローズ時の通信状態を示す図である。
【図12】実施例1における面戻し実施処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】実施例1においてA面へ片寄せ中の通信状態を示す図である。
【図14】実施例1においてB面へ面戻しする場合のポートオープン時の通信状態を示す図である。
【図15】実施例1においてB面への面戻しする場合のポートクローズ時の通信状態を示す図である。
【図16】実施例1においてA面への面戻しのために設定変更したコストとプライオリティ等を示す図である。
【図17】実施例1においてA面への面戻しのためにポートオープンした時の通信状態等を示す図である。
【図18】実施例1においてA面への面戻しのためにポートクローズした時の通信状態等を示す図である。
【符号の説明】
【0115】
11〜12…サーバ、 21〜24…アクセススイッチ、
31〜34…ディストリビューションスイッチ、 41〜42…コアスイッチ、
51…既存ネットワーク、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ルータと第2ルータが、一つの仮想ルータプロトコル・グループを構成し、いずれのルータもアクティブルータからスタンバイルータへ、又はスタンバイルータからアクティブルータへ動的に変更可能な通信システムにおいて、
第1ルータの第1ポートを開いて第1機器と通信し、第1機器と通信可能なように接続されている第2ルータの第2ポートを閉じている際に、
仮想ルータとしての優先度が第1ポートより高く、第1機器に対する通信経路としての評価値が第1ポートよりも低い第2ポートを開く通信経路変更方法。
【請求項2】
第1ポートと比較して、第2ポートの優先度が低く、評価値が高い場合に、第2ポートの優先度が高く、評価値が低くなるように変更してから、第2ポートを開く請求項1記載の通信経路変更方法。
【請求項3】
第2ポートを開いた後であって、第1ポートを経由する通信が行われなくなってから第1ポートを閉じる請求項1又は2記載の通信経路変更方法。
【請求項4】
第1ポートと比較して、第2ポートの優先度が低く、評価値が高くなるように変更してから、第1ポートを開く請求項3記載の通信経路変更方法。
【請求項1】
第1ルータと第2ルータが、一つの仮想ルータプロトコル・グループを構成し、いずれのルータもアクティブルータからスタンバイルータへ、又はスタンバイルータからアクティブルータへ動的に変更可能な通信システムにおいて、
第1ルータの第1ポートを開いて第1機器と通信し、第1機器と通信可能なように接続されている第2ルータの第2ポートを閉じている際に、
仮想ルータとしての優先度が第1ポートより高く、第1機器に対する通信経路としての評価値が第1ポートよりも低い第2ポートを開く通信経路変更方法。
【請求項2】
第1ポートと比較して、第2ポートの優先度が低く、評価値が高い場合に、第2ポートの優先度が高く、評価値が低くなるように変更してから、第2ポートを開く請求項1記載の通信経路変更方法。
【請求項3】
第2ポートを開いた後であって、第1ポートを経由する通信が行われなくなってから第1ポートを閉じる請求項1又は2記載の通信経路変更方法。
【請求項4】
第1ポートと比較して、第2ポートの優先度が低く、評価値が高くなるように変更してから、第1ポートを開く請求項3記載の通信経路変更方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−148497(P2006−148497A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335139(P2004−335139)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】
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